JP5423912B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいて演算されたアシスト電流指令値に基づいて、車両の操舵系にモータによる操舵補助力を付与するようにした電動パワーステアリング装置に関し、特にアシスト電流指令値に対してリミッタによる制限値を施すことにより、異常出力の影響を抑制して安全性を高めると共に、各相電流指令値の演算部位における出力過多の異常検出機能を具備した電動パワーステアリング装置に関する。
一般的に、車両のステアリング装置をモータの回転力で操舵補助力(アシスト)を付与する電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力を減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に操舵補助力を付与するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、操舵補助トルクを正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、電流指令値とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティ比の調整で行っている。
このような電動パワーステアリング装置の一般的な構成を、図1を参照して説明する。ハンドル1のコラム軸2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4A及び4B、ピニオンラック機構5を経て操向車輪のタイロッド6に連結されている。コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が、減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット30にはバッテリ14から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTと車速センサ12で検出された車速Vとに基づいてアシスト指令のアシスト電流指令値(操舵補助指令値)Iの演算を行い、演算されたアシスト電流指令値Iに基づいてモータ20に供給する電流を制御する。
コントロールユニット30は主としてCPU(又はMPU(Micro Processor Unit)やMCU(Micro Controller Unit))、ROMやRAMのメモリ等で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと、図2のようになっている。
図2を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出されて入力される操舵トルクT及び車速センサ12(若しくはCAN(Controller Area Network))からの車速Vは電流指令値演算部31に入力され、電流指令値演算部31において操舵トルクT及び車速Vに基づいてアシスト電流指令値Iref1が演算される。演算されたアシスト電流指令値Iref1は操舵系の安定性を高めるための位相補償部32で位相補償され、位相補償されたアシスト電流指令値Iref2が加算部33に入力される。また、操舵トルクTは応答速度を高めるためのフィードフォワード系の微分補償部35に入力され、微分補償された操舵トルクTAは加算部33に入力され、加算部33はアシスト電流指令値Iref2と操舵トルクTAを加算し、その加算結果であるアシスト電流指令値Iref3を減算部34に加算入力する。
減算部34は、アシスト電流指令値Iref3とフィードバックされているモータ電流iとの偏差Iref4(=Iref3−i)を求め、偏差Iref4はPI制御部36でPI制御され、更にPWM制御部37に入力されてデューティを演算され、インバータ38を介してモータ20をPWM駆動する。モータ20のモータ電流値iはモータ電流検出手段21で検出され、減算部34に入力されてフィードバックされる。
ここにおいて、電動パワーステアリング装置では、モータ (ブラシレスモータ)20のロータマグネットの座標軸であるトルクを制御する軸(q軸)と磁界の強さを制御する軸(d軸)を独立に設定し、各軸が90度の位相関係にあることから、そのベクトルで各軸に相当する電流を制御するベクトル制御が実施されている。多相モータ(例えばA,B,Cの3相モータ)20をベクトル制御する場合、図3に示すように操舵トルクT及び車速Vに基づいて算出されたアシスト電流指令値Iref3とd軸電流指令値Id_refとを各相電流指令値生成部300に入力し、モータ20の回転位置信号θと共に、各相電流指令値生成部300で生成された各相電流指令値Irefp1(Ia_ref、Ib_ref、Ic_ref)を減算部34に入力し、減算部34は、各相電流指令値Irefp1とフィードバックされているモータ電流iとの偏差Irefp2(=Iref1−i)を各相毎に求め、各相の偏差Irefp2はPI制御部36でPI制御され、更にPWM制御部37に入力されてデューティを演算され、インバータ38を介してモータ20をPWM駆動する。モータ20のモータ電流値iはモータ電流検出手段21で各相毎に検出され、各相毎に減算部34に入力されてフィードバックされる。
なお、各相電流指令値生成部300は、アシスト電流指令値Iref3をq軸電流指令値とし、このq軸電流指令値と別途入力されるd軸電流指令値Id_refを、回転位置信号θに応じて2相/3相変換することにより各相電流指令値Irefp1(Ia_ref、Ib_ref、Ic_ref)を生成する。
次に、コントロールユニット30をマイクロコンピュータ(MCU)で構成した場合の例を、図4に示して説明する。マイクロコンピュータは、上述したフィードバック制御、フィードフォワード制御や比例演算等を行う制御演算処理手段であるCPU40の他に、制御プログラムやパラメータ等を格納しているROM41、CPU40からの演算結果等を一時的に記憶する主記憶装置としてRAM42を備えている。そして、CPU40は、入力手段43からの入力信号及びROM41から読込まれるプログラムやパラメータに基づいて演算処理を行い、CPU40の演算処理結果が、主記憶装置のRAM42を介して出力手段44に出力されるように構成されている。
また、ROM41は不揮発性の記憶装置であり、データを書換える必要のないデータを格納する読込み専用のメモリである。つまり、上述したコントロールユニット30の場合では、トルク制御系(電流指令値演算部31、位相補償部32、微分補償部35等)、電流制御系(減算部34、PI制御部38、PWM制御部37、インバータ38等)、アシスト補助系(モータ電流検出手段21等)等の制御演算処理を行う演算制御プログラム及びその演算制御プログラムに用いるパラメータ等、変更することのないようなデータがROM41に格納されている。しかしながら、外部からの電気的な干渉や経年劣化等によりROM41やRAM42に格納されたデータに異常が発生する可能性があるため、ROM41及びRAM42のデータの異常を確実に検出する必要がある。
このような電動パワーステアリング装置において、駆動源であるモータ20には直流モータのほか、ブラシレスDCモータが用いられている。このようなモータに供給する電流は、上述のようにCPU40で演算され、演算に用いるプログラムや定数はROM41に格納され、変数等はRAM42に格納される。そして、ROM41やRAM42に異常が生じると演算結果も異常になり、モータ20に異常な電流が流れてしまう。そのため、ROM41及びRAM42の異常診断(故障診断を含む)を実施している。しかしながら、ROM41及びRAM42の全領域を診断するには時間を要し、異常を検知するまでの間にモータ20に異常な電流が流れてしまう恐れがある。
かかる問題を解決する手法が特開平6−270823号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1の手法は、操舵トルクとモータ駆動方向が不一致のときにモータの駆動を停止し、CPUのアシスト制御の演算をCPUの外部から監視し、演算異常時における安全性を高めようとするものである。しかしながら、特許文献1に開示されている手法では、アシスト制御の正常時においても、操舵トルクとモータ駆動方向が不一致になるような制御を行う場合があり、単純に操舵トルクとモータ駆動方向の不一致で駆動を停止すると、正常状態であるにも拘わらず異常であると誤検知してしまう問題がある。
また、特開2004−133635号公報(特許文献2)では診断領域内のROM値を加算し、加算結果を規定値と比較することによって異常を検出している。特許文献2では異常検出時間を短くするためにROM領域を分割しているが、異常時の影響を低減するための分割方法ではなく、処理が間に合わない場合には、モータからの異常出力が車両挙動に影響する恐れがある。
特開平6−270823号公報 特開2004−133635号公報 特許第3336401号公報
電動パワーステアリング装置のアシスト制御の演算部の安全機能としてROM/RAMの異常診断があり、最大電流までの異常電流を想定した場合、数十ms以内にシステムを安全な状態へ移行する必要がある(フォールトトレラント時間)が、ROM/RAMの異常診断にはそれ以上の時間を要する(フォールトディテクション時間)。フォールトディテクション時間を小さくすることは異常診断領域を小さくすること、又は高速のマイクロコンピュータを用いることに相当し、実際的に困難である。そのため、本発明はフォールトトレラント時間を長くすることを目途としている。
また、ROM及びRAMの異常診断を全領域に亘って実施するには時間を要し、特に過大アシストとなる異常検知に対して、必要な異常検知時間をオーバーする可能性がある。そのため、特許第3336401号公報(特許文献3)に開示されている電動パワーステアリング装置では、操舵トルク検出値より算出された電流目標値、又は制御信号、又は実電流値より操舵トルクの次元の値を逆算し、逆算値と操舵トルク検出値とを比較して制御系の異常検出を行っている。
しかしながら、現代のステアリング制御は、慣性補償や車両特性改善のための補償機能等の付加機能が多数存在するため、操舵トルク検出値までの逆算処理が複雑化し、容量の増大及び処理負荷の増加が懸念されると共に、異常診断の範囲が大きいために、演算遅延等の影響によって誤判定等を生じ易い問題がある。
本発明は上述のような事情によりなされたものであり、本発明の目的は、通常の操舵では操舵トルクとアシスト電流指令値の方向が一致することを前提に、操舵トルクとアシスト電流指令値の方向が反対になるときをアシスト制御演算に異常が生じたと判定し、そのときにアシスト電流指令値を最大電流より小さく制限することにより安全性を高めると共に、各相電流指令値生成手段に対して簡単な構成で処理負荷的に有利であり、出力過多異常の誤判定を生じない高機能な電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明は、マイクロコンピュータと、前記マイクロコンピュータ内のROMに格納されたプログラム、パラメータ等に基づいて制御演算処理するCPUと、記憶領域を形成するRAMと、少なくとも操舵トルクに基づいて車両の操舵系に操舵補助力を付与するモータのアシスト電流指令値を演算するアシスト電流演算手段と、前記アシスト電流指令値、d軸電流指令値及び前記モータの回転位置信号に基づいて各相電流指令値を生成する各相電流指令値生成手段とを具備し、前記各相電流指令値に基づいて前記モータをベクトル制御することによりアシストする電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、前記ROM及びRAMの領域を各所定診断周期で診断する異常診断機能と、前記アシスト電流指令値、前記d軸電流指令値及び各相電流指令値に基づいて前記各相電流指令値生成部の出力過多の異常を検出する異常判定部とを具備することにより達成される。
また、本発明の上記目的は、前記ROM及びRAMの領域がそれぞれ複数に、且つ機能毎に分割されていることにより、或いは前記異常判定部は、前記各相電流指令値生成手段が出力するはずである電流エネルギー相当量を前記出力過多の異常の判定スレッショルド1とし、前記各相電流指令値で演算された出力電流エネルギー相当量が前記判定スレッショルド1を超えたときに異常と判定することにより、或いは前記異常判定部は、前記各相電流指令値生成手段が出力するはずである電流エネルギー相当量の最大値を前記出力過多の異常の判定スレッショルド2とし、前記各相電流指令値で演算された出力電流エネルギー相当量が前記判定スレッショルド2を超えたときに異常と判定することにより、或いは前記電流エネルギー相当量は前記各相電流指令値の2乗和であることにより、或いは前記異常判定部は、前記アシスト電流指令値の2乗値、前記d軸電流指令値の2乗値、前記アシスト電流指令値及びd軸電流指令値の乗算値の絶対値にそれぞれゲインを乗算した値の総和値を前記出力過多の異常の判定スレッショルド3とし、前記各相電流指令値で演算された出力電流エネルギー相当量が前記判定スレッショルド3を超えたときに異常と判定することにより、或いは前記アシスト電流指令値の演算経路にリミッタが介挿されており、前記リミッタで上下限値を制限されたアシスト電流指令値が前記各相電流指令値生成手段に入力されていることにより、より効果的に達成される。
本発明の電動パワーステアリング装置によれば、操舵トルクとモータ駆動方向が不一致になる場合に出力を制限するリミッタを設け、正常時のモータ駆動を阻害しないようになっている。特に、リミッタは操舵トルクの大きさに感応して制限値を設定しているので、操舵フィーリングに違和感を与えることもない。リミッタにより異常時の出力電流が低減されるため、異常を検出するまでの診断時間を確保することができる。
また、本発明の電動パワーステアリング装置によれば、各相電流指令値生成手段の出力電流エネルギーに相当する各相電流指令値の2乗和と、各相電流指令値生成手段の入力値とから出力エネルギーの最大値を判定スレッショルドとして算出し、各相電流指令値の2乗和が判定スレッショルドを越えた場合に異常と判定する異常判定部を設けているので、簡単な構成で処理負荷的に有利であり、出力過多異常の誤判定を生じない高機能な電動パワーステアリング装置を実現することができる。
一般的な電動パワーステアリング装置の構成例を示す構成図である。 一般的なコントロールユニットの機能構成例を示すブロック図である。 多相モータのベクトル制御式コントロールユニットの機能構成例を示すブロック図である。 一般的なマイクロコンピュータ構成のコントロールユニットを示すブロック図である。 本発明に係る電動パワーステアリング装置のコントロールユニットのマイクロコンピュータ構成例を示すブロック図である。 本発明に係る電動パワーステアリング装置の機能構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。 本発明に使用するリミッタの制限値の一例を示す特性図である。 SATを説明するための模式図である。 電流指令値の制限特性の例を示す図である。 本発明に使用するリミッタの制限値の他の例を示す特性図である。 本発明に係る電動パワーステアリング装置の他の機能構成例(第2実施形態)を示すブロック図である。 本発明に係る電動パワーステアリング装置の機能構成例(第3実施形態)を示すブロック図である。 矩形波制御システムの動作を説明するための転流パターン図である。 擬似矩形波駆動制御システムの動作例を説明するための特性図である。 擬似矩形波駆動制御システムの動作例を説明するための特性図である。 擬似矩形波駆動制御システムの動作例を説明するための特性図である。 本発明に係る電動パワーステアリング装置の機能構成例(第4実施形態)を示すブロック図である。
電動パワーステアリング装置のモータに供給する電流のアシスト電流指令値はマイクロコンピュータのCPU(MPUやMCU等を含む)で演算され、演算に用いるプログラムや定数はROMに格納され、変数等はRAMに格納されており、ROMやRAMに異常が生じると演算結果も異常になり、モータに異常な電流が流れてしまうので、ROM及びRAMの異常診断(故障診断を含む)を実施する。異常診断はアシスト制御開始前の初期診断、アシスト制御実行中の常時診断でも行う。しかしながら、ROM及びRAMの全領域を診断するには時間を要し、異常を検知するまでにモータに異常な電流が流れてしまう恐れがあるため、本発明では異常出力の影響を抑えるためのリミッタをアシスト電流指令値演算経路に介挿する。リミッタにより異常出力の影響が低減されるため、異常を検出するまでの診断時間を確保することができる。本発明では、逆アシスト状態=アシスト電流指令値が操舵トルクと逆向きで、操舵トルクが大きい場合を異常として制限し、リミッタの制限値は、操舵トルクとアシスト電流指令値の方向が逆のときに、操舵トルクの絶対値の増加に従って減少する特性になっている。ROM及びRAMの異常診断と、リミッタにおける逆アシスト状態で、操舵トルクが大きい場合のリミット処理とは、それぞれが独立に常時機能するようになっている。
また、リミッタの後段の各相電流指令値生成手段が入力に対し出力過多となる異常状態となった場合には、過大アシストとなる可能性がある。しかしながら、本発明では、出力値のエネルギー量である2乗和と、入力値のエネルギー量との比較で異常検出を行っているため、構成が簡単でかつ処理負荷が小さく、出力エネルギー量が過大となることによる過大アシストを短時間で検出することができる。更に、診断する機能を異常に基づいて過大アシストとなる部位に重点を置き、個別に診断しかつ簡単な構成になっているため、処理負荷に有利であり、誤判定等も生じ難い利点がある。
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図5は、本発明に係る電動パワーステアリング装置のマイクロコンピュータ構成(制御装置)例を図4に対応させて示すブロック図であり、本発明のROM41は異常診断を実行するための診断処理プログラム41Aを内蔵していると共に、ROM41及びRAM42の領域が機能毎(例えばトルク制御系、電流制御系、補償系)に分割されている。そのため、機能毎に異常診断を行うことが可能であり、異常発生部位の特定も容易である。そして、ROM41及びRAM42の各領域がそれぞれの診断周期で、ROM41はサムチェックを行い、RAM42は書き込み値、読み込み値を診断する公知の診断手法(例えば特許文献1及び2、特開2008−230529号公報等)を用いて異常診断されるようになっている。
また、図6は、本発明の電動パワーステアリング装置の機能構成例を図2に対応させて示すブロック図であり、加算部33から出力されるアシスト電流指令値Iref3を、所定演算式若しくはルックアップテーブル等で演算された制限値で制限するリミッタ60を設けている。リミッタ60には操舵トルクTが入力されており、制限値が操舵トルクTに感応して設定されるよう上下限値演算部65を設けている。また、モータ20にはレゾルバ等の回転センサ22が取り付けられており、回転センサ22からの回転位置信号θ、操舵トルクT及びアシスト電流指令値Iref3等に基づいて補償信号CMを生成し、補償信号CMを加算部33に加算する補償部70が設けられている。
リミッタ40の制限値は例えば図7に示す特性を有しており、操舵トルクT及びアシスト電流指令値Iref3の方向が一致する第1象限及び第3象限では上限値+L2及び下限値−L2でアシスト電流指令値Iref3を制限し、操舵トルクT及びアシスト電流指令値Iref3の方向が相違する第2象限及び第4象限では制限値を0にして制限しない。つまり、操舵トルクTと同じ方向のアシスト電流指令値Iref3は最大値で制限し、反対方向のアシスト電流指令値Iref3は最大値よりも小さい値で制限する。本例では、操舵トルクTが+T1以上の場合、及び操舵トルクTが−T1以下の場合に制限値を0にしているが、任意のトルク値において制限値0を設定できる。操舵トルクT=0における制限値+L1及び−L1も任意の大きさに設定できる。
また、本発明では補償系を形成する補償部70を具備しており、その構成例を説明する。回転センサ22からの回転位置信号θは角速度演算部71に入力され、演算(例えば微分)された角速度ωは角加速度演算部72に入力されると共に、収れん性制御部73及びSAT(セルフアライニングトルク)推定部75に入力される。角加速度演算部72で演算(例えば微分)された角加速度ωは慣性補償部74及びSAT推定部75に入力される。SAT推定部75で推定されたSAT値SATa及び慣性補償部74からの慣性補償値INaが加算部77で加算され、更に加算部76で収れん性制御部73からの収れん性制御値Gaと加算され、加算部76の加算値が補償信号CMとして加算部33に加算される。
収れん性制御部73は、車両のヨーの収れん性を改善するためにハンドルが振れ回る動作に対してブレーキをかけるためのものであり、慣性補償部74は、モータ慣性を加減速させるトルクを操舵トルクTから排除し、慣性感のない操舵感にするものである。SATの補償は車両挙動を安定化するものであり、その推定は次のように行う。
図8は路面からステアリングまでの間に発生するトルクの様子を示しており、ドライバがハンドル1を操舵することによって操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTに従ってモータ20がアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪が転舵され、反力としてSATが発生する。また、その際、モータ20の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってハンドル操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、下記数1のような運動方程式が得られる。
(数1)
J・ω*+Fr・sign(ω)+SAT=Tm+T

ここで、上記数1を初期値0としてラプラス変換し、SATについて解くと下記数2が得られる。
(数2)
SAT(s)=Tm(s)+T(s)−J・ω*(s)−Fr・sign(ω(s))

上記数2から分るように、モータ20の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ回転角速度ω、回転角加速度ω、アシスト電流指令値(操舵補助力)及び操舵トルクTよりSATを推定することができる。かかる理由より、SAT推定部75には操舵トルクT、角速度ω、角加速度ω、アシスト電流指令値Iref2がそれぞれ入力されている。
なお、補償部70を構成する補償要素として、モータ20の回転方向に対してロストルク相当のアシストを行うためのロストルク補償部、検出トルクに含まれる慣性要素とバネ要素から成る共振系の共振周波数のピーク値を除去し、制御系の安定性と応答性を阻害する共振周波数の位相ずれを補償するためのロバスト安定化補償部等を更に設けても良い。
このような制御装置の構成において、その動作を説明する。動作はCPU40とROM41,RAM42との協働により、ROM41に格納された演算制御プログラムに従って実行される。
トルクセンサからの操舵トルクTは電流令値演算部31に入力されると共に、微分補償部35、リミッタ60及びSAT推定部75に入力され、位相補償部32からのアシスト電流指令値Iref2が加算部33に入力されると共に、SAT推定部75に入力される。加算部33で補償信号CM等を加算したアシスト電流指令値Iref3はリミッタ60に入力され、図7に示す操舵トルクTとの関係に従ってアシスト電流指令値Iref3を制限する。即ち、操舵トルクT及びアシスト電流指令値Iref3の方向が一致する第1象限(いずれも正)では上限値+L2で制限し、操舵トルクT及びアシスト電流指令値Iref3の方向が一致する第3象限(いずれも負)では下限値−L2で制限し、上記上限値+L2及び下限値−L2で制限されたアシスト電流指令値Irefaを出力して加算部34に入力する。また、操舵トルクT及びアシスト電流指令値Iref3の方向が相違する第2象限及び第4象限では制限値を0にする。その際、操舵トルクTが小さい範囲+T1〜−T1では制限値が0ではなく、線形(若しくは非線形)に変化するようになっている。補償部70は車両の挙動やハンドル挙動を調整するために必要なモータ電流値を演算し、補償信号CMは操舵トルクTの方向と一致しない場合があるので、操舵トルクTが小さい領域では制限をかけないようにしている。操舵トルクTが大きい領域でアシスト電流指令値Iref3の方向と不一致の場合に制限をかける。これは、補償部70からの補償信号CMはドライバによる操舵を妨げないように調整されているため、操舵トルクTが大きい領域でアシスト電流指令値Iref3の方向と不一致な演算値は異常とみなせるからである。
リミッタ60の制限値で制限されたアシスト電流指令値Irefaは図9に示すような特性で出力され、上下を制限されたアシスト電流指令値Irefaに基づいてモータ20は前述のように電流制御される。モータ20の回転位置信号θは補償部70に入力され、SAT推定部75からのSAT推定値SATa、慣性補償部74からの慣性補償信号INa、収れん性制御部73からの収れん性制御信号Gaに基づいて補償信号CMを演算して加算部33に加算する。
電流指令値演算部31、位相補償部32及び微分補償部35のトルク制御系と同様に、異常診断機能によってROM/RAM等に異常が発生すると、例えばアシスト電流指令値を演算する処理で変数(RAMの故障)やゲイン(ROMの故障)に異常が生じた場合、システムの最大電流が流れるモードに陥る可能性があるため、充分に短い時間で異常を検出する必要がある。加算部33以降インバータ38までの経路及び補償部70は電流制御系であり、電流制御系に介挿されたリミッタ60により、トルク制御系及び補償系(補償部70)領域の異常による異常出力は低減されるため、ROM41及びRAM42の分割された領域毎の診断時間を、下記の通り設定することができる。
(数3)
電流制御系診断時間≦トルク系診断時間≦補償系診断時間

診断時間を上記数3のような関係に設定できるので、電流制御系に介挿されたリミッタ60によって車両の挙動に影響が出るまでの診断時間を充分に確保することができ、快適な操舵フィーリングを妨げることなく、異常出力を確実に制限することができる。
図10はリミッタ60の別の特性例を示しており、操舵トルクTとアシスト電流指令値Iref3が逆方向の場合に、第2象限及び第4象限に示すようにアシスト電流指令値Iref3を最大電流より小さく制限するが、操舵トルクTの0〜+T11の第2象限では最大値−L11で制限し、操舵トルクTの0〜−T11の第4象限では最大値+L11で制限する。そして、操舵トルクTが大きくなるに従って制限値が小さくなる部分A2,B2を含んでいる。トルク制御は正常な場合にも第2象限及び第4象限を使用することもあるが、操舵トルクTが小さい領域に限られ、なるべく正常時の操舵を制限しないようにするため、制限値が小さくなる部分A2,B2を設けている。そして、操舵トルクTが+T10以上及び−T10以下で制限値を最終的に0まで制限する。トルク制御の演算が異常になった状態を、操舵トルクTとアシスト電流指令値Iref3の方向が逆でアシスト電流指令値Iref3が大きい場合と考えると、このような状態が発生しないように制限することができる。
制限値は、トルク制御の演算によっては図9のような特性になることもある。また、制限値は操舵トルクTだけでなく、車速Vに感応して上下限値演算部65で設定されても良い。
また、本発明のリミッタ60を図3に示すようなベクトル制御式電動パワーステアリング装置に適用すると、図11に示す構成(第2実施形態)となる。本例においても、リミッタ60の効果は上記同様である。
ここにおいて、上述の実施形態ではリミッタ60をトルク制御系に介挿し、トルク制御演算の出力であるアシスト電流指令値Iref3に操舵トルクTに応じた上下限値を導入することで、トルク制御演算部位の異常出力の影響を抑え、診断時間を確保するようにしている。しかし、リミッタ60より後段の制御要素の異常に対しては、リミッタ60は当然のように機能せず、特に多相ブラシレスモータで各相毎に電流フィードバックを行うような制御態様の場合、アシスト電流指令値Iref3aをモータの回転位置信号θに応じて2相/3相変換し、各相電流指令値Irefp1を演算した後、モータの各相電流検出値iとの偏差を用いてフィードバック制御を行うが、リミッタ60の後段に配置される各相電流指令値生成部300が入力に対し出力過多となる異常状態になった場合には、過大アシストとなる可能性が残るという問題がある。
また、近年の電動パワーステアリングの操舵応答性要求に対応するため、弱め界磁制御を採用するシステムが多く採用されているが、d軸電流指令値Id_refが投入される場合、アシスト電流指令値Iref3aに対して各相電流指令値Irefp1はd軸電流指令値Id_ref分だけ大きな値になる。そのため、前述のリミッタ60を各相電流指令値生成部300の後段に配置したとしても、操舵トルクTと各相電流指令値Irefp1との相関関係が一様とはならず、リミッタ60による上下限等の処理を効果的に行うことができない。
そこで、本発明の第3実施形態では、各相電流指令値生成手段としての各相電流指令値生成部300の出力である各相電流指令値Irefp1(Ia_ref、Ib_ref、Ic_ref)に基づいて、出力電流エネルギー量に相当する2乗和を演算し、各相電流指令値生成部300の入力であるアシスト電流指令値Iref3及びd軸電流指令値Id_refより出力電流エネルギー量の最大値を判定スレッショルドDtとして算出し、各相電流指令値Irefp1の2乗和が判定スレッショルドDtを越えた場合に異常と判定し、異常信号ASを出力する異常判定部80を設けている。異常判定部80は2乗和という簡単な構成で異常診断できるため、各相電流指令値生成部300が異常状態となり、過大アシストとなる出力電流エネルギーの過大出力を短時間にかつ誤検出なく検出することができ、比較的小さな機能部位の診断としているため、異常部位の要因特定が容易である。
図12に第3実施形態の構成例(3相ブラシレスモータ)を示して、以下詳細に説明する。
上述のようにリミッタ60で上下限値をリミットされたアシスト電流指令値Iref3aは、各相電流指令値生成部300に入力されると共に異常判定部80に入力され、モータ20の速度状態等により決定されるd軸電流指令値Id_refも、各相電流指令値生成部300に入力されると共に異常判定部80に入力される。各相電流指令値生成部300で生成された3相の各相電流指令値Irefp1は減算部34に入力されると共に異常判定部80に入力され、減算部34で3相のモータ電流検出値iにより電流フィードバック制御される。異常判定部80が異常を判定した場合には異常信号ASを出力し、迅速にアシスト制御禁止等の処理を実行する。
第3実施形態はROM/RAM等の異常により、各相電流指令値生成部300の出力(各相電流指令値Irefp1)が入力(アシスト電流指令値Iref3a)に対して過大出力となり、過大アシストが継続する異常状態を検知する手法であり、そのための異常判定部80をリミッタ60の後段に設けている。異常判定部80は、出力である各相電流指令値Irefp1の2乗和、即ち出力電流エネルギー量と、入力であるアシスト電流指令値Iref3a及びd軸電流指令値Id_refより出力電流エネルギー量の最大量として演算された判定スレッショルドDtとを比較し、各相電流指令値Irefp1の2乗和が判定スレッショルドDtを超えたときに異常と判定する。つまり、過大アシストが継続するということは、そのモータに流そうとしている電流エネルギー量が過大となっていることに相当するため、電流エネルギー量を入出力で比較することで、過大アシスト継続となる異常状態を検出することができる。
異常判定の判定方法はシステムの駆動制御方法により判定スレッショルドDtの計算方法が異なるため、例として矩形波駆動制御システム、正弦波駆動制御システム、特許第3804686号に開示されている擬似矩形波駆動制御システムについて、以下詳細に説明する。なお、以下では説明を簡易化するため、リミッタ60から出力されるアシスト電流指令値Iref3aを単に”Iref”と表記し、各相電流指令値生成部300から出力される各相電流指令値Irefp1をA相電流指令値Ia_ref、B相電流指令値Ib_ref、C相電流指令値Ic_refで表記して説明する。
(1)矩形波駆動制御システム
矩形波制御時は、一般的に図13に示すようなパターン#1〜#6の転流制御でモータが駆動され、パターン#1〜#6のいずれにおいても電流エネルギー量である各相電流指令値Ia_ref、Ib_ref、Ic_refの2乗和は2×Irefとなる。よって、演算が正常である場合は、常に下記数4が成立する
(数4)
Ia_ref+Ib_ref+Ic_ref=2×Iref

異常検出部80で検出したい異常状態は過大出力の継続状態であるため、2×Irefを判定スレッショルドDtとして下記数5が成立する場合、異常と判定する。
(数5)
Ia_ref+Ib_ref+Ic_ref> 2×Iref=Dt

(2)正弦波駆動制御システム
正弦波駆動制御時は一般的にアシスト電流指令値をq軸電流指令値Iq_refとし、d軸電流指令値Id_refとq軸電流指令値Iq_refを2/3相変換することにより、θをモータ電気角として下記数6に従って各相電流指令値Ia_ref、Ib_ref、Ic_refを算出する。
(数6)
Ia_ref=Iq_ref×sinθ+Id_ref×cosθ
Ib_ref=Iq_ref×sin(θ−120°)+Id_ref×cos(θ−120°)
Ic_ref=Iq_ref×sin(θ−240°)+Id_ref×cos(θ−240°)
Iq_ref=Iref

上記数6より、電流エネルギー量である各相電流指令値Ia_ref、Ib_ref、Ic_refの2乗和は下記数7となる。
(数7)
Ia_ref+Ib_ref+Ic_ref=3/2×(Iq_ref+Id_ref)
=3/2×(Iref+Id_ref)

この数7より"3/2×(Iref+Id_ref)”を判定スレッショルドDtとして、下記数8が成立した時に異常と判定する。
(数8)
Ia_ref+Ib_ref+Ic_ref> 3/2×(Iref+Id_ref)=Dt


(3)擬似矩形波駆動制御システム
擬似矩形波駆動制御システムでは、各相電流指令値Ia_ref、Ib_ref、Ic_refは下記数9及び数10に従って算出される。ただし、Ktはトルク定数、ed(θ)は1[rad/s]当りのq軸誘起電圧、eq(θ)は1[rad/s]当りのd軸誘起電圧である。
(数9)
Ia_ref=Iq_ref×sinθ+Id_ref×cosθ
Ib_ref=Iq_ref×sin(θ−120°)+Id_ref×cos(θ−120°)
Ic_ref=Iq_ref×sin(θ−240°)+Id_ref×cos(θ−240°)
Figure 0005423912
上記数9及び数10より、出力の電流エネルギー量である各相電流指令値Ia_ref、Ib_ref、Ic_refの2乗和は下記数11となる。
Figure 0005423912
ここで、判定スレッショルドDtとなる数11の右辺が角度関数となっており、
Figure 0005423912
は図14のように値が変化し、
Figure 0005423912
は図15のように値が変化し、
Figure 0005423912
は図16のように値が変化する。そのため、判定スレッショルドDtの算出が容易ではない。
ここにおいて、異常判定部80は出力が過大出力となることを検出するものであり、全角度領域でとり得る最大値を判定スレッショルドDtとすれば良い。例えばd軸電流指令値Id_refが0であった場合、d軸電流指令値Id_refに関連する右辺第2項及び第3項は0となるため、下記数15が成立する。
Figure 0005423912
また、アシスト電流指令値Irefが0であり、d軸電流指令値Id_refが出力されていた場合、アシスト電流指令値Irefに関連する右辺第1項及び第3項は0となるため、下記数16が成立する。
Figure 0005423912
残りの第3項は両指令値に関連する項であるため、上記のように容易に範囲を設定できない。よって、第3項がとり得る最大値にて判定スレッショルドDtを定義する。第3項がとり得る値の範囲は
Figure 0005423912
が0を中心とした角度周期関数となることに注目すると、下記数17のようになる。
Figure 0005423912
これより、出力の電流エネルギー量である各相電流指令値Ia_ref、Ib_ref、Ic_refの2乗和に対し、制御系が正常である場合は必ず下記数18が成立する。
Figure 0005423912
よって、下記数19が成立した場合に異常と判定する。
(数19)
Ia_ref+Ib_ref+Ic_ref> Gain(Iref)×Iref+Gain(Id)×Id_ref
+Gain(Iref_Id)×|Iref×Id_ref|=Dt
ただし、Gain(Iref)、Gain(Id)及びGain(Iref_Id)は下記数20である。
Figure 0005423912
なお、スケーリング誤差による誤判定を回避するため、判定スレッショルドDtに所定値を加算若しくは乗算しても良い。
また、本発明の異常判定部80はリミッタ60の後段に配置するだけでなく、図17に示すようにリミッタ60のないベクトル制御式コントロールユニットの各相電流指令値生成部300の入出力間に配置するようにしても、出力過多異常の検出を行うことができる。
なお、上述ではABC相の3相モータの場合を説明したが、3相以上の多相モータの場合についても同様に適用可能である。
1 ハンドル
2 コラム軸
3 減速ギア
10 トルクセンサ
11 イグニションキー
20 モータ
21 モータ電流検出手段
22 回転センサ
30 コントロールユニット
31 電流指令値演算部
32 位相補償部
35 微分補償部
36 PI制御部
37 PWM制御部
38 インバータ
40 CPU
41 ROM
41A 診断処理プログラム
42 RAM
60 リミッタ
65 上下限値演算部
70 補償部
71 角速度演算部
72 角加速度演算部
73 収れん性制御部
74 慣性補償部
75 SAT推定部
80 異常判定部
300 各相電流指令値生成部

Claims (7)

  1. マイクロコンピュータと、前記マイクロコンピュータ内のROMに格納されたプログラム、パラメータ等に基づいて制御演算処理するCPUと、記憶領域を形成するRAMと、少なくとも操舵トルクに基づいて車両の操舵系に操舵補助力を付与するモータのアシスト電流指令値を演算するアシスト電流演算手段と、前記アシスト電流指令値、d軸電流指令値及び前記モータの回転位置信号に基づいて各相電流指令値を生成する各相電流指令値生成手段とを具備し、前記各相電流指令値に基づいて前記モータをベクトル制御することによりアシストする電動パワーステアリング装置において、
    前記ROM及びRAMの領域を各所定診断周期で診断する異常診断機能と、
    前記アシスト電流指令値、前記d軸電流指令値及び各相電流指令値に基づいて前記各相電流指令値生成部の出力過多の異常を検出する異常判定部と、
    を具備したことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記ROM及びRAMの領域がそれぞれ複数に、且つ機能毎に分割されている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記異常判定部は、前記各相電流指令値生成手段が出力するはずである電流エネルギー相当量を前記出力過多の異常の判定スレッショルド1とし、前記各相電流指令値で演算された出力電流エネルギー相当量が前記判定スレッショルド1を超えたときに異常と判定する請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記異常判定部は、前記各相電流指令値生成手段が出力するはずである電流エネルギー相当量の最大値を前記出力過多の異常の判定スレッショルド2とし、前記各相電流指令値で演算された出力電流エネルギー相当量が前記判定スレッショルド2を超えたときに異常と判定する請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記電流エネルギー相当量は前記各相電流指令値の2乗和である請求項3又は4に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記異常判定部は、前記アシスト電流指令値の2乗値、前記d軸電流指令値の2乗値、前記アシスト電流指令値及びd軸電流指令値の乗算値の絶対値にそれぞれゲインを乗算した値の総和値を前記出力過多の異常の判定スレッショルド3とし、前記各相電流指令値で演算された出力電流エネルギー相当量が前記判定スレッショルド3を超えたときに異常と判定する請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記アシスト電流指令値の演算経路にリミッタが介挿されており、前記リミッタで上下限値を制限されたアシスト電流指令値が前記各相電流指令値生成手段に入力されている請求項1乃至6のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
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