JP3141978B2 - 信号伝送素子 - Google Patents

信号伝送素子

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JP3141978B2 JP06209586A JP20958694A JP3141978B2 JP 3141978 B2 JP3141978 B2 JP 3141978B2 JP 06209586 A JP06209586 A JP 06209586A JP 20958694 A JP20958694 A JP 20958694A JP 3141978 B2 JP3141978 B2 JP 3141978B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、信号伝送素子に関し、
更に詳しくは、高域側の周波数成分を吸収によって減衰
させる低域通過型(高域阻止型)の信号伝送素子に係
る。
【0002】
【従来の技術】低域通過型(高域阻止型)の信号伝送素
子は、典型的には、低域通過型フィルタである。従来の
一般的な低域通過型フィルタは、インピーダンスの整合
と、不整合との間の周波数特性の差を利用し、高周波側
の周波数帯域に属する信号を反射させることにより、必
要なフィルタ特性を得ている。しかし、反射型の低域通
過型フィルタでは、反射された不要な周波数成分がフィ
ルタの前段に戻され、例えば、回路中で予期しない発振
を引き起すことがある。吸収型の低域通過型フィルタは
不要周波数成分を吸収するタイプのフィルタであり、反
射型の低域通過型フィルタに見られる上記欠点を改善す
る。
【0003】吸収型の低域通過型フィルタは既に提案さ
れている。例えばフェライトを用いたものがその一例で
あり、具体的にはフェライトビーズなどが既に広く用い
られている。しかし、フェライトの吸収し得る周波数帯
域は、2GHzよりも低い周波数領域にあり、約2GH
z以上の周波数帯域では吸収作用が低く、通過を許容し
てしまう。
【0004】別の先行技術として、U.S.P.4,297,661 号
は、マイクロストリップをフェライトによって構成した
高域通過型フィルタを開示している。この高域通過型フ
ィルタは低域側で吸収作用が発生し、高域側では吸収作
用が発生しなくなる現象を利用したものである。
【0005】上述した2つのタイプの何れの場合も、G
Hz以上の高周波領域にある不要信号成分を吸収によっ
て抑止することはできない。
【0006】Schiffresは、IEEE Trans Electron
Magn Compt. EMC-6 55-61 1964において、フェライト
を用いた同軸伝送線路を提案しているいるが、この同軸
伝送線路は主にMHz帯域での特性取得を目的としたも
のであり、GHz以上の高周波領域での透過特性及び反
射特性を開示していない。GHz以上の高周波領域で
は、やはり透過が起こるものと思われる。
【0007】高域側で吸収作用のある非磁性材料と、フ
ェライトとを組み合わせ、高周波側でも吸収による信号
除去を行なう試みも報告されている。Schlicke が IEE
ESpectrum 59-68 1967において提案したEMIフィル
タや、BogarがProc.of IEEE 67 159-163 1979 におい
て提案した低域通過型EMIフィルタがその例である。
これらの先行技術においては、同軸型フィルタの絶縁物
の一部を、フェライトと誘電体とを積層することによっ
て構成してある。また、Fiallo は、ペンシルバニア州
立大学博士論文 1993 において、フェライトと誘電体を
組み合わせたマイクロストリップ構造のフィルタを提案
している。しかし、これらの先行技術においては、多層
構造をとらざるを得ず、構造が複雑になる。
【0008】次に、U.S.P.4,146,854 号には、フェライ
トビーズと、金属や樹脂複合部材等でなる電波吸収体と
を用いた減衰素子が開示され、また、特開平4ー127701号
公報には、非磁性のマイクロストリップ線路の一部に電
波吸収物質を用いる技術が開示されている。しかし、い
ずれの場合にも、電波吸収体もしくは電波吸収物質は、
吸収しきれない高周波成分を抑える目的で補助的に使用
されているに過ぎない。
【0009】更に、U.S.P.4,301,428 号には、適当な電
気抵抗をもつ導電性素子と、磁性吸収混合物とを含む電
線またはケーブル等が開示されている。導電性素子は、
繊維、樹脂、またはガラス等でなる非導電性コアを、薄
い導電金属層で被覆した複合構造を有している。磁性吸
収混合物は非導電性であり、導電性素子を被覆してい
る。しかし、信号線路に電気抵抗値を持たせることはノ
イズ成分の除去のみならず、信号成分の減衰も引き起こ
してしまうため、例えば微小信号を扱う用途では問題が
ある。また、この先行例は電線についての開示であっ
て、回路素子としての事例は記載されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高周
波領域の高周波成分を確実に吸収できる高域阻止及び低
域通過特性を有する信号伝送素子を提供することであ
る。
【0011】本発明のもう一つの課題は、1GHz以上
の高周波成分を確実に吸収できる高域阻止及び低域通過
特性を有する信号伝送素子を提供することである。
【0012】本発明の更にもう一つの課題は、簡素な構
造を有する信号伝送素子を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述した課題解決のた
め、本発明に係る信号伝送素子は、絶縁基体と、少なく
とも一つのアース用電極と、少なくと一つの信号線用電
極と、絶縁基体とを含む。前記電極のそれぞれは前記絶
縁基体に設けられている。前記絶縁基体は、強磁性金属
粉と絶縁樹脂とを混合した複合部材でなる。
【0014】好ましくは、前記強磁性金属粉は鉄でな
る。前記強磁性金属粉の粒径は、好ましくは、0.01
μmから100μmの範囲である。前記絶縁基体に含ま
れる前記強磁性金属粉の含有量は、好ましくは、30vo
l %から70vol %の範囲である。絶縁基体を構成する
前記絶縁樹脂は、エポキシ、フェノールまたはゴムの何
れかが好ましい。
【0015】
【作用】本発明に係る信号伝送素子は、少なくとも一つ
のアース用電極と、少なくとも一つの信号線用電極と
が、絶縁基体に設けられているから、信号伝送路への適
用において、アース用電極をアースし、信号線用電極を
信号伝送路中に挿入することにより、信号伝送を行なう
信号伝送素子が得られる。
【0016】絶縁基体は、強磁性金属粉と絶縁樹脂とを
混合した複合部材でなるから、信号用電極を通る周波数
信号に含まれる高周波領域の不要な高周波成分を、絶縁
基体の吸収作用によって確実に吸収できる。具体的に
は、1GHz以上の高周波帯域において吸収作用(高域
阻止)を生じ、それよりも低い周波数帯域に属する信号
は通過させる(低域通過)信号伝送素子となる。また、
20GHz程度の周波数までインピーダンスをほぼ一定
にすることができ、反射を−10dB程度にすることが
できる。従って、本発明に係る信号伝送素子は、低域通
過型フィルタとして用いるのに適している。
【0017】しかも、高周波成分を吸収する絶縁基体が
強磁性金属粉と絶縁樹脂とを混合した複合部材でなり、
この絶縁基体に、アース用電極と、信号線用電極とを設
けた構造であるから、構造がきわめて簡素化される。
【0018】本発明に係る信号伝送素子の低域通過及び
高域阻止の機構は次の通りである。
【0019】伝送路において、その反射利得S11(ω)と
透過利得S21(ω)は、素子の反射率をΓ、透過率をTと
すると以下の式で表される。
【0020】S11(ω)=(1ーT2 )Γ/(1ーT2 Γ2) S21(ω)=(1ーΓ2)T/(1ーT2 Γ2) Γ={(μeffeff )1/2 ーZo }/{(μeffeff )1/2 +Zo
} T=exp{-iω(εeffμeff)1/2x} と表される。ここで、εeffは材料の複素実効誘電率、
μeffは材料の複素実効透磁率である。複素実効誘電率
εeff及び複素実効透磁率μeffは、実際には材料の複素
誘電率と複素透磁率に形状の因子を加味したものであ
る。Zoは回路の特性インピーダンスである。
【0021】まず、高周波領域で吸収を起こすために
は、透過率Tがゼロに近くなければならない。その条件
は(εeffμeff )が虚数、または実数でマイナスにな
ることである。つまり、εeff、μeff のどちらかまたは
両方の虚数成分が存在し、しかもその値が大きいほど伝
送線での吸収が大きいことになる。言い換えれば、材料
の損失角(tan δ)が高周波で大きくなることである。
【0022】また、全周波数にわたって反射を小さくす
る(S11を小さくする)ためには反射率Γがゼロに近く
なければならない。従って、(μeffeff1/2は全
周波数を通して特性インピーダンスZo に近くなる必要
がある。
【0023】フェライト等による吸収現象の場合、一般
的には2GHz程度で虚数成分がゼロとなり、透過率T
が高域で1に近づき、結果として、低域通過効果が得ら
れなくなる。
【0024】一方、本発明において用いられる複合部材
は1GHz程度から吸収が顕著となり、20GHz以上
でも吸収があり、また、誘電的吸収も伴なっている。従
って、フェライト材料と違って、透過率Tは高周波まで
ゼロに近くなる。
【0025】一般的に、誘電率ε、透磁率μの実数成分
は、吸収のある領域では周波数とともに減少する。この
ため、吸収がある場合、信号伝送素子の特性インピーダ
ンスZoは周波数とともに変化し、結果として、反射率
Γが増加し、反射が顕著になる。
【0026】しかし、本発明において用いられる複合部
材の場合は、周波数の増加とともに透磁率の著しい減少
を伴うけれども、これと同時に誘電率も小さくなり、そ
の分だけインピーダンスの変化が少なくなるように寄与
して、結果として反射が少なくなる。このため、高周波
領域で吸収による高域阻止作用を発揮する低域通過型フ
ィルタが実現でき、反射の少ない信号伝送素子を得るこ
とができる。
【0027】本発明において、強磁性金属粉の好ましい
例は、鉄粉である。鉄の他、ニッケルまたはコバルト等
の他の強磁性金属粉を用いることもできる。これらの強
磁性金属粉は、単独で用いてもよいし、併用してもよ
い。強磁性金属粉と混合する絶縁樹脂は、特に種類は問
わないが、フェノール系、エポキシ系またはゴム系で良
好な特性が得られることを確認している。これらの絶縁
樹脂は、単独で用いることもできるし、併用することも
できる。
【0028】強磁性金属粉として、鉄を用いる場合、粒
径は0.01μmから100μmの範囲が望ましく、ま
た、含有量は、30vol %から70vol %の範囲が好ま
しい。強磁性金属粉の粒径が0.01μmよりも小さい
と、充分な吸収作用が得られないばかりでなく、絶縁樹
脂と充分に混練することができず、特性の揃った均質な
信号伝送素子を得ることが困難になる。一方、強磁性金
属粉の粒径が100μmよりも大きい場合は、絶縁基板
の表面が荒れ、良好な電極が形成できなくなる。また、
粒径が大きくなり、実用上扱いにくくなる。強磁性金属
粉の粒径のより好ましい範囲は0.1μmから10μm
である。
【0029】強磁性金属粉の含有量が30vol %よりも
少ないと、充分な減衰が得られない。また、強磁性金属
粉の含有量が70vol %よりも多くなると、樹脂と均一
混合することが困難になり、また、電極間の絶縁抵抗の
著しい劣化を招く。強磁性金属粉の含有量のより好まし
い組成範囲は、40vol %から63vol %である。
【0030】
【実施例】図1は本発明に係る信号伝送素子の斜視図で
ある。本発明に係る信号伝送素子は、少なくとも一つの
アース電極1と、少なくとも一つの信号線用電極2と、
絶縁基体3とを含んでいる。アース電極1及び信号線用
電極2は、絶縁基体3に間隔を隔てて設けられている。
実施例では、アース電極1が絶縁基体3の一面に設けら
れ、信号線用電極2が絶縁基体3の他面に設けられてい
る。
【0031】絶縁基体3は、強磁性金属粉と絶縁樹脂と
を混合した複合部材でなる。強磁性金属粉は、鉄でな
る。出発原料が比較的粒径の大きい粉体の場合は、数種
類の市販の鉄粉をメッシュでふるい分け、また粒径の小
さい場合は有機金属間化合物から合成した球状の鉄を用
いることができる。この鉄はカーボニル鉄として知ら
れ、本発明では、これらを用いて0.01μmから10
0μmにかけて様々な粒径を選択できる。一方、これと
同時に用いる絶縁樹脂は、フェノール系、エポキシ系ま
たはゴム系から選ばれた一種である。
【0032】次に上記信号伝送素子の製造方法を簡単に
述べる。まず、強磁性金属粉と絶縁樹脂をそれぞれ混合
し、プレス処理によって縦10mm、横5mm、高さ30mm
程度の直方体の試料を形成した。次に、この試料に適当
な熱処理を施して絶縁樹脂を硬化させ、複合部材を得
た。さらに、この試料を厚さ0.4mmに調整した後、切
り出し加工によって絶縁基体3を得た。絶縁基体3は、
長さL1が10mm、幅W1が5mm、厚みH1が0.4mm
であった。この絶縁基体3の片面の全面にアース電極1
を形成すると共に、対向する他面に信号線用電極2を形
成した。アース電極1及び信号線用電極2は例えば真空
蒸着によって形成できる。信号線用電極2は素子の特性
インピーダンスが50Ωになるように、その電極組成材
料を調整した。これにより、信号線用電極2の線路幅W
2がおおむね0.3mm〜0.8mm、線路長が10mmのマ
イクロストリップライン構造の信号伝送素子が得られ
た。
【0033】上記信号伝送素子の特性を評価するため
に、絶縁基体3を構成する複合部材の伝送特性S11、S21
を測定し、従来の絶縁基体の材料の伝送特性S11、S21と
の比較により評価した。比較例のサンプルとして、高周
波フェライト材料、また、ゴムーフェライトの複合部材
を用いた。
【0034】信号伝送素子の評価にはネットワークアナ
ライザーHP8720C(ヒューレット.アンド.パッカード
社製)と測定ジグHP83040(ヒューレット.アンド.パ
ッカード社製)を用いた。さらに、素材の複素誘電率、
複素透磁率の測定は、1GHzまでは平行平板コンデン
サー及びトロイダルコアを形成し、インピーダンスアナ
ライザーHP4291A(ヒューレット.アンド.パッカード
社製)で測定し、1GHz以上はトロイダルコアをエア
ライジングに挿入し、ソフトウエアHP85071A(ヒューレ
ット.アンド.パッカード社製)を用いネットワークア
ナライザHP8720C(ヒューレット.アンド.パッカード
社製)で測定した。
【0035】図2は鉄ーフェノール樹脂の複合部材(鉄
60vol %、粒径2μm)の複素透磁率特性を示す図、
図3は同じく鉄ーフェノール樹脂複合部材(鉄60vol
%、粒径2μm)の複素誘電率特性を示す図である。図
4及び図5のそれぞれは従来のNiZnフェライトについて
の複素透磁率特性及び複素誘電率特性を示す図である。
図において、横軸は周波数を示し、縦軸は比透磁率μま
たは比誘電率εと、損失角δとを示している。
【0036】鉄ーフェノール樹脂複合部材の場合、GH
z領域で、透磁率の損失角δ(図2)及び誘電率の損失
角δ(図3)が増大し、それが高周波領域まで持続して
いる。比透磁率μは損失角δが増大するにつれて小さく
なっている(図2)。また、比誘電率εも徐々に減少し
ていくことが分かる(図3)。
【0037】一方、NiZnフェライトの場合は、図4に示
すように、透磁率に伴う損失角δは1GHz程度で大き
な値をとり、それよりも高い周波数領域ではほとんどゼ
ロになる。これに伴って、比透磁率μもGHz領域で著
しく減少し、1に近づいていく。また、図5に示すよう
に、比誘電率εはわずかに減少の傾向が見られる程度
で、これに伴う損失角δの変化はごく僅かである。従っ
て、絶縁基板をNiZnフェライトで構成した場合は、フィ
ルタ特性を失うGHz領域がある。
【0038】図6は鉄ーフェノール樹脂複合部材(鉄6
0vol %、粒径2μm、図2及び図3の試料)を用いた
場合の伝送特性を示す図である。図示したように、透過
特性S21においては、1GHz程度から減衰が顕著にな
り、測定上限の20GHzまでこの減衰が継続し、低域
通過型フィルタとなることが分かる。反射特性S11にお
いては、10GHz程度までは−10dB程度の減衰が
あり、充分に反射が抑制されていることが分かる。
【0039】図7は従来のNiZn系フェライトを用いた場
合の伝送特性を示す図である。透過特性S21において
は、1GHz程度に減衰が見られるものの、それよりも
高い周波数では再び減衰が少なくなり、低域通過特性は
得られない。
【0040】図8は従来のNiZn系フェライトーゴム系樹
脂の複合部材を用いた場合の伝送特性を示す図である。
この場合も、図7と同様に、低域通過特性を得ることが
できない。
【0041】図9は強磁性金属粉として鉄を用い、その
粒径及び含有量を変えて得られた試料番号1〜38の各
々の素子について、その伝送特性の評価結果をまとめて
示す図である。伝送特性S11、S12は、通過域の周波数を
100MHz、阻止域の周波数を5GHzとして、その
各々の場合の伝送特性S11、S21の利得で評価した。絶縁
樹脂はフェノール、エポキシ、ゴム系のものを適宜使用
した。
【0042】粒径が0.01μmから100μmの範囲
にある鉄粉を、含有量30vol%から70vol%の
範囲で含む試料番号2〜13、17〜23、29〜35
は、透過利得S21が通過域周波数100MHzで−
0.2dBまたは−0.3dB、阻止域周波数5GHz
で−15dB〜45dBであり、通過域周波数100M
Hzでの減衰が小さく、阻止域周波数5GHzでの減衰
が大きくなっている。また、反射利得S11は通過域周
波数100MHzで−22dBから−26dBの範囲、
阻止域周波数5GHzで−9dBから−12dBの範囲
である。
【0043】これに対して、粒径0.005μmの鉄粉
を用いた試料番号1、粒径200μmの鉄粉を用いた試
料番号14、鉄粉の含有量が30vol%から70vo
l%の範囲にない試料番号15、16、24〜28、3
6〜38は、通過域周波数100MHz及び阻止域周波
数5GHzにおける透過利得S21または反射利得S1
1の何れかにおいて、劣化が認められる。従って、粒径
が0.01μmから100μmの範囲の鉄粉を30vo
l%から70vol%の範囲で含むことが好ましい。ま
た、絶縁樹脂の種類による特性上の優劣は殆ど認められ
ない。
【0044】図10及び図11は本発明に係る信号伝送
素子の別の実施例の斜視図である。図において、図1と
同一参照符号は同一である構成部分を示している。図1
0の実施例は、アース電極1が絶縁基体3の一面から他
面に亙って設けられ、信号線用電極2と間隔dを隔てて
設けられている。図11の実施例では、信号線用電極2
1、22が絶縁基体3の側面に設けられている。
【0045】図12は本発明に係る信号伝送素子の別の
実施例の斜視図である。図において、アース用電極1
1、12は絶縁基体3の相対する両面に設けられ、信号
線用電極2はアース用電極11、12と対向して絶縁基
体3の内部に埋設されたトリプレート型の信号伝送素子
を示している。信号線路用電極2は、線路幅W4が1m
m、線路厚みtが30μmである。絶縁基体3は、鉄ー
フェノール樹脂複合部材(鉄50vol%、粒径2μ
m)で構成され、幅W3が4mm、厚みH3が3.5mm、
長さL3が3.2mmである。図示はしないが、別のアー
ス用電極を側面に設け、4面にアース用電極を設けても
よい。
【0046】図13は図12に示す信号伝送素子の伝送
特性を示す図である。図示したように、透過特性S21
においては、1GHz程度から減衰が顕著になり、測定
上限の20GHzでも充分な減衰特性が得られ、低域通
過型フィルタとなることが分かる。反射特性S11にお
いては、10GHz程度まで−10dB程度の減衰があ
り、充分に反射が抑制されている。
【0047】図14は本発明に係る信号伝送素子の別の
実施例の斜視図である。図において、信号線路用電極2
は、直径d1が0.2mmの銅線で構成されている。絶縁
基体3は、鉄ーフェノール樹脂複合部材(鉄50vol
%、粒径2μm)で構成され、幅W5が4mm、厚みH5
が3.5mm、長さL5が10mmである。
【0048】図15は図14に示す信号伝送素子の伝送
特性を示す図である。図示したように、透過特性S21
においては、1GHz程度から減衰が顕著になり、測定
上限の20GHzまでこの減衰特性が継続し、低域通過
型フィルタとなることが分かる。反射特性S11におい
ては、10GHz程度まで−10dB程度の減衰があ
り、充分に反射が抑制されている。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、次
のような効果を得ることができる。 (a)高周波領域の高周波成分を確実に吸収できる高域
阻止及び低域通過特性を有する信号伝送素子を提供でき
る。 (b)1GHz以上の高周波成分を確実に吸収できる高
域阻止及び低域通過特性を有する信号伝送素子を提供で
きる。 (c)簡素な構造を有する信号伝送素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る信号伝送素子の斜視図である。
【図2】鉄ーフェノール樹脂複合部材の周波数ー複素透
磁率特性を示す図である。
【図3】鉄ーフェノール樹脂複合部材の周波数−複素誘
電率特性を示す図である。
【図4】従来のNiZnフェライトについての周波数−複素
透磁率特性を示す図である。
【図5】従来のNiZnフェライトについての周波数−複素
誘電率特性を示す図である。
【図6】鉄ーフェノール樹脂複合部材を用いた場合の伝
送特性を示す図である。
【図7】従来のNiZn系フェライトを用いた場合の伝送特
性を示す図である。
【図8】従来のNiZn系フェライトーゴム系樹脂の複合部
材を用いた場合の伝送特性を示す図である。
【図9】各々の素子についての伝送特性の評価結果をま
とめて示す図である。
【図10】本発明に係る信号伝送素子の別の実施例の斜
視図である。
【図11】本発明に係る信号伝送素子の別の実施例の斜
視図である。
【図12】本発明に係る信号伝送素子の別の実施例の斜
視図である。
【図13】図12に示す信号伝送素子の伝送特性を示す
図である。
【図14】本発明に係る信号伝送素子の別の実施例の斜
視図である。
【図15】図14に示す信号伝送素子の伝送特性を示す
図である。
【符号の説明】
1 アース電極 2 信号線用電極 3 絶縁基体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 卓 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 古林 真 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 三浦 太郎 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 飯島 康 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 倉橋 孝秀 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−27305(JP,A) 特開 昭50−87753(JP,A) 特開 平6−164210(JP,A) 特開 昭58−95404(JP,A) 特開 昭51−89370(JP,A) 特開 昭47−27653(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つのアース用電極と、少な
    くとも一つの信号線用電極と、絶縁基体とを含む信号伝
    送素子であって、 前記電極のそれぞれは、前記絶縁基体に設けられてお
    り、 前記信号線用電極は、一端を信号入力端とし、他端を信
    号出力端とし、前記信号入力端に供給された信号を前記
    信号出力端から取り出すものであり、 前記信号の電圧は、前記信号線用電極と前記アース用電
    極との間に印加され、 前記絶縁基体は、強磁性金属粉と絶縁樹脂とを混合した
    複合部材でなり、 前記絶縁基体は、前記強磁性金属粉の含有量が50vol
    %以上、63vol%以下の範囲にあり、 前記強磁性金属粉は、粒径が0.1μm以上、10μm
    以下の範囲にある球形状のカーボニル鉄粉を含む信号伝
    送素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された信号伝送素子であ
    って、 低域通過型のフィルタとして用いられる信号伝送素子。
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