JP2922465B2 - 薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents

薄膜太陽電池の製造方法

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JP2922465B2
JP2922465B2 JP8228411A JP22841196A JP2922465B2 JP 2922465 B2 JP2922465 B2 JP 2922465B2 JP 8228411 A JP8228411 A JP 8228411A JP 22841196 A JP22841196 A JP 22841196A JP 2922465 B2 JP2922465 B2 JP 2922465B2
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/541CuInSe2 material PV cells

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Cu(In1ーxGa
x)y(S1ーmSem)zで表されるCIS系材料の薄膜を光吸
収層に用いた太陽電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】安価な薄膜太陽電池として、組成Cu
(In1ーxGax)y(S1ーmSem)zで、結晶構造がカルコパ
イライト構造を有する薄膜を光吸収層として用いた薄膜
太陽電池の開発が行われている。
【0003】近年では、CIS系薄膜を用いた太陽電池
のうち、基板としてソーダガラスを用いたものが高いエ
ネルギー変換効率を示すことが報告されたことから、N
a元素をCIS系薄膜に導入する研究が行われている。
【0004】例えば、特開平8−102546号公報に
は、Ib族とIIIa族とVIa族元素からなる化合物半導
体薄膜を堆積する際に、Ia族とVIa族元素からなる
化合物を同時に堆積した半導体薄膜を用いた太陽電池
や、Ib族とIIIa族とVIa族元素からなる化合物半導
体薄膜と、Ia族とVIa族元素からなる化合物薄膜を
交互に少なくとも二層以上堆積した半導体薄膜を用いた
太陽電池が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のCIS系薄膜を
用いた太陽電池は、変換効率がCIS系薄膜の組成に大
きく依存しており、高効率を得られる範囲は、CIS系
薄膜の組成のごく狭い範囲に限られていた。そのため、
CIS系薄膜を形成する際に精密な組成制御が必要であ
り、大面積化や量産化が困難であった。
【0006】同様に、発明者らの実験によれば、Na元
素を導入したCIS系薄膜についても、Na導入のため
に通常の同時蒸着等の方法を用いた場合には、高効率を
得られる範囲がCIS系薄膜組成のごく狭い範囲に限定
されてしまう。
【0007】本発明は、CIS系薄膜の組成変動を広い
範囲で許容でき、しかも、高いエネルギー変換効率を得
ることが可能な太陽電池を製造する方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、以下のような太陽電池の製造方法
が提供される。
【0009】すなわち、光吸収層として、Ib族元素
と、III族元素と、VIb族元素とを含む化合物半導体薄
膜を用いる太陽電池の製造方法であって、前記化合物半
導体薄膜を成膜するために、基板上にIb族元素と、II
I族元素と、VIb族元素とを供給する工程を有し、前記
工程は、Ib族元素供給量のIII族元素供給量に対する
比率を、目的とする組成の前記化合物半導体薄膜に含ま
れるIb族元素のIII族元素に対する比率よりも高くす
るとともに、Ia族元素を前記基板上に供給する第1ス
テップと、Ib族元素供給量のIII族元素供給量に対す
る比率を、前記第1ステップよりも小さくする第2ステ
ップとを有する製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態について図
面を用いて説明する。
【0011】本実施の形態の製造方法によって製造され
る薄膜太陽電池は、図1に示すように、青板ガラス基板
10上に、下部電極のMo膜11、p型の光吸収層のC
u(In1ーxGax)ySez膜12、i型または高抵抗n型
バッファ層のCdS膜13、n+型の透明導電膜14を
順に積層した構成のいわゆるサブストレート型のpin
ヘテロ接合薄膜太陽電池である。ただし、0≦x≦1、
0<y、0<zである。
【0012】なお、Cu(In1ーxGax)ySez膜12
(以下、CIGS膜12という)には、後述する本発明
の成膜方法により、Ia族元素のNaを添加している。
【0013】また、Mo膜11の厚さは、0.8μm程
度、CIGS膜12の厚さは、1μm〜4μm、CdS
膜13の厚さは、数nm〜0.3μm、透明導電膜14
の厚さは、0.3μm〜2μmとしている。
【0014】図1のサブストレート型の太陽電池では、
光は、図1のように透明導電膜14側から照射され、透
明導電膜14およびCdS膜13を透過してCIGS膜
12に吸収され、電流・電圧に変換される。
【0015】このような図1の太陽電池を製造するため
の本実施の形態の製造方法を説明する。
【0016】まず、青板ガラス基板10上にMo膜11
をスパッタ法により成膜する。
【0017】つぎに、Mo膜11の上に、真空蒸着法に
よりCIGS膜12を成膜する。蒸着源としては、高純
度のCu、In、Ga、および、Seの各蒸着源と、I
a族元素の蒸着源とを用い、多源蒸着とする。なお、本
実施の形態では、Ia族元素の蒸着源として、Na2
eを用いる。
【0018】CIGS膜12を成膜する際には、各蒸着
源の蒸着量の時間的変化を図4〜図7のいずれかのよう
に制御する。これにより、本実施の形態では、CIGS
膜12の広い組成範囲において、高い変換効率の太陽電
池の製造を可能にしている。すなわち、図4のように、
CIGS膜12を成膜する際に、必要な膜厚が得られる
成膜時間を前半と後半の2段階に分け、前半にCu過剰
(Cu/(In+Ga)>1)にするとともに、Na2
Seを蒸発させる。これに対し、後半は、前半よりもC
u不足にし、しかも、Na2Seは蒸発させない。Se
の蒸発量は、前半後半を通じて一定にする。本実施の形
態では、Se/(Cu+In+Ga)が2〜3になるよ
うにした。
【0019】具体的には、CIGS膜12、すなわちC
u(In1ーxGax)ySez膜12の目的とする組成xyz
を定めておき、この組成のCu(In1ーxGax)ySez
12を蒸着法によって得るために必要なCu蒸発量、I
n蒸発量、Ga蒸発量、Se蒸発量を、各元素の基板1
0への付着率に応じて計算または実験により予め求めて
おく。
【0020】そして、実際に、Cu(In1ーxGax)y
z膜12を成膜する際には、例えば、図6の制御方法
を用いる場合には、成膜時間の前半に、上述の予め求め
たCu蒸発量よりもCuを多く蒸発させ、後半には、上
述の予め求めたCu蒸発量よりもCuを少なく蒸発させ
るようにCu蒸発量を制御し、基板10へ結果的に堆積
されるCu(In1ーxGax)ySez膜12が予め定めた組
成になるようにするのである。
【0021】また、図4の制御方法の場合には、CIG
S膜12を目的とする組成にするために必要な量のCu
元素をすべて成膜前半に蒸発させ、後半にはCuの蒸発
を停止させる。
【0022】また、図5の制御方法の場合には、Cuの
蒸発量を成膜中を通じて一定とし、成膜の前半にInと
Gaの蒸発量を少なく、後半に多くするように制御する
ことにより、成膜の前半をCu過剰にする。
【0023】なお、図4〜図6の制御方法では、Se、
In、Ga、Cu、Na2Seの蒸発量の制御を正確に
行うために、各蒸着源からの蒸発量が一定となった時点
で蒸着装置のシャッターを開状態にしている。
【0024】なお、図7の制御方法のように、シャッタ
ーが開状態になってからCuおよびNa2Seの蒸発を
開始させる方法を用いることもできる。
【0025】また、図4〜図7の各制御方法において、
CIGS膜12の成膜中の基板10の温度は、550℃
にしている。また、SeがCIGS膜12の表面から再
蒸発するのを防ぐために、Cu、In、Gaの蒸発を停
止させてから、基板温度が350℃以下になるまで、S
eを続けて蒸発させている。
【0026】このように、CIGS膜12を成膜した
後、この上にCdS膜13を良好に形成するために、C
IGS膜12の表面に存在するアルカリ金属元素等を洗
い流す洗浄を行う。洗浄方法は、本実施の形態では、C
IGS膜12付き基板10を純水に数分間浸すことを数
回繰り返し行う方法を用いた。そして、純水から取り出
した基板10をそのままCdS膜成長用の溶液中に移
し、溶液成長法によりCdS膜13を形成する。これに
より、洗浄したCIGS膜12の表面が大気中のチリな
どに汚染されることなく、清浄な状態でCdS膜13と
CIGS膜12との間のヘテロ接合を形成できる。な
お、CdS成長用の溶液としては、本実施の形態では、
CdI2とチオウレアとアンモニアとが溶解した水溶液
を用いた。また、CIGS膜12の表面を洗浄するため
に純水に浸す際には、超音波洗浄を用いることもでき
る。
【0027】このように形成されたCdS膜13の上
に、高周波マグネトロンスパッタ法により、透明導電膜
14としてAlを添加したZnO膜を成膜する。
【0028】以上により、本実施の形態のサブストレー
ト型太陽電池が製造される。
【0029】また、上述のCu(In1ーxGax)ySez
12の特性を測定するために、y組成を種々に変化させ
た複数のCu(In1ーxGax)ySez膜12の試料を形成
した。試料の形成には、上述のCu(In1ーxGax)y
z膜12の成膜方法のうち図7の方法を用い、y組成
は、In蒸発量およびGa蒸発量の和と、Cu蒸発量と
比を変化させることにより変化させた。また、これらの
試料と同組成のCu(In1ーxGax)ySez膜12を使用
した図1の構成の太陽電池試料を作製した。なお、x組
成およびz組成は各試料を通じて一定となるようにし
た。
【0030】また、比較例として、Naを添加せず、y
組成を種々に変化させた複数のCu(In1ーxGax)y
z膜の試料を形成した。比較例の試料は、上述のCu
(In1ーxGax)ySez膜12の成膜方法において、Na
2Seのみを蒸発させず、他の元素Se、In、Ga、
Cuの蒸発量を本実施の形態の試料と同様に制御するこ
とにより成膜した。また、これら比較例のCIGS膜試
料と同組成のCIGS膜を用いて、図1の構成の太陽電
池の試料を作製した。
【0031】本実施の形態の製造方法で成膜したCIG
S膜12試料および比較例のCIGS膜試料をオージェ
電子分光(AES)により、膜厚方向に分析した。その
結果、本実施の形態の膜も比較例の膜も、Cu、In、
Ga、Seはいずれも膜厚方向について一定の濃度で検
出された。これにより、成膜時の前半にCu過剰に、後
半にCu不足になるように成膜しているのに関わらず、
Cu元素が膜厚方向に拡散することにより、膜厚方向に
ついて一様な組成のCIGS膜になっていることがわか
った。また、本実施の形態のCIGS膜12試料では、
膜のごく表面でNa元素が検出された。これにより、N
a元素が、拡散により、膜の表面まで移動していること
がわかった。CIGS膜12中には、AESの検出限界
以下のNaが、結晶粒中に取り込まれていると考えられ
るが、どの程度の濃度であるかは現在のところ不明であ
る。また、太陽電池試料のCIGS膜12では、膜の表
面においてもNa元素は検出されなかった。これは、太
陽電池を製造する際には、CdS膜13を成膜する前
に、CIGS膜12の表面を洗浄するため、Naが洗い
流されたためであると考えられる。
【0032】また、本実施の形態のCIGS膜12およ
び比較例のCIGS膜中の結晶粒の大きさおよび結晶粒
の配向性を観察したところ、本実施の形態のCIGS膜
12の結晶粒の方が、Naを添加しない比較例のCIG
S膜の結晶粒よりも大きく、配向性も優れていた。ま
た、膜の表面粗さを測定したところ、本実施の形態のC
IGS膜12の方が、比較例のCIGS膜よりも平坦で
あった。これは、Na添加による効果と考えられる。
【0033】さらに、本実施の形態の製造方法で成膜し
たCIGS膜12、および、比較例のNaを添加しない
CIGS膜のキャリア濃度を測定した。その結果を図8
に示す。
【0034】図8からわかるように、比較例のNa添加
がないCIGS膜は、Cu/(Ga+In)=1.0す
なわち組成y=1.0を境に、III族元素(Ga+I
n)が過剰になる側で急速にキャリア濃度が低下し、C
u/(Ga+In)=0.7すなわちy=1.4付近
で、キャリア濃度が1016cm-3を下回るようになる。
これに対し、本実施の形態の製造方法によって成膜した
CIGS膜12は、Cu/(Ga+In)≦0.7すな
わちy組成≧1.4でもキャリア濃度が1016〜1017
cm-3程度を保っており、比較例とは全く異なる結果と
なっている。
【0035】また、本実施の形態の太陽電池試料と、比
較例のNa添加のないCIGS膜を用いた太陽電池試料
の開放電圧Voc、短絡電流Isc、曲線因子FFを測定し
た。本実施の形態の太陽電池の開放電圧Voc、短絡電流
sc、曲線因子FFの測定結果をそれぞれ図3(a),
(b),(c)に示す。
【0036】また、変換効率ηを η=(最適動作点での出力)/(太陽電池への入力エネルギー) =(Voc×Jsc×FF)/(太陽電池への入力エネルギー) により求めた。その結果を、図9に示す。
【0037】図3(a)、(b)、(c)からわかるよ
うに、本実施の形態の太陽電池は、測定を行った全範囲
のCu/(Ga+In)の領域で、開放電圧Voc、短絡
電流Isc、曲線因子FFがそれぞれ高いレベルを示す。
これにより、変換効率ηは、図9からわかるように、測
定を行った全範囲、0.5≦Cu/(Ga+In)≦
1.0すなわち1≦y≦2の非常に広い組成範囲におい
て高い変換効率が得られることがわかった。これは、本
実施の形態のCIGS膜12が広い組成範囲で、高いキ
ャリア濃度が得られるためである。
【0038】これに対し、比較例のNa添加のないCI
GS膜を用いた太陽電池では、Cu/(Ga+In)=
0.85〜0.95の非常に狭い組成範囲でしか高い変
換効率を得られない。
【0039】このように、本実施の形態の製造方法で作
製した太陽電池は、Cu(In1ーxGax)ySez膜12の
非常に広いy組成範囲で高い変換効率を得ることができ
る。したがって、製造時のCIGS膜12の組成変動
を、少なくとも従来の約5倍の非常に広い範囲で許容す
ることができるため、大面積の太陽電池を容易に製造す
ることが可能である。また、組成の精密制御が不要であ
るため、量産にも適している。
【0040】なお、Cu(In1ーxGax)ySez膜12の
成膜時の前半にCu過剰とするとともに、Na元素を添
加する本実施の形態の製造方法の太陽電池が、広い組成
範囲で、高い変換効率を示す理由については、現在のと
ころ明確ではないが、CIGS膜12にNaを添加する
タイミングに関係していると考えられる。
【0041】そこで、CIGS膜にNaを添加するタイ
ミングと、変換効率との関係を調べるために、さらに以
下のような比較例の試料を作成し、変換効率を測定し
た。
【0042】すなわち、第2の比較例として、CIGS
膜を成膜する際に、Cu、In、Ga、Seの蒸発量の
制御を本実施の形態と同じにしながら、Na2Seを成
膜中の全ての時間中に蒸発させる方法を用いて、太陽電
池試料を作成した。
【0043】また、さらに第3の比較例として、CIG
S膜を成膜する際に、Cu、In、Ga、Seの蒸発量
の制御を本実施の形態と同じにしながら、Na2Seを
成膜の前半には蒸発させず、後半のみ蒸発させる方法
で、太陽電池試料を作成した。
【0044】これらの第2および第3の比較例の太陽電
池の変換効率を測定したところ、図9の第1の比較例の
太陽電池と同じく、高い変化効率が得られる範囲は、y
組成Cu/(Ga+In)が0.85〜0.95の非常
に狭い領域のみであることがわかった。
【0045】このことから、Naを添加するタイミング
は、成膜の前半のCu蒸着と同時に行うことが望ましい
ことが確認された。
【0046】このように、本実施の形態では、CIGS
膜12を成膜する際に、成膜の前半において、Cu蒸着
とともに、Naを添加し、成膜の後半は、Cuは、蒸着
させないか、または、Cu不足な条件にするとともに、
Naの添加を行わないようにすることにより、変換効率
の優れた太陽電池を得ることができる。
【0047】なお、上述の実施の形態では、CIGS膜
12にNa元素を添加したが、Naの代わりにKやLi
のような他のIa族元素を添加する製造方法によって
も、同様にCIGS膜12の広い組成範囲で高効率の太
陽電池をえることができることが実験により確認できて
いる。また、現在のところ、NaよりもKが、Kよりも
Liが、より広い組成範囲で高効率の太陽電池を得るた
めに適していることが実験により明らかになっている。
【0048】また、Naの蒸着源としては、本実施の形
態では、Na2Seを用いたが、Li、Na、K等のI
a族金属元素、または、CuとIa族元素との合金、ま
たは、Na2O、Na2S、Na2Te等のIa族元素−
VIb族元素化合物、または、NaCl、NaBr等の
Ia族元素−VIIb族元素化合物を蒸着源として用いる
ことができる。これらIa族元素−VIb族元素化合物
を用いた場合、VIb族元素は、Cu(In1ーxGax)y
z膜12にもともと含まれているVIb族元素と同じ族
であるため、結晶中に不純物として含まれても、膜の悪
影響を与えない。Ia族元素−VIIb族元素化合物を用
いた場合、VIIb族元素は、500℃以上の高温の基板
温度により蒸発し、Cu(In1ーxGax)ySez膜12に
は取り込まれない。
【0049】同様に、LiやK等のIa族元素を添加す
る際の蒸着源として、Li−VIb族元素化合物や、K
−VIb族元素化合物や、Li−VIIb族元素化合物
や、K−VIIb族元素化合物を用いることができる。
【0050】また、図4〜図7の制御方法では、CIG
S膜12の成膜時間を半分に分けたが、必ずしも前半と
後半にわける必要はなく、成膜がCu過剰な第1段階と
Cu不足な第2段階とに分かれればよい。よって、各段
階の時間の配分を自由に設定することができる。
【0051】また、Na元素の蒸発を終了させるタイミ
ングを、図4〜図7のようにCuを過剰から不足に切り
換えるタイミングと完全に一致させる必要はない。Na
元素の蒸発時間を、Cu過剰な時間よりも短め、また
は、長めにすることができる。
【0052】さらに、本実施の形態では、光吸収層の組
成をCu(In1ーxGax)ySez膜12にしているが、こ
れに限らず、CuInySez膜、CuGaySez膜、C
uInyz膜、CuIny(SmSe1ーmz膜、Cu(I
1ーxGax)y(SmSe1ーmz膜にすることができる。
ただし、0<y、0<z、0≦m≦1である。これらの
組成の膜を用いる場合にも、成膜の前半にCu過剰にす
るとともに、Na等のIa族元素を添加し、後半にCu
不足とすることにより、広い組成範囲で高い変換効率の
太陽電池が得られる。
【0053】また、本実施の形態では、透明導電膜14
として、Alを添加したZnO膜を用いているが、n+
型の透明導電膜であれば他の組成の膜でも良い。例え
ば、BやGaやIn等の元素を添加したZnO膜、In
23にSnO2を10%加えたいわゆるITO膜、およ
び、F等の元素を添加したSnO2膜等を用いることが
できる。
【0054】さらに、本実施の形態では、薄膜太陽電池
の形態として、図1のサブストレート型の太陽電池を用
いたが、太陽電池の形態としては、この形態に限定され
るものではない。例えば、図2に示したように、青板ガ
ラス基板20上に、透明導電膜21、CdS膜22、C
IGS膜23、Au膜24を順に積層し、基板20側か
ら光を照射するスーパーストレート型の太陽電池にする
こともできる。この場合にもCIGS膜23の成膜方法
として、CIGS膜12の成膜方法を用いることによ
り、広い組成範囲で高い変換効率をえることができる。
【0055】また、図1の太陽電池の構成において、青
板ガラス基板10に含まれるNa元素がCIGS膜12
まで拡散するのを防ぐために、青板ガラス基板10とM
o膜11との間に、Na等のアルカリ金属のブロック層
として、SiO2膜等を配置することができる。
【0056】さらに、本実施の形態では、多源真空蒸着
法により、CIGS膜12を成膜したが、多源真空蒸着
法以外の方法を用いることができる。たとえば、基板上
にCu膜とIn−Ga膜とSe膜とを順に積層してお
き、加熱拡散させてCIGS膜にする固相セレン化法
や、基板上にCu膜とIn−Ga膜とを順に積層してお
き、相互に拡散させるとともにSe蒸気やH2Seガス
によりセレン化する気相セレン化法や、スパッタ法等を
もちいることができる。セレン化法の場合には、Cu膜
にNaを添加しておくことにより、本実施の形態と同様
に広い組成範囲で高効率が得られると考えられる。ま
た、スパッタ法の場合には、本実施の形態と同じよう
に、成膜の前半にCu過剰にするとともにNaを添加す
ることにより、本実施の形態と同じく、広い組成範囲で
高効率が得られると考えられる。
【0057】
【発明の効果】上述してきたように、本発明によれば、
CIS系材料薄膜の組成変動を広い範囲で許容でき、し
かも、高いエネルギー変換効率を得ることが可能な太陽
電池を製造する方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の製造方法により作製さ
れるサブストレート型太陽電池の構成を示す断面図。
【図2】本発明の一実施の形態の製造方法により作製さ
れるスーパーストレート型太陽電池の構成を示す断面
図。
【図3】蒸着源からの蒸発量の時間変化を図7のように
制御して成膜されたCIGS膜12を用いた図1の構成
の太陽電池の曲線因子、短絡電流、開放電圧の各々と、
CIGS膜の組成との関係を示すグラフ。
【図4】本発明の一実施の形態の製造方法によって図1
のCIGS膜12を成膜する際の各蒸着源の蒸発量の時
間的変化を示すグラフ。
【図5】本発明の一実施の形態の製造方法によって図1
のCIGS膜12を成膜する際の各蒸着源の蒸発量の時
間的変化を示すグラフ。
【図6】本発明の一実施の形態の製造方法によって図1
のCIGS膜12を成膜する際の各蒸着源の蒸発量の時
間的変化を示すグラフ。
【図7】本発明の一実施の形態の製造方法によって図1
のCIGS膜12を成膜する際の各蒸着源の蒸発量の時
間的変化を示すグラフ。
【図8】図3の方法で成膜されたCIGS膜12のキャ
リアの濃度と、組成との関係をしめすグラフ。
【図9】図3の方法で成膜されたCIGS膜12を用い
た図1の太陽電池の変換効率と、CIGS膜12の組成
との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
10、20・・・青板ガラス基板、11・・・Mo膜、
12、23・・・Cu(In1ーxGax)ySez膜(CIG
S膜)、13、22・・・CdS膜、14、21・・・
透明導電膜、24・・・Au膜。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−211930(JP,A) 特開 平8−60359(JP,A) 特開 平8−102546(JP,A) 特開 平5−48141(JP,A) 特開 平7−263735(JP,A) IEEE Ist World Co nf.Photovoltaic En ergy Convers 1 (1994)p.152−155 IEEE Ist World Co nf.Photovoltaic En ergy Convers 1 (1994)p.148−151 IEEE Ist World Co nf.Photovoltaic En ergy Convers 1 (1994)p.144−147 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 31/04 H01L 21/205 JICSTファイル(JOIS)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光吸収層として、Ib族元素と、III族元
    素と、VIb族元素とを含む化合物半導体薄膜を用いる
    太陽電池の製造方法であって、 前記化合物半導体薄膜を成膜するために、基板上にIb
    族元素と、III族元素と、VIb族元素とを供給する工程
    を有し、 前記工程は、 Ib族元素供給量のIII族元素供給量に対する比率を、
    目的とする組成の前記化合物半導体薄膜に含まれるIb
    族元素のIII族元素に対する比率よりも高くして供給す
    とともに、Ia族元素を前記基板上に供給する第1ス
    テップと、 Ib族元素供給量のIII族元素供給量に対する比率を、
    前記第1ステップよりも小さくして供給し、かつ、前記
    Ia族元素の供給を行わない第2ステップとを有するこ
    とを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記第2ステップにお
    けるIb族元素供給量を0にすることを特徴とする太陽
    電池の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記第1ステップにお
    けるIII族元素供給量を0にすることを特徴とする太陽
    電池の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記第1ステップおよ
    び第2ステップを通じて、VIb族元素を前記基板上に
    供給することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1において、前記Ib族元素とし
    て、Cuを供給し、前記III族元素として、Inおよび
    Gaのうちの少なくとも一方を供給し、前記VIb族元
    素として、SおよびSeのうちの少なくとも一方を供給
    することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1において、前記Ia族元素とし
    て、Na、Li、KおよびRbのうちの少なくとも一つ
    を供給することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1において、前記第1ステップで前
    記Ia族元素を供給するために、Ia族元素、Ia族元
    素を含む化合物、および、Ia族元素を含む合金の少な
    くとも一つを供給することを特徴とする太陽電池の製造
    方法。
  8. 【請求項8】請求項7において、前記第1ステップで前
    記Ia族元素を供給するために、Ia族元素とVIb族
    元素との化合物、Ia族元素とVIIb族元素との化合
    物、および、Ia族元素とCuとの合金のうちの少なく
    とも一つを供給することを特徴とする太陽電池の製造方
    法。
  9. 【請求項9】請求項8において、前記Ia族元素とVI
    b族元素との化合物のVIb族元素が、O、S、Se、
    および、Teのいずれかであり、前記Ia族元素とVII
    b族元素との化合物のVIIb族元素がF、Cl、およ
    び、Brのいずれかであることを特徴とする太陽電池の
    製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1において、前記工程において、
    Ib族元素と、III族元素と、VIb族元素と、Ia族元
    素とを基板に供給する方法が、気相成長法であることを
    特徴とする太陽電池の製造方法。
  11. 【請求項11】請求項1において、前記化合物半導体薄
    膜を成膜するための工程の後、成膜された前記化合物半
    導体薄膜の表面を洗浄する工程をさらに有することを特
    徴とする太陽電池の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項11において、前記洗浄工程の
    後、前記化合物半導体薄膜の上に、溶液成長法により、
    CdS膜を形成する工程をさらに有することを特徴とす
    る太陽電池の製造方法。
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