JP2001185426A - ノイズ吸収素子 - Google Patents

ノイズ吸収素子

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JP2001185426A
JP2001185426A JP37048499A JP37048499A JP2001185426A JP 2001185426 A JP2001185426 A JP 2001185426A JP 37048499 A JP37048499 A JP 37048499A JP 37048499 A JP37048499 A JP 37048499A JP 2001185426 A JP2001185426 A JP 2001185426A
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JP
Japan
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noise absorbing
absorbing element
magnetic layer
magnetic
powder
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JP37048499A
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English (en)
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Hisashi Kosara
恒 小更
Ryoei Shinohara
良栄 篠原
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】阻止周波数帯域の広いノイズ吸収素子を提供す
る。 【解決手段】絶縁基体1は、磁性層11を含む。コイル
導体21、22のそれぞれは、磁性層11の層厚方向の
両面に平面状に配置され、電気的に直列に接続されてい
る。コイル導体21、22のそれぞれに流れる電流によ
って生じる磁束Φ1、Φ2に対する磁路は、磁性層11
を境界として互いに実質的に分離される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノイズ吸収素子に
関する。
【0002】
【従来の技術】パソコンを始めとするデジタル機器で
は、データ転送速度、及び、処理速度の高速化に伴い、
信号が高周波化され、周波数自体も多周波化されつつあ
る。その結果として生じるノイズも、従来のMHz帯か
ら、GHz帯の周波数成分を含む領域まで、高周波化及
び広帯域化される方向にある。
【0003】上述したデジタル機器におけるノイズを吸
収する手段としては、従来より、低域通過型フィルタと
して動作する積層型ノイズ吸収素子が知られている。積
層型ノイズ吸収素子は、フェライトでなる磁性層の内部
に導体を埋設した構造を持ち、フェライトペーストと、
導体ペーストまたは金属箔とを、印刷技術または厚膜シ
ート積層法等によって積層することによって得られる。
【0004】磁性層を構成するフェライト磁性材料とし
て、低直流抵抗であるAg及びAg合金と同時焼成する
目的で、低温焼結の可能なNi/Cu/Zn系フェライ
トを用いたものが知られている。しかし、Ni/Cu/
Zn系フェライトは誘電率が10〜15程度であり、導
体パターン間に発生する浮遊容量が大きくなる。このた
め、自己共振周波数を高くすることができず、高周波で
の使用に制限を受ける。
【0005】別のフェライト磁性材料の例として、高透
磁率材料であるMn系、高周波材料であるプラナー系な
どがあるが、焼成温度が高く、また、焼成雰囲気の制御
などが必要なために、金属内部導体との同時焼成には適
さない。
【0006】しかも、フェライトチップビーズの形態を
採る積層形ノイズ吸収素子の場合、インピーダンスのピ
ークは比透磁率μの低い材料を用いても700〜800
MHz程度であり、GHz帯域でのノイズ吸収はできな
い。インピーダンス値を増加するのに、巻数を増加させ
たり、高透磁率材料を使用すればよいが、そのピーク値
が低周波側にシフトする。
【0007】特開平8ー78218号公報は、強磁性金
属粉と絶縁樹脂とを混合した複合部材でなる絶縁基体の
内部に信号線用電極を設け、絶縁基体の表面にアース用
電極を設けたノイズ吸収素子を開示している。このノイ
ズ吸収素子によれば、1GHz以上の高周波成分を吸収
できる高域阻止及び低域通過特性を有するノイズ吸収素
子が得られる。しかし、このノイズ吸収素子は強磁性金
属粉を用いるため、高域阻止周波数特性がシャープであ
り、阻止周波数領域を拡大するのに向いていない。
【0008】特開平10ー270255号公報に開示さ
れた高周波チップビーズ素子は、金属磁性粉またはフェ
ライト粉と絶縁樹脂とを混合した磁性絶縁基体を用い、
この磁性絶縁基体の内部に信号導体を螺旋状に埋設して
ある。この高周波チップビーズ素子は、フェライトの残
留損失を利用し、強磁性金属粉を用いた場合と比較し
て、阻止周波数領域が広くなるという利点がある。しか
し、インピーダンスのピークは1つであるから、阻止周
波数領域の拡大には限界がある。
【0009】また、外部端子導体と、内部コイルとなる
信号導体との間や、コイル間に浮遊容量が発生し、自己
共振周波数をもつようになるから、高周波での使用に制
限を受けることがある。
【0010】特開昭62ー98605号公報は、誘電体
基板の両面にコイル導体を設けた構造において、誘電体
基板の一方面に固着されたコイル導体の大きさを、誘電
体の他方面に固着されたコイル導体の大きさよりも小さ
くし、それによって、浮遊容量を低減させ、自己共振周
波数の低下を防止したプリントコイルを開示している。
【0011】しかしながら、この公知文献に記載された
プリントコイルは、誘電体基板の両面に設けた導体コイ
ルを同一のコイルとして動作させるようにしたものであ
って、1つの周波数ーインピーダンス特性を示すだけで
あるから、阻止周波数領域の拡大には限界がある。しか
も、GHz領域でノイズ吸収特性を示す旨の記載はな
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、阻止
周波数帯域の広いノイズ吸収素子を提供することであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、本発明に係るノイズ吸収素子は、絶縁基体と、少
なくとも2つのコイル導体とを含む。前記絶縁基体は、
少なくとも1つの磁性層を含む。前記コイル導体のそれ
ぞれは、前記磁性層の層厚方向の両面に平面状に配置さ
れ、電気的に直列に接続されている。前記コイル導体の
それぞれに流れる電流によって生じる磁束に対する磁路
は、前記磁性層を境界として互いに実質的に分離され
る。
【0014】上述したように、本発明に係るノイズ吸収
装置において、コイル導体のそれぞれは、電気的に直列
に接続されており、コイル導体のそれぞれに流れる電流
によって生じる磁束に対する磁路は、磁性層を境界とし
て互いに実質的に分離されるから、両コイル導体間の相
互結合は、実質的に無視できる。即ち、2つのコイル導
体は、互いに、実質的に独立するインダクタンス素子と
して機能する。従って、ノイズ吸収素子の全体としての
特性は、実質的に独立するインダクタンス素子の特性を
合成した特性となる。このため、阻止周波数帯域が広く
なる。
【0015】絶縁基体は、好ましい態様として、更に、
第2および第3の磁性層を含む。第2の磁性層は、磁性
層の層厚方向の一面側において、コイル導体の一方を覆
っている。第3の磁性層は、磁性層の層厚方向の前記一
面と対向する他面側において、コイル導体の他方を覆っ
ている。このような構造によれば、コイル導体のそれぞ
れに流れる電流によって生じる磁束が、磁性層の層厚方
向に拡がるのを、第2及び第3の磁性層によって抑える
ことができる。このため、磁気効率が高くなり、高イン
ピーダンス化を実現できる。
【0016】好ましくは、磁性層および第2もしくは第
3の磁性層のそれぞれは、磁性粉と絶縁樹脂とを混合し
た複合磁性材料でなる。これによれば、磁性粉および絶
縁樹脂の選択により、2つのコイル導体を通る周波数信
号に含まれる高周波領域の不要な高周波成分を、絶縁基
体の吸収作用によって確実に吸収できる。具体的には、
1GHz以上の高周波帯域において吸収作用(高域阻
止)を生じ、それよりも低い周波数帯域に属する信号は
通過させる(低域通過)ノイズ吸収素子となる。従っ
て、本発明に係るノイズ吸収素子は、低域通過型フィル
タとして用いることができる。
【0017】磁性粉には、金属磁性粉やフェライト粉な
どを用いることができる。金属磁性粉を用いた場合は、
インダクタンス素子の個々の高域阻止周波数特性はシャ
ープになるが、本発明に係るノイズ吸収素子によれば、
独立するインダクタンス素子の特性を合成した特性を得
ることができる。このため、阻止周波数帯域は広くな
る。このような金属磁性粉の具体例としては、例えば、
カーボニル鉄またはパーマロイを挙げることができる。
【0018】フェライト粉を用いた場合は、金属粉を用
いた場合よりも、高域阻止周波数特性がブロードであ
る。このため、強磁性金属粉を用いた場合と比較して、
阻止周波数領域がより広くなる。また、フェライト粉を
用いた場合、フェライト粉の残留損失を積極的に利用
し、周波数阻止領域を拡大できる。フェライト粉は多結
晶体であり、強磁性金属粉と比較して、広い周波数領域
にわたって、残留損失を発生する。このようなフェライ
ト粉の具体例としては、例えば、Ni/Zn系、Mn/
Zn系、プラナー系またはNi/Cu/Zn系のフェラ
イトを挙げることができる。
【0019】絶縁樹脂は、特に種類は問わないが、エポ
キシ系、フェノール系、ポリイミド系、BT系またはフ
ッ素系の樹脂を用いることができる。これらの絶縁樹脂
は、単独で用いることもできるし、併用することもでき
る。
【0020】上記絶縁樹脂の内、エポキシ樹脂の具体例
としては、例えば、多官能エポキシ樹脂とビスフェノー
ルA型高分子エポキシ樹脂との混合物を主成分とする材
料(特開平9−59486号公報参照)を挙げることが
できる。
【0021】磁性粉の含有量は、絶縁樹脂に対して10
wt%〜90wt%の範囲が好ましい。10wt%未満
では、十分な磁気特性が得られない。90wt%を超え
ると、絶縁樹脂と磁性粉とを均一に混合することが困難
になり、絶縁基体の機械的強度が大幅に低下する。
【0022】好ましくは、コイル導体のそれぞれは、外
端が、前記磁性層の長さ方向の相対する両端縁まで導か
れ、取り出し電極部となる。この構造によれば、浮遊容
量が低減され、結果として、ノイズ吸収素子の自己共振
周波数が伸び、ノイズ除去効果が高周波域まで向上す
る。
【0023】本発明に係るノイズ吸収素子は、好ましい
態様として、少なくとも2つの端子電極を含む。端子電
極のそれぞれは、磁性層の相対する両側端面に形成さ
れ、コイル導体の両端に電気的に接続されている。この
構造によれば、本発明に係るノイズ吸収素子は、表面実
装タイプの電子部品として用いることができる。
【0024】本発明は、更に、上述した金属磁性粉、フ
ェライト粉および絶縁樹脂の詳細についても開示してい
る。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るノイズ吸収素
子の分解斜視図、図2は図1に示したノイズ吸収素子の
斜視図、図3は図2の3−3線に沿った拡大断面図であ
る。図示されたノイズ吸収素子は、絶縁基体1と、コイ
ル導体21、22とを含む。
【0026】絶縁基体1は、磁性層11を含む。コイル
導体21、22のそれぞれは、磁性層11の層厚方向の
両面に平面状に配置され、電気的に直列に接続されてい
る。コイル導体21、22のそれぞれに流れる電流によ
って生じる磁束Φ1、Φ2(図3参照)に対する磁路
は、磁性層11を境界として互いに実質的に分離され
る。
【0027】コイル導体21、22は、図示実施例で
は、渦巻き状に形成され、コイル内端部が、磁性層11
を厚み方向に貫通する貫通導体110によって、互いに
接続されている。また、コイル導体21、22は、磁性
層11の一面からみて、流れる電流に対する磁束Φ1、
Φ2が、互いに逆方向となるように形成されている。
【0028】コイル導体21、22のそれぞれは、互い
のインピーダンス特性が異なればよい。そのパターン形
状、巻き数、巻き方向、線幅、線間スペース、膜厚など
については、特に限定はなく、種々の選択が可能であ
る。
【0029】図4は図1〜図3に示されたノイズ吸収素
子の電気的等価回路図である。図4に示すように、図1
〜3に示したノイズ吸収素子は、コイル導体21によっ
て発生するインダクタンスL1と、コイル導体22によ
って発生するインダクタンスL2とを端子電極41−4
2間に直列に挿入した等価回路となる。高周波回路にお
いて用いられた場合は、コイル導体21、22に発生す
る分布容量、及び、貫通導体110のインダクタンス分
を考慮する。
【0030】図5は図1〜図3に図示されたノイズ吸収
素子の周波数−インピーダンス特性を示す図である。図
において、破線a1はインダクタンス素子L1の周波数
−インピーダンス特性を表し、破線a2はインダクタン
ス素子L2の周波数−インピーダンス特性を表し、実線
Aはノイズ吸収素子Lの周波数−インピーダンス特性を
表す。
【0031】上述したように、図1〜図3に図示された
ノイズ吸収装置において、コイル導体21、22のそれ
ぞれは、電気的に直列に接続されており、コイル導体2
1、22のそれぞれに流れる電流によって生じる磁束Φ
1、Φ2(図3参照)に対する磁路は、磁性層11を境
界として互いに実質的に分離されるから、両コイル導体
21−22間の相互結合は、実質的に無視できる。即
ち、2つのコイル導体21、22は、互いに、実質的に
独立するインダクタンス素子L1、L2として機能す
る。従って、ノイズ吸収素子Lの全体としての特性は、
図5に示すように、実質的に独立するインダクタンス素
子L1の特性(破線a1)とインダクタンス素子L2の
特性(破線a2)とを合成した特性(実線A)となる。
このため、阻止周波数帯域が広くなる。
【0032】図1〜3に示した実施例では、絶縁基体1
は、更に、第2の磁性層12と、第3の磁性層13とを
含む。第2の磁性層12は、磁性層11の層厚方向の一
面側において、コイル導体21を覆っている。第3の磁
性層13は、磁性層11の層厚方向の前記一面と対向す
る他面側において、コイル導体22を覆っている。この
ような構造によれば、磁束Φ1は、磁性層11の層厚方
向に拡がるのを、第2の磁性層12によって抑えられ、
磁束Φ2は、磁性層11の層厚方向に拡がるのを、第3
の磁性層13によって抑えられる。このため、ノイズ吸
収素子の磁気効率が高くなり、高インピーダンス化を実
現できる。
【0033】図1〜3に示した実施例では、コイル導体
21の外端は、絶縁基体1の長さ方向の一端縁まで導か
れ、取り出し電極部210となり、コイル導体22の外
端は、絶縁基体1の長さ方向の他端縁まで導かれ、取り
出し電極部220となる。この構造によれば、浮遊容量
が低減され、結果として、ノイズ吸収素子の自己共振周
波数が伸び、ノイズ除去効果が高周波域まで向上する。
【0034】このようなコイル導体21、22の形成手
段としては、フォトリソグラフィ工程およびエッチング
工程等を含む高精度パターン形成技術が適用される。こ
の高精度パターン形成技術の適用により、例えば、線幅
60μm、線間スペース60μm、膜厚25μm程度の
コイル導体21、22が形成される。
【0035】コイル導体21、22が銅でなる場合、こ
の後、コイル導体21、22の表面に、2μm程度の膜
厚を有するNi膜、更にその上に0.1μm程度の膜厚
を有するAu膜を付着させ、酸化防止膜とすることが好
ましい。
【0036】図1〜3に示したノイズ吸収素子は、更に
端子電極41、42を含む。端子電極41は、磁性層1
1の一端側の端面に形成され、コイル導体21の一端に
電気的に接続されている。端子電極42は、磁性層11
の他端側の端面に形成され、コイル導体22の一端に電
気的に接続されている。具体的には、図2、3に示すよ
うに、端子電極41は、絶縁基体1の長さ方向の一端側
の端面に備えられ、コイル導体21の取り出し電極部2
10に接続される。端子電極42は、絶縁基体1の長さ
方向の他端側の端面に備えられ、コイル導体22の取り
出し電極部220に接続される。この構造によれば、本
発明に係るノイズ吸収素子は、表面実装タイプの電子部
品として用いることができる。
【0037】図6は本発明に係るノイズ吸収素子の別の
実施例を概略的に示す図である。図6に示したノイズ吸
収素子は、絶縁基体1の長さ方向の一端側の端面に端子
電極411、421、…、4n1を備え、絶縁基体1の
長さ方向の他端側の端面に端子電極412、422、
…、4n2を備える。
【0038】端子電極411−412間には、m個のコ
イル導体によって発生するインダクタンスL11、L1
2、…、L1mが直列に挿入され、端子電極421−4
22間には、m個のコイル導体によって発生するインダ
クタンスL21、L22、…、L2mが直列に挿入さ
れ、端子電極4n1−4n2間には、m個のコイル導体
によって発生するインダクタンスLn1、Ln2、…、
Lnmが直列に挿入される。n、mは自然数である。
【0039】絶縁基体1に含まれる回路構成数は、個数
nによって決まり、阻止周波数帯域の広さは、各端子間
に挿入されるコイル導体の個数mを変えることによって
調整できる。ただし、個数nは必要に応じて任意に変更
できる。また、個数mは、m≧2の条件を満たす範囲
で、任意に変更できる。
【0040】図6に示す構成は、図1〜3に図示した構
造を、ノイズ吸収素子の厚さ方向(積層方向)に繰り返
すか、ノイズ吸収素子の面方向に繰り返すか、または、
両者を組み合わせることによって実現することができ
る。 磁性層11、第2の磁性層12および第3の磁性
層13のそれぞれは、磁性粉と絶縁樹脂とを混合した複
合磁性材料で構成することができる。これによれば、磁
性粉および絶縁樹脂の選択により、2つのコイル導体2
1、22を通る周波数信号に含まれる高周波領域の不要
な高周波成分を、絶縁基体1の吸収作用によって確実に
吸収できる。具体的には、1GHz以上の高周波帯域に
おいて吸収作用(高域阻止)を生じ、それよりも低い周
波数帯域に属する信号は通過させる(低域通過)ノイズ
吸収素子となる。したがって、本発明に係るノイズ吸収
素子は、低域通過型フィルタとして用いることができ
る。しかも、樹脂を用いることによって、従来のような
高温(約900℃)でなく、100℃〜200℃の低温
で製品を得ることができるため、焼成温度や焼成雰囲気
の制限にとらわれず、絶縁基体1を容易に製造できる。
【0041】磁性粉は、金属磁性粉もしくはフェライト
粉の少なくとも一種を含むことができる。金属磁性粉を
用いた場合は、インダクタンス素子の個々の高域阻止周
波数特性はシャープになるが、本発明に係るノイズ吸収
素子によれば、独立するインダクタンス素子の特性を合
成した特性を得ることができる。このため、阻止周波数
帯域は広くなる。このような金属磁性粉の具体例として
は、例えば、カーボニル鉄またはパーマロイを挙げるこ
とができる。
【0042】フェライト粉を用いた場合は、金属磁性粉
を用いた場合よりも、高域阻止周波数特性がブロードで
ある。このため、強磁性金属粉を用いた場合と比較し
て、阻止周波数帯域がより広くなる。また、フェライト
粉を用いた場合、フェライト粉の残留損失を積極的に利
用し、阻止周波数帯域を拡大できる。フェライト粉は多
結晶体であり、強磁性金属粉と比較して、広い周波数帯
域にわたって、残留損失を発生する。このようなフェラ
イト粉の具体例としては、例えば、Ni/Zn系、Mn
/Zn系、プラナー系またはNi/Cu/Zn系のフェ
ライトを挙げることができる。
【0043】しかも、カーボニル鉄等の金属磁性粉に比
べ、フェライト材料は、フェライト系及びフェライト組
成の選択幅が広く、磁気的特性を、必要に応じて、広い
範囲で設計できる利点が得られる。
【0044】更に、金属磁性粉(カーボニル鉄)と絶縁
樹脂とを混合させた複合材料の場合、絶縁性を確保する
ために、カーボニル鉄の表面を酸化処理し、高抵抗膜を
形成しなければならない。これに対して、フェライトを
用いた場合は、そのような前処理が不要であるから、製
造工程を短縮することができる。
【0045】金属磁性粉及びフェライト粉の両者を含む
場合は、その含有量によって、両者の合成特性またはい
ずれかの特性を優先させたノイズ吸収素子を得ることが
できる。
【0046】絶縁樹脂は、特に種類は問わないが、エポ
キシ系、フェノール系、ポリイミド系、BT系またはフ
ッ素系の樹脂において、良好な特性が得られることを確
認している。これらの絶縁樹脂は、単独で用いることも
できるし、併用することもできる。上記絶縁樹脂の内、
エポキシ系樹脂の具体例としては、例えば、多官能エポ
キシ樹脂とビスフェノールA型高分子エポキシ樹脂との
混合物を主成分とする材料(特開平9−59486号公
報参照)を挙げることができる。
【0047】具体的には、上記混合物は、多官能エポキ
シ樹脂を30〜80wt%含有し、ビスフェノールA型
高分子エポキシ樹脂を10〜40wt%含有し、テトラ
フェニロールエタン型エポキシ樹脂を5〜35wt%含
有する。この混合物の他に、硬化剤としてビスフェノー
ルA型ノボラック樹脂が添加され、硬化促進剤としてイ
ミダゾールが添加される。その配合比率は、上記混合物
100重量部に対して、硬化剤が5〜30重量部であ
り、硬化促進剤が0.1〜5重量部である。
【0048】絶縁樹脂と磁性粉との混合比は、磁気特性
及び機械的強度に大きな影響を与える。絶縁樹脂に対す
る磁性粉の添加量を変化させたときの、絶縁基体1の比
透磁率と、その機械的強度との関係を表1に示す。表1
のデータを得るに当たっては、磁性粉として、Ni/C
u/Zn系フェライト粉を用い、絶縁樹脂として、上記
エポキシ系樹脂を用いた。そして、エポキシ系樹脂に対
するフェライト粉の含有量を0wt%、10wt%、4
0wt%、80wt%、90wt%及び95wt%の6
段階に選定した。
【0049】表1に示すように、絶縁樹脂に対する磁性
粉の添加量を多くする程、比透磁率が高くなり、優れた
ノイズフィルタ作用が得られる。しかし、磁性粉の添加
量が10wt%未満では、比透磁率μが2より小さくな
り、十分な磁気特性が得られない。また、磁性粉の添加
量が95wt%になると、絶縁樹脂と磁性粉とを均一に
混合することが困難になり、成型が困難になる。絶縁基
体1に成型できたとしても、十分な機械的強度が得られ
ないため、実用には適さない。この結果から、磁性粉の
好ましい添加量が10〜90wt%程度であることは、
明らかである。
【0050】更に、絶縁基体1は、更に無機質成分を含
んでいてもよい。無機質成分は、ガラスクロス、ガラス
不織布またはアラミド不織布の少なくとも一種を含んで
いてもよい。これらの無機質成分は、補強材の役割を果
たし、絶縁基体1に欠け、クラック等のトラブルが発生
するのを確実に防止する。したがって、歩留りを著しく
向上させることができ、コストダウンに大きく寄与す
る。
【0051】次に、複合磁性材料の組成を変えたノイズ
吸収素子のサンプルを2つ用意し、それぞれのサンプル
について、周波数−インピーダンス特性を調べた。 (a)サンプル1 サンプル1は、絶縁基体1が図1〜4に図示された構造
を有する直方体状であって、長さ寸法が3.2mmで、
幅寸法が1.6mmで、厚さ寸法が0.55mmであ
る。
【0052】複合磁性材料を構成する磁性粉には、フェ
ライト粉を用いた。具体的には、比透磁率230のNi
/Cu/Zn系フェライト組成物を800℃の温度条件
で、2時間熱処理し、所定の粒度まで粉砕したものを使
用した。その具体的な配合比率は、Fe23=64.3
3wt%、NiO=10.92wt%、CuO=6.1
3wt%、ZnO=18.62wt%である。
【0053】また、絶縁樹脂には、エポキシ系樹脂を用
いた。具体的には、多官能エポキシ樹脂として、エピビ
ス型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製エピコート
1001およびエピコート1007)をそれぞれ26.
9wt%ずつ含有し、ビスフェノールA型高分子エポキ
シ樹脂(油化シェルエポキシ社製エピコート1225)
を23.1wt%含有し、特殊骨格を持つエポキシ樹脂
として、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂(油
化シェルエポキシ社製エピコート1031S)を23.
1wt%含有するものを主成分とし、硬化剤としてビス
フェノールA型ノボラック樹脂(油化シェルエポキシ社
製YLH129B65)を加え、硬化促進剤としてイミ
ダゾール化合物(四国化成工業社製2E4MZ)を加え
たものを用いた。
【0054】絶縁樹脂に対する磁性粉の添加量は、78
wt%とした。これによって得られた複合磁性材料の比
透磁率は5であった。
【0055】図7はサンプル1の周波数−インピーダン
ス特性を示す図である。図示するように、サンプル1の
場合、5GHz程度の周波数においてピークP1が発生
し、9GHz程度の周波数において、もう一つのピーク
P2が発生する。ピークP1におけるインピーダンス値
は450Ω程度であり、ピークP2におけるインピーダ
ンス値は640Ω程度である。したがって、GHz領域
の高周波数帯域でノイズをカットすることができる。 (b)サンプル2 サンプル2は、サンプル1と同じ形状であって、その寸
法も同じである。また、複合磁性材料を構成する絶縁樹
脂には、サンプル1と同じエポキシ系樹脂を用いた。
【0056】磁性粉には、金属磁性粉を用いた。具体的
には、BASF社製カーボニル鉄EW−1を使用した。
絶縁樹脂に対する磁性粉の含有量は、80wt%に選定
した。
【0057】図8はサンプル2の周波数−インピーダン
ス特性を示す図である。図示するように、サンプル2の
場合、4GHz程度の周波数においてピークP1が発生
し、8GHz程度の周波数においてピークP2が発生し
ている。ピークP1におけるインピーダンス値は720
Ω程度であり、ピークP2におけるインピーダンス値は
520Ω程度である。このため、サンプル2のノイズ吸
収素子も、GHz領域の高周波数帯域でノイズをカット
することができる。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、阻
止周波数帯域の広いノイズ吸収素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るノイズ吸収素子の分解斜視図であ
る。
【図2】図1に示したノイズ吸収素子の斜視図である。
【図3】図2の3−3線に沿った拡大断面図である。
【図4】図1〜3に示したノイズ吸収素子の電気的等価
回路図である。
【図5】図1〜3に示したノイズ吸収素子の周波数−イ
ンピーダンス特性を概略的に示す図である。
【図6】本発明に係るノイズ吸収素子の別の実施例を概
略的に示す図である。
【図7】サンプル1の周波数−インピーダンス特性を示
す図である。
【図8】サンプル2の周波数−インピーダンス特性を示
す図である。
【符号の説明】
1 絶縁基体 11 磁性層 12 第2の磁性層 13 第3の磁性層 21、22 コイル導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E043 AA08 BA01 5E058 BB09 BB20 5E070 AA01 AB02 BA12 BB03 CB13 CB18 EA01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基体と、少なくとも2つのコイル導
    体とを含むノイズ吸収素子であって、 前記絶縁基体は、少なくとも1つの磁性層を含み、 前記コイル導体のそれぞれは、前記磁性層の層厚方向の
    両面に配置され、電気的に直列に接続されており、 前記コイル導体のそれぞれに流れる電流によって生じる
    磁束に対する磁路は、前記磁性層を境界として互いに実
    質的に分離されるノイズ吸収素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されたノイズ吸収素子で
    あって、 前記絶縁基体は、更に、第2および第3の磁性層を含ん
    でおり、 前記第2の磁性層は、前記磁性層の層厚方向の前記一面
    側において、前記コイル導体の一方を覆っており、 前記第3の磁性層は、前記磁性層の層厚方向の前記一面
    と対向する他面側において、前記コイル導体の他方を覆
    っているノイズ吸収素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の何れかに記載された
    ノイズ吸収素子であって、 前記磁性層および前記第2もしくは第3の磁性層のそれ
    ぞれは、絶縁樹脂と磁性粉とを混合した複合磁性材料で
    なるノイズ吸収素子。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載されたノイズ吸収素子で
    あって、 前記磁性粉の含有量は、前記絶縁樹脂に対して10wt
    %〜90wt%の範囲であるノイズ吸収素子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかに記載されたノ
    イズ吸収素子であって、 前記磁性層または前記第2もしくは第3の磁性層の少な
    くとも一種は、前記磁性粉が金属磁性粉を含むノイズ吸
    収素子。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載されたノイズ吸収素子で
    あって、 前記金属磁性粉は、カーボニル鉄またはパーマロイの少
    なくとも一種を含むノイズ吸収素子。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至4の何れかに記載されたノ
    イズ吸収素子であって、 前記磁性層または前記第2もしくは第3の磁性層の少な
    くとも一種は、前記磁性粉がフェライト粉を含むノイズ
    吸収素子。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載されたノイズ吸収素子で
    あって、 前記フェライト粉は、Ni/Zn系、Mn/Zn系、プ
    ラナー系またはNi/Cu/Zn系のフェライトから選
    択された少なくとも一種を含むノイズ吸収素子。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8の何れかに記載されたノ
    イズ吸収素子であって、 前記コイル導体のそれぞれは、内端が、前記磁性層を貫
    通する導体によって、電気的に接続されているノイズ吸
    収素子。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9の何れかに記載された
    ノイズ吸収素子であって、 前記コイル導体のそれぞれは、外端が、前記磁性層の長
    さ方向の相対する両端縁まで導かれているノイズ吸収素
    子。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10の何れかに記載され
    たノイズ吸収素子であって、 少なくとも2つの端子電極を含み、前記端子電極のそれ
    ぞれは、前記磁性層の相対する両側端面に形成され、前
    記コイル導体の両端に電気的に接続されているノイズ吸
    収素子。
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