JP5492003B2 - 乗用型草刈り機 - Google Patents
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Description
そこで、ガスボンベをエンジンボンネット上、もしくは後輪フェンダの上側に配設することも考えられるが、その何れの場合も機体上の比較的高い位置に大きなガスボンベが存在することになるため、機体重心が高くなって機体の安定性を欠いたり、後方視界や側方視界が妨げられる虞がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の乗用型草刈り機における技術手段は、請求項1に記載のように、左右各別に正逆転駆動可能な走行用後輪と、操向操作可能な左右一対の前輪とを備え、前記後輪と前輪との前後間隔に操縦席を備えるとともに、その操縦席の後部側の左右位置に下端側を固定した門形の転倒保護フレームを備えた乗用型草刈り機であって、
前記転倒保護フレームの横外側において円筒状のガスボンベを横倒し姿勢で搭載可能な支持装置を設け、
この支持装置を、搭載されたガスボンベが前記転倒保護フレームの前後にわたって位置し、かつ円筒状のガスボンベの中心軸線が平面視で後方側ほど機体左右方向での中心側に近付く傾斜姿勢で搭載されるように構成してあることを特徴とする。
上記のように、解決手段1にかかる本発明の乗用型草刈り機では、転倒保護フレームの横外側箇所は、機体上ではあっても操縦座席やエンジンボンネットからは外れた比較的低い位置であるため、機体上の空間を有効利用して、低い位置にガスボンベを配置し、機体重心が高くなりすぎることを回避するとともに、側方視界や後方視界を妨げる虞も少ない。そのうえ、搭載位置が低いことによって、ガスボンベの積み降ろしの労力をも低減し得る利点がある。
したがって、例えば、機体の後端側が壁際に近接した状態で機体後端側の旋回が行われた場合に、前記ガスボンベが前記旋回軌跡から大きくはみ出すことはなく、近接した壁との接触を避けながら機体を旋回させ、壁際からの離脱を行い易いものであり、壁などの他物と接触する可能性を低減し得る点でも有利である。
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の乗用型草刈り機における技術手段は、請求項2に記載のように、左右各別に正逆転駆動可能な走行用後輪と、操向操作可能な左右一対の前輪とを備え、前記後輪と前輪との前後間隔に操縦席を備えるとともに、その操縦席の後部側の左右位置に下端側を固定した門形の転倒保護フレームを備えた乗用型草刈り機であって、
前記転倒保護フレームの横外側において円筒状のガスボンベを横倒し姿勢で搭載可能な支持装置を設け、
この支持装置を、搭載されたガスボンベが前記転倒保護フレームの前後にわたって位置し、かつ円筒状のガスボンベの中心軸線が平面視で後方側ほど機体左右方向での中心側に近付く傾斜姿勢で搭載されるように構成してあり、
支持装置は後輪の上側を覆う位置にあって機体前後方向に対して平行な姿勢の支持台を備え、ガスボンベの中心軸線は平面視で前記支持台の左右側縁に対して傾斜していることを特徴とする。
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段2にかかる本発明の乗用型草刈り機では、平面視で後方側ほど機体左右方向での中心側に近付くように傾斜させてあるガスボンベの中心軸線は、平面視で支持台の左右側縁に対して傾斜し、その支持台は後輪の上側を覆う位置にあって機体前後方向に対して平行な姿勢に設けてある。
したがって、支持台は後輪に対しても平行な位置関係にあって後輪上方側の保護カバーとなり、かつ後輪の泥除けカバーとしての機能をも兼ね備えることができる。
本発明の乗用型草刈り機における第3の解決手段は、請求項3の記載のように、転倒保護フレームに支持装置を取り付けてあることを特徴とする。
上記のように、解決手段3にかかる本発明の乗用型草刈り機では、ガスボンベの支持装置を、もともと頑強な構造体である転倒保護フレームに支持させるようにしているので、支持装置を所定高さに位置させて別途補強材で補強するなどの無用な補強構造を要さず、転倒保護フレーム自体の強度を有効利用して強固に支持することができる。
また、支持装置は、搭載されたガスボンベが転倒保護フレームの前後にわたって位置するように取り付けるものであるから、搭載されたガスボンベは、その前後方向での重心位置近くを転倒保護フレームで支持され、安定良く保持される。
本発明の乗用型草刈り機における第4の解決手段は、請求項4の記載のように、ガスボンベの前後方向での重心位置の近くを転倒保護フレームで支持し、かつ、支持装置が平面視で後輪の上側に重複するように設けられていることを特徴とする。
上記のように、解決手段4にかかる本発明の乗用型草刈り機では、ガスボンベの前後方向での重心位置の近くを転倒保護フレームで支持し、かつ、支持装置が平面視で後輪の上側に重複するように設けられているので、ガスボンベの重量は後輪の接地点近くに作用する状態となっている。
したがって、ガスボンベのガス容量の変化によって機体の前後バランスに変化を生じる虞が少なく、特に小型の草刈り機である場合に前後バランスが大きく変化して旋回性能が変化するというような問題を生じることもない。
〔乗用型草刈り機の全体構成〕
図1に、本発明に係る作業車の一例である乗用型草刈り機の全体側面が、また、図2にその全体平面がそれぞれ示されている。この乗用型草刈り機は、左右一対の前輪11および後輪12によって支持された車体フレーム10を備える自走車体1の前後輪間に、バーブレード型のモーア4が昇降自在に吊り下げ支持された、いわゆるミッドマウント仕様に構成されている。
前記車体フレーム10における前側フレーム部10Fには、操縦席13の足元に位置するステップ15が搭載装着されるとともに、操縦席13の左右側方にはフェンダ16が配備されている。このフェンダ16は、図2に示すように、後述する支持装置3に搭載されたガスボンベ5との干渉を避けられるように(ガスボンベ5を極力内側に寄せて配備できるように)、左右のフェンダ16の後方外方側の一部が部分的にガスボンベ5の外形に沿う形状に切り欠かれた凹入側縁16aを備えている。
この転倒保護フレーム2は、車体フレーム10に下端側を固定された柱状の下部フレーム20と、その下部フレーム20の上端側に接続されるアーチ状の上部フレーム21と、その上部フレーム21を前記下部フレーム20に連結するための接続部材22とで構成されている。
そして、前記上部フレーム21は、前記接続部材22に対して、その接続部材22に備えた揺動支点x周りで起伏可能に取り付けてあり、前記下部フレーム20の延長線上で起立するように固定ボルト23を締め付けて固定した起立姿勢と、固定ボルト23を緩めて後方側へ倒伏させた倒伏姿勢とに姿勢切換可能に構成してある。
この転倒保護フレーム2の折り畳み可能な構成は、樹木の幹回りの草刈り時に転倒保護フレーム2を折り畳むことで、転倒保護フレーム2が張出した枝に引っ掛かかることなく作業を行えるようにするためのものである。
したがって、左右の後輪12を等速で共に正転駆動、あるいは逆転駆動することで、前進あるいは後進での直進走行を行うことができ、左右の後輪12に速度差を与えることで任意の方向に操向及び旋回することができるように構成されている。
すなわち、エンジン18の動力を受けて駆動されるアキシャルプランジャ型の左右の静油圧式無段変速装置(図外)を備え、左右の静油圧式無段変速装置の出力で左右の後輪12が駆動されるように構成してあって、かつ、静油圧式無段変速装置の斜板角操作部と操縦席13の左右に前後揺動操作可能に配備された変速レバー17とがリンク連動されている。
したがって、変速レバー17を、その操作領域内で前後方向での中立位置に保持すると静油圧式無段変速装置が中立停止状態となり、変速レバー17を中立位置から前方に操作することで前進変速が、後方に操作することで後進変速が行えるようになっている。
また、左右一対の変速レバー17のうちの一方を、その操作領域内で前後方向での中立位置に保持し、前記変速レバー17のうちの他方を、その操作領域内で前記中立位置よりも前方側もしくは後方側へ操作することにより、左右の後輪12のうちの一方の後輪12の接地点を旋回中心としたピボットターンが行われる。これとは逆に、左右一対の変速レバー17のうちの他方を、その操作領域内で前後方向での中立位置に保持し、前記変速レバー17のうちの他方を、その操作領域内で前記中立位置よりも前方側もしくは後方側へ操作することにより、左右の後輪12のうちの他方の後輪12の接地点を旋回中心としたピボットターンが行われる。
このリンク機構40には、前記後揺動リンク40bを一体揺動自在に支持している支軸41に一体に設けた揺動アーム42が連設されている。この揺動アーム42を、車体フレーム10との間に付設されている油圧シリンダ43の伸縮作動に伴って揺動作動させることにより、前記リンク機構40を作動させてモーア4を昇降させ、ゲージ輪44が地面に接地した、もしくは略接地した下降作業状態と、ゲージ輪44を地面から離して車体フレーム10の腹下に格納した上昇非作業状態とに切り換え操作できるように構成してある。
尚、このモーア4は、バーブレード45で切断された刈芝を、自走車体1の後方側に位置させてある排出口(図示せず)から排出するリヤディスチャージ型式のものに構成されている。
図1乃至図6に示すように、ガスボンベ5の支持装置3は、転倒保護フレーム2に取り付けられた支持台30と、その支持台30に対してガスボンベ5を搭載状態で固定するための巻き締め固定具31と、ガスボンベ5の前後方向での取付位置を決めるための前後方向位置決め板32と、ガスボンベ5の軸線周りでの位置決めを行うための周方向位置決め体33とを備えて構成されている。
また、前記台座板30Bは、その左右の側縁部分が、自走機体1の前後方向に沿うように、平面視で自走機体1の前後方向の中心線L0にほぼ平行に形成されている。そして、前記台座板30Bの前部は前下がり状に斜め前方側へ延出され、後部は後下がり状に斜め後方側に延出され、その中間部分は自走機体1が水平姿勢であるときに水平面となるように形成してある。
このように構成された台座板30Bは、平面視で後輪12を覆う位置にあり、側面視で後輪の上方側に位置して、後輪12の泥除け部材としての機能をも果たし得るように構成してある。
また、台座板30Bの後部側には、台座板30Bの水平部分の下面から下方に向けて垂設された下向き取付片30Brが溶接して固定してあり、その下向き取付片30Brの前面側を、図4及び図5に示されているように、車体フレーム10から横外側方に延出された後支持枠27の後面側に当てつけてボルト連結してある。このとき、前記後支持枠27の上面と前記台座板30Bの水平部分の下面との間には間隙があり、後支持枠27の上面側で台座板30Bの下面側を直接に支持するものではない。
図2及び図6に示すように、前記巻き締め固定具31は、この巻き締め固定具31によって固定されるガスボンベ5の軸線方向が、自走機体1の前後方向の中心線L0に対して平面視で後方側ほど近付くように、ガスボンベ5の中心軸線L1を所定角度θだけ傾斜させて取り付けてある。
前記巻き締め固定具31によって固定されるガスボンベ5の中心軸線L1が、自走機体1の前後方向の中心線L0に対して、傾斜する前記所定角度θは、5°〜10°程度に設定されている。
この所定角度θは、図2に示すように、自走機体1を前記各後輪12の回転軸芯同士を結ぶ線分mの中央位置に相当する旋回中心P1周りで旋回させた場合における自走機体1の後端箇所の旋回軌跡Rに対する接線L2とほぼ沿う方向に、ガスボンベ5の中心軸線L1が位置することを考慮して設定されたものである。
このとき、ガスボンベ5の前後方向での重心gの位置は、前記転倒保護フレーム2の近くの位置ではあるが、前記各後輪12の回転軸芯同士を結ぶ線分mよりも少し機体後方側に寄った位置にあり、前記旋回軌跡Rに対する接線L2、及びガスボンベ5の中心軸線L1は、その重心gを通る法線nに対して直交する姿勢に設定されている。
この前後方向位置決め板32は、前記巻き締め固定具31の上部帯材31B、31Bを上方側へ開放して、下部帯材31A,31Aの上側にガスボンベ5を搭載した状態で、ガスボンベ5の前端位置を接当させることにより、そのガスボンベ5が巻き締め固定具31の前後方向での適正箇所に搭載された状態であるように位置決めするためのものであり、台座板30Bに溶接して固定してある。
この周方向位置決め体33は、前記後方側の脚部ブラケット31Cの後面側から後方に向けて延出されたチャンネル状の支持体33aとその支持体33aの後端側で上向きに立設されたピン33bとで構成されている。
図8に、前記支持装置3として、本発明のように、ガスボンベ5の中心軸線L1が、自走機体1の前後方向の中心線L0に対して、平面視で後方側ほど近付くように所定角度θだけ傾斜させて取り付けたものではなく、巻き締め固定具31で固定されたガスボンベ5の中心軸線L1が自走機体1の前後方向の中心線L0に対して、平面視でほぼ平行となる状態で取り付けた場合における自走機体1の後端箇所の旋回軌跡Rと、ガスボンベ5の後端との位置関係を示す。
この図8で表されるように、自走機体1を各後輪12の回転軸芯同士を結ぶ線分の中央位置に相当する旋回中心P1周りで旋回させた場合における自走機体1の後端箇所の旋回軌跡Rに対して、この比較例における構造のものでは、ガスボンベ5の後端が描く旋回軌跡r2が間隔d2だけ離れている。
この間隔d2は、本発明の実施の形態で説明した自走機体1を各後輪12の回転軸芯同士を結ぶ線分の中央位置に相当する旋回中心P1周りで旋回させた場合における自走機体1の後端箇所の旋回軌跡Rと、ガスボンベ5の後端が描く旋回軌跡r1との間隔d1よりもかなり大きなものとなっている(図2参照)。
したがって、この比較例に示す構造では、自走機体1が壁やフェンス、あるいは立木に近接した状態から前記旋回中心P1周りで旋回する場合に、ガスボンベ5の一部が前記壁やフェンス、あるいは立木に接触する可能性が、本発明の実施の形態で説明した構造のものよりも高くなる傾向がある。
エンジン18としては、上記実施形態で示したような燃料供給用の機器をLPガス仕様にした水冷式のガソリンエンジンと同一の仕様に構成されたものに限らず、燃料供給用の機器をLPガス仕様にした空冷式のガソリンエンジンと同一仕様にものであってもよい。
支持装置3に支持させるガスボンベ5としては、LPガスに限らず、ボンベに充填される形式の任意のガスボンベ5を搭載することができる。
前述の実施形態では、支持装置3に搭載されるガスボンベ5を、その中心軸線L1が自走機体1の前後方向の中心線L0に対して、後方側ほど機体左右方向で近付くように傾斜させ、支持装置3の台座板30Bは、その左右の側縁部分が、自走機体1の前後方向の中心線L0にほぼ平行に形成されているものを示したが、これに限らず、支持装置3の台座板30Bの側縁部分も後方側ほど機体左右方向で自走機体1の前後方向の中心線L0に近付くように傾斜させたものであってもよい。
この場合、支持装置3の台座板30Bの側縁部分の左右両側縁部分であってもよいし、外側の側縁だけを自走機体1の前後方向の中心線L0に近付くように傾斜させたものであってもよい。
支持装置3としては、実施の形態で説明したような、支持台30を、取付板30Aと、台座板30Bと、補強連結板30Cとで構成する構造のものに限らず、台座板30Bや補強連結板30Cを省略して、取付板30Aに直接的に巻き締め固定具31の下部帯材31Aを固定して取り付けたものであってもよい。この場合、下部帯材31A自体に、ガスボンベ5の重量を支持し得るだけの強度を備えさせる必要がある。
支持装置3を自走機体1に支持させる構造として、車体フレーム10と転倒保護フレーム2との両方に支持装置3を支持させるものに限らず、例えば車体フレーム10側から適宜取付部材を延出して車体フレーム10のみに支持させるようにしてもよい。あるいは、支持装置3の支持台30の前後を車体フレーム10側には連結せず、転倒保護フレーム2のみに支持させるようにしてもよい。
2 転倒保護フレーム
3 支持装置
4 モーア
5 ガスボンベ
10 車体フレーム
11 前輪
12 後輪
13 操縦席
30 支持台
P1 旋回中心
R 旋回軌跡
L1 中心軸線
Claims (4)
- 左右各別に正逆転駆動可能な走行用後輪と、操向操作可能な左右一対の前輪とを備え、前記後輪と前輪との前後間隔に操縦席を備えるとともに、その操縦席の後部側の左右位置に下端側を固定した門形の転倒保護フレームを備えた乗用型草刈り機であって、
前記転倒保護フレームの横外側において円筒状のガスボンベを横倒し姿勢で搭載可能な支持装置を設け、
前記ガスボンベの容器本体の長手方向の一方の端部にガス取り出し口及びリリーフバルブが設けられ、前記ガス取り出し口及びリリーフバルブを囲むように、前記一方の端部から筒壁部分が突出形成され、
この支持装置を、搭載されたガスボンベが前記転倒保護フレームの前後にわたって位置し、前記筒壁部分が機体前後方向における後方側に位置するように、かつ円筒状のガスボンベの中心軸線が平面視で後方側ほど機体左右方向での中心側に近付く傾斜姿勢で、着脱自在に搭載されるように構成してあることを特徴とする乗用型草刈り機。 - 左右各別に正逆転駆動可能な走行用後輪と、操向操作可能な左右一対の前輪とを備え、前記後輪と前輪との前後間隔に操縦席を備えるとともに、その操縦席の後部側の左右位置に下端側を固定した門形の転倒保護フレームを備えた乗用型草刈り機であって、
前記転倒保護フレームの横外側において円筒状のガスボンベを横倒し姿勢で搭載可能な支持装置を設け、
この支持装置を、搭載されたガスボンベが前記転倒保護フレームの前後にわたって位置し、かつ円筒状のガスボンベの中心軸線が平面視で後方側ほど機体左右方向での中心側に近付く傾斜姿勢で搭載されるように構成してあり、
支持装置は後輪の上側を覆う位置にあって機体前後方向に対して平行な姿勢の支持台を備え、ガスボンベの中心軸線は平面視で前記支持台の左右側縁に対して傾斜していることを特徴とする乗用型草刈り機。 - 転倒保護フレームに支持装置を取り付けてある請求項1又は2記載の乗用型草刈り機。
- ガスボンベの前後方向での重心位置の近くを転倒保護フレームで支持し、かつ、支持装置が平面視で後輪の上側に重複するように設けられている請求項3記載の乗用型草刈り機。
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