JP6175265B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録媒体の製造方法に関する。
磁気記憶装置は、近年、パーソナルコンピュータ、動画レコーダ、データサーバなど様々な製品に搭載され、その重要性が増している。磁気記憶装置は、電子データを磁気記録により保存する磁気記録媒体を有する装置であり、例えば、磁気ディスク装置、可撓性ディスク装置、磁気テープ装置などを含む。磁気ディスク装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などを含む。
一般的な磁気記録媒体は、例えば非磁性基板上に下地層、中間層、磁気記録層及び保護層をこの順に成膜し、保護層の表面に潤滑層を塗布した多層膜積層構造を有する。磁気記録媒体を形成する各層の間に不純物などが混入することを防止するため、磁気記録媒体の製造には、減圧下で連続して各層を積層できるインライン式真空成膜装置が用いられる(例えば、特許文献1)。
インライン式真空成膜装置では、基板に成膜可能な成膜手段を具備する複数の成膜用チャンバが、加熱処理を行うチャンバや予備チャンバなどと共に、ゲートバルブを介して連結されており、一本の成膜ラインを形成している。キャリアに基板を装着して成膜ラインを通過させる間に、基板に所定の層を成膜して、所望の磁気記録媒体を製造する。
一般的に、成膜ラインは環状に配置され、成膜ライン上に、基板をキャリアに装着またはキャリアから脱着する基板装脱着チャンバが備えられている。成膜チャンバ間を一巡したキャリアは基板装脱着チャンバに供給され、キャリアから成膜後の基板を脱着されると共に、成膜後の基板が取り外されたキャリアには新たに基板を装着される。
また、磁気記録媒体の表面に潤滑層を形成する方法として、真空容器内に磁気記録媒体を載置し、真空容器内に加熱によりガス化した潤滑剤を導入するベーパールブ(Vapor-Phase Lubrication)成膜方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
また、潤滑層を2層で形成し、保護層側に、化学的に安定で、且つ、保護層と適度な密着性を有する固定的層(または、ボンド層)を備え、表面側に、主に低摩擦係数の材料からなる流動的層(または、フリー層)を備える磁気記録媒体が提案されている(例えば、特許文献3)。
さらに、保護層と潤滑層との結合率(または、ボンデッド率)を70%以上まで高めるため、保護層を窒素化カーボンで形成し、潤滑層をアミン構造を含む末端基を有するパーフルオロポリエーテルで形成することが提案されている(例えば、特許文献4)。なお、特許文献4でボンデッド率は、潤滑層を形成後の磁気記録媒体を、フロロカーボン溶媒に5分間超音波を加えながら浸漬し、同一媒体の同一位置における浸漬前後の1270cm−1付近の吸光度をESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)で測定し、その比の百分率((浸漬後吸光度/浸漬前吸光度)×100)として定義される。
特開平8−274142号公報 特開2004−002971号公報 特開2006−147012号公報 特開2000−222719号公報
磁気記録媒体と磁気ヘッドとの接触を考慮すると、潤滑層の摩擦係数は低いことが好ましい。一方、磁気記録媒体の耐食性を考慮すると、潤滑層による保護層の表面の被覆率は高いことが好ましい。
そこで、本発明は、潤滑層の摩擦係数を低く、且つ、潤滑層による保護層の表面の被覆率を高くすることのできる磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一観点によれば、被積層体上に、磁気記録層、保護層、潤滑層をこの順で形成する磁気記録媒体の製造方法であって、前記潤滑層の形成は、前記保護層を形成後の被積層体を大気に触れさせることなくベーパールブ成膜方法を用いて第1の潤滑剤を前記被積層体に塗布し、前記第1の潤滑剤を塗布後、前記被積層体を大気に触れさせることなくベーパールブ成膜方法を用いて第2の潤滑剤を前記被積層体に塗布し、前記第1の潤滑剤の分子量は前記第2の潤滑剤の分子量より低く、前記第1の潤滑剤の極性は前記第2の潤滑剤の極性より高い磁気記録媒体の製造方法が提供される。
本発明の他の観点によれば、被積層体上に、磁気記録層、保護層、潤滑層をこの順で形成する磁気記録媒体の製造方法であって、前記潤滑層の形成は、前記保護層を形成後の被積層体を大気に触れさせることなくベーパールブ成膜方法を用いて第1の潤滑剤を前記被積層体に塗布し、前記第1の潤滑剤を塗布後、前記被積層体を大気に触れさせることなくベーパールブ成膜方法を用いて第2の潤滑剤を前記被積層体に塗布し、前記第1の潤滑剤の分子量は前記第2の潤滑剤の分子量より高く、前記第1の潤滑剤の極性は前記第2の潤滑剤の極性より低く、前記第2の潤滑剤を前記被積層体に塗布する工程は、前記被積層体に塗布された前記第1の潤滑剤の一部または全部を前記第2の潤滑剤に置換する工程である磁気記録媒体の製造方法が提供される。
開示の磁気記録媒体の製造方法及び装置によれば、潤滑層の摩擦係数を低く、且つ、潤滑層による保護層の表面の被覆率を高くすることができる。
本発明の一実施形態で用いる磁気記録媒体の製造装置の一例を示す模式図である。 図1の製造装置で製造される磁気記録媒体の一例を示す断面図である。 本実施形態において製造された磁気記録媒体を備えた磁気記憶装置の構成の一例を示す斜視図である。
以下に、本発明の各実施形態における磁気記録媒体の製造方法を図面と共に説明する。
本発明者の検討によると、磁気記録媒体の磁気記録層から潤滑層までの形成プロセスを、被積層体を大気に触れさせることなく連続的に行うと、潤滑層に含まれるボンド層の比率(または、ボンデッドレシオ)を潤滑剤の種類によっては100%近くまで高められることが明らかになった。しかし、本発明者の検討によると、潤滑層のボンデッドレシオは、必ずしも100%が最適値であるわけではない。磁気記録媒体と磁気ヘッドとが接触した場合の摩擦係数を低減するという観点からすると、潤滑層は適度なフリー層を含むことが好ましい。一方、磁気記録媒体の耐食性を高めるという観点からすると、潤滑層による保護層の表面の被覆率を高めることが好ましい。
そこで、本発明者は、以下に説明するように、潤滑層の保護層の表面に対するボンデッドレシオを適正な範囲内で高めることで潤滑層に適度なフリー層を含めると共に、潤滑層による保護層の表面の被覆率を高める磁気記録媒体の製造方法を見出した。
磁気記録媒体の潤滑層は、保護層側では保護層と強固に結合し(すなわち、ボンデッドレシオが高く)化学的に安定したボンド層が求められ、表面側では主に低摩擦係数の材料で形成されたフリー層が求められる。ここで、ベーパールブ成膜方法を用いれば、前記のボンド層は容易に形成することができるが、保護層の表面の潤滑剤による被覆率を高め、且つ、潤滑層に適度なフリー層を含有させることは困難であった。すなわち、このような特性を有する磁気記録媒体の潤滑層は、特殊な潤滑剤やそれらと他の潤滑剤との混合物で形成する場合が多いが、このような潤滑剤をベーパールブ成膜方法で塗布しようとすると、分子量の低い低沸点の化合物のみが先に蒸発して塗布されてしまったり、化合物を同時に蒸発させるために加熱温度を高くすると潤滑剤に含まれる化合物の一部が分解または熱重合して別の化合物に変質してしまったりするという問題があった。
これに対し、以下に説明する磁気記録媒体の製造方法の各実施形態では、ベーパールブ成膜方法で第1の潤滑剤を被積層体に塗布した後、ベーパールブ成膜方法で第2の潤滑剤を被積層体に塗布するため、ボンド層とフリー層を適度に含む潤滑層を形成することができる。
また、磁気記録媒体の製造方法の第1の実施形態では、第1の潤滑剤は、第2の潤滑剤より分子量が低く、第2の潤滑剤より極性が高いことが好ましい。ベーパールブ成膜方法で分子量の低い潤滑剤を塗布して潤滑層を形成した場合、潤滑層による保護層の被覆率を高めることができる。これは、分子量の低い潤滑剤は、高分子の鎖が短く、保護層の表面に均一に分布しやすいのに対し、分子量の高い潤滑剤は、高分子の鎖が長く鎖同士が絡み合って網状となり、保護層の表面を被覆できない領域が生じやすいからである。また、第1の潤滑剤の極性を第2の潤滑剤より高くすることで、保護層の表面に対するボンデッドレシオを高くすることができる。従って、ベーパールブ成膜方法で分子量の低い第1の潤滑剤を被積層体に塗布した場合、保護層の表面に対するボンデッドレシオ及び被覆率の高いボンド層を形成しやすくなり、磁気記録媒体の耐食性を高めることもできる。
磁気記録媒体の製造方法の第1の実施形態では、第2の潤滑剤は、第1の潤滑剤より分子量が高く、第1の潤滑層より極性が低いことが好ましい。第2の潤滑剤は、潤滑層では主にフリー層として作用するが、第2の潤滑剤の分子量を高くすることで熱的安定性が高まり、高温の使用環境においても磁気ヘッドに対して低い摩擦係数が得られ、信頼性の高い磁気記録媒体を提供可能となる。また、第2の潤滑剤の極性を第1の潤滑剤より低くすることで、潤滑剤が磁気ヘッド(または、ヘッドスライダ)に付着する現象(以下、「ルブピックアップ」とも言う)を低減できる。
また、磁気記録媒体の製造方法の第1の実施形態では、第1の潤滑剤として、分子量が500〜2000の範囲内のテトラオールを含むのが好ましい。第1の潤滑剤にこのような化合物を用いることで、被積層体の表面への潤滑剤の被覆率を高めることができる。なお、テトラオールとは、4個の水酸基が4個の異なる炭素に結合している脂肪族あるいは脂環式化合物の総称であり、例えば、下記の化合物が例示できる。第1の潤滑剤がテトラオールを含む場合、第1の潤滑剤の極性は、潤滑剤に含まれる水酸基の量で調整可能である。
Figure 0006175265
磁気記録媒体の製造方法の第1の実施形態では、第2の潤滑剤として、分子量が1500〜5000の範囲内のジオールを含むのが好ましい。このような化合物は、熱安定性が高く、高温の使用環境においても磁気ヘッドに対して低い摩擦係数を得やすい。なお、ジオールとは、2個の水酸基が2個の異なる炭素に結合している脂肪族あるいは脂環式化合物の総称であり、例えば、下記の化合物が例示できる。第2の潤滑剤がジオールを含む場合、潤滑剤の極性は水酸基の量で調整可能である。第1の実施形態では、第1の潤滑剤(例えば、テトラオール)の極性は、第2の潤滑剤(例えば、ジオール)の極性より高く調整される。
Figure 0006175265
磁気記録媒体の製造方法の第1の実施形態では、第2の潤滑剤として、前述のジオールに代えて、または前述のジオールと混合して、次式(1)〜(3)の潤滑剤を用いることができる。これらの潤滑剤は、熱的安定性が高く、高温の使用環境においても磁気ヘッドに対して低い摩擦係数を得やすい。なお、これらの潤滑剤を混合して用いる場合は、各潤滑剤の塗布時の蒸気圧をなるべく同じにして、ベーパールブ成膜方法のプロセスガス中に、各潤滑剤が均一に含まれるようにすることが好ましい。
Figure 0006175265
Figure 0006175265
Figure 0006175265
上記一般式(1)中、xは1〜5の整数であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基のいずれかであり、Rは末端基が−CHOHまたは−CH(OH)CHOHの置換基である。上記一般式(2)中、nは4〜36の範囲の整数である。下記一般式(3)中、a、b、c、dは4〜40の範囲の整数である。
一方、磁気記録媒体の製造方法の第2の実施形態では、第1の潤滑剤は、第2の潤滑剤より分子量が高く、第2の潤滑剤より極性が低く、第2の潤滑剤は、第1の潤滑剤より分子量が低く、第1の潤滑層より極性が高く、第2の潤滑剤を被積層体に塗布する工程は、被積層体に塗布された第1の潤滑剤の一部または全部を第2の潤滑剤に置換する工程とする。このような製造方法を採用することで、前記第1の実施形態と類似した構造の磁気記録媒体を製造できるが、これにより潤滑層による保護層の被覆率を高めることが可能となり、またフリー層の熱的安定性を高め、高温の使用環境においても磁気ヘッドに対して低い摩擦係数が得られ、信頼性の高い磁気記録媒体を提供可能となる。
また、磁気記録媒体の製造方法の第2の実施形態では、第1の潤滑剤として、分子量が1500〜5000の範囲内のジオールを含むのが好ましい。第1の潤滑剤にこのような化合物を用いることで、被積層体の表面への潤滑剤の被覆率を高めることができる。なお、ジオールとは、2個の水酸基が2個の異なる炭素に結合している脂肪族あるいは脂環式化合物の総称であり、例えば、下記の化合物が例示できる。第1の潤滑剤がジオールを含む場合、ジオールの極性は水酸基の量で調整可能である。
Figure 0006175265
磁気記録媒体の製造方法の第2の実施形態では、第2の潤滑剤として、分子量が500〜2000の範囲内のテトラオールを含むのが好ましい。このような化合物は、熱安定性が高く、高温の使用環境においても磁気ヘッドに対して低い摩擦係数を得やすい。なお、テトラオールとは、4個の水酸基が4個の異なる炭素に結合している脂肪族あるいは脂環式化合物の総称であり、例えば、下記の化合物が例示できる。第2の潤滑剤がテトラオールを含む場合、テトラオールの極性は水酸基の量で調整可能である。第1の実施形態では、第1の潤滑剤(例えば、ジオール)の極性は、第2の潤滑剤(例えば、テトラオール)の極性より高く調整される。
Figure 0006175265
磁気記録媒体の製造方法の第2の実施形態では、第2の潤滑剤として、前述のテトラオールに代えて、または前述のテトラオールと混合して、次式(4)〜(6)の潤滑剤を用いることができる。これらの潤滑剤は、熱的安定性が高く、高温の使用環境においても磁気ヘッドに対して低い摩擦係数を得やすい。なお、これらの潤滑剤を混合して用いる場合は、各潤滑剤の塗布時の蒸気圧をなるべく同じにして、ベーパールブ成膜方法のプロセスガス中に、各潤滑剤が均一に含まれるようにすることが好ましい。
Figure 0006175265
Figure 0006175265
Figure 0006175265
上記一般式(4)中、xは1〜5の整数であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基のいずれかであり、Rは末端基が−CHOHまたは−CH(OH)CHOHの置換基である。上記一般式(5)中、nは4〜36の範囲の整数である。下記一般式(6)中、a、b、c、dは4〜40の範囲の整数である。
磁気記録媒体の製造方法の各実施形態では、保護層の形成後で第1の潤滑剤を被積層体に塗布する工程の前に、保護層の表面を窒化または酸化することが好ましい。また、保護層、または保護層を形成後の表層部を、窒化炭素または酸化炭素で形成することが好ましい。
本発明者の検討結果によると、保護層に純炭素を用い、潤滑層の形成に、磁気記録媒体の製造方法の各実施形態のベーパールブ成膜方法を用いると、潤滑層に含まれるボンド層のボンデッドレシオを100%まで高められる場合がある。しかし、前述のように、潤滑層のボンデッドレシオは、必ずしも100%が最適値であるわけではなく、潤滑層には適度なフリー層を設けることが好ましい。そこで、磁気記録媒体の製造方法の各実施形態では、保護層の表面を窒化または酸化し、または、保護層、または保護層を形成後の表層部を窒化炭素または酸化炭素で形成することで、潤滑層に含まれるボンド層(主に、第1の潤滑剤により形成された層)のボンデッドレシオを100%より下げ、フリー層(主に、第2の潤滑剤により形成された層)を保護層の表面に結合させる。これにより、フリー層による磁気ヘッドへの低い摩擦係数を維持しつつ、ルブピックアップを低減することができる。なお、ルブピックアップが生ずると、ヘッドスライダの摩擦係数が高まりHDDの安定的な動作が困難になることが知られている。
磁気記録媒体の製造方法の各実施形態において、保護層の表面を窒化または酸化し、または、保護層、または保護層を形成後の表層部を窒化炭素または酸化炭素で形成する場合には、周知の方法を用いることができる。例えば、周知の方法は、保護層の表面に窒素原子または酸素原子を注入したり、保護層の成膜プロセス中またはプロセスの後期に反応容器内に窒素ガスまたは酸素ガスを導入しても良い。
磁気記録媒体の製造方法の各実施形態では、保護層と第1の潤滑剤とのボンデッドレシオを60%〜90%の範囲内とすることが好ましい。保護層と第1の潤滑剤とのボンデッドレシオをこのような範囲内とすることで、第2の潤滑剤により形成されるフリー層と保護層の表面との間で適度な結合を得ることができる。磁気記録媒体の製造方法の各実施形態では、保護層と第2の潤滑剤とのボンデッドレシオを10%〜30%の範囲内とすることが好ましい。
なお、ボンデッドレシオは、潤滑層を形成後の磁気記録媒体を、フロロカーボン溶媒に5分間浸漬し、同一媒体の同一位置における浸漬前後の1270cm−1付近の吸光度をESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)で測定し、その比の百分率((浸漬後吸光度/浸漬前吸光度)×100)として測定した。フロロカーボン溶媒には、バートレルXF(商品名、三井デュポンフロロケミカル社製)、またはその相当品を使用した。
磁気記録媒体の製造方法の各実施形態では、ベーパールブ成膜方法による第1の潤滑剤を被積層体に塗布する第1の処理室と、第2の潤滑剤を被積層体に塗布する第2の処理室を設け、第1の処理室と第2の処理室との間に被積層体を搬送する搬送領域を設け、第1の処理室におけるプロセスガス圧をA、第2の処理室におけるプロセスガス圧をB、搬送領域におけるプロセスガス圧をCとした場合、C>A、且つ、C>Bなる関係を満足することが好ましい。
次に、被積層体上に、磁気記録層、保護層、潤滑層をこの順で形成する磁気記録媒体の製造方法の一例について説明する。
図1は、本発明の一実施形態で用いる磁気記録媒体の製造装置の一例を示す模式図である。図1に示す磁気記録媒体の製造装置は、磁気記録媒体の保護層までを形成する成膜装置101と、保護層の表面に潤滑層を形成するベーパールブ成膜装置102を有する。
成膜装置101は、チャンバ間ゲートバルブGを介して、基板装脱着用チャンバ903、第1のコーナーチャンバ904、第1の処理チャンバ905、第2の処理チャンバ906、第2のコーナーチャンバ907、第3の処理チャンバ908、第4の処理チャンバ909、第5の処理チャンバ910、第6の処理チャンバ911、第7の処理チャンバ912、第8の処理チャンバ913、第3のコーナーチャンバ914、第9の処理チャンバ915、第10の処理チャンバ916、第4のコーナーチャンバ917、保護層を形成する第11及び第12の処理チャンバ918,919、保護層の表面への窒素原子または酸素原子の注入を行う第13の処理チャンバ920、及び予備チャンバ921が環状に連結された構成を有する。各チャンバ903〜921は、複数の隔壁に囲まれ、減圧状態とすることが可能な空間部を備えている。
互いに隣接するチャンバ間(例えば、チャンバ905,906間)には、高速で開閉自在なチャンバ間ゲートバルブGが設置されている。全てのゲートバルブGの開閉動作は、同じタイミングで行われる。これにより、基板(図示せず)を搬送する複数のキャリア925を規則正しく互いに隣接チャンバの一方から他方に移動できる。
第1〜第13の処理チャンバ905,906,908〜913,915,916,918〜920には、夫々基板加熱手段(または、基板ヒータ)、成膜手段(または、成膜部)、プロセスガス供給手段(または、フロンガス供給部)、処理手段、排気手段(または、排気部)などを備えている。成膜手段は、例えばスパッタ装置、イオンビーム成膜装置で形成可能である。ガス供給手段と排気手段により、必要に応じてプロセスガスを流すことができる。
例えば、第1の処理チャンバ905から第10の処理チャンバ916までが、磁気記録媒体の磁気記録層までの成膜に使用され、第11及び第12の処理チャンバ918,919が保護層の成膜に使用される。この例では、第13の処理チャンバ920は、保護層の表面への窒素原子または酸素原子の注入を行うが、具体的には、プラズマによって窒素ガスまたは酸素ガスをイオン化し、このイオンを高電圧によって加速して保護層の表面に注入する。
なお、第1〜第13の処理チャンバ905,906,908〜913,915,916,918〜920のベースプレッシャー(到達圧)は、例えば1×10-5Paに設定されている。
コーナーチャンバ904,907,914,917は、磁気記録媒体の成膜装置101のコーナーに配置され、キャリア925の向きをキャリア925の進行方向に変更する。コーナーチャンバ904,907,914,917内は高真空に設定されており、減圧雰囲気でキャリア925を回転可能である。
図1に示すように、第1のコーナーチャンバ904と予備チャンバ921との間には、基板装脱着用チャンバ903が配置されている。基板装脱着用チャンバ903の空間部は、他のチャンバの空間部より大きい。基板装脱着用チャンバ903内には、基板を装着または脱着可能なキャリア925が2台配置されている。1台のキャリア925で基板の装着を行い、別の一台のキャリア925で基板の脱着を行う。各キャリア925は同時に、図1の矢印で示す方向に搬送される。基板装脱着用チャンバ903には、基板搬入用チャンバ902及び基板搬出用チャンバ922が連結されている。
基板搬入用チャンバ902内には、1台の真空ロボット111が配置され、基板搬出用チャンバ922内には別の1台の真空ロボット112が配置されている。真空ロボット111,112は、搬送装置の一例である。基板搬入用チャンバ902は、真空ロボット111を用いて、基板装脱着用チャンバ903内のキャリア925に基板を装着する。また、基板搬出用チャンバ922は、真空ロボット112を用いて、基板装脱着用チャンバ903内のキャリア925から基板を脱着する。
基板搬入用チャンバ902には、チャンバ間ゲートバルブGを介してエアロックチャンバ12が接続されている。基板搬出用チャンバ922には、チャンバ間ゲートバルブGを介してエアロックチャンバ13が接続されている。各エアロックチャンバ12,13は、内部に複数の基板(例えば、50枚)を蓄積可能である。各エアロックチャンバ12,13は、蓄積された基板を各エアロックチャンバ12,13の両側で受け渡しする機能を有し、各エアロックチャンバ12,13の動作は以下に説明する処理の繰り返しである。
(成膜装置への基板の搬入)
成膜装置101への基板の搬入は、以下のステップs1〜s9を含む処理で実現できる。
ステップs1: ゲートバルブG1,G2を閉じる。
ステップs2: エアロックチャンバ12内を大気圧にする。
ステップs3: ゲートバルブG1を開く。
ステップs5: 搬送装置の一例である基板搬入ロボット940により複数の基板(例えば、50枚)をエアロックチャンバ12内に搬入する。
ステップs6: ゲートバルブG1を閉じる。
ステップs7: エアロックチャンバ12内を真空まで減圧する。
ステップs8: ゲートバルブG2を開く。
ステップs9: 真空ロボット111を用いて、エアロックチャンバ12内の基板を基板装脱着用チャンバ903内のキャリア925に装着する。
(成膜装置からの被積層体の搬出とベーパールブ成膜装置への被積層体の搬入)
成膜装置101からの被積層体の搬出とベーパールブ成膜装置102への被積層体の搬入は、以下のステップs11〜s18を含む処理で実現できる。
ステップs11: ゲートバルブG3,G4を閉じる。
ステップs12: エアロックチャンバ13内を真空まで減圧する。
ステップs13: ゲートバルブG3を開く。
ステップs14: 真空ロボット112を用いて、基板装脱着用チャンバ903内のキャリア925から基板を外し、エアロックチャンバ12内に積載する。
ステップs15: エアロックチャンバ12内の基板が一杯(例えば、50枚)になるとゲートバルブG3を閉じる。
ステップs16: エアロックチャンバ13内を真空まで減圧する。
ステップs17: ゲートバルブG4を開く。
ステップs18: 真空容器内942内に設けられた真空ロボット941を用いてエアロックチャンバ12内の基板(例えば、50枚)をベーパールブ成膜装置102に搬入する。真空ロボット941は、搬送装置の一例である。
図1の説明に戻るに、ベーパールブ成膜装置102は、不活性ガスを充填する隔離チャンバ943、第1の潤滑剤を被積層体に塗布する第1の処理室の一例であるベーパールブプロセスチャンバ944a、第2の潤滑剤を被積層体に塗布する第2の処理室の一例であるベーパールブプロセスチャンバ944c、第1の処理室と第2の処理室の間に設けられた分離室の一例である分離チャンバ944b、エアロックチャンバ945、及び搬送カセットの戻り経路チャンバ947がゲートバルブG(G6,G11,G12,G7,G9,G10)を介して接続された構成を有する。分離チャンバ944bは、被積層体を第1の処理室944aから第2の処理室944cへ搬送するための搬送領域としても機能する。
エアロックチャンバ945の隣には、潤滑層を形成した被積層体を取り出すための基板搬出ロボット946が設けられている。基板搬出ロボット946は、搬送装置の一例である。各チャンバ943〜945,947間を複数の被積層体(例えば、50枚)を搬送するための搬送手段の一例である搬送カセット948が移動する。ベーパールブ成膜装置102内の各チャンバには、必要に応じてガス供給手段(または、ガス供給部)、排気手段(または、排気部)などが備えられている。
各実施形態では、ベーパールブプロセスチャンバ(以下、第1の処理室とも言う)944aにおけるプロセスガス圧をA、ベーパールブプロセスチャンバ(以下、第2の処理室とも言う)944cにおけるプロセスガス圧をB、搬送領域における分離チャンバ944bのガス圧をCとした場合、C>A、且つ、C>Bなる関係を満足することが好ましい。このような構成とすることで、第1の処理室944aにおけるプロセスガスと、第2の処理室944cにおけるプロセスガスが混合することを防止し、第1の処理室944aでは第1の潤滑剤のみによる保護層の被覆率が高く強固に結合した第1の潤滑層を形成し、その後、第2の処理室944cでは第2の潤滑剤のみを塗布するため、ボンド層とフリー層を適度に含む潤滑層を形成することができる。
各実施形態では、搬送領域、すなわち、分離チャンバ944bに流すガスとして、不活性ガスを用いることが好ましい。不活性ガスは、本発明者の検討によると、第1の処理室944aにおけるプロセスガスや第2の処理室944cにおけるプロセスガスに混入しても、形成される潤滑層にほとんど影響がでないことが確認された。
また、各実施形態では、保護層の成膜時のプロセスガス圧をD、保護層を形成後、第1の処理室933aまでの被積層体の搬送経路にガス圧Eの領域を設け、E>D、且つ、E>Aなる関係を満足することで、保護層を成膜するプロセスガスと第1の潤滑剤のプロセスガスとが混合して両形成プロセスで形成する保護層及び潤滑層の品質低下を防止することが好ましい。
各実施形態では、例えばガス圧Dを1Pa〜20Paの範囲内、ガス圧A,Bを1Pa〜50Paの範囲内、ガス圧C,Eを10Pa〜500Paの範囲内とし、C>A、且つ、C>B、且つ、E>D、且つ、E>Aなる関係を満足することが好ましい。また、ガス圧A,B,Dとガス圧C,Eとの差圧が大きいほど、プロセスガスとの混合を防止する効果が高まるが、差圧が大きすぎると各プロセスガスへ流れ込む不活性ガスの影響が大きくなり、保護層及び潤滑層の膜厚分布が悪化する場合がある。このため、ガス圧A,B,Dとガス圧C,Eとの差圧は、150Pa以下とすることがより好ましい。
ベーパールブ成膜装置102内における被積層体(以下、基板とも言う)などの動きは以下に説明する処理の繰り返しであり、以下のステップs21〜s45を含む処理が連続的に行われる。
ステップs21: ゲートバルブG5,G6を閉じる。
ステップs22: 隔離チャンバ943内を真空まで減圧する。
ステップs23: ゲートバルブG5を開く。
ステップs24: 真空ロボット941を用いてエアロックチャンバ12内の基板(例えば50枚)を隔離チャンバ943内の搬送カセット948に入れる。
ステップs25: ゲートバルブG5を閉じる。
ステップs26: 隔離チャンバ943内に不活性ガスを流し、内圧をEとする。
ステップs27: ゲートバルブG6を開く。
ステップs28: 隔離チャンバ943内の搬送カセット948を第1の処理室944a内に搬入する。この状態で、第1の処理室944a内のプロセスガス圧はAになっている。
ステップs29: 搬送カセット948を第1の処理室944aに搬入後、ゲートバルブG6を閉じる。
ステップs30: 第1の処理室944a内で搬送カセット948内の被積層体に第1の潤滑層を形成する。
ステップs31: ゲートバルブG11を開ける。なお、分離チャンバ944b内には内圧Cの不活性ガスが流されている。
ステップs32: 第1の潤滑剤が塗布された被積層体を納めた搬送カセット948が分離チャンバ944b内に移動する。この状態で、ゲートバルブG11を閉じ、ゲートバルブG12を開ける。
ステップs33: 分離チャンバ944b内の搬送カセット948を第2の処理室944c内に搬入する。なお、第2の処理室944c内のプロセスガス圧はBになっている。
ステップs34: 搬送カセット948を第2の処理室944cに搬入後、ゲートバルブG12を閉じる。
ステップs35: 第2の処理室944c内で搬送カセット948内の被積層体に第2の潤滑層を形成する。
ステップs36: ゲートバルブG7を開き、第1及び第2の潤滑層が形成された被積層体を納めた搬送カセット948がエアロックチャンバ945に移動する。
ステップs37: ゲートバルブG7を閉じる。
ステップs38: エアロックチャンバ945を大気圧とする。
ステップs39: ゲートバルブG8を開く。
ステップs40: 基板搬出ロボット946により処理済みの被積層体を取り出す。
ステップs41: ゲートバルブG8を閉じる。
ステップs42: エアロックチャンバ945内を真空まで減圧する。
ステップs43: ゲートバルブG9を開く。
ステップs44: 空の搬送カセット948を戻り経路チャンバ947を通して隔離チャンバ943へ移動する。なお、戻り経路チャンバ947内は真空まで減圧されている。
ステップs45: 隔離チャンバ943が減圧状態でゲートバルブG10を開き、隔離チャンバ943内に空の搬送カセット948を搬入する。
図2は、図1の製造装置で製造される磁気記録媒体1の一例を示す断面図である。なお、磁気記録媒体1に対するデータの記録方式には面内記録方式と垂直記録方式とが存在するが、本実施形態では、垂直記録方式を用いる磁気記録媒体1について説明を行う。
磁気記録媒体1は、基板100と、基板100の上に形成された密着層110と、密着層110の上に形成された軟磁性下地層120と、軟磁性下地層120の上に形成された配向制御層130と、配向制御層130の上に形成された非磁性下地層140と、非磁性下地層140の上に形成された磁気記録層の一例である垂直記録層150と、垂直記録層150の上に形成された保護層160と、保護層160の上に形成された潤滑層170とを有する。本実施形態では、基板100の両面の夫々に、密着層110、軟磁性下地層120、配向制御層130、非磁性下地層140、垂直記録層150、保護層160、及び潤滑層170が形成された構成を有する。なお、以下の説明では、必要に応じて、基板100の両面に密着層110から保護層160までの各層を積層した積層構造、換言すれば、基板100に潤滑層170以外の各層を形成した積層構造を、積層基板180とも称する。また、以下の説明では、必要に応じて、基板100の両面に密着層110から垂直記録層150までの各層を形成した積層構造、換言すれば、基板100に保護層160及び潤滑層170以外の各層を形成した積層構造を、積層体190とも称する。
本実施形態では、基板100は非磁性体で形成されている。基板100には、例えばアルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料で形成された金属基板を用いても良く、例えばガラス、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料で形成された非金属基板を用いても良い。また、これら金属基板や非金属基板の表面に、例えばメッキ法やスパッタ法などを用いて、NiP層またはNiP合金層が形成された基板を基板100として用いることもできる。
ガラス基板には、例えば、通常のガラスや結晶化ガラスなどを用いることができる。通常のガラスには、例えば、汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスなどを用いることができる。また、結晶化ガラスには、例えば、リチウム系結晶化ガラスなどを用いることができる。また、セラミック基板には、例えば、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体、またはこれらの繊維強化物などを用いることができる。
基板100は、後述するように主成分がCoまたはFeである軟磁性下地層120と接することで、表面の吸着ガスや水分の影響、基板成分の拡散などにより、腐食が進行する可能性がある。このため、基板100と軟磁性下地層120との間に密着層110を設けることが好ましい。なお、密着層110の材料としては、例えば、Cr、Cr合金、Ti、Ti合金など適宜選択することが可能である。また、密着層110の厚みは2nm(20Å)以上であることが好ましい。
軟磁性下地層120は、垂直記録方式を採用した場合において、記録再生時のノイズの低減を図るために設けられている。本実施形態において、軟磁性下地層120は、密着層110の上に形成される第1軟磁性層121と、第1軟磁性層121の上に形成されるスペーサ層122と、スペーサ層122の上に形成される第2軟磁性層123とを有する。つまり、軟磁性下地層120は、第1軟磁性層121と第2軟磁性層123でスペーサ層122を挟む構成を有する。
第1軟磁性層121及び第2軟磁性層123は、Fe:Coを40:60〜70:30(原子比)の範囲で含む材料で形成することが好ましく、透磁率や耐食性を高めるためTa、Nb、Zr、Crからなる群から選ばれる何れか1種を1atm%〜8atm%の範囲で含有することが好ましい。また、スペーサ層122は、Ru、Re、Cuなどで形成可能であるが、特にRuで形成することが好ましい。
配向制御層130は、非磁性下地層140を介して積層される垂直記録層150の結晶粒を微細化して、記録再生特性を改善するために設けられている。配向制御層130を形成する材料は特に限定されるものではないが、hcp構造、fcc構造、アモルファス構造を有する材料であることが好ましい。特にRu系合金、Ni系合金、Co系合金、Pt系合金、Cu系合金で形成することが好ましく、これらの合金を多層化した多層構造で形成しても良い。例えば、基板100側からNi系合金とRu系合金との多層構造、Co系合金とRu系合金との多層構造、Pt系合金とRu系合金との多層構造を形成することが好ましい。
非磁性下地層140は、非磁性下地層140の上に積層される垂直記録層150の初期積層部における結晶成長の乱れを抑制し、記録再生時のノイズの発生を抑制するために設けられている。ただし、非磁性下地層140は省略しても良い。
本実施形態において、非磁性下地層140は、Coを主成分とする金属に加え、さらに酸化物を含む材料で形成することが好ましい。非磁性下地層140のCr含有量は、25原子%〜50原子%であることが好ましい。非磁性下地層140に含まれる酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましく、特にTiO、Cr、SiOなどを用いることが好ましい。非磁性下地層140に含まれる酸化物の含有量は、磁性粒子を構成する、例えばCo、Cr、Ptなどの合金を1つの化合物として算出したmol総量に対して、3mol%以上、且つ、18mol%以下であることが好ましい。
本実施形態における垂直記録層150は、非磁性下地層140の上に形成される第1磁性層151と、第1磁性層151の上に形成される第1非磁性層152と、第1非磁性層152の上に形成される第2磁性層153と、第2磁性層153の上に形成される第2非磁性層154と、第2非磁性層154の上に形成される第3磁性層155とを有する。すなわち、垂直記録層150では、第1磁性層151と第2磁性層153により第1非磁性層152を挟み、第2磁性層153と第3磁性層155により第2非磁性層154を挟む構成を有する。
第1磁性層151、第2磁性層153及び第3磁性層155は、磁気ヘッド3から供給される磁気エネルギーによって垂直記録層150の厚さ方向に磁化の向きを反転させ、その磁化の状態を維持することでデータを記憶するために設けられている。なお、これらの第1磁性層151、第2磁性層153及び第3磁性層155が、本実施形態における磁性層に対応する。
第1磁性層151、第2磁性層153及び第3磁性層155は、Coを主成分とする金属の磁性粒子と非磁性の酸化物とを含み、磁性粒子を酸化物で囲んだグラニュラ型構造を有することが好ましい。
第1磁性層151、第2磁性層153及び第3磁性層155を形成する酸化物は、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどであることが好ましく、特にTiO、Cr、SiOなどであることが好ましい。また、垂直記録層150の中で最下層となる第1磁性層151は、2種類以上の酸化物で形成された複合酸化物を含むことが好ましく、特にCr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを含むことが好ましい。
また、第1磁性層151、第2磁性層153及び第3磁性層155を形成する磁性粒子に適した材料は、例えば、90(Co14Cr18Pt)−10(SiO){Cr含有量14原子%、Pt含有量18原子%、残部Coからなる磁性粒子を1つの化合物として算出したモル濃度が90mol%、SiOからなる酸化物組成が10mol%}、92(Co10Cr16Pt)−8(SiO)、94(Co8Cr14Pt4Nb)−6(Cr)の他、(CoCrPt)−(Ta)、(CoCrPt)−(Cr)−(TiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)−(TiO)、(CoCrPtMo)−(TiO)、(CoCrPtW)−(TiO)、(CoCrPtB)−(Al)、(CoCrPtTaNd)−(MgO)、(CoCrPtBCu)−(Y)、(CoCrPtRu)−(SiO)などの組成物を含む。
第1非磁性層152及び第2非磁性層154は、垂直記録層150を形成する第1磁性層151、第2磁性層153及び第3磁性層155の各磁性層での磁化反転を容易とし、磁性粒子全体での磁化反転の分散を小さくすることで、ノイズを低減するために設けられている。本実施形態において、第1非磁性層152及び第2非磁性層154は、例えばRu及びCoを含むことが好ましい。
なお、図2に示す例では、垂直記録層150を形成する磁性層が3層構造(第1磁性層151、第2磁性層153及び第3磁性層155)を有するが、垂直記録層150は3層構造に限定されるものではなく、4層以上の多層構造を有しても良い。また、この例では、垂直記録層150を形成する各磁性層(第1磁性層151、第2磁性層153及び第3磁性層155)の間に非磁性層(第1非磁性層152及び第2非磁性層154)を設けているが、垂直記録層150を形成する磁性層はこのような構成に限点されるものではなく、例えば異なる組成を有する2つの磁性層を重ねて配置する構成を有しても良い。
保護層160は、垂直記録層150の腐食を抑制すると共に、磁気ヘッド3が磁気記録媒体1に接触したときに、磁気記録媒体1の表面の損傷を防いで保護するため、また磁気記録媒体1の耐食性を高めるために設けられている。
保護層160は、周知の保護層材料で形成可能であり、例えばC、SiO、ZrO、SiCを含む。保護層160は、表面に窒素原子または酸素原子を注入する前、または、表面を窒化または酸化する前の潤滑層とのボンデッド率を100%付近で制御可能とするためには、純カーボンで形成することが好ましく、特にアモルファス状の硬質炭素膜やダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC:Diamond Like Carbon)で形成することが、保護層160の硬度を保ち、且つ、薄層化を図りながら潤滑層170とのボンデッド率を100%付近で制御する観点から好ましい。さらに、保護層160の厚みは、1nm〜10nmとすることが、図3と共に後述する磁気記憶装置において磁気ヘッド3と磁気記録媒体1との距離を短くすることができ、高記録密度の点から好ましい。
潤滑層170は、磁気ヘッド3が磁気記録媒体1に接触したときに磁気ヘッド3及び磁気記録媒体1の表面の摩耗を抑制し、磁気記録媒体1の耐食性を高めるために設けられている。潤滑層170の厚さは、1nm〜2nmとすることが、図3と共に後述する磁気記憶装置において磁気ヘッド3と磁気記録媒体1との距離を短くすることができ、高記録密度の点から好ましい。
ベーパールブプロセスによる潤滑層170の成膜では、潤滑剤を90℃〜150℃で加熱し、潤滑剤の蒸気を反応容器内に導入し、反応容器内の圧力を10Pa程度とした場合は、この反応容器内への被積層体の露出時間を10秒程度とすることで、保護層160の表面に1nm程度の潤滑層170を形成することができる。
図3は、本実施形態において製造された磁気記録媒体1を備えた磁気記憶装置の構成の一例を示す斜視図である。
磁気記憶装置50は、データを磁気的に記録する磁気記録媒体1と、磁気記録媒体1を回転駆動させる回転駆動部2と、磁気記録媒体1にデータを書き込むと共に磁気記録媒体1に記録されたデータを読み取る磁気ヘッド3と、磁気ヘッド3(または、ヘッドスライダ)を搭載するキャリッジ4と、キャリッジ4を介して磁気記録媒体1に対して磁気ヘッド3を相対移動させるヘッド駆動部5と、外部から入力された情報を処理して得られた記録信号を磁気ヘッド3に出力し、磁気ヘッド3からの再生信号を処理して得られた情報を外部に出力する信号処理部6とを有する。
図3に示す例では、磁気記録媒体1は円盤形状を有する磁気ディスクである。磁気ディスクは、少なくとも一方の面にデータを記録するための磁気記録層が形成されており、図2に示すように両面に磁気記録層が形成されていても良い。また、図3に示す例では、1台の磁気記憶装置50に複数(この例では3枚)の磁気記録媒体1が取り付けられているが、磁気記録媒体1の枚数は1以上であれば良い。
上記の如き実施形態によれば、形成される潤滑層の保護層の表面に対するボンデッドレシオが適正な範囲で高く、適度なフリー層が含まれる。また、潤滑層による保護層の表面の被覆率を高くすることができる。つまり、潤滑層の摩擦係数を低く、且つ、潤滑層による保護層の表面の被覆率を高くすることのできる磁気記録媒体の製造方法を提供することが可能となる。これにより、信頼性及び耐食性に優れた磁気記録媒体を提供可能となり、信頼性の高い磁気記憶装置を提供可能となる。
以上、磁気記録媒体の製造方法を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能であることは言うまでもない。
(実施例1)
図1の製造装置を用いて磁気記録媒体を製造した。まず、洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)を、図1に示す製造装置のエアロックチャンバ12に収容し、その後、真空ロボット111を用いてキャリア925に載置し、この基板表面に積層膜を形成した。なお、成膜チャンバ内の到達真空度(ベースプレッシャ)は1×10−5Paであった。
次に、このガラス基板の上に、処理チャンバ905内で1Paのアルゴンガス圧で、60Cr−50Tiターゲットを用いて密着層を10nmの膜厚で成膜した。また、この密着層の上に、処理チャンバ906内で1Paのアルゴンガス圧で、46Fe−46Co−5Zr−3B{Fe含有量46原子%、Co含有量46原子%、Zr含有量5原子%、B含有量3原子%}のターゲットを用いて100℃以下の基板温度で、第1の軟磁性層を34nmの膜厚で成膜した。また、この第1の軟磁性層の上に、処理チャンバ908内でRu層を0.76nmの膜厚で成膜した。さらに、このRu層の上に、処理チャンバ909内で46Fe−46Co−5Zr−3Bの第2の軟磁性層を34nmの膜厚で成膜した。Ru層を挟む第1及び第2の軟磁性層を、軟磁性下地層として形成した。
次に、軟磁性下地層の上に、処理チャンバ910内で1Paのアルゴンガス圧で、Ni−6W{W含有量6原子%、残部Ni}ターゲットを用いて第1の下地層を5nmの膜厚で成膜し、処理チャンバ911内でRuターゲットを用いて第2の下地層を10nmの膜厚で成膜し、処理チャンバ912内でRuターゲットを用いて8Paのアルゴンガス圧で、第3の下地層を10nmの膜厚で成膜して、3層構造の下地層を形成した。
次に、3層構造の下地層の上に、1Paのアルゴンガス圧で、処理チャンバ913内で91(72Co6Cr16Pt6Ru)−4SiO−3Cr−2TiO層を6nmの膜厚で成膜し、処理チャンバ915内で91(65Co12Cr13Pt10Ru)−4SiO−3Cr−2TiO層を6nmの膜厚で成膜し、処理チャンバ916内で63Co15Cr16Pt6B層を3nmの膜厚で成膜し、多層構造の磁性層を形成した。
次に、イオンビーム法により、処理チャンバ918,919内で炭素保護層を2.5nmの膜厚で成膜し、被積層体(または、磁気記録媒体)を得た。なお、処理チャンバ918,919のベースプレッシャは1×10−5Pa、プロセスガスには水素ガスに4%のメタンを混合させた混合ガスを使用し、ガス圧(D)は8Paとした。なお、チャンバ920,921は予備チャンバとして使用し、プロセスガスは流さず、ベースプレッシャは1×10−5Paとした。
成膜後の被積層体は、真空ロボット112によりキャリア925から取り外され、エアロックチャンバ13を介して真空ロボット941によってベーパールブ成膜装置102内に搬入した。ベーパールブ成膜装置102を構成する隔離チャンバ943、第1の処理室944a、第2の処理室944c、エアロックチャンバ945、及び戻り経路チャンバ947のベースプレッシャは1×10−5Paとし、隔離チャンバ943内にはアルゴンガスを隔離チャンバ943内の圧力が50Paで一定となるように流し(ガス圧:D)、分離チャンバ944b内にはアルゴンガスを50Paで流し(ガス圧:C)、第1の処理室944a内には下記一般式(7)のテトラオール(分子量:1800、加熱温度:110℃、Fomblin Z-TETRAOL(商品名、Solvay Solexis社製))と、下記一般式(8)の潤滑剤(A20H−DD(商品名、松村石油研究所(MORESCO)社製)、分子量:1800、加熱温度:110℃)との1:1(質量)の混合物のガスを20Paで流し(ガス圧:A)、第2の処理室944c内にはジオール(分子量:3000、加熱温度110℃)のガスを10Paで流し(ガス圧:B)、エアロックチャンバ945及び戻り経路チャンバ947にはプロセスガスは流さなかった。そして、ベーパールブ成膜装置102によって被積層体の表面に厚さ17オングストローム(Å)の潤滑層を形成した。
Figure 0006175265
Figure 0006175265
A20H−DDは、上記一般式(8)におけるxが4であり、RがCFであり、Rが−CH(OH)CHOH末端基を有する置換基である化合物である。
ベーパールブ成膜法で第1の潤滑剤を形成した被積層体は、ロボット946を用いて製造装置外の大気中に取り出した。
(比較例1)
比較例1は、上記実施例1と同様に製造した磁気記録媒体であるが、第2の潤滑剤は塗布せずに、第1の潤滑剤のみで潤滑層を形成した。潤滑層の層厚は17Åであった。
(比較例2)
比較例2は、上記実施例1と同様に製造した磁気記録媒体であるが、第1の潤滑剤は塗布せずに、第2の潤滑剤のみで潤滑層を形成した。潤滑層の層厚は17Åであった。
(実施例2)
実施例2では、炭素保護層を形成後、第1の潤滑剤を塗布する前に、炭素保護層に窒素イオンを注入し、炭素保護層表面を窒化した。具体的には、イオンビームは、窒素ガス40sccm、ネオン20sccmの混合ガスを用いて発生させた。イオンの量は5.5×1015原子/cm、正電極の電圧は+1500V、負電極の電圧は−1500Vとし、照射時間を10秒、保護層への注入深さを1.5nmとした。なお、炭素保護層表面の窒素原子濃度は約15原子%とした。
実施例2の他の条件については、上記実施例1と同様の条件下で磁気記録媒体を製造した。
(実施例3)
実施例3では、上記実施例2と同様に磁気記録媒体を製造したが、第1の潤滑剤としてジオール(分子量:3000)を使用し、第2の潤滑剤として下記一般式(9)のテトラオール(分子量:1800)とA20H−DD(分子量:1800)との1:1(質量)の混合物を用いた。
Figure 0006175265
(潤滑層のボンデッドレシオの評価)
上記実施例1〜3及び比較例1,2の磁気記録媒体においてボンデッドレシオを測定した。ボンデッドレシオは、潤滑層を形成後の磁気記録媒体を、フロロカーボン溶媒に5分間浸漬し、同一媒体の同一位置における浸漬前後の1270cm−1付近の吸光度をESCAで測定し、その比の百分率((浸漬後吸光度/浸漬前吸光度)×100)として測定した。フロロカーボン溶媒には、バートレルXF(商品名、三井デュポンフロロケミカル社製)を使用した。ボンデッドレシオの評価結果を表1に示す。
(潤滑層の被覆率評価(Si吸着量))
上記実施例1〜3及び比較例1,2の磁気記録媒体において、潤滑層の被覆率を以下に示す方法により評価した。以下に説明する被覆率の評価は、高温環境下において汚染物質を生成させる環境物質による磁気記録媒体の汚染を調べることで、間接的に磁気記録媒体表面での潤滑層の被覆率を評価するものである。すなわち、磁気記録媒体表面での潤滑層の被覆率が高ければ、磁気記録媒体は環境物質によって汚染されにくくなる。
以下に説明する被覆率の評価では、高温環境下における汚染物質を生成させる環境物質としてSiイオンを用い、環境物質によって生成された磁気記録媒体を汚染する汚染物質の量としてSi吸着量を測定した。
具体的には、まず、評価対象である磁気記録媒体を、温度85℃及び湿度0%の高温環境下で、シロキサン系Siゴムの存在下に240時間保持した。
次に、磁気記録媒体の表面に存在するSi吸着量をtof−SIMS(time of flight-Secondary Ion Mass Spectrometry)を用いて分析測定し、高温環境下における環境物質であるSiイオンによる汚染の程度をSi吸着量として評価した。このように求めたSi吸着量の評価結果を表1に示す。Si吸着量が高いほど磁気記録媒体は汚染されやすく潤滑層による保護層の表面の被覆率が悪い(すなわち、低い)ことを示す。
なお、Si吸着量の評価は、保護層までの各層が形成された非磁性基板上に、Fomblin Z-TETRAOL(商品名、Solvay Solexis社製)を17Å塗布することにより潤滑剤層を形成した、高温処理を施していない基準ディスクのSiイオンによる汚染の程度を1としたときの数値を用いて評価した。
(ルブピックアップの評価)
上記実施例1〜3及び比較例1,2の磁気記録媒体において、ルブピックアップを評価した。ルブピックアップの評価は、磁気記録媒体表面をヘッドスライダで長時間シークし、ヘッドスライダに付着する潤滑剤の有無を光学顕微鏡で確認することで行った。具体的には、磁気記録媒体を通常より低速の1000rpmで回転させ、磁気記録媒体の表面上でヘッドスライダをシークさせた。シーク速度は2Hz、シーク時間は24時間とした。ヘッドスライダに付着する潤滑剤の有無の確認は、600倍の微分干渉型光学顕微鏡で行った。ルブピックアップの評価結果を表1に示す。
Figure 0006175265
上記の表1からもわかるように、比較例1,2ではボンデッドレシオは共に85%であるが、比較例1ではルブピックアップが有り、比較例2では潤滑層による保護層の表面の被覆率が低いことが確認された。これに対し、実施例1〜3ではボンデッドレシオが85%〜95%、潤滑層による保護層の表面の被覆率が良好であり、ルブピックアップが僅少または無いことが確認された。このように、実施例1〜3によれば、形成される潤滑層の保護層の表面に対するボンデッドレシオが適正な範囲で高く、適度なフリー層が含まれていながらルブピックアップが抑制され、且つ、潤滑層による保護層の表面の被覆率が高いことが確認された。
1 磁気記録媒体
100 基板
101 成膜装置
110 密着層
111,112,940,942,946 ロボット
120 軟磁性下地層
130 配向制御層
140 非磁性下地層
150 垂直記録層
160 保護層
170 潤滑層
903 基板装脱着用チャンバ
904,907,914,917 コーナーチャンバ
905,906,908〜913,915,916,918〜920 処理チャンバ
921 予備チャンバ
944a 第1のベーパールブプロセスチャンバ
944b 分離チャンバ
944c 第2のベーパールブプロセスチャンバ
G,G1〜G12 ゲートバルブ

Claims (7)

  1. 被積層体上に、磁気記録層、保護層、潤滑層をこの順で形成する磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記潤滑層の形成は、
    前記保護層を形成後の被積層体を大気に触れさせることなくベーパールブ成膜方法を用いて第1の潤滑剤を前記被積層体に塗布し、
    前記第1の潤滑剤を塗布後、前記被積層体を大気に触れさせることなくベーパールブ成膜方法を用いて第2の潤滑剤を前記被積層体に塗布し、
    前記第1の潤滑剤の分子量は前記第2の潤滑剤の分子量より高く、
    前記第1の潤滑剤の極性は前記第2の潤滑剤の極性より低く、
    前記第2の潤滑剤を前記被積層体に塗布する工程は、前記被積層体に塗布された前記第1の潤滑剤の一部または全部を前記第2の潤滑剤に置換する工程である
    ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記第1の潤滑剤は、分子量が1500〜5000の範囲内のジオールを含むことを特徴とする請求項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記第2の潤滑剤は、分子量が500〜2000の範囲内のテトラオールを含むことを特徴とする請求項またはに記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記保護層を形成後で前記第1の潤滑剤を塗布する前に、前記保護層の表面を窒化または酸化することを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 前記保護層、または、前記保護層を形成後の表層部が、窒化炭素または酸化炭素であることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 第1の処理室内で前記第1の潤滑剤を前記被積層体に塗布し、
    前記被積層体を前記第1の処理室から搬送領域を介して第2の処理室へ搬送し、
    前記第2の処理室内で前記第2の潤滑剤を前記被積層体に塗布し、
    前記第1の処理室におけるプロセスガス圧をA、前記第2の処理室におけるプロセスガス圧をB、前記搬送領域におけるガス圧をCとした場合、C>A、且つ、C>Bなる関係を満足することを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  7. 前記搬送領域に流すガスに不活性ガスを用いることを特徴とする請求項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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