JP5429196B2 - 半導体発光素子用テンプレート基板、半導体発光素子及びその製造方法、並びにランプ、電子機器、機械装置 - Google Patents

半導体発光素子用テンプレート基板、半導体発光素子及びその製造方法、並びにランプ、電子機器、機械装置 Download PDF

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Description

本発明は、半導体発光素子用テンプレート基板、半導体発光素子及びその製造方法、並びにランプ、電子機器、機械装置に関する。
従来から、発光ダイオードなどに用いられる半導体発光素子として、基板上に、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを順次積層してなるものがある。このような半導体発光素子を製造する方法としては、サファイア単結晶などからなる基板上に、有機金属化学気相成長法(MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法)によってn型半導体層と発光層とp型半導体層とを連続して順次積層する方法が知られている。
しかしながら、基板上に、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを連続して順次積層する場合、これらの層が同一の成長室内で形成されるので、n型半導体層を形成する際に用いたドーパントがp型半導体層の形成に支障を来たして、抵抗率の十分に低いp型半導体層が得られない場合があった。
このような問題を解決する技術として、例えば、特許文献1には、所定の基板上に、少なくとも第一導電型の半導体層と第二導電型の半導体層とを順次成膜して化合物半導体装置を製造するに際し、前記それぞれの導電型の半導体層を、導電型に対応した異なる複数の独立した成長室で成膜するようにして成る化合物半導体装置の製造方法が提案されている。
特開平7-45538号公報
しかしながら、n型半導体層を形成する成長装置(第一成長装置(第一成長室))とp型半導体層を形成する成長装置(第二成長装置(第二成長室))とを別々にした場合、第一成長装置において基板上にn型半導体層が形成された成長基板(テンプレート基板)を第二成長装置に搬送する間に大気に晒されて、その表面に酸素や水分が吸着したり、ゴミ、汚れ等の異物が付着してしまうという問題があった。また、その搬送時に成長基板(テンプレート基板)を収容する場合、収容する容器の成分がその表面に付着してしまうという問題があった。例えば、シリコーン系の容器を使用した場合、成長基板(テンプレート基板)を容器に収容しておく時間が長くなると、表面に吸着したSiが内部にドーピングされ、成長基板(テンプレート基板)がn型になってしまうという問題があった。また、ポリプロピレン製の容器を使用した場合には含有されている可塑剤の影響で表面状態が変質してしまうという問題があった。
成長基板(テンプレート基板)上に吸着した分子や付着した異物は、第二成長装置に入れる前に、成長基板(テンプレート基板)を洗浄することにより除去することができる場合もあるが、この場合は洗浄工程が必須であり、そのための設備や作業時間が必要になる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、半導体発光素子の化合物半導体層を積層する前に清浄な成長面を容易に準備することができ、第二成長装置に入れる前の洗浄工程が不要な半導体発光素子用テンプレート基板、半導体発光素子及びその製造方法、並びにランプ、電子機器、機械装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 基板上に、下地層と、加熱により除去可能な犠牲層とを順に備えたことを特徴とする半導体発光素子用テンプレート基板。
〔2〕 基板上に、下地層と、第一n型半導体層と、加熱により除去可能な犠牲層とを順に備えたことを特徴とする半導体発光素子用テンプレート基板。
〔3〕 前記犠牲層が化合物半導体又は金属からなることを特徴とする〔1〕又は〔2〕のいずれかに記載の半導体発光素子用テンプレート基板。
〔4〕 前記犠牲層が、InGaN、InN、AlInN、AlGaInN、BInGaN、BInN、BAlInN、及びBAlGaInNの群から選択された一つからなることを特徴とする〔3〕に記載の半導体発光素子用テンプレート基板。
〔5〕 前記犠牲層が、ZnSe、ZnS、ZnCdS、及びZnMgSSeの群から選択された一つからなることを特徴とする〔3〕に記載の半導体発光素子用テンプレート基板。
〔6〕 前記犠牲層が、K、Se、Cd、Zn、Mg、Ca、及びInの群から選択された一つからなることを特徴とする〔3〕に記載の半導体発光素子用テンプレート基板。
〔7〕 前記犠牲層の膜厚が、3〜100nmであることを特徴とする〔1〕から〔6〕のいずれか一つに記載の半導体発光素子用テンプレート基板。
〔8〕 〔1〕に記載の半導体発光素子用テンプレート基板の犠牲層を除去した下地層の上に、該下地層の再成長層と、第一n型半導体層と第二n型半導体層と発光層とp型半導体層とが順次積層されてなることを特徴とする半導体発光素子。
〔9〕 〔2〕に記載の半導体発光素子用テンプレート基板の犠牲層を除去した第一n型半導体層の上に、該第一n型半導体層の再成長層と、第二n型半導体層と発光層とp型半導体層とが順次積層されてなることを特徴とする半導体発光素子。
〔10〕 〔8〕又は〔9〕のいずれかに記載の半導体発光素子を備えることを特徴とするランプ。
〔11〕 〔10〕に記載のランプが組み込まれていることを特徴とする電子機器。
〔12〕 〔11〕に記載の電子機器が組み込まれていることを特徴とする機械装置。
〔13〕 基板上に、下地層と、加熱により除去可能な犠牲層とが順次積層されてなる半導体発光素子用テンプレート基板の前記犠牲層を加熱により除去する工程と、その後、第一n型半導体層、第二n型半導体層、発光層およびp型半導体層を順次積層する工程と、を有することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
〔14〕 前記犠牲層を加熱により除去する工程の後、前記第一n型半導体層を積層する前に、前記下地層の再成長層を積層することを特徴とする〔13〕に記載の半導体発光素子の製造方法。
〔15〕 基板上に、下地層と、第一n型半導体層と、加熱により除去可能な犠牲層とが順次積層されてなる半導体発光素子用テンプレート基板の前記犠牲層を加熱により除去する工程と、その後、第二n型半導体層、発光層およびp型半導体層を順次積層する工程と、を有することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
〔16〕 前記犠牲層を加熱により除去する工程の後、前記第二n型半導体層を積層する前に、前記第一n型半導体層の再成長層を積層することを特徴とする〔15〕に記載の半導体発光素子の製造方法。
〔17〕 前記犠牲層を加熱により除去する工程を、700℃〜1000℃の温度で行うことを特徴とする〔13〕から〔16〕のいずれか一つに記載の半導体発光素子の製造方法。
〔18〕 前記犠牲層を加熱により除去する工程を、窒素を導入して行うことを特徴とする〔13〕から〔17〕のいずれか一つに記載の半導体発光素子の製造方法。
〔19〕 前記犠牲層を加熱により除去する工程を、さらにアンモニアを導入して行うことを特徴とする〔18〕に記載の半導体発光素子の製造方法。
〔20〕 前記犠牲層を加熱により除去する工程を、水素及びアンモニアを導入して行うことを特徴とする〔13〕から〔17〕のいずれか一つに記載の半導体発光素子の製造方法。
本発明の半導体発光素子用テンプレート基板によれば、基板上に、下地層と、加熱により除去可能な犠牲層とを順に備えた構成を採用したので、半導体発光素子の化合物半導体層の成長面となる下地層表面が犠牲膜により保護されて大気に晒されず、成長装置間を搬送する際に酸素や水分が吸着したり、ゴミ、汚れ等の異物が付着することがなく、長期間保管しておくことができる。また、当該テンプレート基板を成長基板として半導体発光素子を製造すると、成長装置内で犠牲層を除去することによって清浄な下地層の表面が容易に得られ、その上に半導体発光素子の化合物半導体層の積層を行うことができるので、結晶性が良好で高出力の半導体発光素子を製造することができる。さらにまた、成長装置内で犠牲層を除去することによって清浄な下地層の表面が得られるので、当該テンプレート基板を成長基板として半導体発光素子を製造する際、化合物半導体層の積層前の洗浄工程を省くことができるので、製造時間を短縮できると共に、洗浄コストを削減できる。
本発明の半導体発光素子用テンプレート基板によれば、基板上に、下地層と、第一n型半導体層と、加熱により除去可能な犠牲層とを順に備えた構成を採用したので、半導体発光素子の化合物半導体層の成長面となる第一n型半導体層表面が大気に晒されず、成長装置間を搬送する際に酸素や水分が吸着したり、ゴミ、汚れ等の異物が付着することがなく、長期間保管しておくことができる。また、当該テンプレート基板を成長基板として半導体発光素子を製造すると、成長装置内で犠牲層を除去することによって清浄な第一n型半導体層の表面が容易に得られ、その上に半導体発光素子の化合物半導体層の積層を行うことができるので、結晶性が良好で高出力の半導体発光素子を製造することができる。さらにまた、成長装置内で犠牲層を除去することによって清浄な第一n型半導体層の表面が得られるので、当該テンプレート基板を成長基板として半導体発光素子を製造する際、化合物半導体層の積層前の洗浄工程を省くことができるので、製造時間を短縮できると共に、洗浄コストを削減できる。
本発明の半導体発光素子の製造方法によれば、基板上に、下地層と、加熱により除去可能な犠牲層とが順次積層されてなる半導体発光素子用テンプレート基板の前記犠牲層を加熱により除去する工程と、その後、第一n型半導体層、第二n型半導体層、発光層およびp型半導体層を順次積層する工程と、を有する構成を採用したので、犠牲層を除去することによって得られた清浄な下地層の表面に下地層の再成長層等の積層を行うことができるので、結晶性が良好で高出力の半導体発光素子を製造することができる。また、犠牲層を除去することによって清浄な下地層の表面が得られるので、当該テンプレート基板上に化合物半導体層を積層する前の洗浄工程を省くことができるので、製造時間を短縮できると共に、洗浄コストを削減できる。
本発明の半導体発光素子の製造方法によれば、基板上に、下地層と、第一n型半導体層と、加熱により除去可能な犠牲層とが順次積層されてなる半導体発光素子用テンプレート基板の前記犠牲層を加熱により除去する工程と、その後、第二n型半導体層、発光層およびp型半導体層を順次積層する工程と、を有する構成を採用したので、犠牲層を除去することによって得られた清浄な第一n型半導体層の表面に第一n型半導体層の再成長層等の積層を行うことができるので、結晶性が良好で高出力の半導体発光素子を製造することができる。また、犠牲層を除去することによって清浄な第一n型半導体層の表面が得られるので、当該テンプレート基板上に化合物半導体層を積層する前の洗浄工程を省くことができるので、製造時間を短縮できると共に、洗浄コストを削減できる。
本発明の半導体発光素子用テンプレート基板の一実施形態を示した断面模式図である。 本発明の半導体発光素子用テンプレート基板の他の実施形態を示した断面模式図である。 本発明の半導体発光素子の一実施形態を示した断面模式図である。 本発明の半導体発光素子の他の実施形態を示した断面模式図である。 図3に示す半導体発光素子を製造する工程を説明するための断面模式図である。 図4に示す半導体発光素子を製造する工程を説明するための断面模式図である。 本発明の半導体発光素子を備えるランプの一例を示した断面模式図である。
以下、本発明について、図を用いてその構成を説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
〔半導体発光素子用テンプレート基板(第1実施形態)〕
図1は、本発明の半導体発光素子用テンプレート基板1の一例を示した断面模式図である。
図1に示す本実施形態の半導体発光素子用テンプレート基板1は、基板11と、基板11上に形成されたバッファ層21と、バッファ層21上に形成された下地層22と、下地層22上に形成された犠牲層23と、から構成されている。
以下、それぞれの構成について詳細に説明する。
(基板11)
基板11としては、例えば、サファイア、SiC、シリコン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウムアルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化モリブデン等からなる基板を用いることができる。上記基板の中でも、特に、c面を主面とするサファイア基板を用いることが好ましい。
(バッファ層21)
バッファ層21は、設けられていなくてもよいが、基板11と下地層22との格子定数の違いを緩和して、基板11の(0001)C面上にC軸配向した単結晶層の形成を容易にするために、設けられていることが好ましい。
バッファ層21は、多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなるものが好ましく、単結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなるものがより好ましい。
バッファ層21は、例えば、多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのものとすることができる。バッファ層21の厚みが0.01μm未満であると、バッファ層21により基板11と下地層22との格子定数の違い緩和する効果が十分に得られない場合がある。また、バッファ層21の厚みが0.5μmを超えると、バッファ層21としての機能には変化が無いのにも関わらず、バッファ層21の成膜処理時間が長くなり、生産性が低下する。
また、バッファ層21は、MOCVD法またはスパッタ法により成膜することができる。
(下地層22)
下地層22としては、AlGaInN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)が挙げられるが、AlGaInN(0≦x<1)を用いると結晶性の良い下地層22を形成できるため好ましい。
下地層22の膜厚は0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上であり、1μm以上が最も好ましい。この膜厚以上にした方が結晶性の良好なAlxGa1−xN層が得られやすい。また、下地層22の膜厚は10μm以下が好ましい。
下地層22の結晶性を良くするために、下地層22には不純物をドーピングしない方が望ましい。しかし、p型あるいはn型の導電性が必要な場合には、下地層22にアクセプター不純物あるいはドナー不純物を添加することができる。
(犠牲層23)
犠牲層23としては、加熱により除去可能な材料からなるものであればよいが、昇華性が高いことからIn系の化合物半導体からなるものが好ましく、例えば、InGaN、InN、AlInN、AlGaInN、及び、同じIII-V族系半導体であるBを含んだ、BInGaN、BInN、BAlInN、BAlGaInNの群から選択された一つであるのが好ましい。昇華性の観点から、InGaNはInGa1−xN(0.01≦x≦0.2)であるのが好ましく、AlInNはAl1−xInN(0.5≦x≦0.9)であるのが好ましく、AlGaInNはAlGa1−x−yInN(0.01≦x≦0.1、0.01≦y≦0.2)であるのが好ましい。
また、II-VI系半導体は蒸気圧が比較的に高いことから、犠牲層23はZn系の化合物半導体も好ましく、例えば、ZnSe、ZnS、ZnCdS、及びZnMgSSeの群から選択された一つであるのが好ましい。
また、テンプレート基板を用いて半導体発光素子を製造する際に、テンプレート基板の上に形成する化合物半導体層をMBE(分子線エピタキシー)法で行う場合には、犠牲層23は用いる金属源と同じ金属からなるものであってもよい。例えば、K、Se、Cd、Zn、Mg、Ca、又はInであってもよい。
犠牲層23の膜厚は、3〜100nmであることが好ましい。3nm以下では、保護膜としての機能が十分でなく、また、100nm以上では、下地層の結晶性に悪影響がでてしまうからである。
〔半導体発光素子用テンプレート基板(第2実施形態)〕
図2は、本発明の半導体発光素子用テンプレート基板10の一例を示した断面模式図である。
図2に示す第2実施形態の半導体発光素子用テンプレート基板10は、基板11と、基板11上に積層されたバッファ層21と、バッファ層21上に積層された下地層22と、下地層22上に積層された第一n型半導体層12cと、第一n型半導体層12c上に形成された犠牲層33と、から構成されている。図1に示す第1実施形態の半導体発光素子用テンプレート基板1と比較すると、下地層22上に積層された第一n型半導体層12cを備え、犠牲層33が第一n型半導体層12cの上に積層されている点が異なる。
以下、第1実施形態の半導体発光素子用テンプレート基板1と異なる構成について詳細に説明する。
(第一n型半導体層12c)
第一n型半導体層12cは、n型電極17を設けるための層である。
第一n型半導体層12cは、AlGa1−xN層(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ましく、n型不純物(ドーパント)がドープされている。第一n型半導体層12cにn型不純物が1×1017〜1×1020/cm、好ましくは1×1018〜1×1019/cmの濃度で含有されている場合、n型電極17との良好なオーミック接触の維持の点で好ましい。第一n型半導体層12cに用いられるn型不純物としては、特に限定されないが、例えば、Si、Ge、Sn等が挙げられ、SiおよびGeが好ましく、Siが最も好ましい。
第一n型半導体層12cの膜厚は、0.5〜5μmであることが好ましく、2μm〜4μmの範囲であることがより好ましい。第一n型半導体層12cの膜厚が上記範囲内であると、半導体の結晶性が良好に維持される。
本発明の半導体発光素子用テンプレート基板1、10よれば、下地層22又は第一n型半導体層12c上に犠牲層23、33が設けられていることにより、半導体発光素子の化合物半導体層の成長面が大気に晒されることがないので、酸素や水分が吸着したり、ゴミ、汚れ等の異物が付着することがなく、長期間保管しておくことができる。また、本発明の半導体発光素子用テンプレート基板1、10を成長基板として半導体発光素子を製造すると、成長装置内で犠牲層を除去することによって清浄な成長面を容易に得られ、その上に化合物半導体層の積層を行うことができるので、結晶性が良好で高出力の半導体発光素子を製造することができる。
〔半導体発光素子(第1実施形態)〕
図3は、本発明の半導体発光素子41の一例を示した断面模式図である。
図3に示す第1実施形態の半導体発光素子41は、半導体発光素子用テンプレート基板1のうち犠牲層23が除去されたテンプレート基板1aと、テンプレート基板1a上に積層された積層半導体層20と、積層半導体層20の上面に積層された透光性電極15と、透光性電極15上に積層されたp型ボンディングパッド電極16と、積層半導体層20の露出面20a上に積層されたn型電極17と、から概略構成されている。
積層半導体層20は、テンプレート基板1a側から、下地層の再成長層22a、n型半導体層12、発光層13、p型半導体層14がこの順に積層されて構成されている。図3に示すように、n型半導体層12、発光層13、p型半導体層14は、その一部がエッチング等の手段によって除去されており、除去された部分からn型半導体層12の一部が露出されている。そして、n型半導体層12の露出面20aには、n型電極17が積層されている。
また、p型半導体層14の上面には、透光性電極15およびp型ボンディングパッド電極16が積層されている。これら、透光性電極15およびp型ボンディングパッド電極16によって、p型電極18が構成されている。
また、上記n型半導体層12は、第一n型半導体層としてnコンタクト層12aと第二n型半導体層としてnクラッド層12bから構成されている。さらに、上記p型半導体層14は、第一p型半導体層としてpクラッド層14aと第二p型半導体層としてpコンタクト層14bから構成されている。
n型半導体層12、発光層13およびp型半導体層14を構成する半導体としては、III族窒化物半導体を用いることが好ましく、窒化ガリウム系化合物半導体を用いることがより好ましい。本発明におけるn型半導体層12、発光層13およびp型半導体層14を構成する窒化ガリウム系化合物半導体としては、一般式AlInGa1−x−yN(0≦x<1,0≦y<1,0≦x+y<1)で表わされる各種組成の半導体を何ら制限なく用いることができる。
本実施形態の半導体発光素子41は、p型電極18とn型電極17との間に電流を通じることで、積層半導体層20を構成する発光層13から発光を発せられるようになっており、発光層13からの光を、p型ボンディングパッド電極16の形成された側から取り出すフェイスアップマウント型の発光素子である。なお、本発明の半導体発光素子は、フリップチップ型の発光素子であってもよい。
以下、それぞれの構成について詳細に説明する。
(テンプレート基板1a)
テンプレート基板1aは、上述した半導体発光素子用テンプレート基板1から成長装置内で犠牲層23を除去したものである。
(下地層の再成長層22a)
テンプレート基板1aの下地層22上には、下地層22の再成長層22aが形成されていることが好ましい。下地層22上に再成長層22aが形成されていることにより、有機金属化学気相成長(MOCVD)装置の成長室内でn型半導体層12を成長させることによる、下地層22の結晶性への影響を少なくすることができる。また、再成長層22aを形成することにより、下地層(再成長層22aを含む)表面の平坦性を向上させることができる。そのため、再成長層22a上に結晶性の高いnコンタクト層12aを形成することが可能となり、半導体発光素子の出力を向上させる効果がより顕著となる。
また、下地層22とその再成長層22aは、同一の材料からなることが好ましい。
また、再成長層22aの膜厚は、0.2μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
再成長層22aがこの範囲内の膜厚で形成されていることにより、半導体発光素子用テンプレート基板1を有機金属化学気相成長装置の成長室内に投入し、犠牲層23を除去した後に下地層22の成長を再開することによる、下地層22の結晶性への影響を少なくすることができる。そのため、半導体発光素子の出力を向上させる効果がより顕著となる。
一方、再成長層22aの膜厚が0.2μm未満であると、再成長層22aの表面の平坦性が高くならず好ましくない。また、再成長層22aの膜厚が5μmを超えると、有機金属化学気相成長装置の成長室内に、再成長層22aを形成した後に残される不純物や堆積物の量が多くなる。そのため、不純物や堆積物に起因するn型半導体層12、発光層13、およびp型半導体層14の不良が生じやすくなる。また、再成長層22aの成膜処理時間が長くなるため、半導体発光素子の生産性が低下し、好ましくない。
<積層半導体層20>
(n型半導体層12)
n型半導体層12はさらに、nコンタクト層(第一n型半導体層)12aと、nクラッド層(第二n型半導体層)12bとから構成されている。
(nコンタクト層12a)
nコンタクト層12aは、n型電極17を設けるための層であり、図1に示すように、n型電極17を設けるための露出面20aが形成されている。
nコンタクト層12aの膜厚は、0.5〜5μmであることが好ましく、2μm〜4μmの範囲であることがより好ましい。nコンタクト層12aの膜厚が上記範囲内であると、半導体の結晶性が良好に維持される。
nコンタクト層12aは、AlGa1−xN層(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ましく、n型不純物(不純物)がドープされている。nコンタクト層12aにn型不純物が1×1017〜1×1020/cm、好ましくは1×1018〜1×1019/cmの濃度で含有されている場合、n型電極17との良好なオーミック接触の維持の点で好ましい。nコンタクト層12aに用いられるn型不純物としては、特に限定されないが、例えば、Si、Ge、Sn等が挙げられ、SiおよびGeが好ましく、Siが最も好ましい。なお、本実施形態ではn型不純物(不純物)として5×1018/cm程度のSiが含有されている。
nクラッド層12bは、nコンタクト層12aと発光層13との間に設けられている。
nクラッド層12bは、発光層13へのキャリアの注入とキャリアの閉じ込めを行なう層であり、nコンタクト層12aと発光層13との結晶格子の不整合を緩和する発光層13のバッファ層としても機能する。また、nクラッド層12bはAlGaN、GaN、GaInNなどで形成することが可能である。なお、明細書中各元素の組成比を省略してAlGaN、GaInNと記述する場合がある。nクラッド層12bをGaInNで形成する場合には、発光層13のGaInNのバンドギャップよりも大きくすることが望ましいことは言うまでもない。
nクラッド層12bは、単層または超格子構造のどちらの構造であっても構わない。nクラッド層12bが単層からなるものである場合、nクラッド層12bの膜厚は、5nm〜500nmであることが好ましく、より好ましくは5nm〜100nmである。
本実施形態においては、nクラッド層12bは、単層であってもよいが、組成の異なる2つの薄膜層を繰り返し成長させて10ペア数(20層)〜40ペア数(80層)からなる超格子構造であることが好ましい。nクラッド層12bが超格子構造からなるものである場合、薄膜層の積層数が20層以上であると、nコンタクト層12aと発光層13との結晶格子の不整合をより効果的に緩和することができ、半導体発光素子1の出力を向上させる効果がより顕著となる。しかし、薄膜層の積層数が80層を超えると、超格子構造が乱れやすくなる場合もあり、発光層13に悪影響を来たす恐れが生じる。さらに、nクラッド層12bの成膜処理時間が長くなり、生産性が低下する問題がある。
<発光層13>
発光層13は、障壁層13aと井戸層13bとが交互に複数積層された多重量子井戸構造からなる。また、多重量子井戸構造における積層数は3層から10層であることが好ましく、4層から7層であることがさらに好ましい
(井戸層13b)
井戸層13bの膜厚は、15オングストローム以上50オングストローム以下の範囲であることが好ましい。井戸層13bの膜厚が上記範囲内であることにより、より高い発光出力を得ることができる。
また、井戸層13bは、Inを含む窒化ガリウム系化合物半導体であることが好ましい。Inを含む窒化ガリウム系化合物半導体は、青色の波長領域の強い光を発光するものであるため、好ましい。また、井戸層13bには、不純物をドープすることができる。また、本実施形態における不純物としてはSiを用いることが好ましい。ドープ量は1×1016cm−3〜1×1017cm−3程度が好適である。
(障壁層13a)
障壁層13aの膜厚は、20オングストローム以上100オングストローム未満の範囲であることが好ましい。障壁層13aの膜厚が薄すぎると、障壁層13a上面の平坦化を阻害し、発光効率の低下やエージング特性の低下を引き起こす。また、障壁層13aの膜厚が厚すぎると、駆動電圧の上昇や発光の低下を引き起こす。このため、障壁層13aの膜厚は70オングストローム以下であることがより好ましい。
また、障壁層13aは、GaNやAlGaNのほか、井戸層を構成するInGaNよりもIn比率の小さいInGaNで形成することができる。中でも、GaNが好適である。
また、障壁層13aには、不純物をドープすることができる。本実施形態における不純物としてはSiを用いることが好ましい。ドープ量は1×1017cm−3〜1×1018cm−3程度が好適である。
<p型半導体層14>
p型半導体層14は、通常、pクラッド層14aおよびpコンタクト層14bから構成される。また、pコンタクト層14bがpクラッド層14aを兼ねることも可能である。
(pクラッド層14a)
本実施形態におけるpクラッド層14aは、発光層13の上に形成されている。pクラッド層14aは、発光層13へのキャリアの閉じ込めとキャリアの注入を行なう層である。pクラッド層14aとしては、発光層13のバンドギャップエネルギーより大きくなる組成であり、発光層13へのキャリアの閉じ込めができるものであれば特に限定されないが、AlGa1−xN(0≦x≦0.4)からなるものであることが好ましい。pクラッド層14aが、このようなAlGaNからなるものである場合、発光層13へのキャリアの閉じ込めの点で好ましい。
pクラッド層14aの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは1〜400nmであり、より好ましくは5〜100nmである。pクラッド層14aのp型ドープ濃度は、1×1018〜1×1021/cmであることが好ましく、より好ましくは1×1019〜1×1020/cmである。p型ドープ濃度が上記範囲であると、結晶性を低下させることなく良好なp型結晶が得られる。また、pクラッド層14aは、薄膜を複数回積層してなる超格子構造であってもよい。
(pコンタクト層14b)
pコンタクト層14bは、正極(p型電極)を設けるための層である。pコンタクト層14bは、AlGa1−xN(0≦x≦0.4)からなるものであることが、良好な結晶性の維持およびpオーミック電極との良好なオーミック接触の点で好ましい。また、pコンタクト層14bがp型不純物(不純物)を1×1018〜1×1021/cmを5×1019〜5×1020/cmの濃度で含有しているものである場合、良好なオーミック接触の維持、クラック発生の防止、良好な結晶性の維持の点で好ましい。p型不純物としては、特に限定されないが、例えばMgを用いることが特に好ましい。
また、pコンタクト層14bはpコンタクト下層と、pコンタクト上層とが積層してなり、pコンタクト下層にMgが1×1019〜1×1020/cm程度の濃度で含有され、pコンタクト上層にMgが2×1020/cm〜5×1020/cm程度の濃度で含有されることが特に好ましい。これにより、透光性電極15と接する部分(pコンタクト上層)は高濃度でMgが含有され、かつ、その表面は平坦に形成される。そのため、半導体発光素子1の発光出力をより向上させることが可能となる。
また、pコンタクト層14bの膜厚は、特に限定されないが、10〜500nmであることが好ましく、より好ましくは50〜200nmである。pコンタクト層14bの膜厚がこの範囲であると、発光出力の点で好ましい。
<n型電極17>
n型電極17は、ボンディングパットを兼ねており、積層半導体層20のn型半導体層12に接するように形成されている。このため、n型電極17を形成する際には、少なくともp半導体層14および発光層13の一部を除去してn型半導体層12を露出させ、n型半導体層12の露出面20a上にボンディングパッドを兼ねるn型電極17を形成する。n型電極17としては、各種組成や構造が周知であり、これら周知の組成や構造を何ら制限無く用いることができ、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることができる。
(透光性電極15)
透光性電極15は、p型半導体層14の上に積層されるものであり、p型半導体層14との接触抵抗が小さいものであることが好ましい。また、透光性電極15は、発光層13からの光を効率良く半導体発光素子1の外部に取り出すために、光透過性に優れたものであることが好ましい。また、透光性電極15は、p型半導体層14の全面に渡って均一に電流を拡散させるために、優れた導電性を有していることが好ましい。
透光性電極15の構成材料としては、In、Zn、Al、Ga、Ti、Bi、Mg、W、Ceのいずれか一種を含む導電性の酸化物、硫化亜鉛または硫化クロムのうちいずれか一種からなる群より選ばれる透光性の導電性材料が挙げられる。導電性の酸化物としては、ITO(酸化インジウム錫(In−SnO))、IZO(酸化インジウム亜鉛(In−ZnO))、AZO(酸化アルミニウム亜鉛(ZnO−Al))、GZO(酸化ガリウム亜鉛(ZnO−Ga))、フッ素ドープ酸化錫、酸化チタン等があげられる。
また、透光性電極15の構造は、従来公知の構造を含めて如何なる構造であってもよい。透光性電極15は、p型半導体層14のほぼ全面を覆うように形成してもよく、また、隙間を開けて格子状や樹形状に形成してもよい。
(p型ボンディングパッド電極16)
p型ボンディングパッド電極16はボンディングパットを兼ねており、透光性電極15の上に積層されている。p型ボンディングパッド電極16としては、各種組成や構造が周知であり、これら周知の組成や構造を何ら制限無く用いることができ、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることができる。
p型ボンディングパッド電極16は、透光性電極15上であれば、どこへでも形成することができる。例えばn型電極17から最も遠い位置に形成してもよいし、半導体発光素子1の中心などに形成してもよい。
(保護膜層)
図示しない保護膜層は、必要に応じて透光性電極15の上面および側面と、n型半導体層12の露出面20a、発光層13およびp型半導体層14の側面、n型電極17およびp型ボンディングパッド電極16の側面や周辺部を覆うよう形成される。保護膜層を形成することにより、半導体発光素子1の内部への水分等の浸入を防止でき、半導体発光素子1の劣化を抑制することができる。
保護膜層としては、絶縁性を有し、300〜550nmの範囲の波長において80%以上の透過率を有する材料を用いることが好ましく、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)、窒化シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)等を用いることができる。このうちSiO、Alは、CVD成膜で緻密な膜が容易に作製でき、より好ましい。
本発明の半導体発光素子41によれば、下地層22の再成長層22aが設けられていることにより、下地層22(再成長層22a)表面の平坦性を向上させることができ、そのため、再成長層22a上に結晶性の高いnコンタクト層12aを形成することが可能となり、半導体発光素子の出力を向上させる効果がより顕著となる。
〔半導体発光素子(第2実施形態)〕
図4は、本発明の半導体発光素子51の一例を示した断面模式図である。
図4に示す第2実施形態の半導体発光素子51は、半導体発光素子用テンプレート基板10のうち犠牲層33が除去されたテンプレート基板10aと、テンプレート基板10a上に積層された積層半導体層30と、積層半導体層20の上面に積層された透光性電極15と、透光性電極15上に積層されたp型ボンディングパッド電極16と、積層半導体層20の露出面20a上に積層されたn型電極17と、から概略構成され、図3に示す第2実施形態の半導体発光素子41と比較すると、下地層の再成長層22aを有さない点、nコンタクト層12aが第一n型半導体層12cとその再成長層12dとからなる点が異なる。
以下、第1実施形態の半導体発光素子41と異なる構成について詳細に説明する。
(テンプレート基板10a)
テンプレート基板10aは、上述した半導体発光素子用テンプレート基板10から成長装置内で犠牲層33を除去したものである。
『積層半導体層30』
<n型半導体層12>
n型半導体層12は、nコンタクト層12aと、nクラッド層12b(第二n型半導体層)とから構成されている点は第1実施形態の半導体発光素子51と同様であるが、nコンタクト層12aが第一n型半導体層12cと再成長層12dとから構成されている点が異なる。
本実施形態においては、再成長層12dは形成されていなくてもかまわないが、再成長層12dを形成することにより、有機金属化学気相成長装置の成長室内で発光層13を成長させることによる、第一n型半導体層12cの結晶性への影響を少なくすることができる。また、再成長層12dを形成することにより、第一n型半導体層12c表面の平坦性を向上させることができる。そのため、再成長層12d上に結晶性の高いnクラッド層(第二n型半導体層)12bを形成することが可能となり、半導体発光素子の出力を向上させる効果がより顕著となる。
(nコンタクト層12a)
nコンタクト層12aは、テンプレート基板10aが備える第一n型半導体層12cと、有機金属化学気相成長装置の成長室内で成長させた第一n型半導体層の再成長層12dとから構成されている。
再成長層12dが形成されている場合は、第一n型半導体層12cと再成長層12dは、同一の材料からなることが好ましい。また、本実施形態においては、図4に示すように、第一n型半導体層12cには、n型電極17を設けるための露出面20aが形成されている。この露出面20aの形成箇所は第一n型半導体層12cに限られず、再成長層12dに形成されていてもよい。
再成長層12dの膜厚は、0μm〜5μmであることが好ましく、0.2μm〜3μmであることがより好ましい。再成長層12dの膜厚が0.2μm〜3μmであると、有機金属化学気相成長装置の成長室内でnコンタクト層12aの成長を再開することによるnコンタクト層12aの結晶性への影響を少なくすることができ、半導体発光素子の出力を向上させる効果がより顕著となる。
ここで、再成長層12dの膜厚が5μmを超えると、有機金属化学気相成長装置の成長室内にドーパントや堆積物が多く残される。そのため、p型半導体層14を形成する際に第二有機金属化学気相成長装置を用いると、それらドーパントや堆積物に起因するp型半導体層14の不良が生じやすくなる。また、再成長層12dの成長時間が長くなり、生産性が低下する。
本実施形態においては、再成長層12dが設けられていることにより、nクラッド層12bの結晶性は、より一層良好なものとなる。また、それによりインジウム濃度の高い発光層13(井戸層13b)であっても高い結晶性で形成され、かつ、顕著な凹凸やピット(孔)の発生を防ぐことができる。
本発明の半導体発光素子51によれば、少なくとも第一n型半導体層12cの再成長層12dが設けられていることにより、発光層13は高い結晶性で形成される。それにより、井戸層13bの顕著な凹凸やピット(孔)の発生と、それに伴う半導体発光素子1の不良を防ぐことができる。井戸層13bの膜厚が不均一に形成されていることにより、内部量子効率の向上と、半導体発光素子1の発光出力の向上を実現することができる。
〔半導体発光素子の製造方法〕
本発明に係る半導体発光素子の製造方法では、半導体発光素子用テンプレート基板の製造と、その後の積層半導体層の形成を含む半導体発光素子の製造とを成長装置を変えて連続して行ってもよいし、予め半導体発光素子用テンプレート基板を製造しておきしばらく保管した後、半導体発光素子の製造を行ったり、製造された半導体発光素子用テンプレート基板を取得して半導体発光素子の製造を行ってもよい。
以下、半導体発光素子の製造方法について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(第1実施形態)
図3に示す半導体発光素子41の製造方法は、まず、図1に示す半導体発光素子用テンプレート基板1を準備し、次いで、図5に示す積層半導体層20を形成する。積層半導体層20の形成は、まず、半導体発光素子用テンプレート基板1の犠牲膜23を有機金属化学気相成長装置内で加熱により除去する工程と、その後、犠牲膜23が除去されたテンプレート基板1a上に、下地層22の再成長層22a、第一n型半導体層12a、第二n型半導体層12b、発光層13およびp型半導体層14を順次積層する工程と、から概略構成されている。
<半導体発光素子用テンプレート基板の製造工程>
はじめに、サファイア等からなる基板11を用意する。
次に、基板11を第一MOCVD装置(第一有機金属化学気相成長装置)の成長室内に設置し、MOCVD法によって、基板11上に、バッファ層21を形成する。
(下地層22形成工程)
次いで、バッファ層21上に下地層22を第一MOCVD装置内で積層する。なお、本発明では、一例として、サファイア等からなる基板11上に、RFスパッタリング法を用いてAlNからなるバッファ層21を形成し、さらに第一MOCVD装置の成長室内で当該基板上に下地層22を順次積層してもよい。
下地層22は0.1μm以上の膜厚で形成することが好ましく、0.5μm以上とすることがより好ましく、1μm以上とすることが最も好ましい。この膜厚以上にした方が結晶性の良好なAlxGa1−xN層が得られやすい。また、半導体発光素子の小型化や、形成時間の短縮の観点により、下地層22の膜厚は10μm以下とすることが好ましい。
また、下地層22の結晶性を良くするために、下地層22には不純物をドーピングしないことが望ましい。
(犠牲層23形成工程)
次いで、下地層22上に犠牲層23を第一MOCVD装置内で積層して半導体発光素子用テンプレート基板1を製造する。犠牲層23をIn系化合物半導体又はZn系化合物半導体とするときはMOCVD法およびMBE法のどちらでもよい。生産性の観点からMOCVDを用いて行うのが好ましい。金属とするときは物理的気相成長(PVD)法を用いて行うのが好ましい。
犠牲層23は後に加熱により除去して清浄な下地層を露出させ、その下地層の上に半導体層を積層するので、犠牲層23は除去後に下地層の平坦性を実質的に回復できないような材料であってはならない。
犠牲層23の膜厚は、3〜100nmであることが好ましい。3nm以下では、保護膜としての機能が十分でなく、また、100nm以上では、下地層の結晶性に悪影響がでてしまうからである。
<積層半導体層20形成工程>
積層半導体層20形成工程は、第二MOCVD装置(第二有機金属化学気相成長装置)において、半導体発光素子用テンプレート基板1から犠牲層23を除去する工程と、露出された下地層22上に下地層22の再成長層22aを形成する工程と、n型半導体層12を形成する工程と、発光層13を形成する工程と、p型半導体層14を形成する工程と、から構成されている。以下それぞれについて詳細を説明する。
(犠牲層23除去工程)
まず、半導体発光素子用テンプレート基板1を第二MOCVD装置の成長室内に設置する。次いで、犠牲層23を加熱により半導体発光素子用テンプレート基板1から除去する。このように犠牲層23を除去することによって、清浄な下地層22を露出して、清浄な下地層22上に半導体層を積層することが可能となる。
加熱は700℃〜1000℃の温度で行うのが好ましい。700℃以下では、犠牲層の昇華が不十分だからであり、1000℃以上では、下地層22の表面状態が悪化してしまうためだからである。
また、加熱の際に、窒素を導入して、窒素及びアンモニアを導入して、又は、水素及びアンモニアを導入して行ってもよい。その際の圧力は20〜100kPaが好ましい。除去速度は窒素、窒素及びアンモニアよりも水素及びアンモニアの方が高い。
(再成長層22a形成工程)
次いで、MOCVD法によって露出された下地層22上に、下地層22の再成長層22aを形成する。このように、下地層22上に再成長層22aを形成することにより、第二有機金属化学気相成長装置の成長室内で下地層22の成長を再開することによる、下地層22の結晶性への影響を少なくすることができる。また、再成長層22aを形成することにより、下地層22(再成長層22a)表面の平坦性を向上させることができる。そのため、再成長層22a上に結晶性の高いnコンタクト層12aを形成することが可能となり、半導体発光素子の出力を向上させる効果がより顕著となる。
また、本実施形態においては、再成長層22aを形成する前に、下地層22までの各層の形成された基板11に、窒素とアンモニアを含む雰囲気中で500℃〜1000℃の熱処理(サーマルクリーニング)を行うことが好ましい。この熱処理(サーマルクリーニング)を上記の犠牲膜除去のための加熱工程に引き続いて行ってもよいし、犠牲膜除去のための加熱工程を兼ねて行ってもよい。熱処理の雰囲気は、窒素とアンモニアを含む雰囲気に代えて、例えば、窒素のみの雰囲気としてもよい。なお、水素のみの雰囲気では再成長層22aが分解されて結晶性の悪化を招くため好ましくない。また、このときの第二MOCVD装置の成長室内の圧力は15〜100kPaとすることが好ましい。
このような条件で熱処理を行うことにより、半導体発光素子用テンプレート基板1が大気中に取り出されることにより、犠牲膜により保護されていない面が汚染されていたとしても、再成長層22aを形成する前にその汚染物質を除去することができる。これにより、再成長層22aの結晶性を向上させることができる。そのため、再成長層22a上に形成されるnコンタクト層12aの結晶性がより一層良好なものとなる。
また、下地層22形成工程における下地層22の成長条件と、再成長層22aの成長条件は同一とすることが好ましい。すなわち、再成長層22aを成長させる際の基板温度は700℃〜1200℃とすることが好ましい。再成長層22a形成の際の基板温度をこの範囲内とすることにより、結晶性の高い再成長層22aを形成することができる。
また、再成長層22aは、0.2μm〜5μmの膜厚で形成することが好ましい。再成長層22aをこの範囲内の膜厚で形成することにより、第二有機金属化学気相成長装置の成長室内で下地層22の成長を再開することによる、下地層22の結晶性への影響を少なくすることができる。そのため、半導体発光素子の出力を向上させる効果がより顕著となる。
(nコンタクト層12a積層工程)
次いで前記下地層22を有する基板上に、nコンタクト層12aを積層する。
nコンタクト層12aを成長させる際には、水素雰囲気で、基板11の温度を1000℃〜1200℃の範囲とすることが好ましい。
また、nコンタクト層12aを成長させる原料としては、トリメチルガリウム(TMG)などのIII族金属の有機金属原料とアンモニア(NH)などの窒素原料とを用い、熱分解によりバッファ層上にIII族窒化物半導体層を堆積させる。MOCVD装置の成長室内の圧力は15〜80kPaとすることが好ましい。
(nクラッド層12b形成工程)
次いで、nコンタクト層12a上にnクラッド層12bを形成する。なお、下地層の再成長層22aを形成しない場合は、nコンタクト層12aを形成する前に、熱処理(サーマルクリーニング)を行うことが好ましい。また、超格子構造のnクラッド層12bを形成する工程では、膜厚100オングストローム以下のIII族窒化物半導体からなるn側第一層と、n側第一層と組成が異なる膜厚100オングストローム以下のIII族窒化物半導体からなるn側第二層とを交互に20層〜80層繰返し積層する工程とすることができる。n側第一層および/またはn側第二層は、Inを含む窒化ガリウム系化合物半導体からなるものであることが好ましい。
(発光層13形成工程)
次いで、多重量子井戸構造の発光層13を形成する。まず、井戸層13bと障壁層13aとを交互に繰返し積層する。このとき、n型半導体層12側及びp型半導体層14側に障壁層13aが配されるように積層する。
井戸層13bおよび障壁層13aの組成や膜厚は、所定の発光波長になるように適宜設定することができる。また、発光層13の成長させる際の基板温度は600〜900℃とすることができ、キャリアガスとしては窒素ガスを用いる。
(p型半導体層14形成工程)
次いで、p型半導体層14を形成する。p型半導体層14の形成は、発光層13上にpクラッド層14aと、pコンタクト層14bとを順次積層すればよい。なお、pクラッド層14aを、超格子構造を含む層とする場合には、膜厚100オングストローム以下のIII族窒化物半導体からなるp側第一層と、p側第一層と組成が異なる膜厚100オングストローム以下III族窒化物半導体からなるp側第二層とを交互に繰返し積層すればよい。
その後、積層半導体層20のp型半導体層14上に透光性電極15を積層し、例えば一般に知られたフォトリソグラフィーの手法によって所定の領域以外の透光性電極15を除去する。
続いて、例えばフォトリソグラフィーの手法によりパターニングして、所定の領域の積層半導体層20の一部をエッチングしてnコンタクト層12aの第一n型半導体層12cの一部を露出させ、nコンタクト層12aの露出面20aにn型電極17を形成する。
その後、透光性電極15の上にp型ボンディングパッド電極16を形成する。
以上のようにして、図1に示す半導体発光素子1が製造される。
本発明の半導体発光素子の製造方法によれば、下地層22上に犠牲層23を備えた半導体発光素子用テンプレート基板を成長基板として用い、積層半導体層を形成する前に、その犠牲層23を除去して清浄な下地層22の表面を露出させてから、積層半導体層を形成するので、下地層22の成長面と積層半導体層との間に異物等が混入する恐れがない。そのため、下地層22への異物等混入、および異物等混入による下地層22の結晶性低下を防ぐことができる。したがって、本発明の半導体発光素子の製造方法によれば、結晶性の高い下地層22を形成することができ、それにより、下地層22上に結晶性の高いn型半導体層12、発光層13およびp型半導体層14を形成することができる。これにより、半導体発光素子の発光出力や信頼性を向上させることが可能となる。
(第2実施形態)
図4に示す半導体発光素子51の製造方法は、まず、図2で示す半導体発光素子用テンプレート基板10を準備し、次いで、図6に示す積層半導体層30を形成する。積層半導体層30の形成は、まず、半導体発光素子用テンプレート基板10の犠牲膜33を有機金属化学気相成長装置内で加熱により除去する工程と、その後、犠牲膜33が除去されたテンプレート基板10a上に、第一n型半導体層12aの再成長層12d、第二n型半導体層12b、発光層13およびp型半導体層14を順次積層する工程と、から概略構成されている。
以下、第1実施形態の半導体発光素子の製造方法と異なる構成について詳細に説明する。
<半導体発光素子用テンプレート基板の製造工程>
はじめに、サファイア等からなる基板11を用意する。
次に、基板11を第一MOCVD装置(第一有機金属化学気相成長装置)の成長室内に設置し、MOCVD法によって、基板11上に、バッファ層21、下地層22を形成する。
(第一n型半導体層12c形成工程)
次いで下地層22上に、nコンタクト層12aの一部を構成する第一n型半導体層12cを積層する。このとき、第一n型半導体層12cの膜厚は0.5μm〜5μm厚で形成することが好ましく、2μm〜4μm厚で形成することが特に好ましい。上記範囲内で形成することにより、半導体の結晶性を良好に維持できるためである。
また、第一n型半導体層12cを成長させる際には、水素雰囲気で、基板11の温度を900℃〜1200℃の範囲とすることが好ましい。
また、第一n型半導体層12cを成長させる原料としては、トリメチルガリウム(TMG)などのIII族金属の有機金属原料とアンモニア(NH)などの窒素原料とを用いる。MOCVD装置の成長室内の圧力は15〜80kPaとすることが好ましく、15〜60kPaとすることがより好ましい。キャリアガスは窒素ガスのみ、もしくは水素ガスのみであってもよいし、水素ガスと窒素ガスとの混合ガスであってもよい。
(犠牲層33形成工程)
次いで、第一n型半導体層12c上に犠牲層33を第一MOCVD装置内で積層して半導体発光素子用テンプレート基板10を製造する。犠牲層23をIn系化合物半導体又はZn系化合物半導体とするときはMOCVD法およびMBE法のどちらでもよい。生産性の観点からMOCVDを用いて行うのが好ましい。金属とするときは物理的気相成長(PVD)法を用いて行うのが好ましい。
犠牲層33は後に加熱により除去して清浄な第一n型半導体層12cを露出させ、その第一n型半導体層12cの上に半導体層を積層するので、犠牲層33は除去後に下地層の平坦性を回復できないような材料は望ましくない。
犠牲層33の膜厚は、3〜100nmであることが好ましい。3nm以下では、保護膜としての機能が十分でなく、また、100nm以上では、第一n型半導体層12cの結晶性に悪影響がでてしまうからである。
<積層半導体層30形成工程>
積層半導体層30形成工程は、第二MOCVD装置(第二有機金属化学気相成長装置)において、半導体発光素子用テンプレート基板10から犠牲層33を除去する工程と、露出された第一n型半導体層12c上に第一n型半導体層12cの再成長層12dを形成する工程と、発光層13を形成する工程と、p型半導体層14を形成する工程と、から構成されている。以下それぞれについて詳細を説明する。
(犠牲層33除去工程)
まず、半導体発光素子用テンプレート基板10を第二MOCVD装置の成長室内に設置する。次いで、犠牲層33を加熱により半導体発光素子用テンプレート基板10から除去する。このように犠牲層33を除去することによって、清浄な第一n型半導体層12cを露出して、清浄な第一n型半導体層12c上に半導体層を積層することが可能となる。
加熱は700℃〜1000℃の温度で行うのが好ましい。700℃以下では、犠牲層の昇華が不十分だからであり、1000℃以上では、下地層22の表面状態が悪化してしまうためだからである。
また、加熱の際に、窒素、窒素及びアンモニアを導入して、又は、水素及びアンモニアを導入して行ってもよい。その際の圧力は20〜100kPaが好ましい。除去速度は窒素、窒素及びアンモニアよりも水素及びアンモニアの方が高い。
(再成長層12d形成工程)
まず、第一n型半導体層12cまでの各層の形成された基板11を第二MOCVD装置の成長室内に設置する。この後、MOCVD法によって第一n型半導体層12c上に、nコンタクト層12aの再成長層12dを形成することが好ましいが、本実施形態においては再成長層12dを形成せずに、第一n型半導体層12c上にnクラッド層12b(第二n型半導体層)を形成してもかまわない。
本実施形態においては、再成長層12dを形成する前に、第一n型半導体層12cまでの各層の形成された基板11を、窒素とアンモニアを含む雰囲気で熱処理温度500℃〜1000℃、好ましくは900℃〜950℃の熱処理(サーマルクリーニング)を行うことが好ましい。この熱処理(サーマルクリーニング)を上記の犠牲膜除去のための加熱工程に引き続いて行ってもよいし、犠牲膜除去のための加熱工程を兼ねて行ってもよい。熱処理の雰囲気は、窒素とアンモニアを含む雰囲気に代えて、例えば、窒素のみの雰囲気としてもよい。なお、水素のみの雰囲気では第一n型半導体層12cが昇華し、結晶性の悪化を招くため好ましくない。また、このときのMOCVD装置の成長室内の圧力は15〜100kPaとすることが好ましく、60〜95kPaとすることがより好ましい。
このような熱処理を行った場合、半導体発光素子用テンプレート基板1が大気中に取り出されることにより、犠牲膜により保護されていない面が汚染されたとしても、再成長層12dを形成する前に汚染物質を除去することができる。その結果、再成長層12dの結晶性が向上して、再成長層12d上に形成されるnクラッド層12bや発光層13の結晶性がより一層良好なものとなる。
また、本実施形態においては、第一n型半導体層12cの成長条件と、再成長層12dの成長条件を同一とすることが好ましい。
本実施形態においては、第一MOCVD装置においてnコンタクト層12aを形成している途中の段階で犠牲層を積層して製造した半導体発光素子用テンプレート基板1を用いて、第二MOCVD装置の成長室で犠牲層を除去してnコンタクト層12aの成長を再開する。ここで、第一n型半導体層12cの成長条件と、再成長層12dの成長条件を同一とすることにより、成長室の移動によるnコンタクト層12aの結晶性への影響を少なくすることができる。そのため、第一n型半導体層12cと再成長層12dとからなるnコンタクト層12aの結晶性が良好なものとなる。
このような条件で再成長層12dを形成することにより、再成長層12d上にnクラッド層12bを高い結晶性で形成することができる。また、それによりインジウム濃度の高い発光層13(井戸層13b)であっても高い結晶性で形成することができ、かつ、顕著な凹凸やピット(孔)の発生を防ぐことができる。
nクラッド層12b形成工程以降は第1実施形態と同様に行うことができる。
本発明の半導体発光素子の製造方法によれば、第一n型半導体層12c上に犠牲層33を備えた半導体発光素子用テンプレート基板を成長基板として用い、積層半導体層を形成する前に、その犠牲層33を除去して清浄な第一n型半導体層12cの表面を露出させてから積層半導体層を形成するので、第一n型半導体層12cの成長面と積層半導体層との間に異物等が混入する恐れがない。そのため、第一n型半導体層12cへの異物等混入、および異物等混入による第一n型半導体層12cの結晶性低下を防ぐことができる。したがって、本発明の半導体発光素子の製造方法によれば、結晶性の高い第一n型半導体層12cを形成することができ、それにより、第一n型半導体層12c上に結晶性の高いn型半導体層12、発光層13およびp型半導体層14を形成することができる。これにより、半導体発光素子の発光出力や信頼性を向上させることが可能となる。
<ランプ>
本実施形態のランプは、本発明の半導体発光素子41又は51を備えるものであり、上記の半導体発光素子41又は51と蛍光体とを組み合わせてなるものである。本実施形態のランプは、当業者周知の手段によって当業者周知の構成とすることができる。例えば、本実施形態のランプにおいては、半導体発光素子1と蛍光体と組み合わせることによって発光色を変える技術を何ら制限されることなく採用できる。
図7は、図3に示した半導体発光素子41又は図4に示した半導体発光素子51を備えるランプの一例を示した断面模式図である。図7に示すランプ3は、砲弾型のものであり、半導体発光素子41又は図4に示した半導体発光素子51が用いられている。図7に示すように、半導体発光素子1のp型ボンディングパッド電極16がワイヤー33で2本のフレーム31、32の内の一方(図7ではフレーム31)に接続され、半導体発光素子1のn型電極17(ボンディングパッド)がワイヤー34で他方のフレーム32に接続されることにより、半導体発光素子1が実装されている。また、半導体発光素子1の周辺は、透明な樹脂からなるモールド35で封止されている。
本実施形態のランプ3は、上記の半導体発光素子41又は51が用いられてなるものであるので、高い発光出力が得られるものとなる。
また、本実施形態のランプ3を組み込んだバックライト、携帯電話、ディスプレイ、各種パネル類、コンピュータ、ゲーム機、照明などの電子機器や、それらの電子機器を組み込んだ自動車などの機械装置は、高い発光出力が得られる半導体発光素子1を備えたものとなる。特に、バックライト、携帯電話、ディスプレイ、ゲーム機、照明などのバッテリ駆動させる電子機器においては、高い発光出力が得られる半導体発光素子1を具備した優れた製品を提供することができるため、好ましい。
以下に、本発明の半導体発光素子用テンプレート基板、半導体発光素子、及び半導体発光素子の製造方法を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
以下に示す方法により、図1に示す半導体発光素子用テンプレート基板1を製造した。
実施例1の半導体発光素子用テンプレート基板1では、MOCVD炉の成長室内において、AlNからなるバッファ層21を予め形成したサファイア基板11上に、厚さ6μmのアンドープGaNからなる下地層22を形成した。このとき、下地層22の形成の際の基板温度は1100℃とした。なお、バッファ層21付きサファイア基板11は、国際公開番号WO/2009/154215号公報に記載の方法に準じて、サファイア基板の一面に湾曲したお椀状(半球状)の凸部を設け、その加工基板上にスパッタ法によりAlNからなるバッファ層21を形成したものである。次に、下地層22上に、MOCVD法により厚さ10nmのIn0.1Ga0.9Nからなる犠牲層23を形成して、半導体発光素子用テンプレート基板10を製造した。
(実施例2)
以下に示す方法により、図2に示す半導体発光素子用テンプレート基板10を製造した。
実施例5の半導体発光素子用テンプレート基板10では、AlNからなるバッファ層21を予め形成したサファイア基板11上に、厚さ6μmのアンドープGaNからなる下地層22を形成した。このとき、下地層22の形成の際の基板温度は1100℃とした。なお、バッファ層21付きサファイア基板11は、国際公開番号WO/2009/154215号公報に記載の方法に準じて、サファイア基板の一面に湾曲したお椀状(半球状)の凸部を設け、その加工基板上にスパッタ法によりAlNからなるバッファ層21を形成したものである。次に、下地層22上に、下地層22上に厚さ3μmのSiドープn型GaNからなる第一n型半導体層12cを形成し、その第一n型半導体層12cの上に、厚さ10nmのIn0.1Ga0.9Nからなる犠牲層33を形成して、半導体発光素子用テンプレート基板10を製造した。
(実施例3)
以下に示す方法により、図3に示す半導体発光素子41を製造した。
実施例3の半導体発光素子41では、実施例1の半導体発光素子用テンプレート基板1を1時間大気中に放置した後、MOCVD炉の成長室内に準備し、まず、半導体発光素子用テンプレート基板1を1000℃で600秒保持して犠牲膜23を除去した。
次に、露出した下地層22上に厚さ3μmのSiドープn型GaNからなるnコンタクト層12aを形成した。nコンタクト層12aのSi不純物濃度は、5×1018/cm程度とした。また、nコンタクト層12a形成の際の基板温度は1080℃、成長室内の圧力は40kPaとした。
次に、nコンタクト層12a上に、厚さ80nmの超格子構造からなるnクラッド層12bを形成した。さらに、nクラッド層12b上に障壁層13aおよび井戸層13bを5回積層し、最後に障壁層を設けた多重量子井戸構造の発光層13を形成した。
その後、発光層13上に厚さ20nmのMgドープ単層Al0.07Ga0.93Nからなるpクラッド層14a、厚さ170nmのMgドープp型GaNからなるpコンタクト層14bを順に積層した。pコンタクト層14bはpコンタクト下層と、pコンタクト上層とが積層してなり、pコンタクト下層にMgが5×1019/cmの濃度で含有され、pコンタクト上層にMgが2×1020/cm程度の濃度とした。次いで、pコンタクト層14b上に、厚さ200nmのITOからなる透光性電極15を一般に知られたフォトリソグラフィの手法により形成した。
次に、フォトリソグラフィの手法を用いてエッチングを施し、所望の領域にnコンタクト層12aの露出面20aを形成し、その上にTi/Auの二層構造のn型電極17を形成した。
また、透光性電極15の上に、200nmのAlからなる金属反射層と80nmのTiからなるバリア層と1100nmのAuからなるボンディング層とからなる3層構造のp型ボンディングパッド構造16を、フォトリソグラフィの手法を用いて形成した。
以上のようにして、実施例9の半導体発光素子41を得た。
このようにして得られた実施例3の半導体発光素子41の特性は、順方向電圧Vf=3.1V、発光出力Po=22mW、逆方向電流IR(@20V)=0.5μAであった。
(実施例4)
実施例3と比較して、犠牲層23を除去して露出した下地層22上に、再成長層22aを形成した点が異なる。このとき、再成長層22aは以下に示す成長条件で成長させた。
「再成長層22aの成長条件」
下地層22上に膜厚0.2μmの再成長層22aを形成した。このとき、基板温度は1200℃とした。
このようにして得られた実施例4の半導体発光素子41の特性は、順方向電圧Vf=3.0V、発光出力Po=24mW、逆方向電流IR(@20V)=0.2μAであった。
(実施例5)
実施例3と比較して、半導体発光素子用テンプレート基板1を大気中に放置した時間が72時間であった点が異なる。
このようにして得られた実施例5の半導体発光素子41の特性は、順方向電圧Vf=3.1V、発光出力Po=22mW、逆方向電流IR(@20V)=0.5μAであった。
(実施例6)
実施例4と比較して、半導体発光素子用テンプレート基板1を大気中に放置した時間が72時間であった点が異なる。
このようにして得られた実施例6の半導体発光素子41の特性は、順方向電圧Vf=3.0V、発光出力Po=24mW、逆方向電流IR(@20V)=0.1μAであった。
(実施例7)
以下に示す方法により、図4に示す半導体発光素子51を製造した。
実施例7の半導体発光素子51では、実施例2の半導体発光素子用テンプレート基板10を1時間大気中に放置した後、MOCVD炉の成長室内に準備し、まず、半導体発光素子用テンプレート基板10を1000℃で600秒保持して犠牲膜33を除去した。
次に、露出したSiドープn型GaNからなるnコンタクト層(第一n型半導体層)12c上に厚さ2μmのSiドープn型GaNからなるnコンタクト層12aを形成した。nコンタクト層12aのSi不純物濃度は、5×1018/cm程度とした。また、nコンタクト層12a形成の際の基板温度は1080℃、成長室内の圧力は40kPaとした。
次に、nコンタクト層12a上に、厚さ80nmの超格子構造からなるnクラッド層12bを形成した。さらに、nクラッド層12b上に障壁層13aおよび井戸層13bを5回積層し、最後に障壁層を設けた多重量子井戸構造の発光層13を形成した。
その後、発光層13上に厚さ20nmのMgドープ単層Al0.07Ga0.93Nからなるpクラッド層14a、厚さ170nmのMgドープp型GaNからなるpコンタクト層14bを順に積層した。pコンタクト層14bはpコンタクト下層と、pコンタクト上層とが積層してなり、pコンタクト下層にMgが5×1019/cmの濃度で含有され、pコンタクト上層にMgが2×1020/cm程度の濃度とした。次いで、pコンタクト層14b上に、厚さ200nmのITOからなる透光性電極15を一般に知られたフォトリソグラフィの手法により形成した。
次に、フォトリソグラフィの手法を用いてエッチングを施し、所望の領域にnコンタクト層12aの露出面20aを形成し、その上にTi/Auの二層構造のn型電極17を形成した。
また、透光性電極15の上に、200nmのAlからなる金属反射層と80nmのTiからなるバリア層と1100nmのAuからなるボンディング層とからなる3層構造のp型ボンディングパッド構造16を、フォトリソグラフィの手法を用いて形成した。
以上のようにして、実施例7の半導体発光素子51を得た。
このようにして得られた実施例7の半導体発光素子51の特性は、順方向電圧Vf=3.0V、発光出力Po=23mW、逆方向電流IR(@20V)=0.3μAであった。
(実施例8)
実施例7と比較して、犠牲層23を除去して露出したnコンタクト層(第一n型半導体層)12c上に、再成長層12dを形成した点が異なる。このとき、再成長層12dは以下に示す成長条件で成長させた。
「再成長層12dの成長条件」
nコンタクト層(第一n型半導体層)12c上に膜厚1μmの再成長層12daを形成した。このとき、基板温度は1100℃とした。
このようにして得られた実施例8の半導体発光素子51の特性は、順方向電圧Vf=2.8V、発光出力Po=24mW、逆方向電流IR(@20V)=0.1μAであった。
(実施例9)
実施例7と比較して、半導体発光素子用テンプレート基板10を大気中に放置した時間が72時間であった点が異なる。
このようにして得られた実施例9の半導体発光素子51の特性は、順方向電圧Vf=3.0V、発光出力Po=22mW、逆方向電流IR(@20V)=0.5μAであった。
(実施例10)
実施例9と比較して、半導体発光素子用テンプレート基板10を大気中に放置した時間が72時間であった点が異なる。
このようにして得られた実施例10の半導体発光素子51の特性は、順方向電圧Vf=2.9V、発光出力Po=23mW、逆方向電流IR(@20V)=0.3μAであった。
(比較例1)
半導体発光素子用テンプレート基板1を用いずに、第一MOCVD炉で一貫成長させ、また、再成長層22aを形成しなかった以外は実施例10と同様な操作を行い、半導体発光素子を得た。得られた半導体発光素子の特性は、順方向電圧Vf=3.4V、発光出力Po=15mW、逆方向電流IR(@20V)=5.0μAであった。
(比較例2)
半導体発光素子用テンプレート基板10を用いずに、第一MOCVD炉で一貫成長させ、また、再成長層12dを形成しなかった以外は実施例12と同様な操作を行い、半導体発光素子を得た。得られた半導体発光素子の特性は、順方向電圧Vf=3.4V、発光出力Po=15mW、逆方向電流IR(@20V)=5.0μAであった。
実施例3〜実施例10、比較例1〜比較例2の半導体発光素子の順方向電圧、発光出力(Po)、逆方向電流(IR)の結果を表1に示す。
なお、実施例及び比較例の半導体発光素子についての順方向電圧Vfは、プローブ針による通電で電流印加値20mAにおける電圧を測定したものである。同じく、実施例及び比較例の半導体発光素子についての発光出力(Po)は、それぞれTO−18缶パッケージに実装し、テスターによって印加電流20mAにおける発光出力を測定したものである。また、逆方向電流(IR)は、発光素子に対して端子を逆方向に20V印加した時の漏れ電流を測定した時の値である。
Figure 0005429196
1…半導体発光素子用テンプレート基板、3…ランプ、10…半導体発光素子用テンプレート基板、11…基板、12…n型半導体層、12a…nコンタクト層(第一n型半導体層)、12d…再成長層、12b…nクラッド層、13…発光層、14…p型半導体層、22…下地層、22a…再成長層、23…犠牲層、33…犠牲層、41…半導体発光素子、51…半導体発光素子

Claims (20)

  1. 基板上に、下地層と、加熱により除去可能な犠牲層とを順に備えたことを特徴とする半導体発光素子用テンプレート基板。
  2. 基板上に、下地層と、第一n型半導体層と、加熱により除去可能な犠牲層とを順に備えたことを特徴とする半導体発光素子用テンプレート基板。
  3. 前記犠牲層が化合物半導体又は金属からなることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の半導体発光素子用テンプレート基板。
  4. 前記犠牲層が、InGaN、InN、AlInN、AlGaInN、BInGaN、BInN、BAlInN、及びBAlGaInNの群から選択された一つからなることを特徴とする請求項3に記載の半導体発光素子用テンプレート基板。
  5. 前記犠牲層が、ZnSe、ZnS、ZnCdS、及びZnMgSSeの群から選択された一つからなることを特徴とする請求項3に記載の半導体発光素子用テンプレート基板。
  6. 前記犠牲層が、K、Se、Cd、Zn、Mg、Ca、及びInの群から選択された一つからなることを特徴とする請求項3に記載の半導体発光素子用テンプレート基板。
  7. 前記犠牲層の膜厚が、3〜100nmであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体発光素子用テンプレート基板。
  8. 請求項1に記載の半導体発光素子用テンプレート基板の犠牲層を除去した下地層の上に、該下地層の再成長層と、第一n型半導体層と第二n型半導体層と発光層とp型半導体層とが順次積層されてなることを特徴とする半導体発光素子。
  9. 請求項2に記載の半導体発光素子用テンプレート基板の犠牲層を除去した第一n型半導体層の上に、該第一n型半導体層の再成長層と、第二n型半導体層と発光層とp型半導体層とが順次積層されてなることを特徴とする半導体発光素子。
  10. 請求項8又は9のいずれかに記載の半導体発光素子を備えることを特徴とするランプ。
  11. 請求項10に記載のランプが組み込まれていることを特徴とする電子機器。
  12. 請求項11に記載の電子機器が組み込まれていることを特徴とする機械装置。
  13. 基板上に、下地層と、加熱により除去可能な犠牲層とが順次積層されてなる半導体発光素子用テンプレート基板の前記犠牲層を加熱により除去する工程と、
    その後、第一n型半導体層、第二n型半導体層、発光層およびp型半導体層を順次積層する工程と、を有することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  14. 前記犠牲層を加熱により除去する工程の後、前記第一n型半導体層を積層する前に、前記下地層の再成長層を積層することを特徴とする請求項13に記載の半導体発光素子の製造方法。
  15. 基板上に、下地層と、第一n型半導体層と、加熱により除去可能な犠牲層とが順次積層されてなる半導体発光素子用テンプレート基板の前記犠牲層を加熱により除去する工程と、
    その後、第二n型半導体層、発光層およびp型半導体層を順次積層する工程と、を有することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  16. 前記犠牲層を加熱により除去する工程の後、前記第二n型半導体層を積層する前に、前記第一n型半導体層の再成長層を積層することを特徴とする請求項15に記載の半導体発光素子の製造方法。
  17. 前記犠牲層を加熱により除去する工程を、700℃〜1000℃の温度で行うことを特徴とする請求項13から16のいずれか一項に記載の半導体発光素子の製造方法。
  18. 前記犠牲層を加熱により除去する工程を、窒素及びアンモニアを導入して行うことを特徴とする請求項13から17のいずれか一項に記載の半導体発光素子の製造方法。
  19. 前記犠牲層を加熱により除去する工程を、さらにアンモニアを導入して行うことを特徴とする請求項18に記載の半導体発光素子の製造方法。
  20. 前記犠牲層を加熱により除去する工程を、水素及びアンモニアを導入して行うことを特徴とする請求項13から17のいずれか一項に記載の半導体発光素子の製造方法。
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