JP5457745B2 - 基材フィルム - Google Patents
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Description
近年では光学部品、特に液晶関連分野における各種部品の表面保護フィルムの需要が増加している。光学部品は、多数の部品を組み合わせて製造されるため、各部品の表面は非常に高度の平滑性が要求されており(特許文献1参照)、部品表面への異物の混入、傷付きは極力避けなければならない。これら光学部品の製造においては、各工程で生産された部品につき、次工程へ届けられるまでの間の傷付き、汚れ等から部品を保護するため、生産後クリーンな条件下で直ちに表面保護フィルムが貼付され、その状態で保管、輸送され、部品スペックの光学検査も保護フィルムを貼り付けた状態で行われる。光学部品の光学検査を適正に行うべく、粘着剤層を介して被着体(光学部品)に保護フィルムを貼付する際、気泡を巻き込まないことが厳に要請される。また、一度貼り付けられた表面保護フィルムは、部品の保管、輸送中に不用意に剥れてはならないが、一方、次工程に到着した際には、速やかに除去できることを要し、しかも除去後の光学部品の表面に粘着剤の痕跡を残してはならない。
また、保護フィルムは、ロール状に巻き取られた巻回体として製造され、保存されることが便宜である。この巻回体の製造において、粘着剤層と一つ下のフィルム層との間に気泡を巻き込むと、粘着剤層に気泡の痕が残り、上記光学検査の支障となる。最も酷い場合には、巻取り時に皺が発生し、製品として使用できない場合も考えられる。さらに、保護フィルムは、巻回体としたときに、その粘着剤層が一つ下のフィルム層の基材フィルムと好ましくない強固な接着を起こさず、使用の際に保護フィルムを容易に引き出しうることが要求される。
このように、保護フィルムの粘着剤層の粘着性には、場面および接触相手に応じて種々の性能が要求され、細かい調整が要求される。従来は、この調整を粘着剤の材料面および巻回体製造の際の巻取り条件の最適化から行うことが通常であった。しかし、この方法によると、巻回体の製造時および使用時に要求される性能と、保護フィルムとしての性能とのバランスを取ることは非常に困難であり、しかもその再現性もとれないことが指摘されている。
この点、特許文献2には、プリント配線基板の保護フィルムに関するものとして、保護フィルムの片面を粗面化する技術が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載された技術は、プリント配線基板の感光性レジスト樹脂組成物層表面に凹凸を転写するための粗面の形成に関し、光学部品用の保護フィルムを巻回体としたときに粘着剤層と一つ下のフィルム層の基材フィルムとの好ましくない強固な接着を抑制する効果は微弱であり、さらに特許文献2の基材フィルムは二軸延伸フィルムであり、偏光特性を有しているため、上記光学部品の光学検査には適さない。
かかる目的のためにフィルムを着色する方法としては、例えばフィルムの表面に印刷を施す方法が知られている。しかし、この方法によると、フィルムの成型とは別個に、さらに印刷を施す工程が必要となって経済性に劣るばかりでなく、フィルム表面に薄く均一に印刷することが困難であり、印刷ムラが発生する可能性が高く、この印刷ムラのために光学部品の光学検査に支障を来たすとの問題がある。さらに、印刷法により製造された着色フィルムは、後の粘着剤層の積層工程において使用される有機溶剤に表面の印刷インキが溶出するとの問題もある。
フィルムを着色する別の方法として、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造時に、ポリプロピレンフィルムを縦方向に延伸した後に着色剤を含有する塗工液を塗布して溶媒を除去した後に、更に横方向に延伸することにより、印刷ムラのない着色フィルムを一工程で製造する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、フィルム表面の印刷インキが有機溶剤に溶出する問題は依然として解決されておらず、また、二軸延伸フィルムは偏光特性を有しているため、光学部品の光学検査にはそもそも適さない。
上記述べてきたとおり、光学部品の表面保護フィルムに好適に用いることのできる基材フィルムは、従来提案されていない。
片面に粘着剤層を積層してなる保護フィルムに用いられる基材フィルムであって、
該基材フィルムは、それぞれがポリオレフィン系樹脂からなる少なくとも2層を有する積層体フィルムであり、これら2層がそれぞれ粘着剤層を積層する側の最外層および粘着剤層を積層しない側の最外層を構成し、
該基材フィルムの粘着剤層を積層する側の最外層がポリプロピレン系樹脂からなり、
該基材フィルムの粘着剤層を積層しない側の最外層が、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との合計に対するポリエチレン系樹脂の含有割合が5〜50重量%であるポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とのブレンドからなり、
該基材フィルムの粘着剤層を積層する側の表面の平均粗さ(Ra)が0.25μm以下であり、
該基材フィルムの粘着剤層を積層しない側の表面の平均粗さ(Ra)が0.30μm以上であり、そして
光学部品用保護フィルムに用いられる前記基材フィルムによって達成される。
従って、本発明の基材フィルムは、特に光学部品の光学部品用保護フィルムに好適に用いることができる。
粘着剤層を積層する側の最外層に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、表面の平滑性を確保し、フィッシュアイの発生を抑制するとの観点から、ポリプロピレン系樹脂である。ここでポリプロピレン系樹脂としては、結晶性ポリプロピレン樹脂が好ましく、JIS K 7210に準拠して230℃において測定したメルトフローレート(MFR)が1〜25g/10分であることが好ましく、3〜10g/10分であることがより好ましい。また、結晶性ポリプロピレン樹脂の融点としては、125℃以上であることが好ましく、125〜165℃であることがさらに好ましい。かかる結晶性ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモ−ポリプロピレン)、プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダム−ポリプロピレン)もしくはブロック共重合体(ブロック−ポリプロピレン)またはこれらの混合物等を挙げることができる。上記プロピレンと共重合される他のα−オレフィンとしては、例えばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体における他のα−オレフィンの共重合割合は10モル%以下とすることが、ポリプロピレン系樹脂の結晶性を保持する観点から好ましい。中でもポリプロピレン単独重合体が、フィッシュアイ発生が少ないことのほか、透明性が高いことおよび平滑性が発現しやすいことから、最も好適である。
粘着剤層を積層する側の最外層の厚みは、反対側すなわち粘着剤層を積層しない側の表面凹凸の影響を減殺して平滑な表面とする観点から、2μm以上であることが好ましく、より好ましくは5〜50μmであり、さらに10〜30μmであることが好ましい。
後述するように、粘着剤層を積層する側の最外層には着色剤が配合されていてもよい。
粘着剤層を積層しない側の最外層に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂からなるブレンドである。すなわち、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂は互いに非相溶であり、これらのブレンドは海島構造を形成するため、表面に適当な凹凸が生じ、これによって基材フィルムの粘着剤層を積層しない側の表面の平均粗さ(Ra)が0.30μm以上となるのである。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、粘着剤層を積層する側の最外層に好ましく用いられるポリプロピレン系樹脂として上記に例示したものと同様のものを挙げることができる。これらのうち、フィッシュアイの発生が少ないこと、透明性が高いことおよび好適な表面凹凸が発現される観点から、ホモ−ポリプロピレンまたはブロック−ポリプロピレンを使用することが好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、線状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)等を挙げることができる。粘着剤層を積層しない側の最外層に用いられるポリエチレン系樹脂としては、JIS K 7210に準拠して190℃において測定したメルトフローレート(MFR)が0.5〜15g/10分であるポリエチレン系樹脂が好ましく、1〜10g/10分であるポリエチレン系樹脂がより好ましい。上記ポリエチレン系樹脂として最も好ましくは、得られる基材フィルムの透明性および粘着剤層を積層しない側の表面凹凸の発現性の観点から、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)である。
粘着剤層を積層しない側の最外層に用いられるポリオレフィン系樹脂、好ましくはポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂からなるブレンドは、公知の方法により調製することができる。例えばそれぞれのペレットを所定割合で適当な混練機に投入し、好ましくは200〜300℃で、好ましくは0.1〜2分間混練した後に、本発明の基材フィルムの製造に供することができる。好ましい混練機としては、例えば押出機を挙げることができ、特に単軸押出機を使用することが好ましい。ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂からなるブレンドの調製に押出機を使用する場合、ダイ温度は樹脂温度と同じであることが好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂のブレンドにおいては、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂のブレンド比率ならびに混練機における混錬条件(特にシェア)を適宜に設定することにより、得られる基材フィルムの粘着剤層を積層しない側表面の表面粗度を任意にコントロールすることが可能である。
上記粘着剤層を積層しない側の最外層の厚みは、粘着剤層を積層しない側の表面に適当な凹凸を確実に発現する観点から2μm以上であることが好ましく、より好ましくは5〜50μmであり、さらに10〜30μmであることが好ましい。
後述するように、粘着剤層を積層しない側の最外層には着色剤が配合されていてもよい。
本発明の基材フィルムにおいて、最外層の両面の表面凹凸の状態は非常に重要である。そのため片側の最外層の表面凹凸が反対側の最外層の表面凹凸へ及ぼす影響を低減する目的で、粘着剤層を積層する側の最外層および粘着剤層を積層しない側の最外層以外の層を中間層として有することが好ましい。この場合、該中間層はポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。このポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等を挙げることができる。
この場合のポリプロピレン系樹脂としては、粘着剤層を積層する側の最外層に好ましく用いられるポリプロピレン系樹脂として上記に例示したものと同様のものを挙げることができる。この場合のポリエチレン系樹脂としては、粘着剤層を積層しない側の最外層に好ましく用いられるポリエチレン系樹脂として上記に例示したものと同様のものを挙げることができる。
中間層に使用されるポリオレフィン系樹脂としては、フィッシュアイの発生が少ない観点から、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましく、得られる基材フィルムの柔軟性を確保するとの観点から、特にランダム−ポリプロピレンまたはブロック−ポリプロピレンを用いることが好ましい。
かかる中間層は、1層のみからなっていてもよく、あるいは2層以上からなっていてもよいが、フィルム製造における簡便性の観点から1層のみであることが好ましい。
かかる中間層の厚みは、2〜96μmであることが好ましく、より好ましくは6〜70μmであり、さらに10〜50μmであることが好ましい。
後述するように、中間層のうちの少なくとも1層には着色剤が配合されていてもよい。
本発明の基材フィルムを構成する粘着剤層を積層する側の最外層および粘着剤層を積層しない側の最外層ならびに任意的に存在する中間層のうちの少なくとも1層は、着色剤が配合された層であってもよい。着色剤が配合された層を少なくとも1層有する本発明の基材フィルムは、着色ムラがなく、しかも有機溶剤への印刷インキ(ないし着色剤)が溶出するとの問題がない着色フィルムを製造するための基材フィルムとして好適である。
上記着色剤としては、染料および顔料のいずれも使用することができるが、有機溶剤への溶出をより確実に防止でき、耐候劣化が少ない点で顔料を使用することが好ましい。使用される顔料としては特に制限はなく、プラスチック用顔料として一般に用いられている有機系顔料および無機系顔料を好適に用いることができる。
上記有機系顔料としては、例えばアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アニン系顔料、キナクリドン系顔料等を挙げることができ、上記無機系顔料としては、例えば酸化チタン、ベンガラ、群青、カーボンブラック、コバルトブルー等を挙げることができる。これらの顔料は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも有機系顔料が、顔料自体の二次凝集物によるフィッシュアイ等の欠陥の発生が少ないことのほか、本発明の基材フィルムの各層を構成する材料として好ましく用いられるポリオレフィン系樹脂に対する分散性がよいことから好適である。
ポリオレフィン系樹脂に着色剤を配合する方法には特に制限はなく、例えばポリオレフィン系樹脂のペレットに着色剤を直接に配合する方法、一旦ポリオレフィン系樹脂および着色剤を予め混合して着色剤を高濃度で含有するマスターバッチ(着色剤マスターバッチ)を製造し、この着色剤マスターバッチとポリオレフィン系樹脂のペレットとを混合する方法等によることができるが、着色剤の分散状態、成型機へ着色剤の付着を回避すること等を勘案すると、着色剤マスターバッチを用いて配合する方法が好ましい。
本発明の基材フィルムを構成する層のうちの少なくとも1層に着色剤を配合して着色フィルムとする場合、該基材フィルムが粘着剤層を積層する側の最外層および粘着剤層を積層しない側の最外層以外に少なくとも1層の中間層を有し、該着色剤を配合された層が前記中間層のうちの少なくとも1層であることが好ましい。着色剤を中間層のうちの少なくとも1層にのみ配合することにより、後の粘着剤層の積層工程において使用される有機溶剤へ着色剤が溶出するとの問題、成型機、特にダイス内部への着色剤の付着の問題等をより確実に防止することができることとなり、特に好ましい。
本発明の基材フィルムの製造方法としては、例えばインフレーション法、キャスト法、一軸で延伸する方法等を挙げることができる。二軸以上の延伸は、得られる基材フィルムが偏光特性を持つこととなるため、光学部品の保護フィルム用途としては好ましくない。従って、無延伸で成型することが好ましく、特にキャスト法による無延伸フィルムとすると熱収縮の小さい基材フィルムとすることができる。そのため粘着剤層を積層する工程における寸法変化が小さく、且つ最終的に得られる保護フィルムが被着体の表面凹凸に対する追従性に優れることとなる点で好ましい。
本発明の基材フィルムは、これを構成するすべての層がそれぞれ無延伸フィルムであることが好ましい。
基材フィルムを多層構造とする方法としては、例えばマルチマニホールド法やフィードブロック法に代表される共押出法やインラインラミネート法等の公知の方法を採用することができる。また各層をドライラミネーション等により接着剤層を介して積層してもよい。
かくして得られる本発明の基材フィルムの厚み(総厚み)は、被着体の面積、形状等に応じて適宜に設定することができるが、10〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは20〜80μmであり、特に好ましくは40〜60μmである。ここで、基材フィルムの厚みが薄すぎると、これに粘着剤層を積層する工程における加熱によって、フィルムに「熱負け」によるシワが入り、製品として使用できない場合がある。一方、基材フィルムの厚みが厚すぎると柔軟性に不足するため、表面に凹凸を有する被着体に貼り付ける際に被着体の表面形状に追従できず、シワが発生したり、気泡を巻き込む不具合が起こる場合がある。
本発明の基材フィルムは、その粘着剤層を積層する側の最外層がポリオレフィン系樹脂、好ましくはポリプロピレン系樹脂からなり、その外側表面の平均粗さ(Ra)が0.25μm以下である。この値は、好ましくは0.05〜0.25μmであり、より好ましくは0.1〜0.20μmである。本発明の基材フィルムは、粘着剤層を積層する側の表面が上記の如く非常に平滑であるので、この上に積層される粘着剤層の表面も同様に平滑となり、従って、これを被着体に貼り付けるときに、気泡を巻き込むことがない。
上記のように製造された本発明の基材フィルムは、フィッシュアイが非常に少ないものである。保護フィルムに用いられる基材フィルムにおいて、フィッシュアイのサイズおよび個数は重要である。すなわち、基材フィルム中にサイズの大きいフィッシュアイが存在すると、これを被着体(光学部品)に貼り付けて光学検査を行う際に、視覚的な外乱要因となり、当該光学部品が良品であっても不良品と判断されてしまう場合がある。小さいサイズのフィッシュアイでもその個数が多い場合は同様に視覚的な外乱要因となる。本発明の基材フィルムは、長径1.0mm未満のフィッシュアイの数を5個/m2以下とすることができ、さらに3個/m2以下とすることができる。また、長径1.0mm以上のフィッシュアイの数を1個/m2以下とすることができ、さらに0個/m2とすることができる。従って、本発明の基材フィルムを光学部品の保護フィルム用途に用いる場合でも、フィッシュアイに起因する視覚的な外乱要因が極めて少なく、光学部品の光学検査において適正な結果を得ることができる。
本発明の基材フィルムは、適度な強度を有するものである。本発明の基材フィルムの引張弾性率は、好ましくは400〜1,100MPaであり、より好ましくは600〜900MPaであり、さらに好ましくは650〜850MPaである。基材フィルムの引張弾性率は、該フィルムのMD方向(Machine Direction)およびTD方向(Transverse Direction)の双方において上記の範囲内にあることが好ましい。このような引張弾性率を有する本発明の基材フィルムから製造された保護フィルムは、これを被着体に貼付する際および被着体から剥離する際の作業性に優れるものとなる。この引張弾性率は、JIS K 7127に準拠してJIS−5号試験片を使用して測定することができる。
本発明の基材フィルムを構成する層のうちの少なくとも1層に着色剤を配合し、着色フィルムとする場合、該着色フィルムは着色ムラがないため光学部品の光学検査においても適正な結果が得られ、しかも粘着剤層の積層時の有機溶剤への着色剤溶出等の問題を回避することができる。
本発明の基材フィルムは、これに積層される粘着剤層との密着性をより高くする観点から、粘着剤層を積層する側の表面に対してインラインまたはオフラインで表面処理を施したうえで粘着剤層を積層することが好ましい。かかる表面処理としては、例えばコロナ放電処理、フレーム(火焔)処理等を挙げることができる。
以下の実施例および比較例における各評価は、それぞれ以下の手順によった。
(1)ヘイズ
透明性の指標として、スガ試験機(株)製、ヘイズメーター(型番:HGM−2DP)を用い、JIS K 7105に準拠してヘイズの測定を行った。
(2)引張弾性率
(株)島津製作所製、オートグラフ(型番:AG−500D)を用い、JIS K 7127に準拠して、JIS−5号試験片を使用して引張速度50mm/分にて、MD方向およびTD方向のそれぞれにつき、引張弾性率の測定を行った。
(3)表面粗さ
(株)ミツトヨ製、接触式表面粗さ測定器(型番:SJ−401)を用い、JIS B 0601に準拠して、触針先端半径2μm(60°)、測定速度0.5mm/s、カットオフ値(λc)0.8mm、カットオフ値(λs)25μm、測定長0.8mm、1方向についての測定回数を5回として、表面の平均粗さ(Ra)の測定を行った。平均粗さ(Ra)は、基材フィルムのMD方向の測定5回およびTD方向の測定5回(測定回数全10回)の平均値として表した。
基材フィルムを500mm×500mmのサイズ(0.25m2)にカットし、これを試験片とした。この試験片に存在するフィッシュアイを目視にて観察し、発見されたフィッシュアイのそれぞれにつき、長径を最小単位が0.1mmの目盛り付きのルーペにて測定した。同様の測定を8枚の試験片(0.25m2×8枚=2m2)に対して行い、発見されたフィッシュアイの個数を1m2あたりの個数に換算して評価した。
(5)気泡巻き込み
(5−1)加工後巻取時の気泡巻き込み
基材フィルムの粘着剤層を積層する側に、後述の方法により層厚みが約5μmとなるように粘着剤層を積層し、巻取り機にて連続的に巻き取った。その際の気泡の巻き込み状態を目視にて確認した。
(5−2)被着体貼付時の気泡巻き込み
粘着剤層が積層された基材フィルムを、被着体(アクリル板)へ貼付けた際の気泡の巻き込み状態を目視にて確認した。
上記それぞれの気泡巻き込み状態は下記にて判定した。
良好:気泡の巻き込みは見られない。
不良:気泡の巻き込みが見られ外観不良の状態である。
(基材フィルムの作成)
ホモ−ポリプロピレンA(住友化学(株)製、品番:FLX80E4、融点=163℃、MFR=7g/10分;230℃時)および低密度ポリエチレンA(宇部丸善ポリエチレン(株)製、品番:F120N、密度=0.920g/cm3、融点=109℃、MFR=1.2g/10分;190℃時)を用いて以下の方法でフィルムを作成した。
中間層用のスクリュー径75mmの単軸押出機が1台、両外層用のスクリュー径50mmの単軸押出機が2台の合計3台の押出機からなる3種3層構成のTダイ方式フィルム製膜装置を用い、中間層用押出機にホモ−ポリプロピレンAを、外層(粘着剤層を積層する側=冷却ロール側)用の押出機にホモ−ポリプロピレンAを、そして外層(粘着剤層を積層しない側)用の押出機にホモ−ポリプロピレンA 90重量部および低密度ポリエチレンA 10重量部を混合したものをそれぞれ供給し、樹脂温度250℃、滞留時間1分、Tダイ温度250℃の条件にてTダイより押出し、25℃の冷却ロールを通して、厚み12μmの外層(粘着剤層を積層する側)、厚み16μmの中間層および厚み12μmの外層(粘着剤層を積層しない側)からなる総厚み40μmの3層無延伸ポリプロピレンフィルムを得た。次いで、このフィルムの粘着剤層を積層する側の表面の濡れ指数が42mN/mとなるようにコロナ放電処理を施し、さらに40℃において24時間エージングすることにより、基材フィルムを得た。
この基材フィルムを用いて、上記(1)〜(4)の評価を行った。評価結果は表2に示した。
(基材フィルムへの粘着剤層の積層)
上記にて得られた基材フィルムのコロナ処理面に対し、アクリル系粘着剤を塗布して乾燥し、厚み10μmの粘着剤層を積層した。
この粘着剤層積層後のフィルムを用いて、上記(5)の評価を行った。評価結果は表2に示した。
中間層用の押出機に供給する樹脂をブロック−ポリプロピレンA(日本ポリプロ(株)製、品番:BC3HF、プロピレン−エチレン−ブロック共重合体タイプ、融点=162℃、MFR=7g/10分;230℃時)とし、さらに外層(粘着剤層を積層しない側)用の押出機に供給する樹脂を、ブロック−ポリプロピレンA 70重量部および低密度ポリエチレンA 30重量部を混合したものとしたほかは、上記実施例1と同様に実施して基材フィルムを得た。この基材フィルムにつき上記(1)〜(4)の評価を行い、基材フィルムに実施例1と同様にして粘着剤層を積層したフィルムにつき、上記(5)の評価を行った。評価結果は表2に示した。
実施例3
外層(粘着剤層を積層する側)用の押出機に供給する樹脂をブロック−ポリプロピレンAとしたほかは上記実施例2と同様に実施して基材フィルムを得た。これら基材フィルムにつき上記(1)〜(4)の評価を行い、基材フィルムに実施例1と同様にして粘着剤層を積層したフィルムにつき、上記(5)の評価を行った。評価結果は表2に示した。
外層(粘着剤層を積層しない側)用の押出機に供給する樹脂におけるブロック−ポリプロピレンAと低密度ポリエチレンAとの混合割合を表1に記載の通りとしたほかは、上記実施例2と同様に実施して基材フィルムを得た。この基材フィルムにつき上記(1)〜(4)の評価を行い、基材フィルムに実施例1と同様にして粘着剤層を積層したフィルムにつき、上記(5)の評価を行った。評価結果は表2に示した。
実施例4
中間層用の押出機に供給する樹脂をランダム−ポリプロピレンA((株)プライムポリマー製、品番:F327BV、プロピレン−エチレン−ブテン−ランダム共重合体タイプ、融点=138℃、MFR=7g/10分;230℃時)とし、さらに外層(粘着剤層を積層しない側)用の押出機に供給する樹脂を、ランダム−ポリプロピレンA 70重量部および低密度ポリエチレンB(宇部丸善ポリエチレン(株)製、品番:F522N、密度=0.922g/cm3、融点=110℃、MFR=5.0g/10分;190℃時)30重量部を混合したものとしたほかは、上記実施例1と同様に実施して基材フィルムを得た。この基材フィルムにつき上記(1)〜(4)の評価を行い、基材フィルムに実施例1と同様にして粘着剤層を積層したフィルムにつき、上記(5)の評価を行った。評価結果は表2に示した。
各層の厚みを、外層(粘着剤層を積層する側)を25μm、中間層を25μm、および外層(粘着剤層を積層しない側)を25μmとし、総厚み75μmとしたほかは上記実施例2と同様に実施して基材フィルムを得た。この基材フィルムにつき上記(1)〜(4)の評価を行い、基材フィルムに実施例1と同様にして粘着剤層を積層したフィルムにつき、上記(5)の評価を行った。評価結果は表2に示した。
実施例6
外層(粘着剤層を積層する側)の厚みを20μmおよび外層(粘着剤層を積層しない側)を20μmとし、さらに中間層の押出機からの原料供給を停止して総厚み40μmの2層構成としたほかは上記実施例1と同様に実施して基材フィルムを得た。この基材フィルムにつき上記(1)〜(4)の評価を行い、基材フィルムに実施例1と同様にして粘着剤層を積層したフィルムにつき、上記(5)の評価を行った。評価結果は表2に示した。
中間層用の押出機に供給する樹脂として、ブロック−ポリプロピレンA(日本ポリプロ(株)製、品番:BC3HF、プロピレン−エチレン−ブロック共重合体タイプ、融点=162℃、MFR=7g/10分;230℃時)100重量部に対して着色剤マスターバッチ(DIC(株)製、品番:PEONY HP BLUE L−83285M、ランダム−ポリプロピレン(プロピレン−エチレン−ランダム共重合タイプ、MFR=8g/10分;230℃時)中に約5重量%のフタロシアニンブルーを含有するマスターバッチ)5重量部を配合した着色樹脂を用いたほかは上記実施例2と同様に実施して基材フィルムを得た。この基材フィルムにつき上記(1)〜(4)の評価を行い、基材フィルムに実施例1と同様にして粘着剤層を積層したフィルムにつき、上記(5)の評価を行った。評価結果は表2に示した。また、本実施例の基材フィルムは、粘着剤層積層時の有機溶剤への着色剤の溶出は全く起こらないことが確認された。
比較例2
全ての層の押出機に供給する樹脂を、ブロック−ポリプロピレンAのみとしたほかは上記実施例1と同様に実施して基材フィルムをそれぞれ得た。この基材フィルムにつき上記(1)〜(4)の評価を行い、基材フィルムに実施例1と同様にして粘着剤層を積層したフィルムにつき、上記(5)の評価を行った。評価結果は表2に示した。
H−PP−A:ホモ−ポリプロピレンA(住友化学(株)製、品番:FLX80E4、融点=163℃、MFR=7g/10分;230℃時)
B−PP−A:ブロックポリプロピレンA(日本ポリプロ(株)製、品番:BC3HF、プロピレン−エチレン−ブロック共重合体タイプ、融点=162℃、MFR=7g/10分;230℃時)
R−PP−A:ランダム−ポリプロピレンA((株)プライムポリマー製、品番:F327BV、プロピレン−エチレン−ブテン−ランダム共重合体タイプ、融点=138℃、MFR=7g/10分;230℃時)
LDPE−A:低密度ポリエチレンA(宇部丸善ポリエチレン(株)製、品番:F120N、密度=0.920g/cm3、融点=109℃、MFR=1.2g/10分;190℃時)
LDPE−B:低密度ポリエチレンB(宇部丸善ポリエチレン(株)製、品番:F522N、密度=0.922g/cm3、融点=110℃、MFR=5.0g/10分;190℃時)
PhB−MB:フタロシアニンブルーマスターバッチ(DIC(株)製、品番:PEONY HP BLUE L−83285M、ランダム−ポリプロピレン(プロピレン−エチレン−ランダム共重合タイプ、MFR=8g/10分;230℃時)中に約5重量%のフタロシアニンブルーを含有するマスターバッチ)
Claims (5)
- 片面に粘着剤層を積層してなる保護フィルムに用いられる基材フィルムであって、
該基材フィルムは、それぞれがポリオレフィン系樹脂からなる少なくとも2層を有する積層体フィルムであり、これら2層がそれぞれ粘着剤層を積層する側の最外層および粘着剤層を積層しない側の最外層を構成し、
該基材フィルムの粘着剤層を積層する側の最外層がポリプロピレン系樹脂からなり、
該基材フィルムの粘着剤層を積層しない側の最外層が、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との合計に対するポリエチレン系樹脂の含有割合が5〜50重量%であるポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とのブレンドからなり、
該基材フィルムの粘着剤層を積層する側の表面の平均粗さ(Ra)が0.25μm以下であり、
該基材フィルムの粘着剤層を積層しない側の表面の平均粗さ(Ra)が0.30μm以上であり、そして
光学部品用保護フィルムに用いられることを特徴とする、前記基材フィルム。 - 厚みが10〜100μmであり、各層のそれぞれが無延伸フィルムである、請求項1に記載の基材フィルム。
- 長径1.0mm未満のフィッシュアイが5個/m2以下であり、長径1.0mm以上のフィッシュアイが0個/m2である、請求項1または2に記載の基材フィルム。
- 該基材フィルムを構成する層のうちの少なくとも1層が着色剤を配合された層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基材フィルム。
- 該基材フィルムが粘着剤層を積層する側の最外層および粘着剤層を積層しない側の最外層以外に少なくとも1層の中間層を有し、該着色剤を配合された層が前記中間層のうちの少なくとも1層である、請求項4に記載の基材フィルム。
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