JP5502804B2 - シリコーンゲル組成物及び該組成物の硬化物で封止された電子回路 - Google Patents

シリコーンゲル組成物及び該組成物の硬化物で封止された電子回路 Download PDF

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本発明は、シリコーンゲル組成物及び該組成物の硬化物で封止された電子回路に関する。
一般に、シリコーンゲルやシリコーンポッティング剤は、珪素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、珪素原子に結合したビニル基等のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、および白金系触媒を含有し、前記SiH基のビニル基等のアルケニル基への付加反応により硬化物を得る付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物である。このシリコーンゲルやシリコーンポッティング剤は、耐熱性、耐候性、耐油性、耐寒性、電気絶縁性等に優れ、低弾性率、低応力であることにより、車載電子部品、民生用電子部品の保護等に用いられている。
特開2010−132795号公報
このような電子部品の保護において更に内部の構造を隠蔽するため、シリコーンゲルやシリコーンポッティング材を充填する際に、着色して光透過率を低下させることを要求されることがある。シリコーンは透明性を有するポリマーであるため光学素子の封止材にも使われるが(特許文献1)、着色するためには着色剤として粉体状の成分を添加する必要がある。しかしながら、無機系の粉体状の成分は経時で沈降するため、実際に使用する際には、再攪拌等の必要があり、作業コストが増大することとなっていた。また、有機系の着色料は、耐熱性や耐候性を低下させるという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、耐熱性、耐候性、耐油性、耐寒性、電気絶縁性等の一般的な特性を有する上、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低く、内部の構造を隠蔽でき、低粘度で流動性が良好なシリコーンゲル組成物を提供することを目的とする。
また、このようなシリコーンゲル組成物の硬化物で封止され、内部の構造を隠蔽されたICやハイブリッドIC等の電子回路を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、
(A)下記平均組成式(1)
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rはアルケニル基を示し、Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、aは0.0001〜0.2を満たす正数であり、bは1.7〜2.2を満たす正数であり、但しa+bは1.9〜2.4を満たす正数である。)
で示され、屈折率の異なる、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンの混合物であって、前記オルガノポリシロキサン混合物に含まれるオルガノポリシロキサンの25℃における屈折率の差が0.05〜0.12であるオルガノポリシロキサン混合物、
(B)下記平均組成式(2)
SiO(4−c−d)/2 (2)
(式中、Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、cは0.001〜1.0を満たす正数であり、dは0.5〜2.2を満たす正数であり、但しc+dは0.72〜2.5を満たす正数である。)
で示され、珪素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンシロキサン:(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1モルに対して、前記珪素原子に結合した水素原子が0.1〜5モルとなる量、及び
(C)白金系触媒:有効量
を含有するシリコーンゲル組成物であって、該シリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物のJISK2207で規定される針入度が10〜200であることを特徴とするシリコーンゲル組成物が提供される。
このようなシリコーンゲル組成物であれば、屈折率が異なるオルガノポリシロキサンを含み、屈折率の差が一定値のものを含むオルガノポリシロキサン混合物であるため、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低く、内部の構造を隠蔽でき、また、上記(B)成分及び(C)成分を含有し、さらにシリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物のJISK2207で規定される針入度が10〜200であるので、耐熱性、耐候性、耐油性、耐寒性、電気絶縁性等を低下させることなく、低粘度で流動性が良好なシリコーンゲル組成物となる。
また、前記シリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物の25℃における波長700nm及び波長400nmの光の光透過率がそれぞれ10%以下であることが好ましい。
このように光透過率が低くければ、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低く、内部の構造を隠蔽できるシリコーンゲル組成物となる。
さらに、本発明では前記シリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物で封止された電子回路を提供する。
このように、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低く、低粘度で流動性が良好なシリコーンゲル組成物の硬化物により封止されることで、低コストで内部の構造が隠蔽された電子回路となる。
以上説明したように、本発明のシリコーンゲル組成物であれば、屈折率が異なり、屈折率差が一定値のものを含むオルガノポリシロキサン混合物であるため、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低く、内部の構造を隠蔽でき、また、上記(B)成分及び(C)成分を含有し、さらにシリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物のJISK2207で規定される針入度が10〜200となる。また、耐熱性、耐候性、耐油性、耐寒性、電気絶縁性等を低下させることなく、低粘度で流動性が良好なシリコーンゲル組成物となる。さらに、本発明のシリコーンゲル組成物は低粘度であるため、狭い隙間等にも容易に流し込みが可能であり、内部の構造を隠蔽できる低応力のゲルを与え、特にICやハイブリッドIC、パワーモジュールの保護等に好適に用いることができる。
以下、本発明のシリコーンゲル組成物、該組成物の硬化物で封止された電子回路について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前述のように、耐熱性、耐候性、耐油性、耐寒性、電気絶縁性等を低下させることなく、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低い硬化物を与え、低粘度で流動性が良好なシリコーンゲル組成物の開発が望まれていた。
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討を重ねた結果、屈折率が異なり、屈折率差が一定値のものを含むオルガノポリシロキサン混合物を含有するシリコーンゲル組成物であれば、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低く、内部の構造を隠蔽できることを見出した。さらに、下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンシロキサン及び白金系触媒を含有し、またシリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物のJISK2207で規定される針入度が10〜200であれば、耐熱性、耐候性、耐油性、耐寒性、電気絶縁性等に優れた硬化物を与え、かつ低粘度で流動性が良好なシリコーンゲル組成物となることを見出して、本発明を完成させた。以下、本発明について詳細に説明する。
すなわち、本発明では、
(A)下記平均組成式(1)
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rはアルケニル基を示し、Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、aは0.0001〜0.2を満たす正数であり、bは1.7〜2.2を満たす正数であり、但しa+bは1.9〜2.4を満たす正数である。)
で示され、屈折率が異なる、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンの混合物であって、前記オルガノポリシロキサン混合物に含まれるオルガノポリシロキサンの25℃における屈折率の差が0.05〜0.12であるオルガノポリシロキサン混合物、
(B)下記平均組成式(2)
SiO(4−c−d)/2 (2)
(式中、Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、cは0.001〜1.0を満たす正数であり、dは0.5〜2.2を満たす正数であり、但しc+dは0.72〜2.5を満たす正数である。)
で示され、珪素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンシロキサン:(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1モルに対して、前記珪素原子に結合した水素原子が0.1〜5モルとなる量、及び
(C)白金系触媒:有効量
を含有するシリコーンゲル組成物であって、該シリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物のJISK2207で規定される針入度が10〜200であることを特徴とするシリコーンゲル組成物を提供する。
本発明のシリコーンゲル組成物は、上記(A)〜(C)成分を含有してなるものであり、その他、本発明の目的を妨げない範囲で任意成分を含有していてもよい。以下、各成分について詳細に説明する。なお、本明細書中において、単に粘度というときは25℃における測定値をいう。
〔(A)オルガノポリシロキサン混合物〕
(A)成分のオルガノポリシロキサン混合物は、上記平均組成式(1)で示され、屈折率が異なる、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンを含むものである。なお、オルガノポリシロキサンの屈折率は、珪素原子に結合する置換基の種類及びその含有量に大きく起因するため、屈折率の差が上記範囲にあるオルガノポリシロキサンを選択する必要がある。以下、オルガノポリシロキサン混合物に含まれるオルガノポリシロキサンについて詳しく説明する。
(オルガノポリシロキサン)
本発明にかかるオルガノポリシロキサンは、上記平均組成式(1)で示され、珪素原子に結合したアルケニル基(以下、「珪素原子結合アルケニル基」ともいう)を1分子中に少なくとも2個有するものである。該アルケニル基は上記平均組成式(1)中Rに由来するものであり、2〜50個有することがより好ましく、2〜20個有することが特に好ましい。これらのアルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖非末端(即ち、分子鎖両末端以外)の珪素原子に結合していても、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。
上記平均組成式(1)中、Rはアルケニル基を示し、特に制限されないが、好ましくは炭素原子数が2〜6のアルケニル基、より好ましくは炭素原子数が2〜4のアルケニル基である。その具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等の低級アルケニル基が挙げられ、ビニル基が特に好ましい。
上記平均組成式(1)中、Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、特に制限されないが、好ましくは炭素原子数が1〜10、より好ましくは炭素原子数が1〜6の脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を示す。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部が、フッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された基、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられるが、合成の容易さ等の観点から、好ましくはアルキル基、アリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基が好ましい。
上記平均組成式(1)中、aは0.0001〜0.2を満たす正数であり、好ましくは0.0005〜0.1を満たす正数であり、bは1.7〜2.2を満たす正数であり、好ましくは1.9〜2.0を満たす正数である。但しa+bは1.9〜2.4を満たす正数であり、好ましくは1.95〜2.05を満たす正数である。aが0.0001未満では硬化が不十分となることがあり、また0.2を超える場合は硬化物表面に疎密が発生し良好な硬化物を得られない。また、bが1.7未満あるいは、2.2より大きい場合、シリコーンゲル組成物から安定した硬化物が得られない。
本発明にかかるオルガノポリシロキサンの分子構造は、特に限定されず、SiO単位、RSiO3/2単位、RSiO3/2単位、R SiO2/2単位、RSiO2/2単位、R SiO2/2単位、R SiO1/2単位、R SiO1/2単位、R SiO1/2単位、R SiO1/2単位(単位式中、RおよびRで表される基は、上記で定義したとおりである)等を含む直鎖状;分岐状;環状;三次元網状(樹脂状)等のいずれでもよいが、通常、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位(R SiO2/2単位、RSiO2/2単位、R SiO2/2単位)の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキサン単位(R SiO1/2単位、R SiO1/2単位、R SiO1/2単位、R SiO1/2単位)で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。
本発明にかかるオルガノポリシロキサンの粘度は、特に制限されないが、好ましくは50〜100,000mPa・sであり、より好ましくは100〜10,000mPa・sである。粘度が低すぎると作業性が低下したり、硬化物の強度が低下することがあり、高すぎると流動性が低下することがある。この粘度が50〜100,000mPa・sである場合には、特に、狭い隙間等にも容易に流し込みが可能であり、低応力のシリコーンゲル組成物を与え、特にICやハイブリッドIC等の電子回路、パワーモジュールの保護等の封止に好適に用いることができる。
尚、ここで言う粘度は、25℃において回転粘度計で測定した値である。
以上の要件を満たす本発明にかかるオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(1a):
Figure 0005502804
(式中、Rは、同一又は異なる、置換または非置換の1価炭化水素基を示し、Rの少なくとも2個はアルケニル基であり、eは20〜2,000の整数である。)
で示されるものが挙げられる。この式(1a)中、Rで示される置換または非置換の1価炭化水素基は、前記R(アルケニル基)及びR(脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基)で定義したものと同じであり、その炭素原子数、具体例等も同じである。また、eは、好ましくは40〜1,200、より好ましくは50〜600の整数である。
上記式(1a)で示されるオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖片末端トリメチルシロキシ基・片末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖片末端トリメチルシロキシ基・片末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体等が挙げられる。次に、オルガノポリシロキサン混合物に含まれる以上のようなオルガノポリシロキサンの屈折率の差について説明する。
(屈折率)
また、本発明にかかる(A)オルガノポリシロキサン混合物に含まれる種のオルガノポリシロキサンの25℃における屈折率の差は0.05〜0.12であることが必要であり、好ましくは0.07〜0.12、より好ましくは、0.08〜0.11である。屈折率の差が0.05未満の場合にはシリコーンゲル組成物の硬化物の光透過率が高くなりすぎ、屈折率の差が0.12を超える場合には短時間でオルガノポリシロキサン混合物が2層に分離する。
上記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサンの屈折率は、珪素原子に結合する置換基の種類及びその含有量に大きく起因するため、屈折率の差が上記範囲にあるオルガノポリシロキサンを選択する必要がある。
屈折率の異なるオルガノポリシロキサンの25℃における屈折率の差が0.05〜0.12であるオルガノポリシロキサン混合物の混合例としては、例えば、1のオルガノポリシロキサンが、上記平均組成式(1)中のRとしてフェニル基を多く有するオルガノポリシロキサン(Ph)である場合には、組成が異なるオルガノポリシロキサンとして、上記平均組成式(1)中のRとしてメチル基を多く有するオルガノポリシロキサン(Me)を混合したオルガノポリシロキサン混合物とすればよい。同様に、1のオルガノポリシロキサンが、オルガノポリシロキサン(Me)である場合には、オルガノポリシロキサン(Ph)を混合すればよく、また上記平均組成式(1)中のRとしてトリフロロプロピル基を多く有するオルガノポリシロキサン(F)ではオルガノポリシロキサン(Me)やオルガノポリシロキサン(Ph)を混合すればよい。
なお、上記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサンの屈折率はRがフェニル基>メチル基>トリフロロプロピル基の順に大きく、置換基の選択とその含有量の選択により、25℃における屈折率の差が0.05〜0.12となるオルガノポリシロキサン混合物を調整することができる。他の置換基においても同様にして、25℃における屈折率の差が0.05〜0.12となるオルガノポリシロキサンを調整することができる。
屈折率が異なる2種類のオルガノポリシロキサンの混合割合は、特に制限されないが、例えば主成分となるオルガノポリシロキサンを50〜99.99質量部としたときに、副成分は主成分と副成分の合計が100質量部となるように0.01〜50質量部混合することができる。好ましくは、主成分となるオルガノポリシロキサンを90〜99.9質量部としたときに、副成分は主成分と副成分の合計が100質量部となるように0.1〜10質量部、特に好ましくは主成分となるオルガノポリシロキサンを97〜99.8質量部としたときに、副成分は主成分と副成分の合計が100質量部となるように0.2〜3質量部である。また、本発明にかかる(A)オルガノポリシロキサン混合物では、屈折率が大きいオルガノポリシロキサン及び屈折率の小さいオルガノポリシロキサンのいずれが主成分となっていてもかまわないが、シリコーンゲルに求められる特性により、主成分を選択すればよい。例えば、耐熱性や耐候性が求められる場合は、メチル基リッチなものを主成分とすればよく、耐油性等が求められる場合は、フェニル基リッチなものを主成分とし、より高度の耐油性が求められる場合は、トリフロロプロピル基リッチなものを主成分とすればよい。
本発明において、屈折率の測定は、屈折率計を用いて測定することができる。例えば、ATAGO社製のRX9000αを用いて測定することができる。
〔(B)オルガノハイドロジェンシロキサン〕
本発明のシリコーンゲル組成物の(B)成分は、下記平均組成式(2)で示され、珪素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンシロキサンであり、本発明のシリコーンゲル組成物中に(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1モルに対して、前記珪素原子に結合した水素原子が0.1〜5モルとなる量である。本発明のシリコーンゲル組成物の(B)成分は、上記(A)成分と反応して、架橋剤として作用するものであり、具体的には、前記オルガノポリシロキサンの珪素原子に結合したアルケニル基と(B)成分の珪素原子に結合した水素原子(以下、珪素原子結合水素原子ともいう。)がヒドロシリル化反応し架橋する。
本発明にかかる(B)オルガノハイドロジェンシロキサンは下記平均組成式(2)
SiO(4−c−d)/2 (2)
(式中、Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、cは0.001〜1.0を満たす正数であり、dは0.5〜2.2を満たす正数であり、但しc+dは0.72〜2.5を満たす正数である。)
で示される。
上記平均組成式(2)中、Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、特に制限されないが、好ましくは炭素原子数が1〜10、より好ましくは1〜6の脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を示す。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部が、フッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられるが、合成の容易さ等の観点から、好ましくはアルキル基、アリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基が好ましい。
上記平均組成式(2)中、cは0.001〜1.0を満たす正数であり、好ましくは0.005〜0.25、より好ましくは0.01〜0.1を満たす正数であり、dは0.5〜2.2を満たす正数であり、好ましくは0.6〜2.1、より好ましくは0.7〜2.1である。但し、c+dは0.72〜2.5を満たす正数であり、好ましくは0.8〜2.2、より好ましくは0.9〜2.1を満たす正数であるである。cが0.001未満では硬化が不十分となることがあり、また1.0を超える場合は硬化物表面に疎密が発生し良好な硬化物を得られない。また、dが0.5未満あるいは、2.2より大きい場合、シリコーンゲル組成物から安定した硬化物が得られない。
本発明のシリコーンゲル組成物の(B)成分は、上記要件を満たすものであれば特に限定されず、従来公知の方法で合成される。
本発明にかかるオルガノハイドロジェンシロキサンの粘度は、特に制限されないが、通常1〜10,000mPa・sであり、好ましくは3〜2,000mPa・s、より好ましくは10〜1,000mPa・sであり、室温(25℃)で液状のものが望ましい。この粘度が低すぎても、高すぎても作業性が低下することがある。
上記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンシロキサンの具体例としては、例えば、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等が挙げられる。本発明のシリコーンゲル組成物の(B)成分のオルガノハイドロジェンシロキサンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
また、珪素原子に結合した水素原子は、分子鎖末端にあっても、側鎖にあっても、その両方にあってもよい。好ましくは、少なくとも側鎖にあることが好ましく、特にこのましくは、側鎖のみにあるものである。
(B)成分は、一種または二種以上を併用して用いてもよい。
本発明のシリコーンゲル組成物の(B)成分は、本発明のシリコーンゲル組成物中に(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1モルに対して、前記珪素原子に結合した水素原子が0.1〜5モルとなる量使用する。このような量であれば、硬化性に優れると共に硬化物の特性も優れたものとなる。
〔(C)白金系触媒〕
本発明のシリコーンゲル組成物の(C)成分は、前記(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基と前記(B)成分中の珪素原子結合水素原子とのヒドロシリル化反応を促進させるための成分である。(C)成分は、白金系触媒であり、具体的には白金および/または白金系化合物である。
白金系触媒としては従来公知のものを使用することができ、具体的には、例えば、白金ブラック;塩化白金酸;塩化白金酸のアルコール変性物;塩化白金酸とオレフィンアルデヒド、ビニルシロキサン、アセチレンアルコール類等の錯体等が挙げられる。
(C)成分の配合量は、有効量であればよく、所望の硬化速度により適宜増減すればよいが、(A)成分に対して、白金原子の質量換算で、通常、0.1〜1,000ppmであり、好ましくは1〜300ppmであることが好ましい。この配合量が少なすぎると触媒効果が不十分となることがあり、多すぎても触媒効果は変わらず、コスト面で不利となることがある。
〔シリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物(シリコーンゲル)〕
本発明のシリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物のJISK2207で規定される針入度は10〜200であり、好ましくは20〜100、より好ましくは30〜80である。針入度が10未満であると、シリコーンゲル組成物の硬化物の応力緩和特性が不十分となり、内部にクラックが発生することがあり、針入度が200より大きいと、十分な形状保持能力を持ったシリコーンゲル硬化物が得られず、充填、硬化した後でもシリコーンゲル硬化物が回路から流出する。本発明のシリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物は、電気・電子部品、電子回路を封止・充填するのに好適である。
また、本発明のシリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物の25℃における波長700nm及び波長400nmの光の光透過率はそれぞれ10%以下である。このように光透過率が低くければ、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低く、内部の構造を隠蔽できる。
なお、本発明において光透過率は公知の方法で測定することができる。例えば、シリコーンゲル組成物の硬化物の700、400nmの光透過率(光路長10mm)を、日立製UV分光光度計U3310にて測定することができる。
〔その他の任意成分〕
本発明のシリコーンゲル組成物には、上記(A)〜(C)成分以外にも、本発明の作用・効果を妨げない範囲で任意成分を配合することができる。その他の任意成分としては、例えば、反応抑制剤;耐熱性付与剤;難燃性付与剤;チクソ性付与剤;(A)成分、(B)成分以外のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
前記反応抑制剤は、本発明のシリコーンゲル組成物が硬化する際の反応を抑制させるための成分であって、例えば、アセチレン系反応抑制剤;アミン系反応抑制剤;カルボン酸エステル系、亜リン酸エステル系等のエステル系反応抑制剤等が挙げられる。
前記難燃性付与剤は、難燃性を付与するための成分であって、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、フェノキサジン、N−アリルアニリン、p−アニリノフェノール、m−アニリノフェノール、2―フェニルインドール、2―アニリノエタノールなどが挙げられる。
(A)成分、(B)成分以外のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、両末端トリメチルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフロロプロピルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・メチルトリフロロプロピルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルトリフロロプロピルシロキサン共重合体等が挙げられる。
〔シリコーンゲル組成物の調製方法〕
本発明のシリコーンゲル組成物は、上記(A)〜(C)成分を常法に準じて混合することにより調製することができる。この際、本発明のシリコーンゲル組成物を1液型として用いても、2液型またはそれ以上のパートに分割して用いてもよい。2液型として用いる場合には、例えば、(A)成分の一部および(C)成分からなるパートと、(A)成分の残部および(B)成分からなるパートとに分割することが可能である。なお、任意成分はどちらのパートに配合してもよい。また、本発明の組成物は、常温(25℃)または用途に応じ、加熱等で硬化させることができる。
このように、屈折率が異なり、屈折率の差が0.05〜0.12であるものを含むオルガノポリシロキサン混合物を含有するシリコーンゲル組成物であれば、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低く、内部の構造を隠蔽できるシリコーンゲルを与えることができる。さらに、上記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンシロキサン及び白金系触媒を含有し、またシリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物のJISK2207で規定される針入度が10〜200であれば耐熱性、耐候性、耐油性、耐寒性、電気絶縁性等にも優れたシリコーンゲルを与え、かつ低粘度で流動性が良好なシリコーンゲル組成物となる。
〔電子回路〕
また、本発明では前記シリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物(シリコーンゲル)で封止された電子回路を提供する。
このように、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低く、低粘度で流動性が良好なシリコーンゲル組成物の硬化物により封止されることで、手間がかからず安価で内部の構造が隠蔽された電子回路となる。
以下、本発明のシリコーンゲル組成物の実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、部および%は、各々「質量部」および「質量%」を表す。また、シリコーンゲルの針入度は、JIS K2207に準じて測定した値である
〔実施例1〕
(A)オルガノポリシロキサン混合物として、下記平均一般式(3)で示され、25℃の粘度が600mPa・s、屈折率が1.40の分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン99.5部、及び
下記平均一般式(4)で示され、25℃の粘度が700mPa・s、屈折率が1.51の分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・ジフェニルポリシロキサン共重合体0.5部からなるオルガノポリシロキサン混合物と、
Figure 0005502804
(nは25℃の粘度が600mPa・s、屈折率が1.40となる数。)
Figure 0005502804
(B)オルガノハイドロジェンシロキサンとして、下記平均一般式(5):
Figure 0005502804
で示され、粘度が45mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイロジェンシロキサン共重合体0.8部((A)成分中の珪素原子結合アルケニル基1個に対する(B)成分中の珪素原子結合水素原子の個数の比(以下、H/Viという)は0.29であった。)と、
(C)白金系触媒として、白金原子を1質量%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液0.05部、および1−エチニルシクロヘキサノール0.1部を均一に混合することにより、シリコーンゲル組成物1を調製した。このシリコーンゲル組成物1を150℃で30分加熱硬化したところ、針入度が64のシリコーンゲルが得られた。
〔実施例2〕
(A)オルガノポリシロキサン混合物として、前記平均一般式(4)で示され、25℃の粘度が700mPa・s、屈折率が1.51の分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・ジフェニルポリシロキサン共重合体99.7部、及び
下記平均一般式(6)で示され、25℃での粘度が800mPa・s、屈折率が1.40の分子鎖片末端ジメチルビニルシロキシ基・片末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン0.3部からなるオルガノポリシロキサン混合物と、
Figure 0005502804
(B)オルガノハイドロジェンシロキサンとして、下記平均一般式(7)
Figure 0005502804
で示され、粘度が10mm/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体2.3部(このとき、H/Viは0.35であった。)、
(C)白金系触媒として、白金原子を1質量%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液0.05部、および1−エチニルシクロヘキサノール0.1部を均一に混合することにより、シリコーンゲル組成物2を調製した。このシリコーンゲル組成物2を150℃で30分加熱硬化したところ、針入度45のシリコーンゲルが得られた。
〔比較例1〕
実施例1において、上記平均一般式(4)で示され、25℃の粘度が700mPa・s、屈折率が1.51の分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・ジフェニルポリシロキサン共重合体を用いない以外は実施例1と同様にして、シリコーンゲル組成物3(このとき、H/Viは0.29であった)を得た。このシリコーンゲル組成物3を150℃で30分加熱硬化したところ、針入度63のシリコーンゲルが得られた。
〔比較例2〕
実施例1において、上記平均一般式(4)で示され、25℃の粘度が700mPa・s、屈折率が1.51の分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・ジフェニルポリシロキサン共重合体の代わりに、下記平均一般式(8)で示され、
Figure 0005502804
25℃での粘度が700mPa・s、屈折率が1.43である分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・ジフェニルポリシロキサン共重合体を用いる以外は実施例1と同様にして、シリコーンゲル組成物4(このとき、H/Viは0.29であった)を得た。このシリコーンゲル組成物4を150℃で30分加熱硬化したところ、針入度68のシリコーンゲルが得られた。
〔比較例3〕
実施例2において、上記平均一般式(6)で示され、25℃での粘度が800mPa・s、屈折率が1.40の分子鎖片末端ジメチルビニルシロキシ基・片末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンの代わりに、下記平均一般式(9)で示され、
Figure 0005502804
25℃の粘度が2000mPa・s、屈折率が1.38の分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルトリフロロプロピルポリシロキサンを用いる以外は実施例2と同様にしてシリコーンゲル組成物5(このとき、H/Viは0.35であった)を得た。このシリコーンゲル組成物5を150℃で30分加熱硬化したところ、針入度44のシリコーンゲルが得られた。
〔比較例4〕
比較例1において、粉体状の酸化チタン0.03部添加した以外は比較例1と同様にして、シリコーンゲル組成物6(このときのH/Viは0.29であった)を得た。このシリコーンゲル組成物6を150℃で30分加熱硬化したところ、針入度62のシリコーンゲルが得られた。
〔評価方法〕
・H/Vi
シリコーンゲル組成物1〜6の(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基1個に対する(B)成分中の珪素原子結合水素原子の個数の比(H/Vi)は、重溶媒をクロロホルム−d6とし、NMRを用いて測定して算出した。
・屈折率の差
シリコーンゲル組成物1〜6の(A)成分中の組成の異なる2種のオルガノポリシロキサンの屈折率をATAGO社製のRX9000αを用いて測定し、その屈折率の差を算出した。
・針入度
シリコーンゲル組成物1〜6の硬化物の針入度はJIS K2207に従い離合社製のRPM−101を用いて行った。
・外観
シリコーンゲル組成物1〜6の硬化物の外観は目視にて確認して行った。光透過性が低く、光遮蔽効果があり、封止内部の構造を確認できないものを白色とした。光透過性が高く、光遮蔽効果がなく、封止内部の構造を確認できるものを無色透明とした。
・光透過率
シリコーンゲル組成物1〜6の硬化物の700、400nmの光透過率(光路長10mm)を、日立製UV分光光度計U3310にて評価した。
・分離、沈降状況
また、シリコーンゲル組成物1〜6を25℃および5℃で60日間保管したものの分離、沈降状況を観察した。
Figure 0005502804
〔評価〕
実施例1及び実施例2の組成物1〜2は、本発明の要件を満たすものであって、良好なゴム特性を有するシリコーンゲルが得られ、硬化物は顔料を使用した比較例3以上の着色、光遮蔽効果があり、経時での分離、沈降が見られていない。これに対し、比較例1は1種のオルガノポリシロキサンを使用するのみであり、無色透明であるため、光遮蔽効果がなく、また、比較例2〜比較例3は屈折率の異なるオルガノポリシロキサンを使用するため、着色、光遮蔽効果があるが、その屈折率差が比較例2では小さすぎ、比較例3では大きすぎるため、経時での分離、沈降が見られている。また、比較例4では顔料による着色、光遮蔽効果が見られるが、経時での酸化チタンの沈降が見られている。
以上より、本発明のシリコーンゲル組成物であれば、耐熱性、耐候性、耐油性、耐寒性、電気絶縁性等の一般的な特性を有する上、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低く、内部の構造を隠蔽できるシリコーンゲルを与えることができ、低粘度で流動性が良好なシリコーンゲル組成物となることが示された。また、粉体状の成分を添加しなくても光透過性が低く、低粘度で流動性が良好なシリコーンゲル組成物の硬化物(シリコーンゲル)により封止されることで、内部の構造が隠蔽された電子回路となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (3)

  1. (A)下記平均組成式(1)
    SiO(4−a−b)/2 (1)
    (式中、Rはアルケニル基を示し、Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、aは0.0001〜0.2を満たす正数であり、bは1.7〜2.2を満たす正数であり、但しa+bは1.9〜2.4を満たす正数である。)
    で示され、屈折率の異なる、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンの混合物であって、前記オルガノポリシロキサン混合物に含まれるオルガノポリシロキサンの25℃における屈折率の差が0.05〜0.12であるオルガノポリシロキサン混合物、
    (B)下記平均組成式(2)
    SiO(4−c−d)/2 (2)
    (式中、Rは脂肪族不飽和結合を有しない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、cは0.001〜1.0を満たす正数であり、dは0.5〜2.2を満たす正数であり、但しc+dは0.72〜2.5を満たす正数である。)
    で示され、珪素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンシロキサン:(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1モルに対して、前記珪素原子に結合した水素原子が0.1〜5モルとなる量、及び
    (C)白金系触媒:有効量
    を含有するシリコーンゲル組成物であって、該シリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物のJISK2207で規定される針入度が10〜200であることを特徴とするシリコーンゲル組成物。
  2. 前記シリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物の25℃における波長700nm及び波長400nmの光の光透過率がそれぞれ10%以下であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーンゲル組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のシリコーンゲル組成物を硬化させた硬化物で封止された電子回路。

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