JP2009512709A - 速効型インスリンの経鼻投与 - Google Patents
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Abstract
記載されているのは、患者にインスリンを経鼻送達するための、速効型インスリンであってよいヒトインスリン、可溶化剤、及び界面活性剤の水性混合物を含む薬物のための医薬組成物、製剤、及びそれらの使用である。
【選択図】 図9
【選択図】 図9
Description
背景技術
インスリンは重要なグルコース調節ポリペプチドホルモンである。それは膵臓により分泌される天然に生ずるホルモンである。インスリンは、グルコースを血液から除去して使用するために体細胞により要求される。グルコースは、細胞が細胞機能を実行するために必要とするエネルギーを発生することを可能にする。炭水化物ホメオスタシスにおける主要エフェクタであることに加えて、インスリンは、脂肪代謝にも効果を有する。それは、貯蔵脂肪を遊離させる肝臓の能力を変化させることができる。インスリンは、体全体にわたる種々な薬力学的効果を有する。
インスリンは重要なグルコース調節ポリペプチドホルモンである。それは膵臓により分泌される天然に生ずるホルモンである。インスリンは、グルコースを血液から除去して使用するために体細胞により要求される。グルコースは、細胞が細胞機能を実行するために必要とするエネルギーを発生することを可能にする。炭水化物ホメオスタシスにおける主要エフェクタであることに加えて、インスリンは、脂肪代謝にも効果を有する。それは、貯蔵脂肪を遊離させる肝臓の能力を変化させることができる。インスリンは、体全体にわたる種々な薬力学的効果を有する。
研究者達は、1922年にインスリンを含む有効な膵臓抽出物を若い糖尿病患者に初めて与え、FDAは1939年に初めてインスリンを承認した。現在、治療に使用されているインスリンは、ウシ及びブタの膵臓並びに組換え(ヒト)技法に由来する。最初の組換えヒトインスリンは1982年にFDAにより承認された。
インスリンは、真性糖尿病の幾つかの形態で医薬として使用される。真性糖尿病患者は血液からグルコースを取り込み使用する能力に欠け、結果として、血中グルコースレベルが上昇する。1型糖尿病において、膵臓は十分なインスリンを産生することができない。それ故、インスリン療法が必要とされる。2型糖尿病において、患者はインスリンを産生するが、体全体の細胞がインスリンに正常に応答しない。それにも拘わらず、インスリンは、インスリンに対する細胞の抵抗に打ち克つために2型糖尿病においても使用することができる。細胞によるグルコース取込みを増大させて血中グルコース濃度を低下させることにより、インスリンは、血管、眼、腎臓及び神経に対する損傷を含む糖尿病の長期合併症を予防し又は減少させる。インスリンは、通常、皮膚の下への(皮下)注射により投与される。胴体部の皮下組織が好ましく、それは、インスリンの吸収が、他の部位の皮下組織よりもこの部位からの方が安定しているからである。
インスリンが最初発見されて糖尿病を有する人達に使用可能になったとき、ただ1種類の短期間作用するインスリンだけが存在した。これは1日数回の注射を必要とした。時が経つにつれ、より長期に持続して注射回数の必要もより少ない新しいインスリンが開発されたが、食事のタイミングに厳格な注意が必要であった。現在、種々のタイプのインスリンが使用可能である。このことが投与の回数およびタイミングにより柔軟性を与え、患者の生活様式に基づいて、目標血中グルコースレベルを維持することを容易にしている。インスリンは、種々の形態、例えば、急速、中間的、及び長期作用の形態で使用可能である。インスリンは、通常、皮下注射により送達される。ポンプ送達、及びより最近では肺送達などの他の選択肢が使用可能である。
組換えDNA技法で調製された数種のインスリン類似体が臨床使用のために使用可能である。これらの薬剤の中に、インスリンアスパルト(NovoLog(商標);Novo Nordisk Pharmaceuticals)があり、これはB28位のプロリンをアスパラギン酸に単一置換した以外はレギュラーヒトインスリンと相同性である。この単一置換が分子の6量体を形成する傾向を減少させる。その結果、インスリンアスパルトは、短期作用インスリンよりも、皮下注射後より急速に吸収され、作用のより早い開始と短い作用期間との両方を有する。
インスリン混合物も、特に2型糖尿病の人達に使用されている。インスリン混合物は、1つの組合せ投与で、異なるタイプのインスリンによる治療を可能にする。
注射用インスリンは、3種の異なる形態のバイアル、事前充填注射器、及びカートリッジで供給される。カートリッジは注射を簡単にするペン様デバイス中で使用される。ヒト組換えインスリン、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト及びインスリングラルギンは普通に使用されているインスリンである。ウシ及びブタインスリンは、まれに使用される。レギュラーヒトインスリン(ノボリンR、Humulin R)は、バイアル、カートリッジ、及び事前充填注射器で入手可能である。
NPHヒトインスリン(ノボリンN、Humulin N)は、バイアル、カートリッジ、及び事前充填注射器で入手可能である。70%のNPHヒトインスリンと30%のレギュラーヒトインスリンとの混合物(ノボリン70/30、Humulin 70/30)は、バイアル、カートリッジ、及び事前充填注射器で入手可能である。
50%のNPHヒトインスリンと50%のレギュラーヒトインスリンとの混合物(Humulin 50/50)はバイアルで入手可能である。レンテヒトインスリン(ノボリンL、Humulin L)はバイアルで入手可能である。ウルトラレンテヒトインスリン(Humulin U)はバイアルで入手可能である。インスリンリスプロ(Humalog)はバイアル及びカートリッジで入手可能である。インスリンアスパルト(Novolog)はバイアル及びカートリッジで入手可能である。インスリングラルギン(Lantus)はバイアル及びカートリッジで入手可能である。
モノマ状形態のインスリンはインスリン相同体を含み、速効型、例えば、インスリングルリシン(LysB3、GluB29)、HMR−1153 (LysB3、IleB28)、HMR−1423(GlyA21、HisB31、HisB32)、インスリンアスパルト(AspB28)又は(AspB10)、リスプロ(LysB28、ProB29)として知られている。上記のどの場合も、類似体の命名はインスリンのA又はB鎖の、鎖のN端から数えた特定位置におけるアミノ酸置換の記述に基づいており、配列の残余は天然ヒトインスリンの配列である。
速効型インスリンの乾燥粉末製剤は、天然ヒトインスリンのアミノ酸配列を有するインスリンを含む肺送達について報告されている(米国特許第6,737,045号)。速効型インスリンを含む医薬製剤、即ち、60分以内にピーク血清レベル及び90分以内にグルコーストラフを与え得る医薬製剤をさらに開発する必要がある。
インスリンを注射する人達に使用可能な幾つかの選択がある。インスリンは手作業で注射できるか又はインスリンポンプと呼ばれる小さな電子注入デバイスの助けで体内に注入することができる。注射器は多分最も普通で対費用効果の高い選択であり、2種のインスリンを混合して一緒に取る患者にとって有用である。注射器に代わるものはインスリンペンであり、それはインスリンで予め充填されて供給され、使い捨て又は(ディスポーザブルインスリンカートリッジで)再使用のいずれも可能である。このデバイスはキャップの下に細い針及び他端にプランジャのある大きいペンに似ている。使用者はダイヤルで投与量を調節することができる。インスリンペンは、70/30(NPH及びレギュラーインスリン)などの最も頻繁に処方されるタイプのインスリン混合物としても入手可能である。ある人達は注射器よりもペンを選び、それは携帯及び使用が容易だからである。
インスリンジェットインジェクタとして知られる他のデバイスは、皮膚を通してインスリンの微細な噴霧を送るために高圧の噴射空気を使用することにより作動する。これは注射嫌いの患者達に良い選択肢であるかも知れない。しかしながら、ジェットインジェクタは大きな出費を必要とし、必ずしも保険でまかなえるとは限らない。
インスリンポンプはある人達にとって1型糖尿病を制御するより有効な方法であり得る。それはインスリンポンプが膵臓のインスリン産生をより近く模倣しているからである。インスリンポンプは、「基本速度」として知られる一日を通しての少量の定常的なインスリンの流れを患者に投与する付属の注入セット(又はチューブ)付きのコンパクトな電子式デバイスである。食前に、ポンプ使用者は、食事による血中グルコースレベルの対応する上昇を補償する速効性インスリンの「大量瞬時投与」を送達するようにポンプをプログラムする。ポンプ流量は必要に応じて1日を通して使用者により手作業でも調節することができる。
グルコース調節ペプチドは、インスリン依存性真性糖尿病(IDDM),妊娠糖尿病、又はインスリン非依存性真性糖尿病(NIDDM)の治療、肥満の治療及び異脂肪血症の治療に治療可能性を有することが示されている種類のペプチドである。米国特許第6,506,724号、米国特許出願公開第20030036504A1号、欧州特許第1083924B1号、国際特許出願公開WO98/30231A1号、及び国際特許出願WO00/73331A2号を参照されたい。インスリン及びインスリン類似体に加えて、グルコース調節ペプチドには、グルカゴン様ペプチド、GLP例えばGLP−1、エキセンディン、特にエクセナチドとしても知られるエキセンディン−4並びにアミリンペプチド及びプラムリンチドなどのアミリン類似体が含まれる。今日まで、これらのペプチドは注射によりヒトに投与されてきた。
したがって、グルコース調節ペプチド、特に速効型インスリンの、注射による以外の投与のための医薬製剤を開発する必要性がある。
本発明の詳細な説明
本発明のより良き理解を提供するために、次の定義を与える。
本発明のより良き理解を提供するために、次の定義を与える。
インスリン及びインスリン類似体
本発明は、60分以内にピーク血清レベルを及び90分以内にグルコーストラフを与え得る速効型インスリンの経鼻投与に主として重点を置く。本発明によれば、グルコース調節ペプチドは、ペプチドの遊離塩基、酸付加塩又はカリウム若しくはナトリウム塩などの金属塩、並びにアミド化、グリコシル化、アシル化、硫酸化、ホスホリル化、アセチル化、環化及び他の周知の共有結合性改変法のような方法により改変されたペプチドも含む。
本発明は、60分以内にピーク血清レベルを及び90分以内にグルコーストラフを与え得る速効型インスリンの経鼻投与に主として重点を置く。本発明によれば、グルコース調節ペプチドは、ペプチドの遊離塩基、酸付加塩又はカリウム若しくはナトリウム塩などの金属塩、並びにアミド化、グリコシル化、アシル化、硫酸化、ホスホリル化、アセチル化、環化及び他の周知の共有結合性改変法のような方法により改変されたペプチドも含む。
本明細書で使用する用語「ヒトインスリン」は、組換えヒトインスリンを含む。
薬学的に許容される塩は、無機酸塩、有機アミン塩、有機酸塩、アルカリ土類金属塩、及びそれらの混合物を含む。薬学的に許容される塩の適当な例には、ハロゲン化物、グルコサミン、アルキルグルコサミン、硫酸塩、塩酸塩、炭酸塩、臭化水素酸塩、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリシン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メシレート、グルコン酸塩、トシレート、マレイン酸塩、フマル酸塩、ステアリン酸塩、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定はされない。
したがって、本発明によれば、上記のペプチド及びそれらの混合物は、経粘膜送達、特に経鼻送達に適した医薬製剤中に組み込まれる。
ペプチド類似体及び模倣体
本発明において使用する生物活性ペプチドの定義には、天然又は合成の、治療的若しくは予防的に有効な、ペプチド(共有結合で連結した2つ以上のアミノ酸から構成される)、タンパク質、ペプチド若しくはタンパク質のフラグメント、ペプチド若しくはタンパク質の類似体、及び活性なペプチド若しくはタンパク質の化学的に改変された誘導体又は塩が含まれる。グルコース調節ペプチドの広範囲の有用な類似体及び模倣体が、本発明中での使用に考慮され、公知の方法により製造し、生物活性を試験することができる。しばしば、本発明中で使用するグルコース調節ペプチドのペプチド若しくはタンパク質又は他の生物活性ペプチド若しくはタンパク質は、天然に生ずる即ち未変性の(例えば、野生型、天然に生ずる変異型、又は対立遺伝子多型)ペプチド若しくはタンパク質配列内でのアミノ酸の部分的置換、付加又は欠失により容易に得られる突然変異蛋白質である。それに加えて未変性ペプチド又はタンパク質の生物活性フラグメントが含まれる。そのような変異誘導体及びフラグメントは未変性ペプチド又はタンパク質の所望の生物活性を実質的に保持している。炭水化物鎖を有するペプチド又はタンパク質の場合、これらの炭水化物種の変性により特徴づけられた生物活性変種も本発明内に含まれる。
本発明において使用する生物活性ペプチドの定義には、天然又は合成の、治療的若しくは予防的に有効な、ペプチド(共有結合で連結した2つ以上のアミノ酸から構成される)、タンパク質、ペプチド若しくはタンパク質のフラグメント、ペプチド若しくはタンパク質の類似体、及び活性なペプチド若しくはタンパク質の化学的に改変された誘導体又は塩が含まれる。グルコース調節ペプチドの広範囲の有用な類似体及び模倣体が、本発明中での使用に考慮され、公知の方法により製造し、生物活性を試験することができる。しばしば、本発明中で使用するグルコース調節ペプチドのペプチド若しくはタンパク質又は他の生物活性ペプチド若しくはタンパク質は、天然に生ずる即ち未変性の(例えば、野生型、天然に生ずる変異型、又は対立遺伝子多型)ペプチド若しくはタンパク質配列内でのアミノ酸の部分的置換、付加又は欠失により容易に得られる突然変異蛋白質である。それに加えて未変性ペプチド又はタンパク質の生物活性フラグメントが含まれる。そのような変異誘導体及びフラグメントは未変性ペプチド又はタンパク質の所望の生物活性を実質的に保持している。炭水化物鎖を有するペプチド又はタンパク質の場合、これらの炭水化物種の変性により特徴づけられた生物活性変種も本発明内に含まれる。
本明細書で使用する用語「保存的アミノ酸置換」は、類似の側鎖を有するアミノ酸残基の一般的互換性を意味する。例えば、脂肪族側鎖を有する一般的に互換性のアミノ酸群は、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸群は、セリン及びトレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸群は、アスパラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸群は、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸群は、リシン、アルギニン及びヒスチジンであり、またイオウ含有側鎖を有するアミノ酸群は、システイン及びメチオニンである。保存的置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニンなどの非極性(疎水性)残基を他のものに置換することが挙げられる。同様に、本発明は、アルギニンとリシンとの間、グルタミンとアスパラギンとの間、及びトレオニンとセリンとの間などでの極性(親水性)残基の置換も考慮する。それに加えて、リシン、アルギニン若しくはヒスチジンなどの塩基性残基の他のものへの置換又はアスパラギン酸若しくはグルタミン酸などの酸性残基の他のものへの置換も考慮される。代表的な保存的アミノ酸置換群は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン−バリン、及びアスパラギン−グルタミンである。ペプチド又はタンパク質の類似体を対応する未変性ペプチド又はタンパク質と最適にアラインすることにより、また適当なアッセイ、例えば付着性タンパク質若しくは受容体結合アッセイを使用して選択された生物活性を測定することにより、本発明の方法及び組成物における用途に使用可能なペプチド及びタンパク質類似体を容易に同定することができる。使用可能なペプチド及びタンパク質類似体は、通常、対応する未変性ペプチド又はタンパク質に対して生じさせた抗体と特異的に免疫反応性である。
粘膜送達増強剤
「経粘膜送達増強剤」は、水、塩及び/又は普通のバッファ、及びグルコース調節ペプチドを含む製剤(対照製剤)に加えたときに、血液、血清、脳脊髄液中の最高濃度(Cmax)により、又は濃度対時間のプロットにおける曲線下の面積AUCにより測定される、粘膜を通過するグルコース調節ペプチドの輸送を効果的に増大させる製剤を生成させる化学物質及び他の賦形剤と定義される。粘膜には、鼻、口腔、腸、頬、気管支肺、膣、及び直腸の粘膜表面が含まれ、実際、外部と通じる全ての体腔又は通路を内張りしている全ての粘液分泌粘膜が含まれる。経粘膜送達増強剤は時により「担体」と呼ばれる。
「経粘膜送達増強剤」は、水、塩及び/又は普通のバッファ、及びグルコース調節ペプチドを含む製剤(対照製剤)に加えたときに、血液、血清、脳脊髄液中の最高濃度(Cmax)により、又は濃度対時間のプロットにおける曲線下の面積AUCにより測定される、粘膜を通過するグルコース調節ペプチドの輸送を効果的に増大させる製剤を生成させる化学物質及び他の賦形剤と定義される。粘膜には、鼻、口腔、腸、頬、気管支肺、膣、及び直腸の粘膜表面が含まれ、実際、外部と通じる全ての体腔又は通路を内張りしている全ての粘液分泌粘膜が含まれる。経粘膜送達増強剤は時により「担体」と呼ばれる。
「エンドトキシンフリー製剤」は、グルコース調節ペプチドと、エンドトキシン及び/又は関連する発熱物質を実質的に含まない1つ又は複数の経粘膜送達増強剤とを含む製剤を意味する。エンドトキシンは、微生物の内側に限局されていて、微生物が破壊されたか又は死んだときにだけ遊離される毒素を含む。発熱物質は、細菌及び他の微生物の外膜からの発熱誘発性で熱安定性の物質(糖タンパク質)を含む。これらの物質の両方とも、ヒトに投与されると発熱、低血圧及びショックを惹起し得る。エンドトキシンフリーの製剤を製造するには、特別の設備、専門の技能者が必要になる可能性があり、エンドトキシンフリーでない製剤を作製するよりも著しく費用がかかる可能性がある。齧歯類にエンドトキシンを注入すると同時にGLP又はアミリンを静脈内に投与すると、エンドトキシン単独投与に伴う低血圧を及び死亡さえ防止することが示されたので(米国特許第4,839,343号)、これらの及び他のグルコース調節ペプチド治療薬のエンドトキシンフリー製剤を製造することが、非経口的でない(注射でない)投与にとって必要であると要求はされないであろう。
非注入投与
「非注入投与」は、動脈又は静脈中への直接注射、(通常液体)を何かの中に圧入し又は打ち込んで、特に、体部に針、注射器、若しくは他の侵襲的方法により導入する方法を含まない任意の送達方法を意味する。非注入投与は、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射及び粘膜への非注射的送達方法を含む。
「非注入投与」は、動脈又は静脈中への直接注射、(通常液体)を何かの中に圧入し又は打ち込んで、特に、体部に針、注射器、若しくは他の侵襲的方法により導入する方法を含まない任意の送達方法を意味する。非注入投与は、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射及び粘膜への非注射的送達方法を含む。
送達方法及び組成物
グルコース調節ペプチドの哺乳類被験者への粘膜投与のための改良された方法及び組成物により、グルコース調節ペプチドの投与スケジュールは最適化される。本発明は、1つ又は複数の経粘膜送達増強剤を添加して製剤化されたグルコース調節ペプチドの経粘膜送達を提供し、グルコース調節ペプチドの投与量放出は実質的に基準化され、及び/又はグルコース調節ペプチド放出の有効な送達期間、粘膜投与後約0.1から2.0時間、0.4から1.5時間、0.7から1.5時間、又は0.8から1.0時間の範囲に維持される。グルコース調節ペプチドの徐放化放出の達成は、本発明の方法及び組成物を利用する外来性グルコース調節ペプチドの反復投与により容易にすることができる。グルコース調節ペプチドの哺乳類被験者への粘膜投与の改良された組成物及び方法により、グルコース調節ペプチドの投与スケジュールは最適化される。本発明は、1つ又は複数の経粘膜送達増強剤及び1つ又は複数の任意選択の徐放性増強剤と組み合わせたグルコース調節ペプチドを含む製剤の改良された経粘膜(例えば鼻粘膜)送達を提供する。本発明の経粘膜送達増強剤は、粘膜投与されたグルコース調節ペプチドの治療活性を増強する送達の効果的な上昇、例えば血漿中最高濃度(Cmax)の上昇を生ずる。血漿及びCNS中のグルコース調節ペプチドの治療活性に影響する第2の要因は滞留時間(RT)である。徐放化放出増強剤は、経鼻送達増強剤と組み合わされて、グルコース調節ペプチドのCmaxを上昇させ、滞留時間を延長させる。徐放性増強製剤を生ずる本発明のポリマ性送達媒体及び他の薬剤及び方法、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)が、本明細書で開示されている。
グルコース調節ペプチドの哺乳類被験者への粘膜投与のための改良された方法及び組成物により、グルコース調節ペプチドの投与スケジュールは最適化される。本発明は、1つ又は複数の経粘膜送達増強剤を添加して製剤化されたグルコース調節ペプチドの経粘膜送達を提供し、グルコース調節ペプチドの投与量放出は実質的に基準化され、及び/又はグルコース調節ペプチド放出の有効な送達期間、粘膜投与後約0.1から2.0時間、0.4から1.5時間、0.7から1.5時間、又は0.8から1.0時間の範囲に維持される。グルコース調節ペプチドの徐放化放出の達成は、本発明の方法及び組成物を利用する外来性グルコース調節ペプチドの反復投与により容易にすることができる。グルコース調節ペプチドの哺乳類被験者への粘膜投与の改良された組成物及び方法により、グルコース調節ペプチドの投与スケジュールは最適化される。本発明は、1つ又は複数の経粘膜送達増強剤及び1つ又は複数の任意選択の徐放性増強剤と組み合わせたグルコース調節ペプチドを含む製剤の改良された経粘膜(例えば鼻粘膜)送達を提供する。本発明の経粘膜送達増強剤は、粘膜投与されたグルコース調節ペプチドの治療活性を増強する送達の効果的な上昇、例えば血漿中最高濃度(Cmax)の上昇を生ずる。血漿及びCNS中のグルコース調節ペプチドの治療活性に影響する第2の要因は滞留時間(RT)である。徐放化放出増強剤は、経鼻送達増強剤と組み合わされて、グルコース調節ペプチドのCmaxを上昇させ、滞留時間を延長させる。徐放性増強製剤を生ずる本発明のポリマ性送達媒体及び他の薬剤及び方法、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)が、本明細書で開示されている。
本発明は、個体の満腹を誘起し、個体の体重減少、哺乳類被験者における肥満、結腸癌、前立腺癌又は他の癌を促進する糖尿病、高血糖、異脂肪血症を含む、疾患及び状態に関連する症状を治療するための、改良されたグルコース調節ペプチドの送達方法及び投与形態を提供する。
本発明の経粘膜送達製剤及び方法において、グルコース調節ペプチドはしばしば経粘膜送達に適当な担体又は媒体と組み合わされ又は協調して投与される。本明細書で使用する用語「担体」は、薬学的に許容される固体又は液体の充填剤、希釈剤又はカプセル化材を意味する。含水液体担体は、酸性化剤、アルカリ化剤、抗菌防腐剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート剤、錯化剤、可溶化剤、湿潤剤、溶媒、懸濁及び/又は増粘剤、等張化剤、保水剤又は他の生体適合性材料などの薬学的に許容される添加物を含むことができる。上記のカテゴリーにより掲載した成分の錠剤化は「米国薬局方処方集」1990年版1857〜1859頁に見出すことができる。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料の幾つかの例は、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類;コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びセルロースアセテートなど;粉末化したトラガカントガム;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバター及び座剤ワックスなどの賦形剤;ピーナツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びダイズ油などの油類;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル溶液、エチルアルコール及びリン酸緩衝溶液、並びに医薬製剤で使用される他の無毒性適合性物質、並びにそれらの混合物である。
例えば、湿潤剤の幾つかの例には、プロピレングリコール、グリセリン、グルセリルトリアセテート、ポリオール、ポリマ状ポリオール、乳酸、尿素、及びそれらの混合物が挙げられる。
バッファ及び緩衝塩の幾つかの例は、グルタミン酸塩、酢酸塩、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、リシン、メチオニン、乳酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、及びそれらの混合物を主成分とする。
保水剤、乳化剤、及び潤滑剤例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなど、並びに着色剤、離型剤、被覆剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤、及び抗酸化剤も、配合者の所望により組成物中に存在させることができる。薬学的に許容される抗酸化剤の例には、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等などの水溶性抗酸化剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;及びクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸、及びそれらの混合物などの金属キレート剤が挙げられる。単回投与量形態を製造するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、投与の特定の様式に依存して変化するであろう。
本発明の経粘膜送達組成物及び方法においては、粘膜表面の中への又はそれを通過するグルコース調節ペプチドの送達を増強する種々の送達増強剤が利用される。これに関連して、粘膜上皮を通過するグルコース調節ペプチドの送達は、「経細胞的に」又は「傍細胞的に」起こり得る。これらの経路が全体の流束に寄与する程度及びグルコース調節ペプチドの生体利用率は、粘膜の環境、有効薬剤の物理化学的性質及び粘膜上皮の性質に依存する。傍細胞輸送は受動的拡散のみを含み、それに対して経細胞輸送は受動的、促進性即ち能動的過程により起こり得る。一般に、親水性の受動的に輸送される極性溶質は傍細胞経路を通って拡散し、一方より親油性の溶質は経細胞経路を使用する。多種多様な受動的に及び能動的に吸収される溶質の吸収及び生体利用率(例えば、透過係数又は生理学的アッセイにより反映されるような)は、本発明中の任意に選択されたグルコース調節ペプチドに対して、傍細胞及び経細胞送達成分の両方に関して、容易に評価することができる。受動的に吸収される薬物について、傍細胞及び経細胞経路の薬物輸送に対する相対的寄与は、薬物のpKa、分配係数、分子半径及び電荷、薬物が送達される管腔環境のpH、並びに吸収表面面積に依存する。傍細胞経路は、鼻粘膜上皮の到達可能な表面面積の比較的小さい部分を占める。一般論として、細胞膜は、傍細胞空隙により占められる面積より千倍大きい粘膜表面を占有しているということが報告されている。したがって、より小なる到達可能面積、及び高分子の透過に対するサイズ及び電荷に基づく差別は、傍細胞経路は薬物輸送に対して経過細胞送達よりも一般的に有利でないであろうということを示唆するであろう。驚いたことに、本発明の方法及び組成物は、生物治療剤の傍細胞経路による粘膜上皮中への及びそれを通過する顕著に増強された輸送を提供する。したがって、本発明の方法及び組成物は、選択的に又は単一の方法若しくは組成物において、傍細胞及び経細胞経路の両方を首尾よくターゲットにする。
本明細書で使用する用語「経粘膜送達増強剤」は、グルコース調節ペプチド又は他の生物活性化合物の、放出若しくは溶解度(例えば、製剤送達媒体による)、拡散速度、浸透能力及びタイミング、取込み、滞留時間、安定性、有効半減期、ピーク若しくは持続される濃度レベル、クリアランス及び他の所望の経粘膜送達特性(例えば、送達部位で又は血流若しくは中枢神経系など選択された活性標的部位で測定された)を増強させる薬剤を含む。このように、経粘膜送達の増強は、種々の機構のいずれによっても、例えばグルコース調節ペプチドの拡散、輸送、残留性又は安定性を増大させること、膜流動性を増大させること、細胞内若しくは傍細胞透過を調節するカルシウム及び他のイオンの有効度若しくは作用を調節すること、粘膜成分(例えば脂質)を可溶化すること、粘膜組織中の非タンパク質及びタンパク質のスルフヒドリルレベルを変化させること、粘膜表面を通過する水流束を増大させること、上皮接合部の生理機能を調節すること、粘膜上皮の上を覆う粘液の粘度を低下させること、粘膜繊毛クリアランス速度を低下させること及び他の機構により起こり得る。
本明細書で使用する用語「グルコース調節ペプチドの粘膜で有効な量」は、グルコース調節ペプチドの、種々の送達若しくは移送経路を含み得る、被験者における薬剤活性の必要な標的部位への有効な経粘膜送達を考慮している。例えば、与えられた有効薬剤は、粘膜細胞間の間隙を通って通路を見出し、近傍の血管壁に達するかもしれず、一方薬剤は、他の経路により、受動的若しくは能動的のいずれかで粘膜細胞に取り込まれて細胞内で作用し、又は排泄され即ち細胞から外へ輸送され、全身的循環などの二次的標的部位に到達し得る。本発明の方法及び組成物は、有効薬剤の1つ若しくは複数のそのような別経路に沿っての移動を促進することができ、又は粘膜組織若しくは近位の血管組織に直接作用して、活性薬剤の吸収若しくは浸透を促進することができる。これに関連する吸収又は浸透の促進は、これらの機構に限定されない。
本明細書で使用する用語「血漿中のグルコース調節ペプチドのピーク濃度(Cmax)」、「血漿中のグルコース調節ペプチドの濃度対時間曲線下の面積(AUC)」、「血漿中のグルコース調節ペプチドの血漿中最高濃度に至る時間(tmax)」は、当業者に知られた薬物動態学的パラメータである。Laursenら、「Eur.J.Endocrinology、第135巻」:309〜315頁、1996年。「濃度対時間曲線」は、経鼻、筋肉内、皮下、又は他の非経口投与経路のいずれかにより被験者にグルコース調節ペプチドの1投与量を投与した後の、被験者の血清中のグルコース調節ペプチド濃度対時間の測定である。「Cmax」は、被験者にグルコース調節ペプチドを単回投与後の被験者の血清中のグルコース調節ペプチドの最高濃度である。「tmax」は、被験者にグルコース調節ペプチドを単回投与後に、被験者の血清中のグルコース調節ペプチドが最高濃度に達する時間である。
本明細書中で使用する「血漿中のグルコース調節ペプチド濃度対時間曲線下の面積(AUC)」は、線形台形公式に従って計算し、残余の面積を加えたものである。2投与間の23%の減少又は30%の増加は、90%の確率で検出されるであろう(II型誤差β=10%)。「送達速度」又は「吸収速度」は、最高濃度(Cmax)に達する時間(tmax)の比較により測定される。Cmax及びtmaxは両方ともノンパラメトリック法を使用して分析される。筋肉内、皮下、静脈内及び経鼻グルコース調節ペプチド投与の薬物動態の比較は分散分析(ANOVA)により実施した。対比較のために、ボンフェローニ−ホームズ逐次法を使用して有意性を推定する。3回の経鼻投与間の投与応答関係は、回帰分析により推定する。P<0.05が有意とみなされる。結果は平均値+/−SEMで与えられる。
吸収促進の機構は、本発明の経粘膜送達増強剤が異なれば変り得るが、この関係で有用な試薬は粘膜組織に実質的に副作用はなく、特定のグルコース調節ペプチド又は他の有効な薬剤若しくは送達増強剤の物理化学的特性に従って選択されるであろう。この関連で、粘膜組織の浸透又は透過性を増大させる送達増強剤は、粘膜の保護的透過障壁の何らかの変化をしばしば生じさせるであろう。本発明において、そのような送達増強剤が価値あるものであるためには、粘膜の透過性における如何なる有意な変化も薬剤送達の所望期間に適した時間枠内で可逆的であることが一般に望まれる。さらに、長期使用により、実質的な蓄積する毒性も、粘膜の障壁の性質に誘起される如何なる永久的な有害な変化もあるべきではない。
本発明のある局面において、本発明のグルコース調節ペプチドとの共投与又は組合せ製剤のための吸収促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、エタノール、プロピレングリコール、及び2−ピロリドンを含むが、これらに限定はされない親水性の小分子から選択される。あるいは、長鎖の両親媒性分子、例えば、デアシルメチルスルホキシド(deacylmethyl sulfoxide)、アゾン(azone)、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸、及び胆汁酸塩が、グルコース調節ペプチドの粘膜浸透を増強させるために利用され得る。さらに他の局面において、グルコース調節ペプチドの経鼻送達を増強するために、界面活性剤(例えばポリソルベート)が、補助剤化合物、工程処理剤、又は製剤添加物として利用される。DMSO、ポリエチレングリコール及びエタノールなどの薬剤は、送達環境に十分高濃度で存在すれば(例えば事前投与又は治療製剤中への導入により)、粘膜の水性相に入り、その可溶化特性を変化させ、それによりグルコース調節ペプチドの、媒体から粘膜への分配を増大させる。
したがって、可溶化剤の幾つかの例には、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、及びそれらの混合物が挙げられる。
本発明の共投与及び加工方法及び組合せ製剤で有用なさらなる経粘膜送達増強剤には、混合ミセル;エナミン;一酸化窒素供与剤(例えば、S−ニトロソ−N−アセチル−DL−ペニシラミン、NOR1、NOR4;これらは、カルボキシ−PITO又はドクロフェナックナトリウムなどのNOスカベンジャーと共投与されることが好ましい);サリチル酸ナトリウム;アセト酢酸グリセロールエスエル(例えば、グリセリル−1,3−ジアセトアセテート又は1,2−イソプロピリデングリセリン−3−アセトアセテート);及び経粘膜送達に生理学的に適合性の他の放出−拡散又は上皮内若しくは経上皮浸透促進剤が含まれるが、これらに限定はされない。他の吸収促進剤は、グルコース調節ペプチドの経粘膜送達、安定性、活性又は経上皮浸透を増強する種々の担体、基剤及び賦形剤から選択される。これらは、とりわけ、シクロデキストリン類及びβ−シクロデキストリン誘導体(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及びヘプタキス(2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリン))を含む。これらの化合物は、1つ又は複数の有効成分と結合していてもよく、またさらに油脂性基剤中で製剤化されていてもよく、本発明の粘膜用製剤の生体利用率を増大させる。経粘膜送達のためのさらに他の吸収増強剤には、モノ−及びジグリセリド(例えば、カプリン酸ナトリウム、ココナツ油の抽出物、Capmul)及びトリグリセリド(例えば、アミロデキストリン、Estaram 299、ミグリオール810)を含む中程度の鎖長の脂肪酸が挙げられる。
本発明の経粘膜治療及び予防用組成物は、グルコース調節ペプチドの粘膜障壁を越える吸収、拡散又は浸透を容易にする任意の適当な浸透促進剤で補完することができる。浸透促進剤は、薬学的に許容される任意の促進剤であってよい。したがって、本発明のより具体的な態様において、サリチル酸ナトリウム及びサリチル酸誘導体(サリチル酸アセチル、サリチル酸コリン、サリチルアミド等);アミノ酸及びそれらの塩(例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリンなどのモノアミノカルボン酸;セリンなどのヒドロキシアミノ酸;アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸;リシンなどの塩基性アミノ酸;それらのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩も含む);及びN−アセチルアミノ酸(N−アセチルアラニン、N−アセチルフェニルアラニン、N−アセチルセリン、N−アセチルグリシン、N−アセチルリシン、N−アセチルグルタミン酸、N−アセチルプロリン、N−アセチルヒドロキシプロリン等)及びそれらの塩(それらのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩)から選択される1つ又は複数の浸透促進を含有する組成物が提供される。本発明の方法及び組成物における浸透促進剤として、通常乳化剤として使用される物質(例えば、オレイルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等)、カプロン酸、乳酸、リンゴ酸、及びクエン酸、並びにそれらのアルカリ金属塩、ピロリドンカルボン酸、アルキルピロリドンカルボン酸エステル、N−アルキルピロリドン、プロリンアシルエステル等も提供される。
本発明の種々の態様において、本発明のグルコース調節ペプチド及び他の治療薬の、投与部位と選択された標的部位との間の粘膜障壁を通過する送達を可能にする改良された経鼻粘膜送達製剤及び方法が提供される。ある製剤は、選択された標的細胞、組織若しくは器官又はさらに特定の病状に特異的に適合させられている。他の態様において、製剤及び方法は、所定の細胞内又は細胞間の経路に沿って特異的に道筋を定められたグルコース調節ペプチドの、効率的で選択的なエンドサイトーシス若しくはトランスサイトーシスを提供する。通常、グルコース調節ペプチドは、担体又は他の送達媒体中に効果的な濃度で有効に加えられて、送達され、薬剤が作用する遠隔標的部位(例えば、血流又は所定の組織、器官若しくは細胞外区画)に至る、例えば、鼻粘膜で及び/又は細胞内区画及び膜を通る通路の間で、安定化された形態に維持される。グルコース調節ペプチドは、送達媒体中で、又は他の方法で改変されて(例えば、プロドラッグの形態で)提供されてもよく、その場合、グルコース調節ペプチドの放出又は活性化は生理学的刺激(例えば、pH変化、リソソーム酵素その他)により開始される。しばしば、グルコース調節ペプチドは、活性が必要な標的部位に到達するまで薬理的に不活性である。大抵の場合、グルコース調節ペプチド及び他の製剤成分は無毒性で非免疫原性である。この関係で、担体及び他の製剤成分は、一般的に、生理学的条件下で急速に分解され排出される能力を理由に選択される。同時に、製剤は、有効貯蔵期間中投与形態で化学的及び物理的に安定である。タンパク質安定性を増強するために含水率を効果的に制御する種々の添加物、希釈剤、基剤及び送達媒体が、本発明で提供される。この意味で抗凝集剤として有効なこれらの試薬及び担体物質は、例えば、ポリエチレングリコール、デキストラン、ジエチルアミノエチルデキストラン、及びカルボキシメチルセルロースなどの種々の機能性を有するポリマを含み、それらは、それらと混合された又はそれらに結合したペプチド又はタンパク質の安定性を大いに向上させ、かつ固相凝集を減少させる。ある場合には、タンパク質の活性及び物理的安定性は、ペプチド又はタンパク質薬剤の水溶液への種々の添加物によっても増強することができる。例えば、ポリオール(糖類を含む)などの添加物、アミノ酸、コラーゲン及びゼラチンなどのタンパク質、及び種々の塩類が使用される。
ある種の添加物、特に糖類及び他のポリオールも、乾燥した、例えば、凍結乾燥されたタンパク質に顕著な物理的安定性を付与する。これらの添加物も、凍結乾燥の間だけでなく、乾燥状態での貯蔵期間中にもタンパク質を凝集から保護するために本発明で使用することができる。例えば、スクロース及びフィコール70(スクロース単位を有するポリマ)は、種々の条件下で固相インキュベーションの間ペプチド又はタンパク質の凝集に対して顕著な保護を示す。これらの添加物は、ポリマのマトリックス中に埋め込まれた固体のタンパク質の安定性も向上させることができる。
さらに他の添加物、例えば、スクロースは、本発明のある種の徐放化製剤で起こり得る高温高湿度の雰囲気中でタンパク質を固体状態の凝集に対して安定化させる。ゼラチン及びコラーゲンなどのタンパク質も、この関係で不安定なタンパク質の変性及び凝集を減少させるための安定剤又は増量剤として役立つ。これらの添加物は、本発明のポリマ溶融工程中に及び組成物中に含有させることができる。例えば、ポリペプチド微粒子は、上記の種々の安定化添加物を含む溶液を単に凍結乾燥するか又は噴霧乾燥することにより調製することができる。それにより、非凝集ペプチド及びタンパク質の徐放を長期間にわたって得ることができる。
可溶化剤を使用して実質的に純粋な非凝集形態で安定化された、凝集しやすいペプチド及びタンパク質の経粘膜送達のための製剤を与える種々の付加的調製成分及び方法並びに特別の製剤添加物が、本明細書中で提供される。成分及び添加物の範囲は、これらの方法及び製剤中で使用するために考慮される。これらの可溶化剤の代表的なものはシクロデキストリン類(CDs)であり、それはポリペプチドの疎水性側鎖に選択的に結合する。これらのCDsは凝集を顕著に阻止する様式でタンパク質の疎水性部分に結合することが見出された。この阻止は、関与するCD及びタンパク質の双方に関して選択的である。タンパク質凝集のそのような選択的阻止は、本発明の経鼻送達方法及び組成物に付加的な利点を提供する。この関係で使用する追加の薬剤は、ペプチド及びタンパク質の凝集を特異的に阻止する、リンカーにより制御された種々の幾何学的配置を有するCD2量体、3量体及び4量体を含む。さらに、本発明における混和のための溶解剤及び方法は、タンパク質とタンパク質との相互作用を選択的に阻害するペプチド及びペプチド模倣体の使用を含む。一態様において、CD多量体について報告されている疎水性側鎖の特異的結合は、タンパク質凝集を同様に阻止するペプチド及びペプチド模倣体の使用によりタンパク質に拡張される。広範囲の適当な方法及び抗凝集剤が、本発明の組成物及び方法における混和のために使用可能である。
電荷改変及びpH制御剤及び方法
疎水性粘膜障壁を通過する増強された送達を目的として、生物活性薬剤(グルコース調節ペプチド、他の活性ペプチド及びタンパク質、並びに高分子量及び低分子量薬剤を含む)の輸送特性を改良するために、本発明は本明細書中に記載した選択された生物活性薬剤又は送達増強剤の電荷改変のための技法及び試薬も提供する。これに関連して、高分子の相対的透過性は、一般的にそれらの分配係数に関係する。分子のイオン化の程度は、分子のpKa及び粘膜表面のpHに依存し、また分子の透過性にも影響する。本発明のグルコース調節ペプチド及び類似体を含む、経粘膜送達のための生物活性薬剤の透過及び分配は、活性薬剤又は透過化剤の電荷の変化又は電荷の広がりにより有利になり得る。それは、例えば、荷電官能基の変更により、活性薬剤が送達される送達媒体若しくは溶液のpHの改変により、又は活性薬剤と共に電荷若しくはpH改変試薬を共投与することにより達成される。
疎水性粘膜障壁を通過する増強された送達を目的として、生物活性薬剤(グルコース調節ペプチド、他の活性ペプチド及びタンパク質、並びに高分子量及び低分子量薬剤を含む)の輸送特性を改良するために、本発明は本明細書中に記載した選択された生物活性薬剤又は送達増強剤の電荷改変のための技法及び試薬も提供する。これに関連して、高分子の相対的透過性は、一般的にそれらの分配係数に関係する。分子のイオン化の程度は、分子のpKa及び粘膜表面のpHに依存し、また分子の透過性にも影響する。本発明のグルコース調節ペプチド及び類似体を含む、経粘膜送達のための生物活性薬剤の透過及び分配は、活性薬剤又は透過化剤の電荷の変化又は電荷の広がりにより有利になり得る。それは、例えば、荷電官能基の変更により、活性薬剤が送達される送達媒体若しくは溶液のpHの改変により、又は活性薬剤と共に電荷若しくはpH改変試薬を共投与することにより達成される。
これらの一般的知識と一致して、本発明の方法及び組成物における、グルコース調節ペプチド及び他の生物活性ペプチド及びタンパク質を含む荷電高分子種の経粘膜送達は、その活性薬剤が、実質的にイオン化していない即ち中性の電荷状態にある粘膜表面に送達されるときに、実質的に向上する。
本発明で使用する粘膜用製剤のある種のグルコース調節ペプチド及び他の生物活性ペプチド及びタンパク質成分は、電荷を改変されてペプチド又はタンパク質の正電荷密度が増加する。これらの改変は、本明細書中で開示したペプチド及びタンパク質結合体、担体及び他の送達形態のカチオン化にも及ぶ。カチオン化は、本発明のタンパク質及び高分子の体内分布及び輸送特性を変化させる便利な手段を提供する。カチオン化は、活性薬剤の生物活性を保存して且つ組織損傷及び毒性を含む潜在的副作用を制限するような様式で行われる。
「バッファ」は、通常、溶液のpHを殆んど一定の値に維持するために使用される。バッファは、少量の強酸又は強塩基が溶液に加えられたときでさえ、水素及び水酸化物イオンの濃度の大きな変化を防止し即ち中和することにより、溶液のpHを維持する。バッファは一般に弱酸とその適当な塩(又は弱塩基とその適当な塩)からなる。弱酸の適当な塩は弱酸中に存在するものと同一の負イオンを含む(Lagowski、「Macmillan Encyclopedia of Chemistry」、第1巻、Simon & Schuster、New York、1997年、273〜4頁を参照されたい)。ヘンダーソン・ハッセルバッハの式、pH=pKa+log10[A]/[HA]が緩衝を記述するために使用され、弱酸解離のための標準式、
に基づく。通常使用されるバッファ原料の例には、次のもの挙げられる:酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、乳酸塩、グリシン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン酸塩、メチオニン、ギ酸塩、及びグリコール酸塩。
に基づく。通常使用されるバッファ原料の例には、次のもの挙げられる:酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、乳酸塩、グリシン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン酸塩、メチオニン、ギ酸塩、及びグリコール酸塩。
「緩衝能力」は、有意のpH変化が起こる前に緩衝溶液に加えることができる酸又は塩基の量を意味する。pHが弱酸のpK+1及びpK−1の範囲内にあれば、緩衝能力は相当のものであるが、この範囲外では緩衝能力は殆んど価値がない程度に落ちる。したがって、与えられた系は、弱酸(又は弱塩基)のpKの両側で1pH単位の範囲内において有用な緩衝作用を有するのみである(Dawson、「Data for Biochemical Research」、第3版、Oxford Science Publications、1986年、419頁を参照されたい)。一般に、適当な濃度は、溶液のpHが弱酸(又は弱塩基)のpKaに近いように選ばれる(Lide、「CRC Handbook of Chemistry and Physics」、第86版、Taylor & Francis Group、2005〜2006年、2〜41頁を参照されたい)。さらに、強酸及び強塩基の溶液は、通常緩衝液として分類されず、それらは2.4から11.6のpH値の間で緩衝能力を発揮しない。
分解酵素阻害剤及び方法
粘膜用製剤に含まれてよい他の賦形剤は分解酵素阻害剤である。本発明の経粘膜送達製剤及び方法において有用な代表的粘膜付着性ポリマ酵素複合体は、カルボキシメチルセルロース−ペプスタチン(抗ペプシン活性あり);ポリ(アクリル酸)−ボーマン・バーク(Bowman−Birk)阻害剤(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−キモスタチン(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−エラスタチナール(抗エラスターゼ);カルボキシメチルセルロース−エラスタチナール(抗エラスターゼ);ポリカルボフィル−エラスタチナール(抗エラスターゼ);キトサン−アンチパイン(抗トリプシン);ポリ(アクリル酸)−バシトラシン(抗アミノペプチダーゼN);キトサン−EDTA(抗アミノペプチダーゼN、抗カルボキシペプチダーゼA);キトサン−EDTA−アンチパイン(抗トリプシン、抗キモトリプシン、抗エラスターゼ)を含むが、これらに限定はされない。下でさらに詳細に説明するように、本発明のある態様は、場合により新規なキトサン誘導体又は化学的に改変された形態のキトサンを取り入れてもよい。本発明で使用する1つのそのような新規な誘導体は、β−[1→4]−2−グアニジノ−2−デオキシ−D−グルコースポリマ(ポリ−GuD)と表示される。
粘膜用製剤に含まれてよい他の賦形剤は分解酵素阻害剤である。本発明の経粘膜送達製剤及び方法において有用な代表的粘膜付着性ポリマ酵素複合体は、カルボキシメチルセルロース−ペプスタチン(抗ペプシン活性あり);ポリ(アクリル酸)−ボーマン・バーク(Bowman−Birk)阻害剤(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−キモスタチン(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−エラスタチナール(抗エラスターゼ);カルボキシメチルセルロース−エラスタチナール(抗エラスターゼ);ポリカルボフィル−エラスタチナール(抗エラスターゼ);キトサン−アンチパイン(抗トリプシン);ポリ(アクリル酸)−バシトラシン(抗アミノペプチダーゼN);キトサン−EDTA(抗アミノペプチダーゼN、抗カルボキシペプチダーゼA);キトサン−EDTA−アンチパイン(抗トリプシン、抗キモトリプシン、抗エラスターゼ)を含むが、これらに限定はされない。下でさらに詳細に説明するように、本発明のある態様は、場合により新規なキトサン誘導体又は化学的に改変された形態のキトサンを取り入れてもよい。本発明で使用する1つのそのような新規な誘導体は、β−[1→4]−2−グアニジノ−2−デオキシ−D−グルコースポリマ(ポリ−GuD)と表示される。
酵素活性を阻害して生物活性薬剤を保護する如何なる阻害剤も、本発明の組成物及び方法において役立てて利用することができる。生物活性タンパク質及びペプチドの保護のために有用な酵素阻害剤には、例えば、ダイズトリプシン阻害剤、エキセンディントリプシン阻害剤、キモトリプシン阻害剤並びにジャガイモ(solanum tuberosum L.)塊茎から単離されたトリプシン及びキモトリプシン阻害剤が含まれる。阻害剤の組合せ又は混合物を利用することができる。本発明において使用するさらに他のタンパク分解酵素阻害剤には、オボムコイド−酵素、ガバキセートメシレート、α1−アンチトリプシン、アプロチニン、アマスタチン、ベスタチン、ピューロマイシン、バシトラシン、リューペプシン、α2−マクログロブリン、ペプスタチン、及び卵白又は大豆トリプシン阻害剤が含まれる。これらの及び他の阻害剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。阻害剤は、生物活性薬剤と組み合わせて、投与形態の鼻粘膜に接触する表面上にコートした担体、例えば、親水性ポリマ中に含有させるか若しくはそれに結合するか、又は表面の表層に、若しくは別に投与される(例えば、事前投与)製剤に含有させることができる。
阻害剤、例えば、場合により本発明の組成物に組み込まれるタンパク分解酵素阻害剤などの量は、(a)特異的阻害剤の性質、(b)その分子中に存在する官能基(ヒドロゲルを形成するモノマとの共重合に必要なエチレン性不飽和を導入するために反応させることができる)の数、及び(c)阻害剤の分子中に存在するグリコシドなどのレクチン基の数に依存して変化するであろう。その量は、投与することを意図する特定の治療剤にも依存し得る。一般論として、酵素阻害剤の有用な量は、製剤(即ち分離したプロテアーゼ阻害剤の製剤又は阻害剤と生物活性薬剤とを組み合わせた製剤)中に、約0.1mg/mlから約50mg/ml、しばしば約0.2mg/mlから約25mg/ml、より普通には約0.5mg/mlから約5mg/mlである。
トリプシン阻害の場合、適当な阻害剤は、例えば、アプロチニン、BBI、ダイズトリプシン阻害剤、ニワトリオボムコイド、ニワトリオボインヒビター、ヒトエキセンジントリプシン阻害剤、カモスタットメシレート、フラボノイド阻害剤、アンチパイン、リューペプチン、p−アミノベンズアミジン、AEBSF、TLCK(トシルリシンクロロメチルケトン)、APMSF、DFP、PMSF、及びポリ(アクリレート)誘導体から選択することができる。キモトリプシン阻害の場合、適当な阻害剤は、例えば、アプロチニン、BBI、ダイズトリプシン阻害剤、キモスタチン、ベンジルオキシカルボニル−Pro−Phe−CHO、FK−448、ニワトリオボインヒビター、糖ビフェニルボロン酸錯体、DFP、PMSF、β−フェニルプロピオネート、及びポリ(アクリレート)誘導体から選択することができる。エラスターゼ阻害の場合、適当な阻害剤は、例えば、エラスタチナール、メトキシスクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−クロロメチルケトン(MPCMK)、BBI、ダイズトリプシン阻害剤、ニワトリオボインヒビター、DFP、及びPMSFから選択することができる。
本発明で使用するさらなる酵素阻害剤は、それらの性能及び毒性の程度が様々の広範囲の非タンパク質阻害剤から選択される。下でさらに詳細に説明するように、これらの補助的薬剤のマトリックス若しくは他の送達媒体への固定化又は化学的に改変された類似体の開発は、容易に実行されて、毒性を、それに直面したときに、低下させ又は排除することさえできる。本発明で使用する酵素阻害剤候補のこの広範な群の中に、フルオロリン酸ジイソプロピル(DFP)及びフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)などの有機リン阻害剤があり、それらはセリンプロテアーゼ(例えば、トリプシン及びキモトリプシン)の強力な不可逆的阻害剤である。これらの化合物によるアセチルコリンエステラーゼのさらなる阻害は、無制御送達の状況ではそれらを高度に毒性にする。他の阻害剤候補フッ化4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニル(AEBSF)は、DFP及びPMSFに匹敵する阻害活性を有するが、毒性は著しく低い。フッ化(4−アミノフェニル)−メタンスルホニル塩酸塩(APMSF)はトリプシンのもう一つの強力な阻害剤であるが、無制御の状況では毒性である。これらの阻害剤とは対照的に、4−(4−イソプロピルピペラジノカルボニル)フェニル1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトエートメタンスルホネート(FK−448)は低毒性物質であり、キモトリプシンの強力な特異的阻害剤を代表する。阻害剤候補のこの非タンパク質群の、低毒性リスクを示すさらなる代表は、カモスタットメシレート(N,N−ジメチルカルバモイルメチル−p−(p’−グアニジノ−ベンゾイルオキシ)フェニルアセテートメタンスルホネート)である。
本発明の方法及び組成物で使用するさらに他のタイプの酵素阻害剤は、特定の治療用化合物の酵素分解に干渉するアミノ酸および改変アミノ酸である。この関係での使用にとって、アミノ酸および改変アミノ酸は実質的に無毒性であり、低原価で製造することができる。しかしながら、それらの分子サイズの小ささ及び溶解性の良さのために、それらは粘膜環境で容易に希釈され吸収される。それにも拘わらず、適当な条件下でアミノ酸は、プロテアーゼ酵素の可逆的な競争的阻害剤として作用することができる。ある改変アミノ酸は非常に強い阻害活性を発揮することができる。この関係で所望の改変アミノ酸は「遷移状態」阻害剤として知られている。これらの化合物の強力な阻害活性は、その遷移状態の幾何学的配置における、基質に対するそれらの構造的類似性に基づくが、それらは酵素の活性部位に対して基質自体よりももっと高い親和性を有するものが通常選択される。遷移状態阻害剤は、可逆的な競争的阻害剤である。このタイプの阻害剤は、ボロ−ロイシン、ボロ−バリン及びボロ−アラニンなどのα−アミノボロン酸誘導体である。これらの誘導体中のホウ素原子は、アミノペプチダーゼによるそれらの加水分解中に、ペプチドの遷移状態に似ていると信じられている四面体ボロン酸イオンを形成することができる。これらのアミノ酸誘導体は、アミノペプチダーゼの強力な可逆的阻害剤であり、ボロ−ロイシンは酵素阻害において、ベスタチンよりも100倍を超えて効果的であり、ピューロマイシンよりも1000倍を超えて効果的であると報告されている。強いプロテアーゼ阻害活性が報告されている他の改変アミノ酸は、N−アセチルシステインであり、それはアミノペプチダーゼNの酵素活性を阻害する。この助剤も粘液溶解性を示し、本発明の方法及び組成物で、粘膜拡散障壁の効果を減少させるために利用することができる。
本発明の共投与法及び組合せ製剤で使用するさらに他の有用な酵素阻害剤は、ペプチド及び改変ペプチド酵素阻害剤から選択することができる。この種類の阻害剤の重要な代表は、リケニホルミス菌から得られる環状ドデカペプチド、バシトラシンである。これらの種類のペプチドに加えて、ある種のジペプチド及びトリペプチドはある種のプロテアーゼに対して弱い非特異的阻害活性を示す。アミノ酸との類推により、それらの阻害活性は化学的改変により改良することができる。例えば、ホスフィン酸ジペプチド類似体も、アミノペプチダーゼに対する強力な阻害活性を有する「遷移状態」阻害剤である。報告によれば、それらは経鼻投与されたロイシンエンケファリンを安定化するために使用された。遷移状態類似体の他の例は、改変ペンタペプチドのペプスタチンであり、それはペプシンの非常に強い阻害剤である。数種類の合成類似体の阻害活性を試験することによるペプスタチンの構造分析は、阻害活性に関連する分子の主要な構造機能特性を明らかにした。他の特別なタイプの改変ペプチドは、それらの構造中に末端に位置するアルデヒド官能基を有する阻害剤を含む。例えば、キモトリプシンの公知の一次的及び二次的特異性の要求を満足する配列ベンジルオキシカルボニル−Pro−Phe−CHOが、この標的プロテイナーゼの強力な可逆的阻害剤であることが見出された。末端に位置するアルデヒド官能基を有するさらに他の阻害剤、例えば、アンチパイン、リューペプチン、キモスタチン及びエラスタチナールの化学構造も、ホスホルアミドン、ベスタチン、ピューロマイシン及びアマスタチンなどの他の知られている可逆的な改変ペプチド阻害剤の構造と同様に当技術分野で知られている。
ポリペプチドプロテアーゼ阻害剤は、それらの比較的高い分子質量のために、より小さい化合物よりも、薬剤担体マトリックス中の濃縮された送達に適する。本発明の製剤及び方法におけるプロテアーゼ阻害のためのさらなる薬剤は、錯化剤の使用を伴う。これらの薬剤は、鼻内環境(又は調製又は治療用組成物)から、多くのプロテアーゼの補因子である2価イオンを奪うことにより、酵素阻害を媒介する。例えば、錯化剤EDTA及びDTPAは、適当な濃度で共投与された又は組合せ製剤化された助剤として、選択されたプロテアーゼを阻害するのに十分で、それにより本発明の生物活性薬剤の経鼻送達を増強する。この種類の阻害剤のさらなる代表は、EGTA、1,10−フェナントロリン及びヒドロキシキノリンである。それに加えて、2価イオンをキレートするそれらの性質により、これらの及び他の錯化剤は、直接的吸収促進剤として本発明において有用である。
本明細書中他の場所で詳細に記載したように、種々のポリマ、特に粘膜付着性ポリマを、本発明の共投与、多重処理及び/又は組合せ製剤の方法及び組成物において、酵素阻害剤として使用することも意図されている。例えば、ポリ(アクリル酸)及びポリカルボフィルなどのポリ(アクリレート)誘導体は、トリプシン及びキモトリプシンを含む種々のプロテアーゼの活性に影響し得る。これらのポリマの阻害効果も、Ca2+及びZn2+などの2価カチオンの錯体形成に基づいている可能性がある。これらのポリマは、上記のように、さらなる酵素阻害剤の複合パートナー又は担体として役立ち得ることがさらに考慮される。例えば、亜鉛依存性プロテアーゼの酵素活性に対して強い阻害効果を示すキトサン−EDTA複合体が開発され、本発明において有用である。この関係で、他の酵素阻害剤の共有結合による結合後のポリマの粘膜付着性は、実質的に損なわれないと考えられ、そのようなポリマの、本発明における生物活性薬剤のための送達媒体としての一般的有用性も減じないと予想される。反対に、粘膜付着機構によりもたらされた送達媒体と粘膜表面との間の減少した距離は、活性薬剤の全身循環前(初回通過)代謝を最小化するであろうが、一方共有結合で結合した酵素阻害剤は薬物送達部位に濃縮されてとどまり、阻害剤の望ましくない希釈効果並びに毒性及びそれにより惹起される他の副作用を最小化する。この様式で、共投与される酵素阻害剤の有効量は、希釈効果の排除により減少させることができる。
本発明の粘膜用製剤及び方法において有用な代表的粘膜付着性ポリマ−酵素阻害剤錯体には、カルボキシメチルセルロース−ペプスタチン(抗ペプシン活性あり);ポリ(アクリル酸)−ボーマン・バーク阻害剤(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−キモスタチン(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−エラスタチナール(抗エラスターゼ);カルボキシメチルセルロース−エラスタチナール(抗エラスターゼ);ポリカルボフィル−エラスタチナール(抗エラスターゼ);キトサン−アンチパイン(抗トリプシン);ポリ(アクリル酸)−バシトラシン(抗アミノペプチダーゼN);キトサン−EDTA(抗アミノペプチダーゼN、抗カルボキペプチダーゼA);キトサン−EDTA−アンチパイン(抗トリプシン、抗キモトリプシン、抗エラスターゼ)が含まれるが、これらに限定はされない。
粘液溶解及び粘液清浄剤及び方法
経鼻投与による生物治療剤の効果的送達は、粘膜層の糖タンパク質に結合することによる薬剤損失に加えて、鼻粘膜の保護粘膜内層を通過する薬物輸送速度の減少を考慮に入れなければならない。正常な粘液は、水、電解質、ムチン、高分子、及び脱落上皮細胞からなる粘弾性のゲル様物質である。それは主として、下にある粘膜組織の細胞保護及び潤滑性被覆として役立つ。粘液は鼻上皮及び他の粘膜上皮に位置する無秩序に分布する分泌細胞により分泌される。粘液の構造単位はムチンである。この糖タンパク質は粘液の粘弾性的性質の主原因であるが、他の高分子もこの性質に寄与し得る。気道粘液中において、そのような高分子は、局所的に産生された分泌性IgA、IgM、IgE、リゾチーム、及びブロンコトランスフェリンを含み、それらは宿主の防衛機構において重要な役割を演じている。
経鼻投与による生物治療剤の効果的送達は、粘膜層の糖タンパク質に結合することによる薬剤損失に加えて、鼻粘膜の保護粘膜内層を通過する薬物輸送速度の減少を考慮に入れなければならない。正常な粘液は、水、電解質、ムチン、高分子、及び脱落上皮細胞からなる粘弾性のゲル様物質である。それは主として、下にある粘膜組織の細胞保護及び潤滑性被覆として役立つ。粘液は鼻上皮及び他の粘膜上皮に位置する無秩序に分布する分泌細胞により分泌される。粘液の構造単位はムチンである。この糖タンパク質は粘液の粘弾性的性質の主原因であるが、他の高分子もこの性質に寄与し得る。気道粘液中において、そのような高分子は、局所的に産生された分泌性IgA、IgM、IgE、リゾチーム、及びブロンコトランスフェリンを含み、それらは宿主の防衛機構において重要な役割を演じている。
本発明の共投与法は、効果的な粘液溶解性又は粘液清浄剤を場合により含有してもよく、それらは鼻内の粘膜表面から薄く透明な粘液を分解することに役立ち、経鼻投与された生物治療剤の吸収を容易にする。これらの方法において、粘液溶解又は粘液清浄剤は助剤化合物として共投与され、生物活性薬剤の経鼻送達を増強する。あるいは、有効量の粘液溶解又は粘液清浄剤は、本発明の多重処理法における処理剤として、又は本発明の組合せ製剤における添加物として組み込まれ、鼻内粘液の障壁効果を減少させることにより生物治療剤化合物の経鼻送達を増強する改良された製剤を提供する。
種々の粘液溶解又は粘液清浄剤が、本発明の方法及び組成物に組み込むために入手可能である。それらの作用機構に基づき、粘液溶解又は粘液清浄剤はしばしば次の群に分類することができる:ムチン糖タンパク質のタンパク質の核を分解するプロテアーゼ(例えば、プロナーゼ、パパイン);ムコタンパク質のジスルフィド結合を切断するスルフヒドリル化合物;及び粘液内の非共有結合を切断する洗浄剤(例えば、トリトンX−100、ツイーン20)。この関係のさらなる化合物は、胆汁酸塩及び界面活性剤、例えば、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、及びリソホスファチジルコリンを含むが、これらに限定はされない。
粘液の構造破壊の惹起における胆汁酸塩の有効性は、デオキシコール酸塩>タウロコール酸塩>グリココール酸塩の順である。粘液の粘度又は付着を減少させて本発明の方法による経鼻送達を増強する他の有効な薬剤は、例えば、短鎖脂肪酸、及びN−アシルコラーゲンペプチド、胆汁酸、及びサポニンなどのキレート形成により作用する粘液溶解剤(後者は、粘液層構造を維持することにおいて重要な役割を演ずるCa2+及び/又はMg2+を一部キレートすることにより機能する)を含む。
本発明の方法及び組成物において使用するさらなる粘液溶解剤は、N−アセチル−L−システイン(ACS)を含み、これは気管支肺粘液の粘度及び付着の両方を減少させる強力な粘液溶解剤で、麻酔されたラットでヒト成長ホルモンの経鼻生体利用率を中程度に増大させると報告されている(7.5から12.2%)。これらの及び他の粘液溶解性又は粘液清浄剤は、通常約0.2から20mMの濃度範囲で、生物活性薬剤の投与と協調して鼻粘膜と接触し、鼻内粘液の極性粘度及び/又は弾性を減少させる。
さらに他の粘液溶解又は粘液清浄剤は、粘液糖タンパク質内のグリコシド結合を切断できる様々なグリコシダーゼ酵素から選択することができる。α−アミラーゼ及びβ−アミラーゼは、この種類の酵素の代表であるが、それらの粘液溶解効果は限られている可能性がある。対照的に、細菌のグリコシダーゼはこれらの微生物がそれらの宿主の粘液層を透過することを可能にする。
ペプチド及びタンパク質治療薬を含む本発明の中で最も生物学的に活性な薬剤との組合せによる使用として、非イオン原性洗浄剤も、粘液溶解又は清浄剤として通常有用である。これらの薬剤は、通常、治療薬ポリペプチドの活性を改変しないか又は実質的に損なわない。
繊毛静止剤及び方法
ある種の粘膜組織(例えば鼻粘膜組織)の粘液線毛クリアランスによる自浄能力は、保護機能として必要であるから(例えば塵、アレルゲン、及び細菌を除去するため)、この機能は粘膜の薬物治療により実質的に損なわれるべきではないと、一般に考えられてきた。呼吸管中の粘液繊毛輸送は、感染に対して特に重要な防御機構である。この機能を果たすために、鼻内及び気道通路内の繊毛運動は、粘液層を粘膜に沿って動かし、吸入された粒子及び微生物を除去する。
ある種の粘膜組織(例えば鼻粘膜組織)の粘液線毛クリアランスによる自浄能力は、保護機能として必要であるから(例えば塵、アレルゲン、及び細菌を除去するため)、この機能は粘膜の薬物治療により実質的に損なわれるべきではないと、一般に考えられてきた。呼吸管中の粘液繊毛輸送は、感染に対して特に重要な防御機構である。この機能を果たすために、鼻内及び気道通路内の繊毛運動は、粘液層を粘膜に沿って動かし、吸入された粒子及び微生物を除去する。
繊毛静止剤は、本発明の方法及び組成物において使用を見出し、粘膜に投与された(例えば経鼻)グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体並びに本明細書中で開示された他の生物活性薬剤の滞留時間を増加させる。特に、本発明の方法及び組成物中のこれらの薬剤の送達は、ある局面において、粘膜細胞の繊毛活性を可逆的に阻害するように機能して、粘膜に投与された有効薬物の滞留時間を一次的に可逆的に増大させる1つ又は複数の繊毛静止剤の共投与又は組合せ製剤により著しく増強される。本発明のこれらの局面において使用するために、前述の繊毛静止因子は、それらは特異的又は間接的のいずれかで活性であるが、適当な量で(濃度、送達の期間及び様式に依存する)、全て繊毛静止剤として成功的に利用できる候補であり、それらは、投与の粘膜部位で粘膜繊毛クレアランスを一時的(即ち可逆的)に減少させ、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体、並びに本明細書中で開示された他の生物活性薬剤の送達を、許容されない副作用効果なしに増強する。
さらに詳細な局面において、特定の繊毛静止因子が、1つ又は複数のグルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体、及び/又は本明細書中で開示した他の生物活性薬剤との組合せ製剤又は共投与プロトコルで使用される。文献にある単離され特性を決定された種々の細菌繊毛静止因子が、本発明のこれらの態様で利用され得る。緑膿菌という細菌からの繊毛静止因子は、フェナジン誘導体、化膿化合物(2−アルキル−4−ヒドロキシキノリン)及びラムノリピド(溶血素としても知られている)を含む。化膿化合物は、50μg/mlの濃度で、明確な超微細構造的病変なしに、繊毛静止を生じさせた。フェナジン誘導体も繊毛運動を阻害したが、400μg/mlという実質的により高い濃度でとはいえ若干の膜破裂を惹起した。気管の外植片のラムノリピドに対する限定された曝露は繊毛静止を生じ、それは繊毛膜の変化を伴った。ラムノリピドへのより強い曝露は軸糸からダイニン腕の除去を伴う。
界面活性剤及び方法
本発明のより詳細な局面において、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体並びに本明細書中で開示した他の生物活性薬剤の経粘膜送達を増強するために、本発明の経粘膜送達法又は製剤において、1つ又は複数の膜浸透増強剤が利用できる。この関係で、膜浸透増強剤は、(i)界面活性剤;(ii)胆汁酸塩;(iii)リン脂質添加物、混合ミセル、リポソーム、又は担体;(iv)アルコール;(v)エナミン;(vi)NO供与化合物;(vii)長鎖両親媒性分子;(viii)低分子疎水性浸透増強剤;(ix)ナトリウム又はサリチル酸誘導体;(x)アセト酢酸グリセロールエステル;(xi)シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体;(xii)中程度の鎖長の脂肪酸;(xiii)キレート剤;(xiv)アミノ酸又はその塩;(xv)N−アセチルアミノ酸又はその塩;(xvi)選択された膜成分を分解する酵素;(xvii)脂肪酸合成阻害剤;(xviii)コレステロール合成阻害剤;又は(xix)(i)から(xviii)に挙げた膜浸透増強剤の任意の組合せから選択することができる。
本発明のより詳細な局面において、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体並びに本明細書中で開示した他の生物活性薬剤の経粘膜送達を増強するために、本発明の経粘膜送達法又は製剤において、1つ又は複数の膜浸透増強剤が利用できる。この関係で、膜浸透増強剤は、(i)界面活性剤;(ii)胆汁酸塩;(iii)リン脂質添加物、混合ミセル、リポソーム、又は担体;(iv)アルコール;(v)エナミン;(vi)NO供与化合物;(vii)長鎖両親媒性分子;(viii)低分子疎水性浸透増強剤;(ix)ナトリウム又はサリチル酸誘導体;(x)アセト酢酸グリセロールエステル;(xi)シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体;(xii)中程度の鎖長の脂肪酸;(xiii)キレート剤;(xiv)アミノ酸又はその塩;(xv)N−アセチルアミノ酸又はその塩;(xvi)選択された膜成分を分解する酵素;(xvii)脂肪酸合成阻害剤;(xviii)コレステロール合成阻害剤;又は(xix)(i)から(xviii)に挙げた膜浸透増強剤の任意の組合せから選択することができる。
ある種の界面活性剤は、膜吸収増強剤として、本発明の経粘膜送達製剤及び方法中に容易に組み込まれる。これらの薬剤は、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体、並びに本明細書中で開示された他の生物活性薬剤と共投与されるか又は組み合わせて製剤化されるが、公知の界面活性剤の広範な集合から選択することができる。界面活性剤は、一般に3つのクラスの中に入る:即ち(1)ノニオン性ポリオキシエチレンエーテル;(2)グリコール酸ナトリウム(SGC)及びデオキシコール酸塩(DOC)などの胆汁酸塩;及び(3)タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム(STDHF)などのフシジン酸誘導体である。これら種々のクラスの界面活性剤の作用機構は、典型的には生物活性薬剤の可溶化を含む。凝集体をしばしば形成するタンパク質及びペプチドに対して、これらの吸収促進剤の界面活性剤的性質は、界面活性剤などの小さな単位で覆われたモノマが溶液中により容易に保たれるようなタンパク質との相互作用を可能にすることができる。他の界面活性剤の例は、L−α−ホスファチジルコリンジデカノイル(DDPC)、ポリソルベート80及びポリソルベート20である。これらのモノマは凝集体よりも輸送性のよい単位であると推定される。第2の可能性ある機構は、膜環境中のプロテアーゼによるタンパク分解からペプチド又はタンパク質を保護することである。報告によれば、胆汁酸塩及び幾つかのフシジン酸誘導体の両方とも、タンパク質の吸収を増強するために必要な濃度以下の濃度で、鼻粘膜のホモジェネートによるタンパク質のタンパク分解性分解を阻害する。このプロテアーゼ阻害は、短い生物学的半減期のペプチドにとって特に重要であり得る。
このように、界面活性剤の幾つかの例には、ノニオン性ポリオキシエチレンエーテル、フシジン酸及びその誘導体、タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム、L−α−ホスファチジルコリンジデカノイル、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポリエチレングリコール、セチルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ラノリンアルコール、ソルビタンモノオレエート、及びそれらの混合物が挙げられる。
増粘剤
増粘又は懸濁剤は、投与製剤からの薬剤の放出及び吸収速度に影響し得る。薬学的に許容される増粘剤として役立ち得る材料の幾つかの例は、ゼラチン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロース、デンプン、ヘタスターチ、ポロキサマ、プルロニック、CMCナトリウム、ソルビトール、アカシア、ポビドン、カルボマ、ポリカルボフィル、キトサン、キトサンミクロスフェア、アルギン酸塩ミクロスフェア、キトサングルタメート、アンバーライト樹脂、ヒアルロナン、エチルセルロース、モルトデキストリンDE、ドラム乾燥ワックス状トウモロコシデンプン(DDWM)、分解性デンプンミクロスフェア(DSM)、デオキシグリコレート(GDC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、微結晶性セルロース(MCC)、ポリメタクリル酸及びポリエチレングリコール、スルホブチルエーテルBシクロデキストリン、架橋エルデキソマ(eldexomer)デンプンバイオスフェア、タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム(STDHF)、N−トリメチルキトサンクロリド(TMC)、分解デンプンミクロスフェア、アンバーライト樹脂、キトサンナノ粒子、噴霧乾燥クロスポビドン、噴霧乾燥デキストランミクロスフェア、噴霧乾燥微結晶性セルロース、及び架橋エルデキソマ(eldexomer)デンプンミクロスフェアである。Ugwokeら、「Adv. Drug Deliv. Rev.」 第29巻、1656〜57頁、1998年にある他の増粘剤は参照することにより組み入れられる。
増粘又は懸濁剤は、投与製剤からの薬剤の放出及び吸収速度に影響し得る。薬学的に許容される増粘剤として役立ち得る材料の幾つかの例は、ゼラチン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロース、デンプン、ヘタスターチ、ポロキサマ、プルロニック、CMCナトリウム、ソルビトール、アカシア、ポビドン、カルボマ、ポリカルボフィル、キトサン、キトサンミクロスフェア、アルギン酸塩ミクロスフェア、キトサングルタメート、アンバーライト樹脂、ヒアルロナン、エチルセルロース、モルトデキストリンDE、ドラム乾燥ワックス状トウモロコシデンプン(DDWM)、分解性デンプンミクロスフェア(DSM)、デオキシグリコレート(GDC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、微結晶性セルロース(MCC)、ポリメタクリル酸及びポリエチレングリコール、スルホブチルエーテルBシクロデキストリン、架橋エルデキソマ(eldexomer)デンプンバイオスフェア、タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム(STDHF)、N−トリメチルキトサンクロリド(TMC)、分解デンプンミクロスフェア、アンバーライト樹脂、キトサンナノ粒子、噴霧乾燥クロスポビドン、噴霧乾燥デキストランミクロスフェア、噴霧乾燥微結晶性セルロース、及び架橋エルデキソマ(eldexomer)デンプンミクロスフェアである。Ugwokeら、「Adv. Drug Deliv. Rev.」 第29巻、1656〜57頁、1998年にある他の増粘剤は参照することにより組み入れられる。
分解酵素並びに脂肪酸及びコレステロール合成阻害剤
本発明の関連局面において、粘膜投与のためのグルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体、及び他の選択された生物活性薬剤は、製剤化され、分解酵素、又は代謝刺激剤、又は脂肪酸、ステロール若しくは他の上皮障壁成分の合成阻害剤から選択される浸透増強剤と共投与される;米国特許第6,190,894号。例えば、ホスホリパーゼ、ヒアルロニダーゼ、ノイラミニダーゼ及びコンドロイチナーゼなどの分解酵素は、粘膜障壁に不可逆的損傷を惹起せずに、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体、並びに他の生物活性薬剤の粘膜浸透を増強するために使用することができる。一態様において、コンドロイチナーゼは、本明細書で提供される方法及び組成物で使用され、粘膜の透過障壁の糖タンパク質又は糖脂質構成要素を変化させて、それによりグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体、並びに本明細書中で開示された他の生物活性薬剤の粘膜吸収を増強する。
本発明の関連局面において、粘膜投与のためのグルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体、及び他の選択された生物活性薬剤は、製剤化され、分解酵素、又は代謝刺激剤、又は脂肪酸、ステロール若しくは他の上皮障壁成分の合成阻害剤から選択される浸透増強剤と共投与される;米国特許第6,190,894号。例えば、ホスホリパーゼ、ヒアルロニダーゼ、ノイラミニダーゼ及びコンドロイチナーゼなどの分解酵素は、粘膜障壁に不可逆的損傷を惹起せずに、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体、並びに他の生物活性薬剤の粘膜浸透を増強するために使用することができる。一態様において、コンドロイチナーゼは、本明細書で提供される方法及び組成物で使用され、粘膜の透過障壁の糖タンパク質又は糖脂質構成要素を変化させて、それによりグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体、並びに本明細書中で開示された他の生物活性薬剤の粘膜吸収を増強する。
粘膜障壁構成要素の合成阻害剤に関して、遊離酸が重量で上皮の20〜25%を占めることは注目される。遊離脂肪酸の生合成における2つの律速酵素は、アセチルCoAカルボキラーゼ及び脂肪酸合成酵素である。一連の段階を通して、遊離脂肪酸はリン脂質に代謝される。したがって、本発明の方法及び組成物で使用する遊離脂肪酸合成及び代謝の阻害剤は、5−テトラドデシルオキシ−2−フランカルボン酸(TOFA)などのアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤;脂肪酸合成阻害剤;ゴミシンA、2−(p−アミルシンナミル)アミノ−クロロ安息香酸、臭化ブロモフェナシル、モノアリド、7,7−ジメチル−5,8−エイコサジエン酸、ニセルゴリン、セファランチン、ニカルジピン、ケルセチン、ジブチリル−サイクリックAMP、R−24571、N−オレオイルエタノールアミン、N−(7−ニトロ−2,1,3−ベンズオキサジアゾール−4−イル)ホスホスチジルセリン、シクロスポリンA、ジブカインを含む局所麻酔薬、プレニラミン、全trans及び13−cis−レチン酸などのレチノイド、W−7、トリフルオロペラジン、R−24571(カルミダゾリウム)、1−ヘキサドシル−3−トリフルオロエチルグリセロ−sn−2−ホスホメントール(MJ33)などのホスホリパーゼA阻害剤;ニカルジピン、ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェジピン及びニモジピンを含むカルシウムチャンネル遮断薬;キナクリン、メパクリン、クロロキン及びヒドロキシクロロキンを含む抗マラリア薬;プロパナロール及びラベタロールを含むベータ遮断薬;カルモジュリンアンタゴニスト;EGTA;チメルソール;デキサメタゾン及びプレドニゾロンを含むグルココルチコステロイド;並びにインドメタシン及びナプロキセンを含む非ステロイド抗炎症薬を含むが、これらに限定はされない。
遊離ステロールは、主としてコレステロールであるが、重量で上皮脂質の20〜25%を占める。コレステロール生合成の律速酵素は、3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル(HMG)CoAレダクターゼである。本発明の方法及び組成物で使用するコレステロール合成阻害剤は、シンバスタチン、ロバスタチン、フルインドスタチン(フルバスタチン)、プラバスタチン、メバスタチンなどの(HMG)CoAレダクターゼの競争的阻害剤並びに、コレステロールオレエート、コレステロールサルフェート及びホスフェート、及び25−OH−及び26−OH−コレステロールなどの酸素化ステロール類など他のHMGCoAレダクターゼ阻害剤;スクワレン合成酵素阻害剤;スクワレンエポキシダーゼ阻害剤;22,25−ジアザコレステロール、20,25−ジアザコレステロール、AY994及びトリパラノールなどのDELTA7又はDELTA24レダクターゼ阻害剤を含むが、これらに限定はされない。
脂肪酸合成阻害剤又はステロール合成阻害剤の各々は、活性薬剤の増強された上皮浸透を達成するために、本明細書中で開示した1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤と共投与又は組合せ製剤化することができる。経粘膜送達のための治療薬又は助剤製剤中のステロール阻害剤の有効濃度範囲は、通常、全重量を基準にして約0.0001%から約20%、より典型的には約0.01%から約5%である。
一酸化窒素供与剤及び方法
本発明の他の関連する局面において、一酸化窒素(NO)供与体は、本明細書中で開示した1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤の経粘膜送達を増強するための膜浸透増強剤として選択される。種々のNO供与体が当技術分野において知られており、本発明の方法及び製剤における有効濃度で有用である。代表的NO供与体は、ニトログリセリン、ニトロプルシド、NOC5[3−(2−ヒドロキシ−1−(メチル−エチル)−2−ニトロソヒドラジノ)−1−プロパンアミン]、NOCl2[N−エチル−2−(1−エチル−ヒドロキシ−2−ニトロソヒドラジノ)−エタンアミン]、SNAP[S−ニトロソ−N−アセチル−DL−ペニシラミン]、NORI及びNOR4を含むが、これらに限定はされない。本発明の方法及び組成物において、有効量の選択されたNO供与体は、粘膜上皮中に又はそれを通して、本明細書中で開示した1つ若しくは複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに/又は他の生物活性薬剤と共投与又は組合せ製剤化される。
本発明の他の関連する局面において、一酸化窒素(NO)供与体は、本明細書中で開示した1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤の経粘膜送達を増強するための膜浸透増強剤として選択される。種々のNO供与体が当技術分野において知られており、本発明の方法及び製剤における有効濃度で有用である。代表的NO供与体は、ニトログリセリン、ニトロプルシド、NOC5[3−(2−ヒドロキシ−1−(メチル−エチル)−2−ニトロソヒドラジノ)−1−プロパンアミン]、NOCl2[N−エチル−2−(1−エチル−ヒドロキシ−2−ニトロソヒドラジノ)−エタンアミン]、SNAP[S−ニトロソ−N−アセチル−DL−ペニシラミン]、NORI及びNOR4を含むが、これらに限定はされない。本発明の方法及び組成物において、有効量の選択されたNO供与体は、粘膜上皮中に又はそれを通して、本明細書中で開示した1つ若しくは複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに/又は他の生物活性薬剤と共投与又は組合せ製剤化される。
上皮接合構造及び/又は生理機能を調節する薬剤
本発明は、経粘膜送達のための医薬製剤に製剤化された、本明細書中で開示された経粘膜送達増強剤と組み合わせて1つ若しくは複数のグルコース調節ペプチド、タンパク質、類似体及び模倣体並びに/又は他の生物活性薬剤を含む医薬組成物を提供する。
本発明は、経粘膜送達のための医薬製剤に製剤化された、本明細書中で開示された経粘膜送達増強剤と組み合わせて1つ若しくは複数のグルコース調節ペプチド、タンパク質、類似体及び模倣体並びに/又は他の生物活性薬剤を含む医薬組成物を提供する。
透過化剤は、通常、被験者の粘膜上皮表面で上皮接合構造及び/又は生理機能を調節することにより、粘膜上皮の傍細胞輸送を可逆的に増強する。この効果は、通常、隣接する上皮細胞の上皮膜接着性タンパク質間の同型又は異型結合の透過化剤による阻害を含む。同型または異型結合のこの遮断の標的タンパク質は、種々の関係する接合接着性分子(JAMs)、オクルディン、又はクローディンから選択することができる。この例は、これらのタンパク質の細胞外領域に結合する抗体、抗体フラグメント又は単鎖抗体である。
さらに追加の詳細な態様において、本発明は、粘膜上皮傍細胞輸送を増強するための透過化ペプチド及びペプチド類似体及び模倣体を提供する。対象のペプチド及びペプチド類似体及び模倣体は、通常、本発明の組成物及び方法において、哺乳類被験者における上皮接合構造及び/又は生理機能を調節することにより作用する。ある態様において、ペプチド及びペプチド類似体及び模倣体は、接合接着性分子(JAM)、オクルディン、又はクローディンから選択された上皮膜接着性タンパク質の同型及び/又は異型結合を効果的に阻害する。
広く研究されている1つのそのような薬剤は、「閉鎖帯毒素」(ZOT)として知られるコレラ菌由来の細菌毒素である。この毒素は、腸粘膜の透過性増大を媒介して、感染した被験者に下痢を含む症状を惹起する。Fasanoら、「Proc.Nat.Acad.Sci.,U.S.A.」第8巻、5242〜5246頁、1991年。ラビットの回腸粘膜で試験したとき、ZOTは細胞間の接着結合の構造を調節することにより、腸の透過性を増大させた。より最近、ZOTは、腸粘膜において接着結合を可逆的に開くことができることが見出された。ZOTは鼻粘膜において接着結合を可逆的に開くことができることも報告された。米国特許第5,908,825号。
本発明の方法及び組成物において、ZOT並びにZOT活性のアゴニスト又はアンタゴニストとして機能する種々のZOT類似体及び模倣体は、鼻粘膜の中への又はそれを通過する傍細胞吸収を増大させることにより、生物活性薬剤の経鼻送達を増強するために有用である。この関係で、ZOTは、通常、接合タンパク質ZO1の変化した局在化により特徴づけられる接着結合の構造再組織化を惹き起すことにより作用する。本発明のこれらの局面において、ZOTは、実質的な副作用なしで鼻粘膜の透過性を可逆的に増大させることにより、活性薬剤の有意に増強された吸収を生ずるのに効果的な量で、生物活性薬剤と共投与又は組合せ製剤化される。
血管拡張剤及び方法
本発明の共投与及び組合せ製剤化方法並びに組成物において有益な効用を示すさらに他のクラスの吸収増強剤は、血管作用性化合物、より特別には血管拡張剤である。これらの化合物は、本発明において、粘膜下の血管系の構造および生理機能を調節するように機能して、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤の粘膜上皮の中への若しくはそれを通過する及び/又は特定の標的組織若しくは区画(例えば、全身的循環又は中枢神経系)への輸送速度を増大させる。
本発明の共投与及び組合せ製剤化方法並びに組成物において有益な効用を示すさらに他のクラスの吸収増強剤は、血管作用性化合物、より特別には血管拡張剤である。これらの化合物は、本発明において、粘膜下の血管系の構造および生理機能を調節するように機能して、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤の粘膜上皮の中への若しくはそれを通過する及び/又は特定の標的組織若しくは区画(例えば、全身的循環又は中枢神経系)への輸送速度を増大させる。
本発明において使用する血管拡張剤は、細胞質内カルシウムの減少、一酸化窒素(NO)の増加によるか又はミオシン軽鎖キナーゼの阻害によるかのいずれかにより通常、粘膜下血管の弛緩を惹起する。それらは一般的に9クラスに分けられる:即ちカルシウムアンタゴニスト、カリウムチャンネル開口固定薬、ACE阻害剤、アンジオテンシン−II受容体アンタゴニスト、α−アドレナリン作動性及びイミダゾール受容体アンタゴニスト、β1−アドレナリン作動性アゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、エイコサノイド並びにNO供与体である。
化学的相違にも拘らず、カルシウムアンタゴニストの薬物動態学的性質は同様である。全身的循環中への吸収は高く、したがってこれらの薬剤は肝臓によりかなりの初回通過代謝を受け、薬物動態に個人差が生ずる。ジヒドロピリシン型の比較的新しい薬剤(アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニルバジピン、ニソルジピン及びニトレンジピン)を例外として、カルシウムアンタゴニストの半減期は短い。したがって、これらの多くに対して有効薬剤濃度を維持するためは、本明細書中他の場所で説明するように、反復投与又は制御放出製剤による送達が必要になり得る。カリウムチャンネル開口固定薬ミノキシジルによる治療も潜在的副作用により投与様式及びレベルが制限されることがある。
ACE阻害剤は、アンジオテンシン−Iのアンジオテンシン−IIへの変換を防止し、レニン産生が増大したときに最も有効である。ACEは、強力な内因性血管拡張剤ブラディキニンを不活性化するキニナーゼ−IIと同一であるから、ACE阻害はブラディキニン分解の減少の原因になる。動物モデルで、ACE阻害剤は、心臓線維症及び心室肥大を予防し逆転することにより、心保護的且つ心修復的効果の加わった利点を提供する。大部分のACE阻害剤の主要な排除経路は腎臓による排泄である。したがって、腎臓機能障害は低下した排除を伴い、中等度から重症の腎機能障害を有する患者においては25から50%の投与量削減が勧められる。
NO供与体に関して、これらの化合物は、粘膜透過性に対するそれらの付加的効果のために、本発明において特に有用である。上記のNO供与体に加えて、NO/求核剤と称する求核剤とNOとの錯体即ちNONOエートが、生理的pHで水溶液に溶解されたときに、自発的に若しくは非酵素的にNOを放出する。対照的に、ニトログリセリンなどのニトロ血管拡張剤は、NO放出のために特異的酵素活性を必要とする。NONOエートは、所定の化学量論的に、予測できる速度で、ジエチルアミン/NOに対する3分未満からジエチレントリアミン/NO(DETANO)に対する約20時間の範囲でNOを放出する。
本発明のある方法及び組成物において、選択された血管拡張剤は、活性薬剤の粘膜吸収を増強させて被験者の標的組織又は区画(例えば、肝臓、肝門脈、CNS組織若しくは液、又は血漿)に達するのに効果的な量で、1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤と共投与され(例えば、全身的に又は鼻内に、同時に又は組み合わせて有効な一時的会合で)又は組み合せて製剤化される。
選択的輸送増強剤及び方法
本発明の組成物及び送達方法は、1つ又は複数の生物活性薬剤の輸送を促進する選択的輸送増強剤を場合により組み入れてもよい。これらの輸送増強剤は、本明細書中で開示した1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体との組合せ製剤化又は共投与プロトコルにおいて、1つ又は複数の追加的生物活性薬剤の粘膜輸送障壁を通過する送達を協調的に増強し、被験者の標的組織または区画(例えば、粘膜上皮、肝臓、CNS組織若しくは液、又は血漿)に達する活性薬剤の粘膜送達を増強するために利用することができる。あるいは、輸送増強剤は、組合せ製剤化又は共投与プロトコルにおいて、1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体の経粘膜送達を直接的に増強するために利用することができるが、追加的生物活性薬剤の送達は増強されることもあり、されないこともある。
本発明の組成物及び送達方法は、1つ又は複数の生物活性薬剤の輸送を促進する選択的輸送増強剤を場合により組み入れてもよい。これらの輸送増強剤は、本明細書中で開示した1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体との組合せ製剤化又は共投与プロトコルにおいて、1つ又は複数の追加的生物活性薬剤の粘膜輸送障壁を通過する送達を協調的に増強し、被験者の標的組織または区画(例えば、粘膜上皮、肝臓、CNS組織若しくは液、又は血漿)に達する活性薬剤の粘膜送達を増強するために利用することができる。あるいは、輸送増強剤は、組合せ製剤化又は共投与プロトコルにおいて、1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体の経粘膜送達を直接的に増強するために利用することができるが、追加的生物活性薬剤の送達は増強されることもあり、されないこともある。
本発明のこの局面において使用するための代表的な選択的輸送増強剤は、グリコシド、糖含有分子、及び上皮輸送障壁成分と特異的に相互作用することが知られているレクチン結合剤などの結合剤を含むが、これらに限定はされない。例えば、受容体媒介相互作用により細胞表面の糖部分に結合する種々の植物及び細菌レクチンを含む特異的「生体付着性」リガンドは、本発明における生物活性薬剤の経粘膜例えば経鼻送達を促進するための担体又は複合輸送媒介物質として利用することができる。本発明において使用するためのある生体付着性リガンドは、特定化された細胞輸送過程により付着性リガンドの選択的取込み(エンドサイトーシス又はトランスサイトーシス)を開始させる、上皮標的細胞への生体シグナルの伝達を媒介するであろう。したがって、これらの輸送媒介物質は、1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤の粘膜上皮中への及び/又はそれを通る直接的な選択的取込みを刺激する「担体系」として利用することができる。これらの及び他の選択的輸送増強剤は、本発明の高分子生物薬(特にペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドベクタ)の経粘膜送達を著しく増強する。レクチンは、真核細胞の糖タンパク質及び糖脂質の表面に見出される特異的な糖に結合する植物タンパク質である。レクチンの濃縮された溶液は、「ムコトラクティブ(mucotractive)」効果を有し、種々の研究により、レクチン及びレクチン複合体(例えば、金コロイド粒子に結合したコンカナバリンA)の粘膜表面を通過する急速な受容体媒介エンドサイトーシス(RME)が示されている。それに加わる研究により、レクチンの取込み機構はin vivoで腸内薬物ターゲティングに利用され得ることが報告されている。これらの研究のあるものにおいて、ポリスチレンナノ粒子(500nm)がトマトレクチンに共有結合で結合され、ラットに経口投与後の改良された全身的取込みが生ずることが報告された。
植物レクチンに加えて、微生物付着及び侵入因子は、本発明の経粘膜送達方法及び組成物において、付着性/選択的輸送担体として使用される候補の豊富な資源を提供する。2つの成分が細菌付着過程にとって必要であり、「アドヘシン」(付着又はコロニ化因子)及び宿主細胞表面上の受容体である。粘膜感染を起こす細菌は、上皮表面に付着する前に粘液層に侵入する必要がある。この付着は、通常、細菌の繊毛又はピリ繊毛構造により媒介されるが、他の細胞表面成分もこの過程に参加し得る。付着性細菌は、増殖及びシグナル伝達機構(毒素の支援により又はそれなしで)による標的細胞内部における一連の生化学的反応の開始により、粘膜上皮にコロニを形成する。これらの侵入機構に関連して、種々の細菌及びウイルスにより独自に産生される広範囲の種々の生体付着タンパク質(例えば、インベーシン、インターナリン)が知られている。これらは、そのような微生物の宿主種及びさらに特に標的組織に対する印象的な選択性を有する細胞外付着を可能にする。そのような受容体リガンド相互作用により伝達されたシグナルは、完全な生きている微生物のエンドサイトーシス及びトランスサイトーシス過程による上皮細胞中への、及び最終的にはそれを通る輸送を開始させる。そのような自然で起こる現象は、本明細書中での教示にしたがって、粘膜上皮中への若しくはそれを通過する及び/又は薬物作用の指定された他の標的部位への生物活性薬剤の増強された送達のために利用することができる(例えば、グルコース調節ペプチドなどの生物活性薬剤とアドヘシンとを錯体形成させることにより)。
上皮表面にレクチン様の特異的な様式で結合する種々の細菌及び植物毒素も、本発明の方法及び組成物において有用である。例えば、ジフテリア毒素(DT)は、RMEにより宿主細胞に急速に入る。同様に、非耐熱性の毒素である大腸菌のBサブユニットは、高度に特異的なレクチン様の様式で、腸上皮細胞の刷子縁に結合する。この毒素の取込み及び腸細胞の基底面へのトランスサイトーシスは、in vivo及びin vitroで報告されている。他の研究者らは、大腸菌にジフテリア毒素の膜透過ドメインをマルトース結合融合タンパク質として発現させ、それを高分子量ポリ(L−リシン)に化学的に結合した。その結果生じた複合体は、in vitroでレポータ遺伝子の内在化を媒介するために首尾よく使用される。これらの例に加えて、黄色ブドウ球菌は、スーパー抗原及び毒素の両方として作用する一組のタンパク質(例えば、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)、SEB、毒性ショック症候群毒素−1(TSST−1))を産生する。これらのタンパク質に関する研究により、Caco−2細胞中のSEB及びTSST−1の投与量依存性の亢進したトランスサイトーシスが報告されている。
ウイルスヘマグルチニンは、本発明の方法及び組成物における生物活性薬剤の経粘膜送達を促進する他のタイプの輸送剤を含む。多くのウイルス感染における最初の段階は、表面タンパク質(ヘマグルチニン)の粘膜細胞への結合である。これらの結合タンパク質は、ロタウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、セムリキ森林ウイルス、アデノウイルス、ジャガイモ葉巻ウイルス及びレオウイルスを含む大部分のウイルスについて同定されている。これらの及び他の代表的ウイルスヘマグルチニンは、本明細書中で開示した1つ又は複数のグルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体との組合せ製剤(例えば、混合物又は複合製剤)又は共投与プロトコルにおいて、1つ又は複数の追加の生物活性薬剤の経粘膜送達を協調的に促進するために利用することができる。あるいは、ウイルスヘマグルチニンは、組合せ製剤又は共投与プロトコルにおいて、1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体の経粘膜送達を直接的に増強するために利用することができる。ただし、追加の生物活性薬剤の送達は増強されることもされないこともある。
種々の内因性の選択的輸送媒介因子も、本発明において使用可能である。哺乳類細胞は、特異的基質の内在化を促進して、これらを所定の目標区画に向ける機構の組合せを発達させている。まとめて、膜変形のこれらの過程は、「エンドサイトーシス」と命名され、食作用、飲作用、受容体媒介エンドサイトーシス(クラスリン媒介RME)、及びポトサイトーシス(非クラスリン媒介RME)を含む。RMEは、高度に特異的な細胞生物学的過程であり、それにより、その名の通り、種々のリガンドが細胞表面受容体に結合し、それに続いて内在化され、細胞内部で輸送される。多くの細胞で、膜表面全体が内在化されて30分未満で置き換わるほどエンドサイトーシス過程が活発である。2つのクラスの受容体が、細胞膜中のそれらの配向に基づき提唱されている。即ちI型受容体のアミノ末端は膜の細胞外部に位置するが、II型受容体はこの同一のタンパク質の尾部を内部環境に有するという提唱である。
本発明のさらに他の態様は、経粘膜送達された生物活性薬剤のRMEの担体又は刺激剤としてトランスフェリンを利用する。80kDaの鉄含有糖タンパク質であるトランスフェリンは、RMEにより細胞中に効率的に取り込まれる。トランスフェリン受容体は、大部分の増殖中の細胞の表面に、赤芽球及び多くの種類の腫瘍に増加した数で見出される。トランスフェリン(Tf)及びトランスフェリン複合体のトランスサイトーシスは、カビの代謝物ブレフェルジンA(BFA)の存在で増強されると報告されている。他の研究で、BFA処理は、MDCK細胞でリシン及びHRP両者の先端エンドサイトーシスを急速に増加させると報告されている。したがって、BFA及び受容体媒介輸送を刺激する他の薬剤は、本発明の方法において、組合せ製剤化された(例えば、複合体化された)及び/又は共投与される薬剤として、グルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体を含む生物活性薬剤の受容体媒介輸送を増強するために利用することができる。
ポリマ状送達媒体及び方法
本発明のある局面において、本明細書中で開示したグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤、並びに上記の送達増強剤は、個別に又は組み合わされて、担体又は基剤として機能する生体適合性ポリマを含む経粘膜(例えば経鼻)投与製剤中に組み込まれる。そのようなポリマ担体には、他のポリマ形態の中で、ポリマ粉末、マトリックス又は微粒子化送達媒体が含まれる。ポリマは、植物、動物、又は合成由来のものでよい。しばしばポリマは架橋されている。さらに、これらの送達系において、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体は、それらがポリマに共有結合で結合されて簡単な洗浄によりポリマから分離しないようにできる様式で官能化することができる。他の態様において、ポリマは酵素阻害剤又は生物活性薬剤を分解又は不活性化し得る他の薬剤及び/又は送達増強剤で化学的に修飾される。ある製剤において、ポリマは、部分的又は完全に水不溶性であるが、水で膨潤し得るポリマ例えばヒドロゲルである。本発明のこの局面において有用なポリマは、望ましくは水と相互作用性及び/又は親水性の性質で、大量の水を吸収し、それらは、水又は水性媒質と接触して水との平衡に達するのに十分な時間置かれたときに、しばしばヒドロゲルを形成する。より詳細な態様において、ポリマは、過剰の水と接触して置かれたときに、室温で水に曝されたときの平衡で、水を自重の少なくとも2倍吸収するヒドロゲルである。米国特許第6,004,583号。
本発明のある局面において、本明細書中で開示したグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤、並びに上記の送達増強剤は、個別に又は組み合わされて、担体又は基剤として機能する生体適合性ポリマを含む経粘膜(例えば経鼻)投与製剤中に組み込まれる。そのようなポリマ担体には、他のポリマ形態の中で、ポリマ粉末、マトリックス又は微粒子化送達媒体が含まれる。ポリマは、植物、動物、又は合成由来のものでよい。しばしばポリマは架橋されている。さらに、これらの送達系において、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体は、それらがポリマに共有結合で結合されて簡単な洗浄によりポリマから分離しないようにできる様式で官能化することができる。他の態様において、ポリマは酵素阻害剤又は生物活性薬剤を分解又は不活性化し得る他の薬剤及び/又は送達増強剤で化学的に修飾される。ある製剤において、ポリマは、部分的又は完全に水不溶性であるが、水で膨潤し得るポリマ例えばヒドロゲルである。本発明のこの局面において有用なポリマは、望ましくは水と相互作用性及び/又は親水性の性質で、大量の水を吸収し、それらは、水又は水性媒質と接触して水との平衡に達するのに十分な時間置かれたときに、しばしばヒドロゲルを形成する。より詳細な態様において、ポリマは、過剰の水と接触して置かれたときに、室温で水に曝されたときの平衡で、水を自重の少なくとも2倍吸収するヒドロゲルである。米国特許第6,004,583号。
生分解性ポリマを主成分とする薬剤送達系は、そのような系は加水分解により又は酵素反応により無毒性分子に分解されるので、多くの生物医学用途において好ましい。分解速度は生分解性ポリママトリックスの組成を操作することにより制御される。したがって、これらのタイプの系は、生物活性薬剤の長期間放出に対してある設定で使用することができる。ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、及び(D,L−乳酸−グルコール酸)共重合体(PLGA)などの生分解性ポリマは、これらのポリマの分解生成物が低毒性であることが見出されて以来、可能性ある薬剤担体として相当の注意を惹いてきた。体の正常な代謝機能の間に、これらのポリマは二酸化炭素と水に分解する。これらのポリマは優れた生体適合性も示した。
グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体並びに本明細で開示した他の生物活性薬剤、並びにオプションの送達増強剤の生物活性を持続させるために、これらの薬剤を、ポリママトリックス例えばポリオルトエステル、ポリアンハイドライド、又はポリエステル中に組み込むことができる。このことは、例えばポリママトリックスの分解により決定される活性薬剤の持続された活性及び放出をもたらす。合成ポリマの内部への生物治療剤分子のカプセル化は貯蔵中および放出中それらを安定化することができるが、ポリマ系放出技法の最大の障碍は、熱、超音波又は有機溶媒をしばしば伴う製剤化工程中の治療剤分子の活性損失である。
本発明において使用を考慮される吸収促進ポリマは、変化、改変又はブレンドが、吸水、ヒドロゲル形成、及び/又は化学的安定性などの有用な用途に対する所望の性質に悪影響を及ぼさない限り、上記のタイプのポリマの誘導体及び化学的又は物理的に改変した変種に加えて、他の天然に生ずる又は合成ポリマ、ガム、樹脂、及び他の薬剤、並びにこれらの材料の互いの又は他のポリマとのブレンドを含むことができる。本発明のより詳細な局面において、ナイロン、アクリラン、及び他の通常は疎水性の合成ポリマが、反応により十分に改変されて、水膨潤性になり且つ/又は水性媒質中で安定なゲルを形成することができる。
本発明の吸収促進ポリマは、次のビニルモノマ即ち、アクリル及びメタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ビニルピロリドンの種々の組合せに基づくホモ及びコポリマの群のポリマ、並びにポリビニルアルコール、及びそのコポリマ及びターポリマ、ポリ酢酸ビニル、それと上に掲載したモノマ及び2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))とのコポリマ及びターポリマを含むことができる。上に掲載したモノマと、アクリル又はメタクリルアミド、エステル基が直鎖又は分岐鎖アルキル、1から6個の炭素のアルキル置換基を含むことができる4つ以下の芳香族環を有するアリールに由来するアクリル酸又はメタクリル酸エステル、ステロイド系、硫酸エステル、リン酸エステルモノマ、又はN,N−ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート、塩化(メタ)アクリロキシアルキルトリメチルアンモニウム、塩化(メタ)アクリロキシアルキルジメチルベンジルアンモニウムなどのカチオン性モノマなどの共重合可能な官能性モノマとのコポリマは非常に有用である。
本発明において使用する追加の吸収促進ポリマは、デキストラン、デキストリンとして分類されるもの、及び天然ゴム及び樹脂として分類される材料のクラス由来のもの、又は天然ポリマのクラス由来のもの、例えば、加工したコラーゲン、キチン、キトサン、プルラン、ズーグラン、アルギン酸塩及び「ケルコロイド」(ポリエチレングリコール修飾アルギン酸塩)などの修飾アルギン酸塩、「ケロコゲル」などのゲランガム、「ケルトロール」などのキサンタンガム、エラスチチン、アルファヒドロキシ酪酸塩及びそのコポリマ、ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリ乳酸及びグリコール酸などである。
本発明において応用し得る非常に有用なクラスのポリマは、少なくとも1つの活性化された炭素−炭素オレフィン系二重結合と少なくとも1つのカルボキシル基を含むオレフィン系不飽和カルボン酸である:即ち、モノマ分子中に、カルボキシル基に関してα−β位に又は末端メチレン基の部分としてのいずれかで存在することにより重合中に容易に機能するオレフィン性二重結合を含む酸又は容易に酸に変換される官能基である。このクラスのオレフィン性不飽和酸は、アクリル酸そのもの、α−シアノアクリル酸、β−メタクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリロキシプロピオン酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、1−カルボキシ−4−フェニルブタジエン−1,3、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニチン酸、マレイン酸、フマル酸、及びトリカルボキシエチレンにより代表されるアクリル酸類のような材料を含む。本発明において使用する用語「カルボン酸」は、ポリカルボン酸及び無水マレイン酸などこれらの酸の無水物を含み、酸無水物基は同じカルボン酸分子に位置する2つのカルボキシル基から1分子の水の脱離することにより形成される。
本発明において吸収増強剤として有用な代表的アクリル酸エステルには、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、エタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル等が含まれる。高級アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル及びアクリル酸メリシル及びそのメタクリル酸エステル版である。2つ又は3つ以上の長鎖アクリル酸エステルの混合物は、カルボン酸モノマの1つと具合よく重合させることができる。他のコモノマは、α−オレフィンを含むオレフィン、ビニルエーテル、ビニルエステル、及びそれらの混合物を含む。
アクリル系ニトリル類を含む他のビニリデンモノマも、本発明の方法及び組成物において、被験者の標的組織又は区画(例えば、肝臓、肝門静脈、CNS組織若しくは液、又は血漿)への活性薬剤の送達を増強することを含む、1つまたは複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤の送達及び吸収を増強するための吸収促進剤として使用することができる。有用なα,β−オレフィン性不飽和ニトリル類は、好ましくは、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの3から10個の炭素原子を有するモノオレフィン性不飽和ニトリル類である。最も好ましいものは、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルである。モノオレフィン性不飽和アミドを含む3から35個の炭素原子を含むアクリルアミド類も使用できる。代表的アミドには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、窒素上のアルキル基が8から32個の炭素原子を含む高級アルキルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールマレイミド、N−メチロールマレアミン酸エステル、N−メチロール−p−ビニルベンズアミドなどの4から10個の炭素原子を有するものを含むα,β−オレフィン性不飽和カルボン酸のN−アルキロールアミドを含むアクリルアミド類が含まれる。
さらに他の有用な吸収促進材料は、2から18個の炭素原子を含む、より好ましくは2から8個の炭素原子を含むα−オレフィン;4から10個の炭素原子を含むジエン;酢酸ビニルなどのビニルエステル及びアリルエステル;スチレン、メチルスチレン及びクロロスチレンなどのビニル芳香族化合物;ビニルメチルエーテルおよびビニルメチルケトンなどのビニル及びアリルエーテル類及びケトン類;クロロアクリル酸エステル;アクリル酸α−シアノメチル、及びアクリル酸α−、β−、及びγ−シアノプロピルなどのアクリル酸シアノアルキル;アクリル酸メトキシエチルなどのアルコキシアクリレート;アクリル酸クロロエチルなどのハロアクリレート;ハロゲン化ビニル及び塩化ビニル、塩化ビニリデン等;ジビニルエーテル、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、メチレン−ビス−アクリルアミド、アリルペンタエリスリトールなどのジビニル類、ジアクリレート類及び他の多官能性モノマ;及びビニルホスホン酸ビス(β−クロロエチル)などのアルケニルホスホン酸ビス(β−ハロアルキル)等であり、当業者に知られている。カルボキシ含有モノマは少量成分であって他のビニリデンモノマが主成分として存在するコポリマは、本明細書で開示した方法により容易に調製される。
本発明においてヒドロゲルが吸収増強剤として利用されるとき、これらは水相互作用性及び膨潤性の、アクリル酸及びメタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシエチル(HEA)又はメタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、及びビニルピロリドンの群からの合成コポリマで構成することができる。特にペプチド又はタンパク質の送達に有用なポリマの特に実例となる例は、次のタイプのポリマである:(メタ)アクリルアミドと0.1%から99wt%の(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミドと0.1〜75wt%の塩化(メタ)アクリロキシエチルトリメチルアンモニウム;(メタ)アクリルアミドと0.1〜75wt%の(メタ)アクリルアミド;アクリル酸と0.1〜75wt%の(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリルアミドと0.1〜75wt%のAMPS.RTM.(Lubrizol Corp.の商標);(メタ)アクリルアミドと0から30wt%のアルキル(メタ)アクリルアミド及び0.1〜75wt%のAMPS.RTM.;(メタ)アクリルアミドと0.1〜99wt%のHEMA;(メタ)アクリルアミドと0.1から75wt%のHEMA及び0.1から99%の(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸と0.1〜99wt%のHEMA;50mol%のビニルエーテルと50mol%の無水マレイン酸;(メタ)アクリルアミドと0.1から75wt%の塩化(メタ)アクリロキシアルキルジメチルベンジルアンモニウム;(メタ)アクリルアミドと0.1から99wt%のビニルピロリドン;(メタ)アクリルアミドと50wt%のビニルピロリドン及び0.1〜99.9wt%の(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸と0.1から75wt%のAMPS.RTM及び0.1〜75wt%のアルキル(メタ)アクリルアミド。上記の例において、アルキルはC1からC30、好ましくは、C1からC22の直鎖又は分岐、及びC4からC16の環状を意味し、(メタ)が使用されている場合、メチル基を有する又は有しないモノマが含まれていることを意味する。他の非常に有用なヒドロゲルポリマは、ポリ(ビニルピロリドン)デンプン、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールの膨潤性であるが不溶性の変種である。
本発明において有用なその他のポリマ性ヒドロゲルには、(ポリ)(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;アニオン性及びカチオン性ヒドロゲル;ポリ(電解質)錯体;酢酸エステル残基の少ないポリ(ビニルアルコール);架橋した寒天と架橋したカルボキシメチルセルロースとの膨潤性混合物;僅かに架橋した寒天と混合されたメチルセルロースを含む膨潤性組成物;無水マレイン酸とスチレン、エチレン、プロピレン若しくはイソブチレンとの微細化されたコポリマの分散により生成される水膨潤性コポリマ;N−ビニルラクタムの水膨潤性ポリマ;カルボキシメチルセルロースの水膨潤性ナトリウム塩等が含まれる。
本発明における生物活性薬剤の経粘膜送達のための親水性ヒドロゲル形成に有用な他のゲル化可能な液体吸収性且つ保持性ポリマには、ペクチン;寒天、アカシアガム、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン、及びグアー及びそれらの架橋型などの多糖類;アクリル酸ポリマ、コポリマ及び塩誘導体、ポリアクリルアミド;水膨潤性インデン無水マレイン酸ポリマ;デンプングラフトコポリマ;自重の約2から400倍の吸水率を有するアクリル酸エステル型ポリマ及びコポリマ;ポリグルカンのジエステル;架橋されたポリ(ビニルアルコール)とポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)との混合物;ポリオキシブチレン−ポリエチレンブロックコポリマゲル;カロブガム;ポリエステルゲル;ポリ尿素ゲル;ポリエーテルゲル;ポリアミドゲル;ポリイミドゲル;ポリペプチドゲル;ポリアミノ酸ゲル;ポリセルロース性ゲル;架橋インデン−無水マレイン酸アクリル酸エステルポリマ;及び多糖類が含まれる。
本発明において使用する合成ヒドロゲルポリマは、数種類のモノマの数種類の比率での無限の組合せにより作製することができる。ヒドロゲルは、架橋することができて、一般に液体を吸い込み吸収し、拡大した平衡状態まで膨潤し膨張する能力を有する。ヒドロゲルは通常鼻粘膜表面に送達されて膨潤又は膨張し、水を自重の2〜5、5〜10、10〜50、50〜100倍以上吸収する。与えられたヒドロゲルの膨潤率の最適の程度は、ポリマにより運搬される又はその中に捕捉され若しくは封入される活性薬剤の分子量、サイズ、溶解度及び拡散特性のような要因並びに個々のポリマに付随する特異的孔間隔及び共同分子鎖運動に依存して個別の生物活性薬剤に対して決定されるであろう。
本発明において有用な親水性ポリマは、水不溶性であるが水膨潤性である。そのような水で膨潤したポリマは、通常ヒドロゲル又はゲルと称される。そのようなゲルは、ポリマを適当な架橋剤で架橋させる方法により水溶性ポリマから容易に製造することができる。しかしながら、安定なヒドロゲルは、pH、温度及び/又はイオン濃度の所定条件下で、当技術分野で知られた方法により、特定のポリマから製造することもできる。典型的には、ポリマは架橋され、即ち、ポリマが良好な親水性を有する程度に架橋されて、物理的統合性を向上し(同一の又は類似のタイプの非架橋ポリマに比較して)、ゲルのネットワーク内に関心ある生物活性薬剤及びそれと共投与するサイトカイン又は酵素阻害剤などの追加の化合物を保持する改良された能力を示す一方、活性薬剤を適当な位置及び時期に放出する能力を保持する。
本発明において使用するヒドロゲルポリマは、一般に、コポリマを形成するモノマの重量を基準にして0.01から25重量%、より好ましくは0.1から20重量%、及びよりしばしば0.1から15重量%の架橋剤の量で、二官能性架橋により架橋されている。架橋剤の他の有用な量は0.1から10重量%である。トリ、テトラ又はそれを超える多官能性の架橋剤も利用することができる。そのような反応剤が使用されるときは、同等の架橋密度即ち、生物活性薬剤を効果的に含むために十分な、架橋度又はネットワーク特性を得るために必要な量はより少なくてよい。
架橋は、含水液体の存在で膨潤する性能を有するポリマについて、共有結合、イオン結合又は水素結合でよい。そのような架橋剤及び架橋反応は当業者に知られており、多くの場合にポリマ系に依存する。したがって、架橋ネットワークは、不飽和モノマのフリーラジカル共重合により形成させることができる。ポリマ性ヒドロゲルはアルコール、酸、アミン、などのポリマに存在する官能基をグリオキサール、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒド、ビスアンハイドライド等のような基と反応させることにより架橋を予め形成させたポリマによっても形成させることができる。
ポリマは、任意のポリエン、例えば、デカジエン又はトリビニルシクロヘキサン;N,N−メチレン−ビス(アクリルアミド)などのアクリルアミド類;トリメチロールプロパントリアクリレートなどの多官能性アクリル酸エステル;又は例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、アクリル酸アリル等を含む、少なくとも2つの末端CH2<基を含む多官能性ビニリデンモノマで架橋することができる。ある態様において、コポリマの調製に使用する架橋性モノマは、1分子当り2つ以上のアルケニルエーテル基を有するポリアルケニルエーテルであり、それはオレフィン性二重結合が末端メチレン基に結合して存在するアルケニル基を場合により有し得る(例えば、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも2つのヒドロキシル基を含む多価アルコールのエーテル化により作製される)。この種の化合物は、塩化アリル又は臭化アリルなどのハロゲン化アルケニルを1つ又は複数の多価アルコールの強アルカリ性水溶液と反応させることにより製造することができる。生成物は、異なる数のエーテル基を有するポリエーテルの複雑な混合物であり得る。ポリエーテル架橋剤の有効性は、分子中の重合の可能性のある基の数と共に増大する。通常、1分子当り平均2つ以上のアルケニルエーテル基を含むポリエーテルが使用される。他の架橋性モノマには、例えば、ジアリルエステル類、ジメタリルエーテル類、アクリル酸アリル又はアクリル酸メタリル類及びアクリルアミド類、テトラビニルシラン、ポリアルケニルメタン、ジアクリレート、及びジメタクリレート、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物、リン酸ポリアリル、ジアリロキシ化合物、及び亜リン酸エステル類等が含まれる。代表的架橋剤は、アリルペンタエリスリトール、アリルスクロース、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等である。アリルペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンジアリルエーテル及びアリルスクロースは適当なポリマを与える。架橋剤が存在するとき、ポリマ混合物は、通常、カルボン酸モノマに加えた他のモノマの合計を基準にして約0.01から20重量%の間、例えば、重量で1%、5%又は10%以上の架橋性モノマを含む。
本発明のより詳細な局面において、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体並びに本明細書で開示した他の生物活性薬剤の経粘膜送達は、徐放性の又は酵素的に若しくは生理学的に保護的な担体又は媒体中に、例えば、活性薬剤を分解酵素の作用から遮断するヒドロゲル中に、活性薬剤を保持することにより増強される。ある態様において、活性薬剤は、担体又は媒体に化学的手段により結合され、それに酵素阻害剤、サイトカインなどの追加される薬剤も混合又は結合されてもよい。あるいは、活性薬剤は、担体又は媒体例えばポリママトリックス中に十分な物理的封入により固定化することもできる。
本発明において有用なヒドロゲルなどのポリマは、それと共に製剤化される活性薬剤の経鼻生体利用率を増強するために、ポリマ中に化学的に組み込まれたグリコシドなどの官能基の結合された薬剤を含むことができる。そのようなグリコシドの例は、グルコシド、フルクトシド、ガラクトシド、アラビノシド、マンノシド及びそれらのアルキル置換誘導体、並びにアルブチン、フロリシン、アミグダリン、ディジトニン、サポニン及びインジカンなどの天然のグリコシドである。代表的グリコシドをポリマに結合することができる数通りの方法がある。例えば、グルコシド又は他の類似の炭水化物のヒドロキシル基の水素をヒドロゲルポリマのアルキル基により置換してエーテルを形成させることができる。グリコシドのヒドロキシル基を反応させてポリマヒドロゲルのカルボキシル基をエステル化してその場でポリマ性エステルを形成させることもできる。他の取組み方はアセトブロモグルコースのコレスト−5−エン−3−β−オールとのマレイン酸のコポリマ上での縮合を利用することである。N−置換ポリアクリルアミドは活性化されたポリマとω−アミノアルキルグルコシドとの反応により合成することができる:(1)(炭水化物−スペーサ)(n)−ポリアクリルアミド、擬多糖体;(2)(炭水化物−スペーサ)(n)−ホスファチジルエタノールアミン(m)−ポリアクリルアミド、ネオ糖脂質、ホスファチジルエタノールアミン誘導体;及び(3)(炭水化物−スペーサ)(n)−ビオチン(m)−ポリアクリルアミド。これらのビオチン化誘導体は、粘膜表面のレクチンに結合して、生物活性薬剤、例えば、ポリマ封入グルコース調節ペプチドの吸収を容易にすることができる。
本発明のより詳細な局面において、1つ又は複数のグルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体並びに/又は本明細書で開示した他の生物活性薬剤(プロテアーゼ阻害剤、サイトカイン、細胞間接合生理機能の追加的調節剤などの補助的活性薬剤を場合により含む)が、改変されてポリマ性担体又はマトリックスに結合される。これは、例えば、ペプチド又はタンパク質活性薬剤及び他のオプションの薬剤を架橋されたポリマネットワーク中に化学的に結合することにより達成することができる。グリコシド含有分子などの相互作用性薬剤でポリマを別々に化学的に改変することも可能である。ある局面において、生物活性薬剤及びオプションの補助的薬剤を官能化することができる:即ち、その場合、その活性薬剤に適当な反応性基の存在が確認されるか又は化学的に付加される。最も多くの場合、エチレン性の重合性基が付加された後、官能化された活性薬剤がモノマ及び架橋剤と、溶液重合(通常水中)、乳化、懸濁又は分散重合などの標準的重合方法を使用して共重合される。しばしば、官能化剤は、活性薬剤の数か所が官能化されることを確実にするのに十分高い官能基又は重合性基濃度で供給される。例えば、16のアミン部位を含むポリペプチドにおいては、少なくとも2、4、5、7及び8まで又はそれを超える部位を官能化することが一般的には望ましい。
官能化後、官能化された活性薬剤は、関心のあるポリマが形成される反応剤を含むモノマ及び架橋剤と混合される。次にこの媒質中で重合を起こさせて、結合された活性薬剤を含むポリマを創生する。次にポリマを水又は他の適当な溶媒で洗浄し、他の方法で精製して痕跡量の未反応不純物を除去し、必要ならば、攪拌、篩通し、超音波処理、又は他の適当な手段などの物理的手段で所望の粒子サイズに粉砕または破砕する。次に、溶媒を、通常は水であるが、活性薬剤を変性させたり分解したりしない様式で除去する。1つの望ましい方法は凍結乾燥(凍らせて乾燥する)であるが、他の方法も使用可能であり、使用されてよい(例えば、真空乾燥、風乾、噴霧乾燥等)。
本発明におけるペプチド、タンパク質及び他の活性薬剤に重合性基を導入するために、使用可能なアミノ、ヒドロキシル、チオール及び他の反応性基を、求電子剤を含む不飽和基と反応させることが可能である。例えば、N−ヒドロキシスクシンイミジル基、p−ニトロフェニルカーボネート、トリクロロフェニルカーボネートなどの活性カーボネート、トレシレート、オキシカルボニルイミダゾール、エポキシド、イソシアネート、及びアルデヒドを含む不飽和モノマ、並びに不飽和カルボキシメチルアジド及び不飽和オルトピリジル−ジスルフィドがこの分類の反応剤に属する。不飽和反応剤の実例になる例は、アリルグリシジルエーテル、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル、塩化アクリロイル、アリルイソシアネート、塩化アリルスルホニル、無水マレイン酸、無水マレイン酸のコポリマ、及びアリルエーテル等である。
アルデヒドを例外として、全てのリシン活性誘導体は、ヒスチジンのイミダゾール基、チロシンのヒドロキシル基及びシスチンのチオール基などの他のアミノ酸と、局所的環境がこれらの基の求核性を増強させていれば、通常は反応し得る。アルデヒド含有官能化反応剤はリシンに特異的である。リシン、システイン、チロシンの使用可能な基とのこれらのタイプの反応は、文献に広く記録されており、当業者に知られている。
アミノ基を含む活性薬剤の場合には、そのような基を塩化アクリロイルなどの塩化アシロイルと反応させて反応させた薬剤に重合性アクリル基を導入することが便利である。次に、アクリルアミドとアクリル酸とのコポリマの架橋中などポリマの調製中に、官能化された活性薬剤が、アクリル基によってポリマに取り付けられ、それに結合する。
本発明のさら他の局面において、ペプチド、タンパク質、ヌクレオチド及びin vivoで生物活性である他の分子を含む生物活性薬剤は、1つ又は複数の活性薬剤を、親水性部分例えば直鎖状ポリアルキレングリコールと親油性部分との両方を不可欠な部分として含むポリマに共有結合で結合することにより複合化安定化される(例えば、米国特許第5,681,811号を参照されたい)。一局面において、生物活性薬剤は、(i)直鎖状ポリアルキレングリコール部分、及び(ii)親油性部分を含むポリマに共有結合で結合され、その中で、活性薬剤、直鎖状ポリアルキレングリコール部分及び親油性部分は、活性治療薬剤が酵素による分解にin vivoでの増強された抵抗性(即ち、活性薬剤がそれに結合したポリマのない複合化していない状態での同様な条件下における安定性に比較して)を有するように配座の相互関係を整えられる。他の局面において、複合化安定化した製剤は、(i)直鎖状ポリアルキレングリコール部分と、(ii)親油性部分とを含むポリソルベート複合体と共有結合で結合した生物活性薬剤を含む3次元配座を有し、その中で、活性薬剤、直鎖状ポリアルキレングリコール部分、及び親油性部分は、互いの関係において、(a)親油性部分が3次元配座において外部に接し得、且つ(b)組成中の活性薬剤が「酵素による分解」に対してin vivoでの増強された抵抗性を有するように、配座を整えられる。
さらに関連する局面において、トリグリセリド骨格部分の炭素原子に結合したポリアルキレングリコールスペーサ基を通してトリグリセリド骨格部分に共有結合で結合された生物活性薬剤、及びトリグリセリド骨格部分の炭素原子に直接共有結合で又はポリアルキレングリコールスペーサ部分を通して共有結合でのいずれかで結合された少なくとも1つの脂肪酸部分を含む多リガンド結合複合体が提供される(例えば、米国特許第5,681,811号を参照されたい)。そのような多リガンド結合治療薬複合体において、トリグリセリド生物活性部分のα’及びβ炭素原子は、それに直接、又はポリアルキレングリコールスペーサ部分を通してそれに間接的のいずれかで共有結合で結合された脂肪酸部分を含むことができる。あるいは、脂肪酸部分は、トリグリセリド骨格部分のα及びα’炭素に直接又はポリアルキレングリコールスペーサ部分を通してかのいずれかで共有結合により結合することができ、生物活性治療薬はトリグリセリド骨格部分のγ炭素に共有結合で結合することができ、それに直接共有結合で結合されるか又はポリアルキレンスペーサ部分を通してそれに間接的に結合されるかのいずれかである。本発明の範囲内で、トリグリセリド骨格部分を含む多リガンド結合治療薬複合体に対して広範囲の構造的、組成的、及び配座的形態が可能であることが認識されるであろう。本発明の範囲内で、そのような多リガンド結合治療薬複合体において、生物活性薬剤を、アルキルスペーサ基又は別の許容されるスペーサ基を通してトリグリセリド改変骨格部分と都合よく共有結合で結合することができることは、さらに注目される。そのような関係で使用されるスペーサ基の許容性とは、立体的、組成的及び最終用途特異的許容特性を意味する。
本発明のさらに追加される局面において、(i)脂肪酸基と;(ii)ポリエチレングリコールに共有結合で結合した、例えば、ポリエチレングリコール基の適当な官能基に結合した生物活性薬剤若しくは部分を有するポリエチレングリコール基とを含む官能性基を、骨格のα、α’及びβ炭素原子に共有結合で結合しているトリグリセリド骨格を含むポリソルベート部分を含むポリソルベート複合体を含む複合化安定化された複合体が提供される。そのような共有結合による結合は、例えばポリエチレングリコール基のヒドロキシ末端官能基に直接的であるか、又はもう一つの選択肢として、共有結合による結合は、例えば、ポリエチレングリコール基のヒドロキシ末端を末端カルボキシ官能性スペーサ基と反応させてキャッピングし、その結果キャッピングされたポリエチレングリコールは末端カルボキシ官能性を有し、それに生物活性薬剤若しくは部分が共有結合で結合されることにより間接的であるかのいずれかであってよい。
本発明のさらに追加の局面において、生理学的に適合性のポリエチレングリコール(PEG)で改変されたに糖脂質部分に共有結合で結合された、1つ若しくは複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに/又は本明細書で開示した他の生物活性薬剤を含む安定な水溶性の複合化安定化複合体が提供される。そのような複合体において、生物活性薬剤は、活性薬剤の遊離アミノ酸基で、生化学的加水分解及び/又はタンパク分解によりin vivoで切断可能な不安定な共有結合により、生理学的適合性PEG修飾糖脂質部分に共有結合で結合することができる。生理学的適合性PEG修飾糖脂質部分は、ポリソルベートポリマ、例えば、モノパルミテート、ジパルミテート、モノラウレート、ジラウレート、トリラウレート、モノオレエート、ジオレエート、トリオレエート、モノステアレート、ジステアレート、及びトリステアレートからなる群から選択される脂肪酸エステル基を含むポリソルベートポリマを都合良く含むことができる。そのような複合体において、生理学的適合性PEG修飾糖脂質部分は、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸及びステアリン酸からなる群から選択される脂肪酸を含む脂肪酸のポリエチレングリコールエーテル及び上記脂肪酸のポリエチレングリコールエステルからなる群から選択されるポリマを適当に含むことができる。
材料の貯蔵及び製造
本発明のある局面において、本発明における組合せ製剤及び/又は共投与法は、荷電されたガラスに付着してそれにより容器中の有効濃度を減少させ得るペプチド及びタンパク質の有効量を含む。シラン処理された容器は、例えばシラン処理ガラス容器は、ポリペプチド又はタンパク質のガラス容器への吸着を減少させるために、最終製品の貯蔵に使用される。
本発明のある局面において、本発明における組合せ製剤及び/又は共投与法は、荷電されたガラスに付着してそれにより容器中の有効濃度を減少させ得るペプチド及びタンパク質の有効量を含む。シラン処理された容器は、例えばシラン処理ガラス容器は、ポリペプチド又はタンパク質のガラス容器への吸着を減少させるために、最終製品の貯蔵に使用される。
本発明のさらに追加の局面において、哺乳類被験者治療用のキットは、前記被験者における肥満、癌、又は癌に関係する栄養不良若しくはイスチング(isting)の1つ又は複数の症状を、許容されない副作用なしに軽減するのに有効な、哺乳類被験者への経粘膜送達のために製剤化された1つ又は複数のグルコース調節ペプチドの安定な医薬組成物を含む。そのキットは、1つ又は複数のグルコース調節ペプチド化合物を入れた医薬品バイアルをさらに含む。その医薬品バイアルは、医薬品グレードのポリマ、ガラス又は他の適当な材料で構成されている。医薬品バイアルは例えばシラン処理ガラスバイアルである。そのキットは、被験者の鼻粘膜表面への組成物の送達のための開口部をさらに備える。送達用開口部は、医薬品グレードのポリマ、ガラス又は他の適当な材料で構成されている。送達開口部は例えばシラン処理ガラスである。
シラン処理技法は、シラン処理されるべき表面のための特別の清浄化技法と低圧のシラン処理工程とを併用する。シランは、気相の状態で、シラン処理されるべき表面の上昇された温度で存在する。この方法は、単層の特性を有する安定で均一な官能性シラン層を有する再現性ある表面を提供する。シラン処理された表面は、ポリペプチド又は本発明の経粘膜送達増強剤のガラスへの結合を防止する。
この手順は、本発明のグルコース調節ペプチド組成物を保持するためのシラン処理医薬品バイアルを調製するために有用である。ガラストレイは、使用前に再蒸留水(ddH2O)ですすぐことにより清浄化する。次にシラントレイは95%EtOHですすぎ、アセトントレイはアセトンですすぐ。医薬品バイアルをアセトン中で10分間超音波処理する。アセトン超音波処理後、薬品バイアルをddH2Oトレイ中で少なくとも2回洗浄する。薬品バイアルを0.1M NaOH中で10分間超音波処理する。薬品バイアルがNaOH中で超音波処理されている間に、シラン溶液をフードの下で作製する(シラン溶液:800mLの95%エタノール;96Lの氷酢酸;25mLのグリシドキシプロピルトリメトキシシラン)。NaOH超音波処理後、薬剤バイアルをddH2Oトレイ中で少なくとも2回洗浄する。薬品バイアルをシラン溶液中で3から5分間超音波処理する。薬品バイアルを100%EtOHトレイ中で洗浄する。薬品バイアルを精製N2ガスで乾燥し、使用前に少なくとも2時間100℃オーブン中で保管する。
鼻噴霧製品製造工程は、約85%の水に加えた、グルコース調節ペプチドを含まない鼻噴霧製剤成分を含む鼻噴霧希釈剤の調製を含むことができる。次に希釈剤のpHを測定し、必要ならば水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを4.0±0.3に調節する。鼻噴霧は、最終目標容積の約85%の希釈剤のスクリューキャップ瓶への非無菌的移送により調製される。適当量のグルコース調節ペプチドを加え、完全に溶解されるまで混合する。pHを測定し、必要ならば水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを7.0±0.3に調節する。最終目標容積に達するように十分な量の希釈剤を加える。スクリューキャップ瓶を満たしてキャップを固定する。製造工程の上記の記述は薬剤製品の初期の臨床用バッチを調製するために使用された方法を示す。この方法は、製造工程を最適化するための開発過程で改良されてよい。
現在上市されている注射用グルコース調節ペプチドは、FDA規制遵守のために滅菌製造条件を必要とする。注射又は注入用のインスリンを含む非経口投与は、滅菌された(無菌的)製造工程を必要とする。滅菌された薬品製造に関する現行の医薬品の製造及び品質管理に関する基準(GMP)には、設計及び構成に関する特質基準(21CFR §211.42(2005年4月1日));成分薬物製品容器及び密閉の試験及び承認又は却下に関する基準(§211.84);微生物汚染の制御に関する基準(§ 211.113);並びに他の特別な試験規定(§211.167)が含まれる。本発明の経鼻用製品などの非経口でない(非無菌的)製品は、これらの特化された無菌的製造条件を必要としない。容易に理解されるように、無菌的製造工程に対する要求は、非無菌的製品製造工程に必要とされるものよりも実質的に高く、それに対応してより経費がかかる。これらの経費は、より大なる設備投資並びにより高い製造原価を含み、即ち、無菌的製造のための余分の設備は追け加える場所及び換気を含み、無菌的製造に関連する余分の経費はより多くの人手、広範囲の品質管理及び品質保証並びに管理上の支援を含む。結果として、本発明のものなどの経鼻用グルコース調節ペプチド製品の製造原価は、非経口的投与されるグルコース調節ペプチド製品の原価よりもはるかに低い。本発明は、グルコース調節ペプチドの非滅菌製造工程に対する要求を満足させる。
滅菌溶液は、必要量の活性化合物を適当な溶媒に、濾過滅菌に続いて必要に応じて上で列挙した成分の1つ又は組合せと共に組み入れることにより調製することができる。通常、分散液は、活性化合物を、基剤の分散媒及び上で列挙したものうち必要な他の成分を含む滅菌媒体中に組み入れることにより調製される。滅菌散剤の場合、調製方法は、有効成分に任意の所望の成分を加えた粉末を、予め滅菌濾過したその溶液から生成させる真空乾燥又は凍結乾燥を含む。微生物の作用の防止は、種々の抗菌及び抗カビ剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等により達成される。
本発明の粘膜投与は、投与量及び副作用を制御しモニターする十分な防護手段があれば、患者の効果的な自己投与を可能にする。粘膜投与は、注射などの、苦痛があり患者を感染の可能性に曝し、薬剤の生体利用率の問題を呈し得る他の投与形態のある種の欠点も克服する。
生体付着性送達媒体及び方法
本発明のある局面において、本発明における組合せ製剤及び/又は共投与法は、1つ又は複数の生物活性薬剤の経粘膜送達を増強する助剤化合物又は担体として有効量の無毒性生体付着剤を組み入れる。この関係の生体付着剤は、標的粘膜の1つ又は複数の成分又は表面に一般的又は特異的付着を示す。この生体付着剤は、生物活性薬剤の粘膜中への又はそれを通しての所望の濃度勾配を維持して、大きい分子(例えば、ペプチド及びタンパク質)でさえ粘膜上皮中へ又はそれを通して確実に浸透させる。通常、本発明の方法及び組成物における生体付着剤の利用は、粘膜上皮中への又はそれを通るペプチド及びタンパク質の透過率の2から5倍、しばしば5から10倍の増大を生ずる。上皮透過のこの増大は、大きい高分子の、例えば、鼻上皮の基底部若しくは付近の細胞外区域又は血漿又はCNS組織若しくは液への効果的な経粘膜送達をしばしば可能にする。
本発明のある局面において、本発明における組合せ製剤及び/又は共投与法は、1つ又は複数の生物活性薬剤の経粘膜送達を増強する助剤化合物又は担体として有効量の無毒性生体付着剤を組み入れる。この関係の生体付着剤は、標的粘膜の1つ又は複数の成分又は表面に一般的又は特異的付着を示す。この生体付着剤は、生物活性薬剤の粘膜中への又はそれを通しての所望の濃度勾配を維持して、大きい分子(例えば、ペプチド及びタンパク質)でさえ粘膜上皮中へ又はそれを通して確実に浸透させる。通常、本発明の方法及び組成物における生体付着剤の利用は、粘膜上皮中への又はそれを通るペプチド及びタンパク質の透過率の2から5倍、しばしば5から10倍の増大を生ずる。上皮透過のこの増大は、大きい高分子の、例えば、鼻上皮の基底部若しくは付近の細胞外区域又は血漿又はCNS組織若しくは液への効果的な経粘膜送達をしばしば可能にする。
この増大された送達は、生物活性ペプチド、タンパク質及び他の高分子量治療薬種の送達の大きく改良された有効性を提供する。これらの結果は、化合物の親水性に一部依存し、それにより、より大なる浸透は、水不溶性化合物に比較して親水性の種で達成されるであろう。これらの効果に加えて、粘膜表面での薬剤残留を増強させる生体付着剤の利用は、遅延性薬物送達の蓄積機構を誘発することができ、それにより、化合物は、粘膜組織を通過して浸透するだけでなく、ひとたび表面における物質が消費し尽くされると粘膜表面へ逆拡散もする。
種々の適当な生体付着剤が、経口投与のために当技術分野において開示されている。米国特許第3,972,995号;第4,259,314号;第4,680,323号;第4,740,365号;第4,573,996号;第4,292,299号;第4,715,369号;第4,876,092号;第4,855,142号;第4,250,163号;第4,226,848号;第4,948,580号;及び米国再発行特許第33,093号で、これらは本発明の新規な方法及び組成物において使用できる。本発明の方法及び組成物における粘膜例えば経鼻送達基盤としての種々の生体付着性ポリマの可能性は、グルコース調節ペプチドを保持し放出するそれらの性能を測定することにより、並びにそれらの中への活性薬剤の組込みに続いて粘膜表面と相互作用する能力により、容易に評価することができる。それに加えて、よく知られた方法が、選択されたポリマの粘膜投与部位における組織との生体適合性を決定するために応用されるであろう。標的粘膜が粘液により覆われているとき(即ち、粘液分解又は粘液清浄化処理は存在しないで)、それは下に存在する粘膜上皮への結合リンクとして役立つことができる。したがって、本明細書で使用する用語「生体付着剤」は、本発明における生物活性薬剤の経粘膜送達を増強するために有用な粘膜付着性化合物も包含する。しかしながら、粘液ゲル層への付着により媒介される粘膜組織への付着性接触は、粘液層と下に存在する組織との間の不完全で一時的な結合により、急速な粘液浄化が起こる鼻内表面においては特に、限定され得る。この関係で、ムチン糖タンパク質は連続的に分泌され、細胞又は腺からの放出後直ちに粘弾性ゲルを形成する。付着性ゲル層の管腔表面は、しかしながら、機械的、酵素的及び/又は繊毛作用により絶えず侵食されている。そのような活動がより顕著な場合、又はより長い付着時間が望まれる場合、本発明の共投与法及び組合せ製剤化法は、本明細書中上で開示した粘液分解及び/又は繊毛静止方法若しくは薬剤をさらに組み入れることができる。
通常、本発明において使用する粘膜付着性ポリマは、複雑であるが非特異的機構により湿潤粘膜組織表面に付着する天然又は合成高分子である。これらの粘膜付着性ポリマに加えて、本発明は、受容体媒介を含む特異的相互作用性により、粘液よりむしろ細胞表面に直接付着する生体付着剤を組み込んでいる方法及び組成物も提供する。この特異的様式で機能する生体付着剤の一例は、レクチンとして知られる化合物群である。鼻内上皮細胞膜の一部を形成し、「レクチン受容体」と見なし得る糖分子、例えば、糖タンパク質又は糖脂質を特異的に認識して結合する能力を有する糖タンパク質がある。
本発明のある局面において、生物活性薬剤の経鼻送達を増強する生体付着剤材料は、親水性例えば、水溶性若しくは膨潤性のポリマの混合物又は湿潤粘液性表面に付着できるポリマの混合物を含む。これらの付着剤は、軟膏、ヒドロゲル(上を参照されたい)、薄いフィルム及び他の応用形態として製剤化することができる。しばしば、これらの付着剤は、活性薬剤の徐放性又は局所送達を実現するために、それらと混合した生物活性薬剤を有する。幾つかのものは、鼻粘膜を通して、例えば、その個体の循環系中への活性薬剤の浸透を容易にする追加成分と共に製剤化される。
種々のポリマは、天然及び合成の両方とも、生理的条件下で粘液及び/又は粘膜上皮表面に顕著な結合を示す。この相互作用の強さは、機械的剥離又は剪断試験により容易に測定することができる。湿潤粘膜表面に適用されたとき、多くの乾燥した材料は、少なくとも僅かに自発的に付着するであろう。そのような初期の接触で、幾つかの親水性材料は、吸着、膨潤又は毛管力により水を引きつけ始め、この水が下にある基質から又はポリマと組織との界面から吸収されるのであれば、付着は、生物活性薬剤の経粘膜吸収を増強する目的を達成するために十分であり得る。そのような「水和による付着」は十分強力であり得るが、この機構を利用するように適合された製剤は、投薬が水和した粘滑薬に変形するとき継続する膨潤を起こさなければならない。これは、本発明において有用な多くの親水コロイド、特に、予め水和された状態で適用されたときに通常非付着性である幾つかのセルロース誘導体に対して予想される。それにも拘らず、粘膜投与のための生体付着性薬剤送達系は、そのような材料が乾燥ポリマ粉末、ミクロスフェアの形態、又はフィルム型送達形態で適用されたとき、本発明において有効である。
他のポリマは、乾燥状態で適用されたときだけでなく、十分に水和されて過剰の水の存在で適用されても、粘膜表面に付着する。したがって、粘膜付着剤の選択は、組織への接触が生じて維持される生理学的並びに物理化学的条件の十分な考慮を必要とする。特に、付着の意図された部位に通常存在する水および湿気の量および支配的pHは、種々のポリマの粘膜付剤結合力に大きく影響することが知られている。
過去20年に数通りのポリマ性生体付着性薬剤送達系が作製されて研究されたが、常に成功したわけではない。しかしながら、そのような種々の担体は、現在、歯科、整形外科、眼科及び外科用途を含む臨床用途で使用されている。例えば、アクリル系ヒドロゲルは生体付着性デバイス用として広く使用されてきた。アクリル系ヒドロゲルは、部分的膨潤状態における、接触している組織に損傷を惹起する摩滅を減少するそれらの柔軟性及び表面を傷つけない特性のために、生体付着によく適している。さらに、膨潤状態におけるそれらの高い透過性により、重合後、未反応モノマ、未架橋ポリマ鎖、及び開始剤をマトリックスから洗い出すことが可能になり、それは本発明において使用する生体付着材料の選択にとって重要な特徴である。アクリル系ポリマのデバイスは、非常に高い付着結合力を発揮する。ペプチド及びタンパク質薬剤の制御経粘膜送達のために、本発明の方法及び組成物は、場合により担体、例えば、生物活性薬剤をタンパク分解による破壊から一部保護するように機能するポリマの送達媒体の使用を含む一方、同時に、ペプチド又はタンパク質の鼻粘膜中への又はそれを通る浸透を増強する。この関係で、生体付着性ポリマは、増強された経口薬剤送達に対する相当の可能性を示している。例として、粘膜付着性ポリ(アクリル酸)誘導体ポリカルボフィルの1%(w/v)食塩水分散液と一緒にラットの十二指腸に投与された9−デスグリシンアミド、8−アルギニンバソプレッシン(DGAVP)の生体利用率は、このポリマを含まないペプチド薬剤の水溶液に比較して3〜5倍増大した。
ポリ(アクリル酸)タイプの粘膜付着性ポリマは、幾つかの腸内プロテアーゼの強力な阻害剤である。酵素阻害の機構は、このクラスのポリマの、トリプシン及びキモトリプシンなどのメタロプロテイナーゼの必要不可欠な補因子であるカルシウム又は亜鉛などの2価カチオンに対する強い親和性により説明される。ポリ(アクリル酸)によりプロテアーゼからそれらの補因子を奪うと、酵素活性の消失を伴う酵素タンパク質の不可逆的構造変化が誘発されると報告されている。同時に、他の粘膜付着性ポリマ(例えば、幾つかのセルロース誘導体及びキトサン)は、ある条件ではタンパク分解酵素を阻害しないことがある。比較的小分子である本発明において使用を考慮される他の酵素阻害剤(例えば、アプロチニン、ベスタチン)と対照的に、阻害性ポリマの経鼻吸収はこれらの分子のサイズに照らして、極小と思われ、それにより副作用の可能性を排除する。したがって、粘膜付着性ポリマ、特にポリ(アクリル酸)タイプは、特に安全性の懸念が考慮されるとき、吸収促進付着剤及び抗酵素剤の両者として役立つことができ、ペプチド及びタンパク質薬剤の制御送達を増強する。
酵素的分解に対する保護に加えて、本発明において使用する生体付着剤及び他のポリマ性又は非ポリマ性吸収増強剤は、生物活性薬剤に対する粘膜透過性を直接増大させることができる。ペプチド及びタンパク質などの大きい親水性分子の、鼻上皮障壁を通過する輸送を促進するために、粘膜付着性ポリマ及び他の薬剤が、送達系の延長された粘膜前滞留時間により説明される効果を超える増強された透過効果を生ずると想定されてきた。報告によれば、薬剤の血漿中濃度の時間経過は、生体付着性ミクロスフェアが、インスリンの鼻粘膜を通過する透過性の急激な、しかし一時的な増加を惹起したことを示唆した。本発明において使用する他の粘膜付着性ポリマ、例えばキトサンは、それらが水溶液又はゲルとして適用されたときでさえ、ある粘膜上皮の透過性を増強すると報告されている。上皮透過性に直接影響すると報告されている他の粘膜付着性ポリマは、ヒアルロン酸及びそのエステル誘導体である。本発明の共投与及び/又は組合せ製剤化方法及び組成物の中で特に有用な生体付着剤は、キトサン並びにその類似体及び誘導体である。キトサンは、低毒性及び良好な生体適合性といった好ましい性質のために薬学的及び医学的用途に広く使用されている無毒性、生体適合性及び生分解性のポリマである。キトサンはアルカリを使用するN−アセチル化によりキチンから調製された天然のポリアミノサッカライドである。本発明の方法及び組成物において使用するキトサンは、グルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに本明細書で開示した他の生物活性薬剤の適用粘膜部位における保持を増大させる。この投与様式は、患者の服薬率及び認容性も改善することができる。本明細書においてさらに提供するように、本発明の方法及び組成物は、新規キトサン誘導体又はキトサンの化学的改変形態を場合により含むであろう。本発明において使用する1つのそのような新規誘導体は、β−[l→4]−2−グアニジノ−2−デオキシ−D−グルコースポリマ(ポリ−GuD)と表示される。キトサンはキチンのN−アセチル化生成物であり、経口及び経鼻製剤用のミクロスフェアを調製するために広く使用されてきた天然産ポリマである。キトサンポリマは非経口薬剤送達の可溶性担体としても提唱されている。本発明の一局面において、O−メチルイソウレアがキトサンアミンをそのグアニジニウム部分に変換するために使用される。グアニジニウム化合物は、例えば、8.0を超えるpHで、キトサン及びO−メチルイソウレアの等規定溶液間の反応により調製される。
本発明において使用する生体付着剤として分類される追加の化合物は、生体付着性化合物の相補的構造と粘膜上皮表面の成分との間の「受容体−リガンド相互作用」として通常分類される特異的相互作用を媒介することにより作用する。多くの天然の例が、レクチン−糖相互作用により代表される特異的結合性生体付着のこの形態を例示する。レクチンは、多糖類又は糖複合体に結合する非免疫由来の(糖)タンパク質である。
数通りの植物レクチンが、可能性ある薬剤吸収増強剤として研究されている。1つの植物レクチン、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ヘマグルチニン(PHA)は、ラットに給餌後10%を超える高い経口生体利用率を示す。トマト(Lycopersicon esculeutum)レクチン(TL)は投与の種々の様式に対して安全のようである。
まとめると、前述の生体付着剤は、本発明の組合せ製剤及び共投与法において有用であり、それは、1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤の持続を延長させるか又はさもなければ粘膜吸収を増大させるために、有効な量及び形態の生体付着剤を場合により取り込んでいる。生体付着剤は、本発明の組合せ製剤中の助剤化合物又は添加物として協調的に投与することができる。ある態様において生体付着剤が「医薬接着剤」として作用するが、他の態様においては、生体付着剤の補助的送達又は組合せ製剤が、ある場合には上皮細胞「受容体」との特異的受容体−リガンド相互作用を促進することにより、また他の場合には上皮の透過性を増大させて、送達標的部位(例えば、肝臓、血漿、又はCNS組織若しくは液)で測定される薬剤濃度勾配を顕著に増大させることにより、生物活性薬剤の鼻粘膜との接触を強化するために役立つ。本発明において使用するさらに他の生体付着剤は、酵素(例えばプロテアーゼ)阻害剤として作用し、生体付着剤と協調的に又は組み合せた製剤で送達された経粘膜投与生物治療剤の安定性を増強する。
リポソーム及びミセル状送達媒体
本発明の共投与法及び組合せ製剤化は、効果的な脂質若しくは脂肪酸を主成分とする担体、処理剤、又は送達媒体を場合により取り込み、グルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤の経粘膜送達のための改良された製剤を提供する。例えば、経粘膜送達における化学的及び物理的安定性を増強し、生物活性薬剤の半減期を増大させる(例えば、タンパク分解、化学的改変及び/又は変性の受け易さを減少させることにより)ために、リポソーム、混合ミセル担体又はエマルションと混合され若しくはそれらによりカプセル化され又はそれらと共投与されるペプチド又はタンパク質などの1つ又は複数のこれらの活性薬剤を含む種々の製剤及び方法が、経粘膜送達のために提供される。
本発明の共投与法及び組合せ製剤化は、効果的な脂質若しくは脂肪酸を主成分とする担体、処理剤、又は送達媒体を場合により取り込み、グルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性薬剤の経粘膜送達のための改良された製剤を提供する。例えば、経粘膜送達における化学的及び物理的安定性を増強し、生物活性薬剤の半減期を増大させる(例えば、タンパク分解、化学的改変及び/又は変性の受け易さを減少させることにより)ために、リポソーム、混合ミセル担体又はエマルションと混合され若しくはそれらによりカプセル化され又はそれらと共投与されるペプチド又はタンパク質などの1つ又は複数のこれらの活性薬剤を含む種々の製剤及び方法が、経粘膜送達のために提供される。
本発明のある局面において、生物活性薬剤の特別の送達系はリポソームとして知られる小脂質胞を含む。これらは、通常、天然の生分解性、無毒性且つ非免疫原脂質分子から作製され、ペプチド及びタンパク質を含む薬剤分子をそれらの膜の内側に又はその上に効率的に捕捉又は結合することができる。本発明におけるペプチド及びタンパク質送達系としてのリポソームの魅力は、カプセル化されたタンパク質が小胞内でそれらの好ましい水性環境に留まることができ、一方リポソーム膜はタンパク質をタンパク分解及び他の不安定化因子から保護するという事実により増大する。知られているリポソーム調製法が、ペプチド及びタンパク質のカプセル化において、それらの固有の物理的及び化学的性質の故に、全て実行可能ということではないとはいえ、数通りの方法により、実質的失活のないこれらの高分子のカプセル化が可能になる。
種々の方法が、本発明において使用するリポソームを調製するために利用可能である。米国特許第4,235,871号;第4,501,728号;及び第4,837,028号。リポソーム送達で使用するために、生物活性薬剤は、通常、リポソーム又は脂質小胞中に捕捉されるか若しくは小胞の外側に結合される。
リポソームのように、不飽和長鎖脂肪酸(これも粘膜吸収のための送達活性を増強する)は、二重層様構造(いわゆる「ufaソーム」)を有する閉小胞を形成することができる。これらは、例えば、本発明の経粘膜例えば経鼻送達のために生物活性ペプチド及びタンパク質を捕捉するためにオレイン酸を使用して、形成させることができる。
本発明において使用する他の送達系は、ポリマとリポソームとの使用を組み合わせて、天然ポリマであるフィブリンの内側にカプセル化するなど両媒体の有利な性質を合わせる。それに加えて、この送達系からの生物治療剤化合物の放出は、共有結合架橋の使用及びフィブリンポリマに対する抗フィブリン分解剤の添加により、制御可能である。
本発明において使用するためにより簡単化された送達系は、送達媒体又は担体として、脂質担体とタンパク質及びポリアニオン性の核酸のような荷電した生物活性薬剤との間の静電気的相互作用を提供するために効果的に利用し得るカチオン性脂質を使用することを含む。これは、薬剤を経粘膜投与及び/又はそれに続く全身的区画への送達に適した形態に効率的に入れ込むことを可能にする。
本発明において使用するさらに他の送達媒体は、長鎖の及び中程度の鎖長の脂肪酸並びに脂肪酸と界面活性剤と混合されたミセルを含む。エステル形態の大部分の天然産脂質は、粘膜表面を通過するそれら自体の輸送に関して、重要な関連を有する。遊離脂肪酸及び結合した極性基を有するそれらのモノグリセリドは、混合ミセルの形態で、浸透増強剤として腸内障壁に作用することが示されている。遊離脂肪酸(12から20個の範囲の炭素原子の鎖長を有するカルボン酸)及びそれらの極性誘導体の障壁改変機能のこの発見は、粘膜吸収増強剤としてのこれらの薬剤の応用に関する広範な研究を活気づけた。
本発明において使用するために、長鎖脂肪酸、特に膜融合性脂質(オレイン酸、リノール酸、リノール酸、モノオレイン等の不飽和脂肪酸及びモノグリセリド)は、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体並びに本明細書で開示した他の生物活性薬剤の経粘膜送達を増強する有用な担体を提供する。中程度の鎖長の脂肪酸(C6からC12)及びモノグリセリドも、腸内薬物吸収に増強活性を有することが示されており、本発明の経粘膜送達製剤及び方法における使用に適合させることができる。それに加えて、中程度鎖長及び長鎖の脂肪酸のナトリウム塩は、本発明における生物活性薬剤の経粘膜送達のための有効な送達媒体及び吸収増強剤である。したがって、脂肪酸は、ナトリウム塩の可溶性形態で又は無毒性界面活性剤例えばポリオキシエチル化水素化ヒマシ油、タウロコール酸ナトリウムなどの添加により利用することができる。本発明において有用な他の脂肪酸及び混合ミセル製剤には、グリココール酸塩及びタウロコール酸塩などの胆汁酸塩と場合により組み合わされた、カプリン酸Na(C8)、カプロン酸Na(C10)、ラウリン酸Na(C12)又はオレイン酸Na(C18)が含まれるが、これらに限定はされない。
ペグ化
本発明において提供されるさらに他の方法及び組成物は、生物活性ペプチド及びタンパク質の、ポリマ性材料例えばデキストラン、ポリビニルピロリドン、糖ペプチド、ポリエチレングリコール及びポリアミノ酸などとの共有結合による化学的改変を包含する。結果として生ずる複合ペプチド及びタンパク質は、それらの生物活性及び粘膜投与のための溶解性を保持している。別の態様において、グルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性ペプチド及びタンパク質が、ポリアルキレンオキシドポリマ、特に、ポリエチレングリコール(PEG)と複合化される。米国特許第4,179,337号。
本発明において提供されるさらに他の方法及び組成物は、生物活性ペプチド及びタンパク質の、ポリマ性材料例えばデキストラン、ポリビニルピロリドン、糖ペプチド、ポリエチレングリコール及びポリアミノ酸などとの共有結合による化学的改変を包含する。結果として生ずる複合ペプチド及びタンパク質は、それらの生物活性及び粘膜投与のための溶解性を保持している。別の態様において、グルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに他の生物活性ペプチド及びタンパク質が、ポリアルキレンオキシドポリマ、特に、ポリエチレングリコール(PEG)と複合化される。米国特許第4,179,337号。
本発明において使用するアミン反応性PEGポリマは、2000、5000、10000、12000及び20000の分子質量を有するSC−PEG;U−PEG−10000;NHS−PEG−3400−ビオチン;T−PEG−5000;T−PEG−12000;及びTPC−PEG−5000を含む。生物活性ペプチド及びタンパク質のPEG化は、カルボキシル位の修飾(例えば、カルボキシル末端に付加したアスパラギン酸又はグルタミン酸基)により達成することができる。カルボジイミド活性化タンパク質カルボキシル基の酸性条件下における選択的修飾におけるPEG−ヒドラジドの有用性が報告されている。あるいは、生物活性ペプチド及びタンパク質の二官能性PEG修飾を利用することができる。ある手順では、リシン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸を含む荷電アミノ酸残基は、タンパク質表面において溶媒接触可能になる顕著な傾向を有する。
活性薬剤の他の安定化改変
PEG化に加えて、本発明において使用するペプチド及びタンパク質などの生物活性薬剤は、活性薬剤を他の知られた保護又は安定化化合物との結合により遮蔽することにより、例えば、1つ又は複数の免疫グロブリン鎖などの1つ又は複数の担体タンパク質に結合された活性ペプチド、タンパク質、類似体又は模倣体との融合タンパク質の創生により、循環半減期を増大させるように改変することができる。
PEG化に加えて、本発明において使用するペプチド及びタンパク質などの生物活性薬剤は、活性薬剤を他の知られた保護又は安定化化合物との結合により遮蔽することにより、例えば、1つ又は複数の免疫グロブリン鎖などの1つ又は複数の担体タンパク質に結合された活性ペプチド、タンパク質、類似体又は模倣体との融合タンパク質の創生により、循環半減期を増大させるように改変することができる。
製剤及び投与
本発明の経粘膜送達製剤は、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体を、通常、1つ又は複数の薬学的に許容される担体、及び場合により他の治療成分と一緒に組み合わせて含む。担体は、製剤の他の成分と適合性で、被験者に許容できない有害な影響を誘発しないという意味で「薬学的に許容される」ものでなければならない。そのような担体は、本明細書中の上で記載されており又はそうでなければ薬学の当業者に周知である。望ましくは、製剤は、投与されるべき生物活性薬剤が非適合性であると知られている酵素又は酸化剤などの物質を含むべきでない。製剤は製薬の技術分野で周知の任意の方法により調製することができる。
本発明の経粘膜送達製剤は、グルコース調節ペプチド、類似体及び模倣体を、通常、1つ又は複数の薬学的に許容される担体、及び場合により他の治療成分と一緒に組み合わせて含む。担体は、製剤の他の成分と適合性で、被験者に許容できない有害な影響を誘発しないという意味で「薬学的に許容される」ものでなければならない。そのような担体は、本明細書中の上で記載されており又はそうでなければ薬学の当業者に周知である。望ましくは、製剤は、投与されるべき生物活性薬剤が非適合性であると知られている酵素又は酸化剤などの物質を含むべきでない。製剤は製薬の技術分野で周知の任意の方法により調製することができる。
本発明の組成物及び方法において、グルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに本明細書で開示した他の生物活性薬剤は、経口、直腸内、膣内、経鼻、肺内、若しくは経皮送達、又は眼、耳、皮膚若しくは他の粘膜表面への局所送達を含む種々の粘膜投与様式により被験者に投与することができる。場合により、グルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに本明細書で開示した他の生物活性薬剤は、筋肉内、皮下、静脈内、心房内、関節内、腹腔内、又は非経口経路を含む非粘膜経路により、協調的に若しくは付属的に投与することができる。他の別法による態様において、生物活性薬剤は、例えば、適当な液体又は固体担体中に生物活性薬剤を含む、ex vivo組織又は器官の治療製剤の成分として、哺乳類被験者に由来する細胞、組織又は器官に直接接触させることによりex vivoで投与することができる。
本発明の組成物は、鼻又は肺噴霧として水溶液で投与することができ、また当業者に知られている種々の方法により、噴霧の形態で投薬することができる。鼻噴霧としての投薬液の好ましい系は、米国特許第4,511,069号に開示されている。製剤は多回投与容器で、例えば、米国特許第4,511,069号で開示された密封投薬系で提供することができる。その他のエアロゾル送達形態は、医薬用溶媒、例えば、水、エタノール、又はそれらの混合物に溶解した又は懸濁された生物活性薬剤を送達する、例えば、圧搾空気の、ジェットの、超音波の、及び圧電式のネブライザーを含む。本発明のエアロゾル製剤は、サイズで1から700ミクロンの直径を有する滴を有することができる。
本発明の組成物及び製剤は、50から350mOsm/L又は50から300mOsm/Lの容量オスモル濃度を有することができる。製剤の容量オスモル濃度、重量オスモル濃度又は張度を調節するために、等張化剤を使用することができる。
本発明の鼻用及び肺用噴霧溶液は、通常、薬剤即ち送達されるべき薬剤を、場合によりノニオン性界面活性剤(例えばポリソルベート−80)などの界面活性剤及び1つ又は複数のバッファと共に製剤化されて含む。本発明の幾つかの態様において、鼻噴霧溶液は噴霧剤をさらに含む。鼻噴霧溶液のpHは、場合により約pH3.0から9の間、好ましくは7.0±0.5である。これらの組成物で使用する適当なバッファは、上で記載されたものか又は当技術分野で知られている他のものである。他の成分は、化学的安定性を増強するか又は維持するために加えることができ、防腐剤、界面活性剤、分散剤又は気体を含む。適当な防腐剤は、フェノール、メチルパラベン、パラベン、m−クレゾール、チオメルサール、クロロブタノール、塩化ベンジルアルコニウム、安息香酸ナトリウム等を含むが、これらに限定はされない。適当な界面活性剤は、オレイン酸、ソルビタントリオレエート、ポリソルベート、レシチン、ホスファチジルコリン、及び種々の長鎖ジグリセリド及びリン脂質を含むが、これらに限定はされない。適当な分散剤は、エチレンジアミン四酢酸等を含むが、これらに限定はされない。適当な気体は、窒素、ヘリウム、クロロフルオロカーボン(CFCs)、ヒドロフルオロカーボン(HFCs)、二酸化炭素、空気等を含むが、これらに限定はされない。
別の態様において、粘膜用製剤は、経鼻送達のために、生物活性薬剤を適当な粒子サイズ又は適当な粒子サイズ範囲内の乾燥した、通常凍結乾燥された形態で含む乾燥粉末製剤として投与される。鼻又は肺通路内に沈着するために適当な最少粒子サイズは、しばしば約0.5μ質量平均空気力学直径(MMEAD)、通常約1μMMEAD、及びより典型的には約2μMMEADである。鼻通路内に沈着するために適当な最大粒子サイズは、しばしば約10μMMEAD、通常約8μMMEAD、及びより典型的には約4μMMEADである。これらのサイズ範囲内の鼻内呼吸可能な散剤は、噴射粉砕、噴霧乾燥、溶媒沈澱、超臨界流体凝縮などの種々の従来技法により製造することができる。これらの適当なMMEADの乾燥散剤は、患者の呼吸に頼り、肺又は鼻に吸入して、散剤をエアロゾル化した量に分散する従来の乾燥散剤吸入器(DPI)により患者に投与することができる。あるいは、乾燥散剤は、外部動力源を使用して散剤をエアロゾル化した量に分散するエアアシステッドのデバイス例えばピストンポンプにより投与することができる。
乾燥散剤デバイスでは、通常、単回エアロゾル化投与量(「パフ」)を生ずるために、約1mgから20mgの範囲の散剤質量が必要である。生物活性薬剤の必要な又は所望の量がこの量未満であれば、粉末化された活性薬剤は、通常、必要な全粉末質量を供給するために、医薬用乾燥粉末増量剤と配合されるであろう。好ましい乾燥粉末増量剤は、スクロース、ラクトース、デキストロース、マンニトール、グリシン、トレハロース、ヒト血清アルブミン(HSA)、及びデンプンを含む。他の適当な乾燥粉末増量剤は、セロビオース、デキストラン、マルトトリオース、ペクチン、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等を含む。
本発明における経粘膜送達のための組成物を製剤化するために、生物活性薬剤は、種々の薬学的に許容される添加物並びに活性薬剤を分散するための基剤又は担体と組み合わせることができる。所望の添加物は、アルギニン、水酸化ナトリウム、グリシン、塩酸、クエン酸、酢酸などのpH調節剤を含むが、これらに限定はされない。それに加えて、局所麻酔薬(例えば、ベンジルアルコール)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール)、吸着阻止剤(例えば、ツイーン80)、溶解性増強剤(例えば、シクロデキストリン及びその誘導体)、安定剤(例えば血清アルブミン)、及び還元剤(例えばグルタチオン)が含まれてよい。経粘膜送達用組成物が液体であるとき、0.9%(w/v)生理的食塩溶液の張度を1とした基準で測定した製剤の張度は、通常、投与部位の鼻粘膜に実質的な不可逆的組織損傷が誘起されないであろう値に調節される。一般に、溶液の張度は約1/3から3、より典型的には1/2から2、最も頻繁に3/4から1.7の値に調節される。
生物活性薬剤は、活性薬剤及び任意の所望の添加物を分散する能力を有する親水性化合物を含む基剤又は媒体に分散することができる。基剤は、ポリカルボン酸又はそれらの塩、カルボン酸無水物(例えば無水マレイン酸)と他のモノマ(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸その他)のコポリマ、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの親水性ビニルポリマ、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、並びにキトサン、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒアルロン酸、及びそれらの無毒性金属塩などの天然ポリマを含むが、これらに限定はされない広範囲の適当な担体から選択することができる。しばしば、生分解性ポリマが基剤又は担体として選択され、例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)コポリマ、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸−グリコール酸)コポリマ及びそれらの混合物である。それと別に又はそれに加えて、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステルなどの合成脂肪酸エステルを担体として利用することができる。親水性ポリマ及び他の担体は、単独で又は組み合わせて使用することができ、担体に増強された構造の完全性を、部分的結晶化、イオン結合、架橋等により与えることができる。担体は、鼻粘膜に直接適用するために、流体又は粘性溶液、ゲル、ペースト、粉末、ミクロスフェア及びフィルムを含む種々の形態で提供することができる。この関係で選択された担体の使用は、生物活性薬剤の吸収を促進する結果をもたらすことができる。
生物活性薬剤は、種々の方法に従って基剤又は担体と組み合わせることができ、活性薬剤の放出は、拡散、担体の崩壊、又それに伴う水チャネルの形成によることができる。ある状況においては、活性薬剤は、例えば2−シアノアクリル酸イソブチルなどの適当なポリマから調製されたマイクロカプセル(ミクロスフェア)又はナノカプセル(ナノスフェア)中に分散されて、鼻粘膜に適用される生体適合性の分散媒中に分散され、長時間に及び持続する送達及び生物活性をもたらす。
本発明における医薬の経粘膜送達をさらに増強するために、活性薬剤を含む製剤は、基剤又は賦形剤として親水性低分子量化合物を含むこともできる。そのような親水性低分子量化合物は、生理学的に活性なペプチド又はタンパク質などの水溶性活性薬剤が、基剤を通って活性薬剤が吸収される体表面まで拡散できる通過媒質を提供する。親水性低分子量化合物は、場合により、粘膜又は投与環境から湿気を吸収して水溶性活性ペプチドを溶解する。親水性低分子量化合物の分子量は、一般に10000以下、好ましくは3000以下である。代表的親水性低分子量化合物は、スクロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、L−アラビノース、D−エリトロース、D−リボース、D−キシロース、D−マンノース、トレハロース、D−ガラクトース、ラクツロース、セロビオース、ゲンチビオースなどのオリゴ−、ジ−及びモノサッカライド、グリセリン、及びポリエチレングリコールなどのポリオール化合物を含む。本発明における担体として有用な親水性低分子量化合物の他の例は、N−メチルピロリドン、及びアルコール類(例えば、オリゴビニルアルコール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールその他)を含む。これらの親水性低分子量化合物は、単独で又は相互に若しくは経鼻製剤の他の活性若しくは不活性成分と組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物は、近似的生理学的条件に必要とされる薬学的に許容される担体物質、例えば、pH調節及び緩衝剤、張度調節剤、保水剤など、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエートその他を別に含むことができる。固体組成物に対して、在来の無毒性で薬学的に許容される担体を使用することができ、それには例えば、薬学規格のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等が含まれる。
生物活性薬剤を投与するための治療用組成物は、溶液、マイクロエマルション、又は高濃度の有効成分に適した他の指定した構造としても製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)及びそれらの適当な混合物を含む溶媒又は分散媒であってよい。溶液の適当な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用により、分散性の製剤の場合には所望の粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用により維持することができる。多くの場合に、等張化剤、例えば、マンニトール、ソルビトールなどの糖類、ポリアルコール又は塩化ナトリウムを組成物中に含むことが望ましいであろう。生物活性薬剤の延長された吸収は、組成物中に、吸収を遅らせる薬剤例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを含むことによりもたらすことができる。
本発明のある態様において、生物活性薬剤は、時間放出製剤で、例えば徐放性ポリマを含む組成物で投与される。活性薬剤は、急速な放出を防止するであろう担体、例えばポリマなどの制御放出媒体、マイクロカプセル化送達系、又は生体付着性ゲルと共に製剤化することができる。本発明の種々の組成物における活性薬剤の延長送達は、組成物中に吸収を遅らせる薬剤例えば、モノステアリン酸アルミニウムヒドロゲル及びゼラチンなどを含むことによりもたらすことができる。生物活性薬剤の制御放出製剤が望まれるとき、本発明による使用に適した制御放出結合剤は、活性薬剤に対して不活性であり且つ生物活性薬剤を組み込むことができる任意の生体適合性制御放出材料を含む。多数のそのような材料が当技術分野で知られている。有用な制御放出結合剤は、それらの経鼻送達後に生理的条件で(例えば、鼻粘膜表面で、又は経粘膜送達後に体液の存在で)徐々に代謝される材料である。適当な結合剤は、徐放性製剤に当技術分野で以前に使用された生体適合性ポリマ及びコポリマを含むが、これらに限定はされない。そのような生体適合性化合物は無毒性で、周囲の組織には活性であり、鼻内刺激、免疫応答、炎症などの顕著な副作用を誘発しない。それらは代謝生成物に代謝され、代謝生成物もまた生体適合性であって、容易に体から排除される。
この関係で使用する代表的ポリマ材料は、加水分解可能なエステル結合を有するコポリマ及びホモポリマであるポリエステルから誘導されたポリママトリックスを含むが、これらに限定はされない。これらの多数は、当技術分野で知られているように、生分解性であり、無毒性又は低毒性の分解生成物を生ずる。代表的ポリマは、ポリグリコール酸(PGA)及びポリ乳酸(PLA)、ポリ(DL−乳酸−グリコール酸)(DL PLGA)、ポリ(D−乳酸−グリコール酸)(D PLGA)、及びポリ(L−乳酸−グリコール酸)(L PLGA)を含む。他の有用な生分解性又は生侵食性ポリマは、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(ε−カプロラクトン−乳酸)、ポリ(ε−カプロラクトン−グリコール酸)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(2−シアノアクリル酸アルキル)などのポリマ、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)などのヒドロゲル、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)(即ちL−ロイシン、グルタミン酸、L−アスパラギン酸等)、ポリ(エステルウレア)、ポリ(2−ヒドロキシエチル DL アスパルタミド)、ポリアセタールポリマ、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリマレアミド、ポリサッカライド及びそれらのコポリマを含むが、これらに限定はされない。そのような製剤を調製する多くの方法が当業者に一般的に知られている。他の有用な製剤は、制御放出組成物例えば、マイクロカプセル(米国特許第4,652,441号及び第4,917,893号)、マイクロカプセル及び他の製剤を作製するのに有用な乳酸−グリコール酸コポリマ(米国特許第4,677,191号及び第4,728,721号)、並びに水溶性ペプチドのための徐放性組成物(米国特許第4,675,189号)を含む。
鼻及び肺送達には、噴霧としての治療薬液制御エアロゾル投薬系がよく知られている。一態様においては、活性薬剤の計量された投与量を特別に構成された機械的ポンプバルブにより送達する(米国特許第4,511,069号)。
投薬
予防及び治療目的のために、本明細書で開示した生物活性薬剤は、単回大量瞬時投与送達で、長期間にわたる連続的送達により(例えば、連続経皮、経粘膜、又は静脈内送達)、又は反復投与プロトコルで(例えば、毎時、毎日、又は毎週繰り返す投与プロトコル)被験者に投与することができる。この関係で、グルコース調節ペプチドの治療的有効量は、上で説明した対象疾患又は状態に関連する1つ又は複数の症状又は検知可能な状態を軽減する臨床的に有意な結果を生ずるであろう長期予防又は治療投与計画における反復投与量を含むことができる。この関係における有効投与量の決定は、通常、動物モデル研究に続くヒト臨床試験に基づいており、被験者における対象疾患の症状又は状態の発症又は重症度を有意に減少させる有効投与量及び投与プロトコルを決定することにより導かれる。これに関する適当なモデルは、例えば、マウス、ラット、ブタ、ネコ、ヒト以外の霊長類、及び当技術分野で知られている他の許容される動物モデルである。あるいは、有効投与量は、in vitroモデル(例えば、免疫学的及び組織病理学的アッセイ)を使用して決定することができる。そのようなモデルを使用して、通常、普通の計算及び調節だけが、生物活性薬剤の治療的有効投与量(所望の応答を引き出すために、例えば、経鼻で有効な、経皮で有効な、静脈内で有効な、又は筋肉内で有効な量)を投与するための概略の濃度及び投与量を決定するために要求される。
予防及び治療目的のために、本明細書で開示した生物活性薬剤は、単回大量瞬時投与送達で、長期間にわたる連続的送達により(例えば、連続経皮、経粘膜、又は静脈内送達)、又は反復投与プロトコルで(例えば、毎時、毎日、又は毎週繰り返す投与プロトコル)被験者に投与することができる。この関係で、グルコース調節ペプチドの治療的有効量は、上で説明した対象疾患又は状態に関連する1つ又は複数の症状又は検知可能な状態を軽減する臨床的に有意な結果を生ずるであろう長期予防又は治療投与計画における反復投与量を含むことができる。この関係における有効投与量の決定は、通常、動物モデル研究に続くヒト臨床試験に基づいており、被験者における対象疾患の症状又は状態の発症又は重症度を有意に減少させる有効投与量及び投与プロトコルを決定することにより導かれる。これに関する適当なモデルは、例えば、マウス、ラット、ブタ、ネコ、ヒト以外の霊長類、及び当技術分野で知られている他の許容される動物モデルである。あるいは、有効投与量は、in vitroモデル(例えば、免疫学的及び組織病理学的アッセイ)を使用して決定することができる。そのようなモデルを使用して、通常、普通の計算及び調節だけが、生物活性薬剤の治療的有効投与量(所望の応答を引き出すために、例えば、経鼻で有効な、経皮で有効な、静脈内で有効な、又は筋肉内で有効な量)を投与するための概略の濃度及び投与量を決定するために要求される。
別の態様において、本発明はグルコース調節ペプチドの経鼻送達のための組成物及び方法を提供し、その送達において、長期の投与期間中グルコース調節ペプチドの治療的に有効な高低パルス状レベルを維持するために、被験者への日間又は週間スケジュールの間、グルコース調節ペプチドの多回投与を含む、経鼻有効投与量の投与計画により、1つ又は複数のグルコース調節ペプチド化合物が反復投与される。この組成物及び方法は、8時間から24時間の延長された投与期間中グルコース調節ペプチドの治療的に有効な高低パルス状レベルを維持するために、1日に1から6回の間、経鼻製剤で被験者により自己投与されるグルコース調節ペプチド化合物を提供する。
キット
本発明は、哺乳類被験者の疾患及び他の状態の予防及び治療のための、上記の医薬組成物、有効成分、及び/又はそれらを投与する手段を含むキット、パッケージ及びマルチコンテナユニットも含む。簡単にいえば、これらのキットは、1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに/又は他の生物活性薬剤を、本明細書で開示した経粘膜送達増強剤と組み合わせて、経粘膜送達のための薬物製剤に製剤化して含むコンテナ又は製剤を含む。
本発明は、哺乳類被験者の疾患及び他の状態の予防及び治療のための、上記の医薬組成物、有効成分、及び/又はそれらを投与する手段を含むキット、パッケージ及びマルチコンテナユニットも含む。簡単にいえば、これらのキットは、1つ又は複数のグルコース調節ペプチドタンパク質、類似体及び模倣体並びに/又は他の生物活性薬剤を、本明細書で開示した経粘膜送達増強剤と組み合わせて、経粘膜送達のための薬物製剤に製剤化して含むコンテナ又は製剤を含む。
本発明の経鼻製剤は、任意の噴霧ボトル又は注射器を使用して、又は点滴注入により投与することができる。鼻噴霧ボトルの例は、「ナザール噴霧ポンプw/安全クリップ」、Pfeiffer SAP #60548であり、それは1噴射当り0.1mLの投与量を送達し、36.05mmの浸漬管長を有する。それは、Pfeiffer of America of Princeton NJから購入することができる。
グルコース調節ペプチドのエアロゾル経鼻投与
本発明者らは、鼻噴霧又はエアロゾルを使用してGRPを鼻内に投与することができることを見出した。多くのタンパク質及びペプチドが、噴霧又はエアロゾル生成においてアクチュエータにより生ずる機械的力により剪断され又は変性されることが示されているので、これは驚くべきことである。この領域で次の定義は有用である。
本発明者らは、鼻噴霧又はエアロゾルを使用してGRPを鼻内に投与することができることを見出した。多くのタンパク質及びペプチドが、噴霧又はエアロゾル生成においてアクチュエータにより生ずる機械的力により剪断され又は変性されることが示されているので、これは驚くべきことである。この領域で次の定義は有用である。
1.エアロゾル―加圧下に容器に入れられて、適当なバルブ系の作動で放出される治療的に有効な成分を含む製品。
2.計量されたエアロゾル―各作動で一定量の噴霧の送達を可能にする計量投与バルブから構成される加圧された投与形態。
3.散剤エアロゾル―加圧下に容器に入れられて、適当なバルブ系の作動で放出される治療的に有効な成分を粉末の形態で含む製品。
4.噴霧エアロゾル―製品を湿潤噴霧として噴出させるのに必要な力を提供する噴射剤として、圧縮ガスを利用するエアロゾル製品;それは水性溶媒中の薬剤溶液に一般的に適用可能である。
5.噴霧―空気又は水蒸気の噴射により微細に分割された液体。鼻噴霧薬製品は、加圧されていない計量分配器中の賦形剤の溶液又は混合物中に溶解又は懸濁された治療的有効成分を含む。
6.計量された噴霧―各作動で特化された量の分配を可能にするバルブから構成される加圧されていない投与形態。
7.懸濁噴霧―液体媒体中に分散された固体粒子を含む液体製剤であって、粗い液滴の又は微細に分割された固体としての形態になる。
2.計量されたエアロゾル―各作動で一定量の噴霧の送達を可能にする計量投与バルブから構成される加圧された投与形態。
3.散剤エアロゾル―加圧下に容器に入れられて、適当なバルブ系の作動で放出される治療的に有効な成分を粉末の形態で含む製品。
4.噴霧エアロゾル―製品を湿潤噴霧として噴出させるのに必要な力を提供する噴射剤として、圧縮ガスを利用するエアロゾル製品;それは水性溶媒中の薬剤溶液に一般的に適用可能である。
5.噴霧―空気又は水蒸気の噴射により微細に分割された液体。鼻噴霧薬製品は、加圧されていない計量分配器中の賦形剤の溶液又は混合物中に溶解又は懸濁された治療的有効成分を含む。
6.計量された噴霧―各作動で特化された量の分配を可能にするバルブから構成される加圧されていない投与形態。
7.懸濁噴霧―液体媒体中に分散された固体粒子を含む液体製剤であって、粗い液滴の又は微細に分割された固体としての形態になる。
薬剤送達デバイス(「DDD」)としての計量された鼻噴霧ポンプにより発射されたエアロゾル噴霧の流体力学のキャラクタリゼーション。噴霧のキャラクタリゼーションは、新規及び既存の鼻噴霧ポンプの研究及び開発、品質保証、及び安定性試験手順の米国食品医薬品局(「FDA」)承認に必要な提出書類の不可欠の部分である。
噴霧のキャラクタリゼーションを通じて、幾何学的位置関係が鼻噴霧ポンプの全体的性能の最良な指標であることが見出された。特に噴霧のそれがデバイスを出るときの発散角度(噴流幾何学)の測定;噴霧の断面の楕円率、一様性及び粒子/液滴分布(噴霧パターン);及び発生する噴霧の時間的展開が、鼻噴霧のキャラクタリゼーションにおいて最も代表的な性能量であることが見出された。品質保証及び安定性試験を通じて、噴流幾何学及び噴霧パターン測定が、鼻噴霧ポンプの承認データ基準との一致及び適合を証明するための重要確認事項である。
定義
噴流高さ―アクチュエータの先端から噴流角度が、線形流の破綻のため非線形になる点までの測定値。デジタル画像の視覚的検査に基づき、噴霧パターンの最遠測定点に合わせた幅に対して測定点を定め、30mmの高さと、この研究のためには定義する。
長軸―適合させた噴霧パターン中でCOMwを通過して引かれ得る最大弦で、基本単位で表示(mm)。
短軸―適合させた噴霧パターン中でCOMwを通過して引かれ得る最小弦で、基本単位で表示(mm)。
楕円率―長軸の短軸に対する比。好ましくは1.0と1.5の間、最も好ましくは1.0と1.3の間。
D10―試料の液体容積合計の10%がそれより小さい直径の液滴からなる、液滴の直径(μm)。
D50―試料の液体容積合計の50%がそれより小さい直径の液滴からなる、液滴の直径(μm)であって、質量平均直径としても知られている。
D90―試料の液体容積合計の90%がそれより小さい直径の液滴からなる、液滴の直径(μm)。
スパン―分布の幅の測定値であって、値が小さいほど分布が狭い。スパンは(D90−D10)/D50として計算される。
RSD(%)―百分率で表した標準偏差:数列の平均により標準偏差を除し、100を乗じた値、CV(%)としても知られている。
容積―各作動により送達デバイスから放出された液体又は粉末の容積。好ましくは0.01mLと約2.5mLの間、最も好ましくは0.02mLと0.25mLの間。
噴流高さ―アクチュエータの先端から噴流角度が、線形流の破綻のため非線形になる点までの測定値。デジタル画像の視覚的検査に基づき、噴霧パターンの最遠測定点に合わせた幅に対して測定点を定め、30mmの高さと、この研究のためには定義する。
長軸―適合させた噴霧パターン中でCOMwを通過して引かれ得る最大弦で、基本単位で表示(mm)。
短軸―適合させた噴霧パターン中でCOMwを通過して引かれ得る最小弦で、基本単位で表示(mm)。
楕円率―長軸の短軸に対する比。好ましくは1.0と1.5の間、最も好ましくは1.0と1.3の間。
D10―試料の液体容積合計の10%がそれより小さい直径の液滴からなる、液滴の直径(μm)。
D50―試料の液体容積合計の50%がそれより小さい直径の液滴からなる、液滴の直径(μm)であって、質量平均直径としても知られている。
D90―試料の液体容積合計の90%がそれより小さい直径の液滴からなる、液滴の直径(μm)。
スパン―分布の幅の測定値であって、値が小さいほど分布が狭い。スパンは(D90−D10)/D50として計算される。
RSD(%)―百分率で表した標準偏差:数列の平均により標準偏差を除し、100を乗じた値、CV(%)としても知られている。
容積―各作動により送達デバイスから放出された液体又は粉末の容積。好ましくは0.01mLと約2.5mLの間、最も好ましくは0.02mLと0.25mLの間。
本明細書で挙げた全ての出版物、引用文献、特許、公開特許及び特許出願は、各々それらの全体を参照により特異的に本明細書に組み込む。
本発明を、ある態様に関連して記述し、多くの詳細を例示の目的で説明したが、本発明がさらなる態様を含み、本明細書で開示された詳細のあるものが本発明から逸脱せずにかなり変更され得ることは、当業者には明らかであろう。本発明は、そのようなさらなる態様、改変、及び同等物を含む。特に、本発明は種々の例示成分及び実施例の特徴、用語又は要素の任意の組合せを含む。
本発明の説明及び特許請求の範囲における用語「a」、「an」、「the」及び同様な用語の使用は、単数及び複数の両方を含むと解釈するものとする。用語「含む」、「有する」、「含む」及び「含有する」は、例えば「含むが、これらに限定はされない」を意味する拡張可能な用語と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記述は、範囲内の値の幾つかが明確に挙げられていてもいなくても、それが本明細書中で個別に挙げられているかのように、その範囲内に入る個々別々の値を個別に指す。本明細書中で使用される特定の値は、代表的なものとして理解され、本発明の範囲を限定しないものとする。
本明細書で示される実施例及び本明細書で使用される代表的言語は、単に例示目的のためであり、本発明の範囲を限定することは意図されない。
実施例
実施例1 インスリンアスパルト製剤
表1は、in vivoでEpiAirwayモデル系を使用して、経上皮抵抗アッセイ(TER),細胞生存率アッセイ(MTT)、乳酸脱水素酵素細胞死アッセイ(LDH)、及び組織透過アッセイについて試験した12のインスリンアスパルト製剤を記載している。結果は、どの製剤が、有意の細胞毒性を生じないで、最高度の組織透過及びTER減少を達成したかを決定するために使用した。
実施例1 インスリンアスパルト製剤
表1は、in vivoでEpiAirwayモデル系を使用して、経上皮抵抗アッセイ(TER),細胞生存率アッセイ(MTT)、乳酸脱水素酵素細胞死アッセイ(LDH)、及び組織透過アッセイについて試験した12のインスリンアスパルト製剤を記載している。結果は、どの製剤が、有意の細胞毒性を生じないで、最高度の組織透過及びTER減少を達成したかを決定するために使用した。
インスリンアスパルトは、B28位でプロリンをアスパラギン酸で単一置換した以外は標準的なヒトインスリンと相同のインスリン類似体である。NovoLog(NovoLog(商標);Novo Nordisk Pharmaceuticals)は、滅菌された無色透明水溶液であり、インスリンアスパルト(B28 aspレギュラー標準ヒトインスリン類似体)100単位ユニット/mL,グリセリン16mg/mL、フェノール1.50mg/mL、メタクレゾール1.72mg/mL、亜鉛19.6μg/mL、リン酸水素二ナトリウム二水和物1.25mg/mL、及び塩化ナトリウム0.58mg/mLを含む。NovoLogは7.2〜7.6のpHを有する。新規インスリンアスパルト製剤を生成させた。各製剤について合計容積0.5mLを作製した。この製剤は、種々の濃度のインスリンアスパルト、NovLog希釈剤、及び賦形剤のメチル−β−シクロデキストリン(M−β−CD)、L−α−ホスファチジルコリンジデカノイル(DDPC)、及びエデト酸二ナトリウム(EDTA)を単独で又は組み合わせて含んだ。賦形剤無添加の対照コントロールも研究本試験に含めた。少量の2N HCl又はNaOHを、必要な時は、所望のpHに達するまで製剤に加えた。製剤を調製するために使用した試薬を、表2に示した。
実施例2 経鼻粘膜送達−透過動態及び細胞毒性
次の方法は、本発明の製剤及び方法におけるインスリンの経鼻粘膜送達パラメータ、動態及び副作用を評価するために、並びにインスリンアスパルトとの組合せ製剤化又は共投与のためのに、本明細書で開示した、種々の経粘膜送達増強剤の有効性及び特性をの測定するために一般的に有用である。1つの代表的プロトコルにおいて、透過動態及び許容できない細胞毒性のないことが、インスリンアスパルトにより代表される生物活性治療薬と組み合わされた、上で開示された経鼻送達増強剤に対してについては透過動態及び許容できない細胞毒性のないことが示される。
次の方法は、本発明の製剤及び方法におけるインスリンの経鼻粘膜送達パラメータ、動態及び副作用を評価するために、並びにインスリンアスパルトとの組合せ製剤化又は共投与のためのに、本明細書で開示した、種々の経粘膜送達増強剤の有効性及び特性をの測定するために一般的に有用である。1つの代表的プロトコルにおいて、透過動態及び許容できない細胞毒性のないことが、インスリンアスパルトにより代表される生物活性治療薬と組み合わされた、上で開示された経鼻送達増強剤に対してについては透過動態及び許容できない細胞毒性のないことが示される。
細胞培養
EpiAirwayシステムは、気道を覆う多列上皮のモデルとして、MatTek Corp(マサチューセッツ州Ashland)により開発された。上皮は、底部が多孔質膜メンブラン性の細胞培養インサート上、空気と液体との界面で増殖させられると、その結果高度に分極した形態への細胞分化を生じる。頂端膜メンブラン側は微絨毛超微細構造で繊毛があり、上皮は粘液を産生する(ムチンの存在がイムノブロッティングにより確認されている)。インサートは0.875cmの直径を有し、0.6cm2の表面積を提供する。細胞は出荷の約3週間前に製作所でインサート上に播種される。
EpiAirwayシステムは、気道を覆う多列上皮のモデルとして、MatTek Corp(マサチューセッツ州Ashland)により開発された。上皮は、底部が多孔質膜メンブラン性の細胞培養インサート上、空気と液体との界面で増殖させられると、その結果高度に分極した形態への細胞分化を生じる。頂端膜メンブラン側は微絨毛超微細構造で繊毛があり、上皮は粘液を産生する(ムチンの存在がイムノブロッティングにより確認されている)。インサートは0.875cmの直径を有し、0.6cm2の表面積を提供する。細胞は出荷の約3週間前に製作所でインサート上に播種される。
EpiAirway(商標)細胞膜メンブランは実験開始の前日に受け取られた。それら細胞はフェノールレッド無添加不含且つヒドロコルチゾン無添加不含のダルベッコー修飾イーグル培地(DMEM)中で出荷された。各組織インサートは0.9mLの無血清DMEMを含む6ウェルプレートのウェル中に入れた。次にその膜メンブランを5%CO2中37℃で24時間培養し、組織を平衡に達しさせた。インサートには各回収の日に栄養を供給した。DMEMを主成分とする培地は無血清であるが、上皮増殖因子及び他の因子で補完した。培地は、経鼻送達を考慮されている如何なるサイトカイン又は増殖因子の内在性レベルについても試験し、インスリンを例外として現在までに研究されている全てのサイトカイン及び因子を全く含んでいなかった。容積はそれらのスタンド上のユニットの底部への接触を提供するに十分であったが、上皮の頂端膜メンブラン側は空気と直接接触したままにしておいた。液体を含むウェルにユニットを移すことを含むこのステップ及び全てのこの後のステップで滅菌ピンセットを使用し、ユニットの底部と培地との間に空気が閉じ込められないことを確実にした。
各NovoLog含有製剤のTER、細胞生存率(MTT)、細胞毒性(LDH)、及び透過への影響を評価するために、EpiAirway(商標)モデルシステムを使用した。これらのアッセイの詳細は下に記載してある。全ての実験において、試験すべき経鼻粘膜送達製剤を、各ユニットの頂端膜メンブラン側に、頂端膜メンブラン側全体を覆うのに十分な100μLで適用した。頂端膜メンブラン側に適用された濃度でにある適当な容積の試験製剤(通常100μL以下が必要)を、後でELISA又は他の指定されたアッセイにより活性物質の濃度を測定するために取っておいた。
経上皮電気抵抗(TER)
TER測定値は、Epithelial Voltohmeter(上皮電圧抵抗計)に電極リード線で接続したTissue Resistance Measurement Chamber(組織抵抗測定室)を使用して読み取った。両者共World Precision Instruments製である。第一に、各インサートについて実験開始日におけるバックグラウンドTERを読んだ。TER読み取り後、1mLの新鮮培地を6ウェルプレートの各ウェルの底部に入れた。インサートは紙タオルで水気を切り、新鮮な培地入りの新しいウェルに置き、その際インサートには、バックグラウンドTER測定値と関係づけた番号を付けておいた。100μLの実験用製剤を各インサートに加えた。インサートは振盪インキュベーター中に100rpm及び37℃で1時間入れておいた。
TER測定値は、Epithelial Voltohmeter(上皮電圧抵抗計)に電極リード線で接続したTissue Resistance Measurement Chamber(組織抵抗測定室)を使用して読み取った。両者共World Precision Instruments製である。第一に、各インサートについて実験開始日におけるバックグラウンドTERを読んだ。TER読み取り後、1mLの新鮮培地を6ウェルプレートの各ウェルの底部に入れた。インサートは紙タオルで水気を切り、新鮮な培地入りの新しいウェルに置き、その際インサートには、バックグラウンドTER測定値と関係づけた番号を付けておいた。100μLの実験用製剤を各インサートに加えた。インサートは振盪インキュベーター中に100rpm及び37℃で1時間入れておいた。
照合較正に先立って電源を切り、電極及び組織培養のブランクインサートを、少なくとも20分間新鮮培地中で平衡化させた。バックグラウンド抵抗を、Endohm組織チェンバ中の1.5mLの培地及びブランクであるMillicell−CM中の300μLの培地で測定した。上部電極は、それが培地中に浸漬するが、インサート膜メンブランの上側表面とは接触しないように調節した。ブランクインサートのバックグラウンド抵抗は5〜20オームであった。各TER測定のために、300μLの培地をインサートに加え、続いて20分間室温でインキュベーション後、Endohmチェンバ中に入れてTERを読んだ。抵抗は、(測定された抵抗−ブランク)×0.6cm2として表した。全てのTER値が組織の表面積の関数として報告された。
TERは
TER=(RI−Rb)×A
として計算された。式中、RIはメンブランを有するインサートの膜との抵抗、Rbはブランクインサートの抵抗、及びAは膜メンブランの面積(0.6cm2)である。対照コントロール値(対照コントロール=約1000オーム・cm2;100に正規化)に対するTER値の減少は、細胞膜メンブラン抵抗の減少及び粘膜上皮細胞透過性の増大を示す。1時間のインキュベーション終了後、組織インサートをインキュベーターから取り出した。200μLの新鮮培地を24ウェルプレートの各ウェルに入れ、組織インサートをその24ウェルプレートに移した。200μLの新鮮培地を各組織インサートに穏やかに加えた。TERを再び各インサートについて測定した。
TER=(RI−Rb)×A
として計算された。式中、RIはメンブランを有するインサートの膜との抵抗、Rbはブランクインサートの抵抗、及びAは膜メンブランの面積(0.6cm2)である。対照コントロール値(対照コントロール=約1000オーム・cm2;100に正規化)に対するTER値の減少は、細胞膜メンブラン抵抗の減少及び粘膜上皮細胞透過性の増大を示す。1時間のインキュベーション終了後、組織インサートをインキュベーターから取り出した。200μLの新鮮培地を24ウェルプレートの各ウェルに入れ、組織インサートをその24ウェルプレートに移した。200μLの新鮮培地を各組織インサートに穏やかに加えた。TERを再び各インサートについて測定した。
組織培養インサートを6ウェルプレートから24ウェルプレートに移した後、基本培地を3部分に細分してエッペンドルフチューブ中に貯蔵保存した。3つの細分は全部、使用するまで−80℃に置いた。
乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイ
細胞死の量は、Promega Corp.製のCytoTox96細胞毒性アッセイキットを使用して、細胞からのLDH放出を測定することによりアッセイした。この試験では、各組織培養インサートについて三つ組重複する三つの系の試料を試験した。50μLの収集した培地(4℃で貯蔵保存)を96ウェルプレート中の三つ組重複する三つの系に負荷した。細胞を含まない新鮮な培地をブランクとして使用した。50μLの基質溶液(キットにより作製してSubstrate Mixの新鮮ボトルに加えた12mLのAssay Buffer)を、各ウェルに加え、プレートを暗所において室温で30分間インキュベートした。インキュベーションに続いて、50μLの停止溶液を各ウェルに加え、μQuant光学密度プレートリーダー上でKCJrソフトウェアを使用して、490nmでプレートを読んだ。
細胞死の量は、Promega Corp.製のCytoTox96細胞毒性アッセイキットを使用して、細胞からのLDH放出を測定することによりアッセイした。この試験では、各組織培養インサートについて三つ組重複する三つの系の試料を試験した。50μLの収集した培地(4℃で貯蔵保存)を96ウェルプレート中の三つ組重複する三つの系に負荷した。細胞を含まない新鮮な培地をブランクとして使用した。50μLの基質溶液(キットにより作製してSubstrate Mixの新鮮ボトルに加えた12mLのAssay Buffer)を、各ウェルに加え、プレートを暗所において室温で30分間インキュベートした。インキュベーションに続いて、50μLの停止溶液を各ウェルに加え、μQuant光学密度プレートリーダー上でKCJrソフトウェアを使用して、490nmでプレートを読んだ。
MTTアッセイ
各組織培養インサートの細胞生存率は、ミトコンドリアレダクターゼ活性を試験するMTTアッセイ(MTT−100、MatTek kit)により試験した。このキットは、ホルマザン色素の取込み及びテトラゾリウムへの変換を測定する。MTT濃縮物を解凍し、2mLのMTT:8mLの培地の比で培地により希釈した。希釈したMTT濃縮物を24ウェルプレートにピペットで移した(300μL)。組織インサートを穏やかに乾燥し、プレートウェルに入れて、暗所において37℃で3時間インキュベートした。インキュベーション後、各インサートをプレートから取り出し、軽く液体を吸い取り、24ウェルの抽出プレートに入れた。次に細胞培養インサートをウェル当り2.0mLの抽出溶媒に浸漬した(試料を完全に覆うように)。抽出物の蒸発を減少させるために、抽出物プレートを覆い、密閉した。暗所において1夜室温でインキュベーション後、各インサート中の液体を、それを取り出した元のウェルにデカントで戻して、インサートは廃棄した。各ウェルからの抽出溶媒(50μL)は、抽出物ブランクも添えて、96ウェルのマイクロタイタープレートに三つ組重複する三つの系でピペットにより移し、150μLの新鮮抽出溶媒での添加により希釈した。試料の光学密度をμQuant光学密度プレートリーダー上でKCJrソフトウェアを使用して、550nmでプレートを読んだ。
各組織培養インサートの細胞生存率は、ミトコンドリアレダクターゼ活性を試験するMTTアッセイ(MTT−100、MatTek kit)により試験した。このキットは、ホルマザン色素の取込み及びテトラゾリウムへの変換を測定する。MTT濃縮物を解凍し、2mLのMTT:8mLの培地の比で培地により希釈した。希釈したMTT濃縮物を24ウェルプレートにピペットで移した(300μL)。組織インサートを穏やかに乾燥し、プレートウェルに入れて、暗所において37℃で3時間インキュベートした。インキュベーション後、各インサートをプレートから取り出し、軽く液体を吸い取り、24ウェルの抽出プレートに入れた。次に細胞培養インサートをウェル当り2.0mLの抽出溶媒に浸漬した(試料を完全に覆うように)。抽出物の蒸発を減少させるために、抽出物プレートを覆い、密閉した。暗所において1夜室温でインキュベーション後、各インサート中の液体を、それを取り出した元のウェルにデカントで戻して、インサートは廃棄した。各ウェルからの抽出溶媒(50μL)は、抽出物ブランクも添えて、96ウェルのマイクロタイタープレートに三つ組重複する三つの系でピペットにより移し、150μLの新鮮抽出溶媒での添加により希釈した。試料の光学密度をμQuant光学密度プレートリーダー上でKCJrソフトウェアを使用して、550nmでプレートを読んだ。
TER結果
37℃で1時間のインキュベーション前後の、実験製剤に対するのTER測定値(オーム×cm2)を、対照コントロールと比較した。結果は、増強剤を含む製剤は、#7及び#8を例外として、1時間のインキュベーション後に有意のTER減少を有することを示している。
37℃で1時間のインキュベーション前後の、実験製剤に対するのTER測定値(オーム×cm2)を、対照コントロールと比較した。結果は、増強剤を含む製剤は、#7及び#8を例外として、1時間のインキュベーション後に有意のTER減少を有することを示している。
MTT結果
殆んど全ての製剤が、対照コントロールに比較して優秀から良好の細胞生存率を示した。大部分の製剤のMTT(%)は80%を超えた(#1、#6、及び#12を除く)。
殆んど全ての製剤が、対照コントロールに比較して優秀から良好の細胞生存率を示した。大部分の製剤のMTT(%)は80%を超えた(#1、#6、及び#12を除く)。
LDH結果
試験した大部分の製剤は、非常に低い細胞毒性を意味する、非常に小さいLDHを示した。
試験した大部分の製剤は、非常に低い細胞毒性を意味する、非常に小さいLDHを示した。
まとめ
TER、MTT、及びLDHアッセイの結果は、#2、#6、#9、#10、及び#11のは全てが、毒性増加なしにTERの有意な減少を示すことを表す。
TER、MTT、及びLDHアッセイの結果は、#2、#6、#9、#10、及び#11のは全てが、毒性増加なしにTERの有意な減少を示すことを表す。
実施例3
インスリンアスパルト透過性
インサートの頂端部から基底外側部へ通過して透過するインスリン又はインスリン類似体の量を定量するために、ELISAを使用した。インスリンはMaTtek培地に存在するので、粗生データは、培地試料中に存在する平均濃度を他の全ての試料から差し引くことにより補正した。
インスリンアスパルト透過性
インサートの頂端部から基底外側部へ通過して透過するインスリン又はインスリン類似体の量を定量するために、ELISAを使用した。インスリンはMaTtek培地に存在するので、粗生データは、培地試料中に存在する平均濃度を他の全ての試料から差し引くことにより補正した。
イソ−インスリンELISAキットは、Alpco Diagnostics、(ニューハンプシャー州Windham、カタログ番号08−10−1128−01)から購入した。キットにより提供されたアッセイ緩衝液で試料を希釈した。希釈液を静かに上下反転させることにより混合し、テフロンコートされた蔽いを有する透明なシラン処理HPLCバイアル中に入れ、静かに上下反転させることにより混合した。試料の光学密度は、μQuant光学密度プレートリーダー上でKCJrソフトウェアを使用して、450nmで(プロトコルで指示されているように)測定した。
負荷容積はインサート当り100μLであり、透過サンプリング時間は60分であった。各製剤並びに対照コントロールを、n=3インサートを使用して試験した。この試験の対照コントロールはMatTek基本培地及び9%トリトンX−100を含むものであった。各組織インサートを、0.95mLのMatTek基本培地を入れた個々のウェルに入れた。試験計画に従って、インサートの頂端膜メンブラン側に100μLの試験製剤を適用し、試料を37℃で1時間振盪機に置いた(約100rpm)。インキュベーション期間の終わりに約20,000キロ国際単位のアプロチン50μLを下側の各培養液試料に加えて、ELISA分析のために2〜8℃で貯蔵保存した。
表3は、ELISAによりアッセイした、基底部の試料からの透過性の結果を示す。平均値は、実験試料から培地だけの試料に存在するインスリン量の平均を差し引くことにより補正した。
これらの透過結果は、透過増強剤を用いて経鼻製剤によりインスリンアスパルトを送達するために使用できることを示す。全ての増強剤含有製剤は、少なくとも9%(約9〜21%)透過する結果であり、それに比較して増強剤を含有しない製剤は、最大で約1〜2%の結果であった。透過性増強が最高の試料には、#1、#2、#9、#10、#11、及び#12が含まれた。TER、MTT、及びLDH結果と一緒にして、試料#2(5U/mL インスリンアスパルト、45mg/mL Me−β−CD、1mg/mL DDPC、1mg/mL EDTA、5%NovoLog希釈剤、pH4);#9(20U/mLインスリンアスパルト、45mg/mLMe−β−CD、1mg/mL DDPC、1mg/mL EDTA、20%NovoLog希釈剤、pH4);#10(20U/mLインスリンアスパルト、45mg/mLMe−β−CD、1mg/mL DDPC、1mg/mL EDTA、20%NovoLog希釈剤、pH3);及び#11(5U/mLインスリンアスパルト、0mg/mLMe−β−CD、0mg/mL DDPC、10mg/mL EDTA、5%NovoLog希釈剤、pH4)が、最小の細胞毒性で最大の透過性増強を有した。
実施例4
インスリン透過性に対するNPG及びPN159の効果
in vitro実験により、インスリンの透過性に対する、小分子及びペプチド系透過増強剤の両方の効果を評価した。7通りの異なる処理をEpiAirway 96ウェルプレートに37℃で1時間適用すると共に、0.1Uインスリンを頂端膜メンブラン側に適用した。標準曲線及び高低対照コントロールは予想通りであり、基底面側培地へのインスリン添加は殆んど100%の回収を示した。処理の内容は:PBS+インスリン0.1U;25μM PN159+インスリン0.1U;50μM PN159+インスリン0.1U;PDF+インスリン0.1U;PBS+インスリン0.1U+NPG 150mM;25μM PN159+インスリン0.1U+NPG 150mM;及びPDF+インスリン0.1U+NPG 150mM)である。
インスリン透過性に対するNPG及びPN159の効果
in vitro実験により、インスリンの透過性に対する、小分子及びペプチド系透過増強剤の両方の効果を評価した。7通りの異なる処理をEpiAirway 96ウェルプレートに37℃で1時間適用すると共に、0.1Uインスリンを頂端膜メンブラン側に適用した。標準曲線及び高低対照コントロールは予想通りであり、基底面側培地へのインスリン添加は殆んど100%の回収を示した。処理の内容は:PBS+インスリン0.1U;25μM PN159+インスリン0.1U;50μM PN159+インスリン0.1U;PDF+インスリン0.1U;PBS+インスリン0.1U+NPG 150mM;25μM PN159+インスリン0.1U+NPG 150mM;及びPDF+インスリン0.1U+NPG 150mM)である。
この試験で使用されたインスリンはSigma組換え(酵母由来)天然配列ヒトインスリンである。この組換えヒトインスリンはプロインスリンに由来して、化学的に、物理的に及び生物学的に、膵臓のヒトインスリンと同一である。PBSはリン酸緩衝食塩水である。PDFは45mg/mLメチル−β−シクロデキストリン、1mg/mLエチレンジアミン四酢酸塩、1mg/mLジデカノイルホスファチジルコリン、及び10mM酢酸塩、pH5.5からなる混合物である。モンモメリック(monmomeric)モノマ安定剤(NPG)はN−ピバロイルグルコサミンである。PN159は同時係属出願の米国特許出願第11/233,239号に記載したペプチドである。結果は次の表4に示す。
PN159はインスリン透過率を増加させた。25μM PN159は透過率0.8%の結果であり、一方50μM PN159は透過率を2.5%に増加させた。NPGと組み合わせて、25μM PN159の結果は1.8%の透過率であった。表の結果は、PDF単独で、PBS単独よりも約12倍大きい3%の透過率を提供したことを示した。PDFがNPGと組み合わされると、透過率は7.6%に増加して、PBSに対して30倍の増加であった。
TER、LDH、MTTを試験するためにさらに検討を実施し、PN159を含有する製剤を含めて、製剤の透過率を表5に示した。全ての製剤は、EpiAirwayモデルで、n=3のインサートを使用して試験した。レギュラー標準インスリンは約28U/mg(即ち、200U/mL=約7.14mg/mL)であった。
実験製剤に対する37℃で1時間のインキュベーション前後のTER測定結果(オーム×cm2)を対照コントロールと比較した。結果は、増強剤含有製剤が、1時間のインキュベーション後に有意なTER減少を有することを示す。示した製剤#5、#6、及び#8は細胞生存率を有し、全ての製剤は、#7を除き、PBS対照コントロールと同様に同程度極小の細胞毒性を有した。透過結果は表6に示す。
製剤#1、(4.47%)及び#7(4.66%)が最高の透過率(%)を有していた。これらのデータは、in vitroにおいて、PN159の添加はPDF(Me−β−CD、DDPC、及びEDTA)を超えてインスリンの透過を有意に増強することはないことを示す。
実施例5
インスリン透過率に対する代替緩衝液の効果
PDF製剤と組み合わせた代替緩衝液(Me−β−CD、DDPC、及びEDTA)を比較する透過率試験を実施した。これらの透過率のデータは、60分間のインキュベーション後、50μLの負荷容積を使用して、ELISA(LINCO Research, Inc.製、カタログ#EZHI−14K)により得た。表7に掲載した全ての製剤は、MTT及びLDHアッセイにより測定してしたところ、良好な細胞生存率及び低い細胞毒性を有していた。
インスリン透過率に対する代替緩衝液の効果
PDF製剤と組み合わせた代替緩衝液(Me−β−CD、DDPC、及びEDTA)を比較する透過率試験を実施した。これらの透過率のデータは、60分間のインキュベーション後、50μLの負荷容積を使用して、ELISA(LINCO Research, Inc.製、カタログ#EZHI−14K)により得た。表7に掲載した全ての製剤は、MTT及びLDHアッセイにより測定してしたところ、良好な細胞生存率及び低い細胞毒性を有していた。
アルギニン緩衝液は、3%から6%のインスリン透過率(%)を有する中程度の性能の緩衝液である。酢酸塩緩衝製剤は、7%から12%の透過率(%)を達成した。リン酸緩衝製剤の透過率(%)は、5%から28%の範囲にあった。最高透過率(%)の28%は、10mM リン酸緩衝剤、45mg/mL Me−β−CD、1mg/mL DDPC、1mg/mL EDTA、280U/mLインスリン、pH7(#4)で達成された。
実施例6
最適経鼻用インスリン製剤のためのin vitroスクリーニング試験
成分濃度及びpH範囲を変化させて280U/mL及び840U/mLのインスリン製剤に対するin vitroの予備的スクリーニングを実施した。基本の1×PDF製剤は、45mg/mL Me−β−CD、1mg/mL DDPC、1mg/mL EDTA、10mM酢酸塩、10mMホスファターゼ、及び220mOsm/kg NaClを含むものであった。in vitro試験1の製剤成分を表8に示す。
最適経鼻用インスリン製剤のためのin vitroスクリーニング試験
成分濃度及びpH範囲を変化させて280U/mL及び840U/mLのインスリン製剤に対するin vitroの予備的スクリーニングを実施した。基本の1×PDF製剤は、45mg/mL Me−β−CD、1mg/mL DDPC、1mg/mL EDTA、10mM酢酸塩、10mMホスファターゼ、及び220mOsm/kg NaClを含むものであった。in vitro試験1の製剤成分を表8に示す。
最初のin vitro実験のために試験した時間経過は、30、60、及び120分のインキュベーションを含んでいた。インキュベーションはCa++及びMg++添加PBS(インスリンは標準MatTek培地中に存在することに注意されたい)中で行った。アッセイ条件は、37℃での100rpmのスピン及び50μLの試験した製剤の適用を含んでいた。全ての製剤について有意のTER減少が観察された。MTTアッセイで高い毒性が観察され、LDHアッセイで低い細胞生存率が観察された。
280U/mLのインスリン濃度に対するの透過のデータは、30及び60分で取られ、1×PDF、pH3;2×PDF、pH3;1×PDF、pH4;及び0.5×PDF、pH3を比較した。約10%の透過が、1×PDF、pH3;1×PDF、pH4;及び0.5×PDF、pH3のを用いて60分で得られた。2×PDF、pH3は2%透過の結果になった。増強剤なしの対照コントロールは1%未満の透過を示した。
280U/mLインスリン及び840U/mLインスリンの濃度に対する透過のデータを、2×PDF、pH3の製剤において30及び60分で比較した。透過における有意の差は、おそらく高いインスリン濃度での沈澱による大きいばらつきのために、観察されなかった。
1×PDF、pH3の中で30及び60分に取られた、280U/mLのインスリン濃度に対する透過のデータを、1×PDF、pH7と比較した。結果は、pH7で製剤は、pH3におけるよりも良く性能を発揮することを示した。1×PDF、pH3に対する透過率(%)は、10%であり、一方1×PDF、pH7に対する透過率は35%であった。
In Vitro試験のまとめ
PBS(Ca++及びMg++添加)中30、60、及び120分のインキュベーションでの透過試験は、高い細胞毒性及び低い細胞生存率という結果になった。1×及び0.5×PDFの結果は、2×PDFよりもよい透過であった。PDFは10mg/mL(即ち280U/mL)まで溶解し得るが、30mg/mL(即ち840U/mL)は溶解し得なかった。透過率(%)の結果はpH3よりもpH7に対して高かった。
PBS(Ca++及びMg++添加)中30、60、及び120分のインキュベーションでの透過試験は、高い細胞毒性及び低い細胞生存率という結果になった。1×及び0.5×PDFの結果は、2×PDFよりもよい透過であった。PDFは10mg/mL(即ち280U/mL)まで溶解し得るが、30mg/mL(即ち840U/mL)は溶解し得なかった。透過率(%)の結果はpH3よりもpH7に対して高かった。
2番目の試験は、基本製剤として1×PDF(45mg/mL Me−β−CD、1mg/mL DDPC、1mg/mL EDTA、10mM酢酸塩、10mMホスファターゼ、及び220mOsm/kg NaCl)を使用して実施した。in vitro試験2の製剤成分は表9に示す。
第2のin vitro実験の時間経過は、60分のインキュベーションを含んでいた。インキュベーションはCa++及びMg++添加PBS中で行った。アッセイ条件は、37℃で100rpmのスピン及び50μLの試験された製剤の適用を含んでいた。全ての製剤について有意のTER減少が観察された。可溶化剤不使用の場合でさえ、高い毒性がMTTアッセイで観察され、低い細胞生存率がLDHアッセイで観察された。
280U/mLのインスリン濃度に対する透過データを、60分で取り、1×PDF、pH3.5;1×PDF、pH7;1×PDF+0.5%CEL、pH3.5;1×PDF+1%CEL、pH3.5;1×PDF+0.1%ツイーン80、pH3.5;及び1×PDF+1%ツイーン80、pH3.5で比較した。pH3.5で全ての製剤について、少なくとも10%の透過率が得られた。透過はpH3.5に比較してpH7の製剤で増大した。
280U/mL及び840U/mLのインスリン濃度に対する透過のデータを、1×PDF、pH7;1×PDF+0.5%CEL、pH3.5;1×PDF+0.5%CEL、pH7;1×PDF+1%CEL、pH3.5;1×PDF+0.1%ツイーン80、pH3.5;及び1×PDF+1%ツイーン80、pH3.5の製剤において60分で比較した。840U/mL インスリンの製剤は、可溶化剤が存在するとき、インサートの表面で可視的に可溶性であった。pH7の製剤はpH3.5の製剤よりも高い透過性を有するということを除き、全ての製剤は同様の透過性を有していた。
In Vitro試験2のまとめ
高濃度インスリン製剤(840U/mL)は、追加の界面活性剤(即ち、ツイーン又はクレモホール)の存在で上首尾に安定化された(且つ溶解された)。60分のインキュベーションでさえ、増大した細胞毒性及び減少した細胞生存率が、in vitroで全ての製剤について観察された。
高濃度インスリン製剤(840U/mL)は、追加の界面活性剤(即ち、ツイーン又はクレモホール)の存在で上首尾に安定化された(且つ溶解された)。60分のインキュベーションでさえ、増大した細胞毒性及び減少した細胞生存率が、in vitroで全ての製剤について観察された。
第3の試験は、3種の異なる界面活性剤(ツイーン80、ツイーン20、及びプルロニックF68)のin vitro透過性に対する効果を測定するために、pH7で280U/mL及び840U/mL、1×PDFのインスリン製剤を使用して、第3の試験を測定するために実施した。in vitro試験3の製剤成分を表10に示す。
第3のin vitro試験の時間経過は、60分のインキュベーションを含んでいた。インキュベーションは、Ca++及びMg++添加PBS中で行った。アッセイ条件は、37℃で100rpmのスピン及び50μLの試験された製剤の適用を含んでいた。全ての製剤について有意のTER減少が観察された。高い毒性がMTTアッセイで観察され、低い細胞生存率がLDHアッセイで観察された。
280U/mL及び840U/mLのインスリン濃度に対する透過のデータは、60分で取られ、1×PDF+1%ツイーン80、pH7;1×PDF+0.01%プルロニックF68、pH7;及び1×PDF+0.1%プルロニックF68、pH7の製剤で比較した。結果はプルロニックF68が透過を増強するほど十分にはインスリンを可溶化しないことを示した。
1×PDF製剤(インスリン濃度280U/mL及び840U/mL)におけるツイーン80及びツイーン20のインスリン透過に対する効果を試験した。透過率(%)データは、1×PDF+1%ツイーン80、pH7;1×PDF+0.1%ツイーン80、pH7;1×PDF(DDPCなし)+1%ツイーン80、pH7;1×PDF(DDPCなし)+0.1%ツイーン80、pH7;1×PDF+1%ツイーン20、pH7;1×PDF+0.1%ツイーン20、pH7;及び1×PDF+1%ツイーン80、pH7(低張性)の製剤において60分で比較した。結果は、1%ツイーンが(ツイーン80及びツイーン20両者共)、0.1%ツイーンよりも大きい透過性を提供することを示した。ツイーン20に対する透過の結果は、ツイーン80と同じであった。DDPCの除去はこれらの製剤における透過率(%)に影響を有しなかった。
ツイーン80の量を増加させて(0.01%、0.1%、0.5%、及び1%)、pH7で1×PDF製剤における280U/mLのインスリンの透過に対する影響について試験した。製剤中のツイーン80の量は透過率(%)に影響した。透過は、ツイーン80の濃度が増加するにつれて増加した。ツイーン濃度の透過に対する影響のさらなる分析は、1×PDF製剤で1%、2%、及び5%のツイーン80でアッセイした。それに加えて、2×PDF製剤での透過を、1%及び2%のツイーン80で試験した。結果は、ツイーン80濃度がひとたび1%を超えると、1×又は2×PDFのいずれでも、in vitroの透過のさらなる増強はなかった。
Me−β−CD除去の効果は、0.1%ツイーン及び1%ツイーン製剤(1mg/mL及び10mg/mL EDTAを含む)で試験した。製剤からのMe−β−CD除去は、透過性に劇的な減少低下をもたらした。結果は、280U/mL及び840U/mLの製剤の両方で観察された。
In Vitro試験3のまとめ
ツイーン80及びツイーン20は両方とも、1×PDF製剤と組み合わせて使用したとき、in vitroで透過の結果は良好であった。プルロニックF68は透過を増強しなかった。ツイーン80又はツイーン20単独は、in vitroでインサートの増大した透過を達成するには十分でなかった。製剤からMe−β−CDを除去した結果、インスリンの透過は有意に減少した。ツイーンを1%まで増加させた結果、透過は増大したが、1%を超えてもそれ以上の利益は観察されなかった。1%ツイーンの製剤は、幾つかの市販されているツイーン含有鼻用製品よりも低い。
ツイーン80及びツイーン20は両方とも、1×PDF製剤と組み合わせて使用したとき、in vitroで透過の結果は良好であった。プルロニックF68は透過を増強しなかった。ツイーン80又はツイーン20単独は、in vitroでインサートの増大した透過を達成するには十分でなかった。製剤からMe−β−CDを除去した結果、インスリンの透過は有意に減少した。ツイーンを1%まで増加させた結果、透過は増大したが、1%を超えてもそれ以上の利益は観察されなかった。1%ツイーンの製剤は、幾つかの市販されているツイーン含有鼻用製品よりも低い。
実施例7
インスリン製剤の安定性データ
5℃、25℃、40℃、及び50℃で28日までの使用時の安定性試験を1×PDF(45mg/mL Me−β−CD、1mg/mL DDPC、1m/mL EDTA、10mM酢酸塩、10mMホスファターゼ、及び220mOm/kg NaCl)インスリン噴霧製剤について実施した。ペプチド回収率(%)をアッセイするためにHPLCを使用した。試験で評価されたした製剤パラメータは表11に示した。
インスリン製剤の安定性データ
5℃、25℃、40℃、及び50℃で28日までの使用時の安定性試験を1×PDF(45mg/mL Me−β−CD、1mg/mL DDPC、1m/mL EDTA、10mM酢酸塩、10mMホスファターゼ、及び220mOm/kg NaCl)インスリン噴霧製剤について実施した。ペプチド回収率(%)をアッセイするためにHPLCを使用した。試験で評価されたした製剤パラメータは表11に示した。
1×PDFインスリン噴霧製剤は、食塩及びバッファのみと共に貯蔵保存したインスリンに比較してより安定な状態が持続した。ツイーンの存在は1×PDF製剤の安定性に影響しなかった。pH7の製剤は、pH3.5の製剤よりもずっと良好な安定性を維持した。1×PDF中で貯蔵保存したインスリンの安定性は、5℃、25℃、40℃、及び50℃で28日まで非常に良好で、表示の約100%の回収が、280U/mL及び840U/mLのインスリン濃度の両方について観察された。
さらに、1×PDFインスリン噴霧製剤の安定性を評価するために、使用時アッセイ(単位投与量及び8日)を実施した。「単位投与量」は、装填プライミング及び1回作動後のインスリン安定性を評価するために使用した。8日の使用時試験の条件は、5℃及び30℃貯蔵保存における8日間毎日3回の作動を含むものであった。試験ではペプチド含有量をアッセイした。使用時ペプチド含有量試験の結果は、PDFインスリン噴霧製剤が単位投与量及び8日間使用の両方で良好な安定性を示すことを明らかにした。この試験で、貯蔵保存温度30℃での安定性は、貯蔵保存温度5℃と同様に安定であると思われる。
実施例8
ラビットにおける経鼻投与インスリンの薬物動態結果
薬物動態(PK;即ちインスリン測定)値は、インスリン処置したニュージーランド白色ラビットについて、240分までの特定した時点で測定した。4つの(4)鼻内(IN)投与群、1つの(1)皮下(SC)投与群、及び1つの(1)静脈内(IV)投与群が、生体利用率バイオアベイラビリティデータを得たこの試験に含まれた。各群は5頭の雄ラビットを含んでいた。全てのデータ計算は、投与量で正規化し、PKデータは基準線ベースライン補正した。PK試験1のための処置及び投与量の詳細は表12に示す。
ラビットにおける経鼻投与インスリンの薬物動態結果
薬物動態(PK;即ちインスリン測定)値は、インスリン処置したニュージーランド白色ラビットについて、240分までの特定した時点で測定した。4つの(4)鼻内(IN)投与群、1つの(1)皮下(SC)投与群、及び1つの(1)静脈内(IV)投与群が、生体利用率バイオアベイラビリティデータを得たこの試験に含まれた。各群は5頭の雄ラビットを含んでいた。全てのデータ計算は、投与量で正規化し、PKデータは基準線ベースライン補正した。PK試験1のための処置及び投与量の詳細は表12に示す。
PK試験1の結果は、表13及び図1に示す。インスリンのIN投与は通常の標準的なSCインスリンよりも迅速なTmaxを生じた。1%ツイーン(投与量6IU/kg)添加IN/1×PDF、#3は経鼻製剤の最高ピークを示した。インスリンの生体利用率バイオアベイラビリティ(BA)(%)は、1%ツイーン添加IN/1×PDF製剤、#2及び#3の両者について約3〜5%であった(SCに対して)。SCに対する絶対BA(%)は30%であり、一方INでは1%であった。INに対するCV(%)はAUC(曲線下面積)を基準に基づいて50%であり、一方SCでは20%であった。
第2のPK試験は、PDFにツイーンを加えた経鼻製剤とNovoLog速効製剤(NovoLog希釈剤は、16mg/mLグリセリン、1.5mg/mLフェノール、1.72mg/mL m−クレゾール、19.6μg/mL亜鉛、1.25mg/リン酸水素二ナトリウム二水和物、及び0.58mg/mL NaCl、pH7.2〜7.6からなる)とを比較するために実施した。PK試験2のパラメータを表14に示す。
表15に示したものは、PK基準線ベースラインを差し引いた、試験2のSC−NovoLog結果に対するTmax、Cmax(%)、AUClast、AUCinf、及びBA(%)であり、IN/1×PDF1%ツイーン(#3)及びSCレギュラー標準(#5)製剤に対する試験1の結果も含まれている。PK試験2の結果は図2に示す。試験2のPK曲線は、試験1で見られる曲線に類似しており、IN/1×PDFは速効性PKプロファイルを生ずることを示す。インスリンの第2のピークは幾つかのIN処置動物で観察された。
PK試験2の結果は、IN/1×PDF2%ツイーンが、試験した経鼻製剤の最高のBA(%)、Cmax及びAUClastを有することを示す。BA(%)、Cmax及びAUClastは、DDPCが除去されると減少した。試験2のIN/1×PDF1%ツイーンの結果は、試験1の結果と符合一致した。SCレギュラー標準、SC−NovoLog、及びSC−PDFインスリンは、同様な生体利用率バイオアベイラビリティになった。BA(%)については、経鼻製剤は約2〜5%の生体利用率バイオアベイラビリティになった。IN/1×PDF2%ツイーンは、最高の生体利用率バイオアベイラビリティ5%を示した。
実施例9
ラビットにおける経鼻投与インスリンの薬物動態データ
薬力学(PD;即ちグルコース測定)値は、インスリン処置したニュージーランド白色ラビットについて、240分までの特定した時点で測定した。グルコースは各時点で二つ組重複する二つの系にしてGlucometer(One−Touch Ultra)を使用して測定した。PD試験1(試験群は上記の実施例8、表12に示してある)の結果を、表16及び図3に示す。全てのデータ計算は、投与量に基づいて正規化し、BA(%)は試験項目の名目アッセイ値に基づく。
ラビットにおける経鼻投与インスリンの薬物動態データ
薬力学(PD;即ちグルコース測定)値は、インスリン処置したニュージーランド白色ラビットについて、240分までの特定した時点で測定した。グルコースは各時点で二つ組重複する二つの系にしてGlucometer(One−Touch Ultra)を使用して測定した。PD試験1(試験群は上記の実施例8、表12に示してある)の結果を、表16及び図3に示す。全てのデータ計算は、投与量に基づいて正規化し、BA(%)は試験項目の名目アッセイ値に基づく。
試験1において、IN/PDF−ツイーン(#2及び#3)、SC(#5)、及びIV(#6)インスリンに対するCmaxin(%)は、約40%であった。Tminは、SC(120分)よりもIN/PDF−ツイーンに対して速かった(30〜45分)。1%ツイーン添加IN PDFのグルコースBA(%)は、約8%であった(SCに比較して)。
第2のPD試験は、経鼻用PDF製剤をNovoLog速効製剤(NovoLog希釈剤は、16mg/mLグリセリン、1.5mg/mLフェノール、1.72mg/mL m−クレゾール、19.6μg/mL亜鉛、1.25mg/mLリン酸水素二ナトリウム二水和物及び0.58mg/mL NaCl、pH7.2〜7.6からなる)と比較するために実施した。PD試験2のパラメータは上記実施例8及び表14に示してある。PD試験2に対するCmin、Cmax及びTminの結果を表17に示す。
図4において、試験2についてのPD結果を試験1と比較している。IN/1×PDF5%ツイーン、IN/2×PDF1%ツイーン、SC NovoLogに対するTminは約30分であった。SCレギュラー標準*に対するTminは約40分であった。他の製剤に対するTminは約45分であった。PD試験2の結果は、2×PDF1%ツイーンが、全ての経鼻製剤の中でPDに対する最大の効果を有していることを示した。製剤中のDDPCの存在はPD結果に影響しなかった。
鼻内への刺激は、IN投与のラビットにおいては存在しないか又は無症候性であった。記載したPDデータは速効型プロファイルの経鼻インスリン送達製剤を支持するものであった。最良性能の製剤は、可溶化剤及び界面活性剤を含むものであった。さらなるin vivo投与のためのINインスリン製剤の明細を表18に示す。
実施例10
前臨床試験3:ラビットにおけるインスリンの静脈内、皮下、及び経鼻投与後のPK及びPD結果
表19は試験3における投薬群を示す。次の略記号を使用した:PDF=45mg/mL Me−β−CD、1mg/mL DDPC、1mg/mL EDTA、10mMアルギニン、pH7.0、約220mOsm/kgにするためにNaClを添加;2×PDF=90mg/mL Me−β−CD、2mg/mL DDPC、2mg/mL EDTA(他の成分はPDF中と同一のままである);この場合防腐剤(Pre)は、10mg/mLプロピレングリコール、0.33mg/mLメチルパラベン、及び0.17mg/mLプロピルパラベンの組合せであった。種々の製剤にポリソルベート80(ツイーン)を、表示したように1%又は2%(10又は20mg/mL)で加えた。2つのSC群を投与し、1つは増強剤なしのレギュラー標準インスリン、及び1つはPDFを存在させた存在下でのレギュラー標準インスリンであった。
前臨床試験3:ラビットにおけるインスリンの静脈内、皮下、及び経鼻投与後のPK及びPD結果
表19は試験3における投薬群を示す。次の略記号を使用した:PDF=45mg/mL Me−β−CD、1mg/mL DDPC、1mg/mL EDTA、10mMアルギニン、pH7.0、約220mOsm/kgにするためにNaClを添加;2×PDF=90mg/mL Me−β−CD、2mg/mL DDPC、2mg/mL EDTA(他の成分はPDF中と同一のままである);この場合防腐剤(Pre)は、10mg/mLプロピレングリコール、0.33mg/mLメチルパラベン、及び0.17mg/mLプロピルパラベンの組合せであった。種々の製剤にポリソルベート80(ツイーン)を、表示したように1%又は2%(10又は20mg/mL)で加えた。2つのSC群を投与し、1つは増強剤なしのレギュラー標準インスリン、及び1つはPDFを存在させた存在下でのレギュラー標準インスリンであった。
前臨床試験3で投薬された群のPDデータを表20及び図5に示す。
全ての経鼻投与群がおよそ同じPD効果(Tmin及びCmin(%))を示した。PDFを存在させずに又は存在させての非存在下又は存在下で皮下送達されたレギュラー標準インスリンは、同様なPD効果(及び予想されたようにより遅いTmin及びより大きいCmin(%))を有していた。データは、立ち上がり(Tminにより示される)は、対照コントロール製剤(SCに対してで60分)に比較してPDF製剤中のレギュラー標準インスリンに対してより速い(SCに対して45分;鼻内鼻腔内に対して30分)ことを示した。データは、経鼻製剤中のレギュラー標準インスリンが速効型インスリンプロファイルと一致することを示す。
前臨床試験3で投薬された群のPKデータを、図6及び表21、表22及び表23に示す。
種々のPKパラメータのCV(%)は、種々の群に対してついて同様であった。ツイーン添加PDF製剤に対するのF(%)(SC対照コントロールに比較した生体利用率バイオアベイラビリティ)は、SCレギュラー標準インスリン対照コントロールに比較して約2〜6%、及びTmaxは12〜36分の範囲にあった。最高の生体利用率バイオアベイラビリティ(%)のIN製剤はDDPC無添加不含の1×PDF/2%ツイーンであった(5.8%)。これらのPDデータは、増加した生体利用率バイオアベイラビリティを得るために、DDPCはPDF製剤中には必要ないことを示唆する。
実施例11
前臨床試験4:ラビットにおけるインスリンの経口及び経鼻投与後のPK及びPD結果
表24は試験4における投薬群を記載している。次の略個号を使用した:PDF=45mg/mL Me−β−CD、1mg/mL DDPC、1mg/mL EDTA、10mMアルギニン、pH7.0、約220mOsm/kgにするためにNaClを添加;2×PDF=90mg/mL Me−β−CD、2mg/mL DDPC、2mg/mL EDTA(他の成分はPDF中と同一のままである);TDM=2.5mg/mLテトラデシルマルトシド。ポリソルベート80(ツイーン)を、表示したように種々の製剤に1%(10mg/mL)で添加した。プロピレングリコール(PG)を、種々の製剤に1%又は2.5%(10又は25mg/mL)で添加した。ゼラチンの0.2%での効果を、IN製剤で試験した。3つの経口群、即ち、1つは増強剤なしのレギュラー標準インスリン(#8)、1つはPDF存在下のレギュラー標準インスリン(#9)、1つはDDPCなしのPDFの存在下のレギュラー標準インスリン(#7)を投与した。
前臨床試験4:ラビットにおけるインスリンの経口及び経鼻投与後のPK及びPD結果
表24は試験4における投薬群を記載している。次の略個号を使用した:PDF=45mg/mL Me−β−CD、1mg/mL DDPC、1mg/mL EDTA、10mMアルギニン、pH7.0、約220mOsm/kgにするためにNaClを添加;2×PDF=90mg/mL Me−β−CD、2mg/mL DDPC、2mg/mL EDTA(他の成分はPDF中と同一のままである);TDM=2.5mg/mLテトラデシルマルトシド。ポリソルベート80(ツイーン)を、表示したように種々の製剤に1%(10mg/mL)で添加した。プロピレングリコール(PG)を、種々の製剤に1%又は2.5%(10又は25mg/mL)で添加した。ゼラチンの0.2%での効果を、IN製剤で試験した。3つの経口群、即ち、1つは増強剤なしのレギュラー標準インスリン(#8)、1つはPDF存在下のレギュラー標準インスリン(#9)、1つはDDPCなしのPDFの存在下のレギュラー標準インスリン(#7)を投与した。
前臨床試験4において投薬された群のPDデータを、図7に示す。PDデータは、全ての経鼻製剤間で類似であったが、SC投薬は経鼻に対して延長されたPD効果を有した。経口投薬群についてはPD効果が観察されなかった。PDFを存在させずに及び存在させての非存在下又は存在下で皮下送達されたレギュラー標準インスリンは、同様なPD効果(及び予想したようなより遅いTmin及びより大きいCmin(%))を有した。データは、立ち上り(Tminにより示される)がPDF製剤中のレギュラー標準インスリンでより速いことを示す。
前臨床試験4において投薬された群のPKデータを、図8及び表25、表26及び表27に示す。
PGを含有又は不含のPDFを含む経鼻投与群並びにTDMを含む群に対して、PKデータは同様で、F(%)(SCレギュラー標準インスリンと比較した生体利用率バイオアベイラビリティ)は約5.4〜10.6%で、Tmaxは18〜59分の範囲であった。0.2%ゼラチンの存在下に1%ツイーンを添加した1×PDFの場合、生体利用率バイオアベイラビリティは増加して約14.9%であった。PGを含有又は不含のPDFを含む経鼻投与群並びにTDMを含む群に対して、Cmax及びAUCのCV(%)は50〜200%の間であった。対照的に、0.2%ゼラチンの存在下に1%ツイーンを添加した1×PDFにおいて、Cmax及びAUCにおいて、それぞれ21.3%及び35.3%への減少低下があった。0.2%ゼラチンの存在下に1%ツイーンを添加した1×PDF製剤のCmax及びAUCのCV(%)は、SC注射について観察されたものより低いことが認められた。
これらのデータは、立ち上がり(Tminにより示される)は、PDF製剤中のレギュラー標準インスリンに対して、SC製剤よりも速く、結果として、このインスリンは速効型インスリンのプロファイルを有することを示す。ゼラチンの添加は、PDF製剤に対して、PD及びPK効果を増強する(SCに比較して14.9%の生体利用率バイオアベイラビリティ)。
実施例12
増粘剤を含む製剤についてのPK及びPD結果
種々の増粘剤を含む経鼻用インスリン製剤を投与したラビットについて、PK及びPDを評価した。増粘剤には、ゼラチン、HPMC、MC、及びカルボマを含めた。カルボマはカルボポール(登録商標)として知られているポリマのファミリに対する総称である。時点は、5、10、15、30、45、60、120および240分にとった。グルコースは時点毎にGlucometer(One−Touch Ultra)で測定した。所望のpHにするために、必要なときには、少量の2N HCl又はNaOHを製剤に加えた。試験に使用したインスリンの濃度は約28U/mgであった。表28はこの試験で使用された製剤を示す。
増粘剤を含む製剤についてのPK及びPD結果
種々の増粘剤を含む経鼻用インスリン製剤を投与したラビットについて、PK及びPDを評価した。増粘剤には、ゼラチン、HPMC、MC、及びカルボマを含めた。カルボマはカルボポール(登録商標)として知られているポリマのファミリに対する総称である。時点は、5、10、15、30、45、60、120および240分にとった。グルコースは時点毎にGlucometer(One−Touch Ultra)で測定した。所望のpHにするために、必要なときには、少量の2N HCl又はNaOHを製剤に加えた。試験に使用したインスリンの濃度は約28U/mgであった。表28はこの試験で使用された製剤を示す。
15mLの各製剤を作製して3ccの透明なシラン処理をしていないガラスバイアル中に貯蔵保存した。全ての試験製剤は2〜8℃で貯蔵保存した。全ての製剤は6.0IU/kgで投与された。表29にこの試験で使用された投薬群を記載する。
初期からのグルコース(%)についてのPDの結果を図9に示す。図9は、試験した8群について時間を追ってグルコース(%)における平均の変化を示している。群6(1×PDF/1%ツイーン/(0.25%カルボポール))は、他の全ての群に比較して初期からのグルコース(%)で最大の減少を示した。8群についてグルコースのトラフは図9の示したように90分以内に起こった。群8(等張化剤を含んでいた)は、他のゼラチン製剤に比較して初期からのグルコース(%)における最大の減少を有していた。カルボマ(0.25%カルボポール)及びCMCを含む製剤は、他のゼラチンを含まない製剤に比較して初期からのグルコース(%)で最大の減少を有していた。
時点毎の平均データのPK結果を、図10に示す。図10では、時間を追ってインスリンの平均濃度(μIU/mL)を、試験した8群について示す。Cmaxは、他の製剤に比較して、1×PDF/1%ツイーン/(0.25%カルボポール)の群6が最大であることを図10は示す。図10に示したように、8群に対して、血清インスリンレベルのピークは60分以内に起こった。PKパラメータを表30にまとめてある。
CV(%)の結果は表31に示す。
F(%)(生体利用率バイオアベイラビリティ)の結果を表32に示す。
まとめ
PK及びPDの結果は、試験した経鼻用インスリン製剤が、60分以内のピーク血清インスリンレベル及び90分以内のグルコーストラフを有する速効型インスリンのプロファイルを有しいていたことを示す。PDF経鼻用インスリン製剤に増粘剤を加えると、生体利用率バイオアベイラビリティが増大した。張度を上げるとゼラチン含有製剤の生体利用率バイオアベイラビリティが増大した。ゼラチン含有製剤は、低張条件(群#2;NaClを含まずゼラチン0.2%)に比較して等張条件(群8;NaClを含みゼラチン0.2%)で改良された恒常体性能を示した。カルボマ及びCMCを含有する製剤は、経鼻用インスリン製剤として、PK及びPD結果における最大の増加を示した。F(%)により示される生体利用率バイオアベイラビリティは、カルボマ及びCMCについてそれぞれ19.7%及び17.8%であった。初期からのグルコース(%)で示されるPD効果は、経鼻用インスリン製剤にカルボマ及びCMCなどの増粘剤を加えると改良された。
PK及びPDの結果は、試験した経鼻用インスリン製剤が、60分以内のピーク血清インスリンレベル及び90分以内のグルコーストラフを有する速効型インスリンのプロファイルを有しいていたことを示す。PDF経鼻用インスリン製剤に増粘剤を加えると、生体利用率バイオアベイラビリティが増大した。張度を上げるとゼラチン含有製剤の生体利用率バイオアベイラビリティが増大した。ゼラチン含有製剤は、低張条件(群#2;NaClを含まずゼラチン0.2%)に比較して等張条件(群8;NaClを含みゼラチン0.2%)で改良された恒常体性能を示した。カルボマ及びCMCを含有する製剤は、経鼻用インスリン製剤として、PK及びPD結果における最大の増加を示した。F(%)により示される生体利用率バイオアベイラビリティは、カルボマ及びCMCについてそれぞれ19.7%及び17.8%であった。初期からのグルコース(%)で示されるPD効果は、経鼻用インスリン製剤にカルボマ及びCMCなどの増粘剤を加えると改良された。
ラビットにおけるPK及びPDのデータは、製剤増強剤の存在による鼻粘膜を通過するインスリン透過増大のin vitroの結果を裏付ける。in vitroの薬剤透過データ及びin vivoにおけるPKのラビットデータは、経鼻用インスリン製剤に対する実質的相互関係を示した。代表的経鼻製剤を使用して、X軸にAUClast(分*μU/mL)及びY軸に透過率(%)でのXYプロット分析は、R2=0.8994、Y=0.0007x+0.4191を示した。
実施例13
AET試験1〜8:抗菌効果試験(AET)
AET試験1
メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、及びプロピレングリコールを含むインスリン鼻噴霧のプラセボの抗菌効果(AET)を測定するために、AET試験を実施した。それに加えて、AET試験は、増加させたEDTAのみのAETを調べた。AET試験で評価した製剤を表33に示す。約120mLの各製剤を作製して二つ組重複する二つの系で試験した(試料当りn=2の分析)。
AET試験1〜8:抗菌効果試験(AET)
AET試験1
メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、及びプロピレングリコールを含むインスリン鼻噴霧のプラセボの抗菌効果(AET)を測定するために、AET試験を実施した。それに加えて、AET試験は、増加させたEDTAのみのAETを調べた。AET試験で評価した製剤を表33に示す。約120mLの各製剤を作製して二つ組重複する二つの系で試験した(試料当りn=2の分析)。
使用したAETの方法は、米国薬局方(USP)及び欧州薬局方(EP)のAETの要件に適合していたものであり、表34及び35にそれぞれ記載する。製剤は、pH(標準操作手順(SOP)403による)、外観(視覚による)、および重量オスモル濃度(標準操作手順(SOP)4000による)についても試験した。
0.33mg/mLのメチルパラベンナトリウム、0.17mg/mLのプロピルパラベンナトリウム、及び少なくとも25mg/mLのプロピレングリコールの組合せは、有効な防腐剤配合であり、USP規格に適合した。これらの製剤は、USP要件の全てに合格したが、EPには合格しなかった(黄色ブドウ球菌及びクロカビについて)。増加させたEDTA単独は、USP又はEPのいずれにも有効であるとは思われなかった。
AET試験2
AET試験2は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムが防腐剤として使用されたとき、湿潤剤(プロピレングリコール)が抗菌効果を改良する向上させるかどうかを決定するために実施した。塩化ベンズアルコニウム(BAK)、ベンジルアルコール、及び安息香酸ナトリウムなどの他の防腐剤も評価した。500U/mL又は1000U/mLのレベルの2つのインスリン群を試験した。AET試験2で評価した製剤を表36に掲載する。
AET試験2は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムが防腐剤として使用されたとき、湿潤剤(プロピレングリコール)が抗菌効果を改良する向上させるかどうかを決定するために実施した。塩化ベンズアルコニウム(BAK)、ベンジルアルコール、及び安息香酸ナトリウムなどの他の防腐剤も評価した。500U/mL又は1000U/mLのレベルの2つのインスリン群を試験した。AET試験2で評価した製剤を表36に掲載する。
AET試験2の方法は、AET試験1について記載したようにして実施した。それに加えて、陽性ポジティブ対照コントロール(5mg/mL安息香酸ナトリウム添加PBS)及び陰性ネガティブ対照コントロール(PBS単独)が含まれた。AET試験2の結果は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムは、製剤に湿潤剤(プロピレングリコールなど)が含まれていないと無効な効果を奏しない防腐剤であることを示した。塩化ベンズアルコニウムは、USP及びEP両方の抗菌効果試験に関して優れた防腐剤であったが、インスリンと不適合性であることが見出された(即ち、製剤中にそれが存在するとインスリンの沈澱が起こった)。ベンジルアルコール及び安息香酸ナトリウムも、中性のpHで有効な防腐剤ではなかったので、インスリン鼻噴霧製剤中での使用に適当でなかった。
AET試験3
AET試験3の目的は、塩化ベンズアルコニウム(BAK)、ベンジルアルコール、及び安息香酸ナトリウムなどの他の防腐剤を評価することであった。500U/mL又は1000U/mLのレベルのインスリン2群を試験した。AET試験3のための製剤を表37に掲載する。
AET試験3の目的は、塩化ベンズアルコニウム(BAK)、ベンジルアルコール、及び安息香酸ナトリウムなどの他の防腐剤を評価することであった。500U/mL又は1000U/mLのレベルのインスリン2群を試験した。AET試験3のための製剤を表37に掲載する。
AET試験3の分析は、AET試験1について記載したようにして実施した。AET試験3の結果は、塩化ベンズアルコニウムはインスリンとは不適合性であるが(沈澱を惹起した)、最良の抗菌性能を維持することを示した。ベンジルアルコール、及びベンジルアルコール/メチルパラベンナトリウム/プロピルパラベンナトリウムは、この試験における抗菌剤として無効であった。
AET試験4
AET試験4の目的は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムと共に使用したときに、より低レベルの湿潤剤(プロピレングリコール)で満足なUSP及びEPのAET結果が達成できるかどうかを決定することである。それに加えて、代替防腐剤m−クレゾール及びベンジルアルコールを評価した。AET試験4の製剤を表38に掲載する。
AET試験4の目的は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムと共に使用したときに、より低レベルの湿潤剤(プロピレングリコール)で満足なUSP及びEPのAET結果が達成できるかどうかを決定することである。それに加えて、代替防腐剤m−クレゾール及びベンジルアルコールを評価した。AET試験4の製剤を表38に掲載する。
AET試験4のために使用した方法は、AET試験1のために記載したようにして実施した。低濃度の湿潤剤(即ちプロピレングリコール)と共にメチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムを含有する製剤では、抗菌効果は得られない。プロピレングリコールと共に使用するメチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムの最適レベルは、プロピレングリコール1mL当り1mgと25mgの間にあった。さらに、ベンジルアルコール及びm−クレゾールは、インスリン鼻噴霧製剤に有効な防腐剤ではなかった。
AET試験5
AET試験5の目的は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムが最適の防腐効果にとって両方とも必要であるかどうか、及びその一方が他方よりも有効であるかどうかを決定するために、インスリン噴霧製剤(プラセボ及び活性有効成分の)の抗菌効果試験(AET)を実施することである。それに加えて、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムの増大させたレベルをについて、製剤中のそれらの含有量を増加させると抗菌効果が増大するかどうかを決定するために、評価を行った。AET試験5で使用した製剤を表39に掲載した。
AET試験5の目的は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムが最適の防腐効果にとって両方とも必要であるかどうか、及びその一方が他方よりも有効であるかどうかを決定するために、インスリン噴霧製剤(プラセボ及び活性有効成分の)の抗菌効果試験(AET)を実施することである。それに加えて、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムの増大させたレベルをについて、製剤中のそれらの含有量を増加させると抗菌効果が増大するかどうかを決定するために、評価を行った。AET試験5で使用した製剤を表39に掲載した。
AET試験5のために使用した方法は、AET試験1のために記載したようにして実施した。AET試験5は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムのレベルを、少なくとも0.33mg/mLメチルパラベンナトリウム及び0.17mg/mLプロピルパラベンナトリウムの少なくとも10倍に上げることが、抗菌効果を増大させることを示した。さらに、0.33mg/mLメチルパラベンナトリウム単独は、0.17mg/mLプロピルパラベンナトリウム単独と同じ有効性を有し、それも組合せと同じ抗菌効果を有することは明らかであった。
AET試験6
AET試験6の目的は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムと共に使用するために必要なプロピレングリコールの最適レベルを決定するためにインスリン噴霧製剤(プラセボ)の抗菌効果試験(AET)を実施することである。さらに、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムの増大させたレベルをについて、製剤中のそれらの含有量を上げることが抗菌効果を増大させるかどうかを決定するために、プロピレングリコールのレベルを一定にして評価を行った。最後に、可能性ある防腐剤としてエタノールも評価した。AET試験6で評価した製剤を表40に掲載した。
AET試験6の目的は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムと共に使用するために必要なプロピレングリコールの最適レベルを決定するためにインスリン噴霧製剤(プラセボ)の抗菌効果試験(AET)を実施することである。さらに、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムの増大させたレベルをについて、製剤中のそれらの含有量を上げることが抗菌効果を増大させるかどうかを決定するために、プロピレングリコールのレベルを一定にして評価を行った。最後に、可能性ある防腐剤としてエタノールも評価した。AET試験6で評価した製剤を表40に掲載した。
AET試験6のために使用した方法は、AET試験1のために記載したようにして実施した。AET試験6の結果は、プロピレングリコールの最適レベルが10mg/mLであったことを示す。10、15、20及び25mg/mLのプロピレングリコールを含むインスリン噴霧鼻噴霧製剤のAETの結果は、非常に似通っていたが、AET結果は、プロピレングリコールのレベルが10mg/mL未満であったときに、より劣っていた。全ての製剤は、緑膿菌要件を除きUSPのAET要件に合格した。この範疇に関して、製剤は静菌性であった(即ち、微生物増殖の徴候はなかった)。全ての製剤が、各必須微生物に対するについての最初期時点に対するにおけるEP要件に不合格であった。エタノール単独(1%及び2%で)が、メチルパラベンナトリウム/プロピルパラベンナトリウム/プロピレングリコールと同様な抗菌活性を有するように思われた。
AET試験7
AET試験7の目的は、20mg/mLのツイーン80を含有するインスリン噴霧製剤(プラセボ)の抗菌効果試験(AET)を実施することである。1つのin vivo薬物動態試験は、ツイーン80含有量を20mg/mLに上げることが生体利用率バイオアベイラビリティを増大させることに役立ち得ることを示したが、ツイーン80のミセルは防腐剤(特にパラベン類)と相互作用することも知られている。それに加えて、AET試験7は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムと共に使用するために必要なプロピレングリコールの最適レベルを決定するために実施した。メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムの増大させたレベルについて、製剤中のそれらの含有量を上げることが抗菌効果を増大させるかどうかを決定するために、プロピレングリコールのレベルを一定にして評価を行った。最後に、可能性ある防腐剤としてエタノールも評価した。AET試験7で使用した製剤を表41に掲載する。
AET試験7の目的は、20mg/mLのツイーン80を含有するインスリン噴霧製剤(プラセボ)の抗菌効果試験(AET)を実施することである。1つのin vivo薬物動態試験は、ツイーン80含有量を20mg/mLに上げることが生体利用率バイオアベイラビリティを増大させることに役立ち得ることを示したが、ツイーン80のミセルは防腐剤(特にパラベン類)と相互作用することも知られている。それに加えて、AET試験7は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムと共に使用するために必要なプロピレングリコールの最適レベルを決定するために実施した。メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムの増大させたレベルについて、製剤中のそれらの含有量を上げることが抗菌効果を増大させるかどうかを決定するために、プロピレングリコールのレベルを一定にして評価を行った。最後に、可能性ある防腐剤としてエタノールも評価した。AET試験7で使用した製剤を表41に掲載する。
AET試験7のために使用した方法は、AET試験1のために記載したようにして実施AET試験1について記載したように実施した。AET試験7の結果は、プロピレングリコールの最高レベル(即ち25mg/mL)を添加したときでさえ、ツイーン80含有量を10mg/mLから20mg/mLに上げることが抗菌効果を減少させることを示した。エタノールは、20mg/mLのツイーン80と組み合わせて使用したときに有効な防腐剤(1%で)ではなかった。
AET試験8
AET試験8は、インスリン噴霧製剤(活性)の抗菌効果試験(AET)を試験するために、プロピレングリコールを1、5、10、及び25mg/mLのレベルで含有する製剤を使用して実施した。それに加えて、インスリン鼻噴霧製剤の3通りの濃度、250、500、及び1000U/mLを試験した。AET試験8で使用した製剤を表42に掲載する。
AET試験8は、インスリン噴霧製剤(活性)の抗菌効果試験(AET)を試験するために、プロピレングリコールを1、5、10、及び25mg/mLのレベルで含有する製剤を使用して実施した。それに加えて、インスリン鼻噴霧製剤の3通りの濃度、250、500、及び1000U/mLを試験した。AET試験8で使用した製剤を表42に掲載する。
分析のために使用した方法は、AET試験1のために記載した。AET試験8の結果は、インスリンを製剤に添加すると、AET性能が改良改善されることを示した。さらに、プロピレングリコールレベルが高いとき(即ち25mg/mL又は10mg/mL)、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムを添加したインスリン含有製剤は、USPのAET要件に合格した。しかしながら、EP要件には適合しなかった。
AET試験1から8までのまとめ
試験1〜8のデータは、AETに関して、メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、及び湿潤剤プロピレングリコールの組合せの結果、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウム単独に比較して増大した防腐効果が生じたことを示した。さらに、これらの試験の過程で、塩化ベンズアルコニウム、安息香酸ナトリウム、ベンジルアルコール、エタノール、増大させたEDTA、塩化ベンゼトニウム及びメタ−クレゾールなどの数種類の他の防腐剤が評価された。しかしながら、最良の結果は、メチルパラベンナトリウム/プロピルパラベンナトリウム/プロピレングリコールで達成された。他の防腐剤の各々は、インスリンと不適合性であるか(インスリン沈澱を惹起した塩化ベンズアルコニウムの場合のように)、又は恐らくメチル−β−シクロデキストリン、及び/若しくはポリソルベート80との相互作用により無効にされるかのいずれかであった。メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムもメチル−β−シクロデキストリン及び/若しくはポリソルベート80と相互作用したが、添加した湿潤剤のプロピレングリコールがこの相互作用に干渉して、それによりパラベン類を抗菌活性に対してより利用可能なものにした。結果は、0.17mg/mLプロピルパラベンナトリウム、0.33mg/mLメチルパラベンナトリウムの製剤に10mg/mLの湿潤剤を加えると、良好な抗菌活性が生ずることを示した。
試験1〜8のデータは、AETに関して、メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、及び湿潤剤プロピレングリコールの組合せの結果、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウム単独に比較して増大した防腐効果が生じたことを示した。さらに、これらの試験の過程で、塩化ベンズアルコニウム、安息香酸ナトリウム、ベンジルアルコール、エタノール、増大させたEDTA、塩化ベンゼトニウム及びメタ−クレゾールなどの数種類の他の防腐剤が評価された。しかしながら、最良の結果は、メチルパラベンナトリウム/プロピルパラベンナトリウム/プロピレングリコールで達成された。他の防腐剤の各々は、インスリンと不適合性であるか(インスリン沈澱を惹起した塩化ベンズアルコニウムの場合のように)、又は恐らくメチル−β−シクロデキストリン、及び/若しくはポリソルベート80との相互作用により無効にされるかのいずれかであった。メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムもメチル−β−シクロデキストリン及び/若しくはポリソルベート80と相互作用したが、添加した湿潤剤のプロピレングリコールがこの相互作用に干渉して、それによりパラベン類を抗菌活性に対してより利用可能なものにした。結果は、0.17mg/mLプロピルパラベンナトリウム、0.33mg/mLメチルパラベンナトリウムの製剤に10mg/mLの湿潤剤を加えると、良好な抗菌活性が生ずることを示した。
本明細書における本発明の一態様は、米国薬局方及び欧州薬局方の抗菌効果試験(AET)用に処理した場合、静菌効果を提供するインスリン鼻噴霧製剤中で使用する防腐剤の組合せからなる。
AET性能最良の製剤は、水、1つ又は複数の可溶化剤、1つ又は複数の界面活性剤、緩衝剤、キレート剤、等張化剤、及び防腐剤を含むものであった。好ましい可溶化剤はMe−β−CDであった。好ましい界面活性剤はDDPC及びポリソルベート(ツイーン80など)の組合せ又はポリソルベート単独であった。好ましいキレート剤はEDTAであった。好ましい等張化剤は塩化ナトリウムであった。好ましい防腐剤は、メチルパラベンナトリウム及びプロピルパラベンナトリウムであった。製剤は、プロピレングリコールなどの湿潤剤も含み、それが最適AET性能を提供した。
実施例14
インスリン製剤安定性
鼻内用インスリン製剤について、5℃/環境湿度(通常の貯蔵保存)、25℃/60%RH(加速貯蔵保存)、攪拌付き加速貯蔵保存、及び毎日3回(TID)エアロゾル化(患者使用を模倣するため)と組み合わせた通常又は加速貯蔵保存で試験した。3か月(84日)貯蔵保存後、HPLCの結果は、5℃/環境湿度でインスリン含有量に有意の変化を示さず(インスリン回収99.2%)、25℃/60%RHでインスリン含有量の僅かな消失損失が観察された(インスリン回収96.3%)。250U/mL、500U/mL又は1000U/mLを含有する製剤について、短期のインキュベーション時間(11日)のではTIDエアロゾル化におけるよる有意のインスリン損失はなかった。加速温度で24時間100rpmの攪拌後に、安定性に有意の減少は観察されなかったが、対照的に、市販のインスリン製品は同じ条件で少なくとも20%のインスリン含有量減少を示した。
インスリン製剤安定性
鼻内用インスリン製剤について、5℃/環境湿度(通常の貯蔵保存)、25℃/60%RH(加速貯蔵保存)、攪拌付き加速貯蔵保存、及び毎日3回(TID)エアロゾル化(患者使用を模倣するため)と組み合わせた通常又は加速貯蔵保存で試験した。3か月(84日)貯蔵保存後、HPLCの結果は、5℃/環境湿度でインスリン含有量に有意の変化を示さず(インスリン回収99.2%)、25℃/60%RHでインスリン含有量の僅かな消失損失が観察された(インスリン回収96.3%)。250U/mL、500U/mL又は1000U/mLを含有する製剤について、短期のインキュベーション時間(11日)のではTIDエアロゾル化におけるよる有意のインスリン損失はなかった。加速温度で24時間100rpmの攪拌後に、安定性に有意の減少は観察されなかったが、対照的に、市販のインスリン製品は同じ条件で少なくとも20%のインスリン含有量減少を示した。
実施例15
ヒトPD臨床試験
ヒトでの試験は、現行市販のグルコース調節薬剤NovoLog及びExuberaの投与と比較して、増強剤入りのインスリン製剤投与後の薬力学的(PD)データを測定して完了するした。グルコースレベルを測定するためにglucometerを使用した。各処置群についてのグルコース減少率(%)のまとめを表43に示す。各処置群に対するグルコース減少率(%)30%、20%、及び10%の頻度発生率を表44に示す。
ヒトPD臨床試験
ヒトでの試験は、現行市販のグルコース調節薬剤NovoLog及びExuberaの投与と比較して、増強剤入りのインスリン製剤投与後の薬力学的(PD)データを測定して完了するした。グルコースレベルを測定するためにglucometerを使用した。各処置群についてのグルコース減少率(%)のまとめを表43に示す。各処置群に対するグルコース減少率(%)30%、20%、及び10%の頻度発生率を表44に示す。
この初期PD試験の結果は、インスリンの経鼻投与が患者における内のグルコース(%)を減少させることに有効であることを示す。50IU及び100IUの経鼻投与は、現行市販のグルコース調節薬剤Exuberaと同様なグルコース低下をもたらした。
前述の発明を、理解を明確にする目的で実施例により詳細に記述したが、ある特定の変更及び改変はこの開示により包含され、且つ限定でなく説明のために提示した添付の特許請求の範囲の範囲内で不必要な過度の実験をせずに実施することができることは当業者には明らかであろう。
Claims (52)
- 患者にインスリンを経鼻送達するための医薬製剤であって、当該製剤がモノマ状インスリン、可溶化剤、及び界面活性剤の水性混合物を含むことを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤において、前記インスリンがヒトインスリンであることを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤において、前記インスリンが速効型ヒトインスリンであることを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤において、前記インスリンが、天然ヒトインスリン、ヒトインスリン(LysB3、GluB29)、ヒトインスリン(LysB3、IleB28)、ヒトインスリン(GlyA21、HisB31、HisB32)、ヒトインスリン(AspB28)、ヒトインスリン(AspB10)、ヒトインスリン(LysB28、ProB29)、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする製剤。
- 請求項4に記載の製剤において、前記インスリンがヒトインスリン(AspB28)であることを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤において、前記可溶化剤が、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする製剤。
- 請求項6に記載の製剤において、前記可溶化剤がメチル−β−シクロデキストリンであることを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤において、前記界面活性剤が、ノニオン性ポリオキシエチレンエーテル、フシジン酸及びその誘導体、タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム、L−α−ホスファチジルコリンジデカノイル、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポリエチレングリコール、セチルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ラノリンアルコール、モノオレイン酸ソルビタン、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする製剤。
- 請求項8に記載の製剤において、前記界面活性剤がL−α−ホスファチジルコリンジデカノイルであることを特徴とする製剤。
- 請求項8に記載の製剤において、前記界面活性剤がポリソルベート80であることを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤において、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコール四酢酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されるキレート剤を更に具えることを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤において、1又はそれ以上のポリオールを更に具えることを特徴とする製剤。
- 請求項12に記載の製剤において、前記ポリオールが、スクロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、L−アラビノース、D−エリトロース、D−リボース、D−キシロース、D−マンノース、トレハロース、D−ガラクトース、ラクツロース、セロビオース、ゲンチビオース、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする製剤。
- 請求項12に記載の製剤において、前記ポリオールがラクトース及びソルビトールであることを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤において、防腐剤を更に具えることを特徴とする製剤。
- 請求項15に記載の製剤において、前記防腐剤が、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、フェノール、オルト−クレゾール、メタ−クレゾール、パラ−クレゾール、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする製剤。
- 請求項15に記載の製剤において、前記防腐剤がメチルパラベン及びプロピルパラベンであることを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤において、直径1乃至700ミクロンのサイズを有するエアロゾル滴を更に具えることを特徴とする製剤。
- 請求項17に記載の製剤において、湿潤剤を更に具えることを特徴とする製剤。
- 請求項19に記載の製剤において、前記湿潤剤が、プロピレングリコール、グリセリン、グリセリントリアセテート、ポリオール、高分子ポリオール、乳酸、尿素、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする製剤。
- 請求項20に記載の製剤において、前記湿潤剤がプロピレングリコールであることを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤において、バッファを更に具えることを特徴とする製剤。
- 請求項22に記載の製剤において、前記バッファが、グルタミン酸塩、酢酸塩、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、リシン、メチオニン、乳酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする製剤。
- 請求項23に記載の製剤において、前記バッファがアルギニンであることを特徴とする製剤。
- 請求項22に記載の製剤において、前記バッファが5乃至9のpKaを有することを特徴とする製剤。
- 請求項22に記載の製剤において、前記バッファが6乃至8のpKaを有することを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤において、増粘剤を更に具えることを特徴とする製剤。
- 請求項27に記載の製剤において、前記増粘剤が、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボマ、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする製剤。
- 請求項28に記載の製剤において、前記増粘剤がカルボマであることを特徴とする製剤。
- 請求項28に記載の製剤において、前記増粘剤がカルボキシメチルセルロースであることを特徴とする製剤。
- 請求項28に記載の製剤において、前記増粘剤がゼラチンであることを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤であって、当該製剤が7.0±0.5のpHを有することを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤であって、当該製剤が等張化剤を更に具えることを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤であって、当該製剤が50乃至350mOsm/Lの容量オスモル濃度を有することを特徴とする製剤。
- 請求項1に記載の製剤であって、当該製剤が約15%を超える生体利用率を有することを特徴とする製剤。
- ヒトインスリン、メチル−β−シクロデキストリン、L−α−ホスファチジルコリンジデカノイル、エデト酸二ナトリウム、ポリソルベート80、アルギニンバッファ、及びカルボマの水溶液を具えることを特徴とする医薬製剤。
- 請求項36に記載の製剤において、前記ヒトインスリンが速効型ヒトインスリンであることを特徴とする製剤。
- 請求項36に記載の製剤において、前記ヒトインスリンがヒトインスリン(AspB28)であることを特徴とする製剤。
- 個体の満腹を誘起し、個体の体重減少、肥満、癌、結腸癌及び前立腺癌を促進する真性糖尿病、高血糖、異脂肪血症を含む、ヒトにおける疾患又は状態の兆候及び症状を治療するための薬物の製造における、請求項1乃至38のいずれか1項に記載の製剤の使用。
- 個体の満腹を誘起し、個体の体重減少、肥満、癌、結腸癌及び前立腺癌を促進する真性糖尿病、高血糖、異脂肪血症を含む、ヒトにおける疾患又は状態の兆候及び症状を治療するための薬物の製造における、モノマ状インスリン、可溶化剤、及び界面活性剤の水性混合物を具えることを特徴とする医薬製剤の使用。
- 請求項40に記載の使用において、前記インスリンが、天然ヒトインスリン、ヒトインスリン(LysB3、GluB29)ヒトインスリン(LysB3、IleB28)、ヒトインスリン(GlyA21、HisB31、HisB32)、ヒトインスリン(AspB28)、ヒトインスリン(AspB10)、ヒトインスリン(LysB28、ProB29)及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする使用。
- 請求項40に記載の使用において、前記インスリンがヒトインスリン(AspB28)であることを特徴とする使用。
- 請求項40に記載の使用において、前記疾患が真性糖尿病であることを特徴とする使用。
- 請求項40に記載の使用において、前記疾患が真性糖尿病であり、薬物を直径1乃至700ミクロンのサイズを有するエアロゾル滴として投与することを特徴とする使用。
- 請求項40に記載の使用において、前記可溶化剤がメチル−β−シクロデキストリンであり、界面活性剤がL−α−ホスファチジルコリンジデカノイルであることを特徴とする使用。
- 請求項40に記載の使用において、前記医薬製剤が、増粘剤、防腐剤、バッファ及び等張化剤を更に具えることを特徴とする使用。
- 請求項40に記載の使用において、前記薬物が、投与後少なくとも約6時間の間、ヒトの血液のインスリンレベルを上昇させることを特徴とする使用。
- 請求項40に記載の使用において、前記薬物が、ヒトのグルコースレベルを約10%を超えて低下させることを特徴とする使用。
- 請求項40に記載の使用において、前記薬物が、直径1乃至700ミクロンのサイズを有するエアロゾル滴として投与されることを特徴とする使用。
- ヒトにおける真性糖尿病又は高血糖を治療する薬物の製造において、ヒトインスリン、メチル−β−シクロデキストリン、L−α−ホスファチジルコリンジデカノイル、エデト酸二ナトリウム及びポリソルベート80の水溶液を具えることを特徴とする医薬組成物の使用。
- 請求項50に記載の使用において、前記ヒトインスリンが速効型インスリンであることを特徴とする使用。
- 請求項50に記載の使用において、前記ヒトインスリンがヒトインスリン(AspB28)であることを特徴とする使用。
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