JP5493526B2 - Cmp用研磨液及び研磨方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体デバイスの配線形成工程等における研磨に使用されるCMP用研磨液及び研磨方法に関する。
近年、半導体集積回路(以下、LSIという)の高集積化、高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(以下、CMPという)法もその一つであり、LSI製造工程、特に、多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグの形成、埋め込み配線の形成において頻繁に利用される技術である。この技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
また、最近は、LSIを高性能化するために、配線部用金属として銅又は銅合金の利用が試みられている。しかし、銅又は銅合金は従来のアルミニウム合金配線の形成で頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難である。
そこで、あらかじめ溝を形成してある絶縁膜上に銅又は銅合金を堆積して埋め込み、溝部以外の前記薄膜をCMPにより除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン法が主に採用されている。この技術は、例えば、特許文献2に開示されている。
一方、銅又は銅合金等の配線部用金属の下層には、層間絶縁膜中への金属の拡散防止や密着性向上のためのバリア導体の層(以下、バリア層という)が形成される。従って、銅又は銅合金等の配線部用金属を埋め込む配線部以外では、露出したバリア層をCMPにより取り除く必要がある。
しかし、前記バリア導体は、銅又は銅合金等の配線部用金属に比べ硬度が高い。このため、銅又は銅合金用の研磨材で研磨しても充分な研磨速度が得られなかったり、研磨終了後の平坦性が悪くなったりする。そこで、配線部用金属を研磨する第1の研磨工程と、バリア層を研磨する第2の研磨工程からなる2段階の研磨工程からなる研磨方法が検討されている。
図1に一般的なダマシンプロセスによる配線形成を断面模式図で示す。図1(a)は研磨前の状態を示し、表面に溝を形成した層間絶縁膜1、層間絶縁膜1の表面凹凸に追従するように形成されたバリア層2、凹凸を埋めるように堆積された銅又は銅合金の配線部用金属3を有する。
まず、図1(b)に示すように、配線部用金属を研磨するための研磨液で、バリア層2が露出するまで配線部用金属3を研磨する(第1の研磨工程)。次に、バリア層2用の研磨液で層間絶縁膜1の凸部が露出するまで研磨する(第2の研磨工程)。この第2の研磨工程においては、図1(c)に示すように、層間絶縁膜を余分に研磨するオーバー研磨が行われることが多い。図1の(c)において、記号4は、第2の研磨工程における、バリア層研磨前の図1(b)の状態を示す。このようなオーバー研磨により、研磨後の被研磨面の平坦性を高めることができる。
このようなバリア層用の研磨液として、酸化剤と、金属表面に対する保護膜形成剤と、酸と、水とを含み、pHが3以下であり、前記酸化剤の濃度が0.01〜3重量%である化学機械研磨用研磨剤が提案されている。(例えば特許文献3参照。)
ところで、近年、配線間隔がさらに微細化されていることに伴い、配線遅延の問題が生じてきている。この課題を克服するため、二酸化珪素を主体とする層間絶縁膜から、低誘電率材料の膜(以下、「low−k膜」という)への転換が図られている。これらのlow−k膜は、有機化合物を原料としたり、膜に空孔を形成させたりすることによって、誘電率を下げているため、二酸化珪素膜よりも、機械的強度が低い、吸湿性が高い、プラズマ及び薬品耐性が低いといった弱点を有する。このため、前記第2の研磨工程において、low−k膜が損傷したり、過剰に研磨されたりしやすい。
このような課題を克服するため、low−k膜を二酸化珪素でキャップした構造とすることが提案されている。図2に、このような構造のデバイスの製造プロセスの一例を示す。図2の(a)の構造を得るための一般的な手法は以下の通りである。まず、シリコン等の基板5上にlow−k膜6と二酸化珪素からなるキャップ層7を積層した後、凹凸を形成する。その上に、表面の凹凸に追従するようにバリア層2を形成し、凹凸を埋めるように、配線部用金属3を形成する。
層間絶縁膜となる部分にキャップ層としての二酸化珪素が含まれると、二酸化珪素の誘電率の影響を受けてしまうため、層間絶縁膜全体として実効比誘電率がさほど低くならない。すなわち、low−k膜6の有する低誘電率特性を充分活かせていないこととなる。従って、前記キャップ層7としての二酸化珪素は、前記バリア層研磨時に除去され、最終的にはlow−k膜のみからなる層間絶縁膜とすることが望ましい。
このような構造のデバイスを得るためには、図2の(a)に示す状態から、図2(b)に示すように、研磨を行う。具体的には、配線部用金属を研磨するための研磨液で、バリア層2が露出するまで配線部用金属3を研磨する(第1の研磨工程)。次に、バリア層2用の研磨液でバリア層を研磨し、図2(c)に示すように、少なくとも二酸化珪素のキャップ層7を全て除去し、low−k膜6が露出するまで研磨する(第2の研磨工程)。
従って、前記の第2の研磨工程では、バリア層及び配線部用金属だけでなく、キャップ層(二酸化珪素)及びlow−k膜も研磨する必要がある。また、半導体デバイスを設計通り構築するため、キャップ層を削りきった後に露出する下層のlow−k膜の削れ量を極力抑える必要もある。これらの理由より、キャップ層である二酸化珪素等の酸化膜に対しては高研磨速度を示し、low−k膜に対しては低研磨速度を示す必要がある。
米国特許第4944836号明細書 特開平02−278822号公報 再公表特許WO01/13417号
従来のバリア層用研磨液は、バリア層及び二酸化珪素は好適に研磨できるが、low−k膜に対する研磨速度が速すぎるという課題を有している。このような研磨液を使用すると、エロージョン及びシームが発生し被研磨面の平坦性が悪化しやすく、半導体デバイスの配線抵抗が増加したり信頼性が低下したりする等の問題が生じる可能性がある。
本発明は、これらの課題を解決しようとするものであって、バリア層に対する良好な研磨速度を維持しつつ、キャップ層である二酸化珪素に対する高い研磨速度と、low−k膜に対する低い研磨速度を達成できる研磨液及び研磨方法を提供するものである。
より詳細には、本発明は、バリア層を研磨する工程において、low−k膜の研磨速度を抑制し、二酸化珪素の研磨速度がlow−k膜の研磨速度より充分速いCMP用研磨液及び研磨方法を提供するものである。さらに具体的には実用的な研磨条件での研磨速度が100Å/分未満であり、low−k膜の研磨速度に対して、キャップ層である二酸化珪素の研磨速度が10倍以上となるCMP用研磨液及び研磨方法を提供するものである。
本発明者等は、二酸化珪素膜が研磨されるときには砥粒が被研磨面に集まり、low−k膜が研磨されるときには砥粒が被研磨面に集まりにくくするようにすることで、前記の課題を克服することができると着想し、鋭意検討を行った結果、所定の構成を有するCMP用研磨液であれば、前記課題を解決できることを見いだしたものである。
具体的には、本発明は、以下の通りである。
(1)砥粒、酸化金属溶解剤、酸化剤、水及び第四級ホスホニウム塩を含有してなり、
前記砥粒は、CMP用研磨液中において正のゼータ電位を有し、且つ
前記第四級ホスホニウム塩は、アルキルトリフェニルホスホニウム塩構造を有してなるCMP用研磨液。
(2)前記アルキルトリフェニルホスホニウム塩構造におけるアルキル基が、炭素原子数1〜14の鎖長を有する前記(1)記載のCMP用研磨液。
(3)前記第四級ホスホニウム塩が、下記一般式(1)で表されるものである前記(1)又は(2)に記載のCMP用研磨液。
Figure 0005493526
(式(1)中、各ベンゼン環は置換基を有していても良く、Rは、置換基を有していても良いアルキル基を表し、Xは陰イオンを表す。)
(4)前記第四級ホスホニウム塩が、ブチルトリフェニルホスホニウム塩、アミルトリフェニルホスホニウム塩、ヘキシルトリフェニルホスホニウム塩、n−ヘプチルトリフェニルホスホニウム塩、テトラフェニルホスホニウム塩、ベンジルトリフェニルホスホニウム塩から選ばれる少なくとも1種である前記(1)又は(2)に記載のCMP用研磨液。
(5)前記第四級ホスホニウム塩の含有量が、CMP用研磨液100質量部に対して0.0001〜1質量部である前記(1)又は(2)に記載のCMP用研磨液。
(6)pHが4以下である前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載のCMP用研磨液。
(7)前記砥粒が、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア又はこれらの変性物から選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のCMP用研磨液。
(8)前記酸化金属溶解剤が、有機酸、有機酸エステル、有機酸のアンモニウム塩、無機酸及び無機酸のアンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(7)のいずれか一つに記載のCMP用研磨液。
(9)前記金属の酸化剤が、過酸化水素、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸及びオゾン水から選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(8)のいずれか一つに記載のCMP用研磨液。
(10)金属防食剤を含有した前記(1)〜(9)いずれか一つに記載のCMP用研磨液。
(11)前記金属防食剤が、イミダゾール骨格を有する化合物、トリアゾール骨格を有する化合物、テトラゾール骨格を有する化合物、ピラゾール骨格を有する化合物、ピリミジン骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種である前記(10)記載のCMP用研磨液。
(12)水溶性ポリマーを含有した前記(1)〜(11)のいずれか一つに記載のCMP用研磨液。
(13)前記水溶性ポリマーが、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の塩、多糖類及びビニル系ポリマーから選ばれる少なくとも1種である前記(12)記載のCMP用研磨液。
(14)有機溶媒を含有した前記(1)〜(13)のいずれか一つに記載のCMP用研磨液。
(15)前記有機溶媒が、グリコール類、エーテル類、アルコール類、エステル類、ケトン類、フェノール類、アミド類、スルホラン類から選ばれる少なくとも1種である前記(14)記載のCMP用研磨液。
(16)前記CMP用研磨液は、第1の研磨工程及び第2の研磨工程を有する研磨方法における前記第2の研磨工程に用いられるものであり、
前記第1の研磨工程は、表面に凹凸が形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜を表面に沿って被覆するバリア層と、前記凹部を充填してバリア層を被覆する配線部用金属と、を有する基板の前記配線部用金属を研磨して前記凸部のバリア層を露出させる工程であり、
前記第2の研磨工程は、前記第1の研磨工程で露出したバリア層を研磨して前記凸部の層間絶縁膜を露出させる工程であり、
前記層間絶縁膜が、low−k膜と、該low−k膜をキャップしたキャップ層とを有し、前記low−k膜が、誘電率2.9以下のシリコン系被膜又は有機ポリマー膜である前記(1)〜(15)のいずれか一つに記載のCMP用研磨液。
(17)第1の研磨工程及び第2の研磨工程を有することを特徴とする研磨方法であって、
前記第1の研磨工程は、表面に凹凸が形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜を表面に沿って被覆するバリア層と、前記凹部を充填してバリア層を被覆する配線部用金属と、を有する基板の前記配線部用金属を研磨して前記凸部のバリア層を露出させる工程であり、
前記第2の研磨工程は、前記第1の研磨工程で露出したバリア層を、前記(1)〜(15)のいずれか一つに記載のCMP用研磨液を用いて研磨して、前記凸部の層間絶縁膜を露出させる工程である研磨方法。
(18)前記層間絶縁膜が、low−k膜と、該low−k膜をキャップしたキャップ層とを有し、前記low−k膜が、誘電率2.9以下のシリコン系被膜又は有機ポリマー膜である前記(17)に記載の研磨方法。
(19)前記low−k膜に対する前記キャップ層の研磨速度比が10倍以上である前記(18)に記載の研磨方法。
(20)前記配線部用金属が、銅、銅合金、銅の酸化物及び銅合金の酸化物から選ばれる少なくとも1種の配線部用金属を含む前記(17)〜(19)のいずれか一つに記載の研磨方法。
(21)前記バリア層が、タンタル、タンタル化合物、チタン、チタン化合物、タングステン、タングステン化合物、ルテニウム及びルテニウム化合物から選ばれる少なくとも1種を含む前記(17)〜(20)のいずれか一つに記載の研磨方法。
なお、本発明において、「表面に凹凸が形成された層間絶縁膜」とは、図1に示されるように層間絶縁膜自体に凹凸が形成された状態でもよく、また、図2に示すように、Si基板等の他の基板の上に部分的に層間絶縁膜を形成して凹部及び凸部を有するようにした状態も含むものとする。従って、本発明において「層間絶縁膜を表面に沿って被覆するバリア層」とは、図2に示すように、バリア層が、部分的に層間絶縁膜以外の部分を被覆している状態であってもよい。
本発明によれば、層間絶縁膜の研磨速度を膜種ごとに制御可能なCMP用研磨液を提供することができる。具体的には、相対的に疎水性の低い膜に対しては高い研磨速度を示し、相対的に疎水性の高い膜に対しては低い研磨速度を有するCMP用研磨液を提供する。
さらに具体的態様を用いて説明すると、例えば、前記第2の研磨工程において、バリア層に対する良好な研磨速度を維持しつつ、キャップ層の二酸化珪素に対する高い研磨速度と、low−k膜に対する低い研磨速度とを有するCMP用研磨液を提供することができる。
さらには、バリア層を研磨する前記第2の研磨工程におけるlow−k膜の研磨速度を抑制し、具体的には実用的な研磨条件でのlow−k膜における研磨速度が100Å/分未満であり、且つlow−k膜の研磨速度に対してキャップ層としての二酸化珪素膜の研磨速度が10倍以上となるCMP用研磨液を提供することができる。
また、本発明によれば、前記のCMP用研磨液を用いて、微細化、薄膜化、寸法精度にも優れ、信頼性の高い、低コストの半導体デバイス等の製造における研磨方法を提供することができる。
一般的なダマシンプロセスによる配線形成の断面模式図を示す。 層間絶縁膜にlow−k膜及びキャップ層を用いた配線形成の断面模式図を示す。
本発明のCMP用研磨液において、具体的態様の一つは、砥粒、酸化金属溶解剤、酸化剤、水及びアルキルトリフェニルホスホニウム塩構造を有する第四級ホスホニウム塩を含有してなり、前記砥粒は、CMP用研磨液中において正のゼータ電位を有するCMP用研磨液である。ここで、アルキルトリフェニルホスホニウム塩構造とは、ホスホニウム塩のリン原子に、一つのアルキル基と、三つのフェニル基が結合した構造をいう。
このように、疎水性を発現するアルキル基と、正電荷を発現するホスホニウムイオンを一つの分子内に持つ第四級ホスホニウム塩を使用することで、CMP用研磨液の組成を大きく変化させることなく、層間絶縁膜を構成する物質の種類毎に研磨速度を制御可能とするものである。
このメカニズムとしては、詳しいことはわかっていないが、本発明者らは以下のように考えている。すなわち、二酸化珪素と比較して、より疎水性の高い膜(例えばlow−k膜)の上には、疎水基を有する第四級ホスホニウム塩が選択的に集まる。その結果、疎水性の高い膜上には同時に正の電荷をもつホスホニウムイオンが多数存在することとなり、正のゼータ電位を有する砥粒とは反発関係となる。このように、疎水性の高い膜と砥粒が反発することにより、砥粒が疎水性の高い膜に接近しづらくなり、疎水性の高い膜の研磨速度が大幅に抑制されると推定される。一方、前記疎水性の高い膜より相対的に疎水性の低い膜(例えば、二酸化珪素等のキャップ層)上には、第四級ホスホニウムがさほど集まってこないために、研磨速度の低減は見られないと推定される。このように、膜の種類毎の特性の違いと砥粒の電荷に着目し、第四級ホスホニウム塩を添加することで研磨速度の制御が可能であることを見出した。
なお、本発明において、疎水性の高低とは、複数の膜を比較した場合の相対的な高低を意味するものであり、定量的に表される疎水性を意味するものではない。
このように、第四級ホスホニウム塩を添加したCMP用研磨液を、前記第2の研磨工程に適用した場合、第四級ホスホニウム塩は、キャップ層としての二酸化珪素膜に対する親和性と、low−k膜に対する親和性とが異なるため、CMP用研磨液中において正のゼータ電位を有する砥粒と併用することで、キャップ層に対する研磨速度とlow−k膜に対する研磨速度に差をつけることができる。換言すると、キャップ層とlow−k膜の良好な研磨速度比を得ることができる。
なお、バリア層や配線部用金属等の金属の層は、砥粒による機械的な研磨だけではなく、化学成分によるエッチングとの組合せで研磨が進行する。つまり、バリア層及び配線部用金属の研磨速度に対する砥粒の濃度(集まり)の影響は、層間絶縁膜層に対する影響よりも小さいと考えられる。このため、CMP用研磨液中の砥粒の濃度(集まり)を制御することで、バリア層に対する良好な研磨速度を維持しつつ、キャップ層に対しては高い研磨速度を有し、low−k膜に対しては低い研磨速度を有することが可能となる。
(第四級ホスホニウム塩)
前記第四級ホスホニウム塩は、アルキルトリフェニルホスホニウム塩構造を有していることが重要である。
なお、第四級ホスホニウム塩であれば何でもよいわけでなく、リン原子に結合する3つのフェニル基により、疎水性の効果が期待できることから、アルキルトリフェニルホスホニウム塩構造を有することが重要である。リン原子に結合する置換基の疎水性が弱い場合は、疎水性の高いlow−k膜との親和力が弱くなり、効果が得られにくい。
また、疎水性を強くするためには、前記置換基が、フェニル基の代わりに長鎖アルキル基である第四級ホスホニウム塩を使用することが考えられたが、本発明者らの検討では、そのような第四級ホスホニウム塩では、low−k膜に対する研磨速度抑制効果が小さかったり、CMP用研磨液が泡立ってしまったりする問題があることがわかっている。
前記メカニズムを効率よく発現するためには、前記アルキルトリフェニルホスホニウム塩構造におけるアルキル基の鎖長は、炭素原子数1個以上14個以下であることが好ましく、炭素原子数4個以上7個以下であることがより好ましい。前記アルキル基鎖長が炭素原子数14個以下であれば、CMP用研磨液の保管安定性に優れる傾向がある。なお、アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また、途中に環状構造を有していても良い。これらの場合、最も長く鎖長をとれる部分で前記鎖長を決定する。
前記第四級ホスホニウム塩は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005493526
(式(1)中、各ベンゼン環は置換基を有していてもよく、Rは、置換基を有していても良いアルキル基を表し、Xは陰イオンを表す。)
式(1)中、Rのアルキル基は、前記で説明したとおり、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状構造を有するアルキル基であることができる。環状構造を有するアルキル基である場合は、上述のようにベンゼン環を有するアルキル基であってもよく、好ましくはベンジル基又はフェニル基の誘導体、より好ましくはベンジル基又はフェニル基である。また、アルキル基の鎖長については、上述の通り、炭素原子数1個以上14個以下であることが好ましく、炭素原子数4個以上7個以下であることがより好ましい。
なお、各ベンゼン環の置換基としては、ハロゲン基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシル基、ホルミル基、アミノ基等が挙げられる。
また、Rが分岐状アルキル基の場合、その分岐部(最も長い鎖長でない部分)を置換基とし、Rが環状構造を有するアルキル基の場合、その環状構造部分が置換基となる。それ以外のRの置換基としては、ハロゲン基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシル基、ホルミル基、アミノ基等が挙げられる。
また、式(1)中のXの陰イオンは、特に限定はないが、ハロゲンイオン(例えば、F、Cl、Br、I)、水酸化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸イオン、チオ硫酸イオン、炭酸イオン等を挙げることができる。
このような第四級ホスホニウム塩の具体例としては、例えば、メチルトリフェニルホスホニウム塩、エチルトリフェニルホスホニウム塩、トリフェニルプロピルホスホニウム塩、イソプロピルトリフェニルホスホニウム塩、ブチルトリフェニルホスホニウム塩、アミルトリフェニルホスホニウム塩、ヘキシルトリフェニルホスホニウム塩、n−ヘプチルトリフェニルホスホニウム塩、トリフェニル(テトラデシル)ホスホニウム塩、テトラフェニルホスホニウム塩、ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、(2−ヒドロキシベンジル)トリフェニルホスホニウム塩、(2−クロロベンジル)トリフェニルホスホニウム塩、(4−クロロベンジル)トリフェニルホスホニウム塩、(2,4−ジクロロベンジル)フェニルホスホニウム塩、(4−ニトロベンジル)トリフェニルホスホニウム塩、4−エトキシベンジルトリフェニルホスホニウム塩、(1−ナフチルメチル)トリフェニルホスホニウム塩、(シアノメチル)トリフェニルホスホニウム塩、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウム塩、(ホルミルメチル)トリフェニルホスホニウム塩、アセトニルトリフェニルホスホニウム塩、フェナシルトリフェニルホスホニウム塩、メトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウム塩、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウム塩、(3−カルボキシプロピル)トリフェニルホスホニウム塩、(4−カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウム塩、(N−メチル−N−フェニルアミノ)トリフェニルホスホニウム塩、2−ジメチルアミノエチルトリフェニルホスホニウム塩、トリフェニルビニルホスホニウム塩、アリルトリフェニルホスホニウム塩、トリフェニルプロパルギルホスホニウム塩等を挙げることができ、これらは1種類単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
これらの中では、疎水性の高い膜との親和力の点で、ブチルトリフェニルホスホニウム塩、アミルトリフェニルホスホニウム塩、ヘキシルトリフェニルホスホニウム塩、n−ヘプチルトリフェニルホスホニウム塩、テトラフェニルホスホニウム塩、ベンジルトリフェニルホスホニウム塩がより好ましい。
第四級ホスホニウム塩の含有量は、low−k膜の研磨速度抑制効果が効果的に得られる点で、CMP用研磨液100質量部に対して、0.0001質量部以上が好ましく、0.001質量部以上がより好ましく、0.005質量部以上が特に好ましい。また、CMP用研磨液の保存安定性の点で、1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.2質量部以下が特に好ましい。
(砥粒)
本発明のCMP用研磨液は砥粒を含有することを特徴とする。一般に砥粒は所定の硬度を有するため、その機械的作用により研磨の進行に寄与するが、本発明のCMP用研磨液において使用される砥粒は、前記第四級ホスホニウム塩と相互作用しうるものであることが好ましい。このようにすることで、キャップ層とlow−k膜に対する良好な研磨速度比を得ることが容易になる。ここで、「相互作用」とは、静電的におこる反発作用をいい、より具体的には、例えば正の電荷を持つホスホニウムイオンと正の電荷を周りに有する砥粒の静電反発が挙げられる。
前記相互作用が得られやすくなる点で、前記砥粒はCMP用研磨液中で、表面の電位(ゼータ電位)が0mVより大きい、すなわちプラスのゼータ電位を有することが好ましい。このようにすることで、第四級ホスホニウム塩と静電的な反発の相互作用をもち、疎水性の高い膜の研磨速度を抑制することができる。このような効果をより顕著に得るためには、前記ゼータ電位は0mVより大きいものが好ましく、5mV以上がより好ましく、10mV以上が特に好ましい。また、上限としては研磨速度を過剰に抑制する懸念があるという理由で30mV以下であることがより好ましい。
ゼータ電位は、例えば、マルバーン社製の商品名:ゼータサイザー3000HSAで測定できる。具体的測定方法としては例えば、CMP用研磨液をイオン交換水で希釈して測定サンプルを調整後(散乱光強度が500〜2000cps)、前記装置の試料槽に投入し、散乱光強度から算出される電気泳動移動度として得られる値を読み取ることによって測定できる。
砥粒としては、CMP用研磨液中で表面の電位(ゼータ電位)が正であれば特に制限はないが、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、ゲルマニア又はこれらの変性物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記砥粒のなかでも、CMP用研磨液中での分散安定性が良く、CMPにより発生する研磨傷(スクラッチ)の発生数が少ない点で、コロイダルシリカ又はコロイダルアルミナが好ましい。
また、砥粒の平均粒径としては、CMP用研磨液中での分散安定性が良く、CMPにより発生する研磨傷(スクラッチ)の発生数が少ない点で、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。
前記平均粒径は、CMP用研磨液を動的光散乱式粒度分布計(例えば、COULTER Electronics社製の商品名:COULTER N4 SD)で測定したD50の値(体積分布のメジアン径、累積中央値)をいう。
具体的には、CMP用研磨液を100μL程度量り取り、砥粒濃度が0.05質量%前後(測定時透過率(H)が60〜70%になる濃度)になるようにイオン交換水で希釈する。そしてその希釈液を動的光散乱式粒度分布計の試料槽に投入し、D50として表示される値を読み取ることにより、平均粒径を測ることができる。
さらに、前記砥粒は、研磨中に被研磨面に発生する研磨傷及び砥粒の凝集といった観点より、平均粒度分布の標準偏差が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。
平均粒度分布の標準偏差の測定は、粒度分布計(例えば、堀場製作所製の商品名:LB−500)で測定して求めることができる。
砥粒の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、バリア層、キャップ層に対する良好な研磨速度が得られる点で0.01質量部以上が好ましく、0.02質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上が特に好ましい。また研磨キズを抑制する点で、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
なお、前記ゼータ電位は、後述するCMP用研磨液のpHによって変化しうる。このため、砥粒がCMP用研磨液中で負のゼータ電位を示す場合は、例えば、砥粒表面を改質する等の公知の方法を適用することにより砥粒のゼータ電位を正にすることができる。このような砥粒としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、ゲルマニア等の砥粒粒子の表面をアルキル基で変性したもの等を挙げることができる。砥粒粒子の表面をアルキル基で変性する方法は、特に制限はないが、例えば、砥粒粒子の表面に存在する水酸基とアルキル基を有するアルコキシシランとを反応させる方法が挙げられる。
アルキル基を有するアルコキシシランとしては、特に制限はないが、モノメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルモノメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン等が挙げられる。反応方法としては、特に制限はなく、例えば砥粒粒子とアルコキシシランとを研磨液中で室温又は所望により加熱下に反応させる。
また、配線部用金属、バリア層及び層間絶縁膜のlow−k膜、キャップ層の研磨速度の観点より、前記砥粒は、平均2粒子未満の一次粒子が凝集した凝集粒子であることが好ましく、平均1.5粒子未満の一次粒子が凝集した凝集粒子であることがより好ましい。
平均2粒子未満であることを確認するには、前記の方法で求めた砥粒の平均粒径を、一次粒径で割り、この値が2未満であることを確認すればよい。
前記一次粒径は、砥粒を測長走査型電子顕微鏡(例えば、日立ハイテクノロジーズ社製の商品名:S−4800)で観察し、得られた画像から任意の20個以上の砥粒粒子を選択し、各砥粒粒子について、最大径Lと、前記最大径Lと直行する方向における平均幅Bとを求め、2軸平均径((L+B)/2)の平均値を求める。
(酸化金属溶解剤)
本発明のCMP用研磨液は、バリア層や配線部用金属等の金属層研磨速度を高める目的で酸化金属溶解剤を含有する。このような酸化金属溶解剤としては、金属層と反応し錯体を形成する化合物であれば特に制限はないが、有機酸、有機酸エステル、有機酸のアンモニウム塩、無機酸、無機酸のアンモニウム塩等が挙げられる。具体的には例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸;これらの有機酸エステル及びこれら有機酸のアンモニウム塩;塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;これら無機酸のアンモニウム塩類、例えば過硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、クロム酸等;が挙げられる。
これらの中では、実用的な研磨速度を維持しつつ、エッチング速度を効果的に抑制できるという点で、ギ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、アジピン酸等が好ましい。これら酸化金属溶解剤は、1種類単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
酸化金属溶解剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、好ましくは0.001〜20質量部、より好ましくは0.002〜10質量部、特に好ましくは0.005〜5質量部である。前記酸化金属溶解剤の含有量が0.001質量部以上で用いると、配線部用金属及びバリア層の研磨速度が低くなることもなく、また20質量部以下で用いればエッチングの抑制が容易で被研磨面に荒れが生じにくい傾向がある。
(酸化剤)
本発明のCMP用研磨液は、金属の酸化剤を含有する。金属の酸化剤としては、特に制限はないが、例えば、過酸化水素、ペルオキソ硫酸塩、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸、オゾン水等が挙げられ、その中でも過酸化水素が特に好ましい。これら酸化剤は1種類単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
適用対象の基板が集積回路用素子を含むシリコン基板である場合、アルカリ金属、アルカリ土類金属等による汚染は望ましくないので、不揮発成分を含まない酸化剤が望ましい。但し、オゾン水は組成の経時的変化が激しいので過酸化水素が最も適している。なお、適用対象の基板が半導体素子を含まないガラス基板等である場合は不揮発成分を含む酸化剤であっても差し支えない。
金属の酸化剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.02〜30質量部、特に好ましくは0.05〜15質量部である。前記金属の酸化剤の含有量が0.01質量部以上であると、配線部用金属及びバリア層の酸化が不十分で研磨速度が低くなることもなく、また50質量部以下であれば、被研磨面に荒れが生じにくい傾向がある。
(金属防食剤)
本発明のCMP用研磨液は、金属防食剤を含有することができる。
金属防食剤としては、特に制限はないが、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチアゾール骨格を有する化合物;1,2,3−トリアゾ−ル、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾ−ル、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾール、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールメチルエステル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールブチルエステル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールオクチルエステル、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、[1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル][1,2,4−トリアゾリル−1−メチル][2−エチルヘキシル]アミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のトリアゾール骨格を有する化合物;が挙げられる。
また、ピリミジン骨格を有するピリミジン、1,2,4−トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサハイドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン、1,3−ジフェニル−ピリミジン−2,4,6−トリオン、1,4,5,6−テトラハイドロピリミジン、2,4,5,6−テトラアミノピリミジンサルフェイト、2,4,5−トリハイドロキシピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、2,4,6−トリクロロピリミジン、2,4,6−トリメトキシピリミジン、2,4,6−トリフェニルピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシルピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、2−アセトアミドピリミジン、2−アミノピリミジン、2−メチル−5,7−ジフェニル−(1,2,4)トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、2−メチルサルファニル−5,7−ジフェニル−(1,2,4)トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、2−メチルサルファニル−5,7−ジフェニル−4,7−ジヒドロ−(1,2,4)トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、4−アミノピラゾロ[3,4−d]ピリミジン等のピリミジン骨格を有する化合物が挙げられる。
また、テトラゾール骨格を有するテトラゾール、5−メチルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、1−(2−ジメチルアミノエチル)−5−メルカプトテトラゾール等のテトラゾール骨格を有する化合物が挙げられる。これらは1種類単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
イミダゾール骨格を有するイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2、4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−アミノイミダゾール等のイミダゾール骨格を有する化合物が挙げられる。
ピラゾール骨格を有するピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3―アミノ−5−メチルピラゾール、4−メチルピラゾール、3−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール等のピラゾール骨格を有する化合物が挙げられる。
金属防食剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.005〜5質量部、特に好ましくは0.01〜2質量部である。前記金属防食剤の含有量が0.001質量部以上であると、配線部用金属のエッチングの抑制が容易で被研磨面に荒れが生じにくい傾向がある。また、10質量部以下であると配線部用金属及びバリア層用金属の研磨速度が低下しにくい傾向がある。
(水溶性ポリマー)
本発明のCMP用研磨液は、水溶性ポリマーを含有することができる。水溶性ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは1500以上、特に好ましくは5000以上である。前記水溶性ポリマーの重量平均分子量の上限は特に制限はないが、溶解度の観点から500万以下が好ましい。前記水溶性ポリマーの重量平均分子量が500以上であるとバリア層に対する高い研磨速度を発現する。前記水溶性ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
前記水溶性ポリマーとしては、特に制限はなく、例えば、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロ−ス、寒天、カードラン及びプルラン等の多糖類;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマー等が挙げられる。これら水溶性ポリマーは1種類単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
但し、本発明のCMP用研磨液を適用する基板が半導体集積回路用シリコン基板等の場合は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくない。
このため、前記水溶性ポリマーは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物を含まないものが好ましく、例えば、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリルアミド、ペクチン酸、寒天、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン、これらのエステル及びこれらのアンモニウム塩等が特に好ましい。但し、基板がガラス基板等である場合はその限りではない。
水溶性ポリマーの含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、好ましくは0.001〜15質量部、より好ましくは0.005〜10質量部、特に好ましくは0.01〜5質量部である。前記水溶性ポリマーの含有量が0.001質量部以上であると、エロージョン及びシームの抑制効果が低下することもなく、15質量部以下であると、CMP用研磨液に含まれる砥粒の安定性が極端に低下することもない。
(有機溶媒)
本発明のCMP用研磨液は有機溶媒を含有することができる。有機溶媒としては特に制限はないが、水と任意で混合できるものが好ましい。
有機溶媒の具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の炭酸エステル類;ブチロラクトン、プロピロラクトン等のラクトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類;グリコール類の誘導体として、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルやエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルやエチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテルやエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールモノエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテルやエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジプロピルエーテルやエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等のグリコールジエーテル類等;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ポリエチレンオキサイド、エチレングリコールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;その他、フェノール、ジメチルホルムアミド等のアミド類、n−メチルピロリドン、酢酸エチル、乳酸エチル、スルホラン類等が挙げられる。
これらのなかでも、グリコールモノエーテル類、アルコール類、炭酸エステル類が好ましい。
これら有機溶媒は、1種類単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
有機溶媒の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.2〜30質量部、特に好ましくは0.5〜10質量部である。前記有機溶媒の含有量が0.1質量部以上であると、研磨液の基板に対する濡れ性が低くなることもなく、50質量部以下であると分散性が悪くなることもない。
(水)
なお、CMP用研磨液における水の配合量は残部でよく、含有されていれば特に制限はない。
(CMP用研磨液のpH)
本発明のCMP用研磨液のpHは、砥粒の分散安定性の点で4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。また、使用する際の安全性の点で1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。なお、pHを調整するために適宜酸又は塩基を添加することができる。
(CMP用研磨液の利用)
本発明のCMP用研磨液は、半導体デバイスにおける配線層の形成に適用できる。
例えば配線部用金属と、バリア層と、キャップ層と、low−k膜とのCMPに使用することができる。同一条件下のCMPにおいて配線部用金属/バリア層/キャップ層/low−k膜の研磨速度比は、0.1〜2/1/0.1〜5/0.01〜0.5で研磨されるのが好ましい。なお、low−k膜に対するキャップ層の研磨速度比は10倍以上であることがより好ましい。
本発明のCMP用研磨液を用いれば、前記研磨速度比とすることができる。
研磨速度比の確認方法は、本発明においては下記の研磨条件により、対象となる被研磨面を前記研磨条件で60秒間化学機械研磨を行い、下記の洗浄条件で基板を洗浄した後、研磨前後での膜厚差を、例えば、大日本スクリーン製造株式会社製の膜厚測定装置(製品名:ラムダエース、VL−M8000LS)を用いて測定することで研磨速度比を算出する。
[研磨条件]
研磨装置:片面金属膜用研磨機(アプライドマテリアルズ社製、MIRRA)
研磨布:発泡ポリウレタン樹脂製研磨布
定盤回転数:93回/分
ヘッド回転数:87回/分
研磨圧力:10kPa
研磨液の供給量:200ml/分
[基板の洗浄条件]
研磨した基板の被研磨面にスポンジブラシ(ポリビニルアルコール系樹脂製)を押し付け、蒸留水を基板に供給しながら基板とスポンジブラシを回転させ、60秒間洗浄する。
次にスポンジブラシを取り除き、基板の被研磨面に蒸留水を60秒間供給する。最後に基板を高速で回転させて蒸留水を弾き飛ばして基板を乾燥する。
層間絶縁膜としては、キャップ層とlow−k膜がある。キャップ層としては、二酸化珪素等の酸化物が挙げられる。low−k膜としては、シリコン系被膜そして有機ポリマー膜が挙げられる。
low−k膜としてのシリコン系被膜は、シリコン酸化膜、フルオロシリケートグラス、トリメチルシランやジメトキシジメチルシランを出発原料として得られるオルガノシリケートグラス、ポーラスオルガノシリケートグラス等のシリカ系被膜が挙げられる。
また、low−k膜としての有機ポリマー膜としては、全芳香族系低誘電率層間絶縁膜が挙げられる。なおこれらは、配線遅延を解消する点より、誘電率が2.9以下であることが好ましい。
これらの中でも特に、フルオロシリケートグラス、オルガノシリケートグラス、ポーラスオルガノシリケートグラス等が、low−k膜として用いられる。これらの膜は、CVD法、スピンコート法、ディップコート法又はスプレー法によって成膜される。
層間絶縁膜の具体例としては、LSI製造工程、特に多層配線形成工程における層間絶縁膜等が挙げられる。
配線部用金属としては、銅、銅合金、銅の酸化物、銅合金の酸化物等の銅系金属、銀、金などが主成分の金属が挙げられ、銅系金属が好ましい。配線部用金属は、公知のスパッタ法、メッキ法により成膜することができる。
バリア層としては、層間絶縁膜中への配線部用金属が拡散するのを防止するため及び層間絶縁膜と配線部用金属との密着性向上のために形成される。
バリア層の組成は、タングステン、窒化タングステン、タングステン合金等のタングステン化合物、チタン、窒化チタン、チタン合金等のチタン化合物、タンタル、窒化タンタル、タンタル合金等のタンタル化合物、ルテニウム等のルテニウム化合物などが好ましい。バリア層は、これらの1種からなる単層構造であっても、2種以上からなる積層構造であってもよい。
研磨する装置としては、例えば研磨布により研磨する場合、研磨される基板を保持できるホルダと、回転数が変更可能なモータ等と接続し、研磨布を貼り付けた研磨定盤とを有する一般的な研磨装置が使用できる。研磨布としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等が使用でき、特に制限はない。
研磨条件には制限はないが、定盤の回転速度は基板が飛び出さないように200min−1以下の低回転が好ましい。被研磨面を有する半導体基板の研磨布への押し付け圧力は、1〜100kPaであることが好ましく、研磨速度の被研磨面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、5〜50kPaであることがより好ましい。
研磨している間、研磨布には本発明のCMP用研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量には特に制限はないが、研磨布の表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
研磨終了後の基板は、流水中でよく洗浄後、スピンドライ等を用いて基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。
研磨布の表面状態を常に同一にして化学機械研磨を行うために、研磨の前に研磨布のコンディショニング工程を入れるのが好ましい。例えば、ダイヤモンド粒子のついたドレッサを用いて少なくとも水を含む液で研磨布のコンディショニングを行う。続いて本発明の研磨方法を実施し、さらに、基板洗浄工程を加えるのが好ましい。
以下、本発明の研磨方法の実施態様を、半導体デバイスにおける配線層の形成に沿って説明する。
まず、シリコンの基板上にオルガノシリケートグラス等のlow−k膜を層間絶縁膜として成膜した後、その上部に二酸化珪素等のキャップ膜を積層し層間絶縁膜を形成する。
次いで、レジスト層形成、エッチング等の公知の手段によって、層間絶縁膜表面に所定パターンの凹部(基板露出部)を形成して、凸部と凹部とを有する層間絶縁膜とする。この層間絶縁膜上に、表面の凸凹に沿って層間絶縁膜を被覆するタンタル等のバリア層を蒸着又はCVD等により成膜する。
さらに、前記凹部を充填するようにバリア層を被覆する銅等の配線部用金属を蒸着、めっき又はCVD等により形成する。基板上に形成された層間絶縁膜の厚さは0.01〜2.0μm程度、バリア層の厚さは0.01〜2.5μm程度、配線部用金属の厚さは0.01〜2.5μm程度が好ましい。
次に、この基板の表面の配線部用金属を、例えば、前記配線部用金属/バリア層の研磨速度比が十分大きい前記配線部用金属用の研磨液を用いて、CMPにより研磨する(第1の研磨工程)。これにより、基板上の凸部のバリア層が表面に露出し、凹部に前記配線部用金属が残された所望の導体パターンが得られる。前記配線部用金属/バリア層の研磨速度比が十分大きい前記配線部用金属用の研磨液としては、例えば、特許第3337464号公報に記載の研磨液を用いることができる。
この研磨が進行する際に、配線部用金属と同時に凸部のバリア層の一部が研磨されてもよい。第1の研磨工程により得られたパターン面を、第2の研磨工程用の被研磨面として、本発明のCMP用研磨液を用いて研磨することができる。
第2の研磨工程では、前記基板を研磨布の上に押圧した状態で前記研磨布と基板の間に本発明のCMP用研磨液を供給しながら研磨定盤と前記基板とを相対的に動かすことにより、前記第1の研磨工程により露出したバリア層を研磨する。
本発明のCMP用研磨液は、配線部用金属、バリア層及びキャップ層並びにlow−k膜を研磨でき、第2の研磨工程では、少なくとも、前記露出しているバリア層を研磨する。
凸部バリア層の下のキャップ層が除去され、low−k膜が全て露出し、凹部に配線層となる前記配線部用金属が残され、凸部と凹部との境界にバリア層の断面が露出した所望のパターンが得られた時点で研磨を終了する。
研磨終了時のより優れた平坦性を確保するために、さらに、オーバー研磨(例えば、第2の研磨工程で所望のパターンを得られるまでの時間が100秒の場合、この100秒の研磨に加えて50秒追加して研磨することをオーバー研磨50%という。)して凸部のlow−k膜の一部を含む深さまで研磨しても良い。
このようにして形成された金属配線の上に、キャップ層を含む層間絶縁膜及び第2層目の金属配線を形成した後、研磨して半導体基板全面に渡って平滑な面とする。この工程を所定数繰り返すことにより、所望の配線層数を有する半導体デバイスを製造することができる。
本発明のCMP用研磨液は、前記のような半導体基板に形成された金属膜の研磨だけでなく、磁気ヘッド等の基板を研磨するためにも使用することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に制限するものではない。例えば、研磨液の材料の種類やその配合比率は、本実施例記載の種類や比率以外でも差し支えなく、研磨対象の組成や構造も、本実施例記載以外の組成や構造でも差し支えない。
(実施例1)
[CMP用研磨液(I)の作製]
ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.1質量部、平均二次粒径60nmのコロイダルシリカ4.0質量部、マロン酸0.5質量部、30%過酸化水素水0.2質量部、1−ヒドロキシベンゾトリゾール0.1質量部、ポリアクリル酸(重量平均分子量60000)0.1質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル2.0質量部及び水93.0質量部を攪拌・混合し、CMP用研磨液(I)を作製した。
(実施例2〜8)
[CMP用研磨液(II)〜(VIII)の作製]
表1に示す各成分を混合し、実施例1と同様に操作してCMP用研磨液(II)〜(VIII)を作製した。
(比較例1)
[CMP用研磨液(IX)の作製]
平均粒径60nmのコロイダルシリカ4.0質量部、マロン酸0.5質量部、30%過酸化水素水0.2質量部、5−アミノテトラゾール0.2質量部、ポリアクリル酸(重量平均分子量60000)0.1質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル2.0質量部及び水93.0質量部を攪拌・混合し、CMP用研磨液(IX)を作製した。
(比較例2〜5)
[CMP用研磨液(X)〜(XIII)の作製]
添加剤として表2に示す各成分を混合し、比較例1と同様に操作してCMP用研磨液(X)〜(XIII)を作製した。
[CMP用研磨液(I)〜(XIII)の評価]
以下の項目により、CMP用研磨液(I)〜(XIII)の評価を行った。(ブランケットウエハの研磨評価及び発泡性評価)
以下の基板を用意した。
ブランケット基板(a):CVD法でオルガノシリケートグラス(厚さ:1000nm)を形成したシリコン基板。
ブランケット基板(b):CVD法で二酸化珪素(厚さ:1000nm)を形成したシリコン基板。
ブランケット基板(c):スパッタ法で窒化タンタル(厚さ:200nm)を形成したシリコン基板。
ブランケット基板(d):めっき法で銅(厚さ:1000nm)を形成したシリコン基板。
[研磨条件]
研磨装置:片面金属膜用研磨機(アプライドマテリアルズ社製、MIRRA)
研磨布:発泡ポリウレタン樹脂製研磨布
定盤回転数:93回/分
ヘッド回転数:87回/分
研磨圧力:14kPa
研磨液の供給量:200ml/分
(基板の研磨工程)
前記パターン基板をCMP用研磨液(I)〜(XIII)で、前記研磨条件で60秒間化学機械研磨した。
(基板の洗浄工程)
前記で研磨した基板の被研磨面にスポンジブラシ(ポリビニルアルコール系樹脂製)を押し付け、蒸留水を基板に供給しながら基板とスポンジブラシを回転させ、60秒間洗浄した。
次にスポンジブラシを取り除き、基板の被研磨面に蒸留水を60秒間供給した。最後に基板を高速で回転させて蒸留水を弾き飛ばして基板を乾燥した。
(評価項目)
研磨速度と研磨液の発泡性について下記のように評価した。
研磨速度:前記条件で研磨及び洗浄した(a)及び(b)のブランケット基板の研磨速度を、研磨前後での膜厚差を大日本スクリーン製造株式会社製、膜厚測定装置(製品名:ラムダエース、VL−M8000LS)を用いて測定し求めた。また、研磨及び洗浄した(c)及び(d)のブランケット基板の研磨速度を、研磨前後での膜厚差を日立国際電気株式会社製、金属膜厚測定装置(製品名:VR−120/08S)を用いて測定し求めた。その結果を表1及び表2に示す。
研磨液の発泡性:前記の作製方法で配合した各CMP用研磨液(I)〜(XIII)を、2000ml蓋付き透明ポリ容器に500g取り分け、本ポリ容器を2分間激しく振とうした。その後、30分間静置し、本ポリ容器内の発泡状態を確認した。その結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005493526
Figure 0005493526
表1に示されるように、第四級ホスホニウム塩が、アルキルトリフェニルホスホニウム塩構造を有している実施例1〜8のCMP用研磨液では、オルガノシリケートグラスの研磨速度が100Å/分未満であり、且つ研磨速度比率が10倍以上であることが明らかである。さらに、研磨液の発泡も抑制していることが分かる。
これに対し、表2に示されるように、第四級ホスホニウム塩を配合していない比較例1のCMP用研磨液では、オルガノシリケートグラスの研磨速度が100Å/分以上であり、且つ研磨速度比率が10倍未満であることが明らかである。また、第四級ホスホニウムは用いているものの、第四級ホスホニウム塩の置換基が全てエチル基のテトラエチルホスホニウムブロミド及び、全てn−オクチル基のテトラn−オクチルホスホニウムブロミドである比較例2及び3のCMP用研磨液では、オルガノシリケートグラスの研磨速度の抑制が見られず、研磨速度比率が10倍未満であった。これにより、第四級ホスホニウム塩であっても、アルキルトリフェニルホスホニウム塩構造でないものでは、充分な効果が得られないことがわかる。
表2に示されるように、第四級アンモニウム塩の置換基が全てメチル基のテトラメチルアンモニウムクロリドを配合した比較例4のCMP用研磨液では、オルガノシリケートグラスの研磨速度が100Å/分以上であり、且つ研磨速度比率が10倍未満であることが明らかである。また、第四級アンモニウム塩の置換基の内、一つをドデシル基としたドデシルトリメチルアンモニウムクロリドを配合した比較例5のCMP用研磨液では、オルガノシリケートグラスの研磨速度は100Å/分未満であり、且つ研磨速度比率が10倍以上であるが、研磨液の発泡は抑制されていないことが分かる。
本発明のCMP用研磨液では、微細金属配線の形成が必要不可欠である高性能半導体デバイス製造において、短絡、断線、歩留まり、信頼性の低下等の不具合を抑制できることが明らかである。
より詳しくは、層間絶縁膜としてlow−k膜とキャップ層を有し、キャップ層の上にバリア層が形成される基板を研磨する研磨方法において、本発明のCMP用研磨液は、バリア層に対する良好な研磨速度を維持しつつ、二酸化珪素に対する高い研磨速度と、low−k膜に対する低い研磨速度を達成できることが明らかである。
1 層間絶縁膜
2 バリア層
3 配線部用金属
5 Si基板
6 low−k膜
7 キャップ層

Claims (21)

  1. 砥粒、酸化金属溶解剤、酸化剤、水及び第四級ホスホニウム塩を含有してなり、
    前記砥粒は、CMP用研磨液中において正のゼータ電位を有し、且つ
    前記第四級ホスホニウム塩は、リン原子に結合する3つのフェニル基を有するホスホニウム塩構造を有してなるCMP用研磨液。
  2. 前記第四級ホスホニウム塩が、下記一般式(1)で表されるものである請求項に記載のCMP用研磨液。
    Figure 0005493526
    (式(1)中、各ベンゼン環は置換基を有していても良く、Rは、置換基を有していても良いアルキル基又はフェニル基を表し、Xは陰イオンを表す。)
  3. 前記第四級ホスホニウム塩が、アルキルトリフェニルホスホニウム塩構造を有し、該アルキルトリフェニルホスホニウム塩構造におけるアルキル基が、炭素原子数1〜14の鎖長を有する請求項1又は2記載のCMP用研磨液。
  4. 前記第四級ホスホニウム塩が、ブチルトリフェニルホスホニウム塩、アミルトリフェニルホスホニウム塩、ヘキシルトリフェニルホスホニウム塩、n−ヘプチルトリフェニルホスホニウム塩、テトラフェニルホスホニウム塩、及びベンジルトリフェニルホスホニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  5. 前記第四級ホスホニウム塩の含有量が、CMP用研磨液100質量部に対して0.0001〜1質量部である請求項1〜のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  6. pHが4以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  7. 前記砥粒が、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、及びゲルマニア又はこれらの変性物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  8. 前記酸化金属溶解剤が、有機酸、有機酸エステル、有機酸のアンモニウム塩、無機酸及び無機酸のアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  9. 記酸化剤が、過酸化水素、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸及びオゾン水からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜8のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  10. 金属防食剤をさらに請求項1〜9のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  11. 前記金属防食剤が、イミダゾール骨格を有する化合物、トリアゾール骨格を有する化合物、テトラゾール骨格を有する化合物、ピラゾール骨格を有する化合物、及びピリミジン骨格を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項10記載のCMP用研磨液。
  12. 水溶性ポリマーをさらに請求項1〜11のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  13. 前記水溶性ポリマーが、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の塩、多糖類及びビニル系ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項12記載のCMP用研磨液。
  14. 有機溶媒をさらに請求項1〜13のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  15. 前記有機溶媒が、グリコール類、エーテル類、アルコール類、エステル類、ケトン類、フェノール類、アミド類、及びスルホラン類からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項14記載のCMP用研磨液。
  16. 1の研磨工程及び第2の研磨工程を有する研磨方法における前記第2の研磨工程に用いられるCMP用研磨液であって、
    前記第1の研磨工程は、表面に凹凸が形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜を表面に沿って被覆するバリア層と、前記凹部を充填してバリア層を被覆する配線部用金属と、を有する基板の前記配線部用金属を研磨して前記凸部のバリア層を露出させる工程であり、
    前記第2の研磨工程は、前記第1の研磨工程で露出したバリア層を研磨して前記凸部の層間絶縁膜を露出させる工程であり、
    前記層間絶縁膜が、low−k膜と、該low−k膜をキャップしたキャップ層とを有し、前記low−k膜が、誘電率2.9以下のシリコン系被膜又は有機ポリマー膜である請求項1〜15のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
  17. 第1の研磨工程及び第2の研磨工程を有することを特徴とする研磨方法であって、
    前記第1の研磨工程は、表面に凹凸が形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜を表面に沿って被覆するバリア層と、前記凹部を充填してバリア層を被覆する配線部用金属と、を有する基板の前記配線部用金属を研磨して前記凸部のバリア層を露出させる工程であり、
    前記第2の研磨工程は、前記第1の研磨工程で露出したバリア層を、請求項1〜15のいずれか一項に記載のCMP用研磨液を用いて研磨して、前記凸部の層間絶縁膜を露出させる工程である研磨方法。
  18. 前記層間絶縁膜が、low−k膜と、該low−k膜をキャップしたキャップ層とを有し、前記low−k膜が、誘電率2.9以下のシリコン系被膜又は有機ポリマー膜である請求項17に記載の研磨方法。
  19. 前記low−k膜に対する前記キャップ層の研磨速度比が10倍以上である請求項18に記載の研磨方法。
  20. 前記配線部用金属が、銅、銅合金、銅の酸化物及び銅合金の酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項17〜19のいずれか一項に記載の研磨方法。
  21. 前記バリア層が、タンタル、タンタル化合物、チタン、チタン化合物、タングステン、タングステン化合物、ルテニウム及びルテニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項17〜20のいずれか一項に記載の研磨方法。
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