JP5444854B2 - 歯磨剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、適度な研磨性と高い清掃性を有し、かつシリカ系研磨剤由来の渋味が軽減された歯磨剤組成物に関する。
歯磨剤に使用される研磨剤としては、微粉末ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム等があるが、近年、フッ素配合歯磨剤が主流になりつつあり、上記研磨剤の中でも、フッ素との相溶性に最も優れた微粉末ケイ酸が研磨剤の主流となっている。
しかし、微粉末ケイ酸は、一般に4.5〜5.0のモース硬度を有するため、歯牙に対する為害性の懸念がある。この欠点をカバーするため、歯牙を損傷させない適度な研磨性を有する研磨剤として、ジルコニウム結合ケイ酸塩、あるいはチタニウム結合ケイ酸塩が提案されている(特許文献1,2参照)。
しかしながら、特許文献1,2の技術では、歯牙を損傷させない適度な研磨性を有する研磨剤は得られるものの、清掃性に関する記載はなされていない。また、ジルコニウムあるいはチタニウムといった高価な原料を用いていることから、歯磨剤に用いる汎用研磨基剤としては課題が残されていた。
従って、歯牙を損傷させない適度な研磨性と高い清掃性を有し、汎用性の高い研磨剤を配合した歯磨剤組成物が望まれる。
一方、歯磨剤組成物は、シリカ系研磨剤を配合するとそれ由来の渋味が発現し使用感に劣る欠点を有するため、渋味の低減が必要となる。シリカ化合物は本来、口腔粘膜を刺激してその収斂作用により渋味を有するため、これまでに種々の渋味低減方法が提案されている。例えば、コラーゲン類との併用(特許文献3参照)、脂肪酸ジエタノールアミドとの併用(特許文献4参照)、特定量の改質水酸化アルミニウムとの併用(特許文献5参照)等が提案されている。
特開2002−293530号公報 特開平11−140428号公報 特公昭61−55891号公報 特開昭58−118507号公報 特公平5−34329号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、適度な研磨性と高い清掃性を有し、かつ、渋味が軽減され良好な使用感を有する歯磨剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(A)後述のアルミニウムがAl23としてSiO2に対し1.54.5質量%の範囲で、かつOH基量がSiO2に対し2.0〜3.5質量%である合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩アルミニウムがAl23としてSiO2に対し0.5〜7.5質量%の範囲で、かつOH基量がSiO2に対し2.0〜3.5質量%である合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩と、(B)l−メントールとを配合することにより、歯牙を損傷させない適度な研磨性と高い清掃性を有し、しかも、上記合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩由来の渋味が軽減され、使用感の良好な歯磨剤組成物が得られること、更に、(C)硫酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムを配合することにより、l−メントール由来の刺激性をも低減でき、上記優れた特性を有する上に使用感がより良好となることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明では、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の存在下で、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩と鉱酸とを必須原料として反応させて得ることができる上記合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、歯牙に対する為害性がほとんどなく、歯牙を損傷させない適度な研磨性と高い清掃性とを兼ね備え、しかも、高価な原料を用いて製造する必要もなく歯磨剤用の汎用研磨基材として有用であり、かかる合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩を研磨剤として配合し、かつl−メントールを併用して配合することによって、適度な研磨性と高い清掃性とを有しながら、前記シリカ系研磨剤((A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩)由来の渋味が軽減され良好な使用感を有する歯磨剤組成物を得ることができる。更に、上記歯磨剤組成物に、硫酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムを配合することで、l−メントール由来の刺激性も低減され、適度な研磨性及び高清掃性を有しながら、渋味及び刺激性も低減されてより使用感が向上するものである。
従って、本発明は、下記の歯磨剤組成物を提供する。
〔1〕
(A)水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の存在下で、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩に水溶性アルミニウム塩と鉱酸とを添加、反応させて得られた、アルミニウムがAl23としてSiO2に対し1.54.5質量%の範囲で、かつOH基量がSiO2に対し2.0〜3.5質量%である合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩を5〜35質量%と、(B)l−メントールを0.1〜1.0質量%と、(C)硫酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムを0.1〜4質量%とを含有してなることを特徴とする歯磨剤組成物。
〔2〕
(A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質を、2O(但し、Mはアルカリ金属を示す。)として水溶性アルカリ金属ケイ酸塩のSiO2に対して5〜30質量%使用して得たものである〔1〕に記載の歯磨剤組成物。
〔3〕
(A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、1.85〜2.10nmの細孔径を有するものである〔1〕又は〔2〕に記載の歯磨剤組成物。
〔4〕
(A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、5質量%スラリーpHが8.0〜10.0である〔1〕、〔2〕又は〔3〕に記載の歯磨剤組成物。
〔5〕
荷重400gで20,000回研磨後の金板の研磨減量が0.4〜1.1mgである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
本発明の歯磨剤組成物は、歯牙に対する為害性がほとんどなく、歯牙を損傷させない適度な研磨性と高い清掃性を有し、かつシリカ系研磨剤の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩由来の渋味が軽減され良好な使用感を有する。
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の歯磨剤組成物は、(A)アルミニウムがAl23としてSiO2に対し1.54.5%(質量%。以下同様。)の範囲で、かつOH基量がSiO2に対し2.0〜3.5%である合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩、及び(B)l−メントールを含有するものである。
本発明の歯磨剤組成物は、アルミニウムがAl23としてSiO2に対し1.54.5%の範囲で、かつOH基量がSiO2に対し2.0〜3.5%である合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩を研磨剤として含有するものである。合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩の上記物性と研磨性、清掃性との関係については定かでないが、当該物性を有することで適度の研磨性と清掃性が発現するものと考えられる。
(A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩は、アルミニウムをAl23としてSiO2対し1.5〜4.5%の範囲で含有する。0.5%未満であると研磨性が適度な範囲を超え歯牙に対する為害性が高まり、7.5%を超えると十分な清掃性が得られない。
また、合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩のOH基量はSiO2に対し2.0〜3.5%、好ましくは2.3〜3.0%の範囲である。OH基量が2.0%未満であると研磨性が適度な範囲を超え歯牙に対する為害性が高まり、3.5%を超えると十分な清掃性が得られない。
シリカ化合物はケイ素原子を中心とする四面体構造が酸素原子を介して無数に連なる構造をしており、Si−OHの末端構造を有している。
上記OH基量は、下記方法で測定した値である。
OH基量測定法;
セイコー電子工業(株)製EXSTAR−6000を使用し、190℃〜900℃間の質量変化により、下記式を用いてOH/SiO2(質量%)を算定し、これをOH基量とした。なお、OH基量は190℃〜900℃の間に放出される水の量と同一とする。
OH/SiO2(質量%)=
((190℃焼成後の質量−900℃焼成後の質量)/190℃焼成後の質量)×100
上記ケイ酸塩を製造する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、反応槽に予め水溶性アルカリ金属ケイ酸塩を仕込んでおき、これに水溶性アルミニウム塩及び鉱酸を添加し、得られたウェットケーキを数倍量の水に分散させ洗浄する際に、このスラリーpHを調整するという方法を採用することができる。
本発明にかかわる合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩の製造方法について、更に詳述する。
上記合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩は、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の存在下で、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩と鉱酸とを必須原料として反応させることで製造でき、この場合、特に水溶性アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に水溶性アルミニウム塩と鉱酸を添加し、反応させることが好ましく、更に、5%スラリーpHが8.0〜10.0になるように調整することが好ましい。
本発明で使用する水溶性アルカリ金属ケイ酸塩としては、ナトリウム、カリウム及びリチウムのケイ酸塩を挙げることができるが、比較的安価な点からケイ酸ナトリウムが一般的に使用できる。更に、SiO2/M2O(但し、Mはアルカリ金属を示す)のモル比は2〜4の範囲のものを好適に用いることができる。
また、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩の酸性化剤としては、鉱酸、例えば塩酸、硫酸又は硝酸などを用いることができる。
水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液のSiO2濃度は5〜15%の範囲内が好ましい。下限未満では生産効率に劣り、上限を超えると上記物性を有する合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩を得ることができない場合がある。鉱酸濃度は5〜25%、特に10〜20%が望ましい。これら原料濃度は他の条件を適宜選択することにより、この範囲内で目的とする本発明の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩を得ることができる。
合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩の製造においては、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質を後述する割合で反応系中に存在させることが重要である。また、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液と鉱酸とを反応させ、微粉末ケイ酸塩を得る工程において、水溶性アルミニウム塩を添加することが望ましい。更にまた重要な点は、これら反応をアルカリ側から開始することにある。そして、更に、最終製品で得られる5%スラリーpHが8.0〜10.0となるように調整することが望ましい。
一般的に、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液と鉱酸とを反応させ、微粉末ケイ酸塩を得る工程において後述する電解質を添加することにより、歯牙に対する清掃性は向上するが、同時に研磨性が大きくなる傾向にある。本発明にかかわる合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩において、所望する研磨性と清掃性を得るためには、上記沈降微粉末ケイ酸塩を析出させる工程において、アルミニウムを介在させることが有益である。即ち、後述するようにアルミニウム量が多くなると清掃性は低下することなく研磨性は低下する。電解質の量とアルミニウム原料である水溶性アルミニウム塩の量を適宜選択することにより所望する低研磨・高清掃の歯磨用シリカ基剤を得ることができる。
電解質は、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩が好適に用いられ、具体的には塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等である。
電解質の使用量は、M2O(但し、Mはアルカリ金属を示す。)として水溶性アルカリ金属ケイ酸塩のSiO2に対し5〜30%が好ましい。使用量が下限値未満では配合効果が十分得られず、上限値を超えると研磨性が高すぎてしまう場合がある。電解質は、電解質を予め水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液に含有させて使用することが好ましいが、鉱酸に電解質を添加し、反応させても良い。
アルミニウム供与物質としては、後述の水溶性アルミニウム塩を用いることができる。アルミニウム供与物質は、水溶性アルミニウム塩溶液を所定濃度に希釈して直接反応させて使用してもよいが、特に、あらかじめ水溶性アルミニウム塩を鉱酸に添加してアルミニウム含有鉱酸とし、これを水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液と反応させる方法が推奨される。この方法を採用することにより、他の方法に比べてシリカ中に極めて均一にアルミニウムを分散した状態で製造することができる。
水溶性アルミニウム塩としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等を例示できるが、これらに限定されない。水溶性アルミニウム塩の使用量は、Al23として、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩のSiO2に対して1.54.5%の範囲が好ましい。使用量が下限値未満では、電解質添加に伴う高研磨性を十分に低減させることができず、上限値を超えると歯磨基剤として必要な研磨性が低くなってしまう場合がある。アルミニウムを含有させた鉱酸を用いる場合、上記範囲内において適宜調整して反応に供すればよい。
更に、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩と鉱酸との反応は、前述したように反応をアルカリ側から開始することが重要である。反応を酸性側から開始した場合はゲル状物質が生成するため目的物が得られないことがある。
なお、反応をアルカリ側から開始するとは、核生成をアルカリ側で行わせることであり、具体的には、例えば(1)反応槽に予め水溶性アルカリ金属ケイ酸塩を仕込んでおき、これに水溶性アルミニウム塩及び鉱酸を添加反応させる方法、(2)反応槽に水溶性アルミニウム塩含有鉱酸と水溶性アルカリ金属ケイ酸塩とを同時添加する方法において、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩の添加量比を水溶性アルミニウム塩含有鉱酸の当量以上とする方法、(3)反応槽に予め水溶性アルカリ金属ケイ酸塩を仕込み、鉱酸と水溶性アルミニウム塩を所望量、同時若しくは別々に添加する方法等であり、要はシリカの核生成をアルカリ側で行わせる方法が挙げられる。
反応温度は60℃〜100℃が望ましい。他の反応条件が同一である場合、反応温度が60℃未満では二次粒子の凝集力が弱く、アルミニウム添加による低研磨・高清掃の歯磨用シリカ基剤として好適な合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が得られないことがある。
反応終了pHは6〜9が好ましい。他の反応条件が同一である場合、反応終了pHが9を超えると、合成無定形ケイ酸塩の析出が完全に行われず、反応収率が悪くなり、pHが6未満では目的とする合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が得られない場合がある。
更に、上記製造方法において、5%スラリーpHが8.0〜10.0となるように製造することが望ましい。5%スラリーpHが上記範囲になるように製造する最善策は、濾過して得られたウェットケーキをその数倍量の水に分散させて洗浄するリパルプ工程においてpHを調整する方法である。調整に際しては、所望のpHよりも高いときは、上記したものと同様の鉱酸を用いて調整すればよく、pHが低すぎるときは、別途水溶性アルカリ金属塩を添加すればよい。これに使用する水溶性アルカリ金属塩としては、ナトリウムの水酸化物や炭酸塩、重炭酸塩等が好適である。
なお、5%スラリーpHは下記方法で測定した値である。
試料5gを脱イオン水95mlに入れ、撹拌して懸濁液を調製し、医薬部外品原料規格一般試験法のpH測定法により撹拌2分経過後の25℃における読み値を5%スラリーpHとした。
このようにして製造される合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩は、適度な研磨性と高い清掃性を有し、歯磨用シリカ基剤として好適である。
一般に、歯磨用研磨剤の研磨性と清掃性を評価する方法については、それぞれRDA法や、タバコヤニ法が提案され、用いられているが、評価方法が煩雑であり、コストが多くかかるなどの問題から後述する測定方法にて評価することができる。
合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩の研磨性については、研磨板として金板を用い、その研磨量が0.4〜1.1mgの範囲が好ましい。下限未満であると研磨剤としての働きが期待できず、また上限を超えると研磨性が強すぎてしまうことがある。
本発明の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩の製造上の留意点は、前述の通り、反応をアルカリ側で開始することに加えて、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液中のシリカ(SiO2)分が完全に析出し終えるまでの工程で水溶性アルミニウム塩を添加、反応させることにあり、望ましくは水溶性アルミニウム塩を予め鉱酸中に含有させる方法である。即ち、全シリカが析出し終わった時点から水溶性アルミニウム塩を添加しても、目的の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩を得ることができない。例えば、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液と鉱酸とを同時に添加する方法では、両者の添加終了時までに水溶性アルミニウム塩を添加すべきである。水溶性アルミニウム塩の添加終了後、用途により所望するpHまで鉱酸を添加すればよい。
得られた合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩は、下記方法で測定したアルミニウム溶出率が100ppm以下とすることができ、アルミニウムが強固に結合したケイ酸塩を形成していると考えられる。上記のように水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液中のシリカ(SiO2)分が完全に析出し終えるまでの工程で水溶性アルミニウム塩を添加、反応させることが望ましく、全シリカが析出し終わった時点から水溶性アルミニウム塩を添加した場合は、シリカとの結合が不十分でアルミニウム溶出率は100ppmを大きく超える値となり、目的のケイ酸塩を得ることができないことがある。
アルミニウム溶出量の測定方法;
試料1gを100ml容三角フラスコに取り、1M硫酸80gを加え、95℃で3時間加熱・撹拌した。冷却後、メンブランフィルター(ADVANTEC Celluose Nitrate 0.3μm)を用いて濾過した濾液を全量100mlメスフラスコに取りメスアップを行い、供試液とした。次いで、この供試液中のアルミニウム量をJarrell−Ash製ICP−AESを用いて測定し、試料1g当たりのアルミニウム溶出量を求めた。
反応・リパルプ洗浄終了後は、通常の方法により、スラリーを濾過後、洗浄を行い、得られた合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩を液から分離し、乾燥、粉砕したものを研磨剤として使用することができる。
このようにして製造される合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩は、下記方法での粉末X線回折では無定形であり、1.85〜2.10nmの細孔径を有する。
細孔径の測定方法;
日本ベル(株)製BELSORP MINIを使用し、液体窒素を冷却剤に用い、−196℃において、窒素ガスを吸着させ、その窒素ガスの脱離量からDollimore−Heal法により細孔径分布を算出し、その最大頻度径を細孔径とした。試料の脱ガスは120℃で60分間行った。
粉末X線回折の測定方法;
X線回折は、(株)島津製作所製XRD−7000を使用し、Cu管球を用いて30kV、40mAの条件下で行った。
(A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩の配合量は、研磨性、清掃性、渋みの点から組成物全体の5〜35%、特に10〜30%、とりわけ10〜20%が好ましい。5%未満であると十分な清掃性が得られない。35%を超えると研磨性が適度な範囲を超え歯牙に対する為害性が高まり、また合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩由来の特有の渋味が抑えられなくなる。
(B)成分のl−メントールとしては、市販品を使用でき、高砂香料工業(株)から販売されているものなどを使用できる。また、(B)成分として、ペパーミント油、ハッカ油といったl−メントールを含有する香料を用いてもよい。
l−メントールの配合量は、組成物全体の0.1〜1.0%、特に0.2〜0.9%、とりわけ0.4〜0.7%が好適である。なお、(B)成分としてl−メントールを含有する香料を歯磨剤組成物に配合する場合は、組成物中のl−メントールの総含有量が上記範囲内となる範囲でl−メントール含有の香料を配合することが好ましい。配合量が0.1%未満では(A)成分のシリカ系研磨剤由来の渋味の低減効果が十分に得られない。1.0%を超えると口腔粘膜への刺激性が強くなる。
(C)成分は硫酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムであり、硫酸ナトリウム又は塩化ナトリウムを配合しても、硫酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを配合してもよい。
硫酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムを配合する場合、その総配合量は組成全体の0.1〜4.0%、特に0.2〜2.0%が好ましい。配合量が0.1%に満たないとメントール由来の刺激に対する低減効果が満足に発揮されず、4.0%を超えると異味が生じて使用感が低下する場合がある。
(C)成分の硫酸ナトリウムは、馬居化成工業(株)から販売されているものなど公知品を使用できる。塩化ナトリウムは、讃岐塩業(株)から販売されているものなど公知品を使用できる。
本発明の歯磨剤組成物は、練歯磨、液体歯磨、液状歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、特に練歯磨剤として調製できる。この場合、剤型に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、上記必須成分に加えて任意成分としてその他の公知の添加剤を配合できる。例えば研磨剤、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、甘味剤、防腐剤、有効成分、着色剤、香料等を配合でき、これら成分と水とを混合し製造できる。
研磨剤としては、(A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩に加えて、他の研磨剤、例えばシリカゲル、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第2リン酸カルシウム2水和物、第2リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム等のリン酸系研磨剤、水酸化アルミニウム、アルミナ、2酸化チタン、結晶性ジルコニウムシリケート、ポリメチルメタアクリレート、不溶性メタリン酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト、第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤などを、1種又は2種以上用いることができる。
上記した任意成分としての研磨剤は、組成全体の0〜30%配合でき、配合しなくてもよい。更に、(A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩との合計配合量が5〜50%となる範囲で配合することが好ましい。
粘稠剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、平均分子量200〜6000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、還元でんぷん糖化物等の糖アルコール、多価アルコールの1種又は2種以上を配合できる。配合量は通常、組成物全量に対して5〜70%である。
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース系粘結剤、キサンタンガム、カラギーナン、グアガム、アルギン酸ナトリウム、カチオン化セルロース、モンモリロナイト、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられ、これらを1種又は2種以上配合できる。配合量は通常、組成物全量に対して0.1〜5%である。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム等のアシルサルコシン塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、アルキルグルコシド、ラウリン酸デカグリセリル等が用いられる。中でも泡立ちの点からポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグリコシドが好適である。両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインや、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が用いられるが、上記に限られるものではない。界面活性剤の配合量は通常0.1〜10%である。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等、防腐剤としては、ブチルパラベン、エチルパラベン等のパラベン類、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
各種有効成分としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズなどのフッ素化合物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、ラウロイルサルコシンナトリウム、アスコルビン酸、酢酸dl−トコフェロール、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、クロルヘキシジン塩類、アズレン、グリチルレチン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェートなどのキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、塩化セチルピリジウム、塩化ベンゼトニウム、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物などが挙げられる。なお、有効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合できる。
香料としては、l−メントールに加えて、その他の香料、例えばアネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、n−デシルアルコール、シトロネロール、α−テレピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、桂葉油、シソ油、冬緑油、丁字油、ユーカリ油等が挙げられる。なお、これら香料を配合する場合、その配合量は0.1〜2.0%が好適である。
着色剤としては青色1号、黄色4号、緑色3号等が例示される。
なお、これら成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
本発明の歯磨剤組成物を収容する容器の材質は特に制限されず、通常、口腔用組成物に使用される容器を使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等のプラスチック容器等が使用できる。
本発明の歯磨剤組成物は、例えば後述する測定方法にて、研磨板として金板を用いて測定した研磨量が0.4〜1.1mgの範囲であることが歯牙に対する為害性の点から好ましい。研磨量が下限未満では汚れ落としの効果が期待できず、また上限を超えると研磨性が適度な範囲を超え、歯牙に対する為害性が高まる場合がある。
研磨量の測定方法;
水平往復ブラッシング式研磨機を使用し、歯磨分散液(歯磨剤組成物25gに水40mLを加え分散)を表面平滑な金板上に載せ、荷重400gをかけて20,000回研磨した後、金板の減量を測定し、これを研磨性とした。
また、本発明の歯磨剤組成物の清掃性については、歯牙の清掃回数が少ないほど清掃性が良く好ましく、例えば後述する実験例の試験方法において、ガラス板上の油性汚れが消失するブラッシング回数が30〜120回の範囲が好ましい。下限を下回ると実質的に研磨性が適度な範囲を超え、歯牙に対する為害性が高まる場合があり、上限を超えると清掃性に劣ることがある。
以下、調製例、実験例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において%は特に記載のない限り、いずれも質量%である。
[調製例]
表1に示す合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩(研磨剤B、C)を下記製造法により調製した。
150mmφタービン翼を有する撹拌機を設けた20L容邪魔板付き反応容器に、10%ケイ酸ナトリウム(Na2O・3.14SiO2)水溶液10kgを入れ、これに塩化ナトリウムをNa2O/SiO2として6.4%混合し、反応温度95℃に保持した。更に、表1に示す割合(Al23/SiO2)になるように、8%Al23硫酸アルミニウム溶液と10%硫酸の混合溶液を80mL/minの速度で添加し、次いで10%硫酸をpH7.0になるまで添加した。次に、生成したスラリーを濾過し、得られたウェットケーキをリパルプした。このリパルプ時に10%硫酸を添加してスラリーpHを8.0に調整した。その後、濾過・乾燥を行い、アルミニウム含有量の異なる合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩(研磨剤B、C)を製造した。なお、合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩の5%スラリーpHはいずれも9.1〜9.5の範囲で、アルミニウム溶出量は20〜35ppmの範囲であった。また、1.85〜2.10nmの細孔径を有していた。
[比較調製例1(研磨剤E)]
硫酸アルミニウム溶液を添加しない以外、上記調製例と同一条件で合成し、合成無定形ケイ酸塩(研磨剤E)を得た。
[比較調製例2(研磨剤F)]
上記調製例と同様の反応容器に、10%ケイ酸ナトリウム(Na2O・3.14SiO2)水溶液10kgを入れ、反応温度95℃に保持した。更に、表1に示す割合(Al23/SiO2)になるように、8%Al23硫酸アルミニウム溶液190mLと10%硫酸2850mLの混合溶液を80mL/minの速度で添加し、次いで10%硫酸をpH7.0になるまで添加した。次に、生成したスラリーを濾過し、得られたウェットケーキをリパルプした。このリパルプ時に10%硫酸を添加してスラリーpHを8.0に調整した。その後、濾過、乾燥、粉砕し合成無定形ケイ酸塩(研磨剤F)を得た。
[比較調製例3(研磨剤G)]
上記調製例と同様の反応容器に、10%ケイ酸ナトリウム(Na2O・3.14SiO2)水溶液5kgを入れ、反応温度95℃に保持した。更に、表1に示す割合(Al23/SiO2)になるように、8%Al23硫酸アルミニウム溶液190mLと10%硫酸2850mlの混合溶液を80mL/minの速度でシリカが析出するまで添加、停止し、10分間熟成した。そして、10%硫酸と8%Al23硫酸アルミニウム溶液の上記混合溶液の残液と、10%ケイ酸ナトリウム(Na2O・3.14SiO2)水溶液5kgをそれぞれ80mL/minと120mL/minの速度で添加し、次いで、pH7.0になるまで10%硫酸を添加した。次に、生成したスラリーを濾過し、得られたウェットケーキをリパルプした。このリパルプ時に10%硫酸を添加してスラリーpHを8.0に調整した。その後、濾過、乾燥、粉砕を行い、合成無定形ケイ酸塩(研磨剤G)を得た。
得られた研磨剤B、C、E〜GのOH基量は、以下の方法により測定した。表1中にOH基量を併記する。
OH基量測定法;
セイコー電子工業(株)製EXSTAR−6000を使用し、190℃〜900℃間の質量変化により、下記式を用いてOH/SiO2(質量%)を算定し、これをOH基量とした。なお、OH基量は190℃〜900℃の間に放出される水の量と同一とする。
OH/SiO2(質量%)=
((190℃焼成後の質量−900℃焼成後の質量)/190℃焼成後の質量)×100
Figure 0005444854
〔実験例1〕
上記で得られた研磨剤B、C、E〜Gを使用し、表2に示す組成の歯磨剤組成物を下記製造法により調製した。
(製造法)
(1)精製水中に水溶性成分(粘結剤、プロピレングリコールを除く)を常温で混合溶解させたA相を調製した。
(2)プロピレングリコール中に粘結剤を常温で分散させたB相を調製した。
(3)撹拌中のA相の中にB相を添加混合し、C相を調製した。
(4)C相中に、香料、研磨剤等の水溶性成分以外の成分を、1.5Lニーダー(石山工作所製)を用い常温で混合し、減圧(4kPa)による脱泡を行い、歯磨剤組成物1.2kgを得た。
得られた歯磨剤組成物を、最内層が直鎖状低密度ポリエチレンからなる直径26mmのラミネートチューブ(LDPE55/PET12/LDPE20/白LDPE60/EMAA20/AL10/EMAA30/LDPE20/LLDPE30、厚み257μm(大日本印刷(株)製))に50g充填した。
使用したラミネートチューブの層構成における略号と名称は以下の通りであり、略号に続く数字は各層の厚み(μm)を示したものである。
LDPE:低密度ポリエチレン
白LDPE:白色低密度ポリエチレン
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン
AL:アルミニウム
PET:ポリエチレンテレフタレート
EMAA:エチレン・メタクリル酸の共重合体樹脂
得られた歯磨剤組成物の研磨性、清掃性、渋味の程度について以下の方法により評価した。結果を表2に併記する。
(1)研磨性
水平往復ブラッシング式研磨機を使用し、表2に示す各組成の歯磨分散液(歯磨剤組成物25gに水40mLを加え分散)を表面平滑な金板上に載せ、荷重400gをかけて20,000回研磨した後、金板の減量を測定し、これを研磨性とした。
研磨性としては、上記測定値が0.4〜1.1mgの範囲が好ましい。この範囲を適度な研磨性とした。
(2)清掃性
油性マジックペン(ゼブラ(株)製、マッキー)を用いて、20×4mmの3本の線をガラス板(松浪硝子工業(株)製、Micro Slide Glass、76×52×1.1mm)に描き、表2に示す各組成の歯磨分散液(歯磨剤組成物25gに水40mLを加え分散)1gをそのガラス板上に載せ、水平往復ブラッシング式研磨機を使用し、荷重400gをかけて研磨し、そのマジックペンにより描いた3本の線が消失するブラッシング回数を測定し、これを清掃性とした。ブラッシング回数が30〜120回の範囲のものを清掃性が良いとした。
(3)渋味の程度
被験者10名を用い、表2に示す各組成の歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間歯磨きを行った際の渋味の程度について、<1>渋味を強く感じるを1点、<2>渋味を感じるを2点、<3>渋味をほとんど感じないを3点、<4>渋味を感じないを4点として、10名の平均点から以下の基準で渋味の程度を評価した。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
Figure 0005444854
表2の結果から、本発明の(A)合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩、及び(B)l−メントールを含有する歯磨剤組成物は、低い研磨性と高い清掃性とを有し、シリカ系研磨剤である上記合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩に由来する渋味が軽減され良好な使用感を有することが確認された。
〔実験例2〕
表3に示す組成の歯磨剤組成物を実験例1と同様の製造法で調製し、同様の方法でチューブに充填した。得られた歯磨剤組成物について上記と同様の評価を行い、更に口腔粘膜に対する刺激性の程度について下記方法で評価した。結果を表3に併記する。
(4)口腔粘膜に対する刺激性の程度
粘膜刺激に敏感な被験者10名を用い、表3に示す各組成の歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間歯磨きを行った際の口腔粘膜に対する刺激の程度を、<1>刺激を強く感じるを1点、<2>刺激を感じるを2点、<3>刺激をほとんど感じないを3点、<4>刺激を感じないを4点として、10名の平均点から以下の基準で口腔粘膜に対する刺激性を評価した。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
Figure 0005444854
表3の結果から、本発明にかかわる(A)及び(B)成分を含有し、更に硫酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムを含有することにより、適度な研磨性及び高清掃性を有しながら、渋味と共に刺激性も低減され、より使用感が向上することがわかった。
次に、表1に示す研磨剤B、Cを用いて下記組成の歯磨剤組成物を同様に調製した。なお、下記組成では、香料としてl−メントールを含有しない香料を使用した。l−メントールとしては、高砂香料工業(株)製のものを使用した。
下記組成の歯磨剤組成物は、上記と同様に評価した結果、各歯磨剤組成物の研磨性の評価結果は、いずれも0.4〜1.1mgの範囲内で、清掃性の評価結果はいずれもブラッシング回数30〜120回の範囲内であり、渋味の程度は○又は◎であり、適度な研磨性及び高清掃性を有しながら、使用感も良好であった。
[実施例]練歯磨
研磨剤B 20.0
l−メントール 0.6
塩化ナトリウム 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 0.9
香料 0.6
ゼオライト 1.5
酸化アルミニウム 2.0
ピロリン酸ナトリウム 1.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.2
増粘性シリカ 3.0
ソルビット液(70%) 30.0
サッカリンナトリウム 0.18
プロピレングリコール 3.0
フッ化ナトリウム 0.21
水 残
計 100.0%
[実施例]練歯磨
研磨剤C 18.0
l−メントール 0.7
硫酸ナトリウム 0.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.8
香料 0.5
酸化チタン 0.5
ポリリン酸ナトリウム 1.0
炭酸水素ナトリウム 0.3
水酸化ナトリウム 0.1
カラギーナン 0.3
キサンタンガム 0.6
増粘性シリカ 4.0
ソルビット液(70%) 40.0
サッカリンナトリウム 0.185
プロピレングリコール 3.0
メチルパラベン 0.07
ブチルパラベン 0.01
水 残
計 100.0%
[実施例10]練歯磨
研磨剤B 12.0
l−メントール 0.4
塩化ナトリウム 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.4
香料 0.7
酸化チタン 0.4
キサンタンガム 0.55
ポリアクリル酸ナトリウム 0.55
増粘性シリカ 3.0
ソルビット液(70%) 32.0
サッカリンナトリウム 0.17
キシリトール 5.0
プロピレングリコール 3.0
メチルパラベン 0.1
ブチルパラベン 0.01
フッ化ナトリウム 0.21
水 残
計 100.0%

Claims (5)

  1. (A)水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の存在下で、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩に水溶性アルミニウム塩と鉱酸とを添加、反応させて得られた、アルミニウムがAl23としてSiO2に対し1.54.5質量%の範囲で、かつOH基量がSiO2に対し2.0〜3.5質量%である合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩を5〜35質量%と、(B)l−メントールを0.1〜1.0質量%と、(C)硫酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムを0.1〜4質量%とを含有してなることを特徴とする歯磨剤組成物。
  2. (A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質を、2O(但し、Mはアルカリ金属を示す。)として水溶性アルカリ金属ケイ酸塩のSiO2に対して5〜30質量%使用して得たものである請求項記載の歯磨剤組成物。
  3. (A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、1.85〜2.10nmの細孔径を有するものである請求項1又は2記載の歯磨剤組成物。
  4. (A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、5質量%スラリーpHが8.0〜10.0である請求項1、2又は3記載の歯磨剤組成物。
  5. 荷重400gで20,000回研磨後の金板の研磨減量が0.4〜1.1mgである請求項1乃至4のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
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