JP2001233233A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
電動パワーステアリング装置Info
- Publication number
- JP2001233233A JP2001233233A JP2000050341A JP2000050341A JP2001233233A JP 2001233233 A JP2001233233 A JP 2001233233A JP 2000050341 A JP2000050341 A JP 2000050341A JP 2000050341 A JP2000050341 A JP 2000050341A JP 2001233233 A JP2001233233 A JP 2001233233A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- current
- value
- allowable
- motor
- reverse
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Power Steering Mechanism (AREA)
- Control Of Direct Current Motors (AREA)
- Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 電動パワーステアリング装置において、アシ
ストモータ1に異常な逆電流や過大電流が流れること
を、誤動作やコスト増を生じることなく防止する。 【解決手段】 逆電流許容値や過大電流許容値よりも、
モータ1の電流検出値が大きくなると、その時点で逆電
流又は正方向電流になる電流方向の電流制御信号(左方
向出力AL又は右方向出力AR)について、駆動回路2
への入力を禁止する機能を有する回路6〜11を、制御
回路3とは別個に設ける。
ストモータ1に異常な逆電流や過大電流が流れること
を、誤動作やコスト増を生じることなく防止する。 【解決手段】 逆電流許容値や過大電流許容値よりも、
モータ1の電流検出値が大きくなると、その時点で逆電
流又は正方向電流になる電流方向の電流制御信号(左方
向出力AL又は右方向出力AR)について、駆動回路2
への入力を禁止する機能を有する回路6〜11を、制御
回路3とは別個に設ける。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両において操舵
補助トルクを発生させる電動パワーステアリング装置に
係わり、操舵補助トルクを発生させるアシストモータ
に、操舵の支障となる操舵トルクと逆方向の過大な逆電
流等が流れることを、信頼性高くかつ弊害が生じないよ
うに的確に防止できる電動パワーステアリング装置に関
する。
補助トルクを発生させる電動パワーステアリング装置に
係わり、操舵補助トルクを発生させるアシストモータ
に、操舵の支障となる操舵トルクと逆方向の過大な逆電
流等が流れることを、信頼性高くかつ弊害が生じないよ
うに的確に防止できる電動パワーステアリング装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、軽自動車などの小型車両に使用
されている電動パワーステアリング装置は、ハンドル操
作によりステアリングシャフトに発生する操舵トルクを
トルクセンサにより検出し、それに応じてステアリング
シャフト等に取り付けられたアシストモータ(以下、場
合により単にモータという)に電流を流して操舵補助ト
ルクを発生させるものである。そのためのアシストモー
タの電流制御には、通常四つのFET(電界効果トラン
ジスタ)で構成されるHブリッジ回路を用い、このHブ
リッジ回路よりなる駆動回路を介してアシストモータを
PWM(パルス幅変調)方式で駆動する。そして、検出
された操舵トルクに応じて電流指令値が演算され、例え
ば、前記電流指令値に基づく電流制御信号(例えば、P
WM駆動のデューティ比を決める信号)の値と実際のア
シストモータの電流値との差(偏差)に応じて、前記電
流制御信号を修正する通常1ループのフィードバック制
御により、前記アシストモータの電流値を操舵トルクに
応じた好ましい値に制御する。ここで、前記電流指令値
の演算や、上記フィードバック制御処理を含む前記電流
制御信号の生成などは、通常マイクロコンピュータ(以
下、マイコンという)を含む制御回路によって行われ、
さらにこの制御回路が、前記駆動回路やモータの異常監
視を行い、必要があればモータの駆動を停止するといっ
たフィールセーフ機能が設けられる場合もある。ところ
で、上記マイコンを含む制御回路自身に異常が生じた場
合には、上記制御回路によるフィールセーフ機能が基本
的には働かないため、上記制御回路の異常に起因する過
電流の発生等に対しては基本的に別個の手段(例えば、
別個の回路)によって対応する必要がある。なお、マイ
コンの暴走(プログラムの暴走)に対しては、いわゆる
ウォッチドッグタイマ(WDT)による監視機能が使用
できることは周知のとおりであるが、これ以外のマイコ
ンの異常(例えば、マイコンの出力値が一定値に固定さ
れて変わらない、入力値が正しく読めない、メモリの値
が変化してしまうなどの異常)については、マイコン自
身では監視できない。
されている電動パワーステアリング装置は、ハンドル操
作によりステアリングシャフトに発生する操舵トルクを
トルクセンサにより検出し、それに応じてステアリング
シャフト等に取り付けられたアシストモータ(以下、場
合により単にモータという)に電流を流して操舵補助ト
ルクを発生させるものである。そのためのアシストモー
タの電流制御には、通常四つのFET(電界効果トラン
ジスタ)で構成されるHブリッジ回路を用い、このHブ
リッジ回路よりなる駆動回路を介してアシストモータを
PWM(パルス幅変調)方式で駆動する。そして、検出
された操舵トルクに応じて電流指令値が演算され、例え
ば、前記電流指令値に基づく電流制御信号(例えば、P
WM駆動のデューティ比を決める信号)の値と実際のア
シストモータの電流値との差(偏差)に応じて、前記電
流制御信号を修正する通常1ループのフィードバック制
御により、前記アシストモータの電流値を操舵トルクに
応じた好ましい値に制御する。ここで、前記電流指令値
の演算や、上記フィードバック制御処理を含む前記電流
制御信号の生成などは、通常マイクロコンピュータ(以
下、マイコンという)を含む制御回路によって行われ、
さらにこの制御回路が、前記駆動回路やモータの異常監
視を行い、必要があればモータの駆動を停止するといっ
たフィールセーフ機能が設けられる場合もある。ところ
で、上記マイコンを含む制御回路自身に異常が生じた場
合には、上記制御回路によるフィールセーフ機能が基本
的には働かないため、上記制御回路の異常に起因する過
電流の発生等に対しては基本的に別個の手段(例えば、
別個の回路)によって対応する必要がある。なお、マイ
コンの暴走(プログラムの暴走)に対しては、いわゆる
ウォッチドッグタイマ(WDT)による監視機能が使用
できることは周知のとおりであるが、これ以外のマイコ
ンの異常(例えば、マイコンの出力値が一定値に固定さ
れて変わらない、入力値が正しく読めない、メモリの値
が変化してしまうなどの異常)については、マイコン自
身では監視できない。
【0003】そのために従来では、例えば特開平1−1
14573号公報に開示されているように、操舵トルク
の検出値とモータの電流検出値とを比較し、モータの電
流方向と操舵トルクの方向が逆になったこと(即ち、逆
電流が発生したこと)や、装置の損傷等(具体的には前
記FETやモータコイルの損傷や劣化等)の原因となる
過大電流(操舵トルクと同方向の正方向電流を含む過大
なもの)が生じたことを検出すると、例えば前記駆動回
路への電源供給を停止する駆動禁止回路が提案されてい
る。
14573号公報に開示されているように、操舵トルク
の検出値とモータの電流検出値とを比較し、モータの電
流方向と操舵トルクの方向が逆になったこと(即ち、逆
電流が発生したこと)や、装置の損傷等(具体的には前
記FETやモータコイルの損傷や劣化等)の原因となる
過大電流(操舵トルクと同方向の正方向電流を含む過大
なもの)が生じたことを検出すると、例えば前記駆動回
路への電源供給を停止する駆動禁止回路が提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の駆動禁止回路では、逆電流を全て検出する構成であ
るため、後述するような正常状態で生じる僅かな逆電流
や一時的な逆電流(前記マイコンの異常などによらない
もの)まで検出してしまい、アシストモータの駆動を停
止してしまうという不具合(誤動作)が発生する恐れが
あった。このような不具合が生じると、操舵補助トルク
が一時的にゼロになってしまうため、異常状態でないに
もかかわらず、操舵補助機能が停止してハンドルが重く
なり操舵フィーリングが相当劣化するなどの問題があっ
た。なお、ハンドルを切り返し操作するときのように操
舵方向が急に反転する操舵変化があった場合には、前記
制御回路に異常が生じていなくても、前記制御回路の応
答遅れによって一時的に操舵トルクと逆方向にモータ電
流が流れる状態になり得る。また、この種の装置では、
高速走行時などにハンドル操作の手応え感を増すため
に、ハンドル角速度の負帰還による制御を付加する場合
があり、この場合には、ハンドル角速度の大きさなどに
よってはハンドル操舵中に操舵トルクと逆方向の僅かな
電流が制御回路の正常な制御でモータに流れることにな
る。そこで本発明は、上述したような正常状態における
逆電流に対して誤動作することなく、異常状態で発生す
る逆電流を的確に検出して過度な逆電流を信頼性高く防
止できる機能が安価な構成で実現された電動パワーステ
アリング装置を提供することを主目的としている。ま
た、このように異常な逆電流を的確に防止する機能に加
えて、正方向電流(操舵トルクと同方向のモータ電流)
も含めたモータ電流が過大となったことも的確に検出し
てアシストモータの駆動を停止できるフェールセーフ機
能が安価な構成で実現された電動パワーステアリング装
置を提供することをさらなる目的としている。
来の駆動禁止回路では、逆電流を全て検出する構成であ
るため、後述するような正常状態で生じる僅かな逆電流
や一時的な逆電流(前記マイコンの異常などによらない
もの)まで検出してしまい、アシストモータの駆動を停
止してしまうという不具合(誤動作)が発生する恐れが
あった。このような不具合が生じると、操舵補助トルク
が一時的にゼロになってしまうため、異常状態でないに
もかかわらず、操舵補助機能が停止してハンドルが重く
なり操舵フィーリングが相当劣化するなどの問題があっ
た。なお、ハンドルを切り返し操作するときのように操
舵方向が急に反転する操舵変化があった場合には、前記
制御回路に異常が生じていなくても、前記制御回路の応
答遅れによって一時的に操舵トルクと逆方向にモータ電
流が流れる状態になり得る。また、この種の装置では、
高速走行時などにハンドル操作の手応え感を増すため
に、ハンドル角速度の負帰還による制御を付加する場合
があり、この場合には、ハンドル角速度の大きさなどに
よってはハンドル操舵中に操舵トルクと逆方向の僅かな
電流が制御回路の正常な制御でモータに流れることにな
る。そこで本発明は、上述したような正常状態における
逆電流に対して誤動作することなく、異常状態で発生す
る逆電流を的確に検出して過度な逆電流を信頼性高く防
止できる機能が安価な構成で実現された電動パワーステ
アリング装置を提供することを主目的としている。ま
た、このように異常な逆電流を的確に防止する機能に加
えて、正方向電流(操舵トルクと同方向のモータ電流)
も含めたモータ電流が過大となったことも的確に検出し
てアシストモータの駆動を停止できるフェールセーフ機
能が安価な構成で実現された電動パワーステアリング装
置を提供することをさらなる目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明による電動パワ
ーステアリング装置は、車両の操舵系に連結されて操舵
補助トルクを発生するためのアシストモータと、前記操
舵系の操舵トルクの方向及び大きさを検出する操舵トル
ク検出手段と、この操舵トルク検出手段の出力に応じて
前記アシストモータの電流制御信号を生成して出力する
電流制御手段と、この電流制御手段が出力した前記電流
制御信号に応じて前記アシストモータに所定方向かつ所
定量の電流を流すためのモータ駆動手段とを備えた電動
パワーステアリング装置において、前記操舵トルクと逆
方向に前記アシストモータを回転させようとする前記ア
シストモータの逆電流を防止すべく設定された逆電流許
容値よりも、前記アシストモータの電流検出値が大きく
なったことを判定すると、その時点で前記逆電流になる
と判定される電流方向の前記電流制御信号について、前
記モータ駆動手段への入力を禁止する機能(以下、場合
により逆電流防止機能という)を有する駆動禁止制御手
段を、前記電流制御手段とは別個に設けたものである。
なおここで、「電流制御手段」は、例えばマイコンを含
む制御回路であり、「モータ駆動手段」は、例えば前述
したHブリッジ回路である。また、「モータ駆動手段へ
の入力を禁止する」とは、電流制御手段により生成され
た電流制御信号に無関係に、モータ駆動手段への入力信
号(逆電流になると判定される電流方向の入力信号の
み)を強制的に電流ゼロに相当する状態になるように制
御することを意味し、具体的には、例えば前述したHブ
リッジ回路を構成する4個のFETのうち、逆電流とな
る電流方向の電流を流す場合に駆動させる2個のFET
(そのうちの少なくとも1個)を強制的にオフ状態に維
持する制御を実行することを意味する。また、「駆動禁
止制御手段」は、後述する実施の形態例のようにアナロ
グ演算素子(コンパレータなど)を含む回路によって安
価に構成することができるし、或いは電流制御手段とは
別個のマイコンを含む回路によって構成することもでき
る。また、前記逆電流許容値は、正常時の逆電流による
誤動作を回避するためには、ゼロより大きく操舵に支障
が生じない範囲内で、なるべく大きな値に設定するのが
よい。より好ましくは、電流制御手段で正常に生成され
る電流制御信号に対応した逆電流の最大値よりも大きく
設定すべきである。但し、異常な逆電流をなるべく早く
検出して対処するという観点からは、なるべく低く設定
すべきであり、総括すると、前述の誤動作が確実に起き
ない範囲で、必要最小限の値に設定すべきである。
ーステアリング装置は、車両の操舵系に連結されて操舵
補助トルクを発生するためのアシストモータと、前記操
舵系の操舵トルクの方向及び大きさを検出する操舵トル
ク検出手段と、この操舵トルク検出手段の出力に応じて
前記アシストモータの電流制御信号を生成して出力する
電流制御手段と、この電流制御手段が出力した前記電流
制御信号に応じて前記アシストモータに所定方向かつ所
定量の電流を流すためのモータ駆動手段とを備えた電動
パワーステアリング装置において、前記操舵トルクと逆
方向に前記アシストモータを回転させようとする前記ア
シストモータの逆電流を防止すべく設定された逆電流許
容値よりも、前記アシストモータの電流検出値が大きく
なったことを判定すると、その時点で前記逆電流になる
と判定される電流方向の前記電流制御信号について、前
記モータ駆動手段への入力を禁止する機能(以下、場合
により逆電流防止機能という)を有する駆動禁止制御手
段を、前記電流制御手段とは別個に設けたものである。
なおここで、「電流制御手段」は、例えばマイコンを含
む制御回路であり、「モータ駆動手段」は、例えば前述
したHブリッジ回路である。また、「モータ駆動手段へ
の入力を禁止する」とは、電流制御手段により生成され
た電流制御信号に無関係に、モータ駆動手段への入力信
号(逆電流になると判定される電流方向の入力信号の
み)を強制的に電流ゼロに相当する状態になるように制
御することを意味し、具体的には、例えば前述したHブ
リッジ回路を構成する4個のFETのうち、逆電流とな
る電流方向の電流を流す場合に駆動させる2個のFET
(そのうちの少なくとも1個)を強制的にオフ状態に維
持する制御を実行することを意味する。また、「駆動禁
止制御手段」は、後述する実施の形態例のようにアナロ
グ演算素子(コンパレータなど)を含む回路によって安
価に構成することができるし、或いは電流制御手段とは
別個のマイコンを含む回路によって構成することもでき
る。また、前記逆電流許容値は、正常時の逆電流による
誤動作を回避するためには、ゼロより大きく操舵に支障
が生じない範囲内で、なるべく大きな値に設定するのが
よい。より好ましくは、電流制御手段で正常に生成され
る電流制御信号に対応した逆電流の最大値よりも大きく
設定すべきである。但し、異常な逆電流をなるべく早く
検出して対処するという観点からは、なるべく低く設定
すべきであり、総括すると、前述の誤動作が確実に起き
ない範囲で、必要最小限の値に設定すべきである。
【0006】この発明によれば、アシストモータの電流
検出値が前記逆電流許容値を越えると、その時点で逆電
流になる電流方向の電流制御信号について、モータ駆動
手段への入力が禁止されるため、結局、逆電流が必ずゼ
ロになる。しかし逆にいうと、アシストモータの電流検
出値が前記逆電流許容値を越えていなければ、逆電流に
なる電流方向の電流制御信号の入力が禁止されず、逆電
流をモータに流す動作が許容される。このため、前記逆
電流許容値の設定によって、ある程度の逆電流を許容し
つつ、過度な逆電流(異常状態での逆電流)を確実に防
止できる。つまり、正常状態で生じる逆電流のうち前記
逆電流許容値以下の電流値の低いものについては、その
電流によるモータの駆動が許容される。したがって、誤
動作の可能性が少なくとも格段に低減された逆電流に対
するフェールセーフ機能を持った電動パワーステアリン
グ装置が実現できる。特に、前記逆電流許容値を、電流
制御手段で正常に生成される電流制御信号に対応した逆
電流の最大値よりも大きく設定した場合には、正常状態
で生じる逆電流が全て許容されるため、正常状態にもか
かわらず前記逆電流防止機能が働いてしまう誤動作が全
く生じなくなる。これにより、前述したハンドル角速度
の負帰還による制御も問題なく実施できるようになる。
また、前述した応答遅れによる一時的な逆電流による誤
動作も生じなくなる。
検出値が前記逆電流許容値を越えると、その時点で逆電
流になる電流方向の電流制御信号について、モータ駆動
手段への入力が禁止されるため、結局、逆電流が必ずゼ
ロになる。しかし逆にいうと、アシストモータの電流検
出値が前記逆電流許容値を越えていなければ、逆電流に
なる電流方向の電流制御信号の入力が禁止されず、逆電
流をモータに流す動作が許容される。このため、前記逆
電流許容値の設定によって、ある程度の逆電流を許容し
つつ、過度な逆電流(異常状態での逆電流)を確実に防
止できる。つまり、正常状態で生じる逆電流のうち前記
逆電流許容値以下の電流値の低いものについては、その
電流によるモータの駆動が許容される。したがって、誤
動作の可能性が少なくとも格段に低減された逆電流に対
するフェールセーフ機能を持った電動パワーステアリン
グ装置が実現できる。特に、前記逆電流許容値を、電流
制御手段で正常に生成される電流制御信号に対応した逆
電流の最大値よりも大きく設定した場合には、正常状態
で生じる逆電流が全て許容されるため、正常状態にもか
かわらず前記逆電流防止機能が働いてしまう誤動作が全
く生じなくなる。これにより、前述したハンドル角速度
の負帰還による制御も問題なく実施できるようになる。
また、前述した応答遅れによる一時的な逆電流による誤
動作も生じなくなる。
【0007】また本発明は、逆電流が実際に流れたこと
を検出してモータ駆動を停止するのでなく、前記逆電流
許容値よりもアシストモータの電流検出値が大きくなっ
たことを判定すると、その時点で逆電流になると判定さ
れる電流方向の電流制御信号について、モータ駆動手段
への入力を禁止することで、逆電流防止機能を実現して
いる。つまり、例えば操舵トルク検出手段の出力から検
知される操舵トルク方向と反対側の電流方向(即ち、逆
電流の方向)については、その方向に過度な電流が実際
に流れているか否かに無関係に、アシストモータの電流
検出値が前記逆電流許容値を越えたときに、その方向の
モータ駆動手段の動作を禁止し、これにより前記逆電流
許容値を越える逆電流の発生を結果的に未然防止する構
成となっている。このため、アシストモータの電流検出
値としては、絶対値のみが検出されていればよく、モー
タ電流の方向までも検出内容に含む必要がないので、電
流検出回路の構成が簡単になり、ひいてはこのようなフ
ェールセーフ機能をもった電動パワーステアリング装置
が安価に実現できる。
を検出してモータ駆動を停止するのでなく、前記逆電流
許容値よりもアシストモータの電流検出値が大きくなっ
たことを判定すると、その時点で逆電流になると判定さ
れる電流方向の電流制御信号について、モータ駆動手段
への入力を禁止することで、逆電流防止機能を実現して
いる。つまり、例えば操舵トルク検出手段の出力から検
知される操舵トルク方向と反対側の電流方向(即ち、逆
電流の方向)については、その方向に過度な電流が実際
に流れているか否かに無関係に、アシストモータの電流
検出値が前記逆電流許容値を越えたときに、その方向の
モータ駆動手段の動作を禁止し、これにより前記逆電流
許容値を越える逆電流の発生を結果的に未然防止する構
成となっている。このため、アシストモータの電流検出
値としては、絶対値のみが検出されていればよく、モー
タ電流の方向までも検出内容に含む必要がないので、電
流検出回路の構成が簡単になり、ひいてはこのようなフ
ェールセーフ機能をもった電動パワーステアリング装置
が安価に実現できる。
【0008】また、この発明の好ましい一態様にあって
は、前述した駆動禁止制御手段が、前述の逆電流防止機
能に加えて、以下のような機能を有する。即ち、アシス
トモータの電流(操舵トルクと同方向にアシストモータ
を回転させようとする正方向電流含む)の大きさが過大
となることを防止すべく前記逆電流許容値以上の値に設
定された過大電流許容値よりも、前記アシストモータの
電流検出値が大きくなったことを判定すると、その時点
で逆電流でないと判定される電流方向(即ち、正方向電
流になると判定される電流方向)の前記電流制御信号に
ついても、前記モータ駆動手段への入力を禁止する機能
(以下、場合により過電流防止機能という)を有する。
なおここで、「モータ駆動手段への入力を禁止する」と
は、電流制御手段により生成された電流制御信号に無関
係に、モータ駆動手段への入力信号(正方向電流になる
と判定される電流方向の入力信号のみでよい)を強制的
に電流ゼロに相当する状態になるように制御することを
意味し、具体的には、例えば前述したHブリッジ回路を
構成する4個のFETのうち、正方向電流となる電流方
向の電流を流す場合に駆動させる2個のFET(そのう
ちの1個でもよい)をも強制的にオフ状態に維持する制
御を実行することを意味する。また、この場合の「駆動
禁止制御手段」も、後述する実施の形態例のようにアナ
ログ演算素子(コンパレータなど)を含む回路によって
安価に構成することができるし、或いは電流制御手段と
は別個のマイコンを含む回路によって構成することもで
きる。また、前記過大電流許容値は、例えば、前記モー
タ駆動手段を構成する素子(例えば、前記FET)やモ
ータコイルなどの損傷や劣化を引き起こす電流値よりも
若干低めに設定すればよい。なお、この過大電流許容値
は、前記逆電流許容値よりも大きな値となる。
は、前述した駆動禁止制御手段が、前述の逆電流防止機
能に加えて、以下のような機能を有する。即ち、アシス
トモータの電流(操舵トルクと同方向にアシストモータ
を回転させようとする正方向電流含む)の大きさが過大
となることを防止すべく前記逆電流許容値以上の値に設
定された過大電流許容値よりも、前記アシストモータの
電流検出値が大きくなったことを判定すると、その時点
で逆電流でないと判定される電流方向(即ち、正方向電
流になると判定される電流方向)の前記電流制御信号に
ついても、前記モータ駆動手段への入力を禁止する機能
(以下、場合により過電流防止機能という)を有する。
なおここで、「モータ駆動手段への入力を禁止する」と
は、電流制御手段により生成された電流制御信号に無関
係に、モータ駆動手段への入力信号(正方向電流になる
と判定される電流方向の入力信号のみでよい)を強制的
に電流ゼロに相当する状態になるように制御することを
意味し、具体的には、例えば前述したHブリッジ回路を
構成する4個のFETのうち、正方向電流となる電流方
向の電流を流す場合に駆動させる2個のFET(そのう
ちの1個でもよい)をも強制的にオフ状態に維持する制
御を実行することを意味する。また、この場合の「駆動
禁止制御手段」も、後述する実施の形態例のようにアナ
ログ演算素子(コンパレータなど)を含む回路によって
安価に構成することができるし、或いは電流制御手段と
は別個のマイコンを含む回路によって構成することもで
きる。また、前記過大電流許容値は、例えば、前記モー
タ駆動手段を構成する素子(例えば、前記FET)やモ
ータコイルなどの損傷や劣化を引き起こす電流値よりも
若干低めに設定すればよい。なお、この過大電流許容値
は、前記逆電流許容値よりも大きな値となる。
【0009】この態様によれば、アシストモータの電流
検出値が前記過大電流許容値を越えると、その時点で正
方向電流になる電流方向の電流制御信号についても、モ
ータ駆動手段への入力が禁止されるため、結局、その正
方向電流も必ずゼロになる(なおこの場合、前述の逆電
流防止機能によって、逆方向電流も必ずゼロになってい
る)。このため、モータコイルなどの損傷等を引き起こ
す過大電流の発生も確実に防止できる。したがって、少
なくとも誤動作の可能性が低減された前述の逆電流に対
するフェールセーフ機能と、過大電流に対する確実なフ
ェールセーフ機能とを併せ持った、優れた電動パワース
テアリング装置が安価に実現できる。
検出値が前記過大電流許容値を越えると、その時点で正
方向電流になる電流方向の電流制御信号についても、モ
ータ駆動手段への入力が禁止されるため、結局、その正
方向電流も必ずゼロになる(なおこの場合、前述の逆電
流防止機能によって、逆方向電流も必ずゼロになってい
る)。このため、モータコイルなどの損傷等を引き起こ
す過大電流の発生も確実に防止できる。したがって、少
なくとも誤動作の可能性が低減された前述の逆電流に対
するフェールセーフ機能と、過大電流に対する確実なフ
ェールセーフ機能とを併せ持った、優れた電動パワース
テアリング装置が安価に実現できる。
【0010】なお、上記駆動禁止制御手段(逆電流防止
機能と過電流防止機能を備えたもの)は、例えば、次の
ような要素の組合せで簡単に構成できる。即ち、前記ア
シストモータの一方向(例えば、左回転方向)の電流許
容値を出力する一方向許容電流値作成部と、前記アシス
トモータの他方向(例えば、右回転方向)の電流許容値
を出力する他方向許容電流値作成部と、前記一方向許容
電流値作成部から出力されている電流許容値よりも前記
アシストモータの電流検出値が大きくなったことを判定
すると、前記一方向に対応する電流方向の前記電流制御
信号について、前記モータ駆動手段への入力を禁止する
一方向駆動禁止制御部と、前記他方向許容電流値作成部
から出力されている電流許容値よりも前記アシストモー
タの電流検出値が大きくなったことを判定すると、前記
他方向に対応する電流方向の前記電流制御信号につい
て、前記モータ駆動手段への入力を禁止する他方向駆動
禁止制御部とよりなる構成とする。そして、前記一方向
許容電流値作成部は、前記操舵トルク検出手段の出力
が、操舵トルク方向が反転する境界値又はその近傍に設
定されたしきい値よりも他方向側にある場合には、前記
逆電流許容値を作成して出力し、一方向側にある場合に
は、前記過大電流許容値を作成して出力する機能(以
下、場合により一方向許容電流切換機能という)を有
し、前記他方向許容電流値作成部は、前記操舵トルク検
出手段の出力が、操舵トルク方向が反転する境界値又は
その近傍に設定されたしきい値よりも一方向側にある場
合には、前記逆電流許容値を作成して出力し、他方向側
にある場合には、前記過大電流許容値を作成して出力す
る機能(以下、場合により他方向許容電流切換機能とい
う)を有する構成とすればよい。
機能と過電流防止機能を備えたもの)は、例えば、次の
ような要素の組合せで簡単に構成できる。即ち、前記ア
シストモータの一方向(例えば、左回転方向)の電流許
容値を出力する一方向許容電流値作成部と、前記アシス
トモータの他方向(例えば、右回転方向)の電流許容値
を出力する他方向許容電流値作成部と、前記一方向許容
電流値作成部から出力されている電流許容値よりも前記
アシストモータの電流検出値が大きくなったことを判定
すると、前記一方向に対応する電流方向の前記電流制御
信号について、前記モータ駆動手段への入力を禁止する
一方向駆動禁止制御部と、前記他方向許容電流値作成部
から出力されている電流許容値よりも前記アシストモー
タの電流検出値が大きくなったことを判定すると、前記
他方向に対応する電流方向の前記電流制御信号につい
て、前記モータ駆動手段への入力を禁止する他方向駆動
禁止制御部とよりなる構成とする。そして、前記一方向
許容電流値作成部は、前記操舵トルク検出手段の出力
が、操舵トルク方向が反転する境界値又はその近傍に設
定されたしきい値よりも他方向側にある場合には、前記
逆電流許容値を作成して出力し、一方向側にある場合に
は、前記過大電流許容値を作成して出力する機能(以
下、場合により一方向許容電流切換機能という)を有
し、前記他方向許容電流値作成部は、前記操舵トルク検
出手段の出力が、操舵トルク方向が反転する境界値又は
その近傍に設定されたしきい値よりも一方向側にある場
合には、前記逆電流許容値を作成して出力し、他方向側
にある場合には、前記過大電流許容値を作成して出力す
る機能(以下、場合により他方向許容電流切換機能とい
う)を有する構成とすればよい。
【0011】この場合、例えば操舵トルクの方向が前記
しきい値よりも一方向側であるときには、上記一方向又
は他方向許容電流切換機能によって前記他方向許容電流
値作成部の出力が前記逆電流許容値となり、前記一方向
許容電流値作成部の出力が前記過大電流許容値となる。
そしてこの状態で、アシストモータの電流検出値が前記
逆電流許容値を越えると、前記他方向駆動禁止制御部
が、前記他方向許容電流値作成部から出力されている電
流許容値よりも電流検出値が大きくなったと判定するか
ら、他方向の電流制御信号についてモータ駆動手段への
入力を禁止する(他方向のモータ電流を強制的にゼロと
する制御がなされる)。これにより、実際に流れている
電流方向に無関係に他方向の電流(即ち、逆電流)が禁
止され、前記逆電流許容値を越える過度な逆電流が確実
に阻止される。またこの状態で、アシストモータの電流
検出値がさらに増加して前記過大電流許容値を越える
と、前記一方向駆動禁止制御部が、前記一向許容電流値
作成部から出力されている電流許容値よりも電流検出値
が大きくなったと判定するから、一方向の電流制御信号
についてモータ駆動手段への入力を禁止する(一方向の
モータ電流が強制的にゼロとされる)。これにより、一
方向の電流(即ち、正方向電流)も停止され、前記過大
電流許容値を越える過度な正方向電流が確実に阻止され
る。なおこの場合、他方向の電流(即ち、逆電流)につ
いては、上述したように前記逆電流許容値を越えないよ
うに制御されるから、当然に前記過大電流許容値を越え
ることはない。また、操舵トルクの方向が前記しきい値
よりも他方向側であるときにも、同様にして、前記逆電
流許容値を越える過度な逆電流(この場合、一方向の電
流)が確実に阻止されるし、前記過大電流許容値を越え
る過度な正方向電流(この場合、他方向の電流)も確実
に阻止される。
しきい値よりも一方向側であるときには、上記一方向又
は他方向許容電流切換機能によって前記他方向許容電流
値作成部の出力が前記逆電流許容値となり、前記一方向
許容電流値作成部の出力が前記過大電流許容値となる。
そしてこの状態で、アシストモータの電流検出値が前記
逆電流許容値を越えると、前記他方向駆動禁止制御部
が、前記他方向許容電流値作成部から出力されている電
流許容値よりも電流検出値が大きくなったと判定するか
ら、他方向の電流制御信号についてモータ駆動手段への
入力を禁止する(他方向のモータ電流を強制的にゼロと
する制御がなされる)。これにより、実際に流れている
電流方向に無関係に他方向の電流(即ち、逆電流)が禁
止され、前記逆電流許容値を越える過度な逆電流が確実
に阻止される。またこの状態で、アシストモータの電流
検出値がさらに増加して前記過大電流許容値を越える
と、前記一方向駆動禁止制御部が、前記一向許容電流値
作成部から出力されている電流許容値よりも電流検出値
が大きくなったと判定するから、一方向の電流制御信号
についてモータ駆動手段への入力を禁止する(一方向の
モータ電流が強制的にゼロとされる)。これにより、一
方向の電流(即ち、正方向電流)も停止され、前記過大
電流許容値を越える過度な正方向電流が確実に阻止され
る。なおこの場合、他方向の電流(即ち、逆電流)につ
いては、上述したように前記逆電流許容値を越えないよ
うに制御されるから、当然に前記過大電流許容値を越え
ることはない。また、操舵トルクの方向が前記しきい値
よりも他方向側であるときにも、同様にして、前記逆電
流許容値を越える過度な逆電流(この場合、一方向の電
流)が確実に阻止されるし、前記過大電流許容値を越え
る過度な正方向電流(この場合、他方向の電流)も確実
に阻止される。
【0012】そしてこの場合、前記一方向許容電流値作
成部や他方向許容電流値作成部は、例えば後述する形態
例のように、操舵トルク検出手段の出力を入力信号とす
る回路であって、FETやコンパレータなどの素子と抵
抗を組み合わせた信号生成回路(前記逆電流許容値又は
過大電流許容値に相当する信号の何れかを操舵トルクの
検出出力に応じて切り換えて出力する回路)によって、
マイコンを用いずに極めて安価かつ簡素に構成できる。
また、前記一方向駆動禁止制御部や他方向駆動禁止制御
部も、例えば後述する形態例のように、アシストモータ
の電流検出値と上述の各許容電流値作成部の出力を比較
判定する比較判定回路(例えば、コンパレータ)と、こ
の比較判定回路の判定結果に応じて各電流方向の電流制
御信号の入力(モータ駆動手段への入力)をそれぞれ別
個に禁止する入力禁止手段(例えば、AND回路)によ
って、マイコンを用いずに極めて安価かつ簡素に構成で
きる。
成部や他方向許容電流値作成部は、例えば後述する形態
例のように、操舵トルク検出手段の出力を入力信号とす
る回路であって、FETやコンパレータなどの素子と抵
抗を組み合わせた信号生成回路(前記逆電流許容値又は
過大電流許容値に相当する信号の何れかを操舵トルクの
検出出力に応じて切り換えて出力する回路)によって、
マイコンを用いずに極めて安価かつ簡素に構成できる。
また、前記一方向駆動禁止制御部や他方向駆動禁止制御
部も、例えば後述する形態例のように、アシストモータ
の電流検出値と上述の各許容電流値作成部の出力を比較
判定する比較判定回路(例えば、コンパレータ)と、こ
の比較判定回路の判定結果に応じて各電流方向の電流制
御信号の入力(モータ駆動手段への入力)をそれぞれ別
個に禁止する入力禁止手段(例えば、AND回路)によ
って、マイコンを用いずに極めて安価かつ簡素に構成で
きる。
【0013】また、この場合の好ましい態様は、前記操
舵トルク検出手段として、極性の異なる二つのトルク信
号を出力する逆相トルクセンサを備え、この逆相トルク
センサの各トルク信号が、前記操舵トルク検出手段の出
力として、前記一方向許容電流値作成部又は前記他方向
許容電流値作成部のいずれか一方にそれぞれ入力されて
いる構成である。このようにすると、トルク方向に対し
て逆の動作をする前記一方向許容電流値作成部と他方向
許容電流値作成部が、例えば後述する形態例のように、
全く同じ構成の回路によって実現できる(入力されるト
ルク信号の極性が逆のため同一の回路で逆の動作が可能
となる)。このため、回路がより簡素化され、さらなる
コスト低減が図れる。
舵トルク検出手段として、極性の異なる二つのトルク信
号を出力する逆相トルクセンサを備え、この逆相トルク
センサの各トルク信号が、前記操舵トルク検出手段の出
力として、前記一方向許容電流値作成部又は前記他方向
許容電流値作成部のいずれか一方にそれぞれ入力されて
いる構成である。このようにすると、トルク方向に対し
て逆の動作をする前記一方向許容電流値作成部と他方向
許容電流値作成部が、例えば後述する形態例のように、
全く同じ構成の回路によって実現できる(入力されるト
ルク信号の極性が逆のため同一の回路で逆の動作が可能
となる)。このため、回路がより簡素化され、さらなる
コスト低減が図れる。
【0014】また、この場合の好ましい態様は、前記一
方向駆動禁止制御部に対する前記一方向許容電流値作成
部からの電流許容値の入力部、及び、前記他方向駆動禁
止制御部に対する前記他方向許容電流値作成部からの電
流許容値の入力部に、入力信号の急激な減少のみを吸収
する遅延要素を介在させる構成である。この構成によれ
ば、操舵トルクの方向が急に反転するような操作(例え
ば、ハンドル切り返し操作)が行われたときに、制御部
の応答遅れによって瞬間的に発生する大きな逆電流に対
する誤動作が、前記逆電流許容値を小さい値に設定した
としても防止できる。即ち、操舵トルクの方向が急に反
転した場合、これに伴って前記一方向許容電流値作成部
又は他方向許容電流値作成部から出力される電流許容値
が前記過大電流許容値から前記逆電流許容値に急に低下
しても、各駆動禁止制御部に対するこれらの電流許容値
の入力値は、上記遅延要素の作用によって徐々に低下す
る(つまり、反転直後には過大電流許容値に近い大きな
値に維持される)。このため、このトルク方向の反転直
後に逆電流許容値を越えるような逆電流が瞬間的に流れ
たとしても、その逆電流の大きさが前記過大電流許容値
に匹敵するような大きな値でなければ、いずれの駆動禁
止制御部もその逆電流方向のモータ駆動を禁止する動作
を実行しない。このため、このようなトルク方向の反転
による瞬間的かつ大きな逆電流による誤動作が防止さ
れ、しかも前記逆電流許容値は、このような大きな逆電
流を考慮せずに比較的小さな値に設定することができ
る。つまり、正常状態において発生するこのような瞬間
的な大きな逆電流を考慮する必要がなければ、その他の
比較的小さな正常時の逆電流(例えば、ハンドル角速度
の負帰還によるもの)に対処できればよくなるので、前
記逆電流許容値を異常時の逆電流の早期検出の点で好ま
しいより小さな値に設定できるという利点も得られる。
なお、上記「遅延要素」は、例えば充電時定数が小さく
放電時定数の大きいフィルタ回路(例えば、後述する形
態例のように抵抗やコンデンサとダイオードよりなるも
の)によりハード的に構成してもよいし、例えばマイコ
ンの演算処理により実現されるソフト的なものでもよ
い。
方向駆動禁止制御部に対する前記一方向許容電流値作成
部からの電流許容値の入力部、及び、前記他方向駆動禁
止制御部に対する前記他方向許容電流値作成部からの電
流許容値の入力部に、入力信号の急激な減少のみを吸収
する遅延要素を介在させる構成である。この構成によれ
ば、操舵トルクの方向が急に反転するような操作(例え
ば、ハンドル切り返し操作)が行われたときに、制御部
の応答遅れによって瞬間的に発生する大きな逆電流に対
する誤動作が、前記逆電流許容値を小さい値に設定した
としても防止できる。即ち、操舵トルクの方向が急に反
転した場合、これに伴って前記一方向許容電流値作成部
又は他方向許容電流値作成部から出力される電流許容値
が前記過大電流許容値から前記逆電流許容値に急に低下
しても、各駆動禁止制御部に対するこれらの電流許容値
の入力値は、上記遅延要素の作用によって徐々に低下す
る(つまり、反転直後には過大電流許容値に近い大きな
値に維持される)。このため、このトルク方向の反転直
後に逆電流許容値を越えるような逆電流が瞬間的に流れ
たとしても、その逆電流の大きさが前記過大電流許容値
に匹敵するような大きな値でなければ、いずれの駆動禁
止制御部もその逆電流方向のモータ駆動を禁止する動作
を実行しない。このため、このようなトルク方向の反転
による瞬間的かつ大きな逆電流による誤動作が防止さ
れ、しかも前記逆電流許容値は、このような大きな逆電
流を考慮せずに比較的小さな値に設定することができ
る。つまり、正常状態において発生するこのような瞬間
的な大きな逆電流を考慮する必要がなければ、その他の
比較的小さな正常時の逆電流(例えば、ハンドル角速度
の負帰還によるもの)に対処できればよくなるので、前
記逆電流許容値を異常時の逆電流の早期検出の点で好ま
しいより小さな値に設定できるという利点も得られる。
なお、上記「遅延要素」は、例えば充電時定数が小さく
放電時定数の大きいフィルタ回路(例えば、後述する形
態例のように抵抗やコンデンサとダイオードよりなるも
の)によりハード的に構成してもよいし、例えばマイコ
ンの演算処理により実現されるソフト的なものでもよ
い。
【0015】また、この発明の好ましい他の態様は、前
記駆動禁止制御手段(例えば、上述の一方向駆動禁止制
御部及び他方向駆動禁止制御部)に対するアシストモー
タの電流検出値の入力部に、入力信号の急激な増加のみ
を吸収する遅延要素を介在させたものである。この構成
によれば、正常状態において前記過大電流許容値をも越
えるような瞬間的な大電流が発生したとしても、これが
上記遅延要素の作用で吸収されて前記駆動禁止制御手段
には入力されないため、このような瞬間的な大電流によ
る前述のフェールセーフ機能の誤動作が防止される効果
が得られる。 なお、このような瞬間的な大電流は、例
えば、一時的に操舵方向と逆にモータが回転するような
操作(例えば、ハンドル端当て操作時)において発生す
る。この場合、相当な操舵トルクが生じている状態でモ
ータ駆動手段による通電方向が一時的にモータの回転方
向と逆になるため、モータの誘起電圧が電流をより増加
させる方向に作用し瞬間的にスパイク状の大電流が流れ
ることが分かっている。
記駆動禁止制御手段(例えば、上述の一方向駆動禁止制
御部及び他方向駆動禁止制御部)に対するアシストモー
タの電流検出値の入力部に、入力信号の急激な増加のみ
を吸収する遅延要素を介在させたものである。この構成
によれば、正常状態において前記過大電流許容値をも越
えるような瞬間的な大電流が発生したとしても、これが
上記遅延要素の作用で吸収されて前記駆動禁止制御手段
には入力されないため、このような瞬間的な大電流によ
る前述のフェールセーフ機能の誤動作が防止される効果
が得られる。 なお、このような瞬間的な大電流は、例
えば、一時的に操舵方向と逆にモータが回転するような
操作(例えば、ハンドル端当て操作時)において発生す
る。この場合、相当な操舵トルクが生じている状態でモ
ータ駆動手段による通電方向が一時的にモータの回転方
向と逆になるため、モータの誘起電圧が電流をより増加
させる方向に作用し瞬間的にスパイク状の大電流が流れ
ることが分かっている。
【0016】また、この発明の好ましい他の態様は、前
記駆動禁止制御手段が、何れかの電流方向の前記電流制
御信号について、前記モータ駆動手段への入力を禁止す
る場合(即ち、その電流方向のモータ駆動を禁止する場
合)には、その禁止を報知する禁止報知信号(その禁止
を指令する禁止信号自体が分岐して入力されてもよい)
が前記電流制御手段に入力される構成とされ、前記電流
制御手段は、前記禁止報知信号が入力されると、前記操
舵トルク検出手段の出力に無関係に、該当する電流方向
の前記電流制御信号を、電流値がゼロに対応するものに
制限する機能を有する構成である。この構成によれば、
まんがいち正常状態において前述のフェールセーフ機能
が実行されてモータ駆動が禁止され、その後この禁止状
態が解除された直後に、瞬間的に大電流が流れる恐れを
解消できる。即ち、前述のフェールセーフ機能では、モ
ータの電流検出値が前述の許容電流値を越えた場合、前
記操舵トルク検出手段の出力に無関係に、少なくとも該
当する電流方向のモータ駆動が強制的に禁止され、少な
くともその電流方向の電流値がゼロとなる。このため、
この強制的なモータ駆動の禁止が行われている間に、モ
ータの通電を要求する操舵トルク検出手段の出力が大き
な値として存在しているのに、実際のモータ電流値はゼ
ロであるという状況(即ち、電流制御手段におけるフィ
ードバック制御の偏差が増加する状況)が発生し、この
強制的なモータ駆動の禁止が解除された直後に、前記電
流制御手段から非常に大きな値の電流制御信号が出力さ
れて、瞬間的に大電流が流れる可能性がある。しかし、
上述した構成であると、モータ駆動が停止されている間
は、その電流方向の電流制御信号が、電流値がゼロに対
応するものに制限されるから、このような瞬間的な大電
流の発生が回避される。
記駆動禁止制御手段が、何れかの電流方向の前記電流制
御信号について、前記モータ駆動手段への入力を禁止す
る場合(即ち、その電流方向のモータ駆動を禁止する場
合)には、その禁止を報知する禁止報知信号(その禁止
を指令する禁止信号自体が分岐して入力されてもよい)
が前記電流制御手段に入力される構成とされ、前記電流
制御手段は、前記禁止報知信号が入力されると、前記操
舵トルク検出手段の出力に無関係に、該当する電流方向
の前記電流制御信号を、電流値がゼロに対応するものに
制限する機能を有する構成である。この構成によれば、
まんがいち正常状態において前述のフェールセーフ機能
が実行されてモータ駆動が禁止され、その後この禁止状
態が解除された直後に、瞬間的に大電流が流れる恐れを
解消できる。即ち、前述のフェールセーフ機能では、モ
ータの電流検出値が前述の許容電流値を越えた場合、前
記操舵トルク検出手段の出力に無関係に、少なくとも該
当する電流方向のモータ駆動が強制的に禁止され、少な
くともその電流方向の電流値がゼロとなる。このため、
この強制的なモータ駆動の禁止が行われている間に、モ
ータの通電を要求する操舵トルク検出手段の出力が大き
な値として存在しているのに、実際のモータ電流値はゼ
ロであるという状況(即ち、電流制御手段におけるフィ
ードバック制御の偏差が増加する状況)が発生し、この
強制的なモータ駆動の禁止が解除された直後に、前記電
流制御手段から非常に大きな値の電流制御信号が出力さ
れて、瞬間的に大電流が流れる可能性がある。しかし、
上述した構成であると、モータ駆動が停止されている間
は、その電流方向の電流制御信号が、電流値がゼロに対
応するものに制限されるから、このような瞬間的な大電
流の発生が回避される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態例を図
面に基づいて説明する。まず、本形態例の電動パワース
テアリング装置の概略(主に制御系の構成)を、図1に
より説明する。本装置は、車両の操舵系に連結されて操
舵補助トルクを発生するアシストモータ1(以下、場合
により単にモータ1という)と、このアシストモータ1
を駆動回路2を介して制御する制御回路3と、前記操舵
系の操舵トルクを検出する逆相トルクセンサ4と、モー
タ1の電流(絶対値)を検出する電流検出回路5と、左
方向許容電流値作成部6と、右方向許容電流値作成部7
と、左方向電流値判定部8と、右方向電流値判定部9
と、左方向駆動禁止部10と、右方向駆動禁止部11と
を備える。なお、制御回路3は、本発明の電流制御手段
を構成し、左方向許容電流値作成部6は本発明の一方向
許容電流値作成部を、右方向許容電流値作成部7は本発
明の他方向許容電流値作成部を、それぞれ構成してい
る。また、左方向電流値判定部8と左方向駆動禁止部1
0は、本発明の一方向駆動禁止制御部を構成し、また、
右方向電流値判定部9と右方向駆動禁止部11は、本発
明の他方向駆動禁止制御部を構成している。また、左方
向許容電流値作成部6、右方向許容電流値作成部7、左
方向電流値判定部8、右方向電流値判定部9、左方向駆
動禁止部10、及び右方向駆動禁止部11は、本発明の
駆動禁止制御手段を構成している。
面に基づいて説明する。まず、本形態例の電動パワース
テアリング装置の概略(主に制御系の構成)を、図1に
より説明する。本装置は、車両の操舵系に連結されて操
舵補助トルクを発生するアシストモータ1(以下、場合
により単にモータ1という)と、このアシストモータ1
を駆動回路2を介して制御する制御回路3と、前記操舵
系の操舵トルクを検出する逆相トルクセンサ4と、モー
タ1の電流(絶対値)を検出する電流検出回路5と、左
方向許容電流値作成部6と、右方向許容電流値作成部7
と、左方向電流値判定部8と、右方向電流値判定部9
と、左方向駆動禁止部10と、右方向駆動禁止部11と
を備える。なお、制御回路3は、本発明の電流制御手段
を構成し、左方向許容電流値作成部6は本発明の一方向
許容電流値作成部を、右方向許容電流値作成部7は本発
明の他方向許容電流値作成部を、それぞれ構成してい
る。また、左方向電流値判定部8と左方向駆動禁止部1
0は、本発明の一方向駆動禁止制御部を構成し、また、
右方向電流値判定部9と右方向駆動禁止部11は、本発
明の他方向駆動禁止制御部を構成している。また、左方
向許容電流値作成部6、右方向許容電流値作成部7、左
方向電流値判定部8、右方向電流値判定部9、左方向駆
動禁止部10、及び右方向駆動禁止部11は、本発明の
駆動禁止制御手段を構成している。
【0018】ここで、駆動回路2は、前述したHブリッ
ジ回路よりなるもので、Hブリッジ回路を構成する4個
のFET(図示省略)は制御回路3から出力されるPW
M駆動信号を含む駆動信号(本発明の電流制御信号に相
当)によって動作する。詳細に説明すると、例えばハン
ドルの左回転に相当する方向(以下、単に左方向とい
う)にモータ1を駆動する場合(即ち、左方向の電流を
流す場合)には、例えば低電位電源側に接続された一方
側のFETをオン状態に駆動したまま、高電位電源側に
接続された一方側のFETをPWM駆動する駆動信号が
出力され、ハンドルの右回転に相当する方向(以下、単
に右方向という)にモータ1を駆動する場合(即ち、右
方向の電流を流す場合)には、例えば低電位電源側に接
続された他方側のFETをオン状態に駆動したまま、高
電位電源側に接続された他方側のFETをPWM駆動す
る駆動信号が出力される。なお、図では、左方向の電流
を流す場合に使用される電流制御信号(上記一方側のF
ETの駆動信号)を、左方向出力ALとして示し、右方
向の電流を流す場合に使用される電流制御信号(上記他
方側のFETの駆動信号)を、右方向出力ARとして示
している。また、駆動禁止部10又は11で後述する如
く入力が禁止される信号は、必ずしも高電位電源側と低
電位電源側の両方のFETの駆動信号である必要はな
く、何れか一方側(高電位電源側又は低電位電源側)の
FETの駆動信号のみの入力が禁止される(即ち、入力
値がオフ状態のままとされる)構成でもよい。高電位電
源側又は低電位電源側の何れか一方のFETのみが、オ
フ状態のままであれば、その方向の電流はゼロになり、
駆動禁止部10又は11の機能が達成できるからであ
る。
ジ回路よりなるもので、Hブリッジ回路を構成する4個
のFET(図示省略)は制御回路3から出力されるPW
M駆動信号を含む駆動信号(本発明の電流制御信号に相
当)によって動作する。詳細に説明すると、例えばハン
ドルの左回転に相当する方向(以下、単に左方向とい
う)にモータ1を駆動する場合(即ち、左方向の電流を
流す場合)には、例えば低電位電源側に接続された一方
側のFETをオン状態に駆動したまま、高電位電源側に
接続された一方側のFETをPWM駆動する駆動信号が
出力され、ハンドルの右回転に相当する方向(以下、単
に右方向という)にモータ1を駆動する場合(即ち、右
方向の電流を流す場合)には、例えば低電位電源側に接
続された他方側のFETをオン状態に駆動したまま、高
電位電源側に接続された他方側のFETをPWM駆動す
る駆動信号が出力される。なお、図では、左方向の電流
を流す場合に使用される電流制御信号(上記一方側のF
ETの駆動信号)を、左方向出力ALとして示し、右方
向の電流を流す場合に使用される電流制御信号(上記他
方側のFETの駆動信号)を、右方向出力ARとして示
している。また、駆動禁止部10又は11で後述する如
く入力が禁止される信号は、必ずしも高電位電源側と低
電位電源側の両方のFETの駆動信号である必要はな
く、何れか一方側(高電位電源側又は低電位電源側)の
FETの駆動信号のみの入力が禁止される(即ち、入力
値がオフ状態のままとされる)構成でもよい。高電位電
源側又は低電位電源側の何れか一方のFETのみが、オ
フ状態のままであれば、その方向の電流はゼロになり、
駆動禁止部10又は11の機能が達成できるからであ
る。
【0019】次に制御回路3は、マイコンを含む回路で
構成され、逆相トルクセンサ4から出力される操舵トル
クの値に応じた電流指令値を演算し、この電流指令値に
基づいて電流制御信号を生成する機能の他に、駆動禁止
部10又は11によって後述する駆動禁止が実行される
ときに、電流指令値をゼロに制限する機能も実現する。
図6は、この制御回路3の機能を示した機能ブロック図
である。制御回路3は、機能的に図6に示すような要素
(電流指令値作成部3a、左方向指令値制限部3b、右
方向指令値制限部3c、及び電流制御部3d)を少なく
とも備えている。
構成され、逆相トルクセンサ4から出力される操舵トル
クの値に応じた電流指令値を演算し、この電流指令値に
基づいて電流制御信号を生成する機能の他に、駆動禁止
部10又は11によって後述する駆動禁止が実行される
ときに、電流指令値をゼロに制限する機能も実現する。
図6は、この制御回路3の機能を示した機能ブロック図
である。制御回路3は、機能的に図6に示すような要素
(電流指令値作成部3a、左方向指令値制限部3b、右
方向指令値制限部3c、及び電流制御部3d)を少なく
とも備えている。
【0020】このうち、電流指令値作成部3aでは、基
本的に逆相トルクセンサ4の出力(例えば後述のメイン
信号TM)から検知される操舵トルクの方向及び大きさ
に応じた電流指令値を生成し出力する。即ち、操舵トル
クが左方向の場合には、例えばその操舵トルクの大きさ
に比例した大きさの左方向の電流に相当する電流指令値
を生成する。なおこの場合、電流指令値作成部3aに
は、電流指令値を決定するパラメータとして図示省略し
た車速センサの出力(即ち、車速の信号)やハンドル角
速度の信号も入力されており、これらの信号によって電
流指令値が適宜変化することで、一律に操舵トルクに応
じたものでなく、状況に応じたより好ましい操舵補助ト
ルクを発生させる構成となっている。即ち、車速が比較
的小さいときには操舵補助トルクを比較的大きな値に設
定したり、或いは、前述したようにハンドル角速度の負
帰還処理を行うことによって、ハンドル角速度に応じて
操舵補助トルクが減少するように(或いは逆方向の操舵
補助トルクとなるように)、電流指令値を変化させる処
理も行われる。
本的に逆相トルクセンサ4の出力(例えば後述のメイン
信号TM)から検知される操舵トルクの方向及び大きさ
に応じた電流指令値を生成し出力する。即ち、操舵トル
クが左方向の場合には、例えばその操舵トルクの大きさ
に比例した大きさの左方向の電流に相当する電流指令値
を生成する。なおこの場合、電流指令値作成部3aに
は、電流指令値を決定するパラメータとして図示省略し
た車速センサの出力(即ち、車速の信号)やハンドル角
速度の信号も入力されており、これらの信号によって電
流指令値が適宜変化することで、一律に操舵トルクに応
じたものでなく、状況に応じたより好ましい操舵補助ト
ルクを発生させる構成となっている。即ち、車速が比較
的小さいときには操舵補助トルクを比較的大きな値に設
定したり、或いは、前述したようにハンドル角速度の負
帰還処理を行うことによって、ハンドル角速度に応じて
操舵補助トルクが減少するように(或いは逆方向の操舵
補助トルクとなるように)、電流指令値を変化させる処
理も行われる。
【0021】また、左方向指令値制限部3b、右方向指
令値制限部3cでは、後述する左駆動禁止信号BL或い
は右駆動禁止信号BRが入力されると、電流指令値作成
部3aの出力の大きさに無関係に、該当する方向の電流
指令値を強制的にゼロにする。また、電流制御部3dで
は、電流指令値と実際のモータ電流値(電流検出回路5
の出力)から、PWM駆動信号のデューティ比を含む電
流制御信号の内容を決定し、さらにそれをFET駆動用
の信号に変換して出力する。例えば、電流指令値が左方
向の電流を指令するものであれば、左方向出力ALとし
てPWM駆動信号を含む所定の駆動信号を出力すること
を決定し、そのPWM駆動信号のデューティ比は、例え
ば電流指令値の大きさを実際のモータ電流値(即ち、フ
ィードバック値)の大きさとの差(即ち、偏差)に応じ
て修正した値とする。つまり、フィードバック制御によ
って、実際の電流値の大きさと方向が電流指令値の大き
さと方向に追従するように、電流制御信号の内容を決定
する。
令値制限部3cでは、後述する左駆動禁止信号BL或い
は右駆動禁止信号BRが入力されると、電流指令値作成
部3aの出力の大きさに無関係に、該当する方向の電流
指令値を強制的にゼロにする。また、電流制御部3dで
は、電流指令値と実際のモータ電流値(電流検出回路5
の出力)から、PWM駆動信号のデューティ比を含む電
流制御信号の内容を決定し、さらにそれをFET駆動用
の信号に変換して出力する。例えば、電流指令値が左方
向の電流を指令するものであれば、左方向出力ALとし
てPWM駆動信号を含む所定の駆動信号を出力すること
を決定し、そのPWM駆動信号のデューティ比は、例え
ば電流指令値の大きさを実際のモータ電流値(即ち、フ
ィードバック値)の大きさとの差(即ち、偏差)に応じ
て修正した値とする。つまり、フィードバック制御によ
って、実際の電流値の大きさと方向が電流指令値の大き
さと方向に追従するように、電流制御信号の内容を決定
する。
【0022】また図7は、この制御回路3の概略の動作
を示したフローチャートである。制御回路3は、まずス
テップS1で、前述した電流指令値作成部3aの機能に
相当する処理を実行して電流指令値を生成する。次い
で、ステップS2では、後述する左駆動禁止信号BLが
入力されているか否か判定し、入力されていればステッ
プS3に進み、入力されていなければステップS5に進
む。次に、ステップS3では、ステップS1で生成され
た電流指令値の電流の向きが左方向か否か判定し、左方
向であればステップS4に進み、そうでなければステッ
プS5に進む。そして、ステップS4では、前述の左方
向指令値制限部3bの機能を実現すべく、電流指令値の
値をゼロに更新設定する。一方、ステップS5では、後
述する右駆動禁止信号BRが入力されているか否か判定
し、入力されていればステップS6に進み、入力されて
いなければステップS8に進む。次に、ステップS6で
は、ステップS1で生成された電流指令値の電流の向き
が右方向か否か判定し、右方向であればステップS7に
進み、そうでなければステップS8に進む。そして、ス
テップS7では、前述の右方向指令値制限部3cの機能
を実現すべく、電流指令値の値をゼロに更新設定する。
そしてステップS8では、ここまでの処理で設定された
電流指令値の値に基づいて、前述の電流制御部3dの機
能に相当する処理を実行する。なお、ここで電流指令値
がゼロの場合には、制御回路3の出力信号(左方向出力
ALや右方向出力AR)に含まれるPWM駆動信号のデ
ューティ比もゼロとなり、駆動禁止部10,11の作動
が解除された直後でもアシストモータ1の駆動が行われ
ない。
を示したフローチャートである。制御回路3は、まずス
テップS1で、前述した電流指令値作成部3aの機能に
相当する処理を実行して電流指令値を生成する。次い
で、ステップS2では、後述する左駆動禁止信号BLが
入力されているか否か判定し、入力されていればステッ
プS3に進み、入力されていなければステップS5に進
む。次に、ステップS3では、ステップS1で生成され
た電流指令値の電流の向きが左方向か否か判定し、左方
向であればステップS4に進み、そうでなければステッ
プS5に進む。そして、ステップS4では、前述の左方
向指令値制限部3bの機能を実現すべく、電流指令値の
値をゼロに更新設定する。一方、ステップS5では、後
述する右駆動禁止信号BRが入力されているか否か判定
し、入力されていればステップS6に進み、入力されて
いなければステップS8に進む。次に、ステップS6で
は、ステップS1で生成された電流指令値の電流の向き
が右方向か否か判定し、右方向であればステップS7に
進み、そうでなければステップS8に進む。そして、ス
テップS7では、前述の右方向指令値制限部3cの機能
を実現すべく、電流指令値の値をゼロに更新設定する。
そしてステップS8では、ここまでの処理で設定された
電流指令値の値に基づいて、前述の電流制御部3dの機
能に相当する処理を実行する。なお、ここで電流指令値
がゼロの場合には、制御回路3の出力信号(左方向出力
ALや右方向出力AR)に含まれるPWM駆動信号のデ
ューティ比もゼロとなり、駆動禁止部10,11の作動
が解除された直後でもアシストモータ1の駆動が行われ
ない。
【0023】次に、逆相トルクセンサ4は、例えば操舵
軸のねじれ角度を操舵トルクの値として検出するポテン
ショメータ(可変抵抗器)よりなるもので、操舵トルク
の右方向への増加に伴って出力値(この場合電圧)が増
加するメイン信号TMと、操舵トルクの右方向への増加
に伴って出力値(この場合電圧)が減少するサブ信号T
Sとを出力する。なおこの場合、図2の詳細図に示すよ
うに、メイン信号TMやサブ信号TSの電圧出力ライン
は、抵抗4a,4bを介して高電位電源側に接続され、
逆相トルクセンサ4内の各相の抵抗値(回路上は抵抗4
a,4bと低電位電源の間に直列接続されたセンサ内抵
抗の抵抗値)が操舵トルク(操舵軸のねじれ)の変化に
応じて変化することで、各電圧出力ラインの出力電圧
(即ち、メイン信号TMやサブ信号TSの値)が操舵ト
ルクに応じた値となる。次に、電流検出回路5は、例え
ば駆動回路2の低電位電源側に接続されたシャント抵抗
(図示省略)の両端電位差を電流検出値として出力する
アナログ演算回路で、通常、このアナログ演算回路の出
力を波形成形するフィルタ回路(例えば、図2の詳細図
に示す抵抗12及びコンデンサ13よりなるもの)が付
設される。
軸のねじれ角度を操舵トルクの値として検出するポテン
ショメータ(可変抵抗器)よりなるもので、操舵トルク
の右方向への増加に伴って出力値(この場合電圧)が増
加するメイン信号TMと、操舵トルクの右方向への増加
に伴って出力値(この場合電圧)が減少するサブ信号T
Sとを出力する。なおこの場合、図2の詳細図に示すよ
うに、メイン信号TMやサブ信号TSの電圧出力ライン
は、抵抗4a,4bを介して高電位電源側に接続され、
逆相トルクセンサ4内の各相の抵抗値(回路上は抵抗4
a,4bと低電位電源の間に直列接続されたセンサ内抵
抗の抵抗値)が操舵トルク(操舵軸のねじれ)の変化に
応じて変化することで、各電圧出力ラインの出力電圧
(即ち、メイン信号TMやサブ信号TSの値)が操舵ト
ルクに応じた値となる。次に、電流検出回路5は、例え
ば駆動回路2の低電位電源側に接続されたシャント抵抗
(図示省略)の両端電位差を電流検出値として出力する
アナログ演算回路で、通常、このアナログ演算回路の出
力を波形成形するフィルタ回路(例えば、図2の詳細図
に示す抵抗12及びコンデンサ13よりなるもの)が付
設される。
【0024】次に、左方向許容電流値作成部6は、逆相
トルクセンサ4のメイン信号TMが、操舵トルク方向が
反転する境界値(即ち、操舵トルクの大きさがゼロに相
当する値)又はその近傍に設定されたしきい値よりも右
方向側にある場合には、逆電流許容値を作成して出力
し、左方向側にある場合には、過大電流許容値を作成し
て出力する機能(一方向許容電流切換機能)を有する回
路である。具体的には、この場合図2の詳細図に示すよ
うに、抵抗21,22,23とFET24よりなる。抵
抗21,22は、FET24のドレイン端子と高電位電
源間に直列に接続され、これら抵抗22,23間に接続
された電圧出力ライン25が許容電流値の出力ラインと
なっている。また、抵抗23は、FET24のソース端
子(低電位電源側)と電圧出力ライン25との間に接続
されている。そして、FET24がオンとなって抵抗2
1,22,23の分圧作用で生成された電圧出力ライン
25の比較的低い電圧値が、逆電流許容値に相当する大
きさとなり、FET24がオフとなって抵抗21,23
の分圧作用で生成された電圧出力ライン25の比較的大
きな電圧値が、過大電流許容値に相当する大きさとなる
ように、抵抗21,22,23の値がそれぞれ設定され
ている。また、FET24のソース端子は低電位電源側
(グランド側)に接続され、さらにFET24のゲート
端子は、抵抗26を介して前述のメイン信号TMの電圧
出力ラインに接続されるとともに、抵抗27を介して低
電位電源側に接続されている。そして、抵抗26,27
の抵抗値は、メイン信号TMが前記しきい値よりも右方
向側にある場合(つまり、基本的に操舵トルクの方向が
右方向の場合)にはFET24がオンして逆電流許容値
が出力され、メイン信号TMが前記しきい値よりも左方
向側にある場合(つまり、基本的に操舵トルクの方向が
左方向の場合)にはFET24がオフして過大電流許容
値が出力されるように、設定されている。
トルクセンサ4のメイン信号TMが、操舵トルク方向が
反転する境界値(即ち、操舵トルクの大きさがゼロに相
当する値)又はその近傍に設定されたしきい値よりも右
方向側にある場合には、逆電流許容値を作成して出力
し、左方向側にある場合には、過大電流許容値を作成し
て出力する機能(一方向許容電流切換機能)を有する回
路である。具体的には、この場合図2の詳細図に示すよ
うに、抵抗21,22,23とFET24よりなる。抵
抗21,22は、FET24のドレイン端子と高電位電
源間に直列に接続され、これら抵抗22,23間に接続
された電圧出力ライン25が許容電流値の出力ラインと
なっている。また、抵抗23は、FET24のソース端
子(低電位電源側)と電圧出力ライン25との間に接続
されている。そして、FET24がオンとなって抵抗2
1,22,23の分圧作用で生成された電圧出力ライン
25の比較的低い電圧値が、逆電流許容値に相当する大
きさとなり、FET24がオフとなって抵抗21,23
の分圧作用で生成された電圧出力ライン25の比較的大
きな電圧値が、過大電流許容値に相当する大きさとなる
ように、抵抗21,22,23の値がそれぞれ設定され
ている。また、FET24のソース端子は低電位電源側
(グランド側)に接続され、さらにFET24のゲート
端子は、抵抗26を介して前述のメイン信号TMの電圧
出力ラインに接続されるとともに、抵抗27を介して低
電位電源側に接続されている。そして、抵抗26,27
の抵抗値は、メイン信号TMが前記しきい値よりも右方
向側にある場合(つまり、基本的に操舵トルクの方向が
右方向の場合)にはFET24がオンして逆電流許容値
が出力され、メイン信号TMが前記しきい値よりも左方
向側にある場合(つまり、基本的に操舵トルクの方向が
左方向の場合)にはFET24がオフして過大電流許容
値が出力されるように、設定されている。
【0025】また、右方向許容電流値作成部7は、逆相
トルクセンサ4のサブ信号TSが、操舵トルク方向が反
転する境界値(即ち、操舵トルクの大きさがゼロに相当
する値)又はその近傍に設定されたしきい値よりも左方
向側にある場合には、逆電流許容値を作成して出力し、
右方向側にある場合には、過大電流許容値を作成して出
力する機能(他方向許容電流切換機能)を有する回路で
ある。具体的には、図2の詳細図に示すように、左方向
許容電流値作成部6と同様の構成となっている(同符号
を付して重複する説明を省略する)。
トルクセンサ4のサブ信号TSが、操舵トルク方向が反
転する境界値(即ち、操舵トルクの大きさがゼロに相当
する値)又はその近傍に設定されたしきい値よりも左方
向側にある場合には、逆電流許容値を作成して出力し、
右方向側にある場合には、過大電流許容値を作成して出
力する機能(他方向許容電流切換機能)を有する回路で
ある。具体的には、図2の詳細図に示すように、左方向
許容電流値作成部6と同様の構成となっている(同符号
を付して重複する説明を省略する)。
【0026】次に、左方向電流値判定部8は、左方向許
容電流値作成部6から出力されている電流許容値よりも
電流検出回路5の電流検出値が大きくなったことを判定
すると、左方向に対応する電流方向の電流制御信号(即
ち、左方向出力AL)について駆動回路2への入力を禁
止する左駆動禁止信号BL(この場合、Lレベル電圧)
を出力する回路である。この場合具体的には、図2に示
すように、左方向許容電流値作成部6からの出力と、電
流検出回路5の出力とを入力信号として比較し、電流検
出回路5の出力の方が大きいと、出力電圧がLレベル
(低電位側)になるコンパレータによって構成されてい
る。また、右方向電流値判定部9は、右方向許容電流値
作成部7から出力されている電流許容値よりも電流検出
回路5の電流検出値が大きくなったことを判定すると、
右方向に対応する電流方向の電流制御信号(即ち、右方
向出力AR)について駆動回路2への入力を禁止する右
駆動禁止信号BR(この場合、Lレベル電圧)を出力す
る回路である。この場合具体的には、図2に示すよう
に、左方向電流値判定部8と同様のコンパレータによっ
て構成されている。
容電流値作成部6から出力されている電流許容値よりも
電流検出回路5の電流検出値が大きくなったことを判定
すると、左方向に対応する電流方向の電流制御信号(即
ち、左方向出力AL)について駆動回路2への入力を禁
止する左駆動禁止信号BL(この場合、Lレベル電圧)
を出力する回路である。この場合具体的には、図2に示
すように、左方向許容電流値作成部6からの出力と、電
流検出回路5の出力とを入力信号として比較し、電流検
出回路5の出力の方が大きいと、出力電圧がLレベル
(低電位側)になるコンパレータによって構成されてい
る。また、右方向電流値判定部9は、右方向許容電流値
作成部7から出力されている電流許容値よりも電流検出
回路5の電流検出値が大きくなったことを判定すると、
右方向に対応する電流方向の電流制御信号(即ち、右方
向出力AR)について駆動回路2への入力を禁止する右
駆動禁止信号BR(この場合、Lレベル電圧)を出力す
る回路である。この場合具体的には、図2に示すよう
に、左方向電流値判定部8と同様のコンパレータによっ
て構成されている。
【0027】次に、左方向駆動禁止部10は、左方向電
流値判定部8から出力される上述の左駆動禁止信号BL
に従って、前述の左方向出力ALの駆動回路2への入力
を禁止する要素である。この場合具体的には、左方向出
力ALと左駆動禁止信号BLを入力信号とし、出力が駆
動回路2の所定のFETの駆動信号として接続されたA
ND回路により構成されている。この場合、左駆動禁止
信号BLが出力されていると、このAND回路の一方の
入力がLレベル電圧になるため、左方向出力ALのオン
信号(駆動回路2の所定のFETをオンさせるHレベル
電圧)が入力されても、このAND回路の出力はオフ状
態(Lレベル電圧)に維持されるため、該当するFET
は全く駆動されずオフ状態のままとなる。また同様に、
右方向駆動禁止部11は、右方向電流値判定部9から出
力される前述の右駆動禁止信号BRに従って、前述の右
方向出力ARの駆動回路2への入力を禁止する要素(こ
の場合AND回路)である。
流値判定部8から出力される上述の左駆動禁止信号BL
に従って、前述の左方向出力ALの駆動回路2への入力
を禁止する要素である。この場合具体的には、左方向出
力ALと左駆動禁止信号BLを入力信号とし、出力が駆
動回路2の所定のFETの駆動信号として接続されたA
ND回路により構成されている。この場合、左駆動禁止
信号BLが出力されていると、このAND回路の一方の
入力がLレベル電圧になるため、左方向出力ALのオン
信号(駆動回路2の所定のFETをオンさせるHレベル
電圧)が入力されても、このAND回路の出力はオフ状
態(Lレベル電圧)に維持されるため、該当するFET
は全く駆動されずオフ状態のままとなる。また同様に、
右方向駆動禁止部11は、右方向電流値判定部9から出
力される前述の右駆動禁止信号BRに従って、前述の右
方向出力ARの駆動回路2への入力を禁止する要素(こ
の場合AND回路)である。
【0028】以上説明した装置によれば、マイコンが一
つだけの上述したような簡単な構成でありながら、マイ
コンの異常等によって起こる逆電流及び過大電流に対し
て次のような優れた動作が実現される。即ち、図4
(a)に示すように、操舵トルクの方向(逆相トルクセ
ンサ4のメイン信号TMやサブ信号TSの値)が前記し
きい値(左方向許容電流値作成部6や右方向許容電流値
作成部7のFET24の作動状態が切り換わる値)より
も左方向側であるときには、右方向許容電流値作成部7
の出力(即ち、右方向の電流の許容値)が逆電流許容値
となり、左方向許容電流値作成部6の出力(即ち、左方
向の電流の許容値)が過大電流許容値となる。そしてこ
の状態で、アシストモータ1の電流検出値(絶対値)が
逆電流許容値を越えると、右方向電流値判定部9が、右
方向許容電流値作成部7から出力されている電流許容値
よりも電流検出値が大きくなったと判定し、右駆動禁止
信号BRを出力するから、右方向駆動禁止部11の動作
によって右方向の電流制御信号(右方向出力AR)の駆
動回路2への入力が禁止される。これにより、実際に流
れている電流方向に無関係に右方向の電流(即ち、逆電
流)が禁止され、逆電流許容値を越える過度な逆電流が
確実に阻止される。
つだけの上述したような簡単な構成でありながら、マイ
コンの異常等によって起こる逆電流及び過大電流に対し
て次のような優れた動作が実現される。即ち、図4
(a)に示すように、操舵トルクの方向(逆相トルクセ
ンサ4のメイン信号TMやサブ信号TSの値)が前記し
きい値(左方向許容電流値作成部6や右方向許容電流値
作成部7のFET24の作動状態が切り換わる値)より
も左方向側であるときには、右方向許容電流値作成部7
の出力(即ち、右方向の電流の許容値)が逆電流許容値
となり、左方向許容電流値作成部6の出力(即ち、左方
向の電流の許容値)が過大電流許容値となる。そしてこ
の状態で、アシストモータ1の電流検出値(絶対値)が
逆電流許容値を越えると、右方向電流値判定部9が、右
方向許容電流値作成部7から出力されている電流許容値
よりも電流検出値が大きくなったと判定し、右駆動禁止
信号BRを出力するから、右方向駆動禁止部11の動作
によって右方向の電流制御信号(右方向出力AR)の駆
動回路2への入力が禁止される。これにより、実際に流
れている電流方向に無関係に右方向の電流(即ち、逆電
流)が禁止され、逆電流許容値を越える過度な逆電流が
確実に阻止される。
【0029】またこの状態で、アシストモータ1の電流
検出値(絶対値)がさらに増加して過大電流許容値を越
えると、左方向電流値判定部8が、左方向許容電流値作
成部6から出力されている電流許容値よりも電流検出値
が大きくなったと判定し、左駆動禁止信号BLを出力す
るから、左方向駆動禁止部10の動作によって左方向の
電流制御信号(左方向出力AL)の駆動回路2への入力
が禁止される。これにより、左方向の電流(即ち、正方
向電流)も停止され、過大電流許容値を越える過度な正
方向電流が確実に阻止される。なおこの場合、右方向の
電流(即ち、逆電流)については、上述したように逆電
流許容値を越えないように制御されるから、当然に過大
電流許容値を越えることはない。また、操舵トルクの方
向が前記しきい値よりも右方向側であるときにも、同様
にして、逆電流許容値を越える過度な逆電流(この場
合、左方向の電流)が確実に阻止されるし、過大電流許
容値を越える過度な正方向電流(この場合、右方向の電
流)が確実に阻止される。
検出値(絶対値)がさらに増加して過大電流許容値を越
えると、左方向電流値判定部8が、左方向許容電流値作
成部6から出力されている電流許容値よりも電流検出値
が大きくなったと判定し、左駆動禁止信号BLを出力す
るから、左方向駆動禁止部10の動作によって左方向の
電流制御信号(左方向出力AL)の駆動回路2への入力
が禁止される。これにより、左方向の電流(即ち、正方
向電流)も停止され、過大電流許容値を越える過度な正
方向電流が確実に阻止される。なおこの場合、右方向の
電流(即ち、逆電流)については、上述したように逆電
流許容値を越えないように制御されるから、当然に過大
電流許容値を越えることはない。また、操舵トルクの方
向が前記しきい値よりも右方向側であるときにも、同様
にして、逆電流許容値を越える過度な逆電流(この場
合、左方向の電流)が確実に阻止されるし、過大電流許
容値を越える過度な正方向電流(この場合、右方向の電
流)が確実に阻止される。
【0030】つまり、この装置によれば、アシストモー
タ1の電流検出値が逆電流許容値を越えると、その時点
で逆電流になる電流方向の電流制御信号について、モー
タ駆動手段(この場合、駆動回路2)への入力が禁止さ
れるため、結局、逆電流が必ずゼロになる。しかし逆に
いうと、アシストモータ1の電流検出値が逆電流許容値
を越えていなければ、逆電流になる電流方向の電流制御
信号の入力が禁止されず、逆電流をモータに流す動作が
許容される。このため、逆電流許容値の設定によって、
ある程度の逆電流を許容しつつ、過度な逆電流(異常状
態での逆電流)を確実に防止できる。つまり、正常状態
で生じる逆電流のうち逆電流許容値以下の電流値の低い
ものについては、その電流によるモータの駆動が許容さ
れる。したがって、誤動作の可能性が少なくとも格段に
低減された逆電流に対するフェールセーフ機能を持った
電動パワーステアリング装置が実現できる。特に、逆電
流許容値を、電流制御手段(この場合、制御回路3)で
正常に生成される電流制御信号に対応した逆電流の最大
値よりも大きく設定した場合には、正常状態で生じる逆
電流が全て許容されるため、正常状態にもかかわらず逆
電流を禁止する前述の機能(即ち、逆電流防止機能)が
働いてしまう誤動作が全く生じなくなる。これにより、
前述したハンドル角速度の負帰還による制御も問題なく
実施できるようになる。また、前述した応答遅れによる
一時的な逆電流による誤動作も生じなくなる。
タ1の電流検出値が逆電流許容値を越えると、その時点
で逆電流になる電流方向の電流制御信号について、モー
タ駆動手段(この場合、駆動回路2)への入力が禁止さ
れるため、結局、逆電流が必ずゼロになる。しかし逆に
いうと、アシストモータ1の電流検出値が逆電流許容値
を越えていなければ、逆電流になる電流方向の電流制御
信号の入力が禁止されず、逆電流をモータに流す動作が
許容される。このため、逆電流許容値の設定によって、
ある程度の逆電流を許容しつつ、過度な逆電流(異常状
態での逆電流)を確実に防止できる。つまり、正常状態
で生じる逆電流のうち逆電流許容値以下の電流値の低い
ものについては、その電流によるモータの駆動が許容さ
れる。したがって、誤動作の可能性が少なくとも格段に
低減された逆電流に対するフェールセーフ機能を持った
電動パワーステアリング装置が実現できる。特に、逆電
流許容値を、電流制御手段(この場合、制御回路3)で
正常に生成される電流制御信号に対応した逆電流の最大
値よりも大きく設定した場合には、正常状態で生じる逆
電流が全て許容されるため、正常状態にもかかわらず逆
電流を禁止する前述の機能(即ち、逆電流防止機能)が
働いてしまう誤動作が全く生じなくなる。これにより、
前述したハンドル角速度の負帰還による制御も問題なく
実施できるようになる。また、前述した応答遅れによる
一時的な逆電流による誤動作も生じなくなる。
【0031】また本形態例にあっては、前述したよう
に、上述の逆電流防止機能に加えて、過大電流許容値を
越える正方向電流を阻止する機能(過電流防止機能)を
も有する。このため、モータコイルなどの損傷等を引き
起こす過大電流の発生も確実に防止できる。またこの装
置では、逆電流が実際に流れたことを検出してモータ駆
動を停止するのでなく、逆電流許容値よりもアシストモ
ータ1の電流検出値が大きくなったことを判定すると、
その時点で逆電流になると判定される電流方向の電流制
御信号について、モータ駆動手段への入力を禁止するこ
とで、逆電流防止機能を実現している。即ち、操舵トル
ク検出手段の出力(逆相トルクセンサ4のメイン信号T
Mやサブ信号TSの値)から検知される操舵トルク方向
と反対側の電流方向(即ち、逆電流の方向)について
は、その方向に過度な電流が実際に流れているか否かに
無関係に、アシストモータ1の電流検出値(絶対値)が
逆電流許容値を越えたときに、その方向のモータ駆動手
段の動作を禁止し、これにより逆電流許容値を越える逆
電流の発生を結果的に未然防止する構成となっている。
このため、アシストモータ1の電流検出値としては、前
述したように絶対値のみが検出されていればよく、モー
タ電流の方向までも検出内容に含む必要がないので、電
流検出回路5の構成が簡単になる。
に、上述の逆電流防止機能に加えて、過大電流許容値を
越える正方向電流を阻止する機能(過電流防止機能)を
も有する。このため、モータコイルなどの損傷等を引き
起こす過大電流の発生も確実に防止できる。またこの装
置では、逆電流が実際に流れたことを検出してモータ駆
動を停止するのでなく、逆電流許容値よりもアシストモ
ータ1の電流検出値が大きくなったことを判定すると、
その時点で逆電流になると判定される電流方向の電流制
御信号について、モータ駆動手段への入力を禁止するこ
とで、逆電流防止機能を実現している。即ち、操舵トル
ク検出手段の出力(逆相トルクセンサ4のメイン信号T
Mやサブ信号TSの値)から検知される操舵トルク方向
と反対側の電流方向(即ち、逆電流の方向)について
は、その方向に過度な電流が実際に流れているか否かに
無関係に、アシストモータ1の電流検出値(絶対値)が
逆電流許容値を越えたときに、その方向のモータ駆動手
段の動作を禁止し、これにより逆電流許容値を越える逆
電流の発生を結果的に未然防止する構成となっている。
このため、アシストモータ1の電流検出値としては、前
述したように絶対値のみが検出されていればよく、モー
タ電流の方向までも検出内容に含む必要がないので、電
流検出回路5の構成が簡単になる。
【0032】また本形態例では、操舵トルク検出手段と
して、極性の異なる二つのトルク信号TM,TSを出力
する逆相トルクセンサ4を備え、この逆相トルクセンサ
4の各トルク信号が、操舵トルク検出手段の出力とし
て、左方向許容電流値作成部6又は右方向許容電流値作
成部7のいずれか一方にそれぞれ入力されている構成で
ある。このため、トルク方向に対して逆の動作をする左
方向許容電流値作成部6と右方向許容電流値作成部7
が、上述したように、全く同じ構成の回路によって実現
できる(入力されるトルク信号の極性が逆のため同一の
回路で逆の動作が可能となる)。このため、回路がより
簡素化され、さらなるコスト低減が図れる。したがって
本形態例によれば、少なくとも誤動作の可能性が格段に
低減された逆電流に対するフェールセーフ機能と、過大
電流に対する確実なフェールセーフ機能とを併せ持っ
た、優れた電動パワーステアリング装置が極めて安価に
実現できる。
して、極性の異なる二つのトルク信号TM,TSを出力
する逆相トルクセンサ4を備え、この逆相トルクセンサ
4の各トルク信号が、操舵トルク検出手段の出力とし
て、左方向許容電流値作成部6又は右方向許容電流値作
成部7のいずれか一方にそれぞれ入力されている構成で
ある。このため、トルク方向に対して逆の動作をする左
方向許容電流値作成部6と右方向許容電流値作成部7
が、上述したように、全く同じ構成の回路によって実現
できる(入力されるトルク信号の極性が逆のため同一の
回路で逆の動作が可能となる)。このため、回路がより
簡素化され、さらなるコスト低減が図れる。したがって
本形態例によれば、少なくとも誤動作の可能性が格段に
低減された逆電流に対するフェールセーフ機能と、過大
電流に対する確実なフェールセーフ機能とを併せ持っ
た、優れた電動パワーステアリング装置が極めて安価に
実現できる。
【0033】また、本形態例の装置は、右駆動禁止信号
BR又は左駆動禁止信号BLが出力されて、何れかの電
流方向のモータ駆動が禁止される場合には、その禁止を
報知する禁止報知信号(この場合、右駆動禁止信号BR
又は左駆動禁止信号BLそのもの)が図6に示すように
制御回路3に入力される構成とされ、制御回路3は、こ
の信号が入力されると、操舵トルクの大きさに無関係
に、該当する電流方向の電流指令値をゼロに制限する機
能(前述の左方向指令値制限部3b又は右方向指令値制
限部3cの機能)を有する構成である。このため、まん
がいち正常状態において前述のフェールセーフ機能が実
行されてモータ駆動が禁止され、その後この禁止状態が
解除された直後に、瞬間的に大電流が流れる恐れを解消
できる特長も有する。即ち、前述のフェールセーフ機能
では、モータの電流検出値が前述の許容電流値を越えた
場合、操舵トルクに無関係に、少なくとも該当する電流
方向のモータ駆動が強制的に禁止され、少なくともその
電流方向の電流値がゼロとなる。このため、この強制的
なモータ駆動の停止が行われている間に、モータの通電
を要求する操舵トルクが大きな値として存在しているの
に、実際のモータ電流値はゼロであるという状況(即
ち、電流制御部3dにおけるフィードバック制御の偏差
が増加する状況)が発生し、この強制的なモータ駆動の
禁止が解除された直後に、制御回路3(電流制御部3
d)から非常に大きな値の電流制御信号が出力されて、
瞬間的に大電流が流れる可能性がある。しかし、上述し
た構成であると、モータ駆動が禁止されている間は、そ
の電流方向の電流指令値や電流制御信号が、電流値がゼ
ロに対応するものに制限されるから、このような瞬間的
な大電流の発生が回避される。
BR又は左駆動禁止信号BLが出力されて、何れかの電
流方向のモータ駆動が禁止される場合には、その禁止を
報知する禁止報知信号(この場合、右駆動禁止信号BR
又は左駆動禁止信号BLそのもの)が図6に示すように
制御回路3に入力される構成とされ、制御回路3は、こ
の信号が入力されると、操舵トルクの大きさに無関係
に、該当する電流方向の電流指令値をゼロに制限する機
能(前述の左方向指令値制限部3b又は右方向指令値制
限部3cの機能)を有する構成である。このため、まん
がいち正常状態において前述のフェールセーフ機能が実
行されてモータ駆動が禁止され、その後この禁止状態が
解除された直後に、瞬間的に大電流が流れる恐れを解消
できる特長も有する。即ち、前述のフェールセーフ機能
では、モータの電流検出値が前述の許容電流値を越えた
場合、操舵トルクに無関係に、少なくとも該当する電流
方向のモータ駆動が強制的に禁止され、少なくともその
電流方向の電流値がゼロとなる。このため、この強制的
なモータ駆動の停止が行われている間に、モータの通電
を要求する操舵トルクが大きな値として存在しているの
に、実際のモータ電流値はゼロであるという状況(即
ち、電流制御部3dにおけるフィードバック制御の偏差
が増加する状況)が発生し、この強制的なモータ駆動の
禁止が解除された直後に、制御回路3(電流制御部3
d)から非常に大きな値の電流制御信号が出力されて、
瞬間的に大電流が流れる可能性がある。しかし、上述し
た構成であると、モータ駆動が禁止されている間は、そ
の電流方向の電流指令値や電流制御信号が、電流値がゼ
ロに対応するものに制限されるから、このような瞬間的
な大電流の発生が回避される。
【0034】なお本発明は、上記形態例に限られるもの
でなく、課題を解決するための手段の欄でも述べたよう
に、各種の態様や変形があり得る。以下、上記形態例に
対する変形例の主なものを説明する。まず、上記形態例
において正方向の電流許容値(過大電流許容値)を特に
設定せず(例えば、許容電流値作成部6,7が逆電流許
容値のみを常に出力する構成とする)、上記形態例に示
した構成においては、過大な逆電流のみを阻止するよう
な態様(即ち、例えば過大電流に対するフェールセーフ
機能は別個の回路構成により実現する態様)も原理的に
はあり得る。但し、このような構成とすれば、当然にコ
スト高になる不利があり、その点では上記形態例が極め
て優れている。また、左方向許容電流値作成部6、右方
向許容電流値作成部7、左方向電流値判定部8、或いは
右方向電流値判定部9については、制御回路3とは別個
のマイコンを含む回路によって構成することもできる。
二つのマイコンが同時に異常になる確率は極めて低いた
め、この場合でも逆電流等に対する信頼性の高いフェー
ルセーフ機能が実現できる。但し、マイコンは上述した
コンパレータなどの素子の組合せに比して高価なので、
やはりコスト面では上記形態例が優れている。
でなく、課題を解決するための手段の欄でも述べたよう
に、各種の態様や変形があり得る。以下、上記形態例に
対する変形例の主なものを説明する。まず、上記形態例
において正方向の電流許容値(過大電流許容値)を特に
設定せず(例えば、許容電流値作成部6,7が逆電流許
容値のみを常に出力する構成とする)、上記形態例に示
した構成においては、過大な逆電流のみを阻止するよう
な態様(即ち、例えば過大電流に対するフェールセーフ
機能は別個の回路構成により実現する態様)も原理的に
はあり得る。但し、このような構成とすれば、当然にコ
スト高になる不利があり、その点では上記形態例が極め
て優れている。また、左方向許容電流値作成部6、右方
向許容電流値作成部7、左方向電流値判定部8、或いは
右方向電流値判定部9については、制御回路3とは別個
のマイコンを含む回路によって構成することもできる。
二つのマイコンが同時に異常になる確率は極めて低いた
め、この場合でも逆電流等に対する信頼性の高いフェー
ルセーフ機能が実現できる。但し、マイコンは上述した
コンパレータなどの素子の組合せに比して高価なので、
やはりコスト面では上記形態例が優れている。
【0035】また、左方向電流値判定部8に対する左方
向許容電流値作成部6からの電流許容値の入力部、及
び、右方向電流値判定部9に対する右方向許容電流値作
成部7からの電流許容値の入力部に、例えば図3に符号
30で示すようなフィルタ回路を介在させてもよい。こ
のフィルタ回路30は、CRフィルタとしての抵抗31
とコンデンサ32の他に、抵抗31と並列接続されたダ
イオード33を有し、このダイオード33の働きで充電
時定数よりも放電時定数が大きくなっている。即ち、電
流許容値の信号の立ち上がりを早く伝達し、立ち下がり
を遅く伝達する遅延要素となっている。
向許容電流値作成部6からの電流許容値の入力部、及
び、右方向電流値判定部9に対する右方向許容電流値作
成部7からの電流許容値の入力部に、例えば図3に符号
30で示すようなフィルタ回路を介在させてもよい。こ
のフィルタ回路30は、CRフィルタとしての抵抗31
とコンデンサ32の他に、抵抗31と並列接続されたダ
イオード33を有し、このダイオード33の働きで充電
時定数よりも放電時定数が大きくなっている。即ち、電
流許容値の信号の立ち上がりを早く伝達し、立ち下がり
を遅く伝達する遅延要素となっている。
【0036】このような要素が設けられると、各電流値
判定部8,9に対する入力信号(電流許容値)の急激な
減少のみが吸収され、操舵トルクの方向が急激に反転す
るような操作(ハンドル切り返し操作)が行われたとき
に、制御回路3の応答遅れによって瞬間的に発生する大
きな逆電流に対する誤動作が、逆電流許容値を小さい値
に設定したとしても防止できる。即ち、操舵トルクの方
向が急激に反転した場合、これに伴って何れかの許容電
流値作成部6又は7から出力される電流許容値が過大電
流許容値から逆電流許容値に急激に低下しても、対応す
る電流値判定部8又は9に対するこれらの電流許容値の
入力値は、上記フィルタ回路30(遅延要素)の作用に
よって徐々に低下する。つまり、図4(b)の矢印X
L,XRに示すように、許容電流値の特性線における反
転部分KR,KLの位置がトルク方向外側に一時的に傾
斜し、反転直後は、電流許容値の値が過大電流許容値に
近い大きな値に維持される。このため、図4(b)の点
線Cに示すように、このトルク方向の反転直後に逆電流
許容値を越えるような逆電流が瞬間的に流れたとして
も、その逆電流の大きさが過大電流許容値に匹敵するよ
うな大きな値でない限り、いずれの電流値判定部8又は
9も電流検出値が電流許容値を越えたと判定しないの
で、その逆電流方向のモータ駆動を禁止する駆動禁止信
号を出力しない。このため、このようなトルク方向の反
転による瞬間的かつ大きな逆電流による誤動作が防止さ
れ、しかも逆電流許容値自体の大きさは、図4(b)に
示す如く、このような大きな逆電流を考慮せずに比較的
小さな値に設定することができる。つまり、正常状態に
おいて発生するこのような瞬間的な大きな逆電流を考慮
する必要がなければ、その他の比較的小さな正常時の逆
電流に対処できればよくなるので、前記逆電流許容値を
異常時の逆電流の早期検出の点で好ましいより小さな値
に設定できるという利点も得られる。
判定部8,9に対する入力信号(電流許容値)の急激な
減少のみが吸収され、操舵トルクの方向が急激に反転す
るような操作(ハンドル切り返し操作)が行われたとき
に、制御回路3の応答遅れによって瞬間的に発生する大
きな逆電流に対する誤動作が、逆電流許容値を小さい値
に設定したとしても防止できる。即ち、操舵トルクの方
向が急激に反転した場合、これに伴って何れかの許容電
流値作成部6又は7から出力される電流許容値が過大電
流許容値から逆電流許容値に急激に低下しても、対応す
る電流値判定部8又は9に対するこれらの電流許容値の
入力値は、上記フィルタ回路30(遅延要素)の作用に
よって徐々に低下する。つまり、図4(b)の矢印X
L,XRに示すように、許容電流値の特性線における反
転部分KR,KLの位置がトルク方向外側に一時的に傾
斜し、反転直後は、電流許容値の値が過大電流許容値に
近い大きな値に維持される。このため、図4(b)の点
線Cに示すように、このトルク方向の反転直後に逆電流
許容値を越えるような逆電流が瞬間的に流れたとして
も、その逆電流の大きさが過大電流許容値に匹敵するよ
うな大きな値でない限り、いずれの電流値判定部8又は
9も電流検出値が電流許容値を越えたと判定しないの
で、その逆電流方向のモータ駆動を禁止する駆動禁止信
号を出力しない。このため、このようなトルク方向の反
転による瞬間的かつ大きな逆電流による誤動作が防止さ
れ、しかも逆電流許容値自体の大きさは、図4(b)に
示す如く、このような大きな逆電流を考慮せずに比較的
小さな値に設定することができる。つまり、正常状態に
おいて発生するこのような瞬間的な大きな逆電流を考慮
する必要がなければ、その他の比較的小さな正常時の逆
電流に対処できればよくなるので、前記逆電流許容値を
異常時の逆電流の早期検出の点で好ましいより小さな値
に設定できるという利点も得られる。
【0037】また、各電流値判定部8,9に対する電流
検出値の入力部に、例えば図3に符号40で示すような
フィルタ回路を介在させてもよい。このフィルタ回路4
0は、CRフィルタとしての抵抗41とコンデンサ42
の他に、抵抗41と並列接続されたダイオード43を有
し、このダイオード43の働きで放電時定数よりも充電
時定数が大きくなっている。即ち、電流検出値の信号の
立ち上がりを遅く伝達し、立ち下がりを早く伝達する遅
延要素となっている。このような要素が設けられると、
各電流値判定部8,9に対する入力信号(電流検出値)
の急激な増加のみが吸収され、以下のような効果が得ら
れる。即ち、正常状態において過大電流許容値をも越え
るような瞬間的な大電流(例えば、前述したスパイク状
電流)が発生したとしても、これが上記フィルタ回路4
0(遅延要素)の作用で吸収されて各電流値判定部8,
9には入力されないため、このような瞬間的な大電流に
よる前述のフェールセーフ機能の誤動作が防止される効
果が得られる。
検出値の入力部に、例えば図3に符号40で示すような
フィルタ回路を介在させてもよい。このフィルタ回路4
0は、CRフィルタとしての抵抗41とコンデンサ42
の他に、抵抗41と並列接続されたダイオード43を有
し、このダイオード43の働きで放電時定数よりも充電
時定数が大きくなっている。即ち、電流検出値の信号の
立ち上がりを遅く伝達し、立ち下がりを早く伝達する遅
延要素となっている。このような要素が設けられると、
各電流値判定部8,9に対する入力信号(電流検出値)
の急激な増加のみが吸収され、以下のような効果が得ら
れる。即ち、正常状態において過大電流許容値をも越え
るような瞬間的な大電流(例えば、前述したスパイク状
電流)が発生したとしても、これが上記フィルタ回路4
0(遅延要素)の作用で吸収されて各電流値判定部8,
9には入力されないため、このような瞬間的な大電流に
よる前述のフェールセーフ機能の誤動作が防止される効
果が得られる。
【0038】次に、各許容電流値作成部6,7は、例え
ば図5(b)に示すようなコンパレータ51によってそ
れぞれ構成することもできる。この場合、コンパレータ
51のマイナス側入力端子には、抵抗52,53で分圧
されてなる一定の電圧値が、前述のしきい値としてそれ
ぞれ入力されている。また、コンパレータ51のプラス
側入力端子には、操舵トルクの検出信号(前記メイン信
号TM又はサブ信号TS)がそれぞれ入力されている。
そして、コンパレータ51では、プラス側入力端子の電
圧(即ち、前記メイン信号TM又はサブ信号TS)がマ
イナス側入力端子の電圧(即ち、前記しきい値)よりも
大きくなると出力電圧をLレベルとし、逆の場合にはH
レベルとする。このため、例えば、操舵トルクの方向
(メイン信号TMやサブ信号TSの値)が前記しきい値
よりも左方向側であるとき(メイン信号TMがしきい値
より小さく、サブ信号TSがしきい値より大きいとき)
には、右方向許容電流値作成部7の出力(即ち、右方向
の電流の許容値)が逆電流許容値となり、左方向許容電
流値作成部6の出力(即ち、左方向の電流の許容値)が
過大電流許容値となって、前述の図2に示した回路と同
様の動作が可能となる。
ば図5(b)に示すようなコンパレータ51によってそ
れぞれ構成することもできる。この場合、コンパレータ
51のマイナス側入力端子には、抵抗52,53で分圧
されてなる一定の電圧値が、前述のしきい値としてそれ
ぞれ入力されている。また、コンパレータ51のプラス
側入力端子には、操舵トルクの検出信号(前記メイン信
号TM又はサブ信号TS)がそれぞれ入力されている。
そして、コンパレータ51では、プラス側入力端子の電
圧(即ち、前記メイン信号TM又はサブ信号TS)がマ
イナス側入力端子の電圧(即ち、前記しきい値)よりも
大きくなると出力電圧をLレベルとし、逆の場合にはH
レベルとする。このため、例えば、操舵トルクの方向
(メイン信号TMやサブ信号TSの値)が前記しきい値
よりも左方向側であるとき(メイン信号TMがしきい値
より小さく、サブ信号TSがしきい値より大きいとき)
には、右方向許容電流値作成部7の出力(即ち、右方向
の電流の許容値)が逆電流許容値となり、左方向許容電
流値作成部6の出力(即ち、左方向の電流の許容値)が
過大電流許容値となって、前述の図2に示した回路と同
様の動作が可能となる。
【0039】また、操舵トルク検出手段は、上述の形態
例のような2相式の逆相トルクセンサ4に限られず、1
相式のものでもよい。例えば、図5(a)に示すよう
に、一方のコンパレータ51aの入力信号の接続をプラ
スマイナス逆にすれば、同様の動作が可能となる。ま
た、左方向駆動禁止部10や右方向駆動禁止部11は、
必ずしもAND回路で構成する態様に限られず、例えば
リレー等によっても構成できる。また、各許容電流値作
成部6,7におけるしきい値(例えば図5(b)の抵抗
52,53の分圧として設定される値)は、必ずしも操
舵トルク方向が反転する境界値(即ち、操舵トルクの大
きさがゼロに相当する値)に設定する必要はなく、例え
ば左方向許容電流値作成部6では、前記境界値よりも操
舵トルクの左方向側にずらして設定してもよい。このよ
うにすると、図4に示すような電流許容値の特性図にお
いて、電流許容値が逆電流許容値から過大電流許容値へ
(或いは、過大電流許容値から逆電流許容値へ)と変化
する部分(図4(b)において符号KR,KLで示す部
分)が、図4(b)の矢印XL,XRに示すように、原
点位置よりも操舵トルク方向の外側に移動し、操舵トル
クがゼロの位置の近傍における駆動領域(前述の駆動禁
止を行わない領域)が広がることになって、トルクセン
サ4のゼロ点位置の誤差等による誤動作がさらに解消さ
れる効果がある。
例のような2相式の逆相トルクセンサ4に限られず、1
相式のものでもよい。例えば、図5(a)に示すよう
に、一方のコンパレータ51aの入力信号の接続をプラ
スマイナス逆にすれば、同様の動作が可能となる。ま
た、左方向駆動禁止部10や右方向駆動禁止部11は、
必ずしもAND回路で構成する態様に限られず、例えば
リレー等によっても構成できる。また、各許容電流値作
成部6,7におけるしきい値(例えば図5(b)の抵抗
52,53の分圧として設定される値)は、必ずしも操
舵トルク方向が反転する境界値(即ち、操舵トルクの大
きさがゼロに相当する値)に設定する必要はなく、例え
ば左方向許容電流値作成部6では、前記境界値よりも操
舵トルクの左方向側にずらして設定してもよい。このよ
うにすると、図4に示すような電流許容値の特性図にお
いて、電流許容値が逆電流許容値から過大電流許容値へ
(或いは、過大電流許容値から逆電流許容値へ)と変化
する部分(図4(b)において符号KR,KLで示す部
分)が、図4(b)の矢印XL,XRに示すように、原
点位置よりも操舵トルク方向の外側に移動し、操舵トル
クがゼロの位置の近傍における駆動領域(前述の駆動禁
止を行わない領域)が広がることになって、トルクセン
サ4のゼロ点位置の誤差等による誤動作がさらに解消さ
れる効果がある。
【0040】
【発明の効果】この発明によれば、アシストモータの電
流検出値が逆電流許容値を越えると、その時点で逆電流
になる電流方向の電流制御信号について、モータ駆動手
段への入力が禁止されるため、結局、逆電流が必ずゼロ
になる。しかし逆にいうと、アシストモータの電流検出
値が逆電流許容値を越えていなければ、逆電流になる電
流方向の電流制御信号の入力が禁止されず、逆電流をモ
ータに流す動作が許容される。このため、逆電流許容値
の設定によって、ある程度の逆電流を許容しつつ、過度
な逆電流(異常状態での逆電流)を確実に防止できる。
つまり、正常状態で生じる逆電流のうち逆電流許容値以
下の電流値の低いものについては、その電流によるモー
タの駆動が許容される。したがって、誤動作の可能性が
少なくとも格段に低減された逆電流に対するフェールセ
ーフ機能を持った電動パワーステアリング装置が実現で
きる。特に、逆電流許容値を、電流制御手段で正常に生
成される電流制御信号に対応した逆電流の最大値よりも
大きく設定した場合には、正常状態で生じる逆電流が全
て許容されるため、正常状態にもかかわらず逆電流を防
止する上述の機能が働いてしまう誤動作が全く生じなく
なる。これにより、前述したハンドル角速度の負帰還に
よる制御も問題なく実施できるようになる。また、前述
した応答遅れによる一時的な逆電流による誤動作も生じ
なくなる。
流検出値が逆電流許容値を越えると、その時点で逆電流
になる電流方向の電流制御信号について、モータ駆動手
段への入力が禁止されるため、結局、逆電流が必ずゼロ
になる。しかし逆にいうと、アシストモータの電流検出
値が逆電流許容値を越えていなければ、逆電流になる電
流方向の電流制御信号の入力が禁止されず、逆電流をモ
ータに流す動作が許容される。このため、逆電流許容値
の設定によって、ある程度の逆電流を許容しつつ、過度
な逆電流(異常状態での逆電流)を確実に防止できる。
つまり、正常状態で生じる逆電流のうち逆電流許容値以
下の電流値の低いものについては、その電流によるモー
タの駆動が許容される。したがって、誤動作の可能性が
少なくとも格段に低減された逆電流に対するフェールセ
ーフ機能を持った電動パワーステアリング装置が実現で
きる。特に、逆電流許容値を、電流制御手段で正常に生
成される電流制御信号に対応した逆電流の最大値よりも
大きく設定した場合には、正常状態で生じる逆電流が全
て許容されるため、正常状態にもかかわらず逆電流を防
止する上述の機能が働いてしまう誤動作が全く生じなく
なる。これにより、前述したハンドル角速度の負帰還に
よる制御も問題なく実施できるようになる。また、前述
した応答遅れによる一時的な逆電流による誤動作も生じ
なくなる。
【0041】また本発明は、逆電流が実際に流れたこと
を検出してモータ駆動を停止するのでなく、逆電流許容
値よりもアシストモータの電流検出値が大きくなったこ
とを判定すると、その時点で逆電流になると判定される
電流方向の電流制御信号について、モータ駆動手段への
入力を禁止することで、逆電流防止機能を実現してい
る。つまり、例えば操舵トルク検出手段の出力から検知
される操舵トルク方向と反対側の電流方向(即ち、逆電
流の方向)については、その方向に過度な電流が実際に
流れているか否かに無関係に、アシストモータの電流検
出値が逆電流許容値を越えたときに、その方向のモータ
駆動手段の動作を禁止し、これにより逆電流許容値を越
える逆電流の発生を結果的に未然防止する構成となって
いる。このため、アシストモータの電流検出値として
は、絶対値のみが検出されていればよく、モータ電流の
方向までも検出内容に含む必要がないので、電流検出回
路の構成が簡単になり、ひいてはこのようなフェールセ
ーフ機能をもった電動パワーステアリング装置が安価に
実現できる
を検出してモータ駆動を停止するのでなく、逆電流許容
値よりもアシストモータの電流検出値が大きくなったこ
とを判定すると、その時点で逆電流になると判定される
電流方向の電流制御信号について、モータ駆動手段への
入力を禁止することで、逆電流防止機能を実現してい
る。つまり、例えば操舵トルク検出手段の出力から検知
される操舵トルク方向と反対側の電流方向(即ち、逆電
流の方向)については、その方向に過度な電流が実際に
流れているか否かに無関係に、アシストモータの電流検
出値が逆電流許容値を越えたときに、その方向のモータ
駆動手段の動作を禁止し、これにより逆電流許容値を越
える逆電流の発生を結果的に未然防止する構成となって
いる。このため、アシストモータの電流検出値として
は、絶対値のみが検出されていればよく、モータ電流の
方向までも検出内容に含む必要がないので、電流検出回
路の構成が簡単になり、ひいてはこのようなフェールセ
ーフ機能をもった電動パワーステアリング装置が安価に
実現できる
【図1】電動パワーステアリング装置の制御系の概略を
示す図である。
示す図である。
【図2】電動パワーステアリング装置の制御系の詳細図
である。
である。
【図3】電動パワーステアリング装置の制御系(変形
例)の詳細図である。
例)の詳細図である。
【図4】逆電流防止機能等を説明する図(許容電流特性
図)である。
図)である。
【図5】許容電流値作成部の他の構成例を示す図であ
る。
る。
【図6】制御回路の機能ブロック図である。
【図7】制御回路の動作を示すフローチャートである。
1 アシストモータ 2 駆動回路(モータ駆動手段) 3 制御回路(電流制御手段) 4 逆相トルクセンサ(操舵トルク検出手段) 5 電流検出回路 6 左方向許容電流値作成部(一方向許容電流値作成
部) 7 右方向許容電流値作成部(他方向許容電流値作成
部) 8 左方向電流値判定部(一方向駆動禁止制御部) 9 右方向電流値判定部(他方向駆動禁止制御部) 10 左方向駆動禁止部(一方向駆動禁止制御部) 11 右方向駆動禁止部(他方向駆動禁止制御部) AL 左方向出力(電流制御信号) AR 右方向出力(電流制御信号) TM メイン出力(トルク信号) TS サブ出力(トルク信号)
部) 7 右方向許容電流値作成部(他方向許容電流値作成
部) 8 左方向電流値判定部(一方向駆動禁止制御部) 9 右方向電流値判定部(他方向駆動禁止制御部) 10 左方向駆動禁止部(一方向駆動禁止制御部) 11 右方向駆動禁止部(他方向駆動禁止制御部) AL 左方向出力(電流制御信号) AR 右方向出力(電流制御信号) TM メイン出力(トルク信号) TS サブ出力(トルク信号)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 117:00 B62D 117:00 119:00 119:00 Fターム(参考) 3D032 CC26 CC40 CC48 DA15 DA64 DD17 DE09 EA01 EC23 3D033 CA03 CA16 CA20 CA28 CA32 MA04 5H571 AA03 EE02 FF09 GG04 HA09 HC01 HD02 JJ03 JJ26 KK04 LL22 MM02
Claims (8)
- 【請求項1】 車両の操舵系に連結されて操舵補助トル
クを発生するためのアシストモータと、前記操舵系の操
舵トルクの方向及び大きさを検出する操舵トルク検出手
段と、この操舵トルク検出手段の出力に応じて前記アシ
ストモータの電流制御信号を生成して出力する電流制御
手段と、この電流制御手段が出力した前記電流制御信号
に応じて前記アシストモータに所定方向かつ所定量の電
流を流すためのモータ駆動手段とを備えた電動パワース
テアリング装置において、 前記操舵トルクと逆方向に前記アシストモータを回転さ
せようとする逆電流を防止すべく設定された逆電流許容
値よりも、前記アシストモータの電流検出値が大きくな
ったことを判定すると、その時点で前記逆電流になると
判定される電流方向の前記電流制御信号について、前記
モータ駆動手段への入力を禁止する機能を有する駆動禁
止制御手段を、 前記電流制御手段とは別個に設けたことを特徴とする電
動パワーステアリング装置。 - 【請求項2】 前記駆動禁止制御手段は、 前記アシストモータの電流の大きさが過大となることを
防止すべく前記逆電流許容値以上の値に設定された過大
電流許容値よりも、前記アシストモータの電流検出値が
大きくなったことを判定すると、その時点で前記逆電流
でないと判定される電流方向の前記電流制御信号につい
ても、前記モータ駆動手段への入力を禁止する機能をさ
らに有することを特徴とする請求項1記載の電動パワー
ステアリング装置。 - 【請求項3】 前記駆動禁止制御手段は、 前記アシストモータの一方向の電流許容値を出力する一
方向許容電流値作成部と、 前記アシストモータの他方向の電流許容値を出力する他
方向許容電流値作成部と、 前記一方向許容電流値作成部から出力されている電流許
容値よりも前記アシストモータの電流検出値が大きくな
ったことを判定すると、前記一方向に対応する電流方向
の前記電流制御信号について、前記モータ駆動手段への
入力を禁止する一方向駆動禁止制御部と、 前記他方向許容電流値作成部から出力されている電流許
容値よりも前記アシストモータの電流検出値が大きくな
ったことを判定すると、前記他方向に対応する電流方向
の前記電流制御信号について、前記モータ駆動手段への
入力を禁止する他方向駆動禁止制御部とよりなり、 前記一方向許容電流値作成部は、 前記操舵トルク検出手段の出力が、操舵トルク方向が反
転する境界値又はその近傍に設定されたしきい値よりも
他方向側にある場合には、前記逆電流許容値を作成して
出力し、一方向側にある場合には、前記過大電流許容値
を作成して出力する機能を有し、 前記他方向許容電流値作成部は、 前記操舵トルク検出手段の出力が、操舵トルク方向が反
転する境界値又はその近傍に設定されたしきい値よりも
一方向側にある場合には、前記逆電流許容値を作成して
出力し、他方向側にある場合には、前記過大電流許容値
を作成して出力する機能を有することを特徴とする請求
項2記載の電動パワーステアリング装置。 - 【請求項4】 前記操舵トルク検出手段として、極性の
異なる二つのトルク信号を出力する逆相トルクセンサを
備え、 この逆相トルクセンサの各トルク信号が、前記操舵トル
ク検出手段の出力として、前記一方向許容電流値作成部
又は前記他方向許容電流値作成部のいずれか一方にそれ
ぞれ入力されていることを特徴とする請求項3記載の電
動パワーステアリング装置。 - 【請求項5】 前記一方向駆動禁止制御部に対する前記
一方向許容電流値作成部からの電流許容値の入力部、及
び、前記他方向駆動禁止制御部に対する前記他方向許容
電流値作成部からの電流許容値の入力部に、入力信号の
急激な減少のみを吸収する遅延要素を介在させたことを
特徴とする請求項3又は4記載の電動パワーステアリン
グ装置。 - 【請求項6】 前記逆電流許容値を、前記電流制御手段
で正常に生成される電流制御信号に対応した前記逆電流
の最大値よりも大きく設定したことを特徴とする請求項
1乃至5の何れかに記載の電動パワーステアリング装
置。 - 【請求項7】 前記駆動禁止制御手段に対する前記電流
検出値の入力部に、入力信号の急激な増加のみを吸収す
る遅延要素を介在させたことを特徴とする請求項1乃至
6の何れかに記載の電動パワーステアリング装置。 - 【請求項8】 前記駆動禁止制御手段が、何れかの電流
方向の前記電流制御信号について、前記モータ駆動手段
への入力を禁止する場合には、その禁止を報知する禁止
報知信号が前記電流制御手段に入力される構成とされ、 前記電流制御手段は、前記禁止報知信号が入力される
と、前記操舵トルク検出手段の出力に無関係に、該当す
る電流方向の前記電流制御信号を、電流値がゼロに対応
するものに制限する機能を有することを特徴とする請求
項1乃至7の何れかに記載の電動パワーステアリング装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000050341A JP2001233233A (ja) | 2000-02-25 | 2000-02-25 | 電動パワーステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000050341A JP2001233233A (ja) | 2000-02-25 | 2000-02-25 | 電動パワーステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001233233A true JP2001233233A (ja) | 2001-08-28 |
Family
ID=18572132
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000050341A Pending JP2001233233A (ja) | 2000-02-25 | 2000-02-25 | 電動パワーステアリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001233233A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010155598A (ja) * | 2008-12-05 | 2010-07-15 | Nsk Ltd | 電動パワーステアリング装置 |
-
2000
- 2000-02-25 JP JP2000050341A patent/JP2001233233A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010155598A (ja) * | 2008-12-05 | 2010-07-15 | Nsk Ltd | 電動パワーステアリング装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9975572B2 (en) | In-vehicle device controller and power steering device | |
JP3946994B2 (ja) | 電動パワーステアリング制御装置 | |
JP6547857B2 (ja) | 電子制御装置及びそれを搭載した電動パワーステアリング装置 | |
US10214235B2 (en) | Power steering device and power steering device control unit | |
JP3460885B2 (ja) | 電動パワーステアリング制御装置 | |
US10864937B2 (en) | Electric power steering apparatus | |
EP0800979B1 (en) | Electric motor driving apparatus | |
EP1149754B1 (en) | Controller for vehicle steering apparatus and method for detecting abnormality in the controller | |
JP4392013B2 (ja) | エラーの遮断を制御するための電動機の調整 | |
JP5298478B2 (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
US7624838B2 (en) | Electric power steering control apparatus | |
KR20140008465A (ko) | 전동 파워 스티어링 장치 | |
US20050189897A1 (en) | Motor-driven power steering control apparatus | |
JP2008295122A (ja) | モータ制御装置及びこれを用いた電動パワーステアリング制御装置 | |
JP4075622B2 (ja) | 電動パワーステアリング装置の制御システム | |
JP4612508B2 (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
JP2001233233A (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
JP3755800B2 (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
JP2006051912A (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
JP3581583B2 (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
JP2005206070A (ja) | 電動パワーステアリング装置の制御装置 | |
WO2022244640A1 (ja) | アクチュエータ駆動装置、及び、それを備えるステアリングシステム | |
JP6504283B2 (ja) | 電動パワーステアリング装置の制御装置 | |
JP3759868B2 (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
JPH0597042A (ja) | 電動パワーステアリング装置 |