JP3662790B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータの発生するトルクを運転者の操舵トルクに付勢させ、操舵力の軽減を図る電動パワーステアリング装置に関するもので、特にコントロールユニットに異常が発生した場合に対処する電動パワーステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
運転者のハンドル操舵力に応じた付勢トルクをモータにより発生させ、操舵力の軽減を図るパワーステアリング装置は広く車両に用いられている。従来装置では、運転者の操舵力を検知するトルクセンサをステアリング系の入力側に設けるとともに、出力側には付勢トルクを発生させるモータを有している。モータはトルクセンサの検知した操舵力、車速等の車両の状態に応じてコントロールユニットによる駆動電流で制御される。電動パワーステアリング用のモータとしては、一般に直流モータが用いられている。直流モータでは、発生するトルクは駆動電流にほぼ比例する特性を持つため、コントロールユニットによってモータの駆動電流を目標電流値に対するフィードバック制御を行うことにより、モータ駆動実電流を制御し、結果として適切な付勢(アシスト)トルクを発生することができ、パワーステアリング装置としての動作を実現している。
【0003】
電流フィードバック制御は、操舵トルクや車速に応じた適切なアシストトルクを発生するためのモータ電流指令値を求め、一方モータに流れている電流値を電流検出手段により検出し、両者の偏差を減少させるように作動する。しかし、電流検出手段に異常が発生した場合に、モータに流れる電流値が検出できなくなると両者の偏差が大となり、この偏差を埋め合わせるべく電流フィードバック制御出力が不正に変化し、特に大きなモータ駆動電圧を出力し、結果として過電流がモータに供給されることになる。このような状態が発生した場合、ステアリングにアシストされるトルクが非常に大きな値、すなわちオーバアシスト状態となる。アシスト力の設定が本来の設定値よりも大幅なオーバアシストとなってしまった場合、特に高速走行時の操縦安定性が阻害され、運転者に適切な路面反力情報が伝わらず、直進安定性を損なうという問題が生じてしまう。
【0004】
電流検出手段の異常を即故障と判断し、制御を停止することは可能であるが、故障の判断が早すぎると誤判断を招く恐れがある。上記の状況では、モータに過電流が流れオーバアシストになるが、その結果トルクは減少し電流指令値も低下する。制御としてはオーバシュートがあるものの故障と判定できるか疑問が残る状態である。特に車両走行中では、段差他の障害物、路面摩擦係数の急変等種々の変化があり、さらには運転者による急操舵に対する制御系の遅れ補償、過渡応答の問題もあり、異常発生、即故障と判断できない状況がしばしば発生する。
【0005】
この問題を解決するために、W098/33270号公報による発明を同一出願人が提案した。これによれば、モータ駆動目標電流値と車速及び操舵トルク検出値より設定されたモータ電流目標値との偏差を算出し、偏差が一定時間以上に亘って異常値を示した場合にモータ電流検出回路の異常を判定する。また異常検出の後オーバアシストを防止するためのモータ駆動方法として、正常時の電流フィードバック制御による駆動を止め、モータ駆動電流目標値とモータ抵抗に基づき適切なモータ電流を流しうるモータ駆動目標電圧を求め、この電圧でモータを駆動するオープンループ制御に切り替えることにより対策を行っている。
この方法により、電流検出手段の故障が生じてもオープンループ制御に切り替えることにより、過大な電流が流れることを防止でき、オーバアシストとなることを防ぐことが可能となった。
【0006】
しかしながら、電流制御をクローズドループからオープンループに切り替えているため、切り替えに伴い駆動電流が急激に変化し、操舵時に切り替わりに伴うトルクむらが発生し、これが運転者に操舵フィーリングの劣化を招く恐れがあった。この現象は、特に急操舵等による異常を誤判定した場合、一時的にクローズドループ制御がオープン制御に切り替わるような場合に顕著に現れる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記のようなモータの実電流検出手段の異常発生に対し、特に電流検出値が異常に小さくなるか、又は全く検出できなくなるような不具合が生じた場合においても、オーバアシストの挙動を抑制し走行安定性が阻害されることを防止し、かつフェールセーフのために付加する制御により、操舵フィーリングの劣化が生じないようにすることを目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電動パワーステアリング装置では、ハンドルの操舵トルクを検出するトルクセンサ、ハンドルの操舵力を補助するモータ、前記トルク情報に応じて前記モータを制御するコントロールユニットを備え、前記コントロールユニットは、前記トルク情報に応じて前記モータに通電する電流指令値を決定する電流指令値決定手段と、前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、この電流検出値をフィードバックし前記電流指令値とに応じてモータ電流を流すべく制御量を演算する制御量演算手段と、この制御量に応じて所望の電流を流すための信号を出力する制御信号出力手段と、この制御信号に応じて前記モータを駆動するモータ駆動手段とからなる電動パワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、モータの端子間電圧を検出するモータ電圧検出手段と、前記電流検出手段から得られる検出電流と前記モータ電圧によりモータに誘起する電圧を推定する誘起電圧推定手段と、前記操舵トルクと前記誘起電圧とにより前記電流検出手段の異常を検出する異常検出手段と、異常を検出した場合、前記制御量はモータ印加電圧が所定値以下となるように上限制限を付加する制限付加手段と、から構成したことを特徴とするものである。
【0009】
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置では、ハンドルの操舵トルクを検出するトルクセンサ、ハンドルの操舵力を補助するモータ、前記トルク情報に応じて前記モータを制御するコントロールユニットを備え、前記コントロールユニットは、前記トルク情報に応じて前記モータに通電する電流指令値を決定する電流指令値決定手段と、前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、この電流検出値をフィードバックし前記電流指令値とに応じてモータ電流を流すべく制御量を演算する制御量演算手段と、この制御量に応じて所望の電流を流すための信号を出力する制御信号出力手段と、この制御信号に応じて前記モータを駆動するモータ駆動手段とからなる電動パワーステアリング装置において、前記コントロールユニットは、モータの端子間電圧を検出するモータ電圧検出手段と、前記電流検出手段から得られる検出電流と前記モータ電圧によりモータに誘起する電圧を推定する誘起電圧推定手段と、前記電流指令値と前記誘起電圧とにより前記電流検出手段の異常を検出する異常検出手段と、異常を検出した場合、前記制御量はモータ印加電圧が所定値以下となるように上限制限を付加する制限付加手段と、から構成したことを特徴とするものである。
【0011】
また、この発明に係る電動式パワーステアリング装置では、異常検出手段が異常を検出した場合、操舵トルク又は電流指令値により制御量を制限する上限制限値を決定し、この上限制限値を付加する制限付加手段と、から構成したことを特徴とするものである。
【0012】
また、この発明に係る電動式パワーステアリング装置のコントロールユニットの制限付加手段は、車速、バッテリ電圧により制御量を制限する上限制限値を決定し、制御量にこの上限制限値を付加することを特徴とするものである。
【0013】
また、この発明に係る電動式パワーステアリング装置の制限付加手段は、制御量に対するPWM制御信号のデューティの上限値を所定値以下に制限することによりモータ印加電圧を制御することを特徴とするものである。
【0014】
また、この発明の電動式パワーステアリング装置のコントロールユニットは、異常を検出した状態、若しくは制御量に制限を付加した状態が所定時間継続した場合、又は所定回数発生した場合、PWM制御信号の上限デューティを徐々に下げてモータによる操舵補助を停止することを特徴とするものである。
【0015】
さらにまた、この発明に係る電動パワーステアリング装置のコントロールユニットは、異常を検出した状態、若しくは制御量に制限を付加した状態が所定時間継続した場合、又は所定回数発生した場合、運転者に警告することを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図について説明する。図1は電動パワーステアリング装置のコントロールユニット、及びこれに接続される入出力装置を示すシステム構成ブロック図である。図1において、1は運転者の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ、2は車速センサ、3は操舵力をアシストするモータである。4はコントロールユニットであり、操舵トルク(1)、車速(2)に応じて適切なモータ電流指令値を決定する電流指令値決定手段5と、モータ電流を検出する電流検出手段6と、モータ駆動手段7と、電流指令値と検出電流との偏差によりPWM制御信号を出力する制御信号出力手段8と、各入出力のインターフェース回路13a、13bと、電源回路10と、電源遮断用リレー12と、モータ端子間電圧を検出するモータ電圧検出手段11と、から構成されている。なお電流指令値決定手段5、及び制御信号出力手段8はCPU9で構成されている。また、14は車両に搭載されたバッテリ、15はコントロールユニット4に電源を供給するキースイッチである。
【0017】
次にコントロールユニット4の動作を簡単に説明する。キースイッチ15が投入されると、電源回路10が作動しCPU9が起動する。CPU9は初期チェックを終了しシステムが正常と判断すると、リレー12を接続する。トルクセンサ1、車速センサ2の情報を入力し、モータ3を駆動する電流指令値を決定する(5)。この指令値に見合うようにPWM制御信号に変換し出力し(8)、モータ駆動手段7を駆動する。モータ駆動手段7はブリッジ回路で構成されたスイッチング素子、例えばFETをPWM駆動してモータに電流を流す。図1では、モータの上流側のFETをPWM制御し、下流のFETはON/OFF制御である。電流検出手段6は、電流検出用抵抗6aに流れる電流による電位差により電流を検出する。指令値とこの実電流との偏差をなくすようにフィードバック制御によりPWM制御信号を変化させてモータを駆動する。
【0018】
次に図2を用いてCPU9の制御を詳細に説明する。電流指令値決定手段5は、トルクセンサ1と車速センサ2から図に示すような基本マップデータから電流指令値を決定する。図示していないが、この基本マップデータの他にトルクの微分項、ハンドル戻し補正等が入り、最終の電流指令値Itが決定される。一方、電流検出手段6から実電流Imが検出され、電流指令値Itとの偏差εを演算する(21)。この偏差εから、制御量演算手段22は、PI制御の各項に所定のゲインを乗算し(22a:I項、22b:P項)、それぞれを加算し電流フィードバック制御量を決定する。次に後述する制限付加手段(23)を付加する。この制御量を制御信号出力手段8で、PWMのデューティ比に変換してモータ駆動手段7に出力する。
【0019】
11はモータ端子間電圧Vmを検出するモータ電圧検出手段である。24はモータ電圧と電流とからモータに誘起される電圧Veを推定する手段である。25はモータ電流検出手段6の異常を検出する異常検出手段で、操舵トルク、又は電流指令値Itとモータ電流Imとモータ誘起電圧Veとからモータ電流Imの異常を判定する。この判定により、制限付加手段23を作動させる。
【0020】
さらに各手段の具体的機能について説明する。モータを直流ブラシモータとすると、モータ誘起電圧推定手段24は、モータの端子間電圧をVm、ブラシドロップ電圧をVbr、モータのアマチュア抵抗をRa、モータに通電している電流検出値をImとすれば、モータ誘起電圧Veは、
Ve=Vm−Vbr(Im)−Ra*Im (1)
で求められる。この推定値Veの取りうる上限値はステアリング特性に依存し、操舵トルクの大きさ、即ちトルクセンサの検出値と、アシスト力の設計特性の関係から、車両の固有の値として求められる。
また、このモータ誘起電圧推定手段の代わりにモータ回転速度ωを推定してもよい。モータ回転速度は、
ω=Ve/K1 (2)
で求められる。ここでK1は定数である。すなわち、誘起電圧Veと回転速度ωは、比例関係にあるためどちらの推定値であっても利用できるものである。
【0021】
次に異常検出手段25の機能について説明する。電流検出手段6の出力する値Imが不当に小さい場合には、モータ駆動電流指令値Itに対して検出値が小さいため偏差εが大きくなる。この偏差を埋め合わせるべくPI制御(22)はPI演算により過大なデューティを出力することになる。電流検出手段6の出力が零又は零に近い値になる異常時に、Ve(又はω)と操舵トルクの関係を2次元座標上で所定領域内に入っているかどうかを確認すると、Veが不当に大きい場合はImの値、即ち電流検出手段6の出力する値が不当に小さく、Ra*Imの値が零又は零に近いため、式(1)の右辺第1項の値がほぼそのまま左辺Veに現れてしまうことから、操舵トルクに対して所定のしきい値Vemaxを設け、しきい値の範囲内かどうかを判定する。ここで、急操舵のように、モータ回転速度が高く、モータの誘起電圧が高くなった場合を考えるとVe≒Vmとなる場合があり、これは、式(1)より、Imが略零の場合である。従ってしきい値の設定を、急操舵時のモータ回転速度を考慮した値とすることにより、しきい値Vemaxの範囲外であれば、Vemaxをモータに対する印加電圧制限値とする。さらにこの値を制限付加手段23に出力する。
【0022】
制限付加手段23はPWM制御信号のデューティを上記Vemaxに対応するデューティDtlimで制限する。その結果PWM制御信号は、制限を付加された信号が出力され、モータ駆動手段7がモータ3を駆動する。一方、CPU9はモータ駆動電流指令値の駆動方向に応じてモータ電流駆動方向をインターフェース回路13bから出力することにより、モータ駆動手段の通電方法を決定し、モータ3を適切な方向に駆動する。
【0023】
次にCPUのソフトウエアから各動作について図3〜図7に基づいて説明する。電流フィードバック処理演算ルーチンはタイマ機能によって一定周期毎に呼び出され、処理が実行される。ステップS1で電流指令値Itを取り込み、またステップS2で電流検出手段6により検出したモータ駆動電流検出値Imを取り込む。ステップS3でモータ誘起電圧推定値Veを求める。この誘起電圧の推定方法を図4に示す。まず、ステップS3−1でモータ端子電圧Vmを取り込む。次に、ステップS3−2でモータ実電流値Imに応じたブラシドロップ電圧特性Vbrを、予め設定したテーブルより参照し求める。モータが回転したときにモータの誘起電圧Veは回転数に比例するから、アマチュア抵抗をRaとすれば、前述の式(1)より、ステップS3−3でモータ誘起電圧推定値Veは求められる。
【0024】
再び図3に戻る。ステップS4では、ステップS3で求めたモータ誘起電圧推定値Veと、操舵トルク検出値Trqを比較することにより、モータ印加電圧上限値を求める。即ち、図6の如く、操舵トルク検出値Trqに対して、とりうるモータ誘起電圧の上限値を設けることにより、誘起電圧が不当に高い場合には電流検出手段6が異常で、電流検出値Imが小さいため、Veが過大に推定されたと判定する。
【0025】
実際に電流検出手段6に異常が発生し、電流検出値Imが小さくなった場合の誘起電圧Veは以下のように過大に計算される。まず、電流フィードバックループにフィードバックされるImが小さくなることにより、電流指令値と検出値の偏差εが大となり、制御量演算手段22により演算されるPWMデューティが100%となり、モータ端子間に供給する電圧Vmは本来の値よりも大幅に大となり、ほぼバッテリ電圧Vbに等しくなる。さらに、検出値Imが小さいため式(1)のVbr及びRa*Imの値が本来の値よりも小さく計算される。その結果、誘起電圧推定値Veは本来の値よりも大きく見積られることになる。一方、モータ端子間に供給される電圧Vmが本来の値よりも過大な値となり過電流が流れるため、設計値よりも大きなアシストトルクがステアリング系に付与される。そのため操舵トルクは小さくなる。その結果誘起電圧Veはトルクの値Trqに対して正常時よりも大きく見積られる。従って、ある瞬時のVeの値がTrqに応じて定めた所定値以上に大きい場合には、電流検出手段6の異常と想定し、モータを駆動するためのモータ端子間供給電圧を所定値以下に制限する。
【0026】
以上のデューティ制限処理を図5に示した。ステップS4−1では誘起電圧Veを取り込む。ステップS4−2ではトルクセンサ情報Trqを取り込む。次にステップS4−3において、モータ印加電圧上限値Vemaxのテーブルルックアップ処理を行い、トルクTrqと誘起電圧Veとの関係から電流検出手段の異常を判別する。ステップS4−4では、この上限値Vemaxに対応するデューティDtlimを決定し保存しておく。
【0027】
図3に戻りステップS5では、電流フィードバック制御を行うため、電流指令値とモータ電流検出値の偏差εを求める。さらにステップS6及びステップS7で比例項P、積分項Iの利得を計算し、ステップS8にて制御出力駆動デューティDt1を求める。ステップS9では、図7に示したような制限処理を行う。ステップS8で求めた制御出力デューティDt1を、ステップS4で求めたデューティ制限値Dtlimによって制限する。ステップS9−1では、Dt1≦Dtlimか否かをチェックする。Dt1>Dtlimの場合(NO)、制御出力デューティを制限するため、ステップS9−3に分岐し、Dt=Dtlimの制限処理を実行すると共に、PI演算におけるI項の積分値I(ε)の値をデューティ制限値により更新することにより、制御出力駆動デューティが制限されている間に積分項の値が増大することを防止する。一方Dt1≦Dtlimならば(YES)、ステップS9−2でDt=Dt1とし、制限は施さない。
【0028】
図3ステップS10では電流指令値の方向に基づきモータに通電する出力の向きをインターフェイス回路13bにセットし、モータ駆動手段7に出力する。さらにステップS11ではステップS9で求めた制御出力値Dtをセットすることで、PI演算結果に従った所定のモータ駆動デューティパルスを出力する。
【0029】
このように、本電動パワーステアリング装置では、モータ3の誘起電圧推定値とモータ印加電圧上限値を常時比較し、誘起電圧推定値がモータ印加電圧上限値電流指令値に比較して不当に大きいと判断された場合には、モータ端子間に印加される電圧が所定値以下となるようにモータ駆動手段7に与える駆動デューティを制限するようにしたので、電流検出手段6に異常が発生してモータ駆動電流検出値が正しく出力されず、不正に小さいか、零固定となったとしても、モータの発生するアシストトルクが不当に大きくなるオーバーアシストの状態を防止でき、操安性を確保できるという効果が得られる。
【0030】
また、異常判定後即故障とはしていないため、アシストが急に禁止されることがなく操舵力が急激に重くなることはない。また、PWM制御量の演算された駆動デューティが正常範囲外に外れた場合には直ちに制限され、制限の前後でモータ印加電圧は連続しているので、アシストトルクが急変することはなく、急操舵等の過渡的な制御により誤検知したとしても操舵力が急変せず違和感がない。
【0031】
また、モータを駆動する電流値を制限するため、コントロールユニット内部でモータ駆動電流が流れるパワー部やモータに過大な電流が連続して通電することも防止でき、コントロールユニット及びモータの過熱、焼損の防止も可能であるという効果が得られる。
【0032】
実施の形態2.
実施例の形態2では、別のモータ電流異常検出手段及び制限付加手段について説明する。実施の形態1の図3、図4のステップS4でモータ誘起電圧推定値Veと操舵トルク検出値Trqを比較することにより、電流検出手段6の異常を検出するようにしたが、図8及び図9に示すように操舵トルク検出値Trqを比較する代わりに電流指令値Itを用いるようにしてもよい。電流検出手段6が異常となった場合、モータに過電流が流れ、オーバアシスト特性となると、トルクフィードバックループの一巡伝達ゲインが大きくなる為、電流指令値は本来の値より小さいにもかかわらず大きな電流が流れるようになる。従って、トルクを電流指令値に置き換えても異常検出が同様に処理できる。図8、図9と図,図の同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0033】
図8のステップS4−1では誘起電圧Veを取り込む。ステップS4−12では電流指令値Itを取り込む。次にステップS4−13において、指示電流Itと誘起電圧Veを比較し電流検出手段6の異常を検知する。図9に示すように指示電流Itに対し誘起電圧Veは所定の関係にある。電流検出手段6が異常となるとこれらの関係がくずれ、図中しきい値Vemaxより上の領域に入ってしまう。ステップS4−4は図5と同様であるから説明は省略する。
【0034】
本電動パワーステアリング装置は、電流検出手段6に異常が発生してモータ駆動電流検出値が正しく検出できない場合であっても、駆動デューティを制限するため、モータの発生するアシストトルクが不当に大きくなるオーバーアシストの状態を防止でき、操安性を確保できるという効果が得られる。
また、モータを駆動する電流値を制限するため、コントロールユニット内部でモータ駆動電流が流れるパワー部やモータに過大な電流が連続して通電することを防止でき、コントロールユニット及びモータの過熱、焼損の防止も可能である。さらに、トルク情報が略零であっても、モータは駆動中で電流が流れているような状況の場合(例えばハンドルから手を離しハンドルが戻って中立付近にさしかかった状況)、この制御方法を利用することが可能で、同等の効果が得られることは言うまでもない。
【0035】
実施の形態3.
前述の説明では、異常検出手段6が異常を検出した場合には直ちに制御出力デューティを制限し、モータ3に供給する電源電圧を制限し、過電流が流れないようにしたが、異常検出手段6が異常を検出した場合にタイマを動作させることにより、所定時間以上の異常が継続したときに制御出力デューティを制限し、モータ3に供給する電源電圧を制限し、過電流が流れないように処理を変更してもよい。異常検出手段6が異常を検知した時間を計測すればよいから、実施の形態1のソフトウエアの処理において、図7のフローを図10のフローチャートに変更し異常を検出することにより、異常検出時間を計測する。
【0036】
ステップS9−1では、制御出力デューティDt1と制限値Dtlimを比較する。Dt1≦Dtlimならば(YES)、ステップS9−12に進みタイマTM1をクリアする。ステップS9−2では、最終の制御デューティDt=Dt1とする。一方Dt1>Dtlimならば(NO)、ステップS9−14に進み、タイマTM1を1加算する。ステップS9−15では、タイマTM1と所定時間Tmを比較する。TM1≦Tmならば(YES)、ステップ9−2に進む。一方TM1>Tmならば(NO)、所定時間経過したとして制限を付加する。ステップS9−16ではタイマTM1をTmに固定する。ステップS9−3では、Dt=Dtlimの制限を付加する。
【0037】
実施の形態3によれば、システムの動作が正常であっても、電流指令値の急変等のモータ電流制御が過渡応答状態にある時、異常検出手段6が一時的に異常を出力したとしても制限処理までに時間遅れ要素を設けることができる。従ってシステムが正常動作している場合、電流指令値の急変等に対してモータの電流制御処理が過渡応答状態となり、一時的にモータへの供給電圧が過大となることを許容でき、適切な制御性能を維持できる。さらに、電流検出手段6に異常が発生し検出回路の出力値が零又は低い値になってしまった場合には、モータ駆動のためのモータ端子間供給電圧が所定値に制限され、過大なオーバーアシストが生じることを防止できる。従って、アシスト制御のためのモータ電流フィードバックの過渡応答性を損なうことなく、電流検出手段6の異常に対するオーバーアシストの防止ができる。
【0038】
また、電流制御の過渡応答の時間は数十ms程度の短い時間であるから、時間遅れ要素の判定時間も数十ms程度に設定することで、ステアリング系の応答時間に比べて十分短いためアシストトルクが急変することはなく、急操舵等の過渡的な制御により誤検知したとしても操舵力が急変せず違和感が少ない。さらに、電流検出手段12の故障時に過大な電流がモータ駆動回路に流れないようにできるため、コントロールユニット及びモータの過熱の防止も同時に成されるという効果が得られる。
【0039】
実施の形態4.
実施の形態1〜3では誘起電圧推定手段24は、式(1)に基づきモータ端子間電圧Vmから、ブラシドロップ電圧Vbr及びアマチュア抵抗部(抵抗値は固定値のRa)での電圧降下分Ra*Imを引くことにより実現したが、アマチュア抵抗Raはアマチュアの温度に対する依存性があり、この変化を補償することで、誘起電圧Veの推定精度を向上させ、異常検出手段6による電流検出異常判定の精度を改善できる。
【0040】
モータの誘起電圧推定手段3は、図11、図12に示すフローにより構成されている。ここでは特にモータ温度推定によるアマチュア抵抗値を算出する方法について説明する。ステップS3−1では、図4と同様にモータ端子電圧Vmを取り込む。ステップS3−22においてモータ温度モータに通電する電流値を基にモータ温度Tmtrを推定する。図12に移り、ステップS3−221ではモータ電流Imを取り組む。ステップS3−222にて制御周期毎にモータで熱エネルギーに変換される熱損失Pdを下式にて求める。
Pd=∫Im2Ra(Tmtr)dt (3)
【0041】
さらに、ステップS3−223でモータの熱容量Qmtrと、所定時間に発生した熱損失Pdの比率から温度上昇推定値dTmtrを求める。ステップS3−224では、現在までの温度推定値Tmtrと今回の温度上昇値dTmtrと、モータからの熱輻射による温度低下値R(Tmtr+dTmtr)を基に今回の温度推定値Tmtrを下式にて求める。
Tmtr=Tmtr+dTmtr−R(Tmtr+dTmtr) (4)
再度図11に戻り、ステップS3−23では推定したモータ温度Tmtrに対するアマチュア抵抗値R(Tmtr)をマップから算出する。ステップS3−2、及びステップS3−3は、図4と同様な処理を実行し、誘起電圧Veを計算する。
【0042】
実施の形態4によれば、モータ温度推定を行うために電流検出手段6の検出値を用いているが、モータの熱時定数が電流検出手段6の異常判定時間に対して十分大きいため、システム駆動中の電流検出手段の異常直前まで温度補償の推定値を基に可能である。以上のように電流検出手段6でのモータの温度をモータ通電電流を基に推定し、このモータ温度推定値からアマチュア抵抗値を温度補償することによりモータの誘起電圧Veの推定を行うようにしたので、温度検出手段としてハードウエアを新たに追加しなくてもモータの誘起電圧Ve推定が精度よく行え、電流検出手段6の異常判定の精度が向上する。
【0043】
実施の形態4では、モータ温度推定にモータ電流から推定を行ったが、モータ温度センサを利用することにより、推定を検出に置き換えることは言うまでもなく、さらに精度の向上が得られる。
【0044】
実施の形態5.
実施の形態5について、図13〜図17を用いて説明する。図13は図2に対応した制御ブロック図であり、図中同一符号は同一又は相当部分を示している。31はバッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出手段である。30は上限値決定手段であり、トルクセンサ1、車速センサ2、バッテリ電圧(31)からの情報を入力している。ここでは、複数の情報を基に車両の設計上考慮された操舵特性に基づき許容しうるモータ印加電圧上限値を決定する。この上限値に基づき、PWM制御信号の上限デューティ値を求める。この上限値と演算された制御量(22)とのデューティを比較し、上限値を越えている場合、上限値とする制限を付加するように制限付加手段23aは動作する。
【0045】
図14〜図16のフローチャートに基づき制御方法について説明する。図14は図3において、ステップS3及びステップS4の処理内容を各々ステップS30(図15)及びステップS40(図16)に変更したものである。そのため相違ステップについて説明する。ステップS30では許容するモータ端子間印加電圧の上限値を求める方法で、具体的方法を図15に示した。ステップS30−1では操舵トルクTrqを取り込む。ステップS30−2では現在車速Vspを取り込む。次にステップS30−3では、トルクと車速に応じたテーブルをルックアップすることにより、モータ端子間許容印加電圧Vmmaxを求める。図17に制限範囲を車速Vsp、操舵トルクTrq、及びモータ端子間許容印加電圧Vmmaxの関係を示す。車両のステアリング系の特性に応じて本テーブルの制限値をマッチングすればよい。
【0046】
次に図14に戻り、ステップS40では上限値を決定する処理を行う。具体的には図16において、ステップS40−1で上記モータ端子間許容印加電圧Vmmaxを取り込む。次にステップS40−2では、バッテリ電圧Vbを取り込む。ステップS40−3では、モータ端子間許容印加電圧Vmmaxを現在のバッテリ電圧Vbに対して補正し(Vmlim)、このVmlimに対する上限デューティに変換することにより、電流制御演算値の制限デューティ(DTylim)を得る。このバッテリ電圧Vbによる補正は、バッテリ電圧の低下に伴いモータ端子に与える電圧は低下することになり、同一デューティでは所望するモータ電流を流すことができないためである。そのためバッテリ電圧低下に従って、デューティを大きくする方向に補正する。逆にバッテリ電圧が上昇した場合は逆の補正となる。
【0047】
図14のその他のフローは、図3と同様に処理できる。ここでステップS9aは図7のフロー中DtlimをDTylimと置換することで同様に実行可能である。
【0048】
実施の形態5においては、トルク、車速、又はバッテリ電圧に依存したPWM上限デューティを求め、上限値より大きいデューティにならないように制御信号に制限を行うため、電流検出手段の異常が発生した場合のみならず、操舵トルクに応じた所定のモータ端子間印加電圧に上限値制限処理がなされる。従って、各入力情報から決定した上限値以上の過大なオーバアシストが発生することを防止できる。また、この上限値制限により、モータ駆動電流が流れるパワー部やモータに過大な電流が連続して通電することも防止でき、コントロールユニット及びモータの過熱、焼損の防止も可能である。
【0049】
実施の形態6.
実施の形態6は、実施の形態1〜5で説明した異常検出手段25が異常を検出した場合、若しくは制限付加手段23、23aが制限付加を行った場合、この制限付加状態が所定時間継続したとき、又は所定回数発生したとき、アシストを停止するように処理を変更するものである。このアシスト停止を実現するためには、図3又は図14のステップS9の処理を図18のフローに変更すればよい。ここでは所定時間継続した場合の処理について説明する。図18において、ステップS9−1ではタイマTM2が所定時間Tm1以上か否かを判定する。所定時間以下であれば(YES)、ステップS9−22で電流制御PWMデューティが制限範囲にあるかどうかをチェックする。Dt1と制限値Dtlim又はDTylimの大小関係をチェックし、Dt1の方が小さければ(YES)、ステップS9−23に分岐しタイマTM2をクリアする。一方制限範囲外であれば(NO)、ステップS9−24に分岐しタイマTM2の値をカウントアップする。TM2が所定時間以下の間はステップS9−25において、演算されたデューティDT1をモータ駆動PWM制御デューティDTとする。
【0050】
一方、タイマTM2がタイムアップし、所定値以上となったときはステップS9−26に分岐し、タイマTM2の値を制限する。さらに、現在のモータ駆動PWM制御デューティDTから所定値ΔDtyを減算する。ステップS9−28で減算後のデューティがアンダフローしていないか否かをチェックし、アンダフローしている場合には(NO)、ステップS9−29でデューティDTを零に制限する。さらにデューティが零となった時にはリレー12(図1)の駆動をオフし、モータへの電源を遮断する。
【0051】
本実施の形態によれば、デューティ制限処理が一定周期毎に呼び出され、異常検出手段25、若しくは制限付加手段23aが所定回数又は所定時間以上継続した場合には、モータ駆動PWMデュ−ティを徐々に零に近づけていき、最終的にアシストを停止するため、操舵力を急変させることなく、オーバアシスト後徐々にマニュアルステアリングに戻すことができる。また、マニュアルステアリングに戻した後は、リレー12の駆動を停止するので、FETのオフによるモータ電流遮断に加え、リレーオフによるモータ駆動回路への電源供給が遮断できるため、モータ駆動停止に関して冗長性を有し、より安全なフェールセーフ動作が可能となる。また、異常を即故障としていないため、誤判定を防止することも可能である。
【0052】
実施の形態7
異常検出手段25が異常を検出した場合、若しくは制限付加手段23aが作動した場合には、アラームランプをつけ、運転者にパワーステアリングシステムの異常を警告するようにしてもよい。図19に電動パワーステアリング装置のコントロールユニット及び周辺の回路ブロックの構成例を示す。図中図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。CPU9上のソフトウエアの処理により、異常検出手段25が電流検出手段の異常を検出した際、又は制限付加手段が制限を付加している状態の場合、アラーム駆動回路16を介してアラームランプ17を点灯させる。
【0053】
運転者に警報することにより、操舵トルクの過剰なアシストを報知することが可能となり、運転者へ注意を促すことができ、より安全走行を図ることができる効果がある。
【0054】
【発明の効果】
この発明の電動パワーステアリング装置は、以上説明したように構成されているので以下に示すような効果を奏する。
【0055】
本発明における電動パワーステアリング装置のコントロールユニットは、モータの端子間電圧を検出するモータ電圧検出手段と、前記電流検出手段から得られる検出電流と前記モータ電圧によりモータに誘起する電圧を推定する誘起電圧推定手段と、前記操舵トルクと前記誘起電圧とにより前記電流検出手段の異常を検出する異常検出手段と、この異常を検出した場合、モータ電流を流すべく制御量はモータ印加電圧が所定値以下となるように上限制限を付加する制限付加手段とから構成したので、検出電流に異常が発生した場合でも、オーバーアシストを防止でき、操安性を確保できる。また、制御信号が不正に大きくなったとしても制御信号は制限され、制限の前後でモータ印加電圧は連続しているので、アシストトルクが急変することはなく、急操舵等の過渡的な制御したとしても操舵力が急変することがなく、操舵フィーリングに違和感を生じさせない効果を奏する。
【0056】
また、本発明における電動パワーステアリング装置のコントロールユニットは、モータの端子間電圧を検出するモータ電圧検出手段と、電流検出手段から得られる検出電流とモータ電圧によりモータに誘起する電圧を推定する誘起電圧推定手段と、前記電流指令値と前記誘起電圧とにより前記電流検出手段の異常を検出する異常検出手段と、異常を検出した場合、前記制御量はモータ印加電圧が所定値以下となるように上限制限を付加する制限付加手段とから構成したので、検出電流に異常が発生した場合でも、オーバーアシストを防止でき、操安性を確保できる。また、コントロールユニット及びモータに過大な電流が連続して通電することを防止でき、コントロールユニット及びモータの過熱、焼損の防止の効果を奏する。
【0058】
また、本発明における電動パワーステアリング装置は、異常検出手段が異常を検出した場合、操舵トルク又は電流指令値により制御量を制限する上限制限値を決定し、この上限制限値を付加する制限付加手段を設けたため、制御量の制限値を精度良く決定でき、異常発生時の対処を的確に行える効果を奏する。
【0059】
また、本発明における電動パワーステアリング装置のコントロールユニットの制限付加手段は、車速、バッテリ電圧により制御量を制限する上限制限値を決定し、制御量にこの上限制限値を付加するようにしたので、オーバーアシストを防止でき、操安性を確保できる。また、制御信号がなんらかの原因で不正に大きくなったとしても、制御信号は制限され、制限の前後でモータ印加電圧は連続しているので、アシストトルクが急変することはなく、急操舵等の過渡的な制御をしたとしても操舵力が急変することがなく、操舵フィーリングに違和感を生じさせないという効果を奏する。
【0060】
また、本発明における電動パワーステアリング装置は、PWM制御信号のデューティの上限値を所定値以下に制限することによりモータ印加電圧を制御するため、制限付加方法が簡単であり、制御信号が制限の付加する前後で連続し、アシストトルクが急変することがなく、操舵フィーリングに違和感を生じさせないという効果を奏する。
【0061】
また、本発明における電動パワーステアリング装置は、異常を検出した状態、若しくは制御信号に制限を付加した状態が所定時間継続した場合、又は所定回数発生した場合、PWM制御信号の上限デューティを徐々に下げてモータによる操舵アシストを停止するため、システム故障の誤判定を防止でき、故障確定するまでの間の操舵アシストを急変させることがない。
【0062】
さらにまた、本発明における電動パワーステアリング装置は、異常を検出した状態、若しくは制御信号に制限を付加した状態が所定時間継続した場合、又は所定回数発生した場合、運転者に警告するようにしたので、システムの異常を運転者に速やかに報知できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係わる電動パワーステアリング装置のシステム構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態1における電動パワーステアリング装置のコントロールユニット内部の制御ブロック図である。
【図3】 本発明の実施の形態1における電流フィードバック処理のフローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態1におけるモータの誘起電圧を推定するフローチャートである。
【図5】 本発明の実施の形態1におけるデューティの制限処理を行うフローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態1における操舵トルク検出値に対する許容モータ誘起電圧の関係を示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態1におけるデューティ制限処理を行うフローチャートである。
【図8】 本発明の実施の形態2におけるデューティ制限処理を行うフローチャートである。
【図9】 本発明の実施の形態2における電流指令値に対する許容モータ誘起電圧の関係を示す図である。
【図10】 本発明の実施の形態3におけるタイマによるデューティ制限処理を行うフローチャートである。
【図11】 本発明の実施の形態4におけるモータの誘起電圧を推定するフローチャートである。
【図12】 本発明の実施の形態4におけるモータの温度を推定するフローチャートである。
【図13】 本発明の実施の形態5における電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。
【図14】 本発明の実施の形態5における電流フィードバック処理のフローチャートである。
【図15】 本発明の実施の形態5におけるモータ端子間許容印加電圧を演算するフローチャートである。
【図16】 本発明の実施の形態5における制限デューティ制限を行うフローチャートである。
【図17】 本発明の実施の形態5におけるモータ端子間許容印加電圧範囲を示す図である。
【図18】 本発明の実施の形態6におけるアシストを停止するフローチャートである。
【図19】 本発明の実施の形態7における電動パワーステアリング装置のシステム構成図である。
【符号の説明】
1 トルクセンサ、2 車速センサ、3 モータ、4 コントロールユニット、5 電流指令値決定手段、6 電流検出手段、7 モータ駆動手段、8 制御信号出力手段、11 モータ電圧検出手段、23 制限付加手段、24 誘起電圧推定手段、25 異常検出手段、30 上限値決定手段、31 バッテリ電圧検出手段。

Claims (7)

  1. ハンドルの操舵トルクを検出するトルクセンサ、ハンドルの操舵力を補助するモータ、前記トルク情報に応じて前記モータを制御するコントロールユニットを備え、前記コントロールユニットは、前記トルク情報に応じて前記モータに通電する電流指令値を決定する電流指令値決定手段と、前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、この電流検出値をフィードバックし前記電流指令値とに応じてモータ電流を流すべく制御量を演算する制御量演算手段と、この制御量に応じて所望の電流を流すための信号を出力する制御信号出力手段と、この制御信号に応じて前記モータを駆動するモータ駆動手段とからなる電動パワーステアリング装置において、
    前記コントロールユニットは、モータの端子間電圧を検出するモータ電圧検出手段と、前記電流検出手段から得られる検出電流と前記モータ電圧によりモータに誘起する電圧を推定する誘起電圧推定手段と、前記操舵トルクと前記誘起電圧とにより前記電流検出手段の異常を検出する異常検出手段と、異常を検出した場合、前記制御量はモータ印加電圧が所定値以下となるように上限制限を付加する制限付加手段と、から構成したことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. ハンドルの操舵トルクを検出するトルクセンサ、ハンドルの操舵力を補助するモータ、前記トルク情報に応じて前記モータを制御するコントロールユニットを備え、前記コントロールユニットは、前記トルク情報に応じて前記モータに通電する電流指令値を決定する電流指令値決定手段と、前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、この電流検出値をフィードバックし前記電流指令値とに応じてモータ電流を流すべく制御量を演算する制御量演算手段と、この制御量に応じて所望の電流を流すための信号を出力する制御信号出力手段と、この制御信号に応じて前記モータを駆動するモータ駆動手段とからなる電動パワーステアリング装置において、
    前記コントロールユニットは、モータの端子間電圧を検出するモータ電圧検出手段と、前記電流検出手段から得られる検出電流と前記モータ電圧によりモータに誘起する電圧を推定する誘起電圧推定手段と、前記電流指令値と前記誘起電圧とにより前記電流検出手段の異常を検出する異常検出手段と、異常を検出した場合、前記制御量はモータ印加電圧が所定値以下となるように上限制限を付加する制限付加手段と、から構成したことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 異常検出手段が異常を検出した場合、操舵トルク又は電流指令値により制御量を制限する上限制限値を決定し、この上限制限値を付加する制限付加手段と、から構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動パワーステアリング装置。
  4. コントロールユニットの制限付加手段は、車速、バッテリ電圧により制御量を制限する上限制限値を決定し、制御量にこの上限制限値を付加することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 制限付加手段は、制御量に対するPWM制御信号のデューティの上限値を所定値以下に制限することによりモータ印加電圧を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動式パワーステアリング装置。
  6. コントロールユニットは、異常を検出した状態、若しくは制御量に制限を付加した状態が所定時間継続した場合、又は所定回数発生した場合、PWM制御信号の上限デューティを徐々に下げてモータによる操舵補助を停止することを特徴とする請求項記載の電動パワーステアリング装置。
  7. コントロールユニットは、異常を検出した状態、若しくは制御量に制限を付加した状態が所定時間継続した場合、又は所定回数発生した場合、運転者に警告することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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