JP5496082B2 - タンパク質組成物を乾燥させる方法、乾燥タンパク質組成物、及び乾燥タンパク質を含有する薬学的組成物 - Google Patents
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Description
フリーズドライ又凍結乾燥は、生化学工業で通常使用されている乾燥方法である。乾燥前に溶媒を凍結させ、ついで昇華させる、すなわち、溶媒の融点以下で固相から直接ガス相にさせる。フリーズドライは、多くの場合、乾燥可能な高圧下で実施され、適切な速度で続行される。タンパク質及びペプチドの変性は凍結中に生じ、品質の乏しいフリーズドライ製品に至るおそれがある。
噴霧乾燥は、化学工業、食品工業、及び生化学及び製薬工業において、広範囲に応用されている。噴霧乾燥は、1940年代の初期より製薬工業に使用されている。予め定められた特性、例えば粒度分布及び形状を有するパウダーを得る手段が提案されているため、薬剤可能の有用な方法であるとされている。さらに、多くの調製プロセスが、噴霧乾燥では一工程で達成可能であり:これらには、カプセル化、錯体形成、及び重合が含まれる。また噴霧乾燥は、熱に敏感な製薬、例えば活性の損失を最小限にしたタンパク質製剤を乾燥するのに便利な方法である。
国際特許公開WO05/092301号は、インスリンの等電点以下、好ましくは5.4以下のpHで、インスリンの透明溶液を噴霧乾燥させることに関する。ヒトGLP-1は、とりわけ回腸末端部のL-細胞、膵臓及び脳で合成される、プレプログルカゴンに由来する、37のアミノ酸残基ペプチドである。GLP-1は、グルコース代謝及び消化管の分泌及び代謝における調節機能を有する重要な消化管ホルモンである。GLP-1はグルコース依存性方式におけるインスリン分泌を刺激し、インスリンの生合成を刺激し、ベータ細胞の救助を促進し、グルカゴンの分泌、胃内容排出及び食物の取込を低下させる。ヒトGLP-1は、双方ともインスリン分泌ペプチドである、GLP-1(7-37)及びGLP-1(7-36)に加水分解される。
インスリンは、十分に順序付けされたクロス-βアセンブリに至らしめる、フィブリル化、ミスフォールディングプロセスに敏感である。β細胞におけるフィブリル化の保護は、亜鉛ヘキサマー内の敏感な分子の金属イオン封鎖により提供される。インスリンの噴霧乾燥中にフィブリル化が生じた場合は、ノズルが詰まり、乾燥プロセスが中断されるおそれがある。
噴霧乾燥用ノズルの詰まりを回避するための他の重要な要因は、乾燥されるタンパク質が適切に溶液中に溶解していることである。送られる溶液に分散しているタンパク質により、装置の詰まりに至るおそれがある。
さらに、乾燥させたタンパク質のpHは非常に重要である。多くの場合、特定のpH、例えば生理的pHに匹敵するpHを有する乾燥生成物を得ることが所望されている。
a)賦形剤を場合によっては含有する水とタンパク質を混合し、タンパク質溶液がアルカリ性になるように、揮発性塩基、非揮発性塩基、場合によっては非揮発性酸を用いて、pHを調節することによって、タンパク質溶液を得、
b)タンパク質溶液を乾燥させる。
さらに本発明は、上述した方法により得られる乾燥させたタンパク質、乾燥させたタンパク質を含有する薬学的組成物、及び糖尿病を使用するための方法に関する。
ここに記載するような「タンパク質溶液」とは、酸を使用することなく、タンパク質の等電点以上のpH値で溶解する、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体、GLP-1、GLP-1アナログ、GLP-1誘導体又はグルカゴンの溶液を意味する。
「揮発性塩基」とは、室温で65Pa以上の蒸気圧を有する塩基、又は室温で65Pa以上の蒸気圧を有する塩基を含む水性共沸混合物等、加熱及び/又は減圧時に、ある程度蒸発するであろう塩基を意味する。
ここに記載するような「非揮発性塩基」とは、室温で65Pa以下の蒸気圧を有する塩基等、加熱時に蒸発しない又は一部のみが蒸発する塩基を意味する。
ここに記載するような「強酸」とは、塩酸及び硫酸等、1以下のpKa値を有する酸を意味する。
ここで使用されるような「インスリン」とは、CysA7とCysB7との間、及びCysA20とCysB19との間にジスルフィド架橋、及びCysA6とCysA11との間に内部ジスルフィド架橋を有するヒトインスリン、ブタインスリン又はウシインスリン、又はそのインスリンアナログ又は誘導体を意味する。
ここで使用されるような「GLP-1」とは、グルカゴン様ペプチド-1を意味する。ヒトGLP-1は37のアミノ酸残基のペプチドである。ヒトGLP-1は、双方ともインスリン分泌ペプチドである、GLP-1(7-37)及びGLP-1(7-36)に加水分解される。
「乾燥させたタンパク質/インスリン/GLP-1/グルカゴンのpH」とは、少なくとも20mgの噴霧乾燥した/乾燥させたタンパク質と0.5mlの脱塩水を混合し、脱塩水のml当たり少なくとも40mg濃度のタンパク質/インスリン/GLP-1が得られるようにし、pHを測定した場合の、乾燥した/噴霧乾燥させたタンパク質/インスリン/GLP-1/グルカゴンのpHを意味する。乾燥させたタンパク質/インスリン/GLP-1のpHは、約300mgまでの噴霧乾燥した/乾燥させたタンパク質/インスリン/GLP-1と0.5mlの脱塩水を混合し、pHを測定することにより決定することができる。例えば、pHは、約20〜約250mgの噴霧乾燥した/乾燥させたタンパク質/インスリン/GLP-1/グルカゴンと0.5mlの脱塩水を混合し、約20〜約200mgの噴霧乾燥した/乾燥させたタンパク質/インスリン/GLP-1/グルカゴンと0.5mlの脱塩水を混合し、約20〜約150mgの噴霧乾燥した/乾燥させたタンパク質/インスリン/GLP-1/グルカゴンと0.5mlの脱塩水を混合し、又は約20〜約100mgの噴霧乾燥した/乾燥させたタンパク質/インスリン/GLP-1/グルカゴンと0.5mlの脱塩水を混合し、pHを測定することにより決定される。
「タンパク質溶液の標的pH」とは、乾燥した場合に、タンパク質溶液/インスリン溶液/GLP-1溶液/グルカゴン溶液にとって望ましいであろうpHを意味し、例えば高溶解性又は低凝集性とするのに、溶解したタンパク質にとっては最適なpHである。
「親インスリン」とは、天然に生じるインスリン、例えばヒトインスリン又はブタインスリンを意味する。また親インスリンはインスリンアナログであってもよい。
ここで使用される場合「誘導体」とは、例えばタンパク質骨格の一又は複数の一に置換基を導入することにより、又はタンパク質のアミノ酸残基の基を酸化又は還元することにより、又は遊離のアミノ基又はヒドロキシ基をアシル化することにより、化学的に修飾された天然に生じるタンパク質又はそのアナログを意味する。
本発明は、タンパク質溶液を乾燥させる方法に関し、ここで
a)タンパク質溶液を、賦形剤を場合によっては含有する水とタンパク質とを混合することで得、アルカリ性になるように、揮発性塩基、非揮発性塩基、場合によっては非揮発性酸を用いて、タンパク質溶液のpHを調節し、
b)タンパク質溶液を乾燥させる;
ものである。
a)乾燥させたタンパク質の標的pHの選択、
b)タンパク質溶液の標的pHの選択、
c)水相の提供、
d)タンパク質の添加、
e)場合によっては賦形剤の添加、
f)非揮発性塩基、及び場合によっては非揮発性酸を用いた、乾燥させたタンパク質の標的pHへのpHの調節、
g)揮発性塩基を用いた、乾燥されるタンパク質溶液の標的pHへのpHの調節、
h)タンパク質溶液の噴霧乾燥、
を含み、
ここで、工程d、e、f及びgは、連続的に攪拌しつつ、任意の順序で実施することができる。
一態様において、水の凝固点は低下し、タンパク質溶液は0℃以下の温度で得られる。
タンパク質溶液のpHが約7.6〜約11.0、約7.6〜約10.5、約7.8〜約11.0、約7.8〜約10.5、約8.0〜約11.0、約8.0〜約10.5、約8.2〜約11.0、約8.4〜約11.0、約8.6〜約10.0、約8.8〜約10.0、約9.0〜約10.0、又は約9.2〜約10.0である場合、タンパク質のフィブリル化傾向はあまり顕著ではない。
本発明の一態様において、タンパク質溶液のpHは、非揮発性塩基を含有するアルカリ溶液で調節される。非揮発性塩基は、アルカリ金属塩、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属の水酸化物、及びアミノ酸、又はその組合せからなる群から選択可能である。例えば、pHは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、又は任意のその組合せを用いて調節可能である。
インスリンを含有する水溶液に水酸化アンモニウムを添加すると、タンパク質、例えばインスリンはより素早く溶解するであろう。
6In ⇔ 3In2
3In2 + 2Zn2+H ⇔ In6(T6)
T6 ⇔ T3R3 ⇔ R6
ここで、Inはインスリンであり、In2は二量体インスリンであり、In6は六量体インスリンであり、T6はT6立体構造中の六量体インスリンであり、T3R3はT3R3立体構造中の六量体インスリンであり、R6は六量体R6状態での六量体インスリンである。
インスリンの公知の分解パターンには、a)線維形成;b)A18、A21及びB3でのアミド分解;c)アミノ基転移又はシッフ塩基形成を介した二量体形成;d)ジスルフィド交換反応が含まれる。
よって、溶液中のインスリンのR6立体構造に好ましい条件は、インスリンの変性を回避するための乾燥方法中、及び化学的安定性を最大にするための棚保管中の双方に有利である。
本発明の一態様において、タンパク質溶液はグリシルグリシンを含有する。グリシルグリシンがタンパク質溶液に添加されている場合、タンパク質はさらに素早く溶解する。一態様において、グリシルグリシンは、インスリンを含有する水溶液に添加される。溶液中のグリシルグリシンの濃度は、約4mM〜約200mMの間であるであろう。
一態様において、本発明は、本発明の方法により得られる乾燥させたタンパク質に関する。
一態様において、本発明は、実施例に記載されるような乾燥させたタンパク質に関する。
一態様において、本発明は、治療的有効量の乾燥させたタンパク質、例えばインスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体、GLP-1、GLP-1アナログ、GLP-1誘導体、グルカゴン、及び/又はそれらの任意の組合せを、製薬的に許容可能な担体及び/又は製薬的に許容可能な添加剤と共に含有する薬学的組成物に関し、ここで該組成物により、このような処置を必要とする患者における、1型糖尿病、2型糖尿病、及び高血糖症に起因する他の状態の処置を提供することができる。
本発明の一態様において、本発明の乾燥させたタンパク質、例えばインスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体、GLP-1、GLP-1アナログ、GLP-1誘導体、グルカゴン及び/又はそれらの任意の組合せを、場合によっては製薬的に許容可能な担体及び/又は製薬的に許容可能な添加剤と共に含有する薬学的組成物を治療的有効量、患者に投与することを含む、このような処置を必要とする患者における、1型糖尿病、2型糖尿病、及び高血糖症に起因する他の状態を治療する方法を提供する。
インスリン又はその前駆体は、よく知られたペプチド合成、又は適切に形質転換された微生物におけるよく知られた組換え生成のいずれかにより生成させることができる。例えば、インスリンは、ポリペプチドをコードするDNA配列を含有し、ペプチドの発現が可能な条件下、適切な栄養培地でポリペプチドを発現可能な宿主細胞を培養し、その後、得られたペプチドを培養体から回収することを含む方法により生成することができる。
本発明の製薬用処方物に使用されるインスリン誘導体を調製する場合、置換用の出発生成物、親インスリン又はインスリンアナログ又はその前駆体は、よく知られたペプチド合成、又は適切に形質転換された微生物におけるよく知られた組換え生成のいずれかにより生成させることができる。例えば、インスリン出発生成物は、ポリペプチドをコードするDNA配列を含有し、ペプチドの発現が可能な条件下、適切な栄養培地でポリペプチドを発現可能な宿主細胞を培養し、その後、得られたペプチドを培養体から回収することを含む方法により生成することができる。国際特許出願WO2005/012347号が参照される。
この発明の乾燥させたタンパク質は、例えば皮下的、経口的、経鼻的又は肺的に投与することができる。
皮下投与用として、乾燥したインスリンは、公知のインスリンの処方物と同じように処方される。さらに、皮下投与用として、この発明の乾燥したインスリンは、公知のインスリンの投与と同じように投与され、一般的に、医者はこの手順に通じている。
このような担体物質は、噴霧乾燥前に、すなわち噴霧乾燥用に調製されるタンパク質溶液又は水溶液に担体物質を添加することにより、インスリンと組合せられてもよい。そのように、担体物質はタンパク質粒子の一部として、又は同時に形成されるであろう。
適切なバッファーの例は、酢酸ナトリウム、グリシルグリシン、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)及びリン酸ナトリウムである。
都合がよいことに、この発明の乾燥させたタンパク質は、他のタイプのタンパク質、例えばさらに速効で作用を開始するインスリンアナログと混合して使用してもよい。このようなインスリンアナログの具体例は、例えば、公開番号EP214826(Novo Nordisk A/S)、EP375437(Novo Nordisk A/S)及びEP383472(Eli Lilly & Co)を有する欧州特許出願に記載されている。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的にのみ使用されており、いかなる方法であっても、本発明を限定するものとは解釈されない。
ここで提供される任意の及び全ての例、又は例示的言語(例えば、「等」)の使用は、単に、本発明をより解明することを意図したものであり、特に示さない限りは、本発明の範囲を制限するものではない。明細書におけるいずれの言語も、請求項に記載していない要素を本発明の実施に必須であることを示していると解してはならない。
ここでの特許公報の引用及び導入は便宜上のものであって、このような特許公報の正当性、特許性及び/又は執行可能性についての見解を示すものではない。
この発明は、適応される法律により許容されるよう、ここに提案された請求項に列挙された主題事項の全ての修正及び等価事項を含む。
1.タンパク質溶液を乾燥させる方法であって、
a)タンパク質溶液を、賦形剤を場合によっては含有する水とタンパク質とを混合することで得、アルカリ性になるように、揮発性塩基、非揮発性塩基、場合によっては非揮発性酸を用いて、タンパク質溶液のpHを調節し、
b)タンパク質溶液を乾燥させる;
方法。
b)タンパク質溶液の標的pHの選択、
c)水相の提供、
d)タンパク質の添加、
e)場合によっては賦形剤の添加、
f)非揮発性塩基、及び場合によっては非揮発性酸を用いた、乾燥させたタンパク質の標的pHへのpHの調節、
g)揮発性塩基を用いた、乾燥されるタンパク質溶液の標的pHへのpHの調節、及び
h)タンパク質溶液の噴霧乾燥、
を含み、
ここで、工程d、e、f及びgが、連続的に攪拌しつつ、任意の順序で実施可能である、パラグラフ1の方法。
3.工程d、e、f及びgが、連続的に攪拌しつつ、任意の順序で実施可能である、パラグラフ2の方法。
5.タンパク質溶液が、6℃以下、5℃以下、4℃以下、3℃以下、2℃以下、又は1℃以下の温度で得られる、パラグラフ1-4の方法。
6.水相の凝固点が低下し、タンパク質溶液が0℃以下の温度で得られる、パラグラフ1-5の方法。
7.乾燥方法が、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、及び真空乾燥からなる群から選択される、パラグラフ1-6の方法。
9.タンパク質溶液が、7.6以上、7.8以上、8.0以上、8.2以上、8.4以上又は8.6以上のpHを有する、パラグラフ1-8の方法。
10.タンパク質溶液が7.4〜11.0のpHを有している、パラグラフ1-8の方法。
11.タンパク質溶液が、約7.6〜約11.0、約7.6〜約10.5、約7.8〜約11.0、約7.8〜約10.5、約8.0〜約11.0、約8.0〜約10.5、約8.2〜約11.0、約8.4〜約11.0、約8.6〜約10.0、約8.8〜約10.0、約9.0〜約10.0、又は約9.2〜約10.0のpHを有する、パラグラフ1-8及び10の方法。
13.非揮発性塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、又はそれらの任意の組合せをである、パラグラフ12の方法。
14.揮発性塩基が、水酸化アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、第2級アミン類、第3級アミン類、アリールアミン類、脂肪族アミン類又は重炭酸アンモニウム又はそれらの組合せからなる群から選択される、パラグラフ1-13の方法。
15.揮発性塩基が、水酸化アンモニウム、エチルアミン又はメチルアミン又はそれらの組合せである、パラグラフ14の方法。
17.揮発性塩基で、少なくとも0.7pH単位、又は少なくとも0.9pH単位、又は少なくとも1.1pH単位、又は少なくとも1.3pH単位、又は少なくとも1.5pH単位を有するタンパク質溶液のpHを調節する、パラグラフ1-16の方法。
18.タンパク質溶液のpHが、水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウムを含有する溶液で調節される、パラグラフ1-17の方法。
20.タンパク質溶液が、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体からなる群から選択されるタンパク質を含有し、溶液が亜鉛をさらに含有する、パラグラフ1-19の方法。
21.タンパク質溶液がフェノールを含有する、パラグラフ20の方法。
22.タンパク質溶液が、タンパク質1モル当たり約4モルのフェノールを含有する、パラグラフ20-21の方法。
24.タンパク質溶液がグリシルグリシンを含有する、パラグラフ23の方法。
26.タンパク質溶液のpHが、乾燥させたタンパク質のpH以上、少なくとも0.5pH単位である、パラグラフ25の方法。
27.タンパク質溶液のpHが、乾燥させたタンパク質のpH以上、少なくとも0.7、少なくとも0.9、少なくとも1.1、少なくとも1.3、又は少なくとも1.5pH単位である、パラグラフ1-26の方法。
29.乾燥させたタンパク質のpHが、約6.2〜約8.4、約6.4〜約8.3、約6.6〜約8.2、約6.8〜約8.1、約7.0〜約8.0、約7.2〜約7.9、約7.4〜約7.8、又は約7.6〜約7.7である、パラグラフ1-28の方法。
30.タンパク質溶液が、約10%以下、約6%以下、約4%以下、約2%以下、又は約1%以下の水分含有量の噴霧乾燥させたタンパク質が得られるように乾燥される、パラグラフ1-29の方法。
31.タンパク質がインスリンアナログであり、AspB28ヒトインスリン;LysB28ProB29ヒトインスリン、及びLysB3GluB29ヒトインスリンからなる群から選択される、パラグラフ1-30の方法。
34.組成物が、糖尿病又は高血糖症の肺、非経口、鼻又は経口処置用である、パラグラフ33の薬学的組成物。
35.パラグラフ32の乾燥させたタンパク質を治療的有効量含有する、このような処置を必要とする患者における糖尿病又は高血糖症を治療するための薬学的組成物であって、該タンパク質が、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体、GLP-1、GLP-1アナログ、GLP-1誘導体、グルカゴン及び/又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される組成物。
37.タンパク質が、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体、GLP-1、GLP-1アナログ、GLP-1誘導体、グルカゴン及び/又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される、パラグラフ36の方法。
38.実施例に記載するような乾燥させたタンパク質。
a)タンパク質溶液を、賦形剤を場合によっては含有する水とタンパク質とを混合することで得、アルカリ性になるようにpHを調節し、
b)タンパク質溶液を乾燥させる;
方法。
b)タンパク質溶液の標的pHの選択、
c)水相の提供、
d)タンパク質の添加、
e)場合によっては賦形剤の添加、
f)非揮発性塩基を用いた、乾燥させたタンパク質の標的pHへのpHの調節、
g)揮発性塩基を用いた、乾燥されるタンパク質溶液の標的pHへのpHの調節、及び
h)タンパク質溶液の噴霧乾燥、
を含み、
ここで、工程d、e、f及びgが、連続的に攪拌しつつ、任意の順序で実施可能である、タンパク質溶液から乾燥させたタンパク質を生成する方法。
3a.タンパク質溶液が、揮発性塩基及び非揮発性塩基を用いて調節される、パラグラフ1aの方法。
5a.タンパク質溶液が、6℃以下、5℃以下、4℃以下、3℃以下、2℃以下、又は1℃以下の温度で得られる、パラグラフ1a-4aの方法。
6a.水相の凝固点が低下し、タンパク質溶液が0℃以下の温度で得られる、パラグラフ1a-5aの方法。
7a.乾燥方法が、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、及び真空乾燥からなる群から選択される、パラグラフ1a-6aの方法。
9a.タンパク質溶液が、7.6以上、7.8以上、8.0以上、8.2以上、8.4以上又は8.6以上のpHを有する、パラグラフ1a-8aの方法。
10a.タンパク質溶液が7.4〜11.0のpHを有している、パラグラフ1a-8aの方法。
11a.タンパク質溶液が、約7.6〜約11.0、約7.6〜約10.5、約7.8〜約11.0、約7.8〜約10.5、約8.0〜約11.0、約8.0〜約10.5、約8.2〜約11.0、約8.4〜約11.0、約8.6〜約10.0、約8.8〜約10.0、約9.0〜約10.0、又は約9.2〜約10.0のpHを有する、パラグラフ1a-8a及び10aの方法。
13a.非揮発性塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、又はそれらの任意の組合せをである、パラグラフ12aの方法。
14a.揮発性塩基が、水酸化アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、第2級アミン類、第3級アミン類、アリールアミン類、脂肪族アミン類又は重炭酸アンモニウム又はそれらの組合せからなる群から選択される、パラグラフ1a-11aの方法。
15a.揮発性塩基が、水酸化アンモニウム、エチルアミン又はメチルアミン又はそれらの組合せである、パラグラフ14aの方法。
17a.揮発性塩基で、少なくとも0.7pH単位、又は少なくとも0.9pH単位、又は少なくとも1.1pH単位、又は少なくとも1.3pH単位、又は少なくとも1.5pH単位を有するタンパク質溶液のpHを調節する、パラグラフ1a-16aの方法。
18a.タンパク質溶液のpHが、水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウムを含有する溶液で調節される、パラグラフ1a-17aの方法。
20a.タンパク質が、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体、GLP-1、GLP-1アナログ、GLP-1誘導体、エキセンディン、エキセンディンアナログ及び誘導体、及び/又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される、パラグラフ1a-19aの方法。
21a.タンパク質が、アミリン、アミリンアナログ、アミリン誘導体、α-MSH、α-MSHアナログ、α-MSH誘導体、及び/又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される、パラグラフ1a-20aの方法。
22a.タンパク質溶液が、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体からなる群から選択されるタンパク質を含有し、溶液が亜鉛をさらに含有する、パラグラフ1a-20aの方法。
24a.タンパク質溶液がグリシルグリシンを含有する、パラグラフ23aの方法。
26a.タンパク質溶液のpHが、乾燥させたタンパク質のpH以上、少なくとも0.5pH単位である、パラグラフ25aの方法。
27a.タンパク質溶液のpHが、乾燥させたタンパク質のpH以上、少なくとも0.7、少なくとも0.9、少なくとも1.1、少なくとも1.3、又は少なくとも1.5pH単位である、パラグラフ1a-26aの方法。
29a.乾燥させたタンパク質のpHが、約6.2〜約8.4、約6.4〜約8.3、約6.6〜約8.2、約6.8〜約8.1、約7.0〜約8.0、約7.2〜約7.9、約7.4〜約7.8、又は約7.6〜約7.7である、パラグラフ1a-28aの方法。
30a.タンパク質溶液が、約10%以下、約6%以下、約4%以下、約2%以下、又は約1%以下の水分含有量の噴霧乾燥させたタンパク質が得られるように乾燥される、パラグラフ1a-29aの方法。
31a.タンパク質がインスリンアナログであり、AspB28ヒトインスリン;LysB28ProB29ヒトインスリン、及びLysB3GluB29ヒトインスリンからなる群から選択される、パラグラフ1a-30aの方法。
34a.組成物が、糖尿病又は高血糖症の肺、非経口、鼻又は経口処置用である、パラグラフ33aの薬学的組成物。
35a.パラグラフ32aの乾燥させたタンパク質を治療的有効量含有する、このような処置を必要とする患者における糖尿病又は高血糖症を治療するための薬学的組成物であって、該タンパク質が、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体、GLP-1、GLP-1アナログ、GLP-1誘導体、エキセンディン、エキセンディンアナログ及び誘導体、及び/又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される組成物。
37a.タンパク質が、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体、GLP-1、GLP-1アナログ、GLP-1誘導体、エキセンディン、エキセンディンアナログ及び誘導体、及び/又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される、パラグラフ36aの方法。
38a.実施例に記載するような乾燥させたタンパク質。
HMWP含有量を、Ph. Eur法に基づき、アイソクラチックサイズ排除コンジュゲート法により測定した。ウォーターズ(Waters)インスリンHMWP7.8x300mmカラムを、65%の1.0mg/ml L-アルギニン溶液、20%のアセトニトリル、及び15%の氷酢酸を含有する、0.5ml/分流速の移動相と共に使用した。注射容量は100μlであった。カラム温度を周囲であった。276nmの紫外吸光度により検出を行った。ピーク面積対全ピーク面積基準において、クロマトグラムを分析した。
噴霧乾燥したパウダーの残留水分量を、パーキンエルマー・ピリス TGA1 熱質量分析器(PerkinElmer Pyris TGA1 thermogravimetric analyzer)を使用し、最小で3時間、110℃で乾燥させることによる損失で測定した。水分損失による重量変化を記録し、重量によるパーセンテージで表した。
pH9.5でのヒトインスリンの溶解
10.0gのヒトインスリンを、387.3gの氷冷水に分散させた。分散液を氷浴に配し、pHが5.03と測定された。ついで、氷冷された0.2Nの水酸化ナトリウムを、pH8.99になるまで段階的に添加した。45分後、pHを8.77まで低下させ、さらに4時間以上かけて、氷冷された0.2Nの水酸化ナトリウムを、pH8.75になるまで添加した。溶液はまだ透明ではなく、一晩、冷蔵庫に配した。
次の日、pHが8.75と測定され、溶液はまだ透明ではなかった。氷冷された0.2Nの水酸化ナトリウムにより、pHを9.48に調節し、ついで、不透明溶液を、次の5日間、冷蔵庫に配した。
5日後、溶液は透明になり、0.2Nの塩化水素を用いて、9.37から7.59になるまでpHを調節した。
A)揮発性塩基を用いたタンパク質溶液の噴霧乾燥
B)噴霧乾燥させたタンパク質のpHの測定
9.5gのヒトインスリンを、200g氷冷水に分散させた。分散液を氷浴に配し、最初のpHはpH5.12と測定された。ついで、氷冷された0.2Nの水酸化ナトリウムを5.8g使用し、pHを7.04に調節した。溶液をさらに2時間、氷浴で保持し、ついで、脱塩水を全重量240gになるまで添加した。
pH7.4の溶液の50gをさらに処理した。氷冷された1NのNH4OHを用いて、7.04から7.50にpHを調節し、ついで、一晩、冷蔵庫に配した。次の日、pHが7.32と測定され、氷冷された1NのNH4OHを用いて、pHをpH8.06に調節した。ついで、60.0gになるまで水を添加した。ヒトインスリンの最終濃度は、約30mg/mlであった。
乾燥した空気は、150℃の入口温度と、35m3/時間の乾燥空気流速度を有していた。出口温度は約70℃であった。
固形微小粒子を、乾燥チャンバーに接続したサイクロンにより捕捉し、収集し、乾燥条件下で保存した。
噴霧乾燥したヒトインスリン(噴霧乾燥する前、タンパク質溶液のpHは8.06であった)を、40mg/mL、80mg/mL及び160mg/mLの濃度で脱塩水に再溶解させ、様々な濃度が測定されるpH値に影響を及ぼすかどうかを研究した:
25.3mgを633μLの水に添加した:pHは6.95と測定された
43.5mgを545μLの水に添加した:pHは6.95と測定された
81.7mgを510μLの水に添加した:pHは7.01と測定された
噴霧乾燥したインスリンアスパルト(B28Aspヒトインスリン)を、様々な比率の揮発性及び非揮発性塩によって、溶解させた。
噴霧乾燥前に、安定化賦形剤を含むか又は含まない様々なインスリンアスパルト溶液を調製した:
溶液A1:16gのインスリンアスパルトを、氷浴において150mlの水に懸濁させた。ついで、2.6mlの氷冷された濃アンモニア水(25%w/w)を、pHが7.53になるまで段階的に添加し、透明溶液を得た。最後に、全容量が200mlになるまで水を添加した。インスリンアスパルトの濃度は80mg/mlであった。
溶液A2:65mlの溶液A1を、さらに130mlに希釈した。インスリンアスパルトの濃度は40mg/mlであった。
溶液B1:16gのインスリンアスパルトを、氷浴において150mlの水に懸濁させた。最初2.2mlの氷冷された1NのNaOH、ついで750μlの氷冷された濃アンモニア水(25%w/w)を、pHが7.52になるまで段階的に添加し、透明溶液を得た。最後に、全容量が200mlになるまで水を添加した。インスリンアスパルトの濃度は80mg/mlであった。
溶液B2:65mlの溶液B1を、さらに130mlに希釈した。インスリンアスパルトの濃度は40mg/mlであった。
溶液C1:16gのインスリンアスパルトを、氷浴において150mlの水に懸濁させた。最初4.4mlの氷冷された1NのNaOH、ついで750μlの氷冷された濃アンモニア水(25%w/w)を、pHが7.48になるまで段階的に添加し、透明溶液を得た。最後に、全容量が200mlになるまで水を添加した。インスリンアスパルトの濃度は80mg/mlであった。
溶液C2:65mlの溶液C1を、さらに130mlに希釈した。インスリンアスパルトの濃度は40mg/mlであった。
溶液D1:16gのインスリンアスパルトを、氷浴において150mlの水に懸濁させた。最初6.6mlの氷冷された1NのNaOH、ついで370μlの氷冷された濃アンモニア水(25%w/w)を、pHが7.47になるまで段階的に添加し、透明溶液を得た。最後に、全容量が200mlになるまで水を添加した。インスリンアスパルトの濃度は80mg/mlであった。
溶液D2:65mlの溶液D1を、さらに130mlに希釈した。インスリンアスパルトの濃度は40mg/mlであった。
溶液E1:16gのインスリンアスパルトを、氷浴において150mlの水に懸濁させた。最初6.6mlの氷冷された1NのNaOH、ついで370μlの氷冷された濃アンモニア水(25%w/w)を、pHが7.47になるまで段階的に添加し、透明溶液を得た。最後に、全容量が200mlになるまで水を添加した。インスリンアスパルトの濃度は80mg/mlであった。
溶液E2:65mlの溶液E1を、さらに130mlに希釈した。インスリンアスパルトの濃度は40mg/mlであった。
1.8gのインスリンアスパルトを、氷浴において40mlの水に懸濁させた。最初175μlの氷冷された濃アンモニア水(25%w/w)を、pHが7.83になるまで段階的に添加した。
1.1mlの0.1M ZnCl2溶液と3.6mlの0.32M フェノール溶液を、さらに溶液に添加した。
最後に、85μlの希アンモニア水(8%w/w)を用いて、pHを7.99に調製し、全容量が60mlになるまで水を添加した。溶液は透明であり、インスリンアスパルトの濃度は30mg/mlであった。
1.8gのインスリンアスパルトを、氷浴において40mlの水に懸濁させた。最初288μlの氷冷された1N NaOH、ついで、120μlの氷冷された濃アンモニア水(25%w/w)を、pHが7.86になるまで段階的に添加した。
1.1mlの0.1M ZnCl2溶液と3.6mlの0.32M フェノール溶液を、さらに溶液に添加した。
最後に、80μlの希アンモニア水(8%w/w)を用いて、pHを8.03に調節し、全容量が60mlになるまで水を添加した。溶液は透明であり、インスリンアスパルトの濃度は30mg/mlであった。
1.8gのインスリンアスパルトを、氷浴において40mlの水に懸濁させた。最初864μlの氷冷された1N NaOH、ついで、50μlの氷冷された濃アンモニア水(25%w/w)を、pHが7.85になるまで段階的に添加した。
1.1mlの0.1M ZnCl2溶液と3.6mlの0.32M フェノール溶液を、さらに溶液に添加した。
最後に、60μlの希アンモニア水(8%w/w)を用いて、pHを7.98に調節し、全容量が60mlになるまで水を添加した。溶液は透明であり、インスリンアスパルトの濃度は30mg/mlであった。
1.8gのインスリンアスパルトを、氷浴において40mlの水に懸濁させた。最初150μlの氷冷された濃アンモニア水(25%w/w)を、pHが7.99になるまで段階的に添加した。
4.6mlの0.25M グリシルグリシン溶液、1.1mlの0.1M ZnCl2溶液及び3.6mlの0.32M フェノール溶液を、さらに溶液に添加した。
最後に、245μlの希アンモニア水(8%w/w)を用いて、pHを7.98に調節し、全容量が60mlになるまで水を添加した。溶液は透明であり、インスリンアスパルトの濃度は30mg/mlであった。
1.8gのインスリンアスパルトを、氷浴において40mlの水に懸濁させた。最初288μlの氷冷された1N NaOH、ついで、125μlの氷冷された濃アンモニア水(25%w/w)を、pHが8.18になるまで段階的に添加した。
4.6mlの0.25M グリシルグリシン溶液、1.1mlの0.1M ZnCl2溶液及び3.6mlの0.32M フェノール溶液を、さらに溶液に添加した。
最後に、125μlの希アンモニア水(8%w/w)を用いて、pHを7.98に調節し、全容量が60mlになるまで水を添加した。溶液は透明であり、インスリンアスパルトの濃度は30mg/mlであった。
1.8gのインスリンアスパルトを、氷浴において40mlの水に懸濁させた。最初288μlの氷冷された1N NaOH、ついで、125μlの氷冷された濃アンモニア水(25%w/w)を、pHが7.93になるまで段階的に添加した。
1.1mlの0.1M ZnCl2溶液と1.9mlの0.32M フェノール溶液を、さらに溶液に添加した。
最後に、40μlの希アンモニア水(8%w/w)を用いて、pHを7.98に調節し、全容量が60mlになるまで水を添加した。溶液は透明であり、インスリンアスパルトの濃度は30mg/mlであった。
乾燥した空気は、150℃の入口温度と、35m3/時間の乾燥空気流速度を有していた。出口温度は41〜61℃で変化した。
固形微小粒子を、乾燥チャンバーに接続したサイクロンにより捕捉し、収集し、乾燥条件下で保存した。
エアロダイナミック・パーティクル・サイザー(登録商標)(APS)分光計を使用して、粒度分布(空気動力学的中央粒子径)を決定した。
噴霧乾燥したインスリンのpHを、約40mg/mlの濃度になるまで、脱塩水に噴霧乾燥パウダーを溶解させ、電位差計(Radiometer, Denmark)によりpHを測定することにより、測定した。
インスリンアスパルトの噴霧乾燥
361.8gのインスリンアスパルトを、4.5リットルの氷冷された脱塩水に分散させた。氷冷された0.2のNaOHを用い、pHを7.68に調節した。9リットルになるまで水を添加した。インスリンアスパルトの最終濃度は37g/lであった。噴霧乾燥する前に、滅菌フィルター(0.2μm)を介して溶液を濾過した。
インスリンアスパルト溶液の噴霧乾燥を、1.0mmの開口径を有する2流体ノズルを具備するパイロットスケールのスプレー乾燥機(model Mobile Minor, Niro, Denmark)で実施した。乾燥ガス及び噴霧ガスとして、窒素を使用した。
スプレー乾燥機は、サイクロンとバグフィルターの双方を具備している。噴霧乾燥中、サイクロンとバグフィルターの双方から同時にパウダーを収集した。
粒度分布を、レーザー回折(Mastersizer, Malvern)及びエアロダイナミック・パーティクル・サイジング分光計(APS)の双方により、粒度分布を分析した。40℃で1ヶ月保存した後の、噴霧乾燥されたインスリンアスパルトの化学的完全性を、実施例2に記載したようにして、SE又はRP-HPLCにより研究した。
様々なpH値での凍結乾燥インスリンアスパルト乾燥パウダーの保存安定性
0.806gのインスリンアスパルトを、10mlの氷冷水に分散させた。懸濁液を氷浴に配し、最初のpHはpH4.58と測定された。氷冷された0.2Nの水酸化ナトリウムを用いて、pHを7.39に調節し、これによりインスリンアスパルトを溶解させた。全重量が20.4gになるまで、脱塩水を添加した。
溶解したインスリンアスパルトを2.5mlの6つのアリコートに分割し、それぞれpH7.0、7.7、8.0、8.5、9.0及び9.5に調節した。全重量が3.06gになるまで、脱塩水を添加した。
インスリンアスパルト溶液を、標準的な凍結乾燥プログラムを使用し、ガラスバイアルにおいて、0.9mlのアリコートに、クリスト・アルファ2-4LSC(Christ Alpha 2-4 LSC(Christ Alpha, Germany))装置にて凍結乾燥した。
0.5mlの脱塩水を、約33mgのインスリンアスパルトパウダーに添加し、ついで、15分後、pH電極を具備する電位差計を用いてpHを測定することにより、凍結乾燥したインスリンアスパルトパウダーのpHを測定した。
様々なpH値での噴霧乾燥インスリンアスパルト乾燥パウダーの保存安定性
20.6gのインスリンアスパルトを、300mlの氷冷水に分散させた。懸濁液を氷浴に配し、最初のpHはpH4.63と測定された。100mlの氷冷された0.1N 水酸化ナトリウムを用いて、pHを7.50に調節し、これによりインスリンアスパルトを溶解させた。
溶解したインスリンアスパルトを6つのアリコート65gに分割し、それぞれpH7.0、7.7、8.0、8.5、9.0及び9.5に調節した。全重量が80.0gになるまで、各アリコートに脱塩水を添加した。インスリンアスパルトの濃度は約38mg/mlであった。
乾燥した空気は、150℃の入口温度と、35m3/時間の乾燥空気流速度を有していた。出口温度は49〜61℃で変化した。固形微小粒子を、乾燥チャンバーに接続したサイクロンにより捕捉し、収集し、乾燥条件下で保存した。
20000nmolのリジン-アシル化GLP1アナログN-イプシロン26-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4カルボキシ-4-(17カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]-エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)を、4000nmol/mL(分子量4113g/mol)になるように、水に溶解させた。水酸化ナトリウムにより、2mLの溶液をpH7.6に調節し、さらに2つに分け、一方には、pH9.6になるまでアンモニア(水中に25%)を添加した。同様に、2mLの溶液には、pH8.7になるまで水酸化ナトリウムを添加し、2つに分け、一方には、pH10.3になるまでアンモニア(水中に25%)を添加した。最後に、1mLのGLP1アナログ溶液には、pH10.3になるまで水酸化ナトリウムを添加した。5つのサンプルを全て凍結乾燥し、40mg/mLなるように再溶解させた。サンプルのpH値を測定したところ、それぞれ7.5、7.6、8.6、8.6及び9.7であった。
揮発性塩基を用いたGLP-1アナログの噴霧乾燥
180mg(43800nmol)のリジン-アシル化GLP1アナログN-イプシロン26-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)を、7mlの脱塩水に溶解させ、0.2Nの塩酸を用いて、pH7.53からpH7.03に調節した。ついで、0.25%w/wのアンモニア水を用い、溶液をpH9.96に調節し、脱塩水を添加したところ、最終濃度20mg/mlのGLP-1アナログが得られた。
溶液を、2ml/分の液体供給速度、及び600−800リットル/時間の霧化空気流で、0.7mmの並流2液ノズルを具備するブッチ製B-290ミニスプレー乾燥機(Buchi, Labortechnik AG Flawil, Switzerland)の乾燥チャンバー内において、温気流に霧化した。乾燥した空気は、150℃の入口温度と、35m3/時間の乾燥空気流速度を有していた。出口温度は約63℃であった。固形微小粒子を、乾燥チャンバーに接続したサイクロンにより捕捉した。
120mg/mlになるように、パウダーを脱塩水に再溶解させたところ、pHはpH6.9と測定された。
強アルカリのpH値でのインスリンアスパルトの化学的不安定性
720mgのインスリンアスパルトを、9mlの脱塩水に溶解させた。2Nの水酸化アンモニウム溶液を用い、2.25mlの溶液をpH7.6からpH10.0に調節した。2Nの水酸化アンモニウム溶液を用い、さらなる2.25mlの溶液をpH11.0に調節した。2Nの水酸化アンモニウム溶液と1Nの水酸化ナトリウム溶液を用い、さらなる2.25mlの溶液をpH12.0に調節した。2Nの水酸化アンモニウム溶液と1Nの水酸化ナトリウム溶液を用い、最後の2.25mlの溶液をpH12.6に調節した。
4つのpH調節された溶液を、3−8℃の冷蔵庫で24時間保持し、その後、化学的分解を停止させるために、1Nの塩酸を用いて、4つの溶液を中性のpHに調節した。
中和された溶液におけるインスリンの化学的不安定性を、実施例2に記載したような、サイズ排除及び逆相HPLCにより研究した。
Claims (16)
- タンパク質溶液を乾燥させるための方法であって、
タンパク質が、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体、GLP-1、GLP-1アナログ、GLP-1誘導体、グルカゴン、及び/又はそれらの任意の組合せからなる群から選択され、前記方法が
a)タンパク質溶液を、水又は賦形剤を含有する水とタンパク質を混合し、タンパク質溶液がアルカリ性になるように、揮発性塩基及び非揮発性塩基を用いてpHを調節することにより得て、
b)タンパク質溶液を乾燥させる
ことを含む方法。 - 非揮発性酸をpH調節中、工程a)においてまた添加する、請求項1の方法。
- a)乾燥させたタンパク質に対する標的pHを選択し、
b)タンパク質溶液の標的pHを選択し、
c)水相を提供し、
d)タンパク質を添加し、
e)賦形剤を添加するか、又は賦形剤を添加せず、
f)非揮発性塩基、又は非揮発性塩基と非揮発性酸の組み合わせを用いて、乾燥させたタンパク質の標的pHにpHを調節し、
g)揮発性塩基を用いて、乾燥せしめられるタンパク質溶液の標的pHにpHを調節し、
h)タンパク質溶液を噴霧乾燥させる、
ことを含み、
ここで、工程d、e、f及びgが、連続攪拌しながら、任意の順序で実施可能である、請求項1又は2の何れか一項に記載の方法。 - タンパク質溶液が8℃以下の温度で得られる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- タンパク質溶液が7.4〜11.0のpHを有している、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 揮発性塩基が、少なくとも0.5pH単位でタンパク質溶液のpHを調節する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- タンパク質溶液が、バッファー、洗浄剤、安定剤、プロテアーゼインヒビター、香料、担体、吸収持続剤、増量剤、又は流動特性を改善する薬剤又は浸透促進剤、又はそれらの組合せを含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- タンパク質溶液がグリシルグリシン及び/又はフェノールを含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- タンパク質溶液が、タンパク質1モル当たり約4モルのフェノールを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
- タンパク質溶液のpHが、乾燥させたタンパク質のpH以上である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
- 乾燥方法が、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、及び真空乾燥からなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記タンパク質がインスリンアスパルトを含む、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
- 請求項1から12のいずれか一項に記載の方法により得られうる乾燥タンパク質。
- 請求項13に記載の乾燥タンパク質を治療的有効量含有する薬学的組成物。
- 組成物が、糖尿病又は高血糖症の肺、非経口、鼻又は経口処置用である、請求項14に記載の薬学的組成物。
- 処置を必要とする患者における糖尿病の治療のための医薬の調製のための請求項13に記載の乾燥させたタンパク質の使用。
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