JP5476548B2 - 硫化物系化合物半導体 - Google Patents

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Description

本発明は、硫化物系化合物半導体に関し、さらに詳しくは、薄膜太陽電池、光導電セル、フォトダイオード、フォトトランジスタ、色素増感型太陽電池などに用いられる光電素子の材料として好適な硫化物系化合物半導体に関する。
光電素子とは、光量子のエネルギーを何らかの物理現象を介して電気的信号に変換(光電変換)することが可能な素子をいう。太陽電池は、光電素子の一種であり、太陽光線の光エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換することができる。
太陽電池に用いられる半導体としては、単結晶Si、多結晶Si、アモルファスSi、GaAs、InP、CdTe、CuIn1-xGaxSe2(CIGS)、Cu2ZnSnS4(CZTS)などが知られている。
これらの中でも、CIGSやCZTSに代表されるカルコゲナイト系の化合物は、光吸収係数が大きいので、低コスト化に有利な薄膜化が可能である。特に、CIGSは、薄膜太陽電池中では変換効率が最も高く、多結晶Siを超える変換効率も得られている。しかしながら、CIGSは、環境負荷元素及び希少元素を含んでいるという問題がある。
一方、CZTSは、太陽電池に適したバンドギャップエネルギー(1.4〜1.5eV)を持ち、しかも、環境負荷元素や希少元素を含まないという特徴がある。しかしながら、CZTSは、従来の半導体に比べて変換効率が低いという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、非特許文献1には、電子ビーム蒸着法を用いてSLG(ソーダライムガラス)上にSn/Cu/ZnS積層前駆体を形成し、前駆体を5%H2S+N2雰囲気下で硫化させるCZTSの製造方法が開示されている。
同文献には、Cu/(Zn+Sn)比が0.8〜0.9であるCZTS膜が光吸収層として好適である点、及び、520℃での硫化によって変換効率4.53%が得られる点が記載されている。
また、非特許文献2には、電子ビーム蒸着法を用いてMoコートSLG基板上にCu/Sn/ZnS積層前駆体又はSn/Cu/ZnS積層前駆体を形成し、前駆体を5%H2S+N2雰囲気下で硫化させるCZTSの製造方法が開示されている。
同文献には、基板上にCu/Sn/ZnS積層前駆体を形成すると、硫化後の薄膜表面が粗く、多くのボイドがあるのに対し、基板上にSn/Cu/ZnS積層前駆体を形成すると、硫化後の薄膜表面に大きなボイドが見られない点が記載されている。
Takeshi Kobayashi et al., "Investigation of Cu2ZnSnS4-Based Thin Film Solar Cells Using Abundant Materials", Japanese Journal of Applied Physics, vol.44, No.1B, 2005, pp.783-787 Hironori Katagiri, "Cu2ZnSnS4 thin film solar cells", Thin Solid Films 480-481(2005)426-432
カルコゲナイト系の化合物を用いた薄膜太陽電池において、基板には、一般にSLGが用いられる。これは、特にCIGSの場合において、SLGに含まれるNaがCIGSの粒成長を促すためと考えられている。また、下部電極には、一般にMoが用いられる。これは、SLGとMoとの接着力が高く、薄膜が剥離しにくく、CIGSのセレン化プロセス中にMo膜がセレン化されにくいためである。
しかしながら、CIGSで用いられている方法をそのままCZTSに適用しても、変換効率は5%に留まっている。
本発明が解決しようとする課題は、薄膜太陽電池の光吸収層などに使用することができ、しかも高い変換効率を有する硫化物系化合物半導体を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る硫化物系化合物半導体は、
Na共存下において、Cu、Zn、Sn及びSを含む硫化物系化合物半導体を製造し、
水又は水溶液を用いて前記硫化物系化合物半導体を洗浄する
ことにより得られるものからなる。
Cu、Zn、Sn及びSを含む硫化物系化合物半導体を製造する場合において、Na共存下で硫化物系化合物半導体を製造し、次いで極性溶媒である水又は水溶液を用いて硫化物系化合物半導体を洗浄すると、変換効率が向上する。
これは、
(1)Naが硫化物系化合物半導体の粒成長を促すため、及び、
(2)洗浄によって、硫化物系化合物半導体の表面又は内部から絶縁性のNa−O系粒子が除去され、硫化物系化合物半導体の電気伝導性が向上するため、
と考えられる。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 硫化物系化合物半導体]
本発明に係る硫化物系化合物半導体は、
Na共存下において、Cu、Zn、Sn及びSを含む硫化物系化合物半導体を製造し、
極性溶媒を用いて前記硫化物系化合物半導体を洗浄する
ことにより得られる。
[1.1 硫化物系化合物半導体の製造]
「Cu、Zn、Sn、及びSを含む硫化物系化合物半導体」とは、Cu2ZnSnS4(CZTS)系化合物をいう。CZTSは、バンドギャップが1.5eV程度、光吸収係数が104cm-1以上の半導体である。CZTSは、化学量論組成では発電効率が低いが、化学量論組成よりもCuを僅かに減らすと、相対的に高い変換効率を示す。本発明において、CZTSには、化学量論組成の化合物だけでなく、相対的に高い変換効率を示すすべての不定比化合物、あるいは、Cu、Zn、Sn、及びSを主成分とするすべての化合物が含まれる。
高い変換効率を得るためには、硫化物系化合物半導体は、原子比で、Cu/(Zn+Sn)比が0.69以上0.99以下であるものが好ましい。Cu/(Zn+S)比は、さらに好ましくは、0.8〜0.9である。
このような硫化物系化合物半導体の製造方法としては、具体的には、
(1)基板表面に、Cu−Zn−Sn、あるいは、Cu−Zn−Sn−S前駆体膜をスパッタ法等により形成した後、前駆体膜を硫化水素雰囲気中で熱処理する方法、
(2)有機金属等を溶解した溶液を基板上にコーティングし、空気中で乾燥させることにより加水分解と縮重反応を起こさせて金属酸化物薄膜とし、金属酸化物薄膜を硫化水素雰囲気中で熱処理するゾル−ゲル+硫化法、
(3)種々の方法により基板表面に硫化物系化合物半導体からなる薄膜を形成し、基板から薄膜を掻き落として粉末を得る方法、
(4)Cu、Zn又はSnのいずれか1種以上を含む2種以上の硫化物を混合し、混合物を固相反応させる方法、
(5)Cu、Zn及びSnのいずれか1種以上を含む2種以上の金属粉末を所定の比率で混合し、混合粉末を硫黄源(例えば、硫化水素、気化硫黄、硫黄粉末など)で硫化させる方法、
(6)金属塩又は金属硫化物を溶解した溶液を加熱した基板上に噴霧する方法、
(7)金属塩又は金属硫化物を溶解した溶液を高温雰囲気中に噴霧する方法、
(8)金属塩又は金属硫化物を溶解した溶液を加熱した基板上に噴霧してCu−Zn−Sn−S前駆体膜を形成した後、前駆体膜を硫化水素雰囲気中、あるいは気化硫黄雰囲気中で熱処理する方法、
(9)金属塩又は金属硫化物を溶解した溶液を高温雰囲気中に噴霧して、Cu−Zn−Sn−S前駆体を形成した後、前駆体膜を硫化水素雰囲気中、あるいは気化硫黄雰囲気中で熱処理する方法、
などがある。
硫化物系化合物半導体の製造をNa共存下で行うと、本質的に高い変換効率を有する硫化物系化合物半導体が得られる。これは、Naが硫化物系化合物半導体の粒成長を促すためと考えられる。
ここで、「Na共存下で硫化物系化合物半導体を製造する」とは、硫化物系化合物半導体の合成又は粒成長の過程において、硫化物系化合物半導体又はその前駆体の周囲にNaを存在させることをいう。
Na共存下で硫化物系化合物半導体を製造する方法としては、具体的には、
(1)基板上に硫化物系化合物半導体からなる薄膜を形成する場合において、基板としてNaを含む材料(例えば、SLG)を用い、硫化物系化合物半導体を製造するための熱処理中に基板中のNaを薄膜まで拡散させる方法、
(2)基板上に硫化物系化合物半導体の前駆体からなる薄膜を形成し、前駆体薄膜を硫化させる場合において、(a)前駆体薄膜表面にNa含有化合物(例えば、Na2S)を蒸着し、(b)前駆体薄膜表面にNa含有化合物を溶解させた溶液を散布し、前駆体膜とNa含有化合物を溶解させた溶液とを反応させ、あるいは、(c)前駆体薄膜にNaをイオン注入する方法、
(3)基板上に硫化物系化合物半導体からなる薄膜を形成した後、さらに(a)薄膜表面にNa含有化合物(例えば、Na2S)を蒸着し、(b)薄膜表面にNa含有化合物を溶解させた溶液を散布し、前駆体膜とNa含有化合物を溶解させた溶液と反応させ、あるいは、(c)薄膜にNaをイオン注入し、その後で熱処理する方法、
(4)2種以上の硫化物を固相反応させ、又は、金属粉末を硫化させる場合において、原料混合物にNa含有化合物(例えば、Na2S)を添加する方法、
(5)スパッタ法等の場合において、原料に、Na含有化合物(例えば、Na2S)を添加する方法、
(6)有機金属、金属塩、金属硫化物を溶解した溶液も利用する場合において、溶液にNa含有化合物(例えば、Na2S)を添加する方法、)
などがある。
[1.2 極性溶媒による洗浄]
次に、合成された硫化物系化合物半導体を極性溶媒で洗浄する。Na共存下で硫化物系化合物を合成すると、Naによって結晶粒が成長するが、Naそのものは硫化物系化合物には固溶しにくい。そのため、Naは、合成反応終了後に硫化物系化合物の表面又は内部に残存する。残存したNaは、雰囲気中の酸素と結合し、Na−O系粒子となると考えられる。Na−O系粒子は、絶縁体であるため、硫化物系化合物の変換効率を低下させる原因となる。洗浄工程においては、このNa−O系粒子を除去する。
Na−O系粒子を溶解可能な極性溶媒としては、具体的には、
(1)水、
(2)塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸の水溶液、
(3)蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸の水溶液、
(4)水酸化ナトリウム、アンモニアなどの塩基の水溶液、
(5)メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒、
(6)上記(1)〜(5)の2種以上の混合物、
などがある。
特に、水は、環境汚染が無く、人体に対して無害であるので、洗浄用の溶媒として特に好適である。
洗浄方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。例えば、リンス洗浄、流水洗浄、噴霧洗浄、超音波洗浄など、公知の方法を利用することができる。また、洗浄時に加熱することは、有効である。
[2. 本発明に係る硫化物系化合物半導体を用いた光電素子及びその製造方法]
[2.1 第1の具体例]
図1に、光電素子の第1の具体例である薄膜太陽電池の模式図を示す。図1において、薄膜太陽電池10は、基板12上に、少なくとも下部電極14、光吸収層16、バッファ層18、窓層20、及び上部電極22がこの順で積層されたものからなる。各層の間には、付加的な層(例えば、接着層、光散乱層、反射防止層など)が形成されていても良い。
基板12は、その上に形成される各種の薄膜を支持するためのものである。基板12の材料は、特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。
基板12の材料としては、具体的には、
(1)SLG、低アルカリガラス、非アルカリガラス、石英ガラス、Naイオンを注入した石英ガラス、サファイアガラスなどのガラス、
(2)シリカ、アルミナ、イットリア、ジルコニアなどの酸化物、Naを含む各種セラミックス、
(3)ステンレス、Naを含むステンレス、Au、Mo、Tiなどの金属、
などがある。
特に、基板12として、SLG、Naイオンを注入した石英ガラス、Naを含むセラミックス、Naを含むステンレスなどのNaを含む材料を用いると、変換効率の高い光吸収層16が得られるという利点がある。
下部電極14は、基板12と光吸収層16との密着性を向上させるため、及び、光吸収層16で発生した電流を取り出すためのものである。下部電極14には、電気伝導度が高く、かつ、基板との密着性が良好な材料が用いられる。
下部電極14に用いる材料としては、具体的には、Mo、ステンレス、In−Sn−O、In−Zn−O、ZnO:Al、ZnO:B、SnO2:F、SnO2:Sb、ZnO:Ga、TiO2:Nbなどがある。特に、Moは、ガラスとの密着力が高いので下部電極14の材料として好適である。
なお、基板12として導電性材料(例えば、金属基板)を用いた場合には、基板12を介して電流を取り出すことができる。従って、このような場合には、必ずしも下部電極14を形成する必要はない。
光吸収層16は、Na共存下で製造され、かつ製造後に極性溶媒で洗浄することにより得られる硫化物系化合物半導体からなる。製造条件を最適化すると、光吸収層16の変換効率は、6%以上となる。
高い変換効率を得るためには、硫化物系化合物の平均粒径は大きいほどよい。硫化物系化合物の平均粒径は、500nm以上が好ましく、さらに好ましくは、1000nm以上である。
バッファ層18は、光吸収層16と窓層20との接続を良好にし、変換効率を向上させるためのものである。バッファ層18には、高抵抗で可視光から近赤外の大半を通す半導体が用いられる。
バッファ層18に用いる材料としては、例えば、CdS、ZnO、Zn(O、OH)、Zn(O、S)、Zn(O、S、OH)x、Zn1-xMgxO、In−Sなどがある。これらの中でも、CdSは、バッファ層として特に好適である。
窓層20は、電気を取り出すと同時に、光吸収層16まで光を到達させるためのものである。窓層20には、低抵抗で可視光から近赤外の大半を通す半導体が用いられる。
光吸収層16がCZTSからなる場合、窓層20に用いる材料としては、例えば、ZnO:Al、ZnO:B、In−Sn−O、In−Zn−O、SnO2:Sb、TiO2:Nbなどがある。これらの中でも、ZnO:Alは、窓層20として特に好適である。
上部電極22は、窓層20で集めた電流を効率よく外部に取り出すためのものである。上部電極22は、光を光吸収層16まで到達させる必要があるので、通常は、櫛形に形成される。
上部電極22の材料としては、例えば、Al、Cu、Ag、Au、又は、これらのいずれか1以上を含む合金などがある。また、このような合金としては、具体的には、Al−Ti合金、Al−Mg合金、Al−Ni合金、Cu−Ti合金、Cu−Sn合金、Cu−Zn合金、Cu−Au合金、Ag−Ti合金、Ag−Sn合金、Ag−Zn合金、Ag−Au合金などがある。
上述した構成要素以外の付加的な層としては、接着層、光散乱層、反射防止層などがある。
接着層は、基板12と下部電極14の接着性を高めるためのものであり、必要に応じて形成することができる。例えば、基板12としてガラス基板を用い、下部電極14としてMoを用いる場合、接着層には、Ti、Cr、Ni、W、あるいは、これらのいずれか1以上を含む合金などを用いるのが好ましい。
光散乱層は、入射した光を反射させ、光吸収層16での光吸収効率を高めるためのものであり、必要に応じて形成することができる。光散乱層には、光吸収層16より上部電極22側に設けるものと、光吸収層16より基板12側に設けるものとがある。
光吸収層16より上部電極22側に設ける光散乱層には、透明粒子から構成された集合体、屈折率の異なる2種類以上の粒子から構成された集合体、表面に凹凸のあるもの、内部に空間のあるもの、などを用いるのが好ましい。光吸収層16より上に設ける光散乱層には、具体的には、SiO2、TiO2などの酸化物、Si−Nなどの窒化物など、可視光から近赤外までの大半を通す材料を用いるのが好ましい。
一方、光吸収層16より基板12側に設ける光散乱層には、例えば、表面に凹凸のあるものなどを用いるのが好ましい。光吸収層16より下に設ける光散乱層は、必ずしも光を通す材料である必要はない。
なお、同じような光散乱機能を、基板12等の表面を加工することにより設けることもできる。
反射防止層は、入射した光の窓層20での反射量を低減し、光吸収層16での光吸収効率を高めるためのものであり、必要に応じて形成することができる。反射防止層には、例えば、窓層20よりも屈折率の小さい透明体、太陽光の波長よりも十分に小さい径を持つ透明粒子から構成された集合体、内部に太陽光の波長よりも十分に小さい径を持つ空間のあるもの、などを用いるのが好ましい。反射防止層には、具体的には、
(1) MgF2、SiO2等からなる薄膜、
(2) 酸化物、硫化物、フッ化物、窒化物などの多層膜、
(3) SiO2などの酸化物からなる微粒子、
などを用いるのが好ましい。
図1に示す薄膜太陽電池は、
(1)必要に応じて、基板12表面に下部電極14を形成し、
(2)下部電極14(又は、基板12)表面に、Na共存下で光吸収層16を形成し、
(3)光吸収層16の表面を極性溶媒で洗浄し、
(4)光吸収層16の表面にバッファ層18を形成し、
(5)バッファ層18の表面に窓層20を形成し、
(6)窓層20の表面に上部電極22を形成する、
ことにより製造することができる。
各部材の形成方法は、特に限定されるものではなく、各部材の材料に応じて,最適な方法を選択する。
下部電極14、バッファ層18、窓層20、上部電極22の形成方法としては、具体的には、スパッタ法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積法(PLD)法、メッキ法、電気泳動成膜法(EPD)、化学気相成膜法(CVD),スプレー熱分解成膜法(SPD)、スクリーン印刷法、スピンコート法、微粒子堆積法などがある。接着層、光散乱層、反射防止層などの付加的な層も、下部電極14等と同様な方法により形成することができる。
また、バッファ層18としてCdSを用いる場合、CdS層は、金属イオンが溶け込んだ水溶液にチオ尿素等を溶かし、これに基板12を浸漬して加熱する方法(ケミカルバス成膜(CBD)法)により形成することができる。
光吸収層16を形成する方法には、上述したように、
(1)前駆体薄膜を形成し、Na共存下で前駆体薄膜を硫化させる方法、
(2)Naが共存しない状態で硫化物系化合物薄膜を形成し、Na共存下で硫化物系化合物薄膜を熱処理する方法、
などがある。
硫化物系化合物又はその前駆体からなる薄膜の形成方法としては、具体的には、スパッタ法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積法(PLD)法、メッキ法、電気泳動成膜法(EPD)、化学気相成膜法(CVD),スプレー熱分解成膜法(SPD)、スクリーン印刷法、スピンコート法、微粒子体積法などがある。
[2.2 第2の具体例]
図2に、光電素子の第2の具体例である色素増感型太陽電池の模式図を示す。
図2において、色素増感型太陽電池30は、基板32a、32bと、透明電極34a、34bと、n型半導体層36と、光増感剤38と、電解質40とを備えている。
基板32a、32bは、電池の構成要素を支持するためのものである。基板32a、32bは、光を光増感剤38まで到達させる必要があるため、基板32a、32bには、可視光を透過させる材料を用いる。
基板32a、32bの材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、結晶、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミド、エンジニアリングプラスチック、配向性樹脂、及び、これらの積層体などがある。
透明電極34a、34bは、電流を取り出すためのものである。透明電極34a、34bは、光を光増感剤38まで到達させる必要があるため、透明電極34a、34bには、可視光を透過させる材料を用いる。
透明電極34a、34bの材料としては、例えば、In−Sn−O、SnO2:F、SnO2:Sb、In−Zn−O、ZnO:Al、ZnO:Ga、ZnO:B、TiO2:Nbなどがある。
n型半導体層36は、光増感剤38が放出した電子を受け取り、透明電極34aに与えるためのものである。
n型半導体層36の材料としては、例えば、TiO2、SnO2、ZnO2、Nb25、Ta25、Ga23、Si34などがある。
光増感剤38は、光を吸収して電子を励起させ、励起した電子をn型半導体層36に与えるためのものである。電子を失った光増感剤38は、電解質40から電子を受け取って再生する。
色素増感太陽電池は、一般に、光増感剤としてRu錯体などの有機色素が用いられるが、本発明においては、有機色素に代えて、上述した方法により製造された粉末状の硫化物系化合物半導体を用いる。
電解質40は、透明電極34bから電子を受け取り、受け取った電子を光増感剤38に与えるためのものである。
電解質40の材料としては、例えば、溶液系電解質、非揮発性溶液系電解質、ゲル化電解質、ポリマー電解質、コンポジット電解質、固体系電解質などがある。
例えば、溶液系電解質としては、アセトニトリル溶媒中にLiI、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物、ヨウ素、ターシャローブチルピリジンを加えたものなどがあり、
非揮発性溶液系電解質としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンサルフォンイミドに1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨウ化物とヨウ素を加えたものなどがあり、
固体系電解質としては、CuI、CuSCN、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1'−ビフェニル)−4,4'−ジアミンなどがある。
図2に示す色素増感型太陽電池30は、
(1)基板32a、32bの表面に、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、SPD法、PLD法などを用いて透明電極34a、34bを形成し、
(2)透明電極34aの表面に、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、印刷法などを用いて、n型半導体からなる粉末層を形成し、所定の温度(例えば、400〜500℃)に加熱してn型半導体層36を透明電極34aの表面に焼き付け、
(3)n型半導体層36の表面に、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、印刷法、ディップ法などを用いて、硫化物系化合物半導体からなる粉末層を形成し、所定の温度に加熱して光増感剤38をn型半導体層36の表面に焼き付け、
(4)透明電極34a、n型半導体層36及び光増感剤38が形成された基板32aと、透明電極34bが形成された基板32bとを対向させ、両者の間に電解質40を充填する、
ことにより製造することができる。
この場合、光増感剤38は、Na共存下で製造され、かつ、極性溶媒で洗浄された硫化物系化合物半導体の粉末を用いて形成しても良い。あるいは、Na共存下で製造され、極性溶媒で洗浄されていない粉末を用いて光増感剤38を形成した後、極性溶媒を用いて光増感剤38を洗浄しても良い。
[3. 硫化物系化合物半導体の作用]
CZTS系の硫化物系化合物半導体を薄膜太陽電池の光吸収層や色素増感型太陽電池の光増感剤に用いる場合において、高い変換効率を得るためには、硫化物系化合物半導体の結晶粒は、大きいほどよい。硫化物系化合物半導体を製造する場合において、Naを共存させると、粒成長を促進させることができる。しかしながら、単にNa共存下で硫化物系化合物半導体を製造するだけでは、高い変換効率は得られない。
これに対し、Cu、Zn、Sn及びSを含む硫化物系化合物半導体を製造する場合において、Na共存下で硫化物系化合物半導体を製造し、次いで極性溶媒を用いて硫化物系化合物を洗浄すると、変換効率が向上する。
これは、
(1)Naが硫化物系化合物半導体の粒成長を促すため、及び、
(2)洗浄によって、硫化物系化合物半導体の表面又は内部から絶縁性のNa−O系粒子が除去され、硫化物系化合物半導体の電気伝導性が向上するため、
と考えられる。
(実施例1、比較例1〜2)
[1. 試料の作製]
以下の手順に従い、CZTS膜(実施例1)を作製した。
(1)SLG基板上にMo膜をスパッタ法により形成した。
(2)Mo膜に、Cu−Zn−Sn−S前駆体膜をスパッタ法により形成した。
(3)大気圧、20%H2S+N2ガス雰囲気中、550〜580℃、3hの硫化処理により、前駆体膜をCZTS膜にした。
(4)CZTS膜を形成した後、水を用いて、基板を10分間、リンス洗浄した。
また、水によるリンス洗浄を行わなかった以外は、実施例1と同様の手順に従い、CZTS膜を作製した(比較例1)。さらに、水に代えて非極性溶媒である二硫化炭素を用いてリンス洗浄を行った以外は、実施例1と同様の手順に従い、CZTS膜を作製した(比較例2)。
[2. 試験方法]
電子線マイクロプローブアナライザー(EPMA)により、CZTS膜の面内の組成分布を調べた。
測定条件は、加速電圧=15kV、照射電流=0.1μA、プローブビーム径=約0.5μmとした。この測定条件の時、CZTSに対する1測定点当たりの分析領域は、深さ方向=約1μm、面内方向=1〜2μmと推定される。
[3. 結果]
図4に、実施例1及び比較例1〜2で得られたCZTS膜のSEMによる表面像、及びSEM像と同一観察領域でのEPMAによる酸素の濃度分布を示す。図4より、比較例1及び比較例2では、CZTS膜中に酸素濃度の高い小さな点状領域が分散していることがわかる。また、図示はしないが、高濃度の酸素が存在する領域には、高濃度のNaも検出された。
これに対し、実施例1では、酸素濃度は検出限界以下であった。また、図示はしないが、水によるリンス洗浄により、Na濃度も検出限界以下となった。なお、本測定条件では、酸素及びNaの検出限界は、およそ0.1重量%である。
実施例1及び比較例1で得られたCZTS膜を用いて薄膜太陽電池を作製し、変換効率を測定した。
リンス洗浄を行わなかった比較例1の場合、変換効率=5.0%であった。これに対し、リンス洗浄を行った実施例1の場合、変換効率=6.9%であった。これらの違いは、CZTS膜の表面にNa−O系粒子が存在するか否かの違いによると考えられる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る光電素子は、薄膜太陽電池、光導電セル、フォトダイオード、フォトトランジスタ、色素増感型太陽電池などに用いることができる。
光吸収層としてCZTSを用いた薄膜太陽電池の概略構成図である。 光増感剤としてCZTSを用いた色素増感型太陽電池の概略構成図である。 実施例1及び比較例1〜2で得られたCZTS膜のSEM像、及び、SEM像と同一観察領域でのEPMAによる酸素濃度分析結果である。
符号の説明
10 光電素子(薄膜太陽電池)
12 基板
14 下部電極
16 光吸収層
18 バッファ層
20 窓層
22 上部電極

Claims (1)

  1. Na共存下において、Cu、Zn、Sn及びSを含む硫化物系化合物半導体を製造し、
    水又は水溶液を用いて前記硫化物系化合物半導体を洗浄する
    ことにより得られる硫化物系化合物半導体(但し、Naを含む基板表面に下部電極を形成し、前記下部電極の上にCu、Zn、Sn及びSを含む前記硫化物系化合物半導体からなる光吸収層を形成し、Na−O系粒子を溶解可能な溶媒を用いて、前記光吸収層を洗浄することにより得られた前記光吸収層を除く)。
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