JP2014024200A - バンブー集成部品の製造方法、および、バンブー・ステアリングホイールの製造方法 - Google Patents

バンブー集成部品の製造方法、および、バンブー・ステアリングホイールの製造方法 Download PDF

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藤 恵 治 佐
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Abstract

【課題】 曲線形状の竹製集成材の外的美感、触感および耐久強度などのあらゆる品質を格段に高めることができると共に、その製造技術を大幅に改善して生産効率を高め、良品率を向上できる新たな竹製集成部品の製造技術を提供する。
【解決手段】 竹2を縦割り(B)した複数枚のラミナ20,20,……に接着剤を塗布して積層状に重ね合わせ(G)、4面プレスにて集成材ブロック3とし(H)、該集成材ブロック3から複数枚の集成ラミナ板4を挽割り(J)、それら複数枚の集成ラミナ板4,4,……に接着剤を塗布し、積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体5とする(K)と共に、同複層集成ラミナ体5を所望湾曲形状に成型しながら硬化した(L)成型ラミナ体6を乾燥(M)した後、該成型ラミナ体6から湾曲部品7を挽割り(N)、適宜切削加工(P),(Q)にて所望の形状に仕上げるようにしてなるこの発明のバンブー集成部品の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

この発明は、竹を素材とした加工技術に関連するものであり、特に、曲面加工を施した竹製集成材の製造技術を提供する分野は勿論のこと、その製造技術によって製造した製品、および、その製品の輸送、保管、組み立ておよび利用に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材や、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
住宅用のフローリングや天井、壁面用パネルなどの建築用資材、建具類、および、家具、照明器具などの家電品を含む各種インテリアなどは、天然木材の集成材や、その挽き板または突き板などを利用するものが多く、近年の新興国における住宅需要の高まりなどに伴う原生樹木の乱獲が各国で発生するなど、天然樹林の保護や二酸化炭素の削減などといった地球規模の社会的要請に対応するため、広葉樹や針葉樹などよりも遙かに短期間にて生長可能な竹を利用した集成材に注目が集まっている。
竹の集成材は、伐採した竹を複数に縦割りして夫々が断面円弧状の竹材を細長い平板状とするよう、木口端を除いた4面に切削加工を施して複数枚のラミナを製造し、それら複数枚のラミナ同士の竹表面がわおよび竹内面がわに接着剤を塗布して重ねあわせ、木口端を除いた4面に加圧して強固に一体化するよう製造するものが多く、さらに、挽き板や突き板に加工して広く様々な用途に利用可能なものとなっているが、近年は、こうした竹の集成材や、その挽き板を利用して自動車用ステアリングホイールのグリップ部品製造、利用する試みがなされている。
前述したように、既に試みられている竹の集成材からなるステアリングホイールは、伐採した竹を縦割りにして得たラミナの竹表面がわおよび竹内面がわに接着剤を塗布して積層すると共に、ステアリングホイールの曲率に合わせ、ラミナの竹表内面がわ(重ね合わせ厚み)方向か、または、それに直交するラミナの幅寸法方向かの何れか一方に湾曲させるよう成型してなる集成材は、ラミナ幅による制限を受けてしまい、1回の成型で1本のステアリングの1/3程度の部品しか生産できないという欠点があり、本願出願人は、複数の部品を1回の成型で生産可能とするよう、ラミナを幅方向にも接着し集成材の厚みを大きくし、複数本のステアリング用部品を生産可能とするよう繰り返し試作を試みてきたが、ラミナ(竹)の反力が強すぎるため、ステアリングホイールの曲率に合致するよう所望の湾曲形状に成型するのが難しく、品質を安定化させることができないという欠点を有している。
その反力を抑えるため、ラミナの厚みを薄く設定せざるを得ず、所望の部品肉厚を確保するには、より多くの枚数のラミナを必要とする上、各ラミナは、縦割した竹をかなり薄く切削してしまうため、歩留まりが悪く、さらに、縦割したラミナは、単体では、含水率を調整するまでに、捻れ、反りなどが生じ易いことから、保管中の湿度や温度の管理が難しく、一旦変形してしまうと成型作業性が悪化してしまい、変形を起こしたラミナは、成型後に捻れ、ヨレ、円弧の寸法変化などが起こり易く、寸法不足などの不良を生じることもあり、品質の安定化が困難なものとなってしまうと共に、ラミナの竹表面がわと竹内面がわを接着したものは、切削加工段階で反力の影響によって切削刃物の負荷がワークに掛かり過ぎてしまうと繊維が弾け飛んで大きく欠損し易く、層間剥離等の弊害を生じ易いだけではなく、研磨加工中にササクレ現象も起こし易いなどといった特徴を有し、こうした現象は、バンブーの組織の維管束の密度、即ち竹内面がわの繊維密度が粗く少ない、逆に竹表面がわは繊維密度が高く、節の部分は、さらに繊維密度が高く、竹特有の部分毎に大きく異なる不均一な硬度による影響と考えられ、生産効率を悪化させる要因となっていた。
(従来の技術)
このように技術的課題は山積しているが、竹を用いた集成材に関する製造技術は、従前からも様々なものに開発、試行されてきている。
例えば、下記の特許文献1(1)ないし1(12)に提案されているものに代表されるように、竹を縦割りしたラミナを積層状に接着し、平板状の集成材を製造および利用する技術は、既に開発済みとなっており、それらは、何れも竹の繊維が木の繊維に比較して強靱で弾力性に富むという性質を利用し、高強度且つ耐摩耗性に秀れた平板素材を提供するといった類いのものであり、それらの中には、同特許文献1(13)に提案されているもののような、竹を縦割りしたラミナの木口端を平板材の表面に露出するよう積層してなる集成材も存在し、また、同特許文献1(14)に代表されるような、竹の縦方向の繊維を断ち切ることなく、縦割りした竹片を概略扇状の断面とするよう切削し、それら複数本を同一軸心回りに配し、円柱状または円錐状をなすよう一体化してなる竿や、同特許文献1(15)のように、縦割りしたラミナの一部を繊維方向に直交する方向に折り曲げて積層化してなる集成材などが散見される。
しかし、前者特許文献1(1)ないし1(12)および1(13)に示されているような平板状の竹製集成材は、複数枚のラミナを積層状に一体化するよう硬化させてなるから、例えば、自動車用ステアリングホイールのグリップ部品を製造する場合には、ブロック状の平板材から湾曲状の部品を削り出すよう加工せざるを得ず、歩留まりが悪いという欠点があり、特許文献1(14)に示されるように、竹を繊維方向に平行に縦割りした複数本の竹片同士を、円柱状または円錐状に結合してなる竿は、繊維方向に直交する直径方向に湾曲させる外力に抗する弾発強度が高く、竿や直線円柱状、円錐状の素材としては秀れた素材となるが、自動車用ステアリングホイールのグリップ部品とするよう曲げ加工するのは困難であって、従前までの課題を解決できるようなものとは言えない。
さらにまた、後者特許文献1(15)に示されている繊維方向に直交するよう一部を折り曲げた竹製ラミナを積層・一体化してなる集成材で、各ラミナを極めて薄くスライスし、それら極薄のラミナを積層すると共に、一部を繊維方向に折り曲げ、適宜方向から加圧・成型して一体化するようにしたものなどでは、極薄化してラミナの柔軟性を高めたものとしてはあるものの、薄いラミナは、竹を縦割りして削り出す際の歩留まりを悪化させてしまう上、捻れや反りなどが生じ易いから保管中の管理が難しく、一旦変形してしまうと成型作業が大幅に困難なものとなってしまい、成型や研磨などの作業中に表面にササクレ現象を起したり、折曲部分に折損を生じたり、層間剥離なども生じさせ易く、完成後には、特に集成材表層の耐摩耗性や耐衝撃性などを高めるのが困難なものとなるなど、前述した何れの技術を以てしても、自動車用ステアリングホイールのグリップ部品などのように、耐久強度は勿論のこと、成型精度や外的美感のみに留まらず、滑らかな触感および耐摩耗性にも高い品質が求められる竹製集成材部品を効率的に生産することは、非常に困難であるという致命的な課題を解決し得ないものであった。
(1)特開平9−57714号公報 (2)特開平9−70805号公報 (3)特開平9−239084号公報 (4)特開平10−166312号公報 (5)特開平10−205065号公報 (6)特開平11−57094号公報 (7)特開2000−291236号公報 (8)特開2001−105408号公報 (9)特開2001−277209号公報 (10)特開2006−297782号公報 (11)特開2009−132018号公報 (12)特開2009−274403号公報 (13)特開2002−59406号公報 (14)実用新案登録第3160316号公報 (15)特開2002−210709号公報
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種竹製集成材およびその製造技術は、原生樹林の乱獲による樹木資源枯渇の阻止や、熱帯雨林の保護による二酸化炭素の削減という観点では、短期間の中に生長する竹を木材に置き換え可能とする技術としだけでなく、竹特有の質感や高い耐久性を活かした新たな商品開発に有益なものとなるものの、何れの技術も平板や折り板形または直線円柱状、円錐状の部品を製造するだけのものであり、自動車用ステアリングホイールや曲線形状を多用するような家具その他のインテリア類などを安定且つ効率的に製造するのは困難であり、特に竹素材の強靱な繊維、ならびに竹の表面がわ、内面がわ、節の各部の繊維密度のムラ、および竹を縦割りしたラミナの厚さや薄さなどに起因する成型不良や成型中の破損、および成型後の切削や研磨加工中のササクレ、折損、層間剥離などの発生を防止して良品率を高めることができる上、完成後の捻れ、反り、表層の剥がれ、ササクレ、折れ、層間剥離などの破損を解消することができる上、耐久強度は勿論のこと、成型精度や外的美感を高めることができ、しかも滑らかな触感および高い耐摩耗性をもつ竹製の集成材部品を効率的に生産するのは困難であり、こうした課題を早期に解決し、曲線形状を多用した竹集成材部品を逸早く安定且つ経済的に供給可能とすることは出来ないものかとの考えに至った。
(発明の目的)
そこで、この発明は、曲線形状の竹製集成材の外的美感、触感および耐久強度などのあらゆる品質を格段に高めることができると共に、その製造技術を大幅に改善して生産効率を高め、良品率を向上できる新たな竹製集成部品の製造技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規なバンブー集成部品の製造方法、およびそれを利用した新規なバンブー・ステアリングホイールの製造方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のバンブー集成部品の製造方法は、基本的に、次のような構成から成り立っている。
即ち、伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にて所望の形状に仕上げるようにしてなるものとした構成を要旨とするバンブー集成部品の製造方法である。
この基本的な構成からなるバンブー集成部品の製造方法は、その表現を変えて示すならば、伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから、同集成材ブロック中に積層する各ラミナの内・外側面に垂直な方向に裁断するよう、複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にて所望の形状に仕上げるようにしてなるものとした構成からなるバンブー集成部品の製造方法となる。
この基本的な構成からなるバンブー集成部品の製造方法を、より具体的なものとして示すと、伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから、同集成材ブロック中に積層する各ラミナの内・外側面に垂直な方向に裁断するよう、複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら隣接する集成ラミナ板のラミナ層同士が、互いに平行状配置とするよう、挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を当該ラミナ層に平行な軸心回りの所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から当該ラミナ層に直交する方向に、湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にて所望の形状に仕上げるようにしてなるものとした構成からなるバンブー集成部品の製造方法となる。
さらに換言すると、伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから、同集成材ブロック中に積層する各ラミナの内・外側面に垂直な方向に裁断するよう、複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら隣接する集成ラミナ板のラミナ層同士が、互いに90度の開き角度をもつ交叉状配置とするよう、挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を各ラミナ層の何れか一方に平行な軸心回りの所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から各ラミナ層の何れか一方に直交する方向に、湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にて所望の形状に仕上げるようにしてなるものとした構成からなるバンブー集成部品の製造方法となる。
(関連する発明1)
上記したバンブー集成部品の製造方法に関連し、この発明には、その製造技術を利用したバンブー・ステアリングホイールの製造方法も包含している。
即ち、伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にてアッパーグリップとロアーグリップとし、それらアッパーグリップおよびロアーグリップをステアリング芯金の適宜位置に夫々接着剤を介して沿わせ、プレスして一体化してから、表面研磨、塗装処理するようにしてなるものとした、この発明の基本をなす前記何れかのバンブー集成部品の製造方法を利用した、バンブー・ステアリングホイールの製造方法である。
より具体的には、伐採した竹齢3年以上の竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、煮沸処理にて油・糖分を除去し、強制乾燥および/または自然乾燥処理にて含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに水性高分子イソシアネート系接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板にメラミンユリア系熱硬化型接着剤を塗布し、それら挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を所望湾曲形状にプレス成型しながら加熱・硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にてアッパーグリップとロアーグリップとし、それらアッパーグリップおよびロアーグリップをステアリング芯金の適宜位置に夫々接着剤を介して沿わせ、プレスして一体化してから、表面研磨、塗装処理するようにしてなるものとした、この発明の基本をなす前記何れかのバンブー集成部品の製造方法を利用した、バンブー・ステアリングホイールの製造方法となる。
以上のとおり、この発明のバンブー集成部品の製造方法によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、湾曲成型の最も曲率の小さくなる方向に竹素材の繊維方向を不一致とするよう集成可能とし、曲線形状の竹製集成材の外的美感、触感および耐久強度などのあらゆる品質を格段に高めることができると共に、その製造技術を大幅に改善して生産効率を高め、良品率を向上できる新たな竹製集成部品の製造技術の提供を実現化し、従前までであれば、不良率が高く効率的に良質な製品を生産するのが非常に困難であった曲面を多用した竹製の集成材を、格段に効率的に生産可能とすることができる上、製造過程だけでなく、永く使用した後にも、竹繊維の剥離やササクレの発生などを大幅に低減し、耐久性が高く、製品寿命の長いバンブー集成部品を提供可能とすることができるという秀れた特徴が得られるものである。
加えて、集成材ブロックの段階から、同集成材ブロック中に積層する各ラミナの内・外側面に垂直な方向に裁断するよう、複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、互いの挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体に加工するようにしてあり、原材料となる竹を縦割りして細長板状に加工したラミナの竹繊維(縦)方向および厚み方向に夫々直交する幅寸法に制限された部品幅や、同幅寸法方向に接着した場合の強度ムラの発生といった集成材としての欠点を解消し、均質且つ大きなブロック状の竹製集成材の製造を実現化可能とすることができ、製造対象となる部品寸法に応じて自由度の高い複層集成ラミナ体を製造可能とすることができる上、複層集成ラミナ体を硬化する工程に平行して所望湾曲形状にプレス成型してしまうから、プレス成型を一段と容易なものとし、品質および生産性が、一層安定した湾曲部品の製造を実現化することができるという効果を発揮するものとなる。
さらには、複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布して積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とする過程にて、それら隣接する集成ラミナ板のラミナ層同士が、互いに平行状配置とするよう挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とするようにしてあり、各集成ラミナ板の竹の繊維方向を全て平行状に揃え、完成した湾曲部品の強度特性を、繊維の向きに沿って一定且つ均質化してなり、しかも竹の繊維の線状模様が外表面に露出状となり、竹素材特有の外的美感を醸し出すことができるという効果が有る。
また、複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら隣接する集成ラミナ板のラミナ層同士が、互いに90度の開き角度をもつ交叉状配置とするよう、挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とするようにしてあり、積層方向に隣接する各集成ラミナ板の竹の繊維方向が、互いに交叉状となるよう交互に重なり合い、一体化することから、全ての竹繊維方法を平行状に一致させた場合に比較し、夫々の竹繊維縦の縦横方向の強度を均質化することができ、より一段と均一に湾曲成型可能なものとなり、しかも成型工程中や完成後の捻れや反りの発生を格段に減少することができ、切削や研磨、裁断などの加工によって層毎に交互に繊維の向きが異なる集成材特有の模様が露出状となり、他の積層構造のものに比較してかなり趣の異なる模様を表現可能なものとするという特徴が得られる。
そして、この発明のバンブー集成部品の製造方法を利用したバンブー・ステアリングホイールの製造方法によれば、従前までの集成加工技術による竹製集成材を利用したステアリングホイールとは全く異なり、耐久性および外的美感に秀れた湾曲部品としてのアッパーグリップやロアーグリップを、効率的に大量生産することが可能となり、成型加工中や完成後の捻れや反り、折損、層間剥離、ササクレ現象などの発生を大幅に低減化し、従前までに比較して遥かに高い良品率を達成可能なものとすることができ、ステアリングホイールの製造工程に不可欠となるアッパーグリップおよびロアーグリップをステアリング芯金の適宜位置に夫々接着剤を介して沿わせ、プレスして一体化してから、表面研磨、塗装処理するという最終加工の段階にも、それら竹製集成部品であるアッパーグリップおよびロアーグリップの品質が安定し、完成後のバンブー・ステアリングホイールに寸法や形状の狂いや破損などの発生を抑えて歩留まりが良く、格段に経済的な製造を実現化することができるという秀れた効果を発揮し得るものとなる。
加えて、竹齢3年以上の竹を原材料とすることにより、竹の内外径寸法に左右されるラミナの繊維(縦)方向および厚さ方法に直交する幅方向寸法を、より幅広なものとし、竹齢3年未満の竹を使用した場合に比較して、同じ製造工数にて、より大きな集成材ブロックを生産可能とし、大きな部品を歩留まり良く生産可能なものとすることができ、さらに、竹を縦割りして細長板状のものとしてから、煮沸処理にて油・糖分を除去し、強制乾燥および/または自然乾燥処理にて含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとするようにしたことにより、一段と高い品質を実現化できるものとなり、しかも、水性の非ホルムアルデヒド系の木材用接着剤である水性高分子イソシアネート系接着剤を用いて集成材ブロックを製造するようにしたことにより、ラミナの竹素材を劣化させずに、高い耐水性を得ることが出来ると共に、種々の組成や架橋材の配合によって硬軟調整自在であり、刃物を傷めず裁断加工に有利なものとなる上、短時間にて接着可能となり、また、メラミンユリア系熱硬化型接着剤を用いて複層集成ラミナ体を製造するようにしたことにより、複数枚の集成ラミナ板の挽割り面同士積層状に重ね合わせ、加熱・成型して短時間の中に、一段と効率的に生産可能なものとすることができ、耐久性、耐水性および耐熱性に秀れ、接着および成型作業性を格段に高め得るという、これまでに無い大きな効果を奏することになる。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
素材となる竹は、縦割りして細長い板状のラミナに加工する原材料であり、できるだけ幅や肉厚の大きなラミナを得て効率的に集成加工を行うようにするのが望ましく、竹齢3年以上の直径や肉厚が大きな真竹や孟宗竹を用いるのが良いが、黒竹、篠竹、根曲竹、圏紋竹、矢岳、おかめ笹、支那竹、煤竹、金明孟宗竹、胡麻竹、蓬莱竹、淡竹、布袋竹、亀甲竹などの外、イネ目イネ科竹亜科のうち、木のように茎が木質化した、竹に分類される植物であれば、竹齢や品種に関わらず、何れのものを利用することも可能である。
ラミナは、本発明の中間素材である集成材ブロックを製造するのに用いる竹製素材であって、伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してなるものとすべきであり、より具体的には、後述する実施例に示すように、伐採した竹齢3年以上の竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、煮沸処理にて油・糖分を除去し、強制乾燥および/または自然乾燥処理にて含水率を調整してから仕上げ削りを施してなるものとするのが望ましく、伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を加圧・成型して油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してなるものとすることが可能であり、また、伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう、木口面を除く4面を加圧・成型してから木口面を除く4面を粗削りするか、または、木口面を除く4面を粗削りしてから木口面を除く4面を加圧・成型するか、の何れか一方とした後、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してなるもの、または、伐採した竹を縦割りして細長板状として、油・糖分を除去し、含水率を調整してから、適宜加圧・成型および/または粗削りしてから、仕上げ削りを施してなるものなどとすることができる。
集成材ブロックは、複数枚の集成ラミナ板を挽き割り可能とするための中間素材であり、複数枚のラミナを積層状に重ね合わせ、強固に一体化してなるものとしなければならず、より具体的には、複数枚のラミナに接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて硬化・一体化してなるものとすべきであり、後述する実施例に示すように、複数枚のラミナに水性高分子イソシアネート系接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて硬化・一体化してなるものとするのが良いが、それ以外の接着剤に置き換えて接着することが可能である。
集成ラミナ板は、複層集成ラミナ体を製造するための中間素材となるものであって、該集成材ブロックから複数枚の集成ラミナ板を挽き割って製造するものであり、集成材ブロック中に積層する各ラミナの内・外側面に垂直な方向に裁断するよう挽き割ってなるものとすべきであり、その挽割り厚さ寸法は、その後に行う、複層集成ラミナ体のプレス成型の作業性を充分に考慮し、プレス成型中や完成後に、折損や跳ね揚がり、層間剥離、ササクレなどを発生せず、成型作業の効率を高める厚さに挽割り加工してなるものとしなければならない。
複層集成ラミナ体は、成型ラミナ体を製造するための中間素材となり、複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら挽割り面同士を積層状に重ね合わせてなるものとしなければならず、後述する実施例に示すように、複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら隣接する集成ラミナ板のラミナ層同士が、互いに平行状配置とするよう、挽割り面同士を積層状に重ね合わせてなるものとすることができる外、複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら隣接する集成ラミナ板のラミナ層同士が互いに90度の開き角度をもつ交叉状配置とするよう、挽割り面同士を積層状に重ね合わせてなるものとすることが可能であり、接着剤としてメラミンユリア系熱硬化型接着剤を使用するようにするのが良いが、それ以外の接着剤に置き換えることなどは勿論可能である。
成型ラミナ体は、挽割り加工によって湾曲部品を得るための中間素材であり、複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、複層集成ラミナ体を一体化する過程にて、同複層集成ラミナ体を所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化するようにして製造したものであり、同複層集成ラミナ体を当該ラミナ層に平行な軸心回りの所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化してなるものとすることが可能である。
湾曲部品は、適宜切削加工にて所望の形状に仕上げ、バンブー集成部品とするものであって、最終的に曲面を有する竹製集成材製品とするものであり、湾曲成型完了後に乾燥させた成型ラミナ体から挽割り加工するようにしてなるものとしなければならず、成型ラミナ体から当該ラミナ層に直交する方向に挽割り加工してなるものとすべきであり、この発明のバンブー・ステアリングホイールの製造方法にあっては、自動車用ステアリングホイールのアッパーグリップとロアーグリップとするよう適宜切削加工してなるものとすることができる。
この発明のバンブー・ステアリングホイールの製造方法では、湾曲部品としてのアッパーグリップおよびロアーグリップをステアリング芯金の適宜位置に夫々接着剤を介して沿わせ、プレスして一体化してから表面研磨、塗装処理するようにしてなるものとしなければならず、後述する実施例に示すように、ステアリングホイールの完成後の全体形状およびテアリング芯金の形状に応じ、アッパーグリップは、前後左右の4個のパーツを一体化可能なものとするか、または、前後2個のパーツを一体化可能なものとするかの何れか一方とするのが望ましく、また、ロアーグリップは、前後2個のパーツを一体化可能なものとするか、または前後左右4個のパーツを、左右夫々別体の2個パーツとするよう一体化可能なものとするかの何れか一方とするのが望ましく、アッパーグリップおよびロアーグリップは、適宜滑り止め用の握り部凹凸形状などを設けたものとするよう切削加工してなるものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
添付した図面は、この発明のバンブー集成部品の製造方法、および、バンブー・ステアリングホイールの製造方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
バンブー・ステアリングホイールの製造方法を示すフローチャートである。 縦割りして細長板状とする竹を示す斜視図である。 竹木口面から縦割り、切削するラミナを示す平面図である。 竹木口面縦割り位置の一例を示す平面図である。 圧縮成型によって製造する場合のラミナを示す平面図である。 ラミナを積層・一体化して製造する集成材ブロックを示す斜視図である。 集成材ブロックを挽割り製造した集成ラミナ板を示す斜視図である。 集成ラミナ板を積層・一体化して製造する複層集成ラミナ体を示す斜視図である。 所定厚み寸法の複層集成ラミナ体を示す斜視図である。 複層集成ラミナ体を所望湾曲形状に成型・硬化して製造する成型ラミナ体を示す正面図である。 複層集成ラミナ体を所望湾曲形状に成型・硬化して製造する成型ラミナ体を示す正面図である。 成型ラミナ体から挽き割る湾曲部品を示す斜視図である。 湾曲部品を示す斜視図である。 湾曲部品を示す正面図および平面図である。 湾曲部品を示す斜視図である。 ステアリング芯金に組み合わせるアッパーグリップおよびロアーグリップを示す斜視図である。 ステアリング芯金に組み合わせたアッパーグリップおよびロアーグリップを示す斜視図である。 ステアリング芯金に接着剤を介して加圧・一体化するアッパーグリップおよびロアーグリップを示す断面図である。 ステアリング芯金に接着剤を介して加圧・一体化するアッパーグリップおよびロアーグリップを示す断面図である。 完成したバンブー・ステアリングホイールを示す斜視図である。 複数の集成ラミナ板を交互に90度向きを変えて積層・一体化する複層集成ラミナ体を示す斜視図である。 所定厚さとした複層集成ラミナ体を示す斜視図である。 形状のことなる分解状態のバンブー・ステアリングホイールを示す斜視図である。 形状のことなるバンブー・ステアリングホイールを示す斜視図である。
図1ないし図20に示す事例は、竹2を縦割り(B)して粗削り(C)し、油・糖分を除去(D)し、含水率を調整(E)してから仕上げ削り(F)を経てラミナ20とし、複数枚のラミナ20,20,……に接着剤を塗布して積層状に重ね合わせ(G)、4面プレスにて集成材ブロック3とし(H)、該集成材ブロック3から複数枚の集成ラミナ板4を挽割り(J)、それら複数枚の集成ラミナ板4,4,……に接着剤を塗布し、積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体5とする(K)と共に、同複層集成ラミナ体5を所望湾曲形状に成型しながら硬化した(L)成型ラミナ体6を乾燥(M)した後、該成型ラミナ体6から湾曲部品7を挽割り(N)、適宜切削加工(P),(Q)にて所望の形状に仕上げるようにしてなるものとしたこの発明のバンブー集成部品の製造方法を利用した、自動車用のバンブー・ステアリングホイール1を製造する方法における代表的な一実施例を示すものである。
以下では、この発明のバンブー・ステアリングホイールの製造方法の一例に従い、順次、それによって製造するバンブー・ステアリング1の構造について説示していくこととする。
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の製造方法によるバンブー・ステアリング1の製造は、湾曲部品7であるアッパーグリップ70半裁状部品71,71およびロアーグリップ72半裁状部品73,73の製造に特徴を有しており、図1に示してあるように、先ず、それらアッパーグリップ70およびロアーグリップ72の原材料となる竹齢3年以上の真竹2または孟宗竹2を伐採(A)し、図2および図3に示すように、例えば、竹2の木口端面21を周回りに45度単位にて8等分の細長板状とするよう縦割り加工(B)してから、木口面21を除く4面を粗削り(C)した上、乾留、煮沸処理などにて油・糖分を除去(D)し、さらに、蒸気炉などを用いて強制的に乾燥させた後、通気性の良い場所に放置するなどして自然乾燥によって含水率を調整(E)し、所定寸法のラミナ20とするよう仕上げ削り(F)を施す。
図4および図5に示すように、このラミナ20については、伐採(A)した竹2を縦割り(B)した円弧形状木口21断面形のまま、同図5中の白抜き矢印に示すように、内側面22および外側面23を上下から平板状とするよう加圧・成型し、必要に応じて切削仕上げ(F)するようにして細長平板状のものとするよう成型加工してなるものとすることが可能である。
図6に示すように、こうして得た複数枚のラミナ20,20,……には、水性高分子イソシアネート系接着剤を塗布し、それら内側面22および外側面23を互いに積層状に重ね合わせ(G)、各ラミナ20,20,……木口面21を除く4面をプレス(H)して集成材ブロック3とした上、図7に示しているように、該集成材ブロック3から、同集成材ブロック3中に積層する各ラミナ20,20,……の内・外側面22,23に垂直な方向に裁断するよう、一定の厚みで複数枚の集成ラミナ板4,4,……を挽割り(J)し、図8に示すように、複数枚の集成ラミナ板4,4,……にメラミンユリア系熱硬化型接着剤を塗布し、それら挽割り面40,40,……同士を積層状に重ね合わせ(K)、複層集成ラミナ体5とし、この工程では、図9のように、後述するアッパーグリップ70半裁状部品71、およびロアーグリップ72半裁状部品73を製造するのに効率的な厚さ寸法Vとするよう積層枚数を規制し、各複層集成ラミナ体5を製造するようにする。
図10ないし図12に示すように、複層集成ラミナ体5を後述するアッパーグリップ70半裁状部品71、および、ロアーグリップ72半裁状部品73の所望湾曲形状にプレス成型しながら加熱・硬化(L)して成型ラミナ体6とし、湾曲成型完了後の成型ラミナ体6を自然放置して乾燥(M)させてから、図12および図13のように、該成型ラミナ体6から湾曲部品7としての後述するアッパーグリップ70半裁状部品71用、およびロアーグリップ72半裁状部品73用の円弧状素材を挽き割り(N)、プレーナー処理にてアッパーグリップ70半裁状部品71、およびロアーグリップ72半裁状部品73としての概略形状素材に加工(P)した上、図示していないが、円弧長寸法を調整するよう両端面を切削し、握り面の凹凸形状を切削加工し、さらに、円弧形状端面の面取り加工をする手順によって外周意匠切削加工を行い、図14ないし図16に示してあるよう、内溝突き加工を施してアッパーグリップ70半裁状部品71、およびロアーグリップ72半裁状部品73の夫々の形状に加工(Q)し、図16ないし図19に示すように、各アッパーグリップ70となる左右前後分割の合計4個の半裁状部品71,71,……、およびロアーグリップ72となる前後一対、合計2個の半裁状部品73,73を、4本スポークのステアリング芯金10の適宜位置に夫々接着剤を介して沿わせ、プレス成型機にて加圧、一体化(R)するようにし、その後、乾燥させて表面中塗り塗装層を研磨(S)し、さらに、上塗り塗装処理(T)して充分乾燥させてから鏡面または艶消しに表面処理(U)し、所定の検査を経て完成品となり、図20のもののように、必要外装品や電装部品、エアバッグなどを装着してバンブー・ステアリングホイール1とするものである。
図1中に示した複数枚の集成ラミナ板4,4,……を積層し、複層集成ラミナ体5とする工程(K)は、図21および図22のもののように、隣接する集成ラミナ板4,4の互いのラミナ層20,20,……を、互いに90度の開き角度をもつ交叉状配置とするよう、挽割り面40,40同士を積層状に重ね合わせるようにして一体化することが可能であり、また、図23に示すように、湾曲部品7は、各アッパーグリップ70となる前後一対、合計2個の半裁状部品71,71、およびロアーグリップ72,72となる左右前後分割の合計4個の半裁状部品73,73,……からなり、図24に示してあるもののように、3本スポークのステアリング芯金10の適宜位置に夫々接着剤を介して沿わせ、プレス成型機にて加圧、一体化(R)加工することができ、さらにまた、当該バンブー・ステアリング1は、そのステアリング芯金10の外周壁とアッパーグリップ70やロアーグリップ72の内周壁との間に、合成樹脂製やその他の素材製のパイプ状など、図示しないスペーサーを介在してなるものや、アッパーグリップ70やロアーグリップ72の各端部を固定可能な、図示しない環状金具などを組み込んでなるものとすることができる。
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明のバンブー集成部品の製造方法を利用したバンブー・ステアリングホイール1の製造方法は、図1および図16に示したもののように、アッパーグリップ半裁状部品71,71,……を前後左右に分割したものに製造(N),〜(Q)し、それらをステアリング芯金10の適宜位置に夫々接着剤を介して沿わせ、プレスして一体化するように組合せるようにしてあるから、図16ないし図20のように、アッパーグリップ70とロアーグリップ72とを夫々1箇所ずつ有し、且つ、ロアーグリップ72よりもアッパーグリップ70の角度範囲が長い、4本スポーク型のバンブー・ステアリングホイール1にあっても、部品の大小差をあまり拡大せず、各半裁状部品71,71,……,73,73を夫々歩留まり良く生産可能とすることができる上、アッパーグリップ70半裁状部品71,71,……の左右間の結合部分が、竹集成材の細かな繊維模様に隠れ易く、接着後の研磨処理によって容易に高い美感を確保することができるという大きな特徴を得ることができる。
(結 び)
叙述の如く、この発明のバンブー集成部品の製造方法、およびバンブー・ステアリングホイールの製造方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの竹製集成材の湾曲加工技術に比較して大幅に作業効率を改善し、格段に効率的に製造可能なものとし、遙かに経済的に生産可能とすることができる上、製造したバンブー集成部品、およびバンブー・ステアリングホイールは、何れも美感に秀れるだけでなく、耐久性も高いものとすることができるから、従前までであれば歩留まりが悪く、不良率が高くて生産効率が上がらないという理由などから、竹製集成材を用いた曲面成型部品やそれを用いた製品の大量生産を断念せざるを得なかった木工業界や建具業界および建築資材業界は固よりのこと、熱帯雨林などの天然樹木類の保護や、他社製品との差別化および競争力の強化などを目標とし、自動車用の内装パネルやステアリングホイールなどに竹製の集成材を利用しようと考える自動車製造業界、および、美しい外観や良質な触感のインテリア類を日常的に楽しみたいと希望する一般家庭や、そうした需要の高まりに応えようとするインテリア販売業界、そして自動車販売業界などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
1 バンブー・ステアリングホイール
10 同 ステアリング芯金
2 伐採した竹(真竹、孟宗竹)
20 同 ラミナ(ラミナ層)
21 同 木口面
22 同 内側面
23 同 外側面
3 集成材ブロック
4 集成ラミナ板
40 同 挽割り面
5 複層集成ラミナ体
V 同 複層集成ラミナ体の厚さ寸法
6 成型ラミナ体
7 湾曲部品
70 同 アッパーグリップ
71 同 アッパーグリップ半裁状部品
72 同 ロアーグリップ
73 同 ロアーグリップ半裁状部品
(バンブー・ステアリングホイールの製造方法)
(A) 竹齢3年以上の竹を伐採する工程
(B) 竹を縦割りして細長板状とする工程
(C) 木口面を除く4面を粗削りする工程
(D) 煮沸処理にて油・糖分を除去する工程
(E) 乾燥処理にて含水率を調整する工程
(F) 仕上げ削りを施してラミナとする工程
(G) 複数枚のラミナに接着剤を介して積層状に重ね合わせる工程
(H) 4面プレスにて集成材ブロックとする工程
(J) 該集成材ブロックから集成ラミナ板を挽割りする工程
(K) 複数枚の集成ラミナ板に接着剤を介して積層状に重ね合わせ複層集成ラミナ体とする工程
(L) 複層集成ラミナ体を所望湾曲形状にプレス成型して成型ラミナ体とする工程
(M) 成型ラミナ体を乾燥させる工程
(N) 成型ラミナ体から湾曲部品を挽き割る工程
(P) アッパーグリップおよびロアーグリップの素材に加工する工程
(Q) アッパーグリップおよびロアーグリップの形状に加工する工程
(R) アッパーグリップおよびロアーグリップをステアリング芯金に一体化する工程
(S) 表面研磨する工程
(T) 塗装処理する工程
(U) 鏡面または艶消しに表面処理する工程

Claims (6)

  1. 伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にて所望の形状に仕上げるようにしてなるものとしたことを特徴とするバンブー集成部品の製造方法。
  2. 伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから、同集成材ブロック中に積層する各ラミナの内・外側面に垂直な方向に裁断するよう、複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にて所望の形状に仕上げるようにしてなるものとしたことを特徴とするバンブー集成部品の製造方法。
  3. 伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから、同集成材ブロック中に積層する各ラミナの内・外側面に垂直な方向に裁断するよう、複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら隣接する集成ラミナ板のラミナ層同士が、互いに平行状配置とするよう、挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を当該ラミナ層に平行な軸心回りの所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から当該ラミナ層に直交する方向に、湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にて所望の形状に仕上げるようにしてなるものとしたことを特徴とするバンブー集成部品の製造方法。
  4. 伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから、同集成材ブロック中に積層する各ラミナの内・外側面に垂直な方向に裁断するよう、複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら隣接する集成ラミナ板のラミナ層同士が、互いに90度の開き角度をもつ交叉状配置とするよう、挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を各ラミナ層の何れか一方に平行な軸心回りの所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から各ラミナ層の何れか一方に直交する方向に、湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にて所望の形状に仕上げるようにしてなるものとしたことを特徴とするバンブー集成部品の製造方法。
  5. 伐採した竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、油・糖分を除去し、含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板に接着剤を塗布し、それら挽割り面同士を積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を所望湾曲形状にプレス成型しながら硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にてアッパーグリップとロアーグリップとし、それらアッパーグリップおよびロアーグリップをステアリング芯金の適宜位置に夫々接着剤を介して沿わせ、プレスして一体化してから、表面研磨、塗装処理するようにしてなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載のバンブー集成部品の製造方法を利用した、バンブー・ステアリングホイールの製造方法。
  6. 伐採した竹齢3年以上の竹を縦割りして細長板状とするよう木口面を除く4面を粗削りし、煮沸処理にて油・糖分を除去し、強制乾燥および/または自然乾燥処理にて含水率を調整してから仕上げ削りを施してラミナとし、複数枚のラミナに水性高分子イソシアネート系接着剤を塗布し、それら内側面・外側面を積層状に重ね合わせ、4面プレスにて集成材ブロックとし、該集成材ブロックから複数枚の集成ラミナ板を挽割り、それら複数枚の集成ラミナ板にメラミンユリア系熱硬化型接着剤を塗布し、それら挽割り面同士積層状に重ね合わせ、複層集成ラミナ体とすると共に、同複層集成ラミナ体を所望湾曲形状にプレス成型しながら加熱・硬化した上、湾曲成型完了後の成型ラミナ体を乾燥した後、成型ラミナ体から湾曲部品を挽割り、適宜切削加工にてアッパーグリップとロアーグリップとし、それらアッパーグリップおよびロアーグリップをステアリング芯金の適宜位置に夫々接着剤を介して沿わせ、プレスして一体化してから、表面研磨、塗装処理するようにしてなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載のバンブー集成部品の製造方法を利用した、バンブー・ステアリングホイールの製造方法。
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