JP2004207500A - 面発光レーザ素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】MOCVD装置とMBE装置をともに用いるハイブリッド法において、再成長界面の不純物を十分に取り除くことができる面発光半導体レーザ素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】MOCVD装置内で、GaAs基板上に、下部DBRミラーを形成した後、その基板をMBE装置内に搬送する。そして、MBE装置内で、その基板を加熱するとともに、MBE装置内にAsH3とともにCBr4を流し込む。これにより、自然酸化膜とそれに混入した不純物を除去することができる。続いて、MBE装置内で、電流狭窄層、下部クラッド層、活性層、上部クラッド層を形成し、MOCVD装置内で、上部DBRミラー、コンタクト層を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】MOCVD装置内で、GaAs基板上に、下部DBRミラーを形成した後、その基板をMBE装置内に搬送する。そして、MBE装置内で、その基板を加熱するとともに、MBE装置内にAsH3とともにCBr4を流し込む。これにより、自然酸化膜とそれに混入した不純物を除去することができる。続いて、MBE装置内で、電流狭窄層、下部クラッド層、活性層、上部クラッド層を形成し、MOCVD装置内で、上部DBRミラー、コンタクト層を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光波長が1.2μm以上の長波長発振を実現する面発光半導体レーザ素子に関し、特に、有機金属気相成長法によって半導体多層膜反射鏡を形成し、分子線エピタキシー法によって共振器構造を形成する面発光レーザ素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser 以下、単に面発光レーザ素子と称する。)は、その名の示す通り、光の共振する方向が基板面に対して垂直であり、光インターコネクションを始め、通信用光源として、また、その他の様々なアプリケーション用デバイスとして注目されている(例えば、特許文献1参照)。従来の端面発光型レーザ素子と比較して、素子の2次元配列が容易に形成できること、ミラーを設けるために劈開する必要がないのでウエハレベルでテストできること、活性層の体積が小さく極低閾値で発振できるために消費電力が小さいこと等がその理由である。
【0003】
また、面発光レーザ素子は、半導体基板と、一対の半導体多層膜反射鏡と、その一対の半導体多層膜反射鏡の間に位置する活性層とを基本的な構成要素とするが、近年では、半導体基板をGaAsで形成し、半導体多層膜反射鏡を互いにAlの組成の異なるAlGaAs/AlGaAsで形成して、さらに活性層をGaxIn1-xNyAs1-y量子井戸構造または量子ドット構造とすることで、1.2μm〜1.3μm帯の長波長発振が実現されている。この長波長発振を可能にした面発光レーザ素子は、特にデータ通信分野で使用する光通信装置の光源として有用である。
【0004】
以下に、活性層をGaxIn1-xNyAs1-y量子井戸構造とした従来の面発光レーザ素子の構造および製造方法について説明する。図8は、活性層をGaxIn1 -xNyAs1-y量子井戸構造とした従来の面発光レーザ素子の断面斜視図である。図8において、面発光レーザ素子100は、p−GaAs基板11上に、順に、下部半導体多層膜反射鏡(以下、下部DBRミラーと称す。)12、電流狭窄層13、p−GaAsクラッド層14(下部クラッド層)、発振波長1.3μmのGaxIn1-xNyAs1-y井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層15、n−GaAsクラッド層16(上部クラッド層)、上部半導体多層膜反射鏡(以下、上部DBRミラーと称す。)17、n−GaAsコンタクト層18が積層された積層構造のメサポスト20を有している。
【0005】
ここで、下部DBRミラー12は、例えばp−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとして、それを30ペア分積層した構造である。また、上部DBRミラー17は、例えばn−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとして、それを25ペア分積層した構造である。また、電流狭窄層13は、メサポスト中央部に位置するとともに電流注入領域として機能するAlAs層21と、その電流注入領域の外側に電流狭窄領域として機能するAl酸化層22とを有している。
【0006】
また、n−GaAsコンタクト層18上には、そのn−GaAsコンタクト層18と電気的接続を果たすリング状のn側電極24が形成され、n側電極24に対向するp−GaAs基板11の裏面にはp側電極26が形成されている。さらに、メサポスト20のn側電極24を除いた表面には、図示するように、保護膜として機能するSiN膜23が形成されており、このSiN膜23とn側電極24の表面には、n側電極24の引き出し線として機能する配線層25が形成されている。
【0007】
このような構造によって、面発光レーザ素子100は、配線層25とp側電極26との間に適当な電圧が印加されることで、n側電極24のリング中央部からメサポスト20の上方に向けて発振波長1.3μmのレーザを出射することができる。
【0008】
次に、上述した面発光レーザ素子100の製造方法のうち、特にメサポスト20を構成する積層構造の形成方法について説明する。図9は、その積層構造の形成方法を説明するためのフローチャートである。また、図10は、そのフローチャートに基づいた積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【0009】
まず、有機金属気相成長(以下、MOCVDと称す。)装置内において、p−GaAs基板11上に、p−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとした下部DBRミラー12を形成する(ステップS901、図10(a))。下部DBRミラー12が形成されると、その基板をMOCVD装置から取り出して分子線エピタキシー(以下、MBEと称す。)装置内に装着する。
【0010】
ここで、下部DBRミラー12が形成された基板は、MOCVD装置とMBE装置との間の搬送過程において大気に露出されるため、下部DBRミラー12の表面に自然酸化膜30が形成される(図10(b))。そこで、その自然酸化膜30を除去するために、MBE装置内において、基板を加熱して自然酸化膜を蒸発させる、いわゆるサーマルクリーニングを行なう。また、その際同時に、下部DBRミラー12表面から砒素(As)が脱離されるのを防ぐためにアルシン(AsH3)を流し込む。これにより、上記した自然酸化膜30が除去され、下部DBRミラー12の表面が露出する(ステップS902、図10(c))。
【0011】
続いて、MBE装置内において、下部DBRミラー12上にp−AlAsを結晶成長させることにより、電流狭窄層13を形成する(ステップS903、図10(d))。そして、電流狭窄層13上に、順に、p−GaAsクラッド層14、GaxIn1-xNyAs1-y井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層15、n−GaAsクラッド層16を形成する(ステップS904〜S906、図10(e)〜(g))。
【0012】
n−GaAsクラッド層16まで形成されると、次に、その基板をMBE装置から取り出してMOCVD装置に装着する。そして、MOCVD装置内において、n−GaAsクラッド層16上に、n−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとした上部DBRミラー17を形成する(ステップS907、図10(h))。
【0013】
続いて、MOCVD装置内において、上部DBRミラー17上にn−GaAsコンタクト層18を形成した後(ステップS908、図10(i))、基板を取り出して、適当な装置を用いることで、メサポストの形成、電流狭窄領域の形成、SiN膜の形成、電極の形成、配線層の形成など、面発光レーザ素子として機能するための処理工程を順次実施する(ステップS909)。
【0014】
なお、ステップS909において、メサポスト20は、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程(ドライエッチングまたはウェットエッチング)を経て、上部DBRミラー17、n−GaAsクラッド層16、活性層15、p−GaAsクラッド層14および電流狭窄層13からなる積層構造に対し、図8に示すような円筒状溝27を形成することで得られる。
【0015】
また、電流狭窄領域は、例えば水蒸気雰囲気中にて約400℃の温度で酸化処理を行うことにより、電流狭窄層13をメサポスト20から選択的に酸化させてAl酸化層22を形成することで得られる。
【0016】
以上に説明したように、1.2μm以上の長波長発振を実現する面発光レーザ素子は、MOCVD法とMBE法を組み合わせるという、いわゆるハイブリッド法を採用することによって、素子特性の再現性を向上させている。ここで、ハイブリッド法が優れている理由を簡単に説明する。まず、MOCVD法は、優れた傾斜組成制御、優れたドーピングプロファイルおよび良好な結晶性が得られることから、下部DBRミラー12および上部DBRミラー17の形成に適している。
【0017】
一方、MBE法は、MOCVD法に比べて低い温度で結晶成長させることができる。換言すれば、MBE法のもとでは、平衡状態から離れた非平衡状態で結晶成長が行われる。ここで、活性層15を構成するGaInNAsは、非混和性という性質を有するため、平衡状態に近いところでは良好な結晶成長が得られにくいということが知られている。よって、良好な結晶性を有するGaInNAsを得るには、MBE法の方が適している。
【0018】
【特許文献1】
特開2000−068604号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハイブリッド法によって面発光レーザ素子を製造する場合、上述したように、MOCVD装置からMBE装置への基板の搬送過程において、下部DBRミラー12上に自然酸化膜30が形成されてしまう。そのためMBE装置内においてサーマルクリーニングを行うのであるが、自然酸化膜30には、酸素や炭素などの不純物が混入しており、それら不純物は、AsH3の流入とともに行なわれるサーマルクリーニングでは十分に除去されない。したがって、下部DBRミラー12と電流狭窄層13との間(再成長界面)に不純物が残留してしまう。
【0020】
この残留した不純物は、再成長界面からその上下に位置する層に拡散するため、再成長界面と活性層との距離が短い場合、その不純物が活性層近傍にまで達し、非発光再結合中心を生成する要因となっていた。すなわち、この不純物の存在を原因として、素子の光出力特性が悪化してしまうという問題があった。
【0021】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、ハイブリッド法において、再成長界面の不純物を十分に取り除くことができる面発光半導体レーザ素子の製造方法を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、下部半導体多層膜反射鏡と上部半導体多層膜反射鏡との間に活性層が位置する構造の面発光レーザ素子の製造方法において、有機金属気相成長装置内で、半導体基板上に、少なくとも前記下部半導体多層膜反射鏡が含まれた第1の半導体層を形成する第1の半導体層形成ステップと、前記半導体基板を分子線エピタキシー装置内に搬送する基板搬送ステップと、前記分子線エピタキシー装置内で、前記半導体基板を加熱するとともに、該分子線エピタキシー装置内に四臭化炭素(CBr4)を流し込む洗浄ステップと、前記分子線エピタキシー装置内で、前記第1の半導体層上に、少なくとも前記活性層が含まれた第2の半導体層を形成する第2の半導体層形成ステップと、を含んだことを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、基板搬送ステップにおいて第1の半導体層上に形成された自然酸化物をサーマルクリーニングによって除去できるとともに、CBr4の照射によって第1の半導体層の表層をエッチングすることになるので、自然酸化物に混入した不純物をも除去することができる。
【0024】
また、請求項2にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記洗浄ステップが、前記分子線エピタキシー装置内にさらにアルシン(AsH3)を流し込むことを特徴としている。
【0025】
この発明によれば、CBr4の照射によって露出した第1の半導体層表面のAsがサーマルクリーニングによって脱離するのを防ぐことができる。
【0026】
請求項3にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記洗浄ステップが、前記分子線エピタキシー装置内にさらに砒素(As)を流し込むことを特徴としている。
【0027】
この発明によれば、上記同様、CBr4の照射によって露出した第1の半導体層表面のAsがサーマルクリーニングによって脱離するのを防ぐことができる。
【0028】
請求項4にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、下部半導体多層膜反射鏡と上部半導体多層膜反射鏡との間に活性層が位置する構造の面発光レーザ素子の製造方法において、有機金属気相成長装置内で、半導体基板上に、少なくとも前記下部半導体多層膜反射鏡が含まれた第1の半導体層を形成する第1の半導体層形成ステップと、前記有機金属気相成長装置内で、前記第1の半導体層の表面に酸化物を形成する酸化物形成ステップと、前記半導体基板を分子線エピタキシー装置内に搬送する基板搬送ステップと、前記分子線エピタキシー装置内で、前記酸化物を除去する酸化物除去ステップと、前記分子線エピタキシー装置内で、前記第1の半導体層上に、少なくとも前記活性層が含まれた第2の半導体層を形成する第2の半導体層形成ステップと、を含んだことを特徴としている。
【0029】
この発明によれば、基板搬送ステップにおいて自然酸化膜が形成されるとしても、不純物が含まれる余地のないクリーンな環境で形成された酸化物上に形成されるので、不純物が第1の半導体層の表面に分散してしまうのを防ぐことができ、さらには、その酸化物の除去により清浄な第1の半導体層表面を得ることができる。
【0030】
請求項5にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記酸化物形成ステップが、前記酸化物としてGa酸化物を形成することを特徴としている。
【0031】
請求項6にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記酸化物除去ステップが、前記酸化物に原子状水素を照射することで前記酸化物を除去することを特徴としている。
【0032】
請求項7にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記第1の半導体層形成ステップが、前記第1の半導体層を、前記下部半導体多層膜反射鏡の一部が最上層に位置するように形成し、前記第2の半導体層形成ステップが、前記第2の半導体層を、前記下部半導体多層膜反射鏡の他部が最下層に位置するように形成することを特徴としている。
【0033】
請求項8にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記下部半導体多層膜反射鏡が、GaAs/AlxGa1-xAsを1ペアとした複数ペアから構成されることを特徴としている。
【0034】
この発明によれば、1ペアの下層に位置するAlxGa1-xAsが、CBr4の照射によるエッチングに対してエッチング停止層として機能するので、下部半導体多層膜反射鏡が多く除去されるのを防ぐことできる。
【0035】
請求項9にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記下部半導体多層膜反射鏡の一部が、GaAs/AlxGa1-xAsを1ペアとした複数ペアから構成され、前記下部半導体多層膜反射鏡の他部が、AlxGa1-XAs/AlyGa1-yAsを1ペアとした少なくとも1ペアから構成されることを特徴としている。
【0036】
この発明によれば、不純物が混入する可能性の高い再成長界面を、第2の半導体層内に位置する活性層から遠ざけることができる。
【0037】
請求項10にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記活性層が、GaInNAs(Sb)井戸層を有する単一または多重量子井戸構造であることを特徴としている。
【0038】
請求項11にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、前記活性層が、GaInSb井戸層を有する単一または多重量子井戸構造であることを特徴としている。
【0039】
請求項12にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、前記活性層が、InAs単一または多重量子ドット構造であることを特徴としている。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる面発光レーザ素子の製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0041】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法について説明する。実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、サーマルクリーニング時にAsH3に加えて、エッチングガスとして機能する四臭化炭素(CBr4)を用いることを特徴としている。
【0042】
図1は、実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートであり、特にメサポスト部分の積層構造の形成方法を示している。また、図2はそのフローチャートに基づいた積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【0043】
まず、MOCVD装置内において、p−GaAs基板11上に、p−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとしてそれを30ペア分積層した下部DBRミラー12を形成する(ステップS101、図2(a))。なお、この下部DBRミラー12の最上層にはp−GaAsが位置する。
【0044】
次に、MOCVD装置から基板を取り出し、取り出した基板をMBE装置に装着する。ここで、基板は、MOCVD装置からMBE装置へと搬送される際に大気暴露されるため、下部DBRミラー12の表面に酸素や炭素などの不純物を含む自然酸化膜30が形成される(図2(b))。
【0045】
そこで、その自然酸化膜30を除去するために、従来同様、サーマルクリーニングを実施するわけであるが、本実施の形態では、MBE装置内に、従来使用していたAsH3とともに、CBr4を流し込む(ステップS102)。
【0046】
ここで、CBr4の流し込みによる効果について説明する。ハロゲン化合物であるCBr4は、MBE装置において通常、p型ドーパントとして使用される。発明者等は、実験により、このCBr4をGaAs基板表面に照射すると、BrとGaAsとが反応してGa−Br化合物が生成されることを確認した。また、生成されたGa−Br化合物は比較的遅い速度で気相へと転位してGaAs基板の表面から脱離するということも確認した。さらには、そのGa−Br化合物の脱離に伴って、GaAs基板上に残留しているAsも比較的遅い速度でGaAs基板表面から脱離することが確認された。すなわち、CBr4は、GaAs基板を比較的遅い速度でエッチングさせることができるということがわかった。
【0047】
また、発明者等は、AlGaAs基板表面にCBr4を照射した場合には、Ga−Br化合物とともに、Al−Br化合物が生成されることを確認した。特に、発明者等は、生成されたAl−Br化合物がGa−Br化合物とは異なってAlGaAs基板表面から脱離しにくいこと、換言すれば、AlGaAsがCBr4に対してエッチング停止層として機能するということを見出した。
【0048】
図3は、GaAs基板とAl0.3Ga0.7As基板のそれぞれに対してCBr4を照射した際のエッチング速度とCBr4の圧力との関係を示したグラフである。なお、このグラフを得た際の基板温度は500℃である。図3において、CBr4の圧力が0.1Torrの場合、GaAs基板はエッチング速度約1nm/minでエッチングされるが、Al0.3Ga0.7As基板はほとんどエッチングされないことがわかる。
【0049】
以上のことから、下部DBRミラー12の表面に対してCBr4を照射すれば、その下部DBRミラー12の最表層に位置するp−GaAsのみを除去することができる。特に、このp−GaAsの除去は、p−GaAs表面または内部に残留した上記不純物も除去されることを意味する。換言すれば、CBr4は、下部DBRミラー12を洗浄するのに最適なクリーニングガスと言え、実際に、清浄な下部DBRミラー12の表面(再成長界面)を得ることができた(図2(c))。なお、従来と同様にAsH3を流し込むのは、上記エッチングによって露出したAl0.9Ga0.1AsのAsが、サーマルクリーニング時の加熱によって脱離されるのを防ぐためである。
【0050】
続いて、MBE装置内において、下部DBRミラー12上にp−AlAsを結晶成長させることにより電流狭窄層13を形成する(ステップS103、図2(d))。そして、電流狭窄層13上に、順に、p−GaAsクラッド層14、GaxIn1-xNyAs1-y井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層15、n−GaAsクラッド層16を形成する(ステップS104〜S106、図2(e)〜(g))。なお、活性層15としては、例えば、発振波長1.295μmのGa0.61In0.39As0.982N0.018井戸層/GaN0.019As0.981バリア層で形成することができる。
【0051】
n−GaAsクラッド層16まで形成されると、次に、その基板をMBE装置から取り出してMOCVD装置に装着する。そして、MOCVD装置内において、n−GaAsクラッド層16上に、n−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとして、それを25ペア分積層した上部DBRミラー17を形成する(ステップS107、図2(h))。
【0052】
続いて、MOCVD装置内において、上部DBRミラー17上にn−GaAsコンタクト層18を形成し(ステップS108、図2(i))、基板を取り出した後に、従来の製造方法と同様に適当な装置を用いて、メサポストの形成、電流狭窄領域の形成、SiN膜の形成、電極の形成、配線層の形成など、面発光半導体レーザ素子として機能するための処理工程を順次実施する(ステップS109)。
【0053】
以上に説明したとおり、実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法によれば、MBE装置内でサーマルクリーニングを行うことにより下部DBRミラー12上の自然酸化物30を除去し、さらにそのサーマルクリーニングの際にCBr4を流し込むことで、下部DBRミラー12表面の一部をエッチングし、残留していた不純物を除去する。また、従来同様にAsH3も流し込むので、上記エッチングによって露出した基板からAsが脱離されるのを防いでいる。これにより、清浄な下部DBRミラー12表面(再成長界面)を得ることができ、従来のAsH3のみを用いたサーマルクリーニングよりも、素子のL−I特性において、閾値電流値を約5%低減させることが可能になった。
【0054】
なお、上述した説明では、サーマルクリーニングを行う表面、すなわち再成長界面は、下部DBRミラー12の表面としたが、MOCVD装置内で、下部DBRミラー12、電流狭窄層13を形成し、MBE装置内で電流狭窄層13の表面をサーマルクリーニングの対象としてもよい。すなわち、この場合、再成長界面は電流狭窄層13の表面となる。また、MOCVD装置内で、下部DBRミラー12、電流狭窄層13、下部クラッド層を形成し、MBE装置内で下部クラッド層の表面をサーマルクリーニングの対象としてもよい。すなわち、この場合、再成長界面は下部クラッド層の表面となる。
【0055】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法について説明する。実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、下部DBRミラーの作成をMOCVD装置内とMBE装置内とで2度に分けて行うことを特徴としている。
【0056】
図4は、実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートであり、特にメサポスト部分の積層構造の形成方法を示している。また、図5はそのフローチャートに基づいた積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【0057】
まず、MOCVD装置内において、p−GaAs基板11上に、p−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとして、それを29ペア分積層した下部DBRミラー12aを形成する(ステップS201、図5(a))。
【0058】
次に、MOCVD装置から基板を取り出し、取り出した基板をMBE装置に装着する。ここで、基板は、MOCVD装置からMBE装置へと搬送される際に、大気暴露されるため、下部DBRミラー12aの表面に酸素や炭素などの不純物を含む自然酸化膜30が形成される(図5(b))。
【0059】
そこで、その自然酸化膜30を除去するためにMBE装置内にAsH3とともにCBr4を流し込み、サーマルクリーニングを実施する(ステップS202)。この作用と効果は実施の形態1で説明した通りである。この処理により清浄な下部DBRミラー12aの表面(再成長界面)を露出することができる(図5(c))。
【0060】
次に、MBE法によって、下部DBRミラー12a上、すなわち再成長面上に、Al組成の異なる1ペアのAlxGa1-xAs/AlyGa1-yAs層を形成する(ステップS203、図4(d))。これにより、29ペアの下部DBRミラー12a上に1ペアの下部DBRミラー12bが位置し、これら全体で30ペアの下部DBRミラー12を構成する。特に、このようにして得られた下部DBRミラー12は、上記した再成長面を、最表層ではなく、その内部に閉じ込めている。
【0061】
ここで、再成長面をDBRミラー12の内部に閉じ込めることによる効果について説明する。MOCVD法とMBE法を組み合わせるハイブリッド法では、基板をMOCVD装置から取り出してMBE装置に装着する際に、その基板を大気に曝さねばならない。この時に基板表面に不純物を含んだ自然酸化膜30が形成されることと、その不純物が活性層近傍に分散すると素子特性が悪化するということは前述したとおりである。そこで、実施の形態1では、素子特性が悪化してしまうのを防止するという目的のために、不純物を除去する方法を説明したわけであるが、不純物が分布する恐れのある再成長界面を活性層から十分に遠ざけた場合でも、上記目的を達成することができる。本実施の形態は、まさにこの再成長面と活性層との距離を従来よりも大きくしたことを特徴としている。具体的には上述したように、再成長面が下部DBRミラー12の表面から1ペア分だけ内部に位置し、その1ペア分だけ、再成長面と活性層との距離を広げている。
【0062】
なお、本実施の形態では、再成長面自体についても実施の形態1で説明したとおり、AsH3とCBr4を用いたサーマルクリーニングを行っているので、不純物を原因とした素子特性の悪化がより一層に防止される。
【0063】
下部DBRミラー12bにつづく積層工程は実施の形態1と同様である。すなわち、MBE装置内において、下部DBRミラー12b上にp−AlAsを結晶成長させることにより電流狭窄層13を形成する(ステップS204、図4(e))。そして、電流狭窄層13上に、順に、p−GaAsクラッド層14、GaxIn1-xNyAs1-y井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層15、n−GaAsクラッド層16を形成する(ステップS205〜S207、図4(f)〜(h))。
【0064】
n−GaAsクラッド層16まで形成されると、次に、その基板をMBE装置から取り出してMOCVD装置に装着する。そして、MOCVD装置内において、n−GaAsクラッド層16上に、n−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとし、25ペアで構成される上部DBRミラー17を形成する(ステップS208、図4(i))。
【0065】
続いて、MOCVD装置内において、上部DBRミラー17上にn−GaAsコンタクト層18を形成してから(ステップS209、図4(j))基板を取り出し、従来の製造方法と同様に適当な装置を用いて、メサポストの形成、電流狭窄領域の形成、SiN膜の形成、電極の形成、配線層の形成など、面発光レーザ素子として機能するための処理工程を順次実施する(ステップS210)。
【0066】
以上に説明したとおり、実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法によれば、下部DBRミラー12の最上層に位置する1ペアをMBE装置内で形成するので、再成長界面をその1ペア分だけ活性層から遠ざけることができる。これにより、再成長面に残留していた不純物が分散によって活性層まで到達する確率を低下させることができ、結果的に、従来と比べて、素子の光出力特性を向上させることが可能になる。さらに、再成長界面をCBr4とAsH3とを伴ったサーマルクリーニングによって得ることで、実施の形態1による効果も享受することができる。特にその場合、素子のL−I特性において、閾値電流値を約30%低減させることが可能になった。
【0067】
なお、以上に説明した実施の形態2では、MBE装置内で形成される下部DBRミラーの一部を1ペアのみとしたが、複数ペアでもよい。
【0068】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法について説明する。実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、MOCVD装置内で、下部DBRミラー上に不純物フリーな酸化膜を作成し、MBE装置内で、その酸化膜を除去することを特徴としている。
【0069】
図6は、実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートであり、特にメサポスト部分の積層構造の形成方法を示している。また、図7はそのフローチャートに基づいた積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【0070】
まず、MOCVD装置内において、p−GaAs基板11上に、p−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとして、それを29ペア分積層した下部DBRミラー12aを形成する(ステップS301、図7(a))。
【0071】
次に、MOCVD装置内に純粋酸素を流し込む。この処理により、下部DBRミラー12a表面に酸化膜31が形成される(ステップS302、図7(b))。この酸化膜31は、MOCVD装置内という清浄な雰囲気中で形成されるため、不純物フリーで膜厚も数モノレイヤーに抑制することができる。
【0072】
次に、MOCVD装置から基板を取り出し、取り出した基板をMBE装置内に装着する。この際、基板は、MOCVD装置からMBE装置へと搬送される際に大気暴露されるが、上記ステップS302において、積層膜表面がすでに不純物のない酸化膜31に覆われているため、自然酸化膜は、この酸化膜31上に形成される。
【0073】
次に、MBE装置内のECR(電子サイクロトロン共鳴:Electron CyclotronResonance)装置で生成された水素プラズマ、あるいはタングステンフィラメントからの熱電子放出による水素分子解離装置(ラジカルガン)により生成された原子状水素を、基板表面、すなわち酸化膜31表面に向けて照射する。この原子状水素の照射によって、基板表面の酸化膜31が除去される(ステップS303、図7(c))。
【0074】
なお、この水素プラズマや原子状水素の照射による酸化膜31の除去は、気相中へと最初にAs酸化物が脱離し、次にGa酸化物が脱離するという2段階で進行する。この処理は基板温度を約400℃と比較的低い温度で行なわれるために、表面モフォロジー(結晶性)が維持された状態で、かつ清浄な再成長界面を得ることができる。
【0075】
次に、MBE法によりAl組成の異なる1ペアのAlGaAs/AlGaAsの下部DBRミラー12bを形成する。これによって全体で30ペアの下部DBRミラー12が形成される(ステップS304、図7(d))。これにより、再成長界面を活性層から遠ざけて不純物の影響を低減させるという実施の形態2の作用および効果を享受することができる。
【0076】
下部DBRミラー12bにつづく積層工程は実施の形態1と同様である。すなわち、MBE装置内において、下部DBRミラー12b上にp−AlAsを結晶成長させることにより電流狭窄層13を形成する(ステップS305、図7(e))。そして、電流狭窄層13上に、順に、p−GaAsクラッド層14、GaxIn1-xNyAs1-y井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層15、n−GaAsクラッド層16を形成する(ステップS306〜S308、図7(f)〜(h))。
【0077】
n−GaAsクラッド層16まで形成されると、次に、その基板をMBE装置から取り出してMOCVD装置に装着する。そして、MOCVD装置内において、n−GaAsクラッド層16上に、n−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとし、25ペアで構成される上部DBRミラー17を形成する(ステップS309、図7(i))。
【0078】
続いて、MOCVD装置内において、上部DBRミラー17上にn−GaAsコンタクト層18を形成した後(ステップS310、図7(j))、基板を取り出し、従来の製造方法と同様に適当な装置を用いて、メサポストの形成、電流狭窄領域の形成、SiN膜の形成、電極の形成、配線層の形成など、面発光レーザ素子として機能するための処理工程を順次実施する(ステップS311)。
【0079】
以上に説明したとおり、実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法によれば、MOCVD装置内で再成長界面を不純物フリーの酸化膜31で覆った後に基板を大気中に暴露するので、自然酸化膜は不純物フリーの酸化膜31上に形成され、その自然酸化膜に含有した不純物が下部DBRミラー12a表面に分散するのを防ぐことができる。また、MBE装置内でその酸化膜31を水素プラズマあるいは原子状水素の照射によって除去するので、清浄な下部DBRミラー12a表面を得ることができる。さらに、下部DBRミラー12の最上層の1ペアをMBE装置内で形成することで、実施の形態2による効果も享受することができる。特にその場合、素子のL−I特性において、閾値電流値を約50%低減させることが可能になった。
【0080】
なお、以上に説明した実施の形態1〜3において、AsH3に替えてAs(砒素)を用いても上記同様の効果を享受することができる。また、上記した活性層15は、GaInNAs(Sb)井戸層を有する単一または多重量子井戸構造、GaInSb井戸層を有する単一または多重量子井戸構造、InAs単一または多重量子ドット構造などであってもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明にかかる面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、分子線エピタキシー装置内でサーマルクリーニングを行うことにより下部半導体多層膜反射鏡上に形成された自然酸化物を除去し、さらにそのサーマルクリーニングの際にCBr4を流し込むことで、下部半導体多層膜反射鏡表面の一部をエッチングするので、下部半導体多層膜反射鏡表面に残留していた不純物を除去することができ、清浄な下部半導体多層膜反射鏡表面(再成長界面)を得ることができるという効果を奏する。
【0082】
また、本発明にかかる面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、サーマルクリーニング時に、さらに従来同様にAsH3やAsを流し込むことで、上記エッチングによって露出した基板からAsが脱離されるのを防ぐことができるという効果を奏する。
【0083】
また、本発明にかかる面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、下部半導体多層膜反射鏡の最上層に位置する数ペアを分子線エピタキシー装置内で形成するので、再成長界面をその数ペア分だけ活性層から遠ざけることができ、再成長面に残留していた不純物の悪影響を低減させることができるという効果を奏する。
【0084】
また、本発明にかかる面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、有機金属気相成長装置内において再成長界面を不純物フリーの酸化膜31で覆った後に、基板を大気中に暴露するので、自然酸化膜は不純物フリーの酸化膜31上に形成され、その自然酸化膜に含有した不純物が下部半導体多層膜反射鏡に分散するのを防ぐことができ、また、分子線エピタキシー装置内でその酸化膜を原子状水素等の照射によって除去するので、清浄な下部半導体多層膜反射鏡の表面を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法のうち、積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【図3】GaAs基板とAl0.3Ga0.7As基板のそれぞれに対してCBr4を照射した際のエッチング速度とCBr4の圧力との関係を示したグラフである。
【図4】実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法のうち、積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【図6】実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法のうち、積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【図8】活性層をGaxIn1-xNyAs1-y量子井戸構造とした従来の面発光レーザ素子の断面斜視図である。
【図9】従来の面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図10】従来の面発光レーザ素子の製造方法のうち、積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【符号の説明】
11 p−GaAs基板
12 下部半導体多層膜反射鏡
13 電流狭窄層
14 p−GaAsクラッド層
15 活性層
16 n−GaAsクラッド層
17 上部半導体多層膜反射鏡
18 n−GaAsコンタクト層
20 メサポスト
21 AlAs層
22 Al酸化層
24 n側電極
25 配線層
26 p側電極
27 円筒状溝
30 自然酸化膜
31 酸化膜
100 面発光半導体レーザ素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光波長が1.2μm以上の長波長発振を実現する面発光半導体レーザ素子に関し、特に、有機金属気相成長法によって半導体多層膜反射鏡を形成し、分子線エピタキシー法によって共振器構造を形成する面発光レーザ素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser 以下、単に面発光レーザ素子と称する。)は、その名の示す通り、光の共振する方向が基板面に対して垂直であり、光インターコネクションを始め、通信用光源として、また、その他の様々なアプリケーション用デバイスとして注目されている(例えば、特許文献1参照)。従来の端面発光型レーザ素子と比較して、素子の2次元配列が容易に形成できること、ミラーを設けるために劈開する必要がないのでウエハレベルでテストできること、活性層の体積が小さく極低閾値で発振できるために消費電力が小さいこと等がその理由である。
【0003】
また、面発光レーザ素子は、半導体基板と、一対の半導体多層膜反射鏡と、その一対の半導体多層膜反射鏡の間に位置する活性層とを基本的な構成要素とするが、近年では、半導体基板をGaAsで形成し、半導体多層膜反射鏡を互いにAlの組成の異なるAlGaAs/AlGaAsで形成して、さらに活性層をGaxIn1-xNyAs1-y量子井戸構造または量子ドット構造とすることで、1.2μm〜1.3μm帯の長波長発振が実現されている。この長波長発振を可能にした面発光レーザ素子は、特にデータ通信分野で使用する光通信装置の光源として有用である。
【0004】
以下に、活性層をGaxIn1-xNyAs1-y量子井戸構造とした従来の面発光レーザ素子の構造および製造方法について説明する。図8は、活性層をGaxIn1 -xNyAs1-y量子井戸構造とした従来の面発光レーザ素子の断面斜視図である。図8において、面発光レーザ素子100は、p−GaAs基板11上に、順に、下部半導体多層膜反射鏡(以下、下部DBRミラーと称す。)12、電流狭窄層13、p−GaAsクラッド層14(下部クラッド層)、発振波長1.3μmのGaxIn1-xNyAs1-y井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層15、n−GaAsクラッド層16(上部クラッド層)、上部半導体多層膜反射鏡(以下、上部DBRミラーと称す。)17、n−GaAsコンタクト層18が積層された積層構造のメサポスト20を有している。
【0005】
ここで、下部DBRミラー12は、例えばp−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとして、それを30ペア分積層した構造である。また、上部DBRミラー17は、例えばn−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとして、それを25ペア分積層した構造である。また、電流狭窄層13は、メサポスト中央部に位置するとともに電流注入領域として機能するAlAs層21と、その電流注入領域の外側に電流狭窄領域として機能するAl酸化層22とを有している。
【0006】
また、n−GaAsコンタクト層18上には、そのn−GaAsコンタクト層18と電気的接続を果たすリング状のn側電極24が形成され、n側電極24に対向するp−GaAs基板11の裏面にはp側電極26が形成されている。さらに、メサポスト20のn側電極24を除いた表面には、図示するように、保護膜として機能するSiN膜23が形成されており、このSiN膜23とn側電極24の表面には、n側電極24の引き出し線として機能する配線層25が形成されている。
【0007】
このような構造によって、面発光レーザ素子100は、配線層25とp側電極26との間に適当な電圧が印加されることで、n側電極24のリング中央部からメサポスト20の上方に向けて発振波長1.3μmのレーザを出射することができる。
【0008】
次に、上述した面発光レーザ素子100の製造方法のうち、特にメサポスト20を構成する積層構造の形成方法について説明する。図9は、その積層構造の形成方法を説明するためのフローチャートである。また、図10は、そのフローチャートに基づいた積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【0009】
まず、有機金属気相成長(以下、MOCVDと称す。)装置内において、p−GaAs基板11上に、p−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとした下部DBRミラー12を形成する(ステップS901、図10(a))。下部DBRミラー12が形成されると、その基板をMOCVD装置から取り出して分子線エピタキシー(以下、MBEと称す。)装置内に装着する。
【0010】
ここで、下部DBRミラー12が形成された基板は、MOCVD装置とMBE装置との間の搬送過程において大気に露出されるため、下部DBRミラー12の表面に自然酸化膜30が形成される(図10(b))。そこで、その自然酸化膜30を除去するために、MBE装置内において、基板を加熱して自然酸化膜を蒸発させる、いわゆるサーマルクリーニングを行なう。また、その際同時に、下部DBRミラー12表面から砒素(As)が脱離されるのを防ぐためにアルシン(AsH3)を流し込む。これにより、上記した自然酸化膜30が除去され、下部DBRミラー12の表面が露出する(ステップS902、図10(c))。
【0011】
続いて、MBE装置内において、下部DBRミラー12上にp−AlAsを結晶成長させることにより、電流狭窄層13を形成する(ステップS903、図10(d))。そして、電流狭窄層13上に、順に、p−GaAsクラッド層14、GaxIn1-xNyAs1-y井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層15、n−GaAsクラッド層16を形成する(ステップS904〜S906、図10(e)〜(g))。
【0012】
n−GaAsクラッド層16まで形成されると、次に、その基板をMBE装置から取り出してMOCVD装置に装着する。そして、MOCVD装置内において、n−GaAsクラッド層16上に、n−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとした上部DBRミラー17を形成する(ステップS907、図10(h))。
【0013】
続いて、MOCVD装置内において、上部DBRミラー17上にn−GaAsコンタクト層18を形成した後(ステップS908、図10(i))、基板を取り出して、適当な装置を用いることで、メサポストの形成、電流狭窄領域の形成、SiN膜の形成、電極の形成、配線層の形成など、面発光レーザ素子として機能するための処理工程を順次実施する(ステップS909)。
【0014】
なお、ステップS909において、メサポスト20は、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程(ドライエッチングまたはウェットエッチング)を経て、上部DBRミラー17、n−GaAsクラッド層16、活性層15、p−GaAsクラッド層14および電流狭窄層13からなる積層構造に対し、図8に示すような円筒状溝27を形成することで得られる。
【0015】
また、電流狭窄領域は、例えば水蒸気雰囲気中にて約400℃の温度で酸化処理を行うことにより、電流狭窄層13をメサポスト20から選択的に酸化させてAl酸化層22を形成することで得られる。
【0016】
以上に説明したように、1.2μm以上の長波長発振を実現する面発光レーザ素子は、MOCVD法とMBE法を組み合わせるという、いわゆるハイブリッド法を採用することによって、素子特性の再現性を向上させている。ここで、ハイブリッド法が優れている理由を簡単に説明する。まず、MOCVD法は、優れた傾斜組成制御、優れたドーピングプロファイルおよび良好な結晶性が得られることから、下部DBRミラー12および上部DBRミラー17の形成に適している。
【0017】
一方、MBE法は、MOCVD法に比べて低い温度で結晶成長させることができる。換言すれば、MBE法のもとでは、平衡状態から離れた非平衡状態で結晶成長が行われる。ここで、活性層15を構成するGaInNAsは、非混和性という性質を有するため、平衡状態に近いところでは良好な結晶成長が得られにくいということが知られている。よって、良好な結晶性を有するGaInNAsを得るには、MBE法の方が適している。
【0018】
【特許文献1】
特開2000−068604号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハイブリッド法によって面発光レーザ素子を製造する場合、上述したように、MOCVD装置からMBE装置への基板の搬送過程において、下部DBRミラー12上に自然酸化膜30が形成されてしまう。そのためMBE装置内においてサーマルクリーニングを行うのであるが、自然酸化膜30には、酸素や炭素などの不純物が混入しており、それら不純物は、AsH3の流入とともに行なわれるサーマルクリーニングでは十分に除去されない。したがって、下部DBRミラー12と電流狭窄層13との間(再成長界面)に不純物が残留してしまう。
【0020】
この残留した不純物は、再成長界面からその上下に位置する層に拡散するため、再成長界面と活性層との距離が短い場合、その不純物が活性層近傍にまで達し、非発光再結合中心を生成する要因となっていた。すなわち、この不純物の存在を原因として、素子の光出力特性が悪化してしまうという問題があった。
【0021】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、ハイブリッド法において、再成長界面の不純物を十分に取り除くことができる面発光半導体レーザ素子の製造方法を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、下部半導体多層膜反射鏡と上部半導体多層膜反射鏡との間に活性層が位置する構造の面発光レーザ素子の製造方法において、有機金属気相成長装置内で、半導体基板上に、少なくとも前記下部半導体多層膜反射鏡が含まれた第1の半導体層を形成する第1の半導体層形成ステップと、前記半導体基板を分子線エピタキシー装置内に搬送する基板搬送ステップと、前記分子線エピタキシー装置内で、前記半導体基板を加熱するとともに、該分子線エピタキシー装置内に四臭化炭素(CBr4)を流し込む洗浄ステップと、前記分子線エピタキシー装置内で、前記第1の半導体層上に、少なくとも前記活性層が含まれた第2の半導体層を形成する第2の半導体層形成ステップと、を含んだことを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、基板搬送ステップにおいて第1の半導体層上に形成された自然酸化物をサーマルクリーニングによって除去できるとともに、CBr4の照射によって第1の半導体層の表層をエッチングすることになるので、自然酸化物に混入した不純物をも除去することができる。
【0024】
また、請求項2にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記洗浄ステップが、前記分子線エピタキシー装置内にさらにアルシン(AsH3)を流し込むことを特徴としている。
【0025】
この発明によれば、CBr4の照射によって露出した第1の半導体層表面のAsがサーマルクリーニングによって脱離するのを防ぐことができる。
【0026】
請求項3にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記洗浄ステップが、前記分子線エピタキシー装置内にさらに砒素(As)を流し込むことを特徴としている。
【0027】
この発明によれば、上記同様、CBr4の照射によって露出した第1の半導体層表面のAsがサーマルクリーニングによって脱離するのを防ぐことができる。
【0028】
請求項4にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、下部半導体多層膜反射鏡と上部半導体多層膜反射鏡との間に活性層が位置する構造の面発光レーザ素子の製造方法において、有機金属気相成長装置内で、半導体基板上に、少なくとも前記下部半導体多層膜反射鏡が含まれた第1の半導体層を形成する第1の半導体層形成ステップと、前記有機金属気相成長装置内で、前記第1の半導体層の表面に酸化物を形成する酸化物形成ステップと、前記半導体基板を分子線エピタキシー装置内に搬送する基板搬送ステップと、前記分子線エピタキシー装置内で、前記酸化物を除去する酸化物除去ステップと、前記分子線エピタキシー装置内で、前記第1の半導体層上に、少なくとも前記活性層が含まれた第2の半導体層を形成する第2の半導体層形成ステップと、を含んだことを特徴としている。
【0029】
この発明によれば、基板搬送ステップにおいて自然酸化膜が形成されるとしても、不純物が含まれる余地のないクリーンな環境で形成された酸化物上に形成されるので、不純物が第1の半導体層の表面に分散してしまうのを防ぐことができ、さらには、その酸化物の除去により清浄な第1の半導体層表面を得ることができる。
【0030】
請求項5にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記酸化物形成ステップが、前記酸化物としてGa酸化物を形成することを特徴としている。
【0031】
請求項6にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記酸化物除去ステップが、前記酸化物に原子状水素を照射することで前記酸化物を除去することを特徴としている。
【0032】
請求項7にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記第1の半導体層形成ステップが、前記第1の半導体層を、前記下部半導体多層膜反射鏡の一部が最上層に位置するように形成し、前記第2の半導体層形成ステップが、前記第2の半導体層を、前記下部半導体多層膜反射鏡の他部が最下層に位置するように形成することを特徴としている。
【0033】
請求項8にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記下部半導体多層膜反射鏡が、GaAs/AlxGa1-xAsを1ペアとした複数ペアから構成されることを特徴としている。
【0034】
この発明によれば、1ペアの下層に位置するAlxGa1-xAsが、CBr4の照射によるエッチングに対してエッチング停止層として機能するので、下部半導体多層膜反射鏡が多く除去されるのを防ぐことできる。
【0035】
請求項9にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記下部半導体多層膜反射鏡の一部が、GaAs/AlxGa1-xAsを1ペアとした複数ペアから構成され、前記下部半導体多層膜反射鏡の他部が、AlxGa1-XAs/AlyGa1-yAsを1ペアとした少なくとも1ペアから構成されることを特徴としている。
【0036】
この発明によれば、不純物が混入する可能性の高い再成長界面を、第2の半導体層内に位置する活性層から遠ざけることができる。
【0037】
請求項10にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、上記発明において、前記活性層が、GaInNAs(Sb)井戸層を有する単一または多重量子井戸構造であることを特徴としている。
【0038】
請求項11にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、前記活性層が、GaInSb井戸層を有する単一または多重量子井戸構造であることを特徴としている。
【0039】
請求項12にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、前記活性層が、InAs単一または多重量子ドット構造であることを特徴としている。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる面発光レーザ素子の製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0041】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法について説明する。実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、サーマルクリーニング時にAsH3に加えて、エッチングガスとして機能する四臭化炭素(CBr4)を用いることを特徴としている。
【0042】
図1は、実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートであり、特にメサポスト部分の積層構造の形成方法を示している。また、図2はそのフローチャートに基づいた積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【0043】
まず、MOCVD装置内において、p−GaAs基板11上に、p−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとしてそれを30ペア分積層した下部DBRミラー12を形成する(ステップS101、図2(a))。なお、この下部DBRミラー12の最上層にはp−GaAsが位置する。
【0044】
次に、MOCVD装置から基板を取り出し、取り出した基板をMBE装置に装着する。ここで、基板は、MOCVD装置からMBE装置へと搬送される際に大気暴露されるため、下部DBRミラー12の表面に酸素や炭素などの不純物を含む自然酸化膜30が形成される(図2(b))。
【0045】
そこで、その自然酸化膜30を除去するために、従来同様、サーマルクリーニングを実施するわけであるが、本実施の形態では、MBE装置内に、従来使用していたAsH3とともに、CBr4を流し込む(ステップS102)。
【0046】
ここで、CBr4の流し込みによる効果について説明する。ハロゲン化合物であるCBr4は、MBE装置において通常、p型ドーパントとして使用される。発明者等は、実験により、このCBr4をGaAs基板表面に照射すると、BrとGaAsとが反応してGa−Br化合物が生成されることを確認した。また、生成されたGa−Br化合物は比較的遅い速度で気相へと転位してGaAs基板の表面から脱離するということも確認した。さらには、そのGa−Br化合物の脱離に伴って、GaAs基板上に残留しているAsも比較的遅い速度でGaAs基板表面から脱離することが確認された。すなわち、CBr4は、GaAs基板を比較的遅い速度でエッチングさせることができるということがわかった。
【0047】
また、発明者等は、AlGaAs基板表面にCBr4を照射した場合には、Ga−Br化合物とともに、Al−Br化合物が生成されることを確認した。特に、発明者等は、生成されたAl−Br化合物がGa−Br化合物とは異なってAlGaAs基板表面から脱離しにくいこと、換言すれば、AlGaAsがCBr4に対してエッチング停止層として機能するということを見出した。
【0048】
図3は、GaAs基板とAl0.3Ga0.7As基板のそれぞれに対してCBr4を照射した際のエッチング速度とCBr4の圧力との関係を示したグラフである。なお、このグラフを得た際の基板温度は500℃である。図3において、CBr4の圧力が0.1Torrの場合、GaAs基板はエッチング速度約1nm/minでエッチングされるが、Al0.3Ga0.7As基板はほとんどエッチングされないことがわかる。
【0049】
以上のことから、下部DBRミラー12の表面に対してCBr4を照射すれば、その下部DBRミラー12の最表層に位置するp−GaAsのみを除去することができる。特に、このp−GaAsの除去は、p−GaAs表面または内部に残留した上記不純物も除去されることを意味する。換言すれば、CBr4は、下部DBRミラー12を洗浄するのに最適なクリーニングガスと言え、実際に、清浄な下部DBRミラー12の表面(再成長界面)を得ることができた(図2(c))。なお、従来と同様にAsH3を流し込むのは、上記エッチングによって露出したAl0.9Ga0.1AsのAsが、サーマルクリーニング時の加熱によって脱離されるのを防ぐためである。
【0050】
続いて、MBE装置内において、下部DBRミラー12上にp−AlAsを結晶成長させることにより電流狭窄層13を形成する(ステップS103、図2(d))。そして、電流狭窄層13上に、順に、p−GaAsクラッド層14、GaxIn1-xNyAs1-y井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層15、n−GaAsクラッド層16を形成する(ステップS104〜S106、図2(e)〜(g))。なお、活性層15としては、例えば、発振波長1.295μmのGa0.61In0.39As0.982N0.018井戸層/GaN0.019As0.981バリア層で形成することができる。
【0051】
n−GaAsクラッド層16まで形成されると、次に、その基板をMBE装置から取り出してMOCVD装置に装着する。そして、MOCVD装置内において、n−GaAsクラッド層16上に、n−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとして、それを25ペア分積層した上部DBRミラー17を形成する(ステップS107、図2(h))。
【0052】
続いて、MOCVD装置内において、上部DBRミラー17上にn−GaAsコンタクト層18を形成し(ステップS108、図2(i))、基板を取り出した後に、従来の製造方法と同様に適当な装置を用いて、メサポストの形成、電流狭窄領域の形成、SiN膜の形成、電極の形成、配線層の形成など、面発光半導体レーザ素子として機能するための処理工程を順次実施する(ステップS109)。
【0053】
以上に説明したとおり、実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法によれば、MBE装置内でサーマルクリーニングを行うことにより下部DBRミラー12上の自然酸化物30を除去し、さらにそのサーマルクリーニングの際にCBr4を流し込むことで、下部DBRミラー12表面の一部をエッチングし、残留していた不純物を除去する。また、従来同様にAsH3も流し込むので、上記エッチングによって露出した基板からAsが脱離されるのを防いでいる。これにより、清浄な下部DBRミラー12表面(再成長界面)を得ることができ、従来のAsH3のみを用いたサーマルクリーニングよりも、素子のL−I特性において、閾値電流値を約5%低減させることが可能になった。
【0054】
なお、上述した説明では、サーマルクリーニングを行う表面、すなわち再成長界面は、下部DBRミラー12の表面としたが、MOCVD装置内で、下部DBRミラー12、電流狭窄層13を形成し、MBE装置内で電流狭窄層13の表面をサーマルクリーニングの対象としてもよい。すなわち、この場合、再成長界面は電流狭窄層13の表面となる。また、MOCVD装置内で、下部DBRミラー12、電流狭窄層13、下部クラッド層を形成し、MBE装置内で下部クラッド層の表面をサーマルクリーニングの対象としてもよい。すなわち、この場合、再成長界面は下部クラッド層の表面となる。
【0055】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法について説明する。実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、下部DBRミラーの作成をMOCVD装置内とMBE装置内とで2度に分けて行うことを特徴としている。
【0056】
図4は、実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートであり、特にメサポスト部分の積層構造の形成方法を示している。また、図5はそのフローチャートに基づいた積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【0057】
まず、MOCVD装置内において、p−GaAs基板11上に、p−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとして、それを29ペア分積層した下部DBRミラー12aを形成する(ステップS201、図5(a))。
【0058】
次に、MOCVD装置から基板を取り出し、取り出した基板をMBE装置に装着する。ここで、基板は、MOCVD装置からMBE装置へと搬送される際に、大気暴露されるため、下部DBRミラー12aの表面に酸素や炭素などの不純物を含む自然酸化膜30が形成される(図5(b))。
【0059】
そこで、その自然酸化膜30を除去するためにMBE装置内にAsH3とともにCBr4を流し込み、サーマルクリーニングを実施する(ステップS202)。この作用と効果は実施の形態1で説明した通りである。この処理により清浄な下部DBRミラー12aの表面(再成長界面)を露出することができる(図5(c))。
【0060】
次に、MBE法によって、下部DBRミラー12a上、すなわち再成長面上に、Al組成の異なる1ペアのAlxGa1-xAs/AlyGa1-yAs層を形成する(ステップS203、図4(d))。これにより、29ペアの下部DBRミラー12a上に1ペアの下部DBRミラー12bが位置し、これら全体で30ペアの下部DBRミラー12を構成する。特に、このようにして得られた下部DBRミラー12は、上記した再成長面を、最表層ではなく、その内部に閉じ込めている。
【0061】
ここで、再成長面をDBRミラー12の内部に閉じ込めることによる効果について説明する。MOCVD法とMBE法を組み合わせるハイブリッド法では、基板をMOCVD装置から取り出してMBE装置に装着する際に、その基板を大気に曝さねばならない。この時に基板表面に不純物を含んだ自然酸化膜30が形成されることと、その不純物が活性層近傍に分散すると素子特性が悪化するということは前述したとおりである。そこで、実施の形態1では、素子特性が悪化してしまうのを防止するという目的のために、不純物を除去する方法を説明したわけであるが、不純物が分布する恐れのある再成長界面を活性層から十分に遠ざけた場合でも、上記目的を達成することができる。本実施の形態は、まさにこの再成長面と活性層との距離を従来よりも大きくしたことを特徴としている。具体的には上述したように、再成長面が下部DBRミラー12の表面から1ペア分だけ内部に位置し、その1ペア分だけ、再成長面と活性層との距離を広げている。
【0062】
なお、本実施の形態では、再成長面自体についても実施の形態1で説明したとおり、AsH3とCBr4を用いたサーマルクリーニングを行っているので、不純物を原因とした素子特性の悪化がより一層に防止される。
【0063】
下部DBRミラー12bにつづく積層工程は実施の形態1と同様である。すなわち、MBE装置内において、下部DBRミラー12b上にp−AlAsを結晶成長させることにより電流狭窄層13を形成する(ステップS204、図4(e))。そして、電流狭窄層13上に、順に、p−GaAsクラッド層14、GaxIn1-xNyAs1-y井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層15、n−GaAsクラッド層16を形成する(ステップS205〜S207、図4(f)〜(h))。
【0064】
n−GaAsクラッド層16まで形成されると、次に、その基板をMBE装置から取り出してMOCVD装置に装着する。そして、MOCVD装置内において、n−GaAsクラッド層16上に、n−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとし、25ペアで構成される上部DBRミラー17を形成する(ステップS208、図4(i))。
【0065】
続いて、MOCVD装置内において、上部DBRミラー17上にn−GaAsコンタクト層18を形成してから(ステップS209、図4(j))基板を取り出し、従来の製造方法と同様に適当な装置を用いて、メサポストの形成、電流狭窄領域の形成、SiN膜の形成、電極の形成、配線層の形成など、面発光レーザ素子として機能するための処理工程を順次実施する(ステップS210)。
【0066】
以上に説明したとおり、実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法によれば、下部DBRミラー12の最上層に位置する1ペアをMBE装置内で形成するので、再成長界面をその1ペア分だけ活性層から遠ざけることができる。これにより、再成長面に残留していた不純物が分散によって活性層まで到達する確率を低下させることができ、結果的に、従来と比べて、素子の光出力特性を向上させることが可能になる。さらに、再成長界面をCBr4とAsH3とを伴ったサーマルクリーニングによって得ることで、実施の形態1による効果も享受することができる。特にその場合、素子のL−I特性において、閾値電流値を約30%低減させることが可能になった。
【0067】
なお、以上に説明した実施の形態2では、MBE装置内で形成される下部DBRミラーの一部を1ペアのみとしたが、複数ペアでもよい。
【0068】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法について説明する。実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法は、MOCVD装置内で、下部DBRミラー上に不純物フリーな酸化膜を作成し、MBE装置内で、その酸化膜を除去することを特徴としている。
【0069】
図6は、実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートであり、特にメサポスト部分の積層構造の形成方法を示している。また、図7はそのフローチャートに基づいた積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【0070】
まず、MOCVD装置内において、p−GaAs基板11上に、p−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとして、それを29ペア分積層した下部DBRミラー12aを形成する(ステップS301、図7(a))。
【0071】
次に、MOCVD装置内に純粋酸素を流し込む。この処理により、下部DBRミラー12a表面に酸化膜31が形成される(ステップS302、図7(b))。この酸化膜31は、MOCVD装置内という清浄な雰囲気中で形成されるため、不純物フリーで膜厚も数モノレイヤーに抑制することができる。
【0072】
次に、MOCVD装置から基板を取り出し、取り出した基板をMBE装置内に装着する。この際、基板は、MOCVD装置からMBE装置へと搬送される際に大気暴露されるが、上記ステップS302において、積層膜表面がすでに不純物のない酸化膜31に覆われているため、自然酸化膜は、この酸化膜31上に形成される。
【0073】
次に、MBE装置内のECR(電子サイクロトロン共鳴:Electron CyclotronResonance)装置で生成された水素プラズマ、あるいはタングステンフィラメントからの熱電子放出による水素分子解離装置(ラジカルガン)により生成された原子状水素を、基板表面、すなわち酸化膜31表面に向けて照射する。この原子状水素の照射によって、基板表面の酸化膜31が除去される(ステップS303、図7(c))。
【0074】
なお、この水素プラズマや原子状水素の照射による酸化膜31の除去は、気相中へと最初にAs酸化物が脱離し、次にGa酸化物が脱離するという2段階で進行する。この処理は基板温度を約400℃と比較的低い温度で行なわれるために、表面モフォロジー(結晶性)が維持された状態で、かつ清浄な再成長界面を得ることができる。
【0075】
次に、MBE法によりAl組成の異なる1ペアのAlGaAs/AlGaAsの下部DBRミラー12bを形成する。これによって全体で30ペアの下部DBRミラー12が形成される(ステップS304、図7(d))。これにより、再成長界面を活性層から遠ざけて不純物の影響を低減させるという実施の形態2の作用および効果を享受することができる。
【0076】
下部DBRミラー12bにつづく積層工程は実施の形態1と同様である。すなわち、MBE装置内において、下部DBRミラー12b上にp−AlAsを結晶成長させることにより電流狭窄層13を形成する(ステップS305、図7(e))。そして、電流狭窄層13上に、順に、p−GaAsクラッド層14、GaxIn1-xNyAs1-y井戸層を有する多重量子井戸構造の活性層15、n−GaAsクラッド層16を形成する(ステップS306〜S308、図7(f)〜(h))。
【0077】
n−GaAsクラッド層16まで形成されると、次に、その基板をMBE装置から取り出してMOCVD装置に装着する。そして、MOCVD装置内において、n−GaAsクラッド層16上に、n−GaAs/Al0.9Ga0.1Asを1ペアとし、25ペアで構成される上部DBRミラー17を形成する(ステップS309、図7(i))。
【0078】
続いて、MOCVD装置内において、上部DBRミラー17上にn−GaAsコンタクト層18を形成した後(ステップS310、図7(j))、基板を取り出し、従来の製造方法と同様に適当な装置を用いて、メサポストの形成、電流狭窄領域の形成、SiN膜の形成、電極の形成、配線層の形成など、面発光レーザ素子として機能するための処理工程を順次実施する(ステップS311)。
【0079】
以上に説明したとおり、実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法によれば、MOCVD装置内で再成長界面を不純物フリーの酸化膜31で覆った後に基板を大気中に暴露するので、自然酸化膜は不純物フリーの酸化膜31上に形成され、その自然酸化膜に含有した不純物が下部DBRミラー12a表面に分散するのを防ぐことができる。また、MBE装置内でその酸化膜31を水素プラズマあるいは原子状水素の照射によって除去するので、清浄な下部DBRミラー12a表面を得ることができる。さらに、下部DBRミラー12の最上層の1ペアをMBE装置内で形成することで、実施の形態2による効果も享受することができる。特にその場合、素子のL−I特性において、閾値電流値を約50%低減させることが可能になった。
【0080】
なお、以上に説明した実施の形態1〜3において、AsH3に替えてAs(砒素)を用いても上記同様の効果を享受することができる。また、上記した活性層15は、GaInNAs(Sb)井戸層を有する単一または多重量子井戸構造、GaInSb井戸層を有する単一または多重量子井戸構造、InAs単一または多重量子ドット構造などであってもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明にかかる面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、分子線エピタキシー装置内でサーマルクリーニングを行うことにより下部半導体多層膜反射鏡上に形成された自然酸化物を除去し、さらにそのサーマルクリーニングの際にCBr4を流し込むことで、下部半導体多層膜反射鏡表面の一部をエッチングするので、下部半導体多層膜反射鏡表面に残留していた不純物を除去することができ、清浄な下部半導体多層膜反射鏡表面(再成長界面)を得ることができるという効果を奏する。
【0082】
また、本発明にかかる面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、サーマルクリーニング時に、さらに従来同様にAsH3やAsを流し込むことで、上記エッチングによって露出した基板からAsが脱離されるのを防ぐことができるという効果を奏する。
【0083】
また、本発明にかかる面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、下部半導体多層膜反射鏡の最上層に位置する数ペアを分子線エピタキシー装置内で形成するので、再成長界面をその数ペア分だけ活性層から遠ざけることができ、再成長面に残留していた不純物の悪影響を低減させることができるという効果を奏する。
【0084】
また、本発明にかかる面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、有機金属気相成長装置内において再成長界面を不純物フリーの酸化膜31で覆った後に、基板を大気中に暴露するので、自然酸化膜は不純物フリーの酸化膜31上に形成され、その自然酸化膜に含有した不純物が下部半導体多層膜反射鏡に分散するのを防ぐことができ、また、分子線エピタキシー装置内でその酸化膜を原子状水素等の照射によって除去するので、清浄な下部半導体多層膜反射鏡の表面を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の製造方法のうち、積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【図3】GaAs基板とAl0.3Ga0.7As基板のそれぞれに対してCBr4を照射した際のエッチング速度とCBr4の圧力との関係を示したグラフである。
【図4】実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の製造方法のうち、積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【図6】実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態3にかかる面発光レーザ素子の製造方法のうち、積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【図8】活性層をGaxIn1-xNyAs1-y量子井戸構造とした従来の面発光レーザ素子の断面斜視図である。
【図9】従来の面発光レーザ素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図10】従来の面発光レーザ素子の製造方法のうち、積層構造の形成過程を示す積層工程図である。
【符号の説明】
11 p−GaAs基板
12 下部半導体多層膜反射鏡
13 電流狭窄層
14 p−GaAsクラッド層
15 活性層
16 n−GaAsクラッド層
17 上部半導体多層膜反射鏡
18 n−GaAsコンタクト層
20 メサポスト
21 AlAs層
22 Al酸化層
24 n側電極
25 配線層
26 p側電極
27 円筒状溝
30 自然酸化膜
31 酸化膜
100 面発光半導体レーザ素子
Claims (12)
- 下部半導体多層膜反射鏡と上部半導体多層膜反射鏡との間に活性層が位置する構造の面発光レーザ素子の製造方法において、
有機金属気相成長装置内で、半導体基板上に、少なくとも前記下部半導体多層膜反射鏡が含まれた第1の半導体層を形成する第1の半導体層形成ステップと、
前記半導体基板を分子線エピタキシー装置内に搬送する基板搬送ステップと、
前記分子線エピタキシー装置内で、前記半導体基板を加熱するとともに、該分子線エピタキシー装置内に四臭化炭素(CBr4)を流し込む洗浄ステップと、
前記分子線エピタキシー装置内で、前記第1の半導体層上に、少なくとも前記活性層が含まれた第2の半導体層を形成する第2の半導体層形成ステップと、
を含んだことを特徴とする面発光レーザ素子の製造方法。 - 前記洗浄ステップは、前記分子線エピタキシー装置内にさらにアルシン(AsH3)を流し込むことを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
- 前記洗浄ステップは、前記分子線エピタキシー装置内にさらに砒素(As)を流し込むことを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
- 下部半導体多層膜反射鏡と上部半導体多層膜反射鏡との間に活性層が位置する構造の面発光レーザ素子の製造方法において、
有機金属気相成長装置内で、半導体基板上に、少なくとも前記下部半導体多層膜反射鏡が含まれた第1の半導体層を形成する第1の半導体層形成ステップと、
前記有機金属気相成長装置内で、前記第1の半導体層の表面に酸化物を形成する酸化物形成ステップと、
前記半導体基板を分子線エピタキシー装置内に搬送する基板搬送ステップと、
前記分子線エピタキシー装置内で、前記酸化物を除去する酸化物除去ステップと、
前記分子線エピタキシー装置内で、前記第1の半導体層上に、少なくとも前記活性層が含まれた第2の半導体層を形成する第2の半導体層形成ステップと、
を含んだことを特徴とする面発光レーザ素子の製造方法。 - 前記酸化物形成ステップは、前記酸化物としてGa酸化物を用いることを特徴とする請求項4に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
- 前記酸化物除去ステップは、前記酸化物に原子状水素を照射することにより前記酸化物を除去することを特徴とする請求項4または5に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
- 前記第1の半導体層形成ステップは、前記第1の半導体層を、前記下部半導体多層膜反射鏡の一部が最上層に位置するように形成し、
前記第2の半導体層形成ステップは、前記第2の半導体層を、前記下部半導体多層膜反射鏡の他部が最下層に位置するように形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子の製造方法。 - 前記下部半導体多層膜反射鏡は、GaAs/AlxGa1-xAsを1ペアとした複数ペアから構成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子の製造方法。
- 前記下部半導体多層膜反射鏡の一部は、GaAs/AlxGa1-xAsを1ペアとした複数ペアから構成され、
前記下部半導体多層膜反射鏡の他部は、AlxGa1-XAs/AlyGa1-yAsを1ペアとした少なくとも1ペアから構成されることを特徴とする請求項7に記載の面発光レーザ素子の製造方法。 - 前記活性層は、GaInNAs(Sb)井戸層を有する単一または多重量子井戸構造であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子の製造方法。
- 前記活性層は、GaInSb井戸層を有する単一または多重量子井戸構造であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子の製造方法。
- 前記活性層は、InAs単一または多重量子ドット構造であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子の製造方法。
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