JP5445670B2 - 耐酸化コーティング層の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐酸化コーティング層の形成方法に関する。
従来から、高温環境で使用されるタービン翼等の部材の多くが、耐熱材料であるニッケル基合金やチタン基合金等の金属材料によって形成されている。
さらに、近年においては、上記部材の表層に耐酸化コーティング層を形成することにより、部材の耐酸化特性を向上させる技術が一般的に用いられている。
このような耐酸化コーティング層の形成技術では、部材の表層におけるアルミニウムを富化(含有量を増加)させて、この表層を耐酸化層として用いることによって、耐酸化コーティング層を形成させている。
部材の表層におけるアルミニウムを富化させる具体的な方法としては、部材の表層にアルミニウムを拡散させる方法、アルミニウムを多く含んだ合金を溶射する方法、スパッタリングを用いてアルミニウムを多く含んだ合金の被膜を形成する方法、又は、溶融塩あるいは溶融アルミニウムを用いためっき処理等が用いられている。
部材の表層にアルミニウムを拡散させる方法によれば、アルミニウムハロゲン化物の気相反応によって部材の表層にアルミニウムを拡散させて、アルミニウムが富化された耐酸化層が形成される。
アルミニウムを多く含んだ合金を溶射する方法によれば、アルミニウムを多く含んだ合金を部材の表面に対して溶射して上記アルミニウムを多く含んだ合金を部材の表面に付着させることによって、アルミニウムが富化された耐酸化層が形成される。
スパッタリングを用いてアルミニウムを多く含んだ合金の被膜を形成する方法によれば、アルミニウムを多く含んだ合金からなるターゲットを用いてアルミニウムを多く含んだ合金を部材の表面に物理蒸着させることによって、アルミニウムが富化された耐酸化層が形成される。
溶融塩あるいは溶融アルミニウムを用いためっき処理によれば、溶融したアルミニウムに部材を浸漬して、アルミニウムが富化された耐酸化層が形成される。
Sudhangshu Bose, 「High Temperature Coatings」, United States of America, Butterworth-Heinemann, 2007, p.71-97
しかしながら、アルミニウムを拡散させる方法においては、気相の塩化物やフッ化物の取り扱いが難しい。また、高温の気相反応を制御するために大量の副資材を必要(パック法)とする場合や、大規模な装置を必要(VPA法、CVD法)とする場合がある。また、アルミニウムを拡散させる方法においては、一般的にバッチ式が用いられるため、工程を連続的に行うことが難しい。
アルミニウムを多く含んだ合金を溶射する方法においては、予めアルミニウムを多く含んだ合金の粉末を準備する必要があるため、プロセスが煩雑化する。また、部材が複雑な形状を有する場合には、部材の姿勢を複雑に制御する必要があるためにプロセスが煩雑化する可能性や、部材の表面に上記合金を溶射できない部分が生じる可能性がある。さらに、耐酸化層が厚くなりやすく、部材に求められる機械的特性に悪影響を与える可能性がある。
スパッタリングを用いてアルミニウムを多く含んだ合金の被膜を形成する方法においては、被膜の形成速度が遅い。また、部材が複雑な形状を有する場合には、部材の姿勢を複雑に制御する必要があるためにプロセスが煩雑化する可能性や、部材の表面に上記合金の被膜を形成できない部分が生じる可能性がある。
溶融塩あるいは溶融アルミニウムを用いためっき処理においては、600℃以上の高温槽を必要とし、設備が大規模になる。特に、溶融塩を用いる場合には、耐腐食処理を施した高温槽が必要となり、設備コストが増大する。また、上記めっき処理においては、めっき厚さの制御が難しい。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、従来の方法と異なる新たな耐酸化コーティング層の形成方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
本発明の一態様によれば、耐酸化コーティング層の形成方法は、金属材からなる部材の表層にアルミニウムを含む耐酸化コーティング層を形成する方法であって、溶媒内でアルミニウムを上記部材の表面にめっきするめっき処理工程と、このめっき処理工程によって表面にめっきが施された上記部材を熱処理する熱処理工程とを有する。
この場合には、めっき処理工程において、溶媒内でアルミニウムが部材の表面にめっきされ、その後熱処理を行うことで部材の表層に耐酸化コーティング層が形成される。
また、上記耐酸化コーティング層が形成される上記部材が、ニッケルあるいはニッケル基合金を含んでいてもよい。
この場合には、部材の表層に、ニッケルアルミニウム又は優れた耐酸化コーティング層であるβ−NiAlが形成される。
また、上記耐酸化コーティング層が形成される上記部材が、チタンあるいはチタン基合金を含んでいてもよい。
この場合には、部材の表層にチタンアルミニウムが形成される。
また、上記めっき処理工程は、上記溶媒としてジメチルスルホンを用いた電気めっき処理を含んでいてもよい。
この場合には、めっき処理工程における処理温度を、従来の溶融塩あるいは溶融アルミニウムを用いためっき処理における処理温度よりも数百度低くすることができる。そのため、高温槽を用いることなくめっき層を形成することができる。
また、上記熱処理工程における上記熱処理での温度が、1000℃以上であってもよい。
本発明によれば、成膜速度を、従来のスパッタリングを用いたアルミニウム合金の成膜速度よりも速くすることができ、短時間で耐酸化コーティング層を形成することができる。
また、取り扱いが難しい気相の塩化物やフッ化物を用いる必要がない。また、高温の気相反応を制御するための大量の副資材や、大規模な装置を必要としない。
また、部材が複雑な形状を有する場合であっても、成膜中に部材の姿勢を複雑に変化させる必要がなく、部材の表面全体に均一かつ薄い耐酸化コーティングを形成することができる。
本発明の一実施形態における耐酸化コーティング層が形成されるタービン翼の斜視図である。 本発明の一実施形態における耐酸化コーティング層の形成方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態における電析装置の概略構成図である。 温度を700℃、時間を2時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層のX回折データである。 温度を700℃、時間を2時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層の顕微鏡写真である。 温度を700℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層のX回折データである。 温度を700℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層の顕微鏡写真である。 温度を900℃、時間を2時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層のX回折データである。 温度を900℃、時間を2時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層の顕微鏡写真である。 温度を900℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層のX回折データである。 温度を900℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層の顕微鏡写真である。 温度を800℃、時間を2時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層のX回折データである。 温度を800℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層のX回折データである。 温度を1000℃、時間を2時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層のX回折データである。 温度を1000℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるニッケル板の表層のX回折データである。 めっき処理のみを行ったニッケル板の表層のX線回折データである。 めっき処理のみを行ったニッケル板の表層の顕微鏡写真である。 めっき処理後に1050℃で1時間熱処理を行ったニッケル板の表層のX線回折データである。 めっき処理後に1050℃で1時間熱処理を行ったニッケル板の表層の顕微鏡写真である。 めっき処理後に1050℃で1時間熱処理を行ったRene142からなる板材の表層のX線回折データである。 めっき処理後に1050℃で1時間熱処理を行ったRene142からなる板材の表層の顕微鏡写真である。 実験材に対する昇温条件を示す概略図である。 温度を1000℃、時間を1時間とした熱処理工程後における実験材の表層のX回折データである。 温度を1000℃、時間を1時間とした熱処理工程後における実験材の表層の顕微鏡写真である。 図16Bの拡大写真である。 温度を1000℃、時間を1時間とした熱処理工程を実施した実験材に対して酸化試験を実施した後の、実験材の表層の顕微鏡写真である。 図16Dの拡大写真である。 温度を1050℃、時間を1時間とした熱処理工程後における実験材の表層のX回折データである。 温度を1050℃、時間を1時間とした熱処理工程後における実験材の表層の顕微鏡写真である。 図17Bの拡大写真である。 温度を1080℃、時間を4.5時間とした熱処理工程後における実験材の表層のX回折データである。 温度を1080℃、時間を4.5時間とした熱処理工程後における実験材の表層の顕微鏡写真である。 温度を1100℃、時間を1時間とした熱処理工程後における実験材の表層のX回折データである。 温度を1100℃、時間を1時間とした熱処理工程後における実験材の表層の顕微鏡写真である。 図19Bの拡大写真である。 温度を1100℃、時間を1時間とした熱処理工程を実施した実験材に対して酸化試験を実施した後の、実験材の表層の顕微鏡写真である。 図19Dの拡大写真である。 640℃で10時間の熱処理を施した後に、さらに1080℃で4.5時間の熱処理を施す熱処理工程後における実験材の表層の顕微鏡写真である。 実験材に対する他の昇温条件を示す概略図である。 温度を1080℃、時間を4.5時間とした熱処理工程後における実験材の表層の顕微鏡写真である。 めっき処理のみを行ったチタン板の表層のX線回折データである。 めっき処理のみを行ったチタン板の表層の顕微鏡写真である。 めっき処理後に700℃で1時間熱処理を行ったチタン板の表層のX線回折データである。 めっき処理後に700℃で1時間熱処理を行ったチタン板の表層の顕微鏡写真である。 温度を700℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるチタンアルミ板の表層のX回折データである。 温度を700℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるチタンアルミ板の表層の顕微鏡写真である。 温度を800℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるチタンアルミ板の表層の顕微鏡写真である。 温度を900℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるチタンアルミ板の表層の顕微鏡写真である。 温度を650℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるチタンアルミ板の表層の顕微鏡写真である。 温度を650℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるチタンアルミ板の表層の組成比率を示すデータである。 温度を700℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるチタンアルミ板の表層の顕微鏡写真である。 温度を700℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるチタンアルミ板の表層の組成比率を示すデータである。 温度を1000℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるチタンアルミ板の表層の顕微鏡写真である。 温度を1000℃、時間を1時間とした熱処理工程後におけるチタンアルミ板の表層の組成比率を示すデータである。
以下、図面を参照して、本発明に係る耐酸化コーティング層の形成方法の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本実施形態における耐酸化コーティング層が形成される部材の一例であるタービン翼Aを示す斜視図である。
本実施形態におけるタービン翼Aは、耐熱材料であるニッケル基合金(金属材料)によって形成されている。なお、タービン翼Aが、ニッケル、ニッケル基合金、チタンあるいはチタン基合金を含む金属材料によって形成されていてもよい。
図2は、本実施形態における耐酸化コーティング層の形成方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、本実施形態の耐酸化コーティング層の形成方法は、めっき処理工程S1と、熱処理工程S2とを有している。なお、めっき処理工程S1の前に、耐酸化コーティング層が形成される部材に対して表面処理を行ってもよい。表面処理としては、研磨、粗面化処理(例えばブラスト加工)及び酸化膜除去処理(例えばアノード溶解)等が挙げられ、これらの処理のうち複数を組み合わせてもよい。
めっき処理工程S1においては、非水溶媒であるジメチルスルホン(溶媒)を用いた電気めっき処理によってアルミニウムをタービン翼Aの表面にめっきする。
図3を参照して、めっき処理工程S1を行う電析装置1について説明する。
図3は、電析装置1の概略構成図である。
図3に示すように、電析装置1は、ホットスタラー2と、電析槽3と、電解液4と、対極5と、参照極6と、温度センサ7と、ラバーヒータ8と、サーモスタット9と、ポテンショガルバノスタット10と、制御装置11とを備えている。
ホットスタラー2は、電析槽3内に貯留された電解液4を加温しながら攪拌子2aによって攪拌する。電析槽3は、内部に電解液4を貯留する容器であり、ホットスタラー2に載置されている。電解液4は、非水溶媒としてのジメチルスルホン((CHSO)と溶質としての塩化アルミニウム(AlCl)とが10:2のモル比で混合された溶液である。なお、電解液4におけるジメチルスルホン((CHSO)と塩化アルミニウム(AlCl)との混合割合は、モル比で10:1〜10:3の範囲であれば良い。ジメチルスルホンの融点は109℃である。
また、本実施形態において、対極5及び参照極6がアルミニウムによって形成されている。対極5、参照極6及び作用極としてのタービン翼Aが電解液4に浸漬されている。
温度センサ7は、その一端が電解液4に浸漬され、電解液4の温度を計測する。
ラバーヒータ8は、電析槽3を外側から覆うと共に、電析槽3を加温する。サーモスタット9は、温度センサ7の計測結果に基づいてラバーヒータ8の温度を一定に調節する。
なお、電解液4は、温度センサ7、ラバーヒータ8及びサーモスタット9によって、ジメチルスルホンの融点付近の温度である110℃程度に加温される。
ポテンショガルバノスタット10は、対極5、参照極6及び作用極としてのタービン翼Aに電気的に接続されており、各々に印加する電流値を調節する。
制御装置11は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成される。制御装置11は、作業者からの指令を入力可能であり、この指令に基づいた信号をポテンショガルバノスタット10に出力する。
電析装置1では、ホットスタラー2、温度センサ7、ラバーヒータ8及びサーモスタット9によって、電解液4が攪拌されつつ加温されると共に、対極5、参照極6及びタービン翼Aに電流が印加されることによって、タービン翼Aの表面にアルミニウムが析出される。
なお、対極5、参照極6及びタービン翼Aへ印加する電流の電流密度は30〜120mA/cmが好ましく、電解液4の温度は90〜150℃が好ましい。
また、電析装置1は、大気中においてめっき処理を行うことができる。さらに、アルゴンガス雰囲気でめっき処理することもできる。
このような電析装置1を用いることによって、対極5、参照極6及び作用極としてのタービン翼Aへの通電量を変化させてめっき層の膜厚を任意に制御することができる。
また、電析装置1を用いることによって、電解液4にタービン翼Aを浸漬させてアルミニウムをタービン翼Aに付着させるため、スパッタリングや溶射を用いて被膜を形成する場合のようにタービン翼Aの姿勢を変化させる必要がなく、タービン翼Aの表面全体に均一かつ薄いめっき層を形成することができる。
また、融点が109℃のジメチルスルホンを用いるため、電析装置1によれば、めっき処理時の温度を従来のめっき処理(溶融塩あるいは溶融アルミニウムを用いためっき処理)よりも低くすることができる。そのため、めっき処理用の高温槽を必要とせず、設備を小規模にすることができる。
本実施形態の耐酸化コーティング層の形成方法においては、このような電析装置1を用いためっき処理工程S1の後、熱処理工程S2が行われる。
熱処理工程S2においては、めっき処理工程S1においてめっきが施されたタービン翼Aを熱処理することによって、タービン翼Aの表面に付着したアルミニウムをタービン翼Aの表層に拡散浸透させる。
この熱処理工程S2では、例えば、内部が空気で充たされたチャンバ内において、タービン翼Aを700℃以上(好ましくは1000℃以上)の温度で、1〜2時間程度熱処理する。なお、この時間よりも長く熱処理を行ってもよい。また、チャンバ内が、真空、水素雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気(例えばアルゴン雰囲気)であってもよい。この結果、タービン翼Aの表層にアルミニウムが拡散浸透され、この表層にアルミニウムを含む耐酸化コーティング層が形成される。また、熱処理工程S2には連続炉が使用できるため、工程を連続的に行うことができる。
(実験例1)
第1の実験例を、図4A〜図11を参照して説明する。図4A〜図11は、熱処理工程S2における温度と時間とを変化させて取得した実験データを示す。
なお、本実験においては、タービン翼Aの代わりに、電析装置1でアルミニウムのめっき処理が施された厚さ0.5mmのニッケル板(純ニッケル板)を用いて実験を行った。電析装置1における電解液4の温度は110℃、電流密度は80mA/cmとし、アルゴンガス雰囲気においてめっき処理を行った。
図4A、図5A、図6A、図7A及び図8〜図11は、熱処理工程S2後のニッケル板の表層を、X線回折装置を用いて計測したX線回折データを示している。これらの図における縦軸はX線の強度(Intensity)であり、横軸はX線の入射方向と回析方向との角度差(2θ)である。なお、縦軸の単位はなく、横軸の単位は角度(°)である。また、図4B、図5B、図6B及び図7Bは、熱処理工程S2後のニッケル板の表層の顕微鏡写真である。
図4A及び図4Bは、熱処理工程S2における温度を700℃、時間を2時間とした場合の実験データである。図5A及び図5Bは、熱処理工程S2における温度を700℃、時間を1時間とした場合の実験データである。図6A及び図6Bは、熱処理工程S2における温度を900℃、時間を2時間とした場合の実験データである。図7A及び図7Bは、熱処理工程S2における温度を900℃、時間を1時間とした場合の実験データである。図8は、熱処理工程S2における温度を800℃、時間を2時間とした場合の実験データである。図9は、熱処理工程S2における温度を800℃、時間を1時間とした場合の実験データである。図10は、熱処理工程S2における温度を1000℃、時間を2時間とした場合の実験データである。図11は、熱処理工程S2における温度を1000℃、時間を1時間とした場合の実験データである。
図4A、図5A、図6A、図7A及び図8〜図11に示すように、めっき処理工程S1の後に、熱処理工程S2を行うことによって、ニッケル板の表層に耐酸化層として機能するニッケルアルミニウムが含まれていることが確認された。熱処理工程S2を行うことによって、めっき層のアルミニウムがニッケル板の表層に拡散浸透し、合金であるニッケルアルミニウムが生成したと考えられる。すなわち、めっき処理工程S1の後に、熱処理工程S2を行うことによって、ニッケル板の表層が耐酸化層に変化し、ニッケル板に耐酸化コーティング層が形成された。
なお、図4B、図5B、図6B及び図7Bに示すように、熱処理工程S2における温度が700℃又は900℃の場合において形成される耐酸化層は、熱処理工程S2における処理時間に関係なく、主としてAlNi相である。一方、熱処理工程S2における温度が1000℃以上である場合において形成される耐酸化層は、熱処理工程S2における処理時間に関係なく、主としてβ−NiAl相(AlNi)である。
AlNi相は、β−NiAl相よりも脆いため、熱処理工程S2における温度は、1000℃以上が好ましい。
(実験例2)
第2の実験例を、図12A〜図14Bを参照して説明する。図12A〜図14Bは、実験例1における条件とは異なる条件で取得した実験データを示す。図12A、図13A及び図14Aは、X線回折装置を用いて実験材の表層を計測したX線回折データを示している。縦軸はX線の強度(Intensity)であり、横軸はX線の入射方向と回析方向との角度差(2θ)である。なお、縦軸の単位はなく、横軸の単位は角度(°)である。また、図12B、図13B及び図14Bは、実験材の表層の顕微鏡写真である。
図12A及び図12Bは、実験材としての純ニッケル板に対して電析装置1でめっき処理工程S1のみを行った場合の実験データである。また、図13A及び図13Bは、実験材としての純ニッケル板に対して電析装置1でめっき処理工程S1を行い、その後、1050℃で1時間の熱処理工程S2を行った場合の実験データである。また、図14A及び図14Bは、実験材としてのRene142板に対して電析装置1でめっき処理工程S1を行い、その後、1050℃で1時間の熱処理工程S2を行った場合の実験データである。
なお、本実験例におけるめっき処理(めっき処理工程S1)の条件は、実験例1と同様である。また、上記Rene142は、重量%において、クロム(Cr)が6.8%、コバルト(Co)が12.0%、モリブデン(Mo)が1.5%、タングステン(W)が4.9%、アルミニウム(Al)が6.2%、タンタル(Ta)が6.4%、レニウム(Re)が2.8%、ハフニウム(Hf)が1.5%、炭素(C)が0.12%、ホウ素(B)が0.015%、ジルコニウム(Zr)が0.02%、残部がニッケル(Ni)であるニッケル基合金である。
図12A及び図12Bから分かるように、純ニッケル板をめっき処理するのみでは、優れた耐酸化機能を有するβ−NiAl相を確認できなかった。これに対して、図13A〜、図14Bから分かるように、純ニッケルあるいはニッケル基合金(Rene142)をめっき処理した後、熱処理することによって、β−NiAl相を確認することができた。
すなわち、めっき処理工程S1の後に、熱処理工程S2を行うことによって、ニッケル板(あるいはニッケル基合金)の表層に耐酸化コーティング層が形成されることが確認できた。
(実験例3)
第3の実験例を、図15〜図20Cを参照して説明する。
実験材として、実験例2で使用したRene142を用いた。実験材にブラスト処理(表面粗面化処理)を施した後に、実験材に対して、めっき処理工程S1と、熱処理工程S2とを順次行った。めっき処理工程S1では、実験材の表面に厚さ約30μmのアルミニウムめっき層を形成した。熱処理工程S2では、真空雰囲気(約10−2Pa)において熱処理を行った。
熱処理工程S2においては、図15に示す昇温条件に基づいて、所定の処理温度まで実験材を加熱した。すなわち、実験材が室温から600℃に達するまでは15℃/minの昇温速度となるように、実験材が600℃から[処理温度−10℃]に達するまでは10℃/minの昇温速度となるように、実験材が[処理温度−10℃]から処理温度に達するまでは0.5℃/minの昇温速度となるように、実験材を加熱した。
図16A〜図16Eは、熱処理工程S2における処理温度を1000℃、時間を1時間とした場合の実験データである。図17A〜図17Cは、熱処理工程S2における処理温度を1050℃、時間を1時間とした場合の実験データである。図18A及び図18Bは、熱処理工程S2における処理温度を1080℃、時間を4.5時間とした場合の実験データである。図19A〜図19Eは、熱処理工程S2における処理温度を1100℃、時間を1時間とした場合の実験データである。
図16A、図17A、図18A及び図19Aは、熱処理工程S2後の実験材の表層を、X線回折装置を用いて計測したX線回折データを示している。縦軸はX線の強度(Intensity)であり、横軸はX線の入射方向と回析方向との角度差(2θ)である。なお、縦軸の単位はなく、横軸の単位は角度(°)である。
図16B、図17B、図18B及び図19Bは、熱処理工程S2後の、実験材の表層の顕微鏡写真である。なお、図16C、図17C及び図19Cは、図16B、図17B及び図19Bのそれぞれの拡大写真である。
図16D及び図19Dは、熱処理工程S2後の実験材を酸素雰囲気に配置し、1121℃で23時間加熱する酸化試験を実施した後の、実験材の表層の顕微鏡写真である。なお、図16E及び図19Eは、図16D及び図19Dのそれぞれの拡大写真である。
図16A、図17A、図18A及び図19Aに示すように、実験材(Rene142)の表面にアルミニウムのめっき層を形成した後に熱処理を行うことによって、実験材の表層にβ−NiAl相が形成されることが確認できた。この結果は実験例1と同様の結果であり、1000℃以上の温度で熱処理を行うことにより、実験材の表層には優れた耐酸化性能を有するβ−NiAl相が形成された。
なお、図18Bに示すように、実験材を1000℃以上の温度で4.5時間加熱しても、実験材の耐酸化層にはひび等の不具合が発生していない。
図16D、図16E、図19D及び図19Eに示すように、熱処理工程S2後の実験材に酸化試験(酸素雰囲気に配置し、1121℃で23時間加熱)を実施しても、実験材の表層に欠けや剥落等は生じておらず、実験材の内部に変質等が生じていない。すなわち、実験材の表層は良好な耐酸化性を示している。
なお、実験例3における熱処理工程S2は真空雰囲気で実施されているが、例えば水素雰囲気(H)又はアルゴン雰囲気(Ar)で熱処理工程S2を行ってもよい。このような雰囲気で熱処理工程S2を行った場合にも、真空雰囲気内で熱処理工程S2を行った場合と同様の耐酸化コーティング層が形成されることが確認された。
また、めっき処理工程S1で用いられた電解液4(図3参照)は、上述したように、非水溶媒としてのジメチルスルホンと溶質としての塩化アルミニウムとが10:1〜10:3のモル比で混合された溶液である。この電解液4に、トリメチルアミン塩酸塩((CHN・HCl)又はジメチルアミン塩酸塩((CHNH・HCl)を添加してもよい。添加の割合は、ジメチルスルホン10モルに対して、トリメチルアミン塩酸塩又はジメチルアミン塩酸塩が0.02〜0.4モルであることが好ましい。トリメチルアミン塩酸塩又はジメチルアミン塩酸塩を電解液4に添加することによって、実験材の表層における耐酸化層をより平滑に形成できることが確認された。
また、実験例3の第1の比較例を、図20Aを参照して説明する。
図20Aは、熱処理工程S2において、640℃で10時間の熱処理を施した後に、さらに1080℃で4.5時間の熱処理を施した場合の実験データである。また、図20Aは、熱処理工程S2後の、実験材の表層の顕微鏡写真である。第1の比較例における実験材及びめっき層の材質、並びにめっき処理の条件は、実験例3における材質・条件と同一である
図20Aに示すように、第1の比較例における熱処理工程S2を施した実験材の表面には、多孔質層が形成された。この多孔質層が形成された原因としては、640℃での加熱時において表面のめっき層にボイド(気孔)が発生したことが考えられる。一方、実験例3では、実験材の表面に多孔質層は形成されていないことから、熱処理工程S2の処理温度までの昇温速度は速いほうが好ましいと考えられる。
また、実験例3の第2の比較例を、図20B及び図20Cを参照して説明する。
図20Bは、実験例3の昇温条件とは異なる昇温条件を示す概略図である。図20Cは、図20Bに示す昇温条件に基づいて実験材を加熱し、処理温度を1080℃、時間を4.5時間とした熱処理工程S2を行った後の、実験材の表層の顕微鏡写真である。第2の比較例における実験材及びめっき層の材質、並びにめっき処理の条件は、実験例3における材質・条件と同一である。
第2の比較例においては、図20Bに示す昇温条件に基づいて、処理温度である1080℃まで実験材を加熱した。すなわち、実験材が室温から[処理温度−10℃(=1070℃)]に達するまでは5℃/minの昇温速度となるように、実験材が[処理温度−10℃]から処理温度に達するまでは0.5℃/minの昇温速度となるように、実験材を加熱した。
図20Cに示すように、第2の比較例における熱処理工程S2を施した実験材の表面には、多孔質層が形成された。この多孔質層が形成された原因としては、処理温度までの昇温速度を実験例3よりも遅くしたために、昇温時において表面のめっき層にボイドが発生したことが考えられる。そのため、熱処理工程S2の処理温度までの昇温速度は、5℃/min以上であることが好ましいと考えられる。
また、昇温の熱衝撃(特に加熱開始時)による実験材とめっき層との間の密着性低下を原因とした、めっきの剥離や浮き上がり等を防止するため、処理温度までの昇温速度は15℃/min以下であることが好ましい。さらに、実験材の温度が処理温度を超過すること(オーバーシュート)を防止するため、実験材が[処理温度−10℃]から処理温度に達するまでは、1℃/min以下の昇温速度で実験材を加熱することが好ましい。以上より、実験材が室温から600℃に達するまでは5℃/min以上15℃/min以下の昇温速度で、実験材が600℃から[処理温度−10℃]に達するまでは5℃/min以上の昇温速度で、実験材が[処理温度−10℃]から処理温度に達するまでは1℃/min以下の昇温速度で、実験材を加熱することが好ましい。
(実験例4)
第4の実験例を、図21A〜図22Bを参照して説明する。
実験材として、純チタン板を用いた。実験材に対して、めっき処理工程S1と、熱処理工程S2とを順次行った。めっき処理工程S1で用いられた電解液4(図3参照)は、ジメチルスルホン((CHSO)と塩化アルミニウム(AlCl)とトリメチルアミン塩酸塩((CHNHCl)とが、10:2:0.1のモル比で混合された溶液である。めっき処理工程S1では、実験材の表面に厚さ約30μmのアルミニウムめっき層を形成した。熱処理工程S2では、アルゴン雰囲気(Ar)において熱処理を行った。
図21A及び図21Bは、実験材に対してめっき処理工程S1のみを行った場合の実験データである。図22A及び図22Bは、実験材に対してめっき処理工程S1を行い、その後、700℃で1時間の熱処理工程S2を行った場合の実験データである。
図21A及び図22Aは、X線回折装置を用いて実験材の表層を計測したX線回折データを示している。縦軸はX線の強度であり、横軸はX線の入射方向と回析方向との角度差(2θ)である。図21B及び図22Bは、実験材の表層の顕微鏡写真である。
図21Aに示すように、純チタン板にアルミニウムのめっき層を形成するのみでは、優れた耐酸化性能を有するTiAl相を確認できなかった。一方、図22Aに示すように、純チタン板にアルミニウムのめっき層を形成した後に熱処理することによって、優れた耐酸化性能を有するTiAl相を確認できた。
すなわち、めっき処理工程S1の後に、熱処理工程S2を行うことによって、純チタン板の表層に耐酸化コーティング層が形成されることが確認できた。
(実験例5)
第5の実験例を、図23A〜図25を参照して説明する。
実験材として、チタンアルミ板(TiAl)を用いた。実験材に対して、めっき処理工程S1と、熱処理工程S2とを順次行った。めっき処理工程S1の条件は、実験例4における条件と同一である。熱処理工程S2では、アルゴン雰囲気(Ar)において熱処理を行った。
図23A及び図23Bは、熱処理工程S2における処理温度を700℃、時間を1時間とした場合の実験データである。図24は、熱処理工程S2における処理温度を800℃、時間を1時間とした場合の実験データである。図25は、熱処理工程S2における処理温度を900℃、時間を1時間とした場合の実験データである。
図23Aは、X線回折装置を用いて実験材の表層を計測したX線回折データを示している。縦軸はX線の強度であり、横軸はX線の入射方向と回析方向との角度差(2θ)である。図23B、図24及び図25は、実験材の表層の顕微鏡写真である。なお、図24及び図25の紙面下側には、実験材の表層における組成の比率を併せて記載している。この組成の比率は、図24及び図25におけるA−A線上を、EPMA(電子線マイクロアナライザ)を用いて計測することにより得られた。
図23A、図24及び図25に示すように、チタンアルミ板(TiAl)にアルミニウムのめっき層を形成した後に熱処理することによって、優れた耐酸化性能を有するTiAl相を確認できた。
すなわち、めっき処理工程S1の後に、熱処理工程S2を行うことによって、チタンアルミ板の表層に耐酸化コーティング層が形成されることが確認できた。
(実験例6)
第6の実験例を、図26A〜図28Bを参照して説明する。
実験材として、チタンアルミ板(TiAl)を用いた。実験材に対して、めっき処理工程S1と、熱処理工程S2とを順次行った。めっき処理工程S1の条件は、実験例4における条件と同一である。熱処理工程S2では、真空雰囲気において熱処理を行った。
図26A及び図26Bは、熱処理工程S2における処理温度を650℃、時間を1時間とした場合の実験データである。図27A及び図27Bは、熱処理工程S2における処理温度を700℃、時間を1時間とした場合の実験データである。図28A及び図28Bは、熱処理工程S2における処理温度を1000℃、時間を1時間とした場合の実験データである。
図26A、図27A及び図28Aは、実験材の表層の電子顕微鏡写真である。図26B、図27B及び図28Bは、実験材の表層における組成の比率を示している。この組成の比率は、図26A、図27A及び図28AにおけるA−A線上を、EPMAを用いて計測することにより得られた。
図26B、図27B及び図28Bに示すように、チタンアルミ板(TiAl)にアルミニウムのめっき層を形成した後に熱処理することによって、優れた耐酸化性能を有するTiAl相を確認できた。
すなわち、めっき処理工程S1の後に、熱処理工程S2を行うことによって、チタンアルミ板の表層に耐酸化コーティング層が形成されることが確認できた。
以上のような本実施形態の耐酸化コーティング層の形成方法によれば、従来の方法によらずしてニッケル基合金からなるタービン翼Aの表層に耐酸化コーティング層を形成することができる。
また、本実施形態の耐酸化コーティング層の形成方法によれば、融点が109℃のジメチルスルホンを用いることによって、めっき処理工程S1における処理温度を従来の溶融塩あるいは溶融アルミニウムを用いためっき処理よりも低くすることができる。そのため、高温槽を用いることなく耐酸化コーティング層を形成することができ、設備の小規模化や低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態の耐酸化コーティング層の形成方法によれば、取り扱いが難しい気相の塩化物やフッ化物を用いる必要がなく、処理工程における安全性が向上する。また、高温の気相反応を制御するための大量の副資材や、大規模な装置を必要としない。また、熱処理工程S2において、連続炉を使用することができるため、工程を連続的に行うことができる。
また、本実施形態の耐酸化コーティング層の形成方法によれば、めっき処理工程S1において電解液4にタービン翼Aを浸漬することによって、アルミニウムをタービン翼Aに付着させることができる。そのため、スパッタリングや溶射のように、被膜形成時にタービン翼Aの姿勢を変化させる必要がない。また、タービン翼Aが複雑な形状を有する場合であっても、タービン翼Aの表面全体に均一かつ薄い耐酸化コーティングを形成することができる。
また、本実施形態の耐酸化コーティング層の形成方法によれば、成膜速度を従来のスパッタリングを用いたアルミニウム合金の成膜速度よりも速くすることができ、短時間で耐酸化コーティング層を形成することができる。
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、本発明における耐酸化コーティング層を形成する部材がニッケル基合金からなるタービン翼である構成について説明した。
しかしながら、本発明を金属材(例えば、チタン、コバルト、鉄)からなる部材に対して耐酸化コーティング層を形成する場合に適用してもよい。
例えば、本発明は、チタン、チタン基合金あるいはニッケルからなるタービン翼に対して耐酸化コーティング層を形成する場合や、チタン、チタン基合金、ニッケルあるいはニッケル基合金からなるジェットノズルに対して耐酸化コーティング層を形成する場合等に適用することが可能である。また、耐酸化コーティング層を形成する部材が、上記金属材(例えば、ニッケル、ニッケル基合金、チタン、チタン基合金)を一部含む材料であってもよい。
また、上記実施形態においては、めっき処理工程S1において、本発明の溶媒として非水溶媒のジメチルスルホンを用いる構成について説明した。
しかしながら、本発明の溶媒として、非水溶媒であるジエチルスルホン((CSO))やイオン液体(例えば、1−アリル−3−アルキルイミダゾリウム系イオン液体)等の他の溶媒を用いることも可能である。
ただし、融点が109℃で比較的低温での操業が可能であること、アルミニウム源となる腐食性AlClの蒸気圧が低くなること、めっき層が平滑に析出すること、安価であること、成膜速度が速いこと、爆発性の物質を用いないことを考慮すると、本発明の溶媒としてジメチルスルホンを用いることが好ましい。
A タービン翼(部材)
S1 めっき処理工程
S2 熱処理工程

Claims (6)

  1. 金属材からなる部材の表層にアルミニウムを含む耐酸化コーティング層を形成する耐酸化コーティング層の形成方法であって、
    溶媒内でアルミニウムを前記部材の表面にめっきするめっき処理工程と、
    該めっき処理工程によって表面にめっきが施された前記部材を熱処理する熱処理工程と
    を有し、
    前記熱処理工程では、前記部材が室温から600℃に達するまでは5℃/min以上15℃/min以下の昇温速度で、前記部材が600℃から[処理温度−10℃]に達するまでは5℃/min以上の昇温速度で、前記部材が[処理温度−10℃]から処理温度に達するまでは1℃/min以下の昇温速度で、前記部材を加熱する耐酸化コーティング層の形成方法。
  2. 前記耐酸化コーティング層が形成される前記部材がニッケルあるいはニッケル基合金を含む請求項1に記載の耐酸化コーティング層の形成方法。
  3. 前記耐酸化コーティング層が形成される前記部材がチタンあるいはチタン基合金を含む請求項1に記載の耐酸化コーティング層の形成方法。
  4. 前記めっき処理工程は、前記溶媒としてジメチルスルホンを用いた電気めっき処理を含む請求項1に記載の耐酸化コーティング層の形成方法。
  5. 前記めっき処理工程は、前記溶媒としてジメチルスルホンを用いた電気めっき処理を含む請求項2に記載の耐酸化コーティング層の形成方法。
  6. 前記熱処理工程における前記熱処理の温度は、1000℃以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の耐酸化コーティング層の形成方法。
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