JP3599205B2 - ノイズ抑制用インダクタ素子 - Google Patents

ノイズ抑制用インダクタ素子 Download PDF

Info

Publication number
JP3599205B2
JP3599205B2 JP23442095A JP23442095A JP3599205B2 JP 3599205 B2 JP3599205 B2 JP 3599205B2 JP 23442095 A JP23442095 A JP 23442095A JP 23442095 A JP23442095 A JP 23442095A JP 3599205 B2 JP3599205 B2 JP 3599205B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inductor element
core
ghz
resin
noise
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP23442095A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0982528A (ja
Inventor
文男 内木場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP23442095A priority Critical patent/JP3599205B2/ja
Priority to US08/712,646 priority patent/US6137389A/en
Publication of JPH0982528A publication Critical patent/JPH0982528A/ja
Priority to US08/906,968 priority patent/US6106893A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3599205B2 publication Critical patent/JP3599205B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F17/00Fixed inductances of the signal type 
    • H01F17/04Fixed inductances of the signal type  with magnetic core
    • H01F17/06Fixed inductances of the signal type  with magnetic core with core substantially closed in itself, e.g. toroid
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F17/00Fixed inductances of the signal type 
    • H01F17/04Fixed inductances of the signal type  with magnetic core
    • H01F17/06Fixed inductances of the signal type  with magnetic core with core substantially closed in itself, e.g. toroid
    • H01F2017/065Core mounted around conductor to absorb noise, e.g. EMI filter
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10S428/90Magnetic feature

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子回路部品として用いるノイズ抑制用インダクタ素子に関し、特にGHz帯域でノイズ抑制作用のあるものに係る。
【0002】
【従来の技術】
電子回路に侵入し、または電子回路において発生するノイズで問題となるのは、多くの場合、信号周波数よりも高い周波数成分であって、これを除去することがノイズ対策の一般的な方法となっている。その場合、低域通過型フィルタまたはこれと類似した電子回路が広く用いられている。これらはインピーダンスの整合と、不整合の周波数依存性を利用したもので、高周波側では信号を反射することによってフィルタ特性を得ている。しかしながら、このような場合、不必要な高周波成分は前段に再び戻され、例えば、回路中で予測しない発振等を引き起こしたりする。本来、このような不必要な周波数成分は吸収によって除去されることが好ましい。
【0003】
吸収を利用した低域通過型の素子として、フェライトビーズが知られている。これはフェライトをコアとしてインダクタ素子を形成したものである。通常のインダクタ素子に見られるように、周波数が高くなるにつれてインピーダンスが上昇し、ある周波数でコアに用いるフェライト材料の損失が顕著になる。除去したいノイズの周波数にコアの損失の周波数をあわせることによって吸収によるノイズ抑制を行っている。
【0004】
しかしながら、フェライトの損失はその組成によって異なるがMHz領域か、あるいは高くても数GHzが上限で、インダクタ素子とした場合、GHz帯域で効果的なノイズの抑制は行えない。
【0005】
U.S.Pat.No.4,297,661には、フェライトを用いてマイクロストリップ構造をとることによって高域通過型フィルタが提案されている。この高域通過型フィルタは低域側では吸収があり、高域側では吸収のなくなる現象を逆に利用するものである。
【0006】
同軸伝送路形状でフェライトを用いた素子の例が Schiffres(IEEE Trans. Electron. Magn. Compot . EMC−6 55−61 1964)によって提案されているが、主にMHz帯域での特性取得を目的としたものでGHz以上の高周波領域での透過特性の開示はなない。GHz領域では同様の透過が起こるものと思われる。
【0007】
上述した先行技術いずれの場合にも、フェライト単体ではGHz領域のノイズ抑制素子を得ることは難しく他の材料との組み合わせでの提案も行われている 。その例として高域側で吸収のある非磁性材料とフェライトとを組み合わせ、高周波側でもノイズ抑制を行う試みが報告されている。
【0008】
SchlickeがIEEE Spectrum 59−68 1967で開示する技術及びBogarがProc. of IEEE 67 159−163 1979で開示する技術がその例であり、これらの技術では、絶縁物の一部にフェライトと誘電体とを同軸形状に配置した構造が用いられている。また、Fialloは、IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques 1176−1184, 1994において、フェライトと誘電体を組み合わせたマイクロストリップ構造を報告している。
【0009】
しかしながら、上述した先行技術に開示された素子は形状が複雑で、フェライトビーズのように回路中に手軽に挿入できるものではない。特に、フェライトビーズでは接地を必要としないが、これらの素子では信号線路のほかに電気的接地をする必要がある。
【0010】
発明者らは強磁性金属粉体と樹脂の複合材料がGHz領域で電波吸収作用のあることに着目し本発明に至っている。以下に磁性金属粉体−樹脂複合材料を用いたノイズ抑制に関する先行例を示すが、本発明のようにGHz領域でのノイズ抑制用インダクタ素子としての開示はなされていない。
【0011】
例えば、フェライトビーズにこれとあわせて電波吸収体(金属−樹脂複合材料)を用いて減衰素子とする提案がなされている(U.S.Pat.No.4,146,854)。あるいはまた、非磁性のマイクロストリップ線路の一部に電波吸収材料を用いた提案もなされている(特開平4−127701)。この2つの場合は、吸収しきれない高周波成分を押さえる目的で電波吸収帯を補助的に使用することに特徴がある。
【0012】
U.S.Pat.No.4,301,428で適当な抵抗値を持つ金属−樹脂複合材を同軸電線、平衡電線の信号線に、さらに被覆材に絶縁性の金属−樹脂複合材を用いて、高周波ノイズを抑制する提案が行われている。しかしながら信号線路に電気抵抗値を持たせることはノイズ成分の抑制のみでなく信号成分の減衰も引き起こし、例えば微小信号を扱う用途では問題がある。また、この先行例はいわゆる電線についての開示であって、回路素子としての事例の記載はない。
【0013】
また一方で、鉄と樹脂とからなる複合材料は電波吸収体として広く用いられている。この場合の応用は主に電波として空中に輻射されたものを吸収することが目的で、回路素子に用いる本発明とはその趣旨を異にする。
【0014】
あるいは鉄粉と樹脂とからなる複合材料はダストコアと呼ばれるコイルのコア材として、古くから用いられてきている。この場合は、インダクタ素子として回路に用いることを目的とし吸収による損失はできる限り少なくなることが望ましく、本発明に見られるような材料の損失を積極的に利用することとは相反する。
【0015】
さらにまた、発明者らによって本発明と同様の材料を用いたGHz帯域用のノイズ抑制素子が提案されている(特願平6−209586、7−9333、Microwaves & RF February 1995, 69−72)。この素子は、信号線のほかに接地電極を設け、一種の伝送線路を形成し、通過帯域から阻止領域まで素子の特性インピーダンスを回路の特性インピーダンスを整合させることに特徴がある。これによって反射を極力抑え、阻止域で効率よく吸収させることを意図するものである。
【0016】
この場合、適用する回路のインピーダンスが一定であり、さらに、付近に安定した接地パターンがある場合にその効力を発揮する。しかしながら、回路の都合でその特性インピーダンスが不安定な場合、また、接地パターンが付近に無い場合はその特徴を発揮させることが難しい。
【0017】
以上述べてきたようにフェライトビーズは、接地のいらない、簡単で有力なノイズ抑制素子であるが、GHz領域ではその効力を発揮しない。また、GHz領域でノイズ抑制を目的とした素子はいくつかが提案されているが、フェライトビーズほど簡便ではない。そこで、GHz領域でノイズ抑制効果をもつフェライトビーズと同様な構造のインダクタ素子の実現が望まれている。
【0018】
さらに、誘電体と組み合わせたり、電波吸収体を補助的に用いる方法も提案されているが、接地電極が必要であったり構造的に複雑になる欠点があったりした。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、GHz帯域の高周波成分を吸収によって抑制できるノイズ抑制用インダクタ素子を提供することである。
【0020】
本発明のもう一つの課題は、接地電極を必要とせず、従って、接地パターンのない場所でも用いることのできるノイズ抑制用インダクタ素子を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上述した課題解決のため、本発明に係るノイズ抑制用インダクタ素子は、コアと、一対の端子導体と、信号線用導体とを含む。前記コアは、少なくとも一部に強磁性金属粉体と樹脂とを混合した複合部材を有している。前記強磁性金属粉体は、粒径が1μm〜10μmの範囲にあり、かつ、表面にリン酸の皮膜を有する鉄粒子でなる。前記強磁性金属粉体の含有量は、50vol%〜63vol%の範囲にある。前記一対の端子導体は、前記コアの相対する端面に設けられている。信号線用導体は、前記複合部材を通って導かれ、両端が前記端子導体のそれぞれに接続されている。
前記複合部材は、前記信号線用導体を流れる信号に対し、周波数に依存する吸収損失を与える。前記吸収損失は実質的にGHz領域で始まり、少なくとも20GHzまでは高レベルを維持する。
【0022】
よって、本発明に係るノイズ抑制用インダクタ素子によれば、GHz帯域の高周波成分を吸収によって抑制できる。
【0023】
コアに信号線用導体を通したインダクタ素子によるノイズ抑制機能は次のように考えることができる。しかも、本発明に係るビーズインダクンス素子は、コアに信号線用導体を通す必要があるだけで、接地導体を有する必要がない。このため、接地パターンのない場所でも用いることができる。
【0024】
コアに信号線用導体を通したインダクタ素子は、その等価回路を簡略化して表すと、インダクタンスLと抵抗Rとの直列回路で表すことができ、素子のインピーダンスZはZ=iωL+Rと記される。
【0025】
Rはコアの損失を表したものである。抵抗R及びインダクタンスLは周波数依存性をもっていて、それはコア材料の磁気特性に依存する。コア材料の磁気特性は、一般に、磁気共鳴あるいは緩和のある周波数帯域において、材料の複素比透磁率の実数成分μr’が減少し、虚数成分μr”が増加する特性となる。コアの損失を表す抵抗Rはμr”/μr’と等価である。インダクタンスLは複素比透磁率の実数成分μr’に比例する。
【0026】
高域吸収型のノイズ抑制用インダクタ素子において、低周波側ではインピーダンスLもごく小さく、また、コアの損失Rもほとんどなく、素子は単なる電線と類似する。一方、損失のある高周波数帯域ではインピーダンスLと抵抗成分Rが大きくなり、R成分によってジュール熱に変換され、吸収素子として機能することになる。
【0027】
冒頭に記したようにノイズ成分は一般的に信号成分よりも高い周波数をもっている。そこで、ノイズの周波数に損失帯域をあわせることにより、ノイズを抑制することが可能となる。インダクタ素子の場合、一般に低周波側ではZ、Rがともに小さく、高周波側ではZ、Rが大きい方がノイズ抑制効果が大きい。
【0028】
従来の高域吸収型フェライトビーズは、このような特性を有するフェライトを用いて、コアを構成していた。しかし、フェライトの損失は、その組成によっても異なるけれども、高くても2GHz程度で、それ以上の周波数では比透磁率の虚数成分μr”が0となり損失が得られなくなる。したがって、ノイズ周波数がMHz帯域の場合には効力を発揮するが、GHz帯域以上にある場合はその抑制は困難であった。
【0029】
これに対して、本発明に係る強磁性金属粉体及び樹脂の複合材料は、GHz領域で損失が顕著となり、20GHz以上でもさらにある。したがって、フェライト材料と違ってGHz領域で十分な吸収作用を確保することができる。
【0030】
本発明において用いられる強磁性金属粉体には、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、希土類金属、それらの合金、混合物、アモルファス等が含まれる。特に、鉄粉では、顕著な効果のあることが確認された。
【0031】
また、強磁性金属粉体とあわせて使う樹脂は成形が可能で、電気的絶縁性を保てれば特に種類は問わないが、フェノール、エポキシ系樹脂で良好な特性が得られることが確認された。ゴム、テフロン、アクリルなどでも同様の効果が期待できる。さらに、これらに第三の物質、例えば酸化物粉体、形状を維持するためのフィラー等をあわせて使用することも可能である。
【0032】
強磁性金属粉体の粒径は0.01μm〜100μmの範囲である。強磁性金属粉体の粒径が0.01μmより小さいと、十分なノイズ吸収特性が得られないばかりでなく、樹脂と十分に混練することができず、均質な素子が得られない。一方、強磁性金属粉体の粒径が100μmよりも大きい場合、素子の表面が荒れ、インダクタ素子としての良好な形状を成形できなくなる。また、インダクタ素子が大きくなり、実用上扱いにくくなる。強磁性金属粉体の粒径のより好ましい範囲は0.1μmから10μmである。
【0033】
強磁性金属粉体の含有量は30vol%〜70vol%の範囲である。強磁性金属粉体の含有量が30vol%より小さいと、十分なノイズ抑制作用が得られない。強磁性金属粉体の含有量が70vol%より大きいと、樹脂と均一に混合することが困難になると共に、絶縁抵抗IRの著しい劣化を招く。結果として、低周波側のインピーダンスが増大し、反対に、吸収領域ある高周波側でインピーダンスが不足する。強磁性金属粉体の含有量のより好ましい範囲は40vol%〜63vol%である。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るインダクタ素子の構成を概略的に示す斜視図、図2は図1のA2ーA2線に沿った断面図、図3は図1のA3ーA3線に沿った断面図である。本発明に係るノイズ抑制用インダクタ素子は、信号線用導体1を通すコア2を有する。コア2は、少なくとも一部分に強磁性金属粉体と樹脂とからなる複合部材を有する。この複合部材は、信号線用導体1に流れる信号に含まれるGHz以上のノイズ周波数成分に対し、吸収による損失を与える。
【0035】
実施例に示すノイズ抑制用インダクタ素子は、コア2の全体が前述した強磁性金属粉体及び樹脂の複合材料でなると共に、一対の端子導体3、4と、信号線用導体1とを有している。
【0036】
一対の端子導体3、4は、コア2の相対する端面に設けられている。信号線用導体1は、複合部材でなるコア2を通って導かれ、両端が端子導体3、4のそれぞれに接続されている。次に、図1〜図3に示したインダクタ素子の製造方法について説明する。
【0037】
出発原料には比較的粉体の大きい場合は数種類の市販の鉄粉あるいはアトマイズ粉体をメッシュでふるい分けた。また粒径の小さい場合は有機金属間化合物から合成した球状の鉄を用いた。この鉄はカーボニル鉄として知られ、本実験ではこれらを用いて0.01μm以下から100μ以上にかけて様々な粒径のもを準備した。一方、鉄粉体と同時に用いる樹脂は本実施例ではフェーノール系のものを用いた。
【0038】
アルコール溶剤で希釈したリン酸溶液と鉄粉体とを乳鉢で混合した。用いたリン酸の量は鉄:リン酸の重量比が1000:5程度となるように選定した。リン酸は、鉄の表面に皮膜を作り、絶縁抵抗(IR)の劣化を防ぐことを目的として用いられている。
【0039】
次に、リン酸皮膜を有する鉄粉体と樹脂とを混合し、顆粒を作成した後、プレス処理によって縦10mm、横30mm、高さ5mm程度の直方体の試料を形成した。この試料に樹脂を含浸させ、更に、乾燥させた後、適当な熱処理を施して樹脂を硬化させ、複合材料とした。この試料から3.2mm、1.6mm、1.6mmの直方体を切り出し、その長手方向に貫通孔を設けた。
【0040】
この試料の貫通孔に、導電成分となる銀粉末と樹脂とを混合した導電ペーストを注入し、貫通孔の内面に導電ペーストを塗布し、信号線用導体2を形成した。更に、複合材料の両端面にもペーストを塗布し、それによって端子導体3、4を形成した。この後、適当な熱処理を施して、信号線用導体1及び端子導体3、4を構成するペーストを硬化させた。
【0041】
上述のようにして得られたインダクタ素子の評価に当たり、1GHzまではインピーダンスアナライザー(HP4291A)を用い、1GHzから10GHzまではネットワークアナライザー(HP8720C)と測定ジグ(HP83040)を用いた。これらのアナライザを用いて、インピーダンスZと損失Rを測定した。さらに、複合材料の複素透磁率は、1GHzまではトロイダルコアを形成し、インピーダンスアナライザー(HP4291A)で測定した。1GHzから20GHzまでは、トロイダルコアをエアライン.ジグに挿入し、ソフトウエア(HP85071A)を用い、ネットワークアナライザー(HP8720C)で測定した。測定周波数範囲の違いは用いた試料形状とそれに用いるジグの周波数特性によっている。
【0042】
図4は鉄粉−フェノール樹脂複合材料(鉄60vol%、粒径2μm)の複素透磁率を示したものである。図において、複素比透磁率の実数成分μr’は素子のインピーダンスZに相当し、μr”/μr’は損失に相当する。GHz領域で損失が増大し、それが測定限界の20GHzまで持続している。透磁率は損失の増大に従って減少している。
【0043】
図5はコア1としてNiZnフェライトを用いたものについて同じ測定をしたものであり、比較例である。損失(μr”/μr’)は1GHz程度で極大値をとり、それよりも高い領域ではほとんど0になる。これに伴って、透磁率もGHz領域で著しく低下し、1に近づいていく。
【0044】
図6はコア1を構成する複合部材として鉄粉−フェノール樹脂複合材料(鉄60vol%、粒径2μm)を用い、図1〜図3に示したインダクタ素子を作成した場合のインピーダンスZ及び損失Rの周波数特性を示す。1GHz程度で損失Rが顕著になり測定上限の10GHzまで維持し、ノイズ抑制素子となっていることがわかる。
【0045】
図7はコア1としてNiZn系フェライトを用い、図1〜図3に示したインダクタ素子を作成した場合のインピーダンスZ及び損失Rの周波数特性を示す。1GHz程度まで損失Rが見られるものの、よりも高い周波数では再び少なくなり、GHz領域で十分なノイズ抑制が行えないことがわかる。
【0046】
表1に鉄分の粒径及び含有量の違うコアを用いた素子についてインピーダンスZ及び損失Rの特性を評価した結果をまとめ示してある。通過域の周波数を10MHz、阻止域の周波数を2GHzとして、その各々の場合で評価した。
【0047】
表1
Figure 0003599205
図8は本発明に係るノイズ抑制用インダクタ素子の他の実施例を示す透視斜視図である。実施例において、信号線用導体2は、強磁性金属粉体と樹脂とを混合した複合材料でなるコア1内にスパイラル状に形成されている。次に、図8に示したインダクタ素子の製造方法について説明する。
【0048】
出発原料には平均粒径3μmのカーボニル鉄粉を用い、カーボニル鉄粉をリン酸で処理した後、これにを、エポキシ系樹脂、溶剤及び硬化触媒と混合し、スラリー溶液を得た。この溶液をドクターブレード法を用いてマイラーフィルム上にに塗布し、約60μmの厚みのシートを得た。
【0049】
このシート上に銀−樹脂からなる電極用ペーストをスクリーン印刷によってスパイラル状に塗布形成した。これとは別のシートにスルーホールを形成し、このスルーホールに電極用ペーストを充填しさらに引き出し用のパターンを印刷形成した。これにより、スパイラル状の信号線用導体2が形成される。
【0050】
上述の用にして得られたシートを無地の複数枚のシートで挟み、100℃程度の温度条件で、約50Kgwの圧力を印加した。得られたブロックを、3.2mm、1.6mmの大きさに切断し、さらにその両端に導電成分となる銀と樹脂と混合した電極用ペーストを塗布し端子電極3、4とした。
【0051】
この試料に適当な熱処理を施して、樹脂を硬化させ、さらに、端子電極3、4の表面にニッケルめっき、スズめっきを施し、最後に洗浄を行って試料とした。図9は上記の製造方法に従って製造された図8のインダクタ素子のインピーダンスZおよび損失Rの周波数特性を示す。これによると良好な特性を示すことがわかる。
【0052】
図10は本発明に係るインダクタ素子の更に別の実施例を示す透視斜視図である。実施例において、信号線用導体2は強磁性金属粉体と樹脂とを混合した複合材料でなるコア1内にジグザグ状に形成されている。次に、図10に示したインダクタ素子の製造方法について説明する。
【0053】
実施例1と同様な方法で3.2mm、1.6mm、1.6mmの直方体を得た。強磁性金属粉体としては、、粒径が約1μmのカーボニル鉄粉を用いた。また強磁性金属粉体と混合される樹脂としてエポキシ系樹脂を用いた。
【0054】
この試料の長手面からもう一方の長手面に達するように2カ所貫通孔を設けた。この貫通孔に銀と樹脂から成るペーストを注入し、貫通孔の内面に導電層を塗布した。また、この貫通孔を介してジグザグパターン(メアンダーライン)を形成するように、あわせて長手面に引き出し用のパターンを、スクリーン印刷によって形成した。これにより、ジグザグパターンを有する信号線用導体2が得られる。さらにその両端面にもペーストを塗布し、適当な熱処理を施して端子導体3、4を形成した。
【0055】
図11は上記の製造方法に従って製造された図9のインダクタ素子のインピーダンスZおよび損失Rの周波数特性を示す。図11によると良好な特性を示すことがわかる。
【0056】
図12は本発明に係るノイズ抑制用インダクタ素子の別の実施例を示す斜視図、図13は図12に示したノイズ抑制用インダクタ素子の断面図である。この実施例では、コア1を構成する複合部材に貫通孔11を設け、この貫通孔11を貫通して信号線用導体を通す構造となっている。
【0057】
このような場合も、信号線用導体を流れる信号に対し、周波数に依存する吸収損失を与えることができ、吸収損失は実質的にGHz領域で始まり、少なくとも20GHzまでは高レベルを維持する。
【0058】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)GHz帯域の高周波成分を吸収によって抑制できるノイズ抑制用インダクタ素子を提供することができる。
(b)接地電極を必要とせず、従って、接地パターンのない場所でも用いることのできるノイズ抑制用インダクタ素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るノイズ抑制用インダクタ素子の透視斜視図である。
【図2】図1のA2ーA2線に沿った断面図である。
【図3】図1のA3ーA3線に沿った断面図である。
【図4】鉄−樹脂複合材料における透磁率及び損失の周波数特性を示す図である。
【図5】フェライトにおける透磁率及び損失の周波数特性を示す図である。
【図6】図1〜図3に示したノイズ抑制用インダクタ素子におけるインピーダンス及び抵抗の周波数特性を示す図である。
【図7】図1〜図3に示したノイズ抑制用インダクタ素子において、コアとしてフェライトを用いた場合のインピーダンス及び抵抗の周波数特性を示す図である。
【図8】本発明に係るノイズ抑制用インダクタ素子の別の実施例を示す透視斜視図である。
【図9】図8に示したノイズ抑制用インダクタ素子にけるインピーダンス及び抵抗の周波数特性を示す図である。
【図10】本発明に係るノイズ抑制用インダクタ素子の更に別の実施例を示す透視斜視図である。
【図11】図10に示したノイズ抑制用インダクタ素子にけるインピーダンス及び抵抗の周波数特性を示す図である。
【図12】本発明に係るノイズ抑制用インダクタ素子の別の実施例を示す斜視図である。
【図13】図12に示したノイズ抑制用インダクタ素子の断面図である。
【符号の説明】
1 強磁性金属粉体と樹脂からなる複合部材
2 信号線用導体
3、4 端子導体

Claims (2)

  1. コアと、一対の端子導体と、信号線用導体とを含むノイズ抑制用インダクタ素子であって、
    前記コアは、少なくとも一部に強磁性金属粉体と樹脂とを混合した複合部材を有しており、
    前記強磁性金属粉体は、粒径が1μm〜10μmの範囲にあり、かつ、表面にリン酸の皮膜を有する鉄粒子でなり
    前記強磁性金属粉体の含有量は、50vol%〜63vol%の範囲にあり、
    前記一対の端子導体は、前記コアの相対する端面に設けられており、
    信号線用導体は、前記複合部材を通って導かれ、両端が前記端子導体のそれぞれに接続されている、
    ノイズ抑制用インダクタ素子。
  2. 請求項1に記載されたノイズ抑制用インダクタ素子であって、前記端子導体は、表面がメッキ膜で覆われているノイズ抑制用インダクタ素子。
JP23442095A 1995-06-12 1995-09-12 ノイズ抑制用インダクタ素子 Expired - Fee Related JP3599205B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23442095A JP3599205B2 (ja) 1995-09-12 1995-09-12 ノイズ抑制用インダクタ素子
US08/712,646 US6137389A (en) 1995-09-12 1996-09-11 Inductor element for noise suppression
US08/906,968 US6106893A (en) 1995-06-12 1997-08-06 Inductor element for noise suppression

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23442095A JP3599205B2 (ja) 1995-09-12 1995-09-12 ノイズ抑制用インダクタ素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0982528A JPH0982528A (ja) 1997-03-28
JP3599205B2 true JP3599205B2 (ja) 2004-12-08

Family

ID=16970747

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23442095A Expired - Fee Related JP3599205B2 (ja) 1995-06-12 1995-09-12 ノイズ抑制用インダクタ素子

Country Status (2)

Country Link
US (2) US6137389A (ja)
JP (1) JP3599205B2 (ja)

Families Citing this family (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002080204A1 (fr) * 2001-03-30 2002-10-10 Nippon Chemi-Con Corporation Element d'inductance et boitier
US20030112110A1 (en) * 2001-09-19 2003-06-19 Mark Pavier Embedded inductor for semiconductor device circuit
JP2004266784A (ja) * 2003-01-10 2004-09-24 Murata Mfg Co Ltd ノイズフィルタ
US7489219B2 (en) * 2003-07-16 2009-02-10 Marvell World Trade Ltd. Power inductor with reduced DC current saturation
US7023313B2 (en) * 2003-07-16 2006-04-04 Marvell World Trade Ltd. Power inductor with reduced DC current saturation
US7307502B2 (en) * 2003-07-16 2007-12-11 Marvell World Trade Ltd. Power inductor with reduced DC current saturation
US7872454B2 (en) * 2003-08-21 2011-01-18 Marvell World Trade Ltd. Digital low dropout regulator
US7760525B2 (en) * 2003-08-21 2010-07-20 Marvell World Trade Ltd. Voltage regulator
US8324872B2 (en) 2004-03-26 2012-12-04 Marvell World Trade, Ltd. Voltage regulator with coupled inductors having high coefficient of coupling
US7190152B2 (en) * 2004-07-13 2007-03-13 Marvell World Trade Ltd. Closed-loop digital control system for a DC/DC converter
WO2006070544A1 (ja) * 2004-12-27 2006-07-06 Sumida Corporation 磁性素子
US7989095B2 (en) * 2004-12-28 2011-08-02 General Electric Company Magnetic layer with nanodispersoids having a bimodal distribution
US7161457B2 (en) * 2004-12-30 2007-01-09 Steward, Inc. Common mode choke including conductors within dielectric layer and associated methods
KR100726458B1 (ko) * 2006-01-16 2007-06-11 삼성전자주식회사 기판조립체
JP4748397B2 (ja) * 2006-12-08 2011-08-17 住友電気工業株式会社 リアクトル及びリアクトル用軟磁性複合材料
US9859043B2 (en) * 2008-07-11 2018-01-02 Cooper Technologies Company Magnetic components and methods of manufacturing the same
JP5187599B2 (ja) * 2010-11-15 2013-04-24 住友電気工業株式会社 軟磁性複合材料、及びリアクトル用コア
JP6018763B2 (ja) * 2012-02-21 2016-11-02 Necトーキン株式会社 リアクトル
WO2015133310A1 (ja) * 2014-03-04 2015-09-11 株式会社村田製作所 インダクタ装置、インダクタアレイおよび多層基板、ならびにインダクタ装置の製造方法
KR101832559B1 (ko) * 2015-05-29 2018-02-26 삼성전기주식회사 코일 전자부품
JP6812140B2 (ja) * 2016-05-30 2021-01-13 株式会社村田製作所 コイル部品
DE102017204949A1 (de) * 2017-03-23 2018-09-27 SUMIDA Components & Modules GmbH Induktives Bauelement und Verfahren zum Herstellen eines induktiven Bauelements

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5636163Y2 (ja) * 1976-08-19 1981-08-26
FR2437686A1 (fr) * 1978-09-29 1980-04-25 Mayer Ferdy Element electrique a pertes, tel que fil, cable et ecran, resistant et absorbant
US4297661A (en) * 1979-12-27 1981-10-27 Communications Satellite Corporation Ferrite substrate microwave filter
US4776980A (en) * 1987-03-20 1988-10-11 Ruffini Robert S Inductor insert compositions and methods
JPH04127701A (ja) * 1990-09-19 1992-04-28 Mitsubishi Electric Corp マイクロストリップ線路減衰器
JPH04239107A (ja) * 1991-01-11 1992-08-27 Tokin Corp 電磁障害防止素子
JP3197022B2 (ja) * 1991-05-13 2001-08-13 ティーディーケイ株式会社 ノイズサプレッサ用積層セラミック部品
JP2958821B2 (ja) * 1991-07-08 1999-10-06 株式会社村田製作所 ソリッドインダクタ
JP3141978B2 (ja) * 1994-09-02 2001-03-07 ティーディーケイ株式会社 信号伝送素子
JPH08204486A (ja) * 1995-01-24 1996-08-09 Tdk Corp 信号伝送素子

Also Published As

Publication number Publication date
US6137389A (en) 2000-10-24
JPH0982528A (ja) 1997-03-28
US6106893A (en) 2000-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3599205B2 (ja) ノイズ抑制用インダクタ素子
US5796323A (en) Connector using a material with microwave absorbing properties
JP4216917B2 (ja) チップビーズ素子およびその製造方法
US6972097B2 (en) Composite magnetic material and electromagnetic interference suppressor member using the same
EP0785557A1 (en) Composite magnetic material and product for eliminating electromagnetic interference
JP3214472B2 (ja) 多層プリント回路基板
Lim et al. Electromagnetic wave absorption properties of amorphous alloy-ferrite-epoxy composites in quasi-microwave band
US6778034B2 (en) EMI filters
US20170187116A1 (en) Patch antenna with ferrite cores
US6246310B1 (en) Noise suppressing apparatus
KR20020034989A (ko) 연자성 분말과 그것을 이용한 복합 자성재료
JPH10106839A (ja) 積層型高周波インダクタ
JP3040669B2 (ja) 回路基板
JP2001210924A (ja) 複合磁性成型物、電子部品、複合磁性組成物および製造方法
JP3141978B2 (ja) 信号伝送素子
Kim et al. Conduction noise attenuation by iron particles-rubber composites attached on microstrip line
JP3105406B2 (ja) コネクタ
JP2001185426A (ja) ノイズ吸収素子
JPH10270255A (ja) 高周波チップビーズ素子
US6529091B2 (en) Absorptive circuit element, absorptive low-pass filter and manufacturing method of the filter
JPH08204486A (ja) 信号伝送素子
US3750054A (en) Miniature delay line
JP2003060101A (ja) 高周波回路用パッケージ
JP2004349412A (ja) 複合磁性シート
JP2011086788A (ja) 高周波用磁性材料及び高周波デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20010725

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040805

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040909

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070924

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080924

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090924

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100924

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110924

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120924

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130924

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees