JP5480370B2 - 水中防汚材、溶融成形物及び塗料 - Google Patents

水中防汚材、溶融成形物及び塗料 Download PDF

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Description

本発明は、環境調和型の水中防汚材に関する。特に、船舶、海洋構造物、海水導入管等の各種構造物や漁網等の各種道具の海中または水中に没している部分に付着する、微生物や動植物等の水棲付着生物による汚損防止に良好な結果を与える防汚塗料に関するものである。
船舶の船底部、海底ケーブル、海底パイプライン、観測ブイ、浮標、波力発電ブイ、オイルフェンス、シルトプロテクター、橋脚、発電所の取水路・排水路、工業用冷却水路、海洋開発や海洋土木工事に関連する各種機器、養殖用漁網、漁具等の長期に亘って海中または水中に浸漬される器物、設備及び構造物には、フジツボ、ムラサキイガイ、ヒドロ虫、セルプラ、コケムシ、ホヤ、海綿等の付着動物や、アオサ、アオノリ、シオミドロ、ヒビミドロ、シオグサ、ミル等の藻類及び藍藻類、珪藻類、細菌等のスライムを形成する微生物など(以下、これらを総称して「付着生物」ということがある。)が付着する。
例えば、船舶に付着生物が付着すると、船体と海水との摩擦抵抗が増大し、船速の低下、燃費消費量の増加を招く。橋脚等の海洋に構築されている構造物では、耐久性を高めるために塗布されている防食被覆膜が付着生物によって劣化または腐食し、その結果、構造物の耐用期間が短くなる。また、ブイ、その他の構造物では、浮力の低下、水没を起こす。発電所の復水器や各種工場の熱交換器等の冷却用水路においては、取水時の抵抗が増したり、熱交換効率の低下が起こったり、また、水路から脱落した生物塊による性能低下等が発生する。魚貝類の養殖用漁網に付着生物が付着した場合、網自体の耐久性が損なわれたり、付着生物が網目を覆い尽くすことから、海水の流出入が阻害されて酸素不足を招き、その結果、養殖魚貝類が呼吸困難を起こして死滅する原因となったり、細菌等の増殖を助長して魚病の発生による魚類の被害の原因となったりする。
海中または水中に存在する構造物等への付着生物の付着は、産業上極めて大きな損害をもたらすので、従来、付着生物の付着を防止するために、防汚塗料が塗布されてきた。防汚塗料としては、各種の防汚剤と樹脂成分(マトリックス)とを含有する塗料が使用されている。長期に亘り安定的に防汚性を発揮するため、加水分解型の樹脂成分を採用し、樹脂の加水分解によって塗膜表面が徐々に削られることによって、常に、活性な防汚剤が塗膜表面に現れ、徐放性を示すようにすることが行われている〔特開平5−214274号公報(特許文献1)、特開平6−211941号公報(特許文献2)など〕。しかし、防汚剤や加水分解型樹脂による水環境への汚染が懸念され、水環境への負荷が小さい防汚塗料が望まれるとともに、効率的な徐放性を示す防汚材料が求められていた。
特開平4−230201号公報(特許文献3)には、主鎖内にエステル結合を有する生分解性ポリマーを含有する水中防汚材が記載され、特開平10−120501号公報(特許文献4)には、生分解性ポリマーと忌避物質とからなる防汚材が記載されている。特許文献3には、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシ吉草酸の共重合体、ポリカプロラクトンまたはポリ3−ヒドロキシ酪酸に、防汚活性物質を加えまたは加えないで、鉄板に塗装することが具体例として記載されており、更に、生分解性ポリマーとして、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリリンゴ酸等も例示されている。特許文献4には、生分解性ポリマーとして、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、及び3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシ吉草酸の単独若しくは共重合体等が例示されているが、実施例では、ポリ−4−ヒドロキシブチレートが記載されている。
水中防汚材に使用される防汚活性物質(忌避剤)としては、銅化合物や錫化合物等の有毒物質が使用されることが多く、環境に負荷を与えると同時に、魚貝類中に蓄積されることなどから、防汚活性物質(忌避剤)を使用しない防汚材が求められていた。
特許文献3には、防汚活性物質を加えずに形成した皮膜について海水中での浸漬テストを実施した具体例が記載されているが、浸漬後3〜4カ月で防汚性能が失われたり、防汚材膜の消失が生じたりして、防汚性能が十分ではなかった。短期間で防汚性能が失われることは、環境を汚染するとともに、頻繁な塗装が必要となり経済的にも大きな負担となるので、改善が求められていた。
微生物分解性または加水分解性により環境に対する負荷が少ないとされる脂肪族ポリエステルの中でも、ポリグリコール酸(以下、「PGA」ということがある。)は、分解性があり、また引張強度等の機械強度、並びに、フィルムまたはシートとしたときのガスバリア性も優れる。そのため、釣糸、漁網、養殖網などの水産資材や農業資材、あるいは各種包装(容器)材料としての利用が期待されている〔例えば、国際公開第2007/49721号(特許文献5;米国特許出願公開第2009/0131602号及び欧州特許出願公開第1950247号対応)など〕が、一方、その分解性の故に、水中防汚材としては想定されなかった。
特開平5−214274号公報 特開平6−211941号公報 特開平4−230201号公報 特開平10−120501号公報 国際公開第2007/49721号
本発明の課題は、有毒な防汚活性物質(忌避剤)を使用しなくても、長期間に亘って十分な防汚性能を示すことができる水中防汚材、溶融成形物または塗料である水中防汚材、積層体、及び、船底塗料を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、意外にも、特定の特性を有するポリグリコール酸を採用することにより、課題を解決することができることを見い出した。また、この水中防汚材は、塗料として、船底や水中設備に塗布して使用したり、射出成形や押出成形等により、例えばシートやフィルム等の成形体を得て、そのまま単体で、または基材と積層して、水中設備に使用することができることを見い出した。
かくして、本発明によれば、グリコリド70〜100質量%及び他の環状モノマー30〜0質量%を開環重合して得られるポリグリコール酸を含む水中防汚材であって、該ポリグリコール酸が、以下の特性(a)〜(e):
(a)重量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000;
(b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が1.5〜4.0;
(c)末端カルボキシル基濃度が、6〜200eq/10g;
(d)残留グリコリド量が、0.2質量%以下;及び
(e)1%熱重量減少開始温度が、210℃以上;
を備えることを特徴とする前記水中防汚材が提供される。
本発明によれば、前記ポリグリコール酸が、更に、(f)250℃で5分間保持後に測定した初期溶融粘度(η)に対する250℃で60分間保持後に測定した溶融粘度(η60)の割合〔(η60/η)×100〕として定義される溶融粘度保持率が40%以上である前記の水中防汚材が提供される。
また、本発明によれば、溶融成形物である前記の水中防汚材が提供される。特に、溶融成形物が、フィラメント、撚糸、ロープ、網、フィルム、シート、板材、棒材、管、球体、型材、若しくは発泡体、またはこれらを組み合わせて成る異型材である前記の水中防汚材が提供される。
本発明によれば、塗料、例えば、船底塗料である前記の水中防汚材が提供される。特に、平均粒径が3〜800μmである前記ポリグリコール酸の粒子を含有する塗料である前記の水中防汚材が提供される。
本発明によれば、溶融成形物であるフィルム若しくはシートである前記の水中防汚材から形成された層を少なくとも1層有する積層体、または前記の塗料から形成された塗膜を少なくとも1層有する積層体が提供される。
本発明によれば、防汚活性物質を、更に含有する前記の水中防汚材が提供される。
〔水中防汚材〕
本発明において、「水中防汚材」とは、海、川、湖、沼、ため池、貯水池など(以下、これらを総称して「水域」ということがある。)の水中に置かれる物品、若しくは、水域の水中で使用される器物、設備及び構造物等の物品、または、水、海水、氷若しくは水蒸気などが流動したり滞留したりしている管状物や施設等の用品に、先に述べた付着動物、藻類またはスライム形成性の微生物などの付着生物が付着することを防止または抑制するために使用される材料をいう。「水中」とは、該物品のほぼ全体が水中にある状態のほかに、該物品の一部分が水中にある状態や、前記用品の内側が水と接触している状態をいい、少なくとも該物品または用品(以下、総称して単に「物品」ということがある。)の一部分が、水と接していることにより、藻類等の付着生物が付着する可能性がある状態を意味する。また、該物品は、水中防汚材のみから形成されたものである場合と、該物品の一部分が水中防汚材から形成されたものである場合とがある。具体的には、海底ケーブル、海底パイプライン、橋脚、発電所の取水路・排水路、工業用冷却水路、養殖用漁網などは、物品のほぼ全体が水中にあるものであって、その表面層に水中防汚材が適用されることがある。また、船舶の船底部、観測ブイ、浮標、波力発電ブイ、オイルフェンス、シルトプロテクターなどは、物品の一部分が水中にあるものであって、その表面層または全体に水中防汚材が適用されることがある。さらに、下水道管、排水管、貯水槽、プール、浴室、水槽などの用品は、その内側が水と接触しているものであって、内側の表面層または全体の一部に水中防汚材が適用されることがある。水中防汚材が表面層に適用される場合は、防汚性のフィルムまたはシート等の溶融成形物である水中防汚材を物品の表面に貼り付けてもよいし、防汚塗料である水中防汚材を物品の表面に塗布して塗膜を形成してもよい。本発明の水中防汚材は、特に、船舶の船底部に塗布される船底塗料に適する。
本発明によって、有毒な防汚活性物質(忌避剤)を使用しなくても、長期間に亘って十分な防汚性能を示すことができる水中防汚材、その成形物、塗料または積層体が提供されるという効果を奏する。
本発明の水中防汚材は、グリコリド70〜100質量%及び他の環状モノマー30〜0質量%を開環重合して得られるポリグリコール酸を含む水中防汚材であって、該ポリグリコール酸が、以下の特性(a)〜(e):
(a)重量平均分子量(Mw)が、30,000〜800,000;
(b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が、1.5〜4.0;
(c)末端カルボキシル基濃度が、6〜200eq/10g;
(d)残留グリコリド量が、0.2質量%以下;及び
(e)1%熱重量減少開始温度が、210℃以上;
を備えることを特徴とする前記水中防汚材である。
本発明の水中防汚材は、好ましくは、前記ポリグリコール酸が、更に、(f)250℃で5分間保持後に測定した初期溶融粘度(η)に対する250℃で60分間保持後に測定した溶融粘度(η60)の割合〔(η60/η)×100〕として定義される溶融粘度保持率が、40%以上である前記の水中防汚材である。
本発明の水中防汚材は、ポリグリコール酸が、水中において適度な加水分解性や生分解性を有することによって、有毒な防汚活性物質(忌避剤)を使用しなくても、付着生物に対して長期間に亘って十分な防汚性能を示すことができる。その理由は、詳細には解明されていないが、ポリグリコール酸が水中で分解して生成するグリコール酸の存在によって、その近傍領域のpHが常に変化することとなったり、水中防汚材の表面が親水性となったりし、かつ、表面が頻繁に更新される結果、例えば、フジツボ等の付着生物が、対象物の表面に固定することが妨げられるためであると推察されている。
1.ポリグリコール酸
本発明のポリグリコール酸は、グリコリド70〜100質量%及び他の環状モノマー30〜0質量%を開環重合して得られるものである。
〔グリコリド〕
開環重合によってポリグリコール酸を形成するグリコリドは、ヒドロキシカルボン酸の1種であるグリコール酸の2分子間環状エステルである。グリコリドの製造方法は、特に限定されないが、一般的には、グリコール酸オリゴマーを熱解重合することにより得ることができる。グリコール酸オリゴマーの解重合法として、例えば、溶融解重合法、固相解重合法、溶液解重合法などを採用することができ、また、クロロ酢酸塩の環状縮合物として得られるグリコリドも用いることができる。なお、所望により、グリコリドとしては、グリコリド量の20質量%を限度として、グリコール酸を含有するものを使用することができる。
本発明のポリグリコール酸は、グリコリドのみを開環重合させて形成してもよいが、他の環状モノマーを共重合成分として同時に開環重合させて共重合体を形成してもよい。共重合体を形成する場合には、グリコリドの割合は、70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であり、最も好ましくは99質量%以上である実質的にポリグリコール酸ホモポリマーである。
〔環状モノマー〕
グリコリドとの共重合成分として使用することができる他の環状モノマーとしては、ラクチドなど他のヒドロキシカルボン酸の2分子間環状エステルの外、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等)、トリメチレンカーボネート、1,3−ジオキサンなどの環状モノマーを使用することができる。好ましい他の環状モノマーは、他のヒドロキシカルボン酸の2分子間環状エステルであり、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、L−乳酸、D−乳酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、α−ヒドロキシヘプタン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシミリスチン酸、α−ヒドロキシステアリン酸、及びこれらのアルキル置換体などを挙げることができる。特に好ましい他の環状モノマーは、乳酸の2分子間環状エステルであるラクチドであり、L体、D体、ラセミ体、これらの混合物のいずれであってもよい。
他の環状モノマーは、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下であり、最も好ましくは1質量%以下の割合で用いられる。グリコリドと他の環状モノマーとを開環共重合することにより、ポリグリコール酸(共重合体)の融点を低下させて加工温度を下げたり、結晶化速度を制御して押出加工性や延伸加工性を改善することができる。しかし、これらの環状モノマーの使用割合が大きすぎると、形成されるポリグリコール酸(共重合体)の結晶性が損なわれて、耐熱性、ガスバリア性、機械的強度などが低下する。
なお、ポリグリコール酸が、グリコリド100質量%から形成される場合は、他の環状モノマーは0質量%であり、このポリグリコール酸も本発明の範囲に含まれる。
〔開環重合反応〕
グリコリドの開環重合または開環共重合(以下、総称して、「開環(共)重合」ということがある。)は、好ましくは、少量の触媒の存在下に行われる。触媒は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化錫(例えば、二塩化錫、四塩化錫など)や有機カルボン酸錫(例えば、2−エチルヘキサン酸錫などのオクタン酸錫)などの錫系化合物;アルコキシチタネートなどのチタン系化合物;アルコキシアルミニウムなどのアルミニウム系化合物;ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウム系化合物;ハロゲン化アンチモン、酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物;などがある。触媒の使用量は、環状エステルに対して、質量比で、好ましくは1〜1,000ppm、より好ましくは3〜300ppm程度である。
グリコリドには通常、微量の水分と、グリコール酸及び直鎖状のグリコール酸オリゴマーからなるヒドロキシカルボン酸化合物とが不純物として含まれている。これら不純物の全プロトン濃度を、好ましくは0.01〜0.5モル%、より好ましくは0.02〜0.4モル%、特に好ましくは0.03〜0.35モル%に調整することにより、生成するポリグリコール酸の溶融粘度や分子量等の物性を制御することができる。全プロトン濃度の調整は、精製したグリコリドに水を添加することによって実施することができる。
グリコリドの開環(共)重合は、塊状重合でも、溶液重合でもよいが、多くの場合、塊状重合が採用される。分子量調節のために、ラウリルアルコールなどの高級アルコールや水などを分子量調節剤として使用することができる。また、物性改良のために、グリセリンなどの多価アルコールを添加してもよい。塊状重合の重合装置としては、押出機型、パドル翼を持った縦型、ヘリカルリボン翼を持った縦型、押出機型やニーダー型の横型、アンプル型、板状型、管状型など様々な装置の中から、適宜選択することができる。また、溶液重合には、各種反応槽を用いることができる。
重合温度は、実質的な重合開始温度である120℃から300℃までの範囲内で目的に応じて適宜設定することができる。重合温度は、好ましくは130〜270℃、より好ましくは140〜260℃、特に好ましくは150〜250℃である。重合温度が低すぎると、生成したポリグリコール酸の分子量分布が広くなりやすい。重合温度が高すぎると、生成したポリグリコール酸が熱分解を受けやすくなる。重合時間は、3分間〜20時間、好ましくは5分間〜18時間の範囲内である。重合時間が短すぎると重合が充分に進行し難く、所定の重量平均分子量を実現することができない。重合時間が長すぎると生成したポリグリコール酸が着色しやすくなる。
生成したポリグリコール酸を固体状態とした後、所望により、更に固相重合を行ってもよい。固相重合とは、ポリグリコール酸の融点未満の温度で加熱することにより、固体状態を維持したままで熱処理する操作を意味する。この固相重合により、未反応モノマー、オリゴマーなどの低分子量成分が揮発・除去される。固相重合は、好ましくは1〜100時間、より好ましくは2〜50時間、特に好ましくは3〜30時間で行われる。
また、固体状態のポリグリコール酸を、その融点Tm+38℃以上、好ましくはTm+38℃からTm+100℃までの温度範囲内で溶融混練する工程により熱履歴を与えることによって、結晶性を制御してもよい。
〔重量平均分子量(Mw)〕
本発明のポリグリコール酸は、重量平均分子量(Mw)が、30,000〜800,000の範囲内にあるものである。重量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000の範囲内にあることにより、溶融成形加工性や塗膜形成性能と機械的強度が良好であり、また、重量平均分子量を調整することにより生分解性速度を制御することができる。重量平均分子量は、好ましくは40,000〜600,000、より好ましくは50,000〜500,000であり、多くの場合、80,000〜400,000の範囲で良好な物性を得ることができる。重量平均分子量が小さすぎると、成形品が脆くなりやすく、大きすぎると、溶融成形加工や塗膜の形成が困難になり、良好な水中防汚材が得ることができない。
〔分子量分布〕
ポリグリコール酸の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布(Mw/Mn)を1.5〜4.0の範囲内にすることによって、早期の生分解性を受けやすい低分子量領域の重合体成分(低分子量物)の量を低減させて、生分解性速度を制御することができる。分子量分布が大きすぎると、生分解性速度がポリグリコール酸の重量平均分子量に依存しなくなりやすい。分子量分布が小さすぎると、長期間に亘って、水中防汚性能を持続することが困難となる。分子量分布は、好ましくは1.8〜3.6、より好ましくは2.0〜3.0である。
重量平均分子量を上記範囲内とし、かつ、分子量分布を上記範囲内に調整することにより、生分解性に基づく水中防汚性能を制御することができる。より具体的には、ポリグリコール酸からなる成形物または塗膜を水中防汚材として用いる場合、その水中防汚性能を長期間持続することができる。
ポリグリコール酸の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を所定の範囲内になるように調整するには、例えば、(i)重合触媒の種類と量、(ii)分子量調節剤の種類と量、(iii)重合装置や重合温度、重合時間などの重合条件、(iv)重合後の後処理、及びこれらの組み合わせなどを工夫することが重要である。
先にも述べたように、重合温度が低いと、重合反応中に生成ポリマーが結晶固化しやすく、重合反応が不均一になりやすい結果、分子量分布が大きくなる傾向がある。重合温度が高いと、生成ポリマーが熱分解を受けやすくなる。また、比較的高い重合温度で、比較的短時間の重合条件を採用すると、生成ポリマーの分子量分布がシャープになる傾向がある。重合反応の終了後に、重合反応系の温度を220〜250℃に上昇させたり、生成ポリマーを溶融混練すると、低分子量物が低減して、分子量分布がシャープになる傾向がある。
〔末端カルボキシル基濃度〕
ポリグリコール酸の末端カルボキシル基濃度を、6〜200eq/10g、好ましくは8〜150eq/10g、より好ましくは10〜100eq/10g、特に好ましくは12〜75eq/10g、とすることによって、長期間に亘って水中防汚性能を発揮することができる。ポリグリコール酸の分子中には、カルボキシル基及び水酸基が存在している。このうち分子末端にあるカルボキシル基の濃度、すなわち、末端カルボキシル基濃度が小さすぎると水中での加水分解性が低すぎるため、水中防汚性能が十分発揮されない。末端カルボキシル基濃度が大きすぎると、加水分解が早く進行するため、長期間に亘って水中防汚性能を発揮することができず、また、ポリグリコール酸の初期強度が低いため、強度の低下が速くなる。末端カルボキシル基濃度を調整するには、例えば、触媒または分子量調節剤の種類や添加量を変更するなどの方法によればよい。
〔残留グリコリド量〕
残留グリコリド量を、0.2質量%以下、好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.12質量%以下に抑制することによって、成形物や塗膜を形成するための加工中にポリグリコール酸の分子量が低下することを抑制し、耐水性を向上させることができる。この目的のためには、例えば、重合の終期(好ましくはモノマーの反応率として50%以上において)に、重合温度を、系が固相となるように、200℃未満、より好ましくは140〜195℃、更に好ましくは160〜190℃となるように調節することが好ましく、また生成したポリグリコール酸を残留グリコリドの気相への脱離除去工程に付すことも好ましい。残留グリコリド量が多すぎると、成形物や塗膜を形成するための加工中にポリグリコール酸の分子量が低下し、長期間に亘って、水中防汚性能を発揮することができない。
〔1%熱重量減少開始温度〕
1%熱重量減少開始温度を210℃以上、好ましくは213℃以上、より好ましくは214℃以上、特に好ましくは215℃以上とすることによって、成形物や塗膜を形成するための加工中にポリグリコール酸の分子量が低下することが抑制される。1%熱重量減少開始温度の上限としては、通常235℃、好ましくは230℃である。1%熱重量減少開始温度は、ポリグリコール酸の耐熱性の指標として使用されるものであり、ポリグリコール酸を流速10ml/分の窒素気流下、50℃から2℃/分の昇温速度で加熱したとき、50℃でのポリグリコール酸の重量(初期重量)からの重量減少率が1%になる温度である。1%熱重量減少開始温度が低すぎると、成形物や塗膜を形成するための加工中にポリグリコール酸の分子量が低下し、長期間に亘って、水中防汚性能を発揮することができない。1%熱重量減少開始温度を210℃以上とするためには、重量平均分子量(Mw)を前記の範囲内にするとともに、触媒失活剤、結晶核剤、可塑剤、酸化防止剤などの添加剤の添加量をできるだけ少なくするなどの方法によればよい。
〔融点〕
ポリグリコール酸の融点は、通常200〜240℃であり、共重合成分の種類及び含有割合によって調整することができる。ポリグリコール酸の単独重合体の融点は、通常220℃程度である。融点が低すぎると、溶融成形品や塗料として用いた場合の強度が不十分であったり、溶融成形を行う場合の温度管理が難しくなる。融点が高すぎると、溶融成形を行う場合の成形加工性が不足したり、塗膜の柔軟性が不足したりすることがある。
〔ガラス転移温度〕
ポリグリコール酸のガラス転移温度(Tg)は、船底や海中構造物用の防汚塗料に使用する場合には、30℃以上、特に35℃以上であることが好ましい。Tgが低すぎると、当該ポリグリコール酸を含有する防汚塗料による塗膜表面に粘着性が生じてしまい、実用上問題が生じる。ガラス転移温度の上限は特にないが、船底や海中構造物等の変形や熱膨張に追随できる塗膜の柔軟性がないと、塗膜のヒビ割れ等が生じるおそれがあるので、通常、55℃以下、特に50℃以下であることが好ましい。
ガラス転移温度の調整は、ポリグリコール酸の分子量、重合成分の種類や量を適宜選択することにより、行うことができる。
〔溶融粘度保持率〕
ポリグリコール酸は、更に、250℃で5分間保持後に測定した初期溶融粘度(η)に対する250℃で60分間保持後に測定した溶融粘度(η60)の割合〔(η60/η)×100〕として定義される溶融粘度保持率が40%以上であることが、溶融安定性の点から好ましい。溶融粘度保持率は、可能な限り高いことが望ましく、好ましくは43%以上、より好ましくは45%以上、特に好ましくは50%以上であるが、通常80%、多くの場合75%が上限である。ポリグリコール酸の溶融粘度保持率が低すぎると、例えば、シートやフィルムなどを押出成形するときに、押出トルクの変動が起こったり、押出中のシート等の破断が起こったりして、安定して成形を行うことが困難である。また、溶融安定性が低すぎるポリグリコール酸を用いると、押出中に揮発分の発生量が多く、ロールなどの部材へ揮発物が付着することがある。溶融粘度保持率が高いポリグリコール酸を生成させるためには、溶融状態でグリコリドの開環重合を行い、次いで、固体状態に変換後、溶融混練する方法や、固体状態に変換後、更に固相重合を行い、しかる後、溶融混練する方法などがある。
〔温水浸漬後の加水分解率〕
ポリグリコール酸は、フィルムまたはシートの形態で、50℃の温水中での1週間浸漬した後のポリグリコール酸の加水分解率(重量平均分子量の低下率で評価する。以下、「温水浸漬後の加水分解率」という。)が90%以上であることが、防汚性能の徐放性と持続性の点から好ましい。温水浸漬後の加水分解率が90%未満であると、水中防汚材とした場合に、フィルムまたはシートが、海水等の水中において、比較的短期間で加水分解され、水中に溶出してしまう結果、防汚性能を長期間に亘って持続することができない。防汚性能を長期間に亘って持続するためには、温水浸漬後の加水分解率が高いことが望ましく、より好ましくは91%以上、特に好ましくは92%以上である。温水浸漬後の加水分解率が高すぎると、水中防汚材が海水等の水中において、ほとんど加水分解や生分解を受けないため、防汚性能が発揮されず好ましくないので、通常99%、好ましくは98.5%、より好ましくは98%が上限である。
2.溶融成形物
本発明の水中防汚材は、フィラメント、撚糸、ロープ、網、フィルム、シート、板材、棒材、管、球体、型材、若しくは発泡体、またはこれらを組み合わせて成る異型材などの溶融成形物として使用することができる。溶融成形物は、射出成形、押出成形、圧縮成形など汎用の溶融成形法によって溶融成形することができるが、更に、これら汎用の溶融成形法に続いて、真空成形、圧空成形、ブロー成形などにより賦形した成形物も、水中防汚材として使用される。
溶融成形物、好ましくはフィルムまたはシートは、本発明の水中防汚材の層のみから成る単層の溶融成形物でもよいが、本発明の水中防汚材から形成された層を少なくとも1層と、本発明の水中防汚材以外の材料から成る層とを有する積層体でもよい。
より具体的には、本発明の水中防汚材は、生簀または定置用の網、ロープ、浮子、魚類養殖用の水槽の構成材または内張り材、浴室の壁材、台所用のゴミ入れまたは水切り、排水管、ブイ、浮標等の繋留物の構成材またはライニング材、船体の水面下部分のライニング材、水力発電所用導水管や用水路の内張り材などであり、付着生物、藻類、カビ、細菌などにより汚染され易い成形物である。内張り材またはライニング材は、フィルムまたはシート状の水中防汚材であり、船舶、海洋構築物、水力発電所用導水管や用水路等の各種構造物、及び、ブイ、浮標、漁網等の各種道具から選ばれた基材の表面に貼り付けることにより、水中防汚材の層を有する水中設備を得ることができる。
本発明の水中防汚材が溶融成形物である場合は、一般に熱可塑性樹脂の添加剤として公知の種々の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、無機充填剤、殺菌剤、抗カビ剤、着色剤などを添加することができる。なお、添加剤の添加に際しては、先に述べたように、1%熱重量減少開始温度を始めとする、ポリグリコール酸の特性を損なわないように留意する必要がある。
また、溶融成形物である本発明の水中防汚材、または、前記の積層体における水中防汚材から形成された層は、それ自体で防汚性能を発揮するために、防汚活性物質(忌避剤)を配合する必要はないが、所望により、環境への負荷を配慮しながら、金属粉末、亜酸化銅などの銅化合物、亜鉛化合物、有機錫化合物などの錫化合物、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、タンニン類、テルペン類等の防汚活性物質(忌避剤)を、ポリグリコール酸に対して25質量%以下、好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下の範囲の量で配合することもできる。
3.塗料
本発明の水中防汚材は、塗料として使用することができる。特に、船舶、海洋構築物、水力発電所用導水管や用水路等の各種構造物や、ブイ、浮標、漁網等の各種道具の海中または水中に没している部分の表面に付着する微生物、藻類等の動植物の水棲付着生物による汚損防止に良好な結果を与える防汚塗料、中でも、船底塗料として使用することができる。
防汚塗料または船底塗料は、平均粒径が通常3〜800μm、好ましくは5〜500μm、より好ましくは8〜300μmであるポリグリコール酸の粒子を、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチルなどの二塩基酸エステル系溶媒;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶媒;シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒;ベンジルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、ビス(2−メトキシエチル)エーテルなどのエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒;及びこれらの混合物;などの有機溶媒に溶解または分散させて使用する。さらに常法により乳化剤を配合して乳化塗料として使用することもできる。また、塗料の添加剤として公知の種々の添加剤、例えば、顔料、粘度調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、無機充填剤、殺菌剤、抗カビ剤、着色剤などを添加することができる。なお、添加剤の添加に際しては、先に述べたように、1%熱重量減少開始温度を始めとする、ポリグリコール酸の特性を損なわないように留意する必要がある。塗料中のポリグリコール酸の含有量に制限はないが、通常は10〜40質量%、好ましくは15〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%である。
ポリグリコール酸の粒子の含有量は、塗料に含まれる全樹脂中、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。ポリグリコール酸の粒子の添加量が50質量%未満であると、得られた塗膜にピンホールが発生する傾向にある。
本発明の水中防汚材である塗料、または、前記の積層体における塗料である水中防汚材から形成された塗膜は、それ自体で防汚性能を発揮するために、防汚活性物質(忌避剤)を配合する必要はないが、所望により、環境への負荷を配慮しながら、金属粉末、亜酸化銅などの銅化合物、亜鉛化合物、有機錫化合物などの錫化合物、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、タンニン類、テルペン類等の防汚活性物質(忌避剤)を、ポリグリコール酸に対して25質量%以下、好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下の範囲の量で配合することもできる。
粒子状である本発明の水中防汚材である塗料を、基材の上に塗装することにより、水中防汚材から形成された塗膜を少なくとも1層有する積層体が得られる。基材としては、前記した海中または水中に没している部分を有する船舶、特にその船底部、海洋構築物、水力発電所用導水管や用水路等の各種構造物、ブイ、浮標、漁網等の各種道具があり、水中防汚材の塗膜が形成された水中設備を得ることができる。
例えば、防汚パネル(海洋生物付着防止パネル)は、基材に対する追従性(例えば曲面)を確保した硬質ゴムシート等の高分子弾性体シート(基板シート)の表面側(水中露出側)に上記水性防汚材を含有する塗料により防汚塗膜を形成すればよい。高分子弾性体シート(基材シート)としては、硬質ゴムシート(例えば、ウレタンゴム、NR、NBR等)が耐久性、施工作業性、塗料密着性等の見地から望ましい。高分子弾性体としては、硬質ゴム以外に、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性エラストマー(TPE)も使用可能である。防汚パネルは、両面平面の場合は、例えば、カレンダー加工で成形したシート体を裁断して製造する。溝状凹凸を有する場合は、押出シート体を裁断して、また、窪み散点状に形成する場合は、プレス成形等により、製造可能である。
本発明の水中防汚材である塗料の塗布方法は、特に限定されず、例えば、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、ハケ塗り法、ヘラ塗り法、浸漬塗装法、電着塗装法、静電塗装法、押出被覆法などの公知の方法によって行うことができる。無溶媒の塗料として粉体塗装を行い、塗膜を形成することもできる。塗料の塗布量は、要求性能(耐用期間等)、設置箇所等に応じて、乾燥膜厚で5μm〜5,000μmとする。該塗料の乾燥後の重量が、通常0.1〜50g/mであり、好ましくは1〜50g/m、より好ましくは3〜10g/mとなるように調整される。塗膜の形成は、塗料を塗布した後に、溶媒があるときは加熱により該溶媒を蒸発させ、その後粒子を溶融させることで行う。これにより、ピンホールがなく、均一な塗膜が形成され、耐溶剤性などに優れた塗膜が得られる。加熱温度は100〜300℃が好ましく、150〜280℃がより好ましい。また、加熱時間は、10秒間〜20分間が好ましく、20秒間〜10分間がより好ましい。さらに、加熱後、水冷することが好ましい。水冷を行なうことで、塗膜の外観、加工性等の諸物性がより優れたものとなる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。
実施例及び比較例のポリグリコール酸、塗料等の物性及び特性の測定方法は、以下のとおりである。
(1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn):
重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置を用いて、以下の条件で行った。
ヘキサフルオロイソプロパノール(セントラル硝子株式会社製の製品を蒸留してから使用)に、トリフルオロ酢酸ナトリウム塩(関東化学株式会社製)を加えて溶解し、5mMトリフルオロ酢酸ナトリウム塩溶媒(A)を作成した。
溶媒(A)を40℃、1ml/分の流速でカラム(HFIP−LG+HFIP−806M×2:SHODEX製)中に流し、分子量82.7万、10.1万、3.4万、1.0万、及び0.2万の5つの分子量既知のポリメタクリル酸メチル(POLYMER LABORATORIES Ltd.製)の各10mgと溶媒(A)とで10mlの溶液とし、そのうちの100μlをカラム中に通し、屈折率(RI)検出による検出ピーク時間を求めた。5つの標準試料の検出ピーク時間と分子量とをプロットすることにより、分子量の検量線を作成した。
次に、試料であるポリグリコール酸10mgに溶媒(A)を加えて10mlの溶液とし、そのうちの100μlをカラム中に通して、その溶出曲線から重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。計算には、株式会社島津製作所製C−R4AGPCプログラムVer1.2を用いた。
(2)末端カルボキシル基濃度:
末端カルボキシル基濃度の測定は、ポリグリコール酸約300mgを、150℃で約3分間加熱してジメチルスルホキシド10mlに完全に溶解させ、室温まで冷却した後、指示薬(0.1質量%のブロモチモールブルー/アルコール溶液)を2滴加えた後、0.02規定の水酸化ナトリウム/ベンジルアルコール溶液を加えていき、目視で溶液の色が黄色から緑色に変わった点を終点とした。その時の滴下量よりポリグリコール酸1トン(10g)あたりの当量として末端カルボキシル基濃度を算出した。
(3)残留グリコリド量
残留グリコリド量の測定は、ポリグリコール酸約100mgに、内部標準物質4−クロロベンゾフェノンを0.2g/lの濃度で含むジメチルスルホキシド2gを加え、150℃で約5分間加熱して溶解させ、室温まで冷却した後、ろ過を行った。その溶液を1μl採取し、ガスクロマトグラフィ(GC)装置に注入して測定を行った。この測定により得られた数値より、ポリグリコール酸中に含まれる質量%として、グリコリド量を算出した。GC分析条件は以下のとおりである。
装置:株式会社島津製作所製「GC−2010」
カラム:「TC−17」(0.25mmφ×30m)
カラム温度:150℃で5分保持後、20℃/分で270℃まで昇温して、270℃で3分間保持
気化室温度:180℃
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)、温度:300℃
(4)1%熱重量減少開始温度
1%熱重量減少開始温度の測定は、メトラー社製熱重量測定装置TG50を用い、流速10ml/分で窒素を流し、この窒素雰囲気下、ポリグリコール酸を50℃から2℃/分の昇温速度で加熱して、重量減少率を測定した。50℃におけるポリグリコール酸の重量(W50)に対し、該重量が1%減少したときの温度を正確に読み取り、その温度をポリグリコール酸の1%熱重量減少開始温度とした。
(5)融点及びガラス転移温度
融点及びガラス転移温度の測定は、株式会社島津製作所製示差走査熱量測定機(DSC)を使用し、JIS−K7121に準拠して融点及びガラス転移点を求めた。
(6)溶融粘度保持率
レオメトリックス社製RSDIIを用い、窒素雰囲気下、ポリグリコール酸2gを1/2インチ径のパラレルプレートの間にセットし、ギャップ長1.5mmとした。250℃で予熱5分間の後、10rad/秒の角速度でポリグリコール酸の初期溶融粘度(η;Pa・s)を測定した。一方、250℃で60分間保持した後、10rad/秒の角速度でポリグリコール酸の粘度(η60;Pa・s)を測定する。溶融粘度保持率は、下記式により算出した。
溶融粘度保持率(%)=〔(η60)/(η)〕×100
(7)温水浸漬後の加水分解率
溶融成形して製造した未延伸のフィルムまたはシートから、縦100mm、横200mm、厚さ0.5mmの試料片を作成し、両長端を把持した状態で、50℃に保温した温水中に浸漬して1週間保持し、温水浸漬前後の重量平均分子量をGPC分析装置を用いて測定し、温水浸漬前の重量平均分子量に対する百分率として算出した。
(8)粒子の平均粒径
ポリグリコール酸の粒子の平均粒径の測定は、水中に分散させた粉体を、レーザー光回折/散乱法を用いた日機装株式会社製マイクロトラックFRA粒度分析計を用いて測定した。
(9)浸漬試験による忌避効果
水中防汚材の浸漬試験による忌避効果の評価は、以下の方法により実施した。
水中防汚材を、フジツボの繁殖期である8月をまたいで8か月間(3〜10月)、海に浸漬した。試験開始後、1か月毎に、水中防汚材の両表面に付着したフジツボの付着面積を観察し、忌避効果を評価した。なお、評価に供する水中防汚材は3個作成し、それらの平均で評価した。
評価基準は、0:付着なし、1:数個付着、2:5〜19%付着、3:20〜39%付着、4:40%以上付着、の5段階評価とした。
(10)消失性試験
水中防汚材の生分解による消失性を以下の方法により試験した。
水中防汚材の質量を秤量した後、試験室内に海水を導入し、30℃に加温して、15ノットの速度で流しながら、水中防汚材を4か月間浸漬し、1か月毎に秤量を行い、当初の質量に対する比率(%)を測定した。なお、評価に供する水中防汚材は3個作成し、それらの平均で評価した。
I.成形シートにおける忌避効果の試験
[実施例1]
[グリコリドの合成]
ジャケット付き撹拌槽に70質量%グリコール酸水溶液を仕込み、缶内液を200℃まで加熱昇温し、水を系外に留出させながら縮合反応を行った。次いで、缶内圧を段階的に減圧しながら、生成水、未反応原料などの低沸点物質を留去し、グリコール酸オリゴマーを得た。
上記で調製したグリコール酸オリゴマーを反応槽に仕込み、溶媒としてジエチレングリコールジブチルエーテルを加え、さらに、可溶化剤としてオクチルテトラエチレングリコールを加えた。加熱及び減圧下で解重合反応させて、生成グリコリドと溶媒とを共留出させた。留出物は、温水を循環させた二重管式コンデンサーで凝縮し、受器に受けた。受器内の凝縮液は、二液に層分離し、上層が溶媒で、下層がグリコリド層に凝縮された。受器の底部から液状グリコリドを抜き出し、得られたグリコリドを、塔型精製装置を用いて精製した。回収した精製グリコリドは、DSC測定による純度が99.99%以上であった。
[ポリマー合成]
ジャケット構造を有し、密閉可能な容積56lの容器内に、上記グリコリド22.5kg、二塩化錫2水和物0.68g(30ppm)、及び水10.91gを加え、全プロトン濃度を0.13モル%に調整した。容器を密閉し、撹拌しながらジャケットにスチームを循環させ、100℃になるまで加熱して、内容物を溶融し、均一な液体とした。内容物の温度を100℃に保持したまま、複数本の内径24mmの金属(SUS304)製管からなる装置に移した。170℃熱媒体油を循環させ、7時間保持して重合を行った。ジャケットに循環させている熱媒体油を冷却することにより、重合装置を冷却した後、生成ポリグリコール酸の塊状物を取り出した。収率は、ほぼ100%であった。塊状物を、粉砕機により粉砕した。
該ポリグリコール酸から、射出成形により、縦300mm、横200mm、厚さ1mmのシートを製造して、評価試験(浸漬試験による忌避効果及び消失性試験)を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
[実施例2]
水の量を6.96gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリグリコール酸を製造した。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
[実施例3]
水に代えて、ラウリルアルコールを40.15g加えるとともに、生成したポリグリコール酸の塊状物を取り出した後、170℃で3時間固相重合を行ったこと以外は、実施例1と同様にしてポリグリコール酸を製造した。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1で製造したポリグリコール酸の塊状物を、粉砕機により粉砕し、その粉砕物100gに対し、防汚活性物質(忌避剤)として亜酸化銅15gを溶融混練した後、射出成形により、実施例1と同サイズのシートを成形して試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
[比較例1]
固相重合を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にしてポリグリコール酸を製造し、射出成形により、実施例1と同サイズのシートを成形して試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例3で製造した固相重合後のポリグリコール酸を、粉砕機により粉砕し、その粉砕物100gに対し、末端カルボキシル基封止剤として、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド1gを溶融混練してポリグリコール酸を得た。射出成形により、実施例1と同サイズのシートを成形して試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
[比較例3]
ラウリルアルコールの量を45.15gに変えるとともに、210℃で3時間重合を行うように変更したこと以外は、実施例3と同様にしてポリグリコール酸を製造し、ポリグリコール酸の粉砕物100gに対し、亜酸化銅15gを配合した後、射出成形により、実施例1と同サイズのシートを成形して試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
[比較例4]
重量平均分子量Mw248,000、分子量分布Mw/Mn2.4のポリ乳酸100gに、亜酸化銅15gを配合して、射出成形により、実施例1と同サイズのシートを成形して試験を行った。ポリ乳酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
Figure 0005480370
表1の結果から、本発明のポリグリコール酸を使用したシートは、防汚活性物質(忌避剤)を配合しなくても、十分な忌避効果を示し、また、安定的な消失傾向が示されていることが分かる。これに対して、比較例1及び2のシートでは、忌避効果が十分でなく、比較例3のシートでは、シートの消失が早期に進行してしまい、長期に亘る忌避効果を期待することができない。また、ポリ乳酸を使用した比較例4のシートでは、忌避効果が発揮されないことが分かる。
II.防汚塗料における忌避効果の試験
[実施例5]
実施例1で使用したポリグリコール酸45.0gと溶媒として、ビス(2−メトキシエチル)エーテルを105.0gを量り取り、カルナバワックス分散液〔SL506(ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル中分散物、固形分18.5%)サンノプコ株式会社製〕2.0gを加え、2mmφガラスビーズとともに、ペイントシェーカーで2時間分散した後、ガーゼでガラスビーズを濾別してポリグリコール酸を含有する塗料を得た。
あらかじめ防錆塗料を塗布してある塗装鋼(縦100mm、横200mm、厚さ0.1mm)の両面に、乾燥膜厚が片面100μmとなるようにスプレー塗装を2回行い、室温下一晩自然乾燥した後、245℃に温度調整した加熱オーブン中で、5分間熱処理を行って試験塗装板を作成し、試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表2に示す。
[実施例6]
ポリグリコール酸を実施例3で使用したポリグリコール酸に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、ポリグリコール酸を含有する塗料を得て、試験塗装板を作成し、試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表2に示す。
[比較例5〕
ポリグリコール酸に代えて比較例4で使用したポリ乳酸を使用し、ビス(2−メトキシエチル)エーテルに代えて、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチルの混合物〔DBE(登録商標)、デュポン株式会社製〕を使用したこと以外は、実施例5と同様の操作により、ポリ乳酸の粒子を含有する塗料を得た。なお、この塗料には、亜酸化銅をポリ乳酸100gに対して15g配合している。試験塗装板を作成し、試験を行った。ポリ乳酸の物性と評価試験の試験結果を表2に示す。
[比較例6]
ポリグリコール酸を比較例3で使用したポリグリコール酸に変え、亜酸化銅をポリグリコール酸100gに対して15g配合して形成した平均粒径250μmの粉体塗料を用いて、試験塗装板を作成し、試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表2に示す。
Figure 0005480370
表2の結果から分かるように、本発明の製造方法により製造された実施例5及び6のポリグリコール酸を含有する塗料は、防汚活性物質(忌避剤)を配合しなくても、十分な忌避効果を示し、また、安定的な消失傾向が示されていることが分かる。これに対して、比較例5のポリ乳酸を使用した塗料では、十分な忌避効果が得られない。また、比較例6のポリグリコール酸を含有する塗料では、シートの消失が早期に進行してしまい、長期に亘る忌避効果を期待することができない。
本発明によれば、グリコリド70〜100質量%及び他の環状モノマー30〜0質量%を開環重合して得られるポリグリコール酸を含む水中防汚材であって、該ポリグリコール酸が、(a)重量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000、(b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が1.5〜4.0、(c)末端カルボキシル基濃度が、6〜200eq/10g、(d)残留グリコリド量が、0.2質量%以下、及び、(e)1%熱重量減少開始温度が、210℃以上、好ましくは、更に、(f)250℃で5分間保持後に測定した初期溶融粘度(η)に対する250℃で60分間保持後に測定した溶融粘度(η60)の割合〔(η60/η)×100〕として定義される溶融粘度保持率が、40%以上であることによって、防汚活性物質(忌避剤)を使用しなくても、長期間に亘って十分な防汚性能を示すことができるので、環境負荷が小さく、水中防汚材の交換サイクルを延ばすことができ、経済効果が大きい。このため、例えば、船底塗料に用いると、フジツボ等の付着による燃費の悪化を防止することができ、水中での生分解により、船底のスケール落としが不要となるなど、大きな経済効果が期待できる。また、発電所の取水路・排水路その他の水中設備の保守管理負担が軽減され、性能低下も起きない、など産業上の利用可能性は極めて大きい。

Claims (10)

  1. グリコリド70〜100質量%及び他の環状モノマー30〜0質量%を開環重合して得られるポリグリコール酸を含む水中防汚材であって、
    該ポリグリコール酸が、以下の特性(a)〜(e):
    (a)重量平均分子量(Mw)が、30,000〜800,000;
    (b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が、1.5〜4.0;
    (c)末端カルボキシル基濃度が、6〜200eq/10g;
    (d)残留グリコリド量が、0.2質量%以下;及び
    (e)1%熱重量減少開始温度が、210℃以上;
    を備えることを特徴とする前記水中防汚材。
  2. 前記ポリグリコール酸が、更に(f)250℃で5分間保持後に測定した初期溶融粘度(η)に対する250℃で60分間保持後に測定した溶融粘度(η60)の割合〔(η60/η)×100〕として定義される溶融粘度保持率が、40%以上である請求項1記載の水中防汚材。
  3. 溶融成形物である請求項1または2記載の水中防汚材。
  4. 溶融成形物が、フィラメント、撚糸、ロープ、網、フィルム、シート、板材、棒材、管、球体、型材、若しくは発泡体、またはこれらを組み合わせて成る異型材である請求項3記載の水中防汚材。
  5. 溶融成形物がフィルムまたはシートである請求項4記載の水中防汚材から形成された層を少なくとも1層有する積層体。
  6. 塗料である請求項1または2記載の水中防汚材。
  7. 船底塗料である請求項6記載の水中防汚材。
  8. 平均粒径が3〜800μmである前記ポリグリコール酸の粒子を含有する請求項6記載の塗料である水中防汚材。
  9. 請求項6に記載の塗料から形成された塗膜を少なくとも1層有する積層体。
  10. 防汚活性物質を、更に含有する請求項1または2に記載の水中防汚材。
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