JPWO2011132537A1 - 水中防汚材、溶融成形物及び塗料 - Google Patents
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Abstract
Description
(a)重量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000;
(b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が1.5〜4.0;
(c)末端カルボキシル基濃度が、6〜200eq/106g;
(d)残留グリコリド量が、0.2質量%以下;及び
(e)1%熱重量減少開始温度が、210℃以上;
を備えることを特徴とする前記水中防汚材が提供される。
本発明において、「水中防汚材」とは、海、川、湖、沼、ため池、貯水池など(以下、これらを総称して「水域」ということがある。)の水中に置かれる物品、若しくは、水域の水中で使用される器物、設備及び構造物等の物品、または、水、海水、氷若しくは水蒸気などが流動したり滞留したりしている管状物や施設等の用品に、先に述べた付着動物、藻類またはスライム形成性の微生物などの付着生物が付着することを防止または抑制するために使用される材料をいう。「水中」とは、該物品のほぼ全体が水中にある状態のほかに、該物品の一部分が水中にある状態や、前記用品の内側が水と接触している状態をいい、少なくとも該物品または用品(以下、総称して単に「物品」ということがある。)の一部分が、水と接していることにより、藻類等の付着生物が付着する可能性がある状態を意味する。また、該物品は、水中防汚材のみから形成されたものである場合と、該物品の一部分が水中防汚材から形成されたものである場合とがある。具体的には、海底ケーブル、海底パイプライン、橋脚、発電所の取水路・排水路、工業用冷却水路、養殖用漁網などは、物品のほぼ全体が水中にあるものであって、その表面層に水中防汚材が適用されることがある。また、船舶の船底部、観測ブイ、浮標、波力発電ブイ、オイルフェンス、シルトプロテクターなどは、物品の一部分が水中にあるものであって、その表面層または全体に水中防汚材が適用されることがある。さらに、下水道管、排水管、貯水槽、プール、浴室、水槽などの用品は、その内側が水と接触しているものであって、内側の表面層または全体の一部に水中防汚材が適用されることがある。水中防汚材が表面層に適用される場合は、防汚性のフィルムまたはシート等の溶融成形物である水中防汚材を物品の表面に貼り付けてもよいし、防汚塗料である水中防汚材を物品の表面に塗布して塗膜を形成してもよい。本発明の水中防汚材は、特に、船舶の船底部に塗布される船底塗料に適する。
(a)重量平均分子量(Mw)が、30,000〜800,000;
(b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が、1.5〜4.0;
(c)末端カルボキシル基濃度が、6〜200eq/106g;
(d)残留グリコリド量が、0.2質量%以下;及び
(e)1%熱重量減少開始温度が、210℃以上;
を備えることを特徴とする前記水中防汚材である。
本発明のポリグリコール酸は、グリコリド70〜100質量%及び他の環状モノマー30〜0質量%を開環重合して得られるものである。
開環重合によってポリグリコール酸を形成するグリコリドは、ヒドロキシカルボン酸の1種であるグリコール酸の2分子間環状エステルである。グリコリドの製造方法は、特に限定されないが、一般的には、グリコール酸オリゴマーを熱解重合することにより得ることができる。グリコール酸オリゴマーの解重合法として、例えば、溶融解重合法、固相解重合法、溶液解重合法などを採用することができ、また、クロロ酢酸塩の環状縮合物として得られるグリコリドも用いることができる。なお、所望により、グリコリドとしては、グリコリド量の20質量%を限度として、グリコール酸を含有するものを使用することができる。
グリコリドとの共重合成分として使用することができる他の環状モノマーとしては、ラクチドなど他のヒドロキシカルボン酸の2分子間環状エステルの外、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等)、トリメチレンカーボネート、1,3−ジオキサンなどの環状モノマーを使用することができる。好ましい他の環状モノマーは、他のヒドロキシカルボン酸の2分子間環状エステルであり、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、L−乳酸、D−乳酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、α−ヒドロキシヘプタン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシミリスチン酸、α−ヒドロキシステアリン酸、及びこれらのアルキル置換体などを挙げることができる。特に好ましい他の環状モノマーは、乳酸の2分子間環状エステルであるラクチドであり、L体、D体、ラセミ体、これらの混合物のいずれであってもよい。
グリコリドの開環重合または開環共重合(以下、総称して、「開環(共)重合」ということがある。)は、好ましくは、少量の触媒の存在下に行われる。触媒は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化錫(例えば、二塩化錫、四塩化錫など)や有機カルボン酸錫(例えば、2−エチルヘキサン酸錫などのオクタン酸錫)などの錫系化合物;アルコキシチタネートなどのチタン系化合物;アルコキシアルミニウムなどのアルミニウム系化合物;ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウム系化合物;ハロゲン化アンチモン、酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物;などがある。触媒の使用量は、環状エステルに対して、質量比で、好ましくは1〜1,000ppm、より好ましくは3〜300ppm程度である。
本発明のポリグリコール酸は、重量平均分子量(Mw)が、30,000〜800,000の範囲内にあるものである。重量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000の範囲内にあることにより、溶融成形加工性や塗膜形成性能と機械的強度が良好であり、また、重量平均分子量を調整することにより生分解性速度を制御することができる。重量平均分子量は、好ましくは40,000〜600,000、より好ましくは50,000〜500,000であり、多くの場合、80,000〜400,000の範囲で良好な物性を得ることができる。重量平均分子量が小さすぎると、成形品が脆くなりやすく、大きすぎると、溶融成形加工や塗膜の形成が困難になり、良好な水中防汚材が得ることができない。
ポリグリコール酸の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布(Mw/Mn)を1.5〜4.0の範囲内にすることによって、早期の生分解性を受けやすい低分子量領域の重合体成分(低分子量物)の量を低減させて、生分解性速度を制御することができる。分子量分布が大きすぎると、生分解性速度がポリグリコール酸の重量平均分子量に依存しなくなりやすい。分子量分布が小さすぎると、長期間に亘って、水中防汚性能を持続することが困難となる。分子量分布は、好ましくは1.8〜3.6、より好ましくは2.0〜3.0である。
ポリグリコール酸の末端カルボキシル基濃度を、6〜200eq/106g、好ましくは8〜150eq/106g、より好ましくは10〜100eq/106g、特に好ましくは12〜75eq/106g、とすることによって、長期間に亘って水中防汚性能を発揮することができる。ポリグリコール酸の分子中には、カルボキシル基及び水酸基が存在している。このうち分子末端にあるカルボキシル基の濃度、すなわち、末端カルボキシル基濃度が小さすぎると水中での加水分解性が低すぎるため、水中防汚性能が十分発揮されない。末端カルボキシル基濃度が大きすぎると、加水分解が早く進行するため、長期間に亘って水中防汚性能を発揮することができず、また、ポリグリコール酸の初期強度が低いため、強度の低下が速くなる。末端カルボキシル基濃度を調整するには、例えば、触媒または分子量調節剤の種類や添加量を変更するなどの方法によればよい。
残留グリコリド量を、0.2質量%以下、好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.12質量%以下に抑制することによって、成形物や塗膜を形成するための加工中にポリグリコール酸の分子量が低下することを抑制し、耐水性を向上させることができる。この目的のためには、例えば、重合の終期(好ましくはモノマーの反応率として50%以上において)に、重合温度を、系が固相となるように、200℃未満、より好ましくは140〜195℃、更に好ましくは160〜190℃となるように調節することが好ましく、また生成したポリグリコール酸を残留グリコリドの気相への脱離除去工程に付すことも好ましい。残留グリコリド量が多すぎると、成形物や塗膜を形成するための加工中にポリグリコール酸の分子量が低下し、長期間に亘って、水中防汚性能を発揮することができない。
1%熱重量減少開始温度を210℃以上、好ましくは213℃以上、より好ましくは214℃以上、特に好ましくは215℃以上とすることによって、成形物や塗膜を形成するための加工中にポリグリコール酸の分子量が低下することが抑制される。1%熱重量減少開始温度の上限としては、通常235℃、好ましくは230℃である。1%熱重量減少開始温度は、ポリグリコール酸の耐熱性の指標として使用されるものであり、ポリグリコール酸を流速10ml/分の窒素気流下、50℃から2℃/分の昇温速度で加熱したとき、50℃でのポリグリコール酸の重量(初期重量)からの重量減少率が1%になる温度である。1%熱重量減少開始温度が低すぎると、成形物や塗膜を形成するための加工中にポリグリコール酸の分子量が低下し、長期間に亘って、水中防汚性能を発揮することができない。1%熱重量減少開始温度を210℃以上とするためには、重量平均分子量(Mw)を前記の範囲内にするとともに、触媒失活剤、結晶核剤、可塑剤、酸化防止剤などの添加剤の添加量をできるだけ少なくするなどの方法によればよい。
ポリグリコール酸の融点は、通常200〜240℃であり、共重合成分の種類及び含有割合によって調整することができる。ポリグリコール酸の単独重合体の融点は、通常220℃程度である。融点が低すぎると、溶融成形品や塗料として用いた場合の強度が不十分であったり、溶融成形を行う場合の温度管理が難しくなる。融点が高すぎると、溶融成形を行う場合の成形加工性が不足したり、塗膜の柔軟性が不足したりすることがある。
ポリグリコール酸のガラス転移温度(Tg)は、船底や海中構造物用の防汚塗料に使用する場合には、30℃以上、特に35℃以上であることが好ましい。Tgが低すぎると、当該ポリグリコール酸を含有する防汚塗料による塗膜表面に粘着性が生じてしまい、実用上問題が生じる。ガラス転移温度の上限は特にないが、船底や海中構造物等の変形や熱膨張に追随できる塗膜の柔軟性がないと、塗膜のヒビ割れ等が生じるおそれがあるので、通常、55℃以下、特に50℃以下であることが好ましい。
ポリグリコール酸は、更に、250℃で5分間保持後に測定した初期溶融粘度(η0)に対する250℃で60分間保持後に測定した溶融粘度(η60)の割合〔(η60/η0)×100〕として定義される溶融粘度保持率が40%以上であることが、溶融安定性の点から好ましい。溶融粘度保持率は、可能な限り高いことが望ましく、好ましくは43%以上、より好ましくは45%以上、特に好ましくは50%以上であるが、通常80%、多くの場合75%が上限である。ポリグリコール酸の溶融粘度保持率が低すぎると、例えば、シートやフィルムなどを押出成形するときに、押出トルクの変動が起こったり、押出中のシート等の破断が起こったりして、安定して成形を行うことが困難である。また、溶融安定性が低すぎるポリグリコール酸を用いると、押出中に揮発分の発生量が多く、ロールなどの部材へ揮発物が付着することがある。溶融粘度保持率が高いポリグリコール酸を生成させるためには、溶融状態でグリコリドの開環重合を行い、次いで、固体状態に変換後、溶融混練する方法や、固体状態に変換後、更に固相重合を行い、しかる後、溶融混練する方法などがある。
ポリグリコール酸は、フィルムまたはシートの形態で、50℃の温水中での1週間浸漬した後のポリグリコール酸の加水分解率(重量平均分子量の低下率で評価する。以下、「温水浸漬後の加水分解率」という。)が90%以上であることが、防汚性能の徐放性と持続性の点から好ましい。温水浸漬後の加水分解率が90%未満であると、水中防汚材とした場合に、フィルムまたはシートが、海水等の水中において、比較的短期間で加水分解され、水中に溶出してしまう結果、防汚性能を長期間に亘って持続することができない。防汚性能を長期間に亘って持続するためには、温水浸漬後の加水分解率が高いことが望ましく、より好ましくは91%以上、特に好ましくは92%以上である。温水浸漬後の加水分解率が高すぎると、水中防汚材が海水等の水中において、ほとんど加水分解や生分解を受けないため、防汚性能が発揮されず好ましくないので、通常99%、好ましくは98.5%、より好ましくは98%が上限である。
本発明の水中防汚材は、フィラメント、撚糸、ロープ、網、フィルム、シート、板材、棒材、管、球体、型材、若しくは発泡体、またはこれらを組み合わせて成る異型材などの溶融成形物として使用することができる。溶融成形物は、射出成形、押出成形、圧縮成形など汎用の溶融成形法によって溶融成形することができるが、更に、これら汎用の溶融成形法に続いて、真空成形、圧空成形、ブロー成形などにより賦形した成形物も、水中防汚材として使用される。
本発明の水中防汚材は、塗料として使用することができる。特に、船舶、海洋構築物、水力発電所用導水管や用水路等の各種構造物や、ブイ、浮標、漁網等の各種道具の海中または水中に没している部分の表面に付着する微生物、藻類等の動植物の水棲付着生物による汚損防止に良好な結果を与える防汚塗料、中でも、船底塗料として使用することができる。
重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置を用いて、以下の条件で行った。
末端カルボキシル基濃度の測定は、ポリグリコール酸約300mgを、150℃で約3分間加熱してジメチルスルホキシド10mlに完全に溶解させ、室温まで冷却した後、指示薬(0.1質量%のブロモチモールブルー/アルコール溶液)を2滴加えた後、0.02規定の水酸化ナトリウム/ベンジルアルコール溶液を加えていき、目視で溶液の色が黄色から緑色に変わった点を終点とした。その時の滴下量よりポリグリコール酸1トン(106g)あたりの当量として末端カルボキシル基濃度を算出した。
残留グリコリド量の測定は、ポリグリコール酸約100mgに、内部標準物質4−クロロベンゾフェノンを0.2g/lの濃度で含むジメチルスルホキシド2gを加え、150℃で約5分間加熱して溶解させ、室温まで冷却した後、ろ過を行った。その溶液を1μl採取し、ガスクロマトグラフィ(GC)装置に注入して測定を行った。この測定により得られた数値より、ポリグリコール酸中に含まれる質量%として、グリコリド量を算出した。GC分析条件は以下のとおりである。
カラム:「TC−17」(0.25mmφ×30m)
カラム温度:150℃で5分保持後、20℃/分で270℃まで昇温して、270℃で3分間保持
気化室温度:180℃
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)、温度:300℃
1%熱重量減少開始温度の測定は、メトラー社製熱重量測定装置TG50を用い、流速10ml/分で窒素を流し、この窒素雰囲気下、ポリグリコール酸を50℃から2℃/分の昇温速度で加熱して、重量減少率を測定した。50℃におけるポリグリコール酸の重量(W50)に対し、該重量が1%減少したときの温度を正確に読み取り、その温度をポリグリコール酸の1%熱重量減少開始温度とした。
融点及びガラス転移温度の測定は、株式会社島津製作所製示差走査熱量測定機(DSC)を使用し、JIS−K7121に準拠して融点及びガラス転移点を求めた。
レオメトリックス社製RSDIIを用い、窒素雰囲気下、ポリグリコール酸2gを1/2インチ径のパラレルプレートの間にセットし、ギャップ長1.5mmとした。250℃で予熱5分間の後、10rad/秒の角速度でポリグリコール酸の初期溶融粘度(η0;Pa・s)を測定した。一方、250℃で60分間保持した後、10rad/秒の角速度でポリグリコール酸の粘度(η60;Pa・s)を測定する。溶融粘度保持率は、下記式により算出した。
溶融粘度保持率(%)=〔(η60)/(η0)〕×100
溶融成形して製造した未延伸のフィルムまたはシートから、縦100mm、横200mm、厚さ0.5mmの試料片を作成し、両長端を把持した状態で、50℃に保温した温水中に浸漬して1週間保持し、温水浸漬前後の重量平均分子量をGPC分析装置を用いて測定し、温水浸漬前の重量平均分子量に対する百分率として算出した。
ポリグリコール酸の粒子の平均粒径の測定は、水中に分散させた粉体を、レーザー光回折/散乱法を用いた日機装株式会社製マイクロトラックFRA粒度分析計を用いて測定した。
水中防汚材の浸漬試験による忌避効果の評価は、以下の方法により実施した。
水中防汚材の生分解による消失性を以下の方法により試験した。
[グリコリドの合成]
ジャケット付き撹拌槽に70質量%グリコール酸水溶液を仕込み、缶内液を200℃まで加熱昇温し、水を系外に留出させながら縮合反応を行った。次いで、缶内圧を段階的に減圧しながら、生成水、未反応原料などの低沸点物質を留去し、グリコール酸オリゴマーを得た。
ジャケット構造を有し、密閉可能な容積56lの容器内に、上記グリコリド22.5kg、二塩化錫2水和物0.68g(30ppm)、及び水10.91gを加え、全プロトン濃度を0.13モル%に調整した。容器を密閉し、撹拌しながらジャケットにスチームを循環させ、100℃になるまで加熱して、内容物を溶融し、均一な液体とした。内容物の温度を100℃に保持したまま、複数本の内径24mmの金属(SUS304)製管からなる装置に移した。170℃熱媒体油を循環させ、7時間保持して重合を行った。ジャケットに循環させている熱媒体油を冷却することにより、重合装置を冷却した後、生成ポリグリコール酸の塊状物を取り出した。収率は、ほぼ100%であった。塊状物を、粉砕機により粉砕した。
水の量を6.96gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリグリコール酸を製造した。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
水に代えて、ラウリルアルコールを40.15g加えるとともに、生成したポリグリコール酸の塊状物を取り出した後、170℃で3時間固相重合を行ったこと以外は、実施例1と同様にしてポリグリコール酸を製造した。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
実施例1で製造したポリグリコール酸の塊状物を、粉砕機により粉砕し、その粉砕物100gに対し、防汚活性物質(忌避剤)として亜酸化銅15gを溶融混練した後、射出成形により、実施例1と同サイズのシートを成形して試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
固相重合を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にしてポリグリコール酸を製造し、射出成形により、実施例1と同サイズのシートを成形して試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
実施例3で製造した固相重合後のポリグリコール酸を、粉砕機により粉砕し、その粉砕物100gに対し、末端カルボキシル基封止剤として、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド1gを溶融混練してポリグリコール酸を得た。射出成形により、実施例1と同サイズのシートを成形して試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
ラウリルアルコールの量を45.15gに変えるとともに、210℃で3時間重合を行うように変更したこと以外は、実施例3と同様にしてポリグリコール酸を製造し、ポリグリコール酸の粉砕物100gに対し、亜酸化銅15gを配合した後、射出成形により、実施例1と同サイズのシートを成形して試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
重量平均分子量Mw248,000、分子量分布Mw/Mn2.4のポリ乳酸100gに、亜酸化銅15gを配合して、射出成形により、実施例1と同サイズのシートを成形して試験を行った。ポリ乳酸の物性と評価試験の試験結果を表1に示す。
実施例1で使用したポリグリコール酸45.0gと溶媒として、ビス(2−メトキシエチル)エーテルを105.0gを量り取り、カルナバワックス分散液〔SL506(ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル中分散物、固形分18.5%)サンノプコ株式会社製〕2.0gを加え、2mmφガラスビーズとともに、ペイントシェーカーで2時間分散した後、ガーゼでガラスビーズを濾別してポリグリコール酸を含有する塗料を得た。
ポリグリコール酸を実施例3で使用したポリグリコール酸に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、ポリグリコール酸を含有する塗料を得て、試験塗装板を作成し、試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表2に示す。
ポリグリコール酸に代えて比較例4で使用したポリ乳酸を使用し、ビス(2−メトキシエチル)エーテルに代えて、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチルの混合物〔DBE(登録商標)、デュポン株式会社製〕を使用したこと以外は、実施例5と同様の操作により、ポリ乳酸の粒子を含有する塗料を得た。なお、この塗料には、亜酸化銅をポリ乳酸100gに対して15g配合している。試験塗装板を作成し、試験を行った。ポリ乳酸の物性と評価試験の試験結果を表2に示す。
ポリグリコール酸を比較例3で使用したポリグリコール酸に変え、亜酸化銅をポリグリコール酸100gに対して15g配合して形成した平均粒径250μmの粉体塗料を用いて、試験塗装板を作成し、試験を行った。ポリグリコール酸の物性と評価試験の試験結果を表2に示す。
Claims (10)
- グリコリド70〜100質量%及び他の環状モノマー30〜0質量%を開環重合して得られるポリグリコール酸を含む水中防汚材であって、
該ポリグリコール酸が、以下の特性(a)〜(e):
(a)重量平均分子量(Mw)が、30,000〜800,000;
(b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が、1.5〜4.0;
(c)末端カルボキシル基濃度が、6〜200eq/106g;
(d)残留グリコリド量が、0.2質量%以下;及び
(e)1%熱重量減少開始温度が、210℃以上;
を備えることを特徴とする前記水中防汚材。 - 前記ポリグリコール酸が、更に(f)250℃で5分間保持後に測定した初期溶融粘度(η0)に対する250℃で60分間保持後に測定した溶融粘度(η60)の割合〔(η60/η0)×100〕として定義される溶融粘度保持率が、40%以上である請求項1記載の水中防汚材。
- 溶融成形物である請求項1または2記載の水中防汚材。
- 溶融成形物が、フィラメント、撚糸、ロープ、網、フィルム、シート、板材、棒材、管、球体、型材、若しくは発泡体、またはこれらを組み合わせて成る異型材である請求項3記載の水中防汚材。
- 溶融成形物がフィルムまたはシートである請求項4記載の水中防汚材から形成された層を少なくとも1層有する積層体。
- 塗料である請求項1または2記載の水中防汚材。
- 船底塗料である請求項6記載の水中防汚材。
- 平均粒径が3〜800μmである前記ポリグリコール酸の粒子を含有する請求項6記載の塗料である水中防汚材。
- 請求項6に記載の塗料から形成された塗膜を少なくとも1層有する積層体。
- 防汚活性物質を、更に含有する請求項1または2に記載の水中防汚材。
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