JP2002250510A - バーナ及びそれを用いたコンロ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンパクトな寸法で良好な燃焼状態と高い熱
効率を確保すること。 【解決手段】 主炎口部１０は、炎口成型体６の中心を
基点として放射状に開口する放射配列炎口１２と、小炎
口部１１に隣接し、かつ炎口成型体６の中心を基点とし
ない変則配列炎口１３で構成し、変則配列炎口１３の開
口方向は、小炎口部１１から離れるように設定したこと
により、隣接する変則配列炎口１３で形成される主火炎
１８とは相互に干渉し合わないため、炎口成型体６の径
を縮小してもＣＯの増加を抑えて、鍋などの被加熱物と
の距離を接近させることができ、高い加熱効率を実現す
るコンロを提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ガス等を燃料とす
るバーナ及びそれを加熱源とするコンロに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来この種のバーナは、特開平９−２９
２１０８号公報に記載されているようなものがあった。
これは図４に示されているように、混合管６１の上部に
炎口成型体６２を勘合したバーナにおいて、予混合ガス
の拡散部６３を設けた環状の炎口成型体６２の外周縁
に、主炎口として一定の上方傾斜角で大炎口６４と小炎
口６５を交互に配設したものを構成し、五徳の支え爪６
６に相当する部分に火移り用の極小炎口６７を設け、こ
れらの極小炎口６７に隣接する炎口を他の大炎口６４よ
り開口面積の小さい中炎口６８としたもので、五徳の支
え爪６６近傍で形成される火炎を極小化して主炎が五徳
の支え爪６６に干渉することを防止し、燃焼の悪化、熱
効率の低下を抑えるというものであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のバ
ーナでは、五徳の支え爪６６に火炎が接触して燃焼悪化
するのを防止するため、支え爪６６近傍で形成される火
炎を極小火炎にする目的で、支え爪に相当する部分の炎
口を極小炎口６７とし、さらに極小炎口６７に隣接する
炎口を中炎口６８としたので、炎口成型体６２全体とし
ての炎口の開口面積が限られてしまい、一定の燃焼量を
確保するためには、炎口成型体６２全体の径を大きくし
て開口面積を確保する方法をとっていた。したがって、
このバーナを鍋などを加熱することに用いた場合、炎口
成型体６２自身が大きくなるため、鍋への伝熱面積を拡
大することが困難となり、ある程度鍋をバーナに接近さ
せることができても一定以上の熱効率の向上が望めず、
周囲への熱放散が発生するという課題があった。

【０００４】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、炎口成型体の径を大きくすることなく、必要な燃焼
量を安定的に燃焼させるための炎口の開口面積を確保
し、火炎長を短縮してＣＯの発生量が少ない良好な燃焼
状態が得られるバーナを実現し、これを用いて周囲への
熱放散を抑えて高い加熱効率が得られるコンロを提供す
ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のバーナは、略環状の炎口成型体の外周部
に、主火炎を形成する主炎口部と小火炎を形成する小炎
口部を隔設し、主火炎と小火炎が相互に干渉し合わない
ように、小炎口部に隣接する主炎口部に変則配列炎口部
を開口させ構成とした。

【０００６】上記の発明によれば、小炎口部における小
火炎は、隣接する変則配列炎口部で形成される主火炎と
は相互に干渉し合わないため、例えば小炎口部の近傍に
五徳の爪部があってもＣＯの増加を抑えて、鍋などの被
加熱物との距離を接近させることができる。さらに、変
則配列炎口部は、他の主炎口と同様の開口面積を設ける
ことができるため、炎口成型体の径を縮小しても必要な
燃焼量を得るための炎口の開口面積を確保することがで
きるので、このバーナを用いて周囲への熱放散を抑えて
高い加熱効率を実現するコンロを提供することができ
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】請求項１記載の発明は、略環状の
炎口成型体の外周部に、主火炎を形成する主炎口部と小
火炎を形成する小炎口部を隔設し、主火炎と小火炎が相
互に干渉し合わないように、小炎口部に隣接する主炎口
部に変則配列炎口部を開口させたことにより、小炎口部
における小火炎は、隣接する変則配列炎口部で形成され
る主火炎とは相互に干渉し合わないため、例えば小炎口
部の近傍に五徳の爪部があってもＣＯの増加を抑えて、
鍋などの被加熱物との距離を接近させることができる。
さらに、変則配列炎口部は、他の主炎口と同様の開口面
積を設けられるため、炎口成型体の径を縮小しても、必
要な燃焼量を得るための炎口の開口面積を確保すること
ができる。

【０００８】請求項２に記載の発明は、特に、請求項１
に記載の主炎口部で、炎口成型体の環状部の中心を基点
として周方向に開口する放射配列炎口部と、小炎口部の
近傍にあって、かつ小炎口部から遠ざかる方向に開口さ
せた変則配列炎口部とを備えたことにより、小炎口部に
おける小火炎と隣接する変則配列炎口における主火炎と
は干渉が起こらず、炎口成型体全体で形成される火炎は
小炎口部の数で分割されて、火炎長の短い燃焼状態を実
現することができる。

【０００９】請求項３に記載の発明は、特に、請求項２
に記載の変則配列炎口部の開口方向で、炎口成型体の環
状部の中心を基点として周方向に開口する放射配列炎口
部のうち、隣接する放射配列炎口の開口方向と略平行と
したことにより、同様に小火炎と主火炎との干渉を防止
するとともに、変則配列炎口における主火炎と隣接する
放射配列炎口における主火炎との干渉も防止し、黄炎等
の発生しない火炎長の短い量項な燃焼状態を実現するこ
とができる。

【００１０】請求項４に記載の発明は、特に、請求項１
ないし３のいずれか１項に記載の炎口成型体で、外周部
を外方に下降傾斜させた外周傾斜面で構成し、外周傾斜
面に主炎口を開口させたことにより、傾斜面に沿って火
炎が上向きになりやすいため、高い熱効率を確保するこ
とができる。

【００１１】請求項５に記載の発明は、特に、請求項１
ないし４に記載の炎口成型体で、その上方に空隙を介し
て煮汁遮蔽体を設けたことにより、環状部の中央から流
入した空気は煮汁遮蔽体に衝突することによって均一に
火炎中に拡散し、燃焼を促進して火炎長を短縮して高い
熱効率を確保すると同時に、炎口への煮汁の落下を防止
することができる。

【００１２】請求項６に記載の発明は、天板の開口部に
設けた請求項１ないし５のいずれか１項に記載のバーナ
と、バーナの小炎口部に対応する載置部を設けた五徳を
備えたことにより、鍋等の被加熱物をバーナに接近させ
てもＣＯの立ち上がりを抑制でき、同時に高い加熱効率
を実現して省エネルギー性を確保することができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて
説明する。

【００１４】（実施例１）本発明の実施例１におけるバ
ーナを図１、図２を参照して説明する。図１は、本実施
例のバーナの炎口成型体の下面図、図２は同バーナの断
面図である。

【００１５】図において、１はステンレスなどの耐熱性
金属からなるバーナ本体で、燃料予混合ガスの混合管２
と、上下に貫通する内周壁３と外周壁４で形成した略環
状の拡散室５を一体で構成している。

【００１６】また、６は黄銅の鍛造加工、アルミニウム
地金の鋳造加工、またはセラミックス成型などによって
略円錐台形状に成型した炎口成型体で、中央には内周壁
３に勘合する開口筒７があって上下に貫通する空気通路
８を構成している。炎口成型体６の外周部の下面側は、
拡散室５の外周壁４の上部に位置するフランジ部分にほ
ぼ密接し、炎口成型体６の矩面は上部から下部にかけて
外周方向に下降傾斜させた外周傾斜面９を構成してい
る。

【００１７】また、炎口成型体６の外周傾斜面９には、
一定の上方傾斜角度で斜め上向きに周方向に開口した多
数の溝状の炎口がている。これらの炎口は、溝深さが深
く開口面積の大きい炎口を配設した主炎口部１０と、主
炎口部１０の間に溝深さが浅く開口面積の小さい小炎口
部１１がほぼ円周を６分割するように隔設されている。

【００１８】また、主炎口部１０は、炎口成型体６の中
心を基点として放射状に開口する放射配列炎口１２と、
小炎口部１１に隣接し、かつ炎口成型体６の中心を基点
としない変則配列炎口１３で構成されている。変則配列
炎口１３の開口方向は、小炎口部１１から離れるように
設定され、本実施例の場合、変則配列炎口１３と隣接す
る放射配列炎口１２と開口方向を平行に構成している。

【００１９】さらに、炎口成型体６には、空気通路８の
外周部でバーナ本体の内周壁３との勘合部分から主炎口
部１０の内側方の基底部近傍に至り、主炎口部１０の上
方傾斜角度よりも大きな上方傾斜角度をもった逆円錐台
形状の整流部１４を設けている。

【００２０】一方、炎口成型体６の上面には、炎口成型
体６の外径と同等か１〜２mm程度大きい外径を有する煮
汁遮蔽体１５が、空気通路８と連通する空隙１６を介し
て一体で設けられている。

【００２１】このように、バーナ本体１上に、煮汁遮蔽
体１５と一体となった炎口成型体６を勘合することによ
って、バーナ１７を構成している。

【００２２】次に動作、作用について説明すると、予混
合ガスは、混合管２内に噴出する燃料ガスと、同時に吸
引される予混合空気（一次空気）とが混合することによ
って形成され、そののち拡散室５内に均一に拡散し、主
炎口部１０および小炎口部１１の開口面積に応じて分散
するが、整流部１４の上方傾斜角度に沿って上向きの拡
散整流作用を受けるため、主炎口部１０から噴出する際
には主炎口部１０の上方傾斜角度よりも上向きの流出傾
向を持って噴出し、何らかの点火手段（図示せず）によ
って着火され主火炎１８を形成する。この時主火炎１８
は、予混合ガスとして主炎口部１０から噴出する際の上
向きの流出傾向と、火炎特有の上昇気流化することによ
って、ほぼ直上向きの主火炎１８を形成する。

【００２３】一方、空気通路８から上昇気流として流入
する第一の二次空気流は、煮汁遮蔽体１５と炎口成型体
６の上面との間の空隙１６を通過して、主炎口部１０の
直上に至って火炎帯１８中に効果的に拡散する。同時
に、第二の二次空気流が炎口成型体６の外周壁４の周囲
から主火炎１８中に拡散する。したがって、主火炎１８
はこれらの二次空気流によって挟まれ、燃焼が促進され
て短炎化される。

【００２４】さらに、炎口成型体６には主炎口部１０と
小炎口部１１が隔設されているため、この領域での火炎
は主に火移りを確保するための小火炎１９となるが、小
炎口部１１に隣接する変則配列炎口１３の開口方向は、
小炎口部１１の開口方向から離れる方向に設けられてい
るため、主火炎１８と小火炎１９との間では火炎干渉が
ほとんどなく、一層短炎化した主火炎１８を形成する。
この時、変則配列炎口１３と隣接する放射配列炎口１２
の開口方向はほぼ平行に構成されているため、変則配列
炎口１３で形成される火炎と隣接する放射配列炎口１２
で形成される火炎についても干渉を抑えることができ、
ＣＯの発生量が少なくコンパクトな火炎を形成すること
ができる。

【００２５】このように、炎口成型体６の径を縮小して
も、主火炎１８はほぼ直上向きでかつコンパクトな火炎
となり、特にこのバーナ１７をコンロに搭載して、五徳
の載置部２０を小炎口部１１に対応させることにより、
載置部２０の先端によって主火炎１８が干渉を受けるこ
とはない。したがって、鍋等の調理物をバーナに接近さ
せてもＣＯの立ち上がりを抑制でき、同時に周囲への熱
放散を抑制し、結果として高い熱効率を確保することが
できるだけでなく、煮零れが生じた場合でも、煮汁遮蔽
体１５の上部に落下してその外周部から下に落ちるた
め、空気通路８内に侵入したり炎口１０を詰まらせるこ
とがない。

【００２６】（実施例２）本発明の実施例２におけるバ
ーナを図３を参照して説明する。図３は、本実施例のバ
ーナを用いたコンロの断面図である。

【００２７】図において、コンロ本体３１は、カウンタ
ー３２の開口内に落とし込まれ、かつカウンター３２の
開口の周縁部に載置されている。天板３３は、コンロ本
体３１を蔽うようにコンロ本体３１上に載置され、天板
３３の周縁部はカウンター３２に接触している。天板３
３には、略円形の段押し部３４を設けたフランジ３５状
の開口部３６があり、フランジ３５上には中央にバーナ
開口部３７を有し、かつ周囲の側面部に多数の長穴状の
空気口３８を穿設した汁受皿３９が載置され、バーナ開
口部３７には、実施例１におけるバーナ１７が臨んでい
る。なお、空気口３８は天板３３の段押し部３４の側面
部に設けてもよい。

【００２８】一方五徳４０は、内周を下方に傾斜させた
枠体４１に複数の載置部４２を中央に先端が向くように
配置した構成であり、特に載置部４２の先端部をバーナ
１７の小炎口部１１に対応させ、また枠体４１は段押し
部３４および、汁受皿３９の空気口３８を上から遮蔽す
るように載置されている。

【００２９】なお、実施例１と同一符号のものは同一構
造を有し、説明は省略する。

【００３０】次に動作、作用について説明すると、バー
ナ１７に供給された予混合ガスは主炎口部１０から噴出
し、何らかの点火手段（図示せず）によって着火され、
主炎口部１０で上向きの主火炎４３を形成する。この
時、空気通路８から上昇気流として流入する第一の二次
空気流４４が煮汁遮蔽体１５と炎口成型体６の間の空隙
１６を通過して、上昇気流の傾向を持ちながら主炎口部
１０の直上に至って主火炎４３中に効果的に拡散する。
同時に、空気口３８を通じて流入する空気は、天板３３
の下面部を冷却しながら、五徳４０の枠体４１の内周の
下降傾斜によって方向を整流され、汁受皿３９の底面を
なめるように流れて汁受皿３９の温度上昇を抑えなが
ら、主炎口部１０の周囲から第二の二次空気流４５とし
てして主火炎４３中に拡散する。したがって、主火炎４
３は第一の二次空気流４４と第二の二次空気流４５によ
って挟まれ、燃焼が促進され短炎化した直上向きの火炎
として形成される。

【００３１】この時、五徳４０の載置部４２をバーナ１
７の小炎口部１１に対応させることにより、載置部４２
の先端によって主火炎４３が干渉を受けることはないた
め、ＣＯの発生の少ない燃焼状態を実現し、鍋とバーナ
１７との距離を接近させることができる。

【００３２】したがって、コンパクトなバーナ構成を実
現できるため、広い鍋への伝熱面積を確保し、その結果
高い熱効率を実現して省エネルギー性をも確保し、煮汁
の炎口１１内への侵入防止と安定した燃焼空気の供給が
行え、全体として段差の少ない構成を確保したコンロを
提供することができる。

【００３３】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、小炎口
部における小火炎は、隣接する変則配列炎口部で形成さ
れる主火炎とは相互に干渉し合わず、変則配列炎口は、
他の主炎口と同様の開口面積を設けられ、炎口成型体の
径を縮小しても必要な燃焼量を得るための炎口の開口面
積を確保できるので、このバーナを用いて周囲への熱放
散を抑えて高い加熱効率を実現するコンロを提供するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１のバーナの炎口成型体の下面
図

【図２】本発明の実施例１のバーナの断面図

【図３】本発明の実施例２のコンロの断面図

【図４】（ａ）従来のバーナの断面図 （ｂ）同バーナの要部拡大図

【符号の説明】

６ 炎口成型体 ９ 外周傾斜面 １０ 主炎口部 １１ 小炎口部 １２ 放射配列炎口 １３ 変則配列炎口 １５ 煮汁遮蔽体 １６ 空隙 １７ バーナ １８ 主火炎 １９ 小火炎 ２０、４２ 載置部 ３３ 天板 ３７ 開口部 ４０ 五徳

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 略環状の炎口成型体の外周部に、主火炎
   を形成する主炎口部と小火炎を形成する小炎口部を隔設
   し、主火炎と小火炎が相互に干渉し合わないように、小
   炎口部に隣接する主炎口部に変則配列炎口部を開口させ
   たバーナ。
2. 【請求項２】 主炎口部は、炎口成型体の環状部の中心
   を基点として周方向に開口する放射配列炎口部と、小炎
   口部の近傍にあって、かつ小炎口部から遠ざかる方向に
   開口させた変則配列炎口部を備えた請求項１に記載のバ
   ーナ。
3. 【請求項３】 変則配列炎口部の開口方向は、炎口成型
   体の環状部の中心を基点として周方向に開口する放射配
   列炎口部のうち、隣接する放射配列炎口の開口方向と略
   平行とした請求項２に記載のバーナ。
4. 【請求項４】 炎口成型体は、外周部を外方に下降傾斜
   させた外周傾斜面で構成し、外周傾斜面に主炎口を開口
   させた請求項１、２又は３に記載のバーナ。
5. 【請求項５】 炎口成型体の上方に空隙を介して煮汁遮
   蔽体を設けた請求項１〜４のいずれか１項に記載のバー
   ナ。
6. 【請求項６】 天板の開口部に設けた請求項１〜５のい
   ずれか１項に記載のバーナと、このバーナの小炎口部に
   対応する載置部を設けた五徳を備えたコンロ。