JP5444942B2 - 活物質の製造方法 - Google Patents

活物質の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5444942B2
JP5444942B2 JP2009194575A JP2009194575A JP5444942B2 JP 5444942 B2 JP5444942 B2 JP 5444942B2 JP 2009194575 A JP2009194575 A JP 2009194575A JP 2009194575 A JP2009194575 A JP 2009194575A JP 5444942 B2 JP5444942 B2 JP 5444942B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active material
mixture
livopo
source
lithium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009194575A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011048951A (ja
Inventor
篤史 佐野
佳太郎 大槻
陽輔 宮木
高橋  毅
章二 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2009194575A priority Critical patent/JP5444942B2/ja
Priority to US12/854,572 priority patent/US20110052473A1/en
Priority to CN2010102632402A priority patent/CN101997117A/zh
Publication of JP2011048951A publication Critical patent/JP2011048951A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5444942B2 publication Critical patent/JP5444942B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

本発明は、活物質の製造方法に関する。
従来、リチウムイオン二次電池の正極材料(正極活物質)としてLiCoOやLiNi1/3Mn1/3Co1/3等の層状化合物やLiMn等のスピネル化合物が用いられてきた。近年では、LiFePOに代表されるオリビン型構造の化合物が注目されている。オリビン構造を有する正極材料は高温での熱安定性が高く、安全性が高いことが知られている。しかし、LiFePOを用いたリチウムイオン二次電池は、その充放電電圧が3.5V程度と低く、エネルギー密度が低くなるという欠点を有する。そのため、高い充放電電圧を実現し得るリン酸系正極材料として、LiCoPO4やLiNiPO等が提案されている。しかし、これらの正極材料を用いたリチウムイオン二次電池においても、十分な容量が得られていないのが現状である。リン酸系正極材料の中でも4V級の充放電電圧を実現し得る化合物として、LiVOPOが知られている。しかし、LiVOPOを用いたリチウムイオン二次電池においても、十分な可逆容量やレート特性が得られていない。上記の正極材料は、例えば、下記特許文献1,2及び下記非特許文献1〜4に記載されている。なお、以下では、場合により、リチウムイオン二次電池を「電池」と記す。
特開2003−68304号公報 特開2004−303527号公報
J. Solid State Chem., 95, 352 (1991) N.Dupre et al.,Solid State Ionics,140,pp.209−221(2001) N.Dupre et al.,J. Power Sources,97−98,pp.532−534(2001) J. Baker et al. J. Electrochem. Soc., 151, A796 (2004)
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池の放電容量を向上させることが可能な活物質の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る活物質の製造方法は、リチウムイオン二次電池の正極用の活物質の製造方法であって、リチウム源とリン酸源とバナジウム源と水と還元剤とを含む混合物を加圧下で200〜300℃に加熱する水熱合成工程を備え、バナジウム源は、V 及びNH VO からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、活物質がLiVOPO を含む。そして、本発明では、水熱合成工程において加熱前の混合物に含まれるリン元素のモル数[P]と加熱前の混合物に含まれるバナジウム元素のモル数[V]との比[P]/[V]を0.9〜1.5に調整する。
上記本発明によればLiVOPOを得ることが可能となる。そして、本発明によって得られるLiVOPOを正極活物質として備えるリチウムイオン二次電池では、従来の製造方法によって得られるLiVOPOを用いたリチウムイオン二次電池に比べて、放電容量を向上させることが可能となる。
上記本発明では、加熱前の混合物に含まれるリチウム元素のモル数[Li]と[V]との比[Li]/[V]を0.9〜1.5に調整すればよい。なお、[Li]/[V]が1.5より大きい場合であっても、本発明の効果を奏することは可能である。
上記本発明では、リチウム源が、LiOH、LiCO、CHCOOLi及びLiPOからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらのリチウム源を用いて得たLiVOPOを備えるリチウムイオン二次電池では、リチウム源としてLiSOを用いて得たLiVOPOを備えるリチウムイオン二次電池に比べて、放電容量及びレート特性が向上する。
上記本発明は、水熱合成工程後に混合物を更に加熱する熱処理工程を備えることが好ましい。これにより、リチウムイオン二次電池のレート特性が向上する。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池の放電容量を向上させることが可能な活物質の製造方法を提供することができる。
(活物質の製造方法)
以下では、本発明の一実施形態に係る活物質の製造方法について説明する。
<水熱合成工程>
水熱合成工程では、まず、内部を加熱、加圧する機能を有する反応容器(例えば、オートクレーブ等)内に、上述したリチウム源、リン酸源、バナジウム源、水及び還元剤を投入して、これらが分散した混合物(水溶液)を調製する。なお、混合物を調製する際は、例えば、最初に、リン酸源、バナジウム源、水及び還元剤を混合したものを還流した後、これにリチウム源を加えてもよい。この還流により、リン酸源及びバナジウム源の複合体を形成することができる。
リチウム源としては、LiNO、LiCO、LiOH、LiCl、LiSO及びCHCOOLiからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
リチウム源は、LiOH、LiCO、CHCOOLi及びLiPOからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これにより、LiSOを用いた場合に比べて、電池の放電容量及びレート特性が向上する。
リン酸源としては、HPO、NHPO、(NHHPO及びLiPOからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
バナジウム源としては、V及びNHVOからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いる。
なお、二種以上のリチウム源、二種以上のリン酸源又は二種以上のバナジウム源を併用してもよい。
還元剤としては、例えば、ヒドラジン(NHNH・HO)又は過酸化水素(H)の少なくともいずれかを用いることができる。
水熱合成工程では、混合物を加圧下で加熱する前に、混合物に含まれるリン元素のモル数[P]と混合物に含まれるバナジウム元素のモル数[V]との比[P]/[V]を0.9〜1.5に調整する。[P]/[V]を0.9〜1.5の数値範囲外に調整した場合に得られるLiVOPOを用いた電池では、放電容量を向上させることが困難となる。なお、[P]/[V]は、混合物に含まれるリン酸源とバナジウム源との配合比によって調整すればよい。
水熱合成工程では、混合物を加圧下で加熱する前に、混合物に含まれるリチウム元素のモル数[Li]と[V]との比[Li]/[V]を0.9〜1.5に調整すればよい。なお、[Li]/[V]を1.5より大きくした場合であっても、本発明の効果を奏することは可能である。なお、[Li]/[V]は、混合物に含まれるリチウム源とバナジウム源との配合比によって調整すればよい。
従来のLiVOPOの製造方法では、得られるLiVOPOにLiの欠損が発生することを抑制するために、[Li]/[V]を、LiVOPOの化学量論比である1より大きい値(例えば9)に調整する必要があった。一方、本実施形態では、[Li]/[V]を、LiVOPOの化学量論比に近い0.9〜1.5に調整した場合であっても、Liの欠損がなく、結晶性の高いLiVOPOを得ることが可能である。
水熱合成工程では、混合物を加圧下で加熱する前に、混合物のpHを7.5以下に調整することが好ましい。これにより、LiVOPOのβ型結晶相が生成し易くなり、放電容量が顕著に向上する傾向がある。
混合物のpHを調整する方法としては、様々な方法を採用し得るが、例えば、混合物に酸性試薬や塩基性試薬を添加することが挙げられる。酸性試薬としては、硝酸、塩酸又は硫酸等を用いればよい。塩基性試薬としては、例えば、アンモニア水溶液等を用いればよい。なお、混合物のpHは、混合物の量や、リチウム源、リン酸源及びバナジウム源の種類又は配合比に応じて変化する。したがって、酸性試薬や塩基性試薬の添加量は、混合物の量、リチウム源、リン酸源並びにバナジウム源の種類及び配合比に応じて適宜調整すればよい。
水熱合成工程では、密閉した反応器内の混合物を加圧しながら加熱することにより、混合物中で水熱反応を進行させる。これにより、活物質であるLiVOPOが水熱合成される。
水熱合成工程では、混合物を加圧下で200〜300℃に加熱する。混合物の温度が低過ぎると、LiVOPOの生成及び結晶成長が十分に進行しない。その結果、LiVOPOの結晶性が低下し、その容量密度が減少するため、LiVOPOを用いた電池の放電容量を向上させることが困難となる。また、混合物の温度が高過ぎると、LiVOPOの結晶成長が過剰に進行して、結晶におけるLiの拡散能が低下する。そのため、得られるLiVOPOを用いた電池の放電容量を向上させることが困難となる。また混合物の温度が高過ぎると、反応容器に高い耐熱性が求められ、活物質の製造コストが増大する。混合物の温度を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
水熱合成工程において混合物に加える圧力は、0.2〜1MPaとすることが好ましい。混合物に加える圧力が低過ぎると、最終的に得られるLiVOPOの結晶性が低下し、その容量密度が減少する傾向がある。混合物に加える圧力が高過ぎると、反応容器に高い耐圧性が求められ、活物質の製造コストが増大する傾向がある。混合物に加える圧力を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
<熱処理工程>
本実施形態では、水熱合成工程後に混合物を更に加熱する熱処理工程を備えることが好ましい。熱処理工程によって、水熱合成工程で反応しなかったリチウム源、リン酸源及びバナジウム源の反応を進行させたり、水熱合成工程で生成したLiVOPOの結晶成長を促進したりすることができる。その結果、LiVOPOの容量密度が向上し、それを用いた電池の放電容量のみならず、レート特性も向上する。なお、本発明では、水熱合成工程において十分に高い温度で混合物を加熱するため、水熱合成工程後に熱処理工程を実施しなくとも、本発明の効果を奏することは可能である。
熱処理工程における混合物の熱処理温度は400〜700℃とすることが好ましい。熱処理温度が低過ぎる場合、LiVOPOの結晶成長度が小さく、その容量密度の向上度が小さくなる傾向がある。熱処理温度が高過ぎる場合、LiVOPOの成長が過剰に進み、LiVOPOの粒径が増加する傾向がある。その結果、活物質におけるリチウムの拡散が遅くなり、活物質の容量密度の向上度が小さくなる傾向がある。熱処理温度を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
混合物の熱処理時間は、3〜20時間とすることが好ましい。また、混合物の熱処理雰囲気は、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、又は空気雰囲気とすることが好ましい。
なお、水熱合成工程で得られる混合物を、熱処理工程で加熱する前に60〜150℃程度で1〜30時間程度、予熱してもよい。予熱により、混合物が粉体となり、混合物から余計な水分や有機溶媒が除去される。その結果、熱処理工程においてLiVOPOに不純物が取り込まれることを防ぎ、粒子形状を均一化することが可能となる。
上述した本実施形態で得られたLiVOPOは、リチウムイオン二次電池の正極活物質として好適である。
リチウムイオン二次電池は、互いに対向する板状の負極及び板状の正極と、負極と正極との間に隣接して配置される板状のセパレータと、を備える発電要素と、リチウムイオンを含む電解質溶液と、これらを密閉した状態で収容するケースと、負極に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出される負極リードと、正極に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出される正極リードとを備える。
負極は、負極集電体と、負極集電体上に形成された負極活物質層と、を有する。また、正極は、正極集電体と、正極集電体上に形成された正極活物質層と、を有する。セパレータは、負極活物質層と正極活物質層との間に位置している。
正極活物質層は、上述した製造方法により得られたLiVOPOを含有する。
本実施形態に係る製造方法によって得られるLiVOPOを正極活物質として備える電池では、従来の製造方法によって得られるLiVOPOを用いた電池に比べて、放電容量を向上させることが可能となる。
LiVOPOは、三斜晶(α型結晶)、斜方晶(β型結晶)等の複数の結晶構造を示し、その結晶構造に応じて異なる電気化学特性を有することが知られている。
LiVOPOのβ型結晶は、α型結晶に比べて、直線的で短いイオン伝導経路を有するため、リチウムイオンを可逆的に挿入脱離する特性(以下、場合により「可逆性」と記す。)に優れる。そのため、活物質としてLiVOPOのβ型結晶を用いた電池は、α型結晶を用いた電池に比べて、大きな充放電容量を有し、レート特性に優れる。
本実施形態に係る活物質の製造方法で得られるLiVOPOは、β型結晶の単相であるため、これを用いた電池の放電容量が向上する、と本発明者らは考える。換言すれば、本実施形態に係る活物質の製造方法では、LiVOPOのβ型結晶を従来の製造方法に比べて高い収率で得ることが可能になる、と考える。
以上、本発明に係る活物質の製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、水熱合成工程において、加熱前の混合物に炭素粒子を添加してもよい。これにより、LiVOPOの少なくとも一部が炭素粒子表面に生成し、炭素粒子にLiVOPOを担持させることが可能となる。その結果、得られる活物質の電気伝導性を向上させることが可能となる。炭素粒子を構成する物質としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック(黒鉛)、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1のLiVOPOの製造では、以下の原料を含む混合液を調製した。
リチウム源:8.48g(0.20mol)のLiOH・HO(分子量=41.96、ナカライテスク社製、特級、純度99重量%)。
リン酸源:23.06g(0.20mol)のHPO(分子量=98.00、関東化学社製、鹿1級、純度85重量%、ナカライテスク社製、1級、純度:85重量%)。
バナジウム源:18.37g(0.10mol)のV(分子量=181.88、ナカライテスク社製、特級、純度:99重量%)。
200gの蒸留水(ナカライテスク社製、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)用)。なお、ガラス容器とオートクレーブとの間に別途30gの蒸留水も用いた。
還元剤:2.58g(0.05mol)のNHNH・HO(分子量=50.06、ナカライテスク社製、特級、純度:98重量%)。
上記のリン酸源及びバナジウム源の各含有量から明らかなように、混合液に含まれるリン元素のモル数[P]と混合液に含まれるバナジウム元素のモル数[V]との比[P]/[V]を1に調整した。また、上記のリチウム源及びバナジウム源の各含有量から明らかなように、混合液に含まれるリチウム元素のモル数[Li]と[V]との比[Li]/[V]を1に調整した。また、リチウム源の含有量と蒸留水の量から明らかなように、混合液におけるLiの濃度を、1.0mol/Lに調整した。上記の原料の各仕込み量は、LiVOPO(分子量:168.85)に換算すると、化学量論的に約33.78g(0.2mol)のLiVOPOの収量に相当する。
上記の混合液を以下の手順で調製した。まず、500mLのマイヤーフラスコに23.06gのHPOと180gの蒸留水を入れ、これらをマグネチックスターラーで攪拌した。そして、フラスコ内に18.37gのVを加えてから約2.5時間攪拌を継続したところ、フラスコ内に黄橙色の懸濁液を得た。懸濁液を激しく攪拌しながら2.58gのヒドラジン1水和物(NHNH・HO)を懸濁液に滴下した。ヒドラジン1水和物を滴下すると、懸濁液の液相は黄橙色からくすんだ緑色に変化した。なお、懸濁液を激しく攪拌していたので、滴下に伴う発泡は確認できなかった。さらに懸濁液の攪拌を続けて10分経過した時点で、懸濁液はくすんだ緑色の流動性のあるペーストとなった。このペーストのpHは3であった。ヒドラジン1水和物を投入してから約60分間懸濁液の攪拌を継続した。懸濁液の液相は、からし色の流動性のあるペーストの状態に維持された。引き続いてペーストに8.48gのLiOH・HOを10分程度かけて加えた。LiOH・HOを投入した直後のペーストのpHは7〜8であった。このペーストに20gの蒸留水を追加して、上記の混合液を得た。得られた混合液のpHは7.5であった。
原料の仕込み時に想定していた収量33.78gの98.4%に相当する原料を含む248.41gの混合液を、35mmフットボール型回転子を入れた0.5Lオートクレーブのガラス容器内に移した。ガラス容器を密閉して、ガラス容器内の混合液を強力マグネチックスターラー7で攪拌しながら、所定のPID制御で混合液の加熱を開始した。密閉されたガラス容器内の内圧を加熱に伴い上昇させた。このようにして、水熱合成工程では、ガラス容器内の混合液を、48時間にわたって加圧下で加熱した。水熱合成工程では、ガラス容器内の温度を250℃に保持した。ガラス容器内の圧力は、3.8MPaに保持した。
加熱を停止した後、ガラス容器内の温度が38℃まで下がってからガラス容器内から混合液を取り出した。なお、加熱を停止してからガラス容器内の温度が38℃に下がるまで約2時間を要した。ガラス容器内から取り出た混合液は、茶色の沈殿を含む無色透明の溶液であった。また、混合液のpHは6であった。ガラス容器を静置して、容器内の上澄みを除去した。更に約200mlの蒸留水を容器内に追加して、容器内を攪拌洗浄した。その後直ぐに、茶色の沈殿を含む無色透明の溶液、除去した上澄み、及び容器内の洗浄に用いた蒸留水の全てを吸引ろ過して、ろ過された沈殿を再び水洗することにより、液体を得た。液体のpHは6〜7であった。そして、液体を再び吸引ろ過した。さらに、液体に含まれた茶色の沈殿を約200mlのアセトンで洗浄してから、液体を再び吸引ろ過した。これにより、ろ過物として非常に粘ちょうであるペーストを得た。半乾燥したろ過物をステンレスシャーレに移して、室温で15.5時間真空乾燥した。
以上の水熱合成工程により、実施例1の活物質として、茶色の固体31.39gを得た。LiVOPOに換算した茶色の固体の重量は、原料の仕込み時に想定していた収量33.78gの94.4%に相当することが確認された。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で得た茶色の乾燥した固体のうち1.00gをアルミナ坩堝に入れた。アルミナ坩堝内の固体を、加熱炉を用いて450℃で4時間加熱する熱処理工程を実施した。熱処理工程では、Ar雰囲気中でアルミナ坩堝内の固体を加熱した。また、熱処理工程では、炉内の温度を45分かけて室温から450℃まで昇温させた。アルミナ坩堝内の固体を450℃で4時間加熱した後、加熱炉を自然冷却した。この熱処理工程により、実施例2の活物質として、緑色の粉体1.00gを得た。熱処理工程の前後で、固体の重量が変化しなかったことから、熱処理工程後の固体の残存率は100%であった。
(実施例3〜21)
実施例3〜21では、リチウム源として、表1に示す化合物を用いた。実施例3〜21では、[Li]/[V]、[P]/[V]をそれぞれ表1に示す値に調整した。実施例3〜21の水熱合成工程では、オートクレーブで加熱する直前の混合液のpHが表1に示す値であった。なお、実施例19では、アンモニア水溶液を用いて、混合液のpHを調整した。実施例3〜21の水熱合成工程では、混合液が密閉されたガラス容器内の温度を表1に示す値に保持した。実施例3〜21の熱処理工程では、表1に示す雰囲気中でアルミナ坩堝内の固体を加熱した。実施例12では、還元剤として、ヒドラジンの代わりに過酸化水素を用いた。
以上の事項以外は、実施例2と同様の方法で、実施例3〜21の各活物質を得た。
(比較例1)
比較例1のLiVOPOの製造では、以下の原料を用いた。
リチウム源:5.95g(0.14mol)のLiOH・HO(分子量=41.96、ナカライテスク社製、特級、純度99重量%)。
リン酸源:5.42g(0.047mol)のHPO(分子量=98.00、ナカライテスク社製、1級、純度:85重量%)。
バナジウム源:1.43g(0.0078mol)のV(分子量=181.88、ナカライテスク社製、特級、純度:99重量%)。
200gの蒸留水(ナカライテスク社製、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)用)。なお、ガラス容器とオートクレーブとの間に別途30gの蒸留水も用いた。
還元剤:0.40g(0.0080mol)のNHNH・HO(分子量=50.06、ナカライテスク社製、特級、純度:98重量%)。
上記のリン酸源及びバナジウム源の各含有量から明らかなように、比較例1では、[P]/[V]を3に調整した。また、上記のリチウム源及びバナジウム源の各含有量から明らかなように、[Li]/[V]を9に調整した。また、リチウム源の含有量と蒸留水の量から明らかなように、混合液におけるLiの濃度を0.7mol/Lを調整した。上記の原料の各仕込み量は、LiVOPO(分子量:168.85)に換算すると、化学量論的に約2.63g(0.0156mol)のLiVOPOの収量に相当する。
0.5Lオートクレーブのガラス容器内にHPO及び蒸留水を入れ、これらをマグネチックスターラーで攪拌した。そして、ガラス容器内にVを加えて、懸濁液を得た。さらに、ガラス容器内を激しく攪拌しながらヒドラジン1水和物を懸濁液に滴下した。この時点で、懸濁液の液相は黄橙色から緑色に変化した。ヒドラジン1水和物の滴下に引き続いてLiOH・HOを10分程度かけて懸濁液に加えて、比較例1の混合液を得た。LiOH・HOを加えた直後の混合液のpHは7.5であり、その色は濃緑色であった。
ガラス容器を密閉し、所定の設定で混合液の攪拌を開始すると共に、所定のPID制御で混合液の加熱を開始した。密閉されたガラス容器内の内圧を加熱に伴い上昇させた。このようにして、比較例1の冷水熱合成工程では、ガラス容器内の混合液を、48時間にわたって加圧下で加熱して、ガラス容器内の温度を250℃に保持した。ガラス容器内の圧力は、3.8MPaに保持した。
加熱を停止した後、ガラス容器の空冷を開始した。そして、ガラス容器内の温度が25℃まで下がってから混合液を取り出した。なお、加熱を停止してからガラス容器内の温度が25℃に下がるまで約2時間を要した。ガラス容器内から取り出た混合液は、濃紺色の溶液であった。混合液のpHは8であった。混合液に100mlの蒸留水を3回追加した後、混合液をバットに広げた。そして、混合液を100℃で24時間乾燥させて、濃紺色の固体7.48gを得た。
濃紺色の固体に対して、実施例3と同様の方法で、熱処理工程を施すことにより、比較例1の活物質を得た。
(比較例2〜8)
比較例2〜8では、[Li]/[V]、[P]/[V]をそれぞれ表1に示す値に調整した。比較例2〜8の水熱合成工程では、オートクレーブを用いて加熱する直前の混合液のpHが表1に示す値であった。比較例2〜8の水熱合成工程では、混合液が密閉されたガラス容器内の温度を表1に示す値に保持した。比較例2〜8の熱処理工程では、表1に示す雰囲気中でアルミナ坩堝内の固体を加熱した。比較例6では、還元剤を用いずに活物質を得た。
以上の事項以外は、比較例1と同様の方法で、比較例2〜8の各活物質を得た。
[結晶構造の測定]
粉末X線回折(XRD)に基づくリートベルト解析の結果から、実施例1〜21及び比較例1〜8の各活物質は、LiVOPOのβ型結晶相を含むことが確認された。
[評価用セルの作製]
実施例1の活物質と、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とアセチレンブラックを混合したものを、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。なお、スラリーにおいて活物質とアセチレンブラックとPVDFとの重量比が84:8:8となるように、スラリーを調製した。このスラリーを集電体であるアルミニウム箔上に塗布し、乾燥させた後、圧延を行い、実施例1の活物質を含む活物質層が形成された電極(正極)を得た。
次に、得られた電極と、その対極であるLi箔とを、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで積層し、積層体(素体)を得た。この積層体を、アルミラミネーターパックに入れ、このアルミラミネートパックに、電解液として1MのLiPF溶液を注入した後、真空シールし、実施例1の評価用セルを作製した。
実施例1と同様の方法で、実施例2〜21及び比較例1〜8の活物質をそれぞれ単独で用いた評価用セルを作製した。
[放電容量の測定]
実施例1の評価用セルを用いて、放電レートを0.01C(25℃で定電流放電を行ったときに100時間で放電終了となる電流値)とした場合の放電容量(単位:mAh/g)を測定した。測定結果を表1に示す。また、実施例1の評価用セルを用いて、放電レートを0.1C(25℃で定電流放電を行ったときに10時間で放電終了となる電流値)とした場合の放電容量(単位:mAh/g)を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1と同様の方法で、実施例2〜21、比較例1〜8の各評価用セルの放電容量を測定した。結果を表1に示す。
[レート特性の評価]
実施例1のレート特性(単位:%)を求めた。なお、レート特性とは、0.01Cでの放電容量を100%とした場合の0.1Cでの放電容量の比率である。結果を表1に示す。レート特性は大きいほど好ましい。
実施例1と同様の方法で、実施例2〜21、比較例1〜8の各評価用セルのレート特性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005444942
表1から明らかなように、実施例1〜21では、リチウム源とリン酸源とバナジウム源と水と還元剤とを含む混合液を加圧下で200〜300℃に加熱する水熱合成工程を備える製造方法により、LiVOPOを得た。また、実施例1〜21では、[P]/[V]を0.9〜1.5に調整した。
実施例1〜21で得られたLiVOPOを用いた評価用セルの0.01Cでの放電容量は、比較例に比べて大きいことが確認された。また、実施例1〜21の評価用セルの0.1Cでの放電容量は、各比較例の放電容量以上であることが確認された。
以上のことから、実施例1〜21では、比較例1〜8に比べて、LiVOPOのβ型結晶の収率が高い、と推測される。
リチウム源としてLiSOを用いた実施例16の評価用セルの放電容量及びレート特性は、LiSO以外のリチウム源を用いた実施例4、13〜15に比べて小さいことが確認された。
実施例1と、実施例2、3との対比から、熱処理工程を経た活物質を用いた評価用セルのレート特性は、熱処理工程を行わずに得た活物質を用いた評価用セルに比べて大きいことが確認された。
実施例3と、実施例19との対比から、水熱合成工程において、オートクレーブを用いて加熱する直前の混合液のpHを7.5以下とすることにより、評価用セルの放電容量及びレート特性が向上することが確認された。

Claims (4)

  1. リチウムイオン二次電池の正極用の活物質の製造方法であって、
    リチウム源とリン酸源とバナジウム源と水と還元剤とを含む混合物を加圧下で200〜300℃に加熱する水熱合成工程を備え、
    加熱前の前記混合物に含まれるリン元素のモル数[P]と加熱前の前記混合物に含まれるバナジウム元素のモル数[V]との比[P]/[V]を0.9〜1.5に調整
    前記バナジウム源は、V 及びNH VO からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、
    前記活物質がLiVOPO を含む、
    活物質の製造方法。
  2. 加熱前の前記混合物に含まれるリチウム元素のモル数[Li]と前記[V]との比[Li]/[V]を0.9〜1.5に調整する、
    請求項1に記載の活物質の製造方法。
  3. 前記リチウム源が、LiOH、LiCO、CHCOOLi及びLiPOからなる群より選ばれる少なくとも一種である、
    請求項1又は2に記載の活物質の製造方法。
  4. 前記水熱合成工程後に前記混合物を更に加熱する熱処理工程を備える、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の活物質の製造方法。
JP2009194575A 2009-08-25 2009-08-25 活物質の製造方法 Active JP5444942B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009194575A JP5444942B2 (ja) 2009-08-25 2009-08-25 活物質の製造方法
US12/854,572 US20110052473A1 (en) 2009-08-25 2010-08-11 Method of manufacturing active material
CN2010102632402A CN101997117A (zh) 2009-08-25 2010-08-25 活性物质的制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009194575A JP5444942B2 (ja) 2009-08-25 2009-08-25 活物質の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011048951A JP2011048951A (ja) 2011-03-10
JP5444942B2 true JP5444942B2 (ja) 2014-03-19

Family

ID=43835099

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009194575A Active JP5444942B2 (ja) 2009-08-25 2009-08-25 活物質の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5444942B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5609915B2 (ja) * 2012-04-27 2014-10-22 Tdk株式会社 正極活物質、それを用いた正極及びリチウムイオン二次電池

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2636614C (en) * 2005-12-09 2014-11-25 C.A.J. Van Stokkum Vlijmen B.V. Demountable seating and method for erecting a demountable seating
US7790319B2 (en) * 2006-04-21 2010-09-07 Valence Technology, Inc. Method for making electrode active material
US20090068080A1 (en) * 2007-09-06 2009-03-12 Valence Technology, Inc. Method of Making Active Materials For Use in Secondary Electrochemical Cells

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011048951A (ja) 2011-03-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4654686B2 (ja) カーボン被覆Li含有粉末及びその製造方法
EP2394956A1 (en) Method for producing lithium silicate compound
TWI445666B (zh) 矽酸鋰系化合物之製造方法
JP5347603B2 (ja) 活物質の製造方法、活物質、電極及びリチウムイオン二次電池
JP5381192B2 (ja) リチウムイオン二次電池用活物質の製造方法
JP5741143B2 (ja) 活物質、活物質の製造方法、電極、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池の製造方法
JP5810587B2 (ja) リチウムイオン二次電池用活物質、リチウムイオン二次電池用電極、リチウムイオン二次電池
CN111377426A (zh) 一种无水磷酸铁纳米颗粒的制备方法
JP5515343B2 (ja) 活物質の製造方法、活物質、電極及びリチウムイオン二次電池
JP5277465B2 (ja) LiFePO4の製造方法及びリチウムイオン二次電池
JP5444944B2 (ja) 活物質及び活物質の製造方法
JP6455124B2 (ja) 非水電解液二次電池用正極活物質及びその製造方法
JP2012004046A (ja) 活物質の製造方法、活物質及びリチウムイオン二次電池
TW201803803A (zh) 磷酸釩鋰的製造方法
JP5444943B2 (ja) 活物質の製造方法
US20110052473A1 (en) Method of manufacturing active material
JP5444942B2 (ja) 活物質の製造方法
JP2012004045A (ja) 活物質の製造方法、活物質及びリチウムイオン二次電池
JP5888046B2 (ja) 正極活物質、正極及びリチウムイオン二次電池
JP5594007B2 (ja) リチウムイオン二次電池用活物質の製造方法及びリチウムイオン二次電池の製造方法
JP5609915B2 (ja) 正極活物質、それを用いた正極及びリチウムイオン二次電池
JP2018156930A (ja) 正極活物質、それを用いた正極及びリチウムイオン二次電池
JP5594006B2 (ja) リチウムイオン二次電池用活物質の製造方法及びリチウムイオン二次電池の製造方法
US20180269482A1 (en) Positive electrode active material, positive electrode using the same, and lithium ion secondary battery
JP5648732B2 (ja) 正極活物質及びリチウムイオン二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120315

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130903

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130910

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131106

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20131112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131209

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5444942

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150