JP5277465B2 - LiFePO4の製造方法及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

LiFePO4の製造方法及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、LiFePOの製造方法及びリチウムイオン二次電池に関する。
従来、リチウムイオン二次電池の正極材料(正極活物質)としてLiCoOやLiNi1/3Mn1/3Co1/3等の層状化合物やLiMn等のスピネル化合物が用いられてきた。しかし、これらの化合物については、その原料のコストが高いことや、熱安定性が低く安全性に問題があることが知られている。これらの課題を克服する化合物として、オリビン型構造を有するLiFePOが注目されている(下記特許文献1及び2を参照)。
特開2002−151082号公報 特開2006−190528号公報
本発明者らは、鋭意研究の結果、LiFePOの原料に含まれる3価の鉄や、原料を加熱する際の雰囲気の組成に起因して、LiFePOを用いたリチウムイオン二次電池の放電容量が低下したり、サイクル特性が劣化したりすることを見出した。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池の優れた放電容量及びサイクル特性を実現するLiFePOの製造方法及び当該LiFePOを用いたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るLiFePOの製造方法は、2価の鉄及び3価の鉄を有する鉄源、リチウム源、リン酸源及び極性溶媒を含む混合物を、酸素と不活性ガスの混合ガスで満たされた密閉容器内に封入し、密閉容器内の混合物を加熱する工程を備える。本発明では、鉄源における3価の鉄の含有率が、2価の鉄及び3価の鉄の全量に対して100質量ppm以上10質量%以下である。本発明では、混合ガスにおける酸素の含有率が、混合ガスの全量に対して1〜100体積ppmである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、上記本発明に係るLiFePOの製造方法によって得られるLiFePOを正極活物質として備える。
上記本発明に係る製造方法によって得たLiFePOを正極活物質として備えるリチウムイオン二次電池は、従来の製造方法によって得たLiFePOを用いたリチウムイオン二次電池に比べて、放電容量及びサイクル特性に優れる。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池の優れた放電容量及びサイクル特性を実現するLiFePOの製造方法及び当該LiFePOを用いたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
(LiFePOの製造方法)
以下では、本発明の一実施形態に係るLiFePOの製造方法について詳細に説明する。
本実施形態では、鉄源、リチウム源、リン酸源及び極性溶媒を混合して、混合物を調製する。なお、後述する密閉容器内で混合物を調製してもよい。
鉄源は、2価の鉄及び3価の鉄を含有する。鉄源における3価の鉄の含有率は、2価の鉄及び3価の鉄の全量に対して100質量ppm以上10質量%以下である。好ましくは、鉄源における3価の鉄の含有率は、2価の鉄及び3価の鉄の全量に対して230質量ppm以上4700質量ppm以下である。
鉄源における3価の鉄の含有率が100質量ppm未満である場合、3価の鉄の含有率が上記の数値範囲内である場合に比べて、サイクル特性が劣化する。鉄源における3価の鉄の含有率が10質量%より大きい場合、3価の鉄の含有率が上記の数値範囲内である場合に比べて、放電容量が低下する。
鉄源としては、例えば、元来3価の鉄を不純物として含有する2価の鉄の化合物であって、3価の鉄の含有率が鉄の全量に対して100質量ppm以上10質量%以下である化合物を用いればよい。2価の鉄の化合物に不純物として含まれる3価の鉄の含有率は、電位差滴定によって測定すればよい。また、鉄源における3価の鉄の含有率が鉄の全量に対して100質量ppm以上10質量%以下となるように、2価の鉄の化合物と3価の鉄の化合物を配合することにより、鉄源を調製してもよい。二種以上の鉄源を併用してもよい。
2価の鉄の化合物としては、例えば、フッ化鉄(FeF)、塩化鉄(FeCl)、臭化鉄(FeBr)、ヨウ化鉄(FeI)、硫酸鉄(FeSO)、リン酸鉄(Fe(PO)、シュウ酸鉄(FeC)、酢酸鉄((CHCOO)Fe)等が挙げられる。3価の鉄の化合物としては、FeF、FeCl、FeBr、FeI、Fe(SO、FePO、Fe(C、(CHCOO)Fe等が挙げられる。なお、リン酸鉄は、鉄源及びリン酸源として用いることができる。
リチウム源としては、例えば、LiNO、LiCO、LiOH、LiCl、LiSO及びCHCOOLiからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。なお、二種以上のリチウム源を併用してもよい。
リン酸源としては、例えば、HPO、NHPO、(NHHPO及びLiPOからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。なお、二種以上のリン酸源を併用してもよい。また、LiPOはリチウム源及びリン酸源として用いることができる。
鉄源、リチウム源及びリン酸源は、鉄源が含有する2価の鉄のモル数と、リチウム源が含有するリチウムのモル数と、リン酸源が含有するリン酸基のモル数との比が1:1:1程度となるように、配合すればよい。
極性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アセトン、シクロヘキサノン、2−メチルピロリドン、エチルメチルケトン、2−エトキシエタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォオキシド等が挙げられる。なお、二種以上の極性溶媒を併用してもよい。
本実施形態に係るLiFePOの製造方法は、上述した混合物を、酸素ガスと不活性ガスの混合ガスで満たされた密閉容器内に封入し、密閉容器内の混合物を加熱する工程を備える。以下では、この工程を加熱工程と記す。加熱工程では、密閉容器内が加熱され、混合ガスの温度が上昇し、混合物中の極性溶媒の一部が気化するため、密閉容器内の気圧が上昇する。したがって、加熱工程では、混合物が加圧されながら加熱され、混合物中でLiFePOが合成される。
混合ガスとは、換言すれば、微量の酸素ガスを含有する不活性ガスである。不活性ガスとしては、例えば、アルゴン等の希ガス又は窒素等が挙げられる。なお、二種以上の不活性ガスを併用してもよい。
混合ガスにおける酸素ガスの含有率は、混合ガスの全量に対して1〜100体積ppmである。換言すれば、混合ガスにおける酸素ガスの分圧は、混合ガスの全圧に対して1〜100ppmである。
混合ガスにおける酸素ガスの含有率が1体積ppm未満である場合、酸素ガスの含有率が上記の数値範囲内である場合に比べて、サイクル特性が劣化する。混合ガスにおける酸素ガスの含有率が100体積ppmより大きい場合、酸素ガスの含有率が上記の数値範囲内である場合に比べて、放電容量が低下する。
密閉容器としては、例えばオートクレーブのように、内部を加熱,加圧する機能を有する耐圧性の反応容器を用いればよい。なお、密閉容器は、その内部へ気体を供給するガス導入管を備えていてもよい。また、密閉容器は、その内部の気体を外部へ排出するガス排出管を備えていてもよい。ガス導入管によって密閉容器内へ混合ガスを供給したり、ガス排出管によって密閉容器内の気体を排出したりすることにより、密閉容器内の気圧(混合物へ加える圧力)を調整することができる。ガス導入管の先端を、密閉容器内に封入された液体状の混合物の中に配置し、ガス導入管によって混合ガスを混合物内へ供給し、混合物をバブリング(bubbling)してもよい。バブリングにより、本発明の効果が顕著となる。
加熱工程では、混合物を100〜250℃に加熱することが好ましい。混合物の加熱温度が高いほど、結晶成長が促進され、粒径が大きいLiFePOの結晶を得易くなる。
加熱工程における混合物の温度が低過ぎると、混合物の温度が高い場合に比べて、LiFePOの生成及び結晶成長が進行し難い傾向がある。その結果、LiFePOの結晶性が低下し、その容量密度が減少するため、LiFePOを用いた電池の放電容量が増加し難い傾向がある。また、混合物の温度が高過ぎると、LiFePOの結晶成長が過剰に進行して、結晶におけるLiの拡散能が低下する傾向がある。そのため、得られるLiFePOを用いた電池の放電容量及びサイクル特性が向上し難い傾向がある。また混合物の温度が高過ぎると、密閉容器に高い耐熱性が求められ、LiFePOの製造コストが増大する。混合物の加熱温度を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。ただし、混合物の加熱温度が上記の数値範囲外であっても、本発明の効果は達成される。
加熱工程において密閉容器内の気圧(混合物に加える圧力)は、0.2〜4MPaとすることが好ましい。例えば加熱工程において混合物を250℃に加熱すると、密閉容器内の気圧は4MPaになる。混合物に加える圧力が低過ぎると、最終的に得られるLiFePOの結晶性が低下し、その容量密度が減少する傾向がある。混合物に加える圧力が高過ぎると、密閉容器に高い耐圧性が求められ、LiFePOの製造コストが増大する傾向がある。混合物に加える圧力を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。ただし、密閉容器内の気圧が上記の数値範囲外であっても、本発明の効果は達成される。
加熱工程において混合物を加熱する時間は、混合物の量に応じて適宜調整すればよい。加熱工程において混合物を加熱する時間は、好ましくは12〜100時間、より好ましくは12〜50時間である。ただし、混合物を加熱する時間が上記の数値範囲外であっても、本発明の効果は達成される。
加熱工程後の混合物を密閉容器から取り出した後、混合物を再加熱してもよい。混合物の再加熱によって、加熱工程では反応しなかったリチウム源、リン酸源及び鉄源の反応を進行させたり、密閉容器内で生成したLiFePOの結晶成長を促進したりすることができる。その結果、LiFePOの容量密度が向上し、それを用いた電池の放電容量やサイクル特性が向上する傾向がある。
加熱工程後の混合物を低温で予熱した後、上述した再加熱を行ってもよい。混合物の予熱により、混合物から余計な極性溶媒が除去され、混合物が粉体となる。その結果、混合物を再加熱する際に、混合物中のLiFePOに不純物が取り込まれることを防ぎ、LiFePOの粒子形状を均一化することが可能となる。
(リチウムイオン二次電池)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、互いに対向する負極及び正極と、負極と正極との間に配置されるセパレータと、を有する発電要素と、リチウムイオンを含む電解質と、これらを密閉した状態で収容するケースと、一方の端部が負極に電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出される負極リードと、一方の端部が正極に電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出される正極リードとを備える。負極、正極及びセパレータの形状は特に限定されず、板状であってもよく、巻回体状であってもよい。また、電解質は、液体、固体又はゲルであってよい。
負極は、負極集電体と、負極集電体上に形成された負極活物質層と、を有する。また、正極は、正極集電体と、正極集電体上に形成された正極活物質層と、を有する。
正極活物質層は、上述した本実施形態に係るLiFePOの製造方法によって得られるLiFePOを含有する。なお、正極活物質層は、本発明の効果を損なわない限り、本実施形態の製造方法によって得られるLiFePO以外の活物質を含有してもよい。
本実施形態に係るLiFePOの製造方法では、LiFePO中の3価の鉄の含有率を制御することが可能となる。その結果、本実施形態の製造方法によって得られるLiFePOを正極活物質として備えるリチウムイオン二次電池では、従来の水熱合成法によって得られるLiFePOを用いた電池に比べて、放電容量及びサイクル特性に優れる。換言すれば、従来の水熱合成法によって得られるLiFePOを用いた電池は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池に比べて、放電容量又はサイクル特性の少なくともいずれかにおいて劣る。
本発明において放電容量及びサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池が得られる原因の詳細は定かではない。しかし、本発明者らは、その原因は以下の通りである、と考える。
鉄源における3価の鉄の含有率と混合ガスにおける酸素の含有率を上記の下限値以上に調整することによって、合成されたLiFePO中に所定量の3価の鉄が確保される。この3価の鉄はX線回折では確認されないが、LiFePOにおいてFe等を構成する。このFeがLiFePO粒子の表面に存在し、LiFePOと電解質(電解液)との副反応を抑制する結果、電池のサイクル特性が良好になる、と推測される。また、鉄源における3価の鉄の含有率と混合ガスにおける酸素の含有率を上記の上限値以下に調整することによって、合成されたLiFePOの結晶性が3価の鉄によって損なわれることが防止され、またFeがLiFePO粒子の表面に過度に生成することが防止される。その結果、電池の放電容量が良好になる、と推測される。このように、本発明では、単に、電池の放電容量を増加させるために鉄源における3価の鉄の含有率と混合ガスにおける酸素の含有率を上記の上限値以下に低減するだけでなく、電池のサイクル特性を向上させるために、敢えて鉄源における3価の鉄の含有率と混合ガスにおける酸素の含有率を上記の下限値以上に調整する。つまり、本実施形態では、リチウムイオン二次電池の放電容量とサイクル特性を両立させるために、LiFePO中の3価の鉄の含有率を所望の範囲内に制御できる。
なお、鉄源における3価の鉄の含有率と混合ガスにおける酸素の含有率に係る本発明の作用は、必ずしも上述したことに限定されない。
以上、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、加熱工程前の混合物に炭素粒子を添加してもよい。これにより、LiFePOの少なくとも一部が炭素粒子表面に生成し、炭素粒子にLiFePOを担持させることが可能となる。その結果、得られる正極活物質層の電気伝導性を向上させることが可能となる。炭素粒子を構成する物質としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック(黒鉛)、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。
本発明のLiFePOは、リチウムイオン二次電池以外の電気化学素子の電極材料としても用いることができる。電気化学素子としては、LiFePOを含む電極をカソードとして用い、金属リチウムをアノードとして用いた金属リチウム二次電池、その他の二次電池、リチウムキャパシタのような電気化学キャパシタ等が挙げられる。これらの電気化学素子は、自走式のマイクロマシン、ICカードなどの電源や、プリント基板上又はプリント基板内に配置される分散電源の用途に使用することが可能である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1.158gのリン酸リチウム、1.268gの塩化鉄(II)4水和物及び100mlの蒸留水を、オートクレーブ内に投入し、混合液を調整した。混合液が入ったオートクレーブ内の気体を混合ガスで置換した後、オートクレーブを密閉した。
リン酸リチウムは、リチウム源及びリン酸源である。塩化鉄(II)4水和物は、鉄源であり、不純物として3価の鉄を含有する。塩化鉄(II)4水和物中の3価の鉄の含有率は、塩化鉄(II)4水和物に含まれる2価の鉄及び3価の鉄の全量に対して、2200質量ppmであった。この3価の鉄の含有率は、電位差滴定によって測定した。混合ガスとしては、酸素ガスを含むアルゴンガスを用いた。混合ガスにおける酸素ガスの含有率を、混合ガスの全量に対して10体積ppmに調整した。
密閉されたオートクレーブを48時間にわって250℃に加熱することにより、密閉容器内で水熱合成反応を進行させた。加熱後のオートクレーブを室温まで放冷した後、内容物を取り出し、100℃で乾燥させて、実施例1の粉末試料を得た。粉末試料のX線回折パターンを測定した。X線回折パターンから、実施例1の粉末試料は、斜方晶系オリビン構造を有するLiFePOと同定された。
(実施例2〜6、比較例1〜4)
実施例2〜6及び比較例1〜4では、鉄源として表1に示す化合物を用いた。実施例2〜6及び比較例1〜4では、混合物への鉄源の添加量を表1に示す値に調整した。実施例2〜6及び比較例1〜4の各鉄源における3価の鉄の含有率は、表1に示す値であった。表1では、各鉄源における3価の鉄の含有率を、[Fe(III)]と記す。なお、実施例2〜6及び比較例1〜4の各鉄源は、元来不純物として3価の鉄を含有するものである。実施例2〜6及び比較例1〜4では、混合ガスにおける酸素ガスの含有率を表1に示す値に調整した。表1では、各混合ガスにおける酸素ガスの含有率を[O]と記す。
以上の事項以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2〜6及び比較例1〜4の各粉末試料を得た。実施例2〜6及び比較例1〜4の各粉末試料は、いずれもLiFePOであることが確認された。
[評価用セルの作製]
実施例1のLiFePOと、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とアセチレンブラックを混合したものを、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。なお、スラリーにおいてLiFePOとアセチレンブラックとPVDFとの重量比が84:8:8となるように、スラリーを調製した。このスラリーを集電体であるアルミニウム箔上に塗布し、乾燥させた後、圧延を行い、実施例1のLiFePOを含む活物質層が形成された電極(正極)を得た。
次に、得られた電極と、その対極であるLi箔とを、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで積層し、積層体(素体)を得た。この積層体を、アルミラミネーターパックに入れ、このアルミラミネートパックに、電解液として1MのLiPF溶液を注入した後、真空シールし、実施例1の評価用セルを作製した。
実施例1と同様の方法で、実施例2〜6及び比較例1〜4のLiFePOをそれぞれ単独で用いた評価用セルを作製した。
[評価]
実施例1〜6及び比較例1〜4の各評価用セルの初期放電容量及び容量維持率を測定した。結果を表1に示す。測定では、充放電サイクルを300回繰り返した。1回の充放電サイクルでは、25℃、0.5Cのレートで4.2Vの定電流定電圧充電を行った後、25℃、0.5Cのレートで2.5Vまで定電流放電を行った。0.5Cとは、25℃で定電流放電を行ったときに2時間で放電終了となる電流値である。初期放電容量とは、1サイクル目の放電容量である。容量維持率とは、初期放電容量に対する300サイクル目の放電容量の割合である。容量維持率が大きい評価用セルはサイクル特性に優れている。
Figure 0005277465
表1に示すように、実施例1〜6では、鉄源における3価の鉄の含有率が、2価の鉄及び3価の鉄の全量に対して100質量ppm以上10質量%以下であった。また、実施例1〜6では、混合ガスにおける酸素ガスの含有率が、混合ガスの全量に対して1〜100体積ppmであった。
実施例1〜6の初期放電容量はいずれも132mAh/g以上であった。実施例1〜6の容量維持率はいずれも91%以上であった。
比較例1の鉄源における3価の鉄の含有率は、2価の鉄及び3価の鉄の全量に対して10質量%より大きかった。比較例1の初期放電容量は132mAh/g未満であった。比較例2の鉄源における3価の鉄の含有率は、2価の鉄及び3価の鉄の全量に対して100質量ppm未満であった。比較例2の容量維持率は91%未満であった。
比較例3の混合ガスにおける酸素ガスの含有率は、混合ガスの全量に対して100体積ppmより大きかった。比較例3の初期放電容量は132mAh/g未満であった。比較例4の混合ガスにおける酸素ガスの含有率は、混合ガスの全量に対して1体積ppmより小さかった。比較例4の容量維持率は91%未満であった。
以上のように、比較例1〜4は、実施例1〜6に比べて、初期放電容量又はサイクル特性の少なくともいずれかにおいて劣ることが確認された。

Claims (2)

  1. 2価の鉄及び3価の鉄を有する鉄源、リチウム源、リン酸源及び極性溶媒を含む混合物を、酸素と不活性ガスの混合ガスで満たされた密閉容器内に封入し、前記密閉容器内の前記混合物を加熱する工程を備え、
    前記鉄源における前記3価の鉄の含有率が、前記2価の鉄及び前記3価の鉄の全量に対して100質量ppm以上10質量%以下であり、
    前記混合ガスにおける前記酸素の含有率が、前記混合ガスの全量に対して1〜100体積ppmである、
    LiFePOの製造方法。
  2. 請求項1に記載のLiFePOの製造方法によって得られるLiFePOを正極活物質として備える、
    リチウムイオン二次電池。

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