JP5464118B2 - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
近年、リチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車や電気自動車などの駆動用電源として、また、ノート型パソコンやビデオカムコーダなどのポータブル電子機器の駆動用電源として、需要が高まっている。
特許文献1には、ジフルオロリン酸塩を含有する電解液を用いたリチウムイオン二次電池が提案されている。ジフルオロリン酸塩を含有する電解液を用いることで、低温放電特性(低温出力特性)などが良好になることが記載されている。
特開2006−143572号公報
ところで、ジフルオロリン酸塩を含有する電解液を用いたリチウムイオン二次電池は、例えば、以下のようにして製造する。まず、組み付け工程において、互いに背向する一対の平坦外面を有する電極体と、ジフルオロリン酸塩を含有する電解液とを、電池ケース内に収容した電池を作製する。次いで、初期充電工程において、組み付け工程を終えた電池を初期充電する。その後、エージング工程において、初期充電工程を終えた電池を、所定の温度で一定時間安置してエージングする。次に、第1自己放電工程において、エージング工程を終えた電池を、所定期間放置することにより自己放電させる。その後、容量測定工程において、自己放電工程を終えた電池の電池容量(その一部まはた全部)を測定する。次いで、内部抵抗測定工程において、容量測定工程を終えた電池の内部抵抗を測定する。
次に、電池列拘束工程において、内部抵抗測定工程を終えた電池を複数用意し、これらの電池を一列または複数列に列置して1または複数列の電池列にすると共に、この電池列を、その両端側から押圧治具で挟んで拘束状態にすることで、電池列をなす各々の電池について、電極体の一対の平坦外面が押圧された状態にする。その後、第2自己放電工程において、拘束状態の電池列を放置することにより、電池列をなす各々の電池を自己放電させる。
第2自己放電工程では、電池列をなす各々の電池について、放置前後の電池電圧値を測定し、放置前後の電池電圧差に基づいて、各々の電池に内部短絡が生じているか否かを判断する。内部短絡が生じている電池では、内部短絡が生じていない電池(正常な電池)に比べて、放置による自己放電量が大きくなるので、電池電圧値が小さくなり、放置前後の電池電圧差も大きくなると考えられる。従って、放置前後の電池電圧差に基づいて、電池に内部短絡が生じているか否かを判断することが可能となる。
ところが、ジフルオロリン酸塩を含有する電解液を用いたリチウムイオン二次電池は、第2自己放電工程において放置を開始すると、その後、しばらくの間、電池電圧が上昇してゆく傾向にあった。例えば、放置開始後、約1週間も電池電圧が上昇し、その後、電池電圧値が低下してゆくことがあった。電池電圧値が上昇している間は、電池の自己放電特性が把握できない(内部短絡している電池としていない電池との判別ができない)ため、電池電圧値の上昇が終了するのを待って、その後、規定期間、拘束状態の電池列を放置して、電池に内部短絡が生じているか否かを判断する必要があった。
このように、ジフルオロリン酸塩を含有する電解液を用いたリチウムイオン二次電池を製造する場合、第2自己放電工程において、放置開始後しばらくの間、電池電圧が上昇することが原因で、工程期間が長くなることが課題となっていた。このため、第2自己放電工程において、放置開始後の電池電圧上昇期間をできる限り短縮することが求められていた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、ジフルオロリン酸塩を含有する電解液を用いたリチウムイオン二次電池の製造方法において、上述の第2自己放電工程における放置開始後の電池電圧上昇期間を短縮することができるリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、互いに背向する一対の平坦外面を有する電極体と、LiPF 2 2 を含有する電解液とを、電池ケース内に収容した電池を作製する組み付け工程と、上記組み付け工程を終えた上記電池を初期充電する初期充電工程と、上記初期充電工程を終えた上記電池を、所定の温度で一定時間安置してエージングするエージング工程と、上記エージング工程を終えた上記電池を、所定期間放置することにより自己放電させる第1自己放電工程と、上記自己放電工程を終えた上記電池の電池容量の一部または全部を測定する容量測定工程と、上記容量測定工程を終えた上記電池の内部抵抗を測定する内部抵抗測定工程と、上記内部抵抗測定工程を終えた上記電池を複数用意し、これらの電池を一列または複数列に列置して1または複数列の電池列にすると共に、上記電池列を、その両端側から押圧治具で挟んで拘束状態にすることで、上記電池列をなす各々の上記電池について、上記電極体の上記一対の平坦外面が押圧された状態にする電池列拘束工程と、上記拘束状態の上記電池列を放置することにより、上記電池列をなす各々の上記電池を自己放電させる第2自己放電工程と、を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、上記電極体は、正極活物質及び負極活物質を有し、上記正極活物質は、Li X MO 2 (Mは、Niである、または、主成分であるNiの他にAl,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Cu,Zn,Mg,Ga,Zr,Siの少なくともいずれかを含むものである、1.04≦X≦1.15)であり、上記負極活物質は、黒鉛と非晶質炭素とからなり、上記負極活物質の粒子のBET比表面積が、2.8〜5.2m 2 /gの範囲内であり、上記電解液中の上記LiPF 2 2 の濃度が、0.01〜0.076mol/Lの範囲内であり、上記第2自己放電工程は、上記電池列の放置を開始してから上記電池電圧値が上昇する場合は、上記電池電圧値の上昇期間が経過した後から規定期間、上記拘束状態の上記電池列を放置する一方、上記電池列の放置を開始してから上記電池電圧値が上昇することなく低下する場合は、上記電池列の放置を開始してから上記規定期間、上記拘束状態の上記電池列を放置して、上記電池列をなす上記電池を自己放電させる工程であり、当該製造方法は、下記の(1)及び(2)の少なくともいずれかの条件を満たすリチウムイオン二次電池の製造方法である。
(1)上記電池列拘束工程では、上記電池列をなす各々の上記電池について、上記電極体の上記一対の平坦外面にかかる圧力が650〜8150kPaの範囲内の値となるように、上記電池列を上記押圧治具で挟んで拘束状態にする。
(2)上記第2自己放電工程では、上記電池列の放置を開始するときの電池電圧値である放置開始電圧値を、3.4〜3.8Vの範囲内の値とする。
上述のリチウムイオン二次電池の製造方法では、上記の(1)及び(2)の少なくともいずれかの条件を満たす。
具体的には、電池列拘束工程では、電池列をなす各々の電池について、電極体の一対の平坦外面にかかる圧力が650〜8150kPaの範囲内の値となるように、電池列を押圧治具で挟んで拘束状態にする。これにより、第2自己放電工程では、各々の電池について電極体の一対の平坦外面にかかる圧力を650〜8150kPaの範囲内の値とした状態で、電池列を放置して、電池列をなす各々の電池を自己放電させることになる。
本発明者が調査したところ、電池列拘束工程において、電極体の平坦外面にかける圧力を大きくするほど(押圧治具によって電池列にかける荷重を大きくするほど)、上述の第2自己放電工程における放置開始後の電池電圧上昇期間を短縮できることが判明した。すなわち、第2自己放電工程では、先の電池列拘束工程において拘束状態(電極体の平坦外面に圧力がかかった状態)にした電池列を放置するが、電極体の平坦外面にかかっている圧力が大きいほど、第2自己放電工程における放置開始後の電池電圧上昇期間を短縮できる。
しかしながら、電極体の平坦外面にかける圧力を大きくし過ぎる(押圧治具によって電池列にかける荷重を大きくし過ぎる)と、電池の内部抵抗が大きくなることが判明した。
調査の結果、電池列拘束工程において、電極体の一対の平坦外面にかかる圧力が650〜8150kPaの範囲内の値となるように、電池列を押圧治具で挟んで拘束状態にすることで、第2自己放電工程における放置開始後の電池電圧上昇期間を短縮することがき、且つ、電池の内部抵抗も小さくすることができる。
なお、電極体の平坦外面にかかる圧力が均一でない場合は、平坦外面にかかる圧力は、一対の平坦外面にかかる圧力の平均値とする。
また、(2)第2自己放電工程において、電池列の放置を開始するときの電池電圧値である放置開始電圧値を、3.4〜3.8Vの範囲内の値とすると良い。
本発明者が調査したところ、第2自己放電工程における放置開始電圧値が高くなるほど、上述の第2自己放電工程における放置開始後の電池電圧上昇期間を短縮できることが判明した。詳細には、第2自己放電工程における放置開始電圧値が3.4V以上であると、電池電圧上昇期間を2.5日以内にできることが判明した。
しかしながら、内部抵抗測定工程において電池の内部抵抗を測定した後、第2自己放電工程において電池列の放置を開始するまでの間、電池に充放電を行うことなく、第2自己放電工程における放置開始電圧値が、内部抵抗測定工程において電池の内部抵抗(IV抵抗)の測定を開始するときの電池電圧値と一致する場合、次のような問題が起こり得る。
第2自己放電工程における放置開始電圧値が高くなるということは、内部抵抗測定工程において電池の内部抵抗(IV抵抗)の測定を開始するときの電池電圧値が高くなるということになる。ところで、電池の内部抵抗として、低温時(例えば、−30℃)のIV抵抗値を測定したい場合がある。しかしながら、内部抵抗測定工程において、低温時(例えば、−30℃)のIV抵抗値を測定するためには、測定環境を低温(例えば、−30℃)環境にする必要があるが、これは非常にコスト高になってしまう。そこで、内部抵抗測定工程では、電池のIV抵抗値を25℃程度の温度環境下(例えば、常温環境下)で測定し、予め求めておいた換算式(例えば、25℃のIV抵抗値を−30℃のIV抵抗値に換算する一次式)を用いて、測定したIV抵抗値から低温時(例えば、−30℃)のIV抵抗値を算出する方法を用いることがある。
換算式は、例えば、次のようにして求めておくことができる。まず、電池を多数(例えば、30個)用意し、これらの電池について、所定の電池電圧値に調整した後、25℃(電池温度)におけるIV抵抗値と、−30℃(電池温度)におけるIV抵抗値とを測定する。その後、横軸(x軸)を25℃のIV抵抗値、縦軸(y軸)を−30℃のIV抵抗値とした座標平面上に、各電池の測定値(x、y)をプロットする。これらのプロットデータを線形近似することで、一次式(y=ax+b)を求め、この式を、25℃のIV抵抗値を−30℃のIV抵抗値に換算する換算式とする。
ところが、電池の内部抵抗(IV抵抗)を測定するときの電池電圧値が高すぎると、25℃での内部抵抗値(IV抵抗値)と、−30℃での内部抵抗値(IV抵抗値)との相関が弱くなる(相関係数が小さくなる)ことが判明した。25℃のIV抵抗値と−30℃のIV抵抗値との相関が弱くなる(相関係数が小さくなる)ということは、上記換算式による換算の精度が低下することになる。すなわち、換算式から得られる−30℃のIV抵抗値の信頼性が低下する。このような条件で、内部抵抗測定工程において、電池のIV抵抗値を25℃程度の温度環境下で測定しても、この値から、低温時(例えば、−30℃)のIV抵抗値を精度良く得る(換算式によって精度良く換算する)ことができない。
具体的には、電池の内部抵抗(IV抵抗)を測定するときの電池電圧値が3.8Vを上回ると、25℃での内部抵抗値(IV抵抗値)と、−30℃での内部抵抗値(IV抵抗値)との相関が弱くなる(相関係数が小さくなる)ことが判明した。詳細には、電池の内部抵抗(IV抵抗)を測定するときの電池電圧値が3.8V以下の場合は、相関係数が0.95以上であるのに対し、3.85Vとした場合は、相関係数が0.8まで低下することが判明した。従って、電池の内部抵抗(IV抵抗)を測定するときの電池電圧値を3.8V以下とすれば、内部抵抗測定工程において、電池のIV抵抗値を25℃程度の温度環境下で測定することで、この値から、低温時(例えば、−30℃)のIV抵抗値を精度良く得る(換算式によって精度良く換算する)ことができる。
第2自己放電工程における放置開始電圧値が、内部抵抗測定工程において電池の内部抵抗(IV抵抗)を測定するときの電池電圧値と一致する場合であるので、第2自己放電工程における放置開始電圧値を3.8V以下に設定することで、電池の内部抵抗(IV抵抗)を測定するときの電池電圧値は3.8V以下に設定される。
以上より、第2自己放電工程における放置開始電圧値は、3.4〜3.8Vの範囲内の値とするのが好ましい。
なお、電極体としては、例えば、帯状の正極板及び負極板が、帯状のセパレータを介して扁平形状に捲回されてなる捲回型電極体を挙げることができる。この電極体は、互いに背向する(反対方向を向く)一対の平坦外面と、弧状をなす一対の弧状外面とを有する。この他、電極体として、平板状(シート状)をなす複数の正極板及び負極板が、セパレータを介して積層されてなる積層型電極体を例示できる。この電極体も、互いに背向する(反対方向を向く)一対の平坦外面を有する。
また、電池ケースとしては、例えば、直方体形状をなし、平行する(対向する)一対の幅広側壁部を有する電池ケースを挙げることができる。この電池ケース内に電極体を収容した電池では、一対の幅広側壁部のうち一方の幅広側壁部(第1幅広側壁部ともいう)が、電極体の一対の平坦外面のうち一方の平坦外面(第1平坦外面ともいう)と対向(接触)し、他方の幅広側壁部(第2幅広側壁部ともいう)が、電極体の他方の平坦外面(第2平坦外面ともいう)と対向(接触)する。
さらに、上記例の電池を用いた場合、電池列拘束工程では、これらの電池について、幅広側壁部を列置方向に向けて、一列または複数列に列置して1または複数列の電池列にすると共に、上記電池列を、その両端(列置方向にかかる両端)側から押圧治具で挟んで拘束状態にする。これにより、電池列をなす各々の電池において、電極体の一対の平坦外面が、電池ケースの幅広側壁部によって押圧された状態になる。詳細には、電池列をなす各々の電池において、電池ケースの第1幅広側壁部によって電極体の第1平坦外面が押圧されると共に、電池ケースの第2幅広側壁部によって電極体の第2平坦外面が押圧された状態になる。さらに、第2自己放電工程では、この状態で、電池列を放置することにより、電池列をなす各々の電池を自己放電させる。
さらに、上記のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記(2)の条件について、前記放置開始電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値とするリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
電池の電圧値は、自身の温度変化に伴って変動する傾向がある。ところが、第2自己放電工程において、環境温度(電池列を放置する室温)を所定値に設定して、電池列を放置したとしても、電池の位置の違いによって、電池温度が異なってしまうことがある。特に、電池を量産する場合、一度に多数の電池列を大きな室内に放置することになるため、電池が放置される位置によって、電池温度の違いが大きくなる傾向にある。
このため、電池温度の違いによって電池電圧値が大きく異なってしまうような場合には、同等の特性を有する電池であっても、電池が放置される位置の違いに因る電池温度の違いだけで、放置後の電池電圧値が大きく異なってしまう虞がある。そして、電池温度の違いに起因する電池電圧変化の影響で、自己放電に起因する電池電圧変化を精度良く測定することができない虞がある。なお、第2自己放電工程において、放置期間中、全ての電池の温度を所定値に保つことができれば、上記のような問題は発生しないが、そのように電池温度を厳密に管理することは非常にコスト高になる。
ところが、本発明者が調査したところ、第2自己放電工程における放置開始電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値とすることで、電池温度の違いが電池電圧値に及ぼす影響を極めて小さくすることができることが判明した。すなわち、第2自己放電工程において、電池列を構成する電池の電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値として、電池列の放置を開始することで、電池が放置される位置の違いによって電池温度が異なっているとしても、電池温度の違いが電池電圧値に及ぼす影響を極めて小さくすることができる。従って、第2自己放電工程における放置開始電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値とすることで、電池温度の違いに起因する電池電圧値の相違を小さくして、自己放電に起因する電池電圧変化を精度良く測定することができる。
なお、第2自己放電工程では、例えば、電池列をなす各々のリチウムイオン二次電池について、自己放電による電池電圧の変化に基づいて、内部短絡しているか否かを判定する。具体的には、例えば、以下のようにする。
電池列の放置を開始してから各々のリチウムイオン二次電池の電池電圧値が上昇する場合は、電池電圧値の上昇期間が経過した後から規定期間(例えば3日間)、拘束状態の電池列を放置する。一方、電池列の放置を開始してから各々のリチウムイオン二次電池の電池電圧値が上昇することなく低下する場合は、電池列の放置を開始してから上記規定期間(例えば3日間)、拘束状態の電池列を放置する。
さらに、電池列を上記規定期間(例えば3日間)放置する直前の各々のリチウムイオン二次電池の電池電圧値V20と、電池列を上記規定期間(例えば3日間)放置した直後の電池電圧値V21とを測定し、その電池電圧差ΔV2(=V20−V21)を算出する。
内部短絡が生じている電池では、内部短絡が生じていない電池(正常な電池)に比べて、放置による自己放電量が大きくなるので、電池電圧値が小さくなり、上記規定期間の放置前後の電池電圧差ΔV2も大きくなる。従って、電池電圧差ΔV2に基づいて、電池に内部短絡が生じているか否かを判断することできる。そこで、第2自己放電工程において、電池列を構成する各々のリチウムイオン二次電池について、電池電圧差ΔV2が所定の閾値T2以上であるか否かによって、内部短絡が生じているか否かを判定することができる。
このとき、上述のように、第2自己放電工程における放置開始電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値としていれば、電池温度の違いに起因する電池電圧値の相違を小さくして、自己放電に起因する電池電圧変化を精度良く測定することができる。従って、電池温度の影響が少ない、自己放電に起因した電池電圧差ΔV2(=V20−V21)を適切に得ることができるので、内部短絡が生じているか否かを精度良く判定することができる。
内部短絡が生じていると判定された電池は、例えば、不良品として取り除かれる(例えば、廃棄される)。なお、閾値T2は、例えば、予め、内部短絡が生じている電池と生じていない電池とについて、それぞれの電池電圧差ΔV2を調査しておき、両電池の電池電圧差ΔV2の間の値とすれば良い。
さらに、上記いずれかのリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記(1)の条件について、前記電池列をなす各々の前記電池について、前記電極体の前記一対の平坦外面にかかる圧力が5700〜8150kPaの範囲内の値となるように、前記電池列を前記押圧治具で挟んで拘束状態にするリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
上述の製造方法では、電池列拘束工程において、電池列をなす各々の電池について、電極体の一対の平坦外面にかかる圧力が5700〜8150kPaの範囲内の値となるように、電池列を押圧治具で挟んで拘束状態にする。これにより、第2自己放電工程では、電極体の一対の平坦外面にかかる圧力を5700〜8150kPaの範囲内の値とした状態で、電池列を放置して、電池列をなす各々の電池を自己放電させることができる。このようにすることで、第2自己放電工程における放置開始後の電池電圧上昇期間を、特に短くすることができる。これにより、第2自己放電工程にかかる期間を特に短くすることができる。
さらに、上記いずれかのリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記組み付け工程の後、前記初期充電工程の前に、上記組み付け工程を終えた前記電池を、押圧治具で挟んで拘束状態にする電池拘束工程を備え、前記内部抵抗測定工程の後、前記電池列拘束工程の前に、上記電池拘束工程において行った上記電池の拘束を解除する拘束解除工程を備え、前記初期充電工程、前記エージング工程、前記第1自己放電工程、前記容量測定工程、及び上記内部抵抗測定工程では、いずれも、前記電池は上記拘束状態であるリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
上述の製造方法では、電池を押圧治具で挟んで拘束状態として、初期充電工程、エージング工程、第1自己放電工程、容量測定工程、及び内部抵抗測定工程を行う。電池を押圧治具で挟んで拘束状態とすることで、電極体を圧縮して、正極板と負極板との間の距離のムラを小さくする(均一にする)ことができる。このため、上記の各工程において、電池反応(充電反応、放電反応)のムラを小さくすることができるので好ましい。
実施形態の製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池の斜視図である。 同リチウムイオン二次電池の縦断面図であり、図1のB−B断面図に相当する。 同リチウムイオン二次電池の正極板の斜視図である。 同リチウムイオン二次電池の負極板の斜視図である。 同負極板の拡大断面図であり、図4のA−A断面図に相当する。 実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の製造方法の流れを示すフローチャートである。 電池拘束工程において、組み付け工程を終えた電池を押圧治具で挟んで拘束状態にした状態を示す斜視図である。 電池列拘束工程において、電池列をその両端側から押圧治具で挟んで拘束状態にした状態を示す断面図である。 第2自己放電工程と同一条件で電池列を放置したときの放置期間と電池電圧の変化量(内部短絡していない正常な電池と内部短絡している電池)との関係を示すグラフである。 電極体の平坦外面にかかる圧力の値と第2自己放電工程における電池電圧上昇期間との関係を示すグラフである。 第2自己放電工程における放置開始電圧値と電池電圧上昇期間との関係を示すグラフである。 25℃における電池電圧値と温度変更したときの電池電圧変化量との関係を示すグラフである。
まず、本実施形態の製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池100について説明する。
リチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、電極体110と、これを収容する電池ケース180とを備える。電極体110は、正極板130、負極板120、及びセパレータ150を備えている。セパレータ150は、ポリエチレンからなり、正極板130と負極板120との間に介在して、これらを離間させている。このセパレータ150には、リチウムイオンを有する電解液160を含浸させている。
電池ケース180は、アルミニウムからなり、直方体形状をなしている。この電池ケース180は、電池ケース本体181と封口蓋182を有する。このうち、電池ケース本体181は、有底矩形箱形状をなしている。この電池ケース180は、平行する(対向する)一対の幅広側壁部(第1幅広側壁部180bと第2幅広側壁部180c)を有している(図2参照)。第1幅広側壁部180bは、図1において手前側に位置する側壁部であり、第2幅広側壁部180cは、図1において奥側に位置する側壁部である。
また、封口蓋182は、矩形板状であり、電池ケース本体181の開口を閉塞して、この電池ケース本体181に溶接されている。この封口蓋182には、矩形板状の安全弁197が封着されている。
また、電極体110の正極板130には、クランク状に屈曲した板状の正極集電部材191が溶接されている(図1参照)。さらに、負極板120には、クランク状に屈曲した板状の負極集電部材192が溶接されている。正極集電部材191及び負極集電部材192のうち、それぞれの先端に位置する正極端子部191A及び負極端子部192Aは、封口蓋182を貫通して蓋表面182Aから突出している。なお、正極端子部191Aと封口蓋182との間、及び、負極端子部192Aと封口蓋182との間には、それぞれ、電気絶縁性の樹脂からなる絶縁部材195を介在させている。
また、電解液160は、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とジメチルカーボネート(DMC)とを、体積比で3:4:3に調整した混合有機溶媒に、溶質としてLiPF6を添加し、さらに、ジフルオロリン酸塩を添加した非水電解液である。なお、電解液160中のLiPF6の濃度は、1mol/Lとしている。
電極体110は、帯状の正極板130及び負極板120が、帯状のセパレータ150を介して扁平形状に捲回されてなる捲回型の電極体である(図1参照)。詳細には、長手方向DAに延びる帯状の正極板130、負極板120、及びセパレータ150を、長手方向DAに捲回して、捲回型の電極体110を形成している(図1〜図5参照)。なお、この電極体110では、セパレータ150を介して、正極板130の正極活物質層131と負極板120の負極活物質層121とが対向している(図5参照)。
また、電極体110は、互いに背向する(反対方向を向く)一対の平坦外面(第1平坦外面110bと第2平坦外面110c)と、弧状をなす一対の弧状外面(第1弧状外面180fと第2弧状外面180g)とを有している(図2参照)。このうち、第1平坦外面110bは、電池ケース180の第1幅広側壁部180bと対向(接触)している。また、第2平坦外面110cは、電池ケース180の第2幅広側壁部180cと対向(接触)している。
正極板130は、図3に示すように、長手方向DAに延びる帯状で、アルミニウム箔からなる正極集電板138と、この正極集電板138の両主面上に、それぞれ長手方向DAに延びる帯状に配置された2つの正極活物質層131,131とを有している。正極活物質層131は、正極活物質137と、アセチレンブラックからなる導電材と、PEO(ポリエチレンオキサイド)と、CMC(カルボキシメチルセルロース)とを、重量比88:10:1:1の割合で含んでいる。
なお、正極活物質137として、LiXMO2(Mは、Niである、または、主成分であるNiの他にAl,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Cu,Zn,Mg,Ga,Zr,Siの少なくともいずれかを含むものである、1.04≦X≦1.15)を用いている。
また、正極集電板138をなすアルミニウム箔の両面には、炭素層139が設けられている。炭素層139は、アセチレンブラックとポリフッ化ビニリデンとを重量比3:7の割合で含んでいる。
また、負極板120は、図4に示すように、長手方向DAに延びる帯状で銅箔からなる負極集電板128と、この負極集電板128の両主面128F,128F上に、それぞれ長手方向DAに延びる帯状に配置された2つの負極活物質層121,121とを有している。負極活物質層121は、負極活物質127とSBR(スチレンブタジエンゴム)とCMCと(カルボキシメチルセルロース)を、重量比98:1:1の割合で含んでいる。
なお、負極活物質127として、負極活物質の粒子が黒鉛と非晶質炭素とからなるもの(例えば、黒鉛の表面を非晶質炭素で被覆したもの)を用いている。また、負極活物質層121の表面には、金属酸化物絶縁層129が設けられている。金属酸化物絶縁層129は、酸化アルミニウム(アルミナ)とポリフッ化ビニリデンとを重量比95:5の割合で含んでいる。
負極活物質層121は、図4及び図5(図4のA−A断面図)に示すように、セパレータ150を介して正極活物質層131と対向する対向部122と、セパレータ150を介して対向する正極活物質層131が存在しない非対向部123とからなる。具体的には、負極活物質層121は、正極活物質層131に比べて大きな面積を有しており、非対向部123が対向部122の周囲に位置する形態となっている。なお、負極活物質層121における非対向部123と対向部122との境界の位置は、負極板120、セパレータ150及び正極板130を捲回して電極体110を形成したときに決まる。また、図5では、参考として、電極体110を形成したときの正極板130及びセパレータ150の位置を、二点鎖線で示している。
次に、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。図6は、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の製造方法の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS1(組み付け工程)において、電池ケース180内に電極体110と電解液160と収容した電池を作製する。具体的には、まず、正極活物質137とアセチレンブラックとPEO(ポリエチレンオキサイド)とCMC(カルボキシメチルセルロース)とを、重量比88:10:1:1の割合で混合し、これに水(溶媒)を混合して、正極スラリを作製した。次いで、この正極スラリを、アルミニウム箔からなる正極集電板138(表面に炭素層139を備えている)の表面に塗布し、乾燥させた後、プレス加工を施した。これにより、正極板130を得た。
なお、正極集電板138をなすアルミニウム箔の表面には、予め、炭素層139を形成している。この炭素層139は、アセチレンブラックとポリフッ化ビニリデンとを重量比3:7の割合で含んでいる。アルミニウム箔の表面に炭素層139を設けておくことで、正極スラリを塗布したとき、正極スラリ(アルカリ性となる)と正極集電板138を構成するアルミニウム箔との接触を防止することができる。これにより、正極集電板138を構成するアルミニウム箔の腐食を防止することができる。
なお、炭素層139の厚みは、1〜5μmとするのが好ましい。
また、負極活物質127とSBR(スチレンブタジエンゴム)とCMCと(カルボキシメチルセルロース)とを、98:1:1(重量比)の割合で水中で混合して、負極スラリを作製した。次いで、この負極スラリを、銅箔からなる負極集電板128の両主面128F上に塗布し、乾燥させた後、プレス加工を施した。これにより、負極板120を得た。
なお、負極活物質127は、例えば、次のようにして作製することができる。球状に成形した黒鉛とピッチ(石油ピッチ)とを混合し、これを焼成する。この焼成により、ピッチ(石油ピッチ)が非晶質炭素となる。その後、この焼成体を粉砕することで、負極活物質127(黒鉛の表面を非晶質炭素で被覆したもの)を得ることができる。
なお、負極活物質127として、非晶質炭素の割合(非晶質炭素含有率)が、2.5〜7.1wt%の範囲内である負極活物質を用いるのが好ましい。また、負極活物質127として、負極活物質粒子のBET比表面積が、2.8〜5.2m2/gの範囲内である負極活物質を用いるのが好ましい。本実施形態では、BET比表面積の値として、公知のBET法(詳細には、N2ガス吸着法)により求められた比表面積の値を採用している。
また、負極活物質層121の表面には、金属酸化物絶縁層129を形成している。具体的には、酸化アルミニウム(アルミナ)とポリフッ化ビニリデンとを重量比95:5の割合で混合し、これに溶媒を混合してペーストにする。このペーストを負極活物質層121の表面に塗布し、乾燥させることで、金属酸化物絶縁層129を形成することができる。
なお、金属酸化物絶縁層129の厚みは、2〜8μmとするのが好ましい。
また、正極容量と負極容量との容量比(負極容量/正極容量)は、1.4〜1.9の範囲内とするのが好ましい。なお、正極容量と負極容量との容量比(正極容量に対する負極容量の割合)は、正極活物質層131と負極活物質層121の対向部122との容量比である。この容量比は、負極活物質層121(対向部122)の厚み(すなわち、負極スラリの塗布量)を調整することで、1.4〜1.9の範囲内で調整することができる。
その後、負極板120と正極板130との間に、セパレータ150を介在させて捲回し、扁平捲回型の電極体110を形成する。なお、負極板120の負極活物質層121における対向部122に、セパレータ150を介して正極板130の正極活物質層131が対向するように、セパレータ150、負極板120、セパレータ150、正極板130の順に重ねて捲回する(図5参照)。
その後、負極板120(負極集電板128)に負極集電部材192を溶接し、正極板130(正極集電板138)に正極集電部材191を溶接する。次いで、負極集電部材192及び正極集電部材191を溶接した電極体110を、電池ケース本体181内に挿入した後、電解液160を注入する。その後、封口蓋182で電池ケース本体181の開口を閉塞した状態で、封口蓋182と電池ケース本体181とを溶接し、リチウムイオン二次電池の組み付けを完了する。
なお、電解液160は、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とジメチルカーボネート(DMC)とを、体積比で3:4:3に調整した混合有機溶媒に、溶質としてLiPF6を添加し、さらに、ジフルオロリン酸塩を添加した非水電解液である。なお、電解液160中のLiPF6の濃度は、1mol/Lとしている。
また、電解液160中のジフルオロリン酸塩の濃度は、0.01〜0.076mol/Lの範囲内とするのが好ましい。なお、本実施形態では、ジフルオロリン酸塩として、LiPF22を用いている。
次いで、ステップS2(電池拘束工程)に進み(図6参照)、上述の組み付け工程(ステップS1)において作製されたリチウムイオン二次電池100を、押圧治具30,40で挟んで拘束状態にする(図7参照)。具体的には、図7に示すように、電池ケース180の幅広側壁部180b,180cを押圧治具30,40で押圧するように、押圧治具30,40でリチウムイオン二次電池100を挟んで、リチウムイオン二次電池100を拘束状態にする。詳細には、電池ケース180の幅広側壁部180b側に配置した押圧治具30と、幅広側壁部180c側に配置した押圧治具40とを、円柱状のロッド51とナット53とを用いて締結することで、押圧治具30,40でリチウムイオン二次電池100を挟み、電池ケース180の幅広側壁部180b,180cを押圧治具30,40で押圧する。
なお、押圧治具30は、図8に示すように、金属製の押圧本体部35と、樹脂製の密着押圧プレート36とを有している。押圧治具40は、金属製の押圧本体部45と樹脂製の密着押圧プレート46とを有している。密着押圧プレート36,46は、断面が櫛歯形状をなしている(図8参照)。
上述のように電池100を拘束状態にしたとき、密着押圧プレート36によって、電池ケース180の第1幅広側壁部180bが所定の力(例えば、400〜800kgf)で押圧されると共に、密着押圧プレート46によって、電池ケース180の第2幅広側壁部180cが所定の力(例えば、400〜800kgf)で押圧された状態になる。これにより、電池ケース180の第1幅広側壁部180bによって、電極体110の第1平坦外面110bが所定の力(例えば、400〜800kgf)で押圧されると共に、電池ケース180の第2幅広側壁部180cによって、電極体110の第2平坦外面110cが所定の力(例えば、400〜800kgf)で押圧された状態になる。
次に、ステップS3(初期充電工程)に進み(図6参照)、押圧治具30,40で拘束した状態(図7に示す状態)のリチウムイオン二次電池100を初期充電する。この初期充電により、リチウムイオン二次電池100を活性化させることができる。また、負極活物質127の表面にSEI(被膜)を形成することができる。
次いで、ステップS4(エージング工程)に進み、初期充電(ステップS3の処理)を終えた拘束状態(図7に示す状態)のリチウムイオン二次電池100を、所定の温度(例えば、50℃)で、一定時間(例えば、15時間)安置してエージングする。
ところで、組み付け工程(ステップS1)において、電極体110内に金属粉(Cu粉など)などが誤って混入してしまうことがある。このような電池では、エージング工程において、金属粉由来のデンドライトが発生し、内部短絡が生じる(セパレータ150によって電気的に絶縁されている正極板130と負極板120とが、デンドライトを通じて電気的に接続する)ことがある。このため、後述するステップS5(第1自己放電工程)において、内部短絡が生じた電池を検出し、出荷しないようにしている(不良品として取り除く)。
ステップS5(第1自己放電工程)では、エージング(ステップS4の処理)を終えた拘束状態(図7に示す状態)のリチウムイオン二次電池100を、25℃の温度環境下で、所定期間(例えば、5日間)放置することにより自己放電させる。但し、ステップS5(第1自己放電工程)では、リチウムイオン二次電池100を放置する前の電池電圧値V10と、リチウムイオン二次電池100を5日間放置した後の電池電圧値V11とを測定し、その電池電圧差ΔV1(=V10−V11)を算出する。
内部短絡が生じている電池では、内部短絡が生じていない電池(正常な電池)に比べて、放置による自己放電量が大きくなるので、電池電圧値が小さくなり、放置前後の電池電圧差ΔV1も大きくなる。従って、放置前後の電池電圧差ΔV1に基づいて、電池に内部短絡が生じているか否かを判断することできる。そこで、ステップS5(第1自己放電工程)では、電池電圧差ΔV1が所定の閾値T1以上であるか否かによって、リチウムイオン二次電池100に内部短絡が生じているか否かを判定する。内部短絡が生じていると判定された電池は、不良品として取り除かれる(例えば、廃棄される)。なお、閾値T1は、例えば、予め、内部短絡が生じている電池と生じていない電池とについて、それぞれの電池電圧差ΔV1を調査しておき、両電池の電池電圧差ΔV1の間の値とすれば良い。
次に、ステップS6(容量測定工程)に進み、ステップS5において内部短絡が生じていない(正常である)と判定されたリチウムイオン二次電池100について、電池容量の一部を測定する。具体的には、例えば、リチウムイオン二次電池100を放電させて、電池電圧値が4.0V(SOC90%)から3.55V(SOC30%)にまで低下する間の放電電気量Q1(電池容量の一部)を測定する。放電電気量Q1が許容範囲から外れている電池は、不良品として取り除かれる(例えば、廃棄される)。
なお、電池容量は、電池100をSOC100%からSOC0%にまで放電させたときの放電電気量である。従って、放電電気量Q1は、電池100の電池容量の一部(電池容量の60%に相当する)である。
また、ステップS6(容量測定工程)でも、リチウムイオン二次電池100は、押圧治具30,40で拘束した状態(図7に示す状態)のままである。
また、SOCは、State Of Charge(充電状態、充電率)の略である。
次いで、ステップS7(内部抵抗測定工程)に進み、容量測定工程(ステップS6)を終えた拘束状態(図7に示す状態)のリチウムイオン二次電池100について、25℃の温度環境下で、その内部抵抗(IV抵抗)を測定する。具体的には、例えば、まず、リチウムイオン二次電池100を充電して、その電池電圧値を3.6V(SOC40%)にする。その後、このリチウムイオン二次電池100を、20Aの定電流で4秒間だけ放電させ、放電終了時(終了した瞬間)の電池電圧値Vbを測定する。次いで、放電により変化した電池電圧変化量ΔV(=3.6−Vb)を電流値20Aで除した値(=ΔV/20)を、25℃におけるIV抵抗値(内部抵抗値)として取得する。
その後、予め求めておいた換算式(環境温度25℃におけるIV抵抗値を、環境温度−30℃におけるIV抵抗値に換算する一次式)を用いて、上述のようにして測定した25℃のIV抵抗値から、−30℃のIV抵抗値を算出する。−30℃のIV抵抗値が許容範囲から外れている電池は、不良品として取り除かれる(例えば、廃棄される)。なお、電池100の電圧値は、放電時に一時的に低下するが、その後、放電前の電圧値(例えば、3.6V)に戻る。
なお、換算式は、例えば、次のようにして求めておくことができる。まず、電池100を多数(例えば、30個)用意し、これらの電池100について、所定の電池電圧値に調整した後、25℃(電池温度)におけるIV抵抗値と、−30℃(電池温度)におけるIV抵抗値とを測定する。その後、横軸(x軸)を25℃のIV抵抗値、縦軸(y軸)を−30℃のIV抵抗値とした座標平面上に、各電池100の測定値(x、y)をプロットする。これらのプロットデータを線形近似することで、一次式(y=ax+b)を求め、この式を、25℃のIV抵抗値を−30℃のIV抵抗値に換算する換算式とする。
その後、ステップS8(拘束解除工程)に進み、内部抵抗測定工程(ステップS7)を終えたリチウムイオン二次電池100の拘束状態を解除する。具体的には、リチウムイオン二次電池100を挟んで押圧していた押圧治具30,40を取り外す。
次に、ステップS9(電池列拘束工程)において、拘束解除工程(ステップS9)を終えたリチウムイオン二次電池100を複数用意し、これらの電池をまとめて拘束状態にする。具体的には、まず、拘束解除工程(ステップS8)を終えたリチウムイオン二次電池100を複数(例えば、20個)用意する。その後、例えば、図8に示すように、これらのリチウムイオン二次電池100を一列に列置して、電池列200にする。さらに、電池列200を、その両端側(図8において左右端側)から押圧治具30,40で挟んで拘束状態にする。なお、図8に示す例では、列置方向に隣り合う電池100について、電池ケース180の幅広側壁部180b,180cの表面を反対方向に向けて一列に列置して、電池列200にしている。
詳細には、列置方向(図8において左右方向)に隣り合うリチウムイオン二次電池100の間に密着押圧プレート36を配置し、電池列200の一端(図8において右端)に位置する電池ケース180の幅広側壁部180c側(図8において右端)に押圧治具30を配置し、電池列200の他端(図8において左端)に位置する電池ケース180の幅広側壁部180c側(図8において左端)に押圧治具40を配置する。この状態で、押圧治具30と押圧治具40とを、円柱状のロッド52及びナット53とを用いて締結することで、押圧治具30,40で電池列200を挟み、電池列を構成する各電池100の電池ケース180の幅広側壁部180b,180cを押圧治具30,40で押圧する。
詳細には、密着押圧プレート36,46によって、電池ケース180の第1幅広側壁部180bと第2幅広側壁部180cが、所定の力で押圧される。これにより、電池ケース180の第1幅広側壁部180bによって、電極体110の第1平坦外面110bが所定の圧力で押圧されると共に、電池ケース180の第2幅広側壁部180cによって、電極体110の第2平坦外面110cが所定の圧力で押圧された状態になる。
なお、電池列拘束工程(ステップS9)では、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力が650〜8150kPaの範囲内の値となるように、電池列200を押圧治具30,40で挟んで拘束状態にするのが好ましい。これにより、後の第2自己放電工程(ステップS10)において、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力を650〜8150kPaの範囲内の値とした状態で、電池列200を放置して、電池列200をなす各々の電池100を自己放電させることができるからである。後述するように、このような拘束状態で第2自己放電工程(ステップS10)を行うことで、第2自己放電工程(ステップS10)に要する期間を短縮することができる。
また、上記の例では、電池列を1列にした場合について説明したが、電池列は複数列(例えば、10個の電池を1列に並べた電池列を2列とする)であっても良い。従って、複数列の電池列をまとめて拘束状態にするようにしても良い。
ところで、ステップS9(電池列拘束工程)において電池列200を拘束状態にすると、電池列200を構成する各々のリチウムイオン二次電池100の電極体110に大きな圧縮力(第1平坦外面110bと第2平坦外面110cを押圧することによって電極体110を圧縮する力)がかかり、各々の電極体110が圧縮される。もし、電極体110内に金属異物が混入している場合(例えば、組み付け工程において誤って電極体110内に金属異物が混入し、その金属異物が未だ残っている場合)には、上述のように電極体110が圧縮されることで、金属異物がセパレータ150を貫通して、内部短絡が生じる(セパレータ150によって電気的に絶縁されている正極板130と負極板120とが、金属異物を通じて電気的に接続する)ことがある。このため、後述するステップS10(第2自己放電工程)において、内部短絡が生じた電池を検出し、出荷しないようにしている(不良品として取り除く)。
ステップS10(第2自己放電工程)では、拘束状態(図8に示す状態)の電池列200を、25℃の温度環境下(温度を25℃に設定した室内)で放置することにより、電池列200をなす各々のリチウムイオン二次電池100を自己放電させる。さらに、ステップS10(第2自己放電工程)では、自己放電させたときの各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧の変化に基づいて、各々のリチウムイオン二次電池100について、内部短絡しているか否かを判定する。
但し、ステップS10(第2自己放電工程)では、電池列200の放置を開始してから各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧値が上昇する場合は、電池電圧値の上昇期間が経過した後から規定期間(例えば3日間)、拘束状態の電池列200を放置する。一方、電池列200の放置を開始してから各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧値が上昇することなく低下する場合は、電池列200の放置を開始してから上記規定期間(例えば3日間)、拘束状態の電池列200を放置する。
さらに、ステップS10(第2自己放電工程)では、電池列200を上記規定期間(例えば3日間)放置する直前の各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧値V20と、電池列200を上記規定期間(例えば3日間)放置した直後の電池電圧値V21とを測定し、その電池電圧差ΔV2(=V20−V21)を算出する。
内部短絡が生じている電池では、内部短絡が生じていない電池(正常な電池)に比べて、放置による自己放電量が大きくなるので、電池電圧値が小さくなり、上記規定期間の放置前後の電池電圧差ΔV2も大きくなる。従って、電池電圧差ΔV2に基づいて、電池に内部短絡が生じているか否かを判断することできる。そこで、ステップS10(第2自己放電工程)では、電池列200を構成する各々のリチウムイオン二次電池100について、電池電圧差ΔV2が所定の閾値T2以上であるか否かによって、内部短絡が生じているか否かを判定する。内部短絡が生じていると判定された電池は、不良品として取り除かれる(例えば、廃棄される)。なお、閾値T2は、例えば、予め、内部短絡が生じている電池と生じていない電池とについて、それぞれの電池電圧差ΔV2を調査しておき、両電池の電池電圧差ΔV2の間の値とすれば良い。
このように、自己放電により確実に電池電圧値が低下する規定期間(例えば3日間)、電池列200をなす各々のリチウムイオン二次電池100を放置して、この規定期間前後の各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧差ΔV2に基づいて、各々のリチウムイオン二次電池100について内部短絡しているか否かを判定することで、適切な内部短絡判定を行うことができる。
なお、第2自己放電工程(ステップS10)において、電池列200の放置を開始するときの電池電圧値である放置開始電圧値を、3.4〜3.8Vの範囲内の値とすると良い。後述するように、第2自己放電工程(ステップS10)に要する期間を短縮することができるからである。
また、ステップS10(第2自己放電工程)においてリチウムイオン二次電池100の電池電圧値が上昇するか否か、電池電圧値が上昇する場合の電池電圧上昇期間の長さ、及び、内部短絡の有無を適切に判定できる規定期間の長さは、予め、放置試験により把握しておく。具体的には、ステップS10(第2自己放電工程)と同一条件で、内部短絡が生じている電池100と生じていない電池100とを含む電池列200を放置し、放置期間中、各々の電池100の電池電圧値を測定する。この測定結果(後述する図9参照)に基づいて、ステップS10(第2自己放電工程)における上記規定期間の放置を開始する時(電池電圧値V20を測定する時)、内部短絡の有無を適切に判別できる所定期間の長さ、上記規定期間の放置を終了する時(電池電圧値V21を測定する時)、閾値T2の値を、予め決定しておく。なお、これらの値を決定する方法については、後に、図9を用いて具体的に説明する。
ステップS10(第2自己放電工程)において、電池列200を構成する電池100のいずれについても内部短絡が発生していないと判定された場合、上記拘束状態のまま、組電池300(図8参照)として出荷される。組電池300は、図8に示すように、電池列200を、その両端側(図8において左右端側)から押圧治具30,40で挟んで拘束状態にしたものである。
一方、ステップS10(第2自己放電工程)において、電池列200を構成する電池100のいずれかに内部短絡が発生していると判定された場合は、一旦拘束状態を解除して、内部短絡している電池100を取り除く。そして、ステップS10(第2自己放電工程)を終えた他の電池列200から、内部短絡していないと判定された電池100を取り出し、この電池100を、上記内部短絡している電池100に代えて配置する。このようにして、内部短絡が発生していないと判定された電池100のみで電池列200を構成し、その後、ステップS9(電池列拘束工程)と同様にしてこの電池列200を拘束状態にして、組電池300(図8参照)として出荷する。
本実施形態の電池100は、組電池300として(組電池300の状態で)使用される。この組電池300は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動用電源として使用される。
(実施例1)
本実施例1では、次のようにして、リチウムイオン二次電池100を製造する。
まず、ステップS1(組み付け工程)において、前述のようにして、電池ケース180内に電極体110と電解液160と収容した電池を作製する。
なお、本実施例1では、正極板130の炭素層139の厚みを、2μmとする。
また、正極活物質137として、Xの値が1.08であるLiXMO2 を用いる。すなわち、正極活物質137として、Li1.08MO2 を用いている。詳細には、正極活物質137として、Li1.08Ni0.8Co0.15Al0.052 を用いる。このように、本実施例1では、Li1.08MO2 の「M」が、主成分であるNiの他にCoとAlを含むものを、正極活物質137として用いる。
また、負極活物質127として、非晶質炭素の割合(非晶質炭素含有率)が6wt%であり、且つ、負極活物質粒子のBET比表面積が3.3m2/gである負極活物質を用いる。また、負極板120の金属酸化物絶縁層129の厚みを、4μmとする。また、正極容量と負極容量との容量比(負極容量/正極容量)を、1.5とする。また、電解液160中のジフルオロリン酸塩の濃度を、0.038mol/Lとする。
次いで、前述のように、ステップS2〜S9の処理を行った。
なお、本実施例1では、ステップS4(エージング工程)において、リチウムイオン二次電池100を、50℃の環境温度下で15時間安置して、エージングを行う。
また、ステップS6(容量測定工程)では、リチウムイオン二次電池100を放電させて、電池電圧値が4.0V(SOC90%)から3.55V(SOC30%)にまで低下する間の放電電気量Q1(電池容量の一部)を測定する。放電電気量Q1が許容範囲から外れている電池は、不良品として取り除かれる(例えば、廃棄される)。
また、ステップS7(内部抵抗測定工程)では、まず、リチウムイオン二次電池100を充電して、その電池電圧値を3.6V(SOC40%)にする。その後、このリチウムイオン二次電池100を、20Aの定電流で4秒間だけ放電させ、放電終了時(終了した瞬間)の電池電圧値Vbを測定する。次いで、放電により変化した電池電圧変化量ΔV(=3.6−Vb)を電流値20Aで除した値(=ΔV/20)を、IV抵抗値(内部抵抗値)として取得する。IV抵抗値が許容範囲から外れている電池は、不良品として取り除かれる(例えば、廃棄される)。なお、電池100の電圧値は、放電時に一時的に低下するが、その後、放電前の電圧値(3.6V)に戻る。
また、電池列拘束工程(ステップS9)では、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力(平均値)が3250kPaとなるように、電池列200を押圧治具30,40で挟んで拘束状態とする。なお、本実施例1では、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力が均一ではないので、平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力は、一対の平坦外面にかかる圧力の平均値としている。圧力の平均値の算出方法については後述する。
また、本実施例1では、内部抵抗測定工程(ステップS7)において電池100の内部抵抗を測定した後、第2自己放電工程(ステップS10)において電池列200の放置を開始するまでの間、電池100に充放電を行うことがない。このため、第2自己放電工程(ステップS10)における放置開始電圧値は、内部抵抗測定工程(ステップS7)において電池100の内部抵抗(IV抵抗)の測定を開始(放電を開始)するときの電池電圧値と一致する。
従って、本実施例1では、第2自己放電工程(ステップS10)における放置開始電圧値は、3.6Vとなる。
ところで、電池100の電圧値は、自身の温度変化に伴って変動する傾向がある。ところが、第2自己放電工程(ステップS10)において、環境温度(電池列を放置する室温)を所定値(25℃)に設定して、電池列200を放置したとしても、電池100の位置の違いによって、電池温度が異なってしまうことがある。特に、電池100を量産する場合、一度に多数の電池列200を大きな室内に放置することになるため、電池100が放置される位置によって、電池温度の違いが大きくなる傾向にある。
このため、電池温度の違いによって電池電圧値が大きく異なってしまうような場合には、同等の特性を有する電池100であっても、電池100が放置される位置の違いに因る電池温度の違いだけで、放置後の電池電圧値が大きく異なってしまう虞がある。そして、電池温度の違いに起因する電池電圧変化の影響で、自己放電に起因する電池電圧変化を精度良く測定することができない虞がある。なお、第2自己放電工程において、放置期間中、全ての電池100の温度を所定値(例えば、25℃)に保つことができれば、上記のような問題は発生しないが、そのように電池温度を厳密に管理することは非常にコスト高になる。
ところが、後述するように、第2自己放電工程(ステップS10)における放置開始電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値とすることで、電池温度の違いが電池電圧値に及ぼす影響を極めて小さくすることができる。すなわち、第2自己放電工程(ステップS10)において、電池列200を構成する電池100の電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値として、電池列200の放置を開始することで、電池100が放置される位置の違いによって電池温度が異なっているとしても、電池温度の違いが電池電圧値に及ぼす影響を極めて小さくすることができる。従って、第2自己放電工程(ステップS10)における放置開始電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値とすることで、電池温度の違いに起因する電池電圧の相違を小さくして、自己放電に起因する電池電圧変化を精度良く測定することができる。
本実施例1では、第2自己放電工程(ステップS10)における放置開始電圧値を3.6Vとしているので、電池100の自己放電に起因する電池電圧変化を精度良く測定することができる。従って、ステップS10(第2自己放電工程)では、自己放電させたときの各々の電池100の電池電圧変化(電池電圧差ΔV2)に基づいて、各々の電池100について、内部短絡しているか否かを精度良く判定することができる。
その後、前述のように、ステップS10(第2自己放電工程)の処理を行う。
但し、本実施例1の電池(上述のようにして組み付け工程において作製した電池)は、後述するように、その電池電圧値が、電池列200の放置を開始してから2日間近く(最大で2日間)上昇することがわかっている。このため、本実施例1のステップS10(第2自己放電工程)では、電池列200の放置を開始してから2日後に、各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧値V20を測定し、その後、規定期間、電池列200を放置して、規定期間経過した時に、各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧値V21を測定する。
その後、各々のリチウムイオン二次電池100について、電池電圧値V20と電池電圧値V21との差分値である電池電圧差ΔV2(=V20−V21)を算出し、電池電圧差ΔV2が閾値T2以上であるか否かを判定する。電池電圧差ΔV2が閾値T2以上であるリチウムイオン二次電池100は、内部短絡が生じていると判定する。一方、電池電圧差ΔV2が閾値T2未満であるリチウムイオン二次電池100については、内部短絡が生じていないと判定する。
なお、本実施例1では、上記「規定期間」を3日間としている。後述するように、放置試験の結果から、電池列200の放置を開始してから2日間経過した後、さらに3日間放置することで、電池電圧差ΔV2に基づいて、適切に、内部短絡の有無を判別できることを把握しているからである。また、閾値T2は、例えば、0.5mVとすれば良い。後述するように、放置試験の結果から、内部短絡が生じていない電池100では、ΔV2の値が約0.3mVとなり、内部短絡が生じている電池100では、ΔV2の値が約0.8mVとなることがわかっている。従って、閾値T2をこれらの値の間の値とすることで、適切に、内部短絡の有無を判別できる。
(放置試験)
ここで、実施例1のステップS10(第2自己放電工程)における各条件を決定するために行った放置試験の結果を、図9に示す。具体的には、実施例1の条件で、ステップS1〜S9までの処理を行い、内部短絡が生じている電池100と内部短絡が生じていない電池100とを複数用意した。その後、ステップS10(第2自己放電工程)と同一条件で、内部短絡が生じている電池100と生じていない電池100とを含む電池列200を、11日間放置し、放置期間中、各々の電池100の電池電圧値を測定した。図9には、これらの測定結果のうち、2つの電池100(内部短絡が生じている電池100と内部短絡が生じていない電池100)の測定結果を、放置開始時点の電池電圧値を基準にして、その変化量を示している。
なお、図9では、内部短絡が生じていない電池100の電池電圧変化量を○印で示し、内部短絡が生じている電池100の電池電圧変化量を△印で示している。また、内部短絡が生じているか否かは、11日間の放置試験が終了した後、各々の電池100を分解して確認している。
図9に示すように、2つの電池100の電池電圧値は、電池列200の放置を開始してから2日間近く上昇している。他の電池100についても、ほぼ同様であり、放置開始からの電圧上昇期間は、最長でも2日間であることがわかった。
さらに、電圧上昇期間(2日間)が経過した後、内部短絡が生じている電池100は、内部短絡が生じていない電池100に比べて、電池電圧値が大きく低下してゆくことがわかる。そして、電圧上昇期間(2日間)の経過後、さらに3日間放置することで、内部短絡が生じている電池100と内部短絡が生じていない電池100とでは、電圧上昇期間(2日間)経過時からの電池電圧変化量に、大きな差が生じることがわかる。
具体的には、内部短絡が生じていない電池100では、電圧上昇期間(2日間)が経過したときの電池電圧値と、その後さらに3日間放置したときの電池電圧値との差分値である電池電圧差ΔV2が、約0.3mVとなった。一方、内部短絡が生じている電池100では、電池電圧差ΔV2が約0.8mVとなり、内部短絡が生じていない電池100に比べて、かなり大きな値となった。電池電圧差ΔV2にこれだけ大きな差が生じれば、電池電圧差ΔV2に基づいて、適切に、内部短絡の有無を判別できる。従って、実施例1の第2自己放電工程)における「規定期間」を、3日間に設定することにした。
従って、実施例1のステップS10(第2自己放電工程)では、電池列200の放置を開始してから2日後に、各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧値V20を測定し、その後、3日間(規定期間)、電池列200を放置するようにして、その3日間(規定期間)が経過した時に、各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧値V21を測定することにした。
以上より、実施例1の製造方法によれば、ステップS10(第2自己放電工程)において、放置開始後の電池電圧上昇期間を2日以内(最大で2日間)と短くすることができるので、第2自己放電工程全体の期間を5日間と短くすることができる。
(電極体の平坦外面にかかる圧力の好ましい値)
次に、電池列拘束工程(ステップS9)において、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力の値について、好ましい範囲を調査した。
具体的には、まず、実施例1のステップS1〜S9と同様にして、電池100を作製した。但し、ステップS9(電池列拘束工程)では、押圧治具30,40による電池列200を押圧する力を異ならせて、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力の値のみが異なる、10種類の拘束状態の電池列200を用意した。その後、前述の放置試験(第2自己放電工程と同様な放置)を行い、各々の電池100について、放置開始からの電池電圧上昇期間を調査した。その結果を、圧力の値と電池電圧上昇期間との関係として、図10に○印で示す。
なお、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力の値は、次のようにして測定した。まず、電池ケース180の第1幅広側壁部180bと電極体110の第1平坦外面110bとの間に、公知の圧力センサを50個、格子状に配置すると共に、第2幅広側壁部180cと電極体110の第2平坦外面110cとの間にも、公知の圧力センサを50個、格子状に配置したサンプル電池を用意する。このサンプル電池を含めて電池列を構成し、ステップS9と同様にして、押圧治具30,40によって電池列を押圧するようにして拘束状態とする。
この拘束状態で、サンプル電池に配置した各々の圧力センサの出力値を取得し、これらの平均値を算出する。本実施例1では、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力が均一ではないので、一対の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力の平均値を、平坦外面にかかる圧力の値としている。なお、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力の値(平均値)は、押圧治具30,40による押圧力を変える(ナット53の締め付け力を変える)ことで、様々な値に変更することができる。
また、上述のように、電極体110の平坦外面にかかる圧力の値を異ならせた10種類の電池列を構成する電池100(各電池列から1個ずつ選択した電池100)について、それぞれ、内部抵抗値(IV抵抗値)を測定した。具体的には、各々の電池100を充電(または放電)して、各々の電池電圧値を3.72V(SOC60%)にする。その後、各々の電池100について、25℃の温度環境下で、100Aの定電流で10秒間だけ放電させ、放電終了時(終了した瞬間)の電池電圧値Vkを測定する。次いで、放電により変化した電池電圧変化量ΔV(=3.72−Vk)を電流値100Aで除した値(=ΔV/100)を、IV抵抗値(内部抵抗値)として取得した。これらの結果を、電極体110の平坦外面にかかる圧力と電池内部抵抗(IV抵抗)との関係として、図10に△印で示す。
図10からわかるように、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力が大きいほど(押圧治具30,40によって電池列にかける荷重を大きくするほど)、第2自己放電工程(ステップS10)における放置開始後の電池電圧上昇期間を短縮できる。すなわち、第2自己放電工程では、先の電池列拘束工程(ステップS9)において拘束状態(電極体110の平坦外面に圧力がかかった状態)にした電池列200を放置するが、電極体110の平坦外面にかかっている圧力が大きいほど、第2自己放電工程における放置開始後の電池電圧上昇期間を短縮できる。
詳細には、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかかる圧力値(平均値)を650kPa以上とすることで、第2自己放電工程における放置開始後の電池電圧上昇期間を2.5日以内にすることができる。
しかしながら、電極体110の平坦外面(第1平坦外面110b及び第2平坦外面110c)にかける圧力を大きくし過ぎると、電池100の内部抵抗が大きくなる。
詳細には、電極体110の平坦外面にかかる圧力値(平均値)を8150kPaより大きくすると、電池の内部抵抗が急激に大きくなる。
以上の結果より、電池列拘束工程(ステップS9)において、電極体の平坦外面(第1平坦外面及び第2平坦外面)にかかる圧力が650〜8150kPaの範囲内の値となるように、電池列を押圧治具で挟んで拘束状態にすることで、第2自己放電工程における放置開始後の電池電圧上昇期間を短縮することがき、且つ、電池の内部抵抗も小さくすることができるといえる。
特に、電極体の平坦外面(第1平坦外面及び第2平坦外面)にかかる圧力が5700〜8150kPaの範囲内の値となるように、電池列を押圧治具で挟んで拘束状態にすることで、第2自己放電工程における放置開始後の電池電圧上昇期間を、特に短くする(電圧上昇期間を1.2日以内にする)ことができる(図10参照)。これにより、第2自己放電工程にかかる期間を特に短くすることができる。
(第2自己放電工程における放置開始電圧値の好ましい値)
次に、第2自己放電工程(ステップS10)において、拘束状態とした電池列200の放置を開始するときの電池100の電圧値である放置開始電圧値について、好ましい範囲を調査した。
具体的には、まず、実施例1のステップS1〜S9と同様にして、電池100を作製した。但し、ステップS7(内部抵抗測定工程)において電池の内部抵抗(IV抵抗)の測定を開始(放電を開始)するときの電池電圧値を、3.3V〜3.85Vの範囲内で異ならせて、10種類の電池100を作製した。前述のように、実施例1では、第2自己放電工程(ステップS10)における放置開始電圧値は、内部抵抗測定工程(ステップS7)において電池100の内部抵抗(IV抵抗)の測定を開始(放電を開始)するときの電池電圧値と一致する。従って、上述の10種類の電池100は、第2自己放電工程(ステップS10)における放置開始電圧値についても、3.3V〜3.85Vの範囲内で異なる電池となっている(図11参照)。
その後、前述の放置試験(第2自己放電工程と同様な放置)を行い、各々の電池100について、放置開始からの電池電圧上昇期間を調査した。その結果を、第2自己放電工程における放置開始電圧値と電池電圧上昇期間との関係として、図11に○印で示す。
図11からわかるように、第2自己放電工程における放置開始電圧値が高くなるほど、第2自己放電工程における放置開始後の電池電圧上昇期間を短縮することができる。詳細には、第2自己放電工程における放置開始電圧値が3.4V以上であると、電池電圧上昇期間を2.5日以内にすることができる。
しかしながら、実施例1のように、内部抵抗測定工程において電池の内部抵抗を測定した後から第2自己放電工程において電池列の放置を開始するまでの間、電池に充放電を行うことなく、第2自己放電工程における放置開始電圧値が、内部抵抗測定工程において電池の内部抵抗(IV抵抗)の測定を開始するときの電池電圧値と一致する場合、次のような問題が起こり得る。
第2自己放電工程における放置開始電圧値が高くなるということは、内部抵抗測定工程において電池の内部抵抗(IV抵抗)の測定を開始するときの電池電圧値が高くなるということになる。
ここで、本実施形態の内部抵抗測定工程では、25℃の温度環境下において電池100のIV抵抗値を測定し、予め求めておいた換算式を用いて、25℃の温度環境下において測定したIV抵抗値から、−30℃の温度環境下におけるIV抵抗値を算出する。
ところが、後述するように、電池100の内部抵抗(IV抵抗)を測定するときの電池電圧値が高すぎると、25℃の温度環境下における内部抵抗値(IV抵抗値)と、−30℃の温度環境下における内部抵抗値(IV抵抗値)との相関が弱くなる(相関係数が小さくなる)。25℃のIV抵抗値と−30℃のIV抵抗値との相関が弱くなる(相関係数が小さくなる)ということは、上述の換算式による換算の精度が低下することになる。すなわち、換算式から得られる−30℃のIV抵抗値の信頼性が低下する。このような条件で、内部抵抗測定工程において、25℃の温度環境下における電池のIV抵抗値を測定しても、この値から、−30℃のIV抵抗値を精度良く得る(換算式によって精度良く換算する)ことができない。
ここで、第2自己放電工程における放置開始電圧値(内部抵抗測定工程において電池内部抵抗の測定を開始するときの電池電圧値に一致する)と、25℃(電池温度)におけるIV抵抗値と−30℃(電池温度)におけるIV抵抗値との相関係数との関係を、図11に△印で示す。なお、上記相関係数の算出方法は、後述する。
図11に△印で示すように、第2自己放電工程における放置開始電圧値が3.8Vよりも高い場合、従って、電池100の内部抵抗(IV抵抗)の測定を開始するときの電池電圧値(以下、抵抗測定開始電圧値ともいう)が3.8Vよりも高い場合、25℃の内部抵抗値(IV抵抗値)と−30℃の内部抵抗値(IV抵抗値)との相関係数が小さくなる(相関が弱くなる)。
詳細には、抵抗測定開始電圧値が3.8V以下の場合(従って、第2自己放電工程における放置開始電圧値が3.8V以下である場合)は、相関係数が0.95以上であるのに対し、3.85Vとした場合は、相関係数が0.8まで低下する。従って、抵抗測定開始電圧値を3.8V以下とすれば(第2自己放電工程における放置開始電圧値が3.8V以下とすれば)、内部抵抗測定工程において、25℃の温度環境下で電池のIV抵抗値を測定することで、この測定値から、−30℃のIV抵抗値を精度良く得る(換算式によって精度良く換算する)ことができるといえる。
以上より、第2自己放電工程における放置開始電圧値は、3.4〜3.8Vの範囲内の値とするのが好ましいといえる。
なお、25℃(電池温度)におけるIV抵抗値と−30℃(電池温度)におけるIV抵抗値との相関係数は、次のようにして求めている。
具体的には、前述の10種類の電池100と同様に、電池の内部抵抗(IV抵抗)の測定を開始するときの電池電圧値を、3.3V〜3.85Vの範囲内で異ならせて、電池100について、25℃(電池温度)におけるIV抵抗値と−30℃(電池温度)におけるIV抵抗値とを測定する。詳細には、電池100を30個用意し、これらの電池100について、各々の抵抗測定開始電圧値に調整した後、ステップS7(内部抵抗測定工程)と同様に、25℃(電池温度)におけるIV抵抗値を測定し、さらに、−30℃(電池温度)におけるIV抵抗値も測定する。
その後、各々の抵抗測定開始電圧毎に、横軸(x軸)を25℃のIV抵抗値、縦軸(y軸)を−30℃のIV抵抗値とした座標平面上に、30個の電池100にかかる測定値(x,y)をそれぞれプロットする。これらのプロットデータを線形近似することで、抵抗測定開始電圧毎に、一次式(y=ax+b)を求める(この式は、25℃のIV抵抗値を−30℃のIV抵抗値に換算する換算式になる)。そして、公知の手法により、上記のプロットデータ及び一次式に基づいて、抵抗測定開始電圧毎に、25℃(電池温度)におけるIV抵抗値と−30℃(電池温度)におけるIV抵抗値との相関係数を算出する。
ところで、電池100の電圧値は、自身の温度変化に伴って変動する傾向がある。ところが、第2自己放電工程(ステップS10)において、環境温度(電池列200を放置する室温)を所定値(25℃)に設定して、電池列200を放置したとしても、電池100の位置の違いによって、電池温度が異なってしまうことがある。特に、電池100を量産する場合、一度に多数の電池列200を大きな室内に放置することになるため、電池100が放置される位置によって、電池温度の違いが大きくなる傾向にある。
このため、電池温度の違いによって電池電圧値が大きく異なるような場合には、同等の特性を有する電池100であっても、電池100が放置される位置の違いに因る電池温度の違いだけで、放置後の電池電圧値が大きく異なってしまう虞がある。そして、電池温度の違いに起因する電池電圧変化の影響で、自己放電に起因する電池電圧変化を精度良く測定できない虞がある。なお、第2自己放電工程において、放置期間中、全ての電池100の温度を所定値(25℃)に保つことができれば、上記のような問題は発生しないが、そのように電池温度を厳密に管理することは非常にコスト高になる。
ところが、図12に示す試験結果より、第2自己放電工程における放置開始電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値とすることで、電池温度の違いが電池電圧値に及ぼす影響を極めて小さくすることができることが判明した。すなわち、第2自己放電工程(ステップS10)において、電池列200を構成する電池100の電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値として、電池列200の放置を開始することで、電池100が放置される位置の違いによって電池温度が異なっているとしても、電池温度の違いが電池電圧値に及ぼす影響を極めて小さくすることができることが判明した。
ここで、図12に示す試験結果について説明する。
まず、実施例1の製造方法により製造した電池100を用意し、この電池100の温度を25℃にした状態で、電池電圧値を所定値(例えば、3.52V)に調整する。その後、電池の温度を20℃に変更し、20℃における電池電圧値を測定して、25℃における電池電圧値からの電池電圧値の変化量を算出する。これと同様に、電池温度を、15℃、10℃、30℃、35℃と変更して、それぞれの電池温度における電池電圧値を測定し、それぞれの電池温度について、25℃における電池電圧値からの変化量(mV)を算出する。
その後、電池100の温度を25℃にした状態で、電池電圧値を上記所定値とは異なる値(例えば、3.53V)に調整し、引き続き、上述のように電池温度を10℃〜35℃の範囲で変更し、それぞれの電池温度について、25℃における電池電圧値からの変化量(mV)を算出する。このようにして、電池温度を25℃にした状態で調整した、3.52〜3.805Vの範囲内の12種類の異なる電池電圧値を基準として、上述のように10℃〜35℃の範囲で変更したそれぞれの電池温度について、25℃における電池電圧値からの変化量(mV)を算出した。その結果を図12に示している。
なお、図12では、電池温度を10℃にしたときの電池電圧変化量(25℃の電池電圧値からの変化量)を○印、15℃にしたときの電池電圧変化量を△印、20℃にしたときの電池電圧変化量を□印、基準となる25℃の電池電圧を◆印、30℃にしたときの電池電圧変化量を*印、35℃にしたときの電池電圧変化量を+印で示している。
例えば、電池温度25℃における電池電圧値を3.705Vに調整した電池では、電池温度を20℃に変更すると、電池電圧値が約1.0mV低下した(電池電圧変化量が−1.0Vとなった)。また、電池温度を15℃に変更すると、25℃における電池電圧値から電池電圧値が約1.7mV低下した(電池電圧変化量が−1.7Vとなった)。また、電池温度を10℃に変更すると、25℃における電池電圧値から電池電圧値が約2.5mV低下した(電池電圧変化量が−2.5Vとなった)。また、電池温度を30℃に変更すると、25℃における電池電圧値から電池電圧値が約1.0mV上昇した(電池電圧変化量が1.0Vとなった)。また、電池温度を35℃に変更すると、25℃における電池電圧値から電池電圧値が約1.8mV上昇した(電池電圧変化量が1.8Vとなった)。
図12からわかるように、25℃における電池電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値とした場合、電池温度を10℃〜35℃の範囲で変更しても、電池電圧値は大きく変化しない。詳細には、電池電圧変化量は、最大で0.8mV程度であった。
一方、25℃における電池電圧値を3.6Vより高い値とした場合、電池温度を10℃〜35℃の範囲で変更すると、電池電圧値の変化量は大きくなる。詳細には、電池電圧変化量は、最大で−2.5mV程度になった。
以上の結果より、第2自己放電工程における放置開始電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値とすることで、電池温度の違いが電池電圧値に及ぼす影響を極めて小さくすることができるといえる。従って、第2自己放電工程における放置開始電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値とすることで、電池温度の違いに起因する電池電圧の相違を小さくして、自己放電に起因する電池電圧変化を精度良く測定することができるといえる。これにより、電池温度の影響が少ない、自己放電に起因した電池電圧差ΔV2(=V20−V21)を適切に得ることができるので、内部短絡が生じているか否かを精度良く判定することができる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態では、ステップS2(電池拘束工程)及びステップS8(拘束解除工程)を設けたが、これらの工程を設けることなく、リチウムイオン二次電池を製造するようにしても良い。すなわち、組み付け工程(ステップS1)において作製されたリチウムイオン二次電池100を押圧治具30,40で挟んで拘束状態にすることなく、ステップS3〜S7の処理を行うようにしても良い。
また、ステップS6(容量測定工程)では、電池100について、電池容量の一部(60%)を測定したが、電池容量の全部を測定するようにしても良い。具体的には、まず、リチウムイオン二次電池100を充電してSOC100%(電池電圧値が4.1V)の状態にし、その後、電池100を放電させて、電池電圧値が4.1V(SOC100%)から3.0V(SOC0%)にまで低下する間の放電電気量(これが電池容量に相当する)を測定する。この放電電気量(電池容量)が許容範囲から外れている電池は、不良品として取り除かれる(例えば、廃棄される)。
30,40 押圧治具
100 リチウムイオン二次電池(電池)
110 電極体
110b 第1平坦外面
110c 第2平坦外面
120 負極板
121 負極活物質層
122 対向部
127 負極活物質
128 負極集電板
130 正極板
131 正極活物質層
137 正極活物質
138 正極集電板
150 セパレータ
160 電解液
180 電池ケース
200 電池列

Claims (4)

  1. 互いに背向する一対の平坦外面を有する電極体と、LiPF 2 2 を含有する電解液とを、電池ケース内に収容した電池を作製する組み付け工程と、
    上記組み付け工程を終えた上記電池を初期充電する初期充電工程と、
    上記初期充電工程を終えた上記電池を、所定の温度で一定時間安置してエージングするエージング工程と、
    上記エージング工程を終えた上記電池を、所定期間放置することにより自己放電させる第1自己放電工程と、
    上記自己放電工程を終えた上記電池の電池容量の一部または全部を測定する容量測定工程と、
    上記容量測定工程を終えた上記電池の内部抵抗を測定する内部抵抗測定工程と、
    上記内部抵抗測定工程を終えた上記電池を複数用意し、これらの電池を一列または複数列に列置して1または複数列の電池列にすると共に、上記電池列を、その両端側から押圧治具で挟んで拘束状態にすることで、上記電池列をなす各々の上記電池について、上記電極体の上記一対の平坦外面が押圧された状態にする電池列拘束工程と、
    上記拘束状態の上記電池列を放置することにより、上記電池列をなす各々の上記電池を自己放電させる第2自己放電工程と、を備える
    リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    上記電極体は、正極活物質及び負極活物質を有し、
    上記正極活物質は、Li X MO 2 (Mは、Niである、または、主成分であるNiの他にAl,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Cu,Zn,Mg,Ga,Zr,Siの少なくともいずれかを含むものである、1.04≦X≦1.15)であり、
    上記負極活物質は、黒鉛と非晶質炭素とからなり、
    上記負極活物質の粒子のBET比表面積が、2.8〜5.2m 2 /gの範囲内であり、
    上記電解液中の上記LiPF 2 2 の濃度が、0.01〜0.076mol/Lの範囲内であり、
    上記第2自己放電工程は、
    上記電池列の放置を開始してから上記電池電圧値が上昇する場合は、上記電池電圧値の上昇期間が経過した後から規定期間、上記拘束状態の上記電池列を放置する一方
    上記電池列の放置を開始してから上記電池電圧値が上昇することなく低下する場合は、上記電池列の放置を開始してから上記規定期間、上記拘束状態の上記電池列を放置して、
    上記電池列をなす上記電池を自己放電させる工程であり、
    当該製造方法は、下記の(1)及び(2)の少なくともいずれかの条件を満たす
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
    (1)上記電池列拘束工程では、上記電池列をなす各々の上記電池について、上記電極体の上記一対の平坦外面にかかる圧力が650〜8150kPaの範囲内の値となるように、上記電池列を上記押圧治具で挟んで拘束状態にする。
    (2)上記第2自己放電工程では、上記電池列の放置を開始するときの電池電圧値である放置開始電圧値を、3.4〜3.8Vの範囲内の値とする。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記(2)の条件について、前記放置開始電圧値を3.52〜3.6Vの範囲内の値とする
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記(1)の条件について、前記電池列をなす各々の前記電池について、前記電極体の前記一対の平坦外面にかかる圧力が5700〜8150kPaの範囲内の値となるように、前記電池列を前記押圧治具で挟んで拘束状態にする
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記組み付け工程の後、前記初期充電工程の前に、上記組み付け工程を終えた前記電池を、押圧治具で挟んで拘束状態にする電池拘束工程を備え、
    前記内部抵抗測定工程の後、前記電池列拘束工程の前に、上記電池拘束工程において行った上記電池の拘束を解除する拘束解除工程を備え、
    前記初期充電工程、前記エージング工程、前記第1自己放電工程、前記容量測定工程、及び上記内部抵抗測定工程では、いずれも、前記電池は上記拘束状態である
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
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