JP5815896B1 - 磁気記録媒体および磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気記録媒体の表面の汚染を効果的に防止でき、磁気記録媒体上に存在する汚染物質の磁気ヘッドへの付着(転写)を防止できる磁気記録媒体およびこれを備えた磁気記録再生装置を提供する。【解決手段】磁気記録媒体の炭素保護層を窒化し、潤滑剤として、下記一般式(1)に示す化合物Aと、下記一般式(2)に示す化合物Bとを混合して用いる。R1−C6H4OCH2CH(OH)CH2OCH2−R2−CH2OCH2CH(OH)CH2OH ‥‥(1)CH2(OH)CH(OH)CH2OCH2CF2CF2(OCF2CF2CF2)mOCF2CF2CH2OCH2CH(OH)CH2OH ‥‥(2)【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスクドライブなどの磁気記録再生装置に好適に用いられる磁気記録媒体およびこれを備えた磁気記録再生装置に関する。
磁気記録再生装置の記録密度を向上させるために、高記録密度に適した磁気記録媒体の開発が進められている。
従来から、磁気記録媒体として、磁気記録媒体用の基板上に記録層等を積層した後、記録層上にカーボン等の保護層を形成し、さらに保護層上に潤滑剤層を形成したものがある。保護層は、記録層に記録された情報を保護するとともに、磁気ヘッドの摺動性を高めるものである。しかし、記録層上に保護層を設けただけでは、磁気記録媒体の耐久性は十分に得られない。
このため、一般に、保護層の表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤層を形成している。保護層上に潤滑剤層を設けることによって、磁気記録再生装置の磁気ヘッドと保護層とが直接接触することを防止できるとともに、磁気記録媒体上を摺動する磁気ヘッドの摩擦力を著しく低減させることができ、耐久性が向上される。
磁気記録媒体に使用される潤滑剤としては、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤や脂肪族炭化水素系潤滑剤などが提案されている。
例えば、特許文献1には、HOCH−CFO−(CO)p−(CFO)q−CHOH(p、qは整数。)の構造をもつパーフロロアルキルポリエーテルの潤滑剤を塗布した磁気記録媒体が開示されている。
また、特許文献2には、HOCHCH(OH)−CHOCHCFO−(CO)p−(CFO)q―CFCHOCH―CH(OH)CHOH(p、qは整数。)の構造をもつパーフロロアルキルポリエーテル(テトラオール)の潤滑剤を塗布した磁気記録媒体が開示されている。
さらに、特許文献3には、−CFO−または−CFCFO−から選ばれたパーフルオロオキシアルキレン単位とホスファゼン化合物を有する磁気記録媒体用途の潤滑剤が開示されている。
また、特許文献4には、ホスファゼン化合物と、パーフルオロオキシアルキレン単位を有する化合物とを特定の範囲で混合した潤滑剤層を用いることで、保護層との結合力が高く、かつ、保護層の層厚を下げた場合にも被覆率の高い潤滑剤層が得られることが記載されている。
また、特許文献5には、R−CO−CHCH(OH)CHOCH−R−CH−O−Rで示される化合物を含有する潤滑剤が開示されている。
また、特許文献6には、磁気記録再生装置の磁気ヘッドの破損や汚染を引き起こす原因となる磁気記録媒体上のイオン性の汚染物質の一つが、磁気記録再生装置の密閉用のゴムシールとして使われるシロキサン系有機Siからのアウトガスであることが開示されている。
特開昭62−66417号公報 特開平9−282642号公報 特開2002−275484号公報 特開2010−108583号公報 特開2013−163667号公報 特開2014−116060号公報
磁気記録再生装置の磁気ヘッドの浮上量をより小さくして記録密度を向上させるため、潤滑剤層の厚みをより一層薄くすることが求められている。
しかし、潤滑剤層の厚みを薄くすると、潤滑剤層に隙間が形成されて潤滑剤層による磁気記録媒体の表面の被覆率が低下し、潤滑剤層の下層の一部が露出される場合があった。そして、潤滑剤層に隙間が形成されると、潤滑剤層の隙間から潤滑剤層の下層に汚染物質を生成させる環境物質が侵入して、磁気記録媒体が汚染されてしまう。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、厚みを薄くしても高い被覆率で保護層の表面を被覆できる潤滑剤層を有し、潤滑剤層の下層に侵入した環境物質に起因するイオン成分の凝集を防止し、磁気記録媒体を汚染する汚染物質の生成を抑制して、磁気記録媒体の表面の汚染を効果的に防止でき、磁気記録媒体上に存在する汚染物質の磁気ヘッドへの付着(転写)を防止できる磁気記録媒体およびこれを備えた磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
本発明者は、厚みを薄くしてもアイランド状または網目状とならずに高い被覆率で保護層の表面を被覆できる潤滑剤層を得るために鋭意検討を重ねた。その結果、炭素または水素化炭素からなる保護層を改質し、特定の化合物である潤滑剤層を備える磁気記録媒体とすることで、磁気記録媒体の表面の汚染を効果的に防止でき、磁気記録媒体上に存在する汚染物質の磁気ヘッドへの付着(転写)を防止できる磁気記録媒体を実現できることを見出し、本発明を想到した。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]非磁性基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑剤層とをこの順序で有する磁気記録媒体であって、前記保護層は炭素または水素化炭素を含み、前記潤滑剤層は前記保護層上に接して形成されたものであり、前記潤滑剤層との界面における前記炭素保護層は窒素を含み、前記窒素の含有量が50原子%〜90原子%の範囲内であり、前記潤滑剤層は下記一般式(1)に示す化合物Aと、下記一般式(2)に示す化合物Bとを含み、前記化合物AおよびBに対する前記化合物Aの質量比(A/(A+B))が、0.05〜0.9の範囲内であり、前記潤滑剤層の平均膜厚が0.5nm〜2nmの範囲内であることを特徴とする磁気記録媒体。
R1−COCHCH(OH)CHOCH−R2−CHOCHCH(OH)CHOH ‥‥(1)
(一般式(1)中、R1は、炭素数1〜4のアルコキシ基である。R2は、−CFO(CFCFO)x(CFO)yCF−(x、yのカッコ内は、この順に、または逆に、またはランダムにつなげて良い(x、yは、それぞれ0〜15の実数である。)。)、または−CFCFO(CFCFCFO)zCFCF−(zは1〜15の実数である。)、または−CFCFCFO(CFCFCFCFO)nCFCFCF−、である(nは0〜4の実数である。)。

CH(OH)CH(OH)CHOCHCFCF(OCFCFCFOCFCFCHOCHCH(OH)CHOH ‥‥(2)
(一般式(2)中、mは4〜60の範囲の整数である。)
[2]前記化合物Aの平均分子量が1000〜2500の範囲内であることを特徴とする[1]に記載の磁気記録媒体。
[3]前記化合物Bの平均分子量が1000〜8000の範囲内であることを特徴とする[1]または[2]に記載の磁気記録媒体。
[4][1]〜[3]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、前記磁気記録媒体に情報の記録再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して相対運動させるヘッド移動部と、前記磁気ヘッドからの記録再生信号の処理を行う記録再生信号処理部と、を具備することを特徴とする磁気記録再生装置。
本発明の磁気記録媒体は、保護層と強い結合力で結合され、厚みを薄くしてもアイランド状または網目状とならずに高い被覆率で保護層の表面を被覆できる潤滑剤層を備えたものであるので、イオン性不純物などの汚染物質を生成させる環境物質が潤滑剤層の隙間から侵入することが防止される。このため、汚染物質を生成させる環境物質が潤滑剤層の隙間から侵入し、潤滑剤層の下層に侵入した環境物質が、潤滑剤層の下層に存在するイオン成分を凝集させて磁気記録媒体を汚染する汚染物質を生成させることによって、磁気記録媒体が汚染されることを効果的に防止できる。よって、本発明の磁気記録媒体は、磁気記録媒体上に存在する汚染物質が少ないものとなる。
また、本発明の磁気記録再生装置は、磁気記録媒体上に存在する汚染物質が少ない本発明の磁気記録媒体を備えるものであるので、磁気記録媒体上に存在する汚染物質が、磁気記録再生装置の磁気ヘッドに転写されて、記録再生特性が低下したり、浮上安定性が損なわれたりすることが防止されたものとなる。その結果、本発明の磁気記録再生装置は、安定した磁気記録再生特性を有するものとなる。
また、本発明の磁気記録媒体は、厚みが薄くても磁気記録媒体の表面の汚染を効果的に防止できる潤滑剤層を有するものであるので、潤滑剤層の厚みを十分薄くすることにより、さらなる記録密度の向上に対応可能しうるものとなるとともに、高温状態で使用した場合であっても、汚染されにくく、耐環境性に優れ、安定した磁気記録再生特性を有するものとなる。
本発明の磁気記録媒体の一例を示す断面模式図である。 本発明の磁気記録再生装置の一例を示す斜視図である。
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態である磁気記録媒体の一例を示す断面模式図である。
図1に示すように、本発明の実施形態である磁気記録媒体11は、非磁性基板1上に、磁性層2と保護層3と潤滑剤層4とがこの順序で積層されたものである。
なお、本実施形態においては、非磁性基板1と磁性層2との間に、密着層と軟磁性下地層とシード層と配向制御層とがこの順序で積層されている場合を例に挙げて説明する。密着層、軟磁性下地層、シード層、配向制御層は、必要に応じて設けられるものであり、これらのうちの一部または全部は設けられていなくてもよい。
(非磁性基板)
非磁性基板1としては、AlまたはAl合金などの金属または合金材料からなる基体上に、NiPまたはNiP合金からなる膜が形成されたものなどを用いることができる。また、非磁性基板1としては、ガラス、セラミックス、シリコン、シリコンカーバイド、カーボン、樹脂などの非金属材料からなるものを用いてもよいし、この非金属材料からなる基体上にNiPまたはNiP合金の膜を形成したものを用いてもよい。
(密着層)
密着層は、非磁性基板1と密着層上に設けられる軟磁性下地層とを接して配置した場合における非磁性基板1の腐食の進行を防止するものである。密着層の材料としては、例えば、Cr、Cr合金、Ti、Ti合金など適宜選択できる。密着層の厚みは、密着層を設けることによる効果が十分に得られるように2nm以上であることが好ましい。
密着層は、例えば、スパッタリング法により形成できる。
(軟磁性下地層)
軟磁性下地層は、第1軟磁性膜と、Ru膜からなる中間層と、第2軟磁性膜とが順に積層された構造を有していることが好ましい。すなわち、軟磁性下地層は、2層の軟磁性膜の間にRu膜からなる中間層を挟み込むことによって、中間層の上下の軟磁性膜がアンチ・フェロ・カップリング(AFC)した構造を有していることが好ましい。軟磁性下地層がAFCした構造を有していることにより、外部からの磁界に対しての耐性、並びに垂直磁気記録特有の問題であるWATE(Wide Area Tack Erasure)現象に対しての耐性を高めることができる。
軟磁性下地層の膜厚は、15〜80nmの範囲であることが好ましく、20〜50nmの範囲であることが更に好ましい。軟磁性下地層の膜厚が15nm未満であると、磁気ヘッドからの磁束を十分に吸収することができず、書き込みが不十分となり、記録再生特性が悪化する恐れがあるため、好ましくない。一方、軟磁性下地層の膜厚が80nmを超えると、生産性が著しく低下するため好ましくない。
第1および第2軟磁性膜は、CoFe合金からなるものであることが好ましい。第1および第2軟磁性膜がCoFe合金からなるものである場合、高い飽和磁束密度Bs(1.4(T)以上)を実現できる。
また、第1および第2軟磁性膜に使用されるCoFe合金には、Zr、Ta、Nbの何れかを添加することが好ましい。これにより、第1および第2軟磁性膜の非晶質化が促進され、シード層の配向性を向上させることが可能になるとともに、磁気ヘッドの浮上量を低減することが可能となる。軟磁性下地層は、スパッタリング法により形成できる。
(シード層)
シード層は、その上に設けられた配向制御層および磁性層2の配向や結晶サイズを制御するためのものであり、磁気ヘッドから発生する磁束の基板面に対する垂直方向成分を大きくするとともに、磁性層2の磁化の方向をより強固に非磁性基板1と垂直な方向に固定するために設けられている。
シード層は、NiW合金からなるものであることが好ましい。シード層がNiW合金からなるものである場合、必要に応じてNiW合金にB、Mn、Ru、Pt、Mo、Taなどの他の元素を添加してもよい。
シード層の膜厚は、2〜20nmの範囲であることが好ましい。シード層の膜厚が2nm未満であると、シード層を設けたことによる効果が十分に得られない場合がある。一方、シード層の膜厚が20nmを超えると、結晶サイズが大きくなるために好ましくない。
シード層は、スパッタリング法により形成できる。
(配向制御層)
配向制御層は、磁性層2の配向が良好なものとなるように制御するものである。配向制御層は、Ru又はRu合金からなるものであることが好ましい。
配向制御層の膜厚は、5〜30nmの範囲であることが好ましい。配向制御層の膜厚を30nm以下とすることで、磁気ヘッドと軟磁性下地層との間の距離が小さいものとなり、磁気ヘッドからの磁束を急峻にすることができる。また、配向制御層の膜厚を5nm以上とすることで、磁性層2の配向を良好に制御できる。
配向制御層は、1層からなるものであってもよいし、複数層からなるものであってもよい。配向制御層が複数層からなるものである場合、全ての配向制御層が同じ材料からなるものであってもよいし、少なくとも一部が異なる材料からなるものであってもよい。
配向制御層は、スパッタリング法により形成できる。
(磁性層)
磁性層2は、磁化容易軸が基板面に対して垂直方向を向いた磁性膜からなる。磁性層2は、CoとPtを含むものであり、更にSNR特性を改善するために、酸化物や、Cr、B、Cu、Ta、Zrなどを含むものであってもよい。
磁性層2に含有される酸化物としては、SiO、SiO、Cr、CoO、Ta、TiOなどが挙げられる。
磁性層2は、1層からなるものであってもよいし、組成の異なる材料からなる複数層からなるものであってもよい。
例えば、磁性層2が第1磁性層と第2磁性層と第3磁性層の3層からなる場合、第1磁性層は、Co、Cr、Ptを含み、さらに酸化物を含んだ材料からなるグラニュラー構造のものであることが好ましい。第1磁性層に含有される酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましい。その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。また、第1磁性層は、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、SiO−TiOなどを好適に用いることができる。
第1磁性層は、Co、Cr、Pt、酸化物の他に、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reの中から選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含むことにより、磁性粒子の微細化を促進、又は結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。
第2磁性層には、第1磁性層と同様の材料を用いることができる。第2磁性層は、グラニュラー構造のものであることが好ましい。
また、第3磁性層は、Co、Cr、Ptを含み、酸化物を含まない材料からなる非グラニュラー構造のものであることが好ましい。第3磁性層は、Co、Cr、Ptの他に、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Re、Mnの中から選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。第3磁性層がCo、Cr、Ptの他に上記元素を含むものであることにより、磁性粒子の微細化を促進、又は結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性及び熱揺らぎ特性を得ることができる。
磁性層2の厚みは、5〜25nmとすることが好ましい。磁性層2の厚みが上記未満であると、十分な再生出力が得られず、熱揺らぎ特性も低下する。また、磁性層2の厚さが上記範囲を超えた場合には、磁性層2中の磁性粒子の肥大化が生じ、記録再生時におけるノイズが増大し、信号/ノイズ比(S/N比)や記録特性(OW)に代表される記録再生特性が悪化するため好ましくない。
また、磁性層2が複数層からなるものである場合、隣接する磁性層の間には、非磁性層を設けることが好ましい。磁性層2が第1磁性層と第2磁性層と第3磁性層の3層からなる場合、第1磁性層と第2磁性層との間と、第2磁性層と第3磁性層との間に、非磁性層を設けることが好ましい。
磁性層間に非磁性層を適度な厚みで設けることで、個々の膜の磁化反転が容易になり、磁性粒子全体の磁化反転の分散を小さくすることができ、S/N比をより向上させることができる。
磁性層の間に設けられる非磁性層は、例えば、Ru、Ru合金、CoCr合金、CoCrX1合金(X1は、Pt、Ta、Zr、Re,Ru、Cu、Nb、Ni、Mn、Ge、Si、O、N、W、Mo、Ti、V、Zr、Bの中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の元素を表す。)などを好適に用いることができる。
また、磁性層の間に設けられる非磁性層としては、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物を含んだ合金材料を使用することが好ましい。具体的には、酸化物として、例えば、SiO、Al、Ta、Cr、MgO、Y、TiOなど、金属窒化物として、例えば、AlN、Si、TaN、CrNなど、金属炭化物として、例えば、TaC、BC、SiCなどをそれぞれ用いることができる。
磁性層の間に設けられる非磁性層の厚みは、0.1〜1nmとすることが好ましい。非磁性層の厚みを上記の範囲とすることで、S/N比をより向上させることができる。
非磁性層は、スパッタリング法により形成できる。
また、磁性層2は、より高い記録密度を実現するために、磁化容易軸が基板面に対して垂直方向を向いた垂直磁気記録の磁性層であることが好ましいが、面内磁気記録であってもよい。
磁性層2は、蒸着法、イオンビームスパッタ法、マグネトロンスパッタ法など従来の公知のいかなる方法によって形成してもよいが、通常、スパッタリング法により形成される。
(保護層、潤滑剤層)
保護層3は、記録層2を保護するものである。保護層3は、一層からなるものであってもよいし、複数層からなるものであってもよい。本実施形態の保護層3は、炭素または水素化炭素からなるものであり、炭素からなるものであることが好ましい。
本願発明では、保護層3に接して潤滑剤層4を設け、潤滑剤層4との界面における保護層3の炭素または水素化炭素に窒素を含有させる。そして、潤滑剤層4との界面における窒素の含有量は50原子%〜90原子%の範囲内とする。このような構成とすることで、保護層3と潤滑剤層4とが高い結合力で結合されたものとなり、その結果、潤滑剤層4の厚みが薄くても高い被覆率で保護層3の表面が被覆された磁気記録媒体11となり、磁気記録媒体11の表面の汚染を効果的に防止できる。
すなわち、本願発明の潤滑剤層は前記一般式(1)に示す化合物Aと、前記一般式(2)に示す化合物Bとを、化合物AおよびBに対する化合物Aの質量比(A/(A+B))を0.05〜0.9の範囲内として含むが、本願発明者の検討によると、化合物Aに含まれる六員環は炭素原子と強固に結合し、化合物Bに含まれる水酸基は窒素原子と強固に結合することが明らかになった。よって、潤滑剤層4との界面における炭素を含む保護層3の窒素含有量を上記特定の範囲内とすることで、保護層3と潤滑剤層4とを高い結合力で結合され、もって潤滑剤層4の厚みを薄くしても高い被覆率で保護層3の表面を被覆することが可能となる。
保護層3の膜厚は1nm〜10nmの範囲内とすることが好ましい。保護層3の膜厚が上記の範囲内である場合、本実施形態の磁気記録媒体11を備える磁気記録再生装置における磁気的スペーシングを十分に低減することができ、さらなる記録密度の向上に対応しうるものになるとともに、耐久性を向上させることができる。なお、磁気的スペーシングとは、磁気ヘッドと磁性層4との間の距離のことを意味する。磁気的スペーシングを狭くするほど磁気記録再生装置の電磁変換特性を向上させることができる。
保護層3の膜厚が1nm未満であると、記録層2を保護する効果が不十分となる場合がある。また、保護層3の膜厚が10nmを超えると、磁気的スペーシングの低減が不十分となる場合がある。
保護層3の成膜方法としては、カーボンターゲット材を用いるスパッタ法や、エチレンやトルエンなどの炭化水素原料を用いるCVD(化学蒸着法)法,IBD(イオンビーム蒸着)法などを用いることができる。
本願発明で、保護層3に窒素を含有させる方法としては公知の方法を用いることができるが、成膜時の炭素原料に窒素を含有させる方法、保護層3に窒素イオンを注入する方法を用いるのが好ましい。特に、保護層3の潤滑剤層4との界面のみを窒化させる方法としては、保護層3を炭素または水素化炭素で形成後、その表面のみに窒素イオンを注入する方法や、保護層3の表面を窒素プラズマに暴露して窒化する方法を採用するのが好ましい。
本願発明では、保護層3の潤滑剤層4との界面における窒素の含有量を50原子%〜90原子%の範囲内とするが、この含有量は、前述の方法においては、炭素原料に含有させる窒素の濃度、窒素イオンの注入量、窒素プラズマへの暴露時間、窒素プラズマ密度を制御することによって行うことができる。
潤滑剤層4は、図1に示すように、保護層3上に接して形成されたものであって、上記一般式(1)に示す化合物Aと、上記一般式(2)に示す化合物Bとを含む。
(化合物A)
上記一般式(1)に示す化合物Aは、平均分子量が1000〜2500の範囲内であることが好ましい。
化合物Aとしては、例えば、ART−1(商品名:松村石油研究所(MORESCO)社製)が挙げられる。ART−1(商品名)はR1が炭素数1のアルコキシ基、x、yがそれぞれ3〜7の範囲内の物質である。
(化合物B)
上記一般式(2)に示す化合物Bは、平均分子量が1000〜8000の範囲内であることが好ましい。
化合物Bとしては、例えば、D4OH(商品名:松村石油研究所(MORESCO)社製)が挙げられる。D4OH(商品名)は、一般式(2)のmが4〜30の範囲内であり、平均分子量が1000〜5000の範囲内であるものである。
(質量比(A/(A+B)))
潤滑剤層4は、化合物AおよびBに対する化合物Aの質量比(A/(A+B))が、0.05〜0.9の範囲内であるものであり、0.1〜0.8の範囲内であることが好ましい。質量比(A/(A+B))を0.05〜0.9の範囲内とすることにより、前述のように、化合物Aと、化合物Bとが形成する潤滑剤層4と、保護層3を形成する炭素原子および窒素原子との結合が強められ、保護層3と潤滑剤層4とが十分に高い結合力で結合されたものとなる。また、質量比(A/(A+B))を0.1〜0.8の範囲内とした場合、保護層3と潤滑剤層4との結合力がさらに高いものとなるため、汚染物質を生成させる環境物質が潤滑剤層4の隙間から侵入することをより効果的に防止できる。
質量比(A/(A+B))が0.05未満である場合、化合物Aが不足して、潤滑剤層4がアイランド状となりやすくなり、保護層3の被覆率が不十分になる。また、質量比(A/(A+B))が0.9を超えると、化合物Bが不足して、潤滑剤層4が網目状となりやすくなり、保護層3の被覆率が不十分になる。
(潤滑剤層の膜厚)
潤滑剤層4の平均膜厚は、0.5nm(5Å)〜2nm(20Å)の範囲内とされており、1nm〜1.9nmの範囲内であることが好ましい。
潤滑剤層4の平均膜厚を0.5nm以上とすることにより、化合物Aと、化合物Bとが形成する潤滑剤層4の特性が生かされ、アイランド状または網目状とならず均一の膜厚で、保護層3の表面を高い被覆率で被覆できる。
また、潤滑剤層4の平均膜厚を2nm以下とすることにより、磁気ヘッドの浮上量を十分小さくして、磁気記録媒体11の記録密度を高くすることができる。
なお、化合物Aのみを用いて形成した平均膜厚が2nm以下の膜は、化合物Aが大きな環状骨格の分子構造を有するものであるため、網目状となり、保護層3の表面を十分に高い被覆率で被覆することができない。
また、化合物Bのみを用いて形成した平均膜厚が2nm以下の膜も、保護層3との結合力(濡れ性)が不十分なためアイランド状となり、保護層3の表面を十分に高い被覆率で被覆することはできない。
保護層3の表面が潤滑剤層4によって十分に高い被覆率で被覆されていない場合、磁気記録媒体11の表面に吸着したイオン性不純物などの汚染物質を生成させる環境物質を含む水が、潤滑剤層4の隙間を通り抜けて、潤滑剤層4の下に侵入する。潤滑剤層の下層に侵入した環境物質は、潤滑剤層4の下に隠されていた微少なイオン成分を凝集させてイオン性の汚染物質を生成する。そして、磁気記録再生の際に、この汚染物質(凝集成分)が磁気ヘッドに付着(転写)して、磁気ヘッドを破損したり、磁気記録再生装置の磁気記録再生特性を低下させたりする。
このような潤滑剤層4の隙間からの環境物質の侵入に起因する問題は、磁気記録媒体11を高温条件下に保持した場合、より顕著に現れる。
(潤滑剤層の形成方法)
このような潤滑剤層4を形成するには、例えば、非磁性基板1上に保護層3までの各層の形成された製造途中の磁気記録媒体を用意し、製造途中の磁気記録媒体の保護層3上に潤滑剤層形成用溶液を塗布することにより形成する。
潤滑剤層形成用溶液は、化合物AおよびBに対する化合物Aの質量比(A/(A+B))が、0.05〜0.9の範囲内となるように、化合物Aと化合物Bとを混合し、溶媒で希釈して塗布方法に適した粘度および濃度とすることにより得られる。
潤滑剤層形成用溶液に用いられる溶媒としては、例えば、バートレルXF(商品名、三井デュポンフロロケミカル社製)等のフッ素系溶媒などが挙げられる。
潤滑剤層形成用溶液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコート法やディップ法などが挙げられる。
ディップ法を用いる場合、例えば、ディップコート装置の浸漬槽に入れられた潤滑剤層形成用溶液中に、保護層3までの各層が形成された非磁性基板1を浸漬し、その後、浸漬槽から非磁性基板1を所定の速度で引き上げることにより、潤滑剤層形成用溶液を非磁性基板1の保護層3上の表面に塗布する方法を用いることができる。ディップ法を用いることで、潤滑剤層形成用溶液を非磁性基板1の保護層3上の表面に均一に塗布することができ、保護層3上に均一な膜厚の潤滑剤層4を形成できる。
(磁気記録再生装置)
次に、本発明の実施形態である磁気記録再生装置の一例について説明する。図2は、本発明の実施形態である磁気記録再生装置の一例を示す斜視図である。
本発明の実施形態である磁気記録再生装置101は、図1に示す本発明の実施形態である磁気記録媒体11と、磁気記録媒体11を記録方向に駆動する媒体駆動部123と、記録部と再生部からなる磁気ヘッド124と、磁気ヘッド124を磁気記録媒体11に対して相対運動させるヘッド移動部126と、磁気ヘッド124からの記録再生信号の処理を行う記録再生信号処理部128とを具備したものである。
磁気ヘッド124の素子部(再生部)をGMRヘッドあるいはTMRヘッドで構成することにより、高記録密度においても十分な信号強度を得ることができ、高記録密度を持った磁気記録再生装置を実現することができる。
本実施形態の磁気記録再生装置101は、磁気記録媒体上に存在する汚染物質が少ない磁気記録媒体11を具備しているので、磁気記録媒体11上に存在する汚染物質が、磁気記録再生装置101の磁気ヘッド124に転写されて、記録再生特性が低下したり、浮上安定性が損なわれたりすることが防止されたものとなる。したがって、本発明の磁気記録再生装置101は、安定した磁気記録再生特性を有するものとなる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1〜11、比較例1〜10)
洗浄済みのガラス基板(HOYA社製、外形2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した。
その後、このガラス基板の上に、スパッタリング法によりCrターゲットを用いて層厚10nmの密着層を成膜した。
次いで、スパッタリング法により密着層の上に軟磁性下地層として、Co−20Fe−5Zr−5Ta{Fe含有量20原子%、Zr含有量5原子%、Ta含有量5原子%、残部Co}のターゲットを用いて100℃以下の基板温度で、層厚25nmの第1軟磁性層を成膜し、その上に層厚0.7nmのRuからなる中間層と、層厚25nmのCo−20Fe−5Zr−5Taからなる第2軟磁性層とを成膜した。
次に、軟磁性下地層の上に、スパッタリング法によりNi−6W{W含有量6原子%、残部Ni}ターゲットを用いて、層厚5nmのシード層を成膜した。
その後、シード層の上に、スパッタリング法により第1の配向制御層として、スパッタ圧力を0.8Paとして層厚10nmのRu層を成膜した。次に、第1の配向制御層上に、スパッタリング法により第2の配向制御層として、スパッタ圧力を1.5Paとして層厚10nmのRu層を成膜した。
続いて、第2の配向制御層の上に、スパッタリング法により91(Co15Cr16Pt)−6(SiO)−3(TiO){Cr含有量15原子%、Pt含有量16原子%、残部Coの合金を91mol%、SiOからなる酸化物を6mol%、TiOからなる酸化物を3mol%}からなる第1磁性層を、スパッタ圧力を2Paとして層厚9nmで成膜した。
次に、第1磁性層の上に、スパッタリング法により88(Co30Cr)−12(TiO){Cr含有量30原子%、残部Coの合金を88mol%、TiOからなる酸化物を12mol%}からなる非磁性層を層厚0.3nmで成膜した。
その後、非磁性層の上に、スパッタリング法により92(Co11Cr18Pt)−5(SiO)−3(TiO){Cr含有量11原子%、Pt含有量18原子%、残部Coの合金を92mol%、SiOからなる酸化物を5mol%、TiOからなる酸化物を3mol%}からなる第2磁性層を、スパッタ圧力を2Paとして層厚6nmで成膜した。
その後、第2磁性層の上に、スパッタリング法によりRuからなる非磁性層を層厚0.3nmで成膜した。
次いで、非磁性層の上に、スパッタリング法によりCo−20Cr−14Pt−3B{Cr含有量20原子%、Pt含有量14原子%、B含有量3原子%、残部Co}からなるターゲットを用いて、スパッタ圧力を0.6Paとして第3磁性層を層厚7nmで成膜した。
次いで、磁性層の表面にイオンビーム蒸着法を用いて水素化炭素膜を形成した。水素化炭素膜を成膜する際の原料ガスとしてガス化したトルエンを用いた。成膜条件として、まず成膜室に供給する原料ガスのガス流量を2.9SCCM、反応圧力を0.2Paとした。さらに、原料ガスの励起源であるカソード電力を225W(AC22.5V、10A)とした。そして、カソード電極とそれを覆うアノード電極間の電圧を75V、電流を1650mA、イオンの加速電圧を200V、180mA、成膜時間を1.5秒とし、厚さが3.5nmになるように水素化炭素膜を成膜した。
水素化炭素膜を形成する工程後、原料ガスの供給を停止し、成膜室内を2秒間排気した。次いで、窒素をガス流量2SCCM、反応圧力を5Paとし、成膜室内に供給した。そして、カソード電力を128W(AC16V、8A)とした。また、カソード電極とアノード電極間の電圧を75V、電流を1000mA、イオンの加速電圧を200V、90mA、処理時間を1秒として窒素ガスから形成した窒素イオンを、水素化炭素膜の表面に照射した。これにより、水素化炭素膜の表面の脱水素化と窒化を行った。
水素化炭素膜の表面処理後、その最表面の組成を二次イオン質量分析法(SIMS)で測定したところ、窒素が80原子%、炭素が20原子%であった(実施例1)。なお、実施例2〜11、比較例1〜10においては、水素化炭素膜の表面の脱水素化、窒化処理時間を調整することにより、水素化炭素膜の最表面(保護層における潤滑剤層との界面部)の組成を表1のように変化させた。
次に、ディップ法を用いて、以下に示すように保護層上に潤滑剤層を形成した。
潤滑剤層を形成する化合物Aとしては、ART−1(商品名)、化合物Bとしては、D4OH(商品名)を用いたが、その他に、表1に示すように、A2OH−2000(商品名:松村石油研究所(MORESCO)社製)(表1においては「A2OH」と略記する。)または、ADOH−2000(商品名:松村石油研究所(MORESCO)社製)(表1においては「ADOH」と略記する。)を用いた。A2OH、ADOHは何れも本願発明の化合物A、Bには相当しないが、表1では便宜的に化合物Aとして記載している。
A2OH−2000(商品名)は、下記一般式(3)における、xが5であり、RがCFであり、Rが、−OCHCFO(CFCFO)(CFO)CFCHOH(tは10.5,uは10.1)である。
また、ADOH−2000(商品名)は、下記一般式(3)における、xが5であり、RがCFであり、Rが、−OCHCFO(CFCFO)(CFO)CFCHOCHCH(OH)CHOH(pは10.7,qは10.4)である。
Figure 0005815896
(上記一般式(3)中、xは1〜5の整数であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基のいずれかであり、Rは末端基が−CHOHまたは−CH(OH)CHOHの置換基である。)
そして、以上の化合物の質量比(A/(A+B))を表1のように調整して潤滑剤層形成用溶液とした。なお、実施例1〜11および比較例1〜10の潤滑剤層形成用溶液を溶解するための溶媒としては、いずれもバートレルXF(商品名、三井デュポンフロロケミカル社製)を用いた。また、実施例1〜11および比較例1〜10の潤滑剤層形成用溶液中における潤滑剤の濃度はいずれも0.3質量%とした。
次に、ディップ法を用いて、以下に示す方法により実施例1〜11および比較例1〜10潤滑剤層形成用溶液を、非磁性基板の保護層上にそれぞれ塗布した。
すなわち、ディップコート装置の浸漬槽に入れられた潤滑剤層形成用溶液中に、保護層までの各層が形成された非磁性基板を浸漬し、その後、浸漬槽から非磁性基板を一定の速度で引き上げることにより、潤滑剤層形成用溶液を非磁性基板の保護層上の表面に塗布した。潤滑剤層の層厚は、全て1.3nmとした。
その後、潤滑剤層形成用溶液の塗布された表面を乾燥させることにより、潤滑剤層を形成し、実施例1〜11、比較例1〜10の磁気記録媒体を得た。
このようにして得られた磁気記録媒体の化合物AおよびBに対する化合物Aの質量比(A/(A+B))を表1に示す。
(磁気記録媒体の耐環境性評価)
実施例1〜11および比較例1〜10の磁気記録媒体の耐環境性を以下に示す方法により評価した。以下に示す耐環境性の評価は、高温環境下において汚染物質を生成させる環境物質による磁気記録媒体の汚染を調べる評価手法の一つである。以下に示す耐環境性の評価では、高温環境下における汚染物質を生成させる環境物質としてSiイオンを用い、環境物質によって生成された磁気記録媒体を汚染する汚染物質の量としてSi吸着量を測定した。
具体的には、まず、評価対象である磁気記録媒体を、温度85℃、湿度0%の高温環境下で、シロキサン系Siゴムの存在下に240時間保持した。
次に、磁気記録媒体の表面に存在するSi吸着量をSIMSを用いて分析測定して、高温環境下における環境物質であるSiイオンによる汚染の程度をSi吸着量として評価した。
なお、Si吸着量の評価は、比較例1の結果を1.00としたときの数値を用いて評価した。その結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜11の磁気記録媒体では、比較例1〜10の磁気記録媒体と比較して、Si吸着量が非常に少なく、高温環境下において環境物質によって汚染されにくいことが明らかになった。
Figure 0005815896
本発明の磁気記録媒体及び磁気記録再生装置は、高記録密度の磁気記録媒体及び磁気記録再生装置を利用・製造する産業において利用可能性がある。
1…非磁性基板、2…磁性層、3…保護層、4…潤滑剤層、11…磁気記録媒体、101…磁気記録再生装置、123…媒体駆動部、124…磁気ヘッド、126…ヘッド移動部、128…記録再生信号処理部。

Claims (2)

  1. 非磁性基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑剤層とをこの順序で有する磁気記録媒体であって、前記保護層は炭素または水素化炭素を含み、前記潤滑剤層は前記保護層上に接して形成されたものであり、前記潤滑剤層との界面における前記炭素保護層は窒素を含み、前記窒素の含有量が50原子%〜90原子%の範囲内であり、前記潤滑剤層は下記一般式(1)に示す化合物Aと、下記一般式(2)に示す化合物Bとを含み、前記化合物AおよびBに対する前記化合物Aの質量比(A/(A+B))が、0.05〜0.9の範囲内であり、前記潤滑剤層の平均膜厚が0.5nm〜2nmの範囲内であり、
    前記化合物Aの平均分子量が1000〜2500の範囲内であり、前記化合物Bの平均分子量が1000〜5000の範囲内であることを特徴とする磁気記録媒体。
    R1−COCHCH(OH)CHOCH−R2−CHOCHCH(OH)CHOH ‥‥(1)
    (一般式(1)中、R1は、炭素数1〜4のアルコキシ基である。R2は、−CFO(CFCFO)x(CFO)yCF−(x、yのカッコ内は、この順に、または逆に、またはランダムにつなげて良い(x、yは、それぞれ3〜7の実数である。)。
    CH(OH)CH(OH)CHOCHCFCF(OCFCFCFOCFCFCHOCHCH(OH)CHOH ‥‥(2)
    (一般式(2)中、mは4〜0の範囲の整数である。)
  2. 請求項1に記載の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、前記磁気記録媒体に情報の記録再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して相対運動させるヘッド移動部と、前記磁気ヘッドからの記録再生信号の処理を行う記録再生信号処理部と、を具備することを特徴とする磁気記録再生装置。
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