JP4386722B2 - アシル化されたポリペプチドの製造方法 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、インビトロ工程における、後続の工程においてアシル化され、続いてLys切断部位で切断されるべき所望のポリペプチドの前駆体分子を発現することによって、形質転換されたホスト細胞においてポリペプチドを製造する方法に関する。本発明は、また、当該権利請求された方法において使用されるDNA配列、ベクターおよび形質転換されたホスト細胞に関する。更に、本発明は、当該所望のポリペプチドの幾つかの前駆体および幾つかのアシル化方法に関する。
発明の背景
組み換えDNA技術は、微生物および他のホスト細胞における異質(非相同)ポリペプチドの発現を可能にした。酵母においては、非相同ポリペプチドの発現は、前記ポリペプチドをコードするDNA配列を含む適切な発現ベクターを用いる酵母細胞の形質転換の後に、多くの種類のポリペプチド、例えば、インスリンおよびインスリン前駆体、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド並びにその類似体などについて既に成功している。
しかしながら、組み換えホストにおいて限られた大きさの蛋白質またはポリペプチドを発現する際に共通する問題は、ホスト有機体により産生された蛋白質分解酵素によって、当該発現産物が酵素分解性に劣化(degradation)することである。
従って、当該単離された生成物は、異なるアミノ酸鎖長を有する種類の不均一な所望のポリペプチドの混合物である可能性がある。酵母における不均一なポリペプチドの産生で遭遇する別の問題は、低収率であり、恐らくは、細胞内コンパートメント内と細胞膜での両方における、当該ポリペプチド内部での異常なプロセッシングによって生じた蛋白質分解の進行に帰因するものである。酵母は、酵母蛋白質の処理に使用される多くのプロテアーゼ、例えば、二塩基アミノ酸配列のC末側で切断する Kex2pおよびYps1pや、Kex2P による内部蛋白質分解性の消化(endoproteolytic digestion)の後に残った塩基性アミノ酸を消化するカルボキシペプチダーゼ Kex1p や、X-Ala または X-Pro で切断する Ste13p または Dap2p などを含む。
幾つかのポリペプチド、例えば、約 10 から約 100 アミノ酸鎖を有し、ジスルフィド結合を持たず、または幾つかの(a few)ジスルフィド結合のみを有し、および/または塩基性アミノ酸の豊富なポリペプチドなど、例えば、β‐エンドルフィン、グルカゴンおよびグルカゴン様ペプチドなどは、特に、形質転換されたホスト細胞において発現される際には、それらの短鎖の開放および非ジスルフィド安定化構造のために細胞内および細胞外蛋白分解の影響を受け易く、N およびC末端での蛋白質分解並びに内部蛋白質分解(endoproteolytically degraded)を被り得る同質でない生成物に帰着する。
更に、ホスト細胞が産生した酵素による発現されたポリペプチドのN末切断は、当該発現産物のN末が内因性酵素の切断部位を構成する場合には、正しいN末を有する所望の生成物の収率を低下する原因ともなり得る。酵母では、例えば、酵素 Ste13p は X-Ala または X-Proを切断する(ここで、X は何れのアミノ酸残基であってもよい)。従って、Ala または Pro 残基をN末端から2番目の残基として有するポリペプチドは、N末端で切断される可能性があり、回収されたポリペプチドは種々の分解産物の混合物である可能性があり、これは回収工程を複雑にし、全体の収量を低下する。
更に、三次構造がなく、または殆どなく、αへリックスの含有量の少ない小さいポリペプチドは、発酵過程中並びに大規模生産における下流の分離および精製工程中に、互いに重なるβシートの形成や微小繊維の形成を生じる傾向が高い。微小繊維の形成は、所望の生成物の損失を伴う望ましくない沈殿の原因となり得る。微小繊維化は、高い pH での処理により防ぎ得る。しかしながら、そのようなアルカリ性の処理は、生成物に対して相当に過酷であり、望ましくない D-アミノ酸残基の形成を生じ得る。
ヒトGLP-1は、プレプログルカゴンから生じる 37 アミノ酸残基ペプチドであり、遠位回腸、膵臓および脳における L-細胞において合成される。プレプログルカゴンを処理してGLP-1(7-36)アミド、GLP-1(7-37)およびGLP-2を得ることは、主に、L-細胞において起こる。GLP-1およびGLP-2は共に、AlaをN末端から2番目のアミノ酸残基として有しており、それ故に、酵母などのホスト有機体において発現される際にはN末切断の傾向がある。
天然に生じるペプチドまたはその類似体における親油性アシル基の挿入は、生来のペプチドまたは未修飾の類似体に関して延長されたプロフィールをもつアシル化ペプチドを生じることが示されている。この現象は、GLP-1およびその類似体のアシル化を開示する WO 98/08871と、GLP-2 およびその類似体のアシル化を開示する WO 98/08872 に開示され、説明されている。
Lys切断部位を含む前駆体分子をアシル化する際には、そのようなアシル化が後続の切断を妨げるので、Lys切断部位のアシル化は避けるべきであった。本発明に従う方法は、以下から明らかになる通り、この問題に対する解決策である。
発明の概要
その最も広範な側面において、本発明は、所望のポリペプチドの前駆体分子を発現することによって、形質転換されたホスト細胞においてポリペプチドを製造する方法であって、前記前駆体分子が、当該発現される前駆体分子の選択的なアシル化を可能にし、且つホスト細胞内または培地における蛋白質分解性の劣化から当該発現された前駆体分子を保護するN末伸長を含む方法に関する。更に、当該前駆体分子は、精製がより容易であり、微小繊維を形成する傾向がより少なく、従って大規模生産における下流の分離および精製工程の際により高い融通性が得られる。
1 側面において本発明は、そのε-アミノ基においてアシル化されている少なくとも1のリジン残基を含むポリペプチドを製造する方法であって、前記方法が以下の工程を具備する方法に関する:
(i) 所望のポリペプチドの前駆体分子をコードするポリヌクレオチド配列を含むホスト細胞を、前記前駆体分子の発現に適切な条件下で培養すること(ここで前記前駆体分子は所望のポリペプチドとN末伸長とを含み、前記N末伸長はリジン切断部位で所望のポリペプチドから切断可能である);
(ii) 当該発現された前駆分子を培養ブロスから分離すること;
(iii) 当該N末伸長におけるLys切断部位のε-アミノ基をアシル化することなく、当該所望のポリペプチドにおける少なくとも1のリジンのε-アミノ基を選択的にアシル化すること;
(iv) 当該N末伸長を当該アシル化された前駆体分子から酵素による切断によって取り除くこと;および
(v) 当該アシル化されたポリペプチドを適切な手段によって単離すること。
発明の詳細な説明
当該N末伸長は典型的に 15 アミノ酸までの長さであり、3-15;3-12;3-10;3-9;3-8;3-7;3-6;または 3-5 アミノ酸までの長さであってもよい。当該N末伸長におけるアミノ酸は、以下の複数の目的で選択される: 1)N末伸長のC末端でのLys切断部位のアシル化を防ぐまたは最小化すること;2) 当該発現された前駆体分子を内部蛋白質分解性の劣化から保護すること;および3) 発酵過程並びに大規模生産における分離および精製などの下流処理工程中の微小繊維化により生じる沈殿を防ぐこと。更に、当該N末伸長の両端でのアミノ酸残基は選択されるべきであり、それによって当該C末端(Lys切断部位)で当該所望のポリペプチドからN末伸長が効率よく切断されること、並びに、酵母細胞において、N末端で、当該発現されたポリペプチドのホスト細胞から外へおよび培地への移送を保証する目的を有する、例えば、プレまたはプレプロペプチドなどの可能な上流配列から、N末伸長が効率よく切断されることが保証される。最後に、当該N末伸長を精製目的のためのタグとして使用してもよい。
1 態様において、本発明は方法であって、当該N末伸長における1以上のアミノ酸残基が、当該ポリペプチドのN末端において1以上のアミノ酸残基と共に金属イオン配位結合部位を確立することが可能である方法に関する。
金属結合部位を含む当該N末伸長は、アルブミンのN末に由来してもよい。Cu+2 の結合部位の例は、ウシ(Asp-Thr-His-Lys,配列番号 34)およびヒト(Asp-Ala-His-Lys,配列番号 35)血清アルブミンのN末(ピーター,T.;アルブミンの全て,アカデミック・プレス,USA(1996)p121-123)であり、これは培地中およびアシル化工程(iii)の間に存在する Cu++ などの重金属イオンとの共力作用におけるN末伸長として使用できる。
金属イオン結合部位を含む当該N末伸長はまた、特に幾つかのメタロエンドペプチダーゼ(EC 3.4.24-)における Zn 結合部位に由来してもよい。
1 態様において、当該N末伸長は、少なくとも1のヒスチジン残基を含む。当該N末伸長におけるヒスチジン残基は、典型的に当該リジン切断部位から 1-4 残基に位置する。
少なくとも1のヒスチジン残基を含むN末伸長の例は、
Glu-Glu-Ala-His-Lys(配列番号1);Glu-(Glu-Ala)2-His-Lys(配列番号2);Glu-(Glu-Ala)3-His-Lys(配列番号3);Glu-Glu-Gly-His-Lys(配列番号4);Glu-His-Pro-Lys(配列番号5);Glu-Glu-Gly-Glu-Pro-Lys(配列番号6);Glu-Glu-His-Cys-Lys(配列番号7);Glu-Glu-His-His-Lys(配列番号8);Glu-His-His-His-Lys(配列番号9);Glu-His-Ala-His-Lys(配列番号10);Glu-Gly-Ala-His-Lys(配列番号11);Glu-His-Gly-His-Gly-Lys(配列番号12);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Leu-Lys(配列番号13);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Ile-Lys(配列番号14);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Val-Lys(配列番号15);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Met-Lys(配列番号16);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Phe-Lys(配列番号17);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Tyr-Lys(配列番号18);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Trp-Lys(配列番号19);Gln-Asp-Ala-His-Lys(配列番号24);Glu-Glu-Glu-Ala-Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号30);Asp-Thr-His-Lys(配列番号34);Glu-His-His-Gly-His-Gly-Lys(配列番号36);Asp-Ser-His-Lys(配列番号37);Gln-Asp-Thr-His-Lys(配列番号38);Glu-Ala-Glu-Ala-Glu-Ala-Gln-Asp-Thr-His-Lys(配列番号39)Glu-Ala-Glu-Ala-Gln-Asp-Thr-His-Lys(配列番号40);Glu-Ala-Gln-Asp-Thr-His-Lys(配列番号41);Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号42);Glu-Glu-Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号43);Glu-Glu-Glu-Ala-Glu-Ala-Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号44)Glu-Ala-Gln-Asp-Ala-His-Lys(配列番号47);Glu-Ala-Glu-Ala-Gln-Asp-Ala-His-Lys(配列番号48);Glu-Ala-Glu-Ala-Glu-Ala-Gln-Asp-Ala-His-Lys(配列番号49)である。
もう1つの態様において、本発明は、方法であって、当該前駆体分子のN末伸長が、当該ペプチドのN末のリジン切断部位で塩架橋(イオン結合)を確立することが可能な少なくとも1のアミノ酸残基を含む方法に関する。
この態様において、当該N末伸長は典型的には、当該リジン切断部位から1〜5 残基の間に位置し得る少なくとも1の Glu または Aspを含むであろう。そのような1態様において、当該N末伸長は Glu-Glu-配列を含む。Glu 残基を含むN末伸長の例は、Glu-Glu-Ala-Glu-Lys(配列番号45);Glu-Glu-Gly-Glu-Pro-Lys(配列番号;46)およびGlu-Glu-Lysである。この態様において、当該N末伸長は更にαへリックスを形成することが可能であってもよい。
タグとしての、および塩架橋を形成することが可能であることの両方の機能を果たすN末伸長は、Ca+2を結合することが知られるウシトリプシノーゲンにおけるエンテロキナーゼ部位に由来する配列である。従って、本手順において使用するために適切なN末伸長は Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(配列番号26)である。
αへリックスを形成することが可能なN末伸長は、典型的に、チューらによって記載された通りの極性および非極性アミノ酸の交替(alternating)を含む配列を含むであろう(Zhu et al,Protein Science 2,384-394(1993))。そのような配列の例は、Glu-Glu-Ala-Glu-Ala-Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号29),Glu-Glu-Glu-Ala-Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号30);Leu-Asp-Gly-Arg-Leu-Glu-Ala-Leu-Lys(配列番号31);Glu-Glu-Leu-Asp-Gly-Arg-Leu-Glu-Ala-Leu-Lys(配列番号32);Glu-Glu-Leu-Asp-Ala-Arg-Leu-Glu-Ala-Leu-Lys(配列番号33);Glu-Glu-Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号43);and Glu-Glu-Glu-Ala-Glu-Ala-Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号44)である。
本態様において、当該N末伸長はまた、真核生物の N-グリコシル化部位 N-X-S または N-X-Tを含んでもよく、ここで X は Pro 以外の何れのアミノ酸残基であってもよい。グリコシル化部位を含む N-末伸長の例は、Glu-Glu-Gly-Asn-Thr-Thr-Pro-Lys(配列番号20)、Glu-Glu-Gly-Asn-Glu-Thr-Glu-Pro-Lys(配列番号21)、Glu-Glu-Gly-Asn-Asp-Thr-Glu-Pro-Lys(配列番号22)およびGlu-Glu-Gly-Asn-Thr-Thr-Glu-Pro-Lys(配列番号23)である。
更なる態様において、本発明は、方法であって、当該所望のポリペプチドがそのN末端で蛋白質分解に影響され易く、当該N末伸長が前記蛋白質分解を防止または最小化する方法に関する。そのようなポリペプチドは、Ala、Ser、Pro または Gly 残基を当該N末端から2番目のアミノ酸残基として有することにより特徴付けられる。
また更なる態様において、当該ポリペプチドは His または Tyrを当該N末アミノ酸残基として有する。
更に具体的な態様において、当該N末伸長は以下の式を有する;
Xn------X1-Lys
ここで、Lysは切断部位であり、Xn------X1 は、2-14 アミノ酸残基の長さのペプチド配列であり、当該Lys切断部位における遊離ε-アミノ基が上述の工程(iii)においてアシル化されるのを防ぐまたは最小化する機能を有するペプチド配列である。Xn------X1 は更に発現された所望のポリペプチドを内部蛋白質分解性の切断から保護し、且つ発酵並びに下流の分離および精製工程中の当該N末伸長分子の微小繊維化により生じる沈殿を防ぐ。Xn------X1 における当該アミノ酸残基は更に選択されて、そのC末端(Lys)での当該N末伸長の最適な切断が達成される。更に、当該伸長のN末端におけるアミノ酸残基も選択され、切断は、酵母細胞において、上流のシグナルリーダー配列から KEX 切断部位(Lys,Arg)で最適化される。当該ペプチド配列が、少なくとも1の必要とされる目的を、少なくとも1の X が His または Glu または Asp であるという条件と、当該伸長のN末端から第2番目のアミノ酸残基が好ましくは Ala または Pro ではないという条件つきで満たす限り、Xn------X1 における当該アミノ酸残基は、原則としてLys以外の何れのアミノ酸残基でもよい。
1 態様において、Xn------X1 は 2-12 アミノ酸残基の長さである。もう1つの態様において、Xn------X1 は 2-10;2-9;2-8;2-7;2-6;または 2-5 アミノ酸残基の長さである。
もう1つの態様において、Xn------X1 は His;Glu;Ala;Asp;Gly;およびPro からなる群より選択される 2-8 アミノ酸残基を含む。
もう1つの態様において、Xn------X1 は Glu;Asp;Ala;His;Trp;Tyr;Ile;Val;Met;およびPhe からなる群より選択される 4-10 アミノ酸残基を含む。
更なる態様において、Xn------X1 は Glu;Asp;Gly;Asn;Thr;Ser;およびPro からなる群より選択される 5-8 アミノ酸残基を含む。
全ての態様において、Glu および/または Asp が当該伸長のN末端から第1および第 2 のアミノ酸残基として優先的に選択されて、この末端での Kex2p 切断部位による上流のプレまたはプレプロ配列からの適切な切断が保証される。更に、当該N末伸長のN末端での1以上の Glu および/Asp 残基が、発酵中のインビボ分解から、最終的に所望するポリペプチドのN末端を保護するであろう。
Xn------X1-Lys配列の例は、
Glu-Glu-Ala-His-Lys(配列番号1);Glu-(Glu-Ala)2-His-Lys(配列番号2);Glu-(Glu-Ala)3-His-Lys(配列番号3);Glu-Glu-Gly-His-Lys(配列番号4);Glu-His-Pro-Lys(配列番号5);Glu-Glu-Gly-Glu-Pro-Lys(配列番号6);Glu-Glu-His-Cys-Lys(配列番号7);Glu-Glu-His-His-Lys(配列番号8);Glu-His-His-His-Lys(配列番号9);Glu-His-Ala-His-Lys(配列番号10);Glu-Gly-Ala-His-Lys(配列番号11);Glu-His-Gly-His-Gly-Lys(配列番号12);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Leu-Lys(配列番号13);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Ile-Lys(配列番号14);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Val-Lys(配列番号15);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Met-Lys(配列番号16);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Phe-Lys(配列番号17);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Tyr-Lys(配列番号18);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Trp-Lys(配列番号19);Glu-Glu-Gly-Asn-Thr-Thr-Pro-Lys(配列番号20);Glu-Glu-Gly-Asn-Glu-Thr-Glu-Pro-Lys(配列番号21);Glu-Glu-Gly-Asn-Asp-Thr-Glu-Pro-Lys(配列番号22);Glu-Glu-Gly-Asn-Thr-Thr-Glu-Pro-Lys(配列番号23);Gln-Asp-Ala-His-Lys(配列番号24);Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(配列番号26);Glu-Glu-Ala-Glu-Ala-Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号29);Glu-Glu-Glu-Ala-Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号30);Leu-Asp-Gly-Arg-Leu-Glu-Ala-Leu-Lys(配列番号31);Glu-Glu-Leu-Asp-Gly-Arg-Leu-Glu-Ala-Leu-Lys(配列番号32);Glu-Glu-Leu-Asp-Ala-Arg-Leu-Glu-Ala-Leu-Lys(配列番号33);Asp-Thr-His-Lys(配列番号34);Asp-Ala-His-Lys(配列番号35);Glu-His-His-Gly-His-Gly-Lys(配列番号36);Asp-Ser-His-Lys(配列番号37);Gln-Asp-Thr-His-Lys(配列番号38);Glu-Ala-Glu-Ala-Glu-Ala-Gln-Asp-Thr-His-Lys(配列番号39);Glu-Ala-Glu-Ala-Gln-Asp-Thr-His-Lys(配列番号40);Glu-Ala-Gln-Asp-Thr-His-Lys(配列番号41);Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号42);Glu-Glu-Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号43);Glu-Glu-Glu-Ala-Glu-Ala-Trp-His-Trp-Leu-Lys(配列番号44);Glu-Glu-Ala-Glu-Lys(配列番号45);Glu-Glu-Gly-Glu-Pro-Lys(配列番号46);Glu-Ala-Gln-Asp-Ala-His-Lys(配列番号47);Glu-Ala-Glu-Ala-Gln-Asp-Ala-His-Lys(配列番号48);Glu-Ala-Glu-Ala-Glu-Ala-Gln-Asp-Ala-His-Lys(配列番号49)である。
更なる態様において、当該N末伸長は配列Asp-X-His-Lys(配列番号50)、ここで X は Ala、Thr または Serである。当該配列 Asp-X-His-Lysは重金属イオンアルブミン結合部位を構成する。
更なる態様において、当該N末伸長は配列 His-Z1-Z2-Lys(配列番号51)であり、ここで Z1 は Glu;Asp;Asn;Gln;Ser;Thr;Gly;Leu;Ile;Val;Met;Phe または Tyr であり、Z2 は Leu;Ile;Val;Met;Phe;Tyr;Trp または Cysである。1 態様において Z1 は Glu または Aspである。配列 His-Z1-Z2-LysはN末 His 残基と共に所望のポリペプチドにおいて、幾つかのメタロエンドペプチダーゼにおける Zn 結合部位に対する金属結合部位相同物〔例えば、Glu-Glu-Ala-His-Glu-Leu-Lys(配列番号13);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Ile-Lys(配列番号14);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Val-Lys(配列番号15);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Met-Lys(配列番号16);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Phe-Lys(配列番号17);Glu-Glu-Ala-His-Glu-Tyr-Lys(配列番号18);およびGlu-Glu-Ala-His-Glu-Trp-Lys(配列番号19) 〕を構成する。
当該N末伸長は、発酵過程の間、本発明の当該前駆体分子に安定して結合することが見出されており、当該前駆体分子のN末端を、酵母プロテアーゼ(例えば、Ste13p または Dap2p )などの蛋白質分解活性から保護する。
当該N末伸長は、アシル化され回収された前駆体分子からLysに特異的な蛋白分解酵素によって除去される。そのような蛋白質分解酵素の例は、トリプシンまたはアクロモバクター・リチクス・プロテアーゼI(Achromobacter lyticus protease I)である。
更なる側面に従うと、本発明は、所望のポリペプチドのための以下の式を有するポリペプチド前駆体に関する;
N末伸長-Lys-Z3-Z4-*ポリペプチド*
ここで、Lysは切断部位、当該N末伸長は2-14 アミノ酸残基を上述の通りに有し、Z3 は当該所望のポリペプチドにおけるN末アミノ酸残基であり且つ His または Tyr であり、Z4 は当該所望のポリペプチドにおけるN末端の隣のアミノ酸残基であり且つ Ala、Ser または Glyであり、*ポリペプチド* は当該所望のポリペプチドの残りの配列である。
本発明の1の態様において、*ポリペプチド* はGLP-1またはGLP-2に関係する部分である。
天然に生じるペプチドまたはその類似体における親油性アシル基の導入は、天然のペプチドまたは未修飾の類似体に関連する延長されたプロフィールを有するアシル化ペプチドを導くことが示されている。この現象は、GLP-1およびその類似体のアシル化を開示する WO 98/08871と、GLP-2 およびその類似体のアシル化を開示する WO 98/08872 に開示され、説明されている。当該親油性基は、モノ−またはジペプチドスペーサ−によって WO 98/08871 に開示される通りに導入されてもよい。或いは、当該親油性基は、α-アミノ-α,ω-ジカルボン酸基によって WO 00/55119 に記載される通りに導入されてもよい。
本ポリペプチド前駆体分子は、少なくとも2のリジン基(遊離ε-アミノ基を有する)、即ち、リジン切断残基と少なくとも1のリジン残基を、当該所望のポリペプチドに含むであろう。仮に当該リジン切断残基を含む全てのリジン基がアシル化されてしまった場合には、続いて起こる当該N末伸長の所望のポリペプチド配列からの切断は不可能となるだろう。従って、当該所望のポリペプチドをN末伸長と共に発現する目的の1つは、当該リジン切断部位でのフリーのε-アミノ基のアシル化を防止または最小化することである。当該前駆体分子は次に、当該所望のリジン残基、GLP-1の場合には 26 位のリジン、において優先的にアシル化される。アシル化の後、当該アシル化された前駆体分子は、適切な酵素的手段により上述した通りに切断され、当該所望のアシル化ポリペプチドが単離できる。
当該アシル化工程(iii)は pH 7から12 の間で管理されてもよい。幾つかの態様において、pH は 8から11.5 の間または 9.0から10.5 の間であり、約 9.5から10.5のpH 値が効率よいと証明されている。温度はマイナス 5から35℃の間であり、典型的には 0℃から 20℃の間、または 15℃から 30℃の間であろう。
本発明の1の態様において、当該アシル化は、二価の金属イオン、例えば、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Zn2+、Mg2+、Mn2+およびCa2+などの存在下で実施される。しかしながら、三価の金属イオン、例えば、Co3+ などもまた本発明の目的に有効である。
更なる側面に従うと、本発明は、当該権利請求されたポリペプチド前駆体をコードするポリヌクレオチド並びに前記ポリヌクレオチドを含むベクターおよび形質転換されたホスト細胞に関する。
定義
用語「優先的にアシル化する」とは、アシル化が、当該分子における1以上の好ましい位置で、その同じ分子における別の位置でよりも実質的により高い程度で行われることを含むこと、およびそのようなアシル化プロセスを意味する。従って、当該好ましい位置でのアシル化は、全体のアシル化の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは90−100%である。本方法において、当該N末伸長におけるリジン切断部位のε-アミノ基のアシル化は、可能な限り避けるか、または最小化されるべきであり、これはこの位置でのアシル化が、続いて起こる所望の最終産物からの当該N末伸長の切断を妨げて収率低下を招くためである。
「N末伸長」により、所望のポリペプチドにおけるN末アミノ酸残基に対して取り外し可能で結合したポリペプチド配列を意味する。当該N末伸長は 2-5 アミノ酸残基の長さであってよく、Lys残基をそのC末アミノ酸残基として当該所望のポリペプチドからの切断のために含むであろう。当該N末伸長は、発現された融合ポリペプチドを当該ホスト細胞内での蛋白分解性の劣化から上述の通りに保護する。加えて、N末伸長におけるリジン切断部位のε-アミノ基のアシル化は、当該アシル化工程中に前記Lys基をマスクすることによって防止または最小化されると考えられる。
「所望のポリペプチド」により、当該N末伸長の当該前駆体分子からの切断後に得られる最終的なポリペプチドを意味する。この表現は、前記ポリペプチドのアシル化されたものも非アシル化のものも両方とも含む。当該「N末伸長」は、N末延長を当該所望のポリペプチドのN末端から切断するための切断部位を構成するリジン残基を含む。Lys基はN末伸長のC末アミノ酸として、または当該N末伸長に含まれる配列として示されるときにはいつも、同時に、前記Lys残基は直接に所望のポリペプチドのN末アミノ酸残基とリンクし、当該切断部位を構成すると理解されるであろう。当該Lys残基(工程iv)での切断は、好ましくはLysに特異的な蛋白分解酵素によって成し遂げられる。そのようなタンパク質分解酵素は、トリプシンまたはアクロモバクター・リチクス・プロテアーゼI(以下、ALPと記す)である。
所望のポリペプチドの例はGLP-1である。GLP-1のアミノ酸配列は、i.a. シュミットらにより示されている(Schmidtら、Diabetologia 28 704-707(1985))。GLP-1(7-37) およびその類似体の興味深い薬理学的属性は近年において多くの注目を集めているが、これらの分子の構造についてはほんの僅かに知られるのみである。ミセル中でのGLP-1の二次構造はトールトンらにより記述されているが(Thorton et al.,Biochemistry 33 3532-3539(1994))、通常の溶液中では、GLP-1は非常にフレキシブルな分子であると考えられている。
簡単な方式を使用し、フラグメントおよびこのペプチドの類似体を表す。従って、例えば、Gly8GLP-1(7-37) は、GLP-1(1-37) に由来するGLP-1のフラグメントを示し、これは当該アミノ酸残基の1から 6 番の欠失と位置 8(Ala) における天然に存在するアミノ酸残基の Gly による置換によるものである。同様に、Lys26(Nε-テトラデカノイル)-GLP-1(1-37)は、GLP-1(1-37)であり、26 位のLys残基のεアミノ基がテトラデカノイル化されているものである。
所望のポリペプチドの他の例は、GLP-2 およびグルカゴンであり、両者ともN末位に His または Tyrを有し、且つその隣の位置に Ser、Ala または Glyを有する GRF(成長ホルモン放出因子、growth hormone releasing factor)ファミリーのペプチドに属する(Adelhorst K. etal.,The Journal of Biological Chemistry (1994) p 6275-6278を参照されたい)。
「POT」はスキゾサッカロマイセス・ポムベ・トリオース・ホスフェート・イソメラーゼ遺伝子(Schizosaccharomyces pombe triose phosphate isomerase gene)であり、「TPL1」は S. セレビシアエ・トリオース・ホスフェート・イソメラーゼ遺伝子(S. cerevisiae triose phosphate isomerase gene)である。
「微小繊維化(fibrillation)」により、所謂「微小繊維(fibrils)」が形成される過程を意味する。「微小繊維」は十分に認識されており、現象を示すものであり、逆平行のβシートを構成してもよい。少しのαへリックス構造と、非常に柔軟で少しの三次構造とを有する GLP分子に類似する分子は、極めて凝集する傾向が高く、これにより沈殿および収率の損失を生じる〔もし非常にクルードな化学的な条件が使用されなかった場合(例えば、pH〜12のアルカリ処理)〕。
「リーダー」により、プレペプチド(シグナルペプチド)およびプロペプチドからなるアミノ酸配列を意味する。
用語「シグナルペプチド」は蛋白質の前駆体形態におけるN末配列として存在するプレペプチドを意味すると理解される。当該シグナルペプチドの機能は、非相同蛋白質の小胞体(endoplasmic reticulum)への容易な移行(translocation)を可能にすることである。当該シグナルペプチドは、一般にこの過程において切り取られる。当該シグナルペプチドは、当該蛋白質を生成する酵母有機体に対して非相同であっても、または相同であってもよい。多くのシグナルペプチドが、本発明のDNA構築物と共に使用されてよく、これにはYPS シグナルペプチド(正式には YSP3 シグナルペプチドと称される)またはその何れかの機能的な類似体(Egel-Mitani et al.(1990)YEAST 6:127-137およびUS 5,726,038)およびMFα1 遺伝子のα因子シグナル(Thorner(1981)The Molecular Biology of The Yeast Saccharomyces cerevisiae,Strathern et al.,eds.,pp143-180,Cold Spring Harbor Laboratory,NYおよびUS 4,870,00)が含まれる。
用語「プロペプチド」は、ポリペプチド配列を意味し、その機能は、発現されたポリペプチドを小胞体からゴルジ装置に、更に培地に分泌するための分泌小胞(a secretory vesicle)に方向付けることを可能にすることである(即ち、当該ポリペプチドの細胞壁の横断、または少なくとも細胞膜の通過により、酵母細胞の細胞質周辺の空間へ輸送する)。当該プロペプチドは当該酵母α因子プロペプチドであってよく、US 4,546,082および4,870,008を参照されたい。或いは、当該プロペプチドは合成プロペプチド、即ち、天然には存在しないプロペプチドであってもよい。適切な合成プロペプチドは US 5,395,922;5,795,746;5,162,498およびWO 98/32867 に開示されるものである。プロペプチドは好ましくは、そのC末端にエンドペプチダーゼプロセッシングサイト、例えば、Lys-Arg 配列またはその何れかの機能的類似体などを含むであろう。
本発明のポリヌクレオチド配列は、確立された標準的な方法、例えば、ビューケイジらにより記載されたホスフォアミド化法(Beaucage et al.(1981)Tetrahedron Letters 22:1859-1869)、またはマテスらにより記載された方法(Matthes et al.(1984)EMBO Journal 3:801-805)などによって合成により製造されてもよい。ホスフォアミド化法によると、オリゴヌクレオチドは、例えば自動DNAシンセザイザーなどの中で、合成され、精製され、二重にされ、およびリゲートされ、当該合成DNA構築物を形成する。DNA 構築物を製造する現在の好ましい方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による方法である。
本発明のポリヌクレオチド配列はまた、混合されたゲノム、cDNA および合成由来のものであってもよい。例えば、リーダーペプチドをコードするゲノムまたは cDNA 配列が、本発明の前駆体分子をコードするゲノムまたは cDNA 配列に対して結合され、その後、当該DNA配列が、相同組み換えのための所望のアミノ酸配列をコードする合成オリゴヌクレオチドを周知の手順に従って挿入することによって、或いは適切なオリゴヌクレオチドを使用する PCR により所望の配列を好ましく生成することによって、ある部位で修飾されてもよい。
本発明は、選択された微生物またはホスト細胞において複製することが可能であり、且つ本発明の前駆体分子をコードするポリヌクレオチド配列を保持するベクターを包括的に含む。組み換えベクターは、自発的複製ベクター(autonomously replicating vector)であってよく、即ち、ベクターは染色体外の存在として存在し、その複製は染色体複製から独立していてよく、例えば、プラスミド、染色体外成分、小型染色体(mini-chromosome)、または人工染色体などであってよい。当該ベクターは自己複製を保証するための何れかの手段を含んでいてよい。或いは、当該ベクターは、ホスト細胞に導入される際に、当該ゲノムに統合され、それが統合された(単数または複数の)当該染色体と共に複製されるものであってもよい。更に、1 つのベクター若しくはプラスミド、またはホスト細胞のゲノムに導入されるべき全てのDNAを共に含む 2 以上のベクター若しくはプラスミド、またはトランスポゾンが使用されてよい。当該ベクターは、線状または閉じた環状プラスミドであってもよく、ホスト細胞ゲノムへの当該ベクターの安定した統合を可能にする(単数または複数の)成分、またはそのゲノムから独立した当該細胞におけるベクターの自発的な複製を可能にする(単数または複数の)成分を好ましく含むであろう。
好ましい態様において、組換え発現ベクターは、酵母において複製が可能である。当該ベクターに酵母における複製を可能にする配列の例は、酵母プラスミド 2μm 複製遺伝子 REP 1-3 (the yeast plasmid 2μm replication genes REP 1-3)および複製起点である。
本発明のベクターは好ましくは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする1以上の選択可能なマーカーを含む。選択可能なマーカーは、その生成物が殺生物剤(biocide )またはウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求体に対する原栄養性(prototophy)などを提供する遺伝子である。細菌の選択可能なマーカーの例は、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)またはバチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)からの del 遺伝子、または抗生物質耐性(例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコールまたはテトラサイクリン耐性)を与えるマーカーである。糸状菌ホスト細胞における使用に適切なマーカーは、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、pyrG(オロチジン-5’-ホスフェートデカルボキシレース)およびtrpC(アントラニレートシンターゼ)を含む。酵母ホスト細胞に適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、およびURA3 である。酵母に好ましい選択可能なマーカーは、スキゾサッカロマイシス・ポンペ TPI 遺伝子(Schizosaccharomyces pompe TPI gene,Russell(1985)Gene 40:125-130)である。
当該ベクターにおいて、ポリヌクレオチド配列は、適切なプロモーター配列に使用可能(operably)に連結される。当該プロモーターは、ホスト細胞における転写活性を示す、突然変異した、トランケートされた、およびハイブリッドのプロモーターを含むものから選択される何れかの核酸配列であってよく、或いは当該ホスト細胞の相同体または非相同体の何れかの細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得てもよい。
細菌ホスト細胞において転写を方向付けるための適切なプロモーターの例は、大腸菌(E. coli) lac オペロン、ストレプトマイシス・コエリコロール・アガラーゼ遺伝子(dagA,Streptomyces coelicolor agarase gene)、バチルス・スブチリス・レバンスクラーゼ遺伝子(sacB,Bacillus subtilis levansucrase gene)、バチルス・リケニフォルミス・アルファアミラーゼ遺伝子(amyL,Bacillus licheniformis alpha-amylase gene)、バチルス・ステアロセルモフィルス・マルトジェニック・アミラーゼ遺伝子(amyM,Bacillus stearothermophilus maltogenic amylase gene)、バチルス・アミロリクエファシエンス・アルファアミラーゼ遺伝子(amyQ,Bacillus amyloliquefaciens alpha-amylase gene)およびバチルス・リケニホルミス・ペニシリナーゼ遺伝子(penP,Bacillus licheniformis penicillinase gene)から得られたプロモーターである。糸状菌ホスト細胞において転写を方向付ける適切なプロモーターの例は、アスペルギルス・オリザエ TAKA アミラーゼ(Aspergillus oryzae TAKA amylase)、レゾムコール・ミエヘイ・アスパルティック・プロテイナーゼ(Rhizomucor miehei aspartic proteinase)、アスペルギルス・ニガー・ニュートラル・アルファ-アミラーゼ(Aspergillus niger neutral alpha-amylase)およびアスペルギルス・ニガー・アシッド・ステイブル・アルファ-アミラーゼ(Aspergillus niger acid stable alpha-amylase)から得られるプロモーターである。酵母ホストにおいて、有用なプロモーターはサッカロマイシス・セレビシアエ MFα1、TPI、ADHm Gal または PGK プロモーターである。
本発明のポリヌクレオチド構築物はまた、典型的には適切なターミネーターに使用可能に連結されているであろう。酵母において、適切なターミネーターは TPI ターミネーター(Alber et al.(1982)J.Mol.Appl.Genet. 1:419-434)または CYC1 ターミネーターである。本発明のポリヌクレオチド配列、当該プロモーターおよびターミネーターをそれぞれ連結するために、並びに選択されたホストにおいて複製するために必要な情報を含む適切なベクターにそれらを導入するために使用される手順は、当業者に周知である。当該ベクターは、最初に本発明の前駆体分子をコードするDNA配列全体を含むDNA構築物を合成し、次にこのフラグメントを適切な発現ベクターに挿入することによって、或いは個々の成分のための遺伝情報を含むDNAフラグメントを連続して挿入し、次に連結することによっての何れかにより構成されてもよいことが理解されるだろう。
本発明はまた、組み換えホスト細胞であって、本発明の前駆体分子をコードするポリヌクレオチド配列を含む組み換えホスト細胞に関する。そのようなポリヌクレオチド配列を含むベクターは当該ホスト細胞に導入され、それにより当該ベクターは、前に記載された通りに、染色体構成要素として、または自己複製する染色体外ベクターとして維持される。当該用語「ホスト細胞」は、複製中に生じた突然変異のために親細胞とは同一ではない親細胞の何れの子孫も包括的に含む。当該ホスト細胞は原核細胞であっても真核細胞であってもよい。有用な原核生物は、細菌細胞、例えば、バチルスおよびストレプトマイシス細胞を含むグラム陽性菌、または大腸菌およびシュードモナス属(Pseudomonas sp.)の細胞などのグラム陰性菌などである。真核細胞は、哺乳動物、昆虫、植物または真菌細胞であってよい。1 態様において、当該ホスト細胞は酵母細胞である。本発明の方法(process)において使用される酵母有機体は、培養において、多量の当該前駆体分子を生産する何れかの適切な酵母有機体であってよい。適切な酵母有機体の例は、酵母属(yeast species)、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、スキゾサッカロマイセス・ポムベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロマイセス・ウバルム(Sacchoromyces uvarum)、クルイベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ピキア・パストリス(pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyver)、ヤルロワイ・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、カンジダ属(Candida sp.)、カンジダ・ウチリス(Candida utilis)、カンジダ・カカオイ(Candida cacaoi)、ジオトリクム属(Geotrichum sp)、およびジオトリクム・フェルメンタンス(Geotrichum fermentans)から選択される株である。
当該酵母細胞の形質転換は、例えば、プロトプラスト形成と、続く形質転換によってそれ自体公知の方法において達成されてよい。当該細胞の培養に使用される培地は、酵母有機体の成長に適切な何れの従来の培地であってもよい。分泌された本発明の前駆体は、その後、遠心、濾過またはイオン交換マトリクス若しくは逆相吸収マトリクスによる前駆体の捕獲、塩(例えば硫酸アンモニウム)による上澄または濾液の蛋白質様成分の沈殿により当該酵母細胞を培地から分離すること、続く、種々のクロマトグラフィ処理(例えば、イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ)による精製を行うことを含む、慣習的な手順によって培地から回収されてよい。
本明細書において、呼称「類似体」は、ペプチドであって、親ペプチドの1以上のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基により置換されている、および/または当該親ペプチドの1以上のアミノ酸残基が欠失している、および/または1以上のアミノ酸残基が当該親ペプチドに付加されているペプチドを称するために使用される。そのような付加は、当該親ペプチドのN末端またはC末端の何れか或いはその両方で行われ得る。
用語「誘導体」は、本明細書において、ペプチドであって、そこにおいて当該親ペプチドの1以上のアミノ酸残基が化学的な修飾、例えば、アルキル化、アシル化、エステル形成またはアミド形成などがなされているペプチドを称するために使用される。
アミノ酸残基は1文字または 3 文字記号の何れかによって示す。
実施例1
N末が伸長された Arg34GLP-1(7-37) の発現
ホスト株 ME1719 は二倍体株であり、2 つのアスパラギン酸プロテアーゼ活性を欠く表現型、即ち、一または二塩基アミノ残基のC末側を切断するYPS1(以前は YAP3 と称した)(Egel-Mitani ら、YEAST 6: 127-137,1990)、およびPEP4、例えば、プロテアーゼ B 、カルボキシペウチダーゼ Y、アミノペプチダーゼ I、RNase、アルカリホスファターゼ、酸トレハラーゼ(acid threhalase)およびエキソポリホスファターゼなどの他のプロテアーゼの活性に反応する液胞系プロテアーゼ A、を有する。更に、その表現形はグルコースを含む培地で成長した形質転換体においてグルコースを利用可能にするトリオースホスフェートイソメラーゼ遺伝子(TPI)を破壊した。ME1719 の遺伝子的背景は、MATa/αΔyps1::ura3/Δyps1::URA3 pep4-3/pep4-3 Δtpi::LEU2/Δtpi::LEU2 leu2/leu2 Δura3/Δura3 である。
N末が伸長された Arg34GLP-1(7-37)を含む発現プラスミドは以下の通りに作成された:N末の伸長を伴わない Arg34GLP-1(7-37)をコードするDNAを含むプラスミド pKV304をEagl+Ncol または Eagl+Asp718 の何れかで消化した。寒天電気泳動およびジーンクリーンIII(登録商標、GeneCleanTM III)精製の後、1.4Kbと10Kb のフラグメントをそれぞれ単離した。NcolおよびAsp718 切断部位を含む Arg34GLP-1(7-37) の種々のN末伸長に対応するオリゴヌクレオチドアダプターを上述と同様に精製した。その 1.4kb フラグメント(Eagl+Ncol)、10Kb フラグメント(Eagl+Asp718)およびArg34GLP-1(7-37) のN末伸長に対して設計されたアダプターフラグメント(Ncol+Asp718)を連結し、大腸菌株 MT172 で形質転換し、プラスミドDNAの配列を決定し、正しいN末伸長された Arg34GLP-1(7-37)を確認した。
プラスミドDNAを次に、酵母株 ME1719 に形質転換し、酵母形質転換体をMUPD 選択プレート上で2回単離した。酵母細胞を5mLMUPD 培地中で3日間、30℃で培養し、培養上澄をHPLCとMALDI-MS(Matrix Assisted Laser Desorption/Inonisation Mass Spectrometry) によって分析した。MUPD 培地は、25gの酵母抽出物(Bacto)、5g KH2PO4、1.5g MgSO4 7H2O、1 リットルまでのイオン交換水からなり、121℃で20分間の高圧滅菌の前に 5N KH2PO4 で pH 6 に調整した。30gのグルコースを別途、50%w/vの濃度で高圧滅菌し、無菌的に加えた。
表1は、種々のGLP-1前駆体とN末伸長を有さない対照と比較しての収率を示す。
Figure 0004386722
実施例2
二価または三価金属イオンの存在または不在における EEAHK(配列番号1)-Arg34GLP-1(7-37)のアシル化
GLP-1類似体を例1記載した通りに作成した。当該発酵ブロスを遠心分離によって不純物を取り除き、2620mLの上澄を7900mLに希釈し、pHをpH3.1 に調整した。最終伝導率は 4.9 mS/cm であった。100mLのファルマシア・ストリームライン(登録商標)(Pharmacia StreamlinR) SP コード no.17-0993-05 充填した 2.6x100cm のカラムを平衡状態に保ち、当該製造業者の推奨(ファルマシアパンフレット 18-1124-26、膨張ゲル吸着、原理と方法)に従って 0.025M クエン酸塩緩衝液 pH3.1を用いて流動化し、続いて 0.5M トリスベースにより 0.5ml/min の流れで溶出した。GLP-1類似体を含むフラクションは分析 RP-HPLC により、希 H2SO4 で pH7.4の0.010M トリス、0.015M Na2SO4 中の CH3CN の勾配を用いて確認した。プールした試料の量は、361mgのGLP-1類似体を含む 100mLであり、その純度は 72.4%であった。当該試料は更に予備 RP-HPLC により精製した。バッファー系は、A バッファー、0.010M トリス、0.015M Na2SO4および20%エタノール v/v 希 H2SO4で pH7.5、並びに 70%のエタノールからなる B バッファーからなる。90mg GLP1 類似体に対応するアリコートを、マケレイ−ネイゲル(Macherey-Nagel),D,から入手したヌクレオシル(Nucleosil)300Å、7μm、C4を充填した HPLC カラム(250 x 20)mm に添加し、10%B で平衡状態に置き、当該試料を10%Bから90%B までの一次勾配(linear gradient)で、総量 720mLで、流出速度は毎分 6mLで溶出した。当該溶出を214nmと276nm でモニターした。GLP1 類似体を含有する当該試料をプールし、1 体積の水で希釈し、pH5 に調整し、4℃に冷却した。その沈殿物を遠心により単離し、凍結乾燥した。286mg が採取され、最終純度は 98%であった。
GLP-1類似体のアシル化は、精製された類似体の 10mg 試料を用いて行った。当該試料を、0.5mLの 0.05M Na2CO3 に溶解し、15℃でインキュベートした。Glu(ONSU)N-ヘキサデカノイルメチルエステルを0.5mLCH3CN に溶解し、当該類似体溶液に添加した。試料は、試薬の添加の前、並びに 15分および30分後、並びにクエンチングバッファーによる当該反応の停止後に採取した。当該試料にクエンチングバッファーを添加し、20%vol/vol エタノールで希釈し、分析 RP-HPLC によって分析した。二価金属イオンの存在下でのアシル化は、適切な容量の金属イオン 0.1M 溶液をアミノ酸アシル化試薬の添加の前に、添加することによって実行した。Na2CO3バッファーの容量は適宜に調整した。酢酸 Zn2+を、実験ではZn2+を有する金属イオンとして使用した。
EEAHK(配列番号1)-Arg34GLP-1(7-37)-Lsy28γ-Glu-ヘキサデカノイルの Zn2+ 存在下でのアシル化の最適化
2当量以上の Zn2+ の添加は、当該試料の沈殿に関連した。しかしながら、その収率は、2当量の Zn2+をアシル化のために余剰のアシル化試薬と共に使用した場合に改善した。即ち、52%の収率は、7%の脱アミド化されたアシル化産物と共に得られ、これは Zn2+ 不在時に得られた 42.4%の収率と 5.1%の脱アミド化産物の場合と比較すると勝っている。
当該結果を以下の表2および表3に示す。
Figure 0004386722
Figure 0004386722
Zn2+ 存在下での Arg34GLP-1(7-37)-Lys28γ-Glu-ヘキサデカノイルの合成
EEAHK(配列番号1)-Arg34GLP-1(7-37)を2当量 のアシル化試薬を添加することによって 2当量 Zn2+ の存在下で 15分間上述の通りにアシル化した。総量 15μLを分析 RP-HPLC カラムに対して TFA/CH3CN/H20 バッファー系を使用して添加した。57μgに相当する精製産物は、合成収率の 46%に相当する。当該産物を乾燥し、続いて 0.025mL0.1m NaOH に 0℃で溶解し、20分間インキュベートした。メチルエステルで加水分解した後、当該試料に更に、15μL 0.1m HClおよび5μL 0.1m トリス HClを添加し、pH 指示紙は約 pH8.0を示した。当該試料に次に 10μL CH3CNを添加し、続いて 1μL 1mg/mLアクロモバクター・リチクス・プロテアーゼ I(Achromobacter lyticus protease I、EC 3.4.21.50)を添加し、30分間室温でインキュベートした。総量 10μLをRP-HPLC 装置に上述の通りに添加し、66.2%に相当する最も顕著な 3 ピークを更に特徴づけし、所望の生成物と全く一致することを確認した。その結果を以下の表4に示す。
Figure 0004386722
実施例3
EEAEK(配列番号45)-Arg34GLP-1(7-37)のアシル化およびALP 処理
GLP-1前駆体 EEAEK(配列番号43)-Arg34GLP-1(7-37)を上記の通りに酵母において発現し、発酵上澄中でイオン強度 7 に調整し、陽イオンカラム SP セファロース・ファスト・フロー XL(SP Sepharose Fast Flow XL、アマシャム ファルマシア)に結合することにより回収した。当該前駆体は、勾配 0-100%の 50mM 蟻酸 + 50mM 蟻酸中の 1M NaCl で溶離した。10 カラム体積後、当該カラムを2 体積の 50mM 蟻酸で洗浄し、続いて 0.5 M グリシン pH 9 で 3.5 カラム体積分で溶離した。そのフラクションをMALDI-MS で分析し、当該前駆体のプールを確認した。これらのプールを、逆相 HPLC ZORBAX 300SB-CN カラム(9.4x250mm)に添加した。溶離は、バッファーA(0.1%TFA)中で勾配 30-70%のバッファーB(0.1%TFA/80%エタノール)を用いて実施した。フラクションは UV パターンと MALDI-MS により同定した。プールを回収し、そのエタノールを真空で蒸発し、当該生成物を凍結乾燥した。
5mgの凍結乾燥された前駆体 EEAEK(配列番号45)-Arg34GLP-1(7-37)を350μL の水と 700μLのNMP(N-メチル-ピロリドン-2)に室温で溶解し、4当量のN-ヘキサデカノイル-/-グルタミン酸-α-tert-ブチルエステル-γ-スクシニルイミヂルエステルを時間ゼロで添加した。pHを9.5 に EDIPA(エチル ジイソプロピルアミン)で調整し、EDIPA の添加により 9.5 に一定に維持した。60分後、当該反応を水中 1%グリシン溶液の 208μL の添加により停止した。当該反応混合物の分析により、24%が未反応産物であることが示された。61%はLys26 の位置でモノアシル化された。8%はLys26 の位置とN末アミノ基でジアシル化された。7%はLys6とLys26 でジアシル化された。当該モノおよびジアシル化された分子を、十分に確立された手順に従って、リジン切断部位での ALP での処理によってモノアシル化された Arg34GLP-1(7-37)(69%)に変換した。結果は HPLCとMALDI-MS により確認した。
実施例4
EELDARLEALK(配列番号33)-Arg34GLP-1(7-37)、EEAHEYK(配列番号18)-Arg34GLP-1(7-37)およびDDDDK(配列番号26)-Arg34GLP-1(7-37) のアシル化と切断
GLP-1前駆体 EELDARLEALK(配列番号33)-Arg34GLP-1(7-37)、EEAHEYK(配列番号18)-Arg34GLP-1(7-37)およびDDDDK(配列番号26)-Arg34GLP-1(7-37)を全て酵母において発現させ、例3に記載の通りに精製した
アシル化を例3に記載の通りに実施した。1.3当量のヘキサデカノイル-/-グルタミン酸-α-tert-ブチルエステル-γ-スクシニルイミジルエステルを使用した。HPLCとMALDI-MS分析により、アシル化混合物中で直接の ALP による加水分解後には、全ての場合において、〜 15-30%の未反応基質と約 20%のジアシル化産物(Lys6、Lys26)が示された。この結果は表5に示す。
Figure 0004386722
図1は、TPI プロモーターおよびターミネーター、並びに MF アルファプレプロ配列の規則正しい管理の下で Arg34GLP-1(7-37)をコードするDNAを含むプラスミド pKV304を示す。このプラスミドは、本発明に従う当該前駆体分子のための発現プラスミドを製造するためのスターティングプラスミドである。

Claims (3)

  1. ポジションLys26でアシル化されたArg34GLP1(7-37)の製造方法であって、
    (i) Arg34GLP1(7-37)の前駆体分子を酵母細胞中で発現させること(ここで、前記前駆体分子はN末伸長を含み、前記N末伸長はリジン切断部位でArg34GLP1(7-37)から切断される);
    (ii) 当該発現した前駆体分子を培養ブロスから分離すること;
    (iii) 当該N末伸長における1以上のアミノ酸残基が当該Arg34GLP1(7-37)のN末端における1以上のアミノ酸残基と共に金属イオン配位結合部位を確立可能であること又は当該前駆体分子のN末伸長が当該Arg34GLP1(7-37)に対してN末のリジン切断部位と塩架橋を確立可能な少なくとも1の負に荷電したアミノ酸残基を含むことによって、当該N末伸長におけるリジン切断部位のε-アミノ基をアシル化することなく、Arg34GLP1(7-37)ペプチドにおけるLys26のε−アミノ基を優先的にアシル化すること;
    (iv) 当該N末伸長を、当該アシル化された前駆体分子から酵素による切断によって取り除くこと;および
    (v) 当該ポジションLys26でアシル化されたArg34GLP1(7-37)ペプチドを適切な手段により単離すること
    を含み、
    当該N末伸長はGlu-Glu-Ala-His-Lys(配列番号1); Glu-Glu-Ala-His-Glu-Tyr-Lys(配列番号18); Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(配列番号26); Glu-Glu-Leu-Asp-Ala-Arg-Leu-Glu-Ala-Leu-Lys(配列番号33) and Glu-Glu-Ala-Glu-Lys(配列番号45)からなる群から選択される方法
  2. 請求項1に記載の方法であって、当該アシル化工程(iii)が、金属イオンの存在下で、有機溶媒中または水と有機溶媒の混合物中で行われる方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、当該アシル化工程が pH が 7〜12 の間で行われる方法。
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