JP5466927B2 - フルオレンポリエステルオリゴマー及びその製造方法 - Google Patents
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Description
で表される化合物を1.2〜3モルの割合で含む反応系に第三級アミンを滴下し、両成分を縮合させて、下記式(2)
で表されるオリゴマーを製造してもよい。
フルオレン骨格を有するジオールはフルオレン骨格を有する限り、その構造は特に限定されないが、代表的には前記式(1)で表される化合物などが挙げられる。このような化合物は、9,9−ビス(アリール)フルオレン骨格を有しているため、耐熱性や優れた光学特性(高屈折率、低複屈折率など)を付与する点で有用である。
ジカルボン酸ジハライドに対応するジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸(アレーンジカルボン酸など)などが挙げられる。
通常のポリエステルの製造方法では、重合度を大きくするため、ジオールとジカルボン酸ジハライドとをほぼ等モル混合する。これに対して、本発明の製造方法の反応系では、オリゴマーを製造するため、フルオレン骨格を有するジオールとジカルボン酸ジハライドのうち一方の成分が他方の成分に対して過剰モル存在させる。
本発明では、前記のように、ジオール及びジカルボン酸ジハライドのうち一方の成分を他方の成分に対して過剰モル使用することに加えて、これらの成分を含む反応系に、塩基を混合(又は添加)することによりオリゴマーを製造する。
反応時間は特に制限されず、例えば、1分〜60時間、好ましくは5分〜48時間、さらに好ましくは10分〜24時間程度であってもよい。なお、反応は、塩基の混合により進行するが、塩基を混合した後、完全に反応させる(熟成させる)ため、反応系を放置し、反応を完結させてもよい。反応時間には、このような時間も反応時間に含めるものとする。
反応生成物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により反応混合物から分離精製してもよい。例えば、塩基を大過剰に使用した場合には、適当な酸で中和した後、反応生成物から分離除去してもよく、反応副生成物であるハロゲン化水素と塩基との塩は、水などの反応生成物に対する貧溶媒で洗浄することにより分離除去してもよい。
このようにして、フルオレンポリエステルオリゴマーが得られる。本発明の方法では、比較的高収率でフルオレンポリエステルオリゴマーを得ることができ、その収率は、例えば、60%以上(例えば、60〜99%、好ましくは65〜95%、さらに好ましくは70〜90%程度)であってもよい。
オリゴマーの数平均分子量、重量平均分子量及び多分散度は、溶出液としてテトラヒドロフランを用い、1mL/分の条件で、2本のカラム(Shodex KF−804L)を備えたJASCO 880−PUにより、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(基準樹脂:ポリスチレン)によって測定した。
オリゴマーの組成比は、溶出液として65%テトラヒドロフラン(溶媒はH2O)を用い、1mL/分の条件で、カラム(関東化学(株)製 Mightysil RP−18 GP 150−4.6mm 5m Lot.204058)を備えたHITACHI L−71シリーズ(日立ハイテク製)により、HPLCによって測定した。具体的には、組成比は、末端にヒドロキシル基を有するオリゴマーとして想定されるピークの総面積に対する各ピークの面積によって算出される。
1H−NMRスペクトルは、内標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒としてCDCl3を用いて、JNM GSX−270(日本電子(株)製)によって室温で測定した。
200mLの三ツ口フラスコに温度計及び滴下ロートをセットし、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF)(5.25g、15.0mmol、大阪ガスケミカル(株)製)、テレフタル酸ジクロライド(2.03g、10mmol、ナカライテスク(株)製)および脱水テトラヒドロフラン(100mL、ナカライテスク(株)製)を入れ氷水バスで冷却した。滴下ロートに脱水トリエチルアミン(15g、ナカライテスク(株)製)を入れ、20℃以下で滴下した。滴下終了後室温に戻し、さらに24時間撹拌した。反応終了後、氷水1000mLの中に反応液を投入し、塩酸を加えて系内を酸性にして撹拌した。生じた沈殿を濾過、水洗、乾燥後、メタノールで洗浄、乾燥することにより目的のオリゴマー5.51g(収率:86.0%)を得た。得られたオリゴマーの数平均分子量は2472で、重量平均分子量は4155で、多分散度は1.681であった。
200mLの三ツ口フラスコに温度計及び滴下ロートをセットし、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)(6.57g、15.0mmol、大阪ガスケミカル(株)製)、テレフタル酸ジクロライド(2.03g、10mmol、ナカライテスク(株)製)および脱水テトラヒドロフラン(100mL、ナカライテスク(株)製)を入れ氷水バスで冷却した。滴下ロートに脱水トリエチルアミン(15g、ナカライテスク(株)製)を入れ、20℃以下で滴下した。滴下終了後室温に戻し、さらに24時間撹拌した。反応終了後、氷水1000mLの中に反応液を投入し、塩酸を加えて系内を酸性にして撹拌した。生じた沈殿を濾過、水洗、乾燥後、メタノールで洗浄、乾燥することにより目的のオリゴマー6.51g(収率:82.7%)を得た。得られたオリゴマーの数平均分子量は1833で、重量平均分子量は2650で、多分散度は1.446であった。
200mLの三ツ口フラスコに温度計及び滴下ロートをセットし、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)(5.48g、12.5mmol、大阪ガスケミカル(株)製)、テレフタル酸ジクロライド(2.03g、10mmol、ナカライテスク(株)製)および脱水テトラヒドロフラン(100mL、ナカライテスク(株)製)を入れ氷水バスで冷却した。滴下ロートに脱水トリエチルアミン(15g、ナカライテスク(株)製)を入れ、20℃以下で滴下した。滴下終了後室温に戻し、さらに24時間撹拌した。反応終了後、氷水1000mLの中に反応液を投入し、塩酸を加えて系内を酸性にして撹拌した。生じた沈殿を濾過、水洗、乾燥後、メタノールで洗浄、乾燥することにより目的のオリゴマー6.67g(収率:98.4%)を得た。得られたオリゴマーの数平均分子量は2151で、重量平均分子量は3596で、多分散度は1.672であった。
200mLのフラスコに冷却管をセットし、2,6−ナフタレンジカルボン酸(2.16g、10.0mmmol、和光純薬工業(株)製)、DMF(0.2g、ナカライテスク(株)製)及びチオニルクロライド(15mL,ナカライテスク(株)製)を入れ24時間加熱還流させた。反応終了後、過剰のチオニルクロライドを除くことで、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロライドを得た。得られた化合物は精製せずにそのまま用いた。ここに、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)(6.57g、15.0mmol、大阪ガスケミカル(株)製)、および脱水テトラヒドロフラン(100mL、ナカライテスク(株)製)を入れ氷水バスで冷却した。滴下ロートに脱水トリエチルアミン(15g、ナカライテスク(株)製)を入れ、ゆっくり滴下した。滴下終了後室温に戻し、さらに24時間撹拌した。反応終了後、氷水1000mLの中に反応液を投入し、塩酸を加えて系内を酸性にして撹拌した。生じた沈殿を濾過、水洗、乾燥後、メタノールで洗浄、乾燥することにより目的のオリゴマー5.53g(収率:66.1%)を得た。得られたオリゴマーの数平均分子量は1798で、重量平均分子量は2541で、多分散度は1.413であった。
200mLのフラスコに冷却管をセットし、2,6−ナフタレンジカルボン酸(2.16g、10.0mmmol、和光純薬工業(株)製)、DMF(0.2g、ナカライテスク(株)製)及びチオニルクロライド(15mL,ナカライテスク(株)製)を入れ24時間加熱還流させた。反応終了後、過剰のチオニルクロライドを除くことで、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロライドを得た。得られた化合物は精製せずにそのまま用いた。ここに、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)(5.48g、12.5mmol、大阪ガスケミカル(株)製)、および脱水テトラヒドロフラン(100mL、ナカライテスク(株)製)を入れ氷水バスで冷却した。滴下ロートに脱水トリエチルアミン(15g、ナカライテスク(株)製)を入れ、ゆっくり滴下した。滴下終了後室温に戻し、さらに24時間撹拌した。反応終了後、氷水1000mLの中に反応液を投入し、塩酸を加えて系内を酸性にして撹拌した。生じた沈殿を濾過、水洗、乾燥後、メタノールで洗浄、乾燥することにより目的のオリゴマー6.57g(収率:90.3%)を得た。得られたオリゴマーの数平均分子量は2145で、重量平均分子量は3517で、多分散度は1.640であった。
Claims (10)
- フルオレン骨格を有するジオール及びジカルボン酸ジハライドのうち一方の成分が他方の成分に対して過剰モル存在する反応系に塩基を加え、両成分を縮合させてフルオレンポリエステルオリゴマーを製造する方法であって、
一方の成分がフルオレン骨格を有するジオール、他方の成分がジカルボン酸ジハライドであり、
一方の成分の割合が、他方の成分1モルに対して、1.2〜5モルであり、
フルオレンポリエステルオリゴマーの重量平均分子量が5000未満である製造方法。 - フルオレンポリエステルオリゴマーの重量平均分子量が1000〜4500である請求項1記載の方法。
- 一方の成分の割合が、他方の成分1モルに対して、1.2〜3モルである請求項1又は2記載の方法。
- 反応系に塩基を連続的又は間欠的に添加して縮合させる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 加える塩基の総量が、他方の成分に対して2モル当量以上である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 塩基が第三級アミンである請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- ジカルボン酸ジハライド1モルに対して、下記式(1)
で表される化合物を1.2〜3モルの割合で含む反応系に第三級アミンを滴下し、両成分を縮合させて、下記式(2)
で表されるオリゴマーを製造する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の方法により得られるフルオレンポリエステルオリゴマー。
- 多分散度が1.15〜5である請求項8記載のオリゴマー。
- 重量平均分子量が800〜3000であり、かつ多分散度が1.2〜2である請求項8記載のオリゴマー。
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