JP2007532096A - アシル化されたインスリンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アシル化されたインスリンの製造方法
【解決手段】アシル化されたインスリンの高収率を可能にする方法を提供する。該方法は、一本鎖インスリン前駆体を、好ましくは酵母で発現し、B-鎖のC-末端アミノ基と、B鎖をA鎖と連結する連結ペプチドとの間のペプチド結合を開口する適切なプロテアーゼによって、一本鎖インスリン前駆体を切断し、LysB29 におけるε-アミノ基で二本鎖インスリン中間体をアシル化し、及び、アシル化された二本鎖インスリン中間体を、前駆体分子のB-鎖及びA-鎖状のN-末端を切断するタンパク分解性酵素に供することを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アシル化されたインスリン又はその類縁体の製造方法、そのような方法に用いられる中間体、及び、そのような方法によって生成された、アシル化されたインスリン及びインスリン類縁体に関する。
多くの糖尿病患者が、食事に関連する要求をカバーするための急速に作用するインスリンの大量瞬時投与によって補われる、基礎的要求をカバーするための遅延性のインスリンの日に1回又は2回の注射を含む療法において、日に複数回のインスリン注射を処置されている。
この課題に適する化合物のクラスは、B-鎖の位置29のリジン残基におけるε-アミノ基が疎水性成分(moiety)でアシル化されたインスリン誘導体である。そのような化合物は、欧州特許792,290及び894,095並びに米国特許第5,693,609号、同第5,646,242号、同第5,922,675号、同第5,750,497号及び同第6,011,007号に開示されている。
ヒトインスリン及び密接に関連したインスリンは、分子中に3つの主要なアミノ基、即ち、GlyA1 及びPheB1のそれぞれのα-アミノ基、及び、LysB29のε-アミノ基を有している。保護のないインスリンのN-アシル化は、条件に依存して、モノ-、ジ-及びトリアシル化された生成物の複合混合物をもたらす。しかしながら、特定の位置のアシル化のための選択はしばしば認めることができるにも関わらず、所望のモノアシル化された生成物の形成が、ジ-及びトリ-アシル化インスリンのような密接に関連した望ましくない副産物の著しい量の形成を伴い得るために、その選択は、そのような直接的なアシル化がモノアシル化インスリンの生成方法として有用であると常に十分に断言できるわけではない。そのような望ましくないものが形成される場合、これは所望の生成物の損失を生じ、また所望の生成物の精製において問題を生じさせ得る。
インスリン分子中の1又は2の特異的なアミノ基のアシル化は、適切に保護された中間体が利用できる場合に達成することができる。適切な中間体は、そのアシル化されるべきでないアミノ基が、アシル化が行われた後で選択的に除去可能な保護基でブロックされたインスリン分子である。そのような保護された中間体は、特異的な方法で、1又は2の保護基が翻訳後に導入されたインスリン分子である。しかしながら、経済的な理由から、可能であれば特異的な保護基の使用は避けたいものである。
米国特許第RE 37971には、位置B29又は位置B28における、脂肪酸の、特に遊離ε-アミノ基の、活性化されたエステルの使用による、9以上のpHでの選択的なアシル化が開示されている。米国特許第5,905,140号には、活性化されたアミドの使用によるインスリンの遊離ε-アミノ基の選択的アシル化が開示されている。
本発明は、ε-アミノ基、特にLysB29のε-アミノ基においてアシル化されたインスリン又はインスリン類縁体を高収率で得るための方法に関する。
発明の概要
一つの側面において、本発明は、アシル化されたインスリン又はアシル化されたインスリン類縁体を製造する方法に関し、ここで、B1 N-末端アミノ酸基に及びA1 N-末端アミノ酸基に結合した、N-末端保護ペプチド配列を有する二本鎖インスリン中間体は、遊離のε-アミノ基においてアシル化され、そうすると該保護ペプチド配列が切断され、所望のアシル化されたインスリンが単離される。
請求された方法は、以下の工程を含む:
アシル化されたインスリン又はインスリン類縁体の製造方法であって、
a) 式
Figure 2007532096
(ここで、X1 はAsp又はGluであり、X2 は Cys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、X3 はAsp又はGluであり、及びX4 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、B-鎖はヒトインスリンのB-鎖又はその類縁体であり、及びA-鎖はヒトインスリンのA-鎖又はその類縁体である)
を有するインスリン中間体を、B-鎖におけるC-末端のリジンアミノ基においてアシル化すること、及び
b) トリプシン又はトリプシン様プロテアーゼによってアシル化されたインスリン中間体におけるArgとB1の間、及びArgとA1の間のペプチド結合を切断し、アシル化されたインスリン又はインスリン類縁体を生成すること、
を含む方法。
本発明の一つの態様において、工程a) で用いられる二本鎖インスリン中間体は、LysB29 とX3の間のペプチド結合を切断するリジン特異性プロテアーゼによる、
式 X1- X2 -Arg-B(1-29)- X3-X4- Arg-A(1-21)
(ここで、X1 はAsp又はGluであり、X2 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、X3 はAsp又はGluであり、X4 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、B(1-29)は、B30アミノ酸残基が欠損したヒトインスリンのB-鎖又はその類縁体であり、A(1-21) はヒトインスリンのA-鎖又はその類縁体である)
を有する一本鎖のインスリン前駆体の切断によって生成され得る。
さらなる態様において、該方法は、b) において生成されたアシル化されたインスリン又はインスリン類縁体を単離する工程をさらに含む。
他の側面において、本発明は、以下を含む、アシル化されたインスリン又はインスリン類縁体を製造する方法に関する:
i) 式 X1-X2-Arg-B(1-29)-X3-X4-Arg-A(1-21)
(ここで、X1 はAsp又はGluであり、X2 は Cys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、X3 はAsp又はGluであり、及びX4 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、B-鎖はヒトインスリンのB-鎖又はその類縁体であり、及びA-鎖はヒトインスリンのA-鎖又はその類縁体である)
を有する一本鎖インスリン前駆体を、リジン特異的プロテアーゼによって切断し、これによってLysB29 とX3 の間のペプチド結合を切断すること、
ii)脂肪酸によって、位置B29におけるε-リジンアミノ基において、開口された二本鎖インスリン中間体をアシル化すること、
iii)トリプシン又はトリプシン様プロテアーゼによって、アシル化された中間体におけるArgとB1の間、及びArgとA1の間のペプチド結合を切断すること、
iv)アシル化されたインスリン又はインスリン類縁体を単離すること。
さらなる側面において、本発明は、以下の工程を含む方法に関する:
i) 式 X1-X2-Arg-B(1-29)-X3-X4-Arg-A(1-21)
(ここで、X1 はAsp又はGluであり、X2 は Cys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、X3 はAsp又はGluであり、及びX4 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合である)
を有する一本鎖インスリン前駆体を、リジン特異的プロテアーゼによって切断し、これによってB29とX3 の間のペプチド結合を切断し、及びX3 を切断し、及び二本鎖インスリン中間体を形成すること、
ii)脂肪酸によって、位置B29におけるε-リジンアミノ基において、二本鎖インスリン前駆体をアシル化すること、
iii)トリプシン又はトリプシン様プロテアーゼによって、アシル化された前駆体におけるArgとB1の間、及びArgとA1の間のペプチド結合を切断すること、及び、
iv)アシル化されたインスリンを単離すること。
工程i)において用いるリジン特異的プロテアーゼは、アルギニン残基において切断することなく、リジン残基において切断することが可能な任意の適切なプロテアーゼであってよい。この工程において、インスリン前駆体は、B29のリジン残基においてのみ切断される。一つの態様において、リジン特異的プロテアーゼは、アクロモバクター・リティカスのプロテアーゼである。
工程a)及びii)におけるアシル化剤は、約5当量までの適度の過剰量で用いられ、一つの態様において、それは1〜5当量の量で用いられる。さらなる態様において、アシル化剤は、1〜3当量の量で用いられる。
アシル化剤は、所望の位置に脂肪アシル基を導入可能な任意の適切なアシル化剤であってよい。アシル化剤の非限定的な例は、脂肪酸の活性化されたエステル又はアミドである。さらなる適切なアシル化剤は、脂肪酸の無水物、ハロゲン化物、アゾールである。
本発明の一つの態様において、活性化された脂肪酸エステルは、脂肪酸のN-ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
アシル化工程a)又はii)は、塩基性のpHにおいて及び極性溶媒中で行われる。工程b)におけるpHは、約9〜約10.5の範囲から選択され得る。一つの態様において、pHは、9.2〜10.5であり、他の態様において、pHは9.5〜10.3であり、又は9.7〜10.3である。さらなる態様において、工程a)又はi)におけるpHは、約9.3〜約9.9である。
脂肪酸は、直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和の、少なくとも2炭素原子を有するカルボン酸であってよい。本発明の一つの態様において、該脂肪酸は6〜30;6〜24;6〜18;6〜14;10〜30;及び10〜24を有する。
一つの態様において、該脂肪酸は、6〜18;10〜18のC-原子又は10〜14のC-原子を有する。
さらなる態様に従って、該脂肪はカプリン酸、ラウリン酸、テトラデカン酸 (ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、及びテトラデカン酸から成る群から選択される。
工程 a)又はii)における溶媒は、水と、NMP、DMF、DMAC、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びtert-ブタノールからなる群から選択される水と混合可能な有機溶媒との混合物であってよい。
有機溶媒の含有量は、25〜75 % (v/v)、33〜67 %であってよく、又は約50%であってよい。
ペプチド配列X2 及びX4 の長さは、1〜10のアミノ酸残基で変動してよい。一つの態様において、X2 及び X4 は、2〜8、2〜6、2〜5、2〜4又は2〜3のアミノ酸残基長であり、並びに、X2 及びX4 はそれぞれ1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8 ,9又は10 のアミノ酸長であってよい。
一つの態様において、X2 は、工程 b)又はiii)におけるB-鎖のN-末端のArgとPheの間の、トリプシンによる切断の速度を亢進するために、少なくとも一つのGlyを含む。
さらなる態様において、X4 は、一本鎖インスリン前駆体が開口している工程i)におけるアクロモバクター・リティカスのプロテアーゼによる切断の速度を亢進するために、少なくとも一つのGlyを含む。
本発明のさらなる態様において、X2 及び/又はX4 は、N-末端からみて最初のアミノ酸残基としてGlu又はAspを有する。この態様において、該ペプチド鎖X1-X2 は、Glu-Glu; Glu-Asp; Asp-Asp;又はAsp-Glu-配列を含む。同様のことが、X3-X4-配列にも適用される。
本発明の一つの態様において、X3-X4-Arg は、Asp-Pro-Arg; Glu-Pro-Arg; 及びAsp-Glu-Arg から成る群から選択され、並びに、X1-X2-Arg は、Asp-Asp-Gly-Asp-Pro-Arg (配列番号1) 及びGlu-Glu-Gly-Glu-Pro-Arg (配列番号2)から成る群から選択される。
他の態様において、X3-X4-Argは、Asp-Gly-Arg 及びGlu-Gly-Arg;から成る群から選択され、並びに、X1-X2-Arg は、Asp-Asp-Gly-Asp-Gly-Arg (配列番号3) 及び Glu-Glu-Gly-Glu-Gly-Arg (配列番号4)から成る群から選択される。
さらなる側面において、本発明は、
式 X1-X2-Arg-B(1-29)-X3-X4-Arg-A(1-21)
を有する一本鎖のインスリン前駆体に関する:
(ここで、X1 はAsp又はGluであり、X2 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、X3 はAsp又はGluであり、X4 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、B(1-29)は、B30アミノ酸残基が欠損したヒトインスリンのB-鎖であるか又はその類縁体であり、A(1-21)は、ヒトインスリンのA-鎖又はその類縁体である)。
本発明のさらなる側面は、一本鎖インスリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列、該ポリヌクレオチド配列を含むベクター、及び、該ベクターを形質転換された酵母菌株を含む。
発明の詳細な説明
本発明の方法を以下にさらに詳細に記載する。個々の工程は、図1に示した。全体の方法は、精製、濃縮及び乾燥状態での単離の工程をさらに含む。
二本鎖インスリン中間体におけるグリシンA1及びフェニルアラニンB1の選択された保護ペプチド配列の使用は、大過剰の試薬(典型的には、テトラデカン酸のような脂肪酸のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル)を用いることなしに、リジンB29のイプシロンアミノ基のほとんど定量的なアシル化を可能にすることを発見した。選択されたペプチド配列のどちらも、それらがインスリンB鎖及びA鎖のそれぞれに結合した場合、その遊離N-末端としてアスパラギン酸又はグルタミン酸残基のいずれか、及び、そのC-末端としてアルギニン残基を有する。保護されたアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の数は、約2〜約10の範囲である。
本発明の方法の他の利点は、下流の精製工程における高速クロマトグラフィー精製工程の数が、著しく減少できるということである。そのようなクロマトグラフィー工程は、カラム中の高価なゲルを用い、中間体の確実な損失に加えて、最終産物がカラム並びに後の単離工程において損失し得る。
請求された一本鎖前駆体を用いることによる他の利点は、醗酵の間に形成したO-グリコシル化された副産物、即ち、A-鎖の位置8におけるマンノシル化の量が著しく減少し得ることであり、例えば約1%未満に減少し得る。そのようなO-グリコシル化生成物のクロマトグラフィー方法による除去は、生成物の損失を伴う。
工程i)において、一本鎖インスリン前駆体は、B29のリジンと、B29をA1と結びつけるペプチド配列における、N-末端アミノ酸残基を構成するグルタミン酸又はアスパラギン酸残基の間で切断される。一本鎖インスリン前駆体は、これによって開口し、その両方のN-末端(それぞれ、X1-X2 Arg及びX3-X4-Arg)が酸性アミノ酸である、二本鎖のインスリン中間体を与える。リジンのカルボニル炭素で特異的に切断するプロテアーゼは周知であり、特に、アクロモバクター・リティカス(Achromobacter lyticus)のリジン特異的プロテアーゼが知られている。反応は、水溶液中か又は有機溶媒と水の混合物中で行われることができる。反応速度は、pHが約9〜10で最大であるが、pH又は温度の何れも加水分解の特異性には決定的でない。工程a) 又はii) において開口した前駆体のA-鎖及びB-鎖のN-末端としてグルタミン酸又はアスパラギン酸を有することの利点は、LysB29 と開口した分子の任意のN−末端との間のペプチド結合形成が完全に無効にされることである。オリジナルの一本鎖インスリン前駆体又はLysB29 -X1 -X2-Arg-B(1-29) リングの何れかに先んずるそのようなペプチド結合形成は、インスリン生成物の直接的な損失をもたらすのみでなく、望ましくない副産物を分離するための追加のクロマトグラフィー精製工程を必要とする。
開口した二本鎖インスリン中間体は、適切なクロマトグラフィー方法によって精製され、次いで、適切な方法、例えば、等電沈殿又は結晶化によって、続く工程a)又はii)の前に単離される。
工程a) 又はii) において、インスリン中間体は、LysB29のイプシロンアミノ基において優先的にアシル化される。この反応に最適な条件は、ガラス電極で測定したとき、有機溶媒と水の混合物中の見かけのpHが約10である。有機溶媒は、水と混合可能な任意の溶媒であり、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジオキサン、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール及びテトラヒドロフランである。有機溶媒は、典型的には長鎖脂肪酸の活性なエステルである試薬の溶解を促進する。高いpHは、LysB29 のε-アミノ基を脱プロトン化して活性な遊離のアミノ基にするために必要である。このアミノ基のpKは、約9.6である。インスリン中に置換される酸の好ましい活性化は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルである。そのようなエステルは、水と有機溶媒の混合物に比較的良い溶解性を示し、所望のアシル化の速度と比較した望まないけん化(即ち、エステル結合の加水分解)の速度が、pH9.5〜10.5の範囲内においてさえ、他のエステルと比べて相対的に低い。インスリン中間体に対する試薬の量は、モルを基本として約1〜約3であるが、その割合は決定的でない。pH10.2〜10.4でN-ヒドロキシスクシンイミドエステルの3当量を使用する場合でさえ、主なピークは、B29モノ-アシル化インスリンであり、開始物質は残っていない。通常30分以内で、B29リジンのアシル化が完全であるとき、反応を、エタノールアミン又はアンモニアのようなアミンの添加によって停止してよい。上記の範囲内の量のアシル化試薬の使用の利点は主に、アシル化されたインスリンと加水分解された過剰量のアシル化剤の共沈殿が避けられるか又は最小であるために、所望の生成物、アシル化されたインスリンの損失が最小かされることである。
アシル化反応において、開口したインスリン前駆体のA-鎖及びB-鎖のN末端として、酸性アミノ酸、即ち、グルタミン酸又はアスパラギン酸の何れかを有する他の利点は、インスリン中間体に対して制限された過剰のアシル化試薬の使用が、定量的な転換を確実にすることを可能にするLysB29のε-アミノ基のアシル化に必要な条件下で、これらのアミノ酸が、N-末端位置における他のα-アミノ酸残基よりもアシル化され易くないことである。しかしながら、LysB29の所望のアシル化に加えてN-末端アミノ基の一つ又は両方のアシル化から得られた副産物は、第三の工程において所望の産物に転換される。
工程b) 又はiii) において、二つのN-末端保護ペプチド配列は、これはアシル化され得るものであるが、トリプシン又はトリプシン様プロテアーゼによって、アシル化されたインスリン中間体から切除されて、LysB29のε-アミノ基においてモノアシル化され、位置A1においてグリシン残基を有し、位置B1においてフェニルアラニン残基を有する所望のdesB30を産する。
工程a) 又はii) におけるpHは、約9.4〜約9.8である。良好な結果は、約9.6のpHで得られる。この工程での温度は低く、約4℃である。
B-鎖における選択されたN-末端の伸長、及び、A-鎖における選択されたC-末端の伸長を有する二本鎖のインスリン中間体は、B-鎖上の対応するN-末端伸長、及び、LysB29 及びGlyA1の間の対応する連結ペプチドを有する一本鎖のインスリン前駆体の切断によって生成され得る。そのような一本鎖のインスリン前駆体は、例えば酵母又は大腸菌での連続的な醗酵によって生成されることができる。本発明の方法で用いられるタイプのインスリン前駆体の生成は、例えば米国特許第6,500,645号に開示されたものと類似する方法によって行われることができる。そのような方法に従って、問題のインスリン前駆体が発現されて酵母細胞から分泌されて、単離され、多くの周知である精製及び分離工程によって精製される。
醗酵後の最初の工程は、酵母細胞を除去する遠心分離である。次いで、一本鎖の前駆体が、その等電点より低いpH値でカチオン交換樹脂に結合することによって回収され、また、その等電pH以上のpHでカチオン交換樹脂から溶出される。請求された前駆体の等電pHは、典型的には4.5〜5.5の範囲であり、結合はpH約3で水溶液から行われ、溶出はpH約6で水とエタノールの混合物により行われる。放出された一本鎖前駆体は、その等電pHで17%エタノールから沈殿され得る。この段階での純度は、典型的には85%である。
開口した二本鎖インスリン中間体を産する一本鎖前駆体の開口は、例えば5〜10 % w/vの濃縮水溶液中で、pHスタット(stat)を用いたpHが約10で、任意にグルタミン酸又はトリエチルアミンのようなバッファーの存在下で、実行され得る。アプライされるリジン特異的プロテアーゼの量は、前駆体の約0.1〜0.5% (w/w)であり、加水分解は室温で約5時間後に完了する。
溶液は、逆相HPLCカラム(C18) にアプライされ、エタノール中の勾配で溶出される。このカラムは、非開口前駆体、リジン特異的プロテアーゼ及び少量で存在する種々の不純物(例えば、醗酵によるO-グリコシル化された誘導体)の何れをも除去する。Ca2+-イオンの存在が、生成物からのO-グリコシル化された誘導体、即ち、開口された二本鎖インスリン中間体の分離を促進する。米国特許第6,180,757を参照されたい。
次いで、インスリン中間体は、17%エタノールから等電沈殿によって単離される。或いは、中間体は、pHが2〜3.5の範囲内で約10%エタノールの存在下、微結晶性形態で、1〜2Mの塩化ナトリウムによって沈殿されることができる。開口された二本鎖インスリン中間体生成物の純度は、約95〜99%である。
開口されたインスリン中間体は、水/濃度8 % (w/v)のアセトニトリル (1/1 v/v)中に溶解され、トリエチルアミンを添加することによってpHを9.5〜10.5に調整される。この溶液に、同じ容量のアセトニトリルに溶解されたテトラデカン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの1〜3当量が加えられる。この反応は、トリエチルアミンを加えてpHを約10に維持しながら、室温で30分行わせた。テトラデカン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの残存した過剰は、10当量のエタノールアミンの添加によってクエンチ(quench)した。
反応混合物のHPLC分析は、B29モノアシル化形態のメインピークと、位置B29で置換された二つのジアシル化誘導体、及びトリアシル化された誘導体のマイナーピークを示す。過剰な試薬の使用は、幾つかのトリアシル化誘導体の上昇をもたらした。開始物質、開口した二本鎖インスリン中間体はほとんど何も残存しない。
この反応混合物に、水に溶解した0.5% (w/w 開口された二本鎖インスリン中間体に対して)のブタのトリプシンを、反応混合物の容量の約20 % v/vに達する容量で加える。室温で1時間後、LysB29(テトラデカノイル),des(B30)インスリンへの転換が完了される。RP-HPLCによる純度は約90%である。
反応混合物は、アニオン交換クロマトグラフィーカラムに直接アプライされ、水中42.5 %エタノールのpH7.5の酢酸塩での勾配で溶出される。RP-HPLCでの純度は99%超である。
メインピークの生成物は、1.5 容量の水性1 mM Zn(OAc)2 、5 mM クエン酸三ナトリウム、0.06% フェノール w/v、pH 約7〜8の添加後に再結晶によって回収される。結晶化は、室温で24時間及び4℃でさらに24時間の間進行される。
定義
「連結ペプチド(connecting peptide)」又は「C-ペプチド」とは、一本鎖インスリン前駆体分子のB-C-Aポリペプチド配列の連結部分「C」を意味する。具体的には、天然のインスリン鎖において、C-ペプチドは、B鎖の位置30とA鎖の位置1を連結する。本発明のインスリン前駆体において、「C-ペプチド」又は「連結ペプチド」は、B29をA1に連結し、天然のC-ペプチドのものとは配列及び長さが異なる。
「desB30」又は「B(1-29)」は、B30のアミノ酸残基を欠いた天然のインスリンB鎖又はその類縁体を意味し、「A(1-21)」は、天然のインスリンA鎖又はその類縁体を意味する。C-ペプチド及びそのアミノ酸配列は、3文字のアミノ酸コードで表示される。
「B1」、「A1」などは、それぞれ、インスリンのB鎖の位置1(N-末端から数えて)におけるアミノ酸残基、並びにインスリンA鎖の位置1(N-末端から数えて)におけるアミノ酸残基を意味する。特定の位置におけるアミノ酸残基は、例えば、位置B1におけるアミノ酸残基がフェニルアラニン残基であることを意味するPheB1 のように表示される。
「優先的な」又は「選択的なアシル化」は、望ましい位置で高度に生じるアシル化を意味し、好ましくは少なくとも望ましくない位置の2〜3倍の高度で、望ましい位置で生じるアシル化を意味する。本発明の方法において、アシル化は、LysB29 のε-アミノ基のみで生じ、二本鎖インスリン前駆体における二つのN-末端α-アミノ基では生じないことが好ましい。
「インスリン前駆体」は、一以上の連続的な化学的及び/又は酵素的処理によって、ヒトインスリン又はdesB30 ヒトインスリンに転換されることができる、一本鎖のポリペプチドを意味する。インスリン前駆体は、ヒトインスリンのように正確に位置されたジスルフィド、即ち、CysA7 と CysB7 の間のジスルフィド架橋、及びCysA20 とCysB19 の間のジスルフィド架橋、及び CysA6 とCysA11の間の内部ジスルフィド架橋を有する。
「一本鎖」ポリペプチドは、一つのN-末端アミノ酸残基及び一つのC-末端アミノ酸残基と、並びにヒトインスリンのようなジスルフィド架橋、即ち、CysA7 と CysB7 の間、及びCysA20 とCysB19 の間のジスルフィド架橋、及び CysA6 とCysA11の間の内部ジスルフィド架橋と、ペプチド結合によって連結した、アミノ酸残基の途切れないポリペプチド鎖である。
「インスリン」とは、ここで使用されるように、CysA7 とCysB7 の間及びCysA20 とCysB19 の間のジスルフィド架橋、並びにCysA6 と CysA11の間の内部ジスルフィド架橋を有するヒトインスリン、ブタインスリン及びウシインスリンを意味する。
「インスリン類縁体」とは、ここで使用されるように、天然のインスリンにおいて生じる少なくとも一つのアミノ酸残基の欠失及び/又は置換によって、及び/又は、少なくとも一つのアミノ酸残基の追加によって、形式的に天然のインスリンの構造(例えばヒトインスリンのもの)から得ることができる分子構造を有するポリペプチドを意味する。追加及び/又は置換されるアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基又は他の天然のアミノ酸残基又は純粋に合成的なアミノ酸残基のいずれであってよい。
インスリン類縁体は、B鎖の位置28が、天然のPro残基から、Asp、Lys、又はIleに改変されたものであってよい。また、位置A21のAsn は、Ala、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Met、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValに、特にはGly、Ala、Ser、又はThrに、好ましくはGlyに改変され得る。さらにその上、位置B3のAsnは、Lys又はAspに改変され得る。インスリン類縁体のさらなる例は、des(B30) ヒトインスリンであり、B1及びB2の一つ又は何れもが欠失したインスリン類縁体;A-鎖及び/又はB-鎖がN-末端伸長を有するインスリン類縁体及びA-鎖及び/又はB-鎖がC-末端伸長を有するインスリン類縁体である。さらなるインスリン類縁体は、B26-B30の一以上が欠失したようなものである。位置B26-B30のアミノ酸残基の一以上が欠失した場合、B鎖のC-末端アミノ酸残基はLysである。
「インスリン誘導体」とはここで使用されるように、例えばインスリン骨格の一以上の位置に側差を導入することによって、又はインスリンのアミノ酸残基の基を酸化又は還元することによって、又は遊離のカルボキシル基をエステル基又はアミド基に転換することによって、化学的に改変された天然のインスリン又はインスリン類縁体を意味する。他の誘導体は、遊離のアミノ基又はヒドロキシ基をアシル化することによって得られる。
「コード可能な(codable)アミノ酸残基」という表現は、三塩基(「コドン」)によってコードされることができるアミノ酸又はアミノ酸残基を示すために用いられる。
本発明の状況において、アミノ酸の3文字又は1文字表記が以下の表に示したようにそれらの従来の意味で用いられる。明確に示さない限り、ここで言及されるアミノ酸は、L-アミノ酸である。さらに、ペプチドのアミノ酸配列の左端及び右端は、それぞれ、他に特定しない限りN-末端及びC-末端である。
Figure 2007532096
「活性化された酸」とは、活性化された脱離基が、ペプチド結合の形成下のアミノ基との反応を可能にし、及び脱離基の放出を可能にするアシル炭素に結合した、カルボン酸を意味する。活性化された脂肪酸は、脂肪酸の活性化されたエステル、脂肪酸の活性化されたアミド、及び無水物又は塩化物であってよい。活性化された脂肪酸は、ヒドロキシベンゾトリアジド(hydroxybenzotriazide)及びN-ヒドロキシスクシンイミドのような、それらの誘導体を含む。
「脂肪酸」とは、少なくとも2炭素原子を有し、飽和又は不飽和の、直鎖又は分枝鎖のカルボン酸を意味する。脂肪酸の例は、カプリン酸、ラウリン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、及びステアリン酸である。
「活性化された脱離基」とは、例えば、炭素から電子を部分的に引き離し、次いで、求核試薬即ちアミノ基に結合する間又は結合した後に炭素を離脱する、求核反応のための活性化された酸のアシル炭素を活性化する基を意味する。活性化している脱離基の例は、エステル基、アゾール及びクロライドを含むアミドである。
「有機溶媒」とは、水と混合可能な任意の有機溶媒を意味し、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール及びテトラヒドロフランである。
「トリプシン又はトリプシン様酵素」とは、リジン及びアルギニン残基において特異的に切断するエンドペプチダーゼを意味する。この加水分解を促進する酵素は、ブタ及びウシのトリプシンである。
「リジン特異的プロテアーゼ」とは、リジン残基で特異的に切断するが、アルギニン残基では切断しないエンドペプチダーゼを意味し、例えばアクロモバクター・リティカスのプロテアーゼである。
「POT」とは、分裂酵母ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子であり、「TPI1」とは、S.セレビシア(cerevisiae)トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子である。
「リーダー」とは、プレ-ペプチド(シグナルペプチド)及びプロ-ペプチドからなるアミノ酸配列を意味する。
「シグナルペプチド」という用語は、タンパク質の前駆体形態においてN-末端配列として存在するプレ-ペプチドを意味するように理解される。シグナルペプチドの機能は、異種性タンパク質に小胞体への移行を促進させることである。シグナルペプチドは、通常、このプロセスの過程で切除される。シグナルペプチドは、タンパク質を生産する酵母有機体に異種性又は相同性であってよい。本発明のDNA構築物と共に使用可能な多くのシグナルペプチドには、酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド又は任意の機能的類縁体(Egel-Mitani et al. (1990) YEAST 6:127-137 and US 5,726,038)及びMFα1遺伝子のα-ファクターシグナル(Thorner (1981) in The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces cerevisiae, Strathern et al., eds., pp 143-180, Cold Spring Harbor Laboratory, NY 及び米国特許第4,870,00号)が含まれる。
「プロ-ペプチド」とは、その機能が、発現されたポリペプチドが小胞体からゴルジ体へ及びさらに培養培地への分泌のための分泌性小胞へ向けられることを可能にするためのポリペプチド配列である(即ち、細胞壁を横断してのポリペプチドの移出又は少なくとも細胞膜を通って酵母細胞の細胞膜周辺腔へのポリペプチドの移出)。プロ-ペプチドは、酵母α-因子プロ-ペプチドであってよい。米国特許第4,546,082号及び同第4,870,008号を参照されたい。或いは、プロ-ポリペプチドは、合成プロ-ポリペプチドであってよく、これは、天然には見られないプロ-ペプチドを言う。適切な合成プロ-ペプチドは、米国特許第5,395,922号;第5,795,746号;第5,162,498号及びWO 98/32867に開示されているものである。プロ-ペプチドは、好ましくは、Lys-Arg 配列又は任意のその機能的類縁体のような、C-末端におけるエンドペプチダーゼプロセッシングサイトを含む。
本発明のポリヌクレオチド配列は、確立された標準的な方法、例えば、「Beaucage et al. (1981) Tetrahedron Letters 22:1859-1869」に開示されているようなホスホアミジト方法、又は「Matthes et al. (1984) EMBO Journal 3:801-805」に開示されているような方法によって合成的に調製されてよい。ホスホアミジト方法に従えば、オリゴヌクレオチドは、例えば自動DNA合成機で合成され、精製され、二重にされ、及びライゲートされ、合成DNA構築物が形成される。現在、DNA構築物を調製する好ましい方法は、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)によるものである。
本発明のポリヌクレオチド配列は、ゲノム起源、cDNA起源、及び合成起源の混合物であってもよい。例えば、リーダーペプチドをコードするゲノム又はcDNA配列は、A鎖及びB鎖をコードするゲノム又はcDNA配列に結合されてもよく、その後、そのDNA配列は、周知の方法に従って異種性組換えのための所望のアミノ酸配列をコードする合成オリゴヌクレオチドを挿入することによって、又は好ましくは、適切なオリゴヌクレオチドを用いたPCRによって所望の配列を作成することによって、サイトにおいて改変され得る。
本発明は、選択された微生物又は宿主細胞中で複製が可能であり、本発明のインスリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を保有するベクターを包含する。組換えベクターは、自己複製ベクター、即ち、染色体外実体として存在するベクターであってよく、その複製が染色体の複製から独立している、例えば、プラスミド、染色体外要素、小染色体、又は人工染色体である。ベクターは、自己複製を保証する任意の手段を含んでよい。或いは、ベクターは、宿主細胞に導入される場合、ゲノムに組み込まれたものであり、それが組み込まれた染色体と共に複製されてもよい。さらにその上、宿主細胞のゲノム中に導入されるトータルDNAを共に含む、一つのベクター又はプラスミド或いは二以上のベクター又はプラスミド、或いはトランスポゾンが用いられても良い。ベクターは、直線状又は閉じた環状プラスミドであってよく、好ましくは、宿主細胞のゲノム中へのベクターの安定な組み込みを可能にする要素、又は、細胞中でゲノムと独立してベクターの自己複製を可能にする要素を含む。
本発明の組換え発現ベクターは、酵母中で複製可能である。ベクターを酵母中で複製可能にする配列の例は、酵母プラスミド2 μm複製遺伝子REP1-3及び複製開始点である。
本発明のベクターは、好ましくは、形質転換された細胞の選択を容易にする、一以上の選択可能マーカーを含む。選択可能マーカーは、その生成物が、殺生剤又はウイルス抵抗性、重金属耐性、原栄養体を栄養要求体へなどにする遺伝子である。細菌性の選択可能マーカーの例は、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)又はバチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)のdal遺伝子、又はアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性のような、抗生物質耐性を与えるマーカーである。糸状真菌宿主細胞中で用いるための選択可能マーカーには、amdS (アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、pyrG (オロチジン-5’-リン酸デカルボキシラーゼ)及びtrpC(アントラニル酸シンターゼ)が含まれる。酵母宿主細胞に適したマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3である。酵母のために好ましい選択可能マーカーは、分裂酵母ポンペTPI遺伝子(Russell (1985) 遺伝子 40:125-130)である。
ベクターにおいて、ポリヌクレオチド配列は、適切なプロモーター配列に操作可能に連結される。プロモーターは、選択された宿主細胞において転写活性を示す任意の核酸配列であってよく、変異体、切断された、及びハイブリッドのプロモーターを含み、該宿主細胞に異種性又は相同性の何れの細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
細菌宿主細胞中で転写を指示するのに適切なプロモーターの例は、E.coli lacオペロン、ストレプトマイセス・コエリコロル・アガラーゼ(coelicolor agarase)遺伝子(dagA)、バチルス・サブチルス・レバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バチルス・リケニホルミス・アルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、バチルス・ステアロセルモフィルス・マルトジェニック(stearothermophilus maltogenic)アミラーゼ遺伝子(amyM)、バチルス・アミロリクエファシエンス(amyloliquefaciens)アルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、及びバチルス・リケニフォルミス・ペニシリナーゼ(licheniformis penicillinase)遺伝子(penP)から得られたプロモーターである。糸状真菌宿主細胞中で転写を指示するのに適切なプロモーターの例は、コウジカビTAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエイ・アスパルティック・プロテイナーゼ(Rhizomucor miehei aspartic proteinase)、クロカビ中性アルファ-アミラーゼ、及びクロカビ酸安定性アルファ-アミラーゼの遺伝子から得られたプロモーターである。酵母宿主において有用なプロモーターは、酵母(Saccharomyces cerevisiae)Ma1、TPI、ADH又はPGKのプロモーターである。
本発明のポリヌクレオチド構築物は、典型的には、適切なターミネーターにも操作可能に連結されている。酵母において適切なターミネーターは、TPIターミネーター(Alber et al. (1982) J. Mol. Appl. 遺伝子t. 1:419-434)である。
本発明のポリヌクレオチド配列、プロモーター及びターミネーターのそれぞれのライゲートのために用いられる方法、及び、それらを、選択された宿主中で複製に必要な情報を含む適切なベクター中に挿入するために用いられる方法は、当該分野の技術者には周知である。まず本発明のインスリン前駆体をコードする完全なDNA配列を含むDNA構築物を調製し、続いてこの断片を適切な発現ベクター中に挿入すること、或いは、個々の要素(例えばシグナル、プロ-ペプチド、ミニC-ペプチド、A鎖及びB鎖)の遺伝子的情報を含むDNA断片を挿入した後ライゲーションを連続的に行うこと、の何れかによって、ベクターが構築可能であることは理解されるであろう。
本発明はまた、本発明のインスリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を含む組換え宿主細胞にも関する。そのようなポリヌクレオチド配列を含むベクターは、該ベクターが染色体組み込みとして又は上述したような自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞中に導入される。「宿主細胞」という語は、複製の間に生じた変異のために親細胞と同一でない、親細胞の任意の子孫を包含する。宿主細胞は、単細胞微生物、例えば原核生物、又は非-単細胞微生物、例えば真核生物であってよい。有用な単細胞は、これらに限定されないが、バチルス細胞、ストレプトマイセス細胞を含むグラム陽性細菌、又はE. coli及びシュードモナス種のようなグラム陰性細菌等の細菌細胞である。真核生物細胞は、哺乳類、昆虫、植物、又は真菌細胞であってよい。好ましい態様において、宿主細胞は酵母細胞である。本発明の方法で用いられる酵母有機体は、培養、本発明のインスリン前駆体の大量生産において適切な任意の酵母有機体であってよい。適切な酵母有機体の例は、サッカロミセス・セレビイシア(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセス・ウバルム(Sacchoromyces uvarum)、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、カンジダ種(Candida sp.)、カンジダ・ウティリス(Candida utilis)、カンジダ・カカオイ(Candida cacaoi)、ゲオトリキュウム種(Geotrichum sp.)及びゲオトリキュウム・フェルメンタンス(Geotrichum fermentans)の酵母種から選択される菌株である。
酵母細胞の形質転換は、例えば、それ自体周知の方法でのプロトプラスト形成に続く形質転換によって行われ得る。細胞の培養に用いる培地は、酵母有機体の増殖に適切な任意の従来の培地であってよい。分泌された本発明のインスリン前駆体(その有意な割合が正確に処理された形態で培地中に存在する)は、遠心分離、濾過、又はイオン交換マトリックスによるインスリン前駆体の捕捉、又は逆相吸着マトリックス、上清のタンパク質の成分の沈殿、又は、例えば硫酸アンモニウムのような塩による濾過等による、培地からの酵母細胞の分離を含む従来の方法によって培地から回収され、続いて、種々のクロマトグラフィー方法、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー等による精製されることができる。
遅延性のインスリン組成物は、当該分野で周知である。例えば遅延性インスリン組成物の一つの主なタイプは、インスリン結晶又はアモルファスインスリンの注射可能な水溶性懸濁液を含む。それらの組成物において、利用されるインスリン組成物は、典型的には、プロタミンインスリン、亜鉛インスリン又はプロタミン亜鉛インスリンである。
LysB29-( テトラデカノイル), des(B30) ヒトインスリンを含む可溶性遅延性インスリン製剤は、インスリン・デテミア(detemir)又はインスリン・リベミア(Levemir)(登録商標)として、及びWO 95/07931から、臨床において知られている。
本発明は、以下の実施例においてさらに詳細に記載されるが、これは、本発明の範囲を請求の範囲に制限する何らの意図も有さない。添付図は、本発明の明細書及び説明の複合的な部分として考慮されるよう表される。本明細書で挙げられた刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、それぞれの参考文献が個々に及び具体的に参考として援用されるよう示され、また、その全てが本明細書において説明されたように(法によって許可される最大範囲に)、それらの全て及びその同じ範囲に参考として本明細書中に援用される。
全ての表題及び副題は、本明細書において便宜的にのみに用いられ、何らの方法でも、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
本明細書で提供された、任意の及び全ての実施例、又は典型的な言い回し(例えば、「のような」)の使用は、単に本発明のより良い解明を意図するものであり、請求項で断らない限り、本発明の範囲を限定するものではない。明細書中の言い回しの何れも、請求されていない要素を本発明の実施のために必須であると表すものとして解釈されるべきではない。
ここで特許書類の引用及び組み込みは、便宜的にのみ行われ、そのような特許書類の有効性、特許性、及び/又は実施性のいずれの観点をも反映するものではない。
本発明は、これに付随した請求の範囲における対象事項の全ての改変及び等価物を適用可能な法によって許容されるように含む。
[例1]
発酵、一般的方法
プラスミドの選択及びS.セレビシア中における安定化の目的のために、分裂酵母ポンベトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子(POT)を含有することによって特徴づけられる全ての発現プラスミドは、EP 171,142において開示されたものに類似する、C-POTタイプである。このプラスミドは、S.セレビシアトリオースリン酸イソメラーゼのプロモーター及びターミネーターをも含む。それらの配列は、リーダーの融合タンパク質及びインスリン前駆体生成物をコードするEcoRI-XbaI断片の配列を除く全ての配列であるように、プラスミドpKFN1003 (WO 90/100075に開示されている)における対応する配列と類似している。異なる融合タンパク質を発現するために、pKFN1003のEcoRI-XbaI断片を、関心のあるリーダー-インスリン前駆体-融合体をコードするEcoRI-XbaI断片によって単純に置換する。そのようなEcoRI-XbaI断片は、合成オリゴヌクレオチド及び標準的な技術に従うPCRを用いることによって合成され得る。
酵母形質転換は、宿主菌株S. セレビシア菌株MT663 (MATa/MATα pep4-3/pep4-3 HIS4/his4 tpi::LEU2/tpi::LEU2 Cir+)の形質転換によって調製した。酵母菌株MT663は、「Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen」に、WO 92/11378と関連して寄託されており、寄託番号DSM 6278が与えられている。
MT663は、YPGaL (1% バクトイーストエクストラクト、2% バクトペプトン、2%ガラクトース、1% ラクテート)上で600 nmでのO.D.が0.6になるまで増殖させた。培養物100 mlを遠心分離で集め、10 mlの水で洗浄し、再遠心分離し、1.2 M ソルビトール、25 mM Na2EDTA pH = 8.0 及び 6.7 mg/ml ジチオトレイトールを含む溶液10 mlに再懸濁した。この懸濁液を30℃で15分間インキュベートし、遠心分離し、細胞を、1.2 M ソルビトール、10 mM Na2EDTA、0.1 Mクエン酸ナトリウム、pH 0 5.8、及び2 mg Novozym(登録商標)234を含む溶液10 mlに再懸濁した。懸濁液を30℃で30分間インキュベートし、細胞を遠心分離によって集め、10 mlの1.2 M ソルビトール及び10 mlのCAS (1.2 M ソルビトール, 10 mM CaCl2, 10 mM Tris HCl (Tris = トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン) pH = 7.5)で洗浄し、2 mlのCASに再懸濁した。形質転換のために、1 mlのCAS-懸濁された細胞を、約0.1 mgのプラスミドDNAと混合し、室温で15分間置いた。1 mlの(20% ポリエチレングリコール4000、10 mM CaCl2、10 mM Tris HCl、pH = 7.5)を加え、該混合物を室温でさらに30分間置いた。この混合物を遠心分離し、ペレットを0.1 mlのSOS (1.2 M ソルビトール, 33% v/v YPD, 6.7 mM CaCl2)に再懸濁し、30℃で2時間インキュベートした。次いで、懸濁液を遠心分離し、ペレットを0.5 mlの1.2 M ソルビトールに再懸濁した。次に、52℃で、1.2 M ソルビトールに加えて2.5%アガーを含む、6 mlのトップアガー(the SC medium of Sherman et al. (1982) Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory)を加え、該懸濁液を同じアガーを凝固した、ソルビトール含有培地を含むプレートの上に注いだ。
発現プラスミドで形質転換されたS.セレビシア菌株MT663 を、YPD中で72時間、30℃で増殖させた。培養物上清中に生産されたインスリン前駆体の定量化は、外部標準としてヒトインスリンを用いた逆相HPLC分析で行った(Snel & Damgaard (1988) Proinsulin heterogenity in pigs. Horm. Metabol. Res. 20:476-488)。
他の適切な酵母菌株は、二倍体菌株であり、2アスパルチルプロテアーゼ活性、即ち、一塩基性又は二塩基性のアミノ酸残基のC-末端側を切断する(Egel-Mitani, et al., YEAST 6: 127-137, 1990) YPS1 (previously called YAP3) YPS1並びに、プロテアーゼB、カルボキシペプチダーゼY、アミノペプチダーゼI、RNase、アルカリホスファターゼ、酸スレハラーゼ(acid threhalase)及びエキソポリホスファターゼ(exopolyphosphatase)のような他のプロテアーゼの活性化の原因である、PEP4 空胞プロテアーゼ Aの活性を欠く表現型を有する、菌株ME1719である。さらに、トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子 (TPI)は破壊されてその表現型はグルコース含有培地上で増殖する形質転換体においてグルコースを利用することを可能にする。
ME1719の遺伝的バックグラウンドは、MATa/αΔyps1::ura3/Δyps1::URA3 pep4-3/pep4-3 Δtpi::LEU2/Δtpi::LEU2 leu2/leu2 Δura3/ Δura3である。この菌株は、例えば欧州特許第909,312号に開示されている。
[例2]
インスリン前駆体の発現
プレ-ペプチド(シグナルペプチド)及びプロ-ペプチドからなるリーダー配列を付随したインスリン前駆体から成る、融合タンパク質をコードする合成遺伝子を、標準的な条件下でのPCR(Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory Press)及びE.H.F.ポリメラーゼ(Boehringer Mannheim GmbH, Sandhoefer Strasse 116, Mannheim, Germany)を用いて構築した。得られたDNA断片を単離し、エンドヌクレアーゼで消化し、遺伝子クリーンキット(gene Clean kit)(Bio101 Inc., La Jolla, CA, USA)を用いて精製した。標準的な方法をDNAライゲーションのために用い、E. coli細胞の形質転換は、CaCl2 方法(Sambrook et al. (1989) supra)によって行った。プラスミドは、QIAGEN カラム(QIAGEN, Hilden, Germany)を用いて形質転換されたE.coliから精製した。ヌクレオチド配列は、精製された二重鎖プラスミドDNAをテンプレートとして、ALF ファルマシア・バイオテックDNA配列システムを用いて決定した。PCRのためのオリゴヌクレオチドプライマーは、DNAテクノロジー(Arhus, Denmark)から得た。
インスリン前駆体の分泌は、種々の既知の酵母リーダー配列が使用可能であるが、TA57 リーダー又はTA39リーダー(Kjeldsen et al., 1998. Protein Expression Purif. 14, 309-316)によって促進した。
発現プラスミドは、適切なシグナルリーダー配列及びTPI-プロモーター配列をコードするDNAとリーディングフレームにおいて融合された問題のインスリン前駆体をコードするDNAを含む。プラスミドは、S.セレビシア-E.coliシャトル(shuttle)POT プラスミド(米国特許第5,871,957号)に基づく。
インスリン前駆体は、LysB29 及び GlyA1と連結している選択されたペプチド配列を有する一本鎖N-末端伸長インスリン前駆体として分泌される。
以下の一本鎖インスリン前駆体が生成された:
Figure 2007532096
[例3]
アシル化されたインスリンの生成
1 gの一本鎖インスリン前駆体EEGEPR(配列番号2) -B(1-29)-EPR-A(1-21)、Mw 6768を、10 mlの水に分散させ、NaOHをpH 9.7まで加えて溶解させた。この溶液に、1 mlの水に溶解した5 mgのアクロモバクター・リティカスのプロテアーゼを加えた。加水分解の間、0.1 M NaOHを加えて、pHを9.7〜10.0の間に一定に維持した。
室温で5時間後、1% 未満の一本鎖前駆体が残され、開口した二本鎖中間体の含有量は、HPLCでモニターして93%であった。
MALDI-TOFによる質量分析は6786を示した。理論値6786。
溶液はC18-置換シリカRP-HPLCカラムに直接アプライし、25〜33 % (v/v)のエタノール中勾配で、12カラム容量の合計容量及び、0.2 M KCl, 0.02 M CaCl2, 0.01 M トリエタノールアミンを含み、HClを加えてpHを7.4に調整した溶媒を用いて溶出した。
開口した二本鎖インスリン中間体は、約6カラム容量の後に出現した。トップ画分の純度は99%であった。生産物は、プールした画分に1容量の水を加えて4℃に冷却することによって、pH5.0において沈殿させた後、遠心分離して単離した。収量0.8g。
0.8 g (0.118 mmol)の開口二本鎖インスリン中間体EEGEPR(配列番号2) -B(1-29)、EPR-A(1-21)、純度 96 %を、10 ml の水とアセトニトリルの1:1 混合物(v/v)に溶解した。トリエチルアミンを添加してpH を10.4に調整した。pHはガラス電極を用いてモニターした。
この溶液に、115 mgのテトラデカン酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(0.354 mmol)を添加した。pHは、室温で30分の間に10.2に低下した。0.05 mlのエタノールアミンを添加して、反応を停止した。
反応混合物のHPLCにより、化合物の以下の相対分布が示された:
非-置換中間体インスリン 0.0 %
(A+B) N-末端モノ-アシル化誘導体 6.0 %
B29 モノ-アシル化誘導体 86.6 %
(A,B) N-末端ジ-アシル化誘導体 0.0 %
((A+B) N-末端,B29) ジ-アシル化誘導体 4.9 %
トリアシル化誘導体 2.5 %
この混合物において、B29置換を特徴とする化合物は94%に達している。
3 mlの水溶液に溶解した3 mgのブタトリプシンを、反応混合物に加えた。pHは、室温で45分の間に9.8に低下した。
中性pHにおける分析的RP-HPLCは、B29 一置換インスリン中間体の後、及び3つの全ての二置換インスリン中間体の前に位置して溶出する80 % のLys(Nε-テトラデカノイル),des(B30)インスリン(MALDI-TOF 5917)を示した。早期溶出Des(B30)インスリン(MALDI-TOF 5707)は1.7 %に達した。
アルギニンB22とグリシンB23の間で切断されて生じたトリプシン切断の副産物は検出されなかった。
溶液を、Source 30Q アニオン交換樹脂を充填したカラムにアプライし、42.5 % (v/v) のエタノール、0.02 M トリスバッファーを含むpH 7.5のバッファーで、酢酸アンモニウムの0.03 Mから0.16 Mの直線勾配を用いて溶出した。Lys(Nε-テトラデカノイル),des(B30)インスリンは、勾配の終り近くで溶出した。100 mlのプールしたトップ画分に、0.02 M アンモニア、0.06 % (w/v)のフェノール及び1 mMの酢酸亜鉛を含む150 mlの水溶液を1時間の間加えた。pHを8.0に調整し、室温で18時間、続いて4℃で18時間、沈殿を進行させた。生成物を遠心分離で集め、冷水で洗浄して乾燥した。全3工程の後の収量は0.5g又は50%であった。純度は99.5%と評価された。
質量: MALDI-TOF 5917; 理論値5917。
[例4]
アシル化反応、試薬の過剰量及び溶媒のタイプを変動
開口したインスリン前駆体EEGEPR(配列番号2)-B(1-29)- EPR-A(1-21)の8 mM 溶液0.9 mlの4サンプルに、1 N Na2CO3 をpH 10.0まで添加した。これに、以下のそれぞれを0.9 ml添加した:
A:アセトニトリル中の10 mMテトラデカン酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル溶液
B:アセトニトリル中の20 mMテトラデカン酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル懸濁液
C:アセトニトリル中の30 mMテトラデカン酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル懸濁液
D:アセトン中の30 mMテトラデカン酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル溶液。
過剰量のアシル化試薬は、それぞれ1.25、2.5、3.75及び3.75になった。
ガラス電極で測定したときの見かけ上のpHは、4つの混合物で約10.6まで上昇した。室温で60分後、見かけ上のpH値は、約10.2であり、0.05 mlの1 N NH4Clを添加して反応を停止し、これによって、見かけ上のpHは約10.0に下落した。反応生成物の組成をRP-HPLCで分析した。(A又はB)N-末端モノ-アシル化誘導体は、4サンプルの何れでも検出されなかった。トリ-アシル化された誘導体は、検出するには出現が遅すぎた。
4反応混合物に、1 mlの水に溶解した1 mgのトリプシンを加えた。室温で60分後、pHを2.5に調整して反応を停止した。最終的な反応生成物の組成を、再びRP-HPLCで分析した。
この結果を以下の表2に表す。
Figure 2007532096
[例5]
鎖のN-末端アミノ酸としてアスパラギンを用い、C-ペプチドにおけるArgに隣接するGlyを用いたアシル化反応
開口二本鎖インスリン中間体DDGDPR (配列番号1)-B(1-29)-DGR-A(1-21)、Mw 6690を、例3の方法と類似して湿潤沈殿物として調製した。約3 ml の湿潤沈殿の形態での開口インスリン中間体の0.063 mmolに等しい合計420 mgを、N-メチルピロリドンに溶解して10 mlにし、トリエチルアミンを用いてpHを9.6に調整した。
この溶液に、3 mlのN-メチルピロリドンに溶解した41 mg (2当量)のテトラデカン酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Mw 325)を加え、アシル化反応を室温で行い、トリメチルアミンを加えてpHを9.6で一定に維持した。60分後、1.5 mlの水中 1 N NH4Clを加えて反応を停止し、これによってpHは9.3になった。
アシル化の反応生成物の組成を、RP-HPLCで分析した。
この反応混合物に、26 mlの水に溶解した2 mgのトリプシンを加えた。トリプシン消化を、室温で2時間及び4℃で一晩行った。
トリプシン消化の反応生成物の組成を、RP-HPLCで分析した。結果を次の表3に表す:
Figure 2007532096
[例6]
鎖のN-末端アミノ酸としてアスパラギンを用い、C-ペプチド及びB−鎖伸長におけるアルギニンに隣接するグリシン残基を用いたアシル化反応
開口二本鎖インスリン中間体DDGDGR(配列番号3)-B(1-29)-DGR-A(1-21)、Mw 6649は、例3の方法と類似して湿潤沈殿として調製される。約3 mlの湿潤沈殿の形態での開口二本鎖中間体の0.1 mmolと等しい、総計665 mgは、N-メチルピロリドンに溶解して10 mlにされ、トリメチルアミンを用いてpHを9.6に調整される。
この溶液に、3 mlのN-メチルピロリドンに溶解した68 mg (3 equivalents)のテトラデカン酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル (Mw 325)を加え、アシル化反応を室温で、
トリメチルアミンを加えてpHを9.6で一定に維持して行う。60分後、2 mlの水中1 N NH4Clを加えて反応を停止し、pH を9.6に再調整する。
アシル化の反応生成物の組成はRP-HPLCで分析される。
この反応混合物に、60 mlの水に溶解した2 mgのトリプシンを加え、有機溶媒の濃度を約14%まで減少させる。
トリプシン消化は4℃で24時間行われる。
トリプシン消化の反応生成物の組成は、RP-HPLCによって分析される。
本発明の方法のフローシートを示す。

Claims (26)

  1. アシル化されたインスリン又はインスリン類縁体の製造方法であって、
    a) 式
    Figure 2007532096
    (ここで、X1 はAsp又はGluであり、X2 は Cys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、X3 はAsp又はGluであり、及びX4 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、B-鎖はヒトインスリンのB-鎖又はその類縁体であり、及びA-鎖はヒトインスリンのA-鎖又はその類縁体である)
    を有するインスリン中間体を、B-鎖におけるC-末端のリジンアミノ基においてアシル化すること、及び
    b) トリプシン又はトリプシン様プロテアーゼによってアシル化された中間体におけるArgとB1の間、及びArgとA1の間のペプチド結合を切断し、アシル化されたインスリン又はインスリン類縁体を生成すること、
    を含む方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記工程a) におけるインスリン中間体が、
    LysB29 とX3の間のペプチド結合を切断するリジン特異性プロテアーゼによる、
    式 X1- X2 -Arg-B(1-29)- X3-X4- Arg-A(1-21)
    (ここで、X1 はAsp又はGluであり、X2 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、X3 はAsp又はGluであり、X4 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、B(1-29)は、B30アミノ酸残基が欠損したヒトインスリンのB-鎖又はその類縁体であり、A(1-21) はヒトインスリンのA-鎖又はその類縁体である)
    を有する一本鎖のインスリン前駆体の切断によって生成されることを特徴とする方法。
  3. b) において生成されたアシル化されたインスリン又はインスリン類縁体を単離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記工程a) においてアシル化剤が、1〜5当量で、好ましくは1〜3当量で用いられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記工程a) におけるアシル化剤が、脂肪酸の活性化されたエステル又は活性化されたアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 前記活性化された脂肪酸エステルが、脂肪酸のN-ヒドロキシスクシンイミドエステルである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記リジン特異的プロテアーゼが、アクロモバクター・リティカス(Achromobacter lyticus)のプロテアーゼである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記工程a) におけるpHが、約9〜約10.5である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記工程b) におけるpHが、約9.3〜9.9である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記脂肪酸が、6〜18のC-原子を有する長鎖脂肪酸である、請求項5に記載の方法。
  11. 前記脂肪酸が、10〜18のC-原子又は10〜14のC-原子を有する脂肪酸である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記脂肪酸が、カプリン酸、ラウリン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、及びステアリン酸からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記工程a) における溶媒が、水と、NMP、DMF、DMAC、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びtert-ブタノールからなる群から選択される水と混合できる有機溶媒との混合物である、請求項1に記載の方法。
  14. X2 が、2〜8、2〜6、2〜5、2〜4又は2〜3のアミノ酸残基長である、請求項1に記載の方法。
  15. X4 が、2〜8、2〜6、2〜5、2〜4又は2〜3のアミノ酸残基長である、請求項1に記載の方法。
  16. X2 が少なくとも一つのGlyを含む、請求項1に記載の方法。
  17. X4 が少なくとも一つのGlyを含む、請求項1に記載の方法。
  18. X4 がGlyである、請求項1に記載の方法。
  19. X2 が、N-末端からみて最初のアミノ酸残基としてGlu又はAspを有する、請求項1に記載の方法。
  20. X4 が、N-末端からみて最初のアミノ酸残基としてGlu又はAspを有する、請求項1に記載の方法。
  21. X3-X4-Argが、Asp-Pro-Arg; Glu-Pro-Arg;及びAsp-Glu-Argから成る群から選択され、及びX1-X2-Argが、Asp-Asp-Gly-Asp-Pro-Arg (配列番号1)及びGlu-Glu-Gly-Glu-Pro-Arg (配列番号2)から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
  22. X3-X4-Argが、Asp-Gly-Arg及びGlu-Gly-Argからなる群から選択され; 及び、X1-X2-ArgがAsp-Asp-Gly-Asp-Gly-Arg (配列番号3)及びGlu-Glu-Gly-Glu-Gly-Arg (配列番号4)から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
  23. 式 X1-X2-Arg-B(1-29)-X3-X4-Arg-A(1-21)
    を有する一本鎖のインスリン前駆体
    (ここで、X1 はAsp又はGluであり、X2 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、X3 はAsp又はGluであり、X4 はCys、Lys及びArgを除く1-10のアミノ酸残基によるペプチド配列であるか又はペプチド結合であり、B(1-29)は、B30アミノ酸残基が欠損したヒトインスリンのB-鎖であるか又はその類縁体であり、A(1-21)は、ヒトインスリンのA-鎖又はその類縁体である)。
  24. 請求項23に記載の一本鎖のインスリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列。
  25. 請求項24に記載のポリヌクレオチド配列を含むベクター。
  26. 請求項25に記載のベクターを形質転換された酵母細胞。
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