JP3360058B2 - 耐高温酸化性に優れた皮膜を有する耐熱性金属部材およびその製造方法 - Google Patents

耐高温酸化性に優れた皮膜を有する耐熱性金属部材およびその製造方法

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敏夫 成田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性金属部材お
よびその製造方法に係り、特に、金属基体表面に、溶融
塩電荷メッキ方法により、耐高温酸化性に優れた皮膜を
形成してなる耐熱性金属部材およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】TiAl系合金は、一般の耐熱合金に比
べると比重が小さく、高温における比強度に優れること
から、ガスタービン、ジェットエンジン等の次世代耐熱
材料として注目されており、世界的に盛んに材料開発が
行われ、現在までに高温での機械的特性に優れた種々の
TiAl系合金が開発されている。
【0003】一方、 TiAl系合金は、ガスタービ
ン、ジェットエンジン等の高温酸化性雰囲気では耐酸化
性に乏しいため、そのような構造材料としての実用化の
ためには高温酸化性の向上が課題となっている。即ち、
TiAl系合金は、高温酸化性雰囲気では表面にTi
層が形成され、その後TiO+Al混合層
が形成されることが知られている。このTiO層は、
保護皮膜としては作用しないため、高温酸化性雰囲気で
は酸化スケールが厚く成長してしまい、高温酸化性雰囲
気にさらされる部材材料としての実用化は困難である。
【0004】このようなTiAl系合金の耐酸化性の改
善のため、これまでに部材表面に耐酸化性に優れたTi
Al層を被覆する方法(特開平1−29858号公
報)や硫化処理によって合金表面にTiAl層を形成
する方法(特開平7−197155号)のような、Ti
Al系合金表面にAl濃化層を形成する方法、TiAl
系合金中にSi、Y、Nb、W、Mo等の第3の元素を
添加する方法(特開平1−29858号)、低酸素分圧
処理、ハロゲン処理、イオン注入等によりTiAl系合
金表面に緻密なAl層を安定して形成する方法等
が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のこれら
の処理方法によると、無処理のTiAl系合金と比較し
て、ある程度の耐酸化性の向上は得られているが、いず
れも不十分であり、また様々な問題もある。
【0006】例えば、TiAl系合金表面にAl濃化層
を形成する方法では、高温での酸化により濃化したAl
が基体中に逆拡散し、構成した濃化層が時間の経過とと
もに消失するため、長時間の信頼性に劣るという欠点が
ある。また、TiAl系合金中に第3の元素を添加する
方法は、合金自体の機械的特性、鋳造性を損なうという
問題がある。更に、イオン注入等の物理的手法を用い
て、合金表面に改質層を形成し、合金表面の耐酸化性を
向上させる方法は、改質層が、上述の濃化層と同様に時
間の経過とともに消失するという問題とともに、複雑な
形状の被処理材料への適用が困難であるという欠点も併
せ有する。
【0007】以上のように、いずれの処理方法も、根本
的な解決にはなっておらず、長期間繰返し高温酸化性雰
囲気にさらされる材料の信頼性を向上させるには至って
いない。
【0008】なお、特開昭47−42536号公報に
は、耐食性および耐熱性向上のため、基体金属表面にA
l−Cr合金メッキを施すことが記載されているが、こ
のAl−Cr合金のCr量は1〜27重量%と少ないた
め、優れた耐高温酸化性を得ることが出来ない。
【0009】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものであり、耐高温酸化性に優れた高い寸法
精度の皮膜を有する耐熱性金属部材およびその製造方法
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、金属基体表面に、Crを主体とし、
l、およびAl以外の金属元素の少なくとも1種を含む
多元系Cr基合金からなる耐高温酸化性に優れた皮膜
を、溶融電解メッキ法により被着してなることを特徴と
する耐熱性金属部材を提供する。
【0011】かかる耐熱性金属部材において、前記Al
以外の金属元素は、0.01〜50重量%のTi、0.
01〜15重量%のMo、0.01〜15重量%のT
a、0.01〜15重量%のW、0.01〜15重量%
のZr、0.01〜5重量%のY、および0.01〜5
重量%のCeからなる群から選ばれた少なくとも1種と
することが出来る。
【0012】また、本発明は、金属基体表面に、Alを
5〜72原子%含有するCr−Al二元系合金からなる
耐高温酸化性に優れた皮膜を、溶融塩電解メッキ法によ
り被着してなることを特徴とする耐熱性金属部材を提供
する。
【0013】かかる耐熱性金属部材において、耐高温酸
化性に優れた皮膜は、第3の元素の少なくとも1種を更
に含むことが出来る。この第3の金属元素は、0.01
〜50重量%のTi、0.01〜15重量%のMo、
0.01〜15重量%のTa、0.01〜15重量%の
W、0.01〜15重量%のZr、0.01〜5重量%
のY、および0.01〜5重量%のCeからなる群から
選ばれた少なくとも1種とすることが出来る。
【0014】以上の耐熱性金属部材において、金属基体
として、Ti−Al系合金を用いることが出来る。この
Ti−Al系合金は、Mo、Ta、W、Zr、Y、およ
びCeからなる群から選択された少なくとも1種の添加
元素を含有することが望ましい。
【0015】耐高温酸化性に優れた皮膜に含まれるAl
以外の金属元素または前記第3の金属元素は、金属基体
と耐高温酸化性に優れた皮膜との間に形成され、金属基
体を構成する金属と皮膜を構成する金属との反応を抑制
する機能を有するものであることが望ましい。
【0016】また、耐高温酸化性に優れた皮膜を構成す
るCr−Al二元系合金の組成を、厚さ方向で傾斜させ
ることが出来る。
【0017】更に、本発明は、以上の耐熱性金属部材を
製造する方法を提供する。かかる耐熱性金属部材を製造
する方法として、以下の方法がある。
【0018】(1)50〜65mol%の塩化アルミニ
ウム、10〜30mol%の塩化ナトリウム、5〜25
mol%の塩化カリウム、0.5〜2mol%の塩化ク
ロム、および0.01〜1mol%の塩化モリブデン、
塩化タングステン、塩化タンタル、塩化ジルコニウム、
塩化セリウムおよび塩化イットリウムからなる群から選
ばれた少なくとも1種を含む電解浴を用い、150〜2
00℃の温度で、Mo、Ta、W、Zr、Y、およびC
eからなる群から選択された少なくとも1種の添加元素
を含有するTi−Al系合金からなる金属基体表面に、
耐高温酸化性に優れた皮膜を溶融塩電解メッキ法により
被着する耐熱性金属部材の製造方法。
【0019】(2)1〜20mol%の塩化アルミニウ
ム、30〜70mol%の塩化リチウム、30〜70m
ol%の塩化カリウム、および0.5〜2mol%の塩
化クロムを含む電解浴を用い、400〜600℃の温度
で、 Mo、Ta、W、Zr、Y、およびCeからなる
群から選択された少なくとも1種の添加元素を含有する
Ti−Al系合金からなる金属基体表面に、耐高温酸化
性に優れた皮膜を溶融塩電解メッキ法により被着する耐
熱性金属部材の製造方法。
【0020】
【0021】以上説明した本発明の耐熱性金属部材およ
びその製造方法によると、金属基体の表面にCr−Al
系合金が溶融塩電解メッキされているため、部材の高温
比強度を維持しつつ、部材表面の耐酸化性を向上させる
ことが可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0023】第1の発明に係る耐熱性金属部材は、金属
基体表面に、Crを主体とし、Al、およびAl以外の
金属元素の少なくとも1種を含む多元系Cr基合金から
なる耐高温酸化性に優れた皮膜を被着してなることを特
徴とする。
【0024】また、第2の発明に係る耐熱部材は、金属
基体表面に、Alを5〜72原子%含有するCr−Al
二元系合金からなる耐高温酸化性に優れた皮膜を被着し
てなることを特徴とする。
【0025】第1および第2の発明に係る耐熱性金属部
材において、金属基体としては、TiAl系合金、Ni
基合金、Fe基合金等の耐熱・耐酸化性合金合金を用い
ることが出来るが、特にTiAl系合金が好ましい。
【0026】例えば、金属基体としてTiAl系合金を
用いた場合には、表面にCr系合金またはCr−Al系
合金が存在するため、表面にTiO層が形成されるこ
とはない。かかる金属部材表面にはCr皮膜また
はAl皮膜が形成されるが、これらは保護膜とし
て作用し、それによって耐酸化性が向上するのである。
【0027】このようなCr皮膜またはAl
皮膜は、Cr−Al系合金の組成を変化させることに
より、選択的に形成可能であり、これらは金属部材が使
用される部位の設計温度に応じて、使い分けることがで
きる。
【0028】本発明の金属部材の表面に形成される耐高
温酸化性に優れた皮膜には、Ti、Mo、Ta、W、Z
r、Y、およびCeからなる群から選ばれた少なくとも
1種の金属元素を添加することが出来る。これらの金属
元素は、金属基体とCr系合金またはCr−Al系合金
皮膜との間に形成することが出来る。
【0029】添加金属元素のうち、Mo、Ta、W
(0.01〜15重量%)は、金属基体とCr系合金ま
たはCr−Al系合金皮膜との間に、Cr、Alととも
に添加元素の濃化層を形成し、この濃化層がCr、Al
の金属基体中への拡散を防止する機能を有する。
【0030】しかし、 Mo、Ta、Wは、それら自体
の耐酸化性は乏しく、 Cr、Alと合金化することで
その機能を発揮するものである。従って、これらの金属
元素の含有量が15重量%を越えると、これら金属元素
自体が酸化されて、耐酸化性を劣化させてしまう。な
お、これら金属元素の含有量が0.01重量%未満で
は、その機能を発揮することが出来ない。
【0031】添加金属元素のうち、Zr(0.01〜1
5重量%)、Y(0.01〜5重量%)、Ce(0.0
1〜5重量%)は、耐熱性金属部材の表面の酸化により
形成されたCr皮膜またはAl皮膜が、表
面から剥離するのを防止する機能を有する。従って、
Zr、Y、Ceの存在により、熱衝撃性に優れたCr
皮膜またはAl皮膜を、部材表面に形成・保
持することが可能となる。
【0032】一方、 Zr、Y、Ceは、酸素との親和
力が非常に強く、上述の含有量の上限を越えると、メッ
キ合金皮膜中の酸素の固溶量を増加させるため、メッキ
合金皮膜表面に形成されるCr皮膜またはAl
皮膜の安定性を損ない、部材の耐酸化性を劣化させ
てしまう。なお、これら金属元素の含有量が0.01重
量%未満では、その機能を発揮することが出来ない。
【0033】以上、金属基体表面にCr合金またはCr
−Al合金を被着した例について説明したが、本発明は
これに限らず、金属基体表面に溶融塩電解メッキ法によ
りAlを析出させ、析出したAlと金属基体とを反応さ
せることにより、耐高温酸化性に優れた皮膜を形成する
ことも可能である。
【0034】
【実施例】以下、本発明の種々の実施例を示し、本発明
をより具体的に説明する。
【0035】実施例1 パイレックス製電解槽(電解槽1、電解槽2)を2組作
成し、それぞれに収容された下記の組成の電解浴中に、
99.9%アルミニウム板からなる陽極と、被メッキ材
である陰極として、TiAl合金板(30×40×1m
m)を対向させて配置した。電位の基準として、純アル
ミニウム線(径:2mm)を陰極と陽極の中間に配置し
た。なお、TiAl合金板としては、脱脂した後、室温
で減圧乾燥したものを用い、最初に電解槽2内でメッキ
処理し、次いで電解槽1内でメッキ処理した。
【0036】 電解浴組成 AlCl 63% NaCl 20% KCl 17% なお、電解槽1内の電解浴中には、イオン濃度50〜4
000ppmのCrClを添加し、電解槽2内の電解
浴中には、イオン濃度50〜4000ppmのWCl
を添加した。
【0037】このような2組の電解槽1,2を用いて、
電解浴を0.3m/秒の攪拌速度で攪拌しつつ、通電気
量2000クーロン/cm、電解浴温度160℃で、
種々の電解電位で電解メッキを行った。この場合、まず
電解槽2内で、 TiAl合金板表面にタングステンを
1〜3μmの厚さに電析させ、次いで、TiAl合金板
を電解槽1に移動し、Cr−Al合金メッキを行った。
【0038】電位の制御には市販のポテンショスタット
を用いた。得られたメッキ皮膜の組成(電析物組成)お
よびメッキ皮膜の外観について、下記表1にまとめた。
【0039】
【表1】
【0040】上記表1から明らかなように、電解電位を
種々変化させることにより、種々の組成のCr−Al合
金からなるメッキ皮膜を得ることが出来た。特に、Al
の組成が30%を越える場合には、ほぼ平滑な外観を有
する優れたCr−Al合金皮膜が得られた。
【0041】本実施例では、 Cr−Al合金をメッキ
する前に、TiAl合金板の表面にタングステン皮膜を
形成したが、タングステン皮膜の代わりにモリブデン、
ジルコニウム、タンタル、イットリウム、セリウムの皮
膜を同様に形成することが出来る。この場合、これら金
属の塩化物を電解浴中に添加して電解を行えばよい。
【0042】なお、本実施例では、電解浴温度160℃
で電解メッキを行ったが、電解浴温度が200℃以上に
なると、電解浴中の塩化アルミニウムが激しく蒸発し、
電解浴の組成が大きく変化してしまう。電解浴中の塩化
アルミニウムの濃度が55mol%以下になると、メッ
キの表面が著しく不均一となってしまう。また、電解浴
中の塩化アルミニウムの濃度が50mol%以下になる
と、200℃においても電解浴が凝固し始めるため、メ
ッキ工程の継続が困難になってしまう。
【0043】実施例2 電解槽内にアルミナセラミックス製のるつぼを収容し、
電解浴として下記の組成のものを用いたことを除いて、
実施例1と同様にして、2組の電解槽(電解槽1、電解
槽2)を用意し、実施例1と同様にして、下記のように
してメッキ処理を行った。
【0044】 AlCl 4% NaCl 58% KCl 38% なお、電解槽1内の電解浴中には、イオン濃度50〜4
000ppmのCrClを添加し、電解槽2内の電解
浴中には、イオン濃度50〜4000ppmのWCl
を添加した。
【0045】このような2組の電解槽1,2を用いて、
電解浴を0.2〜0.3m/秒の攪拌速度で攪拌しつ
つ、通電気量2000クーロン/cm、電解浴温度4
30℃で、種々の電解電位で電解メッキを行った。この
場合、まず電解槽2内で、 TiAl合金板表面にタン
グステンを0.5〜2μmの厚さに電析させ、次いで、
TiAl合金板を電解槽1に移動し、Cr−Al合金メ
ッキを行った。
【0046】電位の制御には市販のポテンショスタット
を用いた。得られたメッキ皮膜の組成(電析物組成)お
よびメッキ皮膜の外観について、下記表2にまとめた。
【0047】
【表2】
【0048】上記表2から明らかなように、電解電位を
種々変化させることにより、種々の組成のCr−Al合
金からなるほぼ平滑な表面形態のメッキ皮膜を得ること
が出来た。
【0049】本実施例では、 Cr−Al合金をメッキ
する前に、TiAl合金板の表面にタングステン皮膜を
形成したが、タングステン皮膜の代わりにモリブデン、
ジルコニウム、タンタル、イットリウム、セリウムの皮
膜を同様に形成することが出来ることは、実施例1と同
様である。この場合、これら金属の塩化物を電解浴中に
添加して電解を行えばよい。
【0050】なお、本実施例では、電解浴温度430℃
で電解メッキを行った。これは、上記組成の電解浴の融
点が360℃であるため、少なくとも400℃以上で電
解メッキを行うことが必要であるからである。ただし、
電解浴温度が600℃を越えると、電解浴中の塩化アル
ミニウムが激しく蒸発し、電解浴の組成が大きく変化し
てしまうため、600℃以下で行うことが望ましい。
【0051】実施例3 グラファイト製るつぼを備えた石英製電解槽を作成し、
グラファイト製るつぼに収容された下記の組成の電解浴
中に、アルミニウムに銅合金を鋳込んだ陽極と、被メッ
キ材である陰極として、TiAl合金板(50×50×
1mm)を対向させて配置した。なお、TiAl合金板
は、脱脂した後、室温で減圧乾燥したものを用いた。
【0052】電解浴組成 AlCl 2% NaCl 49% KCl 49% なお、電解浴中には、イオン濃度50〜5000ppm
のCrClを添加した。
【0053】このような電解槽を用いて、電解浴を0.
1m/秒の攪拌速度で攪拌しつつ、通電気量2000ク
ーロン/cm、電解浴温度750℃で、種々の電流密
度で電解メッキを行った。得られたメッキ皮膜の組成
(電析物組成)およびメッキ皮膜の外観について、下記
表3にまとめた。
【0054】
【表3】
【0055】上記表3から明らかなように、電流密度を
種々変化させることにより、種々の組成のCr−Al合
金からなるメッキ皮膜を得ることが出来た。特に、Al
の組成が10%を越える場合には、ほぼ平滑な外観を有
する優れたCr−Al合金皮膜が得られた。
【0056】なお、本実施例では、塩化物の溶融塩から
なる電解浴を用いたが、フッ化物と塩化物の混合溶融塩
からなる電解浴を用いても、同様に、光沢のある平滑な
メッキ皮膜を得ることが出来る。この場合、石英の電解
槽では、電解槽自身がフッ化物により侵食されるため、
石英電解槽と同サイズのグラファイト製の電解槽を用い
ることが望ましい。
【0057】また、本実施例では、電解浴温度750℃
で電解メッキを行った。これは、上記組成の電解浴の融
点が650℃付近であるため、少なくとも700℃以上
で電解メッキを行うことが必要であるからである。ただ
し、電解浴温度が800℃を越えると、電解浴中の塩化
アルミニウムが激しく蒸発し、電解浴の組成が大きく変
化してしまうため、電解メッキ処理に際しては、電解浴
の組成の変化に配慮することが必要である。
【0058】実施例4皮膜組成を変えたことを除いて実施例1と同様の方法で
得られたCr−Al合金皮膜を有する金属部材(TiA
l合金)を、大気中、900℃で175時間保持し、前
後の重量を測定し、酸化増量を求めた。なお、比較例と
して、無処理のTiAl合金についても同様に酸化増量
を求めた。その結果を下記表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】上記表4から、無処理のTiAl合金は、
酸化増量が極めて大きいが、本発明の実施例に係るメッ
キ処理したTiAl合金は、酸化増量が著しく低下して
おり、特にWを添加(TiAl合金表面にW皮膜を形
成)したものは、一層、酸化増量が少ないことがわか
る。
【0061】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よると、金属基体の表面にCr−Al系合金が溶融塩電
解メッキされているため、部材の高温比強度を維持しつ
つ、部材表面の耐酸化性を向上させることが可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 俊明 北海道札幌市豊平区平岸1条7丁目1− 1 東急アルス平岸404 (72)発明者 上田 幹人 北海道石狩市樽川9条1丁目52番地 (72)発明者 林 重成 北海道札幌市中央区大通西18丁目1−36 インフィニート大通801 (72)発明者 泉 岳志 北海道江別市大麻北町511−95 (72)発明者 嶋村 清隆 北海道札幌市西区発寒13条12丁目2番15 号 札幌エレクトロプレイティング工業 株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−157891(JP,A) 特公 平6−31465(JP,B2) 特公 昭53−1212(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 3/66 C25D 7/00 F01D 5/28 C22C 21/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属基体表面に、Crを主体とし、Al、
    およびAl以外の金属元素の少なくとも1種を含む多元
    系Cr基合金からなる耐高温酸化性に優れた皮膜を、溶
    融電解メッキ法により被着してなることを特徴とする耐
    熱性金属部材。
  2. 【請求項2】前記金属基体は、Ti−Al系合金であ
    り、Mo、Ta、W、Zr、Y、およびCeからなる群
    から選択された少なくとも1種の添加元素を含有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の耐熱性金属部材。
  3. 【請求項3】前記Al以外の金属元素は、前記金属基体
    を構成する金属と前記皮膜を構成する金属との反応を抑
    制する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の
    耐熱性金属部材。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の耐熱性金属部材を製造す
    る方法であって、50〜65mol%の塩化アルミニウ
    ム、10〜30mol%の塩化ナトリウム、5〜25m
    ol%の塩化カリウム、0.5〜2mol%の塩化クロ
    ム、および0.01〜1mol%の塩化モリブデン、塩
    化タングステン、塩化タンタル、塩化ジルコニウム、塩
    化セリウムおよび塩化イットリウムからなる群から選ば
    れた少なくとも1種を含む電解浴を用い、150〜20
    0℃の温度で、 Mo、Ta、W、Zr、Y、およびC
    eからなる群から選択された少なくとも1種の添加元素
    を含有するTi−Al系合金からなる金属基体表面に、
    耐高温酸化性に優れた皮膜を溶融塩電解メッキ法により
    被着することを特徴とする耐熱性金属部材の製造方法。
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