WO2007105786A1 - 核酸検出方法及び核酸検出キット - Google Patents
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Abstract
本発明は、核酸検出方法及び当該検出方法に使用するキットに関する。本発明は、検体核酸又は核酸プローブを固定化したアレイを準備する工程、検体核酸と核酸プローブとをハイブリダイズする工程、ハイブリダイズした二本鎖の核酸にモノ修飾シクロデキストリンを吸着させる工程を含む核酸検出方法による。モノ修飾シクロデキストリンは式(1)に示される化合物である。
CyD-R-X (1) (式中、CyDはα、β又はγ-シクロデキストリン、Rは原子数1~20の長さを有し、不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンからなる群から選択される少なくとも1の結合を含んでもよい炭化水素鎖であり、Xはインターカレーターである。)
Description
明 細 書
核酸検出方法及び核酸検出キット
技術分野
[0001] 本発明は、核酸検出方法及び当該検出方法に使用するキットに関する。
[0002] 本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願 2006— 072083号 優先権を請求する。
背景技術
[0003] 近年、ゲノムシークェンシングの進展により各生物のゲノムの全塩基配列が明らか にされつつある中、この結果を有効に利用する技術が望まれている。核酸マイクロア レイは複数の遺伝子を同時に解析できる技術であり、塩基配列決定法のみではなく 、遺伝子の発現量や多型などを効率よく調べる方法として開発され、テーラーメイド 医療、菌類などの生物学的分類の特定および疾病の診断などへの技術開発が展開 されている。
[0004] 一般に、テーラーメイド医療、ならびに生物学的分類又は変異体の同定に用いられ うる核酸マイクロアレイは、特定の塩基配列を定性的に検出する程度で十分であり、 試験紙のような安価な使い捨て用のものが求められている。
[0005] 例えば、特許文献 1には HCV(C型肝炎ウィルス)単離物の同定方法に用いる核酸 マイクロアレイとして、ラインプローブ(LiPA: Line Probe Assay,イノジジエネテイクス 社商標)法が開示されている。このアツセィは、ポリアミド膜片上に平行線として核酸 プローブが固定されたものである。
[0006] このようなアツセィ上での核酸の検出は、主に RI標識法、蛍光標識法及び酵素発 色法などの方法で実施される。これらの方法の中でも酵素発色法は安価で簡便な検 出方法として有効とされて!/ヽる。
[0007] し力しながら、酵素発色法でさえもプライマーにピオチンを修飾する必要があるため 、その分コストは高くなるという問題がある。さらに酵素発色法では、ストレプトアビジン を修飾したアルカリホスファターゼ、及び、当該ストレプトアビジンに対する基質を作 用'洗浄する必要があり、検出工程が極めて煩雑であった。
[0008] 一方、高感度で簡便な検出方法として、ハイブリダィズした核酸の塩基の π電子ス タツキング構造に作用するインターカレーターに関する研究が近年盛んになされてい る (非特許文献 1)。
[0009] し力しながら、これらのインターカレーターは水に難溶であるためにノ、イブリダィズし た二本鎖の核酸に作用しうるだけの濃度調製が極めて困難であった。また、試薬の 保存性が悪く工業的実施が困難であった。
[0010] 特許文献 1 :特表平 7— 503143号公報
非特許文献 l : Bioorganic & Medical Chemistry Letters vol. 16, 200
5, page 154—157
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0011] したがって、本発明は安価で簡便な核酸の検出方法、及び、当該検出を行うため のキットを提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明者らは、モノ修飾シクロデキストリンがハイブリダィズした二本鎖の核酸に選 択的に吸着することを見出し、上記課題を解決した。
[0013] 即ち、本発明は、以下からなる。
1. ノ、イブリダィズした核酸を検出する方法であって、
検体核酸又は核酸プローブを固定ィ匕したアレイを準備する工程、
検体核酸と核酸プローブとをハイブリダィズする工程、
ハイブリダィズした二本鎖の核酸にモノ修飾シクロデキストリンを吸着させる工程 を含み、
前記モノ修飾シクロデキストリンが、式(1)に示される化合物であることを特徴とする 核酸検出方法;
[化 1]
CyD-R-X (1 )
(式中、 CyDは a、 β又は γ—シクロデキストリン、 Rは原子数 1〜20の長さを有し、
不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンカ なる群力 選 択される少なくとも 1の結合を含んでもよい炭化水素鎖であり、 Xはインターカレータ 一である)。
2.モノ修飾シクロデキストリンをマーカーとして核酸を検出する前項 1に記載の核酸 検出方法。
3.インターカレーター力 アタリジン、フルォレセイン、ピレン及びローダミンから選択 されるいずれか 1である前項 1又は 2に記載の核酸検出方法。
4.モノ修飾シクロデキストリン力 下記式(2)〜(9)に示される化合物のいずれか 1で ある前項 1〜3のいずれ力 1項に記載の核酸検出方法。
[化 2]
5.下記の式(1)に示されるモノ修飾シクロデキストリンを含む核酸検出キット;
[化 10]
CyD-R-X (1 )
(式中、 CyDは ex、 β又は γ—シクロデキストリン、 Rは原子数 1〜20の長さを有し、 不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンカ なる群力 選 択される少なくとも 1の結合を含んでもよい炭化水素鎖であり、 Xはインターカレータ 一である)。
6.二本鎖核酸を検出するためのキットであって、
検体核酸又は核酸プローブを固定化した核酸マイクロアレイと、
下記の式(1)に示されるモノ修飾シクロデキストリンを含む核酸検出キット;
[化 11]
CyD-R-X (1 )
(式中、 CyDは ex、 β又は γ—シクロデキストリン、 Rは原子数 1〜20の長さを有し、 不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンカ なる群力 選 択される少なくとも 1の結合を含んでもよい炭化水素鎖であり、 Xはインターカレータ 一である)。
7.インターカレーター力 アタリジン、フルォレセイン、ピレン及びローダミンから選択 されるいずれか 1である前項 5又は 6に記載の核酸検出キット。
8.モノ修飾シクロデキストリン力 下記式(2)〜(9)に示される化合物のいずれか 1で ある前項 5〜7のいずれ力 1項に記載の核酸検出キット。
[化 12]
[化 16]
9.下記式(1)に示されるモノ修飾シクロデキストリンの、二本鎖の核酸との選択的結 合性を利用した核酸検出のための用途;
[化 20]
CyD-R-X (1 )
(式中、 CyDは oc、 β又は γ—シクロデキストリン、 Rは原子数 1〜20の長さを有し、 不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンカ なる群力 選 択される少なくとも 1の結合を含んでもよい炭化水素鎖であり、 Xはインターカレータ 一である)。
10.インターカレーター力 アタリジン、フルォレセイン、ピレン及びローダミンから選 択されるいずれか 1である前項 9に記載の用途。
11.モノ修飾シクロデキストリン力 下記式(2)〜(9)に示される化合物のいずれか 1 である前項 9又は 10に記載の用途。
[化 21]
発明の効果
[0014] 本発明は、核酸に特別な修飾を行う必要がなく原材料のコストが大幅に削減できる 。また、試薬が二本鎖の核酸のみに選択的に吸着することができ、蛍光発光時間が 長くなるため、検出作業が容易となる。カロえて、高感度での検出を可能とするために 、 PCRなどの核酸の増幅工程の回数を抑えることができ、検出の時間及びコストをさ らに削減することが可能となる。そして、試薬は水に容易に溶解するため安定して保 存することができ、工業的実施を可能とすることができる。
図面の簡単な説明
[0015] [図 1]図 1は、実験例 1の結果を示す写真図である。
[図 2]図 2は、参考例 1の蛍光スペクトルの結果を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0016] 本発明の核酸検出方法は、主に以下の 3工程を含む。
(1)検体核酸又は核酸プローブを固定ィ匕したアレイを準備する工程。
(2)検体核酸と核酸プローブとをハイブリダィズする工程。
(3)ハイブリダィズした二本鎖の核酸にモノ修飾シクロデキストリンを吸着させる工程
[0017] (1)検体核酸又は核酸プローブを固定ィ匕したアレイを準備する工程
「検体核酸又は核酸プローブを固定ィ匕したアレイ」とは、検出対象の核酸、又は、検 出対象の核酸とハイブリダィズしうる一本鎖の核酸を基材上に固定ィ匕したものをいい 、一般的には DNAチップ又は DNAマイクロアレイと称するものをいう。上記核酸は、 DNA、 RNAおよび PNAが挙げられる力 使用頻度の観点力 DNAが多く使用さ れる。
[0018] 担体に固定されうる核酸は、検体核酸であっても、核酸プローブであってもよいが、
予め工業的に製造できる観点力 核酸プローブであることが好ましい。検体核酸とは 、検出の対象となる核酸を、核酸プローブとは、当該検体核酸とハイブリダィズしうる 核酸をいう。核酸プローブの製造は、特に限定されるものではなぐ例えば、合成され た DNA (オリゴヌクレオチド)又は mRNAから逆転写された cDNAであってもよ!/、。 オリゴヌクレオチドの合成は、市販の核酸の自動合成機などで合成することができる。
[0019] さらに、上記核酸プローブの塩基配列は、検体核酸とハイブリダィズすることが可能 な範囲内であれば、前記特定の塩基配列の完全相補的な塩基配列から数個の塩基 の挿入、変異および欠失された塩基配列であってもよい。し力しながら、例えば、一 塩基レベルの変異を検出することを目的とした場合、反応精度の観点から、完全相 補的な塩基配列であることが好まし 、。
[0020] また、上記核酸プローブの塩基数は、検出する特定の塩基配列の種類によって異 なるため、特に限定されるものではない。例えば、生物から抽出されたゲノム DNA— 塩基レベルの変異を検出する場合は、検出する時の温度にもよるが、検出精度の観 点から約 10〜30塩基、好ましくは約 12〜26塩基である。
[0021] 一方、検体核酸の調製は、測定の目的に応じて動物の生体試料力 ゲノム DNAを 抽出する。生体試料とは、血液、唾液又は毛髪などが挙げられ、好ましくは、血球細 胞、表皮細胞および粘膜細胞などの各種ヒト細胞である。生体試料から DNAを抽出 する方法は、公知の方法で行うことができ、例えば、フエノール抽出法、グァニジンチ オシナネート抽出法およびバナジルリボヌクレオシド複合抽出法などが挙げられる。
[0022] 次に、好ましくは上記抽出されたゲノム DNA力 検出すべき特定の塩基配列を増 幅する。核酸を増幅する手法としては、例えば、 PCR法、 LAMP法および ICAN法 などが挙げられる。中でも試薬のコストの観点から、 PCR法が好ましい。
[0023] PCR法は、例えば、(I)二本鎖ゲノム DNAを約 92〜97°C、約 0. 1秒〜 1分間の反 応条件で熱処理することにより一本鎖にする変性工程、 (II)前記一本鎖 DNAのそれ ぞれに約 50〜65°Cを約 0. 1秒〜 1分間の反応条件で、少なくとも 2種類の増幅ブラ イマ一を結合させることにより PCRの反応開始点となる二本鎖部分を作製するァニー ル工程、並びに、(III)約 70〜75°Cを約 0. 1秒〜 5分間の反応条件で DNAポリメラ ーゼを用いて反応させる鎖伸張工程の(I)〜(III)の工程を、 1〜40回繰り返すことで
核酸を増幅することができる。本発明の核酸の検出方法は、検出感度が非常に高い ことからこれら (I)〜(III)の工程の繰り返し回数を少なくすることが可能である。
[0024] また、上記 PCR法に用いられるプライマー対は、上記抽出されたゲノム DNAとハイ ブリダィズすることができ、上記特定の塩基配列を含む核酸を増幅しうる塩基配列を 有し、その重合度は約 15〜40塩基程度のものであればよい。前記プライマーは、上 記核酸プローブと同様自動合成機などで合成することができる。
[0025] また、アレイに使用される基材としては、上記核酸を固定しうる材料であればよぐ 例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ アミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート及び-トロセルロースなどの有機材料 、ガラス及びシリカなどの無機材料、並びに、金、銀及び胴などの金属材料などが挙 げられる。これらの中でも成形加工性が容易である点から、有機材料が好ましぐさら に好ましくは、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル及びポリアミド であるが、これに限定されるものではない。
[0026] さらに、基材として有機材料を選択する場合、発色による検出が明確に判断するこ とができる観点から、白色又は透明を呈した材料が好ましいが、本発明はこれに限定 されるものではない。
[0027] 基材の形状としては、基板だけに限定されず、例えば、容器、フィルム及びチュー ブなどが挙げられる。これらの中でも取り扱いが容易である観点から、長方形状のフ イルム及び基板が好ましい。また、基材の大きさなどは、検出を容易にする観点から、 検出する面はある程度の面積が必要である。例えば、基材が長方形状のフィルム及 び基板である場合、上表面の面積は、取り扱いが容易である観点から、約 40〜: LOO 0mm2,好ましくは約 60〜300mm2である。
[0028] 基材は、当業者により状況に応じて製造することができ、当業者が適宜設定できる ものであるため特に限定されるものではない。例えば、押出成形、射出成形、溶融成 形および圧縮成形などが挙げられる。特に製造コストおよび容易性の観点から、押出 成形が好ましい。
[0029] 上記検体核酸又は核酸プローブは、物理的若しくは化学的処理により基材上に固 定化される。
[0030] 物理的な処理による固定ィ匕方法としては、検体核酸又は核酸プローブの溶液を基 材にスポッティングする方法であれば特に限定されるものではな 、。このようなスポッ ティングの方法としては、デイスペンサなどを用いた押出し法,クーロン力を用いた吸 引法及びインクジェット法などが挙げられる。製造コストの観点力 は押出し法が、固 定ィ匕の精度の観点からはインクジェット法が好ましぐ特に限定されるものではない。
[0031] また、このような物理的な処理により固定ィ匕する場合は、上記核酸プローブに無関 係な塩基配列を付加すれば、 UV照射により基材に固定ィ匕率が向上して好ましい。 前記核酸プローブに無関係な塩基配列とは、ポリアデニン、ポリシトシン、ポリチミン およびポリグァニンなどが挙げられるが、固定ィ匕率が最も高い観点力もポリチミンが 好ましい。
[0032] また、核酸プローブは親水性高分子であるため、基材に何らかの処理を行ってもよ い。例えば:
(A) ポリリジンなどのポリカチオン性の高分子を基材表面に被覆する方法;
(B) 基材がガラスなどの無機材料である場合、アミノエトキシシランなどのアミノ基を 有するシランカップリング剤などで処理する方法;
(C) 基材が金などの金属材料である場合は、 2—アミノエタンチオールなどのアミノ 基を有するチオールもしくはジスルフイド化合物などで担体表面を処理する方法; などが挙げられる。
[0033] 一方で、共有結合による化学に固定ィ匕する方法としては、核酸プローブの末端に 基材と共有結合形成可能な官能基を修飾する方法、もしくは、核酸プローブの末端 および基材にそれぞれ共有結合可能な官能基を修飾する方法などが挙げられる。 例えば:
(a) 基材が、ガラスおよびシリコンなどの無機材料の場合、核酸検出用プローブの末 端にトリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのシランカップリング反応が可能な官能 基を修飾し、シランカップリング反応により固定ィ匕する方法;
(b) 基材が、ガラス、シリコンなどの無機材料の場合、上記無機材料基材上に、ァミノ エトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤で処理することにより、基 材の表面をシランケップリング結合によりアミノ化する。一方で、核酸プローブの末端
にカルボン酸を修飾する。そして、基材のァミノ基と核酸プローブのカルボン酸のアミ ノカップリング反応によりアミド結合を形成させて固定ィ匕する方法;
などが挙げられる。
[0034] また、基材が金、銀などの金属材料の場合であっても、当業者であれば、前記シラ ンカップリング結合を、金属ーチオール又は金属 ジスルフイド結合に置きかえること によって固定ィ匕できることは容易に想到することができる。
[0035] 以上の固定化方法の中でも、核酸の固定化に関しては、製造が容易である観点か ら、上記核酸プローブの末端にポリチミンを付加し、 UV照射により固定ィ匕する方法 が好ましい。
[0036] また、基材にプラズマ処理などの表面処理を施すことにより核酸の固定ィ匕量はさら に増加する。プラズマ処理とは、不活性ガス雰囲気下で放電する事により、前記不活 性ガスの電離作用によって生じるプラズマを基材表面に照射し、当該表面をエツチン グ、濡れ性の向上及び官能基の導入などの効果を付与する処理をいう。放電として は、コロナ放電 (高圧低温プラズマ)、アーク放電 (高圧高温プラズマ)及びグロ一放 電 (低圧低温プラズマ)などが挙げられる。これらの中でも表面処理の反応性がよい 観点から、コロナ放電が好ましいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0037] 前記プラズマ処理における不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、酸素ガス 、ヘリウムガス、ネオンガス及びキセノンガスなどが挙げられる。プラズマ処理後の核 酸の固定量が最も高くなる観点から、窒素ガス又はアルゴンガスが好ましい。特に、 窒素ガスは、リン酸骨格を有する DNA又は RNAを基材に固定する場合、基材表面 にァミン及び Z又はアミノ基を発生させ、当該表面の濡れ性の向上及び表面のィォ ンチャージによって、より強固に核酸を固定することができて好ましい。
[0038] (2)検体核酸と核酸プローブとをハイブリダィズする工程
以上に説明した手法により準備したアレイを用いて検体核酸と核酸プローブとをノヽ イブリダィズする。ノ、イブリダィズの方法は一般的な手法に従い、例えば、アレイの基 材上に固定ィ匕した核酸が核酸プローブである場合、検体核酸の溶液に当該アレイを 浸漬することにより達成される。アレイの基材上に固定ィ匕した核酸が検体核酸である 場合はその逆となる。ノ、イブリダィズ反応の条件は、基材に固定ィ匕された DNAプロ
一ブの熱変性温度による。例えば、前記 DNAプローブの熱変性温度力 約 55. 0〜 75. 0°C程度である場合、約 61. 5-62. 5°Cが一般的である。
[0039] 以上の方法により検体核酸と核酸プローブがアレイ上でノヽイブリダィズすることがで きる。この際、未反応の検体核酸及び Z又は核酸プローブは洗浄工程により除去す ることが好ましい。
[0040] (3)前記ハイブリダィズした核酸にモノ修飾シクロデキストリンを吸着させる工程
上記の手段によってハイブリダィズした核酸は、次 、でモノ修飾シクロデキストリンを 吸着させること〖こよって検出する。つまり、本発明の核酸の検出は、ハイブリダィズし た核酸にモノ修飾シクロデキストリンを吸着させる工程を含む。本発明におけるモノ修 飾シクロデキストリンとは、下記式(1)で表現されうる化合物を 、う。
[0041] [化 29]
CyD-R-X (1 )
(式中、 CyDは α、 β又は γ—シクロデキストリン、 Rはリンカ一であり、原子数 1〜20 の長さを有し、不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンか らなる群力 選択される少なくとも 1の結合を含んでもよい炭化水素鎖であり、 Xはィ ンタ一力レーターである)。
[0042] シクロデキストリンとは、 D—グルコースが環状に 1 , 4 ' - α—ダルコシド結合した化 合物をいい、バケツのような形状の分子構造を有し、親水性を有する外壁と、疎水性 を有するキヤビティを有する化合物をいう。一般的に、 D—グルコースの数が 6個の化 合物を α—シクロデキストリン、 7個の化合物を j8—シクロデキストリン、 8個の化合物 を Ύ—シクロデキストリンとそれぞれ称す。本発明のシクロデキストリンの種類は、 ひ、 β及び γのいずれであってもよいが、水への溶解性の観点から a、製造コストの観 点から j8が好ましい。
[0043] 本発明におけるモノ修飾シクロデキストリンとは、上記シクロデキストリンにリンカ一を 介在してインターカレーターが修飾された化合物をいう。置換数は 1つであり、置換 箇所は 1級又は 2級の水酸基の何れ力 1であればよいが、製造が容易である観点か ら 1級の水酸基に修飾することが好ましい。 1級の水酸基へのモノ修飾は、トシルイ匕
反応を利用することにより容易に達成できる。
[0044] また、リンカ一とはシクロデキストリンとインターカレーターとを介在する分子構造を 有し、当該シクロデキストリンとインターカレーターとの距離を調節するものをいう。リン カーは、主に原子数 1〜20の長さを有する炭化水素鎖力も構成される。この時、 1級 又は 2級の水酸基に該当する原子は含まないものとする。つまり、例えば、 1級の水 酸基がァミノ基に置換してインターカレーターを修飾する場合、当該アミノ基はシクロ デキストリンを構成し、リンカ一を構成するものではないものとする。またリンカ一は、 例えば、不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンカ なる 群力 選択される少なくとも 1の結合を含んでもよい。特に親水性を付与できる観点 から、カルボニル及びアミン基が好ましぐ特に好ましくはァミン基である。
[0045] さらに、インターカレーターとは、二本鎖の核酸の塩基結合の πスタツキング構造又 はその近傍に安定して配置しうる物質をいい、蛍光特性を有する物質をいう。例えば 、 Ν ァセトキシ Ν —ァセチルァミノオルオレン、アタリジン、フルォレセイン、ピレ
2
ン及びローダミンなどが挙げられる。これらのインターカレーターは、シクロデキストリ ンの種類によって適宜選択できるものであるため、特に限定されるものではないが、 目視での判定が容易となる観点からローダミン及びピレンが好ま 、。
[0046] 以上に説明したモノ修飾シクロデキストリンは、その周りの環境が親水的である場合 、インターカレーターはシクロデキストリンの疎水性キヤビティ内又はその近傍に配置 される。このことにより当該モノ修飾シクロデキストリンは、水に溶解することができる。 一方、当該モノ修飾シクロデキストリンがハイブリダィズした二本鎖の核酸に近づくと、 インターカレーターは二本鎖の核酸の塩基結合の πスタツキング構造又はその近傍 に安定して配置され、選択的に吸着されうる。
[0047] したがって、本発明のモノ修飾シクロデキストリンは、水に溶解している時よりも、二 本鎖の核酸の塩基結合の πスタツキング構造又はその近傍に、インターカレーター が配置されて 、る状態の方が安定であるような構造であることが好ま 、。このような モノ修飾シクロデキストリンの構造は、シクロデキストリンの種類、リンカ一の長さ、及び 、インターカレーターの種類などに依存するために一概に述べることは困難である。
[0048] 例えば、シクロデキストリンが ex—シクロデキストリンである場合、リンカ一の長さは原
子数 1〜20程度であり、インターカレーターとしてはアタリジン、フルォレセイン及び口 ーダミンなどが挙げられる。
[0049] また、例えば、シクロデキストリンが β—シクロデキストリンである場合、リンカ一の長 さは原子数 1〜20程度であり、インターカレーターとしてはアタリジン、フルォレセイン
、ピレン及びローダミンなどが挙げられる。
[0050] 以上のような好ま Uヽモノ修飾シクロデキストリンとしては、以下の式(2)〜(9)の化 合物などが例示される。
[0051] [化 30]
[0052] 上記式(2)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカ一の原子数は 4個であ る。ここにおいて、 1級水酸基が置換した ΝΗはリンカ一の原子数に含まないものとし 、以下、全てについて同様である。
[0053] [化 31]
[0054] 上記式(3)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカ一の原子数は 4個であ る。
[0055] [化 32]
[0056] 上記式 (4)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカ一の原子数は 13個で ある。
[0057] [化 33]
[0058] 上記式(5)に示すモノ修飾シクロテキストリンにおけるリンカ一の原子数は 13個で ある。
[0059] [化 34]
[0060] 上記式(6)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカ一の原子数は 13個で ある。
[0061] [化 35]
[0062] 上記式(7)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカ一の原子数は 13個で ある。
[0063] [化 36]
[0064] 上記式(8)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカ一の原子数は 4個であ る。
[0065] [化 37]
[0066] 上記式(9)に示すモノ修飾シクロデキストリンにおけるリンカ一の原子数は 17個で ある。
[0067] 以上に説明したモノ修飾シクロデキストリンは、二本鎖の核酸に対して選択的に吸
着する。吸着時の条件は、アレイ上に固定した核酸の量にもよる力 通常約 10 M 〜: LOmM程度、好ましくは約 0. 1〜: LmM程度の濃度の溶液に上記アレイを常温で 浸漬することにより、容易に吸着させることができる。反応時間は、モノ修飾シクロデ キストリンが、二本鎖の核酸へ十分に吸着できる程度であればよぐ約 1分以上、好ま しくは約 5分以上である。また、吸着反応後は、未反応のモノ修飾シクロデキストリンを 除去するために洗浄を行ってもょ ヽ。
[0068] 上記工程で吸着させた後は、インターカレーターの励起波長の光をアレイに照射 する。例えば、インターカレーターがピレンの場合、約 200力も 400nmの光を照射す る。また、例えば、インターカレーターがフルォレセインの場合、約 200力ら 400nmの 光を照射する。この事により、二本鎖の核酸に吸着したモノ修飾シクロデキストリンの インターカレーターが励起 '発光し、作業者は目視で容易に二本鎖の核酸の存在の 有無を確認することができる。例えば、式 (8)のモノ修飾シクロデキストリンは、黄緑色 で発光する。また、例えば、式(9)のモノ修飾シクロデキストリンは、水色で発光する。
[0069] 本発明は、核酸検出方法のほか核酸検出キットにも及ぶ。本発明の核酸検出用キ ットには、少なくとも上述したモノ修飾シクロデキストリンを含む。核酸検出キットには、 モノ修飾シクロデキストリンの他、反応用緩衝液を含めることができる。また、各種の D NAチップや DNAマイクロアレイとともに修飾シクロデキストリンをセットにしたものも 本発明の核酸検出キットに含まれる。本発明のモノ修飾シクロデキストリンは、水に可 溶であるために長期間保存安定して保存することができる。
実施例
[0070] 以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは ない。
[0071] [合成例 1] 6—(アタリジン一 9—カルボキシレート一 2—アミノエチル)一アミノー 6 —デォキシ一 (X—シクロデキストリン (Ac— a -CyD)
1—ヒドロキシベンゾトリァゾーノレ(1— HOBt、 96mg、 0. 71mM)とアタリジン一 9 一力ルボン酸(130mg、 0. 58mM)を 15mlのピリジンに溶解させ、— 10°Cまで冷却 した。次に、ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC、 252mg、 1. 22mM)を溶解させ 、— 15〜― 10°Cにて 1時間攪拌した後、これらの溶液をジメチルホルムアミド(DMF
、 20ml)に加えた。その後、 6— (2—アミノエチル)一アミノー 6—デォキシ一 α—シ ク口デキス卜リン(490mg、 0. 48mM)を徐々にカロ免、 15〜一 10oCにて 0. 5時間 攪拌した。 0°Cまで昇温し、氷浴にて 1昼夜反応させた後、室温にて 48時間反応させ た。反応終了後、減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約 300mlのアセトンで再沈 させ、沈殿物を回収した。沈殿物を CM— SephadexC— 50カラムに充填し、水 120 Omlにて不純物を溶出させた。次いで、 0. 1 %アンモニア水 1000mlにて溶出し、 目 的物である 6— (アタリジン一 9—カルボキシレート一アミノエチル)一アミノー 6—デォ キシ— a—シクロデキストリン (Ac— a— CyD、式(2) )が含まれている画分を回収し た。減圧濃縮にて溶媒を留去し、 目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成 物(51 1mg、収率 86. 8%)を得た。得られた生成物は、 NMRスペクトル測定 によりその構造を確認した。また、水に容易に溶解することを確認した。
[0072] [化 38]
[0073] [合成例 2」 6—(アタリジン一 9—カルボキシレート一 2 アミノエチル)一アミノー 6 —デォキシ一 β—シクロデキストリン (Ac— β - CyD)
1—ヒドロキシベンゾトリァゾーノレ(1— HOBt、 104mg、 0. 77mM)とアタリジン一 9 一力ルボン酸(141mg、 0. 58mM)を 15mlのピリジンに溶解させ、—10°Cまで冷却 した。次に、ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC、 306mg、 1. 48mM)を溶解させ 、 — 15〜― 10°Cにて 1時間攪拌した後、これらの溶液をジメチルホルムアミド(DMF 、 20ml)に加えた。その後、 6— (2 アミノエチル)一アミノー 6 デォキシ一 β—シ ク口デキス卜リン(503mg、 0. 43mM)を徐々にカロ免、 15〜一 10oCにて 0. 5時間 攪拌した。 0°Cまで昇温し、氷浴にて 1昼夜反応させた後、室温にて 48時間反応させ
た。反応終了後、減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約 300mlのアセトンで再沈 させ、沈殿物を回収した。沈殿物を CM— SephadexC— 50カラムに充填し、水 120 Omlにて不純物を溶出させた。次いで、 0. 1 %アンモニア水 1000mlにて溶出し、 目 的物である 6— (アタリジン一 9—カルボキシレート一アミノエチル)一アミノー 6—デォ キシ一 β—シクロデキストリン (Ac— β— CyD、式(3) )が含まれている画分を回収し た。減圧濃縮にて溶媒を留去し、 目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成 物(432mg、収率 73. 3%)を得た。得られた生成物は、 — NMRスペクトル測定 によりその構造を確認した。また、水に容易に溶解することを確認した。
[0074] [化 39]
[0075] [合成例 3] 6—(アタリジン一 9—カルボキシレート一 11—ァミノ一 3, 6, 9—トリァゾ ゥンデカン)一アミノー 6—デォキシ一 at—シクロデキストリン (Ac— TEPA— a— Cy D)
1—ヒドロキシベンゾトリァゾーノレ(1— HOBt、 86mg、 0. 41mM)とアタリジン一 9 一力ルボン酸(141mg、 0. 52mM)を 15mlのピリジンに溶解させ、—10°Cまで冷却 した。次に、ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC、 252mg、 1. 25mM)を溶解させ 、— 15〜― 10°Cにて 1時間攪拌した。その後、 6— ( 11—ァミノ— 3, 6, 9—トリァゾ ゥンデカン)一アミノー 6—デォキシ一 atーシクロデキストリン(500mg、 0. 44mM)を 徐々に加え、— 15〜― 10°Cにて 0. 5時間攪拌した。 0°Cまで昇温し、氷浴にて 1昼 夜反応させた後、室温にて 96時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮にて半分量 の溶媒を留去し、約 300mlのアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物を、 C M— SephadexC— 50絡むに充填し、水 1200mlにて不純物を溶出させた。次いで
、 0. 1 %アンモニア水 1200mlにて溶出し、 目的物である 6—(アタリジン— 9—カル ボキシレート一 11—ァミノ一 3, 6, 9 トリァゾゥンデカン)一ァミノ一 6 デォキシ一 a—シクロデキストリン(Ac— TEPA— a— CyD、式(4) )が含まれている画分を回 収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、 目的物を回収した後、減圧乾燥することにより 生成物(432mg、収率 73. 3%)を得た。得られた生成物は、 NMRスペクトル 測定によりその構造を確認した。また、水に容易に溶解することを確認した。
[0076] [化 40]
[0077] [合成例 4] 6—(アタリジン一 9—カルボキシレート一 11—ァミノ一 3, 6, 9 トリァゾ ゥンデカン)一アミノー 6—デォキシ一 13—シクロデキストリン (Ac— TEPA— β - Cy D)
1—ヒドロキシベンゾトリァゾーノレ(1— HOBt、 96mg、 0. 71mM)とアタリジン一 9 一力ルボン酸(130mg、 0. 58mM)を 15mlのピリジンに溶解させ、 10°Cまで冷却 した。次に、ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC、 252mg、 1. 22mM)を溶解させ 、 — 15〜― 10°Cにて 1時間攪拌した後、これらの溶液をジメチルホルムアミド(DMF 、 20ml)に加えた。その後、 6— ( 11 ァミノ一 3, 6, 9 トリァゾゥンデカン)一ァミノ —6—デォキシ一 13—シクロデキストリン(502mg、 0. 38mM)を徐々に加え、 15 〜一 10°Cにて 0. 5時間攪拌した。 0°Cまで昇温し、氷浴にて 1昼夜反応させた後、 室温にて 144時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、 約 300mlのアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物を CM— SephadexC— 50カラムに充填し、水 1200mlにて不純物を溶出させた。次いで、 0. 1 %アンモニア 水 1000mlにて溶出し、 目的物である 6— (アタリジン一 9—カルボキシレート一 11— ァミノ一 3, 6, 9—トリァゾゥンデカン)一ァミノ一 6—デォキシ j8—シクロデキストリ
ン (Ac— TEPA— β— CyD、式(5) )が含まれている画分を回収した。減圧濃縮に て溶媒を留去し、 目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(321mg、収 率 55. 3%)を得た。得られた生成物は、 ¾— NMRスペクトル測定によりその構造を 確認した。また、水に容易に溶解することを確認した。
[0078] [化 41]
[0079] [合成例 5] 6— (ローダミン一カルボキシレート一 11—ァミノ一 3, 6, 9 トリァゾゥン デカン)一アミノー 6—デォキシ一 at—シクロデキストリン (RB— TEPA— a— CyD) 1—ヒドロキシベンゾトリァゾーノレ(1— HOBt 77mg 0. 57mM)とローダミン B (2 52mg 0. 53mM)を 10mlのピリジン及びジメチルホルムアミド(DMF)の混合溶媒 ( 1 : 1)に溶解させ、 10°Cまで冷却する。次に、 1—ェチル—3— (3 ジメチルアミ ノプロピル)一カルポジイミド(EDC 110mg 0. 56mM)を溶解させ、 20°Cにて 2 時間攪拌した。その後、 6— ( 11—ァミノ一 3, 6, 9—トリァゾゥンデカン)一ァミノ一 6 —デォキシ一 α—シクロデキストリン(500mg 0. 44mM)を徐々にカロえ、 10 5°Cにて 1時間攪拌した。 0°Cまで昇温し、氷浴にて 1昼夜反応させた後、室温にて 9 6時間反応させる。反応終了後減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約 300mlのァ セトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物を CM— SephadexC— 50カラムに充 填し、水 1100mlにて不純物を溶出させた。次いで、 0. 2%アンモニア水 2000mlに て溶出し、 目的物である 6— (ローダミン一カルボキシレート一 11—ァミノ一 3, 6, 9 - トリァゾゥンデカン)一アミノー 6—デォキシ一 at—シクロデキストリン (RB— TEPA— a - CyD,式 (6) )が含まれている画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、 目 的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(283mg、収率 40%)を得た。得 られた生成物は、 ^ NMR ^ベクトル測定によりその構造を確認した。
[合成例 6] 6— (ローダミン一カルボキシレート一 11—ァミノ一 3, 6, 9 トリァゾゥン デカン)一アミノー 6—デォキシ一 13—シクロデキストリン (RB— TEPA— β— CyD) 1—ヒドロキシベンゾトリァゾーノレ(1— HOBt 69mg 0. 50mM)とローダミン B (2 20mg 0. 54mM)を 20mlのピリジン及びジメチルホルムアミド(DMF)の混合溶媒 (1 : 1)に溶解させ、 10°Cまで冷却した。次に、 1—ェチル—3— (3 ジメチルアミ ノプロピル)一カルポジイミド(EDC 110mg 0. 56mM)を溶解させ、 20°Cにて 2 時間攪拌した。その後、 6— (11 ァミノ一 3, 6, 9 トリァゾゥンデカン)一ァミノ一 6 —デォキシ一 13—シクロデキストリン(500mg 0. 38mM)を徐々に加え、 10 5°Cにて 0. 5時間攪拌した。 0°Cまで昇温し、氷浴にて 1昼夜反応させた後、室温に て 144時間反応させた。反応終了後減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約 300m 1のアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物を CM— SephadexC— 50カラム に充填し、水 1000mlにて不純物を溶出させた。次いで、 0. 2%アンモニア水 1400 mlにて溶出し、 目的物である 6— (ローダミン一カルボキシレート一 11—ァミノ一 3, 6 , 9—トリァゾゥンデカン)一ァミノ一 6—デォキシ一 13—シクロデキストリン (RB— TEP A- β -CyD,式 (7) )が含まれている画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し 、 目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(260mg、収率 40%)を得た 。得られた生成物は、 ^—NMRスペクトル測定によりその構造を確認した。また、水 に容易に溶解することを確認した。 目的物である 6— (ローダミン—カルボキシレート — 11—ァミノ一 3, 6, 9 トリァゾゥンデカン)一ァミノ一 6 デォキシ j8—シクロデ キストリン (RB— TEPA— β -CyD,式(7) )を回収した。
[0082] [化 43]
[0083] [合成例 7] 6— (フルォレセイン一カルボキシレート一 2—アミノエチル)一アミノー 6 —デォキシ一 β—シクロデキストリン(FL— β -CyD)
1—ヒドロキシベンゾトリアゾール(1— HOBt、 96mg、 0. 71mM)とフルォレセイン (130mg、 0. 58mM)を 15mlのピリジンに溶解させ、— 10°Cまで冷却した。次に、 ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC、 252mg、 1. 22mM)を溶解させ、—15〜― 10°Cにて 1時間攪拌した。その後、 6— (2—アミノエチノレ)一アミノー 6—デォキシ一 β—シクロデキストリン(502mg、 0. 33mM)を徐々に加え、— 15〜一 10°Cにて 0. 5時間攪拌した。 0°Cまで昇温し、氷浴にて 1昼夜反応させた後、室温にて 144時間 反応させた。反応終了後、減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し、約 300mlのァセト ンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物を CM— SephadexC— 50カラムに充填し 、水 1200mlにて不純物を溶出させた。次いで、 0. 1%アンモニア水 1000mlにて溶 出し、 目的物である 6— (フルォレセイン—カルボキシレート— 2—アミノエチル)—ァ ミノ一 6—デォキシ一 13—シクロデキストリン(FL— β -CyD,式(8) )が含まれてい る画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、 目的物を回収した後、減圧乾燥す ることにより生成物(211mg、収率 24. 3%)を得た。得られた生成物は、 'H -NMR スペクトル測定によりその構造を確認した。また、水に容易に溶解することを確認した
[0084] [化 44]
[0085] [合成例 8] 6— (ピレン一 4 ブチレート一 11—ァミノ一 3, 6, 9 トリァゾゥンデカン )—アミノー 6—デォキシ一 13—シクロデキストリン(PY— TEPA— β - CyD)
1—ヒドロキシベンゾトリアゾール(1— HOBt、 67mg、 0. 50mM)と 1—ピレン酪酸 ( 133mg、 0. 46mM)を 7mlのピリジンに溶解させ、 10°Cまで冷却した。次に、ジ シクロへキシルカルボジイミド(DCC、 120mg、 0. 50mM)を溶解させ、—15〜― 1 0°Cにて 2. 5時間攪拌した。その後 6—(11 アミノー 3, 6, 9ートリアゾゥンデカン) —アミノー 6 デォキシ一 β—シクロデキストリン(500mg、 0. 38mM)を徐々に加え 、— 15〜― 10°Cにて 1時間攪拌した。 0°Cまで昇温し、氷浴にて 1昼夜反応させた後 、室温にて 144時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮にて半分量の溶媒を留去し 、約 300mlのアセトンで再沈させ、沈殿物を回収した。沈殿物を CM— SephadexC —50絡むに充填し、水 1200mlにて不純物を溶出させた。次いで、 0. 1 %アンモ- ァ水 1000mlにて溶出し、 目的物である 6— (ピレン一 4 ブチレート一 11—ァミノ - 3, 6, 9—トリァゾゥンデカン)一ァミノ一 6—デォキシ一 j8―シクロデキストリン(PY -TEPA- β—CyD)、式 (9) )が含まれている画分を回収した。減圧濃縮にて溶媒 を留去し、 目的物を回収した後、減圧乾燥することにより生成物(83mg、収率 13. 7 %)を得た。得られた生成物は、 ^—NMRスペクトル測定によりその構造を確認した 。また、水に容易に溶解することを確認した。
[0086] [化 45]
[0087] [実施例 1] 核酸マイクロアレイの作成 1
基材の調製
ポリカーボネート (PC)基板にプラズマ処理を施した。プラズマ処理の装置として、 小型高性能プラズマ表面処理装置 (ャマト科学社製、 PDC200シリーズ)を用いた。 PC基板を窒素ガス雰囲気下のチャンバ一内に配置し、約 25°C、高圧 (約 20Pa)下 、出力 500Wで約 600秒処理した。
[0088] 核酸プローブ
上記の PC基板上に核酸プローブを固定した。核酸プローブとしては、配列番号 1 に示される塩基配列(シグマジエノスジャパン社提供)を用いた。配列番号 1の DND プローブは、第 1ェクソンと第ェクソンの間のイントロン領域内に存在するエストロゲン 受容体対立遺伝子 (Xbal多型)のうち制限酵素 Xbalにより切断されな 、配列 (x型) を検出することができるものである。この核酸プローブの 3'末端にはそれぞれポリチミ ンを付カ卩した。具体的には、ターミナルトランスフェラーゼ(20unitZ / l)を 4 1、デ ォキシチミジン三リン酸(lOpmolZ μ 1)を 10 μ 1、配列番号 1の核酸プローブ(50m M)を 4 μ 1、製品添付の NEBuffer4を 5 μ 1、及び、製品添付の力コジル酸緩衝液を 5 μ 1をそれぞれ精製水 50 μ 1に加えることにより、ポリチミン付加された配列番号 1の 核酸プローブ(平均 400bp長) 2pmolZ μ 1をそれぞれ得た。
[0089] X型検出用核酸プローブ (配列番号 1): gtggtctaga gttggg
[0090] 核酸プローブの固定
次に、ポリチミン付加された配列番号 1の核酸プローブを、それぞれ 1. OpmolZ 1となるように、製品添付の 10X SSC緩衝液で希釈し、上記 PC基板上にそれぞれ 異なる位置に 0. 5 1ずつ塗布した。そして、 312nmの紫外線を 2分間照射すること により核酸マイクロアレイを製造した。
[0091] 対照核酸プローブの固定
また、二本鎖を形成しな 、比較対象として配列番号 2の核酸にポリチミンを付加した ものを作成し、上述した核酸マイクロアレイに固定した。ポリチミン付加及びプローブ の固定は上述した方法と同様に行った。配列番号 2の DNAプローブは、第 1ェクソン と第 ェクソンの間のイントロン領域内に存在するエストロゲン受容体対立遺伝子( Xbal多型)のうち制限酵素 Xbalにより切断される配列 (X型)を検出することができる ものである。
[0092] X型検出用核酸プローブ (配列番号 2): tctggagttg ggatga
[0093] マーカー
さらに、マーカーとして合成例 7で製造したモノ修飾シクロデキストリン溶液を、上記 核酸マイクロアレイ上に塗布 ·乾燥させることにより固定した。
[0094] [実施例 2] 核酸マイクロアレイの作成 2
マーカーとして合成例 7で製造したモノ修飾シクロデキストリンの代わりに、合成例 8 で製造したモノ修飾シクロデキストリンを用いた以外は実施例 1と同様に核酸マイクロ アレイを製造した。
[0095] [実験例 1]
検体ゲノム DNAの増幅
あらかじめ XX型であることが判明している検体のゲノム DNAを配列番号 3に示され た塩基配列を有するフォワードプライマー及び配列番号 4に示された塩基配列を有 するリバースプライマー、および Taq DNAポリメラーゼ(ロシュ'ダイァグノステイタス 社製)を用いた PCR法により Xbal多型を含む塩基配列の増幅を行った。 PCRの反 応条件は、変性過程を 94°C、 30秒、ァニール過程を 55°C、 20秒、鎖伸長過程を 72
。C、 20秒とし、この工程を 30サイクル行った。
[0096] フォワードプライマー(配列番号 3): gttccaaatg tcccagccgt
リノくースプライマー (酉己歹 IJ番号 4): cctgcaccag aatatgttac c
[0097] 核酸の検出
増幅した DNA溶液 20 しに、水酸化ナトリウム(5M)、エチレンジァミン四酢酸(0 . 05M)の溶液(20 /z L)をカ卩えてよく攪拌し、 5分間放置して、増幅した DNAを一本
鎖に変性した。この試料溶液中に、ドデシル硫酸ナトリウム (0. 01wZv%)、塩ィ匕ナ トリウム(1. 8wZv%)、クェン酸ナトリウム(1. OwZv%)の溶液(lmL)及び実施例 1で作成した核酸マイクロアレイ 1枚を加え、反応温度 45°Cのもとで 30分間振とうして 反応させた。その後、合成例 8で合成したモノ修飾シクロデキストリン水溶液(ImM) 中に 5分浸漬させた。次いで、核酸マイクロアレイを取り出し、励起波長 365nmの光 を照射してその様子にっ 、て目視で観察した。
[0098] その結果を図 1に示す。配列番号 1の核酸プローブを固定した箇所は黄緑色に発 色しているのに対して、配列番号 2の核酸プローブを固定した箇所は発色されなかつ た。つまり、本発明のモノ修飾シクロデキストリンは一本鎖の核酸には吸着しないが、 二本鎖の核酸には吸着する性質を有することが明らかとなった。
[0099] [参考例 1]
本発明のモノ修飾デキストリンのインターカレーターと、二本鎖の核酸の塩基との結 合の様子について蛍光スペクトル測定により確認した。具体的には、合成例 8のモノ 修飾シクロデキストリン水溶液 (0. 1 M)に二本鎖核酸を添加後の濃度が 0. 001 gZ 1となるように加えた後、溶液を 5分間攪拌した。この溶液の蛍光スペクトル測定 を測定した (励起波長 365nm)。比較として合成例 8のモノシクロデキストリン水溶液 の蛍光スペクトルも測定した。
[0100] その結果を図 2に示す。二本鎖の核酸を添加することにより、 380nm及び 400nm のピークが消失し、 440nmに新たなピークが観測された。このことから合成例 8のモノ 修飾シクロデキストリンのピレン力 二本鎖の核酸の塩基にインター力レートして!/、る ことが示唆された。
産業上の利用可能性
[0101] 本発明は、核酸に特別な修飾を行う必要がなく原材料のコストが大幅に削減できる
。また、試薬が二本鎖の核酸のみに選択的に吸着することができるために、検出作 業が容易となる。カロえて、高感度での検出を可能とするために、 PCRなどの核酸の 増幅工程の回数を抑えることができ、検出の時間及びコストをさらに削減することが 可能となる。そして、試薬は水に容易に溶解するため安定して保存することができ、 工業的実施を可能とすることができる。
Claims
請求の範囲
[1] ノ、イブリダィズした核酸を検出する方法であって、
検体核酸又は核酸プローブを固定ィ匕したアレイを準備する工程、
検体核酸と核酸プローブとをハイブリダィズする工程、
ハイブリダィズした二本鎖の核酸にモノ修飾シクロデキストリンを吸着させる工程 を含み、
前記モノ修飾シクロデキストリンが、式(1)に示される化合物であることを特徴とする 核酸検出方法;
[化 1]
CyD-R-X (1 )
(式中、 CyDは ex、 β又は γ—シクロデキストリン、 Rは原子数 1〜20の長さを有し、 不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンカ なる群力 選 択される少なくとも 1の結合を含んでもよい炭化水素鎖であり、 Xはインターカレータ 一である)。
[2] モノ修飾シクロデキストリンをマーカーとして核酸を検出する請求項 1に記載の核酸 検出方法。
[3] インターカレーター力 アタリジン、フルォレセイン、ピレン及びローダミンから選択さ れるいずれか 1である請求項 1又は 2に記載の核酸検出方法。
[4] モノ修飾シクロデキストリン力 下記式(2)〜(9)に示される化合物のいずれか 1で ある請求項 1〜3のいずれ力 1項に記載の核酸検出方法。
[化 2]
[化 3]
[化 7]
[5] 下記の式(1)に示されるモノ修飾シクロデキストリンを含む核酸検出キット;
[化 10]
CyD-R-X (1 )
(式中、 CyDはひ、 β又は γ—シクロデキストリン、 Rは原子数 1〜20の長さを有し、 不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンカ なる群力 選 択される少なくとも 1の結合を含んでもょ ヽ炭化水素鎖であり、 Xはインターカレータ 一である)。
[6] 二本鎖核酸を検出するためのキットであって、
検体核酸又は核酸プローブを固定化した核酸マイクロアレイと、
下記の式(1)に示されるモノ修飾シクロデキストリンを含む核酸検出キット;
[化 11]
CyD-R-X (1 )
(式中、 CyDは oc、 β又は γ—シクロデキストリン、 Rは原子数 1〜20の長さを有し、 不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンカ なる群力 選 択される少なくとも 1の結合を含んでもよい炭化水素鎖であり、 Xはインターカレータ 一である)。
[7] インターカレーター力 アタリジン、フルォレセイン、ピレン及びローダミンから選択さ れるいずれか 1である請求項 5又は 6に記載の核酸検出キット。
[8] モノ修飾シクロデキストリン力 下記式(2)〜(9)に示される化合物のいずれか 1で ある請求項 5〜7のいずれ力 1項に記載の核酸検出キット。
[化 12]
[化 14]
[化 18]
[9] 下記式(1)に示されるモノ修飾シクロデキストリンの、二本鎖の核酸との選択的結合 性を利用した核酸検出のための用途;
[化 20]
CyD-R-X (1 )
(式中、 CyDは ex、 β又は γ—シクロデキストリン、 Rは原子数 1〜20の長さを有し、 不飽和結合、カルボニル、エステル、エーテル、ウレタン及びアミンカ なる群力 選 択される少なくとも 1の結合を含んでもよい炭化水素鎖であり、 Xはインターカレータ 一である)。
[10] インターカレーター力 アタリジン、フルォレセイン、ピレン及びローダミンから選択さ れる 、ずれか 1である請求項 9に記載の用途。
[11] モノ修飾シクロデキストリン力 下記式(2)〜(9)に示される化合物のいずれか 1で ある請求項 9又は 10に記載の用途。
[化 21]
[化 25]
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