JP3105406B2 - コネクタ - Google Patents

コネクタ

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JP3105406B2
JP3105406B2 JP06241640A JP24164094A JP3105406B2 JP 3105406 B2 JP3105406 B2 JP 3105406B2 JP 06241640 A JP06241640 A JP 06241640A JP 24164094 A JP24164094 A JP 24164094A JP 3105406 B2 JP3105406 B2 JP 3105406B2
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  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Coupling Device And Connection With Printed Circuit (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コネクタに関し、更に
詳しくは、高周波ノイズ成分を吸収によって減衰させ、
反射の少ないコネクタに係る。
【0002】
【従来の技術】一般に、コネクタは、低周波から高周波
に至るまで低損失で信号を伝送できるようにすることに
重点をおいて開発されてきた。このような目的に適合す
るコネクタとしては、SMA3.5mm 、SMA7mm 、BN
C、N型等が知られている。これらのコネクタは、一般
には、一対またはそれ以上の信号線とアースとからな
り、その間をアクリル、あるいはテフロン等の樹脂の絶
縁物によって絶縁した構造となっている。コネクタの特
性インピーダンスは、コネクタの形状と、樹脂の物質定
数とによって決まり、多くの場合、50Ωである。
【0003】上述したように、従来、コネクタは、低周
波から高周波に至るまで、低損失で信号を伝送できるよ
うにすることに重点をおいて開発されてきたが、最近の
電子技術の高度化、電子回路のデジタル化の進展、更に
は高周波化の加速的進展に合わせて、GHz帯域での高
周波ノイズが問題となっており、高周波領域で吸収によ
って不要な高周波成分を除去できる低域通過型機能を持
つコネクタが必要とされてきており、その実用化が望ま
れている。このような特性を持つコネクタは、現在知ら
れているフィルタ技術、例えば吸収型の低域通過型フィ
ルタ技術を適用しても、実現することが困難である。
【0004】即ち、通常のフィルタはインピーダンスの
周波数依存性を利用したもので、インピーダンスの整合
と不整合との間の周波数特性の差を利用し、高周波側の
周波数帯域に属する信号を反射させることにより、フィ
ルタ特性を得ている。このため、反射された不要な周波
数成分が前段に戻されて回路中で予期しない発振等を引
き起こしたりすることがある。本来、このような不必要
な周波数成分は吸収によって除去されることが好まし
い。吸収型の低域通過型フィルタは不要周波数成分を吸
収するタイプのフィルタであり、反射型低域通過型フィ
ルタに見られる上記欠点を改善するものである。
【0005】吸収型の低域通過型の素子としてはいくつ
かが既に提案されている。例えばフェライトを用いたも
のがその一例であり、具体的にはフェライトビーズなど
が既に広く用いられている。しかし、フェライトの吸収
し得る周波数帯域はそれに用いる組成によって異なる
が、2GHzよりも低い周波数領域にあり、約2GHz
以上の周波数帯域では効果的な吸収が起こらず、通過を
許容してしまう。
【0006】別の技術として、U.S.P.4297661号は、マ
イクロストリップ構造をフェライトを用いて構成した高
域通過型フィルタを開示している。この高域通過型フィ
ルタは低域側で吸収作用が発生し、高域側では吸収作用
が発生しなくなる現象を利用するものである。
【0007】上記した2つのタイプのいずれの技術を適
用した場合でも、高周波での不要信号成分を吸収によっ
て阻止するコネクタを実現することはできない。
【0008】また、Schiffres は、IEEE Trans Elector
on Magn Compt.EMCー6 55ー61 1964において、フェライト
を用いた同軸伝送路を提案しているが、この同軸伝送線
路は主にMHz帯域での特性取得を目的としたものであ
り、GHz以上の高周波領域での透過特性及び反射特性
を開示していない。GHz以上の高周波領域では、やは
り透過が起こるものと思われる。従って、この技術を適
用しても、GHz以上の高周波領域で阻止特性を有する
コネクタを実現することはできない。
【0009】高域側で吸収作用のある非磁性材料と、フ
ェライトとを組み合わせ、高周波側でも吸収による信号
除去を行なう試みも報告されている。Schlicke が IEEE
Spectrum 59-68 1967において提案したEMIフィルタ
や、BogarがProc.of IEEE 67159-163 1979 において提
案した低域通過EMIフィルタがその例である。これら
の先行技術においては、同軸型フィルタの絶縁物の一部
を、フェライトと誘電体とを積層することによって構成
してある。また、Fiallo は、ペンシルバニア州立大学
博士論文 1993 において、フェライトと誘電体を組み合
わせたマイクロストリップ構造のフィルタを提案してい
る。しかしながら、これらの場合、多層構造をとらざる
を得ず、構造が複雑になるため、構造の簡単なコネクタ
を実現することができない。
【0010】次に、U.S.P.4146854号には、フェライト
ビーズと、金属や樹脂複合部材等でなる電波吸収体とを
用いた減衰素子が開示され、また、特開平4ー127701号公
報には、非磁性のマイクロストリップ線路の一部に電波
吸収物質を用いる技術が開示されている。しかし、いず
れの場合にも、電波吸収体もしくは電波吸収物質は、吸
収しきれない高周波成分を抑える目的で補助的に使用さ
れているにすぎない。
【0011】更に、U.S.P.4301428号には、適当な電気
抵抗を持つ導電性素子と、磁性吸収混合物とを含む電線
またはケーブル等が開示されている。導電性素子は、繊
維、樹脂またはガラス等でなる非導電性コアを、薄い導
電金属層で被覆した複合構造を有している。磁性吸収混
合物は非導電性であり、導電素子を被覆している。しか
し、信号線路に電気抵抗値を持たせることはノイズ成分
の除去のみならず、信号成分の減衰も引き起こしてしま
うため、例えば微小信号を扱うコネクタへの適用には問
題がある。
【0012】一方で、鉄と樹脂とからなる複合材料は電
波吸収体として広く知られている。この場合の応用は、
主に電波として輻射されたものを吸収することが主な目
的でコネクタに用いられる旨の開示はない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高周
波領域の高周波成分を確実に吸収できる高域阻止及び低
域通過特性を有するコネクタを提供することである。
【0014】本発明のもう一つの課題は、1GHz以上
の高周波ノイズを確実に吸収できるコネクタを提供する
ことである。
【0015】本発明の更にもう一つの課題は、構造の簡
単なコネクタを提供することである。
【0016】本発明の更にもう一つの課題は、信号成分
の減衰が非常に小さく、微小信号を扱う用途にも適用可
能なコネクタを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上述した課題解決のた
め、本発明に係るコネクタは、少なくとも一つの信号線
接続用端子導体と、少なくとも一つのアース用導体と、
少なくとも一つの絶縁体とを含む。前記信号線接続用端
子導体は、前記絶縁体を貫通するように配置されてい
る。前記アース用導体は、前記絶縁体に取り付けられ、
前記信号線接続用端子導体から前記絶縁体によって電気
絶縁されている。前記絶縁体は、強磁性金属粉と絶縁樹
脂とを混合した複合材料で構成されている。好ましく
は、前記絶縁体は、1GHz以上のノイズ成分に対して
吸収特性を示す。そのような吸収特性を示す前記強磁性
金属粉の好ましい例は鉄、ニッケル、コバルト等であ
る。前記強磁性金属粉は、その粒径が0.01μmから
100μmの範囲にあることが好ましい。好ましい前記
強磁性金属粉の含有量は、30vol%から70vol
%の範囲である。前記強磁性金属粉と共に用いられる前
記絶縁樹脂の好ましい例は、エポキシ、フェノール、ゴ
ムまたはテフロンの少なくとも一種である。
【0018】
【作用】本発明に係るコネクタにおいて、信号線接続用
端子導体は絶縁体を貫通するように配置されているか
ら、端子導体の片側または両側に信号線を接続すること
ができる。
【0019】アース用導体は、絶縁体に取り付けられ、
信号線接続用端子導体から絶縁体によって電気絶縁され
ているから、アース用導体を接地すると共に、端子導体
を絶縁体によってアース用導体から絶縁した構造の簡素
なコネクタが得られる。
【0020】絶縁体は、強磁性金属粉と絶縁樹脂とを混
合した複合材料でなるから、信号線接続用端子導体を通
る周波数信号に含まれる高周波ノイズ成分を、絶縁体の
吸収作用によって確実に吸収できる。具体的には、1G
Hz以上の高周波帯域において吸収作用(高域阻止)を
生じ、それ以下の周波数帯域に属する周波数信号は通過
(低域通過)させる。また、20GHz程度の周波数ま
でインピーダンスをほぼ一定にすることができ、反射を
−10dB程度にすることができる。従って、本発明に
係るコネクタは、1GHz以上の高周波ノイズに晒され
る回路の接続に用いるのに適している。
【0021】本発明に係るコネクタの低域通過及び高域
阻止の機構は次の通りである。
【0022】伝送路において、その反射利得S11(ω)と
透過利得S21(ω)は、素子の反射率をΓ、透過率をTと
すると以下の式で表される。
【0023】 S11(ω)=(1ーT2 )Γ/(1ーT2 Γ2) S21(ω)=(1ーΓ2)T/(1ーT2 Γ2) Γ={(μeffeff )1/2 ーZo }/{(μeffeff )1/2 +Zo } T=exp{-iω(εeffμeff)1/2x} と表される。ここで、εeffは材料の複素実効誘電率、
μeffは材料の複素実効透磁率である。複素実効誘電率
εeff及び複素実効透磁率μeffは、実際には材料の複素
誘電率と複素透磁率に形状の因子を加味したものであ
る。Zo は回路の特性インピーダンスである。特性イン
ピーダンスZoは端子導体の材料、形状及び寸法等を選
択することによって決めることができる。
【0024】高周波領域で吸収を起こすためには、透過
率Tがゼロに近くなければならない。その条件は(ε
effμeff )が虚数、または実数でマイナスになること
である。つまり、εeff、μeff のどちらかまたは両方の
虚数成分が存在し、しかもその値が大きいほど伝送線で
の吸収が大きいことになる。言い換えれば、材料の損失
角(tan δ)が高周波で大きくなることである。
【0025】また、全周波数にわたって反射を小さくす
る(S11を小さくする)ためには反射率Γがゼロに近く
なければならない。従って、(μeffeff1/2は全
周波数を通して特性インピーダンスZo に近くなる必要
がある。
【0026】フェライト等による吸収現象の場合、一般
的には2GHz程度で虚数成分がゼロとなり、透過率T
が高域で1に近づき、結果として、低域通過効果が得ら
れなくなる。
【0027】一方、本発明において用いられる複合材料
は1GHz程度から吸収が顕著となり、20GHz以上
でも吸収があり、また、誘電的吸収も伴なっている。従
って、フェライト材料と違って、透過率Tは高周波まで
ゼロに近くなる。
【0028】一般的に、誘電率ε、透磁率μの実数成分
は、吸収のある領域では周波数とともに減少する。この
ため、吸収がある場合、コネクタの特性インピーダンス
Zoは周波数とともに変化し、結果として、反射率Γが
増加し、反射が顕著になる。
【0029】しかし、本発明において用いられる複合材
料の場合は、周波数の増加とともに透磁率の著しい減少
を伴うけれども、これと同時に誘電率も小さくなり、そ
の分だけインピーダンスの変化が少なくなるように寄与
して、結果として反射が少なくなる。
【0030】このため、1GHz以上の高周波領域で高
域阻止作用を発揮するコネクタが実現できる。
【0031】本発明において、強磁性金属粉の好ましい
例は、鉄粉である。鉄の他、ニッケルまたはコバルト等
の他の強磁性金属粉を用いることもできる。これらの強
磁性金属粉は、単独で用いてもよいし、併用してもよ
い。強磁性金属粉と混合する絶縁樹脂は、特に種類は問
わないが、フェノール系、エポキシ系、ゴム系またはテ
フロン系で良好な特性が得られることを確認している。
これらの絶縁樹脂は、単独で用いることもできるし、併
用することもできる。
【0032】強磁性金属粉として、鉄を用いる場合、粒
径は0.01μm〜100μmの範囲が望ましく、ま
た、含有量は、30vol %〜70vol %の範囲が好まし
い。強磁性金属粉の粒径が0.01μmよりも小さい
と、充分な吸収作用が得られないばかりでなく、絶縁樹
脂と充分に混練することができず、特性の揃った均質な
コネクタを得ることが困難になる。一方、強磁性金属粉
の粒径が100μmよりも大きい場合は、絶縁体の表面
が荒れ、良好な導体が形成できなくなる。また、粒径が
大きくなり、実用上扱いにくくなる。強磁性金属粉の粒
径のより好ましい範囲は0.1μm〜10μmの範囲で
ある。
【0033】強磁性金属粉の含有量が30vol %よりも
少ないと、充分な減衰が得られない。また、強磁性金属
粉の含有量が70vol %よりも多くなると、樹脂と均一
混合することが困難になり、また、導体間の絶縁抵抗の
著しい劣化を招く。強磁性金属粉の含有量のより好まし
い組成範囲は、50vol %〜63vol %の範囲である。
【0034】
【実施例】図1は本発明に係るコネクタの側面図、図2
はA2ーA2線上における断面図である。本発明に係る
コネクタは、少なくとも一対のアース用導体1及び信号
線接続用端子導体2と、絶縁体3とを含む。信号線接続
用端子導体2は、絶縁体3を貫通するように配置されて
いる。アース用導体1は、絶縁体3に取り付けられ、信
号線接続用端子導体2から絶縁体3によって電気絶縁さ
れている。従って、アース用導体1を接地すると共に、
端子導体2を絶縁体3によってアース用導体1から絶縁
した構造の簡素なコネクタが得られる。図示のアース用
導体1は、筒状であって、両端がネジ部11、12とな
っており、ネジ部11、12に接合されるケーブルまた
は回路装置を介してアースされる。信号線接続用端子導
体2は筒状であり、両端から中心に向ってスリット21
が設けられ、バネ性が付与されている。信号線接続用端
子導体2はピン状の導体が接続される。
【0035】絶縁体3は、強磁性金属粉と絶縁樹脂とを
混合した複合材料で構成されている。強磁性金属粉は、
鉄でなる。出発原料が比較的粒径の大きい粉体の場合
は、数種類の市販の鉄粉をメッシュでふるい分け、また
粒径の小さい場合は有機金属間化合物から合成した球状
の鉄を用いることができる。この鉄はカーボニル鉄とし
て知られ、本発明では、これらを用いて0.01μm〜
100μmの範囲の様々な粒径を選択できる。一方、こ
れと同時に用いる絶縁樹脂は、フェノール系、エポキシ
系、ゴム系またはテフロン系から選ばれた一種である。
【0036】次に本発明に係るコネクタについて、その
製造方法及びそれによって得られた試料の特性について
述べる。まず、強磁性金属粉と絶縁樹脂をそれぞれ混合
し、プレス処理によって、SMA3.5mmコネクタの絶縁
体の試料を形成した。次に、この試料に適当な熱処理を
施して絶縁樹脂を硬化させ絶縁体3を得た。更に、この
絶縁体3に樹脂を含侵させ、その後乾燥硬化させた。
【0037】次に、アース用導体1に絶縁体3を挿入
し、その後、絶縁体3に信号線接続用端子導体2を挿入
してSMA3.5mm コネクタとする。このとき、特性イン
ピーダンスが50Ωとなるように、信号線接続用端子導
体2の太さを調整する。例えば、絶縁体3の長さL1が
10mmの場合は、信号線接続用端子導体2の直径Φ1
が0.1〜1.0mmとなる。
【0038】上記コネクタの特性は、絶縁体3を構成す
る複合材料の複素透磁率及び複素誘電率と、コネクタの
伝送特性S11、S21とにより評価した。
【0039】コネクタの評価にはネットワークアナライ
ザーHP8720C (ヒューレット.アンド.パッカード社
製)を用い、最初に標準構成用の3.5mmコネクタを
測定し、その後、上記試料の特性を測定した。さらに、
素材の複素誘電率、複素透磁率の測定は、1GHzまで
は平行平板コンデンサー及びトロイダルコアを形成し、
インピーダンスアナライザーHP4291A(ヒューレット.
アンド.パッカード社製)で測定し、1GHz以上はト
ロイダルコアをエアライジングに挿入し、ソフトウエア
HP85071A (ヒューレット.アンド.パッカード社製)
を用いネットワークアナライザHP8720C (ヒューレッ
ト.アンド.パッカード社製)で測定した。
【0040】図3は鉄ーフェノール樹脂の複合材料(鉄
60vol %、粒径2μm)の複素透磁率特性を示す図、
図4は同じく鉄ーフェノール樹脂複合材料(鉄60vol
%、粒径2μm)の複素誘電率特性を示す図である。図
において、横軸に周波数をとり、縦軸に比透磁率μまた
は比誘電率εと、損失角δとをそれぞれとってある。
【0041】鉄ーフェノール樹脂複合材料の場合、GH
z領域で、比透磁率の損失角δ(図3)及び比誘電率の
損失角δ(図4)が増大し、それが高周波領域まで持続
している。このため、高周波領域で吸収を起こすための
条件である「損失角δが高周波領域で高くなる」ことが
満たされる。また、比透磁率μは損失角δが増大するに
つれて小さくなっている(図3)。比誘電率εも徐々に
減少していくことが分かる(図4)。このため、反射を
小さくするための条件である「(μeff/εeff1/2
全周波数を通して特性インピーダンスZo に近くなる」
ことも満たされる。
【0042】図5は鉄ーフェノール樹脂複合材料(鉄6
0vol %、粒径2μm、図3及び図4の試料)を用いた
場合の伝送特性S11、S21 を示す図である。図示したよう
に、透過特性S21においては、1GHz程度から減衰が
顕著になり、測定上限の20GHzまでこの減衰が継続
し、高周波ノイズを吸収できることが分かる。反射特性
S11においては、10GHz程度までは−10dB程度
の減衰があり、充分に反射が抑制されていることが分か
る。
【0043】図6は強磁性金属粉として鉄を用い、その
粒径及び含有量を変えて得られた試料番号1〜38の各
々のコネクタについて、その伝送特性の評価結果をまと
めて示す図である。伝送特性S11、S12は、通過域の周波
数を100MHz、阻止域の周波数を5GHzとして、
その各々の場合の伝送特性S11、S21の利得で評価した。
絶縁樹脂はフェノール、エポキシ、アクリル、テフロン
系のものを適宜使用した。
【0044】粒径が0.01μmから100μmの範囲
にある鉄粉を、含有量30vol %から70vol %の範囲
で含む試料番号2〜13、17〜23、29〜35は、
透過利得S21が通過域周波数100MHzで(−0.1
dB)または(−0.2dB)、阻止域周波数5GHz
で(−30dB)〜(−60dB)であり、通過域周波
数100MHzでの減衰が小さく、阻止域周波数5GH
zでの減衰が大きくなっている。また、反射利得S11は
通過域周波数100MHzで(−23dB)〜(−27
dB)の範囲、阻止域周波数5GHzで(−9dB)〜
(−12dB)の範囲である。
【0045】これに対して、粒径0.005μmの鉄粉
を用いた試料番号1、粒径200μmの鉄粉を用いた試
料番号14、鉄粉の含有量が30vol %〜70vol %の
範囲にない試料番号15、16、24〜28、36〜3
8は、通過域周波数100MHz及び阻止域周波数5G
Hzにおける透過利得S21または反射利得S11の何れかに
おいて、劣化が認められる。
【0046】従って、粒径が0.01μm〜100μm
の範囲の鉄粉を30vol %〜70vol %の範囲で含むこ
とが好ましい。特に、鉄の粒径が0.1μm〜10μm
の範囲、鉄の含有量が50vol%〜63vol%の範
囲にある試料番号3〜10、19〜21、31〜33
は、透過利得S21が通過域周波数100MHzで−
0.1dB、阻止域周波数5GHzで(−54dB)〜
(−60dB)であり、通過域周波数100MHzでの
減衰が小さく、阻止域周波数5GHzでの減衰が大きく
なっている。また、反射利得S11は通過域周波数10
0MHzで(−24dB)〜(−26dB)の範囲、阻
止域周波数5GHzで(−10dB)〜(−12dB)
の範囲であり、安定した優れた低域通過、高域阻止のフ
ィルタ特性を持つコネクタが得られる。従って、強磁性
金属粉の粒径のより好ましい範囲は0.1μm〜10μ
mの範囲であり、強磁性金属粉の含有量のより好ましい
組成範囲は、50vol%〜63vol%の範囲であ
る。絶縁樹脂の種類による特性上の優劣は殆ど認められ
ない。
【0047】本発明は、例えば、複数の端子導体を有す
るコネクタ等、他の構造のコネクタにも適用できる。本
発明が適用できる具体例として、実公昭61ー3108
号や実公平2ー49661号等に記載の公知の多ピン型
コネクタを上げることができる。これらの公知の多ピン
型コネクタに用いられているノイズフィルタ要素または
絶縁ハウジングを、本発明の開示する絶縁支持体によっ
て構成することにより、高周波領域の高周波成分を確実
に吸収できる高域阻止及び低域通過特性を有する多ピン
型コネクタを得ることができる。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、次
のような効果を得ることができる。 (a)高周波領域の高周波成分を確実に吸収できる高域
阻止及び低域通過特性を有するコネクタを提供できる。 (b)1GHz以上の高周波ノイズを確実に吸収できる
コネクタを提供できる。 (c)構造の簡単なコネクタを提供できる。 (d)信号成分の減衰が非常に小さく、微小信号を扱う
用途にも適用可能なコネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコネクタの側面図である。
【図2】図1におけるA2ーA2線上における断面図で
ある。
【図3】鉄ーフェノール樹脂複合材料の周波数ー複素透
磁率特性を示す図である。
【図4】鉄ーフェノール樹脂複合材料の周波数−複素誘
電率特性を示す図である。
【図5】鉄ーフェノール樹脂複合材料を用いた本発明に
係るコネクタの伝送特性を示す図である。
【図6】絶縁体を構成する各種複合材料ついての伝送特
性の評価結果をまとめて示す図である。
【符号の説明】
1 アース用導体 2 信号線接続用端子導体 3 絶縁体
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−244100(JP,A) 特開 平1−283900(JP,A) 特開 昭61−78873(JP,A) 特開 平2−34646(JP,A) 特開 平2−230675(JP,A) 実開 昭60−152274(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 13/56 - 13/72 H01R 17/00 - 17/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの信号線接続用端子導体
    と、少なくとも一つのアース用導体と、少なくとも一つ
    の絶縁体とを含むコネクタであって、 前記信号線接続用端子導体は、前記絶縁体を貫通するよ
    うに配置されており、 前記アース用導体は、前記絶縁体に取り付けられ、前記
    信号線接続用端子導体から前記絶縁体によって電気絶縁
    されており、 前記絶縁体は、強磁性金属粉と絶縁樹脂とを混合した複
    合材料で構成され、前記強磁性金属粉は、鉄粒子からな
    り、 前記鉄粒子は、その粒径が0.1μmから10μmの範
    囲にあり、 前記絶縁体は、前記強磁性金属粉の含有量が50vol%
    から63vol%の範囲にあり、 前記信号線接続用端子導体を通る信号に対して、1GH
    z以上の周波数領域で吸収特性を示すコネクタ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されたコネクタであっ
    て、 前記絶縁樹脂は、エポキシ系、フェノール系、ゴム系ま
    たはテフロン系の少なくとも一種であるコネクタ。
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