JP4346031B2 - コンロバーナ - Google Patents

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Description

本発明は、テーブルコンロ等のガスコンロに用いられるコンロバーナに関する。
従来から、ガスコンロの分野においては、特許文献1に示すように、調理容器の加熱効率を向上させるため、バーナの燃焼空間を狭くしたガスコンロが実用化されている。
具体的には、中央のバーナが露出する五徳リングと、その五徳リング上に立設されて調理容器を支持する五徳爪とからなる五徳を利用し、まず、五徳爪の高さを低くすると共に、五徳の鍔部をバーナヘッドの主炎口近傍まで延ばした構成により、二次空気を火炎の基部から先端にまで供給する。
そして、バーナの燃焼ガスを、調理容器と五徳リングとの間の隙間(リング状燃焼ガス通路)から外部に放出する構成としている。
この構造により、調理容器をバーナヘッドに接近させるとともに、五徳リングによってバーナの燃焼ガスの拡散を防いで、高温の燃焼ガスと調理容器とを確実に接触させて、熱効率の向上を図っている。
特開2003−161449号公報
特許文献1のようなガスコンロでは、燃焼空間を狭くし過ぎると、バーナの燃焼性能が悪化する。そこで、給気ファンを用いる等してバーナへの一次空気の供給量を増やせば、燃焼性能の悪化は抑制できる。しかし、一次空気を増やした分混合ガスの噴出速度や燃焼速度が変化し、火炎のリフトやバックによって燃焼性能に影響が出てしまう。このようなリフトやバックの防止には、炎口を小さくし数を増やして面積をかせぐと効果的であるが、バーナヘッドの肉厚よりも小さい炎口を形成するのは加工が難しく、また、炎口を小さくし過ぎると目詰まりが生じやすい上、清掃の手間も掛かることになる。
そこで、本発明は、火炎のリフトやバックを効果的に防止して燃焼性能を維持できるのは勿論、加工や掃除もしやすいコンロバーナを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、燃焼用空気と燃料ガスとの混合気が供給されるバーナ本体と、そのバーナ本体上に連通状態で載置され、混合気を燃焼させる炎口を外周に備えたバーナヘッドとからなるコンロバーナであって、バーナヘッドを、円筒外周面に複数の開口を形成した異径の円筒体を、その円筒面同士が互いに略密着するように同軸で重ね合わせて形成し、各円筒体の開口間の連通空間を混合ガス通路又は炎口としてなるコンロバーナとしたものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、小さい炎口をより簡単に形成するために、一方の円筒体には縦方向のスリット開口を、他方の円筒体には横方向のスリット開口を夫々形成して、両スリット開口の重ね合わせにより炎口を形成したものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の目的に加えて、火炎のリフトやバックをより効果的に防止するために、内側の円筒体の外周面に、任意の方向のスリット溝を形成してそのスリット溝内に複数の小孔を穿設する一方、外側の円筒体に、スリット溝の形成方向と異なる方向にスリット開口を形成して、スリット溝とスリット開口との重なり部を炎口とし、混合ガスを内側の円筒体の小孔からスリット溝を介して外側の円筒体のスリット開口に導き、そのスリット開口で火炎を形成する構成としたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの目的に加えて、耐久性を確保するために、最外に配置される円筒体は、それよりも内側の円筒体よりも耐熱性の高い金属で形成したものである。
請求項1に記載の発明によれば、円筒体の開口の重ね合わせによって小さい炎口や狭い混合ガス通路を形成できるため、火炎のリフトやバックを効果的に防止可能となる。また、円筒体の開口を無理に小さく形成する必要がないため、加工性に優れる。さらに、開口に目詰まりが生じにくくなる上、清掃も円筒体を分離することで簡単に行える。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、スリット開口を形成するといった簡単な加工により小さい炎口を形成可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、内側の円筒体の隣り合う小孔から流出した混合ガスがスリット溝内でぶつかりあって乱流となるため、保炎性が一層向上する。しかもスリット溝を利用して混合ガス通路を形成しているため、混合ガス通路を容易に狭くして保炎性を向上できる。よって、火炎のリフトやバックがより効果的に防止可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの効果に加えて、多重筒構造としても耐久性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ガスコンロの一例であるテーブルコンロ1の説明図で、トッププレート2に形成された開口3には、外周縁に汁受皿4が載置され、開口3の中央位置にはコンロバーナ20が配置されている。5は開口3の周縁に載置された五徳で、五徳5上に調理容器Pが載置されている。
コンロバーナ20は、燃焼に必要な空気の殆どを一次空気として吸入する全一次空気式のバーナで、上端にフランジ22を周設した筒状のバーナ本体21と、外周に多数の炎口24,24・・を形成した同じく筒状のバーナヘッド23とからなる。バーナ本体21には、上流側に、燃焼用空気を供給するための給気ファン6が接続されて、その空気供給路7の途中に、燃料ガスを噴出するガスノズル8が設けられている。ガスノズル8に接続されるガス管には、上流側から、安全弁となるマグネット電磁弁9、主弁10、テーブルコンロ1の正面に設けた火力調節レバー12によってガス流路を調節するニードル弁11が夫々設けられている。
13はコントローラで、点火操作を受けて図示しないイグナイタの作動制御を行うほか、コンロバーナ20の燃焼中は、バーナ近傍に設けた図示しない温度センサ(熱電対等)を監視して、マグネット電磁弁9の通電制御等を行う。
また、コンロバーナ20のフランジ22より下側のバーナ本体21外周及び汁受皿4の下面、後述する五徳5の五徳リングの下面は、断熱材、例えばセラミックウール14,14・・で被覆されている。
バーナヘッド23は、図2にも示すように、フランジ部26を周設した下端がバーナ本体21の上面に凹設された凹部27に載置され、上端が閉塞された筒状の内側リング25(図2右端)と、内側リング25より一回り大きい筒状体で、内側リング25に同軸で外装される外側リング28(図2中央)との二重筒構造となっている。この重ね合わせ状態で両リング25,28は略密着状態となる。
まず、内側リング25は、真鍮製で、外周面には、断面V字状の周方向のスリット溝29,29・・が上下方向へ等間隔に凹設され、各スリット溝29の底部に、角形の小孔30,30・・が等間隔で夫々穿設されている。この小孔30は、各スリット溝29間で上下方向に整列している。具体的には、内周面に上下方向の縦溝25a,25a・・が等間隔で形成されたリング体を鍛造で形成し、そのリング体の外周面に、スリット溝29を周方向に旋盤で形成することで作製される。すなわち、縦溝25aとスリット溝29とが重なり合った部分が小孔30となる。
次に、外側リング28は、耐熱性のステンレス製で、上下方向のスリット開口31,31・・が、周方向へ等間隔となるように穿設されている。
内側リング25に外側リング28を外装した状態では、図2の左端に示すように、内側リング25の小孔30,30・・と外側リング28のスリット開口31,31・・とが周方向にずれており、外側からは内側リング25の小孔30が見えないように両リング同士が位置決めされる。この配置により、バーナヘッド23には、同図の円内拡大図に示すように、内側リング25の小孔30から、内側リング25のスリット溝29を通り、外側リング28のスリット開口31に至る混合ガス通路32が形成され、スリット開口31内の混合ガス通路32との重なり部分が炎口24となる。
一方、五徳5は、内周縁及び外周縁を下方に向けてリング状に折曲し、上面を外周へ行くに従って高くなる緩傾斜面とした五徳リング15と、その五徳リング15上に垂直方向へ立設された8つの仕切壁16,16・・とからなる。17は、五徳リング15の底面から下方に向けて設けられ、開口3の外側でトッププレート2に差込固定される固定脚である。仕切壁16は、図3,4に示すように、上方から見て夫々湾曲形状に形成され、下端に突設した連結突起18,18を、五徳リング15に形成した差込孔19,19に差し込んで溶接することで、内側先端から外周先端にかけて五徳リング15上面に円弧状に立設されて五徳リング15と一体化される。また、各仕切壁16は、コンロバーナ20を中心とした渦巻き状となるように夫々方向を合わせて配置されて、上端は、調理容器Pが載置できるように同じ高さで形成され、調理容器Pの底面へ渦巻きライン状に当接して、調理容器Pを支持する五徳爪を兼ねるようになっている。
よって、五徳5には、五徳リング15の上面と仕切壁16と調理容器P底面とにより囲まれる渦巻き状の燃焼ガス通路34,34・・が形成されることになるが、ここでは、各仕切壁16の湾曲形状の設定により、隣接する仕切壁16,16間の距離W(燃焼ガスの流れ方向に対して直交する水平方向の仕切壁間の距離)を、コンロバーナ20の中心から外側へ離れるに従って狭くなるように、すなわち各燃焼ガス通路34が、内周から外周へ行くに従って徐々に狭くなるようにしている。
なお、この仕切壁16,16・・は、コンロ部を上方から見た図7に示すように、コンロバーナ20の中心から半径100mmの円S内に、少なくとも2列以上形成されるように配置されている。
一方、コンロバーナ20のフランジ22上には、耐熱性ステンレス製の旋回羽根リング35が載置されている。この旋回羽根リング35は、内周から外周へ行くに従ってラッパ状に拡開する小リング板36と、その小リング板36上へ垂直方向に立設されるリフト防止板としての複数の旋回羽根37,37・・とからなり、フランジ22への載置状態で、小リング板36の最も高い外周縁が、五徳リング15の傾斜面の最も低い内周縁と連続状に繋がるように設定されている。
旋回羽根37は、図5,6に示すように、五徳リング15の仕切壁16と同様に、上方から見て円弧状に形成され、コンロバーナ20を中心とした渦巻き状となるように夫々方向を合わせて配置されて、各旋回羽根37,37の間が、五徳リング15の燃焼ガス通路34と繋がるようになっている。また、旋回羽根37の内側端は、バーナヘッド23の炎口形成面(外側リング28の外周面)から2mm以上で20mm以内に位置するように(本形態では10mm)形成されている。2mmを下回ると、炎口24に近すぎて燃焼性能が悪化してしまい、20mmを超えると、リフト防止効果が充分に得られないからである。
これにより、旋回羽根リング35の旋回羽根37,37間には、バーナヘッド23の炎口24から噴出した燃焼火炎を斜め上方へ向けて、且つバーナヘッド23の円筒外周面の接線方向に旋回させて五徳リング15の燃焼ガス通路34と一連となる燃焼案内通路38,38・・が形成されることになる。
以上の如く構成されたコンロバーナ20を備えたテーブルコンロ1においては、五徳5上に調理容器Pを載置すると、上方が調理容器Pの底面で、下方が五徳5の五徳リング15及び旋回羽根リング35の小リング板36で夫々閉塞された燃焼空間が形成され、コンロバーナ20と五徳5の外周側とは、旋回羽根37,37間の燃焼案内通路38及び仕切壁16,16間の燃焼ガス通路34によって連通する状態となる。
ここでテーブルコンロ1の正面に設けた図示しない点火ボタンを押すと、主弁10及びマグネット電磁弁9が強制的に開弁され、コンロバーナ20へ燃料ガスが供給される。同時にコントローラ13は、給気ファン6を回転させてコンロバーナ20へ燃焼用空気を供給すると共に、イグナイタを作動させて点火制御を行う。
空気供給路7の途中で燃焼用空気と混合された燃料ガスは、混合ガスとなってバーナ本体21内を上昇し、バーナヘッド23へ送られることになる。バーナヘッド23の混合ガス通路32では、図2の円内拡大図に示すように、まず内側リング25の小孔30を通ってスリット溝29内に噴出した後、ここで混合ガスがスリット溝29内で左右に分かれ、スリット開口31を通って外部へ噴出し、スリット開口31内での各炎口24で燃焼火炎Fを形成させることになる。このとき、最外が開口面積の大きいスリット開口31であっても、各混合ガス通路32では、スリット溝29内で混合ガスが互いにぶつかり合って乱流となるため、保炎性能が向上し、燃焼火炎Fがバーナヘッド23内へバックしたり炎口24からリフトしたりすることを防止して良好な燃焼状態を維持できる。さらに、スリット溝29を利用して混合ガス通路32を狭く形成しているため、保炎性を一層向上できる。しかもスリット溝29を利用することによって、精密な加工を用いなくとも狭いガス通路を容易に形成することができるため、製造コストを抑制できる。
そして、ここでは、給気ファン6によって燃焼用空気を強制的に供給することにより、同じ燃焼量の場合でも、燃焼空間を狭くして熱効率を向上させることができる。
つまり、燃焼用空気が自然ドラフト力に供給される場合には、燃焼空間を狭くしてしまうとドラフト力が形成されず、燃焼空気の給気・排気がスムーズに行われないため、燃焼状態が悪化してしまうが、ここでは燃焼用空気が給気ファン6により強制的に供給されるために、燃焼空間を狭くしても良好な燃焼状態を得ることができる。
こうして燃焼用空気を増やして燃焼改善を図ると、混合ガスの噴出速度が速くなって燃焼火炎がリフトしやすくなるが、ここでは、各炎口24から噴出燃焼する燃焼火炎Fは、すぐ外側の旋回羽根リング35の旋回羽根37,37・・に当接するため、燃焼火炎Fはバーナヘッド23からリフトすることがなく、旋回羽根37,37・・によって外側リングの接線方向へ旋回する渦巻き状に形成される。よって、燃焼した後の燃焼ガスも、そのまま旋回羽根37,37間の燃焼案内通路38を通って旋回羽根リング35の外周へ導かれることになる。
続いて燃焼ガスは、五徳5上で渦巻き状に区画された複数の燃焼ガス通路34,34・・に流入し、仕切壁16と衝突しながら渦巻き状に外周へ移動する。この仕切壁16との衝突の際に、燃焼ガスは水平方向から上方向に流れを変化させ、調理容器P底面に衝突する。このため、調理容器P底面と燃焼ガスとの接触が良好となると共に、接触距離が長くなって伝熱効率を向上させることができる。特に、渦巻き状に分割された燃焼ガス通路34の通路断面積が、コンロバーナ20から遠くなるほど狭くなるように形成されているため、燃焼ガスが調理容器Pの底面との熱交換により温度が低下しても流速が下がることがなく、燃焼ガスの拡散が防止されて燃焼ガス通路34の終端まで熱交換は促進される。
つまり、燃焼ガスという熱流を五徳5の内側から外側にかけて形成された狭い空間内を通過させることで、熱が拡散せずに有効に調理容器底面を加熱することができる。また、調理容器Pの径が五徳リング15の径より小さい場合には、調理容器底面下を抜け出た燃焼ガスは、仕切壁16により上方向に向けられて調理容器側面に沿って流れるため、熱流を無駄に外側に排出せず、調理加熱として有効に利用できる。
さらに、渦巻き状の仕切壁16により火炎が囲まれるため、火炎が調理容器下面横から流出せず、使用者の着衣に引火することがなく安全である。
なお、五徳リング15に伝熱した燃焼ガスの熱は、セラミックウール14によって断熱されるため、燃焼ガス熱の外部への放出を抑制することができる。
特に、仕切壁16は、コンロバーナ20の中心から半径100mm以内の円S内で2列以上立設されているため、径の小さい調理容器でも燃焼ガスとの熱交換が確実に行え、熱効率の向上が期待できる。
このように、上記形態のコンロバーナ20によれば、円筒外周面に複数の小孔30を形成した内側リング25と、スリット開口31を形成した外側リング28とを、その円筒面同士が互いに略密着するように同軸で重ね合わせて、各リング25,28の小孔30とスリット開口31との連通空間を混合ガス通路32としたことで、両リング25,28の小孔30とスリット開口31との重ね合わせによって小さい炎口24が形成できる。よって、火炎のリフトやバックを効果的に防止可能となる。また、小孔30やスリット開口31を無理に小さく形成する必要がないため、加工性に優れる。さらに、小孔30やスリット開口31に目詰まりが生じにくくなる上、清掃も両リング25,28を分離することで簡単に行える。
特に、ここでは、内側リング25の外周面に、周方向のスリット溝29を形成してそのスリット溝29内に複数の小孔30を穿設する一方、外側リング28に、上下方向のスリット開口31を形成して、スリット溝29とスリット開口31との重なり部を炎口24とし、混合ガスを内側リング25の小孔30からスリット溝29を介して外側リング28のスリット開口31に導き、そのスリット開口31で火炎を形成する構成としたことで、スリット溝29内で混合ガスがぶつかりあって乱流となり、保炎性が向上する。よって、火炎のリフトやバックがより効果的に防止可能となる。
また、火炎により直接熱せられて高温となる外側リング28を、内側リング25よりも耐熱性の高い金属で形成しているため、耐久性に優れたコンロバーナ20を得ることができる。
また、上記コンロバーナ20によれば、噴出速度が速くなっても、旋回羽根リング35によって燃焼火炎Fのリフトを効果的に防止可能となる。よって、燃焼空間を狭くして熱効率の向上を図るテーブルコンロに好適に用いることができる。
また、リフト防止板として、燃焼火炎Fを、斜め上方で且つバーナ本体21の円筒外周面の接線方向に旋回させる旋回羽根37を設けているため、好適なリフト防止効果が得られるようになっている。特に、複数の旋回羽根37,37・・をバーナ本体21の外周に設けた小リング板36の上面に複数立設した旋回羽根リング35を採用しているため、バーナの全周に亘って万遍なくリフト防止効果が得られる。さらに、旋回羽根37による火炎の旋回により、調理容器底面と火炎との接触が良好になるため、この点でも熱効率が向上する。
一方、旋回羽根37は、その内側端が炎口形成面から2mm以上20mm以内の位置に設置しているため、燃焼性能を悪化させることなく充分なリフト防止効果が得られる最適位置が選択可能となっている。
また、旋回羽根リング35の周囲に、旋回羽根リング35と同じ方向に燃焼ガスを旋回させる仕切壁16を形成した五徳リング15を配置したことで、旋回羽根リング35から旋回しながら外周へ導かれる燃焼ガスを一連の流れでスムーズに五徳リング15でも旋回させることができ、燃焼ガスによる調理容器Pとの熱交換を好適に行わせることができる。
そして、コンロバーナ20を、給気ファン6によって燃焼用の一次空気が強制的に供給される全一次空気式燃焼バーナとして、調理容器P下部の燃焼空間に外気が殆ど流入しないように形成されたテーブルコンロ1に適用したことで、一次空気の増加による燃焼火炎のリフトを防止して熱効率の向上に寄与することができる。
また、五徳リング15と旋回羽根37とを別体に設けているため、旋回羽根37の熱が五徳リング15に伝わって放熱してしまうという不具合も防止でき、こうした点でも熱効率向上の一助となっている。
さらに、五徳リング15上に、燃焼ガス通路34を仕切る複数の仕切壁16を、五徳リング15の放射方向と異なる方向で立設し、仕切壁16は、隣接する仕切壁16との距離を、コンロバーナ20の中心から外側へ離れるに従って狭くなるように設定したことで、調理容器Pとの熱交換により温度が低下する燃焼空間の外側でも燃焼ガスの拡散を防いで調理容器Pとの熱交換を促進でき、熱効率の向上を効果的に実現することができる。
また、仕切壁16を上方から見て渦巻き状に形成しているから、調理容器P底面との接触距離を長く保つことができ、一層熱効率を向上することができる。また、隣接する仕切壁16の距離を簡単に調整することができるため、熱流が拡散しないように各燃焼ガス通路34の通過断面積を簡単に調整可能となる。
そして、仕切壁16を、その内側先端から外側先端にかけて五徳リング15に立設され、調理容器Pを載置した際に上端が調理容器Pの底面と渦巻きライン状に当接する五徳爪として、燃焼ガス通路34を五徳リング15上面と仕切壁16と調理容器P底面とにより囲まれる渦巻き状に区画形成したことで、仕切壁16を五徳爪に兼用して調理容器Pの底面を燃焼ガス通路34の区画に利用できる。しかも、燃焼ガスが渦巻き状に区画された燃焼ガス通路34に沿って外側に流れるとき、仕切壁16に当たって上方向に導かれて調理容器P底面と良好に衝突するため、一層調理容器P底面を良好に加熱できる。また、五徳リング15上で調理容器P底面下を抜け出た燃焼ガスも、仕切壁16により上方向に向けられて調理容器P側面に沿って流れるため、調理容器P側面をも良好に加熱する。
従って、熱の拡散防止と燃焼ガスの流れのコントロールとにより熱効率が飛躍的に向上する。
なお、各円筒体の構造は、上記形態に限らず、例えばスリット溝をU字状としたり、内側リングの外面でなく、外側リングの内面に設けたりすることができる。また、スリット溝は周方向へ断続的に形成しても良いし、スリット開口も上下方向で断続的に形成しても良い。さらに、開口はスリットに限らず、円形や四角形、多角形等の他の形状も採用できる他、夫々の開口面積も円筒体ごとに変更したり、或いは同じ円筒体で面積の異なる開口を形成したり等の設計変更は可能である。バーナヘッドの閉塞も、外側リングの上端を閉塞しても良いし、内外両リングの上端を閉塞しても良い。
図8は、バーナヘッドの変更例を示すもので、内側リング41(右端)には上下方向の縦スリット42,42・・を周方向へ等間隔で穿設し、外側リング43(中央)には周方向で断続的な横スリット44,44・・を、上下方向へ互い違いとなるように等間隔で穿設したバーナヘッド40(左端)であって、縦横のスリット42,44の重なり部分が炎口45,45・・となっている。この場合、図2で示した形態よりも構造が簡単となって加工性や掃除のしやすさに優れる。
また、図9は、他の変更例のバーナヘッド46を示すもので、これは、内側リング47(右端)に、周方向に等間隔で穿設した円形の小孔48,48・・を、上下方向へ互い違いとなるように等間隔で配設(下側の側面図では中央部分のみ小孔を示して左右両側は省略している。外側リングも同じ)すると共に、外側リング49(中央)にも、周方向に等間隔で穿設した円形の小孔50,50・・を、上下方向へ互い違いとなるように等間隔で配設したものである。よって、同図左端で示すように、内外の小孔48,50の重なり部分が混合ガス通路51,51・・となる。この場合、図2や図6で示した各形態よりもより構造が簡単となって加工性や掃除のしやすさに優れる。特に、内側リング47に対して外側リング49を回転させることで、小孔48と50との重なり部分、すなわち混合ガス通路51の通路面積を簡単に増減できる利点もある。
そして、円筒体は上記形態のような2つに限らず、夫々開口を形成して径の異なる3つ以上の円筒体を順に外装した多重筒構造として、各開口の重ね合わせ部分を炎口とすることもできる。
一方、五徳の構造も上記形態に限らず、例えば外周の五徳リングは、上記形態のように外周側の通路が狭くなる渦巻き状の仕切壁を立設したものに限らず、外周側の通路が広くなる渦巻き状の仕切壁を立設したものや、渦巻き状でなく、従来型の放射状の五徳爪を立設したものであっても差し支えない。勿論旋回羽根リングは省略することもできる。
その他、ガスコンロも、テーブルコンロに限らず、ビルトインコンロ等にも本発明のコンロバーナは適用可能である。
テーブルコンロの説明図である。 バーナヘッドの説明図である。 五徳リングの説明図(上が平面、下が側面)である。 五徳リングの斜視図である。 旋回羽根リングの説明図(上が平面、下がA−A線断面)である。 旋回羽根リングの斜視図である。 コンロ部の平面図である。 バーナヘッドの変更例の説明図である。 バーナヘッドの他の変更例の説明図である。
符号の説明
1‥テーブルコンロ、5‥五徳、6‥給気ファン、13‥コントローラ、15‥五徳リング、16‥仕切壁、20‥コンロバーナ、21‥バーナ本体、23‥バーナヘッド、24‥炎口、25‥内側リング、28‥外側リング、29‥スリット溝、30‥小孔、31‥スリット開口、34‥燃焼ガス通路、35‥旋回羽根リング、36‥小リング板、37‥旋回羽根、P‥調理容器。

Claims (4)

  1. 燃焼用空気と燃料ガスとの混合気が供給されるバーナ本体と、そのバーナ本体上に連通状態で載置され、前記混合気を燃焼させる炎口を外周に備えたバーナヘッドとからなるコンロバーナであって、
    前記バーナヘッドを、円筒外周面に複数の開口を形成した異径の円筒体を、その円筒面同士が互いに略密着するように同軸で重ね合わせて形成し、各円筒体の開口間の連通空間を混合ガス通路又は炎口としたことを特徴とするコンロバーナ。
  2. 一方の円筒体には縦方向のスリット開口を、他方の円筒体には横方向のスリット開口を夫々形成して、両スリット開口の重ね合わせにより炎口を形成した請求項1に記載のコンロバーナ。
  3. 内側の円筒体の外周面に、任意の方向のスリット溝を形成してそのスリット溝内に複数の小孔を穿設する一方、外側の円筒体に、前記スリット溝の形成方向と異なる方向にスリット開口を形成して、前記スリット溝とスリット開口との重なり部を炎口とし、混合ガスを前記内側の円筒体の小孔からスリット溝を介して前記外側の円筒体のスリット開口に導き、そのスリット開口で火炎を形成する請求項1に記載のコンロバーナ。
  4. 最外に配置される円筒体は、それよりも内側の円筒体よりも耐熱性の高い金属で形成した請求項1乃至3の何れかに記載のコンロバーナ。
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