JP2017097997A - 二次電池の特性解析方法、および、特性解析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な方法で、かつ、短時間に電池特性の正確な解析を行うことができるリチウムイオン二次電池の特性解析方法、および、特性解析装置を提供すること。【解決手段】電池20を構成する部材の特性値をパラメータとするモデル式を用いて、モデル式で表される電池の電圧値を実測データにフィッティングさせることで、部材の特性値を推定する二次電池の特性解析方法であって、実測データが、定電流放電期間または定電流充電期間のいずれかからなる動作期間と、動作期間に引き続いて設けられた休止期間とを含む充放電パターンを解析対象の電池に印加して得られたものである。【選択図】図3
Description
本開示は、リチウムイオンをはじめとする各種二次電池の電池特性を解析する特性解析方法、および、特性解析装置に関し、特に、二次電池を構成する部材の特性値をパラメータとするモデル式を用いて、実測値に対するフィッティングを行って二次電池を構成する部材の特性値を推定する特性解析方法、および、特性解析装置に関する。
ポータブルタイプの電子機器の動作電源としての用途をはじめとして、充電して繰り返し利用することができる充電式電池、いわゆる二次電池の開発が進んでいる。これら二次電池の中で、正極、負極と、これらの間に配置された電解質とにおけるリチウムイオンの移動を用いて充放電が可能なリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、いわゆるメモリ効果が小さいなどの利点を有するために、ポータブルタイプの電子機器、電気自動車、家庭用や業務用の電力貯蔵システムなどの幅広い分野への利用が進み、電源用二次電池の主流となっている。
しかし、リチウムイオン二次電池であっても充放電を繰り返すことに伴う劣化は避けられず、一定回数以上の充放電を行ったリチウムイオン二次電池は容量が低下していわゆる寿命を迎え、長時間の連続使用が困難となるなどの弊害が生じる。
リチウムイオン二次電池の劣化度合いは、当該電池の動作条件や、充電時間、充電終了時の容量値など充放電時の諸条件の影響を受ける。このため、正確な寿命診断を行うためには、単に充電回数をカウントするのみでは不十分であり、電池を構成する部材の特性値の変化を把握するなどの詳細な解析が必要となる。
電池を構成する部材の諸特性を解析する手法として、二次電池を構成する部材を用いた等価回路を構成して各部材の特性値を変数に含んだ電池特性を表す関数を求めるとともに、電池特性を実測した複数のデータに基づく特性曲線を求め、各部材の特性値を変化させて実測値から得られた特性曲線に電池特性を示す関数を近似させることで、各部材の特性値を算出する二次電池の解析方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載された従来の二次電池特性の解析方法によれば、電池を分解せずに、迅速かつ安価に各構成材料の状態を推定して把握することができる。
しかし、特許文献1に記載の従来の電池特性の解析方法では、電池特性を表す関数を近似させる実測データである特性曲線として、電池状態を解析するために複数の実測値データが必要となる。具体的に特許文献1の明細書では、測定温度と測定電流値が異なる状態でそれぞれ得られた充電電圧のデータと放電電圧のデータとを用いることが例示されている。このような、異なる条件下での複数の実測データを取得するためには、一定以上の時間と手間がかかってしまう。また、測定温度や充放電電流値を異ならせた状態での電池電圧変化の実測データを取得するためには、電池状態を測定するための専用の装置を準備する必要があるという問題も生じる。
本開示は、上記従来の課題を解決し、電池の特性解析のための専用の解析装置を必要とせず、簡易な方法で、かつ、短時間に電池特性の正確な解析を行うことができる二次電池の特性解析方法、および、二次電池の特性解析装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本願で開示する二次電池の特性解析方法は、電池を構成する部材の特性値をパラメータとするモデル式を用いて、前記モデル式で表される前記電池の電圧値を実測データにフィッティングさせることで、前記部材の特性値を推定する二次電池の特性解析方法であって、前記実測データが、定電流放電期間または定電流充電期間のいずれかからなる動作期間と、前記動作期間に引き続いて設けられた休止期間とを含む充放電パターンを解析対象の電池に印加して得られたものである。
また、本願で開示する特性解析装置は、二次電池に対して所定の電流値での充電および放電の少なくとも一方を行う充放電回路部と、前記二次電池の電圧を測定する測定回路部と、前記充放電回路部を制御して、所定の充放電パターンにおいて前記測定回路部により測定された前記二次電池電圧の実測データを取得する制御部とを備え、前記制御部が、モデル式により得られた電圧値を取得された前記実測データにフィッティングさせることで、電池を構成する部材の特性値を推定する機能をさらに有し、本願に係る二次電池の特性解析方法に基づいて二次電池の特性を解析する。
本願で開示する二次電池の特性解析方法、および、特性解析装置は、モデル式により得られた電池電圧値をフィッティングする実測データとして、定電流放電期間とそれに引き続く休止期間、または、定電流充電期間とそれに引き続く休止期間とを含む充放電パターンを解析対象の電池に印加して得られたものを用いる。このため、一つの充放電パターンにより得られた実測データを用いるという簡易な方法でありながら、正確な電池特性の解析を行うことができる。
本開示にかかる二次電池の特性解析方法は、電池を構成する部材の特性値をパラメータとするモデル式を用いて、前記モデル式で表される前記電池の電圧値を実測データにフィッティングさせることで、前記部材の特性値を推定する二次電池の特性解析方法であって、前記実測データが、定電流放電期間または定電流充電期間のいずれかからなる動作期間と、前記動作期間に引き続いて設けられた休止期間を含む充放電パターンを解析対象の電池に印加して得られたものである。
本開示の二次電池の特性解析方法は、電池を構成する部材の特性値をパラメータとするモデル式で表される電池の電圧値をフィッティングさせる実測データとして、動作期間とその後に設定された休止期間とを含む充放電パターンを解析対象の電池に印加して得られたものを用いる。このため、連続して得られる電圧値へのフィッティングでありながら、正確に電池部材の特性値を推定することができる。この結果、本開示にかかる二次電池の特性解析方法は、簡易かつ迅速な電池特性の解析ができ、例えば、実際に負荷に対する動作電源として使用されている二次電池の充放電回数の増加に伴う諸特性の変化を解析することも可能となり、正確な寿命判定を行うことができる。
上記本開示にかかる二次電池の特性解析方法において、前記充放電パターンが、前記動作期間と、前記休止期間と、前記休止期間に引き続いて設けられた再動作期間とを含み、前記再動作期間は、定電流放電期間または定電流充電期間のいずれかからなることが好ましい。このように動作期間と再動作期間との間に休止期間を挟んだ充放電パターンを印加することで、解析対象の電池特性に応じたより詳細な電圧変化が現れた実測データを得ることができ、モデル式を用いたフィッティングによって正確な特性値の推定を行うことができる。
また、前記充放電パターンの前記動作期間、および、前記充放電パターンに含まれる場合の前記再動作期間における動作時間t(秒)は、いずれも、Cレートでの電流値R(C)との積R×tが1以上300以下の範囲となるように設定されたものであることが好ましい。このようにすることで、充放電による温度上昇の影響を受けない状態での正確な特性値の解析を行うことができる。
さらに、前記充放電パターンにおける前記休止期間が10秒間以上であることが好ましい。このようにすることで、動作期間により変化した電池電圧の回復時の電圧値の変化を用いて正確な特性解析ができるとともに、引き続いて再動作期間における実測データを得る場合でも電池温度を十分に下がった状態に戻すことができる。
さらに本願で開示する解析方法において、前記二次電池がリチウムイオン二次電池であることが好ましい。リチウムイオン二次電池は、活物質の結晶構造中にリチウムイオンが挿入脱離することで電気化学反応が進行するため、反応過程で活物質の形状や多孔質電極の空隙形状の変化が小さい一方、活物質の充電率の変化が電池全体の電圧変化として現れやすいため、モデル式を用いた解析に適し、より正確な解析を行うことが期待できる。
また、解析対象がリチウムイオン二次電池である場合に、前記モデル式において、実測データとのフィッティングの結果その数値が特定される前記特性値が、正極活物質内におけるリチウムイオン拡散係数、負極活物質内におけるリチウムイオン拡散係数、電解液内におけるリチウムイオン拡散係数、正極活物質における界面抵抗、負極活物質における界面抵抗、電解液内でのリチウムイオン塩濃度のうちの少なくとも一種以上であることが好ましい。これらの数値は、いずれもリチウムイオン二次電池の特性劣化に大きく関与する数値であるため、フィッティング時に値を変化させるものとしても、特性解析に用いる指標としても好ましい。
さらにまた、特性解析時の環境温度を検出し、解析された前記部材の特性値を基準温度における特性値に換算することが好ましい。このようにすることで、二次電池の解析が行われる際の環境温度が室温から大きくかけ離れている場合でも、環境温度の差異を相殺した上での正確な二次電池の解析を行うことができる。
本開示にかかる特性解析装置は、二次電池に対して所定の電流値での充電および放電の少なくとも一方を行う充放電回路部と、前記二次電池の電圧を測定する測定回路部と、前記充放電回路部を制御して、所定の充放電パターンにおいて前記測定回路部により測定された前記二次電池電圧の実測データを取得する制御部とを備え、前記制御部が、モデル式により得られた電圧値を取得された前記実測データにフィッティングさせることで、電池を構成する部材の特性値を推定する機能をさらに有し、本願で開示するいずれかの特性解析方法に基づいて二次電池の特性を解析するものである。
このような本願に係る特性解析装置は、本願で開示する二次電池の特徴ある特性解析方法を簡易な装置構成で実現可能である。
本開示にかかる特性解析装置において、特性解析時の環境温度を検出する温度センサをさらに備え、前記制御部が、前記温度センサが検出した特性解析時の環境温度に基づいて前記電池を構成する部材の特性値を推定することが好ましい。このようにすることで、電池を構成する部材の特性値について、測定環境に左右されない解析データを取得することができる。
また、前記二次電池の負荷となる電気回路とともに用いられ、所定回数の充放電が行われた状態の前記二次電池の特性解析を行うことが好ましい。このようにすることで、負荷に対する駆動電源として用いられる二次電池の特性値を、機器の動作に伴って行われる所定の充放電回数の経過後に測定可能であり、正確な寿命診断を行うことも可能となる。
以下、本開示にかかる二次電池の特性解析方法と特性解析装置について、図面を参照して説明する。
(実施の形態)
まず、本開示にかかる二次電池の特性解析方法において用いられる、二次電池を所定のパラメータで示すモデル式について説明する。また、二次電池の例としてリチウムイオン二次電池を用いた場合において、モデル式で表された電池電圧値を実測データに対してフィッティングする際に必要な初期データ値について説明する。
まず、本開示にかかる二次電池の特性解析方法において用いられる、二次電池を所定のパラメータで示すモデル式について説明する。また、二次電池の例としてリチウムイオン二次電池を用いた場合において、モデル式で表された電池電圧値を実測データに対してフィッティングする際に必要な初期データ値について説明する。
<電池モデル式>
本実施形態で実測データのフィッティングに用いられるモデル式は、Marc Doyle et al., "Modeling of Galvanostatic Charge and Discharge of the Lithium/Polymer/Insertion Cell" J. Electrochem. Soc.,Vol.140,No.6,June(1993)において開示されているものである。
本実施形態で実測データのフィッティングに用いられるモデル式は、Marc Doyle et al., "Modeling of Galvanostatic Charge and Discharge of the Lithium/Polymer/Insertion Cell" J. Electrochem. Soc.,Vol.140,No.6,June(1993)において開示されているものである。
上記文献は、二次電池の特性を解析する電気化学シミュレーション技術に関するもので、充放電時におけるセル内部の電流分布、電圧分布、リチウムイオンの濃度分布を電池モデル式に基づく数値解として得る手法であり、多孔質電極における固体と液体の導電経路をモデル化手法として、リチウムイオン二次電池の構成各要素(集電体、正極活物質、負極活物質、セパレータ、電解液、導電助剤、バインダ等)を電極積層方向1次元にモデル化して領域分割し、固体と液体の各々の電位をオームの法則で、リチウムイオンの濃度分布をFickの法則で解き、固液界面における化学反応をBattler-Volmer式により解くことで、セル内部における電気化学反応を物理モデルとして解き明かすものである。なお、上記文献は、二次電池としてリチウムイオン二次電池を対象とするものであるが、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池などの他の二次電池も同様のモデルで解析することができる。
本実施形態にかかる電池特性の解析方法においては、二次電池の温度上昇が少ない状態で測定可能な充放電パターンを印加した際の実測データをフィッティング対象として用いるため、上記文献に記載されているモデル式から、温度依存性を除外して適用している。
電池モデル式は、図1に示すように、リチウムイオン二次電池を厚み方向xにおいてnmax個に領域分割し、同時に解析対象の電池における構成比率に基づいて、電池全体を正極領域1と、セパレータ領域2と、負極領域3とにモデル化する。すなわち、nmax個に分けられた領域の内、正極領域1とセパレータ領域2と負極領域3とに割り振られる微細な領域数は、解析対象のリチウムイオン二次電池における領域の大きさに応じて決定される。
さらに、モデル化されたそれぞれの領域における固体成分(活物質+導電助剤+バインダー)と液体成分(電解液)とを、体積比率として平均化して取り扱う。
より具体的には、図1に示すように、正極領域1には体積比率εposの電解液と体積比率1−εposの固体領域(活物質+導電助剤+バインダー)が存在し、負極領域3には体積比率εnegの電解液と体積比率1−εnegの固体領域(活物質+導電助剤+バインダー)が存在し、セパレータ領域2には体積比率εsepの電解液と体積比率1−εsepのセパレータ樹脂が存在すると規定する。
このとき、n番目の領域(n=1、2・・・、nmax)に属する固体領域の電位は、固体領域のオームの法則である下記式(1)と、液体領域でのオームの法則である式(2)で記述できる。
なお、式(1)、式(2)中におけるIは厚み方向に対する電流密度、すなわち、充放電電流/電極面積であり、固体領域内の電流密度isolと液体領域内の電流密度iliqの和となる。σは固体領域の電導度であり、例えば、活物質と導電助剤の平均値等が用いられる。また、固体活物質内のリチウムイオン濃度(正極・負極)csolおよび、電解液内のリチウム塩濃度cliqは、各々の最大濃度、あるいは、初期濃度を用いて0〜1の値範囲に規格化した値を用いる。csolは活物質の充電率(SOC=0〜1)と等しく、また、1−DOD(放電率:0〜1)とも等しい。
κは電解液のイオン伝導度であり、電解液のリチウム塩濃度の関数、あるいは、テーブルデータとして定義する。Φsolは固体領域(活物質)の電位で、Φliqは液体領域(電解液)の電位になる。また、fは活量、τ+はカチオンの輸率、Tは温度、Rは気体定数である。
なお、以下特別な記述なく添え字solを用いる場合は、インデックスnにあたる領域内の固体領域を示すものとする。さらに、領域のインデックスnが正極位置ならば正極固体領域を、領域のインデックスnが負極位置ならば負極固体領域を、それぞれ示すものとする。同様に、添え字liqを用いる場合は、領域のインデックスnにあたる領域内の液体領域を示すものとする。さらに、領域のインデックスnが正極位置ならば正極液体領域を、領域のインデックスnが負極位置ならば負極液体領域を、それぞれ示すものとする。
ここで、領域nにおける液体領域の電流密度iliqと活物質界面での電気化学反応により生じる電流jnとの間には式(3)のキルヒホッフの式が成立する。
aは活物質の比表面積[cm2/g]である。sは、化学量論係数、mは電荷、Fはファラデー定数である。
また、活物質単一粒内でのリチウムイオンの濃度分布は、Fickの拡散方程式を活物質単粒子に適用することで式(4)として記述できる。同様に、液体領域におけるリチウムイオンの濃度分布は、Fickの拡散方程式を電極内厚み方向の液体領域に対して適用することで式(5)として記述できる。なお、式(4)は活物質単粒子を真球とみなした場合の拡散方程式だが、単粒子の形状に応じて別の式に置き換えることができる。
ここで、z+はカチオンの価数であり、ν+はイオンの移動度である。なお、式(6)と式(7)は式(4)の境界条件であり、活物質単粒子の中央部と、活物質単粒子の表面での濃度勾配を規定している。
ここで、式(4)における拡散係数D’liqは、電解液が充填されている空隙構造を考慮した有効拡散係数で、各領域の空隙率と正極曲路率τpos、負極曲路率τneg、セパレータ曲路率τsep、を考慮して次式で記述できる。
さらに、電解液と活物質界面における反応はBatler-Volmer式で次式により記述される。
αpos , αnegはリチウムイオンの移動係数で添え字posは正極をnegは負極を示す。a−cは反応速度係数で0.5とする。ηnは領域nにおける固液間の過電圧で、正極、負極の各々の電位を用いて次式で定義される。
Uは、活物質の正極もしくは負極の開回路電位を示す。また、Rは活物質界面の抵抗である。
式(13)の界面抵抗の項は、活物質界面に形成される被膜によって起こる電圧降下を記述している。
なお、一般には活物質界面の被膜抵抗は貯蔵やサイクル充放電時における劣化により増加する傾向がある。上記文献”Modeling of Galvanostatic Charge and Discharge of the Lithium/Polymer/Insertion Cell”では式(13)として界面抵抗を除外した形式をとっているが、本願では、式(13)として、Kandler Smith et al."Power and thermal characterization of a lithium-ion battery pack for hybrid-electric vehicles" Journal of Power Sources,160,662-673(2006)での記述方法に則ったものを用いた。また、当該文献で用いられている形式に従い、SEI layer film resistance RSEI(Ω・cm2)と活物質の比表面積a(cm2/g)の比を用いて、活物質重量あたりの界面抵抗をR(RSEI/a)として定義した。なお実施例においては、セル1個あたりに用いた正極と負極各々の活物質の総重量を乗じて「正極活物質界面抵抗」「負極活物質界面抵抗」とした。
式(13)をこのようにすることで、二次電池が負荷回路の動作電源として使用され、充放電サイクルを繰り返した場合におけるセルの劣化も含めた評価解析を実施することができるようになる。
充放電状態の計算の際には、上記式に対して、初期値として物性値と、セルのDODに応じた正極SOC(充電率)および負極DOD(放電率)を与え、集電体境界における固体領域の電流密度と初期の電解液内リチウムイオン濃度とを設定する。
以上により、式(1)〜 式(5)、式(11)(あるいは 式(12))の連立方程式を解くことで時間に対する集電体間の電圧推移が得られる。
なお、本実施形態のリチウムイオン二次電池の特性解析方法においては、式内の
1−a)正極活物質内におけるリチウムイオン拡散係数
1−b)負極活物質内におけるリチウムイオン拡散係数
1−c)電解液内におけるリチウムイオン拡散係数
2−a)正極活物質における界面抵抗
2−b)負極活物質における界面抵抗
3)電解液内リチウム塩濃度
を除く特性値は、パラメータとはせずに固定値として規定する。具体的な各数値は、例えば、表1に示す値とすることができる。
1−a)正極活物質内におけるリチウムイオン拡散係数
1−b)負極活物質内におけるリチウムイオン拡散係数
1−c)電解液内におけるリチウムイオン拡散係数
2−a)正極活物質における界面抵抗
2−b)負極活物質における界面抵抗
3)電解液内リチウム塩濃度
を除く特性値は、パラメータとはせずに固定値として規定する。具体的な各数値は、例えば、表1に示す値とすることができる。
表1において、移動度(v+)は、文献に則り1とした。また、量論数(s)は、電気化学反応式から定まる数値であり、本実施例では1とした。交換電流密度は、実測困難な定数であるが、論文値として1(mA/cm2)のものが多く、また、1(mA/cm2)以上では充放電カーブの解析結果への影響が少ないことから、正極、負極とも1とした。
比表面積と粒径の値は、用いた材料の実測値を代入した。ファラデー定数は、物理定数の96487(c/mol)を用いた。気体定数は、物理定数の8.31(J/k・mol)を用いた。括量(f)は、文献値としての1を用いた。輪率(τ+)は文献値(0.2〜0.4)から0.25とした。なお、輪率(τ+)の値として0.25を用いることにより、解析結果にはほとんど影響がしないことを確認した。電極屈曲率は、セパレータの空隙率の値(30%)から論文記載の実験式で計算した値の1.8を用いた。なお、上述のように、本実施形態にかかる二次電池の解析方法では温度依存性は排除されているため、温度Tとしては一定値298(K)を用いた。
ここで、「活物質におけるリチウムイオン拡散係数」は、式(8)により屈曲率を考慮したうえで、固体内でのFickの拡散方程式である式(4)に用いられ、活物質単一粒内でのリチウムイオンの濃度分布を規定する。「電解液内におけるリチウムイオン拡散係数」は、式(10)によりセパレータの屈曲率を考慮したうえで、液体内でのFickの拡散方程式である式(5)により求まる電解液内でのリチウムイオンの濃度分布を規定する。
「活物質における界面抵抗」は、式(13)により活物質と電解液間の過電圧の損失項として、式(11)あるいは式(12)でのBatler-Volmer式に影響する。また、「電解液内でのリチウムイオン塩濃度」は電解液のイオン伝導度κとして、液体内でのオームの法則(式(2))に用いられる。
実測データと計算されたモデル式とのフィッティングは、目視によって適切さを判断し、実測データのグラフとモデル式のフィッティングにより得られたグラフが最も近づくパラメータ値を、求める特性値とした。
なお、フィッティング精度の確認手法として、目視以外に平均二乗誤差等を比較する手法がある。この場合、実測データとモデル式の同一時間のグラフデータを用いて残差を取得する。さらに、複数のサンプリング時間で残差の二乗の平均値をとり平均二乗誤差を計算する。平均二乗誤差が小さいデータほどフィッティング精度が高いといえる。
<正極開回路電位と負極開回路電位の推定>
式(13)を解くためには、初期データ値として、セルの充電率(セル開回路電圧)と正極開回路電位と負極開回路電位を紐付したデータが必要になる。
式(13)を解くためには、初期データ値として、セルの充電率(セル開回路電圧)と正極開回路電位と負極開回路電位を紐付したデータが必要になる。
このデータは、例えば、解析対象とするセルに対して予めリチウム金属による電極電位モニタリング用の参照極を封入することで測定することができる。
また、正極開回路電位と負極開回路電位の参照極を用いない測定方法として、特許第4884404号に記載された手段がある。
具体的には、試験用カードセル等を用いて対極Liに対する正極充電率SOCposに対する開回路電位Vpos(SOCpos)と、負極放電率DODnegに対する開回路電位Vneg(DODneg)のデータを用い、測定対象のセルでの放電率DODに対する開回路電圧Veq(DOD)を取得する。セルの開回路電圧は、ある充電率における正極の開回路電位と、ある放電率における負極の開回路電位との差分により決まるため、次式が成立する。
式(14)において、係数α〜δは、Veq(DOD)とVpos(DOD)とVneg(DOD)とから計算したV’eq(DOD)の誤差Δを最少化するように決める。このようにして、式(14)を用いることで、所定のセルでのDOD(開回路電圧)における正極開回路電位と負極開回路電位を算出することができる。
次に、本実施形態にかかる特性解析方法を適用して、リチウムイオン二次電池を構成する部材の特性値を推定する方法について、具体的に例示説明する。
<解析用電池の作製>
a.正極の作製
正極活物質としてLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2で表される複合酸化物を用い、導電助剤として人造黒鉛とカーボンブラックとを用い、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いて正極を作製した。
a.正極の作製
正極活物質としてLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2で表される複合酸化物を用い、導電助剤として人造黒鉛とカーボンブラックとを用い、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いて正極を作製した。
正極活物質94質量部と、人造黒鉛1質量部と、カーボンブラック1質量部とを混合し、得られた混合物と、PVDF4質量部を予めN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させておいたバインダ溶液とを混合して正極合剤含有ペーストを調製した。
得られた正極合剤含有ペーストを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布、乾燥して正極合剤層を形成し、その後、正極合剤層の厚みが片面あたり50μmとなるようにプレス処理を施して正極シートを得た。さらに、得られた正極シートを切断することにより、正極合剤層の形成部分が幅100mm、長さ200mmであり、正極外部端子(アルミニウムリード線)を溶接するための正極集電体の露出部を有する正極を得た。
なお、別途測定した正極の重量、正極の各構成材料の密度と正極合剤層の厚みから求まる正極合剤層の空隙率は、約30%であった。
b.負極の作製
負極活物質として人造黒鉛を用い、バインダとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)とスチレンブタジエンゴム(SBR)とを用いて負極を作製した。
負極活物質として人造黒鉛を用い、バインダとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)とスチレンブタジエンゴム(SBR)とを用いて負極を作製した。
負極活物質98質量部と、CMC0.24質量部とを、予め水に溶解させておいたバインダ溶液とを混合し、さらにCMC0.96質量部とSBR0.8質量部を添加して混合し、負極合剤含有ペーストを調製した。
得られた負極合剤含有ペーストを、厚さ15μmの銅箔からなる負極集電体の片面または両面に塗布、乾燥して負極合剤層を形成し、その後、負極合剤層の厚みが片面あたり60μmとなるようにプレス処理を施して負極シートを得た。
さらに、得られた負極シートを切断することにより、負極合剤層の形成部分が幅105mm、長さ205mmであり、負極外部端子(銅リード線)を溶接するための負極集電体の露出部を有する負極を得た。
なお、別途測定した負極の重量、負極の各構成材料の密度と負極合剤層の厚みから求まる負極合剤層の空隙率は、約35%であった。
c.電池の組み立て
上述した方法で作製した正極20枚と、負極21枚とを、厚みが20μmのポリエチレン製微多孔フィルムを用いたセパレータを介して積層し、積層電極体とした。なお、負極21枚の内の2枚は、負極集電体の片面のみに負極合剤層を形成したものとして、これを積層電極体の両端に配置した。
上述した方法で作製した正極20枚と、負極21枚とを、厚みが20μmのポリエチレン製微多孔フィルムを用いたセパレータを介して積層し、積層電極体とした。なお、負極21枚の内の2枚は、負極集電体の片面のみに負極合剤層を形成したものとして、これを積層電極体の両端に配置した。
次に、上記した積層電極体の各々の正極集電体の露出部を重ねて正極外部端子を超音波溶接し、また、各々の負極集電体の露出部を重ねて負極外部端子を超音波溶接した。
さらに、矩形でサイズが130mm×230mmのポリエステルフィルム/アルミニウムフィルム/変性ポリオレフィンフィルムからなる厚み150μmの三層構造の2枚の金属ラミネートフィルムを用意し、変性ポリオレフィンフィルムが内側になるようにして積層電極体を間に挟んで重ね、正極外部端子と負極外部端子の一部が金属ラミネートフィルムの同一の辺から突出するようにして、重ねた金属ラミネートフィルムの3辺を熱シールして封止し、外装体を形成した。
別途、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを3:7の体積比で混合した溶媒に、LiPF6およびLiN(FSO2)2を、それぞれ0.8mol/lおよび0.2mol/lの濃度となるように溶解させ、さらに、ビニレンカーボネートを2質量%となる量で添加して非水電解液を調製した。
上記した積層電極体を挿入した外装体を70℃で15時間真空乾燥した後、調製した非水電解液を注入し、減圧状態で外装体の封止していない一辺を熱シールして、測定対象とする実施例のラミネート形非水二次電池を作製した。
この測定対象のリチウムイオン二次電池は、定格電流値が15Ah、定格電圧値が4.2Vのものである。
このリチウムイオン二次電池の特性を解析するに当たり、上述した式(14)を用いる方法で、正極活物質の開回路電位と負極活物質の開回路電位を推定した。
<開回路電位の推定>
a.測定用カードセルの作製
a1)負極の作製
上記した測定対象電池の作製方法と同様の方法で水系の負極合剤含有ペーストを調製した。
a.測定用カードセルの作製
a1)負極の作製
上記した測定対象電池の作製方法と同様の方法で水系の負極合剤含有ペーストを調製した。
調整した負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ6μmの集電体の片面にバーコーターで塗布、乾燥した後、カレンダー処理を行って、合剤層の塗膜密度が1.5g/cm3となるように負極合剤層の厚みを調整した。さらに、塗布面積が3cm角となるように切り出した後、銅箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
a2)正極の作製
正極活物質として、Li1.02Ni0.5Co0.2Mn0.3O2(80質量部)と、バインダであるポリフッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン(PVDF−CTFE)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させた溶液20質量部と、導電助剤である人造黒鉛1質量部、および、ケッチェンブラック1質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、さらにNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
正極活物質として、Li1.02Ni0.5Co0.2Mn0.3O2(80質量部)と、バインダであるポリフッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン(PVDF−CTFE)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させた溶液20質量部と、導電助剤である人造黒鉛1質量部、および、ケッチェンブラック1質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、さらにNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
このペーストを、集電体となる厚さ12μmのアルミニウム箔の片面にバーコーターで塗布、乾燥した後、カレンダー処理を行って、合剤層の塗膜密度が3.80g/cm3となるように正極合剤層の厚みを調整した。さらに、塗布面積が3cm角となるように切り出した後、アルミニウム箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
a3)リチウム金属電極の作製
アルゴングローブボックス内でリチウム金属からなるシート4cm×4cmに切り出し、あらかじめ露出部となる領域にタブを溶接したSUSメッシュに貼り付けてリチウム金属電極を作製した。
アルゴングローブボックス内でリチウム金属からなるシート4cm×4cmに切り出し、あらかじめ露出部となる領域にタブを溶接したSUSメッシュに貼り付けてリチウム金属電極を作製した。
a4)電池の組み立て
上述のa1)〜a3)の手順でそれぞれ作製した、正極、負極、リチウム金属電極を、アルゴングローブボックス内で重ね合わせ、間に厚さ14μmのリチウムイオン電池用ポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータを配置し、ラミネートフィルムの外挿体に装填した。これに上述の測定対象電池の作製時に用いたものと同じ非水電解液を注入し、熱溶着して封止して、開回路電位の測定用カードセルを作製した。
上述のa1)〜a3)の手順でそれぞれ作製した、正極、負極、リチウム金属電極を、アルゴングローブボックス内で重ね合わせ、間に厚さ14μmのリチウムイオン電池用ポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータを配置し、ラミネートフィルムの外挿体に装填した。これに上述の測定対象電池の作製時に用いたものと同じ非水電解液を注入し、熱溶着して封止して、開回路電位の測定用カードセルを作製した。
b.正極活物質、負極活物質、および、セルの開回路電位のデータの取得
b1)正極開回路電位の測定
上述の方法で作製した測定用カードセルの正極を、25℃の環境下で0.02Cの電流値を用いて4.45Vまで定電流充電した。引き続いて0.02Cの電流値で2.5Vまで放電して、図2(a)に示す容量と電圧との関係を示すカーブ21(式(14)のVpos(SOCpos))を取得した。
b1)正極開回路電位の測定
上述の方法で作製した測定用カードセルの正極を、25℃の環境下で0.02Cの電流値を用いて4.45Vまで定電流充電した。引き続いて0.02Cの電流値で2.5Vまで放電して、図2(a)に示す容量と電圧との関係を示すカーブ21(式(14)のVpos(SOCpos))を取得した。
b2)負極開回路電位の測定
上述の方法で作製した測定用カードセルの負極を、25℃の環境下で0.02Cの電流値で0.01Vまで定電流充電した。引き続いて0.02Cの電流値で1.5Vまで1回目の放電をした。その後、0.02Cの電流値で0.01Vまで定電流充電し、引き続いて0.02Cの電流値で1.5Vまで2回目の放電をして、図2(b)に示す容量と電圧との関係を示すカーブ22(式(14)のVneg(SOCneg))を取得した。
上述の方法で作製した測定用カードセルの負極を、25℃の環境下で0.02Cの電流値で0.01Vまで定電流充電した。引き続いて0.02Cの電流値で1.5Vまで1回目の放電をした。その後、0.02Cの電流値で0.01Vまで定電流充電し、引き続いて0.02Cの電流値で1.5Vまで2回目の放電をして、図2(b)に示す容量と電圧との関係を示すカーブ22(式(14)のVneg(SOCneg))を取得した。
b3)セル開回路電圧の測定
先に記載した実施例に用いる解析用電池を25℃の恒温槽内に1時間静置し、その後1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電し、その後、電流値が0.02Cに到達するまで4.2Vの定電圧充電を継続した。引き続いて0.02Cの電流値で2.5Vまで放電して、図2(c)に示す容量と電圧のカーブ23( 式(14)のVeq(DОD) )を取得した。さらに、式(14)を用いて、パラメータα〜δに適切な値を代入することで得た、V’pos(DOD)とV’neg(DOD)を用いて、両者の差分からEeq'(DОD)を求めた。なお、パラメータα〜δの妥当性はVeq(DОD)とV’eq(DОD)のフィッティングから判断する。また、フィッティングは目視あるいは平均二乗誤差等の関数の類似性を判断する指標により行う。図2(c)に、V’pos(DOD)を示す放電カーブ21’とV’neg(DODneg)を示す放電カーブ22’を示した。
先に記載した実施例に用いる解析用電池を25℃の恒温槽内に1時間静置し、その後1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電し、その後、電流値が0.02Cに到達するまで4.2Vの定電圧充電を継続した。引き続いて0.02Cの電流値で2.5Vまで放電して、図2(c)に示す容量と電圧のカーブ23( 式(14)のVeq(DОD) )を取得した。さらに、式(14)を用いて、パラメータα〜δに適切な値を代入することで得た、V’pos(DOD)とV’neg(DOD)を用いて、両者の差分からEeq'(DОD)を求めた。なお、パラメータα〜δの妥当性はVeq(DОD)とV’eq(DОD)のフィッティングから判断する。また、フィッティングは目視あるいは平均二乗誤差等の関数の類似性を判断する指標により行う。図2(c)に、V’pos(DOD)を示す放電カーブ21’とV’neg(DODneg)を示す放電カーブ22’を示した。
このようにして、初期のDODに応じた正極電位と負極電位を求める関数を決めた。ここで、Veq(DОD)は0.02Cの放電カーブを用いて実測値で取得することが好ましいが、何点かのDODに対する開回路電圧のデータを用いて補完することもできる。他には、数水準のレートに対する放電カーブからの推定もできる。また、正極電位と負極電位を決める本手段以外の方法に、実施例のセル内に予めリチウム金属による参照極を設ける方法が考えられる。この場合、b3)の手順を省けるかわりに測定対象のセルを3極式にする必要がある。
<充放電パターンからの電池電圧の実測>
次に、モデル式によるフィッティングを行うための実測データを測定した。
次に、モデル式によるフィッティングを行うための実測データを測定した。
本開示にかかるリチウムイオン二次電池の特性解析では、実測データを取得するための充放電パターンの一例として、定電流放電期間に引き続いて休止期間が設けられ、さらにその後に定電流充電期間が設けられたものを用い、この充放電パターンにおける電池電圧の変化を実測データとしてモデル式のフィッティング対象とする。
本実施形態として示すリチウムイオン二次電池の測定では、定格電流15Ah、定格電圧4.2Vのリチウムイオン二次電池に対して、1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電し、さらに、電流値が0.02Cに到達するまで4.2Vの定電圧充電を継続し、続いて0.02Cの電流値で2.5Vに到達するまで放電を行った。次に1Cの電流値で3.7Vまで定電流充電し、さらに、電流値が0.02Cに到達するまで3.7Vの定電圧充電を継続した。
その後、3Cの電流値で10秒間放電させた後、1分間(=60秒間)の休止期間を設け、さらに1Cの電流値で10秒間充電するという充放電パターンによって実測値を測定した。
なお、解析対象のリチウムイオン二次電池は、解析測定の前に25℃の恒温槽内に1時間静置した後、2Cの電流値で4.2Vまで定電流充電し、さらに、電流値が0.02Cに到達するまで4.2Vの定電圧充電を継続し、引き続き2Cの電流値で3Vまで放電する充放電動作を1サイクルとして、これを500サイクル繰り返した後の状態を解析した
このとき測定されたリチウムイオン二次電池の電圧値の実測データを、図3において点線31として示す。
このとき測定されたリチウムイオン二次電池の電圧値の実測データを、図3において点線31として示す。
次に、図3に点線31として示す電池電圧変化の実測データに対して、上述したモデル式(13)を用いてフィッティングを行った。
ここでは、式(13)に代入されるべき各種指標について、表1に示した各種指標には表1で示したそれぞれの数値を代入するとともに、負極のリチウムイオン拡散係数(Dsol_neg)には数値6×10-9cm2/secを、負極の界面抵抗値(Rneg)に数値0を、さらに、電解液のリチウム塩濃度の値として1.0kmol/m3を固定値として代入した。
負極活物質のリチウムイオン拡散係数は式(5)で用いられ、負極活物質粒子の表面と粒子内部とのリチウムイオンの濃度差に影響する。しかしながら一方で、図2(c)のグラフで、本実施例で用いたセル電圧3.7V近傍の負極電位を見ると、1.2V近傍でほぼ平坦になっている。よって、負極活物質のリチウムイオン拡散係数の変化は、セル電圧には殆ど影響しないことが分かる。また、実施例で用いた電池に関しては、負極の界面抵抗は正極の界面抵抗と比較して非常に低いことが実測のインピーダンス測定により分かっている。よって、両者を固定値としてもフィッティング結果に大きな影響はなく、むしろフィッティングのパラメータ数を減らすことによる精度向上が期待できる。
正極のリチウムイオン拡散係数(Dsol_pos)、電解液のリチウムイオン拡散係数(Dliq)、正極の界面抵抗値(Rpos)を変化させて実測データとの誤差が最も小さくなる条件を求め、結果として、正極のリチウムイオン拡散係数(Dsol_pos)が2×10-10cm2/sec、電解液のリチウムイオン拡散係数(Dliq)が3.70×10-6cm2/sec、正極の界面抵抗値3.04mΩという解を得た。
上記解析で得られた係数を代入して得られるモデル式からの電池電圧の変化を示す電圧曲線を、図3に実線32として記載した。動作期間である定電流放電期間から休止期間、再動作期間である定電流充電期間に渡る充放電パターンの全域において、実測データ値31とモデル式に当てはめた解析結果である電圧曲線32とがよく一致していることが分かる。
<好ましい充放電パターン>
ここで、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の特性解析方法において、モデル式によるフィッティングの対象となる実測値データを得る上での好ましい充放電パターンについて検討した結果を示す。
ここで、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の特性解析方法において、モデル式によるフィッティングの対象となる実測値データを得る上での好ましい充放電パターンについて検討した結果を示す。
なお、以下の検討結果に示す各比較例における、式(13)に代入されるべき各数値について、上記本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の特性解析と同様に、表1として示した各数値は表1に記載された固定値を代入した。また同様に、負極のリチウムイオン拡散係数(Dsol_neg)に6×10-9cm2/secを、負極の界面抵抗値(Rneg)に0Ωmを、電解液のリチウム塩濃度の値として1.0kmol/m3を固定値として代入し、正極のリチウムイオン拡散係数(Dsol_pos)、電解液のリチウムイオン拡散係数(Dliq)、正極の界面抵抗値(Rpos)をパラメータとして変化させて、モデル式の実測データへのフィッティングを行った。
図4に、第1の比較例として、1回の定電流放電を行った際の電池電圧値の変化を測定した実測データと、この実測データに対して電池モデル式からのフィッティングを行った結果得られた電圧曲線とを示している。
図4に示す比較例1において、点線41が、電流値2Cで1800秒間の定電流放電を行った際の実測データである。また、電圧曲線42が、パラメータとした指標として、電解液のリチウムイオン拡散係数(Dliq)が3.70×10-6cm2/sec、正極の界面抵抗値(Rpos)が3.4Ωm、正極のリチウムイオン拡散係数(Dsol_pos)の値が1.20×10-9cm2/secとした解析例1の結果である。また、電圧曲線43が、パラメータとした指標として、電解液のリチウムイオン拡散係数(Dliq)が3.70×10-6cm2/sec、正極の界面抵抗値(Rpos)が3.4Ωm、正極のリチウムイオン拡散係数(Dsol_pos)の値を2×10-10cm2/secとした解析例2の結果である。なお、図3に示した実施例において求められた特性値と、以下図4から図6として示す比較例における解析結果として求められた特性値とを、表2に一覧で示す。
図4に示した例では、解析例1の電圧曲線42は測定期間の前半で実測値データとの近似性が高いものの測定期間の後半では実測データからの乖離が大きく、解析例2の電圧曲線43は測定期間の前半での近似性は低いが後半での近似性は高くなっている。このことから、比較例1においては、実測データを測定した定電流放電期間の長さが1800秒間と長いため、放電時の自己発熱で測定対象のリチウムイオン二次電池の温度が上昇し、測定期間の前半と後半とで温度に依存して変化する電池特性値が変化したために、実測データの取得期間全体に対して高い近似性を有する電圧曲線が描けなかったことが原因であると考えられる。
本願で開示するリチウムイオン二次電池の特性解析方法においては、実測データにフィッティングさせるためのモデル式から温度依存性に関する項目を除去している。このため、実測データを取得する充放電パターンとして、測定対象のリチウムイオン二次電池に温度依存性が影響するような温度上昇を起こさせない充放電パターンを適用することが重要となる。
この観点から発明者らが検討したところ、定電流放電期間および定電流充電期間の条件として、電流値を測定対象のリチウムイオン二次電池におけるCレートでの電流値R(C)とし、定電流での放電および充電を行う動作時間tを秒単位で表した場合に、その積であるR(C)×tの値を300以下とすることが好ましいことが判明した。なお、R(C)×tの値は、200以下とすることがより好ましく、100以下とすることが特に好ましい。
一方、充電および放電の開始時と終了時との電池電圧(開回路電圧)が一定以上の差を有することにより、フィッティングの精度が向上し、解析精度を高めることができることから、R(C)×tの値は、1以上とすることが好ましい。なお、2以上とすることがより好ましく、5以上とすることが特に好ましい。
この場合において、R(C)が測定対象のリチウムイオン二次電池の特性によって左右される値であるため、R(C)単独での上限値は規定されないものの、電池電圧の変化の傾きが大きい方がフィッティング精度を高めて解析精度を向上させることができると考えられることから、R(C)は0.5C以上とするのがよく、1C以上が好ましく、2C以上がより好ましい。一方、通電中の電池温度の変化を抑制するためには、R(C)を大きくし過ぎない方がよく、100C以下が好ましく、50C以下がより好ましく、20C以下が特に好ましい。
一方、定電流放電期間および定電流充電期間の動作時間tの下限値については、tの上限値のようなモデル式の適合条件上の制約はないが、時間tが短すぎた場合には放電あるいは充電の終了時までに測定対象のリチウムイオン二次電池に生じる残存容量の変化が小さくなって、後の休止期間中の電圧回復が生じにくいという弊害が生じる。
発明者らが、上記実施例にかかるリチウムイオン二次電池を測定対象として、3Cの電流値で0.2秒間の定電流放電を行った場合の電池電圧変化の実測値を測定してみたところ、定電流放電期間後の休止期間(一例として60秒間)における電池電圧の変化がほとんど生じないという事態となった。
本開示にかかる電池特性の解析方法では、連続する動作期間と休止期間とを含む充放電パターンにおける電池電圧の変化に対して、モデル式のパラメータを変化させて近似させるものであるため、休止期間において電池電圧の変化が生じずに休止期間の電池電圧値が最初から最後まで一定の値のまま推移した場合には、休止期間の電池電圧値の変化に基づいてより好ましいパラメータ値を決定することができなくなる。この場合には、モデル式の特性値について、十分なフィッティングができなくなり、得られた特性値の精度が十分とは言えない。
このため、本開示にかかる電池特性の測定方法においては、定電流放電期間、および、定電流充電期間のそれぞれにおいて、R(c)×tとして、1以上の値を設定することが好ましい。
次に、測定対象のリチウムイオン二次電池の実測値を測定する充放電パターンにおける休止期間について検討した。
上記したように、本開示にかかる電池特性の解析方法では、測定対象のリチウムイオン二次電池の充放電特性として動作期間の後に所定の休止期間を設け、定電流放電または定電流充電によって変化した解析対象のリチウムイオン二次電池の電圧が休止期間に回復する動作に対してもモデル式を用いたフィッティングを行うことで、リチウムイオン二次電池内部の構成部材の特性値をより正確に把握しようとするものである。また、休止期間の後に再動作期間を設け、その間の定電流充電または定電流放電におけるリチウムイオン二次電池の電圧変化に対してもモデル式を用いたフィッティングを行うことで、さらに解析精度を向上させようとするものである。
ここで、動作期間と再動作期間との間の休止期間を所定の長さ以上とすることによって、放電時に上昇した解析対象のリチウムイオン二次電池の温度を低下させて、フィッティングのためのモデル式から温度依存性に関する項目を除去していても、より正確に電池を構成する各部材の諸特性を把握することができるという効果が得られる。よって、休止期間の長さは、この両面から規定することが好ましい。
図5は、動作期間である定電流放電期間の実測データに基づいてモデル式を用いてフィッティングさせた電圧値の変化である電圧曲線と、実測データとの乖離度合いを示した図である。
図5において、点線51が解析対象のリチウムイオン二次電池電圧の実測データの電圧値の推移を示す。図5に示すデータは、定電流放電期間に電流量3Cで10秒間の放電を行った後、60秒間の休止期間を経てその後に定電流充電を行うという、上記実施例のものと同じパターンでの充放電サイクルを行って取得されたものである。
図5における電圧曲線52と53とは、いずれも定電流放電期間での実測データのみに基づいてモデル式を用いてフィッティングを行った結果得られたものである。フィッティングにおいて、式(13)に代入されるべき各種指標について、表1に示した各種指標に表1の数値を代入するとともに、負極のリチウムイオン拡散係数(Dsol_neg)に6×10-9cm2/secを、負極の界面抵抗値(Rneg)に0Ωmを、さらに、電解液のリチウム塩濃度の値として1.0kmol/m3を固定値として代入した。定電流放電期間での実測データへのフィッティングの結果、表2に示すように、特性曲線52が、電解液のリチウムイオン拡散係数(Dliq)が3.70×10-6cm2/sec、正極の界面抵抗値(Rpos)が3.4Ωm、正極のリチウムイオン拡散係(Dsol_pos)の値が2×10-10cm2/secとしたものである。また、特性曲線53が、電解液のリチウムイオン拡散係数(Dliq)が1.00×10-6cm2/sec、正極の界面抵抗値(Rpos)が3.04Ωm、正極のリチウムイオン拡散係数(Dsol_pos)の値を5.00×10-10cm2/secとしたものである。
2つの電圧曲線52と53とは、定電流放電期間のみの比較では優劣はなく、いずれの電圧曲線がより実測データである電圧変位パターンとの近似性が高いかが不明だったものである。ところが、図5に示すように、休止期間の特に中間時点以降においては、電圧曲線52の方が明らかに電圧曲線53よりも実測値データ51に近似していることが分かる。
このように、定電流放電期間での実測データに加え、休止期間の実測データをフィッティングの対象とすることで、モデル式を用いて表される電圧曲線を実測データに一層近づけることができる。
図6は、休止期間の長さについての検討を行った際のリチウムイオン二次電池の実測データと、モデル式へのフィッティングにより得られた電圧曲線とを示す図である。
図6において、点線61が解析対象のリチウムイオン二次電池の実測データの推移を示す。図6に示すデータは、定電流放電期間に電流量3Cで10秒間の放電を行った後、5秒間の休止期間を経てその後に定電流充電を行うという充放電サイクルにおいて取得された実測データ61である。
図6における電圧曲線62と63とは、定電流放電期間と休止期間との実測データに基づいてモデル式を用いてフィッティングを行った結果得られたものである。フィッティングにおいて、式(13)に代入されるべき各種指標について、表1に示した各種指標に表1の数値を代入するとともに、負極のリチウムイオン拡散係数(Dsol_neg)に6×10-9cm2/secを、負極の界面抵抗値(Rneg)に0Ωmを、さらに、電解液のリチウム塩濃度の値として1.0kmol/m3を固定値として代入した。実測データへのフィッティングの結果、表2に示すように、電圧曲線62が、電解液のリチウムイオン拡散係数(Dliq)が3.70×10-6cm2/sec、正極の界面抵抗値(Rpos)が3.4Ωm、正極のリチウムイオン拡散係(Dsol_pos)の値が2×10-10cm2/secとしたものである。また、電圧曲線63が、電解液のリチウムイオン拡散係数(Dliq)が1×10-6cm2/sec、正極の界面抵抗値(Rpos)が3.04Ωm、正極のリチウムイオン拡散係数(Dsol_pos)の値を5×10-10cm2/secとしたものである。
図6では、各データの差異を明確にできるようにグラフのY軸方向を拡大して示しているが、2つの電圧曲線62と63とが、ともに実測データ61での電圧値の推移に正確に追従していて、優劣をつけがたい状態となっている。しかし、実施例の結果から、電圧曲線62の方が、より正しく計測対象のリチウムイオン二次電池の特性を示していることは明らかであり、特性曲線62を用いることが好ましいことが分かる。
このように、定電流放電期間の経過後において、所定の長さの休止期間を設け、定電流放電期間とともに休止期間での実測データを用いてリチウムイオン二次電池の特性解析を行うことがより好ましいことが分かる。また、より正確なフィッティングが行われている特性値を判別するためにも、休止期間は一定以上の長さが必要である。発明者らの検討によれば、休止期間は10秒間以上であることが好ましく、20秒間以上であればより好ましく、30秒間以上であれば特に好ましいことが判明した。また、休止期間を30秒間以上とすることで、定電流放電期間における解析対象のリチウムイオン二次電池の温度上昇の影響がより確実に解消できることが確認できた。
休止期間の上限については、下限のような解析精度上の制限ではなく、むしろ解析時間全体の長さなどの観点から決めることとなる。より確実に高い精度でのフィッティング行い、かつ、解析時間として好ましい範囲内に収めるためには、休止期間の上限は180秒程度以下とすることが好ましいと考えられる。
次に、休止期間後の定電流充電期間については、モデル式を用いて実測データにフィッティングして特性値を求めるに当たって、より精度を高くするという観点でその条件を定めることができる。
このため、例えば定電流放電期間での電流値と時間と同じ値の電流値と時間との定電流充電期間を設けることができる。
図3に示す実施例では、この観点に基づいて、定電流充電期間での電流値R(C)を3Cとし、充電時間を10秒間として設定した。
<リチウムイオン二次電池の内部状態解析の具体例>
次に、本開示にかかるリチウムイオン二次電池の解析方法を用いて行った、リチウムイオン二次電池の内部状態解析の具体例を示す。
次に、本開示にかかるリチウムイオン二次電池の解析方法を用いて行った、リチウムイオン二次電池の内部状態解析の具体例を示す。
解析対象のリチウムイオン二次電池としては、評価用電池Aとして上記した実施例のリチウムイオン二次電池を、評価用電池Bとして、正極活物質としてLiNi0.5Co0.2Mn0.3Zr0.01O2で表される複合酸化物を用いた以外は評価用電池Aと同様のリチウムイオン二次電池を、評価用電池Cとして、外装体内に注入する電解液量を評価用電池Bの1.12倍とした以外は評価用電池Bと同様のリチウムイオン二次電池とした。
それぞれの評価用電池の構成を、表3に示す。
解析測定は、作製したそれぞれの電池に対し、電流値2Cの定電流充電と、電流値が0.02Cに低下した時点で充電を終止する電圧値4.2Vでの定電圧充電とによる定電流−定電圧充電と、放電終止電圧が3Vで電流値2Cの定電流放電とを1サイクルとする充放電サイクルを繰り返し、サイクルごとの放電容量を測定した。また、所定数のサイクルが経過した時に、上記本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の解析方法に基づいて電池電圧の時間変化に関するデータを取得した。
具体的には、所定サイクル数における放電後の電池を、1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電し、さらに、電流値が0.02Cに到達するまで4.2Vの定電圧充電を継続し、続いて0.02Cの電流値で2.5Vに到達するまで放電を行った。続いて1Cの電流値で3.7Vまで定電流充電し、さらに3.7Vでの定電圧充電を行い、電流値が0.02Cに低下した時点で充電を終止することにより、電池の充電深度(SOC)をおよそ50%の状態とした。次いで、3Cの電流値で10秒間の放電を行い、1分間(=60秒間)の休止後に、1Cの電流値で10秒間の充電を行って、放電−休止−充電の充放電サイクルにおける電池電圧の変化を測定した。
なお、今回の実施例においては、式(14)の係数α〜δの値が解析対象のリチウムイオン二次電池の劣化に伴って変化する可能性を考慮して、解析を行うごとにセルのOCVを取得した。
解析対象電池それぞれの所定の充放電サイクル経過後の状態において、式(14)に代入した係数α〜δの値を表4に示す。
各電池のサイクルごとの放電容量変化を、1サイクル目の容量を100%とする相対値として図7に示した。図7において、符号71が評価用電池Aの放電容量の変化を、符号72が評価用電池Bの放電容量の変化を、符号73が評価用電池Cの放電容量の変化を、それぞれ示している。
サイクル途中で測定した電池電圧の時間変化に関するデータから、それぞれの電池の、「正極活物質内におけるリチウムイオン拡散係数」(正極拡散係数)、「電解液内におけるリチウムイオン拡散係数」(電解液拡散係数)をそれぞれ算出した。結果を表5に示す。
また、それぞれの電池の所定サイクル数における正極拡散係数の変化を図8に示した。図8において、符号81が評価用電池Aの正極拡散係数の変化を、符号82が評価用電池Bの正極拡散係数の変化を、符号83が評価用電池Cの正極拡散係数の変化を、それぞれ示している。
さらに、それぞれの電池の所定サイクル数における電極液拡散係数の変化を図9に示した。図9において、符号91が評価用電池Aの電極液拡散係数の変化を、符号92が評価用電池Bの電極液拡散係数の変化を、符号93が評価用電池Cの電極液拡散係数の変化を、それぞれ示している。
なお、上記本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の解析方法を用いた内部状態解析において、「負極活物質の界面抵抗」は、負極材料が同じであること、元々の値が小さいことを考慮して、サイクル中に変化しない定数として0で固定した。 「電解液内でのリチウム塩濃度」はサイクル初期の値は電解液の仕様から1.0kmol/m3としたが、充放電サイクルによる塩濃度の減少が顕著になる2000サイクル以降は、目視で判断したフィッティング精度が目標に到達しなかったため、以降は「電解液内でのリチウム塩濃度」をフィッティングパラメータに追加した。一例として評価用電池Aでの「電解液内でのリチウム塩濃度」は、2000サイクルで0.8kmol/m3、3000サイクルで0.75kmol/m3とした。
図8に示した正極拡散係数については、その値がおよそ1×10-10(cm2/s)よりも小さくなった場合に、正極活物質の粒子割れやそれに伴って起こる二次粒子の間隙増加、活物質表面での堆積物の増加等による活物質単粒子でのリチウムイオンの濃度拡散の阻害が顕著になったため考えられる。
また、図9に示した電解液拡散係数については、その値がおよそ1.5×10-6(cm2/s)よりも小さくなった場合に、セパレータの保持する電解液量が減少して液枯れの状態になったと考えることができる。
図8から、正極拡散係数の値が、正極活物質が劣化したものと見なされる1×10-10(cm2/s)よりも小さくなるのは、評価用電池Aでは2000サイクル程度、評価用電池Cでは4400サイクル程度と見積もられる。一方、図7に示されるそれぞれの評価用電池の放電容量の実測値を見ると、評価用電池Aでは上記2000サイクル、評価用電池Cでは4400サイクルに達する前の電池の容量低下の割合は、100サイクルあたり約1%以下と比較的小さい値であるのに対し、上記のサイクル数に到達した後は、電池の容量低下の割合が大きくなっていることが見て取れる。この結果、図7に示す電池容量の急激な減少が正極活物質の劣化に起因して生じていると判断することができる。
このように、本実施形態によるリチウムイオン二次電池の解析方法を用いることで、それぞれの電池における正極部材や電解液において電池特性を左右する指標の変化を正確に把握することができ、リチウムイオン二次電池の充電容量に大きな変化が生じた場合などに、どの構成部材に起因して容量の大きな変化が生じたのかを正確に推定することができる。
図7から、評価用電池Bでは、およそ3000サイクルまでは、他の2つの電池と同様に電池の容量低下の割合が100サイクルあたり約1%以下と比較的小さい値で推移しているが、3000サイクルを超えると急激な容量低下を生じて電池が寿命に達するという挙動を示していることがわかる。
図8と図9とから分かるように、評価用電池Bでは、正極活物質が劣化したと判断できる正極拡散係数が1×10-10(cm2/s)よりも小さくなるサイクル数が外挿すると5000サイクル程度であるのに対し、電解液拡散係数が1.5×10-6(cm2/s)よりも小さくなるサイクル数は3000サイクルであり、正極活物質の劣化よりも早い段階で電極液の液量が減少して液枯れの状態になったと考えられる。
以上から、評価用電池Bでの3000サイクルを超えた時点での電池容量の急激な低下は、電解液の液量の減少が原因であると推定できる。このように、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の解析方法によれば、電池を構成する各部材における詳細な状態変化を把握することができる。
次に、実測データを取得する際の充放電パターンとして、休止期間を挟んで設けられた定電流放電期間と定電流充電期間とにより構成された本実施形態における実施例としての解析結果ではなく、上記比較検討した比較例の場合に得られた解析結果を用いて電池内部の特性を解析した結果について説明する。
図10は、解析対象電池として上述の実施例(評価用電池A)を用い、所定サイクル数における正極拡散係数の変化を求めたものである。すなわち、上記本実施例にかかる解析結果を用いて異なる仕様の評価用電池についての数値を求めた、図8と同じ内容のデータを示す図面である。
図10中、点線81として示すものが、実施例の充放電パターンで得られた実測データに対してフィッティングを行った結果得られた正極拡散係数の値の推移を示す。図8に記載した点線81と同じ数値を示している。一点鎖線84で示したものは、上記比較例1の解析例1として示した充放電パターン、すなわち、電流値2Cで1800秒間の定電流放電によって得られた実測データのみに対するフィッティングで得られた特性値(図4における符号42)から得られた正極拡散係数の値である。また、二点鎖線85で示したものは、上記比較例2の解析例2として示した充放電パターン、すなわち、電流値3Cで10秒間定電流放電によって得られた実測データのみに対するフィッティングで得られた特性値(図5における符号53)から得られた正極拡散係数の値である。
また、図11は、解析対象電池として上述の実施例(評価用電池A)を用い、所定サイクル数における電解液拡散係数の変化を求めたものである。すなわち、図9と同じ内容のデータを示す図面である。
図11中、点線91として示すものが、実施例の充放電パターンで得られた実測データに対してフィッティングを行った結果得られた電解液拡散係数の値の推移を示す。図9に記載した点線91と同じ数値を示している。一点鎖線94で示したものは、上記比較例1の解析例1として示した充放電パターン、すなわち、電流値2Cで1800秒間の定電流放電によって得られた実測データのみに対するフィッティングで得られた特性値(図4における符号42)から得られた電解液拡散係数の値である。また、二点鎖線95で示したものは、上記比較例2の解析例2として示した充放電パターン、すなわち、電流値3Cで10秒間定電流放電によって得られた実測データのみに対するフィッティングで得られた特性値(図5における符号53)から得られた電解液拡散係数の値である。
なお、これらの数値を表6に一覧として示す。
上記図10、図11、および、表6に示すように、実施例として示した充放電パターン以外の、比較例の充放電パターンによる実測データへのフィッティングの結果得られた特性値では、図10に示す正極拡散係数の値の推移(符号84、85)、電解液拡散係数の値の推移(符号94、95)のいずれもが、一定サイクルの経過後にそれ以前の値よりも数値が大きくなる挙動を示している。
しかし実際には、正極拡散係数も電解液拡散係数も、ともに充放電サイクル数が増加すると劣化が生じるために、サイクル数が増えた際に拡散係数の値が大きくなるということは考えられない。これは、正しい解析値が得られていると考えられる、実施例の充放電パターンにより得られたデータ81、91から明らかである。また、特に比較例1の正極拡散係数が、サイクル数が大きくなった際に急激に大きな値となっているのは、解析対象電池の放電による温度上昇の影響を大きく受けたために、大きな誤差が生じたためと推測することができる。
以上の検討から明らかなように、本願で開示するリチウムイオン二次電池の特性解析方法では、モデル式により得られた数値によってフィッティングを行う実測値データとして、休止期間を挟んで設けられた定電流放電期間と定電流充電期間とにより構成される充放電パターンを解析対象の電池に印加して得ることにより、電池を構成する部材の特性値の正確な解析を行うことができる。
なお、実施例として示したリチウムイオン二次電池の特性解析方法によって得られた電池を構成する部材の特性値は、上記評価用電池A〜Cを用いて行った電池の充電容量の劣化要因の解析などとして利用される。このような解析の結果判明した、電池の諸特性の特徴に基づいて、新たに設計される電池の設計データとして活用することができる。また、解析対象となった電池の容量低下が生じにくい条件を求めて、ユーザに提供する推奨使用条件を作成することができる。
さらに、上記評価用電池A〜Cを用いた解析で得られたような、電池の残存容量の低下原因となる特性値の変化要因を正確に把握することで、この変化要因の劣化状態を外挿して解析対象のリチウムイオン二次電池の正確な残存寿命判定を行うことができる。
なお、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の解析方法において、解析対象のリチウムイオン二次電池の環境温度を検出する手段を備え、フィッティング作業実施時の環境温度を取得することができる。このように環境温度を取得することで例えば、特性値の解析を実施する際の固定値としての環境温度を、基準温度として別途定めておくことで、評価実施時の環境温度と基準温度に大きな乖離がある際に、実験式やモデル式に基づいて、フィッティングで得られた特性値を基準温度の特性値へと換算する処理が可能となる。
一般に電池部材の物性値は温度依存性を持つため、測定解析時の環境温度の違いが解析結果に影響する可能性があるが、上記の処理を行うことで、このような環境温度による解析結果の誤差を解消して、より正確な電池構成部材の特性値解析を行うことができる。
具体的には、リチウムイオン二次電池が配置されている空間の気温が徐々に変動した場合や、負荷回路の電源として連続的に作動させた場合などに、リチウムイオン二次電池自体の温度と上記した基準温度との間に大きな乖離を生じることがある。そのような場合でも、リチウムイオン二次電池の実温度を測定して解析時に基準温度との温度差に応じた補正を行うことにより、解析結果をより正確なものとすることができる。
なお、所定の充放電パターンによる実測データ取得時にも、電池の発熱に起因する短時間の電池温度の変動が生じ得るが、そのような短時間の温度変動は上記した環境温度には相当せず考慮する必要はない。このため、所定の充放電パターンにおける実測データの取得時には、例えば実測データを取得する直前の電池の温度を環境温度として取得し、実測データの測定中は当該環境温度下にあったものとして解析を行えばよい。
このため、本願で開示する二次電池の特性値の解析方法において、解析対象の二次電池の環境温度を測定する温度センサは、二次電池に接触している場合を含めて二次電池近傍の温度を測定できるように配置することが好ましい。
<リチウムイオン二次電池の特性解析装置>
次に、上記説明した本開示にかかるリチウムイオン二次電池の特性解析方法を実行する上で好ましい、特性解析装置について説明する。
次に、上記説明した本開示にかかるリチウムイオン二次電池の特性解析方法を実行する上で好ましい、特性解析装置について説明する。
図12は、本実施形態における、リチウムイオン二次電池の特性解析装置に構成を説明するためのブロック図である。
なお、図12は、本実施形態として示す特性解析装置の構成について、それぞれの果たすべき機能ごとにブロックとして表示したものであり、各ブロックは、実際の解析装置例における物理的区分を示すものではない。したがって、図12で一つのブロックとして示されている機能が、2つ以上の部材や回路基板により構成されている場合がある。また、図12において複数のブロックとして示された機能が、実際には一つの部材や回路基板上に搭載された場合が存在しうる。
図12に示すように、本実施形態にかかる特性解析装置10は、解析対象であるリチウムイオン二次電池20と、リチウムイオン二次電池20を電源として動作する負荷(回路)30とともに、リチウムイオン二次電池20が組み込まれた携帯形電子機器や電気自動車などの各種電気機器の内部に配置されている。
より具体的には、特性解析装置20は、リチウムイオン二次電池20と負荷30との接続を遮断して特性解析を行うための切替部11と、特性解析時にリチウムイオン二次電池20に対して所定の充放電パターンでの充電と放電とを行う充放電回路部12と、所定の充放電パターンでの充放電時の電池電圧を検出する測定回路部13と、切替部11と充放電回路部12とを制御する制御部14とを備えている。制御部14は、測定対象のリチウムイオン二次電池20に所定の充放電パターンを印加して、このときに測定回路部13により測定されたリチウムイオン二次電池20の電圧値を取得して、モデル式により得られた電圧値を示す電圧曲線のフィッティング対象となる実測データとする。
また、本実施形態の特性解析装置10では、制御部14は、電圧曲線を実測データにフィッティングを行い、電池を構成する部材の特性値を示すデータを出力する機能を有している。なお、本実施形態の特性解析装置10は、フィッティングを行うためのモデル式やモデル式から得られた電圧曲線、さらには、以前の行われたフィッティング結果を記憶するメモリ部15、解析結果を出力する出力部16を備えることができる。
切替部11は、リチウムイオン二次電池20の正極端子と負極端子に、負荷(回路)30と特性解析装置10とのいずれかのみを接続させるものであり、電気式機械式を問わずに各種の切り替えスイッチを用いることができる。このような切替部11を備えることで、解析対象のリチウムイオン二次電池20を、電子機器や自動車などの電源として用いられている状態のまま、物理的な取り外しを必要とすることなく電池特性の解析を行うことができる。
なお、特性解析のたびに測定対象のリチウムイオン二次電池20を切り離すことが可能であれば、特性解析装置において切替部11が不要であることはいうまでもない。また、例えば負荷30側の切替機能によって、特性解析時に負荷のインピーダンスを大きくすることができ、負荷が接続された状態での特性解析に支障がない場合にも、切替部11が不要であることはいうまでもない。
充放電回路部12は、図3で例示したような、本開示にかかるリチウムイオン二次電池の特性解析に用いられる所定の充放電パターンを測定対象のリチウムイオン二次電池20に対して行うことができる回路構成となっている。具体的には、充放電回路部12は、充放電電流を測定可能な電流計と、所定の放電電流を実現できる容量可変の負荷と、所定の電流を供給できる電流源、さらに、放電期間、休止期間、充電期間を制御するタイマとを備えている。なお、所望の電流値での放電、充電が行われているかを監視し、誤差がある場合にこれを修正するフィードバック機能や、充電期間、休止期間、放電期間の長さを制御するタイマ機能は、類似の機能を有することが多いと考えられる制御部14側に配置することができる。
測定回路部13は、少なくとも、充放電回路部12により行われる充放電パターン時のリチウムイオン二次電池20の電圧値の変化を、時間の経過とともに把握する電圧計を含んだ構成として実現される。測定回路部13は、測定したリチウムイオン二次電池の電圧値の実測データを制御部14へと送信する。また、測定回路部13は、機器の動作電源として用いられるリチウムイオン二次電池20の、通常の充電時や放電時における電圧値などを測定し、リチウムイオン二次電池20の状態を常に把握する手段としても用いることができる。リチウムイオン二次電池20の電池電圧が規格値とは大きく異なる場合など、特性解析時、または、通常動作時に、解析対象のリチウムイオン二次電池20に異常があると判断される場合には、測定回路部13が異常の発生を制御部14に通知する機能を備えることができる。
制御部14は、特性解析装置10全体の制御を行うとともに、モデル式により表された電圧曲線を実測データにフィッティングして、所望する電池部材の特性値を算出するものであり、マイコンや論理回路、および、その他各種電気回路の組合せとして実現されるものである。
なお、本実施形態の特性解析装置では、解析対象のリチウムイオン二次電池20を動作電源とする負荷30とともに配置されているものであり、解析対象のリチウムイオン二次電池20の残存寿命の判断を行う上で好適である。この場合、制御部14は、本実施形態で示した特性解析方法に基づいて得られた電池部材の特性値の推移からこれを外挿することで、解析対象のリチウムイオン二次電池20の寿命を計算する機能を備えることになる。なお、制御部14もしくは特性解析装置10内のいずれかの部分に、寿命判定のために解析対象のリチウムイオン二次電池20の充放電回数をカウントする機能を有することが好ましい。
制御部14での特性解析において必要なデータを記憶するメモリ部15は、ROMやフラッシュメモリ、ハードディスクなどの周知の記憶手段を用いることができる。また、制御部14での特性解析結果を特性解析装置10の外部へと出力する出力部16は、データ出力端子部やデータ送信機能部、画像表示を行うモニタ部材等の、各種の部材を用いることができる。
なお、解析対象のリチウムイオン二次電池20を電源として動作する負荷30が電子機器等である場合には、メモリ部15や出力部16として、負荷30である電子機器の当該機能を有する部材を利用することができる。
温度センサ17は、解析対象のリチウムイオン二次電池20の近傍に配置されていて、測定したリチウムイオン二次電池20の温度を制御部14に送信する。温度センサ17としては、熱電対やサーミスタ、測温抵抗体などの従来から用いられている電気的温度検出素子を用いることができる。
制御部14は、温度センサ17から得られる、データを取得している際のリチウムイオン二次電池20の環境温度を取得すると、メモリ部15に保存されていた各種部材の特性値の温度依存性データ、または、変換式などに基づいて基準温度での特性値に変換して、所望する特性値の解析データを得ることができる。このようにすることで、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の特性解析装置では、実際に測定解析が行われた温度に関わらず、基準温度における状態での特性値に基づいた正確な特性解析を行うことができる。
なお、特性解析方法の実施形態においても説明したように、温度センサ17が検出すべきリチウムイオン二次電池20の環境温度は、測定解析時の各部材の温度、すなわちリチウムイオン二次電池20自体の温度である。このため、温度センサ17は、リチウムイオン二次電池20に接触している場合を含めて、リチウムイオン二次電池の近傍に配置されていることが好ましい。
本実施形態にかかる二次電池の特性解析装置は、上記実施形態で説明した本願で開示する二次電池の特性解析手法を実行可能な装置であり、少なくとも、解析対象の二次電池に対して所定の充放電パターンでの充放電行って実測データを取得する機能と、得られた実測データに対してモデル式で表された電圧値のフィッティングを行って、モデル式の所望の特性値を把握可能なものである。
本開示にかかる特性解析装置は、実測データを取得する際に、休止期間を挟んで設けられた定電流放電期間と定電流充電期間とにより構成される充放電パターンを印加することができれば良く、例えば、従来技術として示した特許文献1に記載された解析装置のように、測定温度や充放電電流値が異なる条件下で測定された複数の測定データを得る必要がない。
このため、解析対象の二次電池を動作電源とする負荷回路とともに電子機器内に配置することができるため、正確な寿命診断を行うことができるという従来技術では実現し得なかった用途に使用可能である。
以上説明したように、本願で開示する二次電池の特性解析方法と、特性解析装置は、簡易な構成でありながら、迅速に、かつ、正確に、解析対象の二次電池の所望の特性を把握することができる。
なお、上記実施形態では、解析対象の二次電池がリチウムイオン二次電池である場合に特化して説明した。リチウムイオン二次電池は、化学種が反応過程で溶解と析出を繰り返すため、電極の表面状態や構造が不均一な状態に変化するニッケルカドミウム電池や鉛畜電池と比較して、活物質の結晶構造中にリチウムイオンが挿入脱離することで電気化学反応が進行するため、反応過程で活物質の形状や多孔質電極の空隙形状が大きくは変化しない。このため、本願で開示したモデル式を用いて電池の構造を表現しやすく、各部材の特性値の解析に、モデル式を用いたフィッティング手法を用いることが好ましい。また、リチウムイオン電池で用いられる、リチウム酸化物(遷移金属系)や黒鉛の活物質電位は、その充電率に依存して変化する特徴を持つため、活物質拡散係数の大小、すなわち、それに伴う活物質粒子内での充電率の違いが、電圧変化に反映されやすいため、フィッティング結果がより正確なものとなりやすいという利点がある。
一方で、本願で開示する二次電池の解析方法、解析装置は、リチウムイオン二次電池以外の二次電池にも好適に適用することができる。
例えば、適用対象がニッケル水素電池の場合には、反応に関与する化学種をリチウムイオンから水酸化物イオンに変更し、正極活物質内のリチウムイオンの拡散係数、負極活物質内のリチウムイオンの拡散係数の代わりに、正極活物質内の水酸化物イオンの拡散係数、負極活物質内の水酸化物イオンの拡散係数を定義する。また、電解液内のリチウムイオンの拡散係数の代わりに電解液内の水酸化物イオンの拡散係数を用いる。さらに、電解液内でのリチウムイオン塩濃度をアルカリ電解液の濃度とすることで本手法をそのまま用いることができる。
また、適用対象がニッケルカドミウム二次電池の場合には、反応に関与する化学種をリチウムイオンから水酸化物イオンに変更し、電解液内のリチウムイオンの拡散係数の代わりに電解液内の水酸化物イオンの拡散係数を用い、電解液内でのリチウムイオン塩濃度をアルカリ電解液の濃度とする。なお、ニッケルカドミウム電池は、細孔に浸透した電解液を介して活物質内部に水酸化物イオンが輸送される。これを考慮して、正極活物質内のリチウムイオンの拡散係数、負極活物質内のリチウムイオンの拡散係数の代わりに、正極活物質内の水酸化物イオンの拡散係数、負極活物質内の水酸化物イオンの拡散係数を定義する。また、活物質形状が例えば多孔質の平板等の、球体ではない場合には、式(5)の形式を活物質や電極の形状に応じて変更する必要がある。なお、平板の場合には平板の拡散方程式を用いることとなる。また、適用対象が鉛畜電池の場合には、化学種を水酸化物イオンから硫酸イオンに変更し、アルカリ電解液の濃度を希硫酸の濃度に置き換えることで、ニッケルカドミウム二次電池と同様の手段での解析を行うことができる。
ニッケル水素電池は、電極が水素吸蔵合金であり、活物質の結晶中に取り込まれた水素イオンの挿入脱離で電気化学反応が進行する。このため、反応過程で活物質の形状や多孔質電極の空隙形状が大きくは変化しないので、本解析手法を適用することで正確な解析を行うことが可能である。
ニッケルカドミウム電池や鉛畜電池のような、反応過程で化学種が溶解と析出を繰り返す電池では、充放電が長時間に及ぶと電極構造が変化して解析精度が落ちる可能性が懸念されるが、本願で開示する解析方法では、短時間の充放電パターンにおける実測データを用いて解析を行うため、データ取得過程での電極状態の変化を抑制できる。この結果、本願で開示する二次電池の特性解析方法は、このような、各部材の特性値の解析が比較的困難な二次電池の特性解析ができるという大きな利点がある。
また、上記実施形態において、解析対象をリチウムイオン二次電池とした場合に、リチウムイオン二次電池の「正極活物質内のリチウムイオン拡散係数」「電解液内のリチウムイオン拡散係数」「正極活物質の界面抵抗」の3つの特性値を求める例のみを示した。しかし、本願で開示する二次電池の特性解析方法をリチウムイオン二次電池の特性解析に適用する場合には、これら3つの特性値を解析値として得るものに限られず、上記、「正極活物質内のリチウムイオン拡散係数」「電解液内のリチウムイオン拡散係数」「正極活物質の界面抵抗」に、さらに、「負極活物質内のリチウムイオン拡散係数」「負極活物質の界面抵抗」「電解液内でのリチウムイオン塩濃度」の3つの特性を加えた、併せて6つの特性値について、少なくとも1以上の特性値を求める解析方法として使用することができる。
なお、適応対象が例えば、ニッケル水素電池の場合は、上記、「正極活物質内の水酸化物イオン拡散係数」「電解液内の水酸化物イオン拡散係数」「正極活物質の界面抵抗」に、さらに、「負極活物質内の水酸化物イオン拡散係数」「負極活物質の界面抵抗」「電解液内でのアルカリ塩濃度」などを求める解析方法が考えられる。
適応対象の二次電池が、ニッケルカドミウム電池の場合は、上記、「正極活物質内の水酸化物イオン拡散係数」「電解液内の水酸化物イオン拡散係数」「正極活物質の界面抵抗」に、さらに、「負極活物質内の水酸化物イオン拡散係数」「負極活物質の界面抵抗」「電解液内でのアルカリ塩濃度」などを求める解析方法が考えられる。 また、正極活物質や負極活物質の表面に生じた堆積物により反応が阻害される可能性があり、「活物質の比表面積」や「塗布厚」がパラメータになる可能性もある。なお、鉛畜電池においても、化学種を水酸化物イオンから硫酸イオンに置き換えることで、ニッケルカドミウム電池と同様の解析方法で精度の高い解析を行うことが考えられる。
また、上記実施形態では、実測値データを得る充放電パターンとして、動作期間としての定電流放電期間と、休止期間と、再動作期間としての定電流充電期間とにより構成された充放電パターンを用いるもののみを例示して説明した。しかし、本願で開示する二次電池の特性解析方法において実測データを得るために行われる充放電パターンは、このパターンを使用するものには限られず、少なくとも動作パターンとして所定の定電流充電期間、または、定電流放電期間と、その後に休止期間とを設けたパターンを含む充放電パターンであれば、各種の充放電パターンを用いて実測データを得て、これをフッティング対象とすることができる。
具体的には、動作期間と休止期間とのみから構成される充放電パターンとして、定電流放電期間とその後に設けられた休止期間とからなる充放電パターン、または、定電流充電期間とその後の休止期間とからなる充放電パターンを採用することができる。
また、上記の実施形態で説明した、間に休止期間を挟んで動作期間と再動作期間とを設けた他の充放電パターンとして、定電流放電期間と休止期間と定電流放電期間とを備えた充放電パターン、定電流充電期間と休止期間と定電流放電期間とを備えた充放電パターン、定電流充電期間と休止期間と定電流充電期間とを備えた充放電パターンの、いずれをも採用することができる。なお、このように、間に休止期間を挟んで、動作期間と再動作期間とを設けた充放電パターンを用いることで、解析対象の二次電池の電圧値の変化を二次電池の温度上昇の影響なく測定できるために好ましい。さらに、休止期間の前後の動作期間と再動作期間とで定電流充電と定電流放電とを異ならせた充放電パターンを適用することで、解析対象の二次電池のSOCの変化を小さく維持することができるため、より正確に電池構成部材の特性値の解析を行うことができる。
さらに、動作期間と休止期間と再動作期間とを備えた充放電パターンを2回、もしくはそれ以上の回数連続して行って得た実測データに対して、モデル式で表された電圧値のフィッティングを行うことも可能である。この場合、実測データを取得するための時間がかかってしまう反面、間に休止期間を挟んでいるために測定対象の二次電池の温度上昇を効果的に抑えた状態で、より複雑な二次電池の電圧値の変化を挙動として捉えることができるため、電池を構成する各部材の特性値を極めて正確に解析することができる。
なお、いずれの場合においても、動作期間、および、再動作期間において、解析対象の二次電池に印加される定電流放電、または、定電流充電の条件は上記実施形態で示したものと同じであり、電流値としては、0.5C〜100Cの範囲が好ましく、さらに、1C〜50Cの範囲がより好ましく、さらに2C〜20Cの範囲が特に好ましい。また、動作時間は、電流値R(C)との積Rtが1以上300以下の範囲となることが好ましく、5以上100以下の範囲であることがより好ましい。
同様に、休止期間も、10秒間以上であることが好ましく、20秒間以上であればより好ましく、30秒間以上であれば特に好ましい。
本開示の二次電池の特性解析方法、および、特性解析装置は、簡単な構成でありながら、迅速、かつ、正確に解析対象のリチウムイオン二次電池をはじめとする各種二次電池の特性値を把握することができる。このため、二次電池の改善設計に必要なデータや、より好ましい動作条件を示すデータ、二次電池の正確な寿命データなどを得ることができ、電源として広く使用される二次電池の特性解析方法、および、特性解析装置として有用である。
10 特性解析装置
12 充放電回路部
13 測定回路部
14 制御部
20 リチウムイオン二次電池
12 充放電回路部
13 測定回路部
14 制御部
20 リチウムイオン二次電池
Claims (11)
- 電池を構成する部材の特性値をパラメータとするモデル式を用いて、前記モデル式で表される前記電池の電圧値を実測データにフィッティングさせることで、前記部材の特性値を推定する二次電池の特性解析方法であって、
前記実測データが、定電流放電期間または定電流充電期間のいずれかからなる動作期間と、前記動作期間に引き続いて設けられた休止期間とを含む充放電パターンを解析対象の電池に印加して得られたものである、二次電池の特性解析方法。 - 前記充放電パターンが、前記動作期間と、前記休止期間と、さらに、前記休止期間に引き続いて設けられた再動作期間とを含み、前記再動作期間は、定電流放電期間または定電流充電期間のいずれかからなる、請求項1に記載の二次電池の特性解析方法。
- 前記充放電パターンの前記動作期間における動作時間t(秒)は、Cレートでの電流値R(C)との積R×tが1以上300以下の範囲となるように設定された、請求項1に記載の二次電池の特性解析方法。
- 前記充放電パターンの前記動作期間および前記再動作期間における動作時間t(秒)は、Cレートでの電流値R(C)との積R×tが1以上300以下の範囲となるように設定された、請求項2に記載の二次電池の特性解析方法。
- 前記充放電パターンにおける前記休止期間が10秒間以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池の特性解析方法。
- 前記二次電池がリチウムイオン二次電池である、請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池の特性解析方法。
- 前記モデル式において、実測データとのフィッティングの結果その数値が特定される前記特性値が、正極活物質内におけるリチウムイオン拡散係数、負極活物質内におけるリチウムイオン拡散係数、電解液内におけるリチウムイオン拡散係数、正極活物質における界面抵抗、負極活物質における界面抵抗、電解液内でのリチウムイオン塩濃度のうちの少なくとも一種以上である、請求項6に記載の二次電池の特性解析方法。
- 特性解析時の環境温度を検出し、解析された前記部材の特性値を基準温度における特性値に換算する、請求項1〜7のいずれかに記載の二次電池の特性解析方法。
- 二次電池に対して所定の電流値での充電および放電の少なくとも一方を行う充放電回路部と、
前記二次電池の電圧を測定する測定回路部と、
前記充放電回路部を制御して、所定の充放電パターンにおいて前記測定回路部により測定された前記二次電池電圧の実測データを取得する制御部とを備え、
前記制御部が、モデル式により得られた電圧値を取得された前記実測データにフィッティングさせることで、電池を構成する部材の特性値を推定する機能をさらに有し、
請求項1〜請求項7のいずれかの特性解析方法に基づいて二次電池の特性を解析する、特性解析装置。 - 特性解析時の環境温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記制御部が、前記温度センサが検出した特性解析時の環境温度に基づいて前記電池を構成する部材の特性値を推定する、請求項9に記載の特性解析装置。 - 前記二次電池の負荷となる電気回路とともに用いられ、所定回数の充放電が行われた状態の前記二次電池の特性解析を行う、請求項9または10に記載の特性解析装置。
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