JP7201647B2 - 二次電池の劣化推定方法、二次電池の劣化推定装置 - Google Patents

二次電池の劣化推定方法、二次電池の劣化推定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7201647B2
JP7201647B2 JP2020145498A JP2020145498A JP7201647B2 JP 7201647 B2 JP7201647 B2 JP 7201647B2 JP 2020145498 A JP2020145498 A JP 2020145498A JP 2020145498 A JP2020145498 A JP 2020145498A JP 7201647 B2 JP7201647 B2 JP 7201647B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
secondary battery
side reaction
deterioration
current value
reaction current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020145498A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022040679A (ja
Inventor
祐貴 高橋
弘貴 西
恒良 中嶋
裕也 稲垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Primearth EV Energy Co Ltd
Original Assignee
Primearth EV Energy Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Primearth EV Energy Co Ltd filed Critical Primearth EV Energy Co Ltd
Priority to JP2020145498A priority Critical patent/JP7201647B2/ja
Publication of JP2022040679A publication Critical patent/JP2022040679A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7201647B2 publication Critical patent/JP7201647B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Charge And Discharge Circuits For Batteries Or The Like (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Description

本発明は、二次電池の劣化推定方法、二次電池の劣化推定装置に係り、詳しくは、製造情報に基づいてより正確に二次電池の劣化を推定する二次電池の劣化推定方法、二次電池の劣化推定装置に関する。
一般に、車両用等のリチウムイオン二次電池等の二次電池は、大電流での充放電が繰り返され、苛酷な条件において使用されるため、副反応電流による被膜の形成により、想定した寿命を全うできないような場合がある。このような場合、その劣化を正確に推定する必要があるが、劣化の原因には様々な要因がある。
そこで、特許文献1に開示された電池モジュール監視装置では、出荷前における、モジュール電池等の試験または検査の結果を示す製造情報、出荷後におけるモジュール電池等を構成する材料の試験または検査の結果を示す稼働情報を、モジュール電池等ごとに記憶する電池性能管理記憶部を備える。また、製造情報と正常稼動モデル情報とを電池性能管理記憶部に記憶させる製造情報収集処理部を備える。さらに、モジュール電池の充放電時に、モジュール電池が異常であると判定したモジュール電池の稼動情報を、電池性能管理記憶部に記憶させる稼動情報収集処理部を備える。また、稼動情報収集処理部が異常であると判定したモジュール電池の稼動情報とが類似していると判定した場合に、両者が類似している旨の診断結果を出力する不良判定処理部を備える。そして、診断結果を充電装置に送信し、充電装置から稼動情報を受信する通信部を備える。
このような電池モジュール監視装置によれば、十分な性能を発揮できない電池は、その製造情報や稼働情報を参照して正確に不良な電池を判定することができる。
特開2012-68075号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、稼動情報収集処理部が異常であると判定したモジュール電池の稼動情報と類似していると判定した場合にその電池が異常であると判断しているが、積極的に製造情報や稼働情報を利用して二次電池の劣化を推定することで、その二次電池の良否を判定するものではなかった。
本発明が解決しようとする課題は、二次電池の良否をより正確に判定することである。
前記課題を解決するため、本発明の二次電池の劣化推定方法では、二次電池の副反応電流値に影響を与える二次電池の製造工程における複数の製造条件について、それぞれの製造条件と、該製造条件が副反応電流値に与える相関関係を予め測定して補正情報として記録する補正情報取得のステップと、二次電池の製造工程において、前記製造条件を製造情報として取得する製造情報取得のステップと、単位時間における使用においてセル電圧と環境温度と、前記製造情報に基づいて、その単位時間の副反応電流値を推定する副反応電流値推定のステップと、前記副反応電流値推定のステップで推定した単位時間における副反応売内を積算する副反応電流値積算のステップと、積算された前記副反応電流値に基づいて前記二次電池の劣化度を推定する劣化推定のステップとを備えたことを特徴とする。
この場合、推定された前記二次電池の劣化度と、予め設定された目標値と比較して当該二次電池の良否を判定する良否判定のステップとをさらに備えてもよい。
さらに、前記良否判定のステップにおいて、前記劣化度が前記目標値を下回った場合に、劣化量の少ないSOC使用領域を使用するように電池を制御してもよい。
また、予め決められた保存温度と保存時間の条件でエージングするエージングのステップと、前記エージングの前後で電池満容量の差を測定するステップと、前記エージングの前後で自己放電容量を測定するステップと、前記電池満容量の差と自己放電容量とから、正極及び負極の副反応電流を算出するステップとを備え、二次電池の劣化特性を取得してもよい。
また、前記副反応電流値推定のステップは、積算された正極及び負極の副反応電流値に基づいて、正極・負極の容量-開放電位の関係において、正極及び負極の容量ずれ量を参照して正極及び負極の開放電位を求めるステップを備えてもよい。
前記製造条件は、活物質の特性、水分量、温度のいずれかの条件を含むことが好適に例示できる。
なお、前記二次電池が、リチウムイオン二次電池において好適に実施することができる。
本発明の二次電池の劣化推定装置では、コンピュータを備えた二次電池の劣化推定装置であって、前記コンピュータは、二次電池の製造工程において、二次電池の副反応電流値に影響を与える二次電池の製造工程における複数の製造条件について、それぞれの製造条件と、該製造条件が副反応電流値に与える相関関係を予め測定して補正情報と、前記製造条件を製造情報として、を記憶した記憶手段を備え、単位時間における使用においてセル電圧と環境温度と、前記製造情報に基づいて、その単位時間の副反応電流値を推定する副反応電流値推定のステップと、前記副反応電流値推定のステップで推定した単位時間における副反応売内を積算する副反応電流値積算のステップと、積算された前記副反応電流値に基づいて前記二次電池の劣化度を推定する劣化推定のステップとを実行することを特徴とする。
この場合、推定された前記二次電池の劣化度と、予め設定された目標値と比較して当該二次電池の良否を判定する良否判定のステップとをさらに実行してもよい。
さらに、前記良否判定のステップにおいて、前記劣化度が前記目標値を下回った場合に、劣化量の少ないSOC使用領域を使用するように電池の充電を制御する充電制御のステップをさらに実行してもよい。
本発明の二次電池の劣化推定方法、二次電池の劣化推定装置によれば、副反応電流値に基づいて、正確に劣化を推定できる。
リチウムイオン二次電池の構造の一例を示す模式図。 本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を搭載する車両の全体構成を概略的に示す模式図。 活物質の比表面積に関する製造情報の補正マップの一例。 活物質の質量に関する製造情報の補正マップの一例。 水分に関する製造情報の補正マップの一例。 温度に関する製造情報の補正マップの一例。 本実施形態のリチウムイオン二次電池1の製造工程の一例を示すフローチャート。 本実施形態のリチウムイオン二次電池の劣化推定方法のフローチャート。 リチウムイオン二次電池の劣化特性取得のため装置の構成を示すブロック図。 劣化特性取得の手順を示すフローチャート。 副反応電流値推定の手順を示すフローチャート。 正極電位V1PE及び負極電位V1NEを推定するための正極・負極の容量-OCP特性を示すグラフ。 負極副反応電流値iNEの算出式。 正極副反応電流値iPEの算出式。 負極副反応電流値iNEを求めるターフェル式。 製極副反応電流値iPEを求めるターフェル式。 被膜形成量と副反応電流値の関係を示す式。
図1~17を参照して、本発明の二次電池の劣化推定方法、二次電池の劣化推定装置を、車載のリチウムイオン二次電池1の劣化推定装置による劣化推定方法の一実施形態を例に説明する。
<実施形態の概略>
まず、最初に本発明の実施形態の概略について説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、図1に示すようなセル電池として製造される。図7に示すリチウムイオン二次電池1の製造工程において、電池の材料が納入され(S1)、電池要素がそれぞれ形成される源泉工程(S2)ののち、組立工程(S3)で組み立てられる。組み立てられたリチウムイオン二次電池は、活性化工程における初充電(S7)後に、一定の保存温度T・保存時間ATの条件でエージング工程(S9)が行われ、終了後冷却され、セル電池としてリチウムイオン二次電池1が完成する。
このような製造工程において、リチウムイオン二次電池1の電極の材料や構成、乾燥状態、温度条件など副反応電流に影響を及ぼす製造条件PCを製造情報PIとして予め収集しメモリ102に記憶しておく。この製造情報PIは、製造後に追跡して検索が可能な情報としてトレーサビリティ情報(traceability information)と呼ばれることがある。
一方、予め実験により製造条件PCと副反応電流との相関関係が関係づけられた補正マップMP(図3~6参照)を備える。
図2に示す本実施形態の車両10は、リチウムイオン二次電池1の劣化推定方法を実施する劣化推定装置11を備える。劣化推定装置11は、制御装置としてのコンピュータとして構成されている。劣化推定装置11は、予め取得した対象となるリチウムイオン二次電池1を一定の電圧・温度・時間の条件で保存して、副反応電流値や容量低下を測定して劣化特性として取得している。
車両10の運用が開始されると、劣化推定装置11は、劣化特性読込(S101)、製造情報読込(S102)、補正情報読込(S103)、電池の電圧VB・温度VTを読み込んで(S104)、これらの情報に基づいて、ターフェル式などを用いて副反応電流値を正確に予測する(S105)。このような予測に基づいて、期待される電池容量の劣化の閾値と予測された電池容量の劣化の推定値を比較して(S106)、当該リチウムイオン二次電池1の劣化を判定する。劣化推定装置11は、この判定に基づいてその後の劣化を抑制するため、充電において適切なSOC領域を使用するなどの制御を行う(S108)。
以下、本実施形態の劣化推定装置11について、詳細に説明する。
<リチウムイオン二次電池1>
図1は、本実施形態のリチウムイオン二次電池1の構造の一例を示す模式図である。リチウムイオン二次電池1は、セル電池を複数スタックして電池パックとし、電気自動車やハイブリッド自動車の車載電源として用いる。
以下、このようなリチウムイオン二次電池1の構成を説明する。正極3及び負極4はそれぞれシート状に形成され、セパレータ5を挟み込む状態で積層される。この積層体を巻回することにより、その径方向において、正負の電極がセパレータ5により絶縁された状態で交互に並ぶ電極体2が形成される。電極体2は、その巻回された正極3、負極4、及びセパレータ5を径方向外側から押圧することで、扁平した外形を有するものとなっている。そして、リチウムイオン二次電池1は、このような電極体2を、電解質となる非水電解液や非水電解質ポリマー等とともに、そのセル電池の外殻を構成する電池ケース12内に収容する。
正極3及び負極4は、それぞれ、例えば、シート状の外形を有した正極集電体13及び負極集電体14に対し、活物質を含んだペーストが塗工されて整形、乾燥されることで形成される。具体的には、正極集電体13には、例えば、アルミニウム箔が用いられ、正極活物質には、リチウム遷移金属酸化物が用いられる。また、負極集電体14には、例えば、銅箔が用いられ、負極活物質には、グラファイトなどの炭素系材料が用いられる。十分に乾燥されたのちに非水電解液が充填され密封された電池ケース12には、その外部に突出する正極端子15及び負極端子16が設けられている。そして、リチウムイオン二次電池1は、これらの正極端子15及び負極端子16に対して、それぞれ、その対応する正極集電体13及び負極集電体14が電気的に接続される構成となっている。
<リチウムイオン二次電池1の製造方法>
ここで、本実施形態のリチウムイオン二次電池1の製造方法について説明する。図7はリチウムイオン二次電池1の製造方法の手順を示すフローチャートである。
<材料の納入(S1)>
リチウムイオン二次電池1の製造に当たり、必要な材料を納入する(S1)。電極体2を構成する正極3、負極4、セパレータ5、および電解液の材料は、従来公知の各種材料を用いることができる。これらの材料の一例として、正極3の活物質には、コバルト酸リチウムまたはマンガン酸リチウムが用いられる。正極集電体13にはアルミニウム箔が用いられる。負極4の活物質にはカーボン(グラファイト)が用いられる。負極集電体14には銅箔が用いられる。その他、電極の合材を形成するペーストの導電材やバインダなどの原料も納入される。セパレータ5にはポリオレフィンのシートが用いられる。電解液は、有機溶媒と、リチウムイオンと、添加剤とを含む。また、電池の金属製のケース12も納入される。その他、端子なども納入される。
この材料の納入に当たっては原料の特性が検査される。例えば、負極4の活物質であるカーボン(グラファイト)の物性が検査される。例えばBET法(Brunauer-Emmett-Teller法)により比表面積が測定される。また、正極3の活物質についても、同様にBET法により比表面積が測定される。これらの活物質の特性として、比表面積[cm/g]が製造情報PIBETとして記録される。
<源泉工程(S2)>
源泉工程(S2)は、リチウムイオン二次電池の要素である正極3、負極4等を製造する工程である。
例えば、正極3では、まず正極活物質に導電材やバインダなどが添加され、混錬されてペースト状にされる。次に正極集電体13となるアルミニウム箔のシートに、所定の範囲にペーストが塗工される。ペーストは、ドクターブレードなどで均一の厚さとされ、設計上の目付[g/cm]に塗工される。そして、乾燥され、プレスにより均一の厚みとされたのちに、所定の寸法にカットされる。この場合、ペーストを塗工する範囲や、目付にムラが生じ、その塗工面積や合材層の厚みに設計値に対してばらつきができる場合がある。そこで、正極3の製造に当たっては、この目付[g/cm]と電極面積[cm]が測定され、製造条件として記憶される。
これらは、目付[g/cm]×電極面積[cm]×ペースト中の活物質の割合の大きさを掛け合わせることで、正極3における活物質の質量[g]の合計に関する製造情報PIACTとして記録される。
源泉工程での正極3、負極4の製造においては、正極集電体13、負極集電体14に活物質を含むペーストを塗工し、熱風乾燥等により加熱乾燥を行って、水分が除去されるが、それでも電極体内に水分が残存する。そしてこの残存した水分量[g]が製造情報PIAQAとして記録される。
また本実施形態では行っていないが、セパレータ5の厚さ[mm]や、電解液の濃度や抵抗などを製造情報PIとして計測してもよい。
<組立工程(S3)>
組立工程(S3)は、源泉工程(S2)で製造されたリチウムイオン二次電池1の電池要素をセル電池として組み立てる工程である。
ケース12に、シート状の正極3、負極4、セパレータ5を積層し巻回して電極体2を成形する。成形した電極体2は整形されてケース12に挿入される。正極3の正極集電体13がケース外部の正極端子15と電気的に接続される。同様に、負極4の負極集電体14がケース12外部の負極端子16と電気的に接続される。
<乾燥工程(S4)>
組立工程(S3)で電極体2の収容が完了したリチウムイオン二次電池1は、電解液を充填する前に、ケース12内に残存した水分を排除する乾燥工程(S4)が行われる。基本的には露点管理がなされたドライルームで、定格露点温度の低いエアドライヤで、乾燥した空気を循環させる。この乾燥の条件として、使用したエアドライヤの定格露点温度や、乾燥時間などが製造情報PIAQAとして記録される。
<電解液充填(S5)>
乾燥工程(S4)を経て、乾燥した電池の内部に電解液が充填される(S5)。
<封止(S6)>
乾燥工程(S4)が終了し、電解液が充填された(S5)電池ケース12に蓋をして、溶接される。
以上で、リチウムイオン二次電池1の物理的な組み立ては完了する。
<初充電(S7)>
ここからは、リチウムイオン二次電池1のコンディショニングと呼ばれる手順で、その主な目的は、負極4の表面にSEI被膜を形成することにより電解液の分解を抑制することにある。したがって、リチウムイオン二次電池1の組み立て後は、通常初充電(S7)による活性化工程が行われる。
<エージング工程(S8)>
初充電(S7)で充電されたリチウムイオン二次電池1は、一定時間、例えば1日、一定の温度、例えば70°Cの状態で保存されるエージング工程(S9)が行われる。この間に、SEI被膜が形成される。
<冷却(S9)>
エージング工程(S8)が終了したら、必要以上に電池を高温状態に晒さないように、冷却されて常温に戻される。
以上で、セル電池であるリチウムイオン二次電池1が完成する。完成したリチウムイオン二次電池1は、組み立てられて電池パックとして車両10に搭載される。
<製造情報PIと、これに基づいた副反応電流値予測における補正について>
<活物質の比表面積>
副反応電流の大きさは、種々の要素により変化する。例えば活物質の比表面積[cm/g]が大きければ、同じ活物質の質量でも反応する面積が大きくなり、それに応じて副反応電流[A]も大きくなる。そこで、この比表面積は、例えばBET法(Brunauer-Emmett-Teller法)により測定される。そして、この活物質の特性として比表面積[cm/g]が製造情報PIBETとして記録される。
<活物質の質量>
また、電極に塗布されたペーストの量を示す目付[g/cm]が大きければ、それだけ活物質の質量も多いため副反応電流[A]が大きくなる。この目付[g/cm]も製造条件として記録される。
同様に、電極面積[cm]、つまり電極における合材層の面積が大きくなれば、それだけ活物質の量も多いため副反応電流[A]が大きくなる。この電極面積[cm]も製造条件として記録される。
そして、目付[g/cm]×電極面積[cm]×ペースト中の活物質の割合の大きさが、電極における活物質の質量[g]の合計に関する製造情報PIACTとして記録される。
<残存水分>
また、非水電解質はリチウムイオン二次電池1には不可欠なものであり、水分が完全に除去されることが望ましい。残存水分が存在すると、正負極上で水が反応し、被膜が形成され、副反応電流値が大きくなる。そのため、電池要素が製造される源泉工程(S2)における正負極の製造においては、集電体に活物質を含むペーストを塗工し、熱風乾燥や、乾燥炉においての加熱乾燥や、真空乾燥などを経て、水分が除去されるが、このときの電極体内に残存した水分量が製造条件として記録される。
また、組立工程(S3)では、セパレータとともに巻回された電極体を電池ケース12に収容した後、乾燥工程(S4)が行われる。この乾燥工程(S4)での、水分の除去状態は、その後のリチウムイオン二次電池1の副反応電流の大きさに影響する、そこで、この乾燥工程の加熱温度、時間などの乾燥条件が、製造条件として記録される。
また、作業環境としての露点温度が記録される。ここで「露点」とは、一般に露点温度をいい、気体を冷却していくとき結露、すなわち凝結が起こる温度をいう。自然乾燥の場合は、露点が乾燥度を左右するので、製造条件として記録される。また、空圧機器のエアドライヤを用いる場合は、その性能を表す指標としても用いられるデータをいう。エアドライヤでは定格露点温度の低いものの方が、より乾燥した空気を作れるため、これを乾燥の条件として、製造条件として記録される。真空乾燥炉においての加熱乾燥の場合は、乾燥炉の温度や真空度が製造条件として記録される。
本実施形態では、このような電極体内水分量、乾燥条件、露点などの製造条件を統合して、水分量に関する製造情報PIAQAとして記録される。
<温度>
リチウムイオン二次電池1の製造工程については、工程環境温度[°C]の影響を受ける。組立工程完了直後の活性化工程におけるエージング工程の初充電の開始時点では、正負極におけるSEI被膜が形成されていない状態である。リチウムイオン二次電池1の初充電にて正負極にSEI被膜が形成されるが、その経過においては、温度が上昇するとアレニウスの法則から副反応電流も大きくなりSEI被膜の被膜形成が進行し、その結果副反応電流値[A]が早く低下する。このような工程環境温度[°C]や、エージング時の温度[°C]は、製造条件として記録され、温度に関する製造情報PITEPとして記録される。
<その他の製造情報>
なお、本実施形態では、製造情報として上記の3つの要素を例示したが、もちろんこれらに限定されない。すなわち、副反応電流値の予測に寄与する数値化が可能なものは、いかなる要素であっても、製造条件や製造情報として捉えることができる。
<補正情報>
上述した通り、製造条件が異なると、副反応電流値の大きさも製造条件に依存して変化する。副反応電流の大きさは、その後のリチウムイオン二次電池1の劣化に影響を与える。
そこで本実施形態では、予め、製造情報と副反応電流値の相関関係のマップを作製する。このマップを「補正マップMP」として、リチウムイオン二次電池1の副反応電流値[A]の大きさを予測し、これに基づいてセル電圧VBとセル温度TBとから、副反応電流値[A]の積算値[Ah]を算出する。
<活物質の特性としての比表面積に関する補正>
図3は、活物質の比表面積に関する製造情報の補正マップMPBETの一例を示す。比表面積[cm/g]の大きさが製造情報PIBETとして記録されている。ここで得た活物質の特性として比表面積[cm/g]と、このリチウムイオン二次電池1の設計値である活物質の比表面積[cm/g]が基準値としてプロットされ、さらに比表面積[cm/g]が増減したときの副反応電流値[A]との関係を実験によりプロットして補正マップを作成した。なお、例えば、比表面積に誤差が少ないような場合では、これを固定値として扱ってもよい。
このように、そのリチウムイオン二次電池1の製造時の活物質の特性である比表面積[cm/g]の製造情報PIBETにより、どの程度副反応電流値[A]が増減するかの係数を決定することができる。すなわち、設計上の副反応電流値[A]に、この係数をかけることで、補正した副反応電流値を予測することができる。例えば、活物質の比表面積に関する製造情報PIBETにおける副反応電流値がA1[A]のときは、基準値の副反応電流値A0[A]で除して、A1/A0により、補正係数を求める。そして、基準となる副反応電流値にこの補正係数を乗じて予測値を導き出す。
<活物質の質量に関する補正>
図4は、活物質の質量に関する製造情報の補正マップMPACTの一例を示す。質量[g]の大きさが製造情報PIACTとして記録されている。ここで得た活物質の質量[g]と、このリチウムイオン二次電池1の設計値である活物質の質量[g]が基準値としてプロットされ、さらに質量[g]が増減したときの副反応電流値[A]との関係を実験によりプロットして補正マップを作成した。なお、本実施形態では、質量[g]は、目付[g/cm]×電極面積[cm]×ペースト中の活物質の割合で算出されるが、この3つのうちのいずれか、又はすべてに誤差が少ないような場合では、これを固定値として扱ってもよい。
このように、そのリチウムイオン二次電池1の製造時の活物質の質量[g]の製造情報PIACTにより、どの程度副反応電流値[A]が増減するかの係数を決定することができる。すなわち、設計上の副反応電流値[A]を、この係数をかけることで、補正した副反応電流値を予測することができる。例えば、活物質の質量に関する製造情報PIACTにおける副反応電流値がA1[A]のときは、基準値の副反応電流値A0[A]で除して、A1/A0により、補正係数を求める。そして、基準となる副反応電流値にこの補正係数を乗じて予測値を導き出す。
<水分量に関する補正>
図5は、水分量に関する製造情報の補正マップの一例を示す。リチウムイオン二次電池1の製造工程では、電極体内水分量、乾燥条件、露点などの製造条件が記憶され、これらが統合されて残存する水分量に関する製造情報PIAQAとして記録される。ここで得た水分量と、このリチウムイオン二次電池1の設計値である水分量と、これが増減したときの副反応電流値[A]との関係を実験によりプロットして補正マップを作成した。
このように、そのリチウムイオン二次電池1の製造時の水分量[g]の製造情報により、どの程度副反応電流値[A]が増減するかの補正係数を決定することができる。すなわち、設計上の副反応電流値[A]に、この補正係数をかけることで、補正した副反応電流値を予測することができる。本実施形態では、活物質に関する補正係数と水分量に関する補正係数を乗じることで、活物質と水分量の双方を織り込んだ副反応電流値の予測値を算出することができる。
<温度に関する補正>
図6は、温度に関する製造情報PITEPの補正マップの一例を示す。リチウムイオン二次電池1の製造工程については、工程環境温度[°C]の影響を受ける。特に活性化工程における初充電の開始時点では、正負極におけるSEI被膜が形成されていない状態である。正負極におけるSEI被膜の形成後においては、温度が上昇するとアレニウスの法則からSEI被膜の被膜形成が早く進行し、その結果副反応電流値[A]が早く低下する。このような工程環境温度[°C]や、エージング時の温度[°C]は、製造条件として記録され、温度に関する製造情報PITEPとして記録される。例えばここで得たエージング時の温度[°C]と、このリチウムイオン二次電池1の設計値でエージング時の温度[°C]と、これが増減したときの副反応電流値[A]との関係を実験によりプロットして補正マップを作成した。
したがって、そのリチウムイオン二次電池1の製造時のエージング時の温度[°C]の製造情報により、どの程度副反応電流値[A]が増減するかの補正係数を決定することができる。すなわち、設計上の副反応電流値[A]を、この補正係数をかけることで、補正した副反応電流値を予測することができる。この補正係数も活物質に関する補正係数や水分量に関する補正係数と同様に、乗じることで副反応電流値の予測に重畳的に反映させることができる。
(実施形態の構成)
<リチウムイオン二次電池1が搭載される車両10の全体構成>
次に、本実施形態のリチウムイオン二次電池1が搭載される車両10について、簡単に説明する。
図2は、実施形態に係るリチウムイオン二次電池1を搭載する車両10の全体構成を概略的に示す模式図である。車両10は、ハイブリッド車両である。車両10は、リチウムイオン二次電池1の劣化推定装置11と、PCU30と、モータジェネレータ41,42と、エンジン50と、動力分割装置60と、駆動軸70と、駆動輪80とを備える。
<劣化推定装置11>
リチウムイオン二次電池の劣化推定装置11は、リチウムイオン二次電池1を含む。このリチウムイオン二次電池1の各セル電池のセル電圧VB、セル電流IB、セル温度TBを常時監視する監視ユニット20を備える。充放電制御などの各種プログラムやこれらのセル電圧VB・セル電流IB・セル温度TBを記憶するメモリ102、及びこれらを処理する制御装置としてのCPU101を備えたECU100とを備える。
<ECU(電子制御装置:Electronic Control Unit)100>
メモリ102、CPU101を備えたECU100は、リチウムイオン二次電池の充放電の制御信号をPCU30に送信し充放電の制御装置として機能する。
<PCU(パワーコントロールユニット:Power Control Unit)30>
PCU30は、ECU100からの制御信号に応じて、リチウムイオン二次電池1に対して、充電若しくは放電を制御する。
<モータジェネレータ42>
モータジェネレータ42は、主として電動機として動作し、急加速時にはリチウムイオン二次電池1から供給された大電流で駆動輪80を駆動する。一方、車両の制動時や下り斜面では、モータジェネレータ42は、発電機として動作して大電流の回生発電を行ない、リチウムイオン二次電池1に大電流を供給する。
<リチウムイオン二次電池の監視ユニット20>
監視ユニット20は、電圧センサ21と、電流センサ22と、温度センサ23とを含む。電圧センサ21は、セル電圧VBを検出する。電流センサ22は、リチウムイオン二次電池1に入出力されるセル電流IBを検出する。温度センサ23は、ブロック毎のセル温度TBを検出する。各センサは、その検出結果を示す信号をECU100に出力する。これらのセル電圧VB、セル電流IBは、このリチウムイオン二次電池1の履歴として、一定時間毎にセル温度TB、セル電圧VBとして記憶される。
<セル電圧VB・セル電流IB・セル温度TB>
本実施形態では、リチウムイオン二次電池1が車両10に搭載された使用開始の時間から、その運用時には、一定間隔(例えば、0.1秒)毎に、セル電圧VB・セル電流IB・セル温度TBの測定及び記録、劣化の判定が行われている。
(実施形態の作用)
<二次電池の良否判定方法の手順>
図8は、本実施形態のリチウムイオン二次電池の劣化推定方法のフローチャートである。以下、上述した本実施形態のリチウムイオン二次電池1、その劣化推定装置11による劣化推定方法について、このフローチャートに従って、その手順について説明する。
前提として、リチウムイオン二次電池1が、車両10に搭載されるときに、このリチウムイオン二次電池1の劣化特性・製造情報PI・補正情報CIが、劣化推定装置11のECU100のメモリ102に記憶される。
<電池劣化特性取得>(S101)>
車両の運用が開始されると、劣化推定装置11のECU100のメモリ102に記憶されたこのリチウムイオン二次電池1の劣化特性のデータを、CPU101に読み込む(S101)。
劣化特性は、後に詳述するが、同じタイプのリチウムイオン二次電池1の量産前に事前に取得されるデータである。「劣化特性」とは、劣化推定の対象となるリチウムイオン二次電池1の基本的な特性である。言い換えると、所定電圧・温度・時間の保存条件において、正極と負極のそれぞれに生じる副反応電流値[A]に基づいて、そのリチウムイオン二次電池1固有の電池容量の劣化の速度を導き出すためのものである。したがって、一定期間のリチウムイオン二次電池1のセル電圧VBやセル温度TBがわかれば、ここからその期間の電池容量の劣化を導き出すことができる。なお、そのリチウムイオン二次電池1固有とは、個々の電池からとったデータでもよいし、同じ設計の電池や生産ロットなどでは、共通して利用できるデータである。本実施形態の特徴は、ここで得られた副反応電流値の特性を基に、製造情報PIを参照して補正をすることで、対象となるリチウムイオン二次電池1の副反応電流値を正確に予測するものである。
<リチウムイオン二次電池の劣化特性取得の装置200の構成>
図9は、リチウムイオン二次電池1の劣化特性取得のため装置200の構成を示すブロック図である。本実施形態のリチウムイオン二次電池1の劣化特性取得の装置200の構成は、周知の充放電装置203、セル電圧測定器204、セル電流測定器205、温度計206、保温装置207を備える。また、これらを制御するインタフェースを備えた周知のコンピュータからなる制御装置208を備える。制御装置208は、CPU281とメモリ282を備える。メモリ282は、RAM、ROMを備える。
これらは、リチウムイオン二次電池1の劣化特性取得の装置の構成として、リチウムイオン二次電池1を特定の条件で保存する保存手段として機能する。また保存したリチウムイオン二次電池1の保存前後の電池満容量の容量低下量Qlossを測定する電池容量低下量測定手段として機能する。また、保存したリチウムイオン二次電池1の保存前後の自己放電容量QSDを測定する自己放電量測定手段として機能する。
<劣化特性取得のフローチャート>
図10は、劣化特性取得の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに沿ってリチウムイオン二次電池1の副反応電流値、すなわち劣化特性の取得の手順について説明する。
ここでまず、このフローチャートの説明に先立って、説明で用いる用語について予め説明する。
「T1[°C]」は、任意の保存温度(例えば50°C)である。
「t1[h]」は、任意の保存期間(例えば24時間)である。
「Vdat1[V]」は、「基準電圧」で、基準電圧は下限電圧と上限電圧の間で任意に設定した電圧である。「下限電圧」とは、この実施形態では、セルSOC(State of Charge)0%の完全放電状態のセル電圧VBで、例えば、3.0[V]である。「上限電圧」とは、セルSOC100%の満充電の電圧VBで、例えば、4.1{V}である。「基準電圧Vdat1[V]」は、本実施形態では、例えば3.8[V]に設定されている。
「Q1[Ah]」は、セル電圧VBを下限電圧3.0[V]から上限電圧(満充電のセル電圧VB=4.1[V](ここでは、セルSOC100%の電圧))の電池容量を測定した保存前電池満容量である。
「Q2[Ah]」下限電圧3.0[V]から基準電圧Vdat=3.8[V]で測定した保存前の区間容量である。
「Q3[Ah]」は、基準電圧Vdat=3.8[V]から保存を経て下限電圧3.0[V]まで放電した保存後の残存容量である。
「Q4[Ah]」は、下限電圧3.0[V]から、上限電圧4.1[V]で測定した保存後電池満容量である。
「QSD[Ah]」は、保存前の区間容量Q2と保存後の残存容量Q3の差から求めた保存期間中の自己放電容量である。
「Qloss[Ah]」は、保存前電池満容量Q1から保存後電池満容量の差から求めた容量低下量である。
「iNE0[A]」は、自己放電容量QSD[Ah]÷保存時間t1[h]で求めた負極の副反応電流値(速度)である。
「iPE0[A]」は、負極の副反応電流(速度)iNE0から、容量低下量Qloss[Ah]÷保存時間t1[h]の商との差から求めた正極の副反応電流値(速度)である。
本実施形態では以上のように規定する。
<劣化特性取得のフローチャートの手順>
次に、これらの定義を用いて、リチウムイオン二次電池1の劣化特性取得の手順を図10のフローチャートに沿って説明する。
まず、劣化特性取得の処理を開始すると(START)、完全放電時のセルSOC0%の下限電圧3.0[V]からセルSOC100%の上限電圧4.1[V]の満充電まで充電して保存前の電池満容量Q1[Ah]を測定する(S201)。
次に、下限電圧3.0[V]から基準電圧Vdat=3.8[V]までの電圧区間において充電することで保存前の区間容量Q2[Ah]を測定する(S202)。
続いて、基準電圧Vdat=3.8[V]に電圧を調整した後(S203)、任意の温度T1(例えば50°C)で任意の時間t1(例えば24時間)保存する(S204)。この手順が「保存のステップ」に相当する。
保存前に基準電圧Vdat=3.8[V]に電圧を調整した後、保存を経た状態のリチウムイオン二次電池1を下限電圧3.0[V]まで放電し、保存後の残存容量Q3[Ah]を測定する(S205)。続いて、下限電圧3.0[V]から、上限電圧4.1[V]までの満充電を行い、保存後の電池満容量Q4[Ah]を測定する(S206)。
そして、保存前の区間容量Q2[Ah]と、保存後の残存容量Q3[Ah]との差を求める。保存前の区間容量Q2に対し、保存後の残存容量Q3は、自己放電による容量の低下がある。下限電圧3.0[V]から基準電圧Vdat=3.8[V]まで充電した容量を、保存を経て、下限電圧3.0[V]まで放電したときの残存容量を求める。このことで保存時間t1の自己放電量を求めることができる。この手順により、保存時間t1に減少した電気容量から自己放電容量QSDを算出する(S207)。
次に、自己放電容量QSD[Ah]を保存時間t1[h]で除して、被膜の成長速度、つまり劣化速度に相当する負極の副反応電流値(被膜形成電流)iNE0[A]を算出する(S208)。
また、容量低下量Qloss[Ah]を、保存前の電池満容量Q1[Ah]と保存後の電池満容量Q4[Ah]との差から算出する(S209)。
最後に、負極の副反応電流値iNE0[A]と、容量低下量Qlossを保存時間t1[h]で除した商[A]との差から、正極の副反応電流値iPE0[A]を算出する(S210)。
以上で、本実施形態の所定の保存区間におけるリチウムイオン二次電池の負極の副反応電流値iNE0[A]と正極の副反応電流値iPE0[A]を測定する劣化特性取得の手順が終了する(END)。
このような手順により、保存を開始する基準電圧Vdat[V]、保存温度T1[°C]、保存時間t1[h]の条件での正極の副反応電流値iPE0[A]、負極の副反応電流値iNE0[A]、自己放電量[Ah]、電池容量の低下量[Ah]とが測定できる。すなわち、このリチウムイオン二次電池1の劣化特性が判明する。すなわち、「劣化特性」とは、セル電圧VBとセル温度TBとから副反応電流値、すなわち劣化を判定する基準となるデータである。
以上が、リチウムイオン二次電池1の劣化特性取得の手順である。
このように取得した劣化特性は、判定対象となるリチウムイオン二次電池1の設計上の活物質の比表面積[cm/g]や、活物質質量[g]、残存水分[g]や、温度[°C]の補正情報により補正される元データとなるものである。
これらのデータは、前提としてこのリチウムイオン二次電池1が車載されるタイミングで、劣化推定装置11のECU100のメモリ102に記憶されており、この手順では、これらのデータを処理のため読み出して、CPU101に読み込む(S101)。
<製造情報読込(S102)>
図8のフローチャートに戻って説明を続ける。劣化特性取得(S101)の手順が終了したら、製造情報読込の手順(S102)が実行される。本実施形態の製造情報PIは、活物質の特性である比表面積に関する製造情報PIBET、活物質の量に関する製造情報PIACT、水分量に関する製造情報PIAQA、温度に関する製造情報PITEPが含まれる。製造情報PIは、上述したように、前提としてこのリチウムイオン二次電池1が車載されるタイミングで、劣化推定装置11のECU100のメモリ102に記憶されている。ここでは、これらの記憶されているデータを処理のために読み出して、CPU101に読み込む。
<補正情報読込(S103)>
続いて、補正情報読取の手順(S103)が実行される。本実施形態の補正情報CIは、(活物質の比表面積に関する)補正マップMPBET、(活物質に関する)補正マップMPACT、(水分量に関する)補正マップMPAQA、(温度に関する)補正マップMPTEPが含まれる。上述したように、前提としてこのリチウムイオン二次電池1が車載されるタイミングで、補正マップMPは、として劣化推定装置11のECU100のメモリ102に記憶されている。ここでは、これらの記憶されているデータを処理のために読み出して、CPU101に読み込む。
<電圧・温度の測定(S104)>
続いて、測定した検査の対象となるリチウムイオン二次電池1のセル電圧VBとセルのセル温度Tを読み込む(S104)。セル電圧VBとセル温度TBは、リチウムイオン二次電池1が搭載された車両10の監視ユニット20の電圧センサ21と温度センサ23(図2)により測定されている。ここで測定したセル電圧VBとセル温度TBを、ECU100のメモリ102に記憶し、CPU101の処理(例えば0.1秒毎)に合わせて読み出される。
<副反応電流値推定(S105)>
以上の手順で、劣化特性、製造情報PI、補正情報CI、セル電圧VB、セル温度TBに基づいて、その処理期間における副反応電流値を推定する。
図11は、副反応電流値推定(S105)における処理の手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って、副反応電流値推定(S105)の処理の手順を説明する。
<正負極開放電位推定(S301)>
図8に示す手順では、副反応電流値推定(S105)の手順で算出された積算された副反応電流値は、図12に示す「容量-OCP図」にフィードバック(S107)されているので、それまでに積算された副反応電流値に基づいて、負極容量低下量ΔQNEと、正極容量低下量ΔQPEとから、正負極組成対応ずれ容量ΔQを導く。そして、セル電圧VBからそのセル電圧VBを「容量-OCP図」に基づいて正極開放電位VPEと負極開放電位VNEに振り分けて、正極開放電位VPEと負極開放電位VNEを正確に推定する。
<被膜形成後の正極・負極の容量-OCPの関係>
図12は、積算された副反応電流値に基づいて、セル電圧VBから正極開放電位V1PE及び負極開放電位V1NEを算出するための、正極・負極の容量-OCP(Open Circuit Potential・開放電位)の関係を示すグラフである。
リチウムイオン二次電池1は、充電によりリチウムイオンが正極から負極に移動する。このリチウムイオンの移動により負極の開放電位OCP[V]が低下する。図12に示すグラフでいえば、負極OCPの曲線UNE上を右に移動する。また放電するとリチウムイオンが負極から正極に移動する。このリチウムイオンの移動により負極の開放電位OCP[V]が上昇する。グラフでいえば、負極OCPの曲線UNE上を左に移動する。
リチウムイオン二次電池1において負極上で副反応が生じると、負極に対して容量[Ah]がQ0NEからQ1NEに低下する。このときの負極容量低下量は、ΔQNEで、負極副反応電流値[A]×時間[h]で算出できる。
正極も同様に、リチウムイオン二次電池1は、充電によりリチウムイオンが正極から負極に移動する。このリチウムイオンの移動により正極の開放電位OCP[V]が上昇する。図12に示すグラフでいえば、正極OCPの曲線UPE上を右に移動する。また放電するとリチウムイオンが正極から負極に移動する。このリチウムイオンの移動により正極の開放電位OCP[V]が下降する。グラフでいえば、正極OCPの曲線UPE上を左に移動する。
そして、正極上で副反応が生じると、正極に対して容量[Ah]がQ0PEからQ1PEに低下する。このときの正極容量低下量ΔQPEは、正極副反応電流値[A]×時間[h]で算出できる。
ここで、電池に劣化がない状態では、正極は曲線UPE上の点Q0PEで、負極は曲線UNE上の点Q0NEでの容量にずれがない。しかしながら、正負極で容量低下が生じると、その程度に差(正負極組成対応ずれ量ΔQ)が生じることがある。
本実施形態では、正負極組成対応ずれ量ΔQが生じるが、上記したように、正負極組成対応ずれ量ΔQを正確に算出することができる。そして、正負極組成対応ずれ量ΔQだけ、正極に対して、負極OCPカーブをずらし、セル電圧VBにおける正極電位VPE・負極電位VNEを推定する。
したがって、被膜形成した負極のOCPは曲線UNE上のQ1NEにおける電位V1NEであり、正極のOCPは曲線UPE上のQ1PEにおける電位V1PEとなる。
つまり、副反応電流値が積算された分の容量ずれを生じたリチウムイオン二次電池1のセル電圧V1=正極開放電位V1PE-負極開放電位V1NEで求めることができる。
<正負極副反応電流算出(S302)>
<負極副反応電流値iNE及び正極副反応電流値iPEの算出>
ここで、負極副反応電流値iNEと正極副反応電流値iPEは、以下のようにして求められる。
負極副反応電流値iNEは、aEを負極上で起こる副反応の交換電流密度とし、bNEを負極上で起こる副反応の過電圧項としたとき、図13に示す式(1)により負極副反応電流値iNEを算出することができる。
また、正極副反応電流値iPEは、aPEを正極上で起こる副反応の交換電流密度とし、bPEを正極上で起こる副反応の過電圧項としたとき、図14に示す式(2)により正極副反応電流値iPEを算出することができる。
なお、セル電池の副反応電流値は、これらの式から求められた電流密度に応じて算出される。これら式(1)及び式(2)から、負極副反応電流値iNEと正極副反応電流値iPEは、過電圧項bNEの変化により指数関数的に増大することがわかる。
<負極における副反応電流による劣化量の求め方>
次に、ターフェル式を用いて具体的に負極副反応電流値iNEと正極副反応電流値iPEを求める方法について説明する。
ここでは、まず、負極について説明する。副反応による負極副反応電流値iNEはターフェル式を用いて求めることができる。
すなわち、負極における副反応による劣化量は、負極副反応電流値iNEをΔtの間で積分する。負極副反応電流値iNEは、セル電圧VB及びセル温度TBに基づいて、次のターフェル式により求めることができる。
<ターフェル式による負極副反応電流値iNEの算出>
本実施形態では、図15に示すターフェル式(式(3))により、負極副反応電流値iNEを求める。
ここで、iを交換電流密度、αを移動係数、Fをファラデー定数、Rを気体定数、Tを絶対温度、Usideを被膜形成電位、UNEを負極開放電位とする。なお、この式で算出された負極副反応電流値iNEは、電流密度であるので、リチウムイオン二次電池1に応じて、負極副反応電流値iNE[A]を求める。
<ターフェルの式を用いた負極副反応電流値iNEの計算>
ターフェル式(式(3))による負極副反応電流値iNEの求め方は、詳しくは、特開2017-190979号公報の段落0024~0081、特にターフェルの式を用いた正負極組成対応ずれ容量ΔQの計算方法は、段落0076~0081に詳細に開示されているため、ここでは詳しい記載は省略する。また、もちろん電流密度は必要に応じて副反応電流値に換算される。式(3)の交換電流密度iは、リチウムイオン二次電池1の製造完了後に数回充放電を繰り返すと、SEI被膜の形成速度が略定常となるので略一定の値に落ち着いてくる。このため、試験等により予めセル温度TBに対応するマップを作成しておき、このマップから読み出すようにしてもよい。
移動係数αは、例えば、充放電効率が同一と仮定して、0.5としてもよい。また、被膜形成の主要因である電解液の還元分解は、負極開放電位が0.6V~1.0Vで連続的に起こるので、例えば、被膜形成電位Usideを0.6V、0.8Vあるいは1.0Vのように設定してもよい。
<正極における副反応電流値iPE
従来、正負極組成対応ずれ容量ΔQは、負極表面上でのSEI被膜形成(副反応)の影響が主であると考えられていた。負極で形成される被膜は、SEIのほか、LiF、Li2Co3などがあるが、負極副反応電流値iNEは、上述のターフェルの式により推定されていた。
本発明者は、正極で形成される被膜についても、同じように考え、同様にターフェルの式により推定できるのではないかという仮説をたて、実験によりこの仮説が正しいことを見出した。
そこで、正極においても、セル電圧VB及びセル温度TBに基づいて、図16に示す式(4)のターフェル式により正極副反応電流値iPEを算出する。
ここで、iを交換電流密度、αを移動係数、Fをファラデー定数、Rを気体定数、Tを絶対温度、Usideを被膜形成電位、UPEを正極開放電位とする。なお、この式で算出された正極副反応電流値iPEは、電流密度であるので、リチウムイオン二次電池1に応じて、正極副反応電流値iPE[A]を求める。
<正負極組成対応ずれ容量ΔQの算出>
そして、図11に示すフローチャートのS301において、このように算出した負極副反応電流値iNEと、正極副反応電流値iPEとから、図12に示す負極容量低下量ΔQNE及び正極容量低下量ΔQPEとを求め、正負極組成対応ずれ量ΔQを算出する。
<正負極の副反応電流値の被膜成長に応じた減衰(S303)>
なお、前記ターフェル式では、SEI被膜の厚みによる電流値への影響については、考慮されていない。そこで、負極副反応電流値iNEと正極副反応電流値iPEの算出において、各経過時間における被膜形成量に応じて、副反応電流値を減衰させた値を用いて負極副反応電流値iNEと正極副反応電流値iPEを算出する。
図17は、被膜形成量と副反応電流値の関係を示す式である。リチウムイオン二次電池1のSEI被膜は使用に応じて形成される。その結果、時間が経過していくと、図17に示す式のように被膜量は、累積的に厚くなるとともに、副反応電流値Iは、厚さxの逆数に比例して小さくなる。
本実施形態では、以上に述べた正負極の副反応電流値の被膜成長に応じた減衰を考慮するため、本実施形態の劣化推定の方法は、上記計算により従来の技術によるターフェル式のみの劣化推定の方法よりも、より実際に近い負極副反応電流値iNE、正極副反応電流値iPEの推定が可能となっている。
<製造情報に基づく補正(S304)>
製造情報PIに基づいて正極副反応電流値iPEと、負極副反応電流値iNEを補正する。S301~S303の手順で推定した正負極の副反応電流値は、判定対象となるリチウムイオン二次電池1の劣化特性を基準として、セル電圧VB及びセル温度TBに基づいて理論的に推定した数値である。しかしながら、上述したとおり、実際に製造されるリチウムイオン二次電池1では、原材料の特性、正負極の製造のばらつき、残存水分の差、温度管理などにより、劣化特性から得た条件とは異なっている。
そこで、図8に示すフローチャートの製造情報読込(S102)の手順で活物質の比表面積に関する製造情報PIBET、活物質の量に関する製造情報PIACT、水分量に関する製造情報PIAQA、温度に関する製造情報PITEPを読み込んでいる。補正情報読込(S103)の手順で活物質の比表面積に関する補正マップMPBET、活物質に関する補正マップMPACT、水分量に関する補正マップMPAQA、温度に関する補正マップMPTEPを読み込んでいる。これらの製造情報PIと補正情報CIに基づいて補正係数をそれぞれ求める。そして、S301~S303の手順で推定した負極副反応電流値iNEと正極副反応電流値iPEとをそれぞれ補正係数を掛け合わせて反映させる。
<容量低下量の算出と積算(S304)>
上記のS301~304の手順で算出した正極副反応電流値iPEに経過時間Δtを掛け合わせて正極容量低下量ΔQPEを求める。同様に、負極副反応電流値iNEに経過時間Δtを掛け合わせて負極容量低下量ΔQNEを求める。そして、これまでに算出した負極容量低下量ΔQNE(負極副反応電流値INE×Δt)、正極容量低下量ΔQPE(正極副反応電流値IPE×Δt)の積算値に、新たな負極容量低下量ΔQNEと、正極容量低下量ΔQPEをさらに加算して、積算した負極容量低下量ΔQNEと、正極容量低下量ΔQPEを劣化推定装置11のメモリ102に記憶する。
そして、ΔQNEの積算値とΔQPEの積算値の差分を取ることで、ΔQの積算値(以下、積算電池容量低下量ΔQINTと称す)を算出する。
なお、上記説明では、負極容量低下量ΔQNEと正極容量低下量ΔQPEを積算してから差分を求め、積算電池容量低下量ΔQINTを算出したが、積算する前に負極容量低下量ΔQNEと正極容量低下量ΔQPEの差分をとり、それを積算して積算電池容量低下量ΔQINTを算出してもよい。
<「劣化度Qdet<閾値QTHR」か否かの判定(S106)>
次に、劣化度Qdetを算出する。ここで、劣化度Qdetとは、初期容量Qからどの程度容量が減少したかを示す割合で、劣化度Qdet=(初期電池容量Q-積算電池容量低下量ΔQINT)/Qにより算出する。これを閾値QTHRと比較する(S106)。閾値QTHRは、予め製品として期待される任意に設定される劣化度である。この閾値QTHRは、一定の限界値でもよいが、例えば、走行距離に応じて大きくしたり、時間の経過とともに大きくしたりするようにしてもよい。
「劣化度Qdet<閾値QTHR」である場合(S106:YES)は、製品として許容できる劣化度であるとして、特段の制限は課さない。
一方、「劣化度Qdet<閾値QTHR」ではない場合(S106;NO)、すなわち「劣化度Qdet≧閾値QTHR」である場合は、製品として許容できない劣化度であるとして、充放電において制限を課す。
<充電制御(S108)>
本実施形態では、「劣化度Qdet<閾値QTHR」ではない場合(S106;NO)は、劣化推定装置11のECU100は、PCU30に対して、使用するSOC領域を通常の50~60%である場合に、劣化の少ないことがわかっているSOC領域(例えば40~50%)とするようにリチウムイオン二次電池1の充放電の制御を行う。
あるいは、前述したターフェル式(図15、図16)から理解されるように、劣化推定装置11は、充電電流の上限を制限することでリチウムイオン二次電池1を保護することで、想定される電池寿命まで延命させるように制御することもできる。
<副反応電流値を容量-OCP図からOCP図にフィードバック(S107)>
上述の副反応電流推定の手順(S105)で算出され、積算された負極副反応電流値INE、正極副反応電流値IPEにより、正極容量低下量ΔQPEと負極容量低下量ΔQNEを算出して、正負極組成対応ずれ容量ΔQを算出する。この正負極組成対応ずれ容量ΔQを「容量-OCP図」からOCP図にフィードバックして、次巡のセル電圧VBに基づく正極開放電位VPE[V]及び負極開放電位VNE[V]の推定に反映させることで、常に電圧VBに基づく正極開放電位VPE[V]及び負極開放電位VNE[V]の推定を正確なものとすることができる。
<終了か否かの判断(S109)>
車両10の運用が連続する場合(S109:NO)は、次の時間の劣化推定のための電圧・温度読込の手順(S104)に戻り、次巡の劣化推定の手順(S105~S108)を繰り返す。
車両10の運用が終了する場合は(S109:YES)、処理を終了する。
<実施形態の効果>
(1)本実施形態の劣化推定装置11によれば、副反応電流を正確に推定することでリチウムイオン二次電池1の劣化を正確に推定することができる。
(2)劣化の推定は、正極と負極の副反応電流値に分けて行われるため、より正確な推定ができる。
(3)副反応電流値の推定は、劣化特性を前提に行われるため、そのリチウムイオン二次電池1の劣化特性に応じた副反応電流値の推定ができる。
(4)副反応電流値の推定は、セル電圧VB及びセル温度TBに基づいて推定することで、リチウムイオン二次電池1の使用状況を反映した推定をすることができる。
(5)また、被膜の成長に応じた副反応電流値の補正も行われるため、長期にわたる推定の精度も損なわない。
(6)副反応電流値の推定は、劣化特性を前提に、セル電圧VB及びセル温度TBに基づいて推定し、さらにこの副反応電流値を製造情報PIと補正情報CIにより補正することで、個別のリチウムイオン二次電池1の原材料や製造工程における差を反映し、より正確な推定をすることができる。
(7)車両10に搭載された劣化推定装置11は、外部から情報を与えることなく、自律的に副反応電流値を推定できるため、極めて簡単に車載のリチウムイオン二次電池1の劣化状態の管理ができる。
(8)劣化推定装置11は劣化状態に応じて、リチウムイオン二次電池1の充放電の制御を行うことで、そのリチウムイオン二次電池1に応じた最適な充放電の管理をすることができる。
(9)劣化状態に応じた充放電制御を行うことで、車載のリチウムイオン二次電池1の寿命を、想定された寿命に近づけることができる。
(変形例)本発明は、上記各実施形態には限定されず、下記のように実施することもできる。
○実施形態では、車両に搭載された例を示したが、必ずしも自動車に搭載されたものに限らず、船舶や鉄道、航空機や、さらに固定型のものでの実施を排除するものではない。
○実施形態では、図1に示すようなリチウムイオン二次電池1を例に挙げて説明したが、リチウムイオン二次電池1は、円筒状の形状や、立方体のような形状であってもよい。また、正極及び負極は、巻回したものに限らず、複数の正極板、負極板が積層されたようなものであってもよい。
○実施形態の実施において、図13~16に示された数式(1)~(4)は、処理の一例であり、副反応電流値を算出できれば、そのプロセスは限定されない。数式によらず、すべてデータをテーブルやマップで換算するようなものでもよい。
〇実施形態では、副反応電流を補正する製造情報として、活物質の比表面積に関する製造情報PIBET、活物質の量に関する製造情報PIACT、水分量に関する製造情報PIAQA、 温度に関する製造情報PITEPを用いたが、これらの一部のみを用いてもよいし、これ以外の情報を用いてもよい。
○図7、図8、図10、図11に例示したフローチャートは、処理の一例であり、その順序を変更し、またステップの付加、削除もしくは変更をして実施することができることは言うまでもない。
○図3~6に例示したマップは、概念的な一例であり、これらに限定されるものではない。また、必ずしも実施に当たって、マップを作製する必要もない。また、マップによらす、相関グラフ、変換テーブル、変換式などによっても処理することができる。
○また、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない限り、当業者により、その構成を付加、削除または変更をし、又はカテゴリーを変えて装置として実施することができることは言うまでもない。
1…リチウムイオン二次電池(二次電池)
2…電極体
3…正極
4…負極
5…セパレータ
10…車両
11…劣化推定装置
20…監視ユニット
21…電圧センサ
22…電流センサ
23…温度センサ
30…PCU
100…ECU
101…CPU
102…メモリ
200…劣化特性取得の装置
VB…セル電圧
NE…負極開放電位
PE…正極開放電位
TB…セル温度
IB…セル電流
NE…負極劣化量[Ah]
PE…正極劣化量[Ah]
NE…負極副反応電流値[A]
PE…正極副反応電流値[A]
NE0…(劣化特性として取得された)負極副反応電流値[A]
PE0…(劣化特性として取得された)正極副反応電流値[A]
ΔQ…正負極組成対応ずれ容量[Ah]
ΔQNE…負極容量低下量[Ah]
ΔQPE…正極容量低下量[Ah]
ΔQINT…積算電池容量低下量[Ah]
…初期電池容量[Ah]
loss…保存前後の電池満容量の容量低下量[Ah]
SD…自己放電容量[Ah]
det…劣化度[Ah]
PC…製造条件
PI…製造情報
PIBET…(活物質の比表面積に関する)製造情報
PIACT…(活物質の量に関する)製造情報
PIAQA…(水分量に関する)製造情報
PITEP…(温度に関する)製造情報
CI…補正情報
MP…補正マップ
MPBET…(活物質の比表面積に関する)補正マップ
MPACT…(活物質に関する)補正マップ
MPAQA…(水分量に関する)補正マップ
MPTEP…(温度に関する)補正マップ

Claims (10)

  1. 二次電池の副反応電流値に影響を与える二次電池の製造工程における複数の製造条件について、それぞれの製造条件と、該製造条件が副反応電流値に与える相関関係を予め測定して補正情報として記録する補正情報取得のステップと、
    二次電池の製造工程において、前記製造条件を製造情報として取得する製造情報取得のステップと、
    単位時間における使用においてセル電圧と環境温度と、前記製造情報に基づいて、その単位時間の副反応電流値を推定する副反応電流値推定のステップと、
    前記副反応電流値推定のステップで推定した単位時間における副反応電流値を積算する副反応電流値積算のステップと、
    積算された前記副反応電流値に基づいて前記二次電池の劣化度を推定する劣化推定のステップと
    を備えたことを特徴とする二次電池の劣化推定方法。
  2. 推定された前記二次電池の劣化度と、予め設定された目標値と比較して当該二次電池の良否を判定する良否判定のステップとをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の二次電池の劣化推定方法。
  3. 前記良否判定のステップにおいて、前記劣化度が前記目標値を下回った場合に、劣化量の少ないSOC使用領域を使用するように電池を制御することを特徴とする請求項2に記載の二次電池の劣化推定方法。
  4. 予め決められた保存温度と保存時間の条件でエージングするエージングのステップと、
    前記エージングの前後で電池満容量の差を測定するステップと、
    前記エージングの前後で自己放電容量を測定するステップと、
    前記電池満容量の差と自己放電容量とから、正極及び負極の副反応電流を算出するステップとを備え、二次電池の劣化特性を取得をすることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の二次電池の劣化推定方法。
  5. 前記副反応電流値推定のステップは、積算された正極及び負極の副反応電流値に基づいて、正極・負極の容量-開放電位の関係において、正極及び負極の容量ずれ量を参照して正極及び負極の開放電位を求めるステップを備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の二次電池の劣化推定方法。
  6. 前記製造条件は、活物質の特性、水分量、温度のいずれかの条件を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の二次電池の劣化推定方法。
  7. 前記二次電池が、リチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の二次電池の劣化推定方法。
  8. コンピュータを備えた二次電池の劣化推定装置であって、
    前記コンピュータは、
    二次電池の製造工程において、二次電池の副反応電流値に影響を与える二次電池の製造工程における複数の製造条件について、それぞれの製造条件と、該製造条件が副反応電流値に与える相関関係を予め測定して補正情報と、
    前記製造条件を製造情報として、
    を記憶した記憶手段を備え、
    単位時間における使用においてセル電圧と環境温度と、前記製造情報に基づいて、その単位時間の副反応電流値を推定する副反応電流値推定のステップと、
    前記副反応電流値推定のステップで推定した単位時間における副反応売内を積算する副反応電流値積算のステップと、
    積算された前記副反応電流値に基づいて前記二次電池の劣化度を推定する劣化推定のステップとを実行することを特徴とする二次電池の劣化推定装置。
  9. 推定された前記二次電池の劣化度と、予め設定された目標値と比較して当該二次電池の良否を判定する良否判定のステップとをさらに実行することを特徴とする請求項8に記載の二次電池の劣化推定装置。
  10. 前記良否判定のステップにおいて、前記劣化度が前記目標値を下回った場合に、
    劣化量の少ないSOC使用領域を使用するように電池の充電を制御する充電制御のステップをさらに実行することを特徴とする請求項9に記載の二次電池の劣化推定装置。
JP2020145498A 2020-08-31 2020-08-31 二次電池の劣化推定方法、二次電池の劣化推定装置 Active JP7201647B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020145498A JP7201647B2 (ja) 2020-08-31 2020-08-31 二次電池の劣化推定方法、二次電池の劣化推定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020145498A JP7201647B2 (ja) 2020-08-31 2020-08-31 二次電池の劣化推定方法、二次電池の劣化推定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022040679A JP2022040679A (ja) 2022-03-11
JP7201647B2 true JP7201647B2 (ja) 2023-01-10

Family

ID=80500146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020145498A Active JP7201647B2 (ja) 2020-08-31 2020-08-31 二次電池の劣化推定方法、二次電池の劣化推定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7201647B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7269999B2 (ja) * 2021-07-26 2023-05-09 本田技研工業株式会社 電池モデル構築方法及び電池劣化予測装置
CN116298935B (zh) * 2023-05-19 2023-09-19 河南科技学院 一种基于对抗编码器网络的锂离子电池健康状态估计方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013165029A (ja) 2012-02-13 2013-08-22 Toyota Motor Corp 電池の検査方法
WO2013161540A1 (ja) 2012-04-23 2013-10-31 株式会社日立製作所 電池システムのメンテナンス管理システム及び方法
JP2014167406A (ja) 2013-02-28 2014-09-11 Sekisui Chem Co Ltd 電池モデル構築方法及び蓄電池劣化推定装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013165029A (ja) 2012-02-13 2013-08-22 Toyota Motor Corp 電池の検査方法
WO2013161540A1 (ja) 2012-04-23 2013-10-31 株式会社日立製作所 電池システムのメンテナンス管理システム及び方法
JP2014167406A (ja) 2013-02-28 2014-09-11 Sekisui Chem Co Ltd 電池モデル構築方法及び蓄電池劣化推定装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022040679A (ja) 2022-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102595114B1 (ko) 스웰링 특징들에 기반한 배터리 건강 상태 추정
JP5464116B2 (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
JP5464118B2 (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
JP5464119B2 (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
US20130282316A1 (en) Degradation speed estimation method, and degradation speed estimation device, of lithium-ion battery
US9688159B2 (en) Methods, apparatus, and systems for preventing over-temperature battery operation
JP7201647B2 (ja) 二次電池の劣化推定方法、二次電池の劣化推定装置
WO2015155584A1 (en) Inspection method and manufacturing method of secondary battery
JP2016119249A (ja) リチウムイオン二次電池システム
JP2014222603A (ja) 電池の検査方法
JP6337233B2 (ja) 電池の評価方法及び電池特性評価装置
JP2017097997A (ja) 二次電池の特性解析方法、および、特性解析装置
JP2015095332A (ja) 非水電解質二次電池の製造方法
CN110320477B (zh) 动力电池组的soc计算方法、装置和电动汽车
KR101471775B1 (ko) 리튬 이온 2차 전지의 검사 방법
KR102211032B1 (ko) 리튬 이온 전지의 진단 방법 및 리튬 이온 전지의 진단 장치
US20170059664A1 (en) Method for sorting reusable nonaqueous electrolyte secondary battery
KR20190039075A (ko) 리튬-이온 배터리의 고온 에이징 공정
JP7131002B2 (ja) 二次電池の劣化推定装置
JP2018073755A (ja) リチウムイオン二次電池の検査方法
JP7280211B2 (ja) 二次電池の副反応電流値の測定方法、二次電池のセルの寿命推定方法、検査方法
JP6090750B2 (ja) 蓄電装置
JP7256151B2 (ja) 二次電池の良否判定方法、二次電池の製造方法
WO2023149532A1 (ja) 二次電池の診断方法及び二次電池の診断プログラム
US20180340984A1 (en) Apparatus and method of estimating state of lithium ion battery

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221222

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7201647

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150