JP5429962B2 - 核酸検出方法及び核酸検出キット - Google Patents

核酸検出方法及び核酸検出キット Download PDF

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Description

本発明は、核酸検出方法及び当該検出方法に使用するキットに関する。
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2006−072083号優先権を請求する。
近年、ゲノムシークエンシングの進展により各生物のゲノムの全塩基配列が明らかにされつつある中、この結果を有効に利用する技術が望まれている。核酸マイクロアレイは複数の遺伝子を同時に解析できる技術であり、塩基配列決定法のみではなく、遺伝子の発現量や多型などを効率よく調べる方法として開発され、テーラーメイド医療、菌類などの生物学的分類の特定および疾病の診断などへの技術開発が展開されている。
一般に、テーラーメイド医療、ならびに生物学的分類又は変異体の同定に用いられうる核酸マイクロアレイは、特定の塩基配列を定性的に検出する程度で十分であり、試験紙のような安価な使い捨て用のものが求められている。
例えば、特許文献1にはHCV(C型肝炎ウイルス)単離物の同定方法に用いる核酸マイクロアレイとして、ラインプローブ(LiPA:Line Probe Assay、イノジジェネティクス社商標)法が開示されている。このアッセイは、ポリアミド膜片上に平行線として核酸プローブが固定されたものである。
このようなアッセイ上での核酸の検出は、主にRI標識法、蛍光標識法及び酵素発色法などの方法で実施される。これらの方法の中でも酵素発色法は安価で簡便な検出方法として有効とされている。
しかしながら、酵素発色法でさえもプライマーにビオチンを修飾する必要があるため、その分コストは高くなるという問題がある。さらに酵素発色法では、ストレプトアビジンを修飾したアルカリホスファターゼ、及び、当該ストレプトアビジンに対する基質を作用・洗浄する必要があり、検出工程が極めて煩雑であった。
一方、高感度で簡便な検出方法として、ハイブリダイズした核酸の塩基のπ電子スタッキング構造に作用するインターカレーターに関する研究が近年盛んになされている(非特許文献1)。
しかしながら、これらのインターカレーターは水に難溶であるためにハイブリダイズした二本鎖の核酸に作用しうるだけの濃度調製が極めて困難であった。また、試薬の保存性が悪く工業的実施が困難であった。
特表平7−503143号公報 Bioorganic & Medical Chemistry Letters vol. 16, 2005, page 154−157
したがって、本発明は安価で簡便な核酸の検出方法、及び、当該検出を行うためのキットを提供することを課題とする。
本発明者らは、モノ修飾シクロデキストリンがハイブリダイズした二本鎖の核酸に選択的に吸着することを見出し、上記課題を解決した。
即ち、本発明は、以下からなる。
1.ハイブリダイズした核酸を検出する方法であって、
検体核酸を増幅する工程、
検体核酸又は核酸プローブを固定化したアレイを準備する工程、
検体核酸と核酸プローブとをハイブリダイズする工程、
式(8)
または式(9)

で示されるモノ修飾シクロデキストリンを10μM〜10mMの濃度で含有する水溶液中で、ハイブリダイズした二本鎖の核酸に該モノ修飾シクロデキストリンを吸着させる工程、および、
式(8)のモノ修飾シクロデキストリンに含まれるフルオレセイン、または式(9)のモ ノ修飾シクロデキストリンに含まれるピレンの蛍光を検出する工程
を含む核酸検出方法。
2.核酸プローブを固定化した核酸マイクロアレイと、
式(8)
または式(9)
で示されるモノ修飾シクロデキストリンの10μM〜10mM水溶液を含む前項1に記載の核酸検出方法用のキット。
本発明は、核酸に特別な修飾を行う必要がなく原材料のコストが大幅に削減できる。また、試薬が二本鎖の核酸のみに選択的に吸着することができ、蛍光発光時間が長くなるため、検出作業が容易となる。加えて、高感度での検出を可能とするために、PCRなどの核酸の増幅工程の回数を抑えることができ、検出の時間及びコストをさらに削減することが可能となる。そして、試薬は水に容易に溶解するため安定して保存することができ、工業的実施を可能とすることができる。
図1は、実験例1の結果を示す写真図である。 図2は、参考例1の蛍光スペクトルの結果を示す図である。
本発明の核酸検出方法は、主に以下の3工程を含む。
(1)検体核酸又は核酸プローブを固定化したアレイを準備する工程。
(2)検体核酸と核酸プローブとをハイブリダイズする工程。
(3)ハイブリダイズした二本鎖の核酸にモノ修飾シクロデキストリンを吸着させる工程。
(1)検体核酸又は核酸プローブを固定化したアレイを準備する工程
「検体核酸又は核酸プローブを固定化したアレイ」とは、検出対象の核酸、又は、検出対象の核酸とハイブリダイズしうる一本鎖の核酸を基材上に固定化したものをいい、一般的にはDNAチップ又はDNAマイクロアレイと称するものをいう。上記核酸は、DNA、RNAおよびPNAが挙げられるが、使用頻度の観点からDNAが多く使用される。
担体に固定されうる核酸は、検体核酸であっても、核酸プローブであってもよいが、予め工業的に製造できる観点から核酸プローブであることが好ましい。検体核酸とは、検出の対象となる核酸を、核酸プローブとは、当該検体核酸とハイブリダイズしうる核酸をいう。核酸プローブの製造は、特に限定されるものではなく、例えば、合成されたDNA(オリゴヌクレオチド)又はmRNAから逆転写されたcDNAであってもよい。オリゴヌクレオチドの合成は、市販の核酸の自動合成機などで合成することができる。
さらに、上記核酸プローブの塩基配列は、検体核酸とハイブリダイズすることが可能な範囲内であれば、前記特定の塩基配列の完全相補的な塩基配列から数個の塩基の挿入、変異および欠失された塩基配列であってもよい。しかしながら、例えば、一塩基レベルの変異を検出することを目的とした場合、反応精度の観点から、完全相補的な塩基配列であることが好ましい。
また、上記核酸プローブの塩基数は、検出する特定の塩基配列の種類によって異なるため、特に限定されるものではない。例えば、生物から抽出されたゲノムDNA一塩基レベルの変異を検出する場合は、検出する時の温度にもよるが、検出精度の観点から約10〜30塩基、好ましくは約12〜26塩基である。
一方、検体核酸の調製は、測定の目的に応じて動物の生体試料からゲノムDNAを抽出する。生体試料とは、血液、唾液又は毛髪などが挙げられ、好ましくは、血球細胞、表皮細胞および粘膜細胞などの各種ヒト細胞である。生体試料からDNAを抽出する方法は、公知の方法で行うことができ、例えば、フェノール抽出法、グアニジンチオシナネート抽出法およびバナジルリボヌクレオシド複合抽出法などが挙げられる。
次に、好ましくは上記抽出されたゲノムDNAから検出すべき特定の塩基配列を増幅する。核酸を増幅する手法としては、例えば、PCR法、LAMP法およびICAN法などが挙げられる。中でも試薬のコストの観点から、PCR法が好ましい。
PCR法は、例えば、(I)二本鎖ゲノムDNAを約92〜97℃、約0.1秒〜1分間の反応条件で熱処理することにより一本鎖にする変性工程、(II)前記一本鎖DNAのそれぞれに約50〜65℃を約0.1秒〜1分間の反応条件で、少なくとも2種類の増幅プライマーを結合させることによりPCRの反応開始点となる二本鎖部分を作製するアニール工程、並びに、(III)約70〜75℃を約0.1秒〜5分間の反応条件でDNAポリメラーゼを用いて反応させる鎖伸張工程の(I)〜(III)の工程を、1〜40回繰り返すことで核酸を増幅することができる。本発明の核酸の検出方法は、検出感度が非常に高いことからこれら(I)〜(III)の工程の繰り返し回数を少なくすることが可能である。
また、上記PCR法に用いられるプライマー対は、上記抽出されたゲノムDNAとハイブリダイズすることができ、上記特定の塩基配列を含む核酸を増幅しうる塩基配列を有し、その重合度は約15〜40塩基程度のものであればよい。前記プライマーは、上記核酸プローブと同様自動合成機などで合成することができる。
また、アレイに使用される基材としては、上記核酸を固定しうる材料であればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート及びニトロセルロースなどの有機材料、ガラス及びシリカなどの無機材料、並びに、金、銀及び胴などの金属材料などが挙げられる。これらの中でも成形加工性が容易である点から、有機材料が好ましく、さらに好ましくは、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル及びポリアミドであるが、これに限定されるものではない。
さらに、基材として有機材料を選択する場合、発色による検出が明確に判断することができる観点から、白色又は透明を呈した材料が好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
基材の形状としては、基板だけに限定されず、例えば、容器、フィルム及びチューブなどが挙げられる。これらの中でも取り扱いが容易である観点から、長方形状のフィルム及び基板が好ましい。また、基材の大きさなどは、検出を容易にする観点から、検出する面はある程度の面積が必要である。例えば、基材が長方形状のフィルム及び基板である場合、上表面の面積は、取り扱いが容易である観点から、約40〜1000mm、好ましくは約60〜300mmである。
基材は、当業者により状況に応じて製造することができ、当業者が適宜設定できるものであるため特に限定されるものではない。例えば、押出成形、射出成形、溶融成形および圧縮成形などが挙げられる。特に製造コストおよび容易性の観点から、押出成形が好ましい。
上記検体核酸又は核酸プローブは、物理的若しくは化学的処理により基材上に固定化される。
物理的な処理による固定化方法としては、検体核酸又は核酸プローブの溶液を基材にスポッティングする方法であれば特に限定されるものではない。このようなスポッティングの方法としては、ディスペンサなどを用いた押出し法,クーロン力を用いた吸引法及びインクジェット法などが挙げられる。製造コストの観点からは押出し法が、固定化の精度の観点からはインクジェット法が好ましく、特に限定されるものではない。
また、このような物理的な処理により固定化する場合は、上記核酸プローブに無関係な塩基配列を付加すれば、UV照射により基材に固定化率が向上して好ましい。前記核酸プローブに無関係な塩基配列とは、ポリアデニン、ポリシトシン、ポリチミンおよびポリグアニンなどが挙げられるが、固定化率が最も高い観点からポリチミンが好ましい。
また、核酸プローブは親水性高分子であるため、基材に何らかの処理を行ってもよい。例えば:
(A) ポリリジンなどのポリカチオン性の高分子を基材表面に被覆する方法;
(B) 基材がガラスなどの無機材料である場合、アミノエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤などで処理する方法;
(C) 基材が金などの金属材料である場合は、2−アミノエタンチオールなどのアミノ基を有するチオールもしくはジスルフィド化合物などで担体表面を処理する方法;
などが挙げられる。
一方で、共有結合による化学に固定化する方法としては、核酸プローブの末端に基材と共有結合形成可能な官能基を修飾する方法、もしくは、核酸プローブの末端および基材にそれぞれ共有結合可能な官能基を修飾する方法などが挙げられる。例えば:
(a) 基材が、ガラスおよびシリコンなどの無機材料の場合、核酸検出用プローブの末端にトリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのシランカップリング反応が可能な官能基を修飾し、シランカップリング反応により固定化する方法;
(b) 基材が、ガラス、シリコンなどの無機材料の場合、上記無機材料基材上に、アミノエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤で処理することにより、基材の表面をシランケップリング結合によりアミノ化する。一方で、核酸プローブの末端にカルボン酸を修飾する。そして、基材のアミノ基と核酸プローブのカルボン酸のアミノカップリング反応によりアミド結合を形成させて固定化する方法;
などが挙げられる。
また、基材が金、銀などの金属材料の場合であっても、当業者であれば、前記シランカップリング結合を、金属−チオール又は金属−ジスルフィド結合に置きかえることによって固定化できることは容易に想到することができる。
以上の固定化方法の中でも、核酸の固定化に関しては、製造が容易である観点から、上記核酸プローブの末端にポリチミンを付加し、UV照射により固定化する方法が好ましい。
また、基材にプラズマ処理などの表面処理を施すことにより核酸の固定化量はさらに増加する。プラズマ処理とは、不活性ガス雰囲気下で放電する事により、前記不活性ガスの電離作用によって生じるプラズマを基材表面に照射し、当該表面をエッチング、濡れ性の向上及び官能基の導入などの効果を付与する処理をいう。放電としては、コロナ放電(高圧低温プラズマ)、アーク放電(高圧高温プラズマ)及びグロー放電(低圧低温プラズマ)などが挙げられる。これらの中でも表面処理の反応性がよい観点から、コロナ放電が好ましいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記プラズマ処理における不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、酸素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス及びキセノンガスなどが挙げられる。プラズマ処理後の核酸の固定量が最も高くなる観点から、窒素ガス又はアルゴンガスが好ましい。特に、窒素ガスは、リン酸骨格を有するDNA又はRNAを基材に固定する場合、基材表面にアミン及び/又はアミノ基を発生させ、当該表面の濡れ性の向上及び表面のイオンチャージによって、より強固に核酸を固定することができて好ましい。
(2)検体核酸と核酸プローブとをハイブリダイズする工程
以上に説明した手法により準備したアレイを用いて検体核酸と核酸プローブとをハイブリダイズする。ハイブリダイズの方法は一般的な手法に従い、例えば、アレイの基材上に固定化した核酸が核酸プローブである場合、検体核酸の溶液に当該アレイを浸漬することにより達成される。アレイの基材上に固定化した核酸が検体核酸である場合はその逆となる。ハイブリダイズ反応の条件は、基材に固定化されたDNAプローブの熱変性温度による。例えば、前記DNAプローブの熱変性温度が、約55.0〜75.0℃程度である場合、約61.5〜62.5℃が一般的である。
以上の方法により検体核酸と核酸プローブがアレイ上でハイブリダイズすることができる。この際、未反応の検体核酸及び/又は核酸プローブは洗浄工程により除去することが好ましい。
(3)前記ハイブリダイズした核酸にモノ修飾シクロデキストリンを吸着させる工程
上記の手段によってハイブリダイズした核酸は、次いでモノ修飾シクロデキストリンを吸着させることによって検出する。つまり、本発明の核酸の検出は、ハイブリダイズした核酸にモノ修飾シクロデキストリンを吸着させる工程を含む。本発明におけるモノ修飾シクロデキストリンとは、下記式(1)で表現されうる化合物をいう。
(式中、CyDはα、β又はγ−シクロデキストリン、Rはリンカーであり、原子数1〜20の長さを有し、不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンからなる群から選択される少なくとも1の結合を含んでもよい炭化水素鎖であり、Xはインターカレーターである)。
シクロデキストリンとは、D−グルコースが環状に1,4’−α−グルコシド結合した化合物をいい、バケツのような形状の分子構造を有し、親水性を有する外壁と、疎水性を有するキャビティを有する化合物をいう。一般的に、D−グルコースの数が6個の化合物をα−シクロデキストリン、7個の化合物をβ−シクロデキストリン、8個の化合物をγ−シクロデキストリンとそれぞれ称す。本発明のシクロデキストリンの種類は、α、β及びγのいずれであってもよいが、水への溶解性の観点からα、製造コストの観点からβが好ましい。
本発明におけるモノ修飾シクロデキストリンとは、上記シクロデキストリンにリンカーを介在してインターカレーターが修飾された化合物をいう。置換数は1つであり、置換箇所は1級又は2級の水酸基の何れか1であればよいが、製造が容易である観点から1級の水酸基に修飾することが好ましい。1級の水酸基へのモノ修飾は、トシル化反応を利用することにより容易に達成できる。
また、リンカーとはシクロデキストリンとインターカレーターとを介在する分子構造を有し、当該シクロデキストリンとインターカレーターとの距離を調節するものをいう。リンカーは、主に原子数1〜20の長さを有する炭化水素鎖から構成される。この時、1級又は2級の水酸基に該当する原子は含まないものとする。つまり、例えば、1級の水酸基がアミノ基に置換してインターカレーターを修飾する場合、当該アミノ基はシクロデキストリンを構成し、リンカーを構成するものではないものとする。またリンカーは、例えば、不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンからなる群から選択される少なくとも1の結合を含んでもよい。特に親水性を付与できる観点から、カルボニル及びアミン基が好ましく、特に好ましくはアミン基である。
さらに、インターカレーターとは、二本鎖の核酸の塩基結合のπスタッキング構造又はその近傍に安定して配置しうる物質をいい、蛍光特性を有する物質をいう。例えば、N−アセトキシ−N−アセチルアミノオルオレン、アクリジン、フルオレセイン、ピレン及びローダミンなどが挙げられる。これらのインターカレーターは、シクロデキストリンの種類によって適宜選択できるものであるため、特に限定されるものではないが、目視での判定が容易となる観点からローダミン及びピレンが好ましい。
以上に説明したモノ修飾シクロデキストリンは、その周りの環境が親水的である場合、インターカレーターはシクロデキストリンの疎水性キャビティ内又はその近傍に配置される。このことにより当該モノ修飾シクロデキストリンは、水に溶解することができる。一方、当該モノ修飾シクロデキストリンがハイブリダイズした二本鎖の核酸に近づくと、インターカレーターは二本鎖の核酸の塩基結合のπスタッキング構造又はその近傍に安定して配置され、選択的に吸着されうる。
したがって、本発明のモノ修飾シクロデキストリンは、水に溶解している時よりも、二本鎖の核酸の塩基結合のπスタッキング構造又はその近傍に、インターカレーターが配置されている状態の方が安定であるような構造であることが好ましい。このようなモノ修飾シクロデキストリンの構造は、シクロデキストリンの種類、リンカーの長さ、及び、インターカレーターの種類などに依存するために一概に述べることは困難である。
例えば、シクロデキストリンがα−シクロデキストリンである場合、リンカーの長さは原子数1〜20程度であり、インターカレーターとしてはアクリジン、フルオレセイン及びローダミンなどが挙げられる。
また、例えば、シクロデキストリンがβ−シクロデキストリンである場合、リンカーの長さは原子数1〜20程度であり、インターカレーターとしてはアクリジン、フルオレセイン、ピレン及びローダミンなどが挙げられる。
以上のような好ましいモノ修飾シクロデキストリンとしては、以下の式(2)〜(9)の化合物などが例示される。
上記式(2)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカーの原子数は4個である。ここにおいて、1級水酸基が置換したNHはリンカーの原子数に含まないものとし、以下、全てについて同様である。
上記式(3)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカーの原子数は4個である。
上記式(4)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカーの原子数は13個である。
上記式(5)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカーの原子数は13個である。
上記式(6)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカーの原子数は13個である。
上記式(7)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカーの原子数は13個である。
上記式(8)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカーの原子数は4個である。
上記式(9)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカーの原子数は17個である。
以上に説明したモノ修飾シクロデキストリンは、二本鎖の核酸に対して選択的に吸着する。吸着時の条件は、アレイ上に固定した核酸の量にもよるが、通常約10μM〜10mM程度、好ましくは約0.1〜1mM程度の濃度の溶液に上記アレイを常温で浸漬することにより、容易に吸着させることができる。反応時間は、モノ修飾シクロデキストリンが、二本鎖の核酸へ十分に吸着できる程度であればよく、約1分以上、好ましくは約5分以上である。また、吸着反応後は、未反応のモノ修飾シクロデキストリンを除去するために洗浄を行ってもよい。
上記工程で吸着させた後は、インターカレーターの励起波長の光をアレイに照射する。例えば、インターカレーターがピレンの場合、約200から400nmの光を照射する。また、例えば、インターカレーターがフルオレセインの場合、約200から400nmの光を照射する。この事により、二本鎖の核酸に吸着したモノ修飾シクロデキストリンのインターカレーターが励起・発光し、作業者は目視で容易に二本鎖の核酸の存在の有無を確認することができる。例えば、式(8)のモノ修飾シクロデキストリンは、黄緑色で発光する。また、例えば、式(9)のモノ修飾シクロデキストリンは、水色で発光する。
本発明は、核酸検出方法のほか核酸検出キットにも及ぶ。本発明の核酸検出用キットには、少なくとも上述したモノ修飾シクロデキストリンを含む。核酸検出キットには、モノ修飾シクロデキストリンの他、反応用緩衝液を含めることができる。また、各種のDNAチップやDNAマイクロアレイとともに修飾シクロデキストリンをセットにしたものも本発明の核酸検出キットに含まれる。本発明のモノ修飾シクロデキストリンは、水に可溶であるために長期間保存安定して保存することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例1] 6−(アクリジン−9−カルボキシレート−2−アミノエチル)−アミノ−6−デオキシ−α−シクロデキストリン(Ac−α−CyD)
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−HOBt、96mg、0.71mM)とアクリジン−9−カルボン酸(130mg、0.58mM)を15mlのピリジンに溶解させ、−10℃まで冷却した。次に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、252mg、1.22mM)を溶解させ、−15〜−10℃にて1時間攪拌した後、これらの溶液をジメチルホルムアミド(DMF、20ml)に加えた。その後、6−(2−アミノエチル)−アミノ−6−デオキシ−α−シクロデキストリン(490mg、0.48mM)を徐々に加え、−15〜−10℃にて0.5時間攪拌した。0℃まで昇温し、氷浴にて1昼夜反応させた後、室温にて48時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約300mlのアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物をCM−SephadexC−50カラムに充填し、水1200mlにて不純物を溶出させた。次いで、0.1%アンモニア水1000mlにて溶出し、目的物である6−(アクリジン−9−カルボキシレート−アミノエチル)−アミノ−6−デオキシ−α−シクロデキストリン(Ac−α−CyD、式(2))が含まれている画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(511mg、収率86.8%)を得た。得られた生成物は、H−NMRスペクトル測定によりその構造を確認した。また、水に容易に溶解することを確認した。
[合成例2] 6−(アクリジン−9−カルボキシレート−2−アミノエチル)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(Ac−β−CyD)
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−HOBt、104mg、0.77mM)とアクリジン−9−カルボン酸(141mg、0.58mM)を15mlのピリジンに溶解させ、−10℃まで冷却した。次に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、306mg、1.48mM)を溶解させ、−15〜−10℃にて1時間攪拌した後、これらの溶液をジメチルホルムアミド(DMF、20ml)に加えた。その後、6−(2−アミノエチル)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(503mg、0.43mM)を徐々に加え、−15〜−10℃にて0.5時間攪拌した。0℃まで昇温し、氷浴にて1昼夜反応させた後、室温にて48時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約300mlのアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物をCM−SephadexC−50カラムに充填し、水1200mlにて不純物を溶出させた。次いで、0.1%アンモニア水1000mlにて溶出し、目的物である6−(アクリジン−9−カルボキシレート−アミノエチル)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(Ac−β−CyD、式(3))が含まれている画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(432mg、収率73.3%)を得た。得られた生成物は、H−NMRスペクトル測定によりその構造を確認した。また、水に容易に溶解することを確認した。
[合成例3] 6−(アクリジン−9−カルボキシレート−11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−α−シクロデキストリン(Ac−TEPA−α−CyD)
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−HOBt、86mg、0.41mM)とアクリジン−9−カルボン酸(141mg、0.52mM)を15mlのピリジンに溶解させ、−10℃まで冷却した。次に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、252mg、1.25mM)を溶解させ、−15〜−10℃にて1時間攪拌した。その後、6−(11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−α−シクロデキストリン(500mg、0.44mM)を徐々に加え、−15〜−10℃にて0.5時間攪拌した。0℃まで昇温し、氷浴にて1昼夜反応させた後、室温にて96時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約300mlのアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物を、CM−SephadexC−50絡むに充填し、水1200mlにて不純物を溶出させた。次いで、0.1%アンモニア水1200mlにて溶出し、目的物である6−(アクリジン−9−カルボキシレート−11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−α−シクロデキストリン(Ac−TEPA−α−CyD、式(4))が含まれている画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(432mg、収率73.3%)を得た。得られた生成物は、H−NMRスペクトル測定によりその構造を確認した。また、水に容易に溶解することを確認した。
[合成例4] 6−(アクリジン−9−カルボキシレート−11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(Ac−TEPA−β−CyD)
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−HOBt、96mg、0.71mM)とアクリジン−9−カルボン酸(130mg、0.58mM)を15mlのピリジンに溶解させ、−10℃まで冷却した。次に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、252mg、1.22mM)を溶解させ、−15〜−10℃にて1時間攪拌した後、これらの溶液をジメチルホルムアミド(DMF、20ml)に加えた。その後、6−(11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(502mg、0.38mM)を徐々に加え、−15〜−10℃にて0.5時間攪拌した。0℃まで昇温し、氷浴にて1昼夜反応させた後、室温にて144時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約300mlのアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物をCM−SephadexC−50カラムに充填し、水1200mlにて不純物を溶出させた。次いで、0.1%アンモニア水1000mlにて溶出し、目的物である6−(アクリジン−9−カルボキシレート−11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(Ac−TEPA−β−CyD、式(5))が含まれている画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(321mg、収率55.3%)を得た。得られた生成物は、H−NMRスペクトル測定によりその構造を確認した。また、水に容易に溶解することを確認した。

[合成例5] 6−(ローダミン−カルボキシレート−11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−α−シクロデキストリン(RB−TEPA−α−CyD)
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−HOBt、77mg、0.57mM)とローダミンB(252mg、0.53mM)を10mlのピリジン及びジメチルホルムアミド(DMF)の混合溶媒(1:1)に溶解させ、−10℃まで冷却する。次に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC、110mg、0.56mM)を溶解させ、−20℃にて2時間攪拌した。その後、6−(11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−α−シクロデキストリン(500mg、0.44mM)を徐々に加え、−10〜−5℃にて1時間攪拌した。0℃まで昇温し、氷浴にて1昼夜反応させた後、室温にて96時間反応させる。反応終了後減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約300mlのアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物をCM−SephadexC−50カラムに充填し、水1100mlにて不純物を溶出させた。次いで、0.2%アンモニア水2000mlにて溶出し、目的物である6−(ローダミン−カルボキシレート−11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−α−シクロデキストリン(RB−TEPA−α−CyD、式(6))が含まれている画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(283mg、収率40%)を得た。得られた生成物は、H−NMRスペクトル測定によりその構造を確認した。

[合成例6] 6−(ローダミン−カルボキシレート−11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(RB−TEPA−β−CyD)
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−HOBt、69mg、0.50mM)とローダミンB(220mg、0.54mM)を20mlのピリジン及びジメチルホルムアミド(DMF)の混合溶媒(1:1)に溶解させ、−10℃まで冷却した。次に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC、110mg、0.56mM)を溶解させ、−20℃にて2時間攪拌した。その後、6−(11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(500mg、0.38mM)を徐々に加え、−10〜−5℃にて0.5時間攪拌した。0℃まで昇温し、氷浴にて1昼夜反応させた後、室温にて144時間反応させた。反応終了後減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約300mlのアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物をCM−SephadexC−50カラムに充填し、水1000mlにて不純物を溶出させた。次いで、0.2%アンモニア水1400mlにて溶出し、目的物である6−(ローダミン−カルボキシレート−11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(RB−TEPA−β−CyD、式(7))が含まれている画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(260mg、収率40%)を得た。得られた生成物は、H−NMRスペクトル測定によりその構造を確認した。また、水に容易に溶解することを確認した。目的物である6−(ローダミン−カルボキシレート−11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(RB−TEPA−β−CyD、式(7))を回収した。
[合成例7] 6−(フルオレセイン−カルボキシレート−2−アミノエチル)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(FL−β−CyD)
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−HOBt、96mg、0.71mM)とフルオレセイン(130mg、0.58mM)を15mlのピリジンに溶解させ、−10℃まで冷却した。次に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、252mg、1.22mM)を溶解させ、−15〜−10℃にて1時間攪拌した。その後、6−(2−アミノエチル)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(502mg、0.33mM)を徐々に加え、−15〜−10℃にて0.5時間攪拌した。0℃まで昇温し、氷浴にて1昼夜反応させた後、室温にて144時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約300mlのアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物をCM−SephadexC−50カラムに充填し、水1200mlにて不純物を溶出させた。次いで、0.1%アンモニア水1000mlにて溶出し、目的物である6−(フルオレセイン−カルボキシレート−2−アミノエチル)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(FL−β−CyD、式(8))が含まれている画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(211mg、収率24.3%)を得た。得られた生成物は、H−NMRスペクトル測定によりその構造を確認した。また、水に容易に溶解することを確認した。
[合成例8] 6−(ピレン−4−ブチレート−11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(PY−TEPA−β−CyD)
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−HOBt、67mg、0.50mM)と1−ピレン酪酸(133mg、0.46mM)を7mlのピリジンに溶解させ、−10℃まで冷却した。次に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、120mg、0.50mM)を溶解させ、−15〜−10℃にて2.5時間攪拌した。その後6−(11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(500mg、0.38mM)を徐々に加え、−15〜−10℃にて1時間攪拌した。0℃まで昇温し、氷浴にて1昼夜反応させた後、室温にて144時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約300mlのアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物をCM−SephadexC−50絡むに充填し、水1200mlにて不純物を溶出させた。次いで、0.1%アンモニア水1000mlにて溶出し、目的物である 6−(ピレン−4−ブチレート−11−アミノ−3,6,9−トリアゾウンデカン)−アミノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(PY−TEPA−β−CyD)、式(9))が含まれている画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(83mg、収率13.7%)を得た。得られた生成物は、H−NMRスペクトル測定によりその構造を確認した。また、水に容易に溶解することを確認した。

[実施例1] 核酸マイクロアレイの作成1
基材の調製
ポリカーボネート(PC)基板にプラズマ処理を施した。プラズマ処理の装置として、小型高性能プラズマ表面処理装置(ヤマト科学社製、PDC200シリーズ)を用いた。PC基板を窒素ガス雰囲気下のチャンバー内に配置し、約25℃、高圧(約20Pa)下、出力500Wで約600秒処理した。
核酸プローブ
上記のPC基板上に核酸プローブを固定した。核酸プローブとしては、配列番号1に示される塩基配列(シグマジェノスジャパン社提供)を用いた。配列番号1のDNDプローブは、第1エクソンと第エクソンの間のイントロン領域内に存在するエストロゲン受容体対立遺伝子(XbaI多型)のうち制限酵素XbaIにより切断されない配列(x型)を検出することができるものである。この核酸プローブの3’末端にはそれぞれポリチミンを付加した。具体的には、ターミナルトランスフェラーゼ(20unit/μl)を4μl、デオキシチミジン三リン酸(10pmol/μl)を10μl、配列番号1の核酸プローブ(50mM)を4μl、製品添付のNEBuffer4を5μl、及び、製品添付のカコジル酸緩衝液を5μlをそれぞれ精製水50μlに加えることにより、ポリチミン付加された配列番号1の核酸プローブ(平均400bp長)2pmol/μlをそれぞれ得た。
x型検出用核酸プローブ(配列番号1):gtggtctaga gttggg
核酸プローブの固定
次に、ポリチミン付加された配列番号1の核酸プローブを、それぞれ1.0pmol/μlとなるように、製品添付の10X SSC緩衝液で希釈し、上記PC基板上にそれぞれ異なる位置に0.5μlずつ塗布した。そして、312nmの紫外線を2分間照射することにより核酸マイクロアレイを製造した。
対照核酸プローブの固定
また、二本鎖を形成しない比較対象として配列番号2の核酸にポリチミンを付加したものを作成し、上述した核酸マイクロアレイに固定した。ポリチミン付加及びプローブの固定は上述した方法と同様に行った。配列番号2のDNAプローブは、第1エクソンと第 エクソンの間のイントロン領域内に存在するエストロゲン受容体対立遺伝子(XbaI多型)のうち制限酵素XbaIにより切断される配列(X型)を検出することができるものである。
X型検出用核酸プローブ(配列番号2):tctggagttg ggatga
マーカー
さらに、マーカーとして合成例7で製造したモノ修飾シクロデキストリン溶液を、上記核酸マイクロアレイ上に塗布・乾燥させることにより固定した。
[実施例2] 核酸マイクロアレイの作成2
マーカーとして合成例7で製造したモノ修飾シクロデキストリンの代わりに、合成例8で製造したモノ修飾シクロデキストリンを用いた以外は実施例1と同様に核酸マイクロアレイを製造した。
[実験例1]
検体ゲノムDNAの増幅
あらかじめxx型であることが判明している検体のゲノムDNAを配列番号3に示された塩基配列を有するフォワードプライマー及び配列番号4に示された塩基配列を有するリバースプライマー、およびTaq DNAポリメラーゼ(ロシュ・ダイアグノスティクス社製)を用いたPCR法によりXbaI多型を含む塩基配列の増幅を行った。PCRの反応条件は、変性過程を94℃、30秒、アニール過程を55℃、20秒、鎖伸長過程を72℃、20秒とし、この工程を30サイクル行った。
フォワードプライマー(配列番号3):gttccaaatg tcccagccgt
リバースプライマー (配列番号4):cctgcaccag aatatgttac c
核酸の検出
増幅したDNA溶液20μLに、水酸化ナトリウム(5M)、エチレンジアミン四酢酸(0.05M)の溶液(20μL)を加えてよく攪拌し、5分間放置して、増幅したDNAを一本鎖に変性した。この試料溶液中に、ドデシル硫酸ナトリウム(0.01w/v%)、塩化ナトリウム(1.8w/v%)、クエン酸ナトリウム(1.0w/v%)の溶液(1mL)及び実施例1で作成した核酸マイクロアレイ1枚を加え、反応温度45℃のもとで30分間振とうして反応させた。その後、合成例8で合成したモノ修飾シクロデキストリン水溶液(1mM)中に5分浸漬させた。次いで、核酸マイクロアレイを取り出し、励起波長365nmの光を照射してその様子について目視で観察した。
その結果を図1に示す。配列番号1の核酸プローブを固定した箇所は黄緑色に発色しているのに対して、配列番号2の核酸プローブを固定した箇所は発色されなかった。つまり、本発明のモノ修飾シクロデキストリンは一本鎖の核酸には吸着しないが、二本鎖の核酸には吸着する性質を有することが明らかとなった。
[参考例1]
本発明のモノ修飾デキストリンのインターカレーターと、二本鎖の核酸の塩基との結合の様子について蛍光スペクトル測定により確認した。具体的には、合成例8のモノ修飾シクロデキストリン水溶液(0.1μM)に二本鎖核酸を添加後の濃度が0.001μg/μlとなるように加えた後、溶液を5分間攪拌した。この溶液の蛍光スペクトル測定を測定した(励起波長365nm)。比較として合成例8のモノシクロデキストリン水溶液の蛍光スペクトルも測定した。
その結果を図2に示す。二本鎖の核酸を添加することにより、380nm及び400nmのピークが消失し、440nmに新たなピークが観測された。このことから合成例8のモノ修飾シクロデキストリンのピレンが、二本鎖の核酸の塩基にインターカレートしていることが示唆された。
本発明は、核酸に特別な修飾を行う必要がなく原材料のコストが大幅に削減できる。また、試薬が二本鎖の核酸のみに選択的に吸着することができるために、検出作業が容易となる。加えて、高感度での検出を可能とするために、PCRなどの核酸の増幅工程の回数を抑えることができ、検出の時間及びコストをさらに削減することが可能となる。そして、試薬は水に容易に溶解するため安定して保存することができ、工業的実施を可能とすることができる。

Claims (2)

  1. ハイブリダイズした核酸を検出する方法であって、
    検体核酸を増幅する工程、
    検体核酸又は核酸プローブを固定化したアレイを準備する工程、
    検体核酸と核酸プローブとをハイブリダイズする工程、
    式(8)
    または式(9)

    で示されるモノ修飾シクロデキストリンを10μM〜10mMの濃度で含有する水溶液中で、ハイブリダイズした二本鎖の核酸に該モノ修飾シクロデキストリンを吸着させる工程、および、
    式(8)のモノ修飾シクロデキストリンに含まれるフルオレセイン、または式(9)のモ ノ修飾シクロデキストリンに含まれるピレンの蛍光を検出する工程
    を含む核酸検出方法。
  2. 核酸プローブを固定化した核酸マイクロアレイと、
    式(8)
    または式(9)
    で示されるモノ修飾シクロデキストリンの10μM〜10mM水溶液を含む請求項1に記載の核酸検出方法用のキット。
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