JP5443657B2 - シートの異方性熱伝導組成物の成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導特性に優れた異方性熱伝導組成物の成形品に関する。
半導体素子の集積密度の高度化に伴い、発熱を伴う電子部品を搭載した実装基板からの放熱対策が重要な検討課題となっている。放熱機構としては、高温部と低温部とを接続する熱伝導経路を形成することが提案されており、このような熱伝導経路を形成するものとして、様々な放熱シートが開発されている。放熱シートには、一定レベルの熱伝導性、強度およびシールド性が要求される。そこで、放熱シートの熱伝導特性等を向上させるために、黒鉛材料を含む組成物をシート化して利用することが検討されている。
例えば特許文献1は、熱可塑性樹脂のマトリックスに、アスペクト比が10〜20であり、平均粒径が10〜200μmである黒鉛粒子を分散させた熱伝導性組成物を提案している。
また、特許文献2は、エラストマー成分に、ピッチ系炭素繊維や黒鉛チップを分散させたエラストマー組成物を提案している。ピッチ系炭素繊維は、150μmから2mmの短繊維であり、黒鉛チップは、厚さ10μm〜150μm、幅100μm〜1mm、長さ150μm〜2mmのものが用いられている。
特開2007−224265号公報 特開2009−149769号公報
しかしながら、一般的な黒鉛粒子を含む組成物の熱伝導性は、黒鉛粒子の含有量にほぼ比例して線形的に向上する。すなわち、黒鉛粒子の含有量を増量すれば、組成物の熱伝導性は向上する。ただし、黒鉛粒子の含有量を増量するに従い、組成物の成形性が低下したり、組成物から成形されるシートが脆くなったりする。そのため、特許文献1のように、黒鉛粒子を熱可塑性樹脂のマトリックスに分散させるだけでは、組成物の熱伝導性の向上には限界がある。
一方、特許文献2のように、炭素繊維を含む組成物の場合、マトリックス樹脂2内で炭素繊維1を図9に示すように一方向に配向させることで、配向方向への熱伝導性を向上させることができると考えられる。しかしながら、炭素繊維1はその長さ方向にしか熱を効率よく拡散させることができないため、高度な放熱を促す熱伝導経路を形成することは困難である。
本発明は、上記状況に鑑み、シート化するのに適するとともに、シートに優れた異方性熱伝導経路を形成し得る組成物を提供することを一つの目的とする。
本発明の一局面は、鱗片状黒鉛粒子と、鱗片状黒鉛粒子を分散させる樹脂成分とを含み、鱗片状黒鉛粒子において、ベーサル面での最大径をa、最大径aと直交するベーサル面での最大径をb、ベーサル面に対して直交する平均厚みをcとした場合、最大径aが1μm以上、30μm以下であり、a/bが、1以上、20以下であり、a/cが平均値で30以上であり、鱗片状黒鉛粒子の含有量が、40質量%より多く、90質量%以下である、シートの異方性熱伝導組成物の成形品に関する。
本発明に係る異方性熱伝導組成物は、特有の形状を有する鱗片状黒鉛粒子を含むことから、シート化された際には、異方性熱伝導経路を効率よく形成することができる。よって、高温部から低温部に熱を拡散させる熱伝導経路として適したシートの成形品(放熱シート等)を提供することができる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
鱗片状黒鉛粒子の形状を示す模式図である。 本発明に係る異方性熱伝導組成物内における鱗片状黒鉛粒子の配向状態を示す模式図である。 鱗片状黒鉛粒子の配向状態を評価する方法を示す模式図である。 比較例1の組成物から形成されたシートのX軸方向(当該シートを形成するときの組成物の流動方向)に平行な断面のSEM像である。 実施例1の組成物から形成されたシートのX軸方向に平行な断面のSEM像である。 実施例3の組成物から形成されたシートのX軸方向に平行な断面のSEM像である。 実施例3の組成物から形成されたシートのY軸方向(X軸方向に垂直な方向)に平行な断面のSEM像である。 組成物に含まれる黒鉛粒子の含有量と、その組成物から得られるシートの熱伝導率との関係を示すグラフであり、グラフAは実施例1〜4および比較例1の組成物の関係を示し、グラフBは比較例3〜5の組成物の関係を示す。 従来の異方性熱伝導組成物内における炭素繊維の配向状態を示す模式図である。
本発明に係る異方性熱伝導組成物は、鱗片状黒鉛粒子と、これを分散させる樹脂成分とを含む。このような組成物にせん断力や圧力を印加すると、鱗片状黒鉛粒子のベーサル面は一方向に配向する性質を有する。そして、鱗片状黒鉛粒子が配向することにより、組成物は当該一方向において、より大きな熱伝導性を示すようになる。組成物をシートの形状に成形すれば、鱗片状黒鉛粒子のベーサル面はシートの面方向に配向し、シートの面方向において優れた熱伝導性を発現する。このようなシートは、発熱を伴う電子部品を搭載した実装基板等において、高温部と低温部とを接続する熱伝導経路を形成する放熱シートとして好適である。
ここで、鱗片状黒鉛粒子のベーサル面での最大径をa、ベーサル面に対して直交する厚みをcとした場合、鱗片状黒鉛粒子の厚さcに対する最大径a(以下、長径a)の比:a/cは、平均値で30以上である。長径aは1μm以上、30μm以下であることが好ましい。また、最大径aと直交するベーサル面での最大径(以下、短径)をbとした場合、短径bに対する長径aの比:a/bは、1以上、20以下であることが好ましい。鱗片状黒鉛粒子がこのような特有の形状を有する場合、鱗片状黒鉛粒子が一方向に配向したときには粒子同士が接触する確率が高くなり、かつ接触箇所における粒子同士の接触面積も大きくなると考えられる。従って、熱伝導経路を効率よく形成できると考えられる。また、鱗片状黒鉛粒子が上記のような形状を有することで、組成物をシートの形状に成形しやすくなる。
鱗片状黒鉛粒子の長径aとは、図1に示すように、黒鉛粒子3のベーサル面と平行な方向P(矢印の方向)における最大径である。また、鱗片状黒鉛粒子3の短径bとは、長径aと直交する鱗片状黒鉛粒子3の幅の最大値である。短径bに対する長径aの比(縦横比またはアスペクト比ともいう)は1であってもよく、その場合は長径aと短径bは互換性がある。更に、鱗片状黒鉛粒子3の厚さcは、図1に示すように、ベーサル面と直交する方向の最大径である。
また、異方性熱伝導組成物の全体に占める鱗片状黒鉛粒子の含有量は、40質量%より多く、90質量%以下に制御される。このような含有量の範囲内では、鱗片状黒鉛粒子同士の接触が顕著となり、非線形的な熱伝導率の向上が見られるからである。すなわち、上記形状の鱗片状黒鉛粒子を用いる場合、従来の一般的な鱗片状黒鉛粒子を用いる場合に比べて少量の使用でも、十分に高い熱伝導性を発現する組成物を得ることが可能となる。
シートの形状に成形された異方性熱伝導組成物の成形品において、鱗片状黒鉛粒子のベーサル面とシートの面方向とが成す小さい方の角度θは、平均値で1°以上、30°以下である。a/c比が30以上である鱗片状黒鉛粒子を、角度θが30°以内となるように配向させることで、非常に高い異方性熱伝導特性を有する成形品となる。このような成形品を用いることにより、電子部品などの発熱体から効果的に熱を拡散させる熱伝導経路を構築することが可能となる。
以下、本発明に係る異方性熱伝導組成物の構成要素について、より詳細に説明する。
(鱗片状黒鉛粒子の製造)
a/c比が30以上である鱗片状黒鉛粒子は、例えば、黒鉛フィルムを粉砕することにより得ることができる。あるいは、天然黒鉛を、a/c比が30以上である鱗片状に加工してもよい。1種の鱗片状黒鉛粒子を単独で使用してもよく、長径aおよびa/c比が上記条件を満たす限り、複数種の鱗片状黒鉛粒子を混合して用いてもよい。
黒鉛フィルムは、高分子フィルムを不活性ガスの流通下で、2400℃以上、好ましくは2600〜3000℃の高温で焼成して黒鉛化することにより得ることができる。焼成は一段階で行ってもよく、二段階以上に分けて、それぞれ温度を変えて行ってもよい。不活性ガスは、特に限定されないが、窒素、アルゴンなどが安価で好ましい。焼成時間は、特に限定されないが、例えば2〜6時間が好ましい。
黒鉛化される前の高分子フィルムの厚さは、鱗片状黒鉛粒子の厚さcに合わせて適宜選択すればよいが、例えば400μm以下であり、10〜200μmとすることが好ましい。比較的厚い高分子フィルムを出発物質として用いる場合でも、黒鉛フィルムを粉砕するときに黒鉛の層間で剥離が起るため、より薄い鱗片状黒鉛粒子を得ることができる。
高分子フィルムの材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリ(p−フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(m−フェニレンベンゾイミタゾール)、ポリ(フェニレンベンゾビスイミタゾール)、ポリチアゾール、ポリパラフェニレンビニレンなどが好ましい。これらの材料をフィルム化する方法は特に限定されない。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。例えば、それぞれ異なる複数種のフィルムを黒鉛化し、粉砕してから、それらを混合してもよく、複数種の材料を予め複合化もしくはアロイ化してからフィルム化し、そのフィルムを黒鉛化して用いてもよい。
得られた黒鉛フィルムを粉砕処理することにより、鱗片状黒鉛粒子が得られる。粉砕方法は、特に限定されないが、黒鉛粒子同士を衝突させるか、または黒鉛粒子と硬度の高い媒体物質とを物理的に衝突させる方法が好ましい。このような方法として、例えば、ボールミル法、ナノマイザ法、ジェットミル法等を挙げることができる。
粉砕する黒鉛フィルムの厚さは、所望の鱗片状黒鉛粒子の厚さcに応じて適宜選択すればよいが、例えば1μm〜100μmである。
天然黒鉛を加工する場合は、天然黒鉛を硫酸に浸漬後、加熱し、黒鉛層間を膨張させる前処理を行うことが好ましい。このような処理を行った後に、膨張した黒鉛にせん断力を付与することにより、層間における剥離が促進され、厚さcが1μm以下の鱗片状黒鉛粒子を得ることができる。
(鱗片状黒鉛粒子の形状)
鱗片状黒鉛粒子は、例えば図1のような形状を有し、上述のように、a/c比が30以上であるという条件を満たす必要がある。
a/c比が30未満では、黒鉛粒子間の接触箇所が減少し、異方性熱伝導特性を向上させる効果が小さくなる。鱗片状黒鉛粒子同士の接触箇所の数をより増大させるとともに、当該接触箇所における粒子同士の接触面積をより大きくする観点から、a/c比は80以上がより好ましい。一方、樹脂成分中での形状保持の観点から、a/c比は200以下が好ましく、150以下がより好ましい。
鱗片状黒鉛粒子の長径aは、1μm以上、30μm以下であることが好ましい。長径aが1μm未満では、鱗片状黒鉛粒子の樹脂成分中での配向が困難となり、例えば、押し出し成形やロール圧延により、組成物をシートの形状に成形したとしても、鱗片状黒鉛粒子同士の接触箇所の数や粒子同士の接触面積を十分に確保することが困難になることがある。一方、長径aが30μmより大きくなると、樹脂成分中での黒鉛粒子の分散性が低下し、十分な熱伝導性が得られないことがある。黒鉛粒子の配向を容易にするとともに、樹脂成分中での良好な分散性を確保するためには、長径aは3〜25μmがより好ましい。
鱗片状黒鉛粒子は、a/c比が30以上であることから、厚さcは小さく、例えば長径aが30μm以下である場合、厚さcは最大でも1μmである。このような薄さを有する限り、鱗片状黒鉛粒子の短径bに対する長径aの比:a/bは、特に限定されないが、a/b比は、1以上、20以下であることが好ましい。a/b比が20より大きくなると、樹脂成分中での鱗片状黒鉛粒子の形状維持が困難となる場合がある。
ここで、長径a、短径bおよび厚さcは、いずれも20個の鱗片状黒鉛粒子の平均値である。すなわち、20個の任意に選択される鱗片状黒鉛粒子について、それぞれ長径a、短径bおよび厚さcを測定し、更にa/b比およびa/c比を計算する。そして、各値の平均値を求める。鱗片状黒鉛粒子の長径a、短径bおよび厚さcは、走査型電子顕微鏡を用いることで測定することができる。
黒鉛フィルムを粉砕して鱗片状黒鉛粒子を得る場合、鱗片状黒鉛粒子の粒度分布は正規分布か、またはこれに近い分布になると考えられる。従って、レーザ回折式の粒度分布測定装置で得られる累積体積50%におけるメディアン径に対して誤差が30%以内の長径aを有する粒子を20個選択して各パラメータの平均値を求めることが望ましい。
なお、異なる粒度分布を有する2種以上の鱗片状黒鉛粒子を混合して用いてもよい。そのような場合でも、混合物におけるa/c比の平均値が30以上であるという条件を満たす限り、特に制限なく用いることができる。このとき、混合物における長径aの平均値が1μm以上、30μm以下であることが好ましい。
(樹脂成分)
樹脂成分は、特に限定されるものではなく、様々な熱可塑性樹脂もしくはエラストマーを用いることができる。ゴム弾性を有さない熱可塑性樹脂とエラストマーとの混合物を用いてもよい。中でもエラストマーを用いることが好ましく、樹脂成分中の50質量%以上はエラストマーであることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体等のスチレン系重合体、ABS樹脂、AES樹脂等のゴム強化樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリエチレン等のオレフィン系重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系重合体、ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体;ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系重合体、ウレタン系重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、これらの複数種をアロイ化して用いることもできる。
エラストマーとしては、特に限定されないが、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(添加剤)
本発明に係る異方性熱伝導組成物は、鱗片状黒鉛粒子および樹脂成分の他に、様々な添加剤を含むことができる。特に、異方性熱伝導組成物がエラストマーを含むゴム組成物である場合には、様々な添加剤が用いられる。ゴム組成物の添加剤としては、特に限定されないが、ゴム成分を架橋する架橋剤、ゴム成分の機械的強度を向上させるカーボンブラック(ケッチェンブラック、アセチレンブラック等)、ゴムの硬度調整のために適量用いられる可塑剤などが挙げられる。その他、ステアリン酸などの加硫補助剤、劣化防止剤、オイル、滑材、無機粒子(シリカ、アルミナ等)等を必要に応じて組成物に添加することができる。
架橋剤としては、硫黄系架橋剤(加硫剤)、過酸化物等を組成物に適量添加することが好ましい。また、シリコーンゴムを樹脂成分に用いる場合には、シリコーン硬化用の硬化剤(例えば3級アミン化合物等)を添加することが好ましい。また、硬化促進剤として、酸化亜鉛、活性酸化亜鉛等を組成物に適量添加してもよい。
添加剤の量は、異方性熱伝導組成物の全体の30質量%以下とすることが好ましい。添加剤の量を適量にすることで、鱗片状黒鉛粒子と樹脂成分との量的バランスが保持され、組成物の良好な熱伝導性が維持されやすくなるとともに、成形性や強度も確保しやすくなるからである。
(鱗片状黒鉛粒子の含有量)
本発明に係る異方性熱伝導組成物は、鱗片状黒鉛粒子を40重量%より多く含む。鱗片状黒鉛粒子の含有量が40質量%より少ないと、鱗片状黒鉛粒子が上記のような特有の形状を有する場合であっても、鱗片状黒鉛粒子同士の接触箇所が少なすぎるため、粒子同士の接触面積を増大させる顕著な効果が得られない。すなわち、鱗片状黒鉛粒子を40質量%以下しか含まない組成物の異方性熱伝導特性は、一般的な鱗片状黒鉛粒子を含む組成物と同等になる。鱗片状黒鉛粒子の含有量が40質量%以下の範囲では、組成物の熱伝導性は、黒鉛粒子の含有量にほぼ比例して線形的に増加するに過ぎない。一方、異方性熱伝導組成物が鱗片状黒鉛粒子を40重量%より多く含む場合、組成物の熱伝導性は黒鉛粒子の含有量に対して非線形的に増加する。これは粒子形状が、粒子同士の個々の接触箇所における接触面積を十分に確保するのに適した形状であることに基づくものと考えられる。
なお、異方性熱伝導組成物に含まれる鱗片状黒鉛粒子の含有量が、90質量%より大きくなると、組成物の成形性が低下するとともに、組成物が脆くなる傾向がある。
組成物の成形性と強度を十分に確保しつつ、高い熱伝導性を達成する観点から、組成物に含まれる鱗片状黒鉛粒子の含有量は、90質量%以下とすることが好ましく、80質量%以下とすることが更に好ましい。また、組成物に含まれる鱗片状黒鉛粒子の含有量は、40質量%より多くすることが好ましく、43質量%より多くすることが更に好ましい。なお、これらの上限および下限は任意に組み合わせてもよい。
(放熱シートの製造方法)
<第1工程>
まず、異方性熱伝導組成物を調製する。その調製方法は特に限定されず、組成物に含まれる樹脂成分、鱗片状黒鉛粒子および必要に応じて添加剤を、それぞれ適切な順序で配合して混練すればよい。ただし、樹脂成分として、エラストマー(ゴム成分)を用いる場合には、混練時の熱でゴムの架橋が進行しないように、まず、ゴム架橋剤を除いた材料の混練を行い、その後、ゴム架橋剤を加えて更に混練を行うことが望ましい。
組成物の混練方法は、特に限定されないが、例えばロール混練法が挙げられる。ロール混練法では、組成物を一対のロール間のギャップに通して組成物をシートに成形する。組成物がロール間に挟み込まれ、間隙を通過する際に、組成物は回転するロールにより、ずりせん断力を受け、ロールの回転方向と平行な方向に伸長される。その際、樹脂成分のマトリックスが伸長されるのに伴い、組成物中に分散している鱗片状黒鉛粒子も同じ方向に配向する。その結果、鱗片状黒鉛粒子のベーサル面がシートの面方向に配向した状態が達成される。鱗片状黒鉛粒子の配向性を高めるために、シートを複数回ロール間に通すことが好ましい。また、シートが一方のロールに張り付いた状態でロール間から送り出される場合には、シートをロールから剥がして裏返してから、更にロール間に通すことが好ましい。
ロール混練法により組成物の混練を行う前に、バンバリーミキサなどの密閉型混練機により、組成物の原料の予備混練を行ってもよい。
<第2工程>
次に、組成物を所望の厚さのシートに成形する。シートの成形方法は、シートの厚さを調整できる方法であれば、特に限定されないが、例えば、シートの厚さ方向に十分な圧力が印加され、鱗片状黒鉛粒子のベーサル面がシートの面方向に配向しやすい点で、カレンダー成形が好適である。
カレンダー成形は、組成物を連続的に、少なくとも一対のロール間に供給して、組成物をシートに成形した後、巻き取りロールでシートを巻き取る方法であり、連続的な製造に適している。また、前段階において、熱ロール間で圧延を行い、その後、冷却ロール間で圧延を行うことにより、シートの厚さの精度を高めることができる。
また、バンバリーミキサなどの密閉型混練機により、組成物の混練を十分に行った後、混練後の組成物の押し出し成形を行ってもよい。押し出し成形では、シートの形状に適合させた口金もしくは金型から組成物を連続的に押し出すことにより、シートが形成される。押し出し時には、組成物に対して押し出し方向に向かうせん断力が印加され、これにより鱗片状黒鉛粒子のベーサル面がシートの面方向に配向する。押し出し成形後のシートを、更に、カレンダーロール間でプレスしてもよい。
組成物がゴム成分を含む場合には、必要に応じて加熱を行い、架橋剤の反応による架橋(加硫)を進行させることにより、優れた柔軟性と強度を有するシートが得られる。その後、シートをその面に対して垂直な方向に裁断することにより、所望の形状の放熱シートのような製品が得られる。
なお、ゴム成分の架橋は、カレンダー成形における熱ロール間を通す際に、組成物に十分な熱エネルギーを供給して進行させることも可能である。
(鱗片状黒鉛粒子の配向性)
図2は、シートの形状に成形された異方性熱伝導組成物の内部構造を模式的に示している。組成物のシート5は、マトリックス樹脂4と、マトリックス樹脂4に分散した状態の鱗片状黒鉛粒子3とで構成されている。上記のような方法で製造されたシート5の内部では、図2に示すように、鱗片状黒鉛粒子3のベーサル面とシート5の面方向Sとが、ほぼ同じ方向を向くように、鱗片状黒鉛粒子3が配向している。このような鱗片状黒鉛粒子3の配向状態については、シート5をその面方向Sに対して垂直な方向に裁断した断面を、走査型電子顕微鏡で観察することで確認できる。
図3は、図2に示すようなシート5の面方向Sに対して垂直な断面を模式的に示している。図中の破線6は、シート5の面方向Sと平行に任意に描いた、鱗片状黒鉛粒子の配向度合いを測定するための基準線である。鱗片状黒鉛粒子の配向度合いは、シート5の面方向Sと平行な基準線6と鱗片状黒鉛粒子3のベーサル面とが成す角度θにより評価することができる。ただし、角度θは鋭角であり、かつ絶対値で評価する。すなわち、図3において、黒鉛粒子3aの面方向と基準線6とが成す角度θ1と、黒鉛粒子3bの面方向と基準線6とが成す角度θ2は、角度θ1とθ2の大きさが同じであれば、黒鉛粒子3aと3bの配向度合いは同じである。
ここで、鱗片状黒鉛粒子3のベーサル面とシート5の面方向Sとが成す角度θは、平均値で1°以上、30°以下であることが好ましい。角度θの平均値を1°以上とすることで、黒鉛粒子同士の接触点の数が十分に確保されるため、高い熱伝導度を有するシートを得ることが可能となる。黒鉛粒子同士の接触点の数をより多くするためには、角度θは、5°以上であることがより好ましい。また、角度θを30°以下とすることで、鱗片状黒鉛粒子3はシート5の面方向Sにおける熱伝導度を十分に大きくできる程度に配向することとなる。一方、シートの厚さ方向への熱伝導性は抑制されることとなる。
角度θは、20個の鱗片状黒鉛粒子の平均値である。すなわち、シートの面方向Sに対して垂直な断面において観測される20個の任意に選択される鱗片状黒鉛粒子について、それぞれ角度θを測定し、各値の平均値を求めればよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
《実施例1−4》
(i)鱗片状黒鉛粒子の製造
厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、カプトンフィルム)を、アルゴンガス雰囲気中で、2600℃で4時間熱処理し、黒鉛フィルムを得た。得られた黒鉛フィルムを、ジェットミルにより15分間かけて粉砕した。粉砕時の分級部の回転数は20000回転とした。その結果、以下の形状を有する鱗片状黒鉛粒子が得られた。
長径aの平均値:5.5μm
厚さcに対する長径aの比(a/c比)の平均値:100
短径bに対する長径aの比(a/b比)の平均値:2
(ii)異方性熱伝導組成物の調製
得られた鱗片状黒鉛粒子と、EPDM(住友化学工業(株)製、エスプレン)と、過酸化物架橋剤と、ステアリン酸とを混合し、8インチの2本ロール混練機により十分に混練し、異方性熱伝導組成物を調製するとともに、組成物中の鱗片状黒鉛粒子の面方向Pを配向させた。
異方性熱伝導組成物に含まれる鱗片状黒鉛粒子の含有量を表1に示す。
過酸化物架橋剤およびステアリン酸は、各条件において組成物の2質量%および0.3質量%とした。その後、組成物を1mmの厚さのシートになるように、上記の2本ロール混練機を用いて成形し、更に170℃で10分間加熱して加硫を進行させた。
《実施例5−6》
実施例1−4と同様の条件で得られた黒鉛フィルムを、ジェットミルにより、分級部の回転数を7000回転に設定して、15分間かけて粉砕した。その結果、以下の形状を有する鱗片状黒鉛粒子が得られた。
長径aの平均値:17μm
厚さcに対する長径aの比(a/c比):100
短径bに対する長径aの比(a/b比)の平均値:2
上記の鱗片状黒鉛粒子を表1の含有量で組成物に含ませたこと以外、実施例1−4と同様にして、異方性熱伝導組成物を調製し、これをシートに成形し、加硫を進行させた。
《比較例1》
実施例1−4で使用した鱗片状黒鉛粒子を表2の含有量で組成物に含ませたこと以外、実施例1−4と同様にして、組成物を調製し、これをシートに成形し、加硫を進行させた。
《比較例2》
実施例5−6で使用した鱗片状黒鉛粒子を表2の含有量で組成物に含ませたこと以外、実施例5−6と同様にして、組成物を調製し、これをシートに成形し、加硫を進行させた。
《比較例3−5》
比較例3−5は、以下の形状を有する(株)中越黒鉛工業所製の鱗片状黒鉛粒子を用いる場合のデータである。
長径aの平均値:160μm
厚さcに対する長径aの比(a/c比):12
短径bに対する長径aの比(a/b比)の平均値:1
上記の鱗片状黒鉛粒子を表2の含有量で組成物に含ませること以外、実施例1−4と同様にして、異方性熱伝導組成物を調製し、これをシートに成形し、加硫を進行させる。
[評価]
各実施例および比較例のシートの熱伝導率および鱗片状黒鉛粒子の配向性について、以下の要領で評価した。結果を表1、2に示す。
(熱伝導率の測定)
各実施例および比較例のシートの熱拡散率を測定した。
ここでは、サーモウェブアナライザ(TA3、(株)ベテル製)により、周期加熱法で熱拡散率αの測定を行った。本発明の主な効果は、シートの面方向への熱伝導率の向上である。そこで、シートの主要平坦面において、シートを成形する時の組成物の流動方向をX軸、X軸方向に対して垂直な方向をY軸、シートの厚さ方向をZ軸と定義した。せん断力を加えるX軸方向だけでなく、X軸方向と垂直なY軸方向の熱伝導率も測定することにより、シートの面方向への熱伝導率の向上効果を確認した。なお、熱拡散率αは以下の式で求められる。
<測定条件>
シートから30mm×30mmに切り出した試料を試料台に乗せて測定を行った。
<X、Y軸方向の熱拡散率>
試料に温度波であるレーザを周波数0.5〜3Hzで周期的に照射し、測定箇所をレーザ照射部から4mmの地点まで変化させながら温度波の位相差を読み取る。次に、横軸に距離、縦軸に位相差をプロットしたグラフを作成し、グラフの傾きを求める。得られたグラフの傾きから式(2)を用いて熱拡散率が求められる。
<Z軸方向の熱拡散率>
試料に温度波であるレーザを周波数0.1〜10Hzで周期的に照射し、位相差を読み取る。次に、横軸に周波数の平方根、縦軸に位相差をプロットしたグラフを作成し、グラフの傾きを求める。得られたグラフの傾きから式(3)を用いて熱拡散率が求められる。
(配向性)
各実施例および比較例のシート内の鱗片状黒鉛粒子の配向性は、シートをその面方向Sに対して垂直な方向に裁断した断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM像)で確認した。具体的には、SEM像にシートの面方向Sと平行な基準線を描く。そして、基準線と鱗片状黒鉛粒子のベーサル面とが成す小さい方の角度θを求める。
表1および表2は、それぞれ各実施例および各比較例の組成物の全重量部に対する鱗片状黒鉛粒子の含有量(質量%)、シートのX、Y軸方向(面方向)およびZ軸方向(厚さ方向)の熱伝導率、ならびにX軸方向と平行なシートの断面における鱗片状黒鉛粒子の平均的な配向度合い(角度θ)を、それぞれ示している。
まず、X軸、Y軸方向の熱伝導率に関しては、黒鉛粒子の含有量が増加するにつれて、熱伝導率が増加する傾向があることが明らかになった。これは、熱を面方向に伝導させる黒鉛粒子が増加したことにより、組成物内の熱伝導経路が増加したことによると考えられる。
Z軸方向の熱伝導率に関しても、同様に、黒鉛粒子の含有量が増加するにつれて、熱伝導率も増加することが明らかとなった。X、Y軸方向に比べてZ軸方向の熱伝導率が低い値となるのは、黒鉛粒子の異方性が寄与しているからである。黒鉛粒子は、X、Y軸方向(シートの面方向)の高い熱伝導率を発現させるが、Z軸方向(シートの厚さ方向)の熱伝導率は面方向の100分の1程度である。異方性材料である黒鉛粒子が、組成物内で面方向に配向しているため、X、Y軸方向に比べてZ軸方向の熱伝導率が低くなったものと考えられる。
次に、実施例1〜4と、実施例5〜6との対比によれば、鱗片状黒鉛粒子の長径aの平均値を5.5μmから17μmに変化させた場合でも、特に影響は見られず、実施例1〜4と実施例5〜6とで同様の傾向が見られる。
図4〜6に、各種シートのX軸方向と平行な断面のSEM像を示す。図4は比較例1のSEM像、図5は実施例1のSEM像、図6は実施例3のSEM像である。また、図7は実施例3のシートのY軸方向と平行な断面のSEM像である。
図4〜6では、ゴム成分のマトリックス中に、鱗片状黒鉛粒子が配向した状態で分散している様子が伺える。また、黒鉛粒子の含有量の増加により、黒鉛粒子同士の接触箇所が増加していることが明らかとなった。また、図6、7より、鱗片状黒鉛粒子はX軸方向にだけでなく、Y軸方向にも配向していることが明らかになった。
図8は、組成物全体に対する黒鉛粒子の含有量(横軸)と、その組成物から得られるシートの熱伝導率(縦軸)との関係を示すグラフである。グラフAは、実施例1〜4および比較例1の組成物における上記関係をプロットしたものである。グラフBは、比較例3〜5の組成物における上記関係をプロットしたものである。一般的な鱗片状黒鉛粒子の含有量を増加させた際の熱伝導率の増加は線形的であるのに対して、本発明の条件を満たす形状の鱗片状黒鉛粒子は、その含有量が40質量%より大きくなると、熱伝導率の増加率が大きく変化している。
ここで、上記のような非線形的な挙動が得られる理由について考察する。
熱伝導率の向上効果は、鱗片状黒鉛粒子同士の接触箇所の数や接触面積を増加させることにより達成されると考えられる。黒鉛粒子の厚さcに対する長径aの比(a/c)、短径bに対する長径aの比(a/b)が大きい粒子の場合には、a/c比およびa/b比が小さい粒子に比べて、組成物内で粒子が配向する際の可動範囲は大きくなると考えられる。一方、可動範囲が大きくても、粒子同士間の距離が比較的大きい場合には、粒子形状が異なる場合でも、配向の際に一粒子が周辺に存在する粒子と接触する確率はそれほど変わらず、粒子同士間の距離がある程度小さくなったときに、粒子形状の影響が顕在化するとものと思われる。そして、粒子形状の影響が顕在化し始める臨界点が、40質量%付近にあるものと考えられる。
なお、上記の実施例では、黒鉛粒子の厚さcに対する長径aの比(a/c)が100である鱗片状黒鉛粒子を用いたが、a/cが30以上である鱗片状黒鉛粒子を用いることで、同様に、優れた熱伝導率を示すシートを得ることができる。
上記の実施例では、長径aの平均値が5.5μmまたは17μmである鱗片状黒鉛粒子を用いたが、より長径aが大きい場合(例えば、長径aが30μm以下である場合)にも、同様に、優れた熱伝導率を示すシートを得ることができる。
また、上記の実施例では、黒鉛粒子の短径bに対する長径aの比(a/b)が2である鱗片状黒鉛粒子を用いたが、例えばa/bが1〜20である鱗片状黒鉛粒子を用いる場合にも、同様に、優れた熱伝導率を示すシートを得ることができる。
更に、上記の実施例では、鱗片状黒鉛粒子のベーサル面とシートの面方向とが成す小さい方の角度θが、平均値で13〜16°であったが、少なくともθが30°程度までの場合には、同様に、優れた熱伝導率を示すシートを得ることができる。
本発明に係る異方性熱伝導性組成物は、シートの形状に成形されたときに、その面方向における高い熱伝導率を示すため、例えば、IC、CPU等の発熱体から熱を外部に逃がすための放熱シートとして有用である。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
1 炭素繊維
2 マトリックス樹脂
3 鱗片状黒鉛粒子
4 マトリックス樹脂
5 シート
6 基準線

Claims (5)

  1. 鱗片状黒鉛粒子と、前記鱗片状黒鉛粒子を分散させる樹脂成分とを含み、
    前記鱗片状黒鉛粒子において、ベーサル面での最大径をa、前記最大径aと直交するベーサル面での最大径をb、前記ベーサル面に対して直交する平均厚みをcとした場合、
    前記最大径aが1μm以上、30μm以下であり、
    a/bが、1以上、20以下であり、
    a/cが平均値で30以上であり、
    前記鱗片状黒鉛粒子の含有量が、40質量%より多く、90質量%以下である、シートの異方性熱伝導組成物の成形品であり、
    前記鱗片状黒鉛粒子の前記ベーサル面と前記シートの面方向とが成す小さい方の角度θが、平均値で1°以上、30°以下である、シートの異方性熱伝導組成物の成形品
  2. 前記a/cが平均値で200以下である、請求項1記載のシートの異方性熱伝導組成物の成形品。
  3. 前記鱗片状黒鉛粒子の含有量が、53質量%以下である、請求項1または2に記載のシートの異方性熱伝導組成物の成形品。
  4. 前記鱗片状黒鉛粒子は、高分子フィルムを熱処理して得られたものである、請求項1〜のいずれか1項に記載のシートの異方性熱伝導組成物の成形品。
  5. 前記高分子フィルムの厚みは、400μm以下である、請求項記載のシートの異方性熱伝導組成物の成形品。
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