JP5424993B2 - 植物病害防除用照明装置 - Google Patents

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本発明は、農作物などでの植物病害を防除するための植物病害防除用照明装置に関する。
従来から、この種の植物病害防除用照明装置において、光源よりUV−B領域(280乃至320nm)の紫外線を植物苗に照射することにより、うどんこ病や炭疽病、灰色カビ病、ベト病など糸状菌(カビ)による植物病害の発症を抑えるものが知られている。
植物へのUV−Bの紫外線照射は、植物の病害抵抗性(免疫機能)を高める効果があるが、一日の日射量が少ない場合、植物体は、光感受性が高まるため紫外線に対する耐性が低下し、紫外線照射による葉焼けを起こしやすくなる。そこで、植物の紫外線に対する耐性が低くなる低日射時には、光源を消灯して紫外線照射を停止するようにした照明装置がある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような従来の照明装置では、日射量の少ない日が続いた場合などには、紫外線放射が継続的に行われなくなるため、植物への紫外線の積算放射強度が低くなり、植物の病害抵抗性を誘発できないことがある。これを防ぐため、低日射時には光源を低出力で点灯させることも考えられるが、この場合、光出力の調整に調光器が必要となりコストアップを招来する。また、植物周辺の環境は比較的高温、高湿度になる場合があることから、調光器の使用は、動作不良や故障の原因になり易く、好ましくない。
ここに、植物体の紫外波長域での分光感度特性は、人間の皮膚や目の光化学的感受性と相関があり、波長の小さい高エネルギな光ほど植物に与える刺激の程度は大きくなると推定されている。
特開2009−261289号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、光出力の調整を必要としない簡便な構成でありながら、紫外線照射による植物への葉焼け障害を防ぎつつ植物の病害抵抗性を誘発するのに必要な紫外線照射量を確保し、植物病害を抑制することができる植物病害防除用照明装置を提供することを目的とする。
本発明の植物病害防除用照明装置は、植物に向けて紫外線を含む光を照射する光源と、前記光源の照射動作を制御する制御部とを備えた植物病害防除用照明装置であって、前記光源は、主波長として280乃至300nmの波長域の高刺激用紫外線と、主波長として300乃至320nmの波長域の低刺激用紫外線とをそれぞれ照射する構成を有し、前記制御部は、植物周辺の日照量データ、植物周辺の雰囲気温度データ、植物を定植してからの経過時間データ、及び植物の画像データのうちの少なくとも1以上のデータを用いて植物の紫外線に対する耐性が低下しているか否かを判定し、植物の紫外線に対する耐性が低下していると判定されたとき、前記光源による高刺激用紫外線の照射を停止することを特徴とする。
本発明の植物病害防除用照明装置によれば、植物の紫外線に対する耐性が低下する低日射時には、高刺激用紫外線の照射を停止させ、植物への紫外線照射量を低刺激用紫外線により補うことができるので、年中を通じて植物の葉焼け障害を防止でき、かつ、植物の病害抵抗性を高めて植物病害の発生を低減することができる。また、刺激特性の異なる2種類の紫外線を用いて植物への紫外線照射量を調整できるようにしたので、光源の光出力を調光器などを用いて調整する必要がなくなり、低コスト化が図れる。
本発明の第1の実施形態に係る植物病害防除用照明装置の外観図。 上記照明装置のブロック図。 紫外線放射による植物体への刺激値を示すグラフ。 上記照明装置について実施された実証試験1の結果を示す図。 同照明装置について実施された実証試験2の結果を示す図。 本発明の第2の実施形態に係る植物病害防除用照明装置のブロック図。 本発明の第3の実施形態に係る植物病害防除用照明装置のブロック図。 本発明の第4の実施形態に係る植物病害防除用照明装置の外観図。 上記照明装置のブロック図。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る植物病害防除用照明装置について図1乃至図5を参照して説明する。図1に示すように、植物病害防除用照明装置1(以下、照明装置という)は、農業用温室2に備えられ、農業用温室2内の植物2aに向けて光照射して植物病害(例えば、うどんこ病や炭疽病、灰色カビ病、ベト病など)を防除するものである。照明装置1は、紫外線を含む光を照射する光源3と、光源3の照射動作を制御する制御部4と、植物周辺の日射量を測定する日射量測定部5とを備えている。
光源3は、農業用温室2内に複数設置され、植物全体に紫外線を均一に照射できるようになっており、ここでは、農業用温室2の梁21に吊り下げられている。光源3から照射される紫外線は、UV−B領域(280〜320nm)の波長成分を有し、植物体の病害抵抗性(免疫機能)を高める効果が高い。光源3には、光源3を安定的に光らせるための点灯スタータ、電子安定器(銅鉄安定器)、電源回路などのデバイスが設置される。また、光源3に反射板を設けて、光源3からの照射光を植物へ高効率に配光できるようにしてもよい。この場合、反射板は、UV−B領域の紫外線に対する反射効率を高めるためアルミを用いて形成されることが望ましい。例えば、反射板は、総アルミ製のもの、樹脂基材にアルミニウム蒸着を施したもの、アルミ基材の表面に屈折率の異なる複数の透明材料を用いて高反射多層膜を形成したものなどが好適である。また、反射板は、耐食性向上のためアルマイト処理が施されていてもよい。
制御部4は、日射量測定部5により測定された日射量を基に光源3の動作制御を行う。制御部4は、例えば、光源3とは独立した位置に設けられたボックス内に格納され、光源3及び日射量測定部5と電力線により接続される。制御部4は、光源3又は日射量測定部5と一体構成してもよい。
日射量測定部5は、対象となる植物が生長点又はその近傍の葉面で受ける太陽光の光強度を測るものであり、農業用温室2内に設置される。日射量測定部5の高さは、植物2aの生長に応じて上下することが望ましいが、作業の手間などを考慮して、植物の苗が畝22に定植されて、最終的に出荷されるまでの草冠面の平均的な高さに固定してもよい。
ここに、本照明装置1が対象とする植物は、一般的に農家が栽培している農作物全てである。具体的には、トマト、ナス、キュウリ、シシトウ、ピーマン、メロン、スイカ、イチゴなどの果菜類、レタス、キャベツ、ハクサイ、チンゲンサイ、ホウレンソウ、コマツナ、シソなどの葉栽類、ゴボウ、ダイコン、ニンジンなどの根菜類、大豆、エダマメ、ソラマメ、エンドウなどの豆類、キク、バラ、トルコギキョウ、カーネーション、ケイトウなどの花類、その他として稲や茶などを挙げることができる。
それぞれの植物は、露地栽培、ビニールハウス栽培、ガラス温室栽培のいずれでもよい。また、栽培するための培地の形状としては、露地畑によく見られるような畝の形状をしても、金属や木材で作られた栽培ベンチの上に土を盛りそこに畝を形成しても、栽培ベンチ上に鉢やプランターを置いてもよい。以下、照明装置1の内部構成を詳細説明する。
図2に示すように、照明装置1は、上記した光源3、制御部4及び日射量測定部5とが順に接続され、さらに、制御部4には、光源3に駆動電力を供給するための電源6が接続される。光源3は、主波長として280乃至300nmの波長域の高刺激用紫外線と、主波長として300乃至320nmの波長域の低刺激用紫外線とをそれぞれ照射する構成を有し、ここでは、高刺激用紫外線の照射を行うランプ31と、低刺激用紫外線の照射を行うランプ32とで構成される。ランプ31,32は、それぞれ上記の波長特性を有していれば、工場やオフィス、店舗、住宅などで使用される汎用のランプを用いることができる。ランプの種類としては、例えば、白熱電球、ハロゲン電球、蛍光灯、高輝度放電灯(メタルハライドランプや高圧ナトリウム灯等)、発光ダイオード(LED)、有機ELなどが挙げられる。
日射量測定部5は、一般的に人が感じる波長に合わせた分光感度を有する光量(照度)の測定を行う光センサにより構成され、光に反応して信号を送信する受光部と、その信号を伝える伝送部と、信号を受けて数値データに変換しその数値を表示する本体部から成る。日射量測定部5の受光部の分光感度は、人の目の分光感度に合わせる必要はなく、波長400〜700nmの範囲内にある植物の感じる光合成感度(単位は「μmol・m−2−1」)やその範囲内の放射照度(単位は「Wm−2」)で数値化してもよい。
制御部4は、電源6によるランプ31,32への電力供給を制御する制御回路部41を有している。この制御回路部41は、ランプ31,32を予め定められた時間帯に点灯させるタイマ機能を有し、このタイマには、ランプ31,32の双方が同じ時間帯に点灯するよう時間設定がなされる。これにより、タイマに設定された時間帯になると、植物には、高刺激用紫外線及び低刺激用紫外線の双方が照射される。
また、制御部4は、日射量測定部5による測定結果を記録する日射量記録部42と、日射量記録部42に記録される日照量データを用いて植物の紫外線に対する耐性が低下しているか否かを判定する判定部43と、この判定の際に使用される条件値を設定するための条件値設定部44とを有している。
日射量記録部42は、日射量測定部5から送られてくるリアルタイムの測定値(照度、光合成有効光量子束密度、放射照度のいずれか)をデータとして記録する。日射量記録部42は、測定値の記録頻度を1/100秒〜1時間間隔で任意設定できるものが好ましい。
判定部43は、日射量記録部42に記録されたリアルタイムの測定値(日射量データ)を入力とし、測定値と設定された条件値との比較により植物の紫外線に対する耐性の判定を行う。判定部43は、測定値が条件値より小さい場合、植物の紫外線に対する耐性が低下していると判定する。判定部43により植物の紫外線に対する耐性が低下していると判定されたとき、制御回路部41はランプ31を消灯する制御を行う。このとき、植物には、ランプ32からの低刺激用紫外線のみが照射される。条件値については、例えば、照度の場合1000ルクスを閾値とし、光合成感度を有する光合成有効光量子束密度の場合、20μmol・m−2−1が、放射照度の場合は、4.0Wm−2が閾値となる。なお、光合成光量子束密度は、葉緑素の吸収波長域の波長での光量子が単位時間・単位面積あたりに入射する個数を示す。条件値の設定は、照明装置1の製造段階において予め行うようにしてもよいし、照明装置1の使用状況などに応じてユーザが適宜設定を変更できる構成であってもよい
また、判定部43は、日射量記録部42から日射量データとして日射量の積算値を取得し、これを用いて紫外線に対する耐性の判定を行う構成であってもよい。この場合、日射量記録部42は、記録した測定値の履歴データより日射量の積算値(例えば、1時間、1日、1週間、1ヵ月単位など)を算出できるようにしておく。条件値は、例えば、照明装置1が設置される地域での平均積算日射量を1/N逓倍した値(N>1)に設定される。
次に、光源3による紫外線照射が植物体に与える刺激の程度について説明する。UV−B領域の紫外線における植物体への刺激値は、人間の目への刺激値と相関関係にあると推定されている。これによると、図3に示すように、ランプ31からの高刺激用紫外線(波長域280〜300nm)は、高エネルギ(低波長域)であるため刺激性が強く、ランプ32からの低刺激用紫外線(波長域300〜320nm)は、低エネルギ(高波長域)であるため刺激性が弱いことが分かる。すなわち、低刺激性紫外線を植物に長時間照射しても、高刺激用紫外線に比し、植物の葉焼けが生じる危険性が低い。なお、人間の目の紫外線に対する刺激の指標として、(社)日本保安用品協会発行、セイフティダイジェストに「紫外領域の各波長における暴露時間の許容値」が記載されている。
上記のように構成された照明装置1の動作手順を説明する。
手順1:農業用温室2内において光源3を植物2aの上部に設置する。その際、光源3は、植物草冠面でのUV−Bの放射照度(高刺激用紫外線と低刺激用紫外線を含んだもの)が50μW/cm以下となる位置に設置されるようにする。UV−Bの放射照度が50μW/cmを超えると、植物2aが葉やけ症状を起こす危険性が極端に高まるからである。具体的には、光源3は、例えば、農業用温室2の間口が6m前後の場合、畝22の畝面から約2mの高さに、かつ畝22に沿って約5m間隔で配置される。
手順2:次に、植物2aの種類や状態に応じて、栽培現場における対象植物の近傍に日射量測定部5を設置する。日射量測定部5は、制御部4を介して光源3と結線される。
手順3:次に、光源3による紫外線照射を行うにあたり、制御部4の制御回路部41に各ランプ31,32のタイマ点灯時間帯を、日中時での1〜6時間程度になるように規定する。具体的には、ランプ31,32の点灯開始時刻を朝9時頃とし、点灯終了時刻を夕方3時頃に設定することが好ましい。ランプ31,32の点灯態様は、連続的でも断続的でも構わず、1日当たりの積算紫外線強度が所望の値になればよい。また、日射量が多い夏季などにおいては、ランプ31,32の点灯を夜間に行ってもよく、この場合、タイマ点灯時間を1〜2時間程度に設定するとよい。
手順4:点灯開始時刻になると、ランプ31,32が点灯して植物2aに高刺激用紫外線及び低刺激用紫外線の双方が照射される。
手順5:光源3による紫外線の照射中、日射量測定部5は、継続的に植物周辺の光強度の測定を行う。この測定値は日射量記録部42で記録された後、制御回路部41に送られる。
手順6:判定部43は、送られてきた測定値が条件値設定部44での条件値に対し大きいか、小さいかを判断し、条件値より小さい場合、植物の紫外線に対する耐性が低下していると判定する。この判定がなされると、制御回路部41はランプ31に消灯信号を送信する。判定部43により植物の紫外線に対する耐性が低下していないと判定されたときには、制御回路部41は、ランプ31に消灯信号を送信しない。
手順7:ランプ31は、制御回路部41から消灯信号を受けると、直ちに消灯される。これにより、高刺激用紫外線の照射は停止され、植物にはランプ32による低刺激用紫外線のみが照射される。
手順8:判定部43では、その後も植物の紫外線に対する耐性の判定を継続して行い、測定値が条件値より大きくなり、植物の紫外線に対する耐性が低下していないと判定された場合には、制御回路部41は、速やかにランプ31を再び点灯する制御信号をランプ31に送信する。
手順9:そして、制御回路部41は、手順3で定めた点灯終了時刻になると、各ランプ31,32を消灯して紫外線照射を終了する。
次に、照明装置1の動作手順の他の例を説明する。
手順1〜手順5:上記手順と同様である。
手順6:判定部43により植物の紫外線に対する耐性が低下していると判定されたとき、制御回路部41は、ランプ31に消灯信号を送信し、このランプ31を所定時間継続して消灯する制御を行う。
手順7:これにより、ランプ31による高刺激用紫外線の照射が所定時間停止され、植物にはランプ32による低刺激用紫外線のみが照射される。
手順8:ランプ31が消灯してから所定時間経過した後に、測定値が条件値より大きくなった場合、制御回路部41は、高刺激用紫外線の照射を再び行うため、ランプ31に点灯信号を送信し、ランプ31をタイマ設定された点灯/消灯サイクルに戻すようにする。
手順9:上記手順と同様である。
次に、本実施形態の照明装置1による植物病害防除効果と葉やけ防止効果を調べるために行われた実証試験を説明する。この実証試験では、農業用温室2内において、日射量測定部5により測定された一日当たりの積算日射量が装置1の設置地域での月間平均積算日射量の半分以下の場合に、高刺激用紫外線の照射を停止する試験区(実施例1)と、高刺激用紫外線及び低刺激用紫外線の双方の照射を停止する対照区(比較例1)とを設けた。
具体的に、実施例1では、ランプ31,32の点灯時間をタイマにより9時〜15時(6時間)に設定し、測定された前日の積算日射量が月間平均積算日射量の半分以下の場合に、当日の9時〜11時にランプ31を消灯する制御を行った。比較例1では、実施例1と同様にランプ31,32の点灯時間を設定し、前日の積算日射量が平均積算日射量の半分以下の場合に、当日の9時〜11時に各ランプ31,32を消灯する制御を行った。対象の植物はイチゴとし、これについて病害防除効果と葉やけ防止効果の評価を日毎に行った。
上記実証試験の結果を図4に示す。日射量実測値が当月の日射量平均値の1/2値より少ない日の翌日において、低刺激用紫外線の照射を停止するだけで病害防除効果が得られることが確認された。また、高刺激用紫外線及び低刺激用紫外線の双方の照射を停止しなくても、葉焼けの防止効果が得られることが確認された。
次に、上記とは別の実証試験について説明する。この実証試験では、農業用温室2内において、リアルタイムの日射量実測値が過去の日射量平均値の半分以下の場合に、高刺激用紫外線の照射を停止する試験区(実施例2)と、高刺激用紫外線及び低刺激用紫外線の双方の照射を停止する対照区(比較例2)とを設けた。
具体的には、実施例2では、上記試験と同様にランプ31,32の点灯時間(9時〜15時)をタイマにより設定し、この設定時間帯において、リアルタイムの日射量実測値を取得し(10分間隔)、この実測値が過去当時刻での日射量平均値の半分以下の場合には、10分経過後にランプ31を10分間消灯する制御を繰り返し行った。比較例2では、設定時間帯(9時〜15時)において、リアルタイムの日射量実測値が日射量平均値の半分以下の場合に、ランプ31,32を消灯する制御を実施例2と同様に繰り返し行った。これについて病害防除効果と葉やけ防止効果の評価を10分間隔にて行った。
上記の実証試験の結果を図5に示す。日射量実測値が日射量平均値より1/2値より少ない時間帯の10分経過後において、低刺激用紫外線の照射を停止するだけで病害防除効果が得られることが確認された。また、高刺激用紫外線及び低刺激用紫外線の双方の照射を停止しなくても、葉焼けの防止効果が得られることが確認された。
下記表1は、実施例1、2及び比較例1、2について植物病害防除効果と葉焼けの防止効果の評価結果をまとめたものである。
表1では、日射量の実測値を用いて光源3の照射制御を行ったときを制御時、この制御を行っていないときを通常時としている。これから分かるように、実施例1、2は、各比較例1、2に対し、高い植物病害防除効果を有し、また、葉焼け防止効果にも優れる。
このように、本実施形態の照明装置1によれば、植物2aの紫外線に対する耐性が低下する低日射時には、高刺激用紫外線の照射を停止させ、植物2aへの紫外線照射量を、低刺激用紫外線により補うことができるので、年中を通じて植物2aの葉焼け障害を防止でき、かつ、植物の病害抵抗性を高めて植物病害の発生を低減することができる。また、刺激特性の異なる2種類の紫外線を用いて植物への紫外線照射量を調整できるようにしたので、光源3の光出力を調光器などを用いて調整する必要がなくなり、低コスト化が図れる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る植物病害防除用照明装置について図6を参照して説明する。本実施形態の照明装置1は、上記実施形態の構成と比べ、植物の紫外線に対する耐性の判定に植物周辺の雰囲気温度データを用いる点で異なる。照明装置1は、上記の日射量測定部5及び日射量記録部42に代えて、気温測定部7及び気温記録部45を備えている。ここに、雰囲気温度データは、リアルタイムの気温測定値と、気温測定値の積算値とを含む。
気温測定部7は、植物周辺の雰囲気温度(気温)を測定するものであり、温度測定値を気温記録部45にリアルタイムで送信するようになっている。気温測定部7は、対象となる植物体近傍に設置されることが望ましい。気温測定部7を植物から離れた場所にしか設置できない場合には、その設置場所と植物周辺との温度差を把握しておき制御部4で温度補正を行うようにすればよい。
気温記録部45は、気温測定部7から送られる温度測定値を記録するものであり、測定値の記録頻度を1/100秒〜1時間間隔で任意設定できるものが好ましい。また、気温記録部45は、判定部43が判定に気温測定値の積算値を用いる場合、記録した測定値の履歴データより積算値を算出できるようにしておく。
判定部43は、気温記録部45に記録された雰囲気温度データと条件値との比較により植物の紫外線に対する耐性の判定を行う。判定部43は、雰囲気温度データの測定値が条件値より小さい場合、植物の紫外線に対する耐性が低下していると判定を行う。このような判定がなされたとき、光源3のランプ31が制御回路部41により消灯制御され、植物には、ランプ32からの低刺激用紫外線のみが照射される。条件値設定部44に設定される条件値は、例えば、判定部43の判定に用いられる雰囲気温度データが気温積算値のとき、照明装置1が設置される地域での平均積算気温を1/N逓倍した値(N>1)に設定される。
本実施形態の照明装置1においても、上記実施形態と同様、年中を通じて植物2aの葉焼け障害を防止でき、かつ、植物の病害抵抗性を高めて植物病害の発生を低減することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る植物病害防除用照明装置について図7を参照して説明する。本実施形態の照明装置1は、上記実施形態の構成と比べ、植物の紫外線に対する耐性の判定に植物を定植してからの経過時間データを用いる点で異なる。照明装置1は、植物を定植してからの経過時間を計測する計時部8を備えている。
計時部8は、タイマ回路により構成され、ユーザが植物を定植した直後に行う入力をトリガとしてタイマを起動し、定植後からの経過時間をカウントする。計時部8は、カウントした計測時間データを制御回路部41に、リアルタイム又は所定の時間間隔で送信する。
条件値設定部44に設定される条件値は、植物体の生育ステージ(植物の生長度合い)を推測する定植後経過時間の閾値が記憶される。判定部43は、計時部8による経過時間データと条件値との比較により、植物体がどの生育ステージにあるのか(ツボミをつける時期か、花が咲く時期か、果実をつける時期かなど)を推測し、この推定結果に応じて植物の紫外線に対する耐性の判定を行う。判定部43は、例えば、生育ステージが「ツボミをつける時期である」と推定されたとき、植物の紫外線に対する耐性が低下していると判定を行い、「ツボミをつける時期である」と推定されないとき、耐性が低下していないと判定を行う。このような判定がなされたとき、光源3のランプ31が制御回路部41により消灯制御され、植物には、ランプ32からの低刺激用紫外線のみが照射される。また、判定部43は、上記構成に限られず、定植後の経過時間データを基に、植物体の雰囲気環境(季節や日射量、気温など)を推測し、これにより植物の紫外線に対する耐性の判定を行うようにしてもよい。
本実施形態の照明装置1においても、年中を通じて植物2aの葉焼け障害を防止でき、かつ、植物の病害抵抗性を高めて植物病害の発生を低減することができる。また、植物体の生育ステージに応じた細やかな紫外線照射を行うことができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る植物病害防除用照明装置について図8及び図9を参照して説明する。本実施形態の照明装置1は、上記実施形態の構成と比べ、植物の紫外線に対する耐性の判定に植物の画像データを用いる点で異なる。照明装置1は、対象となる植物を撮像する画像取得部9と、画像取得部9による画像データを用いて植物に生じている葉焼けの程度を算出する画像処理演算部46と、画像処理演算部46が植物の葉焼けの程度を算出する際に使用される基準画像が記憶される基準画像記憶部47とを備えている。ここでは、画像処理演算部46及び基準画像記憶部47は、制御部4に内設された構成を示しているが、制御部4とは別構成としてもよい。ここに、基準画像は、種々の植物体の全体画像(植物体を様々な角度方向から撮像を行ったもの)、植物体の各生育ステージでの画像(茎、葉、つぼみ、ガク、花弁、果実など各パーツ毎に)、植物に生じている葉焼けに様子が段階的に表された画像等である。
画像取得部9は、例えば、CCDやCMOSなどのカメラで構成され、対象となる植物全体の画像を電子データとして取得する。画像取得部9は、撮像範囲に植物の生長点又はその近傍の葉面が含まれるように、植物2aの上方に設置されることが望ましい。
画像処理演算部46は、画像取得部9から送出される画像データ中から被写体である植物画像と背景画像とを分離し、さらに植物画像について茎、葉、つぼみ、ガク、花弁、果実など植物体の各パーツに分離抽出する処理を行う。また、画像処理演算部46は、処理された画像と基準画像記憶部に記憶された基準画像とを比較して対象の植物の種類や色、大きさ、各パーツの生育ステージの形などを特定することにより、植物での葉焼けの程度を判断し、この判断結果を数値データとして出力する。この数値データは、例えば、植物に生じている葉焼けのレベルを段階的に示すものである。
判定部43は、画像処理演算部46からの数値データと条件値との比較により、植物の紫外線に対する耐性が低下していると判定を行う。判定部43は、例えば、数値データが条件値より大きい場合、葉焼けの進行度が高く、植物の紫外線に対する耐性が低下していると判定する。耐性が低下していると判定がなされたときには、光源3のランプ31が制御回路部41により消灯制御されて、ランプ32からの低刺激用紫外線のみが植物に照射される。
本実施形態の照明装置1においても、年中を通じて植物2aの葉焼け障害を防止でき、かつ、植物の病害抵抗性を高めて植物病害の発生を低減することができる。また、植物体の生育ステージに応じた細やかな紫外線照射を行うことができる。
また、画像処理演算部46は、画像取得部9による画像データを基に、植物体がどの生育ステージにあるのか、植物に奇形や虫食い、発病が生じていないか、水不足による枯れや萎え、生理的な障害が生じていないか等を数値データとして算出できるようにしてもよい。判定部43がこれらデータを基に植物の紫外線に対する耐性の判定を行うことにより、植物体の様々な状況に応じた細やかな紫外線照射を行うことができるようになる。この場合、基準画像記憶部47には、植物体の健康時での画像、植物体の病害発生時での画像(糸状菌侵食、奇形発生、虫食い、ウイルス感染など)、植物体の、水不足や気温変化による枯れや萎え発生時での画像等を記憶させておくとよい。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。上記では、光源3を波長域の異なる2種類のランプにより構成した例を示したが、例えば、UV−B領域(280乃至320nm)の紫外放射をするランプに、波長域280〜300nm(高刺激用紫外線)の成分を遮断する光フィルタを用いて、この光フィルタが光源に装着又は脱着されることにより、高刺激用紫外線及び低刺激用紫外線の照射制御が行われるようにしてもよい。また、植物の紫外線に対する耐性の判定に、植物周辺の日照量データ、植物周辺の雰囲気温度データ、植物を定植してからの経過時間データ、及び植物の画像データのうちの複数データを用いてよい。また、これら全てのデータを用いて判定を行う場合、判定の優先順位は、植物の画像データ、植物周辺の雰囲気温度データ、植物を定植してからの経過時間データ、植物周辺の日照量データの順にしておくことが好ましい。また、いずれのデータを用いて判定を行うかをユーザに選択させる構成であってもよい。
1 植物病害防除用照明装置
2a 植物
3 光源
31 ランプ(高刺激用紫外線)
32 ランプ(低刺激用紫外線)
4 制御部
5 日射量測定部
7 気温測定部
8 計時部
9 画像取得部

Claims (1)

  1. 植物に向けて紫外線を含む光を照射する光源と、前記光源の照射動作を制御する制御部とを備えた植物病害防除用照明装置であって、
    前記光源は、主波長として280乃至300nmの波長域の高刺激用紫外線と、主波長として300乃至320nmの波長域の低刺激用紫外線とをそれぞれ照射する構成を有し、
    前記制御部は、植物周辺の日照量データ、植物周辺の雰囲気温度データ、植物を定植してからの経過時間データ、及び植物の画像データのうちの少なくとも1以上のデータを用いて植物の紫外線に対する耐性が低下しているか否かを判定し、植物の紫外線に対する耐性が低下していると判定されたとき、前記光源による高刺激用紫外線の照射を停止することを特徴とする植物病害防除用照明装置。
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