JP2009211765A - 磁気ディスク - Google Patents

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Abstract

【課題】近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有する磁気ディスクを提供する。
【解決手段】基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクである。潤滑層は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物を含有し、保護層は、窒素を含有する炭素系保護層であり、該保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)が0.15〜0.30の範囲である。
【選択図】図1

Description

本発明はハードディスクドライブ(以下、HDDと略記する)などの磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクに関する。
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に磁気記録技術を用いたHDDの面記録密度は年率100%程度の割合で増加し続けている。最近では、HDD等に用いられる2.5インチ径磁気ディスクにして、1枚当り60Gバイトを超える情報記録容量が求められるようになってきており、このような所要に応えるためには1平方インチ当り100Gビットを超える情報記録密度を実現することが求められる。HDD等に用いられる磁気ディスクにおいて高記録密度を達成するためには、情報信号の記録を担う磁気記録層を構成する磁性結晶粒子を微細化すると共に、その層厚を低減していく必要があった。ところが、従来より商業化されている面内磁気記録方式(長手磁気記録方式、水平磁気記録方式とも呼称される)の磁気ディスクの場合、磁性結晶粒子の微細化が進展した結果、超常磁性現象により記録信号の熱的安定性が損なわれ、記録信号が消失してしまう、熱揺らぎ現象が発生するようになり、磁気ディスクの高記録密度化への阻害要因となっていた。
この阻害要因を解決するために、近年、垂直磁気記録方式用の磁気記録媒体が提案されている。垂直磁気記録方式の場合では、面内磁気記録方式の場合とは異なり、磁気記録層の磁化容易軸は基板面に対して垂直方向に配向するよう調整されている。垂直磁気記録方式は面内記録方式に比べて、熱揺らぎ現象を抑制することができるので、高記録密度化に対して好適である。このような垂直磁気記録媒体としては、例えば特開2002-74648号公報に記載されたような、基板上に軟磁性体からなる軟磁性下地層と、硬磁性体からなる垂直磁気記録層を備える、いわゆる二層型垂直磁気記録ディスクが知られている。
ところで、従来の磁気ディスクは、磁気ディスクの耐久性、信頼性を確保するために、基板上に形成された磁気記録層の上に、保護層と潤滑層を設けている。特に最表面に用いられる潤滑層は、長期安定性、化学物質耐性、摩擦特性、耐熱特性等の様々な特性が求められる。
このような要求に対し、従来は磁気ディスク用潤滑剤として、分子中にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤が多く用いられてきた。例えば、特開昭62−66417号公報(特許文献1)などには、HOCH2CF2O(C2F4O)p(CF2O)qCH2OHの構造をもつパーフルオロアルキルポリエーテル潤滑剤を塗布した磁気記録媒体などが知られている。潤滑剤の分子中にヒドロキシル基が存在すると、保護層とヒドロキシル基との相互作用により、潤滑剤の保護層への付着特性が得られることが知られている。
特開昭62−66417号公報
上述したように、最近のHDDでは100Gbit/inch以上の情報記録密度が要求されるようになってきたが、これは一つに、HDDが従来のコンピュータ用記憶装置としてのニーズに加えて、携帯電話やカーナビゲーションシステム、デジタルカメラ等に搭載されるようになってきたことと関係がある。
これらの新規用途の場合、HDDを搭載する筐体スペースがコンピュータに比べて著しく小さいので、HDDを小型化する必要がある。このためには、HDDに搭載する磁気ディスクの径を小径化する必要がある。例えば、コンピュータ用途では3.5インチ型や2.5インチ型の磁気ディスクを用いることが出来たが、上記新規用途の場合では、これよりも小径の、例えば1.8インチ型〜0.8インチ型などの小径磁気ディスクが用いられる。このように磁気ディスクを小径化した場合であっても一定以上の情報容量を格納させる必要があるので、勢い、情報記録密度の向上に拍車がかかることになる。
また、限られたディスク面積を有効に利用するために、従来のCSS(Contact Start and Stop)方式に代えてLUL(Load Unload:ロードアンロード)方式のHDDが用いられるようになってきた。LUL方式では、HDDの停止時には、磁気ヘッドを磁気ディスクの外に位置するランプと呼ばれる傾斜台に退避させておき、起動動作時には磁気ディスクが回転開始した後に、磁気ヘッドをランプから磁気ディスク上に滑動させ、浮上飛行させて記録再生を行なう。停止動作時には磁気ヘッドを磁気ディスク外のランプに退避させたのち、磁気ディスクの回転を停止する。この一連の動作はLUL動作と呼ばれる。LUL方式のHDDに搭載される磁気ディスクでは、CSS方式のような磁気ヘッドとの接触摺動用領域(CSS領域)を設ける必要がなく、記録再生領域を拡大させることができ、高情報容量化にとって好ましいからである。
このような状況の下で情報記録密度を向上させるためには、磁気ヘッドの浮上量を低減させることにより、スペーシングロスを限りなく低減する必要がある。1平方インチ当り100Gビット以上の情報記録密度を達成するためには、磁気ヘッドの浮上量は10nm以下にする必要がある。LUL方式ではCSS方式と異なり、磁気ディスク面上にCSS用の凸凹形状を設ける必要が無く、磁気ディスク面上を極めて平滑化することが可能となる。よってLUL方式のHDDに搭載される磁気ディスクでは、CSS方式に比べて磁気ヘッド浮上量を一段と低下させることができるので、記録信号の高S/N比化を図ることができ、磁気ディスク装置の高記録容量化に資することができるという利点もある。
最近のLUL方式の導入に伴う、磁気ヘッド浮上量の一段の低下により、10nm以下の低浮上量においても、磁気ディスクが安定して動作することが求められるようになってきた。とりわけ上述したように、近年、磁気ディスクは面内磁気記録方式から垂直磁気記録方式に移行しており、磁気ディスクの大容量化、それに伴うフライングハイトの低下が強く要求されている。
磁気ヘッドの浮上量が例えば10nm以下の低浮上量となると、磁気ヘッドは浮上飛行中に空気分子を介して磁気ディスク面上の潤滑層に断熱圧縮及び断熱膨張を繰り返し作用させるようになり、潤滑層は繰り返し加熱冷却を受けやすくなり、このため潤滑層を構成する潤滑剤の低分子化が促進され易くなっている。潤滑剤が低分子化すると流動性が高まり、保護層との密着性が低下する。そして、流動性の高まった潤滑剤は、極狭な位置関係にある磁気ヘッドに移着堆積し、その結果、浮上姿勢が不安定となりフライスティクション障害を発生させるものと考えられる。特に、最近導入されてきたNPAB(負圧)スライダーを備える磁気ヘッドは、磁気ヘッド下面に発生する強い負圧により潤滑剤を吸引し易いので、移着堆積現象を促進していると考えられる。移着堆積した潤滑剤はフッ酸等の酸を生成する場合があり、磁気ヘッドの素子部を腐食させる場合がある。特に、磁気抵抗効果型素子を搭載する磁気ヘッドは腐食され易い。
また、最近では磁気ディスク装置の応答速度を敏速化するために、磁気ディスクの回転速度を高めることが行なわれている。たとえばモバイル用途に好適な小径の1.8インチ型磁気ディスク装置は、5400rpm以上の高速で回転させることで応答特性を高めることが行なわれている。このような高速で磁気ディスクを回転させると、回転に伴う遠心力により潤滑層が移動(マイグレーション)して、磁気ディスク面内で潤滑層膜厚が不均一となり、低浮上量の下では磁気ディスク表面と磁気ヘッドとの接触による障害が顕在化してきた。
前述したように、最近では、磁気ディスク装置は、従来のパーソナルコンピュータの記憶装置としてだけでなく、携帯電話、カーナビゲーションシステムなどのモバイル用途にも多用されるようになってきており、使用される用途の多様化により、磁気ディスクに求められる環境耐性は非常に厳しいものになってきている。したがって、これらの情況に鑑みると、従来にもまして、磁気ディスク表面の耐久性(物理的強度)や、潤滑層を構成する潤滑剤の耐熱性、保護層との密着性などの更なる向上が急務となっている。
また、近年の磁気ディスクの急速な情報記録密度向上に伴い、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録層間の磁気スペーシングの低減が求められており、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録層の間に存在する潤滑層は、より一層の薄膜化が必要となってきている。磁気ディスクの最表面の潤滑層に用いられる潤滑剤は、磁気ディスクの耐久性に大きな影響を及ぼすが、たとえ薄膜化しても、磁気ディスクにとって安定性、信頼性は不可欠である。
このように、潤滑層の長期安定性に優れ、近年の高記録密度化に伴う磁気スペーシングの低減や、磁気ヘッドの低浮上量のもとでの高信頼性を有する磁気ディスクの実現が求められ、さらには使用される用途の多様化などにより、磁気ディスクに求められる環境耐性は非常に厳しいものになってきているため、従来にもまして、磁気ディスク表面の耐久性や、潤滑層を構成する潤滑剤の耐熱性や、潤滑層と保護層との密着性などの特性のより一層の向上が求められている。
本発明は、このような従来の情況に鑑みなされたもので、その目的とするところは、磁気ディスク表面の耐久性や、潤滑層を構成する潤滑剤の耐熱性や、潤滑層と保護層との密着性などの特性に優れ、近年の急速な高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、また用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有する磁気ディスクを提供することである。
本発明者は、新しい磁気ディスク用潤滑剤を検討するとともに、とくに窒素を含有する炭素系保護層との関係について鋭意検討した結果、以下の発明により、前記課題が解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクであって、前記潤滑層は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物を含有し、前記保護層は、窒素を含有する炭素系保護層であり、該保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)が0.15〜0.30の範囲であることを特徴とする磁気ディスクである。
(構成2)前記2価の連結基は、構造中に3〜6個のヒドロキシル基を有していることを特徴とする構成1に記載の磁気ディスクである。
(構成3)前記潤滑層中に含有される前記化合物の数平均分子量が、1000〜10000の範囲であることを特徴とする構成1又は2に記載の磁気ディスクである。
(構成4)前記保護層は、プラズマCVD法により成膜された炭素系保護層であることを特徴とする構成1乃至3の何れか一に記載の磁気ディスクである。
(構成5)ロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクであることを特徴とする構成1乃至4の何れか一に記載の磁気ディスクである。
構成1に係る発明によれば、基板上に少なくとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクであって、前記潤滑層は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物を含有し、前記保護層は、窒素を含有する炭素系保護層であり、該保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)が0.15〜0.30の範囲であることにより、磁気ディスク表面の耐久性や、潤滑層と保護層との密着性などの特性が従来にもまして優れ、近年の急速な高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、しかも用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有する磁気ディスクが得られる。しかも、上記潤滑層は、上記パーフルオロポリエーテル基同士が上記2価の連結基を介して結合している化合物からなるため、上記パーフルオロポリエーテルの2量化による高分子量のものが得られ、熱分解が抑制され、かかる潤滑剤を用いて磁気ディスクとした場合、その耐熱性を向上できる。
また、構成2に係る発明にあるように、構成1に係る発明において、前記2価の連結基は、構造中に3〜6個のヒドロキシル基を有していることが特に好ましい。潤滑剤分子の中心にあるヒドロキシル基の数が少ないと、保護層との相互作用による密着性向上の効果が十分に得られ難い。また、このヒドロキシル基の数がいくら多くても、そのすべてのヒドロキシル基が保護層側に配向されて保護層との好適な相互作用に寄与するとは限らず、保護層との密着性向上の効果が分子中のヒドロキシル基の数に応じて高まるというものではない。
また、構成3に係る発明にあるように、前記潤滑層中に含有される前記化合物の数平均分子量が、1000〜10000の範囲であることが特に好ましい。適度な粘度による修復性を備え、好適な潤滑性能を発揮し、しかも優れた耐熱性を兼ね備えることができるからである。
また、構成4に係る発明にあるように、前記保護層は、プラズマCVD法により成膜された炭素系保護層であることが特に好ましい。プラズマCVD法によれば、表面が均一で密に成膜された炭素系保護層を形成でき、本発明にとっては好適だからである。
また、構成5に係る発明にあるように、本発明の磁気ディスクは、特にLUL方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクとして好適である。LUL方式の導入に伴う磁気ヘッド浮上量の一段の低下により、10nm以下の低浮上量においても磁気ディスクが安定して動作することが求められるようになってきており、低浮上量のもとで高い信頼性を有する本発明の磁気ディスクは好適である。
本発明によれば、磁気ディスク表面の耐久性や、潤滑層と保護層との密着性、さらには潤滑層を構成する潤滑剤の耐熱性などの特性に優れ、近年の急速な高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、しかも用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有する磁気ディスクを提供することができる。
以下、本発明を実施の形態により詳細に説明する。
本発明の磁気ディスクは、基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクであって、前記潤滑層は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物を含有し、前記保護層は、窒素を含有する炭素系保護層であり、該保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)が0.15〜0.30の範囲である。
本発明の磁気ディスクにおける潤滑層に含有される上記化合物(以下、本発明に係る潤滑剤と称する)は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物である。
上記2価の連結基は、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有するものであればよく、たとえば、−(CR)−で示される基を有する基である。ここで、R、Rはそれぞれ水素原子またはヒドロキシル基である。
また、上記2価の連結基は、構造中に3〜6個のヒドロキシル基を有していることが特に好ましい。その理由は、潤滑剤分子の中心にあるヒドロキシル基の数が少ないと、保護層との相互作用による付着性向上の効果が十分に得られ難く、反対に、このヒドロキシル基の数がいくら多くても、そのすべてのヒドロキシル基が保護層側に配向されて保護層との好適な相互作用に寄与するとは限らず、保護層との付着性向上の効果が分子中のヒドロキシル基の数に応じて高まるというものではないからである。
上記パーフルオロポリエーテル基は、その構造中に例えば、−(O-C)m−(O-CF)n−(m、nはそれぞれ1以上の整数である。)で示されるパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するものであり、かかるパーフルオロポリエーテル基としては、例えば下記式(I)で示される基が好ましく挙げられる。
式(I)
Figure 2009211765
式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。
以上の本発明に係る潤滑剤によれば、分子の末端のヒドロキシル基に加え、分子の中心にも少なくとも3個のヒドロキシル基を有するため、保護層上に本発明に係る潤滑剤を塗布した場合、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との間に好適な相互作用が発生し、潤滑層と保護層との密着性を向上させることができる。また、潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との間に好適な相互作用が発生することにより、保護層上で潤滑剤分子が適度にフォールディング(折り畳み)構造をとった潤滑剤層(潤滑層)を形成させることができるので、潤滑層の膜厚を薄くしても保護層表面を十分に被覆することができ、磁気ディスク表面に均一に潤滑層を形成することができる。潤滑層被覆率が高ければ高いほど、磁気ディスク表面が潤滑層によって一様に被覆されていることを示し、ヘッドクラッシュ障害や腐食障害を抑制することができる。即ち、潤滑層被覆率が高いほど、磁気ディスク表面は防護されており、磁気ディスク表面の潤滑性能が高いと共に、磁気ディスク装置内雰囲気に存在する酸性系コンタミや、シロキサン系コンタミ等、腐食障害やフライスティクション障害の原因となり易い物質から磁気ディスク表面を防護することができる。
また、本発明に係る潤滑剤は、上記パーフルオロポリエーテル基同士が上記2価の連結基を介して結合している化合物からなるため、上記パーフルオロポリエーテルの2量化による高分子量のものが得られ、熱分解による低分子化を抑制できるので、かかる潤滑剤を用いて磁気ディスクとした場合、その耐熱性を向上させることができる。近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの浮上量が一段と低下(10nm以下)したことにより、磁気ヘッドと磁気ディスク表面との接触、摩擦が頻発する可能性が高くなる。また、磁気ヘッドが接触した場合には磁気ディスク表面からすぐに離れずにしばらく摩擦摺動することがある。また、近年の磁気ディスクの高速回転による記録再生のため、従来以上に接触や摩擦による発熱が生じている。従って、このような熱の発生により、磁気ディスク表面の潤滑層材料が熱分解を起こす可能性が従来よりも高くなり、この熱分解され低分子化し流動性の高まった潤滑剤が磁気ヘッドに付着することで、データの読み込み、書き込みに支障を来たす可能性が懸念される。さらに、近い将来の磁気ヘッドと磁気ディスクとを接触させた状態でのデータの記録再生を考えたとき、常時接触による熱発生の影響がさらに懸念される。このような状況を考えると、潤滑層に求められる耐熱性の更なる向上が望まれており、本発明の潤滑剤はまさに好適である。
このように、本発明に係る潤滑剤は、耐熱性、保護層との付着性、保護層被覆率等の特性に優れているため、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録層間の磁気スペーシングの低減の要求に伴う潤滑層のより一層の薄膜化を達成することが可能になり、しかも形成された潤滑層の長期安定性に優れるので、近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、また用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有する(安定した動作を保証できる)磁気ディスクを実現する上で好適である。
本発明に係る潤滑剤の製造方法としては、たとえば、分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し且つ末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応してヒドロキシル基を生成しうる構造を有する脂肪族化合物の1当量とを反応させることによる製造方法が好ましく挙げられる。
上記脂肪族化合物としては、例えば、分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有し且つ末端にエポキシド構造を有するジエポキシ化合物が好ましく挙げられる。このような化合物を用いることにより、本発明の潤滑剤を高純度、高収率で得ることが可能である。このようなジエポキシ化合物の具体的例示を以下に挙げるが、本発明はこれには限定されない。
Figure 2009211765
つまり、塩基触媒の下で、末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を塩基に作用させアルコキシドとし、このアルコキシドが、末端にエポキシド構造を有する脂肪族化合物と求核開環反応を行うことにより、パーフルオロポリエーテル化合物同士が上記脂肪族化合物から変じた連結基を介して結合された2量体化合物が得られる。
また、上記パーフルオロポリエーテル化合物としては、たとえば分子末端にヒドロキシル基を有する下記式(II)で示されるパーフルオロジオール化合物が挙げられる。
式(II)
Figure 2009211765
式中、m、nはそれぞれ1以上の整数である。
このような本発明に係る潤滑剤の製造方法によれば、分子末端のみにヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物同士を連結させて2量化することで、分子末端に加え、分子の中心にも少なくとも3個のヒドロキシル基を導入した磁気ディスク用潤滑剤を得ることができる。たとえば、上記パーフルオロポリエーテル化合物として、前記式(II)で示されるパーフルオロジオール化合物を、上記脂肪族化合物として上記例示のジエポキシ化合物をそれぞれ用いた場合、分子末端のそれぞれに1個ずつのヒドロキシル基と、分子の中心に3個のヒドロキシル基を有する潤滑剤化合物が得られる。
以下に、本発明に係る潤滑剤の例示化合物を挙げるが、本発明はこれらの化合物には限定されない。
Figure 2009211765
本発明に係る潤滑剤の分子量は特に制約はされないが、例えば数平均分子量(Mn)が、1000〜10000の範囲であることが好ましく、1000〜6000の範囲であることが更に好ましい。適度な粘度による修復性を備え、好適な潤滑性能を発揮し、しかも優れた耐熱性を兼ね備えることができるからである。
本発明に係る潤滑剤を適当な方法で分子量分画することにより、分子量分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比)を1.3以下とするのが好ましい。
本発明において、分子量分画する方法に特に制限を設ける必要は無いが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量分画や、超臨界抽出法による分子量分画などを用いることができる。
本発明に係る潤滑剤を用いて潤滑層を成膜するにあたっては、潤滑剤を適当な溶媒に分散溶解させた溶液を用いて、例えばディップ法により塗布して成膜することができる。溶媒としては、例えばフッ素系溶媒(三井デュポンフロロケミカル社製商品名バートレルXFなど)を好ましく用いることができる。潤滑層の成膜方法はもちろん上記ディップ法には限らず、スピンコート法、スプレイ法、ペーパーコート法などの成膜方法を用いてもよい。
本発明においては、成膜した潤滑層の保護層への付着力をより向上させるために、成膜後に磁気ディスクを70℃〜200℃の雰囲気に曝してもよい。
本発明にあっては、潤滑層の膜厚は、4〜18Åとするのがよい。4Å未満では、潤滑層としての潤滑性能が低下する場合がある。また18Åを超えると、薄膜化の観点から好ましくなく、またフライスティクション障害が発生する場合があり、またLUL耐久性が低下する場合がある。
本発明における保護層は、窒素を含有する炭素系保護層であり、特にアモルファス炭素保護層が好ましい。保護層はとくに炭素系保護層であることにより、本発明に係る潤滑剤のヒドロキシル基と保護層との相互作用が一層高まり、本発明による作用効果がより一層発揮されるため好ましい態様である。また、炭素系保護層と潤滑層との密着力を調節するために、炭素系保護層を窒素化炭素として、窒素の含有量を調節することにより制御することが可能である。本発明者は、磁性層の上に、窒素を含有する炭素系保護層と、本発明に係る潤滑剤を用いて成膜した潤滑層を形成した磁気ディスクにおいて、該保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)をとくに0.15〜0.30の範囲とすることにより、炭素系保護層と潤滑層との密着性に加えて、磁気ディスク表面の耐久性(物理的強度)を向上できることを見い出した。従来公知の潤滑剤を用いた場合においても、保護層中の窒素の含有量を調節することにより、保護層と潤滑層の密着性をある程度調節することは可能ではあるが、本発明においては、保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)をとくに0.15〜0.30の範囲とすることにより、炭素系保護層と潤滑層との密着性のみならず、磁気ディスク表面の耐久性(物理的強度)を向上できることは注目に値する。この場合、保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)は、例えばX線光電子分光法(XPS)またはESCAによって求めることができる。
本発明における炭素系保護層においては、窒素は保護層全体に均一に含有される必要はなく、とくに保護層の潤滑層側に窒素を含有させた組成傾斜層とすることが好適である。
また、本発明における炭素系保護層は、窒素のほかに水素を含有してもよい。
本発明における炭素系保護層は、例えばDCマグネトロンスパッタリング法により成膜することができるが、特にプラズマCVD法により成膜されたアモルファス炭素保護層とすることが好ましい。プラズマCVD法により成膜することで保護層表面が均一となり密に成膜される。従って、より粗さが小さいCVD法で成膜された保護層上に本発明による潤滑層を形成することは好ましい。特に保護層の潤滑層側に窒素を含有させた組成傾斜層とするため、プラズマCVD法で成膜後、例えば保護層表面を窒素プラズマにさらすことにより、プラズマCVD法で成膜したアモルファスの窒素化炭素保護層とすることが好適である。
本発明にあっては、保護層の膜厚は、20〜70Åとするのがよい。20Å未満では、保護層としての性能が低下する場合がある。また70Åを超えると、薄膜化の観点から好ましくない。
本発明の磁気ディスクにおいては、基板はガラス基板であることが好ましい。ガラス基板は剛性があり、平滑性に優れるので、高記録密度化には好適である。ガラス基板としては、例えばアルミノシリケートガラス基板が挙げられ、特に化学強化されたアルミノシリケートガラス基板が好適である。
本発明においては、上記基板の主表面の粗さは、Rmaxが6nm以下、Raが0.6nm以下の超平滑であることが好ましい。なお、ここでいう表面粗さRmax、Raは、JIS B0601の規定に基づくものである。
本発明の磁気ディスクは、基板上に少なくとも磁性層と保護層と潤滑層を備えているが、本発明において、上記磁性層は特に制限はなく、面内記録方式用磁性層であっても、垂直記録方式用磁性層であってもよいが、とくに垂直記録方式用磁性層は近年の急速な高記録密度化の実現に好適である。とりわけ、CoPt系磁性層であれば、高保磁力と高再生出力を得ることができるので好適である。
本発明の磁気ディスクにおいては、基板と磁性層との間に、必要に応じて下地層を設けることができる。また、該下地層と基板との間に付着層や軟磁性層等を設けることもできる。この場合、上記下地層としては、例えば、Cr層、Ta層、Ru層、あるいはCrMo,CoW,CrW,CrV,CrTi合金層などが挙げられ、上記付着層としては、例えば、CrTi,NiAl,AlRu合金層などが挙げられる。また、上記軟磁性層としては、例えばCoZrTa合金膜などが挙げられる。
本発明の磁気ディスクは、特にLUL方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクとして好適である。LUL方式の導入に伴う磁気ヘッド浮上量の一段の低下により、10nm以下の低浮上量においても磁気ディスクが安定して動作することが求められるようになってきており、低浮上量のもとで高い信頼性を有する本発明の磁気ディスクは好適である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の一実施例による磁気ディスク10である。
磁気ディスク10は、基板1上に、付着層2、軟磁性層3、第1下地層4、第2下地層5、磁性層6、炭素系保護層7、潤滑層8が順次形成されてなる。
(潤滑剤の製造)
前記式(II)で示されるパーフルオロジオール化合物の2当量と、前記例示のジエポキシ化合物の1当量とを塩基条件下で反応させることにより、前記の例示の潤滑剤化合物を製造した。具体的には、上記の両化合物をアセトン中で撹拌し、水酸化ナトリウムを加えてさらにリフラックス(reflux)した。なお、反応温度、時間等の条件はそれぞれ適宜設定した。
上記のようにして得られた化合物からなる潤滑剤は、超臨界抽出法により適宜分子量分画を行った。
(磁気ディスクの製造)
化学強化されたアルミノシリケートガラスからなる2.5インチ型ガラスディスク(外径65mm、内径20mm、ディスク厚0.635mm)を準備し、ディスク基板1とした。ディスク基板1の主表面は、Rmaxが2.13nm、Raが0.20nmに鏡面研磨されている。
このディスク基板1上に、DCマグネトロンスパッタリング法により、Arガス雰囲気中で、順次、Ti系の付着層2、Fe系の軟磁性層3、NiWの第1下地層4、Ruの第2下地層5、CoCrPt磁性層6を成膜した。この磁性層は垂直磁気記録方式用磁性層である。
引き続き、プラズマCVD法により、ダイヤモンドライク炭素保護層7を膜厚50Åで成膜した。成膜後、保護層の表面側(潤滑層形成側)を窒素プラズマにさらすことにより窒素を注入した窒素含有層とした。なお、保護層7中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)は、X線光電子分光法(XPS)によって求めた。
次に、潤滑層8を以下のようにして形成した。
上記のように製造し、超臨界抽出法により分子量分画した本発明の潤滑剤(前記例示化合物)からなる潤滑剤(NMR法を用いて測定したMnが4000、分子量分散度が1.25)を、フッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に0.2重量%の濃度で分散溶解させた溶液を調整した。この溶液を塗布液とし、保護層7まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層8を成膜した。
成膜後に、磁気ディスクを真空焼成炉内で130℃、90分間で加熱処理した。潤滑層8の膜厚をフーリエ変換型赤外分光光度計(FTIR)で測定したところ12Åであった。こうして、実施例1の磁気ディスク10を得た。
(実施例2〜4)
また、上記実施例1の磁気ディスク10の製造において、保護層7中の窒素注入量を変化させ、窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)の異なる炭素保護層を形成したこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜4の磁気ディスクを製造した。
次に、以下の試験方法により、実施例1〜4の磁気ディスクの評価を行った。
(磁気ディスクの評価)
(1)まず、保護層に対する潤滑層の付着性能(密着性)を評価するために、潤滑層付着性試験を行った。
まず、磁気ディスクの潤滑層膜厚をFTIR法で測定した結果、前記のように12Åであった。次に、磁気ディスクを前記フッ素系溶媒バートレルXFに1分間浸漬させた。溶媒に浸漬させることで、付着力の弱い潤滑層部分は溶媒に分散溶解してしまうが、付着力の強い部分は保護層上に残留することができる。次に、磁気ディスクを溶媒から引き上げ、再び、FTIR法で潤滑層膜厚を測定した。溶媒浸漬前の潤滑層膜厚に対する、溶媒浸漬後の潤滑層膜厚の比率を潤滑層密着率(ボンデッド(bonded)率)と呼ぶ。ボンデッド率が高ければ高いほど、保護層に対する潤滑層の付着性能が高いと言える。実施例1〜4の磁気ディスクでは、いずれもボンデッド率は80%以上であった。ボンデッド率は現状では70%以上であることが好ましいとされるので、実施例1〜4の磁気ディスクは、いずれも潤滑層の付着性能に極めて優れていることがわかる。
(2)次に、磁気ディスク表面の物理的耐久性評価をピンオン(Pin on)評価テストにより行った。
すなわち、磁気ディスク表面にディスク半径26mmの位置で30kgfの荷重をかけ、ディスク回転数100rpmで回転させて、ディスク表面の膜が破断するまでのパスカウント(pass count)を測定した。結果は後記表1に示す。
(3)次に、磁気ディスクのLUL(ロードアンロード)耐久性を評価するために、LUL耐久性試験を行なった。
LUL方式のHDD(5400rpm回転型)を準備し、浮上量が5nmの磁気ヘッドと実施例の磁気ディスクを搭載した。磁気ヘッドのスライダーはNPAB(負圧)スライダーであり、再生素子は磁気抵抗効果型素子(GMR素子)を搭載している。シールド部はFeNi系パーマロイ合金である。このLUL方式HDDに連続LUL動作を繰り返させて、故障が発生するまでに磁気ディスクが耐久したLUL回数を計測した。
その結果、実施例1〜4の磁気ディスクは、いずれも5nmの超低浮上量の下で障害無く90万回のLUL動作に耐久した。通常のHDDの使用環境下ではLUL回数が40万回を超えるには概ね10年程度の使用が必要と言われており、現状では60万回以上耐久すれば好適であるとされているので、実施例1〜4の磁気ディスクは極めて高い信頼性を備えていると言える。
LUL耐久性試験後の磁気ディスク表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず良好であった。また、LUL耐久性試験後の磁気ヘッドの表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず、また、磁気ヘッドへの潤滑剤の付着や、腐食障害も観察されず良好であった。
なお、温度特性を評価するために、LUL耐久性試験を−20℃〜50℃の雰囲気で行ったが、本実施例の磁気ディスクでは、特に障害は発生せず、良好な結果が得られた。
(比較例1,2)
上記実施例1の磁気ディスク10の製造において、保護層7中の窒素注入量を変化させ、窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)の異なる炭素保護層を形成したこと以外は実施例1と同様にして比較例1,2の磁気ディスクを製造した。
次に、実施例と同様に、潤滑層付着性試験及びピンオン評価テストを行った。結果を下記表1に示す。
Figure 2009211765
上記表1の結果から、窒素を含有する炭素系保護層の上に本発明に係る潤滑剤を用いた潤滑層を形成した磁気ディスクにおいて、保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)を0.15〜0.30の範囲にすることにより、磁気ディスク表面の物理的耐久性、保護層と潤滑層との密着性のいずれも向上させることができることがわかる。
(比較例3〜7)
潤滑剤として、従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤であるソルベイソレクシス社製のフォンブリンゼットテトラオール(商品名)をGPC法で分子量分画し、Mwが3000、分子量分散度が1.08としたものを使用し、これをフッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に分散溶解させた溶液を塗布液とし、保護層まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層を成膜した。ここで、上記塗布液の濃度を適宜調整し、潤滑層膜厚が10〜12Åの範囲内となるように成膜した。また、保護層中の窒素注入量を変化させ、窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)の異なる炭素保護層を形成したこと以外は実施例1と同様にして製造した磁気ディスクを比較例3〜7とした。
次に、実施例と同様にピンオン評価テストを行った結果を下記表2に示す。
Figure 2009211765
従来公知の潤滑剤を用いた場合、保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)が0.15〜0.30の範囲において、ピンオン評価の若干の向上は見られるものの、600パスカウント以下であり、本発明の実施例と比べると磁気ディスク表面の物理的耐久性は劣っている。つまり、本発明のような、本発明に係る潤滑剤と保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)との間の好適な関連性は見られない。
本発明の磁気ディスクの一実施例の模式的断面図である。
符号の説明
1 基板
2 付着層
3 軟磁性層
4 第1下地層
5 第2下地層
6 磁性層
7 炭素系保護層
8 潤滑層
10 磁気ディスク

Claims (5)

  1. 基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクであって、
    前記潤滑層は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物を含有し、
    前記保護層は、窒素を含有する炭素系保護層であり、該保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)が0.15〜0.30の範囲であることを特徴とする磁気ディスク。
  2. 前記2価の連結基は、構造中に3〜6個のヒドロキシル基を有していることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク。
  3. 前記潤滑層中に含有される前記化合物の数平均分子量が、1000〜10000の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク。
  4. 前記保護層は、プラズマCVD法により成膜された炭素系保護層であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の磁気ディスク。
  5. ロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の磁気ディスク。
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