JP5423236B2 - 反射型マスクおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、図10(b)に示す多層膜加工方式の遮光領域を有する反射型マスクは、MoとSiを交互に設けて一組の層として40層に及ぶ多層の反射層(厚さ274nm)を深掘りエッチングするために、マスク製造工程が複雑で加工時間を要し、遮光領域形状の制御も難しいという問題を生じていた。さらに、図10(b)に示すマスクは、MoとSiを各々厚さ数nmで交互に積層した多層膜の側面が露出しているので、マスク洗浄時に洗浄液によっては多層膜の一部が側面から溶出し、パターンが損傷する危険性があった。
1.第1の実施形態
図1は、本発明の遮光帯を有する反射型マスクの第1の実施形態を示す図であり、図1(a)は概略断面図であり、パターン側から見た平面図である図1(b)のA−A線における断面図を示す。図1(a)に示すように、本実施形態の遮光帯を有する反射型マスク10は、基板11の一方の主面上にEUV光を反射する多層反射膜12と、その多層反射膜12上にEUV光を吸収する吸収層15とを少なくとも設けて形成された転写用パターンを有するマスクであって、ウェハなどの被転写体への転写用パターンの形成領域を規定し、転写用パターンの形成領域以外へのEUV光の照射を防止するために、転写用パターンの周囲の遮光領域に所定幅の遮光帯18が設けられている。図1において、ウェハなどの被転写体へフィールドとして転写用パターンを形成する領域を転写パターン領域21とし、転写用パターン形成領域以外の周囲の遮光領域を周辺部遮光領域22としている。遮光帯18は、周辺部遮光領域22にあり露光時に多重露光となる領域に設けられている。したがって、周辺部遮光領域22の遮光帯18を設けた部分は、吸収層15と遮光帯18との2つの層で遮光性をより高めていることになる。なお、遮光帯18よりもさらに外側は、露光時にブレードを用いて遮光することができる。
以下、本発明の低反射型マスク10を構成する遮光帯18についてさらに詳しく説明する。
本実施形態の遮光帯18は、多層反射膜12にレーザ光を照射して多層反射膜12を破壊した層により構成されており、基板11上の多層反射膜12と同一平面上にあり、EUV光に対する遮光帯18の反射率は多層反射膜12の反射率よりも低いことを特徴とするものである。さらに、図1(a)に示すように、遮光帯18は、基板11と吸収層15(図1(a)では後述するキャッピング層13、バッファ層14を介している)との間に挟まれて反射型マスクに内蔵されていることを特徴とする。したがって、パターン側から見た平面図の図1(b)では、遮光帯18の存在は確認できない。図1(b)では、点線と実線で囲まれた枠内に遮光帯18が内蔵されていることを示している。しかし、基板11が透過性の場合には、パターン形成した主面側と相対する他方の主面側から、遮光帯18を確認することができる。本発明において、遮光帯18の幅は、通常4倍マスクにおいて1mm〜10mm程度の範囲内の所定値であり、転写用パターンの周囲に矩形トラック状に設けられる。
反射型マスク10は、パターンを形成する吸収層15が必ずしも多層反射膜12に直接に接していなくてもよい。吸収層15をパターン状にドライエッチングする時に下層の多層反射膜12に損傷を与えるのを防止するために、通常、多層反射膜12と吸収層18との間にバッファ層(エッチングストッパー層とも称する)14が設けられる。さらに必要に応じて、多層反射膜12の上に反射膜の酸化防止などのために、キャッピング層(保護層とも称する)13が設けられる。また、マスク検査時の検査光(250nm)の反射コントラストを上げるために、吸収層15の上に反射防止層16を設ける場合もある。
本実施形態の反射型マスクは、遮光帯18以外の他の構成要素、材料として従来の反射型マスクの構成要素、材料をそのまま適用することが可能であるが、以下に説明する。
本発明の反射型マスク10の基板11としては、パターン位置精度を高精度に保持するために低熱膨張係数を有し、高反射率および転写精度を得るために平滑性、平坦度が高く、マスク製造工程の洗浄などに用いる洗浄液への耐性に優れたものが好ましく、石英ガラス、SiO2−TiO2系の低熱膨張ガラス、β石英固溶体を析出した結晶化ガラスなどのガラス基板、さらにはシリコンを用いることもできる。マスクブランクスの平坦度としては、例えば、パターン領域において50nm以下が求められている。
多層反射膜12は、EUV露光に用いられるEUV光を高い反射率で反射する材料が用いられ、MoとSiからなる多層膜が多用されており、例えば、2.74nm厚のMoと4.11nmのSiを各40層積層した多層膜よりなる反射膜が挙げられる。それ以外には、特定の波長域で高い反射率が得られる材料として、Ru/Si、Mo/Be、Mo化合物/Si化合物、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜およびSi/Ru/Mo/Ru周期多層膜なども用いることができる。ただし、材料によって最適な膜厚は異なる。MoとSiからなる多層膜の場合、DCマグネトロンスパッタ法により、まずSiターゲットを用いて、Arガス雰囲気下でSi膜を成膜し、その後、Moターゲットを用いて、Arガス雰囲気下でMo膜を成膜し、これを1周期として、30〜60周期、好ましくは40周期積層されて、多層反射膜が得られる。上記のように、EUV光を高い反射率で反射させるために、13.4nmのEUV光を入射角6.0度で入射したときの多層反射膜12の反射率は、通常、60%以上を示すように設定されている。
多層反射膜12の反射率を高めるには屈折率の大きいMoを最上層とするのが好ましいが、Moは大気で酸化され易くて反射率が低下するので、酸化防止やマスク洗浄時における保護のための保護膜として、スパッタリング法などによりSiやRuを成膜し、キャッピング層13を設けることがある。例えば、キャッピング層13としてSiは多層反射膜12の最上層に11nmの厚さに設けられる。
EUV露光に用いられるEUV光を吸収する吸収層15をドライエッチングなどの方法でパターンエッチングするときに、下層の多層反射膜12に損傷を与えるのを防止するために、通常、多層反射膜12と吸収層15との間にバッファ層14が設けられる。バッファ層14の材料としてはSiO2が多用されるが、吸収層をエッチングする条件によっては、耐エッチング性の高い材料としてAl2O3、Cr、CrNなどを用いても良い。SiO2を用いる場合は、RFマグネトロンスパッタ法によりSiO2ターゲットを用いてArガス雰囲気下で、上記の多層反射膜上へSiO2膜を5nm〜15nm程度の膜厚で成膜するのが好ましい。
マスクパターンを形成し、EUV光を吸収する吸収層15の材料としては、Ta、TaB、TaBNなどのTaを主成分とする材料、Cr、Crを主成分としN、O、Cから選ばれる少なくとも1つの成分を含有する材料などが、膜厚30nm〜100nm程度の範囲、より好ましくは50nm〜85nmの範囲で用いられる。
また、マスクパターン検査時の検出感度を上げるために、吸収層15上に検査光(250nm)に対して低反射とした反射防止層16を設ける場合もある。反射防止層16の材料としては、例えば、タンタルの窒化物(TaN)、酸化物(TaO)、酸窒化物(TaNO)、タンタルホウ素酸化物(TaBN)、タンタルホウ素窒化物(TaBN)などが挙げられ、膜厚5nm〜30nm程度の範囲で用いられる。
図2は、本発明の遮光帯を有する反射型マスクの第1の実施形態における別な例を示す概略断面図である。図2において、図1と同じ部位と材料を示す場合には、図1と同じ符号を用いている。図2に示す本実施形態の別な例においては、基板11の一方の主面上に設けられたマスクパターンと相対する他方の主面上に、導電層17が形成されている点が図1の場合と異なるが、他は図1と同じである。
導電層17は、前述したように、EUV露光用マスクの静電チャック用に設けるものであり、導電層17の材料としては、導電性を示す金属や金属窒化物などの薄膜を設けたものであり、例えば、クロム(Cr)や窒化クロム(CrN)などを厚さ20nm〜150nm程度に成膜して用いられる。
図3は、本発明の遮光帯を有する反射型マスクの第2の実施形態を示す図であり、図3(a)は概略断面図であり、、パターン側から見た平面図である図3(b)のB−B線における断面図を示す。図3において、図1と同じ部位と材料を示す場合には、図1と同じ符号を用いている。図3(a)に示すように、本実施形態の遮光帯を有する反射型マスク30は、基板11の一方の主面上にEUV光を反射する多層反射膜12と、その多層反射膜12上にEUV光を吸収する吸収層15とを少なくとも設けて形成された転写用パターンを有し、基板11の他方の主面上に導電層17を形成したマスクであり、ウェハなどの被転写体への転写用パターンの形成領域を規定し、転写用パターンの形成領域以外への前記EUV光の照射を防止するために、転写用パターンの周囲に所定幅の遮光帯18が設けられている。図3において、図1と同様に、ウェハなどの被転写体へフィールドとして転写用パターンを形成する領域を転写パターン領域21とし、転写用パターン形成領域以外の周囲の遮光領域を周辺部遮光領域22としている。遮光帯18は、周辺部遮光領域22にあり露光時に多重露光となる領域に設けられている。また、遮光帯18よりもさらに外側は、露光時にブレードを用いて遮光することができる。
本実施形態の反射型マスク30を構成する遮光帯18についてさらに詳しく説明する。
本実施形態の遮光帯18は、多層反射膜12にレーザ光を照射して多層反射膜12を破壊した層により構成されており、基板11上の多層反射膜12と同一平面上にあり、EUV光に対する遮光帯18の反射率は多層反射膜12の反射率よりも低いことを特徴とするものである。さらに、図3(a)に示すように、基板11上に形成された遮光帯18の上部の吸収層15は取り除かれており、遮光帯18の表面が露出していることを特徴とする。したがって、パターン側から見た平面図である図3(b)に示すように、遮光帯18の存在は容易に確認することができる。第2の実施形態における遮光帯18の幅は、第1の実施形態の場合と同じである。本実施形態における遮光帯18は、遮光帯18がパターン側から多層反射膜12にレーザ光を照射して多層反射膜12を破壊した層により構成されている。本実施形態における遮光帯18は、上記の第1の実施形態と同様に、レーザ光照射により多層反射膜12を破壊してEUV光に対して多層反射膜12の反射率よりも低くすれば、必ずしもレーザ光照射で数10層に積層された多層反射膜12の全ての層を破壊した層としなくてもよい。
次に、本発明のEUV露光用反射型マスクの製造方法について説明する。
本発明の反射型マスクの製造方法は、基板の一方の主面上に、EUV光を反射する多層反射膜と、この多層反射膜上にEUV光を吸収する吸収層とを少なくとも設けて形成された転写用パターンを有するEUV露光用の反射型マスクの製造方法であって、被転写体への転写用パターンの形成領域を規定し、転写用パターンの形成領域以外へのEUV光の照射を防止するために、転写用パターンの周囲に遮光帯を設けるに際し、転写用パターンの周囲の遮光帯を形成する領域の多層反射膜にレーザ光を照射して多層反射膜を破壊し、上記の破壊した多層反射膜により遮光帯を形成することを特徴とするものである。
図5は、図1に示す遮光帯を有する本発明の反射型マスクの図4に続く第1の実施形態の製造工程を示す断面模式図である。本実施形態の反射型マスクの製造方法は、先ず遮光帯のないEUV露光用の反射型マスクを作製した後に、基板の他方の主面側から、基板を通して、転写用パターンの周囲の多層反射膜にレーザ光を照射して多層反射膜を破壊し、上記の破壊した多層反射膜により遮光帯を形成することを特徴とするものである。
図6は、図3に示す遮光帯を有する本発明の反射型マスクにおける第2の実施形態の製造工程を示す断面模式図である。本実施形態の反射型マスクの製造方法は、遮光帯のないEUV露光用の反射型マスクを作製した後に、転写用パターンを形成した基板の一方の主面上に、遮光帯を形成するためのレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして吸収層をエッチングして遮光帯とする領域の多層反射膜を露出させ、次に、基板の一方の主面側から、露出させた多層反射膜にレーザ光を照射して露出させた多層反射膜を破壊し、上記の破壊した多層反射膜により遮光帯を形成することを特徴とするものである。
図7は、図3に示す遮光帯を有する本発明の反射型マスクの製造方法における第3の実施形態の製造工程を示す断面模式図である。本実施形態の反射型マスクの製造方法は、反射型マスクブランクスを用いて転写用パターンと、遮光帯とを形成するためのレジストパターンを吸収層上に形成し、該レジストパターンをマスクとして吸収層をエッチングして多層反射膜を露出させ、次に、転写用パターンを形成した基板の一方の主面側から、露出させた多層反射膜の遮光帯とする領域にレーザ光を照射して多層反射膜を破壊し、上記の破壊した多層反射膜により遮光帯を形成することを特徴とするものである。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく述べる。
光学研磨された大きさ6インチ角(厚さ0.25インチ)の合成石英基板の一方の主面(表面)上に、DCマグネトロンスパッタ法により、Arガス雰囲気下で、Siターゲットを用いてSi膜を4.2nm成膜し、続いてMoターゲットを用いてMo膜を2.8nm成膜し、これを1周期として40周期積層した後、最後にSi膜を11nm成膜してキャッピング層とし、MoとSiの多層膜よりなるEUV光を反射する多層反射膜を形成した。
次に、DCマグネトロンスパッタ法により、Arと窒素の混合ガス雰囲気下で、上記の多層反射膜上にCrターゲットを用いてCrN膜を10nmの厚さに成膜し、バッファ層とした。
続いて、上記のCrN膜上に、DCマグネトロンスパッタ法により、TaおよびBを含むターゲットを用いて、Arと窒素の混合ガス雰囲気下で、TaBN膜を80nmの厚さで成膜し、EUV光を吸収する吸収層としたEUV露光用の反射型マスクブランクスを得た。
実施例1と同じ反射型マスクブランクスを用い、そのブランクスの他方の主面(裏面)上に、導電層としてCrを厚さ20nmスパッタリング成膜し、導電層付きの反射型マスクブランクスとした。
実施例2で用いたのと同じ導電層付きの反射型マスクブランクスを準備し、石英基板の一方の主面(表面)上に、転写用パターンと、遮光帯とを形成するためのレジストを塗布し、露光、現像して、転写用パターンと遮光帯とのレジストパターンを形成した。次いで、上記のレジストパターンをマスクとして、吸収層をCl2ガス、バッファ層をCl2と酸素との混合ガスで順にドライエッチングし、転写パターンを形成するとともに遮光帯用の開口部を形成し、遮光帯とする領域の多層反射膜を露出させた。
11 基板
12 多層反射膜
13 キャッピング層
14 バッファ層
14a バッファ層(パターニング前)
15 吸収層
15a 吸収層(パターニング前)
16 反射防止層
16a 反射防止層(パターニング前)
17 導電層
18 遮光帯
21 転写パターン領域
22 周辺部遮光領域
23 レーザ光
24 集光レンズ
25 レジストパターン
26 開口部
40、70 反射型マスクブランクス
50、60 反射型マスク(遮光帯はない)
80 EUV露光用反射型マスク
81 EUV光
82 ブレード
83 ウェハ
84 フィールド
85 転写パターン
86 フィールド重なり部
101 低膨張率基板
102 多層反射膜
103 保護膜
104 バッファ層
105 第1の吸収膜
106 第2の吸収膜
107 転写パターン領域
108 遮光領域
110 反射型マスク
111 基板
112 多層反射膜
113 キャッピング層
114 バッファ層
115 吸収層
116 反射防止層
Claims (2)
- 基板の一方の主面上に、EUV光を反射する多層反射膜と、前記多層反射膜上に前記EUV光を吸収する吸収層とを少なくとも設けて形成された転写用パターンを有するEUV露光用の反射型マスクであって、
被転写体への前記転写用パターンの形成領域を規定し、前記転写用パターンの形成領域以外への前記EUV光の照射を防止するために、前記転写用パターンの周囲に遮光帯が設けられており、
前記遮光帯は、前記多層反射膜にレーザ光を照射して前記多層反射膜を破壊した層により構成され、前記基板上の前記多層反射膜と同一平面上にあり、前記EUV光に対する前記遮光帯の反射率が前記多層反射膜の反射率よりも低く、前記基板と前記吸収層との間に挟まれて前記反射型マスクに内蔵されていることを特徴とする反射型マスク。 - 基板の一方の主面上に、EUV光を反射する多層反射膜と、前記多層反射膜上に前記EUV光を吸収する吸収層とを少なくとも設けて形成された転写用パターンを有するEUV露光用の反射型マスクの製造方法であって、
被転写体への前記転写用パターンの形成領域を規定し、前記転写用パターンの形成領域以外への前記EUV光の照射を防止するために、前記転写用パターンの周囲に遮光帯を設けるに際し、
前記遮光帯のないEUV露光用の反射型マスクを作製した後に、
前記基板の他方の主面側から、前記基板を通して、前記転写用パターンの周囲の前記多層反射膜にレーザ光を照射して前記基板と前記吸収層との間に挟まれた前記多層反射膜を破壊し、前記破壊した多層反射膜により前記遮光帯を形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
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