以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。本実施形態に係る画像形成装置は、4色フルカラーの画像を形成するものであり、図1に示すように、転写ベルト10の走行方向(図中矢印A方向)に沿って配置された4つの画像形成ユニット1a,1b,1c,1dを備える。
画像形成ユニット1aは、像担持体としての感光ドラム2aと、ドラム帯電器3aと、露光装置4aと、現像器5aと、転写器6aと、クリーニング装置7aとを備えて構成されている。画像形成ユニット1b〜1dも、画像形成ユニット1aと同様に、感光ドラム2b〜2d、ドラム帯電器3b〜3d、露光装置4b〜4d、現像器5b〜5d、転写器6b〜6d、クリーニング装置7b〜7dを備えて構成されている。画像形成ユニット1a〜1dは、例えば、画像形成ユニット1aがイエロー、画像形成ユニット1bがマゼンダ、画像形成ユニット1cがシアン、画像形成ユニット1dがブラック、とそれぞれ異なる色の画像を形成する。
感光ドラム2aは、画像形成時に図中矢印B方向に回転を始め、画像形成動作が終了するまで回転を続ける。感光ドラム2aが回転を開始すると、ドラム帯電器3aに高電圧が印加され、感光ドラム2aの表面に負の電荷が均一に帯電される。その後、帯電された感光ドラム2aの表面に、露光装置4aから画像データに応じてレーザ光が照射され、感光ドラム2aに画像データに応じた静電潜像が形成される。そして、感光ドラム2aの回転により静電潜像が形成された部分が現像器5aと対向する位置に到達すると、現像器5aから負電荷に帯電したトナーが静電潜像へと引き付けられ、静電潜像がトナーにより現像されて感光ドラム2a上にトナー像が形成される。
感光ドラム2a上に形成されたトナー像は、転写ベルト10を挟んで転写器6aと対向する位置に到達すると、転写器6aに印加された高電圧の作用によって転写ベルト10側に引きつけられ、図中矢印A方向に移動している転写ベルト10上に転写(一次転写)される。なお、転写ベルト10に転写されずに感光ドラム2a上に残留したトナーは、クリーニング装置7aにより清掃される。
画像形成ユニット1aに続いて画像形成ユニット1bでも同様に画像形成動作が行われ、感光ドラム2b上に形成されたトナー像が、転写器6bに印加された高電圧の作用により転写ベルト10上に転写(一次転写)される。このとき、感光ドラム2b上に形成されたトナー像が転写器6bと対向する位置に到達するタイミングが、感光ドラム2aから転写ベルト10上に転写されたトナー像が転写ベルト10の移動により転写器6bの位置に到達するタイミングに合うように制御されることで、感光ドラム2aから転写されたトナー像と感光ドラム2bから転写されたトナー像とが転写ベルト10上で重ね合わされる。
同様に、画像形成ユニット1cの感光ドラム2c上に形成されたトナー像と、画像形成ユニット1dの感光ドラム2d上に形成されたトナー像が順次転写ベルト10上に転写されることにより、転写ベルト10上にはフルカラーのトナー像が形成されることになる。
一方、本実施形態に係る画像形成装置において、記録媒体として用いる用紙8の搬送経路には、用紙8を保持する給紙トレイ104と、レジスト部用紙シフト装置(図1では図示せず)と、用紙転写器9と、定着装置11とが設けられている。
給紙トレイ104から給紙された用紙8は図中矢印C方向に搬送され、レジスト部用紙シフト装置にて一旦待機する。そして、転写ベルト10上に形成されたフルカラーのトナー像が転写ベルト10の移動により用紙転写器9と対向する位置に到達するタイミングで、レジスト部用紙シフト装置にて一旦待機した用紙8が用紙転写器9の位置に送り出されることにより、用紙転写器9に印加された高電圧の作用によって転写ベルト10上に形成されたフルカラーのトナー像が用紙8上に転写(二次転写)される。なお、用紙8に転写されずに転写ベルト10上に残留したトナーは、ベルト清掃機構12によって清掃される。
フルカラーのトナー像が転写された用紙8は、定着装置11へと搬送される。定着装置11は、加圧ローラ11aと、定着ローラ11bと、定着ベルト11cと、加熱ローラ11dとを備え、加圧ローラ11aと定着ローラ11bとの間に形成されるニップ部に用紙8を引き込んで加圧しながら搬送する過程で、加熱ローラ11dから定着ベルト11cに伝達された熱で用紙8上のトナー像を加熱溶融し、用紙8に定着させる。この定着装置11によるトナー像の定着が行われた用紙8は、図示しない排紙トレイ上に印刷物として排出される。
図2は、用紙8の搬送経路に設けられたレジスト部シフト装置の概略構成を示す図であり、(a)はレジスト部シフト装置及びその周辺機構の側面図、(b)はレジスト部シフト装置及びその周辺機構の平面図である。レジスト部用紙シフト装置は、給紙トレイ104から給紙されて搬送された用紙8の先端の位置決めを行うゲート手段13と、用紙搬送経路におけるゲート手段13の上流側に配置された搬送ローラ対15及びレジストローラ対16と、用紙搬送経路におけるゲート手段13の下流側に配置された横位置検知センサ17、タイミングローラ18及び搬送ベルト19を備える。ここで、ゲート手段13及びレジストローラ対16は、横ずれ補正手段であるシフトユニット40内に配置され、レジストローラ対16は、用紙搬送方向と直交する方向である横方向26に沿って移動できるように構成されている。
ゲート手段13は、搬送された用紙8を通過させる開位置と、用紙8の先端に干渉して用紙8の位置決めを行う閉位置とに駆動される。また、レジストローラ対16、搬送ローラ対15はそれぞれ図示しない駆動手段により2つのローラ部材が回動自在かつ接離自在(離間、当接又は圧接自在)に構成されている。すなわち、2つのローラ部材は、搬送経路上の用紙8をその厚さ方向に挟むように配置され、用紙8を搬送する接触位置、用紙8から離間する離間位置に駆動される。なお、ゲート手段13は、レジストローラ対16が離間しているときに閉じる構成になっている。
横位置検知センサ17は、用紙の搬送経路においてゲート手段13と用紙転写器9との間に配置されている。この横位置検知センサ17は、用紙転写器9へと搬送される用紙8の横方向端縁の位置を検知する。シフトユニット40は、この横位置検知センサ17が検知した用紙8の横方向端縁の位置の基準位置24に対するずれを補正すべく、用紙8を横方向26へと移動させる。
給紙トレイ104から給紙された用紙8は、搬送ローラ対15等によりゲート手段13に向かって規定の速度V1にて図中矢印C方向に搬送される。搬送された用紙8はその先端がゲート手段13に突き当たり、突き当たった状態から搬送ローラ対15により用紙8の後端側は下流側に送り込まれるので(過剰送り)、用紙8に撓みが形成される。ゲート手段13へ突き当てた状態での過剰送りにより、用紙8の斜めずれが補正される。この状態でレジストローラ対16を閉じて用紙を圧接することで、用紙8の先端はゲート手段13の位置で位置決めされる。
続いて、ゲート手段13が用紙8の搬送経路から退避すべく開位置に移動する。また、搬送ローラ対15が用紙8から離間することで、用紙8は真っ直ぐの状態に戻る。すなわち、レジストローラ対16の上流側の用紙位置ずれも修正される。
その状態から転写ベルト10の移動によって運ばれてくるトナー像にタイミングを合わせて、レジストローラ対16が所定のタイミング、すなわち、転写ベルト10上のトナー像のベルト回転方向先端と用紙8の搬送方向先端部の所定位置とが一致するタイミングで用紙8が図中矢印C方向に規定の速度で搬送される。このとき、シフトユニット40に取り付けられたレジストローラ対16が横方向26に移動され、用紙8の横方向端縁が基準位置24に一致するように、用紙8を横方向26に移動させる。基準位置24に移動された用紙8は、搬送ベルト19によって、図中破線で示す走行ラインDを通って定着装置11へと搬送される。
なお、本実施形態に係る画像形成装置では、後述するように、定着装置11の定着ベルト11cの局所的な摩耗を低減するために、シフトユニット40による用紙8の補正後の目標位置となる基準位置24を周期的にシフトさせることで、用紙8の走行ラインDを横方向26に変位させ、用紙8の横方向端縁が定着装置11のニップ部に突入する位置を分散させるようにしている。
図3は、シフトユニット40の構成及び動作を示す模式図である。シフトユニット40は、前記レジストローラ対16が配置された基板41と、シフト制御部(図示せず)による制御のもとで回転駆動されるカム42と、このカム42に基板41を押し付けるスプリング43と、カム42の回動位置を検出するカム位置検出器44と、カム位置検出器44の位置検出用の切り込み部が形成されてカム42と一体に回転する位置検出用板部材45とを備える。
シフトユニット40では、横位置検知センサ17により検知された用紙8の横方向端縁位置の前記基準位置24に対するずれ量に応じて、シフト制御部による制御のもとでカム42が図中CW方向(図3(c)参照)または図中CCW方向(図3(b)参照)に回転操作される。これにより、基板41がホームポジション46から移動して、用紙8を横方向26のオペレータ側、反オペレータ側(図中OP側、反OP側)に移動させる。
本実施形態に係る画像形成装置において、シフトユニット40は、横位置検知センサ17からの信号に基づいてカム42を回転させて用紙8を横方向26に移動させ、用紙8の横方向端縁位置の基準位置24に対するずれ量を補正するほか、定着装置11の定着ベルト11cの局所的な摩耗を低減するために、補正後の目標位置となる基準位置24を横方向26に周期的にシフトさせ、補正後の用紙8の横位置を周期的にシフトさせる。なお、この基準位置24の周期的なシフトにより、用紙転写器9の位置を通過する用紙8の横位置が周期的にシフトすることになるが、この基準位置24の周期的なシフトに合わせて、上述した露光装置4a〜4dを制御する露光制御部(図示せず)にもシフト指令が入力され、露光装置4a〜4dが、用紙8の横位置のシフト量に相当する分だけ感光ドラム2a〜2dへの露光位置を横方向に移動させるため、転写ベルト10上に形成されるフルカラーのトナー像と、用紙転写器9の位置を通過する用紙8のそれぞれの横位置を合わせることができる。
ここで、基準位置24をシフトさせるシフトパターンの具体例について説明する。図4乃至図6はシフトパターンの具体例を説明するものであり、各図の(a)はシフトパターンを示す模式図、(b)は(a)のシフトパターンを採用した場合に想定される定着ベルト11c摩耗の状態を示す模式図である。
第1の例は、図4(a)に示すように、シフト幅が所定幅まで暫時減少するシフトパターンに従って基準位置24をシフトさせたものである。この場合、用紙8の横方向端縁が通過する定着装置11のニップ部における位置が、図4(a)のシフトパターンに従って分散されるので、定着ベルト11cの表面100における摩耗個所101は、図4(b)に示すように略台形となる。したがって、この例では、摩耗個所101と摩耗が発生しない個所との境界で境界が目立たなくなるほか、台形をなす摩耗個所101の狭辺部分も摩耗が大きくならず、さらに斜辺と狭辺との間に段差が発生しない。このため、定着むらの発生を極めて有効に防止することができる。
第2の例は、図5(a)に示すように、シフト幅が暫時減少するシフトパターンに従って基準位置24をシフトさせたものである。この場合、用紙8の横方向端縁が通過する定着装置11のニップ部における位置が、図5(a)のシフトパターンに従って分散されるので、定着ベルト11cの表面100における摩耗個所102は、図5(b)に示すように略三角形となる。したがって、この例では、摩耗個所102と摩耗が発生しない個所との境界で境界が目立たなくなるが、三角形をなす摩耗個所102の頂点付近の部分は用紙8端縁部の通過回数が増すため比較的摩耗が大きくなる。
第3の例は、図6(a)に示すように、基準位置24を同一幅のシフトパターンで複数回シフトさせたものである。この場合、用紙8の横方向端縁が通過する定着装置11のニップ部における位置が、図6(a)のシフトパターンに従って分散されるので、定着ベルト11cの表面100における摩耗個所103は、図6(b)に示すように略矩形となる。したがって、この例では、全体として摩耗量が抑えられるものの、摩耗個所103と摩耗が発生しない個所との境界で段差が発生する。
ところで、以上のようなシフトユニット40により用紙8を横方向に移動させることができる範囲は、カム42の作用による基板41の可動範囲となる。ここで、本実施形態で用いるシフトユニット40では、カム42の作用による基板41の可動範囲、つまり、用紙8を横方向に移動できる範囲が、例えば±5mmとされており、そのうち、本来の機能である横位置のずれの補正に±4mmを使用し、残りの±1mmの範囲で基準位置24(補正後の用紙8の横位置)を周期的にシフトさせるようにしている。このため、用紙8の横方向端縁が通過する定着装置11のニップ部における位置を分散できる範囲がごく僅かな範囲に限られてしまい、このシフトユニット40による基準位置24の周期的なシフトだけでは、定着装置11の定着ベルト11cの摩耗を十分に低減させることが難しい。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置では、給紙トレイ104から給紙される段階で用紙8の横位置を変化させることで、用紙8の横方向端縁が通過する定着装置11のニップ部における位置を広範囲に分散できるようにして、定着装置11の定着ベルト11cの摩耗を十分に低減し、定着ベルト11cの寿命を向上させることができるようにしている。特に本実施形態では、給紙トレイ104が保持する用紙8を横方向に移動させる横移動機構を給紙トレイ104に設け、所定のタイミングごと、具体的には例えば給紙トレイ104から所定枚数の用紙8が給紙されるごとに横移動機構を作動させて、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させるようにしている。
なお、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させることにより、用紙転写器9の位置を通過する用紙8の横位置が変化することになるが、この給紙段階で用紙8の横位置を変化させたときに、上述した露光装置4a〜4dを制御する露光制御部(図示せず)に用紙横位置の情報が入力され、露光装置4a〜4dが、用紙8の横位置の変化量に相当する分だけ感光ドラム2a〜2dへの露光位置を横方向に移動させるため、転写ベルト10上に形成されるフルカラーのトナー像と、用紙転写器9の位置を通過する用紙8のそれぞれの横位置を合わせることができる。
図7は、給紙トレイ104の横移動機構の具体例を示す図である。給紙トレイ104は、用紙8を保持する給紙台105を備える。給紙台105は、用紙8が積載される給紙底板106と、この給紙底板106に対して略直角に立設され、用紙8の横方向の両端部を揃えるサイドガイド板115と、給紙底板106を支持する給紙台側板105a,105b及び給紙台底板116から構成される。この給紙台105は、給紙トレイ104の側板104a,104b間に設けられたガイド軸114に対して給紙台側板105a,105bが挿通され、このガイド軸114に沿って用紙8の搬送方向に直交する横方向26に摺動可能に支持されている。
給紙台105の給紙台底板116上には、モータ117が配置されている。モータ117のモータ軸118には、ジョイント部119を介して、モータ軸118と同軸のボールネジ120の一端が連結されている。ボールネジ120の他端には、スリット円盤128がボールネジ120と一体に回転するよう設けられている。ボールネジ120の両端部は、給紙台底板116上に固定されているコの字型の支持板127により軸受されている。
ボールネジ120のネジ部には、一つの面を給紙トレイ104の不動の底板上に固定された略L字状のブラケット129が螺合されている。したがって、モータ117の駆動によりボールネジ120が不動のブラケット129に対して回転すると、給紙台105がガイド軸114に沿って横方向26へ移動し、給紙台105に保持された用紙8が横方向26に移動する。これにより、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させることができる。
スリット円盤128には、図示しない複数のスリットが等間隔に放射状に設けられている。また、スリット円盤128のスリットに対向する位置には、スリットの数を数えるスリットセンサ130が配置されている。このスリットセンサ130は、計数したスリットの数に応じたパルスを出力する。したがって、このスリットセンサ130からの出力パルスをもとに給紙台105の横方向26における位置(用紙8の横位置)を検知することができる。なお、モータ117にステッピングモータを用いる場合には、スリット円盤128やスリットセンサ130を設けることなく、給紙台105の横方向26における位置を検知することが可能となる。
給紙台底板116の下面には、給紙台105の横方向26における位置を確認するための給紙台基準位置指示板107が設けられ、この給紙台基準位置指示板107と対向する給紙トレイ104の底板上の位置に給紙台基準位置センサ108が設けられている。給紙台基準位置指示板107と給紙台基準位置センサ108が重なる位置を、給紙台105のホームポジションとする。給紙台105がホームポジションにあるとき、用紙8は搬送経路中央に給紙される。
図8は、給紙トレイ104の横移動機構を駆動制御する制御系の構成を示すブロック図である。この制御系は、制御部200、不揮発性メモリ201、用紙検知センサ202、モータ117及びスリットセンサ130により構成される。また、制御部200は、上述した露光装置4a〜4dを制御する露光制御部203、レジスト部シフト装置のシフトユニット40の動作を制御するシフト制御部204に接続されている。なお、制御部200は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成され、CPUがRAMをワークエリアとして利用してROMに格納された制御プログラムを実行することによって、給紙トレイ104の横移動機構を駆動制御する。
不揮発性メモリ201には、給紙トレイ104の横移動機構を駆動制御するための設定情報が格納されている。ここで、設定情報には、給紙台105の初期位置や移動後の位置、移動周期が含まれる。具体的には、不揮発性メモリ201には、例えば以下のような情報が設定情報として格納されている。
・給紙台初期位置:ホームポジション
・移動1回目の位置:ホームポジションから反オペレータ側に2mm横移動した位置(−2mm)
・移動2回目の位置:ホームポジションからオペレータ側に2mm横移動した位置(+2mm)
・給紙台移動周期:給紙枚数500枚ごと
なお、これらの設定情報は、予め規定値として定めて不揮発性メモリ201に格納するようにしてもよいし、画像形成装置を使用するユーザがオペレーションパネルなどの入力手段を用いて入力できるようにし、ユーザにより入力された設定情報を不揮発性メモリ201に格納するようにしてもよい。
用紙検知センサ202は、給紙トレイ104から給紙されて搬送経路を搬送される用紙8の通過を検知して検知信号を制御部200に出力するものであり、用紙8の搬送経路におけるいずれかの位置に設置される。なお、上述したレジスト部シフト装置の横位置検知センサ17を用紙検知センサ202として利用し、横位置検知センサ17の検知信号を制御部200に入力するようにしてもよい。
制御部200は、画像形成装置による印刷ジョブの開始に先立って、不揮発性メモリ201から上記の設定情報を読み出して、給紙台105の初期位置、移動後の位置(移動1回目の位置及び移動2回目の位置)、給紙台105の移動周期を設定する。そして、印刷ジョブが開始されると、用紙検知センサ202の検知信号に基づいて給紙トレイ104から給紙された用紙8の枚数をカウントし、給紙トレイ104からの給紙枚数が給紙台105の移動周期として設定されている所定枚数(例えば500枚)に達するごとに、給紙トレイ104からの給紙を一旦停止させる。そして、スリットセンサ130からの出力パルスに応じてモータ117を駆動制御することで、給紙トレイ104の給紙台105を、移動後の位置として設定されている位置へと移動させる。
具体的には、例えば、移動1回目の位置が−2mm、移動2回目の位置が+2mmに設定されている場合、制御部200は、1回目の移動は給紙台105をホームポジションから反オペレータ側に2mmの位置に横移動させ、2回目の移動は給紙台105をホームポジションからオペレータ側に2mmの位置に横移動させ、3回目の移動は給紙台105をホームポジションに戻す。そして、その後は所定枚数の給紙が行われるたびに、上記の給紙台105の横移動を繰り返す。これにより、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置が所定枚数の給紙が行われるごとに変化することになる。
また、制御部200は、給紙台105を横移動させて給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させた際に、移動後の給紙台105の位置に応じた用紙8の横位置の情報を、露光制御部203及びシフト制御部204に出力する。これにより、露光装置4a〜4dが、露光制御部203の制御に従って用紙8の横位置の変化量に相当する分だけ感光ドラム2a〜2dへの露光位置を横方向に移動させ、転写ベルト10上に形成されるフルカラーのトナー像と、用紙転写器9の位置を通過する用紙のそれぞれの横位置を合わせることができる。また、シフトユニット40では、シフト制御部204によって、用紙8の横位置の変化量に相当する分だけ横方向に移動した位置に上記の基準位置24が設定され、この基準位置24に対する用紙8の横方向端縁の位置ずれ補正や基準位置24の周期的なシフトが実施される。
図9は、本実施形態に係る画像形成装置において印刷ジョブを実行する際に、制御部200により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。以下、この図9のフローチャートに沿って動作を説明する。
図9のフローが開始されると、制御部200は、まず不揮発性メモリ201から設定情報を読み出して、給紙台105の初期位置や移動後の位置、給紙台105の移動周期を設定する(ステップS101)。そして、制御部200は、モータ117を駆動制御して、設定した初期位置に給紙台105を移動させる(ステップS102)。
次に、制御部200は、露光制御部203及びシフト制御部204に対して、現在の給紙台105の位置に応じた用紙8の横位置の情報を出力する(ステップS103)。そして、制御部200は、給紙トレイ104からの用紙8の給紙を開始させる(ステップS104)。この給紙開始とともに画像形成ユニット1a〜1dによるトナー像の形成、レジスト部シフト装置のシフトユニット40による用紙8の位置調整、用紙転写器9での用紙8へのトナー像の転写、定着装置11でのトナー像の定着、排紙トレイへの印刷物の排出といった一連の印刷動作が行われる。このとき、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置の情報が露光制御部203及びシフト制御部204に伝達されている。このため、用紙8へのトナー像の位置合わせ、シフトユニット40での用紙8の横方向端縁の位置ずれ補正や基準位置24の周期的なシフトは、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置に合わせて適切に実施されることになる。
給紙トレイ104から用紙8の給紙が行われると、制御部200は、用紙検知センサ202の検知信号に基づいて給紙トレイ104からの給紙枚数をカウントする(ステップS105)。そして、制御部200は、印刷が終了するまでの間(ステップS106:No)、ステップS105でカウントした給紙枚数が、ステップS101で給紙台105の移動周期として設定した所定枚数に達したかどうかを判定し(ステップS107)、給紙枚数が所定枚数に達していなければ(ステップS107:No)、ステップS104に戻って給紙トレイ104からの給紙及び給紙枚数のカウントを継続する。
一方、給紙枚数が所定枚数に達した場合には(ステップS107:Yes)、制御部200は、給紙トレイ104からの用紙8の給紙を一旦停止させ(ステップS108)、スリットセンサ130からの出力パルスに応じてモータ117を駆動制御して、給紙台105をステップS101で設定した移動後の位置に移動させ(ステップS109)、給紙台105に保持された用紙8の横位置を変化させる。そして、制御部200は、給紙枚数をカウントするカウンタの値をリセットし(ステップS110)、ステップS103に戻って移動後の給紙台105の位置に応じた用紙8の横位置の情報を露光制御部203及びシフト制御部204に対して出力し、給紙トレイ104からの用紙8の給紙を再開させる(ステップS104)。
その後、制御部200は、印刷が終了するまでの間(ステップS106:No)は上述した処理を繰り返し、印刷が終了した段階で(ステップS106:Yes)、一連の処理を終了する。
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置では、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させることによって、用紙8の横方向端縁が通過する定着装置11のニップ部における位置を広範囲に分散させて、定着装置11の定着ベルト11cの摩耗を十分に低減できるようにしている。ここで、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置変化量は、シフトユニット40による用紙8の横位置シフト量との兼ね合いで、排紙トレイに排出される印刷物の整列性が最も良好となる値に設定することが望ましい。本実施形態に係る画像形成装置では、上述したように、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させるとともに、レジスト部シフト装置のシフトユニット40により例えば±1mm(=2mm)の範囲で用紙8の横位置を周期的にシフトさせることで、定着ベルト11cの摩耗低減を図っている。給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置変化量は、このシフトユニット40による用紙8の横位置シフト量に合わせて2mmに設定することが望ましい。
図10は、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置変化量の最適値を説明する図であり、(a)は給紙枚数が所定枚数に達したときに用紙8の横位置を初期位置から4mm移動させたときの定着ベルト11cの磨耗状態を示し、(b)は給紙枚数が所定枚数に達したときに用紙8の横位置を初期位置から2mm移動させたときの定着ベルト11cの磨耗状態を示している。なお、シフトユニット40は、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を中心として、±1mm(=2mm)の範囲で用紙横位置を周期的にシフトさせている。
図10(a)に示す定着ベルト11cの磨耗状態と、図10(b)に示す定着ベルト11cの磨耗状態とを比較すると、いずれも定着ベルト11cの磨耗量は同一のため、定着ベルト11cの寿命は同一である。しかしながら、図10(a)では用紙8の横方向端縁が通過することによる定着ベルト11cの摩耗箇所が最大で6mmの範囲に広がっているのに対し、図10(b)では用紙8の横方向端縁が通過することによる定着ベルト11cの摩耗箇所が最大で4mmの範囲に抑えられている。定着ベルト11cの摩耗箇所の範囲、つまり用紙8の横方向端縁が通過する範囲が小さいほど、排紙トレイに排出される印刷物の整列性が向上する。このため、シフトユニット40による用紙横位置の周期的なシフト量が±1mm(=2mm)の場合、図10(b)の例のように、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置変化量の最適値は2mmとなる。言い換えると、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置変化量を、シフトユニット40による用紙横位置の周期的なシフト量と略等しくすることで、定着ベルト11cの寿命を延ばしながら、排紙トレイに排出される印刷物の整列性の低下を最小限に抑えることができる。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、用紙8を保持する給紙台105を横方向に移動させる機構を給紙トレイ104に設け、制御部200が、給紙トレイ104から所定枚数の用紙8が給紙されるごとにモータ117を駆動制御して給紙台105を横方向に移動させ、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させるようにしている。したがって、この画像形成装置によれば、用紙8の横方向端縁が通過する定着装置11のニップ部における位置を広範囲に分散させることができ、定着装置11の定着ベルト11cの摩耗を十分に低減して、定着ベルト11cの寿命を向上させることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させるとともに、レジスト部シフト装置のシフトユニット40により例えば±1mmの範囲で用紙8の横位置を周期的にシフトさせることで、定着ベルト11cの摩耗低減を図るようにしているので、定着装置11の定着ベルト11cの摩耗を極めて効果的に低減することができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置変化量を、シフトユニット40による用紙横位置の周期的なシフト量と略等しくすることにより、定着ベルト11cの寿命を延ばしながら、排紙トレイに排出される印刷物の整列性の低下を最小限に抑えることができる。
なお、上記の実施形態では、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させるタイミングを、予め給紙台移動周期として設定された所定枚数(例えば500枚)の給紙が行われたタイミングとしている。これに対し、実行される印刷ジョブのページ数に応じて、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させるタイミングを決定するようにしてもよい。すなわち、実行される印刷ジョブのページ数を、給紙台105の初期位置及び移動後の位置の総数で除算した枚数の給紙が行われるごとに、給紙台105を横方向に移動させて、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させる。例えば、上記の例では給紙台105の初期位置及び移動後の位置の総数が3(初期位置、移動1回目の位置、移動2回目の位置)であるので、印刷ジョブのページ数が30枚であれば、給紙トレイ104からの給紙枚数が10枚になるごとに、給紙台105を横方向に移動させて、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させる。これにより、印刷ジョブごとのページ数の違いの影響を受けずに、定着ベルト11cの磨耗量を均一化することができる。
また、上記の実施形態では、印刷ジョブが実行される際に、所定のタイミングで給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させる制御を必ず実施するようにしている。しかし、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させる制御を実施すると、排紙トレイに排出される印刷物の整列性が多少なりとも低下することになる。ここで、実行する印刷ジョブが印刷後のパンチ穴あけ処理やステープル処理などの後処理を含む場合は、排紙トレイに排出された印刷物の整列性が低下していると、後処理を行う前に印刷物を揃える処理を行う必要が生じ、煩雑となる。そこで、実行する印刷ジョブが後処理を含むジョブであるか否かを判定し、後処理を含むジョブである場合には給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を固定とし、実行する印刷ジョブが後処理を含まない場合にのみ、所定のタイミングで給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させる制御を実施するようにしてもよい。これにより、定着ベルト11cの摩耗低減を図りながら、後処理が必要な場合には排紙トレイに排出された印刷物の整列性を高めて、印刷物を揃える処理などを不要とすることができる。
また、所定のタイミングで給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させる制御を実施するモード(定着部摩耗低減優先モード)と、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を固定とするモード(排紙整列性優先モード)とを画像形成装置の動作モードとして予め定めておき、ユーザがこれら2つの動作モードのいずれかを選択できるようにしてもよい。具体的には、例えば、画像形成装置のオペレーションパネルに動作モードの設定を行う画面を表示し、この画面上でユーザが定着部摩耗低減優先モードと排紙整列性優先モードのいずれかを選択できるようにする。そして、ユーザがオペレーションパネルの画面上で定着部摩耗低減優先モードと排紙整列性優先モードのいずれかを選択する操作入力を行ったときにその操作入力を受け付けて、ユーザの操作に応じて動作モードを設定する。定着部摩耗低減優先モードが設定された場合には、所定のタイミングで給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させる制御を実施する。また、排紙整列性優先モードが設定された場合には給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を固定とする。これにより、ユーザの意向に沿って動作モードを設定し、印刷物の整列性が重視される印刷の場合は整列性を高め、印刷物の整列性が特に問題とならない印刷の場合は定着ベルト11cの摩耗低減を図って、定着ベルト11cの寿命を延ばすことができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る画像形成装置について説明する。本実施形態は、ユーザの操作によって給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させることを前提とし、この用紙8の横位置を変化させるタイミングをユーザに提示するようにした例である。なお、画像形成装置の基本的な構成は第1の実施形態と共通しているため、以下では、第1の実施形態と共通の部分については同一の符号を付して重複した説明を省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
図11は、本実施形態に係る画像形成装置が備える給紙トレイ104の横移動機構の具体例を示す図である。給紙トレイ104は、用紙8を保持する給紙台105を備える。給紙台105は、用紙8が積載される給紙底板106と、この給紙底板106に対して略直角に立設され、用紙8の横方向の両端部を揃えるサイドガイド板115と、給紙底板106を支持する給紙台側板105a,105b及び給紙台底板116から構成される。この給紙台105は、給紙トレイ104の側板104a,104b間に設けられたガイド軸114に対して給紙台側板105a,105bが挿通され、このガイド軸114に沿って用紙8の搬送方向に直交する横方向26に摺動可能に支持されている。
給紙台105の給紙台底板116上には、ユーザが給紙トレイ104の外部から操作可能なノブ140が配置されている。ノブ140の軸部140aには、ジョイント部119を介して、軸部140aと同軸のボールネジ120の一端が連結されている。ボールネジ120の他端には、スリット円盤128がボールネジ120と一体に回転するよう設けられている。ボールネジ120の両端部は、給紙台底板116上に固定されているコの字型の支持板127により軸受されている。
ボールネジ120のネジ部には、一つの面を給紙トレイ104の不動の底板上に固定された略L字状のブラケット129が螺合されている。したがって、ユーザがノブ140を回転操作してボールネジ120が不動のブラケット129に対して回転すると、給紙台105がガイド軸114に沿って横方向26へ移動し、給紙台105に保持された用紙8が横方向26に移動する。これにより、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させることができる。
スリット円盤128には、図示しない複数のスリットが等間隔に放射状に設けられている。また、スリット円盤128のスリットに対向する位置には、スリットの数を数えるスリットセンサ130が配置されている。このスリットセンサ130は、計数したスリットの数に応じたパルスを出力する。したがって、このスリットセンサ130からの出力パルスをもとに給紙台105の横方向26における位置(用紙8の横位置)を検知することができる。
図12は、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させるタイミングをユーザに提示するための制御系の構成を示すブロック図である。この制御系は、制御部300、不揮発性メモリ301、用紙検知センサ202、オペレーションパネル302により構成される。また、制御部300は、上述した露光装置4a〜4dを制御する露光制御部203、レジスト部シフト装置のシフトユニット40の動作を制御するシフト制御部204に接続されている。
不揮発性メモリ301には、現在の給紙台105の位置情報、つまり給紙トレイ104から給紙される用紙8の現在の横位置の情報と、前回の印刷ジョブが終了した時点での累計の給紙枚数の情報とが記憶されている。
制御部300は、画像形成装置による印刷ジョブの開始に先立って、不揮発性メモリ301から現在の給紙台105の位置情報を読み出して、現在の給紙台105の位置に応じた用紙8の横位置の情報を、露光制御部203及びシフト制御部204に出力する。これにより、露光装置4a〜4dが、露光制御部203の制御に従って用紙8の横位置の変化量に相当する分だけ感光ドラム2a〜2dへの露光位置を横方向に移動させ、転写ベルト10上に形成されるフルカラーのトナー像と、用紙転写器9の位置を通過する用紙のそれぞれの横位置を合わせることができる。また、シフトユニット40では、シフト制御部204によって、用紙8の横位置の変化量に相当する分だけ横方向に移動した位置に上記の基準位置24が設定され、この基準位置24に対する用紙8の横方向端縁の位置ずれ補正や基準位置24の周期的なシフトが実施される。
また、制御部300は、不揮発性メモリ301から前回の印刷ジョブが終了した時点での累計の給紙枚数の情報を読み出して、前回の印刷ジョブが終了した時点での累計の給紙枚数の値をカウンタにセットする。そして、印刷ジョブが開始されると、用紙検知センサ202の検知信号に基づいて給紙トレイ104から給紙された用紙8の枚数をカウントし、累計の給紙枚数を更新していく。そして、印刷ジョブが終了した段階での累計の給紙枚数が所定枚数(例えば32000枚)以上となっていた場合は、上述した給紙トレイ104の横移動機構のノブ140を操作して給紙台105の位置、つまり、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させることをユーザに促す情報をオペレーションパネル302に表示させる。なお、このとき、上述した第1の実施形態と同様に給紙台105の移動後の位置を予め設定しておき、制御部300は、この設定した位置まで給紙台105が移動するように、ユーザの操作をガイドする情報をオペレーションパネル302に表示させるようにしてもよい。また、ユーザへの情報の提示は、オペレーションパネル302の表示に限らず、例えばスピーカからの音声出力など、他の方法により行うようにしてもよい。
図13は、本実施形態に係る画像形成装置において印刷ジョブを実行する際に、制御部300により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。以下、この図13のフローチャートに沿って動作を説明する。
図13のフローが開始されると、制御部300は、まず不揮発性メモリ301から、現在の給紙台105の位置情報と、前回の印刷ジョブが終了した時点での累計の給紙枚数の情報とを読み出す(ステップS201)。そして、制御部300は、露光制御部203及びシフト制御部204に対して、現在の給紙台105の位置に応じた用紙8の横位置の情報を出力するとともに(ステップS202)、累計の給紙枚数をカウンタにセットする(ステップS203)。
次に、制御部300は、給紙トレイ104からの用紙8の給紙を開始させる(ステップS204)。この給紙開始とともに画像形成ユニット1a〜1dによるトナー像の形成、レジスト部シフト装置のシフトユニット40による用紙8の位置調整、用紙転写器9での用紙8へのトナー像の転写、定着装置11でのトナー像の定着、排紙トレイへの印刷物の排出といった一連の印刷動作が行われるが、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置の情報が露光制御部203及びシフト制御部204に伝達されているため、用紙8へのトナー像の位置合わせ、シフトユニット40での用紙8の横方向端縁の位置ずれ補正や基準位置24の周期的なシフトは、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置に合わせて適切に実施されることになる。
給紙トレイ104から用紙8の給紙が行われると、制御部300は、印刷が終了するまでの間(ステップS206:No)、用紙検知センサ202の検知信号に基づいて給紙トレイ104から給紙された用紙8の枚数をカウントし(ステップS205)、累計の給紙枚数を更新していく。そして、制御部300は、印刷が終了(ステップS206:Yes)した段階でカウンタ値を確認し、累計の給紙枚数が所定枚数(例えば32000枚)以上となっているかどうかを判定する(ステップS207)。
ここで、累計の給紙枚数が所定枚数未満であれば(ステップS207:No)、制御部300は、カウンタで計数されている累計の給紙枚数を不揮発性メモリ301に書き込んで(ステップS208)、一連の処理を終了する。一方、累計の給紙枚数が所定枚数以上となっていれば(ステップS207:Yes)、給紙トレイ104の横移動機構のノブ140を操作して給紙台105の位置(給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置)を変化させることをユーザに促す情報をオペレーションパネル302に表示させる(ステップS209)。なお、このとき、制御部300は、給紙台105の移動後の位置として予め設定された位置まで給紙台105が移動するように、ユーザの操作をガイドする情報をオペレーションパネル302に表示させるようにしてもよい。
以上のような情報をオペレーションパネル302に表示した後、制御部300は、給紙台105の位置を変化させるユーザの操作がなされたかどうかを監視し(ステップS210)、ユーザ操作がなされた場合は(ステップS210:Yes)、累計の給紙枚数の値をクリアするとともに、移動後の給紙台105の位置情報を不揮発性メモリ301に書き込んで(ステップS211)、一連の処理を終了する。なお、移動後の給紙台105の位置は、上述したスリットセンサ130からの出力により確認することができる。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、ユーザの操作に応じて用紙8を保持する給紙台105を横方向に移動させる機構を給紙トレイ104に設け、累計の給紙枚数が所定枚数以上となったときに、制御部300が、給紙トレイ104の横移動機構のノブ140を操作して給紙台105の位置(給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置)を変化させることをユーザに促す情報をオペレーションパネル302に表示させるようにしている。したがって、この画像形成装置によれば、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置をユーザ操作により変化させて、用紙8の横方向端縁が通過する定着装置11のニップ部における位置を広範囲に分散させることができ、定着装置11の定着ベルト11cの摩耗を十分に低減して、定着ベルト11cの寿命を向上させることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、第1の実施形態に係る画像形成装置と同様に、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させるとともに、レジスト部シフト装置のシフトユニット40により例えば±1mmの範囲で用紙8の横位置を周期的にシフトさせることで、定着ベルト11cの摩耗低減を図るようにしているので、定着装置11の定着ベルト11cの摩耗を極めて効果的に低減することができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば制御部300がユーザ操作をガイドすることによって、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置変化量が、シフトユニット40による用紙横位置の周期的なシフト量と略等しくなるように給紙台105を移動させることにより、定着ベルト11cの寿命を延ばしながら、排紙トレイに排出される印刷物の整列性の低下を最小限に抑えることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る画像形成装置について説明する。本実施形態は、同一サイズの用紙8を保持する複数の給紙トレイ104を有し、これら複数の給紙トレイ104から用紙8を順次取り出して給紙する給紙装置を備えた構成において、各給紙トレイ104が互いに横位置が異なるように用紙8を保持するようにした例である。なお、画像形成装置の基本的な構成は第1の実施形態や第2の実施形態と共通しているため、以下では、第1の実施形態や第2の実施形態と共通の部分については同一の符号を付して重複した説明を省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
図14は、本実施形態に係る画像形成装置が備える給紙装置400の概略構成を示す図であり、図15は、複数の給紙トレイ104a〜104cによる用紙8の保持状態を用紙8の搬送方向に沿って見た様子を示す模式図である。なお、図14及び図15においては、給紙トレイ14の数が3つの場合を例示しているが、給紙トレイ104の数は2以上の任意の数とすることができる。
本実施形態に係る画像形成装置が備える給紙装置400は、図14に示すように、同一サイズの用紙8を保持する3つの給紙トレイ104a〜104cと、各給紙トレイ104a〜104cに対応したピックアップローラ401a〜401cと、各給紙トレイ104a〜104cに対応した給紙ローラ対402a〜402cとを備えている。この給紙装置400は、3つの給紙トレイ104a〜104cに保持されている同一サイズの用紙8を順次取り出して給紙する構成である。
具体的には、3つの給紙トレイ104a〜104cのうち、最も上段に配置されている給紙トレイ104aに用紙8が保持されている間は、この給紙トレイ104aに対応するピックアップローラ401a及び給紙ローラ対402aのみが作動する。この状態では、給紙トレイ104aからピックアップローラ401aによって取り出された用紙8が給紙ローラ対402aによって給紙され、トナー像の転写位置へと搬送される。その後、給紙トレイ104aに保持されていた用紙8が全て給紙されると、ピックアップローラ401a及び給紙ローラ対402aの作動が停止され、給紙トレイ104bに対応するピックアップローラ401b及び給紙ローラ対402bの作動が開始される。この状態では、給紙トレイ104bからピックアップローラ401bによって取り出された用紙8が給紙ローラ対402bによって給紙され、トナー像の転写位置へと搬送される。さらに、給紙トレイ104bに保持されていた用紙8が全て給紙されると、ピックアップローラ401b及び給紙ローラ対402bの作動が停止され、給紙トレイ104cに対応するピックアップローラ401c及び給紙ローラ対402cの作動が開始される。この状態では、給紙トレイ104bからピックアップローラ401cによって取り出された用紙8が給紙ローラ対402cによって給紙され、トナー像の転写位置へと搬送される。
3つの給紙トレイ104a〜104cには、図15に示すように、用紙8が積載される底板411a〜411cと、この底板411a〜411cに対して略直角に立設され、用紙8の横方向の両端部を揃える一対のサイドガイド板412a〜412cとがそれぞれ設けられている。そして、これら3つの給紙トレイ104a〜104cでは、サイドガイド板412a〜412cの位置が、給紙トレイごとに互いに異なる位置とされており、これにより、用紙8の横位置が給紙トレイごとに異なる位置とされている。具体的には、給紙トレイ104aが保持する用紙8の横位置P1に対して、給紙トレイ104bが保持する用紙8の横位置P2が図中左側にずれた位置となっており、また、給紙トレイ104cが保持する用紙8の横位置P3は図中右側にずれた位置となっている。
本実施形態に係る画像形成装置では、以上のような給紙装置400を備えることによって、給紙装置400により給紙される用紙8の横位置が、各給紙トレイ104a〜104cが保持する用紙8の枚数分の給紙が行われるたびに変化することとなる。なお、給紙装置400により給紙される用紙8の横位置は、例えば、ピックアップローラ401a〜401cのうち、どのピックアップローラが作動しているかを判定することにより特定できる。また、上述したレジスト部シフト装置に設けられた横位置検知センサ17の検知信号から、給紙装置400により給紙される用紙8の横位置を特定することも可能である。そして、第1の実施形態や第2の実施形態と同様に、給紙装置400により給紙される用紙8の横位置の情報を露光制御部203及びシフト制御部204に出力することにより、転写ベルト10上に形成されるフルカラーのトナー像と用紙転写器9の位置を通過する用紙のそれぞれの横位置を合わせることができ、また、シフトユニット40では、給紙装置400により給紙される用紙8の横位置を基準位置24として、基準位置24に対する用紙8の横方向端縁の位置ずれ補正や基準位置24の周期的なシフトを実施することができる。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態に係る画像形成装置では、給紙装置400の複数の給紙トレイ104a〜104cが同一サイズの用紙8を互いに横位置が異なるように保持しており、これら複数の給紙トレイ104a〜104cから用紙8を順次取り出して給紙するようにしている。したがって、この画像形成装置によれば、給紙装置400から給紙される用紙8の横位置を各給紙トレイ104a〜104cが保持する用紙8の枚数分の給紙が行われるたびに変化させて、用紙8の横方向端縁が通過する定着装置11のニップ部における位置を広範囲に分散させることができ、定着装置11の定着ベルト11cの摩耗を十分に低減して、定着ベルト11cの寿命を向上させることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、第1の実施形態や第2の実施形態に係る画像形成装置と同様に、給紙トレイ104から給紙される用紙8の横位置を変化させるとともに、レジスト部シフト装置のシフトユニット40により例えば±1mmの範囲で用紙8の横位置を周期的にシフトさせることで、定着ベルト11cの摩耗低減を図るようにしているので、定着装置11の定着ベルト11cの摩耗を極めて効果的に低減することができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、給紙装置400の各給紙トレイ104a〜104cに保持されている用紙8の横位置の差を、シフトユニット40による用紙横位置の周期的なシフト量と略等しくなるようしておくことで、定着ベルト11cの寿命を延ばしながら、排紙トレイに排出される印刷物の整列性の低下を最小限に抑えることができる。
以上、本発明の具体的な実施形態として第1乃至第3の実施形態を説明したが、本発明は、上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。例えば、上記の実施形態は、本発明を4色フルカラーの画像を形成するタンデム方式の画像形成装置に適用した例であるが、本発明は、搬送される記録媒体上にトナー像を転写して定着装置11でトナー像を定着させるあらゆる画像形成装置に対して有効に適用可能である。また、上記の実施形態では、ベルト定着方式の定着装置11を備える画像形成装置を例示したが、ローラ定着方式等、他の方式の定着装置を備える画像形成装置に対しても本発明は有効に適用可能である。