JP2022127264A - 木質積層ボード - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度で寸法安定性に優れ、表面性がさらに向上した、木質積層ボードを提供する。【解決手段】木質積層ボードAは第1木質材層Bとその両面に積層された第2木質材層Cとが一体化されてなり、第1木質材層Bは繊維方向に沿った表裏面を有する多数の第1木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化され、第1木質小薄片は厚さが0.05~0.35mm、繊維方向に沿った繊維方向寸法が40mm以下、繊維方向と直交する方向に沿った繊維直交方向寸法が40mm以下であり、第2木質材層Cは繊維方向に沿った表裏面を有する多数の第2木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化され、第2木質小薄片は第1木質小薄片よりも小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、木質積層ボードに関するものである。
既存の木質ボードとしてラワン合板等の南洋材合板はよく知られており、広く利用されている。しかし、近年、南洋材合板は、原料の枯渇や環境破壊防止の点で入手自体が難しくなってきており、他の木質ボードによる置き換えが図られている。
国産の針葉樹を原料とした合板は、原料枯渇の点では問題がないが、その表面性が十分ではないことから、強度に特化した用途に限られている。
OSBやPB(パーティクルボード)、MDFも原料面では問題ない。しかし、OSBは強度が高いものの、その表面性が十分ではない。PBは価格が安いが、寸法安定性や強度が十分ではない。MDFは表面性がよいものの、寸法安定性が十分ではない。そして、OSBやPB、MDFは南洋材合板と比較して密度が大きい難がある。
このように、原料の安定性に加え、強度、重量、表面性、さらに寸法安定性といった複数の要素を満足する木質ボードが存在していないのが現状である。
この種の木質ボードの例として、従来、特許文献1~特許文献4に示されているものが提案されている。特許文献1及び特許文献2に示されている木質ボードは、多数の木材薄片を集成した芯層と、その少なくとも一方の面に積層され、多数の木材薄片を集成した表面層とを備えたものである。特許文献1の木質ボードでは、芯層の木材薄片の厚さの絶対値を0.50~1.50mmとし、表面層の木材薄片の厚さの絶対値を0.08~0.60mmとすることが提案されている。
他方、特許文献3に示される技術では、合板、OSB、集成材等の表面に繊維マットを圧着接合し、この繊維マットを圧縮して高密度化した繊維層を作製することで、基材の表面の凹みを埋め固めるようにしている。
また、特許文献4に示される床用化粧材では、MDF等の木質基材の裏面に透湿度7g/m・24時間以下の防湿フィルムを積層した構造とすることで、表側に透湿性の低い化粧シートを貼っても、寸法変化の大きさに起因する反りや曳き曲がりを抑制するようにしている。
特開平7-47514号公報 特開平7-76004号公報 特開2019-31104号公報 特開2019-107894号公報
しかし、特許文献1及び特許文献2に示される木質ボードは、その木質ボードを構成する上記木材薄片の大きさだけでなく厚さも表面層と芯層とで異ならせており、そのため、製造時には2種類の木材薄片を用意する必要があり、製造や管理に手間がかかるのは避けられない。また、前記特許文献に記載された木材薄片を用いた木質ボードでは表面に凹凸が生じ、例えば床用基材として使用できる表面平滑性を確保できるものではない。
また、特許文献3の木質ボードは、基材を2次加工するために手間がかかるだけでなく、基材と繊維層との2重構造となるために、ボードの厚さを小さくすることに限度がある。また、吸湿による寸法変化を抑制することはできない。
さらに、特許文献4の化粧材では、基材の2次加工であるために手間がかかるだけでなく、防湿フィルムの幅によって使用できる基材の幅も規制されることとなる。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、多数の木質薄片を積層する構造の木質ボードに改良技術を施すことにより、容易に製造することができる高強度で寸法安定性や表面性に優れた木質ボードをさらに改良し、表面性がさらに向上した木質積層ボードが得られるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、OSBの構成材料として通常使用される切削片に対して、厚さを含む大きさを微小な範囲に限定した木質薄片を用い、この木質薄片の大きさをさらに微小な範囲に限定した2種類の木質小薄片を構成材料とし、これら木質小薄片をそれぞれ集合状態で積層した各木質材層を積層一体化して芯層と表裏層とを有する木質積層ボードとし、2種類の木質小薄片のうち大きさの小さい木質小薄片で構成される木質材層を木質積層ボードの表裏層に配置するようにした。
なお、本明細書において、「切削片」は、OSB用途に原木から切削されるものであり、OSBの構成材料として通常使用されるものをいう。本発明に係る「木質薄片」は、「切削片」と同様に原木から切削されるものであるが、「切削片」の通常一般の厚さの範囲外でそれよりも薄くて小さい薄片をいう。本発明に係る「木質小薄片」は、「木質薄片」と同じ厚さ範囲で「木質薄片」よりも小さい薄片をいう。
具体的には、第1の発明は、第1木質材層と第1木質材層の両面に積層された第2木質材層とが一体化された木質積層ボードが対象である。第1木質材層は、繊維方向に沿った表裏面を有する多数の第1木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、この第1木質材層を構成する第1木質小薄片は、厚さが0.05~0.35mm、繊維方向に沿った繊維方向寸法が40mm以下、繊維方向と直交する方向に沿った繊維直交方向寸法が40mm以下である。また、第2木質材層は、繊維方向に沿った表裏面を有する多数の第2木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、この第2木質材層を構成する第2木質小薄片は第1木質小薄片よりも小さいことを特徴としている。
この第1の発明では、木質積層ボードは、第1木質材層とその両面に配置された第2木質材層とが積層一体化されている。第1木質材層は、厚さ0.05~0.35mm、繊維方向に沿った繊維方向寸法40mm以下、繊維方向と直交する方向に沿った繊維直交方向寸法40mm以下の多数の第1木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化により構成されている。第1木質小薄片の厚さ、長さ及び幅はいずれも平均値である。また、第2木質材層は第1木質小薄片と同じ厚さ範囲で第1木質小薄片よりも小さい多数の第2木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化により構成されている。
このように木質積層ボードは、後述のP1工程で得られる特定の厚みを有する木質薄片を、同じく後述のP2工程及びP3工程において木質薄片の繊維方向および繊維直交方向に粉砕した2種類の大きさの木質小薄片で構成され、これら木質小薄片は厚さが極めて薄く、0.05~0.35mmという狭い範囲(同じ厚さ範囲)内に収まっているので、多数の木質小薄片は厚さのばらつきが小さくて均一な厚さに揃ったものになる。また、木質小薄片の長さ及び幅も一定範囲内にあるので、木質積層ボードは大きさが一定範囲内に揃った木質小薄片が集合して均質なものとなる。そのため、局所的な欠点や密度のばらつきが非常に少なくなり、安定した木質積層ボードの強度の発現が可能となる。また、吸放湿による反りが発生し難くなり、南洋材合板と同程度の良好な寸法安定性が得られる。また、多数の木質小薄片が均一な大きさに揃った第1木質小薄片よりも大きさの小さい多数の第2木質小薄片から構成される第2木質材層が第1木質材層の両面に積層され、木質積層ボードの表裏層となるため、通常のOSBのように木質ボードの表面に大きな凹凸は生じず、木質積層ボードの表面性のさらなる向上を図ることができ、MDFと同様に優れた表面性を有するものとなる。また、木質積層ボードは、均一な大きさの多数の第2木質小薄片を集合させた集合体、均一な大きさの多数の第1木質小薄片を集合させた集合体及び当該第2木質小薄片を集合させた集合体を順に積層一体化するので、その製造も容易となる。
第2の発明は、第1の発明の木質積層ボードにおいて、第1木質小薄片は、厚さが0.15~0.25mm、繊維方向寸法が20mm以下、繊維直交方向寸法が5mm以下の細長形状であることを特徴とする。このことで、第1木質材層の寸法安定性が向上する。また、第1木質材層の表面性が向上するため、この第1木質材層上に形成された第2木質材層の表面性(特に平滑性)がより一層向上する。これにより、木質積層ボードの寸法安定性及び表面性の向上を図ることができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明の木質積層ボードにおいて、第2木質小薄片は、繊維方向寸法及び繊維直交方向寸法のうち少なくとも一つの寸法が第1木質小薄片よりも小さいことを特徴とする。
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明の木質積層ボードにおいて、第2木質小薄片は、厚さが0.15~0.25mm、繊維方向寸法が10mm以下、繊維直交方向寸法が2mm以下の細長形状であることを特徴とする。
これら第3及び第4の発明では、第2木質材層の表面性がさらに向上する。つまり、木質積層ボードの表面性のさらなる向上を図ることができる。
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明の木質積層ボードにおいて、各第2木質材層の木質積層ボード全体に占める厚さの割合が5%以上40%以下であることを特徴とする。このことで、木質積層ボードの強度と表面性とを両立させることができる。
第6の発明は、第1~第5のいずれか1つの発明の木質積層ボードにおいて、第1木質材層及び各第2木質材層の密度が250~800kg/mであることを特徴とする。このことで、木質積層ボードの強度がさらに高くなる。
以上説明したように、本発明によると、木質積層ボードを第1木質材層の両面に第2木質材層が配置されるように積層一体化されてなるものとし、第1木質材層を繊維方向に沿った表裏面を有し、厚さを0.05~0.35mm、繊維方向寸法及び繊維直交方向寸法を40mm以下としたばらつきの小さい均一な大きさに揃った多数の第1木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなるものとし、第2木質材層を第1木質小薄片よりも小さい第2木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなるものとしたことにより、木質積層ボードの強度を高くすることができるとともに、南洋材合板と同程度の良好な寸法安定性及びMDFと同程度の優れた表面性が得られ、木質積層ボードを容易に製造することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る木質積層ボードの断面図である。 図2は、木質積層ボードを構成する第1及び第2木質材層の要部拡大断面図である。 図3は、第1木質材層を構成する第1木質小薄片を概略的に示す拡大斜視図である。 図4は、第2木質材層を構成する第2木質小薄片を概略的に示す拡大斜視図である。 図5は、木質積層ボードの製造工程を示す図である。 図6は、第1木質小薄片及び第2木質小薄片の集合体であるマットから木質積層ボードを熱圧する状態を示す拡大断面図である。 図7は、木質積層ボードの特性を他の材料のボードと比較して示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<木質積層ボード>
図1は本発明の実施形態に係る木質積層ボードAを示す。この木質積層ボードAは、例えば、密度500~800Kg/m、厚さ3~12mmのものが用いられている。厚さ3~6mm未満の薄物タイプの木質積層ボードAは、例えば、トラック等の車両の荷台に用いられる荷台用内壁材、室内に施工されるクッションフロアの下地材、化粧面材、内装建材(蹴込板等)等の内装材等として施工されるものである。厚さ6~12mm程度の中厚タイプの木質積層ボードAは、例えば、室内に施工される防音フロア基材、土足用床基材、玄関造作材等として施工されるものである。このように、木質積層ボードAは、既存の台板用合板の代替材として用いられる。また、木質積層ボードAは、MDFと同様の表面性を有するため、化粧用薄物合板に好適に使用できる。
木質積層ボードAは、第1木質材層Bと、2つの第2木質材層C,Cとを含み、第1木質材層Bの両面に第2木質材層C,Cが積層されて一体化されている。換言すると、第1木質材層Bは、2つの第2木質材層C,Cの間に介在されている。つまり、第1木質材層Bは木質積層ボードAの芯層を構成し、2つの第2木質材層C,Cは木質積層ボードAの表裏層を構成している。
各第2木質材層Cの木質積層ボードA全体に占める厚さの割合は、好ましくは5%以上40%以下、より好ましくは8%以上30%以下、さらに好ましくは10%以上25%以下である。つまり、木質積層ボードAにおける第2木質材層C:第1木質材層B:第2木質材層Cは、好ましくは5:90:5~40:20:40、より好ましくは8:84:8~30:40:30、さらに好ましくは10:80:10~25:50:25である。第1木質材層Bと各第2木質材層Cとの厚さの比率を適宜変更することで、用途に応じて必要な強度と、優れた表面性とを兼ね備える木質積層ボードAが得られる。
(第1木質材層)
第1木質材層Bは、図2に拡大して示すように、繊維方向に沿った表裏面を有する多数の第1木質小薄片1,1,…が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、多数の第1木質小薄片1,1,…は1種類の厚さを有する。
第1木質小薄片1について説明すると、図3に拡大して示すように、第1木質小薄片1の厚さtは0.05~0.35mm(0.05mm以上かつ0.35mm以下)であり、好ましくは0.10~0.30mm(0.10mm以上かつ0.30mm以下)、より好ましくは0.15~0.25mm(0.15mm以上かつ0.25mm以下)、さらに好ましくは0.15~0.20mm(0.15mm以上かつ0.20mm以下)である。この薄い厚さtの第1木質小薄片1,1,…により第1木質材層Bの特性、すなわち木質積層ボードAの特性が決定づけられている。第1木質小薄片1の厚さtは平均値である。換言すれば、本発明に係る第1木質小薄片1は、通常一般のOSBのエレメント(構成材料)として使用されるストランド(本発明では切削片ともいう)が一般的には厚さが0.6~1.5mm程度であるのに対し、それよりも厚さの薄い薄片である。
また、第1木質小薄片1は、導管や仮導管等による繊維1a,1a,…を有し、その繊維1aに沿った方向の繊維方向寸法d1が、繊維方向と直交する方向に沿った繊維直交方向寸法d2よりも長い細長形状(短冊形状)である。繊維方向寸法d1を長さとし、繊維直交方向寸法d2を幅とすると、長さd1は40mm以下、好ましくは35mm以下、より好ましくは30mm以下、より一層好ましくは25mm以下、さらに好ましくは10~20mm(10mm以上かつ20mm以下)である。また、幅d2は40mm以下、好ましくは15mm以下、より好ましくは0.5~5mm(0.5mm以上かつ5mm以下)、さらに好ましくは2mmを超過かつ5mm以下である。第1木質小薄片1の長さd1及び幅d2はいずれも平均値とする。換言すれば、本発明に係る第1木質小薄片1,1,…は、通常一般のOSBの構成材料として使用される切削片が一般的には長さが110mm(長いものでは150~250mm程度)、幅が15~25mm(長いものでは長さの1/3程度)であるのに対し、それよりも大きさの小さい薄片である。しかも、本実施形態に係る第1木質小薄片1は、後述するように、図示しないが、原木から切削されたままの木質薄片(切削後木質薄片ともいう)が破砕されてそれよりも小さくなったものであり、その切削後の木質薄片とは異なるものを定義する意味で、その切削後の木質薄片に対して「木質小薄片」という。
第1木質小薄片1,1,…に用いられる樹種は特に限定されず、例えば南洋樹や広葉樹を用いてもよいし、それ以外の樹種を用いてもよい。例えばスギ、ヒノキ、ベイマツ等のファー材、アカシア、アスペン、ポプラ、パイン系(ハードパイン、ソフトパイン、ラジアータパイン等)、バーチ、ゴム(ゴムの木)等があるが、これらの樹種に限定されず、さらに様々な樹種を用いることができる。様々な樹種としては、トドマツ、カラマツ、エゾマツ、サワラ、ヒバ、カヤ、栂、槙、種々の松、桐、楓、樺(白樺)、椎、ブナ、樫、樅、櫟、楢、楠、ケヤキ等の国産材、米ヒノキ、米ヒバ、米杉、米樅、スプルース、米栂、レッドウッド等の北米材、アガチス、ターミナリア、ラワン、メランチ、ジュンコン、カメレレ、カランパヤン、アンベロイ、メリナ、チーク、アピトン、センゴンラウト等の南洋材、バルサ、セドロ、マホガニー、リグナムバイタ、アカシアマンギューム、地中海松、竹、コウリャン、カメレレのような他の外材等があり、どのような材料でも使用可能である。
第1木質小薄片1の物性に関し、その密度は好ましくは250kg/m以上、より好ましくは300kg/m以上であり、また好ましくは800kg/m以下、より好ましくは500kg/m以下、さらに好ましくは400kg/m以下である。密度が250kg/m未満であると、同密度・同強度の木質積層ボードAを形成するために必要なマットの厚さが大きくなるとともに、プレス成形工程での熱圧プレス処理に係るプレス圧を高める必要がある。
第1木質小薄片1の密度は800kg/mを超えてもよいが、そのような第1木質小薄片を容易に得ることが難しいからである。すなわち、800kg/mを超える第1木質小薄片1を容易に得ることができるのであれば、密度の上限値は800kg/mに限定されず、さらに高い値であってもよい。
また、第1木質小薄片1の含水率は、2~20%程度であることが好ましく、2~8%であることがより好ましい。含水率が2%未満の場合、プレス成形工程での熱圧プレス処理において軟化に時間がかかってプレス時間が長くなり、強度が下がる虞れがある。
また、第1木質小薄片1の含水率が20%を超えると、同熱圧プレス処理において加熱・圧縮に時間がかかるためであり、さらには接着剤の硬化が阻害されて強度が下がる虞れがある。
上記第1木質材層B内において、多数の第1木質小薄片1,1,…は、その繊維1a,1a,…に沿った方向である繊維方向(長さ方向)が基準方向に配向されていてもよいが、この繊維方向の配向性は必須ではなく、繊維方向がランダムに配向されていてもよい。尚、繊維方向(長さ方向)が基準方向に配向されているとは、第1木質材層B内において、全ての第1木質小薄片1,1,…の繊維1a,1a,…が正確に同一方向を向いていること、換言すると、配向された第1木質小薄片1,1,…の繊維方向が互いに平行になっていることを限定しない。一部の第1木質小薄片1,1,…として、繊維方向が基準方向に対してある程度(例えば20°程度)傾いている第1木質小薄片1,1,…が含まれていてもよい。
(第2木質材層)
第2木質材層Cは、図2に拡大して示すように、繊維方向に沿った表裏面を有する多数の第2木質小薄片2,2,…が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、多数の第2木質小薄片2,2,…は1種類の厚さを有する。
第2木質小薄片2は、上記第1木質小薄片1よりも大きさの小さい薄片である。第2木質小薄片2について詳細に説明すると、図4に拡大して示すように、第2木質小薄片2の厚さtは0.05~0.35mmであり、好ましくは0.10~0.30mm、より好ましくは0.15~0.25mm、さらに好ましくは0.15~0.20mmである。つまり、第2木質小薄片2の厚さtは、第1木質小薄片1の厚さtと同等かそれよりも小さくなっている。これにより、この薄い厚さtの第2木質小薄片2,2,…により第2木質材層Cの特性、すなわち木質積層ボードAの特性が決定づけられている。第2木質小薄片2の厚さtは平均値である。
また、第2木質小薄片2は、第1木質小薄片1と同様に、導管や仮導管等による繊維2a,2a,…を有し、その繊維2aに沿った繊維方向寸法(長さ)d1が、繊維直交方向寸法(幅)d2よりも長い細長形状(短冊形状)である。長さd1は、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下、さらに好ましくは5mm以下であり、その下限値は幅d2を超過する長さである。また、幅d2は、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.8mm以下であり、その下限値は特に限定されないが、例えば0.02mm以上である。つまり、本発明に係る第2木質小薄片2,2,…は、第1木質小薄片1よりも長さd1及び幅d2のうち少なくとも一つの寸法の小さい薄片である。第2木質小薄片2の長さd1及び幅d2はいずれも平均値とする。
第2木質小薄片2,2,…に用いられる樹種は特に限定されず、第1木質小薄片1,1,…に用いられる樹種と同様の樹種を用いてもよいし、それ以外の樹種を用いてもよい。また、第2木質小薄片2,2,…の樹種は、第1木質小薄片1,1,…の樹種と同じであってもよく、異なっていてもよい。第1木質小薄片1,1,…を利用して第2木質小薄片2,2,…を容易に製造する観点から、第2木質小薄片2,2,…の樹種は第1木質小薄片1,1,…の樹種と同じであることが好ましい。
第2木質小薄片2の物性に関し、その密度は好ましくは250kg/m以上、より好ましくは300kg/m以上であり、また好ましくは800kg/m以下、より好ましくは500kg/m以下、さらに好ましくは400kg/m以下である。密度が250kg/m未満であると、同密度・同強度の木質積層ボードAを形成するために必要なマットの厚さが大きくなるとともに、プレス成形工程での熱圧プレス処理に係るプレス圧を高める必要がある。
第2木質小薄片2の密度は800kg/mを超えてもよいが、そのような第2木質小薄片2を容易に得ることが難しいからである。すなわち、800kg/mを超える第2木質小薄片2を容易に得ることができるのであれば、密度の上限値は800kg/mに限定されず、さらに高い値であってもよい。
また、第2木質小薄片2の含水率は、2~20%程度であることが好ましく、2~8%であることがより好ましい。
上記第2木質材層C内において、多数の第2木質小薄片2,2,…は、その繊維2a,2a,…に沿った方向である繊維方向(長さ方向)が基準方向に配向されていてもよいが、この繊維方向の配向性は必須ではなく、繊維方向がランダムに配向されていてもよい。一部の第2木質小薄片2,2,…として、繊維方向が基準方向に対してある程度(例えば20°程度)傾いている第2木質小薄片2,2,…が含まれていてもよい。
<木質積層ボードの製造方法>
次に、第1木質小薄片1,1,…及び第2木質小薄片2,2,…の製造方法と、これら木質小薄片1,2,…から木質積層ボードAを製造する方法とについて図5により説明する。第1木質小薄片1,1,…の製造方法は、木質薄片製造工程P1及び第1木質小薄片製造工程P2を有する。第2木質小薄片2,2,…の製造方法は、さらにその後の第2木質小薄片製造工程P3を有する。木質積層ボードAの製造方法は、さらにその後の接着剤塗布工程P4、マットフォーミング工程P5及び熱圧工程P6を有する。
(木質薄片製造工程P1)
材料となる丸太や間伐材等の原木を必要な場合には短くカットして樹皮を除去した後、場合によっては含水率の調整を行い、外刃型や内刃型の切削装置(ストランダー)により切削して、OSBの構成材料として通常使用される切削片よりも薄くて小さい多数の木質薄片(切削後木質薄片)を形成する。建築現場等で発生する端材や廃材、廃パレット材から形成することもできる。切削装置は一般的なものが用いられる。切削装置に原木を送り込む速度により木質薄片の厚さを調整する。この切削により形成された木質薄片(切削後木質薄片)は、実施形態の木質積層ボードAを構成する第1木質小薄片1及び第2木質小薄片2とは異なり、それよりも繊維直交方向の大きさの大きいものである。
このとき、各木質薄片の表裏面に繊維が直線状に表れるように切削し、その切削厚さが第1木質小薄片1及び第2木質小薄片2の厚さtとなるように切削する。以降の工程では、基本的に第1木質小薄片1及び第2木質小薄片2の厚さtが切削後木質薄片の厚さから変わらず、この切削後木質薄片の厚さがそのまま第1木質小薄片1及び第2木質小薄片2の厚さtとなるからである。
この工程P1で得られた切削後木質薄片を篩(例えばΦ5mm以上のメッシュ)等に通過させて、切削後木質薄片の大きさを選別(分級)すること(分級工程)により、次の第1木質小薄片製造工程P2を経た後に得られる第1木質小薄片1,1,…に匹敵する(第1木質小薄片1,1,…の大きさの範囲に含まれる)大きさの木質薄片が得られる場合もある。その場合には、当該木質薄片は、第1木質小薄片製造工程P2にかけられることなく、第1木質小薄片1,1,…として、接着剤塗布工程P4で用いることができる。
(第1木質小薄片製造工程P2)
次いで、上記切削後、必要に応じて分級した木質薄片(切削後木質薄片)をハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の刃物を使用しない粉砕機やナイフフレーカーやカッターミル等の刃物を使用した粉砕機を用いて粉砕し、切削直後の木質薄片の繊維直交方向の大きさよりも小さくして、木質積層ボードAの第1木質材層(芯層)Bを構成する第1木質小薄片1,1,…を形成する。このとき、切削後木質薄片を繊維方向(長さ方向)に沿って割れるように幅方向に粉砕すると、細長形状の第1木質小薄片1,1,…を作ることができる。つまり、切削後木質薄片に繊維方向に直交する繊維直交方向に沿って力(衝撃)を加えると、割れ難いが、繊維方向に平行に沿って力を加えると、簡単に割れるようになる。切削後木質薄片がカールしていても、その粉砕により平面状に分割される。なお、切削後木質薄片に加える力の方向は上記の繊維方向に平行な方向に限定されない。切削後木質薄片に対してランダムな方向に力を加えると、通常、切削後木質薄片は力の弱い部分から割れていく(力の弱い方向に割れ易い)。切削後木質薄片の各繊維がつながる力(繊維直交方向の力)は繊維方向の力よりも圧倒的に弱いため、上記の一般的な粉砕機で切削後木質薄片をランダムな方向に粉砕すれば(力を加えると)、切削後木質薄片が繊維方向に沿って割れて繊維直交方向に短くなり、細長形状の第1木質小薄片1,1,…が得られる。
また、切削後木質薄片に木材の節があったとしても、その節は他の部分よりも脆いので、粉砕により節が粉状になり、後の分級工程で除去される。
なお、刃物を使用した粉砕機の場合、切削後木質薄片が意図せず繊維直交方向に粉砕されてしまうおそれがあるが、刃物を使用しない粉砕機の場合には、そのようなおそれは少なくなるため、刃物を使用しない粉砕機を用いて切削後木質薄片を粉砕することが好ましい。
このように切削する工程のみの1段階ではなく、その後に破砕する工程を加えて2段階の工程を経由させることで、切削片よりも薄くて小さい切削後木質薄片から、必要な大きさで節部分のない高強度の第1木質小薄片1,1,…を容易に製造することができる。
上記粉砕工程で得られた第1木質小薄片1,1,…を篩等に通過させて、第1木質小薄片1,1,…の大きさを選別(分級)する分級工程を含めてもよい。このことで、多数の第1木質小薄片1,1,…は細かくて大きさや形状がより一層均質に揃ったものになる。以上によって第1木質小薄片1が製造される。
(第2木質小薄片製造工程P3)
上記第1木質小薄片1,1,…の製造工程P2において、形成された第1木質小薄片1,1,…や、第1木質小薄片1,1,…の分級工程で除去された木質小薄片3,3,…(不図示)から、第1木質小薄片1,1,…よりも大きさの小さい第2木質小薄片2,2,…を得ることができる。なお、上記分級工程で除去された木質小薄片3とは、上記製造工程P2で形成された第1木質小薄片1以外の木質小薄片をいい、第1木質小薄片1の大きさ(厚さt、長さd1及び幅d2のうち少なくとも一つの寸法)が範囲外となる木質小薄片をいう。
具体的には、第1木質小薄片1,1,…及び/又は上記木質小薄片3,3,…を上記製造工程P2と同様の方法を用いてさらに粉砕する。これにより、第1木質小薄片1,1,…及び/又は上記木質小薄片3,3,…が繊維方向(長さ方向)に沿って割れるように幅方向に粉砕されて、細長形状の第1木質小薄片1,1,…と比較して、より細長形状の第2木質小薄片2,2,…を作ることができる。つまり、第2木質小薄片2は、第1木質小薄片1よりも幅d2の小さい薄片になる。また、当該製造工程P3におけるさらなる粉砕工程において、第1木質小薄片1,1,…及び/又は上記木質小薄片3,3,…は、長さ方向にも粉砕される。これにより、第2木質小薄片2は、第1木質小薄片1と比較して、幅d2だけでなく、長さd1も小さい薄片になる。
また、他の方法として、上記木質小薄片3,3,…を例えばΦ2のメッシュで選別し、当該メッシュを通過したものを第2木質小薄片2,2,…としてもよい。
このように、上記製造工程P2で形成された第1木質小薄片1,1,…や除去された上記木質小薄片3,3,…を利用して、これら木質小薄片1,3,…を破砕する工程又は分級する工程をさらに経由させることで、第1木質小薄片1,1,…よりも長さd1及び/又は幅d2の小さい第2木質小薄片2,2,…を容易に製造することができる。
なお、上記のさらなる粉砕工程で得られた第2木質小薄片2,2,…を篩等(例えばΦ2のメッシュ)に通過させて第2木質小薄片2,2,…を選別(分級)してもよい。このことで、多数の第2木質小薄片2,2,…は細かくて大きさや形状が均質に揃ったものになる。以上によって第2木質小薄片2,2,…が製造される。
(接着剤塗布工程P4)
上記第1木質小薄片1,1,…の製造工程P2及び第2木質小薄片2,2,…の製造工程P3において、選別により細かくて大きさや形状が均質に揃った多数の第1木質小薄片1,1,…及び第2木質小薄片2,2,…が得られると、その後、接着剤塗布工程P4を行い、それら第1木質小薄片1,1,…及び第2木質小薄片2,2,…をそれぞれ接着剤塗布装置に搬入して接着剤を塗布する。接着剤としては、例えばイソシアネート系の接着剤を用いることができ、その他、例えばフェノール樹脂、ユリア樹脂やメラミン樹脂等のアミン系接着剤、天然系接着剤を用いてもよい。また、接着剤と共に、一般に使用される撥水剤を併用してもよい。
(マットフォーミング工程P5)
次に、図6左側に示すように、まず、上記接着剤の塗布された多数の第2木質小薄片2,2,…を繊維方向に配向して又は配向せずに、厚さ方向に集合させた状態で所定厚さ(高さ)まで積層する(積み重ねる)ことで、第2木質小薄片2,2,…のみで構成されるマットC1(第2集合体)を形成する。続いて、形成されたマットC1上に、上記接着剤の塗布された多数の第1木質小薄片1,1,…を繊維方向に配向して又は配向せずに、厚さ方向に集合させた状態で所定厚さまで積層することで、第1木質小薄片1,1,…のみで構成されるマットB1(第1集合体)を形成する。最後に、形成されたマットB1上に、上記と同様にして第2木質小薄片2,2,…のみで構成されるマットC1を形成する。このように、マットC1、マットB1及びマットC1を順に積層することで、3層構造の積層マットA1を形成する。
このとき、木質積層ボードA全体に占める第1木質材層B及び各第2木質材層Cの厚さの割合を所望の割合とするために、マットB1及びマットC1の厚さを調整する。例えば、各第2木質材層Cの木質積層ボードA全体に占める厚さの割合が15%(第2木質材層C:第1木質材層B:第2木質材層C=15:70:15)であり、厚さ4mmの木質積層ボードAを形成する場合には、まず、マットC1の厚さ(高さ)が5mm程度の厚さになるように、厚さtが0.2mmの第2木質小薄片2,2…を積み重ねる。続いて、マットC1上に、マットB1の厚さが24mm程度の厚さになるように、厚さtが0.2mmの第1木質小薄片1,1,…を積み重ねる。最後に、マットB1上に、マットC1の厚さが5mm程度の厚さになるように、第2木質小薄片2,2…を積み重ねる。こうして、マットC1、B1及びC1からなる3層構造の積層マットA1の厚さ(高さ)は34mm程度の厚さになる。
(熱圧工程P6)
この積層マットA1を通常の木質ボードで行われるように、積層マットA1をまず圧締し少し押し固めてから、熱圧プレス装置に搬入して熱盤間にセットする。熱圧プレス装置により積層マットA1を所定の圧力及び温度で熱圧プレス処理して圧縮し、かつ接着剤の硬化により一体に成形する。このことで、図1に示す木質積層ボードAが形成される。
このとき、図6に示すように、上記例示した40mm程度の厚さの積層マットA1は例えば4mmの木質積層ボードAに圧縮され、厚さが1/10まで圧縮される。熱圧プレス処理に係るプレス温度は、特に限定されないが、例えば100~180℃である。熱圧プレス処理に係るプレス圧は、例えば2~4N/mmであり、プレス時間は例えば1~2分間である。尚、プレス時間は、木質積層ボードAの厚さによって変動するものであり、1分未満で終了する場合もあれば、2分以上要する場合もある。また、熱圧プレス装置による熱圧プレス処理の前に、加熱装置による予備加熱処理を行ってもよい。
また、第1木質小薄片1,1,…及びそれよりも大きさの小さい第2木質小薄片2,2,…は、節部分が除去されており、ばらつきがなくて細かい範囲内の大きさのものに保たれているので、マットB1及びC1はそれぞれ均質になる。つまり、積層マットA1全体で均質になり、このことによって木質積層ボードAの強度のばらつきがなくなる。つまり、大きなストランド(切削片)を用いるストランドボードでは、例えば節部分を含む不均一なマットにより部分的(スポット的)に薄くて低強度部分が生じ、強度のばらつきがでるが、それがなくなる。しかも、第1木質小薄片1,1,…も薄い方がマットB1の均質性が高くなり、木質積層ボードAの強度が出易くなる。一般に大きなストランド(切削片)を用いるストランドボードは強度を大きくできるのに対し、本発明では切削片よりも薄くて小さい木質薄片(切削後木質薄片)を粉砕によりさらに小さくした第1木質小薄片1によって木質積層ボードAの均質性と強度とを兼ねている。
さらに、第1木質小薄片1,1,…は小さくて均一な大きさであり、マットB1において、第1木質小薄片1,1,…の間に隙間が均一的に形成されている。同様に、第2木質小薄片2,2,…は第1木質小薄片1,1,…よりも小さくてより一層均一な大きさであり、マットC1において、第2木質小薄片2,2,…の間に隙間が均一的に形成されている。そのため、仮にマットB1の第1木質小薄片1,1,…及びマットC1の第2木質小薄片2,2,…に比較的多量に水分が含まれた状態のままで熱圧しても、その水分の蒸発によって生成された蒸気はスムーズにマットB1及びマットC1から抜け出るようになる。つまり、図6左側に示すように、マットB1内には、互いに隣接する第1木質小薄片1,1,…間に多数の微小な空隙が存在している。同様に、マットC1内にも、互いに隣接する第2木質小薄片2,2,…間に多数の微小な空隙が存在している。これら空隙は、第1木質小薄片1,1,…及び第2木質小薄片2,2,…の繊維方向及び繊維直交方向だけでなく、厚み方向にも連通している。また、これら空隙は、マットB1内及びマットC1内で連続するだけでなく、マットB1とマットC1の間でも連続しており、積層マットA1全体で三次元的に連続している。そのため、木質積層ボードAに対する加圧を停止したときのパンクは生じ難くなる。
このような工程を経て、第1木質材層B及び各第2木質材層Cの各密度(木質積層ボードA全体の密度)が500~800kg/mでありかつ曲げヤングが3.5~5.0GPaの木質積層ボードAが成形される。
なお、第1木質材層Bの密度と各第2木質材層Cの密度とは、同程度であってもよく、異なっていてもよい。各木質材層B,Cの密度は、成形時のパンクを防止する観点から、異なっていることが好ましい。第1木質材層Bと各第2木質材層Cの密度が異なる場合、両層B,Cの密度の差は、例えば400kg/m以上である。また、第1木質材層Bと各第2木質材層Cの密度の大小関係は特に限定されず、第1木質材層Bの密度が各第2木質材層Cの密度よりも高くてもよく、低くてもよい。木質積層ボードAの表面性における平滑性、色調・色均質性を向上させる観点から、各第2木質材層Cが第1木質材層Bよりも密度の高い高密度木質材層であることが好ましい。
また、木質積層ボードAは、図6右側に示すように、第1木質材層B及び各第2木質材層Cの内部に、三次元的に連続する微小な空隙が多数存在している(残っている)。そのため、木質積層ボードAは、通気性にも優れる。
(その他の工程)
木質積層ボードAの製造方法は、その他の工程として、上記熱圧工程P6の後に、上記木質積層ボードAを平衡含水率まで養生させてから表裏面としての第2木質材層Cをサンダーにより研削し、最終厚さを調整する仕上げ工程を有していてもよい。サンダーは、一般に使用されるものを使用でき、例えば#150番手等が挙げられる。この仕上げ工程を経ることで、表面性にさらに一層優れた木質積層ボードAが得られる。
したがって、上記実施形態の木質積層ボードAについては以下の作用効果を奏することができる。
木質積層ボードAは、同じ厚さ範囲で大きさが異なる2種類の木質小薄片1,2,…で構成されている。具体的には、木質積層ボードAは、厚さtが極めて薄く、その平均値が0.05~0.35mm、繊維方向に沿った繊維方向寸法d1(長さ)の平均値が40mm以下、繊維方向と直交方向に沿った繊維直交方向寸法d2(幅)の平均値が40mm以下の多数の第1木質小薄片1,1,…が集合状態で積層されて接着一体化により単層に構成された第1木質材層Bと、第1木質小薄片1,1,…よりも大きさの小さい多数の第2木質小薄片2,2,…が集合状態で積層されて接着一体化により単層に構成された2つの第2木質材層C,Cとを含み、第1木質材層Bの両面に第2木質材層C,Cが配置され、接着一体化により3層に構成されている。
すなわち、木質積層ボードAの芯層を構成する第1木質材層Bは、1種類の第1木質小薄片1,1,…のみで構成され、その第1木質小薄片1,1,…の厚さtの平均値が極めて薄く、0.05~0.35mmという狭い範囲内に収まっているので、多数の第1木質小薄片1,1,…は厚さtのばらつきが小さくて均一な厚さtに揃ったものになる。また、第1木質小薄片1,1,…の繊維方向寸法d1(長さ)及び繊維直交方向寸法d2(幅)も一定範囲内にあるので、第1木質材層Bは大きさが一定範囲内に揃った第1木質小薄片1,1,…が集合して均質なものとなる。そのため、第1木質材層B(つまり木質積層ボードA)の強度が高くなるだけでなく、吸放湿による反りが発生し難く、南洋材合板と同程度の良好な寸法安定性が得られる。また、木質積層ボードAの表裏層を構成する2つの第2木質材層C,Cは、第1木質小薄片1,1,…よりも大きさ(具体的には、長さd1及び幅d2のうち少なくとも一つの寸法)の小さい多数の第2木質小薄片2,2,…がより一層均一な大きさに揃っているので、通常のOSBのように木質ボードの表面に大きな凹凸が生じることはなく、木質積層ボードAは表面性により一層優れ、MDFと同様に優れた表面性を有するものとなる。また、均一な大きさの多数の第1木質小薄片1,1,…及び第2木質小薄片2,2,…をそれぞれ集合させた集合体であるマットB1及びマットC1を、マットC1、マットB1及びマットC1の順に積層一体化するので、その製造も容易となる。
特に、木質積層ボードAの芯層を構成する第1木質材層Bにおける第1木質小薄片1,1,…の厚さtの平均値が0.15~0.25mm、繊維方向寸法d1の平均値が20mm以下、繊維直交方向寸法d2の平均値が5mm以下の細長形状であると、第1木質材層Bの寸法安定性が向上し、その結果、木質積層ボードAの寸法安定性が向上する。また、第1木質材層Bの表面の平滑性が向上するため、この第1木質材層B上に積層される第2木質材層C,Cの表面も平滑性及び色調・色均質性が向上する。その結果、より一層優れた表面性を有する木質積層ボードAが得られる。
また、木質積層ボードAの表裏層を構成する各第2木質材層Cにおける第2木質小薄片2,2,…の厚さの平均値が0.15~0.25mm、繊維方向寸法d1の平均値が10mm以下、繊維直交方向寸法d2の平均値が2mm以下の細長形状であると、各第2木質材層C、つまり木質積層ボードAの表面性がさらに一層向上する。
また、各第2木質材層Cの木質積層ボードA全体に占める厚さの割合が5%以上40%以下であると、木質積層ボードAの強度と表面性とを両立させることができる。
図7は、本発明に係る木質積層ボードAの特性を他の材料のボードと比較して例示したものであり、木質積層ボードAは、曲げヤング、吸放湿時の長さ変化率がラワン合板程度に大きく、ラワン合板に比べ寸法安定性での異方性や表面性における平滑性、色調・色均質性が優れている。また、木質積層ボードAは、OSBに比べ、曲げヤングが縦横に均一であり、寸法安定性での異方性や表面性における平滑性、色調・色均質性が良好である。すなわち、木質積層ボードAは、高強度で寸法安定性や表面性に優れる。また、木質積層ボードAは、第1木質小薄片1,1,…のみで構成される単層の木質ボード(換言すると、第1木質材層B)と比較して、上記の特性を有するだけでなく、さらに表面性に特化した木質ボードといえる。
<その他の実施形態>
上記実施形態では、木質積層ボードAの第1木質材層(芯層)Bは、原木から切削されたままの木質薄片(切削後木質薄片)が破砕されてそれよりも小さくなった第1木質小薄片1で構成しているが、本発明は、原木から切削されたままの木質薄片(切削後木質薄片)で第1木質材層を構成することもできる。
上記実施形態では、木質薄片製造工程P1及び第1木質小薄片製造工程P2のいずれも分級工程を有しているが、本発明は、工程P1及びP2のいずれか一つのみに分級工程が含まれていてもよく、工程P1及びP2のいずれにも分級工程が含まれていなくてもよい。木質積層ボードAの強度だけでなく、寸法安定性及び表面性のさらなる向上を図る観点から、工程P1又はP2は分級工程を有していることが好ましく、工程P2は分級工程を有していることがより好ましく、工程P1及びP2のいずれも分級工程を有していることがさらに好ましい。
本発明は、均一な大きさに揃った木質小薄片で構成され、強度が高くて南洋材合板と同程度の良好な寸法安定性及び表面性を持つ木質積層ボードを容易に製造できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
A 木質積層ボード
A1 積層マット
B 第1木質材層
B1 マット
C 第2木質材層
C1 マット
P1 木質薄片製造工程
P2 第1木質小薄片製造工程
P3 第2木質小薄片製造工程
P4 接着剤塗布工程
P5 マットフォーミング工程
P6 熱圧工程
1 第1木質小薄片
1a 繊維
2 第2木質小薄片
2a 繊維
3 第1木質小薄片以外の木質小薄片
t 厚さ
d1 繊維方向寸法(長さ)
d2 繊維直交方向寸法(幅)
具体的には、第1の発明は、第1木質材層と第1木質材層の両面に積層された第2木質材層とが一体化された木質積層ボードが対象である。第1木質材層は、繊維方向に沿った表裏面を有する細長形状の多数の第1木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、この第1木質材層を構成する第1木質小薄片は、上記表裏面間の厚さが0.05mm以上0.35mm以下上記繊維方向に沿った長さが40mm以下、上記繊維方向と直交する方向に沿った15mm以下である。また、第2木質材層は、繊維方向に沿った表裏面を有する細長形状の多数の第2木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、この第2木質材層を構成する第2木質小薄片は第1木質小薄片と同じ厚さ範囲で第1木質小薄片よりも小さいことを特徴としている。
この第1の発明では、木質積層ボードは、第1木質材層とその両面に配置された第2木質材層とが積層一体化されている。第1木質材層は、上記表裏面間の厚さが0.05mm以上0.35mm以下上記繊維方向に沿った長さが40mm以下、上記繊維方向と直交する方向に沿った15mm以下である細長形状の多数の第1木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化により構成されている。第1木質小薄片の厚さ、長さ及び幅はいずれも平均値である。また、第2木質材層は第1木質小薄片と同じ厚さ範囲で第1木質小薄片よりも小さい細長形状の多数の第2木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化により構成されている。
第2の発明は、第1の発明の木質積層ボードにおいて、第1木質小薄片は、厚さが0.15~0.25mm、長さが20mm以下、が5mm以下の細長形状であることを特徴とする。このことで、第1木質材層の寸法安定性が向上する。また、第1木質材層の表面性が向上するため、この第1木質材層上に形成された第2木質材層の表面性(特に平滑性)がより一層向上する。これにより、木質積層ボードの寸法安定性及び表面性の向上を図ることができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明の木質積層ボードにおいて、第2木質小薄片は、長さ及びのうち少なくとも一つの寸法が第1木質小薄片よりも小さいことを特徴とする。
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明の木質積層ボードにおいて、第2木質小薄片は、厚さが0.15~0.25mm、長さが10mm以下、が2mm以下の細長形状であることを特徴とする。

Claims (6)

  1. 第1木質材層と該第1木質材層の両面に積層された第2木質材層とが一体化された木質積層ボードであって、
    上記第1木質材層は、繊維方向に沿った表裏面を有する多数の第1木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、
    上記第1木質小薄片は、厚さが0.05~0.35mm、繊維方向に沿った繊維方向寸法が40mm以下、繊維方向と直交する方向に沿った繊維直交方向寸法が40mm以下であり、
    上記第2木質材層は、繊維方向に沿った表裏面を有する多数の第2木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、
    上記第2木質小薄片は上記第1木質小薄片よりも小さいことを特徴とする木質積層ボード。
  2. 請求項1の木質積層ボードにおいて、
    上記第1木質小薄片は、厚さが0.15~0.25mm、繊維方向寸法が20mm以下、繊維直交方向寸法が5mm以下の細長形状であることを特徴とする木質積層ボード。
  3. 請求項1又は2の木質積層ボードにおいて、
    上記第2木質小薄片は、繊維方向寸法及び繊維直交方向寸法のうち少なくとも一つの寸法が上記第1木質小薄片よりも小さいことを特徴とする木質積層ボード。
  4. 請求項1~3のいずれか1つの木質積層ボードにおいて、
    上記第2木質小薄片は、厚さが0.15~0.25mm、繊維方向寸法が10mm以下、繊維直交方向寸法が2mm以下の細長形状であることを特徴とする木質積層ボード。
  5. 請求項1~4のいずれか1つの木質積層ボードにおいて、
    上記各第2木質材層の木質積層ボード全体に占める厚さの割合が5%以上40%以下であることを特徴とする木質積層ボード。
  6. 請求項1~5のいずれか1つの木質積層ボードにおいて、
    上記第1木質材層及び上記各第2木質材層の密度が250~800kg/mであることを特徴とする木質積層ボード。
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