JP5483050B2 - 磁気ディスク用潤滑剤及びその製造方法、並びに磁気ディスク - Google Patents

磁気ディスク用潤滑剤及びその製造方法、並びに磁気ディスク Download PDF

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Description

本発明はハードディスクドライブなどの磁気ディスク装置に搭載する磁気ディスクに用いる潤滑剤及びその製造方法、並びに磁気ディスクに関する。
従来、ハードディスクドライブ(以下、HDDと略記する。)等の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクは、磁気ディスクの耐久性、信頼性を確保するために、基板上に形成された磁気記録層の上に、保護層と潤滑層を設けている。特に最表面に用いられる潤滑層は、長期安定性、化学物質耐性、摩擦特性、耐熱特性等の様々な特性が求められる。
このような要求に対し、従来は磁気ディスク用潤滑剤として、分子中にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤が多く用いられてきた。例えば、特開昭62−66417号公報(特許文献1)などには、HOCH2CF2O(C2F4O)p(CF2O)qCH2OHの構造をもつパーフルオロアルキルポリエーテル潤滑剤を塗布した磁気記録媒体などが知られている。潤滑剤の分子中にヒドロキシル基が存在すると、保護層とヒドロキシル基との相互作用により、潤滑剤の保護層への付着特性が得られることが知られている。なお、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤の市販品としては、耐熱性と安定性を有するソルベイソレクシス社のフォンブリンゼット系潤滑剤が用いられることが多い。この市販品の潤滑剤から不純物等を除去する目的で、或いは、この潤滑剤は高分子物質であるため、その分子量を適切な分布にする目的で様々な精製が行われ、磁気ディスク用の潤滑剤として用いられてきた。
また、特開2006−70173号公報(特許文献2)には、ヒドロキシ基と両端にCF2を有する構造単位を含み、数平均分子量が4000〜12000、分子鎖途中のヒドロキシ基を一分子中に平均1〜10個有するフッ化ポリエーテルを含有する潤滑剤が開示されている。
特開昭62−66417号公報 特開2006−70173号公報
近年、HDD等の磁気ディスク装置は、その記憶容量を急速に増大させてきている。そして最近では、従来のCSS(ContactStart and Stop)方式に代わって、LUL(LoadUnload:ロードアンロード)方式の磁気ディスク装置が導入されてきている。LUL方式では、停止時には、磁気ヘッドを磁気ディスクの外に位置するランプと呼ばれる傾斜台に退避させておき、起動時には磁気ディスクが回転開始した後に、磁気ヘッドをランプから磁気ディスク上に滑動させてから記録再生を行なう。この一連の動作はLUL動作と呼ばれる。LUL方式はCSS方式に比べて磁気ディスク面上の記録再生用領域を広く確保できるので高情報容量化にとって好ましい。また、磁気ディスク面上にはCSSのための凹凸形状を設ける必要が無いので、磁気ディスク面を極めて平滑化でき、このため磁気ヘッド浮上量を一段と低下させることができるので、記録信号の高S/N比化を図ることができ好適である。
LUL方式の導入に伴う、磁気ヘッド浮上量の一段の低下により、10nm以下の低浮上量においても磁気ディスクが安定して動作することが求められるようになってきた。しかしながら、このような低浮上量で従来の磁気ディスク面上に磁気ヘッドを浮上飛行させると、フライスティクション障害やヘッド腐食障害などが頻発するという問題が発生した。
フライスティクション障害とは、磁気ヘッドが浮上飛行時に浮上姿勢や浮上量に変調をきたす障害であり、不規則な再生出力変動を伴う。場合によっては浮上飛行中に磁気ディスクと磁気ヘッドが接触し、ヘッドクラッシュ障害を起こすことがある。
腐食障害とは、磁気ヘッドの素子部が腐食して記録再生に支障をきたす障害であり、場合によっては記録再生が不可能となったり、腐食素子が膨大して、浮上飛行中に磁気ディスク表面にダメージを与えることがある。
本発明者は、最近の磁気ディスクで顕著化してきた前述の障害の発生原因は、以下のメカニズムが発生した結果であろうという知見を得た。
磁気ヘッドの浮上量が例えば10nm以下の低浮上量となると、磁気ヘッドは浮上飛行中に空気分子を介して磁気ディスク面上の潤滑層に断熱圧縮及び断熱膨張を繰り返し作用させるようになり、潤滑層は繰り返し加熱冷却を受けやすくなり、このため潤滑層を構成する潤滑剤の低分子化が促進され易くなっている。潤滑剤が低分子化すると流動性が高まり、保護層との付着性が低下する。そして、流動性の高まった潤滑剤は、極狭な位置関係にある磁気ヘッドに移着堆積し、その結果、浮上姿勢が不安定となりフライスティクション障害を発生させるものと考えられる。特に、最近導入されてきたNPAB(負圧)スライダーを備える磁気ヘッドは、磁気ヘッド下面に発生する強い負圧により潤滑剤を吸引し易いので、移着堆積現象を促進していると考えられる。移着堆積した潤滑剤はフッ酸等の酸を生成する場合があり、磁気ヘッドの素子部を腐食させる場合がある。特に、磁気抵抗効果型素子を搭載する磁気ヘッドは腐食され易い。
また本発明者らは、LUL方式が、これらの障害の発生を促進しているという知見を得た。LUL方式の場合ではCSS方式の場合と異なり、磁気ヘッドは磁気ディスク面上を接触摺動することが無いので、一度磁気ヘッドに移着堆積した潤滑剤は磁気ディスク側へ転写除去され難いことが判った。従来のCSS方式の場合にあっては、磁気ヘッドに移着した潤滑剤は磁気ディスクのCSS領域と接触摺動することによりクリーニングされ易いので、これらの障害が顕在化していなかったものと考察される。
また、最近では磁気ディスク装置の応答速度を敏速化するために、磁気ディスクの回転速度を高めることが行なわれている。たとえばモバイル用途に好適な小径の2.5インチ型磁気ディスク装置の回転数は従来4200rpm程度であったが、最近では、5400rpm以上の高速で回転させることで応答特性を高めることが行なわれている。このような高速で磁気ディスクを回転させると、回転に伴う遠心力により潤滑層が移動(マイグレーション)して、磁気ディスク面内で潤滑層膜厚が不均一となる現象が顕在化してきた。また、最近では、磁気ディスク装置は、従来のパーソナルコンピュータの記憶装置としてだけでなく、例えば携帯情報端末、カーナビゲーションシステムなどにも使用されるようになってきており、使用される用途の多様化などにより、磁気ディスクに求められる環境耐性は非常に厳しいものになってきている。
したがって、これらの情況に鑑みると、従来にもまして、潤滑層を構成する潤滑剤の耐熱性、保護層との付着性などの更なる向上が急務となっている。
ところで、近年の磁気ディスクの急速な情報記録密度向上に伴い、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録層間の磁気スペーシングの低減が求められており、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録層の間に存在する潤滑層は、より一層の薄膜化が必要となってきている。
磁気ディスクの最表面の潤滑層に用いられる潤滑剤は、磁気ディスクの耐久性に大きな影響を及ぼす。上述したように、現在、磁気ディスク用の潤滑剤としては、市販品のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を用いているものが多い。この市販品のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤は、高分子成分を含み、その合成方法に起因する分子量分布を有しており、各種精製法を用いても完全に単一の分子量に制御することは殆ど不可能である。そのため、精製後においても、ある程度の分子量分布を有しており、分子量の制御は難しいという問題がある。また、このような潤滑剤を用いて潤滑層を形成する方法は、潤滑剤を溶解させた溶液中に磁気ディスクを浸漬し(ディップ法)、引き上げた後に、保護層との付着性を持たせるために加熱処理、UV処理等が施される。このようにして形成される潤滑層は、潤滑剤を溶媒に溶解させ、大まかにはその濃度を調整することで潤滑層の膜厚を制御していたが、実際には上述の分子量との兼ね合いもあり、形成される潤滑層の膜厚を潤滑剤溶液の濃度だけで厳密に制御することは困難であった。
もちろん、潤滑剤溶液の濃度を薄くすれば、潤滑層の薄膜化は一応可能ではあるが、このような濃度の薄い潤滑剤溶液を用いて形成される潤滑層では保護層表面を完全に被覆することは困難である。要するに、潤滑剤溶液の濃度調整によって、形成される潤滑層の薄膜化を実現しようとすると、磁気ディスク表面の被覆率が低下してしまい、磁気ディスクの耐久性に乏しいという問題がある。また、潤滑層の薄膜化を潤滑剤の分子量を小さくすることで達成することも考えられるが、前にも述べたように潤滑剤の分子量を制御することは非常に困難であることと、潤滑剤の分子量が小さいと耐熱性が劣化し、また磁気ヘッドへの移着による腐食障害が起こりやすく、耐久性に乏しいという問題があり、もとより採用することはできない。
このように、従来の磁気ディスク用潤滑剤を用いた潤滑層では、磁気ディスク表面に、より一層薄膜化された、しかも被覆率の高い均一な潤滑層を形成することが難しく、形成された潤滑層の長期安定性に優れ、近年の高記録密度化に伴う磁気スペーシングの低減や、磁気ヘッドの低浮上量のもとでの高信頼性を有する磁気ディスクを実現する上で阻害要因となっていた。さらには前にも述べたように、使用される用途の多様化などにより、磁気ディスクに求められる環境耐性は非常に厳しいものになってきているため、従来にもまして、潤滑層を構成する潤滑剤の耐熱性や、保護層との付着性などの特性のより一層の向上が求められている。
なお、前記特許文献2に開示された潤滑剤によれば、高分子化しても膜厚を薄くでき、良好なCSS耐久性が得られるとしているが、高分子化した場合、流動特性(特に低温での流動特性)が低下するため、自己修復性が劣化し、上述のように非常に厳しい環境下で使用される場合の高い信頼性が得られないという問題点を有する。
本発明は、このような従来の情況に鑑みなされたもので、その目的とするところは、第1に、高被覆率で潤滑層膜厚を薄膜化でき、しかも耐熱性や、保護層との付着性にも優れた磁気ディスク用潤滑剤を提供することであり、第2に、このような磁気ディスク用潤滑剤を好適に製造することのできる磁気ディスク用潤滑剤の製造方法を提供することであり、第3に、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができる高被覆率の均一な、しかも耐熱性や、保護層との付着性にも優れた潤滑層を備え、磁気スペーシングの低減のために要求される潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能で、近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、また用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有する磁気ディスクを提供することである。
本発明者は、新しい磁気ディスク用潤滑剤を鋭意検討し、以下の発明により、前記課題が解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)数平均分子量と、分子中に含まれるヒドロキシル基の数を規格化した値との関係において、数平均分子量が、1000〜6000の範囲であって、かつ、分子中に含まれるヒドロキシル基の数を規格化した値が、180以上、且つ、数平均分子量が1000、分子中に含まれるヒドロキシル基の数を規格化した値が400である点と、数平均分子量が6000、分子中に含まれるヒドロキシル基の数を規格化した値が1600である点とを結ぶ線上よりも下の領域にあって、さらに、分子鎖の中心付近にヒドロキシル基を少なくとも1個有するパーフルオロポリエーテル系化合物を含有することを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤。
(構成2)分子鎖の中心付近のヒドロキシル基の数が2個以上であることを特徴とする構成1に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
(構成3)分子鎖の中心付近のヒドロキシル基の数が3個以上であることを特徴とする構成1に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
(構成4)前記パーフルオロポリエーテル系化合物は、パーフルオロポリエーテル基同士が2価の連結基を介して結合している化合物であることを特徴とする構成1乃至3のいずれか一に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
(構成5)パーフルオロポリエーテル基同士が2価の連結基を介して結合している化合物であって、かつ、分子鎖の中心付近にヒドロキシル基を少なくとも1個有する化合物を含有することを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤。
(構成6)−10℃における粘度が、5000〜12000mPa・sの範囲であることを特徴とする構成5に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
(構成7)温度変化に対する粘度の変化量が、−0.03〜−0.08mPa・s/℃の範囲であることを特徴とする構成6に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
(構成8)構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物からなることを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤。
(構成9)前記2価の連結基は、構造中に3〜6個のヒドロキシル基を有していることを特徴とする構成8に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
(構成10)前記2価の連結基は、−(CR)−(R、Rはそれぞれ水素原子またはヒドロキシル基である。)で示される基を有する基であることを特徴とする構成8又は9に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
(構成11)前記パーフルオロポリエーテル基が、
式(I)
Figure 0005483050
(式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。)で示される基であることを特徴とする構成8乃至10の何れか一に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
(構成12)分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、分子末端に該パーフルオロポリエーテル化合物と反応してヒドロキシル基を生成しうるエポキシド構造を有する脂肪族化合物の1当量とを反応させて得られた化合物を含有することを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤。
(構成13)分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応してヒドロキシル基を生成しうる構造を有する脂肪族化合物の1当量とを反応させることを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤の製造方法。
(構成14)前記脂肪族化合物は、分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有し且つ末端にエポキシド構造を有する化合物であることを特徴とする構成13に記載の磁気ディスク用潤滑剤の製造方法。
(構成15)前記パーフルオロポリエーテル化合物が、
式(II)
Figure 0005483050
(式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。)で示される化合物であることを特徴とする構成13又は14に記載の磁気ディスク用潤滑剤の製造方法。
(構成16)構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有し、さらに前記パーフルオロポリエーテル主鎖より結合手側にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、2価の脂肪族基を介して結合している化合物からなることを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤。
(構成17)前記2価の脂肪族基が、−(CR)p−(R、Rはそれぞれ水素原子または置換基であり、pは1以上の整数である。)で示される基であることを特徴とする構成16に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
(構成18)前記パーフルオロポリエーテル基が、
式(III)
Figure 0005483050
(式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。)で示される基であることを特徴とする構成16又は17に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
(構成19)分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、分子末端に該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる置換基を有する脂肪族化合物の1当量とを反応させて得られた化合物を含有することを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤。
(構成20)分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる構造を有する脂肪族化合物の1当量とを反応させることを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤の製造方法。
(構成21)前記パーフルオロポリエーテル化合物が、
式(IV)
Figure 0005483050
(式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。)で示される化合物であることを特徴とする構成20に記載の磁気ディスク用潤滑剤の製造方法。
(構成22)構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有し、さらに前記パーフルオロポリエーテル主鎖より結合手側にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、2価の芳香族基を介して結合している化合物からなることを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤。
(構成23)構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有し、さらに前記パーフルオロポリエーテル主鎖より結合手側にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、2価の飽和環状炭化水素基を介して結合している化合物からなることを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤。
(構成24)前記パーフルオロポリエーテル基が、
式(III)
Figure 0005483050
(式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。)で示される基であることを特徴とする構成22又は23に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
(構成25)分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる置換基、またはエポキシド構造を有する芳香族化合物の1当量とを反応させて得られた化合物を含有することを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤。
(構成26)分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる置換基を有する飽和環状炭化水素化合物の1当量とを反応させて得られた化合物を含有することを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤。
(構成27)分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる構造を有する芳香族化合物の1当量とを反応させることを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤の製造方法。
(構成28)分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる構造を有する飽和環状炭化水素化合物の1当量とを反応させることを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤の製造方法。
(構成29)前記パーフルオロポリエーテル化合物が、
式(IV)
Figure 0005483050
(式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。)で示される化合物であることを特徴とする構成27又は28に記載の磁気ディスク用潤滑剤の製造方法。
(構成30)基板上に磁性層と保護層と潤滑層を備える磁気ディスクであって、
前記潤滑層は、構成1乃至29の何れか一に記載の磁気ディスク用潤滑剤を含有することを特徴とする磁気ディスク。
(構成31)前記保護層は、炭素系保護層であることを特徴とする構成30に記載の磁気ディスク。
(構成32)ロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクであることを特徴とする構成30又は31に記載の磁気ディスク。
構成1に係る発明によれば、数平均分子量と、分子中に含まれるヒドロキシル基の数を規格化した値との関係が所定の範囲内にあって、さらに、分子鎖の中心付近にヒドロキシル基を少なくとも1個有するパーフルオロポリエーテル系化合物を含有する磁気ディスク用潤滑剤によれば、数平均分子量を極度に上げることなく、耐熱性を向上することができる。しかも、保護層上に本発明の潤滑剤を塗布した場合、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との間に好適な相互作用が発生し、潤滑層と保護層との密着性を向上できるため、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができ、潤滑層膜厚を薄膜化することが可能である。
また、構成2にあるように、分子鎖の中心付近のヒドロキシル基の数は2個以上であることが好ましく、とくに、構成3にあるように、分子鎖の中心付近のヒドロキシル基の数は3個以上であることが好ましい。
また、構成4の発明のように、パーフルオロポリエーテル基同士が2価の連結基を介して結合している化合物であることにより、上記パーフルオロポリエーテルの2量化により、極度に分子量を上げることなく高分子量のものが得られ、耐熱性を向上することができる。
また、構成5の発明のように、パーフルオロポリエーテル基同士が2価の連結基を介して結合している化合物であって、かつ、分子鎖の中心付近にヒドロキシル基を少なくとも1個有する化合物を含有する磁気ディスク用潤滑剤によれば、上記パーフルオロポリエーテルの2量化により、極度に分子量を上げることなく高分子量のものが得られ、耐熱性を向上することができるとともに、潤滑層と保護層との密着性を向上できるため、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができ、潤滑層膜厚を薄膜化することが可能である。
また、構成6にあるように、構成5の発明において、−10℃における粘度が、5000〜12000mPa・sの範囲であることにより、とくに低温下においても良好な流動特性が得られ、低温下で使用する場合の高信頼性が得られる。
また、構成7にあるように、温度変化に対する粘度の変化量が、−0.03〜−0.08mPa・s/℃の範囲であることにより、低温から高温の広範囲において流動特性の変化が少なく、安定した潤滑性能が得られる。
構成8に係る発明によれば、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物からなる磁気ディスク用潤滑剤は、分子の末端のヒドロキシル基に加え、分子の中心にも少なくとも3個のヒドロキシル基を有するため、保護層上に本発明の潤滑剤を塗布した場合、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との間に好適な相互作用が発生し、潤滑層と保護層との密着性を向上できる。また、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との間に好適な相互作用が発生することにより、保護層上で潤滑剤分子が適度にフォールディング(折り畳み)構造をとった潤滑剤層(潤滑層)を形成させることができる。その結果、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができ、磁気ディスク表面に均一に潤滑層を形成することができる。したがって、高被覆率で潤滑層膜厚を薄膜化することが可能である。また、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、上記パーフルオロポリエーテル基同士が上記2価の連結基を介して結合している化合物からなるため、上記パーフルオロポリエーテルの2量化による高分子量のものが得られ、熱分解が抑制され、かかる潤滑剤を用いて磁気ディスクとした場合、その耐熱性を向上できる。
このように、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、とくに保護層被覆率、保護層との付着性、耐熱性等の特性に優れているため、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録層間の磁気スペーシングの低減の要求に伴う潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能になり、しかも形成された潤滑層の長期安定性に優れ、近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、また用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有する磁気ディスクを実現する上で好適である。
また、構成9に係る発明にあるように、構成8に係る発明において、前記2価の連結基は、構造中に3〜6個のヒドロキシル基を有していることが特に好ましい。潤滑剤分子の中心にあるヒドロキシル基の数が少ないと、保護層との相互作用による付着性向上の効果が十分に得られ難い。また、このヒドロキシル基の数がいくら多くても、そのすべてのヒドロキシル基が保護層側に配向されて保護層との好適な相互作用に寄与するとは限らず、保護層との付着性向上の効果が分子中のヒドロキシル基の数に応じて高まるというものではない。
また、構成10に係る発明にあるように、前記2価の連結基が、−(CR)−(R、Rはそれぞれ水素原子またはヒドロキシル基である。)で示される基を有する基であることにより、潤滑剤分子の中心付近に好ましくヒドロキシル基を導入することが可能である。
また、構成11に係る発明にあるように、前記パーフルオロポリエーテル基が、前記式(I)で示される基であることは好ましい。
また、構成12,13に係る発明にあるように、分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応してヒドロキシル基を生成しうる構造を有する脂肪族化合物の1当量とを反応させて得られた磁気ディスク用潤滑剤及びその製造方法によれば、分子末端のみにヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物同士を連結させて2量化することで分子末端に加え、分子の中心にも少なくとも3個のヒドロキシル基を導入した化合物であって、保護層被覆率、保護層との付着性、耐熱性等の特性に優れ、潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能な本発明の磁気ディスク用潤滑剤を好適に得ることができる。
また、構成14に係る発明にあるように、構成13に係る発明において、前記脂肪族化合物は、分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有し且つ末端にエポキシド構造を有する化合物であることが好ましい。このような化合物を用いることにより、本発明の潤滑剤を高純度、高収率で得ることが可能である。
また、構成15に係る発明にあるように、前記パーフルオロポリエーテル化合物が、前記式(II)で示される化合物であることは好ましい。
構成16に係る発明によれば、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有し、さらに前記パーフルオロポリエーテル主鎖より結合手側にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、2価の脂肪族基を介して結合している化合物からなる磁気ディスク用潤滑剤は、分子の末端に加え、2価の脂肪族基付近、すなわち分子の中心付近にもヒドロキシル基を有するため、保護層上に本発明の潤滑剤を塗布した場合、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との相互作用により、保護層上で潤滑剤分子が適度にフォールディング(折り畳み)構造をとった潤滑剤層(潤滑層)を形成させることができる。しかも脂肪族基の長さ(例えば主鎖の炭素数)を変えることで、分子の中心付近のヒドロキシル基の位置を調整することが可能であり、その結果、保護層上に形成される潤滑剤分子のフォールディング構造を制御し潤滑層の膜厚を調節することができる。つまり、脂肪族基の長さを調整することで、分子構造の詳細なチューニングが可能となり、潤滑層の分子レベルでの厳密な膜厚制御が可能である。さらに、分子レベルでの厳密な膜厚制御をすることにより潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができ、磁気ディスク表面に均一に潤滑層を形成することができるため、高被覆率で潤滑層膜厚を薄膜化することが可能である。従って、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録層間の磁気スペーシングの低減の要求に伴う潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能になり、しかも形成された潤滑層の長期安定性に優れ、近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとでの高信頼性を有する磁気ディスクを実現する上で好適である。
また、構成17係る発明にあるように、構成16に係る発明において、前記2価の脂肪族基が、−(CR)p−(R、Rはそれぞれ水素原子または置換基であり、pは1以上の整数である。)で示される基であることにより、主鎖の炭素数によって脂肪族基の長さを変えることができ、潤滑剤分子の中心付近のヒドロキシル基の位置を調整することが可能である。
また、構成18に係る発明にあるように、前記パーフルオロポリエーテル基が、前記式(III)で示される基であることは好ましい。
また、構成19,20に係る発明にあるように、分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる構造を有する脂肪族化合物の1当量とを反応させて得られた磁気ディスク用潤滑剤及びその製造方法によれば、分子末端のみにヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物同士を連結させて2量化することで分子末端に加え、脂肪族基付近、つまり分子の中心付近にもヒドロキシル基を導入し、しかも長さの異なる脂肪族基を用いて分子の中心付近のヒドロキシル基の位置を任意に調整した本発明に好適な磁気ディスク用潤滑剤を得ることができる。
また、構成21に係る発明にあるように、構成20に係る発明において、前記パーフルオロポリエーテル化合物が、前記式(IV)で示される化合物であることは好ましい。
構成22に係る発明によれば、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有し、さらに前記パーフルオロポリエーテル主鎖より結合手側にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、2価の芳香族基を介して結合している化合物からなる本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、分子の両末端に加え、分子の中心にある2価の芳香族基の両側付近にもヒドロキシル基を有する。そのため、保護層上に本発明の潤滑剤を塗布した場合、潤滑剤分子の中心にある芳香族基のπ電子雲により保護層と相互作用して潤滑剤分子が付着するとともに、これに伴って芳香族基の両側にあるヒドロキシル基が保護層表面に配されやすくなり、潤滑剤分子の両末端のヒドロキシル基と保護層との相互作用に加え、芳香族基の両側のヒドロキシル基と保護層との良好な相互作用が生じる。その結果、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との相互作用が、潤滑剤分子の中心にある芳香族基のπ電子雲による保護層との相互作用と相俟って、潤滑層の密着性が向上する。また、上述の相互作用により、保護層上で潤滑剤分子が適度にフォールディング(折り畳み)構造をとった潤滑剤層(潤滑層)を形成させることができるため、潤滑層の膜厚を薄くしても、磁気ディスク表面を十分に被覆する均一な潤滑層を形成することができ、耐久性の高い潤滑層とすることができる。
また、構成23に係る発明にあるように、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有し、さらに前記パーフルオロポリエーテル主鎖より結合手側にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、2価の飽和環状炭化水素基を介して結合している化合物からなる本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、分子の両末端に加え、分子の中心にある2価の飽和環状炭化水素基の両側付近にもヒドロキシル基を有する。そのため、保護層上に本発明の潤滑剤を塗布した場合、潤滑剤分子の中心にある飽和環状炭化水素基がファンデルワールス力による分子間力で保護層と相互作用して潤滑剤分子が付着するとともに、これに伴って飽和環状炭化水素基の両側にあるヒドロキシル基が保護層表面に配されやすくなり、潤滑剤分子の両末端のヒドロキシル基と保護層との相互作用に加え、飽和環状炭化水素基の両側のヒドロキシル基と保護層との良好な相互作用が生じる。その結果、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との相互作用が、潤滑剤分子の中心にある飽和環状炭化水素基の分子間力による保護層との相互作用と相俟って、潤滑層の密着性が向上する。また、上述の相互作用により、保護層上で潤滑剤分子が適度にフォールディング(折り畳み)構造をとった潤滑剤層(潤滑層)を形成させることができるため、潤滑層の膜厚を薄くしても、磁気ディスク表面を十分に被覆する均一な潤滑層を形成することができ、耐久性の高い潤滑層とすることができる。
また、構成24に係る発明にあるように、構成22又は23に係る発明において、前記パーフルオロポリエーテル基が、前記式(III)で示される基であることは好ましい。
また、構成25,27に係る発明にあるように、分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる構造を有する芳香族化合物の1当量とを反応させて得られた磁気ディスク用潤滑剤及びその製造方法によれば、分子末端のみにヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物同士を芳香族基を介して連結させて2量化することで、分子末端に加え、芳香族基の両側付近、つまり分子の中心付近にもヒドロキシル基を導入した本発明に好適な磁気ディスク用潤滑剤を得ることができる。
また、構成26,28に係る発明にあるように、分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる構造を有する飽和環状炭化水素化合物の1当量とを反応させて得られた磁気ディスク用潤滑剤及びその製造方法によれば、分子末端のみにヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物同士を飽和環状炭化水素基を介して連結させて2量化することで、分子末端に加え、飽和環状炭化水素基の両側付近、つまり分子の中心付近にもヒドロキシル基を導入した本発明に好適な磁気ディスク用潤滑剤を得ることができる。
また、構成29に係る発明にあるように、前記パーフルオロポリエーテル化合物が、前記式(IV)で示される化合物であることは好ましい。
また、構成30に係る発明によれば、基板上に磁性層と保護層と潤滑層を備える磁気ディスクであって、前記潤滑層は、本発明の磁気ディスク用潤滑剤を含有することにより、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができる高被覆率の均一な潤滑層で、しかも耐熱性や、保護層との付着性にも優れた潤滑層とすることができる。したがって、磁気スペーシングの低減のために要求される潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能になり、近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、また用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有する磁気ディスクを提供することができる。
また、構成31に係る発明にあるように、構成30に係る発明において、前記保護層は炭素系保護層であることにより、本発明の磁気ディスク用潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との相互作用がより一層高まり、本発明による作用効果がより一層好ましく発揮される。
また、構成32にあるように、本発明の潤滑剤を含有する潤滑層を備えた磁気ディスクは、ロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクとして特に好適である。
本発明の磁気ディスク用潤滑剤によれば、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができる高被覆率の均一な潤滑層で、しかも耐熱性や、保護層との付着性にも優れた潤滑層を形成することができる。
また、本発明の磁気ディスク用潤滑剤の製造方法によれば、分子末端に加え、分子の中心にもヒドロキシル基を導入した本発明の磁気ディスク用潤滑剤を好適に製造することができる。
また、本発明の磁気ディスクによれば、磁気ディスク表面に本発明により得られる潤滑剤を含有する潤滑層を形成することにより、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができる高被覆率の、しかも耐熱性や、保護層との付着性にも優れた潤滑層とすることができるので、磁気スペーシングの低減のために要求される潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能になり、近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、また用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有する磁気ディスクを提供することができる。
本発明の磁気ディスクの一実施例の模式的断面図である。 本発明の磁気ディスク用潤滑剤における、数平均分子量と、分子中に含まれるヒドロキシル基の数を規格化した値との関係を説明するための図である。
符号の説明
1 基板
2a 付着層
2b 下地層
3 磁性層
4 炭素系保護層
5 潤滑層
10 磁気ディスク
以下、本発明を実施の形態により詳細に説明する。
本発明に係る磁気ディスク用潤滑剤は、数平均分子量と、分子中に含まれるヒドロキシル基の数を規格化した値との関係が所定の範囲内、すなわち、数平均分子量が、1000〜6000の範囲であって、かつ、分子中に含まれるヒドロキシル基の数を規格化した値が、180以上、且つ、数平均分子量が1000、分子中に含まれるヒドロキシル基の数を規格化した値が400である点と、数平均分子量が6000、分子中に含まれるヒドロキシル基の数を規格化した値が1600である点とを結ぶ線上よりも下の領域にあって、さらに、分子鎖の中心付近にヒドロキシル基を少なくとも1個有するパーフルオロポリエーテル系化合物を含有する。
本発明において、分子中に含まれるヒドロキシル基の数を規格化した値(以下、明細書中においては、EW(Equivalent Weight)と呼ぶ。)とは、数平均分子量をヒドロキシル基の数で割った値であって、例えば数平均分子量が5000、分子中に含まれるヒドロキシル基の数が5である化合物においては、EWは1000である。
図2は、縦軸をEW、横軸を数平均分子量Mnとしたグラフであり、図中のa〜dの線分で囲まれる範囲が、上述の本発明の磁気ディスク用潤滑剤における数平均分子量とEWとの関係を示す所定の範囲である。aの線分は、Mnが1000であり、Mnが1000未満になると、潤滑剤の蒸発量が大きくなり、耐熱性が悪くなる。bの線分は、Mnが1000、EWが400である点と、Mnが6000、EWが1600である点とを結ぶ線であり、このbの直線が適切な保護層との付着性能を得るために必要なEWの上限である。EWがこれよりも大きくなると、潤滑剤のピックアップ(潤滑剤がヘッドに吸着する現象)が発生しやすくなる。また、粘度が小さくなりすぎ、マイグレーションが発生しやすくなる。cの線分は、Mnが6000であり、Mnが6000を超えると、粘度が非常に大きくなり、潤滑性能が低下し、自己修復性が低下する。また、dの線分は、EWが180であり、EWが180未満になると、潤滑剤分子中のヒドロキシル基の割合が非常に高くなり、潤滑性能が低下する。また、フッ素系潤滑剤による低表面エネルギーの形成を阻害する。
このような本発明の磁気ディスク用潤滑剤によれば、数平均分子量を極度に上げることなく、耐熱性を向上することができる。しかも、保護層上に本発明の潤滑剤を塗布した場合、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との間に好適な相互作用が発生し、潤滑層と保護層との密着性を向上できるため、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができ、潤滑層膜厚を薄膜化することが可能である。
また、上述の潤滑剤において、分子鎖の中心付近のヒドロキシル基の数は2個以上であることが好ましく、とくに、分子鎖の中心付近のヒドロキシル基の数は3個以上であることが好ましい。
また、上述の潤滑剤は、パーフルオロポリエーテル基同士が2価の連結基を介して結合している化合物であることにより、上記パーフルオロポリエーテルの2量化により、極度に分子量を上げることなく高分子量のものが得られ、耐熱性を向上することができる。
また、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、パーフルオロポリエーテル基同士が2価の連結基を介して結合している化合物であって、かつ、分子鎖の中心付近にヒドロキシル基を少なくとも1個有する化合物を含有する潤滑剤が好適である。このような潤滑剤によれば、上記パーフルオロポリエーテルの2量化により、極度に分子量を上げることなく高分子量のものが得られ、耐熱性を向上することができるとともに、潤滑層と保護層との密着性を向上できるため、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができ、潤滑層膜厚を薄膜化することが可能である。
また、かかる潤滑剤においては、−10℃における粘度が、5000〜12000mPa・sの範囲であることにより、とくに低温下においても良好な流動特性が得られるので、低温下で使用する場合においても高信頼性が得られる。
また、本発明の潤滑剤においては、温度変化に対する粘度の変化量が、−0.03〜−0.08mPa・s/℃の範囲であることが好ましい。これにより、低温から高温の広範囲において流動特性の変化が少なく、安定した潤滑性能が得られる。
[潤滑剤の第1の実施の形態]
上述の本発明に係る磁気ディスク用潤滑剤は、例えば、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物からなる。
上記2価の連結基は、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有するものであればよく、たとえば、−(CR)−で示される基を有する基である。ここで、R、Rはそれぞれ水素原子またはヒドロキシル基である。
また、上記2価の連結基は、構造中に3〜6個のヒドロキシル基を有していることが特に好ましい。その理由は、潤滑剤分子の中心にあるヒドロキシル基の数が少ないと、保護層との相互作用による付着性向上の効果が十分に得られ難く、反対に、このヒドロキシル基の数がいくら多くても、そのすべてのヒドロキシル基が保護層側に配向されて保護層との好適な相互作用に寄与するとは限らず、保護層との付着性向上の効果が分子中のヒドロキシル基の数に応じて高まるというものではないからである。
上記パーフルオロポリエーテル基は、その構造中に例えば、−(O-C)m−(O-CF)n−(m、nはそれぞれ1以上の整数である。)で示されるパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基(好ましくは少なくとも2つのヒドロキシル基)を有するものであり、かかるパーフルオロポリエーテル基としては、例えば下記式(I)で示される基が好ましく挙げられる。
式(I)
Figure 0005483050
式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。
以上の本発明に係る磁気ディスク用潤滑剤によれば、分子の末端のヒドロキシル基に加え、分子の中心にも少なくとも3個のヒドロキシル基を有するため、保護層上に本発明の潤滑剤を塗布した場合、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との間に好適な相互作用が発生し、潤滑層と保護層との密着性を向上させることができる。また、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との間に好適な相互作用が発生することにより、保護層上で潤滑剤分子が適度にフォールディング(折り畳み)構造をとった潤滑剤層(潤滑層)を形成させることができるので、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができ、磁気ディスク表面に均一に潤滑層を形成することができる。潤滑層被覆率が高ければ高いほど、磁気ディスク表面が潤滑層によって一様に被覆されていることを示し、ヘッドクラッシュ障害や腐食障害を抑制することができる。即ち、潤滑層被覆率が高いほど、磁気ディスク表面は防護されており、磁気ディスク表面の潤滑性能が高いと共に、磁気ディスク装置内雰囲気に存在する酸性系コンタミや、シロキサン系コンタミ等、腐食障害やフライスティクション障害の原因となり易い物質から磁気ディスク表面を防護することができる。
また、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、上記パーフルオロポリエーテル基同士が上記2価の連結基を介して結合している化合物からなるため、上記パーフルオロポリエーテルの2量化による高分子量のものが得られ、熱分解による低分子化を抑制できるので、かかる潤滑剤を用いて磁気ディスクとした場合、その耐熱性を向上させることができる。近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの浮上量が一段と低下(10nm以下)したことにより、磁気ヘッドと磁気ディスク表面との接触、摩擦が頻発する可能性が高くなる。また、磁気ヘッドが接触した場合には磁気ディスク表面からすぐに離れずにしばらく摩擦摺動することがある。また、近年の磁気ディスクの高速回転による記録再生のため、従来以上に接触や摩擦による発熱が生じている。従って、このような熱の発生により、磁気ディスク表面の潤滑層材料が熱分解を起こす可能性が従来よりも高くなり、この熱分解され低分子化し流動性の高まった潤滑剤が磁気ヘッドに付着することで、データの読み込み、書き込みに支障を来たす可能性が懸念される。さらに、近い将来の磁気ヘッドと磁気ディスクとを接触させた状態でのデータの記録再生を考えたとき、常時接触による熱発生の影響がさらに懸念される。このような状況を考えると、潤滑層に求められる耐熱性の更なる向上が望まれており、本発明の潤滑剤はまさに好適である。
このように、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、とくに保護層との付着性、保護層被覆率、耐熱性等の特性に優れているため、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録層間の磁気スペーシングの低減の要求に伴う潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能になり、しかも形成された潤滑層の長期安定性に優れるので、近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、また用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有する(安定した動作を保証できる)磁気ディスクを実現する上で好適である。
本発明に係る磁気ディスク用潤滑剤の製造方法としては、たとえば、分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応してヒドロキシル基を生成しうる構造を有する脂肪族化合物の1当量とを反応させることによる製造方法が好ましく挙げられる。
上記脂肪族化合物としては、例えば、分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有し且つ末端にエポキシド構造を有するジエポキシ化合物が好ましく挙げられる。このような化合物を用いることにより、本発明の潤滑剤を高純度、高収率で得ることが可能である。このようなジエポキシ化合物の具体的例示を以下に挙げるが、本発明はこれには限定されない。
Figure 0005483050
つまり、塩基条件下、例えば塩基触媒の下で、末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を塩基に作用させアルコキシドとし、このアルコキシドが、末端にエポキシド構造を有する脂肪族化合物と求核開環反応を行うことにより、パーフルオロポリエーテル化合物同士が上記脂肪族化合物から変じた連結基を介して結合された2量体化合物が得られる。
また、上記パーフルオロポリエーテル化合物としては、たとえば分子末端にヒドロキシル基を有する下記式(II)で示されるパーフルオロジオール化合物が挙げられる。
Figure 0005483050
式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。
このような本発明の磁気ディスク用潤滑剤の製造方法によれば、分子末端のみにヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物同士を連結させて2量化することで、分子末端に加え、分子の中心にも少なくとも3個のヒドロキシル基を導入した磁気ディスク用潤滑剤を得ることができる。たとえば、上記パーフルオロポリエーテル化合物として、前記式(II)で示されるパーフルオロジオール化合物を、上記脂肪族化合物として上記例示のジエポキシ化合物をそれぞれ用いた場合、分子末端のそれぞれに1個ずつのヒドロキシル基と、分子の中心に3個のヒドロキシル基を有する潤滑剤化合物が得られる。
以下に、本発明の磁気ディスク用潤滑剤の例示化合物を挙げるが、本発明はこれらの化合物には限定されない。
Figure 0005483050
本発明の磁気ディスク用潤滑剤を適当な方法で分子量分画することにより、分子量分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比)を1.3以下とするのが好ましい。
本発明において、分子量分画する方法に特に制限を設ける必要は無いが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量分画や、超臨界抽出法による分子量分画などを用いることができる。
[潤滑剤の第2の実施の形態]
本発明に係る磁気ディスク用潤滑剤は、例えば、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有し、さらに前記パーフルオロポリエーテル主鎖より結合手側にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、2価の脂肪族基を介して結合している化合物からなる。
上記2価の脂肪族基は、たとえば、−(CR)p−で示される基である。ここで、R、Rはそれぞれ水素原子または置換基(例えばヒドロキシル基、ハロゲン基、アルキル基など)であり、pは1以上の整数である。
上記パーフルオロポリエーテル基は、その構造中に例えば、−(O-C)m−(O-CF)n−(m、nはそれぞれ1以上の整数である。)で示されるパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基(好ましくは少なくとも2つのヒドロキシル基)を有し、さらに前記パーフルオロポリエーテル主鎖より結合手側に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するものであり、かかるパーフルオロポリエーテル基としては、例えば下記式(III)で示される基が好ましく挙げられる。
Figure 0005483050
式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。
本発明に係る磁気ディスク用潤滑剤によれば、その分子の末端に加え、2価の脂肪族基付近、すなわち分子の中心付近にもヒドロキシル基を有するため、保護層上に本発明の潤滑剤を塗布した場合、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との相互作用により、保護層上で潤滑剤分子が適度にフォールディング(折り畳み)構造をとった潤滑剤層(潤滑層)を形成させることができる。しかも脂肪族基の長さを変えることで、分子の中心付近のヒドロキシル基の位置を調整することが可能であり、その結果、保護層上に形成される潤滑剤分子のフォールディング構造を制御し潤滑層の膜厚を調節することができる。
すなわち、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、脂肪族基の長さを調整することで、分子構造の詳細なチューニングが可能となり、潤滑層の分子レベルでの厳密な膜厚制御が可能である。脂肪族基が、上記の−(CR)p−で示される基である場合、主鎖の炭素数によって脂肪族基の長さを変えることができ、潤滑剤分子の中心付近のヒドロキシル基の位置を調整することが可能である。脂肪族基が、−(CR)p−で示される基である場合、主鎖の炭素数、つまりpの値は特に制約はないが、保護層との親和性向上、膜厚制御の観点からは、たとえば1〜30の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは2〜20の範囲であり、最も好ましくは3〜10の範囲である。
さらに、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、保護層上に形成される潤滑剤分子のフォールディング構造を制御し分子レベルでの厳密な膜厚制御をすることにより、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができ、磁気ディスク表面に被覆率の高い均一な潤滑層を形成することができる。潤滑層被覆率が高ければ高いほど、磁気ディスク表面が潤滑層によって一様に被覆されていることを示し、ヘッドクラッシュ障害や腐食障害を抑制することができる。即ち、潤滑層被覆率が高いほど、磁気ディスク表面は防護されており、磁気ディスク表面の潤滑性能が高いと共に、磁気ディスク装置内雰囲気に存在する酸性系コンタミや、シロキサン系コンタミ等、腐食障害やフライスティクション障害の原因となり易い物質から磁気ディスク表面を防護することができる。
従って、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録層間の磁気スペーシングの低減の要求に伴う潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能であり、近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとでの高信頼性を有する(安定した動作を保証できる)磁気ディスクを実現する上で好適である。
本発明に係る磁気ディスク用潤滑剤の製造方法としては、たとえば、分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる構造を有する脂肪族化合物(例えば末端に2つのハロゲン基を有する脂肪族化合物、又はエポキシド構造を有する脂肪族化合物)の1当量とを反応させることによる製造方法が好ましく挙げられる。つまり、塩基条件下、例えば塩基触媒の下で、末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を塩基に作用させアルコキシドとし、このアルコキシドがハロゲン基を有する脂肪族化合物と求核置換反応(あるいはこのアルコキシドがエポキシド構造を有する脂肪族化合物と求核開環反応)を行うことにより、パーフルオロポリエーテル化合物同士が脂肪族基を介して連結された2量体化合物が得られる。
上記パーフルオロポリエーテル化合物としては、たとえば分子末端に全部で4つのヒドロキシル基を有する下記式(IV)で示されるパーフルオロテトラオール化合物が好ましく挙げられる。
Figure 0005483050
式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。
このような本発明の磁気ディスク用潤滑剤の製造方法によれば、分子末端のみにヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物同士を連結させて2量化することで、分子末端に加え、脂肪族基付近、つまり分子の中心付近にもヒドロキシル基を導入し、しかも長さ(主鎖の炭素数)の異なる脂肪族基を用いて分子の中心付近のヒドロキシル基の位置を任意に調整した磁気ディスク用潤滑剤を得ることができる。たとえば、上記パーフルオロポリエーテル化合物として、前記式(IV)で示されるパーフルオロテトラオール化合物を用いた場合、分子末端のそれぞれに2つずつ(全体で4つ)のヒドロキシル基と、脂肪族基の両側付近にそれぞれ1つずつのヒドロキシル基とを有する潤滑剤化合物が得られる。
以下に、本発明の磁気ディスク用潤滑剤の例示化合物を挙げるが、本発明はこれらの化合物には限定されない。
Figure 0005483050
[潤滑剤の第3、第4の実施の形態]
本発明に係る磁気ディスク用潤滑剤の第3の実施の形態は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有し、さらに前記パーフルオロポリエーテル主鎖より結合手側にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、2価の芳香族基を介して結合している化合物からなる潤滑剤である。
上記2価の芳香族基としては、後記の例示化合物にも挙げたように、たとえば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセネディル基、ピリジネディル基、チオフェネディル基等が挙げられる。
上記パーフルオロポリエーテル基は、その構造中に例えば、−(O-C)m−(O-CF)n−(m、nはそれぞれ1以上の整数である。)で示されるパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基(好ましくは少なくとも2つのヒドロキシル基)を有し、さらに前記パーフルオロポリエーテル主鎖より結合手側に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するものであり、かかるパーフルオロポリエーテル基としては、例えば下記式(III)で示される基が好ましく挙げられる。
Figure 0005483050
式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。
本発明に係る磁気ディスク用潤滑剤の第3の実施の形態によれば、分子の両末端に加え、分子の中心にある2価の芳香族基の両側付近にもヒドロキシル基を有する。そのため、保護層上に本発明の潤滑剤を塗布した場合、潤滑剤分子の中心にある芳香族基のπ電子雲により保護層と相互作用して潤滑剤分子が付着するとともに、これに伴って芳香族基の両側にあるヒドロキシル基が保護層表面に配されやすくなり、潤滑剤分子の両末端のヒドロキシル基と保護層との相互作用に加え、芳香族基の両側のヒドロキシル基と保護層との良好な相互作用が生じる。その結果、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との相互作用が、潤滑剤分子の中心にある芳香族基のπ電子雲による保護層との相互作用と相俟って、潤滑層の密着性が向上する。
また、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、上述の相互作用により、保護層上で潤滑剤分子が適度にフォールディング(折り畳み)構造をとった潤滑剤層(潤滑層)を形成させることができるため、潤滑層の膜厚を薄くしても、磁気ディスク表面を十分に被覆する均一な潤滑層を形成することができ、耐久性の高い潤滑層とすることができる。
従って、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録層間の磁気スペーシングの低減の要求に伴う潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能であり、近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとでの高信頼性を有する(安定した動作を保証できる)磁気ディスクを実現する上で好適である。
また、本発明に係る磁気ディスク用潤滑剤の第4の実施の形態は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有し、さらに前記パーフルオロポリエーテル主鎖より結合手側にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、2価の飽和環状炭化水素基を介して結合している化合物からなる潤滑剤である。
上記2価の飽和環状炭化水素基としては、後記の例示化合物にも挙げたように、たとえば、シクロヘキシレン基、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロオクチレン基等が挙げられる。
上記パーフルオロポリエーテル基は、前述の第3の実施の形態と同様であり、かかるパーフルオロポリエーテル基としては、例えば前記式(III)で示される基が好ましく挙げられる。
本発明の磁気ディスク用潤滑剤の第4の実施の形態によれば、分子の両末端に加え、分子の中心にある2価の飽和環状炭化水素基の両側付近にもヒドロキシル基を有する。そのため、保護層上に本発明の潤滑剤を塗布した場合、潤滑剤分子の中心にある飽和環状炭化水素基がファンデルワールス力による分子間力で保護層と相互作用して潤滑剤分子が付着するとともに、これに伴って飽和環状炭化水素基の両側にあるヒドロキシル基が保護層表面に配されやすくなり、潤滑剤分子の両末端のヒドロキシル基と保護層との相互作用に加え、飽和環状炭化水素基の両側のヒドロキシル基と保護層との良好な相互作用が生じる。その結果、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との相互作用が、潤滑剤分子の中心にある飽和環状炭化水素基の分子間力による保護層との相互作用と相俟って、潤滑層の密着性が向上する。
また、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、上述の相互作用により、保護層上で潤滑剤分子が適度にフォールディング(折り畳み)構造をとった潤滑剤層(潤滑層)を形成させることができるため、潤滑層の膜厚を薄くしても、磁気ディスク表面を十分に被覆する均一な潤滑層を形成することができ、耐久性の高い潤滑層とすることができる。
従って、本発明の磁気ディスク用潤滑剤は、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録層間の磁気スペーシングの低減の要求に伴う潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能であり、近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとでの高信頼性を有する(安定した動作を保証できる)磁気ディスクを実現する上で好適である。
第3の実施の形態に係る磁気ディスク用潤滑剤の製造方法としては、たとえば、分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる構造を有する芳香族化合物(例えば、置換基として2つのハロゲン基を有する芳香族化合物、又はエポキシド構造を有する芳香族化合物)の1当量とを反応させることによる製造方法が好ましく挙げられる。つまり、塩基条件下、例えば塩基触媒の下で、末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を塩基に作用させアルコキシドとし、このアルコキシドがハロゲン基を有する芳香族化合物と求核置換反応(あるいはこのアルコキシドがエポキシド構造を有する芳香族化合物と求核開環反応)を行うことにより、パーフルオロポリエーテル化合物同士が芳香族基を介して連結された2量体化合物が得られる。
また、第4の実施の形態に係る磁気ディスク用潤滑剤の製造方法としては、たとえば、分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる構造を有する飽和環状炭化水素化合物(例えば、置換基として2つのハロゲン基を有する飽和環状炭化水素化合物など)の1当量とを反応させることによる製造方法が好ましく挙げられる。つまり、塩基条件下、例えば塩基触媒の下で、末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を塩基に作用させアルコキシドとし、このアルコキシドが例えばハロゲン基を有する飽和環状炭化水素化合物と求核置換反応を行うことにより、パーフルオロポリエーテル化合物同士が飽和環状炭化水素基を介して連結された2量体化合物が得られる。
上記パーフルオロポリエーテル化合物としては、たとえば分子末端に全部で4つのヒドロキシル基を有する下記式(IV)で示されるパーフルオロテトラオール化合物が好ましく挙げられる。
Figure 0005483050
式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。
このような磁気ディスク用潤滑剤の製造方法によれば、分子末端のみにヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物同士を連結させて2量化することで、分子の両末端に加え、芳香族基あるいは飽和環状炭化水素基の両側付近、つまり分子の中心付近にもヒドロキシル基を導入した本発明の磁気ディスク用潤滑剤を好適に得ることができる。たとえば、上記パーフルオロポリエーテル化合物として、前記式(IV)で示されるパーフルオロテトラオール化合物を用いた場合、分子末端のそれぞれに2つずつ(全体で4つ)のヒドロキシル基と、芳香族基あるいは飽和環状炭化水素基の両側付近にそれぞれ1つずつのヒドロキシル基とを有する潤滑剤化合物が得られる。
以下に、本発明の磁気ディスク用潤滑剤の例示化合物を挙げるが、本発明はこれらの化合物には限定されない。
Figure 0005483050
ここで、Aは、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセネディル基、ピリジネディル基、チオフェネディル基、シクロヘキシレン基、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロオクチレン基である。
また、本発明は、基板上に少なくとも磁性層と保護層と潤滑層を備える磁気ディスクについても提供される。すなわち、本発明は、基板上に磁性層と保護層と潤滑層を備える磁気ディスクであって、上記潤滑層は本発明による磁気ディスク用潤滑剤を用いて形成される。
本発明に係る磁気ディスクによれば、磁気ディスク表面に、本発明による磁気ディスク用潤滑剤を含有する潤滑層を用いることにより、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができる高被覆率の、しかも耐熱性や、保護層との付着性にも優れた潤滑層とすることができる。従って、磁気スペーシングの低減のために要求される潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能になり、近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、また用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有する(安定した動作を保証できる)磁気ディスクを提供することができる。
本発明の磁気ディスク用潤滑剤を用いて潤滑層を成膜するにあたっては、潤滑剤を適当な溶媒に分散溶解させた溶液を用いて、例えばディップ法により塗布して成膜することができる。溶媒としては、例えばフッ素系溶媒(三井デュポンフロロケミカル社製商品名バートレルXFなど)を好ましく用いることができる。潤滑層の成膜方法はもちろん上記ディップ法には限らず、スピンコート法、スプレイ法、ペーパーコート法などの成膜方法を用いてもよい。
本発明においては、成膜した潤滑層の保護層への付着力をより向上させるために、成膜後に磁気ディスクを70℃〜200℃の雰囲気に曝してもよい。
本発明にあっては、潤滑層の膜厚は、4Å〜18Åとするのがよい。4Å未満では、潤滑層としての潤滑性能が低下する場合がある。また18Åを超えると、薄膜化の観点から好ましくなく、またフライスティクション障害が発生する場合があり、またLUL耐久性が低下する場合がある。
本発明における保護層としては、炭素系保護層を好ましく用いることができる。特にアモルファス炭素保護層が好ましい。保護層はとくに炭素系保護層であることにより、本発明の磁気ディスク用潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との相互作用が一層高まり、本発明による作用効果がより一層発揮されるため好ましい態様である。なお、炭素系保護層と潤滑層の付着力を調節するために、炭素系保護層を水素化炭素及び/又は窒素化炭素として、水素及び/又は窒素の含有量を調節することにより制御することが可能である。この場合、水素の含有量は水素前方散乱法(HFS)で測定したときに3〜20原子%とするのが好ましい。また、窒素の含有量はX線光電子分光分析法(XPS)で測定したときに、4〜12原子%とするのが好ましい。
本発明において炭素系保護層を用いる場合は、例えばDCマグネトロンスパッタリング法により成膜することができる。また、プラズマCVD法により成膜されたアモルファス炭素保護層とすることも好ましい。プラズマCVD法により成膜することで保護層表面が均一となり密に成膜される。従って、より粗さが小さいCVD法で成膜された保護層上に本発明による潤滑層を形成することは好ましい。特にプラズマCVD法で成膜したアモルファスの水素化炭素保護層とすることが好適である。
本発明においては、基板はガラス基板であることが好ましい。ガラス基板は剛性があり、平滑性に優れるので、高記録密度化には好適である。ガラス基板としては、例えばアルミノシリケートガラス基板が挙げられ、特に化学強化されたアルミノシリケートガラス基板が好適である。
本発明においては、上記基板の主表面の粗さは、Rmaxが6nm以下、Raが0.6nm以下の超平滑であることが好ましい。なお、ここでいうRmax、Raは、JIS B0601の規定に基づくものである。
本発明の磁気ディスクは、基板上に少なくとも磁性層と保護層と潤滑層を備えているが、本発明において、上記磁性層は特に制限はなく、面内記録方式用磁性層であっても、垂直記録方式用磁性層であってもよい。とりわけ、CoPt系磁性層であれば、高保磁力と高再生出力を得ることができるので好適である。
本発明の磁気ディスクにおいては、基板と磁性層との間に、必要に応じて下地層を設けることができる。また、該下地層と基板との間に付着層や軟磁性層等を設けることもできる。この場合、上記下地層としては、例えば、Cr層、Ta層、Ru層、あるいはCrMo,CoW,CrW,CrV,CrTi合金層などが挙げられ、上記付着層としては、例えば、CrTi,NiAl,AlRu合金層などが挙げられる。また、上記軟磁性層としては、例えばCoZrTa合金膜などが挙げられる。
本発明の磁気ディスクは、特にロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクとして好適である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の一実施例による磁気ディスク10である。
磁気ディスク10は、基板1上に、付着層2aと下地層2bからなる非磁性金属層2、磁性層3、炭素系保護層4、潤滑層5が順次形成されてなる。
(第1の実施の形態の磁気ディスク用潤滑剤の製造)
前記式(II)で示されるパーフルオロジオール化合物の2当量と、前記例示のジエポキシ化合物の1当量とを塩基条件下で反応させることにより、前記の例示の潤滑剤化合物を製造した。具体的には、上記の両化合物をアセトン中で撹拌し、水酸化ナトリウムを加えてさらにリフラックス(reflux)した。なお、反応温度、時間等の条件は適宜設定した。
上記のようにして得られた化合物からなる潤滑剤は、例えば超臨界抽出法により適宜分子量分画を行った。
(磁気ディスクの製造)
化学強化されたアルミノシリケートガラスからなる2.5インチ型ガラスディスク(外径65mm、内径20mm、ディスク厚0.635mm)を準備し、ディスク基板1とした。ディスク基板1の主表面は、Rmaxが4.8nm、Raが0.43nmに鏡面研磨されている。
このディスク基板1上に、DCマグネトロンスパッタリング法により、Arガス雰囲気中で、順次、付着層2a、下地層2b、磁性層3を成膜した。
付着層2aは、NiAl合金膜(Ni:50原子%、Al:50原子%)を300Åの膜厚で成膜した。
下地層2bは、CrMo合金膜(Cr:80原子%、Mo:20原子%)を80Åの膜厚で成膜した。
磁性層3は、CoCrPtB合金膜(Co:62原子%、Cr:20原子%、Pt:12原子%、B:6原子%)を150Åの膜厚で成膜した。
引き続き、DCマグネトロンスパッタリング法により、Arガスと水素ガスの混合ガス(水素ガス含有量30%)雰囲気中で、炭素ターゲットによりスパッタリングを行い、水素化炭素からなる保護層4を膜厚25Åで成膜した。
次に、潤滑層5を以下のようにして形成した。
上記のように製造し、超臨界抽出法により分子量分画した本発明の化合物(前記例示化合物)からなる潤滑剤(NMR法を用いて測定したMnが4000、分子量分散度が1.25)を、フッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に0.2重量%の濃度で分散溶解させた溶液を調整した。この溶液を塗布液とし、保護層4まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層5を成膜した。
成膜後に、磁気ディスクを真空焼成炉内で130℃、90分間で加熱処理した。潤滑層5の膜厚をフーリエ変換型赤外分光光度計(FTIR)で測定したところ12Åであった。こうして、実施例1の磁気ディスク10を得た。
次に、以下の試験方法により、本実施例1の磁気ディスクの評価を行った。
(磁気ディスクの評価)
(1)まず、保護層に対する潤滑層の付着性能(密着性)を評価するために、潤滑層付着性試験を行った。
まず、本実施例の磁気ディスクの潤滑層膜厚をFTIR(フーリエ変換型赤外分光光度計)法で測定した結果、前記のように12Åであった。次に、本実施例の磁気ディスクを前記フッ素系溶媒バートレルXFに1分間浸漬させた。溶媒に浸漬させることで、付着力の弱い潤滑層部分は溶媒に分散溶解してしまうが、付着力の強い部分は保護層上に残留することができる。次に、磁気ディスクを溶媒から引き上げ、再び、FTIR法で潤滑層膜厚を測定した。溶媒浸漬前の潤滑層膜厚に対する、溶媒浸漬後の潤滑層膜厚の比率を潤滑層密着率(ボンデッド(bonded)率)と呼ぶ。ボンデッド率が高ければ高いほど、保護層に対する潤滑層の付着性能が高いと言える。本実施例の磁気ディスクでは、ボンデッド率は90%であった。ボンデッド率は70%以上であることが好ましいとされるので、本実施例の磁気ディスクは、潤滑層の付着性能に極めて優れていることがわかる。
なお、上記潤滑層の膜厚は、FTIR法とエリプソメトリ法の2者で相関をとり、その相関から決定した。すなわち、本潤滑剤の主鎖は主にCとFで形成されているが、潤滑剤種によっては1分子中のC−Fの密度が違うため、FTIRのピーク高さが同じでも、実際の膜厚は違う可能性がある。そこで、8〜20Å(2Å刻み)の膜厚ディスクを作製し、エリプソメータを用いて潤滑剤なしのディスク表面から膜厚増加分を求めた。これらのディスクについて、FTIRを用いて測定し、C−F振動伸縮におけるピーク高さを測定し、得られたピーク値とエリプソメータの値とで相関式を求めた。この相関式を使って、潤滑層膜厚はFTIR測定により容易に求められる。
(2)次に、潤滑層被覆率評価を行った。
潤滑層の被覆率は、米国特許第6099981号により知られているX線光電子分光分析法により測定した。潤滑層被覆率が高ければ高いほど、磁気ディスク表面が潤滑層によって一様に被覆されていることを示し、ヘッドクラッシュ障害や腐食障害を抑制することができる。本実施例1の磁気ディスクでは、潤滑層被覆率は90%と高い値であった。従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を用いてディップ法によって潤滑層を形成した場合、潤滑層被覆率は70%以上であれば一応好ましいとされていたので、本実施例1の磁気ディスクは、膜厚の薄い、しかも潤滑層被覆率が極めて高い均一な潤滑層を備えていることが分かる。
(3)次に、本実施例1の磁気ディスクのLUL(ロードアンロード)耐久性を評価するために、LUL耐久性試験を行なった。
LUL方式のHDD(ハードディスクドライブ)(5400rpm回転型)を準備し、浮上量が10nmの磁気ヘッドと本実施例1の磁気ディスクを搭載した。磁気ヘッドのスライダーはNPAB(負圧)スライダーであり、再生素子は磁気抵抗効果型素子(GMR素子)を搭載している。シールド部はFeNi系パーマロイ合金である。このLUL方式HDDに連続LUL動作を繰り返させて、故障が発生するまでに磁気ディスクが耐久したLUL回数を計測した。
その結果、本実施例1の磁気ディスクは、10nmの超低浮上量の下で障害無く90万回のLUL動作に耐久した。通常のHDDの使用環境下ではLUL回数が40万回を超えるには概ね10年程度の使用が必要と言われており、現状では60万回以上耐久すれば好適であるとされているので、本実施例1の磁気ディスクは極めて高い信頼性を備えていると言える。
LUL耐久性試験後の磁気ディスク表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず良好であった。また、LUL耐久性試験後の磁気ヘッドの表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず、また、磁気ヘッドへの潤滑剤の付着や、腐食障害も観察されず良好であった。
(4)次に、フライスティクション試験を実施した。本実施例1の磁気ディスクを100枚製造し、浮上量5nmのグライドヘッドでグライド試験を行うことで、フライスティクション現象が発生するかどうかを試験した。フライスティクション現象が発生すると、グライドヘッドの浮上姿勢が突然異常になるので、グライドヘッドに接着された圧電素子の信号をモニタすることで、フライスティクションの発生を感知することができる。その結果、本実施例1の磁気ディスクでは、フライスティクション現象は発生せず、試験通過率は100%であった。
なお、温度特性を評価するために、LUL耐久性試験、フライスティクション試験を−20℃〜50℃の雰囲気で行ったが、本実施例の磁気ディスクでは、特に障害は発生せず、良好な結果が得られた。
(比較例1)
潤滑剤として、従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤であるソルベイソレクシス社製のフォンブリンゼットドール(商品名)をGPC法で分子量分画し、Mwが3000、分子量分散度が1.08としたものを使用し、これをフッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に分散溶解させた溶液を塗布液とし、保護層まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層を成膜した。ここで、上記塗布液の濃度を適宜調整し、潤滑層膜厚が10〜12Åの範囲内となるように成膜した。この点以外は実施例1と同様にして製造した磁気ディスクを比較例とした。
実施例1と同様に本比較例の磁気ディスクの潤滑層付着性能評価を行ったところ、ボンデッド率は62%と非常に低い値であった。また、潤滑層被覆率評価を行なったところ、潤滑層被覆率は80%であったが、実施例の磁気ディスクに比べると非常に低い値であった。つまり、従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を用いてディップ法によって潤滑層を形成した場合、膜厚を10〜12Å程度に薄くすると潤滑層被覆率が大きく低下してしまい、前記実施例のような潤滑層被覆率の高い均一な潤滑層を形成することが困難である。
さらにLUL耐久性試験を行ったところ、本比較例の磁気ディスクは、LUL回数が50万回で故障した。試験後に磁気ヘッド及び磁気ディスクを取り出して検査したところ、磁気ヘッドのNPABポケット部やABS面に潤滑剤の移着や腐食障害が確認され、磁気ディスク表面には汚れ付着が確認された。また、試験したHDDの内、70%のHDDでフライスティクション障害が発生した(合格率30%)。
また、温度特性を評価するために、LUL耐久性試験、フライスティクション試験を−20℃〜50℃の雰囲気で行ったが、本比較例の磁気ディスクでは障害が発生し、雰囲気温度によっては障害の程度が大きかった。
(実施例2)
図1は、本発明の一実施例による磁気ディスク10である。
磁気ディスク10は、基板1上に、付着層2aと下地層2bからなる非磁性金属層2、磁性層3、炭素系保護層4、潤滑層5が順次形成されてなる。
(第2の実施の形態の磁気ディスク用潤滑剤の製造)
前記式(IV)で示されるパーフルオロテトラオール化合物の2当量と、Cl(CH2)pClで示される脂肪族化合物(p=3,8,13,18,23の5種類)のそれぞれ1当量とを塩基条件下で反応させることにより、前記の例示化合物No.1〜5を製造した。なお、反応条件は適宜設定した。
上記のようにして得られた化合物からなる潤滑剤は、例えば超臨界抽出法により適宜分子量分画を行った。
(磁気ディスクの製造)
化学強化されたアルミノシリケートガラスからなる2.5インチ型ガラスディスク(外径65mm、内径20mm、ディスク厚0.635mm)を準備し、ディスク基板1とした。ディスク基板1の主表面は、Rmaxが4.8nm、Raが0.43nmに鏡面研磨されている。
このディスク基板1上に、DCマグネトロンスパッタリング法により、Arガス雰囲気中で、順次、付着層2a、下地層2b、磁性層3を成膜した。
付着層2aは、NiAl合金膜(Ni:50原子%、Al:50原子%)を300Åの膜厚で成膜した。
下地層2bは、CrMo合金膜(Cr:80原子%、Mo:20原子%)を80Åの膜厚で成膜した。
磁性層3は、CoCrPtB合金膜(Co:62原子%、Cr:20原子%、Pt:12原子%、B:6原子%)を150Åの膜厚で成膜した。
引き続き、DCマグネトロンスパッタリング法により、Arガスと水素ガスの混合ガス(水素ガス含有量30%)雰囲気中で、炭素ターゲットによりスパッタリングを行い、水素化炭素からなる保護層4を膜厚25Åで成膜した。
次に、潤滑層5を以下のようにして形成した。
超臨界抽出法により分子量分画した本発明の化合物(前記例示No.1の化合物)からなる潤滑剤(NMR法を用いて測定したMnが2500、分子量分散度が1.25)を、フッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に0.3重量%の濃度で分散溶解させた溶液を調整した。この溶液を塗布液とし、保護層4まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層5を成膜した。
成膜後に、磁気ディスクを真空焼成炉内で130℃、90分間で加熱処理した。潤滑層5の膜厚をフーリエ変換型赤外分光光度計(FTIR)で測定したところ5Åであった。こうして、実施例2の磁気ディスク10を得た。
また、前記例示No.2〜5の化合物からなる潤滑剤をそれぞれ用いて、上記と同様に塗布液を調整し、潤滑層を成膜したところ、以下の潤滑層膜厚が得られた。すなわち、化合物中の脂肪族基の長さ(主鎖の炭素数、pの値)の違いによって、形成される潤滑層の膜厚を調節することができる。
Figure 0005483050
次に、以下の試験方法により、本実施例2の磁気ディスクの評価を行った。
(磁気ディスクの評価)
まず、実施例1と同様にして、潤滑層被覆率評価を行った。
その結果、本実施例2の磁気ディスクでは、潤滑層被覆率は98%と高い値であった。従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を用いてディップ法によって潤滑層を形成した場合、潤滑層被覆率は70%以上であれば一応好ましいとされていたので、本実施例2の磁気ディスクは、膜厚の薄い、しかも潤滑層被覆率が極めて高い均一な潤滑層を備えていることが分かる。
次に、本実施例2の磁気ディスクのLUL(ロードアンロード)耐久性を評価するために、実施例1と同様のLUL耐久性試験を行なった。
その結果、本実施例2の磁気ディスクは、10nmの超低浮上量の下で障害無く90万回のLUL動作に耐久した。通常のHDDの使用環境下ではLUL回数が40万回を超えるには概ね10年程度の使用が必要と言われており、特に60万回以上耐久すれば好適であるとされるので、本実施例2の磁気ディスクは極めて高い信頼性を備えていると言える。
LUL耐久性試験後の磁気ディスク表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず良好であった。また、LUL耐久性試験後の磁気ヘッドの表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず、また、磁気ヘッドへの潤滑剤の付着や、腐食障害も観察されず良好であった。
次に、実施例1と同様のフライスティクション試験を実施した。本実施例2の磁気ディスクを100枚製造し、試験の結果、本実施例2の磁気ディスクでは、フライスティクション現象は発生せず、試験通過率は100%であった。
(実施例3、実施例4)
第2の実施の形態の潤滑剤として本発明の例示No.2の化合物(Mnが2600、分子量分散度が1.2)を用いて潤滑層を8Åの膜厚で形成したこと以外は実施例2と同様にして実施例3の磁気ディスクを製造した。また、潤滑剤として本発明の例示No.3の化合物(Mnが2700、分子量分散度が1.15)を用いて潤滑層を10Åの膜厚で形成したこと以外は実施例2と同様にして実施例4の磁気ディスクを製造した。実施例3、実施例4の磁気ディスクは、いずれも潤滑層被覆率は90%と高い値であった。すなわち、実施例3、実施例4の磁気ディスクにおいても、膜厚の薄い、しかも潤滑層被覆率が極めて高い均一な潤滑層が形成されていることが分かる。
実施例3、実施例4の磁気ディスクについて、実施例2と同様に磁気ディスクの評価を行なったところ、実施例3及び実施例4ともに、10nmの超低浮上量の下で障害無く90万回のLUL動作に耐久した。LUL耐久性試験後のこれら磁気ディスク表面及び磁気ヘッド表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず、磁気ヘッドへの潤滑剤の付着や、腐食障害も観察されず良好であった。
また、フライスティクション試験を行ったところ、実施例3、実施例4ともに、フライスティクション現象は発生せず、試験通過率は100%であった。
(比較例2)
潤滑剤として、従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤であるソルベイソレクシス社製のフォンブリンゼットドール(商品名)をGPC法で分子量分画し、Mwが3000、分子量分散度が1.08としたものを使用し、これをフッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に分散溶解させた溶液を塗布液とし、保護層まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層を成膜した。ここで、上記塗布液の濃度を適宜調整し、潤滑層膜厚が5〜10Åの範囲内となるように成膜した。この点以外は実施例2と同様にして製造した磁気ディスクを比較例とした。
実施例2と同様に本比較例の磁気ディスクの潤滑層被覆率評価を行なったところ、潤滑層被覆率は70%であったが、実施例2〜4の磁気ディスクに比べると非常に低い値であった。つまり、従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を用いてディップ法によって潤滑層を形成した場合、膜厚を5〜10Å程度に薄くすると潤滑層被覆率が大きく低下してしまい、前記実施例のような潤滑層被覆率の高い均一な潤滑層を形成することが困難である。
さらにLUL耐久性試験を行ったところ、本比較例の磁気ディスクは、LUL回数が50万回で故障した。試験後に磁気ヘッド及び磁気ディスクを取り出して検査したところ、磁気ヘッドのNPABポケット部やABS面に潤滑剤の移着や腐食障害が確認され、磁気ディスク表面には汚れ付着が確認された。また、試験したHDDの内、70%のHDDでフライスティクション障害が発生した(合格率30%)。
(実施例5)
図1は、本発明の一実施例による磁気ディスク10である。
磁気ディスク10は、基板1上に、付着層2aと下地層2bからなる非磁性金属層2、磁性層3、炭素系保護層4、潤滑層5が順次形成されてなる。
(第3の実施の形態の磁気ディスク用潤滑剤の製造)
前記式(IV)で示されるパーフルオロテトラオール化合物の2当量と、1,4−ジクロルベンゼンの1当量とを塩基条件下で反応させることにより、本発明の潤滑剤(前記の例示化合物のAがフェニレン基である化合物)を製造した。なお、反応条件は適宜設定した。
上記のようにして得られた潤滑剤は、例えば超臨界抽出法により適宜分子量分画を行った。
(磁気ディスクの製造)
化学強化されたアルミノシリケートガラスからなる2.5インチ型ガラスディスク(外径65mm、内径20mm、ディスク厚0.635mm)を準備し、ディスク基板1とした。ディスク基板1の主表面は、Rmaxが4.8nm、Raが0.43nmに鏡面研磨されている。
このディスク基板1上に、DCマグネトロンスパッタリング法により、Arガス雰囲気中で、順次、付着層2a、下地層2b、磁性層3を成膜した。
付着層2aは、NiAl合金膜(Ni:50原子%、Al:50原子%)を300Åの膜厚で成膜した。
下地層2bは、CrMo合金膜(Cr:80原子%、Mo:20原子%)を80Åの膜厚で成膜した。
磁性層3は、CoCrPtB合金膜(Co:62原子%、Cr:20原子%、Pt:12原子%、B:6原子%)を150Åの膜厚で成膜した。
引き続き、DCマグネトロンスパッタリング法により、Arガスと水素ガスの混合ガス(水素ガス含有量30%)雰囲気中で、炭素ターゲットによりスパッタリングを行い、水素化炭素からなる保護層4を膜厚25Åで成膜した。
次に、潤滑層5を以下のようにして形成した。
超臨界抽出法により分子量分画した上述の本発明の潤滑剤(NMR法を用いて測定したMnが2800、分子量分散度が1.25)を、フッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に0.2重量%の濃度で分散溶解させた溶液を調整した。この溶液を塗布液とし、保護層4まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層5を成膜した。
成膜後に、磁気ディスクを真空焼成炉内で130℃、90分間で加熱処理した。潤滑層5の膜厚をフーリエ変換型赤外分光光度計(FTIR)で測定したところ、5Åであった。こうして、実施例5の磁気ディスク10を得た。
次に、以下の試験方法により、本実施例5の磁気ディスクの評価を行った。
(磁気ディスクの評価)
まず、実施例1と同様の潤滑層被覆率評価を行った。本実施例5の磁気ディスクでは、潤滑層被覆率は98%と高い値であった。従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を用いてディップ法によって潤滑層を形成した場合、潤滑層被覆率は70%以上であれば一応好ましいとされていたので、本実施例1の磁気ディスクは、膜厚の薄い、しかも潤滑層被覆率の高い均一な潤滑層を備えていることが分かる。
次に、保護層に対する潤滑層の付着性能(密着性)を評価するために、実施例1と同様の潤滑層付着性試験を行った。本実施例の磁気ディスクでは、ボンデッド率は92%であった。従来ではボンデッド率は70%以上であることが一応好ましいとされているので、本実施例の磁気ディスクは、潤滑層膜厚を薄膜化しても、潤滑層の密着性に極めて優れていることがわかる。
次に、本実施例5の磁気ディスクのLUL(ロードアンロード)耐久性を評価するために、実施例1と同様のLUL耐久性試験を行なった。
その結果、本実施例5の磁気ディスクは、10nmの超低浮上量の下で障害無く90万回のLUL動作に耐久した。通常のHDDの使用環境下ではLUL回数が40万回を超えるには概ね10年程度の使用が必要と言われており、特に60万回以上耐久すれば好適であるとされるので、本実施例5の磁気ディスクは極めて高い信頼性を備えていると言える。
LUL耐久性試験後の磁気ディスク表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず良好であった。また、LUL耐久性試験後の磁気ヘッドの表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず、また、磁気ヘッドへの潤滑剤の付着や、腐食障害も観察されず良好であった。
次に、実施例1と同様のフライスティクション試験を実施した。本実施例5の磁気ディスクを100枚製造し、試験の結果、本実施例5の磁気ディスクでは、フライスティクション現象は発生せず、試験通過率は100%であった。
(実施例6)
前記式(IV)で示されるパーフルオロテトラオール化合物の2当量と、1,4−ジクロルシクロヘキサンの1当量とを塩基条件下で反応させることにより、本発明の第4の実施の形態の潤滑剤(前記の例示化合物のAがシクロヘキシレン基である化合物)を製造した。なお、反応条件は適宜設定した。
上記のようにして得られた潤滑剤は、例えば超臨界抽出法により適宜分子量分画を行った。
上記潤滑剤(Mnが2850、分子量分散度が1.21)を用いて潤滑層を8Åの膜厚で形成したこと以外は実施例5と同様にして実施例6の磁気ディスクを製造した。
実施例6の磁気ディスクについて、実施例5と同様に磁気ディスクの評価を行なった。本実施例の磁気ディスクでは、潤滑層被覆率は93%と高い値であった。すなわち、膜厚の薄い、しかも潤滑層被覆率の高い均一な潤滑層が形成されていることが分かる。また、本実施例の磁気ディスクでは、ボンデッド率は98%であった。すなわち、本実施例の磁気ディスクは、潤滑層を薄膜化しても、潤滑層の密着性に極めて優れていることがわかる。
さらに、LUL耐久性試験を行ったところ、10nmの超低浮上量の下で障害無く90万回のLUL動作に耐久した。LUL耐久性試験後の磁気ディスク表面及び磁気ヘッド表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず、磁気ヘッドへの潤滑剤の付着や、腐食障害も観察されず良好であった。また、フライスティクション試験を行ったところ、フライスティクション現象は発生せず、試験通過率は100%であった。
(比較例3)
潤滑剤として、従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤であるソルベイソレクシス社製のフォンブリンゼットドール(商品名)をGPC法で分子量分画し、Mwが3000、分子量分散度が1.08としたものを使用し、これをフッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に分散溶解させた溶液を塗布液とし、保護層まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層を成膜した。ここで、上記塗布液の濃度を適宜調整し、潤滑層膜厚が5〜10Åの範囲内となるように成膜した。この点以外は実施例5と同様にして製造した磁気ディスクを比較例とした。
実施例5と同様に本比較例の磁気ディスクの潤滑層被覆率評価を行なったところ、潤滑層被覆率は70%であったが、実施例5,6の磁気ディスクに比べると非常に低い値であった。従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を用いてディップ法によって潤滑層を形成した場合、膜厚を5〜10Å程度に薄くすると潤滑層被覆率が大きく低下してしまい、前記実施例のような潤滑層被覆率の高い均一な潤滑層を形成することが困難である。また、本比較例の磁気ディスクの潤滑層密着性評価を行ったところ、ボンデッド率は20%であり、実施例5,6と比べると非常に低い値であった。
さらにLUL耐久性試験を行ったところ、本比較例の磁気ディスクは、LUL回数が50万回で故障した。試験後に磁気ヘッド及び磁気ディスクを取り出して検査したところ、磁気ヘッドのNPABポケット部やABS面に潤滑剤の移着や腐食障害が確認され、磁気ディスク表面には汚れ付着が確認された。また、試験したHDDの内、70%のHDDでフライスティクション障害が発生した(合格率30%)。
(実施例7)
(第1の実施の形態の磁気ディスク用潤滑剤の製造)
前記式(II)で示されるパーフルオロジオール化合物の2当量と、前記例示のジエポキシ化合物の1当量とを塩基条件下で反応させることにより、前記の例示の潤滑剤化合物を製造した。この際、モノマーの仕込量や反応条件を適宜変えることにより、分子量の異なるNo.1〜8の8種類の潤滑剤化合物を得た。各化合物のMn(NMR法を用いて測定した)とEW(前述の方法により求めた)は次のとおりである。
No.1 Mn:1500、EW:300
No.2 Mn:2500、EW:500
No.3 Mn:3000、EW:600
No.4 Mn:4000、EW:800(実施例1で使用)
No.5 Mn:4340、EW:903
No.6 Mn:4500、EW:910
No.7 Mn:5500、EW:1150
No.8 Mn:6000、EW:1260
なお、上記8種類の化合物において、そのMnとEWの関係を前述の図2にプロットした。いずれの化合物も、本発明で規定したMnとEWとの関係を示す所定の範囲(図2中の線分a〜dで囲まれた範囲)内にある。
(磁気ディスクの製造)
化学強化されたアルミノシリケートガラスからなる2.5インチ型ガラスディスク(外径65mm、内径20mm、ディスク厚0.635mm)を準備し、ディスク基板とした。ディスク基板の主表面は、Rmaxが4.8nm、Raが0.43nmに鏡面研磨されている。
次に、得られた磁気ディスク用ガラス基板上に枚葉式スパッタリング装置を用いて、下記の付着層、軟磁性層、第1下地層、第2下地層、磁性層を順次成膜し、次いでプラズマCVD法により炭素系保護層を形成し、更にその上に潤滑層をディップ法により形成した。この磁気ディスクは垂直磁気記録方式用の磁気ディスクである。
付着層は、Ti系合金薄膜を膜厚100Åに形成した。
軟磁性層は、Co系合金薄膜を膜厚600Åに形成した。
第1下地層は、Pt系合金薄膜を膜厚70Åに形成した。また、第2下地層は、Ru系合金薄膜を膜厚400Åに形成した。
磁性層は、CoPtCr合金からなり、膜厚は200Åに形成した。
保護層は、ダイヤモンドライク炭素保護層とし、プラズマCVD法により成膜した。主表面上の膜厚が50Åとなるように形成した。
次に、潤滑層を以下のようにして形成した。
上記のように製造し、超臨界抽出法により分子量分画した本発明の化合物(上記No.5の化合物)からなる潤滑剤を、フッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に0.2重量%の濃度で分散溶解させた溶液を調整した。この溶液を塗布液とし、保護層まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層を成膜した。
成膜後に、磁気ディスクを真空焼成炉内で130℃、90分間で加熱処理した。潤滑層の膜厚をフーリエ変換型赤外分光光度計(FTIR)で測定したところ12Åであった。こうして、本実施例7の磁気ディスクを得た。
次に、以下の試験方法により、本実施例7の磁気ディスク及び潤滑剤の評価を行った。
(潤滑剤(バルク)の耐熱性試験、アルミナ耐性試験)
本実施例に用いた上記No.5の潤滑剤化合物を40℃〜500℃まで昇温していった時の300℃での重量減少率を熱分析装置を用いて測定したところ、重量減少率は4%と非常に小さく、耐熱性に優れていることがわかった。
また、上記潤滑剤化合物中に20%のアルミナ(Al2O3)を添加し、200℃の一定温度下で500分間保持し、アルミナ耐性を評価したところ、減少率は6%と非常に小さく、アルミナ耐性に優れていることがわかった。
(磁気ディスクの評価)
実施例1と同様に本実施例7の磁気ディスクの潤滑層付着性能評価を行ったところ、ボンデッド率は85%であった。また、潤滑層被覆率評価を行なったところ、潤滑層被覆率は97%と非常に高い値であった。つまり、潤滑層被覆率の高い均一な潤滑層を形成することが可能である。
さらに実施例1と同様のLUL耐久性試験を行ったところ、本実施例7の磁気ディスクは、10nmの超低浮上量の下で障害無く90万回のLUL動作に耐久した。LUL耐久性試験後の磁気ディスク表面及び磁気ヘッド表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず、磁気ヘッドへの潤滑剤の付着や、腐食障害も観察されず良好であった。また、実施例1と同様のフライスティクション試験を行ったところ、フライスティクション現象は発生せず、試験通過率は100%であった。
また、磁気ディスク表面にディスク半径20mmの位置で30gfの荷重をかけ、ディスク回転数120rpmで回転させて、ディスク表面の膜が破断するまで測定を行うことにより、ピンオン(Pin on)評価テストを行ったところ、本実施例7の磁気ディスクでは、700(pass count)であり、潤滑層の膜厚を薄くしても物理的耐久性に優れることがわかった。
また、温度特性を評価するために、LUL耐久性試験、フライスティクション試験を−20℃〜50℃の雰囲気で行ったが、本実施例7の磁気ディスクでは特に障害は発生せず、良好な結果が得られた。本実施例に使用した上記潤滑剤は、とりわけ−10℃での粘度が5000〜12000mPa・sの範囲にあり、このような低温下でも良好な流動特性を有するため、低温環境下で使用されても高い信頼性を有する。
以上、本実施例に関する評価結果は後記表1にまとめて示した。
(実施例8)
潤滑剤として、超臨界抽出法により分子量分画した本発明の化合物(前記第2の実施の形態の潤滑剤例示No.1の化合物)からなる潤滑剤を使用したこと以外は実施例7と同様にして製造した磁気ディスクを実施例8とした。
本実施例8の磁気ディスク及び潤滑剤について、実施例7と同様の評価を行い、その結果を纏めて下記表2に示した。本実施例についても、良好な結果が得られた。
(比較例4〜7)
潤滑剤として、従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤であるソルベイソレクシス社製のフォンブリンゼットドール2000(商品名)をGPC法で分子量分画し、Mnが1960、分子量分散度が1.08としたものを使用し、これをフッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に分散溶解させた溶液を塗布液とし、保護層まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層を成膜した。ここで、上記塗布液の濃度を適宜調整し、潤滑層膜厚が5〜10Åの範囲内となるように成膜した。この点以外は実施例7と同様にして製造した磁気ディスクを比較例4とした。
また、潤滑剤として、従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤であるソルベイソレクシス社製のフォンブリンゼットドール4000(商品名)をGPC法で分子量分画し、Mnが4120、分子量分散度が1.08としたものを使用したこと以外は同様にして製造した磁気ディスクを比較例5とした。なお、分子量分画により、Mnの異なる上記比較用の潤滑剤を準備し、そのMnとEWの関係を前述の図2にプロットした(黒三角印)。いずれの化合物も、本発明で規定したMnとEWとの関係を示す所定の範囲(図2中の線分a〜dで囲まれた範囲)内からは外れていた。
また、潤滑剤として、従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤であるソルベイソレクシス社製のフォンブリンゼットテトラオール2000(商品名)をGPC法で分子量分画し、Mnが2390、分子量分散度が1.08としたものを使用したこと以外は同様にして製造した磁気ディスクを比較例6とした。
さらに、潤滑剤として、上記実施例7で使用した本発明の潤滑剤化合物を製造する際、その合成条件の変更により、連結基を介してパーフルオロポリエーテルの3量化による化合物を製造した。この製造した3量体化合物をGPC法で分子量分画し、Mnが6430としたものを使用したこと以外は同様にして製造した磁気ディスクを比較例7とした。
以上の比較例4〜7の磁気ディスク及び潤滑剤について、実施例7と同様の評価を行い、その結果を纏めて下記表2に示した。
Figure 0005483050
従来の潤滑剤を用いた比較例4〜6の磁気ディスクでは、特に、炭素系保護層に対する付着性能、LUL耐久性、フライスティクション試験、ピンオンテスト、潤滑剤(バルク)の耐熱性、アルミナ耐性など、ほとんどの評価項目において、評価の低い結果であった。また、パーフルオロポリエーテルの3量体化合物を用いた比較例7の磁気ディスクでは、分子量、粘度がともに高く、特にLUL耐久性、フライスティクション試験において評価結果が悪く、本実施例の磁気ディスクと比べると、信頼性が低い。

Claims (6)

  1. 下記一般式I、一般式II、または一般式IIIで示されるパーフルオロポリエーテル系化合物のうちの少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする磁気ディスク用潤滑剤。
    一般式I
    Figure 0005483050
    一般式II
    Figure 0005483050
    ここで、pは、1〜30の範囲の整数である。
    一般式III
    Figure 0005483050

    ここで、Aは、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントラセネディル基、ピリジネディル基、チオフェネディル基、シクロヘキシレン基、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロオクチレン基である。
  2. −10℃における粘度が、5000〜12000mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
  3. 温度変化に対する粘度の変化量が、−0.03〜−0.08mPa・s/℃の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の磁気ディスク用潤滑剤。
  4. 基板上に磁性層と保護層と潤滑層を備える磁気ディスクであって、
    前記潤滑層は、請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用潤滑剤を含有することを特徴とする磁気ディスク。
  5. 前記保護層は、炭素系保護層であることを特徴とする請求項4に記載の磁気ディスク。
  6. ロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクであることを特徴とする請求項4又は5に記載の磁気ディスク。
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