JP5491431B2 - コンロ用バーナ - Google Patents

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本発明は、バーナボディと、バーナボディ上に載置される鋳造品又は鍛造品から成るバーナキャップとを備えるコンロ用バーナに関する。
従来、この種のコンロ用バーナとして、例えば特許文献1により、バーナキャップの下面外周部に、バーナボディの上面に着座する環状壁が垂設され、コンロの天板上に載置する五徳の各五徳爪に合致しない環状壁の周方向部分に、バーナボディ内の混合気が噴出するように環状壁の下端面から上方に窪む炎孔溝として、主炎孔溝と、主炎孔溝間に位置する、主炎孔溝よりも上下方向寸法が小さな保炎孔溝とが形成されたものが知られている。
尚、特許文献1に記載のものでは、各五徳爪に合致する環状壁の周方向部分に他の部分よりも径方向内方に膨出する膨出部を形成し、この膨出部に周方向の溝を形成して、この溝から径方向外方にのびる複数の小炎孔溝を形成している。これによれば、バーナボディ内の混合気が周方向溝から小炎孔溝に屈曲して流入することになって通気抵抗が増し、強火時にも小炎孔溝からの混合気の噴出流量が大きくなり過ぎず、五徳爪に火炎が触れることを防止できる。一方、各五徳爪に合致しない環状壁の周方向部分に設ける主炎孔溝と保炎孔溝は、何れも、環状壁の外周面から内周面に達するように形成され、バーナボディ内の混合気が環状壁の内周面側から各炎孔溝に直接流入するようにしている。
ところで、バーナキャップを鋳造品又は鍛造品から成るものとする場合、鋳造又は鍛造後の型抜きのために、主炎孔溝の周方向両側の溝壁面に下方に向かって周方向外側に傾く抜き勾配を付ける関係で、主炎孔溝の溝幅が下方に向かって広くなる。そのため、幅広で抵抗が小さくなる主炎孔溝の下部に流れる混合気の流量が増して、主炎孔溝から噴出する混合気の流速分布は、下部で速くなる分布となる。そして、このような流速分布になると、強火時に火炎のリフトを生じやすくなる。
特開2010−196913号公報
本発明は、以上の点に鑑み、主炎孔溝から噴出する混合気の流速分布が下部で速くなることを防止し、耐リフト性を向上できるようにしたコンロ用バーナを提供することをその課題としている。
上記課題を解決するために、本発明は、バーナボディと、バーナボディ上に載置される鋳造品又は鍛造品から成るバーナキャップとを備え、バーナキャップの下面外周部に、バーナボディの上面に着座する環状壁が垂設され、コンロの天板上に載置する五徳の各五徳爪に合致しない環状壁の周方向部分に、バーナボディ内の混合気が噴出するように環状壁の下端面から上方に窪む炎孔溝として、主炎孔溝と、主炎孔溝間に位置する、主炎孔溝よりも上下方向寸法が小さな保炎孔溝とが形成されたコンロ用バーナであって、主炎孔溝は、鋳造又は鍛造後の型抜きのために、溝幅が下方に向かって広くなるように形成されるものにおいて、保炎孔溝は、環状壁の内周面に達しないように形成され、環状壁の各五徳爪に合致しない周方向部分の下端面に、保炎孔溝の径方向内端部に交差して保炎孔溝の周方向両側の主炎孔溝に達する、上下方向寸法が主炎孔溝よりも小さな流入溝が形成され、主炎孔溝に流入する混合気の一部が流入溝を介して保炎孔溝に流入するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、主炎孔溝の溝壁面の下部に保炎孔溝に交差する流入溝が開口することになる。そのため、主炎孔溝に流入した混合気の一部が主炎孔溝の下部から流入溝に分流され、主炎孔溝の下部に流れる混合気の流量が流入溝への分流分だけ減少する。その結果、主炎孔溝から噴出する混合気の流速分布が下部で速くなることを防止でき、強火時にも火炎のリフトを生じにくくなり、耐リフト性が向上する。
本発明の実施形態のコンロ用バーナの斜視図。 図1のII−II線で切断した断面図。 実施形態のコンロ用バーナのバーナキャップの下面図。 (a)実施形態のコンロ用バーナの要部の拡大側面図、(b)図4(a)のIVb−IVb線で切断した断面図、(c)実施形態のコンロ用バーナのバーナキャップの要部の斜め下方から見た斜視図。 主炎孔溝から噴出する混合気の流速分布を示すグラフ。
図1、図2を参照して、本発明の実施形態のコンロ用バーナは、板金製のバーナボディ1と、鋳造品又は鍛造品から成るバーナキャップ2とを備えている。バーナボディ1には、混合管3が一体に形成されている。混合管3の基端の流入口3aには、図示省略したガスノズルから噴射される燃料ガスが流入すると共に一次空気が吸い込まれ、混合管3内で燃料ガスと一次空気とが混合されて混合気が生成される。
バーナボディ1は、混合管3の先端部から立ち上がる内筒11と外筒12とで中空環状に形成される。また、内筒11の上端部内周には、下方に屈曲するシール筒部11aが形成され、外筒12の上端には、径方向内方に屈曲するフランジ部12aが形成されている。
バーナキャップ2は、バーナボディ1上に載置されるもので、環状に形成されている。また、バーナキャップ2上には、バーナキャップ2の上面との間に二次空気用の通気間隙を画成する環状の板材から成る二次空気ガイド4が設けられている。尚、図示しないが、バーナボディ1、バーナキャップ2及び二次空気ガイド4で囲われる内周空間には、コンロの天板上に載置する五徳に載せる調理容器の底面に当接する鍋底温度センサが設けられる。
バーナキャップ2の内周には、バーナボディ1の内筒11に形成したシール筒部11aの内周に嵌合する筒部21が垂設されている。また、バーナキャップ2の下面外周部には、バーナボディ1の外筒12に形成したフランジ部12aの上面に着座する環状壁22が垂設されている。そして、環状壁22に、その下端面から上方に窪む後述する複数種の炎孔溝を形成し、バーナボディ1内の混合気がこれら炎孔溝から噴出して燃焼するようにしている。
図3も参照して、五徳の複数の五徳爪の所定の1つの五徳爪に合致する環状壁22の周方向部分には、炎孔溝として、点火炎孔溝5とその周方向両側の火移り炎孔溝5aとが形成されている。また、二次空気ガイド4に、前記所定の五徳爪に合致する周方向個所から径方向外方に張出すターゲット部4aを形成し、このターゲット部4aの下面に対向するように図示省略した点火電極を設置している。そして、点火電極とターゲット部4aとの間での火花放電により、点火炎孔溝5から噴出する混合気に点火されるようにしている。
前記所定の五徳爪以外の各五徳爪に合致する環状壁22の周方向部分(五徳爪合致部分)には、炎孔溝として、上下方向寸法の小さな小炎孔溝6が周方向に並べて3個形成されている。これら小炎孔溝6は、環状壁22の内周面に達しないように形成されている。そして、五徳爪合致部分の下端面に、小炎孔溝6の径方向内端部に交差する周方向の溝6aを形成し、バーナボディ1内の混合気が周方向溝6aを介して小炎孔溝6に流入するようにしている。これによれば、周方向溝6aから小炎孔溝6に混合気が屈曲して流れることになって通気抵抗が増し、バーナへの供給ガス量を大きくする強火時にも小炎孔溝6からの混合気の噴出流量が大きくなり過ぎず、五徳爪に火炎が触れることを防止できる。尚、この点は上記特許文献1に記載のものと同様である。
各五徳爪に合致しない環状壁22の周方向部分には、炎孔溝として、当該部分の周方向中央からその周方向両側に向けて順に♯1と♯2と♯3の計5個の主炎孔溝7が形成されると共に、♯1の主炎孔溝7とその周方向両側の♯2の主炎孔溝7との間に夫々保炎孔溝8が形成されている。主炎孔溝7は、上下方向寸法が環状壁22の上下方向寸法とほぼ同一である。一方、保炎孔溝8は、上下方向寸法が主炎孔溝7よりも小さく、本実施形態では主炎孔溝7の上下方向寸法のほぼ1/4としている。従って、主炎孔溝7から噴出する混合気の燃焼で形成される大きな主炎が保炎孔溝8から噴出する混合気の燃焼で形成される小さな火炎により保炎される。
また、♯2の主炎孔溝7と♯3の主炎孔溝7との間の環状壁22の部分22aは、内周面が他の部分よりも径方向外方にオフセットすると共に、外周面が他の部分よりも径方向内方にオフセットしている。そのため、外周面側で♯2と♯3の主炎孔溝7,7同士が合体し、バーナへの供給ガス量を微小にする弱火時に火炎が残りやすくなる。
ところで、炎孔溝はバーナキャップ2の鋳造又は鍛造時に成形される。そして、鋳造又は鍛造後の型抜きのために、主炎孔溝7の周方向両側の溝壁面に下方に向かって周方向外側に傾く抜き勾配を付けている。その結果、図4(a)に示す如く、主炎孔溝7の溝幅が下方に向かって広くなる。この場合、幅広で抵抗が小さくなる主炎孔溝7の下部に流れる混合気の流量が増す。このままでは、主炎孔溝7から噴出する混合気の流速は、主炎孔溝7の径方向外端の最下部(図4(a)(b)の点L)と最上部(図4(a)(b)の点U)との間で、図5にb線で示す如く変化する。即ち、主炎孔溝7から噴出する混合気の流速分布は、下部で速くなる分布となる。そして、このような流速分布では、強火時に主炎のリフトを生じやすくなる。
そこで、本実施形態では、図4(b)(c)に示す如く、保炎孔溝8を環状壁22の内周面に達しないように形成すると共に、環状壁22の下端面に、保炎孔溝8の径方向内端部に交差して周方向にのび、保炎孔溝8の周方向両側の♯1と♯2の主炎孔溝7に達する流入溝8aを形成している。流入溝8aは、上下方向寸法が主炎孔溝7よりも小さく、本実施形態では、主炎孔溝7の上下方向寸法の半分以下としている。
これによれば、♯1の主炎孔溝7の周方向両側の溝壁面の下部に、当該主炎孔溝7の周方向一側の保炎孔溝8に交差する流入溝8aと、当該主炎孔溝7の周方向他側の保炎孔溝8に交差する流入溝8aとが開口する。そのため、♯1の主炎孔溝7に流入する混合気の一部が当該主炎孔溝7の下部から周方向両側の流入溝8a,8aに分流して保炎孔溝8,8に流入する。そして、♯1の主炎孔溝7の下部に流れる混合気の流量が流入溝8a,8aへの分流分だけ減少する。その結果、♯1の主炎孔溝7から噴出する混合気の流速分布は図5にa線で示すようになり、上記b線のように下部で流速が速くなることを防止できる。
♯2の主炎孔溝7においても、その周方向片側の溝壁面の下部に、当該主炎孔溝7の周方向片側の保炎孔溝8に交差する流入溝8aが開口する。従って、♯2の主炎孔溝7の下部に流れる混合気の流量が流入溝8aへの分流分だけ減少して、当該主炎孔溝7から噴出する混合気の流速分布が下部で速くなることを防止できる。
尚、♯3の主炎孔溝7は、これに隣接する保炎孔溝8が存在しないため、その周方向何れの側の溝壁面にも流入溝8aは開口していない。然し、♯3の主炎孔溝7は、環状壁22の五徳爪合致部分に隣接しているため、五徳爪合致部分の下端面に形成した上記周方向溝6aが♯3の主炎孔溝7の五徳爪合致部分側の溝壁面の下部に開口する。従って、♯3の主炎孔溝7の下部に流れる混合気の流量が周方向溝6aへの分流分だけ減少し、当該主炎孔溝7から噴出する混合気の流速分布が下部で速くなることを防止できる。
このように♯1〜♯3の何れの主炎孔溝7においても、混合気の噴出速度が下部で速くなることを防止できるため、強火時にも主炎のリフトを生じにくくなり、耐リフト性が向上する。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、♯2の主炎孔溝7と♯3の主炎孔溝7との間の環状壁22の部分22aに保炎孔溝を形成していないが、この部分22aに、上記実施形態と同様の保炎孔溝と流入溝とを形成してもよい。この場合、♯3の主炎孔溝7から部分22aに形成した流入溝に混合気が分流するため、環状壁22の五徳爪合致部分に周方向溝6aを形成しなくても、♯3の主炎孔溝7から噴出する混合気の流速が下部で速くなることを防止できる。
また、上記実施形態では、バーナボディ1が混合管3と一体になっているが、バーナボディは混合管と別体であってもよい。更に、上記実施形態のバーナボディ1とバーナキャップ2は環状に形成されているが、バーナボディを内筒11を有しない円筒状に形成し、その上に円板状のバーナキャップを載置するコンロ用バーナにも同様に本発明を適用できる。
1…バーナボディ、2…バーナキャップ、22…環状壁、7…主炎孔溝、8…保炎孔溝、8a…流入溝。

Claims (1)

  1. バーナボディと、バーナボディ上に載置される鋳造品又は鍛造品から成るバーナキャップとを備え、バーナキャップの下面外周部に、バーナボディの上面に着座する環状壁が垂設され、コンロの天板上に載置する五徳の各五徳爪に合致しない環状壁の周方向部分に、バーナボディ内の混合気が噴出するように環状壁の下端面から上方に窪む炎孔溝として、主炎孔溝と、主炎孔溝間に位置する、主炎孔溝よりも上下方向寸法が小さな保炎孔溝とが形成されたコンロ用バーナであって、
    主炎孔溝は、鋳造又は鍛造後の型抜きのために、溝幅が下方に向かって広くなるように形成されるものにおいて、
    保炎孔溝は、環状壁の内周面に達しないように形成され、
    環状壁の各五徳爪に合致しない周方向部分の下端面に、保炎孔溝の径方向内端部に交差して保炎孔溝の周方向両側の主炎孔溝に達する、上下方向寸法が主炎孔溝よりも小さな流入溝が形成され、
    主炎孔溝に流入する混合気の一部が流入溝を介して保炎孔溝に流入するようにしたことを特徴とするコンロ用バーナ。
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