JP5753937B1 - インモールドラベル及びラベル付きプラスチック容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】断熱性に優れた熱可塑性樹脂フィルム、及び該熱可塑性樹脂フィルムをインモールド成形により貼着してなるラベル付きプラスチック容器の提供。【解決手段】下記(A)及び(B)の条件を満たす多孔質層を少なくとも1層有するラベル付きプラスチック容器。前記多孔質の一方の面の側に接着層を有し、他方の面に表面に情報が印刷される層を配してなるラベル付きプラスチック容器。(A)多孔質層が、熱可塑性樹脂25〜65質量部と、無機微細粉末35〜75質量部とを含む。(B)L=d?(ρ0−ρ)/ρ0で表される多孔質層の空孔長Lが、20μm以上である。なお、Lは空孔長[μm]であり、dは多孔質層の厚さ[μm]であり、ρは多孔質層の密度[g/cm3]であり、ρ0は多孔質層の真密度[g/cm3]である。【選択図】なし

Description

本発明は熱可塑性樹脂フィルムに関する。詳細には、断熱性に優れた熱可塑性樹脂フィルム、該熱可塑性樹脂フィルムをインモールド成形により貼着してなるラベル付きプラスチック容器に関する。
インモールド成形により、プラスチック容器にラベルを設けることが知られている。例えば、エチレン共重合体接着層を含むインモールドラベル(特許文献1)、ヒートシール性樹脂層にエンボス加工を施したインモールドラベル(特許文献2)、ヒートシール性樹脂層の主成分としてエチレン・α−オレフィン共重合体を含むインモールドラベル(特許文献3)、ポリエチレンイミンを主成分とする熱可塑性樹脂フィルム(特許文献4)が知られている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]米国特許第4,837,075号明細書
[特許文献2]実開平1−105960号公報
[特許文献3]特開平9−207166号公報
[特許文献4]特開2000−290411号公報
インモールド成形法の種類及びインモールドラベルの材質の組み合わせによっては、接着不良が生じる場合がある。
本発明の第1の態様においては、熱可塑性樹脂を含有するフィルムであって、該フィルムが、下記(A)及び(B)の条件を満たす多孔質層を少なくとも1層有することを特徴とするフィルムが提供される。
(A)前記多孔質層は、熱可塑性樹脂25〜65質量部と、無機微細粉末35〜75質量部とを含む。
(B)次式(1)で表される多孔質層の空孔長Lが、20μm以上である。
L=d×(ρ−ρ)/ρ ・・・式(1)
式(1)において、Lは空孔長[μm]であり、dは、多孔質層の厚さ[μm]であり、ρは、多孔質層の密度[g/cm]であり、ρは、多孔質層の真密度[g/cm]である。
上記のフイルムは、下記(C)の条件をさらに満たしてよい。
(C)前記多孔質層の厚さdは、前記フィルムの厚さDの10〜100%である。
上記のフィルムにおいて、多孔質層は、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末の合計100質量部に対して、添加剤0.1〜5質量部を含んでよい。上記のフィルムにおいて、多孔質層の厚さ方向に平行な断面における無機微細粉末の表面から空孔壁までの最大距離は50μm以下であってよい。
上記のフィルムにおいて、多孔質層の式(2)で表される空孔率pは、15〜75%であってよい。
p=(ρ−ρ)/ρ ×100・・・式(2)
式(2)において、pは多孔質の空孔率[%]であり、ρは、多孔質層の密度[g/cm]であり、ρは、多孔質層の真密度[g/cm]である。
上記のフィルムにおいて、多孔質層に含まれる熱可塑性樹脂は、ポリオレフィンを主成分としてもよい。上記のフィルムにおいて、多孔質層は、少なくとも1軸方向に延伸されてなる層であってよい。上記のフィルムにおいて、フィルムの厚さDは、40〜250μmであってよい。上記のフィルムにおいて、フィルムの少なくとも一方の面の表面抵抗率Rは、23℃50%RHにおいて1×108〜1×1012Ωであってよい。上記のフィルムは、多孔質層の一方の面の側に配された表面層をさらに有してよい。上記のフィルムにおいて、フィルムの多孔質層の一方の面の側に配される層の表面に情報が印刷されてよい。
上記のフィルムは、多孔質層の一方の面の側に配された接着層をさらに有してよい。上記のフィルムにおいて、接着層の表面におけるJIS P 8119:1998で測定される王研式平滑度sは、5〜4000秒であってよい。上記のフィルムは、多孔質層の他方の面の側に配された表面層をさらに有してよい。上記のフィルムにおいて、フィルムの多孔質層の他方の面の側に配される層の表面に情報が印刷されてよい。上記のフィルムにおいて、フィルムの多孔質層の他方の面の側の表面の表面抵抗率Rは、23℃50%RHにおいて1×1012Ω以上であってよい。
上記のフィルムにおいて、フィルムの下記の式(3)で表される熱抵抗値Rは、0.05m・K/W以上であってよい。
=D×10−6/λ・・・式(3)
式(3)において、Rはフィルムの熱抵抗値[m・K/W]であり、Dはフィルムの厚さ[μm]であり、λはフィルムの熱伝導率[W/m・K]である。
本発明の第2の態様においては、上記のフィルムをインモールド成形により貼着してなる、ラベル付きプラスチック容器が提供される。
上記のラベル付きプラスチック容器は、下記の式(4)の関係を満足してよい。
Tf−10≦Tv≦Tf+60 ・・・式(4)
式(4)において、Tvは、ラベル付きプラスチック容器の容器本体の最表面に含まれる熱可塑性樹脂の融点であり、Tfは、フィルムの容器本体に接する層に含まれる熱可塑性樹脂の融点である。
本発明の第3の態様においては、熱可塑性樹脂を含有するフィルムであって、当該フィルムは、多孔質層を少なくとも1層有し、多孔質層は、熱可塑性樹脂25〜65質量部と、無機微細粉末35〜75質量部とを含み、多孔質の下記の式(2)で表される空孔率pは、15〜75%であることを特徴とするフィルムが提供される。
p=(ρ−ρ)/ρ ×100・・・式(2)
式(2)において、pは前記多孔質の空孔率[%]であり、ρは、前記多孔質層の密度[g/cm]であり、ρは、前記多孔質層の真密度[g/cm]である。
本発明の第4の態様においては、熱可塑性樹脂を含有するフィルムであって、当該フィルムは、多孔質層を少なくとも1層有し、当該フィルムの下記の式(3)で表される熱抵抗値Rは、0.05m・K/W以上であることを特徴とするフィルムが提供される。
=D×10−6/λ・・・式(3)
前記式(3)において、Rは前記フィルムの熱抵抗値[m・K/W]であり、Dは前記フィルムの厚さ[μm]であり、λは前記フィルムの熱伝導率[W/m・K]である。
本発明の第5の態様においては、多孔質層を少なくとも1層有し、当該多孔質層は、熱可塑性樹脂25〜65質量部と、無機微細粉末35〜75質量部とを含むインモールドラベルが提供される。
容器本体との接着性の良好なラベルを提供することができる。インモールド成形により、容器本体にラベルを貼着した場合に、オレンジピールの生じにくいラベルを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。上記の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。なお、本発明において「〜」と表記するときは、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を指す。また、23℃30%RHと表記するときは、温度23℃、相対湿度30%の環境であることを指す。
<ラベル付きプラスチック容器>
本実施形態において、ラベル付きプラスチック容器は、容器本体と、ラベルとを有する。ラベルは、例えば、容器本体にフィルムを貼着することで形成される。
(ラベル付きプラスチック容器の作製方法)
本実施形態のラベル付きプラスチック容器は、例えば、インモールド成形法により作製される。より具体的には、金型の内側の面にフィルム(インモールドラベルと称する場合がある。)を配置した後、当該金型内に成形可能な状態の熱可塑性樹脂組成物を注入することで作製される。インモールド成形法としては、ブロー成形法、インジェクション成形法などを例示することができる。
例えば、ブロー成形法によれば、まず、金型内の適切な位置にフィルムを配置する。次に、上記の熱可塑性樹脂組成物からなるプリフォーム又はパリソンを作製する。次に、プリフォーム又はパリソンを金型で挟み込んだ状態で、プリフォーム又はパリソンの内部に圧縮ガスを吹き込み、プリフォーム又はパリソンを金型内で膨張させる。その後、成形品を冷却することで、ラベル付きプラスチック容器が得られる。
(ラベル付きプラスチック容器の性質)
インモールド成形法においては、容器本体を形成する樹脂が溶融した状態(溶融樹脂と称する場合がある。)で、ラベルを形成するフィルムに接触する。このとき、フィルムの容器本体側の表面に存在する樹脂が溶解して、容器本体と一体化した後、冷却固化されることにより、容器本体にフィルムが貼着する。そのため、フィルムの断熱性が不十分であると、溶融樹脂からフィルムに伝わった熱が、金型に伝わってしまい、フィルムの容器本体側の表面に存在する樹脂を十分に溶解することができない。その結果、フィルムと容器本体とが全く接着しなかったり、フィルムと容器本体とが接着したとしても、実用に耐えるだけの接着強度が得られなかったりする場合がある。
上記のような接着不良を抑制する方法として、インモールドラベルとして、熱可塑性樹脂を主成分とする多孔質フィルムからなる基材層と、接着層とを有する積層体を用いることが考えられる。なお、「主成分」とは、含まれる成分の総含有量(100質量%)中、含有量が50質量%以上である成分を意味する。この場合、基材層の熱伝導比抵抗が比較的大きいので、接着層が溶融樹脂と接するように、インモールドラベルを金型内に配置した後、金型内に溶融樹脂を注入した場合に、溶融樹脂から接着層に伝わった熱が金型に伝わることを抑制できる。これにより、インモールドラベルと容器本体とを強固に貼着させることができる。
しかし、インモールドラベルの基材層として、熱可塑性樹脂を主成分とする多孔質フィルムを用いると、成形時に多孔質フィルム内に閉じ込められた空気が熱膨張する。その結果、多孔質フィルムに含まれる空孔壁が座屈変形し、インモールドラベルの表面に凹凸(オレンジピールと称される場合がある。)が生じやすくなる。また、インモールドラベルの断熱性を向上させることを目的として、多孔質フィルムの密度を低下させると、空孔径が大きくなり空孔壁が座屈しやすくなるので、オレンジピールの発生が助長される。そのため、インモールドラベルの基材層として多孔質フィルムを用いた場合には、インモールドラベル及び容器本体の接着性と、オレンジピールの抑制とを両立することが難しい。
一方、多量の無機物質粉末を含有する熱可塑性樹脂組成物を含む合成紙が知られている。例えば、特開2013−010931号公報には、60質量%〜82質量%の無機物質粉末と、18質量%〜40質量%の熱可塑性樹脂と、0.05質量%〜4.0質量%の補助剤とを含む原料を、ダイスをとおしてTダイ方式により押出成形して薄膜シート中間体を成形し、薄膜シート中間体を特定の延伸倍率で延伸することで見かけ比重の調整された薄膜シートが開示されている。
一般に、無機微細粉末の熱伝導率は、熱可塑性樹脂の熱伝導率より大きい。そのため、多量の無機物質を含有する熱可塑性樹脂組成物を、断熱性が要求される用途に適用することは困難と考えられていた。むしろ、多量の無機微細粉末を含有する熱可塑性樹脂組成物は、その伝熱性を生かした用途に用いられる。例えば、携帯電話の筐体の放熱性を向上させることを目的として、多量の無機微細粉末を含有する熱可塑性樹脂組成物が使用される。実際、特開2013−010931号公報においても、合成紙の印刷適性、加工適性及び耐水性には言及しているものの、断熱性については記載も示唆もされていない。また、合成紙の用途として多くの用途が記載されているにもかかわらず、インモールドラベルのように断熱性の要求される用途は記載されていない。
本発明者らは、鋭意検討した結果、比較的多量の無機微細粉末を含有する多孔質層を有するフィルムにおいて、多孔質層の空孔率(空隙率と称される場合もある。)、空孔長及び熱伝導率、並びにフィルムの熱伝導率及び熱抵抗値の少なくとも1つを調整することで、当該フィルムをインモールドラベルとして利用できることを見出した。また、本発明者らは、当該フィルムをインモールドラベルとして利用することで、インモールドラベル及び容器本体の接着性と、オレンジピールの抑制とを両立できることを見出した。
本実施形態によれば、断熱性に優れ、多量の無機物質粉末を含有する熱可塑性樹脂フィルムをインモールドラベルとして用いる。これにより、インモールドラベル及び容器本体の接着性と、オレンジピールの抑制とを両立することができる。これにより、インモールドラベルと容器本体との間の接着強度に優れたラベル付きプラスチック容器が得られる。また、オレンジピールの発生がほとんどなく、美観に優れたラベル付きプラスチック容器が得られる。
また、ブロー成形法によれば、プラスチック容器の容器本体を成形すると同時にフィルムを容器本体に貼着することができる。そのため、容器本体の意匠性、軽量化及び生産性を維持したまま、短時間のうちに、簡便にラベル付きプラスチック容器を製造することができる。しかし、ブロー成形法によりラベル付きプラスチック容器を作成する場合、インジェクション成形法によりラベル付きプラスチック容器を作製する場合と比較して、熱可塑性樹脂組成物からフィルムへの伝熱量が少ない。そのため、インジェクション成形法によりラベル付きプラスチック容器を作製する場合と比較して、接着不良が生じやすい。
しかし、本実施形態によれば、断熱性に優れ、多量の無機物質粉末を含有する熱可塑性樹脂フィルムをインモールドラベルとして用いる。これにより、インモールドラベルの接着性が向上する。その結果、ブロー成形法によりラベル付きプラスチック容器を製造する場合であっても、接着不良を抑制することができる。
本実施形態のラベル付きプラスチック容器の各部について説明する。まず、容器本体の詳細について説明した後、インモールドラベルの詳細について説明する。
<容器本体>
容器本体の材料は、特に限定されず、公知の材料を使用することができる。容器本体の成形方法は、特に限定されず、公知の成形法を使用することができる。
(容器材料)
容器本体の材料は、中空容器が成形可能な材料であってよい。容器本体の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はその共重合体、ポリカーボネート樹脂などのポリエステル系樹脂;ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。ブロー成形法によりラベル付きプラスチック容器を作製する場合、好ましくはポリオレフィン系樹脂が使用される。容器本体の材料として、上記の熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物が使用されてもよい。
容器本体の材料は、下記の式を満足するように選択されてよい。これにより、インモールドラベルとプラスチック容器との間の接着力をより向上させることができる。
Tf−10≦Tv≦Tf+60
ここで、Tvは、プラスチック容器の容器本体の表面に含まれる熱可塑性樹脂の融点である。Tfは、フィルムの容器本体に接する側の表面に含まれる熱可塑性樹脂の融点である。特に、Tfが、後述する多孔質層に含まれる熱可塑性樹脂の融点である場合には、インモールドラベルが、多孔質層の容器本体側の面に接着層を有しない場合であっても、ブリスター及びオレンジピールを抑制することができる。
<フィルムの構成>
本実施形態において、フィルムは、少なくとも1層の多孔質層を有する。フィルムは、多孔質層の一方の面の側に配される表面層をさらに有してもよい。フィルムは、多孔質層の一方の面の側に配される表面塗工層をさらに有してもよい。フィルムは、多孔質層の一方の面の側に配される接着層をさらに有してもよい。フィルムが接着層を有する場合、表面層及び表面塗工層の少なくとも一方は、多孔質層の接着層が配されていない面の側に配されてよい。接着層は、前記多孔質層の一方の面に接して配されてよい。表面層又は表面塗工層は、前記多孔質層の他方の面に接して配されてよい。
[多孔質層]
本実施形態において、多孔質層は、熱可塑性樹脂と無機微細粉末とを含む。多孔質層は、添加剤を含んでもよい。
(熱可塑性樹脂)
多孔質層に含まれる熱可塑性樹脂は、フィルム状に成形することができる材料であれば、その種類は特に制限されない。多孔質層に含まれる熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン系共重合樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン・環状オレフィン共重合体等のオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、スチレン−マレイン酸共重合体等のスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリ乳酸、ポリカーボネート等のエステル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のアミド系樹脂;これらの樹脂の2種類以上の混合物などが挙げられる。
多孔質層に含まれる熱可塑性樹脂は、オレフィン系樹脂を主成分として含むことが好ましい。これにより、加工性に優れた多孔質層が得られる。上記のオレフィン系樹脂は、オレフィンの単独重合体、2種以上のオレフィンの共重合体、又はオレフィン及びオレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体であってよい。オレフィンと共重合可能なモノマーとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。上記のオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂又はプロピレン系樹脂であってもよい。これにより、耐薬品性、加工性及び経済性に優れた多孔質層が得られる。
上記のオレフィン系樹脂は、グラフト変性されたオレフィン系樹脂であってもよい。グラフト変性の方法は、例えば、オレフィン系樹脂又は官能基含有オレフィン系樹脂と、不飽和カルボン酸又はその誘導体とを、酸化剤の存在下で反応させる方法が挙げられる。酸化剤としては、過酢酸、過硫酸、過硫酸カリウム等の過酸及びその金属塩;オゾン等が挙げられる。グラフト変性率は、オレフィン系樹脂又は官能基含有オレフィン系樹脂に対して、0.005〜10質量%であってよく、好ましくは0.01〜5質量%である。
多孔質層に含まれる熱可塑性樹脂として、2種以上の熱可塑性樹脂を混合して用いることにより、熱可塑性樹脂をフィルム状に成形する場合における流動性、成形性などが向上する。一実施形態において、多孔質層の形成工程において、熱可塑性樹脂に多量の無機微細粉末を配合すると、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末の混練溶融物の流動性が低下して、多孔質層の形成が困難になる場合がある。異なる粘度の熱可塑性樹脂を組み合わせることで、熱可塑性樹脂に多量の無機微細粉末を配合した場合であっても、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末の混練溶融物の流動性の低下を抑制することができる。他の実施形態において、主成分とする熱可塑性樹脂に、超高分子量の熱可塑性樹脂を配合したり、主成分とする熱可塑性樹脂(例えばHDPEである。)よりも融点が10℃以上低い樹脂(例えばLDPEである。)を配合したりすることで、延伸時の厚さムラを抑制することができる。
多孔質層における熱可塑性樹脂の含有量は、多孔質層全体に対して25質量%以上であってよい。これにより、多孔質層をフィルム状に成形する場合における、多孔質層の延伸安定性が向上する。多孔質層における熱可塑性樹脂の含有量は、多孔質層全体に対して28質量%以上であってもよく、好ましくは30質量%以上である。
多孔質層における熱可塑性樹脂の含有量は、多孔質層全体に対して65質量%以下であってよい。この場合、不透明度又は白色度の大きな多孔質層が得られる。多孔質層における熱可塑性樹脂の含有量は、多孔質層全体に対して63質量%以下であってもよく、好ましくは60質量%以下である。
(無機微細粉末)
多孔質層に含まれる無機微細粉末としては、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、水酸化アルミニウム、ガラスファイバー等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。多孔質層が、炭酸カルシウム、タルク及び酸化チタンの少なくとも1種を含む場合、不透明度又は白色度の大きな多孔質層が得られる。また、多孔質層の成形性が向上する。炭酸カルシウム及び酸化チタンの少なくとも1種を含むことにより、当該効果の更に優れた多孔質層が得られる。
無機微細粉末は、熱可塑性樹脂と混合する前に、無機微細粉末の表面に親水性処理または疎水性処理が施されてもよい。無機微細粉末の表面に親水性処理または疎水性処理が施されることにより、多孔質層に、印刷適性、塗工適性、耐擦過性、二次加工適性等の様々な性質を付与することができる。表面処理剤としては、脂肪酸、芳香族カルボン酸、樹脂酸等の有機カルボン酸、及びそれらの塩、エステル又はアミド;有機スルホン酸及びその金属塩;シランカップリング剤;シリコーンオイル;リン酸エステル;カルボキシル基、2〜3級アミノ基または4級アンモニウム塩を含むポリマーが挙げられる。これら表面処理剤の中でも、オレイン酸、マレイン酸、ステアリン酸及びそれらのエステル若しくはアミド、又は、カルボキシル基を含むポリマー若しくは4級アンモニウム塩を含むポリマーを使用することが好ましい。
上記の有機カルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸等の飽和脂肪酸;ソルビン酸、エライジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、セトレイン酸、エルカ酸、リシノール酸、マレイン酸等の不飽和脂肪酸;安息香酸、フタル酸、ナフトエ酸等の芳香族カルボン酸;ビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸等の樹脂酸が挙げられる。上記の有機カルボン酸の塩は、上記の有機カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、錫(IV)塩、アンモニウム塩、ジエタノールアミン塩等であってよい。
上記の有機カルボン酸のエステルとしては、エチルエステル、ビニルエステル、ジイソプロピルエステル、セチルエステル、オクチルエステル、ステアリルエステル等が挙げられる。上記の有機カルボン酸のアミドとしては、オクチルアミド、ステアリルアミド等が挙げられる。
上記の有機スルホン酸としては、ラウリル、ミリスチル、パルミチン、ステアリン、オレイン、セチル等のアルキル基からなるアルキル硫酸;ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸;スルホコハク酸、ジオクチルスルホコハク酸、ラウリルスルホ酢酸、テトラデセンスルホン酸等のカルボキシル基を含むスルホン酸;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸が挙げられる。上記の有機スルホン酸の塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、錫(IV)塩、アンモニウム塩等であってよい。
上記のシランカップリング剤としては、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。上記のシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルポリシロキサン、及び、アルキル、ポリエーテル、アルコール、フッ素、アミノ、メルカプト、エポキシ、高級脂肪酸等で変成したシリコーンオイルが挙げられる。
上記の燐酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、レゾルシノールジフェノールホスフェート、ビス−2−エチルヘキシルホスフェート、ジイソデシルホスフェート、2−メタクリロイルオキシルエチルアシッドホスフェート、メチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、2−ブチルヘキシルアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル燐酸等が挙げられる。上記のカルボキシル基、2〜3級アミン基または4級アンモニウム塩を含むポリマーとしては、カルボキシル基、2〜3級アミノ基または4級アンモニウム塩を与えるモノマーと、該モノマーと反応する単量体との共重合体、あるいは2〜3級アミノ基を含むポリマーに4級化剤を反応させて得たポリマーが挙げられる。
表面処理剤の使用量は、無機微細粉末100質量部に対して0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましい。これにより、例えば、無機微細粉末の分散性が向上する。表面処理剤の使用量は、無機微細粉末100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。これにより、例えば、十分な印刷性又はインモールド適性を有する多孔質層が得られる。
多孔質層における無機微細粉末の含有量は、多孔質層全体に対して35質量%以上であってよい。多孔質層の空孔は、主に、無機微細粉末を含む樹脂を延伸した場合に、無機微細粉末の周囲に形成される。そのため、多孔質層における無機微細粉末の含有量を増加させることにより、多孔質層における空孔の数を増加させることができる。その結果、多孔質層の断熱性が向上する。また、多孔質層における空孔壁の数が増加するので、インモールド成形時における多孔質層の座屈が起こりにくくなる。多孔質層における無機微細粉末の含有量は、多孔質層全体に対して40質量%以上であってよく、好ましくは45質量%以上である。
多孔質層における無機微細粉末の含有量は、多孔質層全体に対して75質量%以下であってよい。これにより、無機微細粉末を通して熱が拡散し、多孔質層の熱伝導率が過度に低下することを抑制することができる。十分な延伸特性を有する多孔質層が得られる。多孔質層における無機微細粉末の含有量は、多孔質層全体に対して70質量%以下であってよく、好ましくは65質量%以下である。
なお、多孔質層における無機微細粉末の含有量は、JIS P 8251:2003「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」による測定により決定する。また、無機微細粉末の表面に親水性処理または疎水性処理が施されている場合、多孔質層における無機微細粉末の含有量は、表面処理前の無機微細粉末の質量を基準として算出する。無機微細粉末表面処理に使用された表面処理剤の質量は、後述する添加剤(例えば、分散剤または滑剤である。)の質量として扱う。
無機微細粉末のレーザー回折法によって測定された体積平均粒子径は、0.1μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることが好ましい。これにより、インモールドラベルとして利用するのに十分な断熱性を有する多孔質層が得られる。
無機微細粉末の体積平均粒径は、10μm以下であることが好ましく、4μm以下であることが好ましい。これにより、多孔質層内の空孔の数を増加させることができる。また、熱可塑性樹脂フィルム表面の外観が向上する。例えば、無機微細粉末の体積平均粒径が4μm以下である場合、フィルム表面の凹凸が小さくなり、フィルム表面に印刷を施した場合に印刷インキが均一に転移し、印刷画質が向上する効果が得られる。
無機微細粉末の平均粒子径が小さいほど、多孔質層における空孔の数が増加する。そのため、無機微細粉末の平均粒子径は小さい方が好ましい。しかし、無機微細粉末の平均粒径が小さくても、無機微細粉末に粗大粒子が含まれていると、多孔質層における空孔壁が薄くなったり、空孔が連通したりして多孔質層の強度が低下し、座屈しやすくなる。そのため、無機微細粉末は、目開き45μmのJIS標準篩(JIS Z 8801−1:2006 「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」)における残分が5ppm以下であることが好ましく、目開き38μmのJIS標準篩における残分が5ppm以下であることがより好ましい。
また、無機微細粉末のD50とD90とが、1.2≦ D90/D50 ≦2.1という関係式を満たしてもよい。D50は、レーザー回折法により測定した、体積基準の累積50%粒径であり、メジアン径とも称される。D90はレーザー回折法により測定した、体積基準の累積90%粒径である。このような無機微細粉末を用いることにより、多孔質層の座屈により生じるオレンジピールを抑制することできる。
目開き45μmのJIS標準篩における残分が5ppm以下、またはD50とD90が上記の関係を満たすシャープな粒度分布の無機微細粉末は、分級精度を向上させることによって得られる。このような無機微細粉末としては、CUBE−13B(丸尾カルシウム株式会社製)、CUBE−06B(丸尾カルシウム株式会社製)、BF−100(備北粉化工業株式会社製株式会社製)等が挙げられる。
以上のとおり、無機微細粉末の含有量及び粒子径の少なくとも一方を調整することで、従来の熱可塑性樹脂を主成分とする多孔質フィルムを有するインモールドラベルと比較して、空孔のサイズが小さく、空孔径の分布が狭く、空孔の数が多い多孔質層が得られる。従来の熱可塑性樹脂を主成分とする多孔質フィルムは、シート状に成形された熱可塑性樹脂を高倍率で延伸させることによって作製される。そのため、本実施形態のように空孔のサイズが小さく、空孔径の分布が狭く、空孔の数が多い多孔質層を作製することは難しい。
多孔質層における空孔サイズは、例えば、無機微細粉末の表面と空孔壁までの最大距離として、表される。無機微細粉末の表面と空孔壁までの最大距離は、50μm以下であってよい。これにより、インモールド成形時の多孔質層の座屈をより効果的に抑制することができる。
無機微細粉末の表面と空孔壁までの最大距離は、フィルム又は多孔質層の断面を電子顕微鏡で観察し、断面像の画像解析により決定することができる。具体的には、フィルムをエポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いて、例えばフィルムの厚さ方向に平行(すなわち面方向に垂直)に切断する。切断面をメタライジングした後、走査型電子顕微鏡で観察しやすい任意の倍率(例えば500倍〜2000倍)に拡大して撮影する。得られた画像を画像解析装置に取り込んで画像処理を行い、無機微細粉末の表面と空孔壁までの最大距離を決定する。
(添加剤)
多孔質層に含まれる添加剤としては、分散剤又は滑剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、等が挙げられる。多孔質層における添加剤の含有量は、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部であってよい。経時安定性に優れた多孔質層が得られる。
多孔質層が分散剤又は滑剤を含有する場合、多孔質層における分散剤または滑剤の含有量は、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末の合計100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましい。これにより、分散剤又は滑剤の機能が十分に発現する。多孔質層における分散剤または滑剤の含有量は、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末の合計100質量部に対して、4質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。これにより、成形性、印刷適性などに優れた多孔質層が得られる。分散剤又は滑剤としては、シランカップリング剤;オレイン酸やステアリン酸等の炭素数8〜24の脂肪酸、及びその金属塩、アミド、炭素数1〜6のアルコールとのエステル;ポリ(メタ)アクリル酸及びその金属塩等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
多孔質層が熱安定剤を含有する場合、多孔質層における熱安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末の合計100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましい。これにより、熱安定剤の機能が十分に発現する。多孔質層における熱安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末の合計100質量部に対して、1質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましい。これにより、経済性に優れた多孔質層が得られる。また、熱可塑性樹脂フィルムの外観が向上する、熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系等の熱安定剤(酸化防止剤と称される場合がある。)からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
多孔質層が光安定剤を含有する場合、多孔質層における光安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末の合計100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましい。これにより、光安定剤の機能が十分に発現する。多孔質層における光安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末の合計100質量部に対して、1質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましい。これにより、経済性に優れた多孔質層が得られる。また、熱可塑性樹脂フィルムの外観が向上する、光安定剤としては、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の光安定剤からなる群から選択される1種以上が挙げられる。光安定剤は、上記の熱安定剤と併用されてもよい。
[接着層]
本実施形態において、接着層は、インモールド成形によりフィルムを容器本体に貼着するときに、容器本体と接する側の面に配される。インモールド成形によりフィルムを容器本体に貼着するときに、接着層の表面が溶融し、容器本体の溶融樹脂と一体化して冷却されることにより、フィルムがプラスチック容器に貼着する。
接着層は、多孔質層に含まれる熱可塑性樹脂の融点より融点の低い熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることが好ましい。接着層の主成分である熱可塑性樹脂の融点と、多孔質層に含まれる樹脂組成物の融点との差は、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。これにより、フィルムが容器本体に貼着する場合における多孔質層の変形を抑制することができる。
接着層の主成分である熱可塑性樹脂の融点と、多孔質層に含まれる樹脂組成物の融点との差は、150℃以下であることが好ましい。これにより、フィルムの貼着工程の前段階におけるフィルムのブロッキングを抑制することができ、フィルムの取り扱いが容易になる。フィルムの貼着工程の前段階としては、フィルムの保管段階、フィルムの加工段階などが挙げられる。
接着層に用いられる熱可塑性樹脂としては、超低密度、低密度、または中密度の高圧法ポリエチレン、直鎖線状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アルキル基の炭素数が1〜8のエチレン・アクリル酸アルキルエステル重合体、アルキル基の炭素数が1〜8のエチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体に代表されるプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系エラストマー樹脂、ポリアミド系樹脂等からなる群から選択される1種以上が挙げられる。接着層は、主成分として直鎖状低密度ポリエチレンを含んでよい。これにより、ヒートシール接着強度に優れる接着層が得られる。
接着層は、ヒートシール性を阻害しない範囲で、公知の他の樹脂用添加剤を含んでもよい。他の樹脂用添加剤としては、無機顔料、染料、核剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。他の樹脂用添加剤の添加量は、接着層全体に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。これにより、フィルムの連続製造時にダイスに添加剤が堆積する現象を抑制することができる。
接着層を有するフィルムの製造方法は、特に限定されず、例えば、押し出し成形時にフィードブロック、マルチマニホールド等を使用した多層ダイス方式を用いる方法;複数のダイスを使用して、多孔質層の上に接着層を押出ラミネーションする方式;これらの方法の組み合わせなどが挙げられる。塗工法により、成形後の多孔質層上に接着層を設けてもよい。
塗工法によって接着層を設ける場合、一実施形態によれば、接着層を構成する上記の材料を有機溶剤に溶解して、多孔質層の一方の面に塗工した後、乾燥させる。他の実施形態によれば、接着層を構成する上記の材料を含む水性樹脂エマルジョンを、多孔質層の一方の面に塗工する。
上記の水性樹脂エマルジョンは、例えば、特開昭58−118843号、特開昭56−2149号、特開昭56−106940号、及び特開昭56−157445号公報などに記載される方法によって得られる。具体的には、まず二軸スクリュー押出機に接着層を構成する材料(接着層材料と称する場合がある。)を供給し、溶融混練する。その後、押出機の圧縮部域又はベント域に設けた液導入管より分散液を含有する水を導入し、スクリューを回転することにより溶融した共重合体樹脂と水を混練する。そして、得られた混練物を押出機のハウジング内で逆転相させて押出機の出口ノズルより大気圧域に放出し、必要に応じて水をさらに加え、貯槽内に収容する。
水性樹脂エマルジョン中の接着層材料の平均粒径は、0.01〜3μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。オレフィン系樹脂粒子の平均粒径が上記範囲内であると、分散液の状態で相が安定し、液の保管性及び塗工性が優れたものとなる。また、当該分散液を塗工して形成される接着層は、得られたフィルムをインモールド成形によりボトルに貼着した後において、即ち樹脂成形品の状態において、透明性が一層優れたものとなる傾向がある。平均粒径を上記範囲にするために、接着層材料を分散させるための分散剤(例えば、各種界面活性剤)が添加されてもよい。
水性樹脂エマルジョン中の接着層材料の平均粒径は、次の手順で算出される。まず、サンプル溶液(例えばオレフィン系樹脂エマルジョン溶液)を低温かつ減圧条件下で乾燥させる。当該乾燥後のサンプルを、走査型電子顕微鏡を用いて適度な倍率(例えば1,000倍)に拡大し写真画像を撮影する。撮影した画像から、サンプル中に存在する無作為に選んだ100個の粒径(長径)の平均値を計算する。これにより平均粒径を算出する。
水性樹脂エマルジョン中の接着層材料の固形分濃度は、8〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。当該固形分濃度が上記範囲内であると、分散液の状態で相が安定し、液の保管性及び塗工性が優れたものとなる。
[表面層]
表面層は多孔質であってもよく、多孔質でなくてもよい。表面層に印刷情報を付加する場合には、表面層は多孔質であることが好ましい。これにより、表面層と印刷用インキとの密着性が向上する。
表面層を構成する樹脂は、多孔質層に含まれる樹脂と同種であってもよく、異種であってもよい。表面層を構成する樹脂としては、プロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖線状低密度ポリエチレン、α−オレフィン系共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8)、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート系樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂;ABS樹脂;エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(Zn、Al、Li、K、Naなど)等のアイオノマー樹脂からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
表面層を構成する樹脂は、融点が105〜280℃の範囲の熱可塑性樹脂であることが好ましい。融点が105〜280℃の範囲の熱可塑性樹脂は、プロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の中から選択されてよい。融点が105〜280℃の範囲の熱可塑性樹脂は、2種以上の樹脂を含んでよい。表面層を構成する樹脂は、プロピレン系樹脂又は高密度ポリエチレンを主成分として含んでよい。これにより、耐水性、耐薬品性、経済性などに優れた表面層が得られる。
表面層を構成する樹脂は、印刷性インキとの親和性の高いポリアミド系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリ乳酸、ポリカーボネート系樹脂等の極性の高い樹脂であってよい。また、表面層を構成する樹脂は、ポリアミド系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリ乳酸、ポリカーボネート系樹脂等の極性の高い樹脂と、ポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の極性の低い樹脂とを含んでもよい。
表面層は、無機微細粉末を含んでもよい。一実施形態において、表面層は、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の無機微細粉末であって、体積平均粒径が0.1〜3μmの無機微細粉末を、表面層の熱可塑性樹脂に対して5〜45質量%含有する。これにより、印刷適性に適した表面層が得られる。また、フィルムの白色度及び不透明度の少なくとも一方を向上させることができる。他の実施形態において、表面層は、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等の無機微細粉末であって、体積平均粒径が3〜10μmの無機微細粉末を、表面層の熱可塑性樹脂に対して0.1〜3質量%含有する。これにより、表面層に凹凸を付与することができる。その結果、アンチブロッキング性を有する表面層が得られる。表面層における無機微細粉末の含有量を抑制することで、フィルムの連続製造時にダイスに添加剤が堆積する現象を抑制することができる。
表面層は、帯電防止剤を含んでもよい。帯電防止剤としては、帯電防止剤としては、三洋化成工業株式会社製のペレスタット(商品名)、大日精化工業株式会社製のエレコンPE200などが挙げられる。
表面層における帯電防止剤の含有量は、表面層の熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上であるが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましい。表面層が無機微細粉末を含む場合、表面層における帯電防止剤の含有量は、表面層の熱可塑性樹脂と無機微細粉末の合計100質量部に対して、0.1質量部以であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましい。これにより、帯電防止性が十分に発現する。
表面層における帯電防止剤の含有量は、表面層の熱可塑性樹脂100質量部に対して、3質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましい。表面層が無機微細粉末を含む場合、表面層における帯電防止剤の含有量は、表面層の熱可塑性樹脂と無機微細粉末の合計100質量部に対して、3質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましい。これにより、帯電防止剤が表面層の表面に移行することによる、印刷インキの転移不良、密着不良、金型の汚れなどを抑制することができる。
表面層は、多孔質層に添加し得る添加剤と同様の添加剤を含んでもよい。表面層における添加剤の含有量は、フィルムに要求される透明性、柔軟性、剛度等の特性を阻害しない範囲であればよく、例えば、表面層の熱可塑性樹脂に対して0.01〜3質量%であり、0.01〜2質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。表面層における添加剤の含有量を抑制することで、フィルムの連続製造時にダイスに添加剤が堆積する現象を抑制することができる。
表面層を有するフィルムの製造方法は、特に限定されず、接着層を有するフィルムと同様の手法により製造されてよい。例えば、多孔質層の成形と同時に表面層をダイスから押し出すことで製造されてもよく、複数のダイスを使用して、多孔質層の上に表面層を押出ラミネーションすることで製造されてもよく、フィルム状に成形された表面層を多孔質層に貼り合わせることで製造されてもよい。
[表面塗工層]
一実施形態において、表面塗工層は、印刷インキ又は後加工工程で形成する各種機能材層と、フィルムとの密着性を高める目的で形成される。他の実施形態において、表面塗工層は、容器頬態と、フィルムとの接着強度を高める目的で形成される。表面塗工層は、接着性材料を含んでよい。表面塗工層は、帯電防止剤、添加剤などを含んでもよい。
(接着性材料)
接着性材料は、表面塗工層とフィルム表面との接着性を向上させる。また、フィルム表面と、印刷用インキ又は各種機能材層との接着の仲介をする。接着性材料としては、水溶性ポリマー、水性分散体ポリマー(エマルジョンと称される場合がある。)等が挙げられる。水性分散体ポリマーとしては、ビニル系樹脂エマルジョン又はポリウレタン樹脂エマルジョンを挙げることができる。
水溶性ポリマーは、表面塗工層を構成する材料(表面塗工層材料と称する場合がある。)を含む塗工剤中では水に溶解し、当該塗工剤がフィルムの表面に塗工され、乾燥した後には水に再溶解しない性質を有することが好ましい。接着層に用いられる材料は、加熱されて溶融又は軟化してタックを発現するが、表面塗工層における接着性材料は、室温においてもタックを発現することが好ましい。
水溶性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン等のビニル系共重合体;部分ケン化のポリビニルアルコール(PVAと称する場合がある)、完全ケン化のPVA、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の塩(例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等を例示することができる。)のビニル系共重合体加水分解物;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸誘導体;変性ポリアミド;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール等の開環重合系高分子又はそれらの変性物;ゼラチン、澱粉等の天然系高分子又はそれらの変性物等が挙げられる。これらの中でも、部分ケン化のPVA、完全ケン化のPVA、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン変性物を使用することが好ましい。水溶性ポリマーは、水溶性ポリマーと反応して架橋しうる、カルボジイミド類;ジイソシアネート類;ジグリシジルエーテル類等を、水溶性ポリマー100質量部に対して1〜200質量部含有することが好ましい。
ビニル系共重合体を構成するビニル系モノマーは、オレフィン類;ビニルエステル類;不飽和カルボン酸類及びそれらのアルカリ金属塩若しくは酸無水物;炭素数12までの分岐または環状構造を有してよいアルキル基のエステル;(メタ)アクリルアミド、炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1または2のアルキレン基を同時に有する誘導体;及び、ジメチルジアリルアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上であってよい。なお、上記の塩は酸残基であり、メチル硫酸イオン、塩化物イオンが好ましい。
(帯電防止剤)
帯電防止剤は、帯電によるトラブルを抑制する。帯電防止剤は、分子内に4級アンモニウム塩構造を有する共重合体であってよい。これにより、表面塗工層と、インキ又は各種機能材層との接着性を阻害することなく、帯電を防止することができる。一実施形態において、分子内に4級アンモニウム塩構造を有する共重合体は、3級アミン構造を有するモノマーを必須成分として、これと共重合可能なモノマーとの共重合体を得た後、当該3級アミンをジメチル硫酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド等の4級化剤で4級化することで得られる。
他の実施形態において、分子内に4級アンモニウム塩構造を有する共重合体は、窒素を含有しないモノマーのみを用いて共重合体を得た後、4級アンモニウム塩構造を有するモノマーをグラフトすることで得られる。4級アンモニウム塩構造及び共重合体の親水基の量と疎水性基の量とのバランスで、分子内に4級アンモニウム塩構造を有する共重合体を水溶性、水分散体、有機溶剤可溶性のいずれにも設計できるので、表面塗工層を製造する塗料の溶剤に応じて適宜選択する。
さらに他の実施形態において、接着性材料としてのビニル系樹脂エマルジョン又はポリウレタン樹脂エマルジョンを構成するモノマーとして、4級アンモニウム塩構造を有するモノマーを使用することで、分子内に4級アンモニウム塩構造を有するビニル系樹脂エマルジョン又はポリウレタン樹脂エマルジョンを得てもよく、3級アミン構造を有するモノマーを使用してエマルジョンを得た後に、4級化剤で4級化することにより、上記のエマルジョンを得てもよい。
帯電防止剤は、カチオン性金属酸化物ゾルであってもよい。カチオン性金属酸化物ゾルは、酸化アルミニウムゾル、酸化アルミナ被覆シリカゾルであってよい。酸化アルミニウムゾルの製造方法としては、アルミニウムイソプロポキシド等のアルコキシドを酸で加水分解して製造する方法(いわゆるゾルゲル法)、塩化アルミニウムを水素等の火炎中に導入して合成する方法(いわゆる気相法)等が挙げられる。酸化アルミナ被覆シリカゾルの製造方法としては、テトラエトキシシラン等のアルコキシドを酸で加水分解して製造する方法、四塩化ケイ素を水素等の火炎中に導入して合成する方法、水ガラスをイオン交換樹脂で脱塩する方法等でシリカゾルを得たのち、塩化アルミニウムやアルミニウムアセチルアセトナートを反応させる方法が挙げられる。
<フィルムの製造方法>
本実施形態のフィルムは、公知の多孔質フィルム製造法を用いて製造することができる。本実施形態のフィルムは、少なくとも1軸方向に延伸されてなるフィルムであることが好ましい。
[成形]
フィルムの成形は押し出し成形法によることが好ましい。なお、下記に説明する方法は、フィルムが少なくとも1層の多孔質層からなる場合にも適用でき、フィルムが多孔質層に加えて、接着層、表面層などを有する場合にも適用できる。
押し出し成形法としては、シート成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、圧延成形などが挙げられる。シート成形法は、例えば、フィルムを構成する熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移点より高い温度に設定した押出機でフィルムの原料を溶融混練し、Tダイ、Iダイなどを使用してシート状に押し出し、金属ロール、ゴムロール、金属ベルト等で冷却することで、フィルム状の樹脂成形品を作製する方法である。インフレーション成形法は、例えば、溶融混練された原料を、円形のダイを使用してチューブ状に押し出し、チューブ内圧力により予め定められた倍率に膨らませながら、空気、水などにより冷却することで、フィルム状の樹脂成形品を作製する方法である。カレンダー成形法は、例えば、混練された材料を複数の熱ロールで圧延しシート状に加工することで、フィルム状の樹脂成形品を作製する方法である。
一実施形態において、フィルムは、キャスト成形法により成形される。キャスト成形法は、例えば、フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物を押出機に供給して溶融し、押出機に接続されたTダイを使用して、シート状に押し出して冷却ロールに押し当て冷却することで、フィルム状の樹脂成形品を作製する方法である。
公知の方法により、多層構造のフィルムを作製してもよい。多層構造のフィルムを製造する方法としては、フィードブロック、マルチマニホールド等を使用した多層ダイス方式、複数のダイスを使用する押出ラミネーション方式、及び、これらの組み合わせが挙げられる。
一実施形態において、キャスト成形法により、熱可塑性樹脂フィルムのうちの1層が成形される。必要に応じて、ロール周速差を利用して、キャスト成形法により得られた層を延伸した後、フィルムの他の層を構成する樹脂組成物を溶融ラミネートすることにより、多層構造の積層体が得られる。
[延伸]
フィルムを構成するいずれかの層を延伸する場合において、延伸方法は特に限定されず、公知の種々の方法を使用することができる。具体的には、各層の延伸は1軸延伸であってもよく、2軸延伸であってもよく、無延伸であってもよい。また、延伸の方向は縦方向でも、横方向でもよい。さらに、2軸延伸の場合は、同時に延伸してもよく、逐次延伸してもよい。
延伸方法としては、キャスト成形フィルムを延伸する場合は、ロール群の周速差を利用した縦延伸法、テンターオーブンを使用した横延伸法、圧延法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸法等が挙げられる。また、インフレーションフィルムを延伸する場合は、チューブラー法による同時二軸延伸法が挙げられる。
多孔質層を含むフィルムを延伸する条件は、低倍率であることが好ましい。これにより、微細な空孔が形成される。一方向に延伸する場合、延伸倍率は、約1.2〜8倍であることが好ましく、2〜5倍であることがより好ましい。二軸延伸の場合、延伸倍率は、面積倍率で1.5〜12倍であることが好ましく、2〜6倍であることがより好ましい。これにより、延伸倍率が低すぎて、空孔が得られなかったり、空孔の分布にむらが生じたりすることを抑制できる。
延伸温度は、多孔質層に含まれる熱可塑性樹脂に好適な温度範囲に設定される。一実施形態において、延伸温度は、ガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下の温度に設定される。延伸温度は、融点より1〜70℃低い温度であることが好ましい。多孔質層に含まれる熱可塑性樹脂の主成分が、プロピレン単独重合体(融点155〜167℃)である場合、延伸温度は、100〜164℃であることが好ましい。多孔質層に含まれる熱可塑性樹脂の主成分が、高密度ポリエチレン(融点121〜134℃)である場合、延伸温度は、70〜133℃であることが好ましい。多孔質層に含まれる熱可塑性樹脂の主成分が、ポリエチレンテレフタレート(融点246〜252℃)である場合、延伸温度は、結晶化が急激に進まない温度であることが好ましい。
延伸速度は、1〜350m/分であることが好ましく、5〜150m/分であることがより好ましい。また、延伸後に熱処理を実施することが好ましい。熱処理の温度は、延伸温度以上であって、延伸温度より30℃高い温度以下であることが好ましい。熱処理を実施することにより、延伸方向の熱収縮率が低減し、製品保管時の巻き締まり、熱及び溶断シール時の収縮による波打ち等を抑制することができる。熱処理は、ロール及び熱オーブンの少なくとも一方を利用して実施されてよい。熱処理は、延伸したフィルムを緊張下に保持された状態において行うことが好ましい。これにより、効果的に熱処理を実施することができる。
[表面処理]
(酸化処理)
フィルムの表面に、酸化処理が施されてもよい。成形後のフィルムの表面は、表面自由エネルギーが比較的低く、疎水性でインクや塗工剤をはじきやすい傾向にある。フィルムの表面に酸化処理を施すことにより、フィルムの表面の表面自由エネルギーを向上させることができる。その結果、印刷インキ、及び、後加工工程で形成する各種機能材層(例えば、感熱発色層、インクジェット受容層、接着剤層、ドライラミネート層である。)の少なくとも一方と、フィルムとの密着性が向上する。
フィルムの厚さ方向に垂直な面(フィルムの面又はフィルムの表面と称する場合がある。)のうち、インモールド成形により容器本体にフィルムを貼着させる場合に溶融樹脂と接触する側の面に酸化処理が施されてもよい。具体的には、フィルムが接着層を有する場合には、フィルムの面のうち、多孔質層の接着層が配される側の面に酸化処理が施される。接着層がフィルムの最表面に配される場合、接着層に酸化処理が施される。また、フィルムが接着層を有さず、表面層を有する場合には、フィルムの面のうち、多孔質層の表面層が配されていない側の面に酸化処理が施される。これにより、フィルムと、容器本体との接着強度を向上させることができる。
表面酸化処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理等を挙げることができる。表面酸化処理として、コロナ放電処理、プラズマ処理を用いることが好ましい。
酸化処理量は、コロナ放電処理の場合には10W・分/m(600J/m)以上であることが好ましく、20W・分/m(1,200J/m)以上であることがより好ましい。これにより、十分な効果が発現する。酸化処理量は、コロナ放電処理の場合には200W・分/m(12,000J/m)以下であることが好ましく、180W・分/m(10,800J/m)以下であることがより好ましい。これにより、過度の酸化処理に伴う密着性の低下を抑制することができる。
(塗工)
フィルムの表面に酸化処理を施した場合、経時的に表面自由エネルギーが低下し、密着性が低下する場合がある。そこで、表面酸化処理の直後、又は表面酸化処理から1週間以内に、塗工工程を実施して、表面塗工層を形成することが好ましい。塗工方法としては、ダイコーター、ロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、リバースコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター等による塗工、浸漬等が挙げられる。
塗工プロセスは、フィルムの成形ライン中でフィルム成形と併せて実施されてもよく、フィルムの成形ラインとは別のラインにおいて、当該成形ラインで成形されたフィルムに対して、塗工プロセスが実施されてもよい。多孔質層の成形が延伸法による場合は、延伸工程の前に塗工工程を実施してもよく、延伸工程の後に塗工工程を実施してもよい。塗工工程の後、必要に応じて、オーブン等を用いた乾燥工程を経て余分な溶媒を除去することで、表面塗工層を形成してもよい。
表面塗工層の厚さが厚すぎると、表面塗工層の内部で表面塗工層の成分が凝集を起こす場合がある。その結果、フィルムと、インク又は機能材層塗工液との密着性が低下する場合がある。そこで、フィルムへの表面塗工層の塗工量の上限は、単位面積(平米)当たりの乾燥後固形分換算で、20g/mであることが好ましく、5g/mであることがより好ましく、1g/mであることが特に好ましい。
一方、表面塗工層の厚さが薄すぎると、表面塗工層の成分がフィルムの表面に均質に存在することができず、十分な表面処理効果が得られにくくなったり、フィルムと、インクまたは機能材層塗工液との密着性が低下したりする場合がある。そこで、塗工量の下限は、0.07g/mであることが好ましく、0.1g/mであることがより好ましく、0.15g/mであることが特に好ましい。
表面塗工層の塗工量は、下記の手順により決定する。まず、フィルムに塗工剤を塗工した直後のウエットフィルム質量から、塗工剤を塗工する前のフィルム質量を差し引いてウエット塗工量を算出する。ウエット塗工量に塗工剤の固形分濃度を乗じて、固形分換算の塗工量を決定する。ただし、やむを得ない場合には、フィルムから表面塗工層を剥離して、剥離された表面塗工層の質量を測定することにより乾燥後の塗工量を直接決定してもよい。また、フィルムの厚さ方向に平行な断面を走査型電子顕微鏡で観察することで、表面塗工層の厚さを決定し、表面塗工層の厚さに塗工剤固形分の密度を乗じて、乾燥後の塗工量を算出してもよい。
表面塗工層は、フィルムの少なくとも一方の面に形成されてよい。フィルムの面のうち、情報を印刷する側の面又は後加工で各種機能材を塗布する側の面にのみ、表面塗工層が形成されてもよい。フィルムの面のうち、インモールド成形により容器本体にフィルムを貼着させる場合に溶融樹脂と接触する側の面にのみ、表面塗工層が形成されてもよい。
(エンボス加工)
本発明のフィルムをインモールド成形によりプラスチック容器に貼着する際、フィルムとプラスチック容器とが接触する面は平滑度を下げておくことが好ましい。そのためにエンボス加工を行うことができる。エンボス加工は彫刻金属ロールと対するゴムロールを用いる。エンボス加工は、フィルム製造時の延伸前に行ってもよく、延伸後に行ってもよい。また、予めエンボス加工を行ったフィルムを多孔質層に貼合する方法で、エンボス加工された接着層を得ることもできる。
エンボス加工のパターンは、不連続の凹部を彫刻したエンボスロールを用いて得られる連続した溝を有するパターンや、50〜300線の溝を有するエンボスロールで得られる稜線パターンが好ましい。
<フィルムの特性>
[フィルム全層の特性]
(厚さ)
フィルムの厚さDは、JIS K 7130:1999「プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法」に従い、定圧厚さ測定器を用いて決定される。フィルムの厚さDは、20μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、60μm以上であることがさらに好ましい。これにより、インモールド成形によりフィルムを容器本体に貼着する場合において、ラベルインサーターを用いて金型の内側にフィルムを挿入する場合に、適切な位置にフィルムを配置することが容易になる。また、フィルムのシワの発生を抑制することができる。
フィルムの厚さDは、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。これにより、フィルム及び容器本体の間の空隙又は容器本体の薄肉部分の発生を抑制することができる。その結果、成形品の耐落下強度を向上させることができる。また、金型の加工コストを低減させることができる。
(密度)
フィルムの密度は、フィルム試料を用いて、JIS K 7112:1999「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」のA法に基づき、水中置換法によって決定される。フィルムが多孔質層のみからなる場合、フィルムの密度は、0.5g/cm以上であることが好ましく、0.6g/cm以上であることがより好ましい。これにより、ラベルの表面強度を維持することができる。また、フィルムの密度は、1.3g/cm以下であることが好ましく、1.0g/cm以下であることがより好ましい。これにより、フィルムにIML接着性(ヒートシール強度)を付与することができる。
なお、フィルムが多孔質層のみからなる場合、当該フィルムの密度の好ましい範囲として、後述の多孔質層の密度における好ましい範囲を適用してよい。フィルムが多孔質層を含む多層構造の場合、フィルムの密度は0.6g/cm以上であることが好ましく、0.7g/cm以上であることがより好ましい。また、フィルムの密度は、1.4g/cm以下であることが好ましく、1.1g/cm以下であることがより好ましい。
(熱抵抗値)
フィルムの熱抵抗値Rは、ISO 22007−3:2008に従って熱伝導率測定機(株式会社アイフェイズ製、機器名:ai−Phase Mobaile)を用いて測定されるフィルムの全層の熱伝導率λと、フィルム全層厚さDとを用いて、下記の式により算出する。
=d×10−6/λ
ここで、Rは、フィルムの熱抵抗値[m・K/W]であり、Dは、フィルムの全層厚さ[μm]であり、λ:フィルムの全層の熱伝導率[W/m・K]である。
フィルムの熱抵抗値Rは、0.05m・K/W以上であることが好ましく、0.1m・K/W以上であることがより好ましい。これにより、インモールド成形時にフィルムが溶融樹脂から受け取った熱量が、フィルムの外部に流出することを抑制することができる。その結果、フィルムの面のうち、容器本体に接する側の面に配された層に含まれる熱可塑性樹脂が十分に溶融するので、ブリスターの発生を抑制することができる。
フィルムの熱抵抗値Rは、0.25m・K/W以下であることが好ましく、0.20m・K/W以下であることがより好ましい。フィルムの熱抵抗値Rを大きくするには、例えば、多孔質の密度を小さくしたり、多孔質層の空孔率又は空孔長を大きくしたりする必要がある。フィルムの熱抵抗値Rを上記の範囲内にすることで、フィルムの強度低下、オレンジピールの発生を抑制することができる。
[多孔質層の特性]
(厚さ)
フィルムにおける多孔質層の厚さdは、下記の手順で決定する。まず、フィルムの厚さ方向に平行な断面を走査型電子顕微鏡で観察して、画像解析により、フィルム厚さDに占める多孔質層の厚さの割合を決定する。決定された割合に、JIS K 7130:1999「プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法」に従って決定されたフィルムの厚さDを乗じて、多孔質層の厚さdを決定する。
フィルム厚さに占める多孔質層の厚さの割合は、10%以上100%以下であることが好ましい。これにより、断熱性に優れた多孔質層が得られる。また、白色度又は不透明度の大きな多孔質層が得られる。当該割合は、好ましくは25%以上であり、より好ましくは30%以上である。
(密度)
フィルムにおける多孔質層の密度ρは、JIS K 7112:1999「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」のA法に基づき、水中置換法によって決定する。なお、ラベル付きプラスチック容器に貼着されたフィルムを試料として、当該フィルムに含まれる多孔質層の密度ρを決定する場合、当該多孔質層の密度ρは、下記の手順により決定する。まず、切断などにより、ラベル付きプラスチック容器から多孔質層を含むフィルムを取り出す。次に、取り出されたフィルムから多孔質層を剥離して、密度測定用の試料を得る。次に、JIS K 7112:1999「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」のA法に基づき、水中置換法によって、上記の密度測定用の試料の密度を測定することにより、多孔質層の密度ρを決定する。
ただし、フィルムから多孔質層を剥離できない場合には、下記の手順により多孔質層の密度ρを決定する。まず、ラベル付きプラスチック容器から取り出されたフィルムの断面を走査型電子顕微鏡で観察して、画像解析により、フィルム中の多孔質層における熱可塑性樹脂、無機微細粉末及び空孔(多孔質層の各部と称する場合がある。)の体積比率を決定する。上記の体積比率として、画像中における各部の面積比率を代用してもよい。次に、多孔質層の各部の体積比率に、各部の密度を乗じた値を合算して、多孔質層の密度ρを決定する。例えば、熱可塑性樹脂の体積比率に熱可塑性樹脂の密度を乗じた値と、無機微細粉末の体積比率に無機微細粉末の密度を乗じた値と、空孔の体積比率に空気の密度を乗じた値とを合算することで、多孔質層の密度ρを決定する。
フィルムの多孔質層の密度は、0.5g/cm以上であることが好ましく、0.6g/cm以上であることがより好ましい。これにより、ラベルの表面強度を維持することができる。また、オレンジピールの発生を抑制することができる。フィルムの多孔質層の密度は、1.3g/cm以下であることが好ましく、1.0g/cm以下であることがより好ましい。これにより、多孔質層にIML接着性又はヒートシール強度を付与することができる。
(真密度)
フィルムにおける多孔質層の真密度ρは、フィルムから剥離した多孔質層を熱収縮させたものを試料として、JIS K 7112:1999「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」のA法に基づき、水中置換法によって決定する。なお、多孔質層に使用されている熱可塑性樹脂組成物の組成が判明している場合には、当該組成に基づいて、新たに作製した樹脂組成物をもって、上記試料に替えてもよい。
また、多孔質層をフィルムから剥離できない場合には、下記の手順により多孔質層の真密度ρを決定する。まず、フィルムの断面を走査型電子顕微鏡で観察して、画像解析により、フィルム中の多孔質層における空孔以外の各部のそれぞれについて、多孔質層における空孔以外の部分の全体積を1としたときの体積比率を決定する。上記の体積比率として、画像中における各部の面積比率を代用してもよい。次に、多孔質層における空孔以外の各部の体積比率に、各部の密度を乗じた値を合算して、多孔質層の真密度ρを決定する。例えば、多孔質層が熱可塑性樹脂及び無機微細粉末からなる場合、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末の体積に対する、熱可塑性樹脂及び無機微細粉末のそれぞれの体積の比率を決定する。熱可塑性樹脂の体積比率に熱可塑性樹脂の密度を乗じた値と、無機微細粉末の体積比率に無機微細粉末の密度を乗じた値とを合算することで、多孔質層の真密度ρを決定する。
多孔質層の真密度は、1.0g/cm以上であることが好ましく、1.2g/cm以上であることがより好ましい。多孔質層における無機微細粉末の含有量が大きくなるにつれて、多孔質層の真密度も大きくなる。無機微細粉末は、空孔生成の核として機能すると推測され、多孔質層における無機微細粉末の含有量が大きくなることにより、空孔生成の核の数が増加する。空孔生成の核の数が増加すると、延伸後の空孔の数も増加し、多孔質層の断熱性が向上する。その結果、インモールド接着性が高くなる。また、延伸後の空孔の数が増加すると、多孔質層の密度が低下し、軽量なインモールドラベルが得られる。
多孔質層の真密度は、1.9g/cm以下であることが好ましく、1.8g/cm以下であることがより好ましい。空孔径が過度に大きくなると、空孔壁が座屈しやすくなる場合もあるが、多孔質層の真密度を上記の範囲に調整することにより、延伸後の多孔質層における空孔径を、用意に、適切な範囲に調整することができる。これにより、オレンジピールの発生を十分に抑制することができる。
(空孔率)
多孔質層の空孔率p[%]は、上記測定によって得られた密度ρと、上記測定によって得られた真密度ρとを用いて、下記の式により算出する。
P=(ρ−ρ)/ρ ×100
多孔質層の空孔率は、15%以上であってよく、25%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましい。これにより、断熱性に優れた多孔質層が得られる。また、白色度又は不透明度の大きな多孔質層が得られる。多孔質層の空孔率は、75%以下であってよく、70%以下が好ましく、65%以下がより好ましい。これにより、オレンジピール発生を抑制することができる。
(空孔長)
多孔質層の空孔の量を示す指標として、上記の空孔率と、上記の多孔質層の厚さdとを用いて、下記の式により算出される空孔長Lを用いる。
L=d×(ρ−ρ)/ρ
ここで、Lは空孔長[μm]であり、ρは多孔質層の密度[g/cm]であり、ρは多孔質層の真密度[g/cm]である。
空孔長Lは、多孔質層の厚さdに占める空孔の割合を示す指標であり、空孔長Lが長いほど断熱性が高いことを意味する。空孔長Lは、20μm以上であることが好ましい。これにより、インモールド成形時にフィルムが溶融樹脂から受け取った熱量が、フイルムの外部に流出することを抑制することができる。その結果、フィルムと容器本体との接着力を向上させることができる。
[接着層の特性]
(厚さ)
接着層の厚さは、多孔質層の厚さdと同様の手順により決定される。まず、フィルムの厚さ方向に平行な断面を走査型電子顕微鏡で観察して、画像解析によりフィルム厚さDに占める接着層の厚さの割合を決定する。決定された割合に、JIS K 7130:1999「プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法」に従って決定されたフィルムの厚さDを乗じて、接着層の厚さを決定する。
接着層の厚さは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。これにより、十分な接着力が得られる。接着層の厚さは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。これにより、オフセット印刷によりフィルムに情報を印刷する場合、又はフィルムを金型に挿入する場合に、フィルムのカールを抑制することができる。
[フィルム表面の特性]
(平滑度)
フィルムの表面のうち、多孔質層の接着層が配された側の表面(接着側表面と称する場合がある。)における平滑度sは、JIS P 8155:2010「紙及び板紙−平滑度試験方法−王研法」に従って決定される。平滑度sは、5〜4000秒であることが好ましい。これにより、インモールド成形によりフィルムを容器本体に貼着する場合において、フィルムと容器本体の間の空気が速やかに排出され、空気溜りのないラベル付きプラスチック容器が得られる。
平滑度sは、1000秒以下であることがより好ましく、500秒以下であることがさらに好ましい。これにより、ラベルのサイズが大きい場合であっても、十分速やかに空気を排出することができる。平滑度sは、10秒以上であることがより好ましく、20秒以上であることがさらに好ましい。これにより、インモールド成形時にフィルムの接着側表面に溶融樹脂が充填されなくなることを抑制することができる。
(ぬれ張力)
フィルムの表面に枚葉オフセット印刷、輪転オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷等の各種印刷方式で印刷を施す場合、JIS K 6768:1999「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」で求められる表面のぬれ張力Wは、34mN/m以上であることが好ましく、42mN/m以上であることがより好ましい。これにより、インキ受理性を十分に発現することができる。表面のぬれ張力Wは74mN/m以下であることが好ましく、72mN/m以下であることがより好ましい。これにより、フィルムの打抜き加工時に、フィルム同士の端部が貼り付くことを抑制できる。なお、ぬれ張力の測定は、フィルムにぬれ張力試験用混合液を滴下し、フィルム上の液をNo.2ワイヤーバーで広げ、2秒後の液滴の状態で判定する。
(表面抵抗率)
23℃50%RHにおける表面抵抗率Rは、JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」の表面抵抗率に従って決定する。フィルムの少なくとも一方の表面の表面抵抗率は、1×108〜1×1012Ωであることが好ましい。これにより、フィルムの帯電を防止することができる。表面抵抗率が上記の範囲内である場合、帯電防止性及びオフセット印刷適性に優れたフィルムが得られる。フィルムの少なくとも一方の表面は、表面加工を施された面であってよい。
金型の内側にフィルムを配置する場合に帯電ラベルインサーターが用いられる場合がある。帯電ラベルインサーターは、直流高電圧発生装置を用いて、フィルムの面のうち、容器本体に接する側の面に静電気を発生させ、静電吸着によってフィルムを金型に固定させる。帯電インサーターを使用する場合には、フィルムの面のうち、容器本体に接する側の面の表面抵抗率は、1×1012Ω以上であることが好ましい。
<後加工>
[印刷]
フィルムには、情報が印刷されてよい。フィルムに含まれる層のうち、多孔質層の一方の面の側に配される層の表面に、情報が印刷されてよい。フィルムに含まれる層のうち、多孔質層の接着層が配されていない側に配される層の表面に、情報が印刷されてもよい。グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、電子写真記録方式等の印刷方式により、フィルムに情報が直接印刷されてもよい。インクジェット記録方式、熱転写記録方式、感圧転写記録方式等の印刷方式を用いる場合には、フィルムの表面に、それぞれの印刷方式に適した公知の受容層をさらに設けてよい。グラビア印刷、インクジェット記録方式及び電子写真記録方式は、精細性に優れる。レタープレス印刷及びフレキソ印刷は、小ロットの印刷にも対応できる。
オフセット印刷は、フィルムの表面の水の濡れが良過ぎる場合は、インクが水負けしやすくインクが転移しにくくなる。そのため、絵柄によっては適さない場合がある。一方、フィルムの表面の水の濡れが悪すぎる場合は、オフセット印刷の非印画部にインキが付着し、地汚れを起こす場合がある。そこで、フィルムの情報が印刷される面に、表面塗工層を形成して、フィルムの表面の水接触角を適正範囲に制御してよい。これにより、オフセット印刷が良好なものとなる。表面自由エネルギーについても同様である。
印刷に用いるインキは、油性インキであってもよく、紫外線硬化型インキであってもよい。耐擦過性の観点から、紫外線硬化型インキを用いることが好ましい。紫外線硬化型インキは紫外線照射により乾燥固化される。紫外線照射方法は、紫外線硬化型インクが硬化される方法であれば特に限定されないが、例えば、メタルハライドランプ(200〜400nm)、低圧水銀灯(180〜250nm)、高圧水銀灯(250〜365nm)、ブラックライト(350〜360nm)、UV−LEDランプ(355〜375nm)から照射される紫外線を、300〜3000mJ/cm、好ましくは400〜1000mJ/cmの照射量となるように照射すること等が挙げられる。
以下に調製例、シート成形例、実施例、比較例および試験例を用いて、本発明を更に具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。なお、以下に記載される%は、特記しない限り質量%である。
[試験例]
<厚さ>
シート成形例で得られたフィルム全体の厚さDは、JIS K 7130:1999「プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法」に基づき、定圧厚さ測定器(株式会社テクロック製、機器名:PG−01J)を用いて測定した。また、シート成形例で得られたフィルムにおける各層の厚さは、下記の手順で測定した。まず、測定対象試料を液体窒素にて−60℃以下の温度に冷却した。次に、冷却後の測定対象試料をガラス板上に載置し、測定対象試料に対してカミソリ刃(シック・ジャパン株式会社製、商品名:プロラインブレード)を直角に当てて、測定対象試料を切断することで、断面測定用の試料を作製した。次に、断面測定用の試料を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、機器名:JSM−6490)を使用して断面を観察し、観察像から境界線を判別して、フィルム全体の厚さDに対する、測定対象となる層の厚さの比率を決定した。その後、全体の厚さDに、断面測定用の試料の観察により決定された上記の比率を乗算することで、測定対象となる層の厚さを決定した。
<フレキソ印刷評価>
各実施例、比較例で得られたフィルムを150mm幅で小割して、スリット状の試料を作製した。スリット状の試料の一方の表面に、フレキソ印刷機(商品名「TCL」、太陽機械製作所株式会社社製)、及び紫外線硬化型フレキソインキ(商品名「UVフレキソCF」、T&K TOKA株式会社製)を用いて、商品名、製造元、販売会社名、使用方法、注意事項等の文字情報と、バーコード及び意匠を含む図柄とを印刷した。印刷は、4色印刷であった。印刷は、温度23℃、相対湿度50%の環境下で実施した。また、印刷速度は、60m/分であった。次に、印刷後の試料を、紫外線照射器(メタルハライド灯、100W/cm、1灯、アイグラフィック株式会社製)の下を60m/分の速度にて通過させて、印刷面のインキを乾燥させて、評価用サンプルを作製した。
・インキ転移
評価用サンプルのインキ転移状態を目視にて判定を行った。下記の記号を用いてインキ転移評価の結果を示す。
○:転移不良が発生せず良好。
×:転移不良が発生して不良。
・インキ密着
評価用サンプルの印刷面に、18mm幅のセロハン粘着テープ(株式会社ニチバン製、製品名:CT405AP−18)を5cmの長さで貼り付け、高速手剥離を行いインクの剥がれを目視にて確認し、判定を行った。下記の記号を用いてインキ密着評価の結果を示す。
○:手剥離を実施した部分の100%の面積でインクが残った。又はインクの密着が強すぎて熱可塑性樹脂フィルムが材破した。
△:手剥離を実施した部分の50〜100%の面積でインクが残った。
×:手剥離を実施した部分の0〜50%の面積でインクが残った。
<オフセット印刷性評価>
各実施例、比較例で得られたフィルムをA3サイズに断裁し、オフセット印刷機(リョービ株式会社製、機器名:RYOBI3300CR)、UVオフセット印刷用インキ(T&K TOKA株式会社製、製品名:BC161)を用いて、2000枚印刷した。得られた印刷物にUV(照射量100mJ/cm)を照射し、インキを固化させて、評価用サンプルを作製した。
・インキ転移
評価用サンプルのインキ転移状態を目視にて判定した。下記の記号を用いてインキ転移評価の結果を示す。
○:転移不良が発生せず良好。
×:転移不良が発生して不良。
・インキ密着
評価用サンプルの印刷面に、18mm幅のセロハン粘着テープ(株式会社ニチバン製、製品名:CT405AP−18)を5cmの長さで貼り付け、高速手剥離を行いインクの剥がれを目視にて判定した。下記の記号を用いてインキ密着評価の結果を示す。
○:手剥離を実施した部分の100%の面積でインクが残った。又はインクの密着が強すぎて熱可塑性樹脂フィルムが材破した。
△:手剥離を実施した部分の50〜100%の面積でインクが残った。
×:手剥離を実施した部分の0〜50%の面積でインクが残った。
<インモールド適性>
各実施例、比較例で得られたフィルムを、横60mm、縦110mmの矩形に打抜加工することで、ラベル付きプラスチック容器の製造に用いるラベルを作製した。準備したラベルを、ブロー成形用の一対の金型の一方の内側の面に固定した。上記金型は、400mlの内容量のボトルを成型できる金型を用いた。ラベルは、ラベルのヒートシール層がキャビティ側に向くように配置し、吸引を利用して金型上に固定した。
次に、金型の間に高密度ポリエチレン(商品名「ノバテックHD HB420R」、日本ポリエチレン株式会社製、MFR(JIS K 7210:1999)=0.2g/10分、融解ピーク温度(JIS K 7121:2012)=133℃、結晶化ピーク温度(JIS K 7121:2012)=115℃、密度=0.956g/cm)を、160℃で溶融してパリソン状に押出した。次に、金型を型締めした後、4.2kg/cmの圧縮空気をパリソン内に供給した。16秒間パリソンを膨張させて、当該パリソンを金型に密着させて容器状とするとともに、当該パリソンとラベルとを融着させた。その後、金型内で成型物を冷却し、型開きをしてラベル付きプラスチック容器を得た。金型冷却温度は20℃であり、ショットサイクル時間は34秒/回とした。
・160℃接着性
得られたラベル付きプラスチック容器の外観を目視にて確認し、後述の記号を用いて160℃接着性を評価した。
・200℃接着性
高密度ポリエチレンを200℃で溶融してパリソン状に押し出した以外は、160℃接着性の評価に用いたラベル付きプラスチック容器と同様の方法により、200℃接着性の評価に用いるラベル付きプラスチック容器を作製した。
得られたラベル付きプラスチック容器の外観を目視にて確認し、後述の記号を用いて200℃接着性を評価した。
○:ブリスターなく綺麗に接着する。
△:接着するが4本中1本以下の割合でブリスターが発生する。
×:接着強度が弱い、もしくは4本中2本以上の割合でブリスターが発生する。
・オレンジピール評価
200℃接着性の評価に用いたラベル付きプラスチック容器の外観を目視にて確認し、後述の記号を用いてオレンジピールを評価した。
○:斜光をあてても凹凸が目立たない。
△:斜光を当てた際に凹凸が目立ち、凹凸の間隔が0.5mm未満である。
×:斜光を当てた際に凹凸が目立ち、凹凸の間隔が0.5mm以上である。
[使用材料]
表1に、フィルム成形に使用した材料とその物性を示す。無機微細粉末の平均粒径はBET比表面積から求められる粒径であり、D50はマイクロトラックHRA(日機装株式会社社製)による体積分布の累積値50%における粒径(体積平均粒径と称される場合がある。)を示し、D90は同じく累積値90%における粒径(体積平均粒径と称される場合がある。)を示す。
実施例1〜12のフィルムの組成、製造条件、フィルムの特性及び評価結果を表2に示す。比較例1〜5のフィルムの組成、製造条件、フィルムの特性及び評価結果を表3に示す。表2及び表3において、表面処理は、接着層とは反対側の面に施した。また、ぬれ張力及び表面抵抗率は、接着層を有しない側の面について測定した。なお、表2及び3において、フレキソ印刷適性及びオフセット印刷適性における「−」は、評価を実施していないことを示す。
実施例1:
(フィルム成形)
多孔質層の材料として、表1に記載の高密度ポリエチレン(A−1)、重質炭酸カルシウム(B−1)、添加剤(分散剤および酸化防止剤)を質量比30:70:1で混合し、これを180℃に設定した押出機にて溶融混練した後、190℃に設定したTダイに供給し、シート状に押し出した。押し出されたシートを冷却ロールにて約40℃まで冷却して、296μmの無延伸シートを得た。次に、無延伸シートを、110℃に再加熱した後、ロール群の周速差を利用して縦方向に2倍延伸(MD延伸)し、引き続きテンターオーブンを用いて128℃に再加熱した後、テンターを用いて横方向に2倍延伸(TD延伸)した。その後、130℃に調整した熱セットゾーンによりアニーリング処理を行い、冷却ロールにて約60℃まで冷却し、耳部をスリットして、多孔質層単層で構成される2軸延伸HDPEフィルムを得た。
実施例1のフィルムは厚さDが198μmであり、熱抵抗値Rが0.21m・K/Wであり、多孔質層は密度ρが0.629g/mであり、空孔率pが64%であり、空孔長Lが126μmであり、平滑度sが111秒であり、表面抵抗値Rが1.0×1016Ωであった。
(インモールド評価)
実施例1のフィルムについて、上述の方法でパリソン温度160℃及び200℃でインモールド成形して得られたラベル付きプラスチック容器の評価を行った。160℃接着性:○、200℃接着性:○、オレンジピール:○であり良好であった。
実施例2〜3、比較例1:
(フィルム成形)
実施例1において、MD延伸温度およびTD延伸温度を表2又は表3のとおり変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜3及び比較例1のフィルムを作製した。なお、比較例1のフィルムは、延伸むらが顕著であり、実用に耐えないと判断した。そのため、比較例1のフィルムについては、フィルムの物性値を測定していない。また、IML適性、フレキソ印刷適性及びオフセット印刷適性についても評価していない。
(インモールド成形評価)
得られた実施例2〜3のフィルムについて、インモールド適性に関する評価(インモールド成形評価と称する場合がある。)を実施した。いずれも実施例1と同様に接着性、オレンジピールとも良好な結果を得た。
実施例4、比較例2:
(フィルム成形)
実施例1において、冷却ロールにおける引き取り速度を増速して無延伸シートの厚さを表2又は表3の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4、比較例2のフィルムを作製した。
(インモールド成形評価)
作製したフィルムについて、インモールド成形評価を実施した。結果を表2又は表3に示す。空孔長が20μmを下回ると断熱性が不足してIML適性が低下した。
実施例5〜6:
(フィルム成形)
実施例1において、成分Aの熱可塑性樹脂、成分Bの重質炭酸カルシウムを表2の通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5〜6のフィルムを作製した。
(インモールド成形評価)
作製したフィルムについて、インモールド成形評価を実施した。結果を表2に示す。多孔質層の配合を変更したが、実施例1に劣らない評価が得られた。
実施例7:
(フィルム成形)
実施例1において、多孔質層における熱可塑性樹脂(A−1)、重質炭酸カルシウム(B−1)、添加剤(分散剤および酸化防止剤)の配合量を表2のとおり変更し、多孔質層の空孔率が35〜40%になるように無延伸シートの厚さ及び延伸条件を調整して、実施例7のフィルムを作製した。
(インモールド成形評価)
作製したフィルムについて、インモールド成形評価を実施した。結果を表2に示す。多孔質層における無機微細粉末の含有量を下げた場合、延伸倍率を上げる等調整して空孔長を確保すればIML適性が発現していることが分かる。しかしながら、凹凸の間隔が0.5mm未満のオレンジピールが生じた。
比較例3:
(フィルム成形)
多孔質層の材料として、表1に記載の高密度ポリエチレン(A−1)、重質炭酸カルシウム(B−1)、添加剤(分散剤および酸化防止剤)を質量比75:25:1で混合し、同方向二軸混練機で混練して多孔質層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。一方、高密度ポリエチレン(A−1)、重質炭酸カルシウム(B−1)、添加剤を質量比80:20:0.5で混合し、同方向二軸混練機にて混練して表面層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
次に、多孔質層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットと、表面層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットとを、それぞれ別々の押出機にて溶融させた。押出機の温度は、両者とも180℃に設定した。次に、溶融した多孔質層用の熱可塑性樹脂組成物と、溶融した表面層用の熱可塑性樹脂組成物とを、190℃に設定した一台の共押出ダイに供給して、ダイ内で表面層/多孔質層/表面層となるように積層し、厚さ574μmの2種3層無延伸シートを得た。
無延伸シートを110℃に再加熱した後、ロール群の周速差を利用して縦方向に2倍延伸し、引き続きテンターオーブンを用いて128℃に再加熱した後、テンターを用いて横方向に2倍延伸した。その後、130℃に調整した熱セットゾーンによりアニーリング処理を行い、冷却ロールにて約60℃まで冷却し、耳部をスリットして、2種3層2軸延伸HDPEフィルムを得た。
比較例3のフィルムは厚さDが60μmであり、熱抵抗値Rが0.07m・K/Wであり、多孔質層は厚さdが49μmであり、密度ρが0.677g/mであり、空孔率pが37%であり、空孔長Lが22μmであり、平滑度sが109秒であり、表面抵抗値Rが1.0×1016Ωであった。
(インモールド成形評価)
作製したフィルムについて、インモールド成形評価を実施した。結果を表3に示す。無機微細粉末の含有量が35質量%を下回る従来型のインモールドフィルムは、接着性を発現するためには延伸倍率を大きくするだけでは不十分であり、しかも、凹凸の間隔が0.5mm以上のオレンジピールが発生した。
比較例4:
(フィルム成形)
2種3層無延伸シートの厚さを1248μmにしたこと以外は比較例3と同様にして、比較例4の2種3層2軸延伸HDPEフィルムを作製した。比較例4のフィルムは厚さDが130μm、熱抵抗値Rが0.12m・K/Wであり、多孔質層は厚さdが118μmであり、密度ρが0.677g/mであり、空孔率pが39%であり、空孔長Lが51μmであり、平滑度sが101秒であり、表面抵抗値Rが1.1×1016Ωであった。
(インモールド成形評価)
作製したフィルムについて、インモールド成形評価を実施した。結果を表3に示す。比較例3のフィルムと比較して厚さdが増加したことにより、空孔長Lが大きくなり、IML適性が発現した。しかし、空孔サイズが大きく、凹凸の間隔が0.5mm以上のオレンジピールが発生した。
比較例5:
(フィルム成形)
実施例1において、多孔質層における熱可塑性樹脂(A−1)、重質炭酸カルシウム(B−1)、添加剤(分散剤および酸化防止剤)の配合量を20:80:1に変更し、フィルムの作製を試みた。しかし、分散媒となる熱可塑性樹脂が少なく、Tダイで成形した無延伸シートが脆くなり縦延伸することが不可能であった。そのため、比較例5のフィルムについては、フィルムの物性値を測定していない。また、IML適性、フレキソ印刷適性及びオフセット印刷適性についても評価していない。
実施例8:
(フィルム成形)
多孔質層の材料として、表1に記載の高密度ポリエチレン(A−1)、重質炭酸カルシウム(B−1)、添加剤(分散剤および酸化防止剤)を質量比30:70:1で混合し、同方向二軸混練機で混練して多孔質層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。一方、高密度ポリエチレン(A−1)、重質炭酸カルシウム(B−1)、添加剤を質量比80:20:0.5で混合し、同方向二軸混練機にて混練して表面層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
次に、次に、多孔質層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットと、表面層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットと、接着層となる樹脂であるエチレン―αオレフィン共重合体(日本ポリエチレン株式会社製、カーネルKF270(商品名)、融点:100℃)とを、それぞれ別々の押出機にて溶融させた。押出機の温度は、全て180℃に設定した。次に、溶融した多孔質層用の熱可塑性樹脂組成物と、溶融した表面層用の熱可塑性樹脂組成物と、溶融したエチレン―αオレフィン共重合体とを、190℃に設定した一台の共押出ダイに供給して、ダイ内で表面層/多孔質層/接着層となるように積層し、シート状に押し出した。得られたシートを冷却ロールにて約40℃まで冷却して、厚さ131μmの3種3層無延伸シートを得た。
無延伸シートを129℃に再加熱した後、ロール群の周速差を利用して縦方向に2倍延伸し、引き続きテンターオーブンを用いて135℃に再加熱した後、テンターを用いて横方向に2倍延伸した。その後、130℃に調整した熱セットゾーンによりアニーリング処理を行い、冷却ロールにて約60℃まで冷却し、耳部をスリットして、3層3軸延伸HDPEフィルムを得た。
実施例8のフィルムは手で剥離して多孔質層を取り出すことが可能であった。フィルム全体の厚さDが67μmであり、熱抵抗値Rが0.02m・K/Wであり、多孔質層は密度ρが1.060g/mであり、空孔率pが40.6%であり、空孔長Lが22μmであり、平滑度sが1284秒であり、表面抵抗値Rが9.7×1015Ωであった。
(断面観察)
実施例8のフィルムをエポキシ樹脂で包埋し、ミクロトームで切断して断面測定用の試料を作製した。次に上記の試料を、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、機器名:JSM−6490)を使用して断面を観察し、観察像から境界線を判別した。フィルム全体の厚さDに対する、多孔質層の厚さdの比率は42%であった。上記の比率から、多孔質層の厚さdを55μmと決定した。
また、観察像から、各成分の体積比率を決定した。成分(A−1)の体積比率は、58体積%であり、成分(B−1)の体積比率は、42体積%であった。成分(A−1)の密度は、0.896g/cmであり、成分(B−1)の密度は、2.890g/cmであった。観察像から決定された各成分の体積比率と、各成分の密度とを用いて、各成分の含有量を計算したところ、成分(A−1)の含有量は、29.98質量%であり、成分(B−1)含有量は、70.02質量%であった。これは、多孔質層の原材料の配合比率とよく一致した。
(インモールド成形評価)
作製したフィルムについて、インモールド成形評価を実施した。それらの結果を表2に示す。空孔長が20μmに近いことから、断熱性が低くIML適性は△を示した。一方、延伸倍率が2×2倍であり空孔のサイズが小さく、オレンジピールは生じなかった。接着層を設けたことにより平滑度sは上昇したが、接着層とプラスチック容器との間に空気の混入は見られなかった。
実施例9〜11:
(フィルム成形)
多孔質層の材料として、表1に記載の高密度ポリエチレン(A−1)、重質炭酸カルシウム(B−1)、添加剤(分散剤および酸化防止剤)を質量比30:70:1で混合し、同方向二軸混練機で混練して多孔質層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。一方、高密度ポリエチレン(A−1)、重質炭酸カルシウム(B−1)、添加剤を質量比80:20:0.5で混合し、同混練機にて混練して表面層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
次に、多孔質層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットと、表面層用の熱可塑性樹脂組成物ペレットとを、それぞれ別々の押出機にて溶融させた。押出機の温度は、両者とも180℃に設定した。次に、溶融した多孔質層用の熱可塑性樹脂組成物と、溶融した表面層用の熱可塑性樹脂組成物とを、190℃に設定した一台の共押出ダイに供給してダイ内で表面層/多孔質層/表面層となるように積層し、シート状に押し出した。得られたシートを冷却ロールにて約40℃まで冷却して、305μmの無延伸シートを得た。
無延伸シートを110℃に再加熱した後、ロール群の周速差を利用して縦方向に2倍延伸し、引き続きテンターオーブンを用いて128℃に再加熱した後、テンターを用いて横方向に2倍延伸した。その後、130℃に調整した熱セットゾーンによりアニーリング処理を行い、冷却ロールにて約60℃まで冷却し、耳部をスリットして、2種3層2軸延伸HDPEフィルムを得た。
実施例9の2種3層2軸延伸HDPEフィルムは、手で剥離して多孔質層を取り出すことが可能であった。フィルム全体の厚さDが211μmであり、熱抵抗値Rが0.22m・K/Wであり、多孔質層は厚さdが202μm、密度ρが0.607g/mであり、空孔率Pが65%であり、空孔長Lが137μmであった。また、表面のぬれ張力Wは31mN/mであった。
(表面処理)
実施例9のフィルムの片面に45W/m/分の強度でコロナ放電処理を施し、実施例10のフィルムを得た。表面のぬれ張力Wは42mN/mであった。また、実施例9のフィルムの両面に45W/m/分の強度でコロナ放電処理を施し、引き続き以下の(a)を 0.5質量%、(b)を0.4質量%および(c)を0.5質量%含む水溶液(表面処理剤)を、単位面積(m)当たり乾燥後0.01gの帯電防止剤が含有するようにサイズプレス方式にて塗工し、70℃で乾燥して、実施例11のフィルムを得た。表面のぬれ張力Wは70mN/mであった。
(表面処理剤)
表面処理剤には以下の材料(a)〜(c)を使用した。
(a)四級窒素含有アクリル系三元共重合体
下記の(a−1)〜(a−3)のユニットからなる三級級窒素含有アクリル系三元共重合体を合成し、モノクロル酢酸カリウムで4級化して、両性ポリマーとして得た。なお、三級級窒素含有アクリル系三元共重合体中における(a−1)〜(a−3)の含有量を各成分とともに示す。
(a−1)N,N'−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド(興人株式会社製):40質量%
(a−2)n−ブチルアクリレート(関東化学株式会社製):35質量%
(a−3)オクタデシルアクリレート(関東化学株式会社製):25質量%
(b)ポリエチレンイミン(日本触媒株式会社製、エポミン−1000(商品名))
(c)水溶性ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物(星光PMC株式会社製、WS−4024(商品名))
(インモールド成形評価)
実施例9〜11のフィルムについて、インモールド成形評価を行ったところ、いずれも160℃接着性:○、200℃接着性:○、オレンジピール:○であり良好であった。
(フレキソ印刷評価)
実施例10のフィルムのコロナ放電処理面及び実施例11のフィルムの片面に対し、フレキソ印刷評価を行ったが、インキ転移性およびインキ密着性が○で良好であった。
(オフセット印刷評価)
実施例10のフィルムのコロナ放電処理面に対しオフセット印刷評価を試みたが、シート同士が静電気によって張り付き給紙できなかったため、評価を中止した。実施例11のフィルムの片面に対し、オフセット印刷評価を行った。2000枚印刷し、インキ転移性、インキ密着とも良好であった。
実施例12:
(フィルム成形)
実施例1において、多孔質層層配合の添加剤配合を6質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例12のフィルムを得た。フィルム表面には白い粉が見られた。
(インモールド成形評価)
得られたフィルムについてインモールド成形評価を行った。結果を表2に示す。インモールド適性は実施例2と同等であった。
(フレキソ印刷評価)
得られたフィルムの片面に45W/m2/分の強度でコロナ放電処理を施し、コロナ放電処理面に対し、フレキソ印刷評価を行ったが、インキ転移性およびインキ密着性が不良となった。オフセット印刷評価は実施しなかった。
実施例1〜12の結果から、熱可塑性樹脂25〜65質量%及び無機微細粉末35〜75質量%(2成分の合計100質量部)を含み、空孔長Lを20μm以上の多孔質層を含むことでインモールド成形において良好な接着性を示し、かつオレンジピールを生じにくい性質を有するフィルムが得られることがわかる。インモールド成形において、パリソンからラベルを通して金型へ熱が逃げるのを抑制するためであると考えられる。また、多孔質層の空孔長Lは、延伸倍率を抑制して成形することにより調整できることがわかる。
一方、実施例7、8及び比較例3、4の結果から、インモールド成形時に発生するオレンジピールについては、厚さに関係なく、延伸倍率による影響が大きく、空孔サイズが影響を与えていると考えられる。多孔質層にサイズの小さな空孔が数多く含まれており、多孔質層の座屈が生じにくくなっていると考えられる。
また、プラスチック容器の最表面に含まれる熱可塑性樹脂の融点と、フィルムのプラスチック容器に接する層に含まれる熱可塑性樹脂の融点とが特定の関係を満足するように調整することで、接着層を設けなくても、ラベルの接着性などに優れたラベル付きプラスチック容器が得られた。また、コロナ放電によってぬれ張力を上昇させると印刷適性を付与でき、さらに適切な表面塗工層を設けることで、表面の帯電防止性に優れ、良好な印刷適性が持続できるフィルムが得られた。
本発明により空孔率が高く、空孔のサイズ小さくかつ均一なフィルムが得られたことにより、インモールド成形時のパリソン温度が低い条件でも高い接着力を発現し、同時にオレンジピールの発生が極めて少ないラベル付きプラスチック容器が得られた。そのため、熱可塑性樹脂フィルムを貼着してなるラベル付きプラスチック容器の製造に適する。また、適切な表面処理により印刷適性を付与でき、フィルムを加工する場合に、静電気起因のハンドリング不良を抑制することができる。そのため、印刷用紙、ラベル等の用途にも適する。

Claims (16)

  1. 熱可塑性樹脂を含有するフィルムをインモールド成形により貼着してなるラベル付きプラスチック容器であって、
    前記フィルムが、下記(A)及び(B)の条件を満たす多孔質層を少なくとも1層有することを特徴とするラベル付きプラスチック容器。
    (A)前記多孔質層は、熱可塑性樹脂25〜65質量部と、無機微細粉末35〜75質量部とを含む。
    (B)下記の式(1)で表される前記多孔質層の空孔長Lは20μm以上である。
    L=d×(ρ−ρ)/ρ ・・・式(1)
    前記式(1)において、Lは前記多孔質層の空孔長[μm]であり、dは、前記多孔質層の厚さ[μm]であり、ρは、前記多孔質層の密度[g/cm]であり、ρは、前記多孔質層の真密度[g/cm]である。
  2. 前記多孔質層の一方の面の側に配された接着層をさらに有し、
    前記接着層の表面におけるJIS P 8119:1998で測定される王研式平滑度sは、5〜4000秒である、
    請求項1に記載のラベル付きプラスチック容器。
  3. 前記フィルムの前記多孔質層の他方の面の側に配される層の表面に情報が印刷される、
    請求項1又は請求項2に記載のラベル付きプラスチック容器。
  4. 下記の式(4)の関係を満足する、
    請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のラベル付きプラスチック容器。
    Tf−10≦Tv≦Tf+60 ・・・式(4)
    前記式(4)において、Tvは、前記ラベル付きプラスチック容器の容器本体の最表面に含まれる熱可塑性樹脂の融点であり、Tfは、前記フィルムの前記容器本体に接する層に含まれる熱可塑性樹脂の融点である。
  5. 熱可塑性樹脂を含有するフィルムを含むインモールドラベルであって、
    前記フィルムが、下記(A)及び(B)の条件を満たす多孔質層を少なくとも1層有し、
    前記フィルムの少なくとも一方の面の表面抵抗率Rは、23℃50%RHにおいて1×108〜1×1012Ωであることを特徴とするインモールドラベル。
    (A)前記多孔質層は、熱可塑性樹脂25〜65質量部と、無機微細粉末35〜75質量部とを含む。
    (B)下記の式(1)で表される前記多孔質層の空孔長Lは20μm以上である。
    L=d×(ρ−ρ)/ρ ・・・式(1)
    前記式(1)において、Lは前記多孔質層の空孔長[μm]であり、dは、前記多孔質層の厚さ[μm]であり、ρは、前記多孔質層の密度[g/cm]であり、ρは、前記多孔質層の真密度[g/cm]である。
  6. 前記フィルムは、下記(C)の条件をさらに満たす、
    請求項5に記載のインモールドラベル。
    (C)前記多孔質層の厚さdは、前記フィルムの厚さDの10〜100%である。
  7. 前記多孔質層は、前記熱可塑性樹脂及び前記無機微細粉末の合計100質量部に対して、添加剤0.1〜5質量部を含む、
    請求項5又は請求項6に記載のインモールドラベル。
  8. 前記多孔質層の式(2)で表される空孔率pは15〜75%である、
    請求項5から請求項7までの何れか一項に記載のインモールドラベル。
    p=(ρ−ρ)/ρ ×100・・・式(2)
    前記式(2)において、pは前記多孔質の空孔率[%]であり、ρは、前記多孔質層の密度[g/cm]であり、ρは、前記多孔質層の真密度[g/cm]である。
  9. 前記多孔質層に含まれる前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィンを主成分とする、
    請求項5から請求項8までの何れか一項の何れか一項に記載のインモールドラベル。
  10. 前記多孔質層が少なくとも1軸方向に延伸されてなる、
    請求項5から請求項9までの何れか一項に記載のインモールドラベル。
  11. 前記フィルムの厚さDは、40〜250μmである、
    請求項5から請求項10までの何れか一項に記載のインモールドラベル。
  12. 前記多孔質層の一方の面の側に配された表面層又は表面塗工層をさらに有する、
    請求項5から請求項11までの何れか一項に記載のインモールドラベル。
  13. 前記フィルムの前記多孔質層の一方の面の側に配される層の表面に情報が印刷される、
    請求項5から請求項12までの何れか一項に記載のインモールドラベル。
  14. 前記多孔質層の一方の面の側に配された接着層をさらに有し、
    前記接着層の表面におけるJIS P 8119:1998で測定される王研式平滑度sは、5〜4000秒である、
    請求項5から請求項11までの何れか一項の何れか一項に記載のインモールドラベル。
  15. 前記フィルムの前記接着層側の表面の表面抵抗率Rは、23℃50%RHにおいて1×1012Ω以上である、
    請求項14に記載のインモールドラベル。
  16. 前記フィルムの下記の式(3)で表される熱抵抗値Rは、0.05m・K/W以上である、
    請求項5から請求項15までの何れか一項に記載のインモールドラベル。
    =D×10−6/λ・・・式(3)
    前記式(3)において、Rは前記フィルムの熱抵抗値[m・K/W]であり、Dは前記フィルムの厚さ[μm]であり、λは前記フィルムの熱伝導率[W/m・K]である。
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