JP4933179B2 - 硬化性シリコーンゴム組成物及びその硬化物 - Google Patents

硬化性シリコーンゴム組成物及びその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物およびその硬化物に関し、特に、屈折率、ゴム的性質および強度特性が良好であり、表面タック性が殆どなく、特に耐熱衝撃性に優れた硬化物を与える硬化性シリコーンゴム組成物ならびにその硬化物に関する。

シリコーンゴム組成物は、耐候性、耐熱性等の特性や、硬度、伸び等のゴム的性質に優れた硬化物を形成することから種々の用途に使用されているが、表面タック性があるため、電気電子部品のコート剤等として用いた場合には埃の付着が問題となっている。

これを解決したシリコーンワニスでは、クラックの発生が起こり問題となっている。また、シリコーンワニスにシリコーンオイルを添加し低硬度化した樹脂は非常にもろく信頼性に問題がある。電気電子部品等のパッケージングにおいては、表面タック性がなく且つ耐クラック性に優れた硬化物を形成し得るシリコーンゴム組成物が望まれている。また、光部品、光半導体素子等では屈折率のアップが光学上重要な特性として要求されている。

一般に、付加硬化型のシリコーンゴム組成物においては、レジン状のオルガノポリシロキサンを配合することにより、硬化物の強度を向上させ得ることが、従来から知られている。しかしながら、レジン状のオルガノポリシロキサンにより硬化物の強度を高めた時でも、表面タック性が残り、埃の付着という問題がある。

これまでにも我々は鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決するオルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物を見出している。かかるオルガノポリシロキサン組成物の硬化物は、高硬度シリコーンレジンに比べて格段に耐熱衝撃性が高い。しかし、線膨張係数の異なる2種以上の物質からなる光部品等のパッケージに対しては、リフロー温度(260℃および275℃)耐性は示すものの、十分な耐熱衝撃性(耐ヒートサイクル特性)は示さない場合がある。

そこで、更に鋭意検討を重ねた結果、該オルガノポリシロキサン中に含まれる低分子量体を軽減することにより、更に耐熱衝撃性に優れた樹脂を見出した。

なお、特許文献1において、200℃、1時間の加熱減量が1.5重量%以下であるポリオルガノシロキサンをベースポリマーとした光学材料用封止剤の記載があるが、本発明のベースポリマーとは発想が異なり、また、ヒートサイクルといった熱衝撃により発生するクラックが解決される旨の記載はない。
特開2005-307015号公報

従って、本発明の課題は、伸び等のゴム的性質が損なわれることなく、硬度が向上し、表面タック性がなく、高屈折率を有し、特に耐熱衝撃性に優れた硬化物を形成しうる付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物およびその硬化物を提供することにある。

本発明は、上記課題を解決する手段として、
(A)一分子中に2個以上のケイ素原子に結合した脂肪族不飽和基を有し、25℃における粘度が500〜500,000mm/sであり、フェニル基およびシクロヘキシル基のいずれか一方または両方を含有するオルガノポリシロキサン、
(B)SiO2単位と(RSiO0.5単位(式中、Rは独立にビニル基、アリル基または脂肪族不飽和結合不含有一価炭化水素基であり、ただし、(B)成分中の全Rの少なくとも1個は独立にフェニル基またはシクロヘキシル基である。)とからなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサン樹脂、
(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
(D)白金族金属系触媒
を含有して成り、前記(B)成分が、(A)成分と(B)成分との合計に対して、20〜80質量%の量で存在すること、且つ、(B)成分中において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が500以下である低分子量体の含有量が5%以下であることを特徴とする硬化性シリコーンゴム組成物並びにその硬化物を提供する。

本発明によれば、高屈折率を有し且つ耐熱衝撃性に優れ、シリコーンエラストマーの欠点である表面タック性による埃の付着のない硬化物が得られる。この硬化物は、異なる線膨張係数を有する2つ以上の物質からなるパッケージ、例えば、光部品パッケージなどの、封止樹脂に応力がかかる場所において使用しても、熱衝撃によるクラックが発生しないので、本発明の組成物は光半導体素子などの半導体素子の封止用として、および光学材料用として有用である。

以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、「Me」はメチル基を、「Vi」はビニル基を、「Ph」はフェニル基を意味するものである。

[(A)オルガノポリシロキサン]
本発明のシリコーンゴム組成物におけるベース成分(主剤)である(A)成分は、一分子中に2個以上の、ビニル基、アリル基等のアルケニル基などのケイ素原子に結合した脂肪族不飽和基を有し、25℃における粘度が500〜500,000mm/sであり、フェニル基およびシクロヘキシル基のいずれか一方または両方を含有するオルガノポリシロキサンである。このようなオルガノポリシロキサンであれば、如何なるものでも(A)成分として使用することができるが、通常は、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された、直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好適に使用される。本発明組成物の作業性、硬化性などの点から、(A)成分の25℃における粘度は500〜500,000mm/sである。(A)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。(A)成分のケイ素原子に結合した脂肪族不飽和基は分子鎖末端のケイ素原子又は分子鎖非末端(分子鎖途中)のケイ素原子のいずれに結合したものであってもよく、これらの両方に結合したものであってもよいが、少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合した脂肪族不飽和基を有するものが好ましく、また、脂肪族不飽和基の含有量は、分子中の全ケイ素原子に対して、0.001〜20モル%、特には、0.01〜10モル%程度であることが望ましい。

(A)成分の好ましい例としては、下記一般式(1):


(1)
(式中、Rは同種または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、Rはフェニル基およびシクロヘキシル基以外の同種または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、Rは独立にフェニル基またはシクロヘキシル基であり、Lおよびmはおのおの0または正の整数であり、ただし、m=0のとき、全Rの少なくとも1個はフェニル基またはシクロヘキシル基である。)
で表される上記オルガノポリシロキサンが挙げられる。

一般式(1)において、R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;及びこれらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換した基、例えば、クロロメチル基、シアノエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数が1〜10、特に1〜6の範囲にあるものが好適である。

としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基;シクロペンチル基等の、シクロヘキシル基以外のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;トリル基、キシリル基等の、フェニル基以外のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;及びこれらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換した基、例えばクロロメチル基、シアノエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数が1〜10、特に1〜6の範囲にあるものが好適であり、特にメチル基が好適である。

さらに、L及びmは、0または正の整数であり、特に(A)成分の25℃における粘度が前述した範囲となるような数である。L及びmは、好ましくは0<L+m≦10,000を満足する整数であり、より好ましくは8≦L+m≦2,000、更に好ましくは18≦L+m≦1,200を満足する整数であり、且つ0≦m/(L+m)≦1、好ましくは0.05≦m/(L+m)≦0.8、更に好ましくは、0.1≦m/(L+m)≦0.4を満足する整数である。ただし、m=0のとき、全Rの少なくとも1個はフェニル基またはシクロヘキシル基である。

(A)成分の具体例としては、これに限定されるものではないが、以下の式で表されるオルガノポリシロキサンを挙げることができる。


(上記の各式中、Lおよびmは上記と同様であり、nは、正の整数であり、且つ0<n/(L+n)≦1を満足する整数である点を除いて、mと同様である。)

また、(A)成分の具体例としては、上記の各式においてフェニル基(C)をシクロヘキシル基で置き換えた式で表わされるオルガノポリシロキサンも挙げられる。

(A)成分のオルガノシロキサンの合成には、公知の方法、例えば、アルカリを使用した平衡化重合法が用いられるが、その場合、生成物のエネルギー的なバランスから環状体を中心とした低分子量体が生じる。

この低分子量体は、熱処理やアルコール洗浄などの公知の方法により除去することができるが、この低分子量体を除去することにより、よりゴム的性質に富み、耐熱衝撃性に優れた硬化物を与えるシリコーンゴム組成物を得ることができる。具体的には、(A)成分中において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(即ち、GPC)測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000以下である低分子量体の含有量が5%以下(即ち、0〜5%)であることが好ましく、4%以下(0〜4%)であることがより好ましい。尚、本明細書において、低分子量体の含有量に関する「%」は、前記GPC測定における「重量%」あるいは、ピーク面積の比率に基づく「面積%」を意味する。

[(B)レジン構造のオルガノポリシロキサン樹脂]
(B)成分は、SiO2 単位(以下、a単位と呼ぶことがある)と(RSiO0.5 単位(式中、Rは独立にビニル基、アリル基または脂肪族不飽和結合不含有一価炭化水素基であり、ただし、(B)成分中の全Rの少なくとも1個、好ましくは全Rの1〜50モル%、より好ましくは3〜30モル%、更に好ましくは5〜25モル%は独立にフェニル基またはシクロヘキシル基である。)(以下、b単位と呼ぶことがある)とからなるレジン構造(即ち、三次元網状構造)のオルガノポリシロキサン樹脂である。(B)成分は、本発明組成物から得られる硬化物の物理的強度および表面タック性を改善するために、該組成物に配合されるものである。該組成物において、(B)成分は、前記(A)成分と(B)成分との合計に対して、20〜80質量%の量で存在する。また、(B)成分中において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が500以下である低分子量体の含有量は、5%以下(即ち、0〜5%)であり、好ましくは4%以下(0〜4%)である。該含有量が5%を超えると、得られるシリコーンゴム組成物が与える硬化物は、ゴム的性質が乏しいものとなりやすく、耐熱衝撃性が劣ったものとなりやすい。この低分子量体は、熱処理やアルコール洗浄などの公知の方法により除去することができる。更に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した(B)成分の重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算で好ましくは1000〜50000の範囲内である。(B)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。

が脂肪族不飽和結合不含有一価炭化水素基である場合、その例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;及びこれらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換した基、例えば、クロロメチル基、シアノエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数が1〜10、特に1〜6の範囲にあるものが好適である。尚、ビニル基又はアリル基の含有量は、通常、全Rの0〜50モル%、好ましくは1〜30モル%、より好ましくは3〜20モル%程度とすることができ、また(B)成分としてはビニル基又はアリル基含有のレジン構造オルガノポリシロキサンであることが好ましい。

ここで各単位は、a単位に対するb単位のモル比をb/aで表わしたとき、b/aの値が0.3〜3、好ましくは0.7〜1.0となる割合で組み合わされていることが好ましい。

(B)成分は、各単位源となる化合物を、b/aの値が上記範囲内となるようなモル比で混合し、例えば、酸の存在下で共加水分解を行なうことによって容易に合成することができる。ここで、前記a単位源としては、例えば、ケイ酸ソーダ、アルキルシリケート、ポリアルキルシリケート、四塩化ケイ素等が挙げられる。また、b単位源としては、例えば、下記構造式で表わされるトリオルガノクロロシラン、ヘキサオルガノジシロキサン等の有機ケイ素化合物が挙げられる。

得られる組成物に、b単位が二量化して生じた成分(以下、「二量体成分」という)が多く含まれていると、該組成物の硬化物に対する耐熱衝撃試験において耐クラック性が悪くなりやすいので、できるだけ二量体成分を除去することが好ましい。具体的には、二量体成分の含有量を(B)成分全体の5%以下(0〜5%)、特に4%以下(0〜4%)とすることが好ましい。除去の方法としては、熱処理やアルコール洗浄などの公知の方法が好適に用いられる。

[(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン]
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは架橋剤として作用するものである。該成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)と(A)成分中のケイ素原子に結合した脂肪族不飽和基ならびに存在する場合には(B)成分中のケイ素原子に結合したビニル基および/またはアリル基とが付加反応することにより、本発明組成物から硬化物が形成される。本成分の分子構造は、直鎖状、分枝鎖状、環状、分枝を有する環状、網状のいずれであってもよい。SiH基の位置には特に制約はなく、(C)成分が分子鎖末端部分を有する場合、SiH基は分子鎖末端部分および分子鎖非末端部分のどちらか一方にのみ存在していてもよいし、その両方に存在していてもよい。(C)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。

(C)成分としては、例えば、下記平均組成式(2):
c(R5dSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R5は脂肪族不飽和結合を含有しない同一又は異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、c及びdは、0.001≦c<2、0.7≦d≦2、かつ0.8≦c+d≦3を満たす数である。)
で表され、一分子中にSiH基を少なくとも2個(通常、2〜300個)、好ましくは3個以上(例えば3〜200個、特には4〜100個程度)有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。

ここで、上記式(2)中のR5としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有しない同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10、特に好ましくは炭素原子数1〜7の一価炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、前記一般式(1)の置換基R2について例示された基のうち、アルケニル基以外の基、例えば、メチル基等の低級アルキル基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。

また、c及びdは、0.001≦c<2、0.7≦d≦2、かつ0.8≦c+d≦3を満たす数であり、好ましくは0.05≦c≦1、0.8≦d≦2、かつ1≦c+d≦2.7を満たす数である。(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子数は、通常2〜300個、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜100個程度のものが好適に使用される。

(C)成分の具体例としては、ペンタメチルトリハイドロジェンシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C653SiO1/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。

(C)成分は、通常、R5SiHCl2、(R53SiCl、(R52SiCl2、(R52SiHCl(R5は、前記のとおりである)などのクロロシランを加水分解するか、加水分解して得られたシロキサンを平衡化することにより得ることができる。

(C)成分の配合量は、本発明組成物が硬化するための有効量であり、特に、(A)成分中のケイ素原子に結合した脂肪族不飽和ならびに存在する場合には(B)成分中のケイ素原子に結合したビニル基および/またはアリル基の合計1モル当たり、(C)成分中のSiH基の量が好ましくは0.1〜4.0モル、より好ましくは1.0〜3.0モル、更により好ましくは1.2〜2.8モルとなる量である。該配合量がこの範囲内にあると、硬化反応が十分に進行するため、本発明組成物からシリコーンゴム硬化物を容易に得ることができ、また、硬化物中に残存する未反応SiH基を少量に抑えられるため、ゴム物性の経時的変化が生じにくい。

[(D)白金族金属系触媒]
(D)成分の白金族金属系触媒は、本発明の組成物において付加硬化反応を生じさせるために配合されるものであり、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。(D)成分の例としては、白金系、パラジウム系、ロジウム系のものが挙げられるが、コスト等の見地から、特に好ましくは白金系のもの、例えば、H2PtCl6・kH2O,K2PtCl6,KHPtCl6・kH2O,K2PtCl4,K2PtCl4・kH2O,PtO2・kH2O,PtCl4・kH2O,PtCl2,H2PtCl4・kH2O(これらの式中、kは正の整数)等や、これらと、炭化水素、アルコールまたはビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等が挙げられる。

(D)成分の配合量は、触媒としての有効量でよく、好ましくは、前記(A)〜(D)成分の合計質量当り、白金族金属に換算して質量基準で0.1〜500ppm、特に0.5〜200ppmの範囲内である。

[その他の成分]
本発明の組成物には、上述した(A)〜(D)の成分以外にも、必要に応じて、それ自体公知の各種の添加剤を配合することができる。例えば、ヒュームドシリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機充填剤、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラック、酸化亜鉛等の非補強性無機充填剤を、(A)〜(D)成分の合計100質量部当り600質量部以下(例えば、0〜600質量部、通常、1〜600質量部、好ましくは10〜400質量部、より好ましくは10〜100質量部程度)の範囲で適宜配合することができる。

また、本発明の組成物には、必要に応じて、接着性を向上させるため、ケイ素原子結合アルコキシ基を有するオルガノシラン、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物などの接着助剤を任意成分として添加してもよい。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物及び一分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)、ケイ素原子に結合したアルケニル基(例えばSi−CH=CH2基)、アルコキシシリル基(例えばトリメトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基など)、エポキシ基(例えばグリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基)からなる群より選ばれる少なくとも2種、好ましくは2又は3種の官能性基を含有する、通常、ケイ素原子数4〜30、特には4〜20程度の、直鎖状構造又は環状構造のシロキサン化合物(オルガノシロキサンオリゴマー)が挙げられる。

また、接着助剤として、下記一般式(3)で示されるオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物及び/又はその加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)も好適に使用される。


[式中、R5は独立に、下記式(4):


(式中、R6は独立に水素原子又は炭素原子数1〜6の一価炭化水素基、sは1〜6、特に1〜4の整数である。)
で表されるケイ素原子含有有機基(オルガノオキシシリルアルキル基)又は脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基であるが、少なくとも1個は上記式(4)で表されるケイ素原始含有有機基である。]

上記R5が脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基である場合、その例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の炭素原子数2〜8、特に2〜6のアルケニル基が挙げられる。また、R6が一価炭化水素基である場合、その例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基などの炭素原子数1〜8、特に1〜6の一価炭化水素基が挙げられ、好ましくはアルキル基およびシクロアルキル基である。

上記接着助剤の具体例としては、下記のものを挙げることができる。


(式中、tおよびuのおのおのは1以上の整数であり、ただし、t+uは2〜50、好ましくは4〜20の整数である。)

このような有機ケイ素化合物の内、得られる硬化物の接着性が特に優れている化合物としては、一分子中にケイ素原子結合アルコキシ基とケイ素原子結合アルケニル基またはケイ素原子結合水素原子(SiH基)とを有する有機ケイ素化合物が好ましい。

本発明において、任意成分である上記接着助剤の配合量は、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、通常、10質量部以下(即ち、0〜10質量部)、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部程度である。該配合量が少なすぎると、得られる硬化物は基材に対する接着性に劣る場合がある。該配合量が多すぎると、本発明の目的を逸脱したり、硬化物の硬度が低下したり、硬化物の表面タック性、透明性などに悪影響を及ぼしたりする場合がある。

更に、本発明の目的を逸脱しない範囲で、例えば、BHT、ビタミンBなどの酸化防止剤;公知の変色防止剤、例えば有機リン系変色防止剤など;ヒンダードアミンなどの光劣化防止剤;着色成分等を添加してもよい。

[シリコーンゴム組成物の調製および硬化]
本発明のシリコーンゴム組成物は、上述した各成分を均一に混合することによって調製されるが、通常は、硬化が進行しないように2液に分けて保存され、使用時に2液を混合して硬化を行なう。勿論、アセチレンアルコール等の硬化抑制剤を少量添加して1液として用いることもできる。

本発明の組成物は用途に応じて所定の基材に塗布した後、硬化させることができる。硬化条件は、公知の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物のものと同様でよい。本発明の組成物は、例えば、常温(25℃)でも十分に硬化するが、必要に応じて加熱して硬化させてもよい。加熱する場合、温度は、例えば、60〜200℃とすることができる。

[用途]
本発明組成物は、必要により加熱することにより直ちに硬化して、高い硬度を有し表面タック性を示さない弾性硬化物を形成する。該硬化物は、シリコーン硬化物の粘着性が問題となる用途において広く使用することができる。具体的には、該硬化物は、例えば、電気電子部品および光電子部品の保護コート剤、モールド剤、レンズ剤として、ならびにこれら部品のポッティングおよびキャスティング、射出成型や圧縮成型、トランスファー成型などに使用することができる。特に、本発明組成物は、発光型あるいは受光型の光半導体素子、トランジスタ、ダイオード、IC、太陽電池等の半導体素子、好ましくは発光型あるいは受光型の光半導体素子を封止するために用いることができる。発光型あるいは受光型の光半導体素子としては、例えば、LED、半導体レーザー、フォトダイオード、受光フォトトランジスタ等が挙げられる。また、本発明組成物は、光導波路などの光学材料として使用することができる他、発光/受光を伴わない半導体素子や該半導体素子を搭載した半導体装置のパッケージ部材をコーティング、モールディング、ボンディングするのに用いることができる。

以下、本発明を実施例および比較例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において、「部」は質量部を意味し、また粘度は25℃での測定値を示す。

[実施例1]
(a)下記式:


(式中、L=413,m=85である)
で示されるオルガノポリシロキサン(粘度:20,000mm/s)50部に、(b)SiO2単位50モル%、(CH33SiO0.5単位42.5モル%およびMePhViSiO 0.5単位7.5モル%からなるレジン構造のビニルフェニルメチルポリシロキサン(PVMQ)のアルコール洗浄による低分子カット品50部、(c)SiH基量が、前記(a)及び(b)成分中のケイ素原子結合ビニル基の合計1モル当り1.5モルとなる量(以下、該SiH基の該ビニル基に対する比を「SiH/SiVi」と表す場合がある。)の、下記式:


(式中、p=2、q=8である)
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ならびに、(d)塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有量:2質量%)0.05部を加え、よく攪拌して、シリコーンゴム組成物を調製した。

なお、上記の低分子カット品は、上記のレジン構造のビニルフェニルメチルポリシロキサンを、アルコールとしてメタノールに添加し、25℃で1時間攪拌したのち、デカンテーションによりアルコールを除去する操作を繰り返すことにより得ることができる。この低分子カット品において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が500以下である低分子量体の含有量は4%だった。

上記の組成物を150℃にて4時間加熱成型して硬化物を形成した。アッベ型屈折率計により、25℃における該硬化物の屈折率を測定し、JIS K 6249に準拠して、該硬化物の引張強さ、硬さ(タイプD硬度)及び切断時伸びを測定した。また表面タック性を指触にて確認した。加えて、綿埃中に硬化物を置き、取り出し後、圧縮空気を吹き付けて硬化物表面の埃が取れるか試験した。さらに、アルミナ基板(2cm×2cm×0.2mm(厚さ))の中心に金属製、具体的には鉄製のチップ(2mm×2mm×1mm(厚さ))を接着剤(商品名:アロンアルファ、セメダイン社製)により接着させ、そのチップを上記の組成物でドーム状に封止した。該組成物を硬化させてサンプルを得た。耐熱試験として、このサンプルを260℃で3分間放置する操作を3回繰り返して(各回の間には、該サンプルを室温(25℃)に10秒間放置した)、クラック発生の有無を確認した。また、熱衝撃試験として、上記サンプルを‐50℃〜150℃の冷熱サイクル(‐50℃で30分間放置後150℃の恒温槽に30分間放置する操作を1サイクルとして繰り返す。)に投入しクラック発生の有無を確認した。各測定結果を表1に示す。

[実施例2]
(a)下記式:


(式中、L=70,m=30である)
で示されるオルガノポリシロキサン(粘度:4,000mm/s)50部に、(b)SiO2単位50モル%、(CH33SiO0.5単位35モル%およびMePhViSiO 0.5単位15モル%からなるレジン構造のビニルフェニルメチルポリシロキサン(PVMQ)のアルコール洗浄による低分子カット品50部、(c)SiH基量が、前記(a)及び(b)成分中のビニル基の合計1モル当り1.5モルとなる量の、下記式:


(式中、p=4、q=8である)
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ならびに、(d)塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有量:2質量%)0.05部を加え、よく攪拌して、シリコーンゴム組成物を調製した。実施例1と同様にして、この組成物から硬化物を形成し、その物性を測定した。各測定結果を表1に示す。

なお、上記の低分子カット品は、上記のレジン構造のビニルフェニルメチルポリシロキサンから、実施例1と同様にして得た。この低分子カット品において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が500以下である低分子量体の含有量は3%だった。

[実施例3]
実施例1で用いた(a)成分のオルガノポリシロキサンから、実施例1と同様にして、低分子カット品を得た。この低分子カット品において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000以下である低分子量体の含有量は5%だった。実施例1において、(a)成分のオルガノポリシロキサンの代わりにこの低分子カット品を用いた以外は、実施例1と同様にして、シリコーンゴム組成物を調製し、この組成物から硬化物を形成し、その物性を測定した。各測定結果を表1に示す。

[実施例4]
実施例2で用いた(a)成分のオルガノポリシロキサンから、実施例1と同様にして、低分子カット品を得た。この低分子カット品において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000以下である低分子量体の含有量は5%だった。実施例2において、(a)成分のオルガノポリシロキサンの代わりにこの低分子カット品を用いた以外は、実施例2と同様にして、シリコーンゴム組成物を調製し、この組成物から硬化物を形成し、その物性を測定した。各測定結果を表1に示す。

[比較例1]
実施例1において、(b)成分(レジン構造のビニルフェニルメチルポリシロキサン(PVMQ)のアルコール洗浄による低分子カット品)の代わりに、SiO2単位50モル%、(CH33SiO0.5単位42.5モル%およびMePhViSiO 0.5単位7.5モル%からなるレジン構造のビニルフェニルメチルポリシロキサン(PVMQ)(アルコール洗浄による低分子カットを行っていないもので、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が500以下である低分子量体の含有量は12%であった。)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シリコーンゴム組成物を調製し、この組成物から硬化物を形成し、その物性を測定した。各測定結果を表2に示す。

[比較例2]
実施例2において、(b)成分(レジン構造のビニルフェニルメチルポリシロキサン(PVMQ)のアルコール洗浄による低分子カット品)の代わりに、SiO2単位50モル%、(CH33SiO0.5単位35モル%およびMePhViSiO 0.5単位15モル%からなるレジン構造のビニルフェニルメチルポリシロキサン(PVMQ)(アルコール洗浄による低分子カットを行っていないもので、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が500以下である低分子量体の含有量は10%であった。)を用いた以外は、実施例2と同様にして、シリコーンゴム組成物を調製し、この組成物から硬化物を形成し、その物性を測定した。各測定結果を表2に示す。

[比較例3]
市販のシリコーンワニス(商品名:KJR-632、信越化学工業(株)製)を、実施例1と同様にして、硬化させて硬化物を形成し、その物性を測定した。各測定結果を表2に示す。



Claims (7)

  1. (A)下記一般式(1):

    (1)
    (式中、Rは同種または異種の非置換又はハロゲン原子若しくはシアノ基置換の一価炭化水素基であり、Rはフェニル基およびシクロヘキシル基以外の同種または異種の非置換又はハロゲン原子若しくはシアノ基置換の一価炭化水素基であり、Rは独立にフェニル基またはシクロヘキシル基であり、Lおよびmはおのおの正の整数であり、L+mは18〜1200であり、m/(L+m)は0.1〜0.4である。)
    で表され、25℃における粘度が500〜500,000mm/sであるオルガノポリシロキサン、
    (B)SiO2単位と(RSiO0.5単位(式中、Rは独立にビニル基、アリル基または脂肪族不飽和結合不含有一価炭化水素基であり、ただし、(B)成分中の全Rの少なくとも1個は独立にフェニル基またはシクロヘキシル基であり、全Rの5〜25モル%はフェニル基またはシクロヘキシル基である。)とからなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサン樹脂、
    (C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、ならびに
    (D)白金族金属系触媒
    を含有して成り、前記(B)成分が、(A)成分と(B)成分との合計に対して、20〜80質量%の量で存在すること、且つ、(B)成分中において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が500以下である低分子量体の含有量が5%以下であることを特徴とする硬化性シリコーンゴム組成物。
  2. (A)成分が直鎖状のジオルガノポリシロキサンである請求項1に係る組成物。
  3. (A)成分中において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000以下である低分子量体の含有量が5%以下である請求項1又は2に係る組成物。
  4. 半導体素子封止用である請求項1〜3のいずれか一項に係る組成物。
  5. 半導体素子が光半導体素子である請求項4に係る組成物。
  6. 光学材料用である請求項1〜3のいずれか一項に係る組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物を硬化させることにより得られる硬化物。
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