JP5423454B2 - コンデンサ用電極箔及びコンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、コンデンサ用電極箔及びコンデンサに関する。
図10は電解コンデンサの電極箔1を模式的に表した断面図である。
この電極箔1は、アルミニウム箔からなる基材2と、この基材2上に形成された粗膜化層3とを備えている。粗膜化層3は、アルミニウムからなる微粒子4が積み重なり、内部に多数の空孔を有する疎な構造である。そして粗膜化層3は、膜厚が20〜40μm程度の厚い膜である。このように粗膜化層3を疎で厚い膜とすることによって、電極箔1の表面積を増やし、大容量のコンデンサを実現することができる。
なお、この出願の発明に近似する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2008−258355号公報
このような蒸着による粗膜化層3を基材2の両面に形成すれば、蒸着プロセスにおいて、粗膜化層3がダメージを受けることがある。
その理由は、一方の面に粗膜化層3を形成する工程で、他方の面に形成された粗膜化層3が輻射熱の影響を受けるからである。このように粗膜化層3が輻射熱を受けると、微粒子4どうしが結合して肥大化したり、空孔が潰れたりする等のダメージを生じ、結果として電極箔1の表面積が小さくなって静電容量が低下するのである。
そこで本発明は、ダメージの少ない電極箔を実現することを目的とする。
そしてこの目的を達成するため本発明は、第一の面と、この第一の面と対向する第二の面とを有する弁作用金属箔からなる基材と、基材の第一の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第一の粗膜化層と、基材の第二の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第二の粗膜化層と、を備え、第一の粗膜化層と第二の粗膜化層の空孔径の最頻値が0.10μmより大きく0.20μm以下であり、第一の粗膜化層の厚みは第二の粗膜化層の厚みより大きいものとした。
これにより本発明は、ダメージの少ない電極箔を実現できる。
その理由は、上記の構成により、第一の粗膜化層、第二の粗膜化層のいずれを先に形成しても、後で蒸着する方の粗膜化層が受ける輻射熱を抑制できるからである。
すなわち、先に厚い第一の粗膜化層を形成しておけば、薄い第二の粗膜化層のダメージを防ぐことができるとともに、薄い第二の粗膜化層を形成する工程は短いため、第一の粗膜化層のダメージを低減できる。あるいは先に薄い第二の粗膜化層を形成しておけば、厚い第一の粗膜化層のダメージを防ぐことができ、厚い第一の粗膜化層を形成する工程で第二の粗膜化層がダメージを受けても、第二の粗膜化層は薄いため、ダメージの総量としては低減できる。
以上より本発明は、ダメージの少ない電極箔を実現できる。
本発明の実施例1におけるコンデンサの斜視図 (a)本発明の実施例1におけるコンデンサ素子の平面図、(b)同コンデンサ素子の断面図(図2(a)のX−X断面) 本発明の実施例1における電極箔の模式断面図 本発明の実施例1における電極箔の模式断面図 本発明の実施例1における電極箔の製造装置の構成を示した要部概念図 本発明の実施例1における電極箔のSEM写真 本発明の実施例1における電極箔のSEM写真 本発明の実施例1における別の例の電極箔の製造装置の構成を示した要部概念図 本発明の実施例2におけるコンデンサの一部切欠き斜視図 従来の電極箔の模式断面図
(実施例1)
本実施例では、電極箔およびこの電極箔を用いたコンデンサについて説明する。
本実施例のコンデンサは、陰極材料として導電性高分子を用い、陽極と陰極とを積層させた積層型固体電解コンデンサである。またこのコンデンサは、耐電圧100V未満の低圧用である。
図1は複数のコンデンサ素子5が積層されたコンデンサ6の斜視図である。図2(a)はコンデンサ素子5の平面図である。図2(b)は図2(a)に示すコンデンサ素子5のX−X断面図である。
図2(b)に示すように、本実施例の陽極箔となる電極箔7は、アルミニウム箔からなる基材8と、この基材8の第一の面8Aおよび第二の面8Bにそれぞれ設けられた第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10とを備えている。
またこれらの第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10上には、それぞれ第一の誘電体層11および第二の誘電体層12が形成されている。
そして第一の誘電体層11および第二の誘電体層12上には、それぞれ第一の固体電解質層13および第二の固体電解質層14が形成され、第一の固体電解質層13および第二の固体電解質層14上には、それぞれ第一の陰極層15および第二の陰極層16が設けられている。
第一の陰極層15及び第二の陰極層16は、それぞれカーボン層と、このカーボン層上に設けられた銀ペースト層で構成されている。
本実施例では、基材8および第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10は、アルミニウムで形成したが、チタンやその他弁作用金属、もしくはこれらの金属を主成分とした合金などで形成してもよい。
そして基材8上には電極箔7を陽極電極部17と陰極形成部とに分離する絶縁性のレジスト部22が設けられ、前述の第一の固体電解質層13、第二の固体電解質層14、第一の陰極層15、第二の陰極層16は、陰極形成部上に設けられ、第一の固体電解質層13と第一の陰極層15、第二の固体電解質層14と第二の陰極層16でそれぞれ陰極電極部18を構成している。
すなわち本実施例では、電極箔7の長手方向(図2(a)の矢印P方向)の一方の端部側は陽極電極部17であり、他方の端部側に陰極電極部18が配置される。
また本実施例では、図1に示すように、陽極端子19上に陽極電極部17が配置されるように複数のコンデンサ素子5が積層され、これらの陽極電極部17はレーザ溶接などの接合方法で接合されている。具体的には、溶接により陽極電極部17の第一の誘電体層11、第二の誘電体層12の部分が破壊されて、電極箔7が陽極端子19に接合されて電気的に接続されている。
さらに陰極電極部18は、陰極端子20の素子搭載部分に配置されている。複数のコンデンサ素子5の陰極電極部18間は導電性接着剤で接合されて電気的に接続されている。
陽極端子19は陽極電極部17を外部へ引き出し、陰極端子20は陰極電極部18を外部へ引き出すものである。
また陽極端子19および陰極端子20のそれぞれの一部が外部に露出するように、絶縁性の樹脂材料からなる外装体21で、複数のコンデンサ素子5を一体的に被覆している。
図3はコンデンサ素子5の電極箔7の要部を示す模式断面図である。
本実施例では、第一の粗膜化層9は、第二の粗膜化層10よりも厚く形成している。第一の粗膜化層9と第二の粗膜化層10は、蒸着により形成し、それぞれの厚みは20μm以上80μm以下とした。20μm以上とすることにより、静電容量を大きくできる。また80μm以下とすることにより、後述する蒸着プロセスで高精度に形成できる。さらに第一の粗膜化層9の厚みt1と第二の粗膜化層10の厚みt2の差は、厚い第一の粗膜化層9の厚みの10%以上設けることによって、より第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10のダメージを低減できる。
また第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10は、図4に示すように、アルミニウムからなる複数の微粒子23が基材8上に不規則に積み重なり、複数に枝分かれしながら伸びていくツリー状の構造体であって、これらの内部には多数の空孔がある。これらの空孔は、外部と繋がっているため、第一、第二の粗膜化層9、10の表面積は非常に大きくなり、電極箔7の大容量化に寄与する。なお、図4では図示していないが、図2(b)の第一の誘電体層11および第二の誘電体層12は、複数の微粒子23の結合部分を除き、これらの微粒子23の外表面を覆うように形成されるものであり、例えば熱酸化によって形成される。
なお、本実施例では、微粒子23はアルミニウムからなるが、チタンやその他の弁作用金属で構成してもよく、これらの金属の合金で形成してもよい。また微粒子23間が電気的に導通していればよいので、微粒子23の一部が酸化物や窒化物となっていてもよいものとする。
本実施例では、微粒子23の平均粒子径は0.10μmより大きく0.20μm以下とした。また空孔径の最頻値は、0.10μmより大きく0.20μm以下とした。微粒子23の平均粒子径は、水平断面を写したSEM写真から求めることができる。また空孔径は、水銀圧入法を用いて次式(数1)によって求めることができる。空孔径の最頻値は、(数1)によって求めた空孔径分布のピーク値である。
上記(数1)において、Pは加える圧力、Dは空孔径(直径)、γは水銀の表面張力(480 dyne・cm-1)、θは水銀と細孔壁面の接触角である。また、電極箔7の空隙率は、その重量と蒸着材料(本実施例ではアルミニウム)の密度との換算によって求めることができ、本実施例では50%〜80%である。
以上のように本実施例では、蒸着による微粒子23としては比較的大きな微粒子23となるが、微粒子23の表面積が大きくなる分、基材8と微粒子23との密着性が高まる。また第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10の機械的強度が高まる。
なお、一般的に低圧用の電解コンデンサに用いられるような、交流エッチングで基材の表面を粗膜化した電極箔は、空孔径が0.15μm程度である。したがって、本実施例では、電極箔7の空孔径の最頻値を0.10μmより大きく、0.20μm以下とすることで、エッチングとほぼ同等の空孔径となる。さらに本実施例では、蒸着により微粒子23を積層させていくため、エッチングと比べて空孔のアスペクト比を容易に大きくすることができ、大容量化を実現できる。またエッチングと異なり、蒸着法では大量の溶液を用いることが無い為、生産コストが少なくなるとともに、廃液の低減にも寄与する。
本実施例の電極箔7の製造方法を以下に説明する。
はじめに、厚み30μm程度の弁作用金属箔の基材8を0.01Pa〜0.001Paの真空に保たれた蒸着槽(図示せず)内に配置する。次に、基材8の周辺に1体積部の酸素ガスよりなる活性ガスと4体積部〜6体積部のアルゴンガスよりなる不活性ガスを流入して、基材8の周辺での圧力を10Pa〜20Paに保ち、基材8の温度を200℃〜300℃の範囲に保つ。その状態で、蒸着槽内に蒸着源としてアルミニウム材を配設し、アルミニウムを基材8の上面および下面に真空蒸着させて、アルミニウムの微粒子23よりなる第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10を形成する。
このように形成された第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10の空孔径の最頻値は0.10μmより大きく、0.20μm以下であり、第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10により電極箔7の表面積が大きくなる。また、第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10を複数のツリー構造体とすることにより、より多くのポリマー液等の液体を含浸させることができる。
さらに、第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10の複数のツリー状の構造体では、個々の微粒子23が互いに強固に結合しているので、微粒子23間のネッキング部の破壊を抑制することができる。これにより、後述の第一の誘電体層11および第二の誘電体層12を形成する化成工程時にネッキング部が破壊されることがなくなり、電極箔7の機械的強度を大きくできるのみならず、完成品のコンデンサ6の容量低下を抑制することができる。
次にこの電極箔7を70℃の7%アジピン酸アンモニウム水溶液に入れ、化成電圧5V、化成電流0.05A/cm2で保持時間20分だけ保持して化成し、電極箔7の両面に第一の誘電体層11および第二の誘電体層12を形成した。
次に、第一の誘電体層11および第二の誘電体層12上にピロールモノマーを電解重合することにより第一、第二の固体電解質層13、14を形成し、その後、第一、第二の固体電解質層13、14にカーボンと銀ペーストを塗布することにより第一の陰極層15および第二の陰極層16を形成した。
図5は本実施例における電極箔7を製造するための製造装置の要部概念図である。
真空ポンプ(図示せず)に連結された真空槽(図示せず)内には、帯状の基材8を巻き回した巻き出しローラ24と、巻き出しローラ24から供給された基材8に第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10を蒸着により形成した後、この基材8を巻き取る巻き取りローラ25とを有する。
すなわち基材8は巻き出しローラ24から巻き取りローラ25まで設けられた搬送経路(矢印Q1、Q2)を所定の速度で搬送される。
また反転部26は、巻き出しローラ24から巻き取りローラ25までの搬送経路Q1とQ2との間に設けられ、基材8の第一の面8Aと第二の面8Bを180度反転させる。
搬送経路Q1、Q2に沿って設けられた遮蔽板27は基材8の下方に配設される。遮蔽板27には開口部28A、28Bが設けられている。開口部28Aは、反転部26の上流、すなわち反転部26と巻き出しローラ24との間の搬送経路Q1に位置している。開口部28Bは、反転部26の下流、すなわち反転部26と巻き取りローラ25との間の搬送経路Q2に位置している。開口部28Aの下方には、アルミニウムを加熱して蒸発させるための複数の蒸着ボート29が配設されている。開口部28Bの下方には、アルミニウムを加熱して蒸発させるための少なくとも1つの蒸着ボート29が配設されている。開口部28Aと蒸着ボート29により一次蒸着部30を構成し、開口部28Bと蒸着ボート29は二次蒸着部31を構成している。
開口部28Aの面積は開口部28Bの面積より大きい。一次蒸着部30の複数の蒸着ボート29の数は二次蒸着部31の少なくとも1つの蒸着ボート29より多い。
また仕切板32は一次蒸着部30の蒸着ボート29を二次蒸着部31の蒸着ボート29から分離する。これにより、一次蒸着部30での蒸着プロセスと二次蒸着部31での蒸着プロセスとが互いに影響しあうことを抑制する。
本実施例によるコンデンサ用電極箔7の製造装置の動作を説明する。第一の面(図2(b)の図番8A)が下方すなわち開口部28Aと蒸着ボート29に対向するように巻き出しローラ24から基材8を供給する。一次蒸着部30で基材8の第一の面8A上にアルミニウムを蒸着して第一の粗膜化層9を形成する。その後、反転部26は基材8を上下反転して、第二の面8Bが下方すなわち開口部28Bと蒸着ボート29に対向するように基材8を搬出する。その後、二次蒸着部31で基材8の第二の面8B上にアルミニウムを蒸着して第二の粗膜化層10を形成して電極箔7を作製する。その後、作製された電極箔7を巻き取りローラ25で巻き取る。
ここで基材8の両面に粗膜化層を順次形成すると、先に形成した粗膜化層が、後で形成された粗膜化層を形成する際の輻射熱によってダメージを受け易い。これにより、先に形成された粗膜化層の微粒子23の径が大きくなって、コンデンサ6の容量を低下させる場合がある。
図6と図7はそれぞれ200℃と300℃の輻射熱を受けた電極箔7の粗膜化層を示し、SEMで同じ拡大倍率で撮影した写真である。図6に示す粗膜化層と比較して図7に示す粗膜化層では微粒子23の直径がより大きくなっている。300℃の温度で加熱した電極箔7を備えたコンデンサ6の容量は、200℃の温度で加熱した電極箔7を備えたコンデンサ6の容量の80%であった。実際の輻射熱による温度は300℃を超えるので、微粒子23の径はさらに大きくなり、コンデンサ6の容量はさらに小さくなる。
これに対し本実施例では、一次蒸着部30の遮蔽板27の開口部28Aの面積が二次蒸着部31の遮蔽板27の開口部28Bより大きく、かつ一次蒸着部30の蒸着ボート29の数が二次蒸着部31の蒸着ボート29の数より多い。したがって、一次蒸着部30で形成された第一の粗膜化層9の厚み(図3の厚みt1)は、二次蒸着部31で形成された第二の粗膜化層10の厚みt2より大きくなる。
このように、本実施例による製造装置での製造方法では、厚みの大きい第一の粗膜化層9を先に形成し、その後、第一の粗膜化層9より厚みの小さい第二の粗膜化層10を形成する。この場合も第二の粗膜化層10を形成する際に、第一の粗膜化層9は二次蒸着部31で輻射熱を受ける。しかし基材8が二次蒸着部31を通過する時間は一次蒸着部30を通過する時間より短いので、基材8が二次蒸着部31で受ける輻射熱は一次蒸着部30で受ける輻射熱より小さい。したがって、先に形成された厚い方の第一の粗膜化層9が、薄い方の第二の粗膜化層10を形成する際に発生する輻射熱によるダメージを低減することができ、微粒子23の直径の増大、あるいは空孔の破壊による容量の減少を低減することができる。したがって、第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10を安定して形成することができる。
なお、上述のように、輻射熱によるダメージを考慮すると、粗膜化層は基材8の片面のみに形成することが好ましい。しかし、量産性、設備上の課題、または化成液、重合液の含浸しやすさを考慮すると、片面における粗膜化層の厚みは、現状の技術では最大でも80μm程度である。
したがって、20μm以上の厚みの粗膜化層(第一、第二の粗膜化層9、10)を基材8両面に形成し、第一の粗膜化層9の厚みt1および第二の粗膜化層10の厚みt2の差を厚みt1の10%以上とするとともに、第一の粗膜化層9の厚みt1が80μmを超えない範囲で可能な限り大きくすることが好ましい。
なお、上記製造装置では、先に第一の粗膜化層9を形成したが、先に第二の粗膜化層10を形成してもよい。この場合は、例えば図8に示すように、二次蒸着部31の遮蔽板27の開口部28Bは、一次蒸着部30の遮蔽板27の開口部28Aよりも大きくするとともに、二次蒸着部31の蒸着ボート29の数を一次蒸着部30の蒸着ボート29の数よりも多くすればよい。
このように、先に第二の粗膜化層10を形成した場合も電極箔7のダメージを低減できる。すなわち、先に第二の粗膜化層10を形成する場合、第二の粗膜化層10を形成する段階では、第一の粗膜化層9を形成していないため、厚い第一の粗膜化層9が輻射熱を受けるのを防ぐことができる。そしてその後の第一の粗膜化層9を形成する段階では、第二の粗膜化層10は輻射熱を受けるが、第二の粗膜化層10はもともと薄い膜であるため、電極箔7全体のダメージとしては小さく抑えることができる。
以上より本実施例では、第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10の厚みを異ならせることによって、いずれを先に形成しても、電極箔7全体が受けるダメージを低減することができる。
なお、本実施例では、第一の粗膜化層9、第二の粗膜化層10の微粒子23の平均粒子径は空孔径とほぼ同等の0.10μmより大きく0.20μm以下としたため、比較的大きな微粒子23である。したがって、機械的強度が大きく、また表面積が大きいため、基材8との密着性にも優れるが、これ以上微粒子23が大きくなったり、あるいは空孔径が小さくなったりすると、容量低下を招き、小型大容量のコンデンサ6を実現できなくなる。したがって、本実施例のように、蒸着プロセスにおいて、第一の粗膜化層9および第二の粗膜化層10のダメージを低減できる構成は、電極箔7を安定して製造する上で非常に有用である。
なお、本実施例では、コンデンサ6として、電極箔7で構成される陽極電極部17と陰極電極部18とを積層させた積層型の固体電解コンデンサを例に挙げて説明したが、巻回型の固体電解コンデンサの電極箔7としても用いることができる。
この巻回型の固体電解コンデンサとは、両面に誘電体層が形成された陽極箔と、陰極箔とを、セパレータを介して対向させ、巻回したコンデンサ素子に、陰極材料を含浸させ、有底円筒形のケースに収容したものである。陽極箔および陰極箔の電極は、それぞれ陽極端子及び陰極端子でケースの外部へ引き出され、陽極端子、陰極端子を露出させた状態でケースは封止される。コンデンサ素子に含浸させる陰極材料としては、導電性高分子でもよく、その他有機半導体でもよい。
これらの陰極材料は、コンデンサ素子を巻回させた後、含浸させてもよく、巻回させる前段階で含浸させてもよい。
そしてこの陽極箔あるいは陰極箔、もしくは双方に、上述の電極箔7を用いることができる。電極箔7を陽極箔として用いる場合は、第一の粗膜化層9上及び第二の粗膜化層10上にそれぞれ第一の誘電体層11および第二の誘電体層12を形成する。電極箔7を陰極箔として用いる場合は、第一の誘電体層11および第二の誘電体層12を薄く形成してもよく、形成しなくともよい。
(実施例2)
図9に示す本実施例のコンデンサ33は、図3、図4に示す電極箔7を、陽極箔および陰極箔として用いた巻回型電解コンデンサである。このコンデンサ33は、陰極材料として電解液を用いている。またこのコンデンサ33は、耐電圧100V以上の中・高圧用である。
このコンデンサ33は、両面に誘電体層(図示せず)を備えた陽極箔34と、陰極箔35とを、セパレータ36を介して対向させ、巻回させたコンデンサ素子37と、このコンデンサ素子37に含浸させている電解液と、コンデンサ素子37を収容する有底円筒形のケース38と、このケース38を封止する封止部39と、陽極箔34および陰極箔35を、ケース38の外部へ引き出す陽極端子40および陰極端子41とを備えている。
そして陽極箔34は、実施例1の電極箔7と同様に、第一の面と、この第一の面と対向する第二の面とを有する弁作用金属箔からなる基材と、基材の第一の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第一の粗膜化層と、基材の前記第二の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第二の粗膜化層と、を備え、第一の粗膜化層と第二の粗膜化層の空孔径の最頻値が0.10μmより大きく0.20μm以下であり、第一の粗膜化層9の厚みは第二の粗膜化層10の厚みより大きいものである。
そして誘電体層は、実施例1と同様に、第一の粗膜化層9上に形成された第一の誘電体層と、第二の粗膜化層上に形成された第二の誘電体層とを有している。
これにより本実施例では、第一の粗膜化層および第二の粗膜化層のいずれを先に形成しても、ダメージの少ない陽極箔34を形成する事ができる。
なお、従来の中高圧用の電解コンデンサでは、電極箔の静電容量を大きくするため、基材の表面を粗膜化しているが、低圧用の電解コンデンサよりも高い耐電圧性が求められる為、厚い誘電体層を形成する必要がある。したがって、中高圧用の電解コンデンサでは、基材を直流エッチングして、表面に直径が1.0μm前後、深さ30μm〜40μm程度のトンネル状のピットを形成し、粗膜化していた。このような直流エッチングを用いると、アスペクト比を大きくすることは難しく、大容量化に限界があった。これに対し本実施例では、蒸着により微粒子23を積層させればよいため、容易にアスペクト比を大きくすることができ、大容量化を実現できる。
また本実施例では、空孔径の最頻値を0.10μmより大きく、0.20μm以下としたため、直流エッチングによって形成されたエッチング箔よりも表面積を拡大することができ、コンデンサ6の小型大容量化を実現できる。
また本実施例では、エッチングと異なり、大量の溶液が不要なため、生産コストおよび廃液を低減できる。
さらに本実施例では、陰極箔35も、第一の面と、この第一の面と対向する第二の面とを有する弁作用金属箔からなる基材と、基材の第一の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第一の粗膜化層と、基材の前記第二の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第二の粗膜化層と、を備え、第一の粗膜化層と第二の粗膜化層の空孔径の最頻値が0.10μmより大きく0.20μm以下であり、第一の粗膜化層の厚みは第二の粗膜化層の厚みより大きいものである。
これにより本実施例では、第一の粗膜化層、第二の粗膜化層のいずれを先に形成しても、陰極箔35のダメージを低減できる。
なお、陰極箔35の第一の粗膜化層上および第二の粗膜化層上には、誘電体層を形成しなくてもよいが、適宜形成してもよいものとする。
なお、本実施例では、陽極箔34および陰極箔35のいずれも、基材の両面に蒸着により微粒子を積層させた電極箔を用いたが、例えばいずれか一方はエッチングにより表面積を拡大した電極箔や、粗膜化されていないプレーン箔を用いてもよい。
また陰極箔35と陽極箔34の材料は、同じでもよく、異なるものを用いてもよい。
なお、本実施例では、陽極箔34と陰極箔35とをセパレータを介して巻回したが、巻き回さず、積層させた状態で用いてもよい。
本発明による電極箔は蒸着により安定して製造できる粗膜化層を有し、大容量のコンデンサに有用である。
5 コンデンサ素子
6 コンデンサ
7 電極箔
8 基材
8A 第一の面
8B 第二の面
9 第一の粗膜化層
10 第二の粗膜化層
11 第一の誘電体層
12 第二の誘電体層
13 第一の固体電解質層
14 第二の固体電解質層
15 第一の陰極層
16 第二の陰極層
17 陽極電極部
18 陰極電極部
19 陽極端子
20 陰極端子
21 外装体
22 レジスト部
23 微粒子
24 巻き出しローラ
25 巻き取りローラ
26 反転部
27 遮蔽板
28A 開口部
28B 開口部
29 蒸着ボート
30 一次蒸着部
31 二次蒸着部
32 仕切板
33 コンデンサ
34 陽極箔
35 陰極箔
36 セパレータ
37 コンデンサ素子
38 ケース
39 封止部
40 陽極端子
41 陰極端子

Claims (4)

  1. 第一の面と、この第一の面と対向する第二の面とを有する弁作用金属箔からなる基材と、
    前記基材の前記第一の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第一の粗膜化層と、
    前記基材の前記第二の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第二の粗膜化層と、
    を備え、
    前記第一の粗膜化層と前記第二の粗膜化層の空孔径の最頻値が0.10μmより大きく0.20μm以下であり、
    前記第一の粗膜化層の厚みは前記第二の粗膜化層の厚みより大きい、コンデンサ用電極箔。
  2. 両面に誘電体層が形成された陽極箔と、
    前記誘電体層上に形成された固体電解質層と、
    この固体電解質層上に配置された陰極層と、を備えたコンデンサ素子と、
    前記陽極箔および前記陰極層をそれぞれ外部へ引き出す陽極端子および陰極端子と、
    これらの陽極端子および陰極端子の一部を露出させるように前記コンデンサ素子を覆う外装体とを備え、
    前記陽極箔は、
    第一の面と、この第一の面と対向する第二の面とを有する弁作用金属箔からなる基材と、
    前記基材の前記第一の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第一の粗膜化層と、
    前記基材の前記第二の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第二の粗膜化層と、
    を備え、
    前記第一の粗膜化層と前記第二の粗膜化層の空孔径の最頻値が0.10μmより大きく0.20μm以下であり、
    前記第一の粗膜化層の厚みは前記第二の粗膜化層の厚みより大きく、
    前記誘電体層は、前記第一の粗膜化層および第二の粗膜化層上に形成されている、コンデンサ。
  3. 両面に誘電体層が形成された陽極箔と、陰極箔とを、セパレータを介して対向させ、巻回したコンデンサ素子と、
    このコンデンサ素子に含浸させている陰極材料と、
    前記コンデンサ素子を収容するケースと、
    このケースを封止する封止部と、
    前記陽極箔および陰極箔をそれぞれ前記ケースの外部へ引き出す陽極端子及び陰極端子とを備えたコンデンサであって、
    前記陽極箔は、
    第一の面と、この第一の面と対向する第二の面とを有する弁作用金属箔からなる基材と、
    前記基材の前記第一の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第一の粗膜化層と、
    前記基材の前記第二の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第二の粗膜化層と、
    を備え、
    前記第一の粗膜化層と前記第二の粗膜化層の空孔径の最頻値が0.10μmより大きく0.20μm以下であり、
    前記第一の粗膜化層の厚みは前記第二の粗膜化層の厚みより大きく、
    前記誘電体層は、前記第一の粗膜化層および前記第二の粗膜化層上に形成されている、コンデンサ。
  4. 両面に誘電体層が形成された陽極箔と、陰極箔とを、セパレータを介して対向させ、巻回したコンデンサ素子と、
    このコンデンサ素子に含浸させている陰極材料と、
    前記コンデンサ素子を収容するケースと、
    このケースを封止する封止部と、
    前記陽極箔および陰極箔をそれぞれ前記ケースの外部へ引き出す陽極端子及び陰極端子とを備えたコンデンサであって、
    前記陰極箔は、
    第一の面と、この第一の面と対向する第二の面とを有する弁作用金属箔からなる基材と、
    前記基材の前記第一の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第一の粗膜化層と、
    前記基材の前記第二の面に蒸着によって形成された弁作用金属よりなる第二の粗膜化層と、
    を備え、
    前記第一の粗膜化層と前記第二の粗膜化層の空孔径の最頻値が0.10μmより大きく0.20μm以下であり、
    前記第一の粗膜化層の厚みは前記第二の粗膜化層の厚みより大きい、コンデンサ。
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