JP5491166B2 - 木質複合材 - Google Patents

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本発明は、木質複合材に関する。
従来、竹材からなる合板が知られている。竹製の合板の製造においては、竹を小割にした後、材を柔軟にしたり、澱粉質等の昆虫にとっての養分を除去して防虫効果を持たせるなどの目的から、竹材を湯中に相当な期間浸してから使用する場合が多い。また、湯中に浸積する処理を行った後、竹を用いて合板を製造する技術も知られている(特許文献1,2参照)。しかし、その場合においても、得られる合板は、竹の比重が約0.8程度と高いことから相当な重量となって施工性を悪化させる一因ともなる。
ところで、住宅の床には床暖房仕様として設置することも多いが、床暖房を使用していない床の仕上げ材として、従来の竹を用いた合板を用いる場合、床がひんやりして、足下が冷えたり、エアコン等の他の暖房を必要以上に稼働させる場合もあった。
なお、竹を用いた複合材の軽量化を試みるために、プラスチックやラワン材合板、さらには針葉樹合板などといった材料を芯材にすることが提案されており(特許文献3,4参照)、また、針葉樹単板を交互に奇数枚接着剤により接合させ、更にその両面に広葉樹単板を直交させたものを配し、化粧材として竹単板を使用したものも提案されている(特許文献5参照)。
特開平6−39806号公報 特開平8−57810号公報 特開平9−169076号公報 特開2003−20792号公報 特開2006−159692号公報
本発明者は、竹を用いた木質複合材であって、肌に触れてもひんやりした感触を与えにくく、取り扱い性にも優れたものを提供するべく鋭意検討した結果、竹単板に、特定比重の木材からなるコア部及び添え心板を組み合わせることで、それらの課題を解決し得ることを知見した。本発明は、かかる知見基づき更に検討を重ねてなされたものである。
従って、本発明の目的は、竹材を表面に用いていながら、肌に触れてもひんやりした感触を与えにくく、取り扱い性にも優れた木質複合材を提供することにある。
本発明は、竹単板からなる第1表面材、竹単板又は捨て貼り用単板からなる第2表面材、第1及び第2の表面材それぞれより低比重の木材からなるコア部、第1表面材及びコア部の木材の中間の比重を有する木材からなり、第1表面材とコア部との間に配された第1添え心板、及び第2表面材とコア部の木材の中間の比重を有する木材からなり、第2表面材とコア部との間に配された第2添え心板を有することを特徴とする木質複合材を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明の木質複合材は、竹材を表面に用いていながら、肌に触れてもひんやりした感触を与えにくく、取り扱い性にも優れている。
図1は、本発明の木質複合材の一実施形態の一部を示す斜視図であるである。 図2(a)及び図2(b)は、竹単板の製造方法の一例を説明する説明図である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の木質複合材の一実施形態を示す図である。
本実施形態の木質複合材1は、竹単板からなる第1表面材2、竹単板からなる第2表面材3、第1及び第2の表面材2,3それぞれより低比重の木材からなるコア部4、第1表面材2及びコア部4の木材の中間の比重を有する木材からなり、第1表面材2とコア部4との間に配された第1添え心板5、及び第2表面材3とコア部4の木材の中間の比重を有する木材からなり、第2表面材3とコア部4との間に配された第2添え心板6を有している。
本実施形態の木質複合材1は、平面視して長方形状の面材であり、長手方向(図1中X方向)及び幅方向(図1中Y方向)を有している。また、本実施形態の木質複合材1における、第1及び第2表面材2,3、コア部4及び添え心板5,6は、それぞれの平面視形状が、木質複合材1の平面視形状と同大同形状である。
第1及び第2表面材2,3として用いる竹単板としては、公知の方法により得られたものを用いることができる。例えば、図2(a)又は図2(b)に示す方法により得た竹単板21,28を用いることができる。
図2(a)に示す方法においては、伐採した竹22を、周方向に等分割するように繊維方向に沿って切断すると共に内側の節を取り除いて粗成形体23とし、その粗成形体23の丸みをプレナー、モルダー等を用いて除去して断面矩形の棒状体24とする。その棒状体24の複数本を、横一列に並べて矩形の短辺に相当する側面どうしを図示しない接着剤で接着して板状体25とし、その板状体25を、スライサー、ハーフロータリーレース等によりスライスするように切断して竹単板21を得る。
図2(b)に示す方法においては、図2(a)と同様の方法で得られた棒状体26を、矩形の長辺どおしが接する様に並べて、図示しない接着剤で接着して板状体27とし、その板状体27をスライサー等によりスライスするように切断して竹単板28を得る。
コア部4は、第1及び第2の表面材2,3それぞれより低比重の木材から形成する。コア部4を形成する木材は、好ましくは、竹単板21の繊維の配向方向と同方向(図1中X方向)を繊維の配向方向とする。
コア部4は、Y方向に並べた複数本の断面矩形の棒状材41,41・・からなる。個々の棒状材41は、X方向に複数の材を継いでいない無垢材(非ジョイント材)であっても良いし、バットジョイントやフィンガージョイント等でX方向に継いだジョイント材であっても良い。非ジョイント材とジョイント材とを混在させて良いことは勿論である。
コア部4を形成する木材(棒状材41)は、低比重の樹種から得られた低比重材であることが好ましい。低比重材は、絶乾比重が、0.06〜0.50であることが好ましく、0.10〜0.40であることがより好ましく、0.15〜0.35であることが更に好ましい。
コア部4を形成する木材として用いる低比重の樹種としては、ファルカタ(比重0.37)、バルサ(比重0.27)、ドロノキ(ポプラ)(比重0.42)、グメリナ(比重0.44)、スギ(比重0.38)、カメレレ(ユーカリ)(比重0.37〜0.64)等が好ましく、これらの中でも、早生樹で植林木であるファルカタやバルサ、特にバルサが好ましい。比重の値は、(財)日本木材総合情報センターから入手した。コア部4を形成する木材は、同一樹種から得られた木材であることが好ましいが、異なる樹種から得られた木材を組み合わせて用いることもできる。なお、バルサ材は絶乾比重0.06〜0.27のものを用いることが好ましい。コア部4が異なる複数の樹種から得られた木材を組み合わせたものである場合、第1表面材2は、棒状材41の平均比重より高比重であることが好ましい。
第1の添え心板5には、第1表面材2に用いた木材21の比重とコア部4に用いた木材の比重との中間の比重を有するものを用いる。また、第2の添え心板6には、第2表面材3に用いた木材21の比重とコア部4に用いた木材の比重との中間の比重を有するものを用いる。これにより、第1及び第2表面材2,3に、比較的高比重の硬い材を用いて、床材等として用いた場合に、表面に凹みや傷が付きにくくする一方、表面材2,3に用いた硬い木材が、コア部4に用いた低比重の柔らかい木材に食い込むことを防止することもできる。
添え心板5,6としては、このような樹種の木材から得られる単板等を用いることができる。添え心板5,6として用いる単板は、例えば、丸太等の木材を、ロータリーレース、ハーフロータリーレース、又はスライサーにより切削することにより得られる。
第1及び第2の添え心板5,6に用いる木材は、好ましくは、竹単板21の繊維の配向方向と直交する方向(図1中Y方向)を繊維の配向方向とする。
第1及び第2の添え心板5,6を構成する木材は、その比重が、コア部4を構成する木材の比重の1.0倍超8.5倍以下、特に1.2〜3.0倍であることが好ましい。また、第1の添え心板5を構成する木材は、その比重が、第1表面材2を構成する木材の比重の0.3倍超、1.0倍未満、特に0.35〜0.6倍であることが好ましく、第2の添え心板6を構成する木材は、その比重が、第2表面材3を構成する木材の比重の0.3倍超、1.0倍未満、特に0.35〜0.6倍であることが好ましい。
第1及び第2の添え心板5,6を構成する木材の樹種は、ファルカタ(比重0.37)、バルサ(比重0.27)、ドロノキ(ポプラ)(比重0.42)、グメリナ(比重0.44)、スギ(比重0.38)、カメレレ(ユーカリ)(比重0.37〜0.64)等が好ましく、これらの中でも、早生樹で植林木であるファルカタ、グメリナ、特にファルカタが好ましい。第1及び第2の添え心板5,6を構成する木材は、同一樹種から得られた木材であることが好ましいが、異なる樹種から得られた木材を組み合わせて用いることもできる。
第1及び第2表面材2,3の厚みT2,T3(図1参照)は、それぞれ、0.1〜1mm、特に0.3〜0.5mmであることが好ましい。また、表面材2,3の厚みT2,T3は、それぞれ、木質複合材1の厚みTの0.5〜6%、特に1〜3%であることが好ましい。
コア部4の厚みT4は、熱伝導率を低下させてひんやりした感触を与えにくいようにする観点や木質複合材1を軽量化して取り扱い性を向上させる観点等から、木質複合材の厚みT(図1参照)の60%以上であることが好ましく、より好ましくは60〜85%、更に好ましくは65〜80%である。
なお、木質複合材1の厚みTは、木質複合材1に面材としての強度を確保すると共に重量化を防止して良好な取り扱い性を確保する観点等から、12〜30mm、特に15〜25mmであることが好ましい。
コア部4を構成する棒状材41のY方向の寸法W41(図1参照)は、20〜50mmであることが好ましく、より好ましくは30〜40mmである。
また、添え心板5,6は、木質複合材全体の反り、アバレ等の変形を軽減するとともに、Y方向における強度を高める効果も有している。
第1及び第2添え心板5,6の厚みT5,T6(図1参照)は、1.5〜4.0mm、特に2.0〜3.6mmであることが好ましい。また、各添え心板5,6の厚みT5,T6は、木質複合材1の厚みTの10〜25%、特に15〜20%であることが好ましい。
本実施形態の木質複合材1における、コア部4と添え心板5,6との間、及び添え心板5,6と表面材2,3との間は、それぞれ、接着剤を介して接合されている。化粧ブロックボード1の構成要素間の接合に用いる接着剤としては、ブロックボード、合板、LVL等の製造に従来使用されている接着剤を特に制限なく用いることができるが、好ましい接着剤としては、ユリア樹脂系接着剤、ユリア−メラミン樹脂系接着剤あるいはフェノール樹脂系接着剤、フェノール−メラミン樹脂系接着剤等が挙げられる。
木質複合材1の構成要素間の接合に用いる接着剤、特に、木質複合材1における厚み方向の層間の接着には、防虫剤が配合された接着剤を用いることが好ましい。防虫剤が配合された接着剤を用いることにより、従来、竹材を用いた合板の製造等において通常行われていた防虫のための煮沸処理の省略が可能となり、製造コストの抑制等を図ることができる。接着剤に配合する防虫剤としては、フェニトロチオン、ビフェントリン、ホキシム、ホウ素系化合物、シフェノトリン、有機ヨウ素系化合物等を用いることができ、特に竹を好む、ヒラタキクイムシやチビタケナガシンクイに対して防虫効果の高い防虫剤、例えば、シフェノトリン、有機ヨウ素化合物等を用いることが好ましい。防虫剤は二種以上を組み合わせて用いても良い。
木質複合材1を製造するには、コア部4、添え心板5,6及び表面材2,3を、層間に接着剤を介在させて、図1に示すように積層し、それを、公知のプレス機、例えば平盤プレスを用いた熱圧処理によりこれらを一体化させる。
本実施形態の木質複合材1は、各種用途に特に制限なく用いることができ、特に、従来、合板や化粧ブロックボード等が使用されている各種用途に好ましく用いることができる。特に好ましいのは、フローリング材などの床材としての利用である。第1表面材からなる表面が比重が高く硬い竹単板から形成され、それが更に添え心板によって支持されているため、第1表面材側を上に向けて用いた場合に、表面に凹みや傷が付きにくい。また、竹材を用いていながら熱伝導率が低いため、表面の温度低下が抑制され、床に触れたときのひんやり感や、足下が冷えること等を抑制ないし軽減することができる。
木質複合材1の周面部には実加工を施すことも好ましい。実加工を施す場合の雄実及び雌実の断面形状は、各種公知のものを特に制限なく採用することができる。また、実加工は、一枚の木質複合材に、雄実及び雌実の何れか一方のみを設けることもできる。
以上、本発明の木質複合材の一実施形態について説明したが、本発明の木質複合材は上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。例えば、第2表面材としては、竹単板に代えて、チーク、オーク、ファルカタ等から得られた単板を用いることもできる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって何ら限定されるものではない。例えば、竹単板からなる第1表面材の表面には、透明塗料、ワックス等による保護層を設けることもできる。
(実施例1)
第1及び第2表面材2,3としては、インドネシア産の竹材から得られた、比重0.8、厚み(T2,T3)0.7mmの竹単板を用いた。コア部4は、比重0.15のバルサベアから得られた棒状材41から構成した厚み(T4)11.6mmのものを用いた。第1及び第2添え心板5,6としては、比重0.32のファルカタから得た厚み(T5,T6)2.6mmのものを用いた。これらを、厚み方向の層間にユリア系接着剤を介在させて図1に示す順序に積層した。
そして、その積層体を、ホットプレスを用いて105℃で3分間プレスし、厚み15mmの木質複合材を得た。
(実施例2)
竹単板の厚みT2,T3を、それぞれ0.6mmとし、コア部4の厚みT4を3.2mmとし、第1及び第2添え心板5,6の厚みT5,T6を3.2mmとした以外は、実施例1と同様にして、厚み10mmの木質複合材を得た。
(比較例1)
煮沸処理した竹材から得た断面矩形の棒状体を、円筒状の竹の周方向に対応する方向が厚み方向となるように、多数並行状に結合して得られる厚み15mmの竹集成フローリング材を比較例として用いた。この竹集成フローリング材においては、厚み方向の全体が竹材から構成されている。
〔熱伝導率の測定〕
京都電子工業株式会社製の熱伝導率測定装置(商品名「QTM−500」)を用いて、厚み方向の熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。
なお、結果は、繰り返し数を5とし、その平均値を示した。
〔重量〕
1m2当たりの重量を表1に併せて示した。
Figure 0005491166
表1に示す結果から、本発明に係る木質複合材は、竹材を表面に用いていながら、肌に触れてもひんやりした感触を与えにくいことが判る。また、取り扱い性にも優れていることが判る。
1 木質複合材
2 第1表面材
3 第2表面材
4 コア部
41 棒状材
5 第1添え心板
6 第2添え心板

Claims (4)

  1. 竹単板からなる第1表面材、竹単板又は捨て貼り用単板からなる第2表面材、第1及び第2の表面材それぞれより低比重の木材からなるコア部、第1表面材及びコア部の木材の中間の比重を有する木材からなり、第1表面材とコア部との間に配された第1添え心板、及び第2表面材とコア部の木材の中間の比重を有する木材からなり、第2表面材とコア部との間に配された第2添え心板を有することを特徴とする木質複合材。
  2. 第2表面材も竹単板からなることを特徴とする請求項1記載の竹を用いた木質複合材。
  3. 竹単板以外の木材が、総て植林木の木材からなることを特徴とする請求項1又は2記載の木質複合材。
  4. 厚み方向の層間の接着に防虫剤が配合された接着剤を用いたことを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の木質複合材。
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