実施の形態1.
図1は、実施の形態1のケーブル連結器1の構成を示している。ケーブル連結器1は、図1に示すように、外部筒機構10、内部連結機構20、台座30で構成されており、ケーブル連結コネクタとして機能する。外部筒機構10は内部に内部連結機構20を格納すると共に台座30に載置、固定されており、台座30は図示しない電子機器の筺体(外部の導体)に固定される。
外部筒機構10は、図1に示すように、円筒形状の外側導体11と円筒形状の内側導体12を組み合わせて内側導体12の外側に外側導体11が形成されており、外側導体11の径は内側導体12の径よりも大きく、外側導体11と内側導体12の間には隙間部13が形成されている。また、外部筒機構10は、図1に示すように、外側導体11と内側導体12の長手方向に内部を開閉可能に形成されている。
外側導体11は上部外側導体11aと下部外側導体11bの外周の一部が開閉可能に接続された開閉機構で構成されており、上部外側導体11aと下部外側導体11bはそれぞれ半円筒形状に形成されている。また、外側導体11は導体の台座30と接触しており、台座30と電気的に接続している。
内側導体12は円筒形状の内部に空間が形成されており、両端から後述するシールドケーブルの端部を挿入し、後述するシールドケーブルのシールド用外導体と電気的に接続するよう機能する。また、内側導体12は上部内側導体12aと下部内側導体12bで構成されており、上部内側導体12aと下部内側導体12bはそれぞれ半円筒形状に形成されている。
隙間部13には、後述するコンデンサ(容量性部材)が配置されており、コンデンサは外側導体11と内側導体12を電気的に接続している。上部隙間部13aは上部外側導体11aと上部内側導体12aの間に形成されており、下部隙間部13bは下部外側導体11bと下部内側導体12bの間に形成されている。
外部筒機構10は、このような構成により、後述するシールドケーブルのシールド用外導体に重畳した電磁ノイズを内側導体12、後述するコンデンサ、外側導体11、台座30を介して図示しない電子機器の筺体へグラウンドするよう機能する。外部筒機構10の外観の構成については後述する。
内部連結機構20は、図1に示すように内側導体12の内部の空間に配置され、円柱形状の樹脂材21で連結ピン22を保持、固定している。連結ピン22は円筒形状の導体で構成され、外部筒機構10の長手方向に導通している。連結ピン22は、後述するように、外部筒機構10の長手方向両端から差し込まれたシールドケーブルの芯線を固定して保持し、シールドケーブルの芯線同士を電気的に接続するように構成されている。なお、樹脂材21は、連結ピン22を固定する絶縁体で構成すれば良い。
台座30は導体で構成されており、図1に示すように受け部31、ネジ穴32を有している。受け部31は外部筒機構10を保持、固定し、ネジ穴32はネジにより図示しない電子機器の筺体に台座30を固定するための穴である。
外部筒機構10の外観の構成について図2を用いて説明する。外部筒機構10は、図2に示すように、上部外側導体11aと下部外側導体11bを切れ目14の部分で閉じるように固定ストッパー15を備えており、固定ストッパー15にはネジ穴16が設けられている。ネジ穴16には図示しないネジを螺入することで上部外側導体11aと下部外側導体11bを接触させて閉じるように構成している。
図3は、図2の外部筒機構10のA−A線の断面を示している。外部筒機構10は、図3に示すように、外側導体11と内側導体12の間の隙間部13に電極41aと電極41bを有するコンデンサ41を配置している。電極41aは外側導体11に接触しており、半田で固定されて電気的に接続されている。電極41bは内側導体12に接触しており、半田で固定されて電気的に接続されている。各コンデンサ41間の隙間部13には樹脂が充填されており、各コンデンサ41を固定支持している。なお、隙間部13には、樹脂以外の充填材料を用いても良いし、コンデンサ41が十分に固定されていれば中空とする構成でも良い。また、コンデンサ41は、適宜設定された任意の大きさや任意の静電容量のコンデンサであり、例えばチップコンデンサで構成しても良い。
内部連結機構20の連結ピン22の構成について説明する。図4は、内部連結機構20の連結ピン22を拡大して示したものである。連結ピン22には、図4(a)に示すように、バネ部22aを有しており、バネ部22aは連結ピン22に挿入された後述するシールドケーブルの芯線を挟み込んで保持する。なお、連結ピン22は、図4(b)に示すように、芯線受けの部分に先割れピン形状のかしめ部22bを有し、連結ピン22に芯線を挿入し、かしめて芯線を圧着、固定するように構成しても良い。
次に、ケーブル連結器1によるシールドケーブルの接続方法について説明する。図5は、ケーブル連結器1にシールドケーブルを接続する状態を示している。シールドケーブル50a,50bは、接続前に予め末端のシールド用外導体51a,51bと芯線52a,52bがそれぞれ露出するように処理されている。
まず、ケーブル連結器1の外部筒機構10を開き、シールドケーブル50a,50bの芯線52a,52bをそれぞれ内部連結機構20の連結ピン22に差し込んで固定する。シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bをそれぞれ外部筒機構10の下部内側導体12bに接触するように載置する。外部筒機構10の上部を閉じ、シールド用外導体51a,51bを上部内側導体12aに接触するようにし、上述した図2の固定ストッパー15のネジ穴16にネジを螺入して固定する。このように接続することで、上部内側導体12a、下部内側導体12bとシールド用外導体51a,51bが接触して電気的に接続される。
以上のように実施の形態1によれば、ケーブル連結器1は、両端からシールドケーブル50a,50bの端部を挿入し、シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bと電気的に接続する内側導体12、内側導体12より径の大きい外側導体11、内側導体12と外側導体11を組み合わせて設けた隙間部13、及び隙間部13に配置され、外側導体11と内側導体12を電気的に接続するコンデンサ41を有し、長手方向に内部を開閉可能な外部筒機構10と、外部筒機構10の内側導体12内に配置され、両端からシールドケーブル50a,50bの芯線52a,52bを保持して電気的に接続する連結ピン22を有する内部連結機構20と、外部筒機構10を保持し、外部の導体と電気的に接続する台座30とで構成したことにより、様々な種類のシールドケーブルを接続することができ、かつ、シールドケーブル上の任意の位置において、電磁ノイズに対して等価的にSG系統とFG系統を接続することができる。その結果、シールドケーブルのシールド用外導体に重畳した電磁ノイズの伝搬を抑制することができるという効果が得られる。
実施の形態2.
実施の形態1においては、外側導体11と内側導体12の間の隙間部13に、外側導体11と内側導体12を電気的に接続するコンデンサ41を配置して、シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bに重畳した電磁ノイズの伝搬を抑制する構成について説明したが、実施の形態2は、他の構成によりシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bに重畳した電磁ノイズの伝播を抑制する構成について説明する。
図6は、実施の形態2のケーブル連結器1Aの構成を示している。なお、図6において、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
上部隙間部13aと下部隙間部13bには、誘電体60(容量性部材)が充填されており、誘電体60は上述した図3のコンデンサ41と等価な機能を有し、外側導体11と内側導体12を電気的に接続している。このように実施の形態2においては誘電体60を用いることで、上述した図3のコンデンサ41を実装する作業を省略するようにしている。
外部筒機構10Aにおいて、外側導体11が上述した図5と同様に導体の台座30と接触し、内側導体12が上述した図5と同様にシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bと接触し、内側導体12と外側導体11が誘電体60により電気的に接続している。外部筒機構10は、このような構成により、上述したシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bに重畳した電磁ノイズを内側導体12、誘電体60、外側導体11、台座30を介して図示しない電子機器の筺体へグラウンドしている。
なお、ケーブル連結器1Aによるシールドケーブルの接続方法についても実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
以上のように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果が得られると共に、
ケーブル連結器1Aの外部筒機構10は、隙間部13に充填され、外側導体11と内側導体12を電気的に接続する誘電体60を有することにより、ケーブル連結器1Aの作成工程を簡素化することができるという効果が得られる。
実施の形態3.
実施の形態3は、内部連結機構20を交換可能な構成について説明する。図7は、実施の形態3のケーブル連結器1Bの構成を示している。なお、図7において、実施の形態2と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
ケーブル連結器1Bは、図7に示すように、外部筒機構10、内部連結機構20、台座30で構成されており、ケーブル連結コネクタとして機能する。外部筒機構10は内部に内部連結機構20を格納すると共に台座30に載置、固定されており、台座30は図示しない電子機器の筺体に固定されている。
ここで、外部筒機構10の内側導体12の内壁には、図7に示すようにガイド部70が設けられている。ガイド部70は、内部連結機構20を位置決め固定するように構成されている。
内部連結機構20は、例えば2芯用の内部連結機構であり、上述した図5のシールドケーブル50a,50bの芯線52a,52bが2本である場合に用いる。内部連結機構20´は、内部連結機構20と同じ寸法で構成され、例えば4芯用の内部連結機構であり、上述した図5のシールドケーブル50a,50bの芯線52a,52bが4本である場合に用いる。ガイド部70は、これら内部連結機構20,20´の寸法に合うように構成されている。ガイド部70に取り付けられている2芯用の内部連結機構20を外し,4芯用の内部連結機構20´をガイド部70に嵌め込むことで、内部連結機構の交換を容易にできるよう構成されている。
ケーブル連結器1Bは、外部筒機構10が上述した図5のシールドケーブル50a,50bの線径に応じて様々な太さで作成され、内部連結機構20が上述した図5のシールドケーブル50a,50bの芯線52a,52bの本数、種類、芯線の径に応じた内部連結機構20を作成されており、様々な種類の外部筒機構10と内部連結機構20を組み合わせて構成される。ケーブル連結器1Bは、このように構成することで、様々な種類のシールドケーブル50a,50bに対応して連結することが可能であるため、ケーブル連結器1Bの拡張性を高めることができる。
なお、実施の形態3において、隙間部13には誘電体60を充填する構成について説明したが、実施の形態1と同様にコンデンサ41を用いる構成であっても良い。
以上のように、実施の形態3によれば、実施の形態1,2と同様の効果が得られると共に、ケーブル連結器1Bは、外部筒機構10の内側導体12の内壁に設けられ、内部連結機構20,20´の位置決めを行うガイド部70を備えたので、容易に内部連結機構20,20´を交換することができるという効果が得られる。
実施の形態4.
実施の形態4では、上述した実施の形態における外部筒機構10の内部導体12とシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bとの電気的および機械的な接触を強化するための構成について図8から図11を用いて説明する。
図8は、実施の形態4のケーブル連結器1Cの構成を示している。ケーブル連結器1Cは、図8に示すように、外部筒機構10C、内部連結機構20、台座30で構成されており、ケーブル連結コネクタとして機能する。なお、図8における内部連結機構20、台座30については、実施の形態1,2,3の構成と同様であるため説明を省略する。また、外部筒機構10Cにおける内側導体12C以外の構成については、実施の形態2と同様の構成であるため、図6と同一の符号を付し、その説明を省略する。
外部筒機構10Cの内側導体12Cは、上述の図5に示したシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bを押さえ込む導体として、鋸刃状の食い込み導体80が配置されている。鋸刃状の食い込み導体80は、内側導体12Cの内壁面のうち特にシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bに対向する位置に配置されており、内側導体12Cの内壁面とシールド用外導体51a,51bの表面の電気的および機械的な接触をより強めるよう機能する。
外部筒機構10Cの内部導体12C内壁面にシールドケーブル50a,50bが装着されると、鋸刃状の食い込み導体80がシールド用外導体51a,51bに食い込んで押さえ込む。ケーブル連結器1Cは、鋸刃状の食い込み導体80がシールド用外導体51a,51bに食い込むことにより、シールドケーブル50a,50bの引き回しや外部からの振動によって、ケーブル連結器1Cとシールドケーブル50a,50bの電気的および機械的な接触が外れることを確実に防止している。
図9は、実施の形態4のケーブル連結器1Dの構成を示しており、ケーブル連結器1Dの外部筒機構10Dにおける内側導体12D以外の構成については、図8と同様である。
内側導体12Dは、図8における鋸刃状の食い込み導体80に替えて、凹凸部81を配置したものである。凹凸部81は、内側導体12Dの内壁面のうち特にシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51b(図5参照)に対向する位置に配置され、内側導体12D内壁面に長手方向(軸方向)に沿って交互に凹部と凸部が形成されており、内側導体12Dの内壁面とシールド用外導体51a,51bの表面の電気的および機械的な接触をより強めるよう機能する。
外部筒機構10Dの内部導体12D内壁面にシールドケーブル50a,50bが装着されると、凹凸部81がシールド用外導体51a,51bに食い込んで押さえ込む。ケーブル連結器1Dは、凹凸部81がシールド用外導体51a,51bに食い込むことにより、シールドケーブル50a,50bの引き回しや外部からの振動によって、ケーブル連結器1Dとシールドケーブル50a,50bの電気的および機械的な接触が外れることを確実に防止している。
図10は、実施の形態4のケーブル連結器1Eの構成を示しており、ケーブル連結器1Eの外部筒機構10Eにおける内部導体12E以外の構成については、図8と同様である。
内部導体12Eは、上述した内側導体12Cの鋸刃状の食い込み導体80または内側導体12Dの凹凸部81に替えて、板バネ82を配置して構成したものである。板バネ82は、内側導体12Eの内壁面のうち特にシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51b(図5参照)に対向する位置に、内壁面の円周方向に沿って配置されており、内側導体12Eの内壁面とシールド用外導体51a,51bの表面の電気的および機械的な接触をより強めるよう機能する。
外部筒機構10Eの内部導体12E内壁面にシールドケーブル50a,50bが装着されると、板バネ82がその弾性力によりシールド用外導体51a,51bを押さえ込む。ケーブル連結器1Eは、板バネ82がシールド用外導体51a,51bを押さえ込むことにより、シールドケーブル50a,50bの引き回しや外部からの振動によって、ケーブル連結器1Eとシールドケーブル50a,50bの電気的および機械的な接触が外れることを確実に防止している。
図11は、実施の形態4のケーブル連結器1Fの構成を示しており、ケーブル連結器1Fの外部筒機構10Fにおける内部導体12F以外の構成については、図8と同様である。
内部導体12Fは、上述した内側導体12Cの鋸刃状の食い込み導体80、内側導体12Dの凹凸部81または内側導体12Eの板バネ82に替えて、テーパー状構造83を配置して構成したものである。テーパー状構造83は、内側導体12Eの内壁面のうち特にシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51b(図5参照)に対向する位置に、軸方向に沿って円筒形状の内部の径が狭くなるよう形成されており、内側導体12Fの内壁面とシールド用外導体51a,51bの表面の電気的および機械的な接触をより強めるよう機能する。
外部筒機構10Fにシールドケーブル50a,50bが嵌め込まれると、内部導体12F内壁面に配置されたテーパー状構造83がシールド用外導体51a,51bを引き絞るよう変形させて押さえ込む。外部筒機構10Fを閉じると、テーパー状構造83がさらにシールド用外導体51a,51bを引き絞って固定する。ケーブル連結器1Fは、テーパー状構造83がシールド用外導体51a,51bを引き絞って押さえ込むことにより、シールドケーブル50a,50bの引き回しや外部からの振動によって、ケーブル連結器1Fとシールドケーブル50a,50bの電気的および機械的な接触が外れることを確実に防止している。
以上のように、実施の形態4のケーブル連結器1(C,D,E,F)は、実施の形態1,2,3と同様の効果に加え、外部筒機構10(C,D,E,F)の内側導体12(C,D,E,F)内壁面のうちシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51b(図5参照)と対向する内壁面に配置され、当該シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bを押さえ込む導体(食い込み導体80、凹凸部81、板バネ82またはテーパー状構造83)を備えるよう構成したので、ケーブル連結器1(C,D,E,F)とシールドケーブル50a,50bの電気的および機械的な接触が外れることを確実に防止し、ケーブル連結コネクタとしての性能の劣化を防ぐことができるという効果が得られる。
なお、実施の形態4において、隙間部13には誘電体60を充填する構成について説明したが、実施の形態1と同様にコンデンサ41を用いる構成であっても良い。
実施の形態5.
実施の形態2においては、ケーブル連結器1Aの外部筒機構10の外側導体11と内側導体12の間の隙間部13に、外側導体11と内側導体12を電気的に接続する誘電体60(容量性部材)が充填された構成について説明した。実施の形態5は、実施の形態2の構成において、シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bに重畳した電磁ノイズの伝播の抑制効果を高める構成について説明する。
図12は、実施の形態5のケーブル連結器1Gを示している。また、図13は、図12で示すケーブル連結器1Gの外部筒機構10GのB−B線の断面を示している。なお、図12および図13において外部筒機構10Gの外側導体11Gと内側導体12G以外の構成は上述した実施の形態(例えば、実施の形態2)と同一の構成であり、上述した実施の形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
外側導体11Gと内側導体12Gは対向して配置されており、外側導体11Gと内側導体12Gとの間の隙間部13には、容量性部材としての誘電体60が充填されている。誘電体60は上述した図3のコンデンサ41と等価な機能を有し、外側導体11Gと内側導体12Gとを電気的に接続している。
外側導体11Gには、上部外側導体11aに突起90aが成形されており、下部外側導体11bに突起90bが成形されている。内側導体12Gには、上部内側導体12aに突起91aが成形されており、下部内側導体12bに突起91bが成形されている。
外側導体11Gの突起90a,90bと内側導体12Gの突起91a,91bは、隙間部13にそれぞれ交互に向き合うように互い違いに延びてクシ歯状に形成されている。
図14は、実施の形態5のケーブル連結器1Gにおける外側導体11Gの上部外側導体11aの外形を示しており、上部外側導体11aの内周には突起90aが等間隔で形成されている。上部外側導体11aと同様に、上述した下部外側導体11bの内周には突起90bが形成されており、上部外側導体11aと下部外側導体11bを組み合わせることで外側導体11Gを構成している。
図15は、実施の形態5のケーブル連結器1Gにおける内側導体12Gの上部内側導体12aを示しており、上部内側導体12aの外周には突起91aが等間隔で形成されている。上部内側導体12aと同様に、上述した下部内側導体12bの外周には突起91bが形成されており、上部内側導体12aと下部内側導体12bを組み合わせることで内側導体12Gを構成している。
実施の形態5の外部筒機構10Gは、このような外部導体11Gと内側導体12Gを嵌め込んで組み合わせ、外部導体11Gと内側導体12Gの間を誘電体60で充填することで構成されている。外部導体11Gの突起90と内側導体12Gの突起91は、それぞれの大きさにしたがって互いに対向する表面積が増大するように構成することができる。
ここで、2つの導体板で誘電体を挟み込むことで構成されるコンデンサの静電容量Cを表す式は、一般的に下記式(1)の通りとなっている。
C=ε×(S/d) (1)
式(1)において、εは誘電体60(容量性部材)が持つ誘電率であり、dは2つの導体の間の距離、Sは2つの導体が対向する面積を表している。したがって、式(1)より、コンデンサの静電容量Cを大きくするためには、高い誘電率を持つ誘電体60(容量性部材)を用いるか、2つの導体間の距離を短くするか、2つの導体が対向する面積を大きくするかの3通りの方法が考えられる。
実施の形態5における、外部筒機構10の外部導体11と内部導体12に突起90,91を形成する手法は、上記3通りの方法のうち,2つの導体が対向する面積を大きくする方法に相当する。
したがって、実施の形態2で用いた誘電体60(容量性部材)と同じ材料を用いた場合でも、実施の形態5によるケーブル連結器1Gの構成のほうが大きい静電容量を得ることが可能となるため、多様な電磁ノイズに対する伝搬抑制が可能となる。
なお、ケーブル連結器1Gによるシールドケーブルの接続方法については、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
以上のように実施の形態5のケーブル連結器1Gは、実施の形態1,2と同様の効果が得られると共に、外部筒機構10Gの外側導体11Gの内壁と内側導体12Gの外壁に、それぞれ向き合う方向に交互に延びたクシ歯状の突起90,91を形成して構成したことにより、ケーブル連結器1Gの外部筒機構10Gは、外側導体11Gに形成された突起90と内側導体12Gに形成された突起91によって形成された隙間部13に、外側導体11Gと内側導体12Gを電気的に接続する誘電体60を充填することにより、ケーブル連結器1Gが有する静電容量の値を調節することができる。その結果、シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51b(図5参照)に重畳した電磁ノイズの伝播の抑制効果を高めることができるという効果が得られる。
このとき、外部筒機構10Gの外部導体11Gと内部導体12Gに突起90,91が形成される向きは、図13に示したような縦向きでなくとも良く、例えば、図16に示すような形状で、横向きに配置することでも同等の効果が得られる。その場合、外部筒機構10G´の外側導体11G´には、上部外側導体11aに突起90a´が成形され、下部外側導体11bに突起90b´が成形されている。内側導体12G´には、上部内側導体12aに突起91a´が成形され、下部内側導体12bに突起91b´が成形されている。外側導体11G´の突起90a´,90b´と内側導体12G´の突起91a´,91b´は、隙間部13にそれぞれ長手方向に平行して向き合うように交互に延びて形成される。
実施の形態6.
実施の形態5においては、ケーブル連結器1Gが有する静電容量の値を調節する構成について説明した。実施の形態6は、シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bに重畳した電磁ノイズの伝播の抑制効果を高めるための他の構成について説明する。
図17は、実施の形態6のケーブル連結器1Hを示している。また、図18は、図17で示すケーブル連結器1Hの外部筒機構10HのA−A線の断面を示している。なお、図17および図18において外部筒機構10Hの外側導体11Hと内側導体12H以外の構成は上述した実施の形態と同一の構成であり、上述した実施の形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
外側導体11Hと内側導体12Hは対向して配置されており、外側導体11Hと内側導体12Hとの間の隙間部13には、容量性部材としての誘電体60が充填されている。誘電体60は上述した図3のコンデンサ41と等価な機能を有し、外側導体11Hと内側導体12Hとを電気的に接続している。
図18に示すように、外側導体11Hにはロール部92が成形されており、内側導体12Hにはロール部93が成形されている。外側導体11Hのロール部92と内側導体12Hのロール部93は、それぞれ対向するようにロール状に折り曲げられた形状で成形されている。外側導体11Hのロール部92と内側導体12Hのロール部93との間の隙間部13には、誘電体(容量性部材)60が充填されている。
このように、外側導体11Hのロール部92と内側導体12Hのロール部93がロール状に対向するよう配置されることで、外側導体11Hと内側導体12Hの対向する面積が広くなり、実施の形態2で用いた誘電体(容量性部材)60と同じ材料を用いた場合でも、実施の形態5と同じように外部筒機構10Hが持つ静電容量を大きくするよう構成されている。
以上のように実施の形態6のケーブル連結器1Hの外部筒機構10Hは、外側導体11Hのロール部92と内側導体12Hのロール部93がそれぞれ対向するようにロール状に配置され、該ロール状に配置された外側導体11Hのロール部92と内側導体12Hのロール部93との間に誘電体(容量性部材)60を配置した構造にしたことにより、外側導体11Hと内側導体12Hが対向する面積を広くすることができ、外部筒機構10Hが持つ静電容量を大きくすることが可能となる。その結果、ケーブル連結器1Hは多様な電磁ノイズに対する伝搬抑制を可能とし、シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51b(図5参照)に重畳した電磁ノイズの伝播の抑制効果を高めることができるという効果が得られる。
実施の形態7.
実施の形態5,6では、外部筒機構(10G,10H)の外側導体(11G,11H)と内側導体(12G,12H)の形状を変えることで外部筒機構(10G,10H)が持つ静電容量を大きくする構成について説明した。さらに、実施の形態7は、シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bに重畳した電磁ノイズの伝播の抑制効果を高める構成の他の例について説明する。
図19は、実施の形態7に係るケーブル連結器1Iの構成を示す図である。なお、図19のケーブル連結器1Iにおいて、外部筒機構10Iの隙間部13I以外の構成は上述した実施の形態(特に実施の形態1,2)と同様であるため、隙間部13I以外の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
外部筒機構10Iの隙間部13Iには、上述した容量性部材としてのコンデンサ41または誘電体60に代えて、磁性体100(誘導性部材)が充填されている。
外部筒機構10Iは、外側導体11と内側導体12との間の隙間部13Iに磁性体(誘導性部材)100を配置させるよう構成することで、上述した図5に示すようなシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51b(図5参照)に対して、等価的に直列接続されたインダクタを構成している。
シールド用外導体51a,51bに重畳した電磁ノイズの伝播経路は、外部筒機構10Iの内側導体12の周囲に付加された磁性体100(誘導性部材)に起因する等価的な直列接続インダクタによってインピーダンスが高い状態となるため、大きな電磁ノイズはケーブル連結器1Iを通過することができずに、結果的にノイズの伝播は抑制される。直列接続のインダクタによるインピーダンスは(2)式で示されるとおりとなっており、周波数が高くなるにつれ、インダクタが持つ自己インダクタンスの値に応じてインピーダンスが高くなることが明らかに分かる。
Z=ω×L (2)
上記(2)式において、Zはインダクタのインピーダンスであり、ωはインダクタを通る信号の角周波数であり、Lはインダクタが持つ自己インダクタンスの値である。
加えて、一般的に磁性体(誘導性部材)100は、高い誘電率を有していることが知られており(フェライト(Fe2O3)で約12.0〜16.0)、隙間部13Iに磁性体(誘導性部材)100を充填することにより、誘電体(容量性部材)60を充填した場合の効果も同時に得ることができる。したがって、ケーブル連結器1Iは、図20に示すような等価回路が形成され、コンデンサによるノイズ抑制効果とインダクタによるノイズ抑制効果の両方を得ることが可能になる。
以上のように実施の形態7のケーブル連結器1Iにおける外部筒機構10Iは、外部筒機構10Iの外側導体11と内側導体12の隙間部13Iに、容量性部材として磁性体(誘導性部材)100を用いて充填するよう構成したことにより、コンデンサとしてのノイズ抑制効果とインダクタとしてのノイズ抑制効果の両方を得ることができる。その結果、シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bに流れる電磁ノイズの伝播を抑制することができるという効果が得られる。
なお、充填する磁性体(誘導性部材)100としては、フェライトやパーマロイ(焼結磁性体)を用いるのが一般的であるが、これらは焼結して組成されることが多いため非常に硬い特徴を持っている。したがって、磁性体(誘導性部材)100には、焼結した材料だけでなく、磁性体の粉末を混入した樹脂を用いても良い。柔軟な特徴を持った磁性体の粉末を混入した樹脂を用いることで、外部筒機構1の形状の自由度が増すだけでなく、外部筒機構1の形成工程を簡略化することが可能になる。
実施の形態8.
実施の形態7においては、隙間部13Iに磁性体(誘導性部材)100を充填した構成について説明した。実施の形態8は、誘電体と磁性体を組み合わせることでシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bに重畳した電磁ノイズの伝播の抑制効果を高める構成について説明する。
図21は、実施の形態8に係るケーブル連結器1Jの構成を示している。なお、図21のケーブル連結器1Jにおける外部筒機構10Jの隙間部13J以外の構成は上述した実施の形態と同様であるため、隙間部13J以外の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
外部筒機構10Jの隙間部13Jは、内側導体12のうち上述した図5に示すシールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bに接触する両端部112aと接触しない中央部112bとを境にして、中央部に磁性体100を充填し、両端部に誘電体60を充填している。このように構成することで、ケーブル連結器1Jは、両端部が等価的なコンデンサの構造が形成され、同時に中央部が等価的なインダクタの構造が形成される。これらの等価的なコンデンサとインダクタの回路素子が組み合わされることにより、ケーブル連結器1Jは図22に示すような等価回路となり、π型のLCフィルタを形成することが可能となる。
図23は、π型フィルタとインダクタフィルタ、コンデンサフィルタの伝播遮断特性の比較を示している。図23に示すように、対象とする電磁ノイズの周波数が図23中のFより高い帯域において、π型フィルタによる伝播抑制効果は、インダクタフィルタ、コンデンサフィルタと比べて高くなっており、周波数成分が高周波側に偏っている電磁ノイズに対してπ型フィルタが有効であることが分かる。
以上のように実施の形態8のケーブル連結器1Jにおける外部筒機構10Jは、外部筒機構10Jの外側導体11と内側導体12との間の隙間部13Jのうち、シールドケーブル50のシールド用外導体51と内側導体12が接触する部分に対応して誘電体(容量性部材)60を配置し、シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51b(図5参照)と内側導体12が接触しない部分に対応して磁性体(誘導性部材)100を配置するよう構成したことで、等価的なコンデンサとインダクタの回路素子が組み合わされπ型のLCフィルタを形成することができる。その結果、ケーブル連結器1Jは、シールドケーブル50a,50bのシールド用外導体51a,51bに流れる偏った周波数成分を持つ電磁ノイズの伝播を大きく抑制することができるという効果が得られる。
また、実施の形態8のケーブル連結器1Jでは、磁性体(誘導性部材)100が充填される箇所に相当する外側導体11は、欠けていたとしても得られる効果に差は無いため、実装上の都合によって、外側導体11の接地をシールドケーブル50aとシールドケーブル50bで切り離して取り扱いたい場合においても、大きな構成を変更することなく適用させることが可能となる。
なお、各実施の形態におけるケーブル連結器は、ケーブル連結コネクタとして機能し、同一の性質を持つものとして取り扱っている。