JP5444854B2 - 歯磨剤組成物 - Google Patents
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〔1〕
(A)水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の存在下で、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩に水溶性アルミニウム塩と鉱酸とを添加、反応させて得られた、アルミニウムがAl2O3としてSiO2に対し1.5〜4.5質量%の範囲で、かつOH基量がSiO2に対し2.0〜3.5質量%である合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩を5〜35質量%と、(B)l−メントールを0.1〜1.0質量%と、(C)硫酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムを0.1〜4質量%とを含有してなることを特徴とする歯磨剤組成物。
〔2〕
(A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質を、M2O(但し、Mはアルカリ金属を示す。)として水溶性アルカリ金属ケイ酸塩のSiO2に対して5〜30質量%使用して得たものである〔1〕に記載の歯磨剤組成物。
〔3〕
(A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、1.85〜2.10nmの細孔径を有するものである〔1〕又は〔2〕に記載の歯磨剤組成物。
〔4〕
(A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、5質量%スラリーpHが8.0〜10.0である〔1〕、〔2〕又は〔3〕に記載の歯磨剤組成物。
〔5〕
荷重400gで20,000回研磨後の金板の研磨減量が0.4〜1.1mgである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
上記OH基量は、下記方法で測定した値である。
OH基量測定法;
セイコー電子工業(株)製EXSTAR−6000を使用し、190℃〜900℃間の質量変化により、下記式を用いてOH/SiO2(質量%)を算定し、これをOH基量とした。なお、OH基量は190℃〜900℃の間に放出される水の量と同一とする。
OH/SiO2(質量%)=
((190℃焼成後の質量−900℃焼成後の質量)/190℃焼成後の質量)×100
上記合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩は、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の存在下で、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性アルミニウム塩と鉱酸とを必須原料として反応させることで製造でき、この場合、特に水溶性アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に水溶性アルミニウム塩と鉱酸を添加し、反応させることが好ましく、更に、5%スラリーpHが8.0〜10.0になるように調整することが好ましい。
なお、5%スラリーpHは下記方法で測定した値である。
試料5gを脱イオン水95mlに入れ、撹拌して懸濁液を調製し、医薬部外品原料規格一般試験法のpH測定法により撹拌2分経過後の25℃における読み値を5%スラリーpHとした。
試料1gを100ml容三角フラスコに取り、1M硫酸80gを加え、95℃で3時間加熱・撹拌した。冷却後、メンブランフィルター(ADVANTEC Celluose Nitrate 0.3μm)を用いて濾過した濾液を全量100mlメスフラスコに取りメスアップを行い、供試液とした。次いで、この供試液中のアルミニウム量をJarrell−Ash製ICP−AESを用いて測定し、試料1g当たりのアルミニウム溶出量を求めた。
細孔径の測定方法;
日本ベル(株)製BELSORP MINIを使用し、液体窒素を冷却剤に用い、−196℃において、窒素ガスを吸着させ、その窒素ガスの脱離量からDollimore−Heal法により細孔径分布を算出し、その最大頻度径を細孔径とした。試料の脱ガスは120℃で60分間行った。
粉末X線回折の測定方法;
X線回折は、(株)島津製作所製XRD−7000を使用し、Cu管球を用いて30kV、40mAの条件下で行った。
l−メントールの配合量は、組成物全体の0.1〜1.0%、特に0.2〜0.9%、とりわけ0.4〜0.7%が好適である。なお、(B)成分としてl−メントールを含有する香料を歯磨剤組成物に配合する場合は、組成物中のl−メントールの総含有量が上記範囲内となる範囲でl−メントール含有の香料を配合することが好ましい。配合量が0.1%未満では(A)成分のシリカ系研磨剤由来の渋味の低減効果が十分に得られない。1.0%を超えると口腔粘膜への刺激性が強くなる。
硫酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムを配合する場合、その総配合量は組成全体の0.1〜4.0%、特に0.2〜2.0%が好ましい。配合量が0.1%に満たないとメントール由来の刺激に対する低減効果が満足に発揮されず、4.0%を超えると異味が生じて使用感が低下する場合がある。
上記した任意成分としての研磨剤は、組成全体の0〜30%配合でき、配合しなくてもよい。更に、(A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩との合計配合量が5〜50%となる範囲で配合することが好ましい。
なお、これら成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
水平往復ブラッシング式研磨機を使用し、歯磨分散液(歯磨剤組成物25gに水40mLを加え分散)を表面平滑な金板上に載せ、荷重400gをかけて20,000回研磨した後、金板の減量を測定し、これを研磨性とした。
表1に示す合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩(研磨剤B、C)を下記製造法により調製した。
150mmφタービン翼を有する撹拌機を設けた20L容邪魔板付き反応容器に、10%ケイ酸ナトリウム(Na2O・3.14SiO2)水溶液10kgを入れ、これに塩化ナトリウムをNa2O/SiO2として6.4%混合し、反応温度95℃に保持した。更に、表1に示す割合(Al2O3/SiO2)になるように、8%Al2O3硫酸アルミニウム溶液と10%硫酸の混合溶液を80mL/minの速度で添加し、次いで10%硫酸をpH7.0になるまで添加した。次に、生成したスラリーを濾過し、得られたウェットケーキをリパルプした。このリパルプ時に10%硫酸を添加してスラリーpHを8.0に調整した。その後、濾過・乾燥を行い、アルミニウム含有量の異なる合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩(研磨剤B、C)を製造した。なお、合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩の5%スラリーpHはいずれも9.1〜9.5の範囲で、アルミニウム溶出量は20〜35ppmの範囲であった。また、1.85〜2.10nmの細孔径を有していた。
硫酸アルミニウム溶液を添加しない以外、上記調製例と同一条件で合成し、合成無定形ケイ酸塩(研磨剤E)を得た。
上記調製例と同様の反応容器に、10%ケイ酸ナトリウム(Na2O・3.14SiO2)水溶液10kgを入れ、反応温度95℃に保持した。更に、表1に示す割合(Al2O3/SiO2)になるように、8%Al2O3硫酸アルミニウム溶液190mLと10%硫酸2850mLの混合溶液を80mL/minの速度で添加し、次いで10%硫酸をpH7.0になるまで添加した。次に、生成したスラリーを濾過し、得られたウェットケーキをリパルプした。このリパルプ時に10%硫酸を添加してスラリーpHを8.0に調整した。その後、濾過、乾燥、粉砕し合成無定形ケイ酸塩(研磨剤F)を得た。
上記調製例と同様の反応容器に、10%ケイ酸ナトリウム(Na2O・3.14SiO2)水溶液5kgを入れ、反応温度95℃に保持した。更に、表1に示す割合(Al2O3/SiO2)になるように、8%Al2O3硫酸アルミニウム溶液190mLと10%硫酸2850mlの混合溶液を80mL/minの速度でシリカが析出するまで添加、停止し、10分間熟成した。そして、10%硫酸と8%Al2O3硫酸アルミニウム溶液の上記混合溶液の残液と、10%ケイ酸ナトリウム(Na2O・3.14SiO2)水溶液5kgをそれぞれ80mL/minと120mL/minの速度で添加し、次いで、pH7.0になるまで10%硫酸を添加した。次に、生成したスラリーを濾過し、得られたウェットケーキをリパルプした。このリパルプ時に10%硫酸を添加してスラリーpHを8.0に調整した。その後、濾過、乾燥、粉砕を行い、合成無定形ケイ酸塩(研磨剤G)を得た。
OH基量測定法;
セイコー電子工業(株)製EXSTAR−6000を使用し、190℃〜900℃間の質量変化により、下記式を用いてOH/SiO2(質量%)を算定し、これをOH基量とした。なお、OH基量は190℃〜900℃の間に放出される水の量と同一とする。
OH/SiO2(質量%)=
((190℃焼成後の質量−900℃焼成後の質量)/190℃焼成後の質量)×100
上記で得られた研磨剤B、C、E〜Gを使用し、表2に示す組成の歯磨剤組成物を下記製造法により調製した。
(製造法)
(1)精製水中に水溶性成分(粘結剤、プロピレングリコールを除く)を常温で混合溶解させたA相を調製した。
(2)プロピレングリコール中に粘結剤を常温で分散させたB相を調製した。
(3)撹拌中のA相の中にB相を添加混合し、C相を調製した。
(4)C相中に、香料、研磨剤等の水溶性成分以外の成分を、1.5Lニーダー(石山工作所製)を用い常温で混合し、減圧(4kPa)による脱泡を行い、歯磨剤組成物1.2kgを得た。
使用したラミネートチューブの層構成における略号と名称は以下の通りであり、略号に続く数字は各層の厚み(μm)を示したものである。
LDPE:低密度ポリエチレン
白LDPE:白色低密度ポリエチレン
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン
AL:アルミニウム
PET:ポリエチレンテレフタレート
EMAA:エチレン・メタクリル酸の共重合体樹脂
水平往復ブラッシング式研磨機を使用し、表2に示す各組成の歯磨分散液(歯磨剤組成物25gに水40mLを加え分散)を表面平滑な金板上に載せ、荷重400gをかけて20,000回研磨した後、金板の減量を測定し、これを研磨性とした。
研磨性としては、上記測定値が0.4〜1.1mgの範囲が好ましい。この範囲を適度な研磨性とした。
油性マジックペン(ゼブラ(株)製、マッキー)を用いて、20×4mmの3本の線をガラス板(松浪硝子工業(株)製、Micro Slide Glass、76×52×1.1mm)に描き、表2に示す各組成の歯磨分散液(歯磨剤組成物25gに水40mLを加え分散)1gをそのガラス板上に載せ、水平往復ブラッシング式研磨機を使用し、荷重400gをかけて研磨し、そのマジックペンにより描いた3本の線が消失するブラッシング回数を測定し、これを清掃性とした。ブラッシング回数が30〜120回の範囲のものを清掃性が良いとした。
被験者10名を用い、表2に示す各組成の歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間歯磨きを行った際の渋味の程度について、<1>渋味を強く感じるを1点、<2>渋味を感じるを2点、<3>渋味をほとんど感じないを3点、<4>渋味を感じないを4点として、10名の平均点から以下の基準で渋味の程度を評価した。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
表3に示す組成の歯磨剤組成物を実験例1と同様の製造法で調製し、同様の方法でチューブに充填した。得られた歯磨剤組成物について上記と同様の評価を行い、更に口腔粘膜に対する刺激性の程度について下記方法で評価した。結果を表3に併記する。
粘膜刺激に敏感な被験者10名を用い、表3に示す各組成の歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間歯磨きを行った際の口腔粘膜に対する刺激の程度を、<1>刺激を強く感じるを1点、<2>刺激を感じるを2点、<3>刺激をほとんど感じないを3点、<4>刺激を感じないを4点として、10名の平均点から以下の基準で口腔粘膜に対する刺激性を評価した。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
下記組成の歯磨剤組成物は、上記と同様に評価した結果、各歯磨剤組成物の研磨性の評価結果は、いずれも0.4〜1.1mgの範囲内で、清掃性の評価結果はいずれもブラッシング回数30〜120回の範囲内であり、渋味の程度は○又は◎であり、適度な研磨性及び高清掃性を有しながら、使用感も良好であった。
研磨剤B 20.0
l−メントール 0.6
塩化ナトリウム 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 0.9
香料 0.6
ゼオライト 1.5
酸化アルミニウム 2.0
ピロリン酸ナトリウム 1.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.2
増粘性シリカ 3.0
ソルビット液(70%) 30.0
サッカリンナトリウム 0.18
プロピレングリコール 3.0
フッ化ナトリウム 0.21
水 残
計 100.0%
研磨剤C 18.0
l−メントール 0.7
硫酸ナトリウム 0.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.8
香料 0.5
酸化チタン 0.5
ポリリン酸ナトリウム 1.0
炭酸水素ナトリウム 0.3
水酸化ナトリウム 0.1
カラギーナン 0.3
キサンタンガム 0.6
増粘性シリカ 4.0
ソルビット液(70%) 40.0
サッカリンナトリウム 0.185
プロピレングリコール 3.0
メチルパラベン 0.07
ブチルパラベン 0.01
水 残
計 100.0%
研磨剤B 12.0
l−メントール 0.4
塩化ナトリウム 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.4
香料 0.7
酸化チタン 0.4
キサンタンガム 0.55
ポリアクリル酸ナトリウム 0.55
増粘性シリカ 3.0
ソルビット液(70%) 32.0
サッカリンナトリウム 0.17
キシリトール 5.0
プロピレングリコール 3.0
メチルパラベン 0.1
ブチルパラベン 0.01
フッ化ナトリウム 0.21
水 残
計 100.0%
Claims (5)
- (A)水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質の存在下で、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩に水溶性アルミニウム塩と鉱酸とを添加、反応させて得られた、アルミニウムがAl2O3としてSiO2に対し1.5〜4.5質量%の範囲で、かつOH基量がSiO2に対し2.0〜3.5質量%である合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩を5〜35質量%と、(B)l−メントールを0.1〜1.0質量%と、(C)硫酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムを0.1〜4質量%とを含有してなることを特徴とする歯磨剤組成物。
- (A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩電解質を、M2O(但し、Mはアルカリ金属を示す。)として水溶性アルカリ金属ケイ酸塩のSiO2に対して5〜30質量%使用して得たものである請求項1記載の歯磨剤組成物。
- (A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、1.85〜2.10nmの細孔径を有するものである請求項1又は2記載の歯磨剤組成物。
- (A)成分の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩が、5質量%スラリーpHが8.0〜10.0である請求項1、2又は3記載の歯磨剤組成物。
- 荷重400gで20,000回研磨後の金板の研磨減量が0.4〜1.1mgである請求項1乃至4のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
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