JP2009211765A - 磁気ディスク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクである。潤滑層は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物を含有し、保護層は、窒素を含有する炭素系保護層であり、該保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)が0.15〜0.30の範囲である。
【選択図】図1
Description
これらの新規用途の場合、HDDを搭載する筐体スペースがコンピュータに比べて著しく小さいので、HDDを小型化する必要がある。このためには、HDDに搭載する磁気ディスクの径を小径化する必要がある。例えば、コンピュータ用途では3.5インチ型や2.5インチ型の磁気ディスクを用いることが出来たが、上記新規用途の場合では、これよりも小径の、例えば1.8インチ型〜0.8インチ型などの小径磁気ディスクが用いられる。このように磁気ディスクを小径化した場合であっても一定以上の情報容量を格納させる必要があるので、勢い、情報記録密度の向上に拍車がかかることになる。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクであって、前記潤滑層は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物を含有し、前記保護層は、窒素を含有する炭素系保護層であり、該保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)が0.15〜0.30の範囲であることを特徴とする磁気ディスクである。
(構成3)前記潤滑層中に含有される前記化合物の数平均分子量が、1000〜10000の範囲であることを特徴とする構成1又は2に記載の磁気ディスクである。
(構成5)ロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクであることを特徴とする構成1乃至4の何れか一に記載の磁気ディスクである。
本発明の磁気ディスクは、基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクであって、前記潤滑層は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物を含有し、前記保護層は、窒素を含有する炭素系保護層であり、該保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)が0.15〜0.30の範囲である。
上記2価の連結基は、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有するものであればよく、たとえば、−(CR1R2)−で示される基を有する基である。ここで、R1、R2はそれぞれ水素原子またはヒドロキシル基である。
式(I)
上記脂肪族化合物としては、例えば、分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有し且つ末端にエポキシド構造を有するジエポキシ化合物が好ましく挙げられる。このような化合物を用いることにより、本発明の潤滑剤を高純度、高収率で得ることが可能である。このようなジエポキシ化合物の具体的例示を以下に挙げるが、本発明はこれには限定されない。
式(II)
本発明に係る潤滑剤を適当な方法で分子量分画することにより、分子量分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比)を1.3以下とするのが好ましい。
本発明において、分子量分画する方法に特に制限を設ける必要は無いが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量分画や、超臨界抽出法による分子量分画などを用いることができる。
本発明においては、成膜した潤滑層の保護層への付着力をより向上させるために、成膜後に磁気ディスクを70℃〜200℃の雰囲気に曝してもよい。
また、本発明における炭素系保護層は、窒素のほかに水素を含有してもよい。
本発明にあっては、保護層の膜厚は、20〜70Åとするのがよい。20Å未満では、保護層としての性能が低下する場合がある。また70Åを超えると、薄膜化の観点から好ましくない。
本発明においては、上記基板の主表面の粗さは、Rmaxが6nm以下、Raが0.6nm以下の超平滑であることが好ましい。なお、ここでいう表面粗さRmax、Raは、JIS B0601の規定に基づくものである。
(実施例1)
図1は、本発明の一実施例による磁気ディスク10である。
磁気ディスク10は、基板1上に、付着層2、軟磁性層3、第1下地層4、第2下地層5、磁性層6、炭素系保護層7、潤滑層8が順次形成されてなる。
前記式(II)で示されるパーフルオロジオール化合物の2当量と、前記例示のジエポキシ化合物の1当量とを塩基条件下で反応させることにより、前記の例示の潤滑剤化合物を製造した。具体的には、上記の両化合物をアセトン中で撹拌し、水酸化ナトリウムを加えてさらにリフラックス(reflux)した。なお、反応温度、時間等の条件はそれぞれ適宜設定した。
上記のようにして得られた化合物からなる潤滑剤は、超臨界抽出法により適宜分子量分画を行った。
化学強化されたアルミノシリケートガラスからなる2.5インチ型ガラスディスク(外径65mm、内径20mm、ディスク厚0.635mm)を準備し、ディスク基板1とした。ディスク基板1の主表面は、Rmaxが2.13nm、Raが0.20nmに鏡面研磨されている。
このディスク基板1上に、DCマグネトロンスパッタリング法により、Arガス雰囲気中で、順次、Ti系の付着層2、Fe系の軟磁性層3、NiWの第1下地層4、Ruの第2下地層5、CoCrPt磁性層6を成膜した。この磁性層は垂直磁気記録方式用磁性層である。
引き続き、プラズマCVD法により、ダイヤモンドライク炭素保護層7を膜厚50Åで成膜した。成膜後、保護層の表面側(潤滑層形成側)を窒素プラズマにさらすことにより窒素を注入した窒素含有層とした。なお、保護層7中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)は、X線光電子分光法(XPS)によって求めた。
上記のように製造し、超臨界抽出法により分子量分画した本発明の潤滑剤(前記例示化合物)からなる潤滑剤(NMR法を用いて測定したMnが4000、分子量分散度が1.25)を、フッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に0.2重量%の濃度で分散溶解させた溶液を調整した。この溶液を塗布液とし、保護層7まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層8を成膜した。
成膜後に、磁気ディスクを真空焼成炉内で130℃、90分間で加熱処理した。潤滑層8の膜厚をフーリエ変換型赤外分光光度計(FTIR)で測定したところ12Åであった。こうして、実施例1の磁気ディスク10を得た。
また、上記実施例1の磁気ディスク10の製造において、保護層7中の窒素注入量を変化させ、窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)の異なる炭素保護層を形成したこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜4の磁気ディスクを製造した。
(磁気ディスクの評価)
(1)まず、保護層に対する潤滑層の付着性能(密着性)を評価するために、潤滑層付着性試験を行った。
まず、磁気ディスクの潤滑層膜厚をFTIR法で測定した結果、前記のように12Åであった。次に、磁気ディスクを前記フッ素系溶媒バートレルXFに1分間浸漬させた。溶媒に浸漬させることで、付着力の弱い潤滑層部分は溶媒に分散溶解してしまうが、付着力の強い部分は保護層上に残留することができる。次に、磁気ディスクを溶媒から引き上げ、再び、FTIR法で潤滑層膜厚を測定した。溶媒浸漬前の潤滑層膜厚に対する、溶媒浸漬後の潤滑層膜厚の比率を潤滑層密着率(ボンデッド(bonded)率)と呼ぶ。ボンデッド率が高ければ高いほど、保護層に対する潤滑層の付着性能が高いと言える。実施例1〜4の磁気ディスクでは、いずれもボンデッド率は80%以上であった。ボンデッド率は現状では70%以上であることが好ましいとされるので、実施例1〜4の磁気ディスクは、いずれも潤滑層の付着性能に極めて優れていることがわかる。
すなわち、磁気ディスク表面にディスク半径26mmの位置で30kgfの荷重をかけ、ディスク回転数100rpmで回転させて、ディスク表面の膜が破断するまでのパスカウント(pass count)を測定した。結果は後記表1に示す。
LUL方式のHDD(5400rpm回転型)を準備し、浮上量が5nmの磁気ヘッドと実施例の磁気ディスクを搭載した。磁気ヘッドのスライダーはNPAB(負圧)スライダーであり、再生素子は磁気抵抗効果型素子(GMR素子)を搭載している。シールド部はFeNi系パーマロイ合金である。このLUL方式HDDに連続LUL動作を繰り返させて、故障が発生するまでに磁気ディスクが耐久したLUL回数を計測した。
LUL耐久性試験後の磁気ディスク表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず良好であった。また、LUL耐久性試験後の磁気ヘッドの表面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷や汚れ等の異常は観察されず、また、磁気ヘッドへの潤滑剤の付着や、腐食障害も観察されず良好であった。
上記実施例1の磁気ディスク10の製造において、保護層7中の窒素注入量を変化させ、窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)の異なる炭素保護層を形成したこと以外は実施例1と同様にして比較例1,2の磁気ディスクを製造した。
次に、実施例と同様に、潤滑層付着性試験及びピンオン評価テストを行った。結果を下記表1に示す。
潤滑剤として、従来のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤であるソルベイソレクシス社製のフォンブリンゼットテトラオール(商品名)をGPC法で分子量分画し、Mwが3000、分子量分散度が1.08としたものを使用し、これをフッ素系溶媒である三井デュポンフロロケミカル社製バートレルXF(商品名)に分散溶解させた溶液を塗布液とし、保護層まで成膜された磁気ディスクを浸漬させ、ディップ法で塗布することにより潤滑層を成膜した。ここで、上記塗布液の濃度を適宜調整し、潤滑層膜厚が10〜12Åの範囲内となるように成膜した。また、保護層中の窒素注入量を変化させ、窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)の異なる炭素保護層を形成したこと以外は実施例1と同様にして製造した磁気ディスクを比較例3〜7とした。
次に、実施例と同様にピンオン評価テストを行った結果を下記表2に示す。
2 付着層
3 軟磁性層
4 第1下地層
5 第2下地層
6 磁性層
7 炭素系保護層
8 潤滑層
10 磁気ディスク
Claims (5)
- 基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクであって、
前記潤滑層は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ末端にはヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル基同士が、構造中に少なくとも3個のヒドロキシル基を有する2価の連結基を介して結合している化合物を含有し、
前記保護層は、窒素を含有する炭素系保護層であり、該保護層中の窒素(N)と炭素(C)の含有量比(N/C)が0.15〜0.30の範囲であることを特徴とする磁気ディスク。 - 前記2価の連結基は、構造中に3〜6個のヒドロキシル基を有していることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク。
- 前記潤滑層中に含有される前記化合物の数平均分子量が、1000〜10000の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク。
- 前記保護層は、プラズマCVD法により成膜された炭素系保護層であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の磁気ディスク。
- ロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の磁気ディスク。
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